JP2005047477A - 車両用ダクト - Google Patents

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中村  健太郎
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Abstract

【課題】充分な衝撃吸収性能を具備すると共に、エアバッグ装置の構成部品等の格納スペースを確保し得るようにする。
【解決手段】車両用ダクト30を、ルーフサイドレール部12とルーフサイドガーニッシュ14との間に画成される空間16において、該ルーフサイドガーニッシュ14に予測される被衝突部Cを境界とした該空間16における一方の長手領域16Aに、偏在させた状態に配設する。車両用ダクト30の側壁部38を、その長手方向に沿って波板状に形成すると共に、被衝突部Cの背面において乗員頭部Hの衝突方向Sと略整列する向きとなるよう位置させる。これにより、空間16に画成された他方の長手領域16Bに、エアバッグ装置の構成部品50等を格納することが可能となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両用ダクトに関し、更に詳細には、ルーフサイド部に位置する車体構成部材および該車体構成部材に対し乗員室側から取付けられる車両内装部材の間に画成される空間内にその長手方向へ延在するよう配設され、前記車両内装部材における短手方向の略中央に予測される被衝突部へ乗員頭部が衝突した際に圧潰して衝撃を吸収する車両用ダクトに関するものである。
近年生産される自動車では、正面衝突事故の発生時における乗員の傷害軽減は勿論、側面衝突事故の発生時における乗員の傷害軽減を図る種々の対策が施されている。例えば図10は、図9のX−X線断面図であって、自動車における車体のルーフサイド部10を断面状態で示したもので、このルーフサイド部10は、図示しないボデーパネルの内側に位置して車体の骨格構造を形成する車体構成部材であるルーフサイドレール部12に対して、乗員室側から車両内装部材であるルーフサイドガーニッシュ14が取付けられて構成されている。そして、前記ルーフサイドレール部12とルーフサイドガーニッシュ14との間には、所要幅の空間16が車体前後方向へ横長に画成されており、乗員室内の後部空間の空調に供される調温空気を移送するための車両用ダクト20や、各種ハーネス(図示せず)等が配設されている。
また、図10に例示した従来の車両用ダクト20は、エアコンユニットからの調温空気を案内する機能しか具備しておらず、側面衝突事故の発生時に、前記ルーフサイドガーニッシュ14における短手方向の略中央に予測される被衝突部Cへ乗員頭部Hが衝突しても、その衝撃を吸収する機能は具有していない。このため前記空間16には、側面衝突事故の発生時における傷害軽減対策として衝撃吸収体22が別途配設されており、前記ルーフサイドガーニッシュ14に設定された前記被衝突部Cへ乗員頭部Hが衝突した際には、該衝撃吸収体22が圧潰的に変形しながら衝撃を吸収するようになっている。前記衝撃吸収体22としては、例えばウレタン材、アルミパイプ、ハニカムボード、樹脂製リブ等が採用されている。なお、このような衝撃吸収体22を使用した傷害軽減対策に関しては、例えば特許文献1に開示されている。
一方、ブロー成形技術の発達により、図11および図12に例示するように、前記車両用ダクト20に衝撃吸収機能を具備させるようにして、前記衝撃吸収体22を不要にした技術も提案されている。例えば図11に例示の車両用ダクト20は、該車両用ダクト20の内部にインナーリブ24を一体的に形成したタイプであり、また図12に例示の車両用ダクト20は、該車両用ダクト20の外壁面に通常の凸リブ26を一体的に形成したタイプである。更に図示しないが、前記インナーリブ24および凸リブ26の両方を一体的に形成した車両用ダクトも実施されている。図11および図12に例示した各々の車両用ダクト20,20では、側面衝突事故の発生時に前記ルーフサイドガーニッシュ14の被衝突部Cへ乗員頭部Hが衝突した際に、その衝撃が前記インナーリブ24および/または凸リブ26に伝達され、これにより該リブ24,26が圧潰的に変形しながら衝撃を吸収するようになっている。なお、このような車両用ダクト20を利用した傷害軽減対策に関しては、例えば特許文献2に開示されている。
