JP2005046393A - 炊飯器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 実際の炊飯容量などに左右されず、選択したコースに応じた炊き上がりを実現できるようにする。
【解決手段】 コースボタン63cや炊きわけボタン63dによって特定のコースを選択すると、炊飯制御手段95はその選択されたコースに応じた鍋内の温度変化値を設定する。その後炊飯制御手段95は、蓋温度センサ57からの検出温度P2を取り込みながら、予めコース毎に設定された温度変化値に鍋内の温度が従うように、加熱コイル16の加熱量を調整する。そのため、炊飯容量の大小に関係なく、選択したコースに適した炊き上がりが実現される。
【選択図】 図3

Description

本発明は、制御手段の制御によって被炊飯物に対し所望の炊き上がりを得る炊飯器に関する。
従来の炊飯器は、例えば特許文献1に開示されるように、鍋内の米の吸水を促進するひたしと、鍋内の水を沸騰させて米の糊化を開始させる沸騰加熱と、沸騰を検知した後にこの沸騰状態を継続して米を糊化させる沸騰継続加熱と、被炊飯物を高温に保持し糊化を促進させ、ご飯に仕上げるむらしの各行程を、制御手段であるマイクロコンピュータ(以下、マイコンという)が順次実行するようになっている。
特開平11−187975号公報
従来の炊飯は、予め定めた加熱パターンで、鍋内が一定の温度になるか、さもなければ一定の時間が経過するまで加熱を行なうのが一般的である。そのため、同じ加熱パターンによる加熱を行なっても、炊飯量によって鍋内の温度変化が異なり、目標通りの炊き上がり(硬さや温度ムラなど)が得られない問題があった。また、炊飯量に拘らず温度変化を一定にするために、実質的な炊飯を行なう前のひたし行程などで、一定の加熱を与えた時の温度変化を元に鍋内の炊飯容量を求め、この炊飯容量に応じて加熱量を変える方法が知られているが、炊飯容量が微量に相違(例えば、1合と1.5合)する場合には、外気温度の変動や水温のばらつきが要因となって、確実な炊飯容量の判定を行なうことが難しく、炊飯容量の判定精度には限界があるため、例えば大容量,中容量,小容量の3区分程度の大雑把にしか判定できなかった。また、炊飯容量の判定を行なうマイコンのプログラム記憶容量には限界があり、例えば前記0.5合刻みの各炊飯量の加熱パターンを全て記憶させるには、それに見合う十分な記憶容量のマイコンを使用する必要がある。しかし、記憶容量の多いマイコンは高価であり、商品としてのコスト上昇に繋がる。
以上のことから、炊飯容量の判定基準を、各炊飯容量に応じたものではなく、炊飯容量にある程度の範囲を持たせて、これを判定基準としていた。しかし、その場合は次のような問題がある。
例えば、5.5合炊きの炊飯器において、炊飯容量判定基準の第2範囲が、2合から4合までの炊飯を行なう適切な加熱量を記憶したプログラムデータ(加熱パターン)であるとする。この場合、炊飯を行なうとマイコン記憶されたプログラムデータに従って加熱手段が制御され、炊飯が完了する。炊飯を開始すると、鍋内の米に水を吸水させるひたし行程が行なわれ、次に沸騰加熱により鍋内の水を沸騰させる。ここで、水を沸騰させるまでの所要時間が、その後のご飯の炊き上がりの良し悪しを決めることは周知である。沸騰後、鍋内に残っている水を蒸発させて炊き上げ、むらし行程へと移行するが、この時に水をた状態を98℃以上で20分間継続させることで、米のデンプンがα化して食用に適したご飯になることも知られている。
上述のように、炊飯容量判定基準の第2範囲が2合から4合まで同じプログラムデータに基づき炊飯を行なうので、実際の炊飯容量が下限の2合の場合と、上限の4合の場合とでは、当然1合当りの加熱量に差異を生じる。例えば、ひたし炊き行程終了後の沸騰加熱において、炊飯容量が2合の場合は4合の場合よりも早く沸騰し、逆に4合の場合は2合の場合よりも遅く沸騰する。沸騰までの所要時間は、前述のようにご飯の炊き上がりに作用することから、炊飯容量の下限と上限では、微量とはいえ違う炊き上がりとなる。
さらに、外気温度や電源電圧の変動などの様々な要因によって、例えば実際の炊飯容量が5.5合であるにも拘らず、マイコンが前記2合から4合までの第2範囲であると炊飯容量を誤って判定すると、本来は第2範囲のプログラムデータよりも高い加熱量で炊飯を行なわなければならないのに、それよりも低い加熱量で炊飯され、ご飯の炊き上がりを悪化させていた。
また一般的には、水温20℃から沸騰する100℃までの所要時間を10分程度とするのが、炊飯器として理想的な加熱とされているが、沸騰までの時間を短かくすると、硬めの炊き上がりになり、逆に沸騰までの時間を長くすると、やわらかめの炊き上がりになることが知られている。そのため、硬めややわらかめなど、ご飯の硬さが異なる複数のコースを備えた炊飯器では、選択されたコースに応じて沸騰までの加熱量を変えたりしていた。しかし、上記炊飯容量の判定精度が悪いことの他に、例えば1合と2合が同じ炊飯量の判定とされていれば、どちらの場合も加熱量が同じ設定となるために、図6にも示すように、実際の炊飯容量が1合でやわらかめコースを選択すると、沸騰に至るまでの時間が短めになって、かための炊き上がりとなったり、実際の炊飯容量が2合でやわらかめコースを選択すると、沸騰に至るまでの時間が長めになって、やわらかめの炊き上がりとなる。そのため、炊く量によっては選択した炊き上がりが得られない不満があった。
そこで本発明は上記問題点に鑑み、実際の炊飯容量などに左右されず、選択したコースに応じた炊き上がりを実現できる炊飯器を提供することをその目的とする。
本発明の請求項1における炊飯器では、選択手段によって特定のコースを選択すると、制御手段はその選択されたコースに応じた温度変化値を設定する。その後制御手段は、検出手段からの検出温度を取り込みながら、予めコース毎に設定された温度変化値に検出温度が沿うように加熱手段を調整する。そのため、炊飯容量の大小に関係なく、選択したコースに適した炊き上がりが実現される。
本発明の請求項2における炊飯器では、炊飯器各部の動作を制御する制御手段が、高速処理に適したDSPにより構成される。そのため、このDSPによる高速の演算処理によって目標通りの炊飯を行なうことができる。
本発明の請求項1における炊飯器によれば、実際の炊飯容量などに左右されず、選択したコースに応じた炊き上がりを実現できる。
