JP5482558B2 - 前部車体構造 - Google Patents

前部車体構造 Download PDF

Info

Publication number
JP5482558B2
JP5482558B2 JP2010177752A JP2010177752A JP5482558B2 JP 5482558 B2 JP5482558 B2 JP 5482558B2 JP 2010177752 A JP2010177752 A JP 2010177752A JP 2010177752 A JP2010177752 A JP 2010177752A JP 5482558 B2 JP5482558 B2 JP 5482558B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vehicle
shock absorbing
load
absorbing member
front side
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010177752A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2012035759A (ja
Inventor
達矢 ▲高▼橋
佑樹 谷上
修実 大野
志郎 中谷
実 下森
孝一 中野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2010177752A priority Critical patent/JP5482558B2/ja
Publication of JP2012035759A publication Critical patent/JP2012035759A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5482558B2 publication Critical patent/JP5482558B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

この発明は、車両前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームを備えた前部車体構造に関する。
従来より、車室内の乗員を確実に保護するという観点から、車両前突時の衝撃を車両前部でいかにして吸収するかが課題となっており、この課題を解決すべく、今日までに様々な構造が提案されている。
そのうち、下記特許文献1では、車両前突時に後退するエンジンが前輪サスペンション用のサブフレームを構成するクロスメンバ部を折り曲げることにより、該クロスメンバ部をサイドメンバ部から離脱させ、これを契機としてフロントサイドフレームを折り曲げるようにしたものが開示されている。
また、下記特許文献2では、フロントサイドフレーム(メンバ)前端部の圧縮変形によって衝撃を吸収すると共に、車両前突によって駆動ユニットが後退した時にサブフレームに入力される荷重を、該サブフレームの傾斜部を介して車体骨格部材に伝達、分散させるようにしたものが開示されている。
特開2002−255059号公報 特開2003−118632号公報
ここで、上記特許文献1に開示された従来技術は、フロントサイドフレームの折れ曲がりによって衝撃を吸収しようとするものであるが、フロントサイドフレームの折れ曲がりだけでは、上記衝撃を車両前部で十分に吸収できない場合があり、必ずしも効果的とは言えなかった。
また、上記特許文献2に開示された従来技術は、あくまでも車両前部で吸収しきれなかった衝突荷重(衝撃)を車体後部へ伝達、分散させることを主目的としており、車両前部での衝撃吸収に関して言えば、フロントサイドフレーム(メンバ)前端部の圧縮変形によって衝撃をわずかに吸収しているに過ぎない。
この発明は、車両前突時の衝撃をより効果的に吸収することができる前部車体構造を提供することを目的とする。
この発明の前部車体構造は、車両前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームを備えた車両の前部車体構造であって、上記フロントサイドフレームは、車両前方からの荷重入力時に車両内側への折れ曲がりを可能とする折れ構造を有しており、上記左右一対のフロントサイドフレームの間には、該フロントサイドフレームから車両内側且つ後方に向かって延びると共に、上記荷重入力時に上記フロントサイドフレームの車両内側への折れ曲がりに伴って収縮することにより衝撃を吸収する一対の衝撃吸収部材を備えたものである。
この構成によれば、フロントサイドフレームが折れ曲がった時には、フロントサイドフレームの折れ曲がりそのものによって車両前突時の衝撃を吸収するだけでなく、衝撃吸収部材の収縮によっても上記衝撃を吸収することができ、フロントサイドフレーム、衝撃吸収部材の協働によって衝撃を効果的に吸収することができる。
この発明の一実施態様においては、上記左右一対のフロントサイドフレームの後方に一対のフロアフレームが設けられており、前端部が、上記左右一対のフロントサイドフレームの一方側に位置する上記衝撃吸収部材に連結され、後端部が、他方側に位置する上記フロアフレームに連結されることにより、上記一方側の衝撃吸収部材に入力された荷重を、上記他方側のフロアフレームへ伝達する伝達部材を備えたものである。
