JP6076161B2 - 車両 - Google Patents
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Description
このような車体構造を有する車両では、骨格部材が座屈して変形することにより衝突時の衝撃を吸収する(特許文献1)。骨格部材は、衝突時の入力を吸収するエネルギ吸収部材として機能する。そして、たとえばフロントサイドメンバおよびクラッシュボックスを、前方から入力される衝突力に耐える強度に形成することで、所定のフルラップ衝突やオフセット衝突に好適に対応できる。
たとえば、車両同士が車両の幅方向の一端部同士で衝突するスモールオーバラップ衝突がある。また、車両は、車両の幅方向の一端部に人体が接触する可能性もある。
そして、スモールオーバラップ衝突などでは、フロントサイドメンバやクラッシュボックスなどの骨格部材に対して、衝突による力が、骨格部材の延在方向からではなく、斜め方向から入力される可能性がある。この場合、骨格部材は、フルラップ衝突やオフセット衝突に対して発揮し得るエネルギ吸収性能と同等のエネルギ吸収性能を発揮できない可能性がある。たとえば、斜め方向から力が入力されることにより、骨格部材が倒れるように変形する可能性がある。倒れるように変形することにより、骨格部材は、たとえば折り畳まれるように変形できない可能性がある。
よって、たとえばスモールオーバラップ衝突により、骨格部材に対して所定の入力方向から傾いて力が入力されて、骨格部材が倒れるように変形し始めたとしても、倒れ始めた骨格部材は、第1変形抑制部材に当たる。骨格部材は、それ以上に倒れ難くなる。第1変形抑制部材により倒れ難くなるように変形が抑制された骨格部材は、所定の入力方向において座屈するように変形し易い。たとえばスモールオーバラップ衝突において骨格部材が所定の入力方向において座屈し、骨格部材による所望の衝撃吸収性能が得られる。
また、本発明では、骨格部材の内側に第1変形抑制部材を配置するだけでこのような効果を得ている。よって、新たな骨格部材を追加する場合のように大きな配置スペースを新たに確保することなく、車両について求められる制限を満たしつつ、フルラップ衝突やオフセット衝突以外の衝突による衝撃を好適に吸収できる。
図1(A)は、自動車1の前部を模式的に示す透視側面図である。
図1(B)は、衝突における自動車1の変位と、エネルギの吸収量との関係を示すグラフである。
Aピラー2は、乗車部とエンジン室とを仕切るダッシュボード55の左右両端に溶接される。Aピラー2は、ダッシュボード55とともに乗車部の前縁を構成する。
フロントサイドメンバ3は、たとえば鋼板を矩形枠形状に成形した中空の形状を有する。フロントサイドメンバ3は、ダッシュボード55の前面下部に溶接される。フロントサイドメンバ3は、ダッシュボード55の前面下部から、前方へ延在する。
クラッシュボックス4は、たとえば鋼板を矩形枠形状に成形した中空の形状を有する。クラッシュボックス4は、フロントサイドメンバ3の前側の先端に、ネジ等により取り付けられる。
フロントバンパビーム5は、一対のクラッシュボックス4の前側の先端に、ネジ等により取り付けられる。フロントバンパビーム5は、一対のクラッシュボックス4の間を橋渡す。
フロントクロスメンバ6は、一対のフロントサイドメンバ3の下側に、ネジ等により取り付けられる。フロントクロスメンバ6は、一対のフロントサイドメンバ3の間を橋渡す。
フロントアッパメンバ7は、Aピラー2に溶接される。フロントアッパメンバ7は、Aピラー2の縦方向中央部から、前側へ突出する。
このような車体構造を有する自動車1は、エンジン室に、トランスミッションが一体化されたエンジン71、ラジエタ72、その他の設備品が搭載される。エンジン71は、一対のフロントサイドメンバ3およびフロントクロスメンバ6に、ネジ等により取り付けられる。ラジエタ72は、たとえばラジエタ72フレームを用いて、フロントバンパビーム5の後側に、ネジ等により取り付けられる。
フロントクロスメンバ6は、一対の車輪を駆動する駆動軸が設けられる。一対の車輪は、フロントクロスメンバ6についての左右両端の外側に配置される。