本発明の請求項2における炊飯器によれば、DSPを利用した高速の演算処理に基づいて目標通りの炊飯を行なうことができる。
以下、本発明における好ましい実施例について、添付図面を参照しながら説明する。
まず炊飯器の基本的な構成を図1に基づき説明すると、1は炊飯器の外郭となる炊飯器本体で、この炊飯器本体1は、ほぼ筒状の外枠2と、この外枠2の下面開口を覆って設けられた底板3とにより形成されている。炊飯器本体1の上側には、その後部に位置するヒンジたるヒンジ軸4により、蓋すなわち蓋体5が回動自在に支持されている。また、外枠2の上部内周部から一体に垂下させて形成されるほぼ筒状の鍋収容部6と、この鍋収容部6の下面開口を覆って設けられた内枠8とにより、炊飯器本体1内に有底筒状の鍋収容体9が形成される。なお、鍋収容体9の側部をなす鍋収容部6は、外枠2と一体化したPP(ポリプロピレン)などの合成樹脂からなる。また、鍋収容体9の底部をなす内枠8は、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの合成樹脂で形成されている。
炊飯器の本体外観は、その上部と側部を一体化した外側枠すなわち外枠2と、外枠2の底部を覆う底板3で構成してもよい。また本体外観を、上部を覆う上枠と、側部と底部を一体化した底側枠とにより構成したり、あるいは上部を覆う上枠と、側部を覆う側枠と、底部を覆う底板とにより構成してもよい。その際、外側枠,底板,上枠,底側枠は、いずれもPPなどの合成樹脂で形成されるが、側枠はPPなどの合成樹脂で形成してもよいし、ステンレスなどの金属板で形成してもよい。
前記鍋収容体9内には、米や水などの被調理物を収容する有底筒状の鍋11が着脱自在に収容される。この鍋11は、熱伝導性のよいアルミニウムを主材料とした鍋本体12と、この鍋本体12の外面の側面下部から底面部にかけて接合されたフェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体13とにより構成される。鍋11の側面中央から上部に発熱体13を設けないのは、鍋11の軽量化を図るためである。また、鍋11の上端周囲には、その外周側に延出する円環状のフランジ部14が形成されている。
鍋11の外底部には、前述のようにフェライト系ステンレスを使用した磁性金属材料の発熱体13が設けられるが、これは溶湯鍛造により鍋本体12と一体成形される。また、鍋11の外側にある鍋収容体9は、鍋11の外面形状と略相似形状に形成される。
前記内枠8は、鍋11の発熱体13に対向して位置しているが、この内枠8の外面の発熱体13に対向する側面下部および底面部には、鍋11の特に底部を電磁誘導加熱する加熱手段としての加熱コイル16が設けられている。この加熱コイル16は、前記鍋11の外面にある発熱体13に対向する状態で、内枠8の外面に螺旋状に巻き付け固定される。そして、後述する加熱制御手段71のインバータ回路などから加熱コイル16に高周波電流を供給すると、加熱コイル16から発生する交番磁界によって、磁界中にある発熱体13に渦電流が発生する。そして、この渦電流がジュール熱に変換されることで発熱体13が発熱し、鍋11ひいては鍋11内の水や米などの被炊飯物が加熱されるようになっている。さらに、前記加熱コイル16を下側から覆ってフェライトコア17が設けられている。
また、内枠8の底部中央には、前記鍋11の底部外面に弾発的に当接して鍋11の外面温度を検出する鍋底温度検出手段としての鍋温度センサ21がセンサホルダ22により支持されて設けられている。この鍋温度センサ21は、好ましくは負特性サーミスタからなり、加熱コイル16による鍋11の底部の加熱温度を主に温度管理する。
前記鍋収容体9の上端には、鍋11の側面上部、特にフランジ部14を加熱するための鍋側面加熱手段としてのコードヒータ26が、鍋11のフランジ部14の下側に位置して円環状に配置されている。このコードヒータ26は電熱式ヒータからなり、鍋収容体9の上端に載置するようにして取り付けられた熱放散抑止部材としてのヒータリング27上に保持されると共に、コードヒータ26を上から覆うようにしてヒータリング27に取り付けられ、かつ熱伝導性に優れた例えばアルミ板からなる固定金具と放熱部とを兼用する金属板29を備えている。この金属板29は、炊飯器本体1と蓋体5との隙間30に対向して位置している。そして、前記金属板29の上面に鍋11のフランジ部14の下面が載置し、これにより、鍋11が吊られた状態で鍋収容体9内に収容されるようになっている。したがって、鍋11とこの鍋11が収容された鍋収容体9の上端との間における隙間がほとんどない構成になる。しかも、鍋11のフランジ部14は、外形がコードヒータ26と同等以上の大きさに形成されており、これにより、コードヒータ26が鍋11のフランジ部14で上から覆われるようになっている。ただし、図示していないが、例えば鍋収容体9の左右両側部においてコードヒータ26を下方へ屈曲させることにより、フランジ部14とコードヒータ26とを非接触としてこれらフランジ部14とコードヒータ26との間に部分的に隙間が形成されるようにしてあり、この隙間において、鍋11を着脱する際の持ち手部としてフランジ部14を使用できるようにしてある。また、前記部分的な隙間は、鍋11の外面に水が付着した状態で炊飯したときに蒸気を排出させる作用も有する。
前記蓋体5は、その回転軸であるヒンジ軸4に固定されており、ヒンジ軸4に巻装されたヒンジばね41の力により、ヒンジ軸4を支点として開く方向へ付勢されている。また、蓋体5の前部に設けられた蓋体係止部としてのクランプ42に、外枠2の前部上側に設けられたフック43が係脱自在に係合することにより、ヒンジばね41の力に抗して蓋体5が閉じた状態に保持されるようになっている。開閉ボタンを兼用するフック43の裏側には、クランプ42に係合する方向にフック43を付勢する圧縮ばね(図示せず)が設けられている。