この構成によれば、一方のフロントサイドフレームに入力された荷重を、衝撃吸収部材と伝達部材とによって他方側のフロアフレームにも伝達、分散させることができ、上記荷重をより広範囲に亘って分散させることができる。
この発明の一実施態様においては、上記一対の衝撃吸収部材の後端部同士を車幅方向で連結する連結部材を備えており、上記伝達部材の前端部が、上記連結部材に連結され、後端部が、上記フロアフレームに連結されることにより、上記一方側の衝撃吸収部材に入力された荷重を、該衝撃吸収部材、上記連結部材、及び上記伝達部材を介して上記他方側のフロアフレームへ伝達可能にしたものである。
この構成によれば、一方のフロントサイドフレームに入力された荷重を、衝撃吸収部材、連結部材、伝達部材を介して確実に他方側のフロアフレームに伝達させることができる。
この発明の一実施態様においては、上記連結部材の、上記衝撃吸収部材と連結される面が、該衝撃吸収部材からの荷重入力方向に対して直交する方向に延びているものである。
この構成によれば、連結部材は、衝撃吸収部材から入力される荷重を真正面で受け止めることができ、該荷重を確実に連結部材に伝達させることができる。
この発明の一実施態様においては、上記連結部材の、上記伝達部材と連結される面が、該伝達部材への荷重入力方向に対して直交する方向に延びているものである。
この構成によれば、伝達部材は、連結部材から入力される荷重を真正面で受け止めることができ、該荷重を確実に伝達部材に伝達させることができる。
この発明の一実施態様においては、上記フロントサイドフレームが、車両前方からの荷重入力時に軸方向に圧縮することで衝撃吸収可能なクラッシュ領域と、該クラッシュ領域よりも後方に設けられ、荷重入力時に車両内側へ折れ曲がるベンド領域とから構成されるものである。
この構成によれば、荷重の入力初期の段階では、先ずクラッシュ領域にて衝撃を吸収でき、その後は、該衝撃をベント領域で確実に吸収することができる。
この発明の一実施態様においては、上記衝撃吸収部材の前端部が、上記ベンド領域に連結されているものである。
この構成によれば、ベント領域が車両内側に折れ曲がった時、衝撃吸収部材を確実に収縮させることができるため、衝撃吸収部材で確実に衝撃を吸収することができる。
この発明の一実施態様においては、上記衝撃吸収部材が、上記ベンド領域のうち、荷重入力によって該ベント領域が折れ曲がった時に最も車両内側に位置する頂点となる位置の近傍に連結されるものである。
この構成によれば、ベント領域が車両内側に折れ曲がった時、衝撃吸収部材をより確実に圧縮変形させつつ、圧縮変形時の圧縮幅をより大きくすることができる。このため、衝撃吸収部材による衝撃吸収をより確実に行うことができる。
この発明の一実施態様においては、上記衝撃吸収部材を、上記クラッシュ領域よりも収縮し易い構造にしたものである。
上述したように、衝撃吸収部材をフロントサイドフレームから車両内側且つ後方に向かって延びるように配設した場合、この衝撃吸収部材は、フロントサイドフレームにおける荷重入力方向に対して斜めに延設されることになる。この場合、フロントサイドフレームから分岐して衝撃吸収部材に入力される荷重の分力が小さくなることから、衝撃吸収部材では圧縮変形が十分に行われない可能性がある。
この構成によれば、衝撃吸収部材を、フロントサイドフレームのクラッシュ領域よりも容易に圧縮変形できるようにすることで、小さな分力であっても衝撃吸収部材を確実に圧縮変形させることができ、衝撃吸収部材による衝撃吸収を確実に行うことができる。
この発明によれば、フロントサイドフレームが折れ曲がった時には、フロントサイドフレームの折れ曲がりそのものによって車両前突時の衝撃を吸収するだけでなく、衝撃吸収部材の収縮によっても上記衝撃を吸収することができ、フロントサイドフレーム、衝撃吸収部材の協働によって衝撃を効果的に吸収することができる。
この発明の実施形態に係る前部車体構造を示す平面図。 図1の側面図。 連結部材に衝撃吸収部材、荷重伝達部材を連結した状態を示す側面図。 車両の前突時の状態を示す平面図であり、障害物と正面衝突した状態を示す図。 図4の側面図。 車両の前突時の状態を示す平面図であり、車両の左側前部が障害物とオフセット衝突した状態を示す図。 この発明の他の実施形態に係る前部車体構造を示す平面図。
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本発明の実施形態に係る前部車体構造を示す平面図であり、図2は、同側面図である。なお、図中において矢印(F)は車体前方、矢印(R)は車体後方を示す。
本実施形態に係る車両Vは、図1に示すように前側に衝撃吸収空間1が設けられている。該衝撃吸収空間1は、例えば、車両Vがエンジンを搭載する車両であれば、エンジンルームに設定され、エンジン及びトランスミッションからなるパワープラントが搭載される。一方、電気自動車や燃料電池自動車のようにエンジンを搭載しない車両であれば、荷室空間に設定されるか、または衝撃吸収空間1の車両前後方向の長さが縮小され、前輪よりも前側のオーバーハング長が短く設定される。
