JP2005047969A - 透明性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱安定性に優れることから、高温で加工する場合に熱劣化が起こり難く、精密成形や高温で2次加工することが可能であり、光学分野などの用途で好適に用いられる透明性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】数平均分子量が1×103以上5×106以下であるマレイミド・オレフィン共重合体99〜40重量%及びアクリロニトリル単位21〜45重量%を含むアクリロニトリル・スチレン共重合体1〜60重量%からなる合計量100重量部に対して、特定の構造を有するフェノール系熱劣化防止剤0.005〜1.5重量部を配合してなる透明性樹脂組成物。
【選択図】 選択図なし。
【解決手段】数平均分子量が1×103以上5×106以下であるマレイミド・オレフィン共重合体99〜40重量%及びアクリロニトリル単位21〜45重量%を含むアクリロニトリル・スチレン共重合体1〜60重量%からなる合計量100重量部に対して、特定の構造を有するフェノール系熱劣化防止剤0.005〜1.5重量部を配合してなる透明性樹脂組成物。
【選択図】 選択図なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温加工時の熱安定性に優れた透明性樹脂組成物に関するものであり、特に高温での加工の際に熱劣化等が起こり難く、光学分野などの精密性の要求される用途に適した透明性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
古くから光学材料として無機ガラスが使用されてきたが、近年、成形性、軽量性に優れた透明性樹脂が無機ガラスに代わる光学材料として使用されている。光学部品の樹脂化は、近年の光を利用した情報関連技術の発展を反映して、例えばLCDなどのフラットパネルディスプレイ用フィルム又はシート、バックライトの導光板、光ディスク、光ファイバー、光導波路などの分野で盛んに検討されている。
このような光学部品には高い耐熱性及び寸法精度が求められることが多いため、光学部品を樹脂化する場合、高い耐熱性を有する透明性樹脂を精密に成形する必要がある。ところで、精密に成形を行うための有功手段として、樹脂の粘度を低下させ、樹脂の流動性を高めることが挙げられ、そのために、透明性樹脂はできる限り高温で成形加工されることが多い。また、得られた成形品は高温で2次加工される場合もある。
【0003】
しかし、透明性樹脂を高温で成形あるいは2次加工する場合、樹脂が熱劣化し、着色、熱分解、熱架橋などにより成形品の透明性、表面平滑性、強度などが悪化するおそれがある。また、光学以外の分野、例えば電気・電子分野、自動車分野、医療分野、食品包装分野、建設資材分野などでも透明性樹脂は広く使用されており、透明性樹脂を高温で加工する場合、熱劣化するおそれがある。従い、透明性などの光学特性に優れ、高温加工時の熱安定性に優れた透明性樹脂が求められている。
【0004】
そこで、透明性樹脂の熱安定性を向上させるため、熱劣化を防止するための化合物(以下、熱劣化防止剤と述べる。)が添加された透明性樹脂組成物が広く知られている。熱劣化防止剤として、従来、一般的に知られるフェノール系又はリン系に代表される酸化防止剤、フェノール系熱劣化防止剤(例えば、特許文献1参照。)などが提案されている。
【0005】
また、光学材料などとして使用される透明性樹脂として、マレイミド・オレフィン共重合体及びアルクロニトリル・スチレン共重合体からなる樹脂組成物が提案されており、透明性及び低複屈折などの光学特性に優れ、耐熱性及び機械特性が優れるといった特徴を有していることが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−149991号公報
【特許文献2】
特開平8−231780号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載されている化合物については、マレイミド・オレフィン共重合体及びアルクロニトリル・スチレン共重合体からなる樹脂組成物に対しての熱劣化防止効果について何ら知られていない。また、特許文献2に記載の樹脂組成物は、光学特性に優れ、安定剤を添加することができると記載されているが、これらは一般的な記載に過ぎず、安定剤の具体例や添加量、樹脂組成物の熱安定性については何ら記載されておらず、マレイミド・オレフィン共重合体及びアルクロニトリル・スチレン共重合体からなる樹脂組成物の高温成形時の熱安定性改良については、まだ達成されていないのが現状である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、透明性などの光学特性に優れ、高温加工時の熱安定性に優れたマレイミド・オレフィン共重合体及びアルクロニトリル・スチレン共重合体からなる透明性樹脂組成物を提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題に関し鋭意検討した結果、特定のマレイミド・オレフィン共重合体、特定の組成からなるアクリロニトリル・スチレン共重合体及び特定のフェノール系熱劣化防止剤を特定の割合で配合してなる透明性樹脂組成物が、透明性、耐熱性などに優れ、さらに高温成形時の熱安定性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本発明は、下記一般式(I)で示される単位40〜60モル%、下記一般式(II)で示される単位60〜40モル%からなり、数平均分子量が1×103以上5×106以下であるマレイミド・オレフィン共重合体99〜40重量%及びアクリロニトリル単位21〜45重量%を含むアクリロニトリル・スチレン共重合体1〜60重量%からなる合計量100重量部に対し、下記一般式(III)で示されるフェノール系熱劣化防止剤0.005〜1.5重量部を配合してなることを特徴とする透明性樹脂組成物に関するものである。
【0011】
【化4】
(ここで、R1は水素又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【0012】
【化5】
(ここで、R2、R3は各々独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【0013】
【化6】
(ここで、R4、R7は各々独立して水素又はメチルを示し、R5、R6は各々独立して炭素数1〜9のアルキルを示す。)
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】
本発明の透明性樹脂組成物は、一般式(I)で示される単位40〜60モル%、一般式(II)で示される単位60〜40モル%からなる共重合体であり、数平均分子量が1×103以上5×106以下であるマレイミド・オレフィン共重合体を用いてなるものである。
【0016】
ここで、R1は水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができ、その中でも、特に耐熱性、成形性に優れる透明性樹脂組成物が得られることからメチル基であることが好ましい。又、R2、R3は各々独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができ、その中でも、特に耐熱性、成形性に優れる透明性樹脂組成物となることからメチル基であることが好ましい。
【0017】
そして、このようなマレイミド・オレフィン共重合体は、例えばマレイミド類とオレフィン類とのラジカル共重合反応により得ることができる。その際、一般式(I)で示される単位を誘導する化合物としては、例えばマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類が例示され、耐熱性、機械特性、透明性に優れる透明性樹脂組成物となることから特にN−メチルマレイミドが好ましい。さらに、これら化合物は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0018】
また、一般式(II)で示される単位を誘導する化合物としては、例えばイソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等のオレフィン類が例示でき、このうち耐熱性、機械特性、透明性に優れる透明性樹脂組成物となることから特にイソブテンが好ましい。また、これら化合物は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0019】
マレイミド・オレフィン共重合体における一般式(I)で示される単位の含有量は、40〜60モル%であり、特に耐熱性、機械特性に優れる透明性樹脂組成物となることから45〜55モル%であることが好ましい。ここで、一般式(I)で示される単位が60モル%を越える場合、透明性樹脂組成物は脆くなる。一方、40モル%未満の場合、透明性樹脂組成物の耐熱性が低下する。
【0020】
更に、マレイミド・オレフィン共重合体は、必要に応じ本発明の目的を損なわない範囲で他のモノマー成分より誘導される単位を含有するものであってもよく、そのような他のモノマー成分としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸又はそのエステル類;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸又はそのエステル類;酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピオビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;無水マレイン酸;アクリロニトリルより選ばれる1種類以上の化合物が挙げられ、その含有率としては5モル%以下であることが好ましい。
【0021】
マレイミド・オレフィン共重合体は、公知の重合方法、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、及び乳化重合法のいずれもが採用可能であり、その中でも透明性、色調に優れる透明性樹脂組成物が得られることから沈殿重合法により得られるものであることが好ましい。
【0022】
重合反応の際に用いる重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系化合物、等が挙げられる。
【0023】
溶液重合法、沈殿重合法において用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒;シクロヘキサン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、酢酸イソプロピル、芳香族系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒などが挙げられる。
【0024】
その際の重合温度は、重合開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができ、一般的には40〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
【0025】
また、マレイミド・オレフィン共重合体は、別法として無水マレイン酸・オレフィン共重合体をアンモニア及び/又はアルキルアミンを用いて、後イミド化することによっても得ることができる。
【0026】
このような後イミド化反応は、例えば無水マレイン酸・オレフィン共重合体をメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール溶媒;ベンゼン、トルエンなどの芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶媒;芳香族系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒などに溶解あるいは分散させ、アンモニア及び/又はアルキルアミンと50〜250℃の温度で反応させることによりアミド化反応とイミド化反応を連続的に行う方法、アンモニア及び/又はアルキルアミンと反応させてアミド体を得た後、該アミド体を加熱して脱水閉環させ、イミド化を行う方法、等により製造することができる。
【0027】
本発明に用いられるマレイミド・オレフィン共重合体は、数平均分子量(Mn)が1×103以上5×106以下であり、特に機械特性と成形加工性のバランスに優れることから1×104以上5×105以下が好ましい。数平均分子量が5×106を超える場合、マレイミド・オレフィン共重合体の溶融粘度が高くなりすぎるため、透明性樹脂組成物の流動性が乏しくなり、成形加工が困難となる。一方、数平均分子量が1×103未満の場合、透明性樹脂組成物の機械強度が乏しくなる。ここで、本発明における数平均分子量とは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)により求めた標準ポリスチレン換算値のことである。
【0028】
本発明の透明性樹脂組成物を構成するアクリロニトリル・スチレン共重合体としては、アクリロニトリル単位を21〜45重量%含むアクリロニトリル・スチレン共重合体であり、このようなアクリロニトリル・スチレン共重合体は市販品として入手することが可能である。ここで、アクリロニトリル単位が21重量%未満、又は、45重量%を越える場合、上記したマレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体との相溶性が低下するため、樹脂組成物は不透明になり、また耐熱性も低下するため本発明の目的を達成することが出来なくなる。
【0029】
本発明におけるマレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体の配合割合は、マレイミド・オレフィン共重合体99〜40重量%とアクリロニトリル・スチレン共重合体1〜60重量%の範囲であり、特に加工性、耐熱性、光学特性のバランスに優れた透明性樹脂組成物となることからマレイミド・オレフィン共重合体90〜50重量%とアクリロニトリル・スチレン共重合体10〜50重量の範囲であることが好ましい。マレイミド・オレフィン共重合体が40重量%未満である場合、透明性樹脂組成物の耐熱性が乏しくなるため好ましくなく、また、マレイミド・オレフィン共重合体が99重量%を超える場合には、得られる透明性樹脂組成物の加工性、機械強度が乏しくなるため好ましくない。
【0030】
本発明の透明性樹脂組成物は、上記マレイミド・オレフィン共重合体99〜40重量%及び上記アクリロニトリル・スチレン共重合体1〜60重量%の合計量100重量部に対し、一般式(III)で示されるフェノール系熱劣化防止剤0.005〜1.5重量部を配合してなることを特徴とする。ここで、R4、R7は各々独立して水素又はメチル基を示し、R5、R6は各々独立して炭素数1〜9のアルキル基を示す。R5は炭素数1〜9のアルキル基から選ばれ、その中でも、熱安定性の改良効果などに優れ、高温時の熱安定性に優れる透明性樹脂組成物が得られることから、炭素数4〜8のアルキル基が好ましく、特にt−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基が好ましい。R6は炭素数1〜9のアルキル基から選ばれ、その中でも、熱安定性の改良効果などに優れ、高温時の熱安定性に優れる透明性樹脂組成物が得られることから、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、特にメチル基、エチル基、t−ブチル基、t−アミル基が好ましい。
【0031】
一般式(III)で示されるフェノール系熱劣化防止剤の好ましい具体例としては、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−ブチル−6−[1−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート及び2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレートが挙げられる。
【0032】
該フェノール系熱劣化防止剤は、マレイミド・オレフィン共重合体及びアクリロニトリル・スチレン共重合体の合計量100重量部に対して、0.005〜1.5重量部の範囲で用いられ、より好ましくは0.01〜1重量部、特に0.02〜0.5重量部の範囲が好ましく用いられる。ここで、フェノール系熱劣化防止剤が0.005重量部未満である場合、透明性樹脂組成物の高温加工時における熱安定性が悪化する。一方、フェノール系熱劣化防止剤が1.5重量部を超える場合、含有量の増加に伴う高温加工時の熱安定性の改良効果が小さく、工業的な価値が見出せない。
【0033】
さらに、本発明の透明性樹脂組成物においては、より高温加工時における酸化劣化を抑制し、熱安定性が更に向上した透明性樹脂組成物となることから、酸化防止剤を併用することが好ましい。該酸化防止剤としては、例えばフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、その他酸化防止剤が挙げられ、これら酸化防止剤はそれぞれ単独で用いてもよく、それぞれを併用して用いても良い。そして、特に相乗的に酸化防止作用が向上し優れた熱安定性を有する透明性樹脂組成物が得られることからフェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤を併用又はフェノール系/リン系酸化防止剤を用いる好ましく、フェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤を併用する際にはフェノール系酸化防止剤100重量部に対してリン系酸化防止剤100〜500重量部の範囲で混合して使用することが特に好ましい。また、酸化防止剤の添加量としては、マレイミド・オレフィン共重合体及びアクリロニトリル・スチレン共重合体の合計量100重量部に対して0.001〜2重量部の範囲が好ましく、特に0.01〜1重量部の範囲であることが好ましい。
【0034】
該フェノール系酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、チオジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド]、ジエチル[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ホスフェート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレン−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−t−ブチル−4−[4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]フェノール、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。
【0035】
該リン系酸化防止剤としては、例えばトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜りん酸、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、テトラキス(2,4−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ジ−t−ブチル−m−クレジル−ホスフォナイトなどが挙げられる。
【0036】
該イオウ系酸化防止剤としては、例えばジラウリル−3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル−3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。
【0037】
また、その他の酸化防止剤としては、例えばフェノール/リン系酸化防止剤として、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン;ビタミンE系酸化防止剤として、3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−ベンゾピラン−6−オールなどが挙げられる。
【0038】
また、本発明の透明性樹脂組成物を光学材料として用いる場合、該光学材料は可視光線、紫外線、赤外線などの光の照射を受けることが多く、特に高温状況下で光が照射されると、熱着色や光劣化が生じ易いため、該熱着色や光劣化を抑制する目的にて、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤などを必要に応じて含有しても良い。
【0039】
該ヒンダードアミン系光安定剤としては、熱着色抑制効果に優れることから分子量が1,000以上のものが好ましく、特に1,500以上であることが好ましい。さらに、ヒンダードアミン系光安定剤の配合量は、熱着色防止効果、光安定化効果に優れる透明性樹脂組成物となることからマレイミド・オレフィン共重合体及びアクリロニトリル・スチレン共重合体の合計量100重量部に対して、0.01〜1.5重量部の範囲であることが好ましく、さらに0.05〜1重量部の範囲であることが好ましく、特に0.1〜0.5重量部の範囲であることが好ましい。
【0040】
該ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えばポリ[(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5―トリアジン−2、4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、ジブチルアミン−1,3,5−トリアジン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,6−ヘキサメチレンジアミンと、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物などが挙げられる。
【0041】
また、紫外線吸収剤としては、特開2001−98163号公報に開示されるような一般的に知られるベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、ベンゾエート系、サリチル酸系、アクリレート系、金属錯塩系などの紫外線吸収剤が挙げられ、紫外線吸収剤の配合量としては、十分な紫外線吸収性能と可視光領域の透過率を有する透明性樹脂組成物が得られることからマレイミド・オレフィン共重合体及びアクリロニトリル・スチレン共重合体の合計量100重量部に対して、0.05〜10重量部の範囲であることが好ましい。
【0042】
該紫外線吸収剤としては、例えばフェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、4−t−オクチルフェニルサリシレート、ビス(4−t−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、ヘシサデシル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートおよびそれらの混合物などのサリシレート誘導体;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンおよびそれらの混合物などの2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−s−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−5’−{2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル}−2’−ヒドロキシフェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−{2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル}フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾールの混合物、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、2,2’−メチレンビス[4−t−ブチル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、ポリ(3〜11)(エチレングリコール)と2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾールとの縮合物、ポリ(3〜11)(エチレングリコール)とメチル3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートとの縮合物、2−エチルヘキシル3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、オクチル3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、メチル3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸などが挙げられる。
【0043】
近赤外線吸収剤としては、例えばシアニン系近赤外線吸収剤、ピリリウム系赤外線吸収剤、スクワリリウム系近赤外線吸収剤、クロコニウム系赤外線吸収剤、アズレニウム系近赤外線吸収剤、フタロシアニン系近赤外線吸収剤、ジチオール金属錯体系近赤外線吸収剤、ナフトキノン系近赤外線吸収剤、アントラキノン系近赤外線吸収剤、インドフェノール系近赤外線吸収剤、アジ系近赤外線吸収剤などが挙げられる。
【0044】
また、本発明の透明性樹脂組成物は、上述の成分以外に顔料、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラー、染料、可塑剤、オイルなどを必要に応じて含有しても良い。
【0045】
顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー53、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー86、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー125、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー137、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー148、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー173などの黄色顔料;C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ42、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ55、C.I.ピグメントオレンジ59、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ65、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73などのオレンジ色の顔料;C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド105、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメンレッド264、C.I.ピグメントレッド265などの赤色顔料;C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60などの青色顔料;C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38などのバイオレット色顔料;C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36などの緑色顔料;C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25などのブラウン色顔料、などが挙げられる。
【0046】
また、本発明の透明性樹脂組成物は、その成形加工性を向上させる目的で滑剤を含有していてもよく、滑剤の添加量としては1〜10000ppmの範囲が好ましく、特に5〜2000ppmの範囲が好ましく、さらに10〜500ppmの範囲であることが好ましい。該滑剤としては、例えば流動パラフィン、天然パラフィン、ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系滑剤;セチルアルコール、ステアリルアルコール、ステアリン酸などの高級脂肪族系アルコール・高級脂肪酸系滑剤;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアミドなどの脂肪族アマイド系滑剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウムなどの金属石鹸系滑剤;ステアリン酸ブチル、ステアリン酸エチレングリコールなどの脂肪酸エステル系滑剤;シリコーンオイルなどが挙げられる。
【0047】
本発明の透明性樹脂組成物は、上記マレイミド・オレフィン共重合体及びアクリロニトリル・スチレン共重合体からなる合計量100重量部に対し、上記一般式(III)で示されるフェノール系熱劣化防止剤0.005〜1.5重量部を配合し、必要に応じて上記したようなその他の成分が配合されていてもよい透明性樹脂組成物である。該透明性樹脂組成物の製造方法としては、透明性樹脂組成物を構成する各成分が良好な分散性を示す方法であれば特に制限はなくいかなる方法を用いることが可能であり、例えば単軸押出機、二軸押出機、ブラベンダー、ロール、ニーダー、バンバリーミキサーなどの溶融混練装置を用いて混合する方法;透明性樹脂組成物を構成する各成分を溶媒中に溶解又は分散させて混合する方法などを挙げることができる。
【0048】
また、本発明におけるフェノール系熱劣化防止剤及び必要に応じて用いられるその他の成分は、マレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体を混合する際に同時に混合する方法;マレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体を混合して樹脂組成物とした後に、該樹脂組成物に混合する方法;マレイミド・オレフィン共重合体あるいはアクリロニトリル・スチレン共重合体のいずれか一方の共重合体と混合した後に、もう一方の共重合体と混合する方法;これら方法を組み合わせて混合する方法、などの方法でマレイミド・オレフィン共重合体及びアクリロニトリル・スチレン共重合体と配合し透明性樹脂組成物としてもよい。
【0049】
本発明の透明性樹脂組成物は、従来公知の成形方法により成形体とし各種用途に用いることができ、このような成形方法としては、例えば射出成形法、射出圧縮成形法、ガスアシスト法射出成形法、押出成形法、溶液キャスト成形法、多層押出成形法、回転成形法、熱プレス成形法、ブロー成形法などの方法を挙げることができ、得られた成形体には、印刷、塗装、ハードコート、反射防止コート、真空蒸着、スパッタリング、防眩コート等の表面処理をすることもできる。
【0050】