特開平10−217880号公報 特開2000−043541号公報
ところで、図10に例示した衝撃吸収構造では、車両用ダクト20自体が衝撃吸収機能を具有していないため、前記衝撃吸収体22を別途用意して配設するようになっており、該衝撃吸収体22の材料費、加工費および組付作業に係るコスト等が嵩む問題を内在していた。また、図10から明らかなように前記空間16内は、前記車両用ダクト20および衝撃吸収体22で殆ど隙間がない状態となっており、側面衝突事故に対する傷害軽減に有効とされるカーテンエアバッグ装置の構成部品(カーテンエアバッグ等)を格納するための格納スペースを確保し得ない問題等もあった。
一方、図11および図12に例示した衝撃吸収構造では、前記衝撃吸収体22が不要となるためにコスト低減が期待できる利点がある。しかしながら、前記インナーリブ24または凸リブ26は、ブロー成形技術の成形特性から、車両用ダクト20の短手方向における略中央部位に成形されるようになるため(短手方向における端縁近傍に成形し得ないため)、前記被衝突部Cの背面に該インナーリブ24または凸リブ26を整合させるように当該車両用ダクト20を配設すると、前記空間16内に前記カーテンエアバッグ装置の構成部品を格納するための格納スペースを確保し得なく問題が発生していた。しかも、図11に例示した車両用ダクト20では、前記インナーリブ24が適切に成形されるものの、(a)インナーリブ24の形成位置に制限がある、(b)金型構造が複雑となるので金型製作費が嵩む、等の種々問題を内在している。一方、図12に例示した車両用ダクト20では、(a)凸リブ26が幅広であるためにダクト断面積の減少を招来し、必要とするダクト断面積を確保しようとすると当該車両用ダクト20の外形サイズが大型化する、(b)凸リブ26の形成位置に制限がある、等の問題を内在している。
従って本発明では、充分な衝撃吸収性能を具備すると共に、エアバッグ装置の構成部品等の格納スペースを確保し得るようにした車両用ダクトを提供することを目的とする。
前記課題を解決し、所期の目的を達成するため本発明は、ルーフサイド部に位置する車体構成部材および該車体構成部材に対し乗員室側から取付けられる車両内装部材の間に画成される空間内にその長手方向へ延在するよう配設され、前記車両内装部材に予測される被衝突部へ乗員頭部が衝突した際に圧潰して衝撃を吸収する車両用ダクトであって、
前記被衝突部を境界とした前記空間における一方の長手領域に前記車両用ダクトを偏在させ、
前記車両用ダクトの側壁部を、その長手方向に沿って波板状に形成すると共に、前記被衝突部の背面において乗員頭部の衝突方向と略整列する向きとなるよう位置させたことを特徴とする。
同じく前記課題を解決し、所期の目的を達成するため別の発明は、ルーフサイド部に位置する車体構成部材および該車体構成部材に対し乗員室側から取付けられる車両内装部材の間に画成される空間内にその長手方向へ延在するよう配設され、前記車両内装部材における短手方向の略中央に予測される被衝突部へ乗員頭部が衝突した際に圧潰して衝撃を吸収する車両用ダクトであって、
前記被衝突部を境界とした前記空間における一方の長手領域に前記車両用ダクトを偏在させ、
前記車両用ダクトの側壁部を、その長手方向に沿って波板状に形成すると共に、前記被衝突部の背面において乗員頭部の衝突方向と略整列する向きとなるよう位置させ、
前記空間に画成された他方の長手領域に、エアバッグ装置の構成部品等を格納させ得るよう構成したことを特徴とする。