蓋体5は、その上面外殻を形成する例えばプラスチック製の外蓋46と、蓋体5の内面である下面を形成する蓋下面材としての放熱板47と、これら外蓋46と放熱板47とを結合させて蓋体5の骨格を形成する蓋ベース材としての外蓋カバー48とを主たる構成要素としている。また、蓋体5の内面である下面には、この下面との間に所定の隙間を形成して、前記鍋11の上部開口部を直接覆う内蓋51が着脱自在に装着される。前記放熱板47および内蓋51はともに金属製であり、例えば、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属材料からなっている。また、前記内蓋51の外周部にはパッキンベース52が固定されており、このパッキンベース52と内蓋51とにより挟まれて蓋パッキン53が固定されている。この蓋パッキン53は、シリコーンゴムやフッ素ゴムなどの弾性部材により環状に形成され、前記鍋11のフランジ部14の上面に当接してこの鍋11と内蓋51との間の隙間を塞ぎ、鍋11から発生する蒸気を密閉するものである。そして、蓋パッキン53における鍋11への当接部は、フランジ部14を挟んで前記コードヒータ26に対向している。
また、前記蓋体5の内部にあって、放熱板47の上面には、蓋加熱手段としての蓋ヒータ56が設けられている。この蓋ヒータ56は、コードヒータなどの電熱式ヒータや、電磁誘導加熱式による加熱コイルでもよい。さらに前記放熱板47には、蓋体5の特に内蓋51の温度を検知する蓋温度検知手段としてのサーミスタ式の蓋温度センサ57が設けられていている。この蓋温度センサ57は、主に蓋ヒータ56により加熱される内蓋51の温度管理を行なうものである。前記蓋体5の上面後部には、鍋11内で発生した蒸気を外部へ放出するための蒸気口61が着脱可能に取り付けられている。また、前記放熱板47および内蓋51における蒸気口61の下方の位置には、蒸気の通過用の開口孔がそれぞれ開口形成されており、蒸気口61の下端部には蒸気口パッキン62が設けられている。
さらに、前記外蓋46の前部には操作パネル63が設けられている。そして、この操作パネル63の下方に位置して蓋体5内に形成された基板収納室64に表示基板65が配設されており、この表示基板65上には、時間や選択したコースを表示するLCD66や、現在の行程を表示するLED67や、炊飯を開始させたりコースを選択させるためのスイッチ68などが装着される。操作部に相当する操作パネル63はボタン名などを表示するもので、電子部品である表示部にほこりや水が付着することも防止している。なお、操作パネル63を炊飯器本体1の正面側に設けてもよい。
71は、炊飯器本体1の内部後方に設けられた加熱制御手段である。この加熱制御手段71は、加熱手段である加熱コイル16を駆動させるための発熱素子(図示せず)を基板に備えて構成される。この加熱コイル16を駆動する素子は、加熱コイル16の発振と共に加熱されるが、動作状態を保証する使用条件温度を有するので、一定温度以下で使用する必要がある。そのために、加熱コイル16を駆動する素子は、例えばアルミニウムのような熱伝導性の良好な材料で構成されるフィン状の放熱器72に熱的に接続され、冷却手段である冷却ファン73から発する風を放熱器72に当てて熱を奪うことにより、使用条件温度内で素子を駆動するようにしている。
冷却ファン73は、加熱制御手段71に取り付けられた放熱器72の下方、若しくは側部に配置されている。また、炊飯器本体1の底部若しくは側部には、冷却ファン73から発し、加熱制御手段71に取り付けられた放熱器72から熱を奪って温かくなった風を、炊飯器本体1の外部へ排出するための孔74が複数設けられている。加熱制御手段71は製品内部すなわち炊飯器本体1内に収納されるが、鍋11の外周囲のどの位置に配置してもよい。また、炊飯器本体1の底部若しくは側部に設けた孔74も、どの位置に配置してもよい。しかし、近年は製品の小形化設計が求められている背景もあり、加熱制御手段71や冷却ファン73と、温かな風を排出する孔74は、鍋11をはさんで略反対位置に配置するのが好ましい。
図2は、操作パネル63の正面図である。操作パネル63の表面には、LCD66の周辺に位置して、炊飯の開始を指示する炊飯ボタン63aと、通常よりも炊飯時間を短縮して炊飯する早炊きを指示する早炊きボタン63bと、コース選択手段としてのコースボタン63cおよび炊きわけボタン63dと、LCD66に表示される現在時刻若しくは予約時刻の時桁を変更指示する時ボタン63eと、現在時刻若しくは予約時刻の分桁を変更指示する分ボタン63fと、予約時刻に炊飯を開始または終了させる予約炊飯を指示する予約ボタン63gと、炊飯や保温動作をキャンセルする切状態を指示する切ボタン63hがそれぞれ設けられる。また、これらの各ボタン63a〜63hに対応して、操作パネル63の裏面側にはスイッチ68がそれぞれ設けられる。本実施例では、白米,無洗米,玄米,発芽玄米などの米質の違いに応じたコースや、甘み,やわらか,しゃっきり,かためなど、同じ米質(白米)でありながら炊き上がりの硬さや味覚などの違いに応じたコースや、おかゆや炊き込みなど、同じ米質(白米)でありながら調理の違いに応じたコースなどを備え、前記コースボタン63cおよび炊きわけボタン63dを操作すると、これらの複数のコースの中から特定のコースが選択されるようになっている。
一方、表示手段としてのLED67として、ここでは炊飯時に点灯する炊飯LED67aと、早炊き炊飯時に点灯する早炊きLED67bと、保温時に点灯する保温LED67cと、予約炊飯を選択した時に、炊飯を開始するまでの待機中に点灯する予約LED67dとを備えて構成される。またLCD66は、現在時刻または予約時刻を表示する時刻表示部66aと、米質および調理の違いに応じたコースの中から選択されたコースを表示する第1のコース表示部66bと、保温再加熱時にその旨を表示する保温再加熱表示部66cと、白米の炊き上がりの硬さまたは味覚の度合いを表示する炊き分け度合い表示部66dとにより構成される。なお、ここにある操作パネル63の構成はあくまでも一例であって、他に様々なコースを備えてもよい。
次に、本実施例における電気的な構成を図3に示す。同図において、操作パネル63の周辺にある表示・操作部75は、炊飯器各部の動作を制御する制御手段として、従来のような1つのマイコンではなく、2つのマイコンを備えている。これは、第1の制御部である表示マイコン76と、第2の制御部である負荷駆動マイコン77である。表示マイコン76は8ビットマイコンで、処理スピードは負荷駆動マイコン77よりも遅いが、低消費電力で、マイコンとして通常備えている入出力部や、記憶部や、制御処理部の他に、LCD67の駆動制御回路を有しているのが特徴である。特に、炊飯器本体1への電源供給が遮断された停電時に待機させる時の消費電力が10μA未満であるものを使用しているため、一般的に内蔵のバッテリ78として使用される600mAh程度のリチウム電池であれば、この表示マイコン76に接続する周辺回路の電流消費を含めて4年以上交換無しに持たせることができる。こうした特徴を利用して、表示マイコン76は、停電時におけるメモリバックアップや、時計機能の時刻カウントや、時刻などを含めたLCD66に対する表示処理を行なっている。特に、停電時にも前記バッテリ78からの電源供給を受けてメモリバックアップを行なうことから、炊飯器全体の動作管理も表示マイコン76が行なっている。それ以外にも表示マイコン76は、LED67の表示処理や、スイッチ68の押下げ検出およびこの検出に基づく各部の処理や、停電検出およびこの検出に基づく各部の処理や、炊飯や保温に関わる炊飯器全体の制御を行なっている。