本発明の透明性樹脂組成物の用途は特に制限されるものでなく、例えば、電気・電子機器分野におけるリレー、バーンインソケット、コネクター、センサーハウジング、可変抵抗器、ポリバリコンケース、エアレーション用ボビン、トランジスタ、IC、LSI、LED等の封止材、ICカードのICメモリーの封止材、モーター、コンデンサー、スイッチ、センサー等の封止材;カメラ、VTR、プロジェクター等の映像機器分野における撮影用レンズ、ファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズ、ボディ材等;CDプレーヤー、DVDプレーヤー、MDプレーヤー、ゲーム機器等の光記録分野におけるカード、ディスク、ピックアップレンズ等;光通信分野における光ファイバー、光スイッチ、光コネクター等;LCD、有機EL、PDP、複写機、プリンター、ファクシミリ、タッチパネル、光ファイル等の情報機器分野における導光板、ライトガイド、フレネルレンズ、位相差フィルム、偏光膜保護フィルム、プリズムシ−ト、リフレクターフィルム、セパレーターフィルム、光散乱板、透明電極基板、ディスプレイの表面保護フィルム、アンチグレアフィルム、アンチリフレクションフィルム、電磁波遮蔽フィルム、インクタンク、カバー類、ボディ材等;自動車、電車などの車両分野におけるメーター類、ランプ類、レンズ類、ソケット、ヒューズケース、計器カバー等;医療機器分野における眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、内視鏡レンズ、注射器、人口透析器、薬液容器、義歯、アンプルカッター容器等;建材分野における採光窓、ドア、監視カメラレンズ、カーポート、テラス、照明部品等;日用品分野における照明部品、玩具、サングラス、文房具、化粧品容器、釣り具、食品用容器、飲料水用容器、などとして好適に使用することができる。
【0051】
【実施例】
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
【0052】
実施例に示された諸物性は以下の方法により測定した。
【0053】
〜数平均分子量〜
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い測定したマレイミド・オレフィン共重合体の溶出曲線により、標準ポリスチレン換算値として求めた。
【0054】
〜マレイミド・オレフィン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体の組成比〜
元素分析、1H−NMR測定により求めた。
【0055】
〜全光線透過率、ヘイズ〜
JIS−K−7105に準拠して測定した。
【0056】
〜YI(イエローインデックス)〜
試験片の黄色度(YI:イエローインデックス)は、色差計(スガ試験機株式会社製、商品名SMカラーコンピューター)を用い、JIS−K−7105に準拠して測定した。
【0057】
〜溶融粘度〜
流動特性評価装置(株式会社島津製作所製、商品名フローテスターCFT−500)を用い、シリンダ内温度270℃、荷重150kgf、ノズル径1mmの条件で測定した。
【0058】
〜熱劣化試験〜
熱劣化による黄色度上昇の度合を調べるため、試験片を温度110℃の環境に1000時間放置する前後でのYIの差(ΔYI)を測定した。
【0059】
また、熱劣化による粘度低下の度合を調べるため、ペレットを270℃に設定した流動特性評価装置のシリンダ内に充填し、1時間経過した後に粘度を測定した。
【0060】
合成例1(マレイミド・オレフィン共重合体の合成)
攪拌機、窒素導入管、温度計および脱気管の付いた反応釜にN−メチルマレイミド100重量部に対し、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシネオデカノエート0.67重量部および重合溶媒としてトルエンとメタノールの混合溶媒(1:1重量比)1050重量部を仕込み、窒素で数回パージした後、イソブテン400重量部を仕込み、60℃で6時間反応を行った。得られた粒子を遠心分離後乾燥した。得られたポリマーの元素分析結果(C;64.7重量%、H;7.8重量%、N;8.4重量%)より、生成ポリマー中のN−メチルマレイミド単位及びイソブテン単位は、それぞれ50モル%であった。得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は90,000であった。
【0061】
実施例1
合成例1により得られたN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体80重量%およびアクリロニトリル含量30重量%のアクリロニトリル・スチレン共重合体20重量%の合計量100重量部に対し、フェノール系熱劣化防止剤として2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート0.1重量部、フェノール系酸化防止剤としてペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.095重量部、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.19重量部をタンブラーミキサーでドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供し、滞留時間約2分間、フィード速度10kg/hの条件で溶融混練し、樹脂温度270℃で押出してペレタイズし透明性樹脂組成物を得た。
【0062】
次いで、得られた透明性樹脂組成物ペレットを射出成形機(東芝機械株式会社製、商品名IS50EP)に供し、ノズル部温度260℃、金型温度90℃、射出圧力1600kg/cm2の条件で射出成形し、厚み3mm、幅70mm、長さ70mmの平板試験片を作製した。
【0063】
以上のようにして得られた透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を用いて熱劣化試験を行った結果を表1に示す。また、熱劣化試験後の平板試験片は、全光線透過率89%、ヘイズ1.1%であり、透明性に優れるものであった。
【0064】
【表1】
実施例2
フェノール系熱劣化防止剤として2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート0.1重量部の代わりに、フェノール系熱劣化防止剤として2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート0.1重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を得た。
【0065】
得られた透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を用いて熱劣化試験を行った結果を表1に示す。また、熱劣化試験後の平板試験片は、全光線透過率89%、ヘイズ1.1%であり、透明性に優れるものであった。
【0066】
実施例3
フェノール系酸化防止剤としてペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.095重量部、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.19重量部の代わりに、フェノール/リン系酸化防止剤として6−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ)−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン0.2重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を得た。
【0067】
得られた透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を用いて熱劣化試験を行った結果を表1に示す。また、熱劣化試験後の平板試験片は、全光線透過率89%、ヘイズ1.0%であり、透明性に優れるものであった。
【0068】
実施例4
フェノール系酸化防止剤としてペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.095重量部の代わりに、ビタミンE系酸化防止剤として3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−ベンゾピラン−6−オール0.1重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を得た。
【0069】
得られた透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を用いて熱劣化試験を行った結果を表1に示す。また、熱劣化試験後の平板試験片は、全光線透過率90%、ヘイズ1.0%であり、透明性に優れるものであった。
【0070】
実施例5
リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.19重量部の代わりに、リン系酸化防止剤としてビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト0.19重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を得た。
【0071】
得られた透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を用いて熱劣化試験を行った結果を表1に示す。また、熱劣化試験後の平板試験片は、全光線透過率90%、ヘイズ1.0%であり、透明性に優れるものであった。
【0072】
比較例1
フェノール系熱劣化防止剤を用いなかったこと以外は、実施例と同様の方法により透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を得た。
【0073】
得られた透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を用いて熱劣化試験を行った結果を表1に示す。また、熱劣化試験後の平板試験片は、全光線透過率87%、ヘイズ1.5%であり、透明性に劣るものであった。
【0074】
比較例2
フェノール系熱劣化防止剤0.1重量部の代わりに、フェノール系熱劣化剤0.002重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を得た。
【0075】
得られた透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を用いて熱劣化試験を行った結果を表1に示す。また、熱劣化試験後の平板試験片は、全光線透過率87%、ヘイズ1.4%であり、透明性に劣るものであった。
【0076】
【発明の効果】
本発明により得られる透明性樹脂組成物は、熱安定性に優れることから、高温で加工する場合に熱劣化が起こり難く、精密成形や高温で2次加工することが可能であり、光学分野などの用途で好適に使用することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温加工時の熱安定性に優れた透明性樹脂組成物に関するものであり、特に高温での加工の際に熱劣化等が起こり難く、光学分野などの精密性の要求される用途に適した透明性樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