他の自動車1などと衝突した場合、クラッシュボックス4、フロントサイドメンバ3などの骨格部材が座屈し、変形する。衝突による自動車1の座屈量は、図1(B)では横軸の変位量として示される。図1(B)の縦軸は、衝突エネルギの吸収量(荷重)である。図1(B)の吸収特性曲線Aは、各変位状態での吸収量を示す。衝突時の入力が大きいほど、自動車1は大きく座屈する。図1(A)の自動車1の場合、衝突時の入力の大きさに応じて、自動車1は変形する。図1(B)において、自動車1の変形によるエネルギの総吸収量は、吸収特性曲線Aの下側の面積に対応する。
たとえば衝突時の入力が小さい場合、自動車1は、吸収特性曲線Aの第1山の部分により、衝突エネルギを吸収できる。この場合、フロントバンパビーム5および一対のクラッシュボックス4が変形する。
これに対して、たとえば衝突時の入力が大きい場合、自動車1は、吸収特性曲線Aの第1山の部分および第2山の部分により、衝突エネルギを吸収できる。この場合、フロントバンパビーム5および一対のクラッシュボックス4だけでなく、一対のフロントサイドメンバ3が変形する。
このように骨格部材は、衝突時の入力を吸収するエネルギ吸収部材として機能する。
図2(A)は、自動車1の車体幅の全体で自動車1同士が正面衝突するフルラップ衝突の説明図である。
図2(B)は、自動車1の車体幅の半分でずれて自動車1同士が衝突するオフセット衝突の説明図である。
図2(C)は、自動車1の車体の端部で自動車1同士が衝突するスモールオーバラップ衝突の説明図である。
自動車1は、運転者の操作に従って走行するので、時として衝突することがある。
この場合、クラッシュボックス4およびフロントサイドメンバ3に対して、それらの延在方向(前後方向)から、衝突の力が入力される。クラッシュボックス4およびフロントサイドメンバ3は、前後方向に座屈し、図1(B)に示す衝撃の吸収性能を発揮できる。
クラッシュボックス4およびフロントサイドメンバ3に対しては、略それらの延在方向に沿った方向から、衝突の力が入力される。クラッシュボックス4およびフロントサイドメンバ3は、略前後方向に座屈し、図1(B)に示す衝撃の吸収性能を略発揮できる。
各々のフロントバンパビーム5は、フロントサイドメンバ3についての左右方向の外側の部分において、互いに当たる。クラッシュボックス4およびフロントサイドメンバ3に対しては、それらの延在方向に対して斜めに傾いた方向から、衝突の力が入力される。この場合、クラッシュボックス4およびフロントサイドメンバ3は、たとえば倒れるように変形し、図1(B)に示す衝撃の吸収性能を発揮できない可能性がある。
しかしながら、図2(C)のスモールオーバラップ衝突に対しては、クラッシュボックス4およびフロントサイドメンバ3は、図1(B)に示す衝撃の吸収性能を十分に発揮できるとは言い難い。
また、自動車1では、フロントバンパビーム5の左右方向の端部が、人体や構造物と接触することがある。この場合にも、クラッシュボックス4およびフロントサイドメンバ3は、図1(B)に示す衝撃の吸収性能を十分に発揮できるとは言い難い。
自動車1には、フルラップ衝突やオフセット衝突以外の衝突に対しても衝撃を好適に吸収できるように、さらに改善することが求められる。
たとえば、自動車1には、長さなどのサイズについて、法令などによる制約がある。クラッシュボックス4またはフロントサイドメンバ3を、法令の制約を超えて長く形成することは難しい。
また、クラッシュボックス4などの骨格部材の周囲には、たとえばラジエタ72、エンジン71などの他の部材を配置する必要がある。骨格部材の周囲に、新たな骨格部材を追加するための十分なスペースが確保できないことがある。
この他にもたとえば、自動車1には、デザイン上の制約がある。自動車1にとってデザインは重要である。クラッシュボックス4またはフロントサイドメンバ3を、自動車1のデザインに悪影響を及ぼす長さや形状に形成することは難しい。クラッシュボックス4などの骨格部材の周囲に、デザインに影響を及ぼすことなく新たな部材を配置することが難しいことがある。
この他にもたとえば、自動車1では、自動車1の組立容易性も重要である。クラッシュボックス4およびフロントサイドメンバ3以外の他の部材を追加することは、自動車1の組立性に影響を与える。
また、自動車1の車体構造を新たに設計する場合、その設計および評価を最初から見直す必要がある。既存の車体構造に関する設計資産を活用できなくなる。その結果、開発期間が長くなる。
このように、自動車1には、衝撃吸収性能だけでなく、その他の各種の制限をクリアすることが求められる。
図3(A)は、クラッシュボックスモジュール10の側面図である。図3(A)には、フロントサイドメンバ3およびフロントバンパビーム5が、図示されている。