衝撃吸収空間1の後側は、ダッシュパネル2によって仕切られており、このダッシュパネル2の後側が車室3とされ、その車室3の下側はフロアパネル4によって仕切られている。このフロアパネル4は、ダッシュパネル2の下端縁部から、後方へ向かって下方へ傾斜して車体の下端部まで達した後に、そこから略水平に後方へ延びるように形成され、その車幅方向両端縁部には、図1、図2示すように、該縁部に沿って延びるサイドシル5がそれぞれ設けられている。
そして、サイドシル5の前端部には、後述する開口部6を開閉可能に覆うドアを支持するためのヒンジピラー7が設けられると共に、該ヒンジピラー7の上端部からは、車両後方に向かってフロントピラー8が延びている。車両Vでは、これらサイドシル5、ヒンジピラー7、フロントピラー8等により、前席の乗員が乗降するための開口部6が形成されている。
また、衝撃吸収空間1の車幅方向両側には、ダッシュパネル2からそれぞれ車両前方へ突出して延びる左右一対のフロントサイドフレーム9、9が設けられている。この左右一対のフロントサイドフレーム9、9は、それぞれ略矩形状の閉断面を有し、車体の下端部からフロアパネル4の傾斜部に沿って前方の衝撃吸収空間1まで延びている。なお、図2では、左右一対のフロントサイドフレーム9、9のうち手前側(車両左側)のフロントサイドフレーム9の図示を省略しており、奥側(車両右側)のフロントサイドフレーム9のみを示している。
上述した左右一対のフロントサイドフレーム9、9は、図1、図2に示すように、その車体内方の側面において、車両前後方向中間部及び後端部に、それぞれ上下に亘って車両外側に窪んだ折曲予定部としてのビード9a、9bが形成されると共に、車体外方の側面には、ビード9a、9bとの間の位置に、上下及び車両前後方向に亘って車両内側に窪んだ折曲予定部としてのビード9cが形成されている。
フロントサイドフレーム9では、ビード9aより前側の部位が、車両前方からの衝突荷重入力時に軸方向に圧縮変形するクラッシュ領域9Aにより構成される一方、ビード9aより後側、つまりはクラッシュ領域9Aの後側の部位が、車両前方からの衝突荷重入力時に車幅方向外側に折れ曲がるベント領域9Bにより構成されている。
また、左右一対のフロントサイドフレーム9、9の後端側は、図1に示すようにフロアパネル4の下面に沿って後方へ延びるように設けられた左右一対のフロアフレーム10、10の前端側にそれぞれ連続している。このフロアフレーム10、10は、上方が開放したコ字状断面を有し、その上端部が前記フロアパネル4の下面に接合されている。また、左右一対のフロアフレーム10、10に挟まれた略中央位置に対応するフロアパネル4には、その前端から後端に亘るように車室3側へ向かって膨出したフロアトンネル部11が形成されている。
一方、前記フロントサイドフレーム9、9のそれぞれの前端側には、車幅方向及び上下方向にそれぞれ延出した矩形のフランジ部12、12が設けられている。このフランジ部12、12には、後端部にこのフランジ部12、12と略同形状のフランジ部13、13を有するクラッシュボックス14、14が取付けられている。
また、クラッシュボックス14、14は、前側ほど小さい矩形断面を有するように形成され、車両前突時の衝撃により車両前方から圧縮荷重が入力されると、車両前後方向に圧縮変形し、このことにより衝撃を吸収するものである。このクラッシュボックス14、14は、フロントサイドフレーム9、9の前端部分、さらに詳しく言えばクラッシュ領域9Aの前端部分の一部を形成している。
さらに、この左右両側のクラッシュボックス14、14の前端部には、バンパーレインフォースメント15の車幅方向両端部がそれぞれ固定されている。本実施形態では、主にダッシュパネル2、左右一対のフロントサイドフレーム9、9、及びバンパーレインフォースメント15により衝撃吸収空間1が区画されている。
また、本実施形態では、衝撃吸収空間1内のフロントサイドフレーム9、9間に左右一対の衝撃吸収部材16、16が設けられている。この衝撃吸収部材16、16は、車両外側の端部が、ベント領域9Bに連結されており、さらに詳しく言えばビード9a、9b間に位置するビード9cの近傍であって、図示のように車両前後方向においてビード9cと対応する位置に連結されている。
そして、衝撃吸収部材16は、それぞれベント領域9Bから車両内側且つ後方に延び、その後端部は、ダッシュパネル2の前方に位置する連結部材17により車幅方向で連結されている。
ここで、衝撃吸収部材16、16の後端部同士を連結する連結部材17には、さらに左右一対の荷重伝達部材18、18が連結されている。荷重伝達部材18、18は、その前端部が連結部材17を介して衝撃吸収部材16、16に連結される一方、車両後方且つ車両外側に延びて後端部がそれぞれフロアフレーム10、10に連結されている。なお、図1、図2に示す部材19は、荷重伝達部材18の後端部とフロアフレーム10の底面部とを連結している連結具であり、例えば、ボルト、ナット等により構成される。
図3は、連結部材17に衝撃吸収部材16、荷重伝達部材18を連結した状態を示す側面図である。連結部材17は、略断面ハット状をなす上部材17Aと下部材17Bとにより構成されており、図3に示すように上部材17Aの下縁部に形成されたフランジ部17a1〜17a3と、下部材17Bの上縁部に形成された17b1〜17b3とを接合することにより一体化されている。
