JP2005187641A - 透明性樹脂組成物 - Google Patents

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武 春成
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Abstract

【課題】透明性、耐熱性、靱性、及びその他機械特性にも優れた透明性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 特定の構造を有し、数平均分子量が1×10以上5×10以下であるマレイミド・オレフィン共重合体70〜99重量%、エチレン・エチルアクリレート共重合体又はポリカーボネート樹脂にアクリロニトリル単位21〜45重量%を含むアクリロニトリル・スチレン共重合体をグラフトしてなるグラフト共重合体1〜30重量%からなる透明性樹脂組成物。
【選択図】 選択図なし。

Description

本発明は、透明性、耐熱性、靱性、及びその他機械特性に優れた透明性樹脂組成物に関するものである。
古くから光学材料として無機ガラスが使用されてきたが、近年、成形性、軽量性に優れた透明樹脂がガラスに代わる光学材料として使用されている。光学部品の樹脂化は、近年の光を利用した情報関連技術の発展を反映して、例えば、LCDなどのフラットパネルディスプレイ用フィルム及びシート、バックライトの導光板、光ディスク、光ファイバー、光導波路などの分野で盛んに検討されている。また、光学以外の分野、例えば電気・電子分野、自動車分野、医療分野、食品包装分野、建設資材分野などでも透明樹脂は広く使用されている。
従来、透明性の材料としては一般にガラスが用いられてきたが、近年、生産性、軽量化、コストなどの点から高分子材料が用いられるようになってきた。このような透明樹脂として例えば、ポリスチレン(以下、PSと略記する。)、ポリメタクリル酸メチル(以下、PMMAと略記する。)、ポリカーボネート(以下、PCと略記する。)、ナイロンなどが挙げられる。
一方、N−置換マレイミド・オレフィン共重合体は、透明性、耐熱性、機械強度が優れるといった特徴を有していることが開示されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
また、N−アルキル置換マレイミド・オレフィン共重合体及びアクリロニトリル・スチレン共重合体からなる樹脂組成物が提案されており、耐熱性に優れ、非常に複屈折が小さいため、光学用途に適した特徴を有していることが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許第3080316号公報
特許第3168466号公報
しかし、PS、PMMA、およびそれらを含む共重合体や樹脂組成物は透明性に優れるものの耐熱性、靱性が乏しいため、使用できる用途が限定される。また、PCは比較的高い耐熱性を示し靱性も優れるが、複屈折が生じ易いため、光学用途において問題となる場合があり、表面硬度が低く傷つきやすいなどの課題がある。ナイロンは耐熱性、靱性が優れるが、吸水性が高く、剛性、表面硬度が低いなどの問題がある。
そして、特許文献1及び2に提案されているN−置換マレイミド・イソブテン共重合体、樹脂組成物は、透明性が高く、耐熱性、表面硬度、剛性が優れるなどの特徴を有するが、靱性が乏しいため、成形時あるいは成形後のハンドリング性などに課題が残った。
そこで、本発明は、透明性、耐熱性、靱性、及びその他機械特性にも優れた透明性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題に関し、鋭意検討した結果、特定の分子構造を有するマレイミド・オレフィン共重合体及び特定の分子構造を有するアクリロニトリル・スチレン共重合体をグラフト化してなるグラフト共重合体からなる樹脂組成物が高い透明性を有し、耐熱性、表面硬度、剛性に優れ、さらに靱性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、下記一般式(I)で示される単位40〜60モル%及び下記一般式(II)で示される単位40〜60モル%からなる共重合体であり、数平均分子量が1×10以上5×10以下であるマレイミド・オレフィン共重合体70〜99重量%、エチレン・エチルアクリレート共重合体又はポリカーボネート樹脂にアクリロニトリル単位21〜45重量%を含むアクリロニトリル・スチレン共重合体をグラフト化してなるグラフト共重合体1〜30重量%からなることを特徴とする透明性樹脂組成物に関するものである。
Figure 2005187641
(R1はメチル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基、ナフチル基から選ばれる少なくとも1種以上の有機基を示す。)
Figure 2005187641
(R2、R3は各々独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
以下、本発明について詳細に説明する。
一般式(I)で示される単位のR1は、メチル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基、ナフチル基から選ばれる少なくとも1種以上の有機基であり、これら以外の有機基を有する単位である場合、得られる樹脂組成物の耐熱性が劣るものとなる。
炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等を挙げることができ、アルキル置換フェニル基としては、例えば2−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、2−n−プロピルフェニル基、2−i−プロピルフェニル基、2−n−ブチルフェニル基、2−s−ブチルフェニル基、2−t−ブチルフェニル基、2−n−ペンチルフェニル基、2−t−ペンチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、2,6−ジ−n−プロピルフェニル基、2,6−ジ−i−プロピルフェニル基、2−メチル−6−エチルフェニル基、2−メチル−6−i−プロピルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基等を挙げることができ、その中でも、特に耐熱性、剛性、靱性に優れる透明性樹脂組成物となることからメチル基であることが好ましい。
また、一般式(II)で示される単位のR2及びR3は、各々独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基であり、炭素数が6を超える場合、得られる透明性樹脂組成物の耐熱性が劣るものとなる。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができ、その中でも、特に耐熱性、靱性に優れる透明性樹脂組成物となることからメチル基であることが好ましい。
そして、このようなマレイミド・オレフィン共重合体は、例えば一般式(I)で示される単位を誘導するマレイミド類と一般式(II)で示される単位を誘導するオレフィン類とのラジカル共重合反応により得ることができる。
その際、一般式(I)で示される単位を誘導する化合物としては、例えばN−メチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等が例示され、特に耐熱性、剛性に優れる透明性樹脂組成物が得られることからN−メチルマレイミドであることが好ましい。
一般式(II)で示される単位を誘導する化合物としては、例えばイソブテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−1−ペンテン、2−メチル−1−ヘキセン等のオレフィン類が例示でき、このうち特に耐熱性、靱性に優れる透明性樹脂組成物となることからイソブテンが好ましい。
また、本発明に用いられるマレイミド・オレフィン共重合体を構成する一般式(I)で示される単位は40〜60モル%の範囲であり、特に耐熱性、剛性に優れる透明性樹脂組成物となることから45〜55モル%であることが好ましい。ここで、一般式(I)で示される単位が60モル%を越える場合、得られる透明性樹脂組成物は脆くなる。一方、40モル%未満の場合、透明性樹脂組成物の耐熱性が低下する。
本発明に用いられるマレイミド・オレフィン共重合体は、数平均分子量(Mn)が1×10以上5×10以下であり、特に靱性と成形加工性のバランスに優れることから1×10以上5×10以下が好ましい。数平均分子量が5×10を超える場合、マレイミド・オレフィン共重合体の溶融粘度が高くなりすぎるため、樹脂組成物の流動性が乏しくなり、成形加工が劣るものとなる。一方、数平均分子量が1×10未満の場合、透明性樹脂組成物の靱性が乏しくなる。ここで、本発明における数平均分子量とは、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)により求めるた標準ポリスチレン換算値のことである。
本発明に用いられるマレイミド・オレフィン共重合体は、特に耐熱性、靱性、剛性のバランスに優れたものとなることから、N−メチルマレイミド・イソブテン共重合体であることが好ましい。
更に、本発明に用いられる透明性樹脂組成物を構成するマレイミド・オレフィン共重合体は、必要に応じ本発明の目的を損なわない範囲で他のモノマー成分より誘導される単位を含有するものであってもよく、そのような他のモノマー成分としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等のメタクリル酸又はそのエステル類;アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル酸又はそのエステル類;酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピオビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;無水マレイン酸;アクリロニトリルより選ばれる1種類以上の化合物が挙げられ、その含有率としては5モル%以下であることが好ましい。
本発明に用いられるマレイミド・オレフィン共重合体は、一般式(I)で示される単位を誘導する化合物及び一般式(II)で示される単位を誘導する化合物を公知の方法により重合することで得ることができる。このような重合方法として、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、及び乳化重合法のいずれの方法によっても得ることができ、その中でも特に透明性、色調に優れる透明性樹脂組成物が得られることから沈殿重合法により得られるものであることが好ましい。
重合反応の際に用いる重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤等が挙げられる。
溶液重合法、沈殿重合法において用いられる溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒;シクロヘキサン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、酢酸イソプロピル、芳香族系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒などが挙げられる。
その際の重合温度は、重合開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができるが、一般的には40〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
また、マレイミド・オレフィン共重合体は、別法として無水マレイン酸・オレフィン共重合体をアミン化合物を用いて、後イミド化することによっても得ることができる。
このような後イミド化反応は、例えば無水マレイン酸・オレフィン共重合体をメタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール溶媒;ベンゼン、トルエンなどの芳香族系溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶媒;芳香族系溶媒とアルコール系溶媒の混合溶媒、N−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略記する。)、ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する。)などの溶媒に溶解あるいは分散させ、アミン化合物と50〜250℃の温度で反応させることによりアミド化反応とイミド化反応を連続的に行う方法、アミン化合物と反応させてアミド体を得た後、該アミド体を加熱して脱水閉環させ、イミド化を行う方法等により製造することができる。
アミン化合物の例としては、例えばメチルアミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロヘキシルアミン、アダマンチルアミン、アニリン、2−メチルフェニルアミン、2−エチルフェニルアミン、2−n−プロピルフェニルアミン、2−i−プロピルフェニルアミン、2−n−ブチルフェニルアミン、2−s−ブチルフェニルアミン、2−t−ブチルフェニルアミン、2−n−ペンチルフェニルアミン、2−t−ペンチルフェニルアミン、2,6−ジメチルフェニルアミン、2,6−ジエチルフェニルアミン、2,6−ジ−n−プロピルフェニルアミン、2,6−ジ−i−プロピルフェニルアミン、2−メチル−6−エチルフェニルアミン、2−メチル−6−i−プロピルフェニルアミン、2,4,6−トリメチルフェニルアミン、2,4−ジメチルフェニルアミン等を挙げることができ、その中でも特に耐熱性、靱性、剛性のバランスに優れる透明性樹脂組成物となることから、一般式(I)で示される単位を誘導するアミン化合物としてメチルアミンが好ましい。
本発明の透明性樹脂組成物は、本発明に使用されるマレイミド・オレフィン共重合体の特徴である耐熱性、剛性、表面硬度を有し、且つ本発明に使用されるグラフト共重合体の特徴である靱性を有している。更に、本発明の透明性樹脂組成物は高い透明性を有しており、これら物性が発現する理由は、マレイミド・オレフィン共重合体及びアクリロニトリル・スチレン共重合体セグメントからなるグラフト共重合体が高い相溶性を有しているからである。そして、該相溶性はグラフト共重合体を構成するアクリロニトリル・スチレン共重合体が特定の分子構造を有することに起因している。
本発明に用いられるグラフト共重合体は、エチレン・エチルアクリレート又はポリカーボネートにアクリロニトリル・スチレン共重合体をグラフト化した共重合体であり、グラフト共重合体を構成するエチレン・エチルアクリレート及びポリカーボネートは特に限定された分子構造である必要はなく、公知のものを使用することができる。一方、アクリロニトリル・スチレン共重合体はアクリロニトリル単位を21〜45重量%含むものであり、アクリロニトリル単位が21重量%未満、又は45重量%を越える場合、上記マレイミド・オレフィン共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体セグメントからなるグラフト共重合体との相溶性が低下するため、樹脂組成物は不透明になり、また耐熱性も低下する。また、グラフト共重合体におけるアクリロニトリル・スチレン共重合体の含有量は、透明性、耐熱性に優れた樹脂組成物となることから80〜10重量%であることが好ましい。
また、本発明に用いられるグラフト共重合体は、透明性、成形加工性に優れた透明性樹脂組成物となることから、数平均分子量が1×10〜8×10であることが好ましい。
本発明に使用されるグラフト共重合体は、公知の方法により製造することができ、例えば特開平06−256440号公報、特開平06−279553号公報などの方法を用いることができる。以下にグラフト共重合の詳細を示すが、本発明はこれらになんら制限されるものではない。
グラフト化させる樹脂の粒子、或いは小片を水に懸濁させ、該懸濁液にラジカル重合性有機過酸化物及びラジカル重合開始剤を溶解させたスチレン単量体とアクリロニトリル単量体の混合液を加え、ラジカル重合開始剤の分解が起こらない条件で加熱することにより、ラジカル重合性有機過酸化物、ラジカル重合開始剤、スチレン単量体、及びアクリロニトリル単量体をグラフト化させる樹脂の粒子、或いは小片中に含浸させる。次いで、該水性懸濁液を加熱してラジカル重合開始剤を分解させることにより、スチレン単量体、アクリロニトリル単量体、及びラジカル重合性有機過酸化物をグラフト化させる樹脂の粒子、或いは小片中で共重合させ、グラフト化前駆体を得る。そして、該グラフト化前駆体を100〜300℃の溶融下、混練することによりグラフト共重合体を得ることができる。
