JP2005045103A - チップインダクタ - Google Patents

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【課題】高いQが得られ、従来のチップインダクタの若干の設計変更および製造工程の変更で対応でき、量産性が優れ、もってコストアップを招くことなく製造できるチップインダクタを提供する。
【解決手段】コイル用導体パターンを形成した磁性体または非磁性体からなる複数の絶縁層を積層して、コイル用導体パターンが絶縁層間で連続したコイル4を内蔵した積層体3を構成する。積層体3の積層方向に対して直角方向の両端部に前記コイル4の両端の引き出し部が接続された端子電極5a、5bを有する。前記積層体3の実装面を下面とした場合、コイル4を、積層体3の上側に偏よった位置に形成する。これによりコイル4の発生磁束がプリント基板2の導体パターンと鎖交する度合いが減少し、Qが向上する。
【選択図】図1

Description

本発明は、コイル用導体パターンを形成した磁性体または非磁性体からなる複数の絶縁層を積層して、前記コイル用導体パターンが前記絶縁層間で連続したコイルを内蔵した積層体を構成したチップインダクタ(チップビーズと称されるものを含む)に関する。
コイル用導体パターンを形成した磁性体または非磁性体からなる複数の絶縁層を積層、焼結することにより得る従来のチップインダクタは、図5に示すように、積層体20内の積層方向のほぼ中間部にコイル21を内蔵した構造を有している。22は積層体20の積層方向に対して直角方向の両端面に設けられて、コイル21の両端をそれぞれ接続した端子電極である。端子電極22はプリント基板23上のランド24に半田25により接続、固定されて実装される。26は積層体20の上面に設けられたマークであり、チップの方向性と上面であることを表示するものである。
また、同様のコイルを有する従来のチップインダクタとして、特許文献1には、図6に示すように、積層体20の上下面の対角位置にマーク27、28を設けて、積層体20のいずれの面であってもプリント基板への実装面としてもよいようにしたものが開示されており、このような場合にも、コイル21は積層方向の中間に位置する。
特許第3359802号公報
しかしながら、近年の電子機器の高周波化に伴い、積層型電子部品も小型化が進んでいる。チップインダクタも小型化が進んでおり、小型化するのに比例して、積層体内部のコイルの内径も小さくなることからQも低下する傾向にある。また、小型化により、コイル21とプリント基板23との距離が近接し、コイル21で発生する磁束がプリント基板23の導体パターンと鎖交してQを低下させる原因となっている。
チップインダクタが使用される電子機器は、携帯電話等の入出力段の高周波回路に多く使用され、この入出力段におけるQの低下は、入出力信号の損失に直接つながるため、少しでも高い値が求められる。特に形状が0603(長さ:0.6mm、高さと幅:0.3mm)以下のチップインダクタではその市場要求が強い。
本発明は、上記問題点に鑑み、高いQが得られ、従来のチップインダクタの若干の設計変更および製造工程の変更で対応でき、量産性が優れ、もってコストアップを招くことなく製造できるチップインダクタを提供することを目的とする。
(1)本発明のチップインダクタは、コイル用導体パターンを形成した磁性体または非磁性体からなる複数の絶縁層を、コイル用導体パターンを有しない絶縁層とともに積層して、前記コイル用導体パターンが前記絶縁層間で連続したコイルを内蔵した積層体を構成し、前記積層体の積層方向に対して直角方向の両端部に端子電極を設け、前記コイルの両端の引き出し部を前記端子電極に接続したほぼ直方体形状のチップインダクタであって、
前記積層体の実装面を下面とした場合、前記コイルを、積層体の上側に偏よった位置に形成したことを特徴とする。
(2)また、本発明のチップインダクタは、前記(1)に記載のチップインダクタにおいて、
前記積層体の下面からコイルの下端までの積層方向の幅をa、コイル上端から積層体上面までの積層方向の幅をb、積層体の積層方向の幅をcとしたとき、
0.7≧a/c≧0.3、6.0≧a/b≧2.0としたことを特徴とする。
(3)また、本発明のチップインダクタは、前記(1)または(2)に記載のチップインダクタにおいて、
前記積層体の上面にプリント基板への搭載用のマークを設けたことを特徴とする。
