JP2005047988A - インク組成物 - Google Patents

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哲也 青山
Hiroshi Fukumoto
福本  浩
Masahiro Hanmura
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Abstract

【課題】インク組成物とインクカートリッジ等のインク接触部材の接触によって生ずる不溶性もしくは難溶性のリチウム塩に起因する目詰まり等の弊害を防止したインク組成物を提供する。
【解決手段】少なくとも水と着色剤を含んでおり、さらにリチウムイオンをインク組成物全量に対し0.021重量%以上含有するインク組成物において、1,2−アルカンジオール及び式(1)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とするインク組成物。
式(1)
R−X−(CO)−(CO)−H
(式(1)中、Rは炭素数4〜20のアルキル基又はシクロアルキル基を表し、Xは−O−、−COO−又は−NH−を表し、m及びnはそれぞれ独立に0以上20未満の整数を表し、かつ、m+nは1以上30未満である。)
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定濃度以上のリチウムイオンを含むインク組成物がインクカートリッジなどの部材と接触して生ずる、水・有機溶剤に不溶もしくは難溶の塩による目詰まり等が防止されたインク組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、微細なノズルからインク組成物を小滴として吐出し、文字や画像(以下、単に「画像」ということもある。)を記録媒体表面に記録する方法である。インクジェット記録方式としては、電歪素子を用いて電気信号を機械信号に変換して、ノズルヘッド部分に貯えたインク組成物を断続的に吐出して記録媒体表面に文字や画像を記録する方法、ノズルヘッド部分に貯えたインク組成物を吐出部分に極近い一部を急速に加熱して泡を発生させて、その泡による体積膨張で断続的に吐出して、記録媒体表面に文字や画像を記録する方法等が実用化されている。
【0003】
また、インクジェット記録用のインク組成物としては、安全性や印字特性の面から各種染料を水または有機溶剤、あるいはそれらの混合液に溶解させたものが一般的であるが、様々な特性において、万年筆やボールペンの様な筆記具用インク組成物に比較し、より厳密な条件が要求される。
【0004】
特に、近年になって、広告用の印刷物の作成にインクジェットプリンタが採用されるようになっており、複数のインク組成物を使用してカラー画像を形成する際には一段と厳しい要求がなされるようになってきている。カラー画像の形成に用いられるインク組成物には、それ自体が良好な発色性を有していることに加え、光沢紙への印刷においてブロンジングのないことや、印字物のその後の保存において変褪色しないこと等の基本的な特性が求められる。また、印字物が室内はもちろんのこと室外にも設置されることがあるため、太陽光をはじめとして種々の光や外気(オゾン、窒素酸化物、硫黄酸化物等)に晒されることとなり、耐光性、耐ガス性に優れたインク組成物の開発がなされている。これらの特性は着色剤として使用する化合物に依存するところが大きい。
ところが、耐光性、耐ガス性に優れたインク組成物は、その着色剤自体の水溶性が低い傾向にあり、安定した吐出性が得にくいばかりでなく、シアン系インク組成物においては光沢紙上でのブロンジングの発生を生じやすいという課題がある。
【0005】
これら課題を解決する手段として、着色剤のカウンターイオンとしてリチウムイオンを用いると、着色剤の水溶性が高められること、シアン系着色剤において記録物(光沢紙)上でのブロンジングを生じにくいことが知られている。また、シアン系着色剤においてナフタレン骨格にカルボキシル基をもつ化合物(2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等)のリチウム塩を用いることでもシアン系インク組成物のブロンジングを抑制できることが分かっている(特願2002−120064号)。しかし、いずれの場合も、インク組成物中のリチウムイオン濃度が増すこととなる。
【0006】
一方、これらのインクジェット記録用のインク組成物は、インク収容室をもつインクカートリッジに充填され、プリンタにセットされて使用されている。このインクカートリッジを構成する部材には、多くの場合、加工が容易であり、かつコストの安い、種々のプラスティックが用いられている。一般にプラスティックには多くの添加剤が使用されるが、その中には滑剤として用いられる、ステアリン酸に代表される脂肪酸が含まれる。この脂肪酸は、金属と結合すると多くの場合、水・有機溶剤に不溶もしくは難溶の塩を形成する。そのため、インク組成物に接触したプラスティックからインク組成物中に脂肪酸等が溶出し、インク組成物中の金属と結合して、経時に水・有機溶剤に不溶もしくは難溶の塩が析出し、目詰まり等の原因となる場合がある。本発明者らは、金属がリチウムの場合において、他の1価金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)よりもさらに、水・有機溶剤に不溶もしくは難溶の塩を生ずることを確認している。