前記表示マイコン76が、停電検出に基づく処理を行なうために、表示・操作部75の入力側ポートには、商用電源(図示せず)から炊飯器本体1への電源供給が遮断されたか否かを検出する停電検出回路79を備えている。そして、停電検出回路79から停電を検出した旨の停電信号が送出されると、これを受けた表示マイコン76は、内蔵するメモリをバックアップして、炊飯器各部の停電直前の状態を記憶保持するようになっている。また、表示マイコン76の入力側ポートにはスイッチ68が接続されると共に、表示マイコン76の出力側ポートには、表示手段としてのLCD66およびLED67がそれぞれ接続される。
一方、別の負荷駆動マイコン77は、32ビットのDSP(ディジタルシグナルプロセッサ)マイコンで、消費電流は前記表示マイコン76よりも多いが、非常に高速なディジタル信号処理機能を備えているのが特徴である。こうした特徴を利用して、特に炊飯器において高速な処理を必要とする加熱コイル16に関するIH制御や、炊飯に際し多くの計算を必要とする処理を行なわせている。そのために、負荷駆動マイコン77の入力側ポートには、インバータに取り込まれる入力電圧,入力電流およびインバータの回生電流を検出して、それぞれ検出信号を出力する電圧・電流検出回路81と、インバータなどに発生する不必要なサージ電圧を検出するサージ検出回路82と、加熱コイル16の発振タイミングとなるトリガ信号を出力するトリガ検出回路83が接続されると共に、負荷駆動マイコン77の出力側ポートには、加熱コイル16に高周波電流を供給するインバータの発振回路84が接続される。また、負荷駆動マイコン77はその他に、鍋温度センサ21や蓋温度センサ57からの温度情報を読み込んだり、加熱コイル16以外の負荷88である例えばコードヒータ26,蓋ヒータ56,冷却ファン73などの駆動制御を行なっている。そのために、負荷駆動マイコン77の入力側ポートには、鍋温度センサ21や蓋温度センサ57からのセンサ出力を温度情報として出力する温度検出回路85が接続されると共に、負荷駆動マイコン77の出力側ポートには、負荷88を駆動するのに十分な電力を供給する負荷駆動回路86が接続される。これらの各回路81〜86は、いずれも前記加熱制御手段71を構成する加熱回路89として設けられている。
上述のように、制御手段として複数のマイコン76,77を使用するのは、一般的に処理速度の速いマイコン(例えば負荷駆動マイコン77)では消費電流が大きいためである。つまり本実施例では、炊飯器の各部から情報を読み込んで処理を行なうのに多くの計算を必要とするが、こうした計算が処理できる高速のマイコンで停電時のデータバックアップや時計カウントまで行なおうとすると、そのマイコンを停電時にも動作させるのに大きな容量のバッテリを必要とし、コストの上昇や炊飯器本体1の大型化を招く問題が発生するからである。そのため、高速処理の必要な加熱コイル16や負荷88の駆動制御に関しては、高速演算機能を備えた負荷駆動マイコン77が実行するように構成し、それ以外の炊飯器各部の制御(特に、停電時も電力消費の必要なバックアップ機能など)に関しては、低消費電流機能を備えた表示マイコン76が実行するように構成する。
2つのマイコン76,77間で信号のやり取りを行なうために、本実施例では3線式のクロック同期型シリアル通信を実現する通信部90が、各マイコン76,77に備えてある。表示マイコン76には、基準となるクロックパルスを生成するクロック生成部91が設けられており、この表示マイコン76のクロック生成部91から処理速度の速い負荷駆動マイコン77に、通信部90を介してクロックを出力することにより、負荷駆動マイコン77側にて通信の同期を取らせるようにしている。表示マイコン76は、例えば炊飯や保温を行なうに際し、種々の命令信号を負荷駆動マイコン77に与えている。具体的には、加熱コイル16をどの程度の電力で駆動させるのかというIH駆動命令信号や、鍋11の有無を調べさせるための鍋無し検知命令信号や、後述する沸騰加熱2の行程を実行するための命令信号や、負荷88をどのようにして駆動させるのかという負荷駆動命令信号などを、通信部90を介して負荷駆動マイコン77に送信する。逆に負荷駆動マイコン77からは、温度検出回路85から得られる温度情報や、前記加熱コイル16に関連したIH駆動エラー情報などを、通信部90を介して表示マイコン76に送信する。
また、通信部90間に繋がれたシリアル通信線92とは別に、表示マイコン76から負荷駆動マイコン77にリセット信号を送信するリセット送信線93が、表示マイコン76と負荷駆動マイコン77との間に接続される。また、表示マイコン76には、負荷駆動マイコン77をアイドルモードから通常モードに復帰させるリセット信号を生成するリセット部94が設けられる。前述のように負荷駆動マイコン77は、表示マイコン76よりも消費電流が多いので、停電中はこの負荷駆動マイコン77に電流が供給されない回路構成になっている。そのため、炊飯器本体1への電源供給が遮断されると、表示マイコン76はバッテリ78からの電流供給を受けてそのまま動作するものの、負荷駆動マイコン77は動作停止して全く電流を消費しないようになる。これにより、停電時におけるバッテリ78の消耗を最低限に抑制できる。また、炊飯器本体1に電源供給が行なわれる通電中においても、停止時(切状態)や予約炊飯の待機時などの、加熱コイル16や負荷88を駆動させる必要のない期間中は、一定時間(例えば5〜60秒)が経過すると、表示マイコン76からシリアル通信により負荷駆動マイコン77を通常モードからアイドル(休止)モードにする命令を送って、負荷駆動マイコン77を低電力消費状態にする。