グラフト共重合で使用するラジカル重合性有機過酸化物としては、例えばt−ブチルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート、t−アミルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート、t−ヘキシルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート、クミルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート等が例示さ、好ましくは、t−ブチルペルオキシアクリロイロキシエチルカーボネート、t−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート、t−ブチルペルオキシアリルカーボネート、t−ブチルペルオキシメタリルカーボネートなどが挙げられる。
本発明の透明性樹脂組成物を構成するマレイミド・オレフィン共重合体及びエチレン・エチルアクリレート共重合体又はポリカーボネート樹脂にアクリロニトリル・スチレン共重合体をグラフト化してなるグラフト共重合体の配合割合は、マレイミド・オレフィン共重合体70〜99重量%及びグラフト共重合体1〜30重量%、特に耐熱性、剛性、靱性のバランスに優れた透明性樹脂組成物となることからマレイミド・オレフィン共重合体80〜95重量%及びグラフト共重合体5〜20重量であることが好ましい。マレイミド・オレフィン共重合体が70重量%未満である場合、得られる透明性樹脂組成物の耐熱性が乏しいものとなり、また、マレイミド・オレフィン共重合体が99重量%を超える場合、グラフト共重合体の添加による靱性向上の効果が乏しいものとなる。
本発明の透明性樹脂組成物は、製造時や成形加工時の熱履歴に起因する着色や分解、架橋等を抑制するため、フェノール系、リン系、イオウ系、その他の酸化防止剤を必要に応じて含有しても良い。また、これら酸化防止剤はそれぞれ単独で用いてもよく、それぞれを併用して用いても良い。以下にその詳細を示すが、本発明はこれらになんら制限されるものではない。
フェノール系酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトール−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、チオジエチレン−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナミド]、ジエチル[{3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ホスフェート、3,3’,3’’,5,5’,5’’−ヘキサ−t−ブチル−a,a’,a’’−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレン−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス[(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2,6−ジ−t−ブチル−4−[4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ]フェノール、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニル アクリレート、2,4−ジ−t−ブチル−6−〔1−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニル アクリレート、及び2,4−ジ−t−アミル−6−〔1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル〕フェニルアクリレートなどが挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、例えばトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜りん酸、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、テトラキス(2,4−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ジ−t−ブチル−m−クレジル−ホスフォナイトなどが挙げられる。
イオウ系酸化防止剤としては、例えばジラウリル3,3−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3−チオジプロピオネート、ラウリルステアリル3,3−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリル−チオ−プロピオネート)、3,9−ビス(2−ドデシルチオエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。
また、その他の酸化防止剤としては、例えばフェノール系酸化防止剤としての機能とリン系酸化防止剤としての機能を併せ持つ酸化防止剤としてのフェノール/リン系酸化防止剤、例えば6−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンズ[d,f][1,3,2]−ジオキサホスフェピン,ビタミンE系酸化防止剤、例えば3,4−ジヒドロ−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4,8,12−トリメチルトリデシル)−2H−ベンゾピラン−6−オールなどが挙げられる。
上記酸化防止剤のうち、透明性樹脂組成物が着色し難いことから、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤を含有することが好ましい。その場合、例えばフェノール系酸化防止剤100重量部に対してリン系酸化防止剤を100〜500重量部の割合で含有することが好ましい。また、酸化防止剤の含有量としては、通常、100〜20000ppmである。