ここで、連結部材17を構成する上部材17Aでは、図3に示すように上面部17cから側面部17d1〜17d3が略垂直に延びている。一方、下部材17Bでは、底面部17eから一部の側面部17f1、17f3が垂直に延び、その他の一部の側面部17f2が上方且つ後方に延びている。
また、車両前方の側面部17d1、17f1については、これが平面視で車両内側且つ前方に延び、さらには、車両後方の側面部17d2、17f2が、車両内側且つ後方に延びている。
ところで、連結部材17に連結される衝撃吸収部材16は、図3に示すように略断面ハット状をなす上部材16Aと下部材16Bとにより構成されており、両端のフランジ部16a1、16b1、及びフランジ部16a2、16b2を接合することにより、筒状をなしている。
そして、衝撃吸収部材16を構成する上部材16A、下部材16Bは、その上面部16c、下面部16dの前後端部において上下に延出した延出部16e〜16hを有しており、このうち、延出部16e、16fは、ボルト、ナット等の連結具20により、フロントサイドフレーム9のベント領域9Bに連結され、延出部16g、16hは、ボルト、ナット等の連結具21により、連結部材17を構成する上部材17Aの側面部17d1に連結されている。
ここで、連結部材17では、側面部17d1の延び方向が、衝撃吸収部材16の延び方向に対して直交しており、衝撃吸収部材16を連結部材17に連結した状態では、衝撃吸収部材16が側面部17d1上で直立した状態となっている。
また、荷重伝達部材18は、図3に示すように略断面ハット状の部材により構成されており、その前端部には延出部18aを有している。そして、延出部18aは、ボルト、ナット等の連結具22により、連結部材17を構成する下部材17Bの側面部17f2に連結されている。
ここで、荷重伝達部材18は、平面視で車両外側且つ後方に延びると共に、側面視では、図2、図3に示すように車両後方且つ下方に延びている。そして、連結部材17では、側面部17f2の延び方向が、荷重伝達部材18の延び方向に対して直交しており、荷重伝達部材18を連結部材17に連結した状態では、荷重伝達部材18が側面部17f2上で直立した状態となっている。
図4、図5は、それぞれ車両Vの前突時の状態を示す平面図、側面図であり、障害物αと正面衝突した状態を示している。図4、図5に示すように、車両Vが障害物αと正面衝突すると、本実施形態では、バンパーレインフォースメント15への衝突荷重入力により、フロントサイドフレーム9のクラッシュ領域9Aが軸方向に圧縮変形し、該領域9Aが車両前後方向に潰れる。
この時、クラッシュ領域9Aでは、車両前方から衝突荷重が入力されることにより、先ずクラッシュボックス14が圧縮変形し、これが車両前後方向に潰れる。そして、さらなる衝突荷重の入力により、クラッシュボックス14とフロントサイドフレーム9のビード9aとの間の残りの領域が、クラッシュボックス14の場合と同様に圧縮変形して車両前後方向に潰れる。
次に、フロントサイドフレーム9では、さらなる衝突荷重の入力により、ベント領域9Bにおいて折れ曲がりが生じる。ベント領域9Bでは、上述したようにビード9a、9bが車両外側に窪んでいる一方、両ビード9a、9b間に形成されたビード9cが車両内側に窪んでいることにより、上記衝突荷重の入力時には、ベント領域9Bが車両内側に折れ曲がる。この時、ビード9cと対応する部位では、該ビード部9cにより車両内側への折れ曲がりが最も促進されるようになっており、これによって、ベント領域9Bが折れ曲がった時には、ビード部9cと対応する部位が、図示のように最も車両内側に位置する頂点となる。
本実施形態では、車両Vの前突時、車両前方から衝突荷重が入力されると、フロントサイドフレーム9のクラッシュ領域9Aが車両前後方向に圧縮変形することによって衝撃を吸収することが可能であり、さらには、ベント領域9Bが車両内側に折れ曲がることによってさらに衝撃を吸収することが可能になっている。
また、本実施形態の場合、ベント領域9Bが車両内側へ折れ曲がるのに伴い、衝撃吸収部材16では、ビード9cの近傍に連結された前端部が車両内側に押圧されることになる。
ここで、衝撃吸収部材16は、フロントサイドフレーム9のクラッシュ領域9Aよりも軸方向に圧縮変形し易い構造となっており、具体的には、衝撃吸収部材16は、クラッシュ領域9Aのクラッシュボックス14よりも薄肉に形成されるか、または脆弱部の占める割合が大きくなるように形成される。このため、衝撃吸収部材16は、その前端部が上述のように車両内側に押圧されると、図4、図5に示すように軸方向に容易に圧縮変形することが可能であり、この圧縮変形によって衝撃を吸収することが可能になっている。
ところで、本実施形態では、フロントサイドフレーム9のクラッシュ領域9Aやベント領域9Bによって衝撃を吸収しきれなかった場合、衝突荷重の一部は、車両左側を例に挙げて説明すると、図4にて太矢印X1〜X3で示すように、フロントサイドフレーム9と同じ車両左側に位置するダッシュパネル2、フロントピラー7、フロアフレーム10に沿って車両右側及び車両後方に伝達、分散されるようになっている。
また、衝突荷重の一部は、太矢印X4で示すように車両左側のフロントサイドフレーム9と同じ側に位置する衝撃吸収部材16に入力され、連結部材17に向かって伝達される。