古くから光学材料として無機ガラスが使用されてきたが、近年、成形性、軽量性に優れた透明性樹脂が無機ガラスに代わる光学材料として使用されている。光学部品の樹脂化は、近年の光を利用した情報関連技術の発展を反映して、例えばLCDなどのフラットパネルディスプレイ用フィルム又はシート、バックライトの導光板、光ディスク、光ファイバー、光導波路などの分野で盛んに検討されている。
このような光学部品には高い耐熱性及び寸法精度が求められることが多いため、光学部品を樹脂化する場合、高い耐熱性を有する透明性樹脂を精密に成形する必要がある。ところで、精密に成形を行うための有功手段として、樹脂の粘度を低下させ、樹脂の流動性を高めることが挙げられ、そのために、透明性樹脂はできる限り高温で成形加工されることが多い。また、得られた成形品は高温で2次加工される場合もある。
【0003】
しかし、透明性樹脂を高温で成形あるいは2次加工する場合、樹脂が熱劣化し、着色、熱分解、熱架橋などにより成形品の透明性、表面平滑性、強度などが悪化するおそれがある。また、光学以外の分野、例えば電気・電子分野、自動車分野、医療分野、食品包装分野、建設資材分野などでも透明性樹脂は広く使用されており、透明性樹脂を高温で加工する場合、熱劣化するおそれがある。従い、透明性などの光学特性に優れ、高温加工時の熱安定性に優れた透明性樹脂が求められている。
【0004】
そこで、透明性樹脂の熱安定性を向上させるため、熱劣化を防止するための化合物(以下、熱劣化防止剤と述べる。)が添加された透明性樹脂組成物が広く知られている。熱劣化防止剤として、従来、一般的に知られるフェノール系又はリン系に代表される酸化防止剤、フェノール系熱劣化防止剤(例えば、特許文献1参照。)などが提案されている。
【0005】
また、光学材料などとして使用される透明性樹脂として、マレイミド・オレフィン共重合体及びアルクロニトリル・スチレン共重合体からなる樹脂組成物が提案されており、透明性及び低複屈折などの光学特性に優れ、耐熱性及び機械特性が優れるといった特徴を有していることが開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−149991号公報
【特許文献2】
特開平8−231780号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載されている化合物については、マレイミド・オレフィン共重合体及びアルクロニトリル・スチレン共重合体からなる樹脂組成物に対しての熱劣化防止効果について何ら知られていない。また、特許文献2に記載の樹脂組成物は、光学特性に優れ、安定剤を添加することができると記載されているが、これらは一般的な記載に過ぎず、安定剤の具体例や添加量、樹脂組成物の熱安定性については何ら記載されておらず、マレイミド・オレフィン共重合体及びアルクロニトリル・スチレン共重合体からなる樹脂組成物の高温成形時の熱安定性改良については、まだ達成されていないのが現状である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、透明性などの光学特性に優れ、高温加工時の熱安定性に優れたマレイミド・オレフィン共重合体及びアルクロニトリル・スチレン共重合体からなる透明性樹脂組成物を提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題に関し鋭意検討した結果、特定のマレイミド・オレフィン共重合体、特定の組成からなるアクリロニトリル・スチレン共重合体及び特定のフェノール系熱劣化防止剤を特定の割合で配合してなる透明性樹脂組成物が、透明性、耐熱性などに優れ、さらに高温成形時の熱安定性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、本発明は、下記一般式(I)で示される単位40〜60モル%、下記一般式(II)で示される単位60〜40モル%からなり、数平均分子量が1×103以上5×106以下であるマレイミド・オレフィン共重合体99〜40重量%及びアクリロニトリル単位21〜45重量%を含むアクリロニトリル・スチレン共重合体1〜60重量%からなる合計量100重量部に対し、下記一般式(III)で示されるフェノール系熱劣化防止剤0.005〜1.5重量部を配合してなることを特徴とする透明性樹脂組成物に関するものである。
【0011】
【化4】
(ここで、R1は水素又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【0012】
【化5】
(ここで、R2、R3は各々独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
【0013】
【化6】
(ここで、R4、R7は各々独立して水素又はメチルを示し、R5、R6は各々独立して炭素数1〜9のアルキルを示す。)
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0015】
本発明の透明性樹脂組成物は、一般式(I)で示される単位40〜60モル%、一般式(II)で示される単位60〜40モル%からなる共重合体であり、数平均分子量が1×103以上5×106以下であるマレイミド・オレフィン共重合体を用いてなるものである。
【0016】
ここで、R1は水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができ、その中でも、特に耐熱性、成形性に優れる透明性樹脂組成物が得られることからメチル基であることが好ましい。又、R2、R3は各々独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができ、その中でも、特に耐熱性、成形性に優れる透明性樹脂組成物となることからメチル基であることが好ましい。
【0017】
そして、このようなマレイミド・オレフィン共重合体は、例えばマレイミド類とオレフィン類とのラジカル共重合反応により得ることができる。その際、一般式(I)で示される単位を誘導する化合物としては、例えばマレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−n−ペンチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−シクロプロピルマレイミド、N−シクロブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類が例示され、耐熱性、機械特性、透明性に優れる透明性樹脂組成物となることから特にN−メチルマレイミドが好ましい。さらに、これら化合物は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0018】
また、一般式(II)で示される単位を誘導する化合物としては、例えばイソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等のオレフィン類が例示でき、このうち耐熱性、機械特性、透明性に優れる透明性樹脂組成物となることから特にイソブテンが好ましい。また、これら化合物は1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
【0019】
マレイミド・オレフィン共重合体における一般式(I)で示される単位の含有量は、40〜60モル%であり、特に耐熱性、機械特性に優れる透明性樹脂組成物となることから45〜55モル%であることが好ましい。ここで、一般式(I)で示される単位が60モル%を越える場合、透明性樹脂組成物は脆くなる。一方、40モル%未満の場合、透明性樹脂組成物の耐熱性が低下する。
【0020】
更に、マレイミド・オレフィン共重合体は、必要に応じ本発明の目的を損なわない範囲で他のモノマー成分より誘導される単位を含有するものであってもよく、そのような他のモノマー成分としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸又はそのエステル類;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸又はそのエステル類;酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピオビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;無水マレイン酸;アクリロニトリルより選ばれる1種類以上の化合物が挙げられ、その含有率としては5モル%以下であることが好ましい。
【0021】
マレイミド・オレフィン共重合体は、公知の重合方法、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、及び乳化重合法のいずれもが採用可能であり、その中でも透明性、色調に優れる透明性樹脂組成物が得られることから沈殿重合法により得られるものであることが好ましい。
【0022】
重合反応の際に用いる重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系化合物、等が挙げられる。
【0023】
溶液重合法、沈殿重合法において用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒;シクロヘキサン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、酢酸イソプロピル、芳香族系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒などが挙げられる。
【0024】
その際の重合温度は、重合開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができ、一般的には40〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
【0025】
また、マレイミド・オレフィン共重合体は、別法として無水マレイン酸・オレフィン共重合体をアンモニア及び/又はアルキルアミンを用いて、後イミド化することによっても得ることができる。
【0026】
このような後イミド化反応は、例えば無水マレイン酸・オレフィン共重合体をメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール溶媒;ベンゼン、トルエンなどの芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶媒;芳香族系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒などに溶解あるいは分散させ、アンモニア及び/又はアルキルアミンと50〜250℃の温度で反応させることによりアミド化反応とイミド化反応を連続的に行う方法、アンモニア及び/又はアルキルアミンと反応させてアミド体を得た後、該アミド体を加熱して脱水閉環させ、イミド化を行う方法、等により製造することができる。
【0027】