また、透明性樹脂組成物が光学材料として用いられる場合、可視光線、紫外線、赤外線などの光の照射を受けることが想定され、特に高温状況下で光が照射されると、熱着色や光劣化が生じ易いため、該熱着色や光劣化を抑制する目的にて、ヒンダードアミン系光安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、近赤外線吸収剤などを必要に応じて含有しても良い。以下にその詳細を示すが、本発明はこれらになんら制限されるものではない。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、熱着色抑制効果に優れることから分子量が1,000以上のものが好ましい。さらに、ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、熱着色防止効果および光安定化効果に優れることから、通常、100〜15000ppmである。
このようなヒンダードアミン系光安定剤としては、例えばポリ[(6−モルフォリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5―トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、ジブチルアミン−1,3,5−トリアジン−N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,6−ヘキサメチレンジアミンと、N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物などが挙げられる。
また、紫外線吸収剤としては、従来、一般的に知られるベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、ベンゾエート系、サリチル酸系、アクリレート系、金属錯塩系などの紫外線吸収剤が挙げられる。紫外線吸収剤の含有量としては、通常、500〜100000ppmである。
紫外線吸収剤としては、例えば特開2001−98163公報に開示されるような化合物が挙げられ、具体的にはフェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル3’,5’-ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、4−t−オクチルフェニルサリシレート、ビス(4−t−ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、ヘシサデシル3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、2−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニル3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエートおよびそれらの混合物などのサリシレート誘導体、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンおよびそれらの混合物などの2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−s−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[(3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5’−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−5’−{2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル}−2’−ヒドロキシフェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−{2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル}フェニル]ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3’−ドデシル−2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールおよび2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾールの混合物、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、2,2’−メチレンビス[4−t−ブチル−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、ポリ(3〜11)(エチレングリコール)と2−[3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル]ベンゾトリアゾールとの縮合物、ポリ(3〜11)(エチレングリコール)とメチル3−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネートとの縮合物、2−エチルヘキシル3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、オクチル3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、メチル3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオネート、3−[3−t−ブチル−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸、及び2−(4,6−ジフェニール−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[ヘキシル(オキシ)]−フェノールなどが挙げられる。