本発明に係る車両用ダクトによれば、波板状に形成して衝撃吸収機能を具有した側壁部をダクト外壁の一部に設けたことにより、空間における一方の長手領域に偏在させた状態に配設すれば、該側壁部が、車両内装部材に設定した被衝突部の背面に整合すると共に、該被衝突部の背面において乗員頭部の衝突方向と略整列する向きとなるよう位置する。従って、側面衝突事故の発生時に車両側方から受けた衝撃により乗員頭部が被衝突部へ衝突した際には、その衝撃により側壁部が短手方向へ圧潰的に変形するようになり、衝撃を好適に吸収して乗員頭部の傷害軽減を適切に図り得る利点がある。
また、車両用ダクトが空間における一方の長手領域に偏在させた状態に配設されるようになるため、該空間内に画成された他方の長手領域に、エアバッグ装置の構成部品等を格納することを可能とする。これにより、本発明に係る車両用ダクトは、当該車両用ダクト自体で乗員頭部の傷害軽減を図り得ると同時に、エアバッグ装置等の配設を可能とするので、側面衝突に対する乗員保護機能の大幅な向上に大きく寄与し得る等の有益な効果を奏する。
次に、本発明に係る車両用ダクトにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
図1は、好適実施例に係る車両用ダクト30を配設した車体のルーフサイド部10の概略断面図である。本実施例の車両用ダクト30は、図10〜図12に例示した従来の各車両用ダクト20と同様に、例えばルーフサイド部10に位置する車体構成部材であるルーフサイドレール部12と、該ルーフサイドレール部12に対し乗員室側から取付けられる車両内装部材であるルーフサイドガーニッシュ14との間に画成される空間16内に、その長手方向に延在するよう配設されている。そして前記車両用ダクト30は、車両側方から受けた衝撃により、前記ルーフサイドガーニッシュ14における短手方向の略中央に予測される被衝突部Cへ乗員頭部Hが衝突した際に、圧潰的に変形することで衝撃を吸収するようになっている。
図2は、本実施例の車両用ダクト30の外面形状を略示した部分斜視図、図3は図2のIII−III線断面図、図4は図2のIV−IV線断面図である。本実施例の車両用ダクト30は、公知のブロー成形技術に基づいて図示しないブロー成形型を使用して成形された中空体であって、図1に例示したように、前記被衝突部Cを境界として前記空間16内を長手方向に沿って便宜上区分した場合に上側に位置する第1長手領域(一方の長手領域)16Aに収まる外形形状・サイズに設定され、該空間16内において該第1長手領域16Aに偏在させた状態に配設されるようになっている。具体的に車両用ダクト30は、前記ルーフサイドガーニッシュ14の背面に隣接する第1側壁部32と、該第1側壁部32の上端縁から前記ルーフサイドレール部12に向けて延在する第2側壁部34と、該第2側壁部34に連設されて前記ルーフサイドレール部12に隣接する第3側壁部36と、この第3側壁部36の端縁部と前記第1ダクト側壁部32の端縁部との間に位置する第4側壁部38とから構成された中空体を呈している。なお車両用ダクト30の材質は、例えば高密度ポリエチレン(PE−HD)等とされ、前記第1〜第4の各側壁部32,34,36,38の厚みTは何れの部位でも2mm程度となっている。
前記第1側壁部32および第2側壁部34は、車両用ダクト30の長手方向(長さ方向)および短手方向(幅方向)の何れへも平坦となった略平板状に形成されており、前記第3側壁部36は、長手方向へは略平板状に形成されていると共に短手方向へは前記ルーフサイドレール部12の形状に合わせて折曲した形状に形成されている。一方、前記第4側壁部38は、図2〜図4に例示したように、当該車両用ダクト30の長手方向に沿って波板状に形成されている。すなわち本実施例の車両用ダクト30では、ダクト外壁の一部を構成する前記第4側壁部38に衝撃吸収機能を具有させてあり、後述するように、乗員頭部Hがルーフサイドガーニッシュ14における前記被衝突部Cへ衝突した際には、その衝撃が前記波板状の第4側壁部38へ直接的に伝達されるようにし、該第4側壁部38が短手方向へ圧潰的に変形することで衝撃を吸収する構造となっている。
