JP2005047836A - 1−アルキル−3−ピペリジンエステル類の製造方法 - Google Patents

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Tetsuji Nishiyama
徹司 西山
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Koei Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】従来技術の問題点が生じ難い、工業的に有利な1−アルキル−3−ピペリジンエステル類の製造方法を提供すること
【解決方法】一般式(1):
【化1】
Figure 2005047836

(式中、Rはアルキル基を表し、R1、R2、R3、R4及びR5は同じかまたは互いに異なってそれぞれ水素原子またはアルキル基を表す。X−はハロゲンイオン、モノメチル硫酸イオンまたはモノエチル硫酸イオンを表す。)で示される1−アルキル−3−ピリジンカルボン酸エステル4級塩を水素化触媒の存在下で接触還元し、次いで、生成した1−アルキル−3−ピペリジンエステル類の酸塩を塩基と反応させて一般式(2):
【化2】
Figure 2005047836

(式中、R、R1、R2、R3、R4及びR5は前記に同じ)1−アルキル−3−ピペリジンエステル類を製造するにあたり、水素化触媒としてPd触媒を用いることを特徴とする1−アルキル−3−ピペリジンエステル類の製造法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は1−アルキル−3−ピペリジンエステル類の製造法に関するものである。1−アルキル−3−ピペリジンエステル類は医農薬中間体として有用な化合物である。
【0002】
【従来技術】
従来、1−アルキル−3−ピペリジンエステル類を製造する方法として、ニコチン酸メチルとジメチル硫酸から誘導化される4級塩をラネーニッケル触媒存在下、接触還元し、次いで炭酸カリウムで処理するする方法がある(非特許文献1参照)。
【非特許文献1】
Ann.Rep.Tanabe pharm.Res.,3,30(1958)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この方法では収率は92%と高いものの、本発明者の追試によれば(後述の比較例参照)炭酸カリウムで処理した後、析出した塩をイオン交換水での溶解を試みたが溶解せず、処理溶液にはなお緑白色の塩が析出していた。このように従来技術は濾過などの煩雑な操作を追加する必要があり、工業的に問題があった。
【0004】
本発明はかかる従来技術の問題点が生じ難い、工業的に有利な1−アルキル−3−ピペリジンエステル類の製造方法を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、接触還元の触媒としてPd触媒を用いることにより上記課題を解決し得ることを見出し本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、一般式(1):
【化3】
Figure 2005047836
(式中、Rはアルキル基を表し、R1、R2、R3、R4及びR5は同じかまたは互いに異なってそれぞれ水素原子またはアルキル基を表す。またRはメチル基またはエチル基を表す。Xはハロゲンイオン、モノメチル硫酸イオンまたはモノエチル硫酸イオンを表す。)で示される1−アルキル−3−ピリジンカルボン酸エステル4級塩を水素化触媒の存在下で接触還元し、次いで、生成した1−アルキル−3−ピペリジンエステル類の酸塩を塩基と反応させて一般式(2):
【化4】
Figure 2005047836
(式中、R、R1、R2、R3、R4及びR5は前記に同じ)1−アルキル−3−ピペリジンエステル類を製造するにあたり、水素化触媒としてPd触媒を用いることを特徴とする1−アルキル−3−ピペリジンエステル類の製造法に関するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の1−アルキル−3−ピリジンカルボン酸エステル4級塩において、一般式(1)中のRはアルキル基を表し、R1、R2、R3、R4及びR5は同じかまたは互いに異なってそれぞれ水素原子またはアルキル基を表す。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基又はt―ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基を挙げることができる。Xはハロゲンイオン、モノメチル硫酸イオンまたはモノエチル硫酸イオンを表す。ハロゲンイオンとしては塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等が挙げられる。好ましい1−アルキル−3−ピリジンカルボン酸エステル4級塩は、一般式(1)中のR1、R2、R3及びR4が同じかまたは互いに異なってそれぞれ水素原子またはアルキル基を表し、R1、R2、R3及びR4の1つがアルキル基である化合物であり、特に好ましくはR1、R2、R3及びR4全てが水素原子、R5がメチル基またはエチル基。そしてXが塩素イオンまたはモノメチル硫酸イオンである化合物である。1−アルキル−3−ピリジンカルボン酸エステル4級塩の具体例としては、例えば、1−メチル−3−ピリジンカルボン酸エチルエステルモノメチル硫酸塩、1−メチル−3−ピリジンカルボン酸メチルエステルモノメチル硫酸塩、1−メチル−3−ピリジンカルボン酸プロピルエステルモノメチル硫酸塩、1−メチル−3−メトキシカルボニルピリジニウムクロリド、1−エチル−6−メチル−3−ピリジンカルボン酸メチルエステルモノメチル硫酸塩などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0008】