図3(B)は、クラッシュボックスモジュール10の断面図である。
図3のクラッシュボックスモジュール10は、主骨格部材11、内枠部材12、第1フランジ13、第2フランジ14を有する。主骨格部材11、内枠部材12、第1フランジ13、第2フランジ14は、たとえば鉄、アルミニウムなどの金属または合金で形成してよい。
図3のクラッシュボックスモジュール10は、フロントサイドメンバ3の先端に、ネジ等により取り付けられる。また、クラッシュボックスモジュール10の前には、フロントバンパビーム5が、ネジ等により取り付けられる。
図3のクラッシュボックスモジュール10は、図1のクラッシュボックス4の替わりに、フロントサイドメンバ3とフロントバンパビーム5との間に取り付けられる。
第1フランジ13には、内枠部材12が取り付けられる。内枠部材12は、第1フランジ13についての、主骨格部材11の内側となる部分に溶接される。その結果、第1フランジ13には、主骨格部材11の一端と、内枠部材12の一端とが取り付けられる。内枠部材12は、主骨格部材11の内側に配置される。
第2フランジ14についての、主骨格部材11の内側となる部分は、第1フランジ13に取り付けられた内枠部材12の先端縁と離間して対向する。
図4は、主骨格部材11の延在方向から、衝突の力が入力される例である。
図4(A)は、入力開始時点の状態の説明図である。図4(B)は、主骨格部材11が座屈してその中側面が内枠部材12の内側面に当たり始めた状態の説明図である。図4(C)は、主骨格部材11の座屈が進んで、第2フランジ14が内枠部材12の先端縁に当たる状態の説明図である。図4(D)は、主骨格部材11とともに内枠部材12が座屈している状態の説明図である。図4(E)は、主骨格部材11および内枠部材12が完全に座屈した状態の説明図である。
具体的にはたとえば、図4(B)に示すように主骨格部材11がまず座屈し初める。座屈に伴う変形により、主骨格部材11は中央部分が内側へ凹む。座屈し始めた主骨格部材11の内側面の中央部分は、内枠部材12の外側面に当たる。
さらに力が加えられると、図4(C)に示すように主骨格部材11の座屈が進む。主骨格部材11は、内枠部材12の周囲で座屈する。座屈が進む主骨格部材11は、内枠部材12の周囲において折り畳まれるように座屈する。第2フランジ14は、内枠部材12の先端縁に当たる。第2フランジ14に対して入力される力は、内枠部材12に対しても直接に作用し始める。
さらに力が加えられると、主骨格部材11だけでなく、図4(D)に示すように内枠部材12も座屈し始める。
さらに力が加えられると、図4(E)に示すように主骨格部材11の座屈および内枠部材12の座屈が進む。主骨格部材11および内枠部材12は、入力される力により、完全に座屈する。
さらに力が加えられる場合、クラッシュボックスモジュール10は、主骨格部材11および内枠部材12の変形により力を吸収することができないため、図3に示すフロントサイドメンバ3が座屈し始める。フロントサイドメンバ3は、座屈しながら衝撃を吸収する。
この結果、図3のクラッシュボックスモジュール10をフロントサイドメンバ3とフロントバンパビーム5との間に接続することにより、主骨格部材11の延在方向から入力される力に対して、図1(B)の衝撃の吸収特性を得ることができる。
図5は、主骨格部材11の延在方向に対して傾いた斜め方向から、衝突の力が入力される例である。
図5(A)は、入力開始時点の状態の説明図である。図5(B)は、主骨格部材11が座屈してその内側面が内枠部材12に当たり始めた状態の説明図である。図5(C)は、主骨格部材11の座屈が進んで、第2フランジ14が内枠部材12の先端縁に当たる状態の説明図である。図5(D)は、主骨格部材11とともに内枠部材12が座屈している状態の説明図である。図5(E)は、主骨格部材11および内枠部材12が完全に座屈した状態の説明図である。
具体的にはたとえば、図5(B)に示すように主骨格部材11は、斜め方向からの力により、倒れるように座屈し初める。倒れるように座屈し始めた主骨格部材11の内側面は、内枠部材12の先端縁に当たる。倒れ始めた主骨格部材11は、それ以上に倒れないように、内枠部材12により支えられた状態になる。