前記第4側壁部38は、前述したように厚みT=2mm程度とされ、ダクト外側へ半円弧状に膨出する凸壁部(第1壁部)40と、ダクト内側へ半円弧状に膨出する凹壁部(第2壁部)42とが、その長手方向へ交互に連設されることで波板状に形成されている。そして、前記凸壁部40の基準位置(円弧中心)から凹壁部42の基準位置(円弧中心)までのピッチPは、(a)凸壁部40および凹壁部42の厚みT=2mm、(b)材質が高密度ポリエチレン、であること等の諸前提条件のもとで、後述する解析試験1により得られた解析結果から16mmに設定されている。従って、前記凸壁部40および凹壁部42の曲率半径Rは、前記ピッチP=16mmに設定したことにより、該ピッチPの1/2である8mmとなっている。なお前記ピッチPは、後述するように、16mm程度に設定することが最適であるが、14〜19mmの範囲内で適宜設定すれば頭部傷害値HIC(d)<1000の条件を満足する。
また前記第4側壁部38は、図1に例示するように、その短手方向の向きYが、前記ルーフサイドガーニッシュ14に設定した前記被衝突部Cに対する前記乗員頭部Hの衝突方向Sに対し、0°〜30°の範囲内で整列するように設定されている。これは、前記被衝突部Cに対する乗員頭部Hの衝突方向Sが、(a)側面衝突事故における衝突の度合、(b)乗員の着座姿勢や体格、等の諸条件により常に一定ではないため、該乗員頭部Hの衝突方向Sが多少異なっても前記頭部傷害値HIC(d)<1000の条件を満足するようにするためである。なお、前記第4側壁部38の短手方向の向きYは、後述する解析試験2により得られた解析結果に基づき、前記角度範囲内に決定されたものである。これにより、前記乗員頭部Hの衝突による衝撃は、前述したように、第4側壁部38に対して、その短手方向の向きYと同一方向または略同一方向から加わるようになる。
更に前記第4側壁部38には、その短手方向における略中間部位に、当該第4側壁部38の長手方向へ延在する補強壁部44が設けられている。この補強壁部44は、本実施例の車両用ダクト30をブロー成形するに際し、ブロー成形型の型閉め時にパリソンを挟み込む際に形成されるパーティングラインであって、第4側壁部38の長手方向に沿った撓み変形や曲げ変形を防止するよう機能する。なお補強壁部44の端縁は、前記各々の凸壁部40の頂部と同一か、または若干突出した高さとなるように設定されている。
このように構成された本実施例の車両用ダクト30は、波板状に形成して衝撃吸収機能を具有した第4側壁部38をダクト外壁の一部に設けたことにより、図1に例示したように、前記空間16における第1長手領域16Aに偏在させた状態に配設すれば、該第4側壁部38が、前記ルーフサイドガーニッシュ14に設定した前記被衝突部Cの背面に整合すると共に、該被衝突部Cの背面において乗員頭部Hの衝突方向Sと略整列する向きとなるよう位置する。従って、側面衝突事故の発生時に車両側方から受けた衝撃により乗員頭部Hが被衝突部Cへ衝突した際には、その衝撃により短手方向へ圧潰的に変形するようになり、後述する解析結果に例示するように衝撃を好適に吸収して乗員頭部Hの傷害軽減を適切に図り得る。
そして、本実施例の車両用ダクト30が前記空間16における第1長手領域16Aに偏在させた状態に配設されるようになるため、該空間16内における下側には、図示しないサイドドアのウインドウガラスの上縁に沿った第2長手領域(他方の長手領域)16Bが画成されるようになる。従って前記第2長手領域16Bに、例えばカーテンエアバッグ装置の構成部品であるカーテンエアバッグ50や、その他ハーネス等を種々車両構成部品等を格納することを可能とする(図1)。これにより本実施例の車両用ダクト30は、当該車両用ダクト30自体で乗員頭部Hの傷害軽減を図り得ると同時に、カーテンエアバッグ50等の配設を可能にするので、図10〜図12に例示した従来の形態と比較すると側面衝突に対する乗員保護機能の大幅な向上に大きく寄与し得る。