すなわち、上述のリチウムイオンを多量に含むインク組成物を、前記インクカートリッジに充填し供給する場合、インク組成物中のリチウムイオンがある一定濃度を越えると、経時に、水・有機溶剤に不溶もしくは難溶の脂肪酸のリチウム塩を析出し、目詰まり等の原因となるという問題を生ずる。
【0007】
上記の問題に対し、例えば、インクと接触するインクタンクの材料中の脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体類の含有量を規定したインクジェット記録装置が提案されている(特許文献1参照)。あるいは、脂肪酸及び/又は脂肪酸誘導体類を含有するインクタンクと接触するインク中のナトリウムイオン濃度を規定したインクジェット記録装置が提案されている(特許文献2参照)。また、インク中の脂肪酸含有量を規定した水性インク及びこれを用いたインクジェット記録方法が提案されている(特許文献3参照)。
しかし、上記の各技術でも、上述の種々の特性に優れた着色剤を使用したときの水・有機溶剤に不溶もしくは難溶の脂肪酸リチウム塩の析出を十分に防止することができず、ブロンジングなどのない高い印刷品質や耐光性、耐ガス性等の印字物の保存性と、プラスティック部材と接触する状態での長期保存時の目詰まりの防止を、両立できないという課題があった。
【0008】
【特許文献1】
特許第2874691号公報
【特許文献2】
特許第2696841号公報
【特許文献3】
特開平9−3374号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解消し、インク組成物とインクカートリッジ等の部材の接触によって生ずる、水・有機溶剤に不溶もしくは難溶の脂肪酸塩に起因する目詰まり等の弊害を防止したインク組成物を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究した結果、予めインク組成物に1,2−アルカンジオール及び後述の式(1)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有させておくことにより、水・有機溶剤に不溶もしくは難溶の、脂肪酸のリチウム塩の析出が防止され、印刷品質に関する種々の特性を低下させることなく目詰まりに関する信頼性等を向上させることができることを見出し、この知見に基づき本発明をなすに到った。
【0011】
1.本発明に係るインク組成物は、少なくとも水と着色剤を含んでおり、さらにリチウムイオンをインク組成物全量に対し0.021重量%以上含有するインク組成物において、1,2−アルカンジオール及び式(1)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とする。
式(1)
R−X−(CO)−(CO)−H
(式(1)中、Rは炭素数4〜20のアルキル基又はシクロアルキル基を表し、Xは−O−、−COO−又は−NH−を表し、m及びnはそれぞれ独立に0以上20未満の整数を表し、かつ、m+nは1以上30未満である。)
2.本発明に係るインク組成物は、リチウムイオンと1,2−アルカンジオールの重量比が1:6〜1:83であることを特徴とする。
3.本発明に係るインク組成物は、1,2−アルカンジオールが1,2−ヘキサンジオールであることを特徴とする。
【0012】
4.本発明に係るインク組成物は、リチウムイオンと前記式(1)で表される化合物の重量比が5:2〜5:39であることを特徴とする。
5.本発明に係るインク組成物は、前記式(1)においてRがC1215−、Xが−O−、mが2、nが12であることを特徴とする。
【0013】
6.本発明に係るインク組成物は、インクジェット記録方法において用いられることを特徴とする。
7.本発明に係るインク組成物は、前記6に記載のインクジェット記録方法が、電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するインクジェットヘッドを用いた記録方法であることを特徴とする。
【0014】
8.本発明に係るインクジェット記録方法は、インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法であって、インク組成物として前記1〜7のいずれか一項に記載のインク組成物を使用することを特徴とする。
9.本発明に係る記録物は、前記1〜7のいずれか一項に記載のインク組成物を用いて記録された、又は前記8に記載の記録方法により記録されたことを特徴とする。
なお、本明細書においてリチウムイオンの重量は、イオンでない金属として換算された重量の値とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係るインク組成物は、リチウムイオンをインク組成物全量に対し0.021重量%以上含有する場合において効果がある。このような濃度でリチウムイオンを含有するインク組成物は、滑剤としてステアリン酸などの脂肪酸を含有するプラスティック等の部材でできたインクカートリッジやインクタンクなどに収納しておいた場合に、インク組成物と前記部材の接触によって経時にインク組成物中に脂肪酸が溶出したときに、水・有機溶剤に不溶もしくは難溶の脂肪酸リチウム塩が析出し、これが異物として印刷時の目詰まり等を引き起こす。