さらに力が加えられると、図5(C)に示すように主骨格部材11の座屈が進む。主骨格部材11は、内枠部材12の周囲で座屈する。座屈し始めにおいて斜めに倒れるように変形し始めていた主骨格部材11は、内枠部材12の周囲で折り畳まれるように座屈し始める。第2フランジ14が、内枠部材12の先端縁に当たる。第2フランジ14に対して入力される力は、内枠部材12に対しても直接に作用し始める。
さらに力が加えられると、主骨格部材11だけでなく、図5(D)に示すように内枠部材12も座屈し始める。この際、主骨格部材11は、引続き、内枠部材12の周囲で折り畳まれるように座屈する。
さらに力が加えられると、図5(E)に示すように主骨格部材11の座屈および内枠部材12の座屈が進む。主骨格部材11および内枠部材12は、入力される力により、完全に座屈する。
この図5(D)から図5(E)の座屈状態は、図4(D)から図4(E)の座屈状態と略同じになる。
さらに力が加えられる場合、クラッシュボックスモジュール10は、主骨格部材11および内枠部材12の変形により力を吸収することができないため、図3に示すフロントサイドメンバ3が座屈し始める。フロントサイドメンバ3は、座屈しながら衝撃を吸収する。
この結果、図3のクラッシュボックスモジュール10をフロントサイドメンバ3とフロントバンパビーム5との間に接続することにより、主骨格部材11の延在方向に対して斜め方向から入力される力に対して、図1(B)の衝撃の吸収特性を得ることができる。
よって、本実施形態のクラッシュボックスモジュール10は、スモールオーバラップ衝突に対しても、フルラップ衝突やオフセット衝突と同等の衝撃の吸収特性を得ることが可能である。
特に、本実施形態のクラッシュボックスモジュール10は、クラッシュボックス4と同等の中空の主骨格部材11の内側に、主骨格部材11と離間させて内枠部材12を配置するので、主骨格部材11の側面を、衝突時の入力方向にかかわらず、変形前の主骨格部材11の延在方向へ座屈するように変形させることができる。衝突時の衝撃力が主骨格部材11の延在方向からずれて入力され、主骨格部材11がその延在方向から倒れるように変形し始めても、倒れ始めた主骨格部材11が内枠部材12に当たり、主骨格部材11の倒れが抑えられる。その後の主骨格部材11は、内枠部材12の周囲で折り畳まれるように座屈しやすい。主骨格部材11は、衝突時の力の入力方向がその延在方向からずれていたとしても、フルラップ衝突またはオフセット衝突の場合と同等に変形しやすい。
たとえばスモールオーバラップ衝突や人体との接触の場合のように、主骨格部材11に対する衝突時の衝撃力の入力方向が、たとえばフルラップ衝突またはオフセット衝突での衝撃力の入力方向からずれていたとしても、主骨格部材11の完全な変形状態は、フルラップ衝突またはオフセット衝突と同じようになりやすい。
よって、主骨格部材11は、スモールオーバラップ衝突や人体との接触に対して、フルラップ衝突またはオフセット衝突と同じような衝撃吸収能力を発揮できる。
また、中空の主骨格部材11の内部に内枠部材12を配置することによりこのような効果を得ているので、主骨格部材11の外側に新たな配置スペースを確保する必要がない。特に、クラッシュボックスモジュール10やフロントサイドメンバ3の周囲には、エンジン71等が密に配置されるため、骨格部材の周囲に新たな配置スペースを確保することが難しい。
また、主骨格部材11自体を従来のクラッシュボックス4と同等の構成としつつ、上記効果を得ることができる。自動車1に求められる制限を満たすように主骨格部材11を構成しつつ、フルラップ衝突やオフセット衝突以外の衝突に対しても衝撃を好適に吸収できる。たとえば主骨格部材11の長さをクラッシュボックス4の長さから変更することなく、スモールオーバラップ衝突や人体との接触に対して、フルラップ衝突やオフセット衝突と同等の衝撃吸収性能が得られる。
これに対して、仮にたとえば内枠部材12が主骨格部材11と同じ長さに形成されている場合、主骨格部材11が変形し始めると略同時に内枠部材12が変形し始める。内枠部材12が変形することにより、変形し始めた主骨格部材11が内枠部材12と当たり難くなる。主骨格部材11が内枠部材12に当たることによる、倒れ規制の効果が得られない。また、所望の衝撃吸収能力が得られない。
また、内枠部材12は、主骨格部材11により外側から抑えられながら変形し始める。内枠部材12は、内側へ向かって変形しやすい。主骨格部材11が完全に変形した状態では、内枠部材12は内側へ折り畳まれた状態で変形しやすい。完全に変形した内枠部材12と、完全に変形した主骨格部材11とは、互いに重なり難くなる。完全に変形した状態において内枠部材12と主骨格部材11との重なりを抑え、クラッシュボックスモジュール10が完全に変形した状態における変形の残り代の増加を抑制できる。