プリント基板にはランドパターン等の導体パターンが多く形成されており、これらの導体パターンがチップインダクタのコイルで発生する磁束の遮蔽板として作用する。しかし本発明においては、コイルが積層体の上側に偏った位置に形成されているので、コイルで発生する磁束がプリント基板の導体パターンと鎖交する度合が減少し、Qを高めることができる。本発明のチップインダクタは、コイルの積層方向の位置を変更することで実施できるため、従来のチップインダクタの若干の設計変更および製造工程の変更で対応できるので、量産性に優れ、コストアップを招くことなくチップインダクタを製造することができる。
図1は本発明によるチップインダクタの一実施の形態を実装状態で示す断面図である。図2はそのコイルにおいて発生する磁束を説明する平面図である。図1、図2において、1はチップインダクタ、2はプリント基板である。チップインダクタ1はコイル用導体パターンを形成した磁性体または非磁性体でなる複数の絶縁層、およびコイル用導体パターンを有しない絶縁層を積層した積層体3により構成される。4は積層方向に隣接するコイル用導体パターンどうしを内部で接続することにより構成されたコイル、5a、5bは積層体3の積層方向に対して直角方向の両端に設けられた端子電極である。コイル4の両端の引き出し部4x、4yはこれらの端子電極5a、5bに接続される。
このチップインダクタ2は、両端の端子電極5a、5bを、プリント基板2上のランド6a、6bに半田7によって接続、固定することにより実装される。8はこのチップインダクタ1をプリント基板2に実装するために積層体3の上面に設けられたマークである。このマーク8は、積層体3と異なる光反射率を持つ物質を含んで構成され、光学的識別装置によってこのマーク8が識別されることにより、チップの方向性や上面であることを認識するために設けられたものである。
このチップインダクタ1は、プリント基板2を下側として、積層体3の上側に偏った位置に形成されている。このように、コイル4を積層体3の上位置に偏らせて形成することにより、コイル4に流れる電流によって発生する磁束φがプリント基板2の導体パターンと鎖交する度合いが減少し、Qの向上が図れる。
ここで、前記積層体3の下面からコイル4の下端までの積層方向の幅をa、コイル上端から積層体上面までの積層方向の幅をb、積層体の積層方向の幅をcとしたとき、0.7≧a/c≧0.3でかつ6.0≧a/b≧2.0とすることが好ましく、0.6≧a/c≧0.4でかつ6.0≧a/b≧4.0、とすることがさらに好ましい。a/cが0.3未満、またはa/bが2未満であると、コイル4がプリント基板2から十分に離れず、これにより、前記磁束鎖交の度合いの減少によるQの向上効果が得にくくなる。また、a/cが0.7が超えたり、a/bが6.0を超えると、所定のターン数を得るためのコイル4の設計が困難になる。
図3はこの実施の形態のチップインダクタの積層構造図である。このチップインダクタは、シート積層法あるいはスクリーン印刷法により作製される。シート積層法による場合は、多数個分のコイル用導体パターンを縦横に形成したセラミックグリーンシートを積層し、熱圧着し、個々のチップに切断した後に焼成し、端子電極5a、5bを焼き付けし、必要な電気めっきを施すことにより製造される。
前記グリーンシートは、磁性体または非磁性体粉末を有機バインダおよび溶剤とともに混合して絶縁体ペーストを作成し、これをドクターブレード法によりPETフィルムのような剥離可能なシート上に一定厚みで薄い帯状に展開することにより得られる。
図3において、3a〜3yは前記グリーンシートにより形成される絶縁層である。4a〜4iは導体ペーストの印刷により形成されるコイル用導体パターンである。最上層、最下層のコイル用導体パターン4a、4iの一部には前記引き出し部4x、4yが形成される。コイル用導体パターン4a〜4iを形成する導体ペーストは、銀や銅などの導体粉末を有機バインダおよび溶剤に混合してなるものである。積層方向に隣接するコイル用導体パターン4a〜4iの端部間を接続するため、コイル用導体パターン4a〜4hを形成する絶縁層3d〜3kにはスルーホール9を形成し、各スルーホール9に、コイル用導体パターン4a〜4hの印刷により導体ペーストを充填する。
本発明においては、前記コイル4を積層体3の上部に偏らせて形成するため、コイル4を形成する最上層のコイル用導体パターン4aより上の絶縁層3a〜3cより、最下層のコイル用導体パターン4iより下の絶縁層3l〜3yの層数を多くする。このように絶縁層3l〜3yの層数を多くする代わりに、最下層のコイル用導体パターン4iより下の絶縁層の厚さを厚くすることによって前記幅aを大きくしてもよい。前記マーク8は、最上層の絶縁層4a上に形成される。