近赤外線吸収剤としては、例えばシアニン系近赤外線吸収剤、ピリリウム系赤外線吸収剤、スクワリリウム系近赤外線吸収剤;クロコニウム系赤外線吸収剤、アズレニウム系近赤外線吸収剤、フタロシアニン系近赤外線吸収剤、ジチオール金属錯体系近赤外線吸収剤、ナフトキノン系近赤外線吸収剤、アントラキノン系近赤外線吸収剤、インドフェノール系近赤外線吸収剤、アジ系近赤外線吸収剤などが挙げられる。
また、本発明の透明性樹脂組成物は、上述の成分以外に、顔料、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、界面活性剤、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラー、染料、可塑剤、オイルなどを必要に応じて含有しても良く、透明性が損なわれない場合においてのみその他の樹脂を含有しても良い。以下にその詳細を示すが、本発明はこれらになんら制限されるものではない。
滑剤としては、例えば流動パラフィン、天然パラフィン、ポリエチレンワックスなどの脂肪族炭化水素系滑剤;セチルアルコール、ステアリルアルコール、ステアリン酸などの高級脂肪族系アルコール・高級脂肪酸系滑剤;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、パルミチン酸アミド、メチレンビスステアロアミドなどの脂肪族アマイド系滑剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウムなどの金属石鹸系滑剤;ステアリン酸ブチル、ステアリン酸エチレングリコールなどの脂肪酸エステル系滑剤;シリコーンオイルなどが挙げられ、滑剤の含有量は通常、1〜10000ppmである。
その他の樹脂としては、例えばアクリロニトリル・スチレン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体系耐衝撃性樹脂としてASA(アクリロニトリル/スチレン/アクリルゴム)、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)、AES(アクリロニトリル/EPDMまたはEPR/スチレン)、SAS(スチレン/アクリロニトリル/シリコン)等、非晶性ナイロンなどが挙げられる。
本発明の透明性樹脂組成物の製造方法としては、該組成物を構成する成分が良好な分散性を示す方法であれば特に制限はなく、例えば単軸押出機、二軸押出機、ブラベンダー、ロール、ニーダー、バンバリーミキサーなどの溶融混練装置を用いて混合する方法、あるいは透明性樹脂組成物を構成する成分を溶媒中に溶解あるいは分散させて混合する方法などを挙げることができる。
本発明の透明性樹脂組成物は、従来公知の成形方法により成形体とすることができ、例えば射出成形、射出圧縮成形、ガスアシスト法射出成形、押出成形、溶液キャスト成形、多層押出成形、回転成形、熱プレス成形、ブロー成形などの方法を挙げることができ、得られた成形体には、印刷、塗装、ハードコート、反射防止コート、真空蒸着、スパッタリング、防眩コート等の表面処理をすることもできる。
本発明の透明性樹脂組成物の用途は特に制限されるものでなく、例えば、電気・電子機器分野におけるリレー、バーンインソケット、コネクター、センサーハウジング、可変抵抗器、ポリバリコンケース、エアレーション用ボビン、トランジスタ、IC、LSI、LED等の封止材、ICカードのICメモリーの封止材、モーター、コンデンサー、スイッチ、センサー等の封止材;カメラ、VTR、プロジェクター等の映像機器分野における撮影用レンズ、ファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズ、ボディ材等;CDプレーヤー、DVDプレーヤー、MDプレーヤー、ゲーム機器等の光記録分野におけるカード、ディスク、ピックアップレンズ等;光通信分野における光ファイバー、光スイッチ、光コネクター等;LCD、有機EL、PDP、複写機、プリンター、ファクシミリ、タッチパネル、光ファイル等の情報機器分野における導光板、ライトガイド、フレネルレンズ、位相差フィルム、偏光膜保護フィルム、プリズムシ−ト、リフレクターフィルム、セパレーターフィルム、光拡散シート、透明電極基板、ディスプレイの表面保護フィルム及びシート、アンチグレアフィルム、アンチリフレクションフィルム、電磁波遮蔽フィルム、インクタンク、カバー類、ボディ材等;自動車、電車などの車両分野におけるメーター類、ランプ類、レンズ類、ソケット、ヒューズケース、計器カバー等;医療機器分野における眼鏡レンズ、コンタクトレンズ、内視鏡レンズ、注射器、人口透析器、薬液容器、義歯、アンプルカッター容器等;建材分野における採光窓、ドア、監視カメラレンズ、カーポート、テラス、照明部品等;日用品分野における照明部品、玩具、サングラス、文房具、化粧品容器、釣り具、食品用容器、飲料水用容器、などとして好適に使用することができる。
本発明により得られる透明性樹脂組成物は、耐熱性、剛性、表面硬度、靱性に優れることから、光学分野などの用途で好適に使用することができる。
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
実施例に示された諸物性は以下の方法により測定した。
〜数平均分子量〜