また、内枠部材12と主骨格部材11とが第1フランジ13により一体化されているので、主骨格部材11を他の部材に取り付けるだけで内枠部材12を所望の位置に配置できる。内枠部材12を追加したことによる組み立て工数の増加を抑制できる。
また、第2フランジ14が内枠部材12の先端縁に対して全体的に当たった状態では、内枠部材12が第2の内枠部材16として機能する。第2フランジ14は、衝突時の大きい入力に基づいて、第2の内枠部材16を押しつぶすように変形させる。フルラップ衝突やオフセット衝突での大きい入力に対して、高い衝撃吸収能力を得ることができる。
この他にもたとえば、図6(A)に示すように、主骨格部材11の内側に、複数の内枠部材12を順番に入れ子状に並べて配置してよい。図6(A)では、主骨格部材11の内側に、枠形状の第1の内枠部材12を配置し、第1の内枠部材12の内側に、枠形状の第2の内枠部材16を配置している。また、第2の内枠部材16は、第1の内枠部材12より短く、第2の内枠部材16は、主骨格部材11より短い。この場合、主骨格部材11より押されて第1の内枠部材12が倒れるように変形するとしても、第2の内枠部材16により倒れの増加を抑えることができる。段階的に吸収力を変化させることができる。
この他にもたとえば、主骨格部材11の外側に、主骨格部材11と離間させて、主骨格部材11の延在方向に沿って延びる外枠部材を併せて配置してもよい。
この他にもたとえば、内枠部材12の一部が、主骨格部材11と接触してもよい。
また、内枠部材12と主骨格部材11との間に、ゴムなどの軟質部材を介在させてもよい。これらの場合でも、本実施形態と同等の効果を期待できる。
この他にもたとえば、図6(B)または(C)に示すように、主骨格部材11の板厚を変化させるようにしてもよい。
図6(B)の主骨格部材11は、その延在方向における両端部の内面と中央部の外面とに、周方向に沿った溝が形成される。溝が形成された部位は、変形し易い脆弱部17として機能する。これにより、主骨格部材11の変形し初めの変形形状が一定のものになることを期待できる。図6(B)の主骨格部材11では、中央部が内側へ凹むむように変形し始めることを期待できる。主骨格部材11についての凹む部位を限定できる。主骨格部材11が中央部で凹むことにより、変形した主骨格部材11が短い内枠部材12の内面に確実に当たることを期待できる。
図6(C)の主骨格部材11は、その延在方向における両端部の外面に、周方向に沿ったリブが形成される。リブが形成された部位は、変形し易い補強部18として機能する。これにより、主骨格部材11の変形し初めの変形形状が一定のものになることを期待できる。図6(C)の主骨格部材11では、中央部が内側へ凹むように変形し始めることを期待できる。主骨格部材11の広がる部位を限定できる。主骨格部材11が中央部で膨らむことにより、変形した主骨格部材11が短い内枠部材12の内面に確実に当たることを期待できる。
図6は、実施形態に係るクラッシュボックスモジュール10の変形例を示す断面図である。図6(A)から(C)は、図3(B)に対応する。
図7および図8は、自動車1の車体構造の一例を示す図である。図7は、斜め上方から見た斜視図である。図8は、下方から見た下面図である。
図7および図8に示す車体では、乗車部のフロアパネル51の下に、フロアパネル51の左右両端縁とセンタートンネル53との間で前後方向へ延びる一対のフロアーメンバ52が設けられる。フロアパネル51の上には、フロアパネル51の左右両端縁に渡るフロアクロスメンバ54が設けられる。フロアーメンバ52とフロアクロスメンバ54とは、フロアパネル51を介して連結される。
フロアパネル51の前縁上には、ダッシュボード55が立設される。ダッシュボード55は、乗車部とエンジン室とを仕切る。ダッシュボード55の前面には、一対のフロントサイドメンバ3が前側へ突出させて取り付けられる。一対のフロントサイドメンバ3の先端部にラジエタパネル56、フロントバンパビーム5が取り付けられる。一対のフロントサイドメンバ3の後端は、一対のフロアーメンバ52の前端と連結される。