本発明のチップインダクタは、1005タイプ(長さ1mm、高さおよび幅0.5mm)以下、特に0603以下のタイプに適用する場合、すなわちプリント基板2とコイル4との距離が近接する小型のインダクタに好適な構造である。また、使用周波数が500MHz〜5000MHz、特に800MHz〜2000MHzにおいて用いる場合に好適である。
前記0603の寸法となるチップインダクタを、スクリーン印刷法を用いて作製した。絶縁層3a〜3yを形成するためのグリーンシートには、ストロンチウム、カルシウム、アルミナ、酸化珪素からなるガラス70重量%、アルミナ30重量%の組成のセラミック組成物からなるセラミックグリーンシートを用いた。
コイル用導体パターン4a〜4iは銀を主成分とした導体ペーストの印刷によって形成した。コイル用導体パターン4a〜4iのパターン幅は30μm、パターン厚みを5μm、コイル4の長手方向の内径を400μm、短手方向の内径を150μm、コイル用導体パターン4a〜4i間の各絶縁層3d〜3kの厚みを9μm、ターン数を4とし、100MHzにおけるインダクタンス値が4.7nHとなるように設計した。
また、マーク8には、グリーンシートと同じくストロンチウム、カルシウム、アルミナ、酸化珪素からなるガラス70重量%、アルミナ30重量%の組成のセラミック組成物に、微量のクロムとコバルトを混合したものを用いた。グリーンシートに設けるスルーホール9はレーザにより形成した。コイル用導体パターン4a〜4iおよびマーク8の形成は、スクリーン印刷法により行った。
また、個々のチップに切断した後に、切断カスの除去やチップの角を丸める目的でグリーン状態でバレル処理を行い、チップのみを取り出して900℃にて焼成した。その後、端子電極5a、5bの下地となる銀を主成分とする導体ペーストを塗布して焼き付けし、さらに銅とニッケルと錫を電気めっきした。なおこの電気めっきは、この他、ニッケルと錫、ニッケルと金、あるいはニッケルと銀等で行うことが好ましい。
図4は従来品と本実施例のチップインダクタの代表特性であるQの比較データを、両インダクタのターン数、絶縁層およびコイルの材質を同じにした場合について対比して示す。図4において、Bは図5もしくは図6に示したように、コイル21は上下のほぼ中間位置に形成されており、したがって図1に示したa、bの比a/bはほぼ1である。一方、本発明の実施例においては、a/bをほぼ4とした。
図4から分かるように、本実施例のチップインダクタを使用するに好適な携帯電話の使用周波数帯である800MHzから2000MHzの範囲において、本実施例Aの方が従来品Bに比較し、Qが5から9優れていることがわかる。
本発明によるチップインダクタの一実施の形態を示す断面図である。 図1のチップインダクタのコイルの発生磁束を示す平面図である。 図1のチップインダクタの層構造図である。 本発明の実施例と従来品のチップインダクタのQの周波数特性を比較して示す図である。 従来のチップインダクタの一例を示す断面図である。 従来のチップインダクタの他の例を示す断面図である。
符号の説明
1:チップインダクタ、2:プリント基板、3:積層体、3a〜3y:絶縁層、4:コイル、4a〜4i:コイル用導体パターン、5a、5b:端子電極、6a、6b:ランド、7:半田、8:マーク、9:スルーホール

Claims (3)

  1. コイル用導体パターンを形成した磁性体または非磁性体からなる複数の絶縁層を、コイル用導体パターンを有しない絶縁層とともに積層して、前記コイル用導体パターンが前記絶縁層間で連続したコイルを内蔵した積層体を構成し、前記積層体の積層方向に対して直角方向の両端部に端子電極を設け、前記コイルの両端の引き出し部を前記端子電極に接続したほぼ直方体形状のチップインダクタであって、
    前記積層体の実装面を下面とした場合、前記コイルを、積層体の上側に偏よった位置に形成したことを特徴とするチップインダクタ。
  2. 請求項1に記載のチップインダクタにおいて、
    前記積層体の下面からコイルの下端までの積層方向の幅をa、コイル上端から積層体上面までの積層方向の幅をb、積層体の積層方向の幅をcとしたとき、
    0.7≧a/c≧0.3、6.0≧a/b≧2.0としたことを特徴とするチップインダクタ。
  3. 請求項1または2に記載のチップインダクタにおいて、
    前記積層体の上面にプリント基板への搭載用のマークを設けたことを特徴とするチップインダクタ。
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