本発明に用いられるマレイミド・オレフィン共重合体は、数平均分子量(Mn)が1×103以上5×106以下であり、特に機械特性と成形加工性のバランスに優れることから1×104以上5×105以下が好ましい。数平均分子量が5×106を超える場合、マレイミド・オレフィン共重合体の溶融粘度が高くなりすぎるため、透明性樹脂組成物の流動性が乏しくなり、成形加工が困難となる。一方、数平均分子量が1×103未満の場合、透明性樹脂組成物の機械強度が乏しくなる。ここで、本発明における数平均分子量とは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)により求めた標準ポリスチレン換算値のことである。
【0028】
本発明の透明性樹脂組成物を構成するアクリロニトリル・スチレン共重合体としては、アクリロニトリル単位を21〜45重量%含むアクリロニトリル・スチレン共重合体であり、このようなアクリロニトリル・スチレン共重合体は市販品として入手することが可能である。ここで、アクリロニトリル単位が21重量%未満、又は、45重量%を越える場合、上記したマレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体との相溶性が低下するため、樹脂組成物は不透明になり、また耐熱性も低下するため本発明の目的を達成することが出来なくなる。
【0029】
本発明におけるマレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体の配合割合は、マレイミド・オレフィン共重合体99〜40重量%とアクリロニトリル・スチレン共重合体1〜60重量%の範囲であり、特に加工性、耐熱性、光学特性のバランスに優れた透明性樹脂組成物となることからマレイミド・オレフィン共重合体90〜50重量%とアクリロニトリル・スチレン共重合体10〜50重量の範囲であることが好ましい。マレイミド・オレフィン共重合体が40重量%未満である場合、透明性樹脂組成物の耐熱性が乏しくなるため好ましくなく、また、マレイミド・オレフィン共重合体が99重量%を超える場合には、得られる透明性樹脂組成物の加工性、機械強度が乏しくなるため好ましくない。
【0030】
本発明の透明性樹脂組成物は、上記マレイミド・オレフィン共重合体99〜40重量%及び上記アクリロニトリル・スチレン共重合体1〜60重量%の合計量100重量部に対し、一般式(III)で示されるフェノール系熱劣化防止剤0.005〜1.5重量部を配合してなることを特徴とする。ここで、R4、R7は各々独立して水素又はメチル基を示し、R5、R6は各々独立して炭素数1〜9のアルキル基を示す。R5は炭素数1〜9のアルキル基から選ばれ、その中でも、熱安定性の改良効果などに優れ、高温時の熱安定性に優れる透明性樹脂組成物が得られることから、炭素数4〜8のアルキル基が好ましく、特にt−ブチル基、t−アミル基、t−オクチル基が好ましい。R6は炭素数1〜9のアルキル基から選ばれ、その中でも、熱安定性の改良効果などに優れ、高温時の熱安定性に優れる透明性樹脂組成物が得られることから、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、特にメチル基、エチル基、t−ブチル基、t−アミル基が好ましい。
【0031】
一般式(III)で示されるフェノール系熱劣化防止剤の好ましい具体例としては、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−ブチル−6−[1−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート及び2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレートが挙げられる。
【0032】
該フェノール系熱劣化防止剤は、マレイミド・オレフィン共重合体及びアクリロニトリル・スチレン共重合体の合計量100重量部に対して、0.005〜1.5重量部の範囲で用いられ、より好ましくは0.01〜1重量部、特に0.02〜0.5重量部の範囲が好ましく用いられる。ここで、フェノール系熱劣化防止剤が0.005重量部未満である場合、透明性樹脂組成物の高温加工時における熱安定性が悪化する。一方、フェノール系熱劣化防止剤が1.5重量部を超える場合、含有量の増加に伴う高温加工時の熱安定性の改良効果が小さく、工業的な価値が見出せない。
【0033】
さらに、本発明の透明性樹脂組成物においては、より高温加工時における酸化劣化を抑制し、熱安定性が更に向上した透明性樹脂組成物となることから、酸化防止剤を併用することが好ましい。該酸化防止剤としては、例えばフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、その他酸化防止剤が挙げられ、これら酸化防止剤はそれぞれ単独で用いてもよく、それぞれを併用して用いても良い。そして、特に相乗的に酸化防止作用が向上し優れた熱安定性を有する透明性樹脂組成物が得られることからフェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤を併用又はフェノール系/リン系酸化防止剤を用いる好ましく、フェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤を併用する際にはフェノール系酸化防止剤100重量部に対してリン系酸化防止剤100〜500重量部の範囲で混合して使用することが特に好ましい。また、酸化防止剤の添加量としては、マレイミド・オレフィン共重合体及びアクリロニトリル・スチレン共重合体の合計量100重量部に対して0.001〜2重量部の範囲が好ましく、特に0.01〜1重量部の範囲であることが好ましい。
【0034】
該フェノール系酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、チオジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド]、ジエチル[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ホスフェート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレン−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−t−ブチル−4−[4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]フェノール、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。
【0035】
該リン系酸化防止剤としては、例えばトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜りん酸、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、テトラキス(2,4−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ジ−t−ブチル−m−クレジル−ホスフォナイトなどが挙げられる。
【0036】
該イオウ系酸化防止剤としては、例えばジラウリル−3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル−3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。
【0037】
また、その他の酸化防止剤としては、例えばフェノール/リン系酸化防止剤として、6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン;ビタミンE系酸化防止剤として、3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−ベンゾピラン−6−オールなどが挙げられる。
【0038】
また、本発明の透明性樹脂組成物を光学材料として用いる場合、該光学材料は可視光線、紫外線、赤外線などの光の照射を受けることが多く、特に高温状況下で光が照射されると、熱着色や光劣化が生じ易いため、該熱着色や光劣化を抑制する目的にて、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤などを必要に応じて含有しても良い。
【0039】
該ヒンダードアミン系光安定剤としては、熱着色抑制効果に優れることから分子量が1,000以上のものが好ましく、特に1,500以上であることが好ましい。さらに、ヒンダードアミン系光安定剤の配合量は、熱着色防止効果、光安定化効果に優れる透明性樹脂組成物となることからマレイミド・オレフィン共重合体及びアクリロニトリル・スチレン共重合体の合計量100重量部に対して、0.01〜1.5重量部の範囲であることが好ましく、さらに0.05〜1重量部の範囲であることが好ましく、特に0.1〜0.5重量部の範囲であることが好ましい。
【0040】
該ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えばポリ[(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5―トリアジン−2、4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、ジブチルアミン−1,3,5−トリアジン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,6−ヘキサメチレンジアミンと、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物などが挙げられる。
【0041】
また、紫外線吸収剤としては、特開2001−98163号公報に開示されるような一般的に知られるベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、ベンゾエート系、サリチル酸系、アクリレート系、金属錯塩系などの紫外線吸収剤が挙げられ、紫外線吸収剤の配合量としては、十分な紫外線吸収性能と可視光領域の透過率を有する透明性樹脂組成物が得られることからマレイミド・オレフィン共重合体及びアクリロニトリル・スチレン共重合体の合計量100重量部に対して、0.05〜10重量部の範囲であることが好ましい。
【0042】