ダッシュボード55の左右両端縁には、一対のAピラー2が取り付けられる。一対のAピラー2には、一対のフロントアッパメンバ7がAピラー2から前方へ突出させて設けられる。Aピラー2には、図示外のフロントドアが開閉可能に取り付けられる。フロントドア内には、フロントドアビーム、フロントドアクロスメンバが設けられる。
フロアパネル51の左右両端縁には、一対のサイドシル57が設けられる。一対のサイドシル57の前端は、トルクボックス構造の鋼板により、一対のフロントサイドメンバ3または一対のフロアーメンバ52と結合される。一対のサイドシル57は、フロアクロスメンバ54により連結される。
フロアパネル51の後端縁上には、乗車部と荷物室とを仕切るリアバルクヘッド58が立設される。リアバルクヘッド58の左右両端縁に、一対のCピラー59が取り付けられる。
一対のAピラー2の上端と一対のCピラー59の上端との間に、一対のルーフサイドレール60が取り付けられる。一対のルーフサイドレール60の間には、ルーフクロスメンバ61が左右方向に延在して設けられる。一対のルーフサイドレール60は、ルーフクロスメンバ61により連結される。サイドシル57の中央部とルーフサイドレール60の中央部との間に、Bピラー62が設けられる。サイドシル57とルーフサイドレール60とは、Bピラー62により連結される。一対のBピラー62には、図示外の一対のリアドアが取り付けられる。リアドア内には、リアドアビーム、リアドアクロスメンバが設けられる。
一対のサイドシル57の後端には、一対のリアサイドメンバ63の前端が連結される。一対のリアサイドメンバ63は、リアバルクヘッド58から後方へ向かって突出する。リアサイドメンバ63の後端部に、図示外のリアバンパービームが取り付けられてよい。
このような複数の骨格部材には、鋼板が溶接される。たとえば、Aピラー2とフロントアッパメンバ7との間に、リインフォースメント用の鋼板65が取り付けられる。また、車体には、外板として、たとえばボンネットフード板、左右のフェンダー板、トランクリッド板、ルーフ板などが取り付けられる。これにより、自動車1が完成する。なお、複数の骨格部材は、溶接またはねじ止めにより連結できる。
本発明は、このような自動車1の各骨格部材に適用できる。たとえば、フロントサイドメンバ3としての骨格部材の内側に内枠部材12を設けてよい。また、フロントアッパメンバ7としての骨格部材の内側に内枠部材12を設けてよい。
これらの場合でも、自動車1に求められる各種の制限を満たしながら、フルラップ衝突やオフセット衝突以外の衝突に対しても好適に衝撃を吸収する、ようにできる。
10 クラッシュボックスモジュール
11 主骨格部材(骨格部材)
12 内枠部材(第1変形抑制部)
13 第1フランジ
14 第2フランジ
16 第2の内枠部材(第2変形抑制部)
17 脆弱部
18 補強部
Claims (6)
- フルラップ衝突またはオフセット衝突において所定の入力方向から力が入力される骨格部材を有し、前記骨格部材が前記所定の入力方向に座屈することにより衝撃吸収性能を発揮する、車両であって、
前記骨格部材を中空とし、
前記骨格部材についての前記所定の入力方向についての入力の反対側である一端に、前記骨格部材を他の部材に連結する第1フランジを固定し、
中空の前記骨格部材の内側に、前記所定の入力方向に沿って延びる第1変形抑制部材を配置し、
前記第1変形抑制部材は、前記第1フランジに立設し、前記骨格部材と離間させて固定される、
車両。 - 前記第1変形抑制部材は、前記所定の入力方向における長さが、前記骨格部材より短い、
請求項1記載の車両。 - 前記骨格部材についての前記所定の入力方向での入力側に固定され、前記骨格部材を他の部材に連結する第2フランジを有し、
前記第2フランジは、前記所定の入力方向において、前記第1変形抑制部材の先端縁と離間して対向する、
請求項1または2記載の車両。 - 前記第1変形抑制部材は、筒形状に形成される、
請求項1から3のいずれか一項記載の車両。 - 前記第1変形抑制部材の内側に、前記第1変形抑制部材と離間させて、前記所定の入力方向に沿って延びる第2変形抑制部材を配置する、
請求項1から4のいずれか一項記載の車両。 - 前記骨格部材は、
前記所定の入力方向における少なくとも一部に、他の部分よりつぶれ易く形成された脆弱部、または他の部分よりつぶれ難く形成された補強部、を有する、
請求項1から5のいずれか一項記載の車両。
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