かかるインク接触部材としては例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、シリコーン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ABS樹脂、ポリアセタール(ポリオキシメチレン)、ナイロン、不飽和ポリエステル樹脂、PET、アラミド樹脂当の樹脂や、スチレンブタジエンゴム(SBR),ブタジエンゴム、クロロプレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、EPDM、ウレタンゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、フッ素ゴム等の合成ゴム等があげられる。
これらの部材は、前述の通り、一般的に脂肪酸類を含有する。脂肪酸類としては炭素数8〜22のものが一般的に使用され、その中でもステアリン酸及びその塩、ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸及びその塩、エチレンビスステアリン酸アミド、ベヘン酸及びその塩、ベヘン酸アミド、オレイン酸及びその塩、オレイン酸アミド、エルカ酸及びその塩、エルカ酸アミド等から選ばれる一種又は二種以上が使用される。
本発明のインク組成物は、インク接触部材からインクへの脂肪酸溶出量が多い部材からなるインクカートリッジやインクタンクなどに収納されて供給、保存、使用される場合に特に好適である。
【0016】
本発明においては、上記脂肪酸リチウム塩を可溶化させる成分として、1,2−アルカンジオール及び上記式(1)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含有させる。
1,2−アルカンジオールとしては、炭素数3〜10のものが好ましく、その脂肪酸リチウム塩の溶解能力向上と、それ自身の水溶性の観点から、1,2−ヘキサンジオールが特に好ましい。
インク組成物中のリチウムイオンと1,2−アルカンジオールの重量比が1:6〜1:83であることが好ましく、さらには脂肪酸リチウム塩の溶解能力向上の観点から1:22〜1:83であることが好ましい。このような重量比で含有させることにより、脂肪酸リチウム塩の析出を防止し、目詰まり等による吐出安定性を向上させることができる。また、1,2−アルカンジオールはインク組成物全量に対し20重量%以下であることが好ましい。20重量%以下とすることでインク粘度調整を容易にすることができる。
【0017】
上記式(1)においてRは炭素数4〜20のアルキル基又はシクロアルキル基を表し、好ましくは炭素数12〜15の直鎖アルキル基である。Xは−O−、−COO−又は−NH−を表し、好ましくは−O−である。m及びnはそれぞれ独立に0以上20未満の整数であって、m+nは1以上30未満である。mは好ましくは1〜5、nは好ましくは6〜18である。式(1)で表される化合物の中で、脂肪酸リチウム塩の溶解能力向上と、それ自身の水溶性の観点から、下記式(2)で表される化合物が特に好ましい。
【0018】
式(2)
1225−O−(CO)12−(CO)−H
【0019】
インク組成物中のリチウムイオンと式(1)で表される化合物の重量比が5:2〜5:39であることが好ましく、さらには、脂肪酸リチウム塩の溶解能力向上と、それ自身の水溶性の観点から5:2〜5:21であることが好ましい。このような重量比で含有させることにより、脂肪酸リチウム塩の析出を防止し、目詰まり等を抑制して吐出安定性を向上させることができる。また、式(1)で表される化合物はインク組成物全量に対し2.0重量%以下であることが好ましい。2.0重量%以下とすることでインクへの溶解性を確保することができる。
【0020】
1,2−アルカンジオールと式(1)で表される化合物は、いずれかの群内において単独で用いてもよいし、各群内及び各群間において複数種使用してもよい。
【0021】
本発明のインク組成物の着色剤は、耐光性及び耐ガス性等を大きく損ねない範囲で種々の着色剤を用いることができ、通常のインク、とりわけインクジェット記録に使用される染料、または顔料が使用できる。
染料としては、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応性染料等を使用することができる。また、顔料としては、有機顔料と無機顔料を使用することができる。
【0022】
本発明で用いるインク組成物においては、前記の着色剤を1種で、又は2種以上を混合して、使用することができる。また着色剤の含有量は、インク組成物全量に対し0.5〜12重量%が好ましく、さらに好ましくは、1.0〜10重量%である。
さらに、本発明は、着色剤のカウンターイオンとしてリチウムイオンを持つ場合において有効である。
【0023】