該紫外線吸収剤としては、例えばフェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、4−t−オクチルフェニルサリシレート、ビス(4−t−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、ヘシサデシル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートおよびそれらの混合物などのサリシレート誘導体;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンおよびそれらの混合物などの2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体;2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−s−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−5’−{2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル}−2’−ヒドロキシフェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−{2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル}フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾールの混合物、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、2,2’−メチレンビス[4−t−ブチル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、ポリ(3〜11)(エチレングリコール)と2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾールとの縮合物、ポリ(3〜11)(エチレングリコール)とメチル3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートとの縮合物、2−エチルヘキシル3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、オクチル3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、メチル3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸などが挙げられる。
【0043】
近赤外線吸収剤としては、例えばシアニン系近赤外線吸収剤、ピリリウム系赤外線吸収剤、スクワリリウム系近赤外線吸収剤、クロコニウム系赤外線吸収剤、アズレニウム系近赤外線吸収剤、フタロシアニン系近赤外線吸収剤、ジチオール金属錯体系近赤外線吸収剤、ナフトキノン系近赤外線吸収剤、アントラキノン系近赤外線吸収剤、インドフェノール系近赤外線吸収剤、アジ系近赤外線吸収剤などが挙げられる。
【0044】
また、本発明の透明性樹脂組成物は、上述の成分以外に顔料、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラー、染料、可塑剤、オイルなどを必要に応じて含有しても良い。
【0045】
顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー53、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー86、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー125、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー137、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー148、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー173などの黄色顔料;C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ42、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ55、C.I.ピグメントオレンジ59、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ65、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73などのオレンジ色の顔料;C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド105、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメンレッド264、C.I.ピグメントレッド265などの赤色顔料;C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60などの青色顔料;C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38などのバイオレット色顔料;C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36などの緑色顔料;C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25などのブラウン色顔料、などが挙げられる。
【0046】
また、本発明の透明性樹脂組成物は、その成形加工性を向上させる目的で滑剤を含有していてもよく、滑剤の添加量としては1〜10000ppmの範囲が好ましく、特に5〜2000ppmの範囲が好ましく、さらに10〜500ppmの範囲であることが好ましい。該滑剤としては、例えば流動パラフィン、天然パラフィン、ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系滑剤;セチルアルコール、ステアリルアルコール、ステアリン酸などの高級脂肪族系アルコール・高級脂肪酸系滑剤;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアミドなどの脂肪族アマイド系滑剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウムなどの金属石鹸系滑剤;ステアリン酸ブチル、ステアリン酸エチレングリコールなどの脂肪酸エステル系滑剤;シリコーンオイルなどが挙げられる。
【0047】
本発明の透明性樹脂組成物は、上記マレイミド・オレフィン共重合体及びアクリロニトリル・スチレン共重合体からなる合計量100重量部に対し、上記一般式(III)で示されるフェノール系熱劣化防止剤0.005〜1.5重量部を配合し、必要に応じて上記したようなその他の成分が配合されていてもよい透明性樹脂組成物である。該透明性樹脂組成物の製造方法としては、透明性樹脂組成物を構成する各成分が良好な分散性を示す方法であれば特に制限はなくいかなる方法を用いることが可能であり、例えば単軸押出機、二軸押出機、ブラベンダー、ロール、ニーダー、バンバリーミキサーなどの溶融混練装置を用いて混合する方法;透明性樹脂組成物を構成する各成分を溶媒中に溶解又は分散させて混合する方法などを挙げることができる。
【0048】
また、本発明におけるフェノール系熱劣化防止剤及び必要に応じて用いられるその他の成分は、マレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体を混合する際に同時に混合する方法;マレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体を混合して樹脂組成物とした後に、該樹脂組成物に混合する方法;マレイミド・オレフィン共重合体あるいはアクリロニトリル・スチレン共重合体のいずれか一方の共重合体と混合した後に、もう一方の共重合体と混合する方法;これら方法を組み合わせて混合する方法、などの方法でマレイミド・オレフィン共重合体及びアクリロニトリル・スチレン共重合体と配合し透明性樹脂組成物としてもよい。
【0049】
本発明の透明性樹脂組成物は、従来公知の成形方法により成形体とし各種用途に用いることができ、このような成形方法としては、例えば射出成形法、射出圧縮成形法、ガスアシスト法射出成形法、押出成形法、溶液キャスト成形法、多層押出成形法、回転成形法、熱プレス成形法、ブロー成形法などの方法を挙げることができ、得られた成形体には、印刷、塗装、ハードコート、反射防止コート、真空蒸着、スパッタリング、防眩コート等の表面処理をすることもできる。
【0050】
本発明の透明性樹脂組成物の用途は特に制限されるものでなく、例えば、電気・電子機器分野におけるリレー、バーンインソケット、コネクター、センサーハウジング、可変抵抗器、ポリバリコンケース、エアレーション用ボビン、トランジスタ、IC、LSI、LED等の封止材、ICカードのICメモリーの封止材、モーター、コンデンサー、スイッチ、センサー等の封止材;カメラ、VTR、プロジェクター等の映像機器分野における撮影用レンズ、ファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズ、ボディ材等;CDプレーヤー、DVDプレーヤー、MDプレーヤー、ゲーム機器等の光記録分野におけるカード、ディスク、ピックアップレンズ等;光通信分野における光ファイバー、光スイッチ、光コネクター等;LCD、有機EL、PDP、複写機、プリンター、ファクシミリ、タッチパネル、光ファイル等の情報機器分野における導光板、ライトガイド、フレネルレンズ、位相差フィルム、偏光膜保護フィルム、プリズムシ−ト、リフレクターフィルム、セパレーターフィルム、光散乱板、透明電極基板、ディスプレイの表面保護フィルム、アンチグレアフィルム、アンチリフレクションフィルム、電磁波遮蔽フィルム、インクタンク、カバー類、ボディ材等;自動車、電車などの車両分野におけるメーター類、ランプ類、レンズ類、ソケット、ヒューズケース、計器カバー等;医療機器分野における眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、内視鏡レンズ、注射器、人口透析器、薬液容器、義歯、アンプルカッター容器等;建材分野における採光窓、ドア、監視カメラレンズ、カーポート、テラス、照明部品等;日用品分野における照明部品、玩具、サングラス、文房具、化粧品容器、釣り具、食品用容器、飲料水用容器、などとして好適に使用することができる。
【0051】
【実施例】
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
【0052】
実施例に示された諸物性は以下の方法により測定した。
【0053】
〜数平均分子量〜
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い測定したマレイミド・オレフィン共重合体の溶出曲線により、標準ポリスチレン換算値として求めた。