また、本実施例の車両用ダクト30では、ダクト外壁の一部を構成する前記第4側壁部38に衝撃吸収機能を具備するようにしたため、例えば図6に例示するように、ルーフサイドガーニッシュ14に取付けたエアアウトレット52に連通接続される開口部46を開設した部位であっても、その側方に該第4側壁部38を設けることができ、乗員頭部Hの衝突による衝撃を好適に吸収して該乗員頭部Hの傷害低減を適切に図り得る。すなわち、図11および図12に例示の車両用ダクト30では、前記開口部46を開設する部位に前記インナーリブ24や凸リブ26を設けることが不可能であり、該開口部46を開設した部位では乗員頭部Hの衝突による衝撃を好適に吸収することが不可能となっていたが、本実施例の車両用ダクト30ではこのような問題を好適に解決できる。
次に、本願出願人が実施した解析試験について、図および表を引用して説明する。本実施例の車両用ダクト30は、前述したように、前記被衝突部Cを境界とした前記空間16における上側の第1長手領域16Aに偏在させた状態に配設することを前提として、ダクト外壁の一部を構成する前記第4側壁部38を、その長手方向に沿って波板状に形成すると共に、前記被衝突部Cの背面において乗員頭部Hの衝突方向Sと略整列する向きとなるよう位置させることを特徴としている。これにより、側面衝突事故の発生時に車両側方から受けた衝撃により、乗員頭部Hが前記被衝突部Cへ衝突した際には、前記第4側壁部38が短手方向へ圧潰的に変形することで衝撃を吸収して乗員頭部Hの傷害軽減を図るものである。
(解析試験1)
解析試験1は、前記第4側壁部38における凸壁部40および凹壁部42の間の前記ピッチPにつき、その適正値および最適値を求めるために実施した試験である。すなわち解析試験1では、前記ピッチPが10〜20mmの間で1mm間隔毎に異なる第4側壁部38を有する合計11種類の車両用ダクト30を準備し、各々の車両用ダクト30に対して頭部傷害(HIC(d))値を測定した。
但し、試験条件は次のように設定した。
・ダクト材質 : 高密度ポリエチレン(PE−HD)
・第4側壁部38の厚みT : 2.0mm
・乗員頭部Hの衝突方向S : 0°(第4側壁部38の短手方向の向きと同一)
・ヘッドフォームの衝突速度 : 15mile(22.5km)/h
ここで、前記頭部傷害(HIC:Head Injury Criteria)値とは、周知のように、衝突時に頭部に発生した加速度の時間履歴データを所定の評価式に代入して求めた値であって、HIC=1000が評価基準値とされている。また、米国の連邦自動車安全規準におけるFMVSS−201で定義される修正HIC値(HIC(d)値)は、次式で算出されるようになっている。
HIC(d)=0.75446×HIC+166.4
すなわち、HIC(d)<1000であれば乗員頭部Hの傷害軽減を図り得るものであり、HIC(d)≧1000であれば乗員頭部Hの傷害軽減を図り得ないことを示している。また、HIC(d)<1000を満足した場合でも、この数値が小さい程に傷害軽減率が高くなる。
Figure 2005047477
図7は、解析試験1により得られた解析結果をもとに作成したグラフであり、また表1は、この解析試験1の解析結果を纏めたものである。この解析結果から、HIC(d)<1000の条件を満足するのは、前記ピッチPを15〜19mmに設定した場合であることが判明した。但し、解析結果には±50程度の誤差があり得るので、ピッチP=14mmであってもHIC(d)<1000の条件を満足する可能性もある。また、HIC(d)値が最小となったのは、ピッチP=16mmの場合の852.94であった。