このように、一定時間が経過してからアイドルモードにするのは、負荷駆動マイコン77がアイドルモードになると、電圧・電流検出回路81や温度検出回路85などからの情報が表示マイコン76に送信されなくなり、異常検知の判断が行なえなくなるので、一定時間は通常モードでそれらの確認を行なう必要があるためである。アイドルモードの負荷駆動マイコン77は、表示マイコン76のリセット部94から与えられるリセット信号により解除され、電圧・電流検出回路81や温度検出回路85などからの情報を受け付ける通常モードに復帰する。表示マイコン76にリセット部94としての機能を持たせることで、リセット回路を別に設けるコスト上昇を節約できる。しかも、表示マイコン76からのリセット信号によりアイドルモードを簡単に解除できるので、双方のマイコン76,77のプログラムを簡素化できる。また、通信線92間で何らかの通信異常が生じた場合にも、表示マイコン76のリセット部94からリセット信号を出力して、負荷駆動マイコン77を初期状態に戻すこともできる。この通信異常とは、ノイズなどの影響で表示マイコン76が通信電文を受信できない場合のことをいう。炊飯中に通信異常になると、表示マイコン76からの通信では負荷駆動マイコン77を止められないので、表示マイコン76からのリセット信号により負荷駆動マイコン77をリセットする。その他、表示マイコン76から負荷駆動マイコン77にリセット信号が出力されるのは、停電の復帰時などである。
加熱制御手段71は、鍋温度センサ21や蓋温度センサ57からの温度検知信号を受信し、加熱手段である加熱コイル16,フランジヒータ26および蓋ヒータ56をそれぞれ加熱調節する。特に本実施例の加熱制御手段71は、鍋温度センサ21の検出温度に基づいて主に加熱コイル16が制御されて鍋11の底部を温度管理し、蓋温度センサ57の検出温度に基づいて主に蓋ヒータ56が制御されて放熱板47ひいては内蓋51を温度管理するようになっている。
炊飯と保温に際しては、これらの加熱手段により鍋11を加熱するが、保温時には鍋11の底部に接触させた鍋温度センサ21の検出温度により加熱手段の加熱調節を行ない、鍋11を一定温度に保持する構成になっている。特に前記コードヒータ26による加熱について補足説明すると、炊飯後にご飯の温度が約100℃から約73℃の保温温度に低下するまでと、約73℃の保温安定時に、コードヒータ26を発熱させて、蓋体5と炊飯器本体1との隙間30の空間に金属板29から熱放射して、この隙間30からの外気の侵入による冷えを抑制すると共に、鍋11のフランジ部14を加熱する。また、保温時にご飯を再加熱する期間にもコードヒータ26により鍋11のフランジ部14を加熱し、ご飯の加熱により発生する水分が鍋11の内面上部に結露することを防止するように構成している。
前記コースボタン63cや炊きわけボタン63dで選択されるそれぞれのコースは、米質や硬さなどに応じて、後述する炊飯制御手段95が行なうひたしからむらしまでの温度変化値や加熱時間が独自に設定されている。例えばおすすめ(ふつう)コースでは、ひたし行程で被炊飯物を35〜45℃に20分保持し、沸騰までは1分当たり約8℃(8℃/分)、即ち被炊飯物を20℃から100℃に上昇させるのに約10分とし、さらに5〜10分沸騰が継続するように目標を設定する。また、しゃっきり(かため)コースでは、ひたし行程での前記保持時間をおすすめコースよりも短くすると共に、沸騰までは1分当たり約10℃(10℃/分)、即ち被炊飯物を20℃から100℃に上昇させるのに、おすすめコースよりも短い約8分とし、沸騰継続の加熱量をおすすめコースよりも多くし、さらにむらし時間をおすすめコースより短くするように目標を設定する。また、やわらかめコースでは、ひたし行程での前記保持時間をおすすめコースよりも長くすると共に、沸騰までは1分当たり約5℃(5℃/分)、即ち被炊飯物を20℃から100℃に上昇させるのに、おすすめコースよりも長い約16分とし、沸騰継続の加熱量をおすすめコースよりも少なくし、さらにむらし時間をおすすめコースより長くするように目標を設定する。さらに甘みコースでは、ひたし行程での前記保持時間を長くして、アミラーゼが働く温度体(例えば40〜50℃)を長く保持するようにすると共に、沸騰までは1分当たり約4℃(4℃/分)、即ち被炊飯物を20℃から100℃に上昇させるのに、やわらかめコースよりもさらに長い約20分として酵素が働く時間を長くし、沸騰継続の加熱量を少なくし、さらにむらし時間を長くするように目標を設定する。
その他、玄米やおかゆなどのコースについても、それぞれ行程時間や鍋11への加熱量、沸騰までの温度変化値の目標を独自に設定する。こうした加熱時間や温度変化値の目標設定値はあくまでも一例であり、炊飯器の加熱能力や特徴、および温度検出手段の特性などを考慮して適宜変更してよい。
次に、上記構成について、図4におけるグラフを参照しながらその作用を説明する。この図4は、横軸を炊飯の各制御行程と経過時間にして、鍋温度センサ21および蓋温度センサ57の各検出温度P1,P2と、加熱コイル16の加熱量(消費電力量)をそれぞれあらわしている。なお、各マイコン76,77はソフトウェア上の機能として炊飯制御手段95を備えており、後述する炊飯と保温の各制御行程は、これらのマイコン76,77の記憶部が保有する炊飯制御手段95および保温制御手段96に関する制御プログラムに従って、順に処理実行される。
所定量の米と水を鍋11に投入し、この鍋11を鍋収容体9に収容して蓋体5を閉じた後に、炊飯ボタン63aを押す。この炊飯ボタン63aに対応するスイッチ68の入力信号が表示マイコン76に取り込まれると、炊飯制御手段95による炊飯が開始し、先ず米の芯まで水を浸透させるためのひたし行程が行なわれる。ひたし行程は、予め設定された所定のパターンで加熱コイル16を通断電して、鍋11に対する最初の加熱を行ない(図4のひたし1,2を参照)、その後は一定時間加熱を停止する(図4のひたし3を参照)。そして、初期加熱時における鍋温度センサ21からの検出温度P1の上昇値と、その後の加熱停止時における検出温度P1の下降値とに基づき、鍋11内の炊飯容量の判定を行なう。
容量判定が終了すると、炊飯制御手段95は鍋温度センサ21の検出温度P1が一定温度に保持されるように加熱コイル16をオン,オフ制御し、鍋11内の米に水を吸水させる(図4のひたし4を参照)。そして、前述のコースに応じた所定の保持時間が経過したらひたし行程を終了して沸騰加熱行程に移行する。