【0054】
〜マレイミド・オレフィン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体の組成比〜
元素分析、1H−NMR測定により求めた。
【0055】
〜全光線透過率、ヘイズ〜
JIS−K−7105に準拠して測定した。
【0056】
〜YI(イエローインデックス)〜
試験片の黄色度(YI:イエローインデックス)は、色差計(スガ試験機株式会社製、商品名SMカラーコンピューター)を用い、JIS−K−7105に準拠して測定した。
【0057】
〜溶融粘度〜
流動特性評価装置(株式会社島津製作所製、商品名フローテスターCFT−500)を用い、シリンダ内温度270℃、荷重150kgf、ノズル径1mmの条件で測定した。
【0058】
〜熱劣化試験〜
熱劣化による黄色度上昇の度合を調べるため、試験片を温度110℃の環境に1000時間放置する前後でのYIの差(ΔYI)を測定した。
【0059】
また、熱劣化による粘度低下の度合を調べるため、ペレットを270℃に設定した流動特性評価装置のシリンダ内に充填し、1時間経過した後に粘度を測定した。
【0060】
合成例1(マレイミド・オレフィン共重合体の合成)
攪拌機、窒素導入管、温度計および脱気管の付いた反応釜にN−メチルマレイミド100重量部に対し、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシネオデカノエート0.67重量部および重合溶媒としてトルエンとメタノールの混合溶媒(1:1重量比)1050重量部を仕込み、窒素で数回パージした後、イソブテン400重量部を仕込み、60℃で6時間反応を行った。得られた粒子を遠心分離後乾燥した。得られたポリマーの元素分析結果(C;64.7重量%、H;7.8重量%、N;8.4重量%)より、生成ポリマー中のN−メチルマレイミド単位及びイソブテン単位は、それぞれ50モル%であった。得られたポリマーの数平均分子量(Mn)は90,000であった。
【0061】
実施例1
合成例1により得られたN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体80重量%およびアクリロニトリル含量30重量%のアクリロニトリル・スチレン共重合体20重量%の合計量100重量部に対し、フェノール系熱劣化防止剤として2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート0.1重量部、フェノール系酸化防止剤としてペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.095重量部、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.19重量部をタンブラーミキサーでドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供し、滞留時間約2分間、フィード速度10kg/hの条件で溶融混練し、樹脂温度270℃で押出してペレタイズし透明性樹脂組成物を得た。
【0062】
次いで、得られた透明性樹脂組成物ペレットを射出成形機(東芝機械株式会社製、商品名IS50EP)に供し、ノズル部温度260℃、金型温度90℃、射出圧力1600kg/cm2の条件で射出成形し、厚み3mm、幅70mm、長さ70mmの平板試験片を作製した。
【0063】
以上のようにして得られた透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を用いて熱劣化試験を行った結果を表1に示す。また、熱劣化試験後の平板試験片は、全光線透過率89%、ヘイズ1.1%であり、透明性に優れるものであった。
【0064】
【表1】
実施例2
フェノール系熱劣化防止剤として2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート0.1重量部の代わりに、フェノール系熱劣化防止剤として2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート0.1重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により、透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を得た。
【0065】
得られた透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を用いて熱劣化試験を行った結果を表1に示す。また、熱劣化試験後の平板試験片は、全光線透過率89%、ヘイズ1.1%であり、透明性に優れるものであった。
【0066】
実施例3
フェノール系酸化防止剤としてペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.095重量部、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.19重量部の代わりに、フェノール/リン系酸化防止剤として6−(3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ)−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン0.2重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を得た。
【0067】
得られた透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を用いて熱劣化試験を行った結果を表1に示す。また、熱劣化試験後の平板試験片は、全光線透過率89%、ヘイズ1.0%であり、透明性に優れるものであった。
【0068】
実施例4
フェノール系酸化防止剤としてペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)0.095重量部の代わりに、ビタミンE系酸化防止剤として3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−ベンゾピラン−6−オール0.1重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を得た。
【0069】
得られた透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を用いて熱劣化試験を行った結果を表1に示す。また、熱劣化試験後の平板試験片は、全光線透過率90%、ヘイズ1.0%であり、透明性に優れるものであった。
【0070】
実施例5
リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト0.19重量部の代わりに、リン系酸化防止剤としてビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト0.19重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を得た。
【0071】
得られた透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を用いて熱劣化試験を行った結果を表1に示す。また、熱劣化試験後の平板試験片は、全光線透過率90%、ヘイズ1.0%であり、透明性に優れるものであった。
【0072】
比較例1
フェノール系熱劣化防止剤を用いなかったこと以外は、実施例と同様の方法により透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を得た。
【0073】
得られた透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を用いて熱劣化試験を行った結果を表1に示す。また、熱劣化試験後の平板試験片は、全光線透過率87%、ヘイズ1.5%であり、透明性に劣るものであった。
【0074】
比較例2
フェノール系熱劣化防止剤0.1重量部の代わりに、フェノール系熱劣化剤0.002重量部を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法により透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を得た。
【0075】
得られた透明性樹脂組成物ペレット及び平板試験片を用いて熱劣化試験を行った結果を表1に示す。また、熱劣化試験後の平板試験片は、全光線透過率87%、ヘイズ1.4%であり、透明性に劣るものであった。
【0076】
【発明の効果】
本発明により得られる透明性樹脂組成物は、熱安定性に優れることから、高温で加工する場合に熱劣化が起こり難く、精密成形や高温で2次加工することが可能であり、光学分野などの用途で好適に使用することができる。
Claims (4)
- 下記一般式(I)で示される単位40〜60モル%、下記一般式(II)で示される単位60〜40モル%からなり、数平均分子量が1×103以上5×106以下であるマレイミド・オレフィン共重合体99〜40重量%及びアクリロニトリル単位21〜45重量%を含むアクリロニトリル・スチレン共重合体1〜60重量%からなる合計量100重量部に対して、下記一般式(III)で示されるフェノール系熱劣化防止剤0.005〜1.5重量部を配合してなることを特徴とする透明性樹脂組成物。
- マレイミド・オレフィン共重合体及びアクリロニトリル・スチレン共重合体の合計量100重量部に対し、さらに酸化防止剤0.001〜2重量部を配合してなることを特徴とする請求項1に記載の透明性樹脂組成物。
- マレイミド・オレフィン共重合体及びアクリロニトリル・スチレン共重合体の合計量100重量部に対し、さらにフェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤の合計0.001〜2重量部又はフェノール系/リン系酸化防止剤0.001〜2重量部を配合してなることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の透明性樹脂組成物。
- 一般式(III)で示されるフェノール系熱劣化防止剤が、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−ブチル−6−[1−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、及び2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1種以上のフェノール系熱劣化防止剤であることを特徴とする請求項1〜3に記載の透明性樹脂組成物。
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