(解析試験2)
解析試験2は、前記被衝突部Cに衝突する乗員頭部Hの衝突方向Sに対し、前記第4側壁部38の短手方向の向き(傾き)Yの範囲を求めるために実施した試験である。すなわち、前記被衝突部Cに対する乗員頭部Hの衝突方向Sは、前述すると共に図1に例示したように一定ではない。従って解析試験2では、前記ピッチPを0(平坦状)、10mm、15mm、20mmに各々設定した第4側壁部38を設けた各々の車両用ダクト30において、該第4側壁部38の短手方向の向きYに対する乗員頭部Hの衝突方向Sを0°、15°、30°に設定した場合における各々の頭部傷害(HIC(d))値を測定した。ここで図1に例示したように、「0°」とは、乗員頭部Hの衝突方向Sが第4側壁部38の短手方向の向きYと同一となっている場合、「15°」とは、乗員頭部Hの衝突方向Sが第4側壁部38の短手方向の向きYに対して15°傾いている場合(図1に1点鎖線で示す)、「30°」とは、乗員頭部Hの衝突方向Sが第4側壁部38の短手方向の向きYに対して30°傾いている場合(図1に2点鎖線で示す)を意味する。
Figure 2005047477
図8は、解析試験2により得られた解析結果をもとに作成したグラフであり、また表2は、この解析試験2の解析結果を纏めたものである。この解析結果から、第4側壁部38を平板状(非波板状)とした場合では、該第4側壁部38の短手方向の向きYに対する乗員頭部Hの衝突方向Sが30°ではHIC(d)<1000(552.5)を満足する好適なデータが得られるものの、0°および15°ではHIC(d)>1000(1495.8、1019.2)となることが判明した。また、第4側壁部38のピッチPを10mmに設定した場合には、該第4側壁部38の短手方向の向きYに対する乗員頭部Hの衝突方向Sが15°および30°ではHIC(d)<1000(843.5、500.9)を満足する好適なデータが得られるものの、0°ではHIC(d)>1000(1392.0)となることが判明した。
また、第4側壁部38のピッチPを15mmに設定した場合には、該第4側壁部38の短手方向の向きYに対する乗員頭部Hの衝突方向Sが0°、15°、30°の何れにおいても、HIC(d)<1000(896.1、597.0、417.8)を満足する好適なデータが得られることが判明した。更に、第4側壁部38のピッチPを20mmに設定した場合には、該第4側壁部38の短手方向の向きYに対する乗員頭部Hの衝突方向Sが15°および30°ではHIC(d)<1000(889.1、682.5)を満足する好適なデータが得られるものの、0°ではHIC(d)>1000(1123.7)となることが判明した。
従って、第4側壁部38のピッチPを15mm前後に設定した場合には、前記被衝突部Cに対する乗員頭部Hの衝突方向Sにばらつきがあったとしても(0〜30°の範囲内)、常には該第4側壁部38が好適な衝撃吸収性能を発揮するようになり、乗員頭部Hの傷害軽減を適切に図り得ると結論付けることができる。なお、第4側壁部38のピッチPを10mm前後および20mm前後に設定した場合では、該第4側壁部38の短手方向の向きYと同一方向から乗員頭部Hが衝突すると、HIC(d)が1000を越えるようになって乗員頭部Hの傷害軽減を図り得ない。
また図8から明らかなように、第4側壁部38のピッチPを15mmに設定した場合では、乗員頭部Hの衝突方向Sが0°、15°、30°の何れにおいても、HIC(d)値が最も低くなっている。このことからも、本実施例の車両用ダクト30では、前記第4側壁部38における凸壁部40と凹壁部42との間のピッチPを15mmまたは16mm程度に設定した場合に、最も効果的な衝撃吸収を図り得ると結論付け得る。