ここで、車両右側の荷重伝達部材18を見てみると、その前端部は、連結部材17を介して車両左側の衝撃吸収部材16に連結され、後端部は、車両右側のフロアフレーム10に連結されている。このため、車両左側の衝撃吸収部材16に入力された衝突荷重は、連結部材17を介して太矢印X5で示すように車両右側に位置する荷重伝達部材18に入力され、最終的に車両右側のフロアフレーム10に沿って車両後方に伝達、分散されるようになっている。
また、図4、図5に示すように車両Vが正面衝突した時には、車両右側においても同様に衝突荷重が伝達される。具体的には、衝突荷重の一部が、図4にて太矢印X6〜X8で示すように車両右側に位置するダッシュパネル2、フロントピラー7、フロアフレーム10に沿って車両左側及び車両後方に伝達、分散され、一部は、太矢印X9で示すように車両右側に位置する衝撃吸収部材16に入力される。
そして、車両右側の衝撃吸収部材16に入力された衝突荷重は、連結部材17を介して太矢印X10で示すように車両左側に位置する荷重伝達部材18に入力され、最終的に車両左側のフロアフレーム10に沿って車両後方に伝達、分散される。
図7は、車両Vの前突時の状態を示す平面図であり、車両Vの左側前部が障害物βとオフセット衝突した状態を示している。図6に示すように、車両Vが障害物βとオフセット衝突すると、オフセット衝突した車両Vの左側前部では、正面衝突時と同様、バンパーレインフォースメント15への衝突荷重入力により、フロントサイドフレーム9のクラッシュ領域9Aが圧縮変形すると共に、ベント領域9Bが車両内側に折れ曲がる。
そして、ベント領域9Bが車両内側へ折れ曲がるのに伴い、衝撃吸収部材16では、その車幅方向左側の前端部が車両内側に押圧される。このため、衝撃吸収部材16は、正面衝突時と同様に軸方向に圧縮変形して衝撃を吸収することができる。
また、フロントサイドフレーム9のクラッシュ領域9Aやベント領域9Bによって吸収しきれなかった衝突荷重の一部は、図6にて太矢印Y1〜Y3で示すように、フロントサイドフレーム9と同じ車両左側に位置するダッシュパネル2、フロントピラー7、フロアフレーム10に沿って車両右側及び車両後方に伝達、分散される。
また、衝突荷重の一部は、太矢印Y4で示すように車両左側に位置する衝撃吸収部材16に入力され、連結部材17に向かって伝達される。そして、このようにして連結部材17に伝達された衝突荷重は、連結部材17を介して太矢印Y5で示すように車両右側に位置する荷重伝達部材18に入力され、最終的には、車両右側のフロアフレーム10に沿って車両後方に伝達、分散される。
このように、本実施形態では、ベント領域9Bに折曲予定部としてのビード部9a〜9cが形成されることにより、フロントサイドフレーム9は、車両前方からの荷重入力時に車両内側への折れ曲がりを可能とする折れ構造を有している。そして、このフロントサイドフレーム9の車両内側への折れ曲がりに伴って、衝撃吸収部材16が軸方向に圧縮変形することにより、該衝撃吸収部材16が衝撃を吸収するようになっている。このような構成により、ベント領域9Bが折れ曲がった時には、該ベント領域9Bの折れ曲がりそのものによって車両前突時の衝撃を吸収するだけでなく、衝撃吸収部材16の圧縮変形によっても上記衝撃を吸収することができ、フロントサイドフレーム9、衝撃吸収部材16の協働によって衝撃を効果的に吸収することができる。
ところで、衝撃吸収空間1内にエンジンが搭載される車両の場合、一般的にエンジンがエンジンマウントを介してフロントサイドフレームに弾性支持されるため、車両前突時には、衝突荷重をフロントサイドフレームやエンジンマウントを介して車両後方に分散させることが可能である。しかしながら、電気自動車や燃料電池自動車では、エンジンが搭載されないため、上述したようにエンジンマウントを介して衝突荷重を分散させることはできない。
そこで、電気自動車や燃料電池自動車に上述した衝撃吸収部材16を配設した場合を考えてみる。衝撃吸収部材16は、エンジンの搭載の有無に関わらず衝撃を吸収することができるものである。従って、この場合、エンジンマウントを介して衝突荷重を分散させる代わりに、衝撃吸収部材16の圧縮変形によって衝撃を吸収することができ、車室6内の乗員を確実に保護することができる。このような理由から、衝撃吸収空間1に衝撃吸収部材16を配設した本実施形態の構造は、電気自動車や燃料電池自動車に適用するのがより好適であると言える。
なお、衝撃吸収空間1内にエンジンが搭載される場合には、上述したように車両前突時にベント領域9Bが車両内側に折れ曲がることを考慮し、該ベント領域9Bとの干渉を回避できるように小型のエンジンを搭載するのが好ましい。
また、本実施形態では、荷重伝達部材18の前端部が、左右一対のフロントサイドフレーム9、9の一方側に位置する衝撃吸収部材16に連結され、後端部が、他方側に位置するフロアフレーム10に連結されている。そして、図4、図5にて太矢印X4、X5、X9、X10、Y4、Y5で示すように、一方側の衝撃吸収部材16に入力された衝突荷重を、荷重伝達部材18によって他方側のフロアフレーム10に伝達することが可能になっている。このような構成により、一方のフロントサイドフレーム9に入力された衝突荷重を、衝撃吸収部材16と荷重伝達部材18とによって他方側のフロアフレーム10にも伝達、分散させることができ、上記衝突荷重をより広範囲に亘って分散させることができる。