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い測定したマレイミド・オレフィン共重合体の溶出曲線により、標準ポリスチレン換算値として求めた。
〜全光線透過率〜
JIS K7105(1981)に準拠して測定した。
〜荷重たわみ温度〜
JIS K7191(1996)に準拠して測定した。
〜引掻き鉛筆硬度〜
JIS K5600−5−4(1996)に準拠して測定した。
〜引張破断伸び〜
JIS K7161(1994)に準拠して測定した。
〜曲げ弾性率〜
JIS K7171(1994)に準拠して測定した。
合成例1(N−メチルマレイミド・イソブテン共重合体の合成)
撹拌機、窒素導入管、温度計、冷却管の付いた5Lセパラブルフラスコに、無水マレイン酸・イソブテン共重合体(株式会社クラレ製、商品名イソバン10)500g及び溶媒としてNMPを3000g充填し、室温で攪拌して無水マレイン酸・イソブテン共重合体をNMPに溶解させた。次いで、メチルアミンガス200gを室温で導入した後、80℃に昇温して1時間攪拌することにより無水マレイン酸単位のアミド化反応を行った。引き続き、205℃に昇温し、1時間攪拌することによりイミド化反応を行った後、室温まで冷却し、イソプロパノールを用いて再沈殿処理してポリマーを回収した。
元素分析、赤外吸収スペクトル測定(以下、IR測定と略記する。)および13C−NMR測定から、生成したポリマー中のN−メチルマレイミド残基単位及びイソブテン残基単位の比は0.5/0.5(モル比)であることを確認した。また、生成したポリマーの数平均分子量は90000であった。
合成例2(エチレン・エチルアクリレート−アクリロニトリル・スチレングラフト共重合体の合成)
容積10Lのステンレス製オートクレーブに純水を2500g、懸濁剤としてポリビニルアルコール2.5gを充填し、室温で攪拌して懸濁剤を純水に溶解させた。次いで、粉体粒子状のエチレン・エチルアクリレート共重合体2kgを室温で導入した後、攪拌して分散させた。また、ラジカル重合開始剤としてベンゾイルペルオキシド(日本油脂(株)製、商品名ナイパーB)4g、ラジカル重合性有機過酸化物としてt−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート13gをスチレン単量体675g及びアクリロニトリル単量体225gの混合液に溶解させ、ラジカル重合開始剤及びラジカル重合性有機過酸化物を含むモノマー溶液とした。次いで、該溶液を上記オートクレーブに添加し、60〜65℃に昇温した後、2時間攪拌することにより、ラジカル重合開始剤及びラジカル重合性有機過酸化物を含むモノマーをエチレン・エチルアクリルレート共重合体の粉体粒子に含浸させた。その後、オートクレーブの温度を85℃に昇温し、6時間攪拌することによりモノマーを重合させ、次いで水洗により懸濁剤を除去し、乾燥してグラフト前駆体を得た。
得られたグラフト前駆体を30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供し、200℃にて押出すことによりエチレン・エチルアクリレート−アクリロニトリル・スチレングラフト共重合体を得た。元素分析、IR測定およびH−NMR測定から、生成したグラフト共重合体のアクリロニトリル・スチレン共重合体中のアクリロニトリル含有量は24wt%であった。
合成例3(エチレン・エチルアクリレート−アクリロニトリル・スチレングラフト共重合体の合成)
スチレン単量体675g、アクリロニトリル単量体225gの代わりに、スチレン単量体735g、アクリロニトリル単量体165gとした以外は、合成例2と同様にしてエチレン・エチルアクリレート−アクリロニトリル・スチレングラフト共重合体を得た。元素分析、IR測定およびH−NMR測定から、生成したグラフト共重合体のアクリロニトリル・スチレン共重合体中のアクリロニトリル含有量は18wt%であった。
合成例4(ポリカーボネート−アクリロニトリル・スチレングラフト共重合体の合成)
容積10Lのステンレス製オートクレーブに純水を3000g、水酸化ナトリウム2.5g、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン4.5g、ハイドロサルファイト5.5gを充填し、室温で攪拌して水溶液とした。該水溶液に強攪拌下、塩化メチレン20L、p−t−ブチルフェノール185gを先に添加し、次いでホスゲン2360gを導入した後、30分攪拌した。その後、トリエチルアミン6gを添加し、更に2時間攪拌することにより重合反応を行った。攪拌停止後、油水分離し、塩化メチレン相をリン酸水溶液で繰り返し洗浄し、pHが7となった時点でイソプロパノールを25L加え、沈殿生成したポリカーボネート樹脂500gを得た。
引き続き、容積2Lのステンレス製オートクレーブに純水を600g、懸濁剤としてポリビニルアルコール0.6gを充填し、室温で攪拌して懸濁剤を純粋に溶解させた。次いで、粉体粒子状のポリカーボネート樹脂500gを室温で導入した後、攪拌して分散させた。また、ラジカル重合開始剤としてベンゾイルペルオキシド(日本油脂(株)製、商品名ナイパーB)1g、ラジカル重合性有機過酸化物としてt−ブチルペルオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート3gをスチレン単量体225g及びアクリロニトリル単量体56gの混合液に溶解させ、ラジカル重合開始剤及びラジカル重合性有機過酸化物を含むモノマー溶液とした。次いで、該溶液を上記オートクレーブに添加し、60〜65℃に昇温した後、2時間攪拌することにより、ラジカル重合開始剤及びラジカル重合性有機過酸化物を含むモノマーをポリカーボネート樹脂の粉体粒子に含浸させた。その後、オートクレーブの温度を85℃に昇温し、6時間攪拌することによりモノマーを重合させ、次いで水洗により懸濁剤を除去し、乾燥してグラフト前駆体を得た。