よって、前述した解析試験1および解析試験2の各々の解析結果に基づいて総合的に判断すると、前記第4側壁部38を波板状に形成するに際しては、凸壁部40と凹壁部42との間のピッチPを14〜18mmの範囲内で設定すれば乗員頭部Hの傷害軽減を図り得る一方、好ましくは15〜16mmに設定した場合に乗員頭部Hの傷害軽減の効率が最も高くなると結論付けることができる。
前記実施例では、ダクト外側へ半円弧状に膨出する第1壁部(凸壁部)40およびダクト内側へ半円弧状に膨出する第2壁部(凹壁部)42を、その長手方向へ交互に連設することで第4側壁部38を波板状に形成した場合を例示したが、該第1壁部40および第2壁部42の形態はこれに限定されるものではない。すなわち前記第4側壁部38は、ダクト外側へ多角形状に膨出する第1壁部40およびダクト内側へ多角形状に膨出する第2壁部42を、その長手方向へ交互に連設することで波板状に形成するようにしてもよい。
前記実施例では、車体構成部材12としてルーフサイドレール部を例示すると共に車両内装部材14としてルーフサイドガーニッシュを例示し、これらルーフサイドレール部とルーフサイドガーニッシュとの間に画成された空間16へ配設される車両用ダクト30を例示したが、本願が対象とする車両用ダクトはこれに限定されるものではない。すなわち、車体構成部材12であるピラー部と車両内装部材14であるピラーガーニッシュとの間に画成された空間16へ配設される車両用ダクト等も対象とされる。
本発明に係る車両用ダクトは、ルーフサイド部に位置する車体構成部材と、該車体構成部材に対し乗員室側から取付けられる車両内装部材の間に画成される空間内に配設されて、該車両内装部材に設定された被衝突部に乗員頭部が衝突した際に圧潰して衝撃を吸収するものであって、例えば車体構成部材であるルーフサイドレール部と車両内装部材であるルーフサイドガーニッシュとの間に配設される車両用ダクトや、車体構成部材であるピラー部と車両内装部材であるピラーガーニッシュとの間に配設される車両用ダクトとして利用可能である。
本実施例の車両用ダクトを配設したルーフサイド部の概略断面図である。 本実施例の車両用ダクトを部分的に示した概略斜視図である。 図2のIII−III線断面図である。 図2のIV−IV線断面図である。 ルーフサイドガーニッシュに設定した被衝突部に対して乗員頭部が衝突することで、車両用ダクトにおける第4側壁部がその衝撃で圧潰的に変形し、これにより衝撃を吸収することを示した説明断面図である。 ルーフサイドガーニッシュに取付けたエアアウトレットに連通接続される開口部を開設した部位で破断したルーフサイド部の概略断面図であって、該開口部を開設した部位であってもその側方に第4側壁部を設けることができるため、乗員頭部の衝突による衝撃を好適に吸収して該乗員頭部の傷害低減を適切に図り得ることを示している。 解析試験1により得られた解析結果をもとに作成したグラフである。 解析試験2により得られた解析結果をもとに作成したグラフである。 自動車の乗員室内を示した概略説明図である。 図9のX−X線断面図であって、ルーフサイドレール部とルーフサイドガーニッシュとの間に画成された空間内に、車両用ダクトと共に衝撃吸収体を配設することで、乗員頭部の傷害軽減を図るようにした形態を例示している。 ルーフサイドレール部とルーフサイドガーニッシュとの間に画成された空間内に、インナーリブを設けた従来の車両用ダクトを配設することで、乗員頭部の傷害軽減を図るようにした形態を例示している。 ルーフサイドレール部とルーフサイドガーニッシュとの間に画成された空間内に、凸リブを設けた従来の車両用ダクトを配設することで、乗員頭部の傷害軽減を図るようにした形態を例示している。
符号の説明
10 ルーフサイド部
12 ルーフサイドレール部、ピラー部(車体構成部材)
14 ルーフサイドガーニッシュ、ピラーガーニッシュ(車両内装部材)
16 空間
16A 第1長手領域(一方の長手領域)
16B 第2長手領域(他方の長手領域)
30 車両用ダクト
38 第4側壁部(側壁部)