本発明における各インク組成物は、主溶媒として、水又は水と水溶性有機溶媒の混合液を使用することが好ましい。
水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等を用いることができる。また、長期保存の観点から、紫外線照射や過酸化水素添加などの各種化学滅菌処理を施した水が好ましい。
【0024】
本発明における各インク組成物において、主溶媒として使用される場合の水の含有量は、インク組成物の全重量に対し、40〜90重量%であることが好ましく、更に好ましくは、50〜80重量%である。
【0025】
本発明のインク組成物は、さらに蒸気圧が純水よりも小さい水溶性有機溶剤及び/又は糖類から選ばれる保湿剤を含むことができる。保湿剤を含むことにより、インクジェット記録方式において、水分の蒸発を抑制してインクを保湿することができる。また、水溶性有機溶剤であれば、吐出安定性を向上させたり、インク特性を変化させることなく粘度を容易に変更させたりすることができる。
水溶性有機溶剤は、溶質を溶解する能力を持つ媒体を指しており、有機性で蒸気圧が水より小さい水溶性の溶媒から選ばれる。具体的には、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類(1,2−アルカンジオールを除く)、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピレンアルコール、n−ブチルアルコール等のアルキルアルコール類、アセトニルアセトン等のケトン類、γ−ブチロラクトン、リン酸トリエチル等のエステル類、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、チオジグリコール、グリセリン等が挙げられる。
【0026】
また、糖類は、マルチトール、ソルビトール、グルコノラクトン、マルトース等が挙げられる。
保湿剤は、インク組成物全量に対して5〜50重量%、より好ましくは、5〜30重量%、さらに好ましくは、5〜20重量%の範囲で添加されることが好ましい。5重量%以上であれば、保湿性が得られ、また、50重量%以下であれば、インクジェット記録に用いられる粘度に調整しやすい。
【0027】
また、本発明のインク組成物には、インクの速やかな定着( 浸透性) を得ると同時に、1ドットの真円度を保つのに効果的な添加剤として、ノニオン系界面活性剤を含むことが好ましい。
本発明に用いられるノニオン系界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤が挙げられる。アセチレングリコール系界面活性剤として、具体的には、サーフィノール465、サーフィノール104、サーフィノール104PG50(以上、Air Products and Chemicals, Inc. 製、商品名)、オルフィンSTG、オルフィンE1010(以上、日信化学社製、商品名)等が挙げられる。その添加量は0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜2重量%である。添加量を0.1重量%以上とすることで、十分な浸透性が得られ、また、5重量%以下とすることで、画像の滲みの発生を防止しやすい。
【0028】
さらに、ノニオン系界面活性剤に加えて、浸透促進剤として、グリコールエーテル類を添加することにより、より浸透性が増すとともに、カラー印刷を行った場合の隣合うカラーインクとの境界のブリードが減少し、非常に鮮明な画像を得ることができる。
本発明に用いることのできるグリコールエーテル類としては、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。その添加量は3〜30重量%、好ましくは3〜15重量%である。添加量を3重量%以上とすることで、十分なブリード防止効果が得られ、また、30重量%以下とすることで、画像のにじみの発生を防止し易く、インクの保存安定性を確保し易い。
【0029】
さらに、本発明のインク組成物には、必要に応じて、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、アルギン酸ナトリウム等の水溶性ポリマー、水溶性樹脂、フッ素系界面活性剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等が添加されてもよい。
pH調整剤、溶解助剤、又は酸化防止剤の例としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリン等のアミン類およびそれらの変性物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの金属水酸化物、水酸化アンモニウム、四級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウム等)等のアンモニウム塩、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩類など、あるいはN−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドンなどのピロリドン類、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネート等のアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸およびその塩類を挙げることができる。