また、左右一対の衝撃吸収部材16の後端部同士を連結する連結部材17を備え、この連結部材17に荷重伝達部材18の前端部を連結したことにより、一方のフロントサイドフレーム9に入力された衝突荷重を、衝撃吸収部材16、連結部材17、荷重伝達部材18を介して確実に他方側のフロアフレーム10に伝達させることができる。
また、連結部材17に関し、衝撃吸収部材16と連結される側面部17d1の延び方向を、衝撃吸収部材16の延び方向に対して直交させることによって、衝撃吸収部材16を直立した状態で連結した場合、側面部17d1は、衝撃吸収部材16からの荷重入力方向に対して直交する方向に延びていることになる。この場合、連結部材17は、衝撃吸収部材16から入力される荷重を真正面で受け止めることができ、上記衝突荷重を確実に連結部材17に伝達させることができる。
また、荷重伝達部材18と連結される側面部17f2の延び方向を、荷重伝達部材18の延び方向に対して直交させることによって、荷重伝達部材18を直立した状態で連結した場合、側面部17f2は、荷重伝達部材18への荷重入力方向に対して直交する方向に延びていることになる。この場合、荷重伝達部材18は、連結部材17から入力される荷重を真正面で受け止めることができ、上記衝突荷重を確実に荷重伝達部材18に伝達させることができる。
また、本実施形態では、フロントサイドフレーム9が、車両前方からの衝突荷重入力時に軸方向に圧縮変形することによって衝撃を吸収可能なクラッシュ領域9Aと、該クラッシュ領域9Aの後方に設けられ、上記衝突荷重入力時に車両内側に折れ曲がることによって衝撃吸収可能なベント領域9Bとから構成されることにより、衝突荷重の入力初期の段階では、先ずクラッシュ領域9Aにて衝撃を吸収でき、その後は、該衝撃をベント領域9Bで確実に吸収することができる。
また、特に、衝撃吸収部材16が、ベント領域9Bに連結されることで、ベント領域9Bが車両内側に折れ曲がった時、衝撃吸収部材16を確実に軸方向に圧縮変形させることができる。このため、衝撃吸収部材16で確実に衝撃を吸収することができる。
また、ベント領域9Bのうち、荷重入力によってこれが折れ曲がった時に最も車両内側に位置する頂点、すなわちビード部9cに対応する部位の近傍に衝撃吸収部材16が連結されることで、ベント領域9Bが車両内側に折れ曲がった時には、衝撃吸収部材16をより確実に圧縮変形させつつ、圧縮変形時の圧縮幅をより大きくすることができる。このため、衝撃吸収部材16による衝撃吸収をより確実に行うことができる。
ところで、本実施形態に係る衝撃吸収部材16は、フロントサイドフレーム9から車両内側且つ後方に延びていることにより、フロントサイドフレーム9における荷重入力方向に対して斜めに延設されていることになる。この場合、フロントサイドフレーム9から分岐して衝撃吸収部材16に入力される衝突荷重の分力が小さくなることから、衝撃吸収部材16では圧縮変形が十分に行われない可能性がある。
そこで、本実施形態では、衝撃吸収部材16を、フロントサイドフレーム9のクラッシュ領域9Aよりも容易に圧縮変形できるような構造になっている。これにより、小さな分力であっても衝撃吸収部材16を確実に圧縮変形させることができ、衝撃吸収部材16による衝撃吸収を確実に行うことができる。
なお、上述した実施形態では、クラッシュ領域9Aのクラッシュボックス14よりも軸方向に圧縮変形し易いように構成された筒状の部材によって衝撃吸収部材16を構成したが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、少なくともフロントサイドフレーム9のベント領域9Bが車幅方向内側に折れ曲がった時、衝撃吸収部材の軸方向の収縮によって衝撃を吸収できるように構成されていればよい。従って、図7に示すようにシリンダ56a内に流体が充填された油圧ダンパやガスダンパ等のダンパ部材によって衝撃吸収部材56を構成してもよい。なお、図7において、図1〜図6に示す最初の実施形態と同様の構成要素については、同一の番号を付して説明を省略する。
本実施形態の場合、通常時は、衝撃吸収部材56が伸長状態に保持される一方、車両Vの前突によってフロントサイドフレーム9のベント領域9Bが車幅方向内側に折れ曲がった時には、衝撃吸収部材56の収縮によって衝撃を吸収することが可能である。
なお、その他の作用効果は、上述した最初の実施形態と同様である。
また、折曲予定部を含む折れ構造に関し、ビード部9a、9cを形成する代わりに、折曲予定部を薄肉部等の脆弱部で構成してもよい。また、特開2009−137379号公報に開示されているように、フロントサイドフレームと補強部材とが接続された接続部と他の部位との剛性差によって折曲予定部を構成してもよい。
また、連結部材17に関し、これを直ぐ後方に位置するダッシュパネル2の前面部に連結してもよい。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の、伝達部材は、荷重伝達部材18に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
9…フロントサイドフレーム
9A…クラッシュ領域
9B…ベント領域
10…フロアフレーム
18…荷重伝達部材
17…連結部材
16、56…衝撃吸収部材