40 凸壁部(第1壁部)
42 凹壁部(第2壁部)
44 補強壁部
50 エアバッグ装置の構成部品
C 被衝突部
H 乗員頭部
P ピッチ
S 衝突方向
Y 第4側壁部の短手方向の向き

Claims (9)

  1. ルーフサイド部(10)に位置する車体構成部材(12)および該車体構成部材(12)に対し乗員室側から取付けられる車両内装部材(14)の間に画成される空間(16)内にその長手方向へ延在するよう配設され、前記車両内装部材(14)に予測される被衝突部(C)へ乗員頭部(H)が衝突した際に圧潰して衝撃を吸収する車両用ダクト(30)であって、
    前記被衝突部(C)を境界とした前記空間(16)における一方の長手領域(16A)に前記車両用ダクト(30)を偏在させ、
    前記車両用ダクト(30)の側壁部(38)を、その長手方向に沿って波板状に形成すると共に、前記被衝突部(C)の背面において乗員頭部(H)の衝突方向(S)と略整列する向きとなるよう位置させた
    ことを特徴とする車両用ダクト。
  2. ルーフサイド部(10)に位置する車体構成部材(12)および該車体構成部材(12)に対し乗員室側から取付けられる車両内装部材(14)の間に画成される空間(16)内にその長手方向へ延在するよう配設され、前記車両内装部材(14)における短手方向の略中央に予測される被衝突部(C)へ乗員頭部(H)が衝突した際に圧潰して衝撃を吸収する車両用ダクト(30)であって、
    前記被衝突部(C)を境界とした前記空間(16)における一方の長手領域(16A)に前記車両用ダクト(30)を偏在させ、
    前記車両用ダクト(30)の側壁部(38)を、その長手方向に沿って波板状に形成すると共に、前記被衝突部(C)の背面において乗員頭部(H)の衝突方向(S)と略整列する向きとなるよう位置させ、
    前記空間(16)に画成された他方の長手領域(16B)に、エアバッグ装置の構成部品(50)等を格納させ得るよう構成した
    ことを特徴とする車両用ダクト。
  3. 前記側壁部(38)は、ダクト外側へ半円弧状に膨出する第1壁部(40)およびダクト内側へ半円弧状に膨出する第2壁部(42)が、その長手方向へ交互に連設されることで波板状に形成されている請求項1または2記載の車両用ダクト。
  4. 前記側壁部(38)は、ダクト外側へ多角形状に膨出する第1壁部(40)およびダクト内側へ多角形状に膨出する第2壁部(42)が、その長手方向へ交互に連設されることで波板状に形成されている請求項1または2記載の車両用ダクト。
  5. 前記第1壁部(40)の基準位置から第2壁部(42)の基準位置までのピッチ(P)は、14〜18mmに設定される請求項3または4記載の車両用ダクト。
  6. 前記側壁部(38)の短手方向の向き(Y)は、前記乗員頭部(H)の衝突方向(S)に対して30°の範囲内で整列するよう設定されている請求項1〜5の何れかに記載の車両用ダクト。
  7. 前記側壁部(38)の短手方向における略中間部位には、該側壁部(38)の長手方向へ延在する補強壁部(44)が設けられている請求項1〜6の何れかに記載の車両用ダクト。
  8. 前記車体構成部材(12)はルーフサイドレール部であり、前記車体内装部材(14)はルーフサイドガーニッシュである請求項1〜7の何れかに記載の車両用ダクト。
  9. 前記車体構成部材(12)はピラー部であり、前記車体内装部材(14)はピラーガーニッシュである請求項1〜7の何れかに記載の車両用ダクト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010235002A (ja) * 2009-03-31 2010-10-21 Kyoraku Co Ltd 車両用空調ダクト

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