【0030】
防腐剤又は防黴剤の例としては、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、1,2−ジベンジソチアゾリン−3−オン(AVECIA社製、プロキセルCRL、プロキセルBDN、プロキセルGXL、プロキセルXL−2、プロキセルTN(商品名))等が挙げられる。
本発明のインク組成物においては、前記した任意成分は、単独又は各群内および各群間において複数種選択して混合して用いることもできる。
【0031】
また、本発明のインク組成物においては、インク組成物の全ての成分の量は、インク組成物の粘度が20℃で10mPa・s未満であるように選択されるのが好ましい。
また、本発明のインク組成物は、その表面張力が20℃で45mN/m以下であるのが好ましく、さらに好ましくは、25〜45mN/mの範囲である。
さらに本発明のインク組成物は、20℃におけるpHが8.0〜10.5の範囲になるよう調整されるのが好ましい。
【0032】
本発明のインク組成物の調製方法としては、たとえば、各成分を十分混合溶解し、孔径0.8μmのメンブランフィルターで加圧濾過したのち、真空ポンプを用いて脱気処理して調製する方法などがある。
【0033】
次に、上述のインク組成物を用いた本発明の記録方法について説明する。本発明の記録方法はインク組成物を微細孔から液滴として吐出させ、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方式がとりわけ好適に使用できるが、一般の筆記具用、記録計、ペンプロッター等の用途にも使用できることは言うまでもない。
インクジェット記録方式としては、従来公知の方式はいずれも使用でき、特に圧電素子の振動を利用して液滴を吐出させる方法(電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するインクジェットヘッドを用いた記録方法)や熱エネルギーを利用する方法においては優れた画像記録を行うことが可能である。
【0034】
【実施例】
次に本発明を実施例及び比較例により更に具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例中に記述した材料、組成、及び作成方法に何等限定されるものではない。
<インク組成物の調製>
表1に示す配合比で各成分を常温にて1時間攪拌した後、0.8μmのメンブランフィルターで濾過して、表1に示す組成を有する各インク組成物を得た。なお、表中に示すインクの各成分量はインク全量に対する各成分の重量%を示す。本実施例及び比較例において、インク中にリチウムイオンを含有させる化合物の例として、着色剤にはカウンターイオンがリチウムカチオンである化合物として下記式(3)で表される化合物のリチウム塩を用い、また、添加剤には、ブロンズ現象の緩和・解消剤として添加されるナフタレンカルボン酸の中和剤(pH調整剤)として水酸化リチウム1水和物を用いた。
これらのインク組成物について以下の試験を行った。結果を表2に示す。
【0035】
式(3)
【化1】
Figure 2005047988
【0036】
【表1】
Figure 2005047988
【0037】
<耐材料試験>
インクカートリッジに用いられるプラスチック材料と同一の材料(脂肪酸類としてステアリン酸を1.4224重量%含むポリプロピレン樹脂)で20mm×30mm×2mmの平板を作製し、これを上記インク組成物20gを入れたテフロン(登録商標)製容器に投入して密閉し、この容器を50℃の環境下で15日間放置した。その後、この容器を20℃の環境下で1日間冷却した後、容器内のインク組成物を10μmの金属フィルターにて析出物をろ過した。金属フィルター上にろ集された異物の有無により耐材料性を評価した。
【0038】
<目詰まり試験>
インクジェットプリンタPM−950C(商品名、セイコーエプソン株式会社製)を用いて、目詰まり試験をおこなった。このプリンタ用の専用カートリッジに実施例1〜6及び比較例1〜4のインク組成物をそれぞれ充填し、上記プリンタに装着し、10分間連続して印字し、すべてのノズルが正常に吐出していることを確認後、電源を切り、60℃の環境に21日間放置した。放置後、全ノズルが初期と同等に吐出するまでクリーニング動作を繰り返し、以下の判定基準により目詰まり特性(目詰まりに対する耐性)を評価した。
A:1〜5回のクリーニングで全ノズルが回復した。
B:6〜10回のクリーニングで全ノズルが回復した。
C:11〜15回のクリーニングで全ノズルが回復した。
D:15回のクリーニングでは全ノズルの回復はできなかった。
【0039】
<耐ブロンズ試験>