沸騰加熱行程の初期(図4の沸騰加熱1を参照)には、最初に加熱コイル16の最高出力である1100〜1300Wでフル通電を行ない、その間の温度上昇率を鍋温度センサ21から読み込んで、炊飯制御手段95による鍋11内の空炊き検知や、鍋温度センサ21の異常検知を行なう。
その後、炊飯容量に関わらず、沸騰加熱1が所定時間である例えば70秒以上になるか、あるいは鍋温度センサ21の検出温度P1が70℃以上になると、炊飯制御手段95は次の沸騰加熱2を行なう。沸騰加熱2に移行すると、先ず炊飯制御手段95は、次の数1に基づいて蓋温度センサ57の目標温度Taを設定する。
Figure 2005046393
上記数1において、目標温度Taは、単位時間当たりの温度上昇率aと、沸騰加熱2の開始時からの経過時間(単位:秒)tとの積に、沸騰加熱2の開始時における蓋温度センサ57の検出温度Tを加えて算出される。これにより、ある時間t毎における目標温度Taが定まる。目標温度上昇率aは前述の選択したコースや炊飯容量によって異なり、例えば硬めの炊き上がりをさせるコースでは大きな値(急な温度勾配)となり、やわらかめの炊き上がりをさせるコースでは小さな値(なだらかな温度勾配)となる。なお、目標温度aとして蓋温度センサ57を用いるのは、鍋温度センサ21で検出する鍋11の底面の温度よりも、蓋温度センサ57で検出する蓋体51の温度が、鍋11内の被炊飯物の温度に近いためである。即ち、加熱コイル16により鍋11を電磁誘導加熱するものでは、鍋11の発熱体13が直接発熱するので、鍋11内部との温度差が大きいが、内蓋51は加熱コイル16による熱影響を直接受けないので、その分被炊飯物の温度を精度よく検出できる。但し、鍋温度センサ21の検出温度P1と鍋11内部の温度との相関が予め判っていれば、鍋温度センサ21を目標温度と定めて加熱制御を行なってもよい。また、時間tと目標温度Taとの相関は、前記数1に示すものに限られない。
炊飯制御手段95が上記目標温度Taを設定すると、炊飯制御手段95は所定時間(例えば1秒)毎に読み込まれる蓋温度センサ57の検出温度P2が、設定された温度変化値である前記目標温度Taに沿うように、次の数2に基づく加熱コイル16の出力制御を行なう。
Figure 2005046393
上記数2において、今回加熱コイル16に与える出力ワットWn+1(Wは前回加熱コイル16に与えた出力ワット)は、沸騰加熱2の開始時に加熱コイル16に与えた出力ワットに、各回毎に計算される調整ワットδWを加えて算出される。また調整ワットδWは、比例制御による調整ワットδWと、積分制御による調整ワットδWと、微分制御による調整ワットδWとをそれぞれ加算して算出される(δW=δW+δW+δW)。なお、調整ワットδWの要素としては、各調整ワットδW,δW,δWの少なくとも何れか一つが含まれていればよい。
比例制御による調整ワットδWとは、前記数1で算出される今回の時点(t=n)での目標温度Taと、蓋温度センサ57から読み込んだ実際の検出温度P2との差(e=Ta−P2)に比例した調整分であり、目標値である目標温度Taにどれだけの強さで近づけるかを決める定数をKとすると、調整ワットδWはこの定数Kと温度差eとの積により示される(δW=K×e)。これにより、今回の時点での目標温度Taと検出温度P2との差が大きいほど、これに比例して算出される調整ワットδWの値も大きくなり、鍋11内を速やかに目標温度Taに近づけるような加熱コイル16の出力ワット制御が、蓋温度センサ57の検出温度P2を取り込む一定時間毎に行なわれる。
積分制御による調整ワットδWとは、今回蓋温度センサ57から検出温度P2を読み込んだ時に、過去i回前までの目標温度Taと、蓋温度センサ57から読み込んだ実際の検出温度P2との差の積算合計(Σen−i=Σ(Ta−P2))に比例した調整分であり、目標値である目標温度Taにどれだけの強さで近づけるかを決める定数をKとすると、調整ワットδWはこの定数Kと温度差の積算合計Σen−iとの積により示される(δW=K×e)。これにより、一定時間前までの目標温度Taと検出温度P2との差の積算合計Σen−iが大きいほど、これに比例して算出される調整ワットδWの値も大きくなり、過去数回の目標温度Taと検出温度P2との差の累積を考慮して、鍋11内を速やかに目標温度Taに近づけるような加熱コイル16の出力ワット制御が、蓋温度センサ57の検出温度P2を取り込む一定時間毎に行なわれる。特に、前記比例制御による調整ワットδWだけで、加熱コイル16への出力ワットWn+1を算出すると、時々刻々と変化する目標温度Taと実際の鍋11内部の温度に誤差を生じるが、積分制御による調整ワットδWを加味すれば、過去数回の目標温度Taと検出温度P2との差の累積を考慮した出力ワットWn+1の算出が行なわれるので、鍋11内を少ない誤差で目標温度Taに近づけることが可能になる。
微分制御による調整ワットδWとは、今回蓋温度センサ57から検出温度P2を読み込んだ時に、今回の目標温度Taから今回の実際の検出温度P2を差し引いた値(e)と、過去m回前の目標温度Taから過去m回前の実際の検出温度P2を差し引いた値(en―m)との差(e−en―m)に比例した調整分であり、目標値である目標温度Taにどれだけの強さで近づけるかを決める定数をKとすると、調整ワットδWはこの定数Kと差(e−en―m)との積により示される(δW=K×(e−en―m))。この差(e−en―m)は、どれだけの勢いで目標値に近づいているのかを示しており、目標温度Taに近づく勢いが弱いと、これに比例して算出される調整ワットδWの値は大きくなり、逆に目標温度Taに近づく勢いが強いと、鍋11内の実際の温度が目標温度Taを越えてオーバーシュートするのを抑えるのに、調整ワットδWの値を小さくする。こうして、鍋11内の温度が目標温度Taに近づく勢いを考慮して、鍋11内を速やかに目標温度Taに近づけるような加熱コイル16の出力ワット制御が、蓋温度センサ57の検出温度P2を取り込む一定時間毎に行なわれる。
所定時間毎の目標温度Taの計算や、そのときの各調整ワットδW,δW,δWおよび出力ワット出力ワットWn+1の計算は、いずれも負荷制御マイコン77の演算処理部(図示せず)により行なわれる。また、こうした計算を行なうに際し、表示マイコン76から負荷制御マイコン77には、沸騰加熱2を行なう命令と共に、その制御パラメータとして、前記目標温度上昇率aや、各定数K,K,Kを送信する。