本発明のPd触媒は、通常、水素化触媒として用いるものであれば特に制限されない。好ましいPd触媒は、Pd金属が担体に担持されているものである。担体としてはカーボン、ゼオライト、シリカ、アルミナ、珪藻土等が挙げられる。
この中でもカーボン、アルミナが好ましい。Pd金属が5重量%担持されたPd/C、Pd/アルミナが特に好ましい。Pd触媒の使用量は、Pd金属として1−アルキル−3−ピリジンカルボン酸エステル4級塩に対して0.015〜0.15重量%が好ましく、特に好ましくは0.015〜0.1重量%である。
【0009】
接触還元には有機溶媒を用いるのが好ましい。有機溶媒としてはメタノール、エタノール及びイソプロパノール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン及びシクロヘキサン等の炭化水素類、アセトニトリル等が挙げられる。有機溶媒の使用量はその使用の目的に応じて適宜決定すればよい。
【0010】
また接触還元にアンモニア等の塩基を用いるのが好ましい。塩基の使用量は4級塩1モルに対して0.01〜2モル、好ましくは0.03〜0.06モルである。
【0011】
接触還元の反応条件は、通常0〜100℃、中でも30〜60℃が好ましい。水素圧力は、通常常圧〜3MPa、中でも0.2〜1MPaが好ましい。反応時間としては通常、5〜20時間、好ましくは5〜12時間程度である。
【0012】
中和に用いる塩基としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。また塩基は反応混合物のpHが通常7以上、好ましくは8〜11、更に好ましくは9〜10となる量を用いる。中和時の温度は40℃以下、中でも25℃以下で行うことが好ましい。析出する塩を水で溶解させた後、常法に従って目的物を分離することができる
【0013】
【実施例】
以下に実施例を示しさらに詳細に本発明を説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
【0014】
実施例
容量500mlの電磁攪拌式ガラス製4つ口フラスコにニコチン酸メチル102.87g(0.75mol)及びトルエン175.2gを仕込み、攪拌下、33℃に保ちながらジメチル硫酸104.07g(0.83mol)を40分かけて滴下した。滴下終了後、室温で1時間保持、次いで反応温度を70℃に昇温して同温度でさらに1時間4級化反応させた。反応終了後、70℃で熱分液を行い、下層の4級塩反応液211.7gを得た。得られた反応液はメタノール228.13gに溶解させた。次に300mlの電磁攪拌式ガラス製オートクレーブに上記で得られた反応液のメタノール溶液146.6g、28%アンモニア水0.8g及びPdカーボン触媒2.0g(カーボンに対して5重量%のPd担持、50%Wet触媒)を仕込み、0.5MPaの水素で5回系内を置換してから、60℃に昇温した。60℃で水素を供給しながら5.5時間接触還元を行った後、同温度に0.5時間保持した。得られた反応液から触媒を濾別したところ、濾液は無色透明であった。次に濾液を50℃、6.7kPaで減圧濃縮を行い、続いて飽和炭酸カリウム水溶液79.5gを投入し、溶液のpHを9.8とした。このとき白色の塩が析出していた。さらにイオン交換水105.7gを投入したところ、塩は溶解し均一化した。
この溶液からトルエン115gで2回抽出し、トルエン溶液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、1−メチル−3−ピペリジンメチルエステル33.9g(収率86.1%、ニコチン酸メチル基準)が含まれていた。
【0015】
比較例
実施例1と同様にして得た4級化反応液116.5gにメタノール120g、28%アンモニア水1.3gを加え溶液とした後、容量1Lの電磁攪拌式ガラス製オートクレーブに仕込み、さらに触媒としてラネーニッケル31.5g(川研ファインケミカル株式会社製、NDT−65)を加えた。次に0.5MPaの水素で5回系内を置換してから、30℃で5時間接触還元を行い、さらに60℃に昇温して2時間反応させた。得られた反応液から触媒を濾別したところ、濾液は緑色であった。次に濾液を50℃、6.7kPaで減圧濃縮を行い、続いて飽和炭酸カリウム水溶液130gを徐々に投入したところ、塩が析出し溶液は緑白色のスラリーとなった。この時の溶液のpHは9.5であった。さらにイオン交換水100gを投入し、溶液の均一化を図ったが、依然塩が析出していた。この溶液からトルエン121gで2回抽出し、トルエン溶液をガスクロマトグラフィーにより分析したところ、1−メチル−3―ピペリジンメチルエステル52.4g(収率84.6%、ニコチン酸メチル基準)が含まれていた。

Claims (1)

  1. 一般式(1):
    Figure 2005047836
    (式中、Rはアルキル基を表し、R1、R2、R3、R4及びR5は同じかまたは互いに異なってそれぞれ水素原子またはアルキル基を表す。Xはハロゲンイオン、モノメチル硫酸イオンまたはモノエチル硫酸イオンを表す。)で示される1−アルキル−3−ピリジンカルボン酸エステル4級塩を水素化触媒の存在下で接触還元し、次いで、生成した1−アルキル−3−ピペリジンエステル類の酸塩を塩基と反応させて一般式(2):
    Figure 2005047836
    (式中、R、R1、R2、R3、R4及びR5は前記に同じ)1−アルキル−3−ピペリジンエステル類を製造するにあたり、水素化触媒としてPd触媒を用いることを特徴とする1−アルキル−3−ピペリジンエステル類の製造法。
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