Claims (9)

  1. 車両前後方向に延びる左右一対のフロントサイドフレームを備えた車両の前部車体構造であって、
    上記フロントサイドフレームは、車両前方からの荷重入力時に車両内側への折れ曲がりを可能とする折れ構造を有しており、
    上記左右一対のフロントサイドフレームの間には、該フロントサイドフレームから車両内側且つ後方に向かって延びると共に、
    上記荷重入力時に上記フロントサイドフレームの車両内側への折れ曲がりに伴って収縮することにより衝撃を吸収する一対の衝撃吸収部材を備えた
    前部車体構造。
  2. 上記左右一対のフロントサイドフレームの後方には、一対のフロアフレームが設けられており、
    前端部が、上記左右一対のフロントサイドフレームの一方側に位置する上記衝撃吸収部材に連結され、後端部が、他方側に位置する上記フロアフレームに連結されることにより、上記一方側の衝撃吸収部材に入力された荷重を、上記他方側のフロアフレームへ伝達する伝達部材を備えた
    請求項1記載の前部車体構造。
  3. 上記一対の衝撃吸収部材の後端部同士を車幅方向で連結する連結部材を備えており、
    上記伝達部材の前端部が、上記連結部材に連結され、後端部が、上記フロアフレームに連結されることにより、上記一方側の衝撃吸収部材に入力された荷重を、該衝撃吸収部材、上記連結部材、及び上記伝達部材を介して上記他方側のフロアフレームへ伝達可能にした
    請求項2記載の前部車体構造。
  4. 上記連結部材は、上記衝撃吸収部材と連結される面が、該衝撃吸収部材からの荷重入力方向に対して直交する方向に延びている
    請求項3記載の前部車体構造。
  5. 上記連結部材は、上記伝達部材と連結される面が、該伝達部材への荷重入力方向に対して直交する方向に延びている
    請求項3記載の前部車体構造。
  6. 上記フロントサイドフレームは、車両前方からの荷重入力時に軸方向に圧縮することで衝撃吸収可能なクラッシュ領域と、
    該クラッシュ領域よりも後方に設けられ、荷重入力時に車両内側へ折れ曲がるベンド領域とから構成される
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の前部車体構造。
  7. 上記衝撃吸収部材の前端部は、上記ベンド領域に連結されている
    請求項6記載の前部車体構造。
  8. 上記衝撃吸収部材は、上記ベンド領域のうち、荷重入力によって該ベント領域が折れ曲がった時に最も車両内側に位置する頂点となる位置の近傍に連結される
    請求項7記載の前部車体構造。
  9. 上記衝撃吸収部材は、上記クラッシュ領域よりも収縮し易い構造である
    請求項6〜8のいずれか一項に記載の前部車体構造。
JP2010177752A 2010-08-06 2010-08-06 前部車体構造 Active JP5482558B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010177752A JP5482558B2 (ja) 2010-08-06 2010-08-06 前部車体構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010177752A JP5482558B2 (ja) 2010-08-06 2010-08-06 前部車体構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012035759A JP2012035759A (ja) 2012-02-23
JP5482558B2 true JP5482558B2 (ja) 2014-05-07