得られたグラフト前駆体を30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供し、300℃にて押出すことによりポリカーボネート−アクリロニトリル・スチレングラフト共重合体を得た。元素分析、IR測定およびH−NMR測定から、生成したグラフト共重合体のアクリロニトリル・スチレン共重合体中のアクリロニトリル含有量は26wt%であった。
実施例1
合成例1により得られたN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体90重量%及び合成例2により得られたエチレン・エチルアクリレート−アクリロニトリル・スチレングラフト共重合体10重量%をタンブラーミキサーでドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供し、押出して、ペレタイズし透明性樹脂組成物を得た。
次いで、得られた透明性樹脂組成物ペレットを射出成形機(東芝機械株式会社製、商品名IS50EP)に供し、射出成形して試験片を得た。本射出試験片を用いて物性を測定した結果を表1に示す。得られた透明性樹脂組成物は高い透明性を有し、耐熱性、剛性、表面硬度、靱性のバランスに優れるものであった。
実施例2
合成例1により得られたN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体90重量%及び合成例4により得られたポリカーボネート−アクリロニトリル・スチレングラフト共重合体10重量%をタンブラーミキサーでドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供し、押出して、ペレタイズし透明性樹脂組成物を得た。
次いで、得られた透明性樹脂組成物ペレットを射出成形機(東芝機械株式会社製、商品名IS50EP)に供し、射出成形して試験片を得た。本射出試験片を用いて物性を測定した結果を表1に示す。得られた透明性樹脂組成物は高い透明性を有し、耐熱性、剛性、表面硬度、靱性のバランスに優れるものであった。
比較例1
合成例1により得られたN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体90重量%及び合成例3により得られたエチレン・エチルアクリレート−アクリロニトリル・スチレングラフト共重合体10重量%をタンブラーミキサーでドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供し、押出して、ペレタイズし樹脂組成物を得た。
次いで、得られた樹脂組成物ペレットを射出成形機(東芝機械株式会社製、商品名IS50EP)に供し、射出成形して試験片を得た。本射出試験片を用いて物性を測定した結果を表1に示す。得られた樹脂組成物は不透明性であった。
比較例2
合成例1により得られたN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体を30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供し、押出して、ペレタイズした。
次いで、得られた樹脂ペレットを射出成形機(東芝機械株式会社製、商品名IS50EP)に供し、射出成形して試験片を得た。本射出試験片を用いて物性を測定した結果を表1に示す。得られた樹脂は靱性が乏しいものであった。
比較例3
合成例1により得られたN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体60重量%及び合成例3により得られたエチレン・エチルアクリレート−アクリロニトリル・スチレングラフト共重合体40重量%をタンブラーミキサーでドライブレンドした後、30mmφ2軸押出機(株式会社日本製鋼所製、商品名TEX30)に供し、押出して、ペレタイズし樹脂組成物を得た。
次いで、得られた樹脂組成物ペレットを射出成形機(東芝機械株式会社製、商品名IS50EP)に供し、射出成形して試験片を得た。本射出試験片を用いて物性を測定した結果を表1に示す。得られた樹脂組成物は、耐熱性、剛性、表面硬度が乏しいものであった。
Figure 2005187641

Claims (2)

  1. 下記一般式(I)で示される単位40〜60モル%及び下記一般式(II)で示される単位40〜60モル%からなる共重合体であり、数平均分子量が1×10以上5×10以下であるマレイミド・オレフィン共重合体70〜99重量%、エチレン・エチルアクリレート共重合体又はポリカーボネート樹脂にアクリロニトリル単位21〜45重量%を含むアクリロニトリル・スチレン共重合体をグラフト化してなるグラフト共重合体1〜30重量%からなることを特徴とする透明性樹脂組成物。
    Figure 2005187641
    (R1はメチル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、フェニル基、アルキル置換フェニル基、ナフチル基から選ばれる少なくとも1種以上の有機基を示す。)
    Figure 2005187641
    (R2、R3は各々独立して水素又は炭素数1〜6のアルキル基を示す。)
  2. マレイミド・オレフィン共重合体がN−メチルマレイミド・イソブテン共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の透明性樹脂組成物。
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