図5は、本実施例における炊飯制御手段95の制御方法を概念的に示したものである。同図において、本実施例では、予め時間tをパラメータとした目標温度Taが設定され、時間t毎に変化する目標温度Taに近づくように、加熱コイル16の出力ワット即ち鍋11への加熱量が、鍋11内部の温度を読み込む毎に可変制御される。そのため、従来は例えば10段階程度の固定した出力ワット(例えば500W,600W,700W…1400W)を予め用意し、その出力ワットを出すためのデータ(発振回路83に与えるパルスのオン時間幅や振幅)をテーブル化して、マイコンの記憶部に記憶していたが、本実施例ではそうした出力ワットを出すためのデータが、鍋11内部の温度を読み込む毎に計算され、加熱コイル16の出力ワットは無段階に可変する。例えば、630Wの出力ワットを必要とする場合、従来のデータテーブルの600Wと700Wを補間して、その出力ワットを出すためのデータを算出する。こうして本実施例では、炊飯量の大小に拘らず、鍋11内の温度を目標温度Taに近づけて、加熱コイル16による実際の加熱を理想加熱にほぼ一致させることが可能になる。
上述した沸騰加熱2において、炊飯制御手段95は蓋温度センサ57の検出温度P2が60℃から80℃になるまでの間、負荷駆動マイコン77を利用して、電圧・電流検出回路81から取り込まれるインバータの入力電圧,入力電流に基づき、加熱コイル16の消費電力量(積算電力量)を計算する。この入力電圧と入力電流と時間との積で計算される積算電力量の計算結果は、シリアル通信線92を介して表示マイコン76に随時送信される。表示マイコン76は通信部90でこれを受信すると、内部の記憶部に記憶する。停電により炊飯器本体1への電源供給が遮断されると、負荷駆動マイコン77による積算電力量のデータはクリアされるが、表示マイコン76はバッテリ78からの電力供給を受けて記憶部の記憶内容を保持し続けているので、停電復帰後はこの記憶部に記憶された停電前の積算電力量を負荷駆動マイコン77による積算電力量に加算して、正しい積算電力量を求めることができる。
また、負荷駆動マイコン77が制御する加熱コイル16の出力ワットは、工場出荷時に一台ずつ調整しているので、実際の出力ワットが大きく狂うことはない。本実施例における加熱コイル16の出力ワット調整は、スイッチ68を特別なパターンで操作して、通常の炊飯や保温の動作とは異なる特殊モードを起動させると、マイコン76,77のソフトウェア上の機能として備えた出力調整手段98が動作して、定格の電源電圧(例えばAC100V)を炊飯器本体1に供給する条件下で、加熱コイル16を定格ワット(例えば1250W)で出力させるようなパルスが負荷駆動マイコン77から発振回路83に供給される。このとき、電圧・電流検出回路81から取り込まれる入力電圧,入力電流により、加熱コイル16の出力ワットを計算し、これが定格ワットとなるようにパルスのオン時間幅や振幅を調整する。そして、この調整したパルスを定格ワット時における発振回路83への駆動信号として認識するように、出力調整手段98によるソフトウェア的な調整(補正)を行なっている。但しこれは、加熱コイル16への電流量を調整する可変抵抗などによって、ハードウェア的に行なっても構わない。
その後の炊飯制御手段95や保温制御手段96が行なう炊飯や保温において、あるワットでの出力を行なう場合、前記駆動信号に基づき算出された適切なオン時間幅と振幅を有するパルスを発振回路83に供給する。この時の実際の出力ワットを電圧・電流検出回路81から読み込み、これが出力すべきワットになるように発振回路83へのパルスのオン時間幅や振幅を可変して、電源電圧が変動しても加熱コイル16の出力ワットが一定に保たれるようにする。こうすることで、電源電圧の変動に拘らず、鍋11への加熱量を正しいワット出力にて供給することが可能になる。
算出された加熱コイル16の積算電力量は、炊飯制御手段95にて炊飯容量の再確認のために用いられる。その理由は、前記検出温度P2が60℃から80℃になるまでの積算電力量の大小は、鍋11内の炊飯容量の大小に依存するからである。例えば前述のひたし行程で炊飯容量が小量であると判定したものの、その後の計算した積算電力量により、炊飯容量が多いと再確認した場合には、ひたし行程での判定に誤りがある可能性があるので、最終的な炊飯容量を中量若しくは大量に判定し直す。逆に、ひたし行程で炊飯容量が大量であると判定したものの、その後の計算した積算電力量により、炊飯容量が少ないと再確認した場合には、最終的な炊飯容量を中量若しくは小量に判定し直す。こうして、ひたし行程で炊飯用量の判定を誤ったとしても、その後の加熱コイル16に対する積算電力量のデータに基づき、正しい炊飯容量の判定が可能になる。また、沸騰前に炊飯容量を正しく判定できるので、炊飯容量に適合した加熱量で被炊飯物を沸騰させることができ、不適切な加熱量に起因するふきこぼれや、加熱不足による被炊飯物の糊化不足を防止することができる。
炊飯制御手段95は、表示マイコン76から取り込まれる蓋温度センサ57の検出温度P2が、沸騰直前の温度である好ましくは95℃(80〜100℃)になるまで沸騰加熱2の状態で待機し、この温度に達したら次の沸騰加熱3に移行する。沸騰加熱3では、安定した沸騰検知が行なえるように、例えば500〜1100Wの予め決められた一定の加熱を鍋11に与える。こうして、蓋温度センサ57の検出温度P2の温度上昇率が、所定時間(例えば30〜150秒)以内に所定温度(1〜5℃)以下に鈍化したら、即ち検出温度P2の温度勾配が十分小さくなったら、鍋11内の沸騰を検知し、炊飯制御手段95は沸騰加熱の行程を終了して、次の沸騰継続行程に移行する。
沸騰継続では、決められたオン・オフの通断電パターンにて、加熱コイル16による鍋11への加熱を繰り返す。そして、ある程度の時間が経過すると、鍋11内の水が蒸発して温度が徐々に上昇する。とりわけ炊き上げでは、鍋11の底部の温度が急激に上昇するため、沸騰検知を行なった時点での鍋温度センサ21の検出温度P1に対し、この検出温度P1が所定温度(+2〜10℃)以上に上昇したら、炊飯制御手段95は鍋11内が炊き上げ(ドライアップ)状態であると見なして、次のむらし行程に移行する。むらし行程では、所定時間(例えば6〜16分)において、鍋温度センサ21の検出温度P1が所定温度(例えば95〜110℃)を維持するように、加熱コイル16を通断電しながら鍋11を加熱する。こうして所定時間のむらし行程が終了すると、炊飯制御手段95に代わり保温制御手段96による保温行程に移行する。