インクジェットプリンタPM−950C(商品名、セイコーエプソン株式会社製)を用いて印刷試験を行った。このプリンタ用の専用カートリッジに実施例1〜6及び比較例1〜4のインク組成物をそれぞれ充填した。このカートリッジを前記プリンタに装着し、25℃40%RHの環境下で、PM写真用紙(セイコーエプソン株式会社製)に、1インチ平米当たり1.5〜2.2mgの打ち込み量になるようにベタ印字し印刷物を得た。得られた印刷物を、光沢度計(PG−1M:日本電色工業株式会社)を用いて、測定角度60°で測定し、印刷物及び記録媒体の光沢度をそれぞれ求めた。
印刷物の光沢度から記録媒体の光沢度を引いた計算値から以下の判定基準により耐ブロンズ性を評価した。
A:15未満
B:15以上35未満
C:35以上55未満
D:55以上
【0040】
<耐光性試験>
蛍光灯耐候性試験機STF−II(商品名、(株)スガ試験機製)を用い、24℃、相対湿度60%RH、照度70,000 luxの条件下にて、上記記録物を21日間曝露した。
曝露後、それぞれの記録物のOD値を、反射濃度計(「Spectrolino」(商品名) Gretag社製)を用いて測定し、次式により光学濃度残存率(ROD)を求め、下記判定基準により、評価した。
ROD(%)=(D/D)×100
D:曝露試験後のOD
:曝露試験前のOD
(但し、測定条件は、光源:D50,視野角:2度)
[判定基準]
A:RODが80%以上
B:RODが60%以上80%未満
C:RODが40%以上60%未満
D:RODが40%未満
【0041】
<耐オゾン性評価>
上記記録物を、オゾンウエザーメーターOMS−H型(商品名、(株)スガ試験機製)を用い、24℃、相対湿度60%RH、オゾン濃度10ppmの条件下にて12時間曝露した。
曝露後、それぞれの記録物のODを、反射濃度計(「Spectrolino」(商品名) Gretag社製)を用いて測定し、次式により光学濃度残存率(ROD)を求め、下記判定基準により、評価した。
【0042】
ROD(%)=(D/D)×100
D:曝露試験後のOD
:曝露試験前のOD
(但し、測定条件は、光源:D50,視野角:2度)
[判定基準]
A:RODが80%以上
B:RODが60%以上80%未満
C:RODが40%以上60%未満
D:RODが40%未満
【0043】
【表2】
Figure 2005047988
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、リチウムイオン濃度が高いインク組成物であっても、耐光性や耐オゾン性などの特性を低下させることなく、インクカートリッジやインクタンクなどのインク接触部材との接触による不溶もしくは難溶性の異物の析出が防止され、目詰まり特性が向上するという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例及び比較例で使用した染料(C.I.ダイレクトブルー199)の分光特性(吸収波長)を示す図である。

Claims (9)

  1. 少なくとも水と着色剤を含んでおり、さらにリチウムイオンをインク組成物全量に対し0.021重量%以上含有するインク組成物において、1,2−アルカンジオール及び式(1)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種を含有することを特徴とするインク組成物。
    式(1)
    R−X−(CO)−(CO)−H
    (式(1)中、Rは炭素数4〜20のアルキル基又はシクロアルキル基を表し、Xは−O−、−COO−又は−NH−を表し、m及びnはそれぞれ独立に0以上20未満の整数を表し、かつ、m+nは1以上30未満である。)
  2. リチウムイオンと1,2−アルカンジオールの重量比が1:6〜1:83であることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
  3. 1,2−アルカンジオールが1,2−ヘキサンジオールである請求項1又は2に記載のインク組成物。
  4. リチウムイオンと前記式(1)で表される化合物の重量比が5:2〜5:39であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインク組成物。
  5. 前記式(1)においてRがC1215−、Xが−O−、mが2、nが12である請求項1〜4のいずれか一項に記載のインク組成物。
  6. インクジェット記録方法において用いられる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインク組成物。
  7. 前記インクジェット記録方法が、電歪素子の機械的変形によりインク滴を形成するインクジェットヘッドを用いた記録方法である、請求項6に記載のインク組成物。
  8. インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法であって、インク組成物として請求項1〜7のいずれか一項に記載のインク組成物を使用することを特徴とするインクジェット記録方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のインク組成物を用いて記録された、又は請求項8に記載の記録方法により記録されたことを特徴とする記録物。
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