Family

ID=45848246

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010177752A Active JP5482558B2 (ja) 2010-08-06 2010-08-06 前部車体構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5482558B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9738320B2 (en) 2014-02-12 2017-08-22 Honda Motor Co., Ltd. Vehicle body front structure
JP6252572B2 (ja) 2015-09-15 2017-12-27 トヨタ自動車株式会社 車体前部構造

Also Published As

Publication number Publication date
JP2012035759A (ja) 2012-02-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4695176B2 (ja) 車体前部構造
EP2076421B1 (en) Vehicle front structure
JP4424208B2 (ja) 車体の前部構造
JP5585480B2 (ja) 車体前部構造
JP6156258B2 (ja) 車両前部構造
JP4539366B2 (ja) 車体の前部構造
JP2019006303A (ja) 車体下部構造
US20160152273A1 (en) Vehicle body front structure of a vehicle
CN110171477B (zh) 车身结构
JP5776207B2 (ja) 車両前部構造
JP4810234B2 (ja) 自動車の前部車体構造
US6874843B2 (en) Vehicle front-end body structure
JP4314992B2 (ja) 車体構造
JP6284056B1 (ja) 車両用フレーム構造
JP5104272B2 (ja) 自動車の前部車体構造
JP4687138B2 (ja) 車両前部構造
JP5482558B2 (ja) 前部車体構造
JP2014118009A (ja) 車両の側部車体構造
JP2003054452A (ja) 自動車の車体前部構造
JP2007008346A (ja) 車両後部構造
JP2013147189A (ja) 車体前部構造
JP4147859B2 (ja) 車両のフロントボデー構造
JP4687033B2 (ja) 車体の前部構造
JP6076159B2 (ja) 車両
JP7419921B2 (ja) 車両用フロントサスペンション装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130313

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140121

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140203

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5482558

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150