保温行程では、加熱コイル16によって鍋11の底部と側面下部を加熱すると共に、蓋ヒータ56によって内蓋51を鍋11内のご飯の温度よりも僅かに高く加熱し、さらに鍋11の側面をコードヒータ26により加熱して、鍋11内のご飯が乾燥せず、しかも鍋11の側面に露が多量に付着しないように温度管理する。なお、ご飯の温度は再加熱を行なう以外は70〜76℃に保持する。
以上のように本実施例では、鍋11を加熱する加熱手段としての加熱コイル16と、鍋11内の温度を検出する検出手段としての蓋温度センサ57と、複数のコースから特定のコースを選択する選択手段としてのコースボタン63cおよび炊きわけボタン63dと、選択されたコースに応じて予め鍋11内の温度変化値(目標温度Ta)を設定し、この温度変化値に沿うように加熱コイル16の加熱量を調整する制御手段としての炊飯制御手段95を備えている。
この場合、コースボタン63cや炊きわけボタン63dによって特定のコースを選択すると、炊飯制御手段95はその選択されたコースに応じた鍋11内の温度変化値を設定する。その後炊飯制御手段95は、蓋温度センサ57からの検出温度P2を取り込みながら、予めコース毎に設定された温度変化値に鍋11内の温度が従うように、加熱コイル16の加熱量を調整する。そのため、炊飯容量の大小に関係なく、選択したコースに適した炊き上がりが実現される。
また本実施例では、炊飯器各部の動作を制御する炊飯制御手段95が、高速処理に適したDSPによりハードウェア的に構成される。そのため、このDSPによる高速の演算処理によって目標通りの炊飯を行なうことができる。
その他に本実施例では、目標温度Ta若しくは目標温度上昇率である制御温度を設定し、この制御温度(目標温度Ta)と蓋温度センサ57の検出温度P2との差に比例して、または一定時間前までの制御温度と蓋温度センサ57の検出温度P2との差を積算した量に比例して、または今回と一定時間前の制御温度と蓋温度センサ57の検出温度P2との差の量をそれぞれ算出し、この2つの量の差に比例して、加熱コイル16の加熱量を調整する制御手段としての炊飯制御手段95を備えている。
この場合、例えば沸騰加熱などの鍋11への加熱を行なうに際し、炊飯制御手段95は先ず時間に応じて変化する制御温度を設定する。その後炊飯制御手段95は、蓋温度センサ57からの検出温度p2を取り込む毎に、制御温度と検出温度P2との差に比例して、または一定時間前までの制御温度と検出温度P2との差を積算した量に比例して、または今回と一定時間前の制御温度と検出温度P2との差の量をそれぞれ算出し、この2つの量の差に比例して、加熱コイル16の加熱量を調整する。こうして、鍋11内を速やかに目標となる制御温度に近づけるような加熱コイル16の制御が、蓋温度センサ57の検出温度P2を取り込む毎に行なわれるので、鍋11に対し理想通りの加熱を行なうことができ、種々の要因に左右されず、温度変化のばらつきを改善して、炊き上がりを向上させることができる。
また、本実施例の炊飯制御手段95は、複数の制御部であるマイコン76,77で構成している。こうすると、炊飯器各部の動作を制御する炊飯制御手段95が、複数のマイコン76,77によりハードウェア的に構成される。このようにすると、炊飯制御手段95の各機能を一つの制御部に集中させることなく、複数のマイコン76,77に分散させることができ、各機能の処理能力に合わせた最適な制御を、それぞれのマイコン76,77で行なうことが可能になる。
さらに本実施例では、前記複数の制御部として、低消費電流機能を備えた第1の制御部としての表示マイコン76と、高速演算機能を備えた第2の制御部としての負荷駆動マイコン77を有して構成される。
この場合、多くの処理を必要とする例えば加熱コイル16の加熱量の計算などは、高速演算機能を備えた負荷駆動マイコン77で行なわせ、それ以外の単純な処理に関しては低消費電流機能を備えた表示マイコン76で行なわせることができる。これにより、負荷駆動マイコン77による高速の演算処理によって目標通りの炊飯を行なうことができる。また、停電時には表示マイコン76だけをバッテリ78によりバックアップすれば、このバッテリ78の寿命を延ばすことが可能になる。
また本実施例では、表示マイコン76により負荷駆動マイコン77をリセットする構成を有している。こうすると、負荷駆動マイコン77のリセット動作を表示マイコン76からのリセット信号で行なうことができ、リセット回路を別に設ける必要がなくなる。そのため、炊飯器内部の部品コストが抑制でき、さらにプログラムを簡素化して製品の信頼性を向上させることができる。
なお、本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、実施例中における時間や温度の数字はあくまでも一例であり、いずれも所定時間や所定温度として読み替えることができるものとする。また、制御部としてのマイコンは、3つ以上存在しても構わない。
本発明の好ましい実施例における炊飯器の断面図である。 同上、操作パネルの正面図である。 同上、電気的構成を示すブロック図である。 同上、炊飯時における鍋温度センサおよび蓋温度センサの温度変化と、加熱コイルの加熱量を示すグラフである。 同上、加熱時の米温度と加熱量の変化を示すグラフである。 従来例における加熱時の米温度と加熱量の変化を示すグラフである。
符号の説明
11 鍋
16 加熱コイル(加熱手段)
57 蓋温度センサ(温度検出手段)
63c コースボタン(選択手段)
63d 炊きわけボタン(選択手段)
95 炊飯制御手段(制御手段)

Claims (2)

  1. 鍋を加熱する加熱手段と、温度を検出する検出手段と、複数のコースから特定のコースを選択する選択手段と、予め温度変化値を設定し、この温度変化値に沿うように前記加熱手段を調整する制御手段とを備えたことを特徴とする炊飯器。
  2. 前記制御手段がDSPで構成されることを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
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