JP2005044787A - 放電ランプおよび電球形蛍光ランプ - Google Patents

放電ランプおよび電球形蛍光ランプ Download PDF

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丈夫 安田
Yusuke Shibahara
雄右 柴原
Mamoru Ikeda
守 池田
Toshiyuki Ikeda
敏幸 池田
Takayuki Fujita
孝之 藤田
Junji Hasegawa
潤治 長谷川
Hidenori Ito
秀徳 伊藤
Fuminori Nakaya
文則 仲矢
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Abstract

【課題】管体33a 〜33d の連通管部36の接続加工時に、補助アマルガム52の支持部材54を封止する管体33a〜33d の封止箇所にクラックが発生するのを低減し、歩留まりを向上させる。
【解決手段】連通管部36を介して複数の管体33a 〜33dを順次接続して、屈曲形の放電路37を有するバルブ31を形成する。バルブ31内に封入ガスを封入し、バルブ31の両端に電極32を封装する。バルブ31の連通管部36を介して接続された管体33b〜33c の端部で連通管部36から離れた位置に、1本の支持部材54を封止する。支持部材54によってバルブ31の放電路37内に補助アマルガム52を支持する。管体33a〜33dの接続加工時に、支持部材54が受ける熱影響を少なくする。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の管体が連通管部を介して順次接続されて屈曲形の放電路が形成された放電ランプ、およびこの放電ランプを用いた電球形蛍光ランプに関する。
従来、この種の放電ランプとしては、例えば、略U字形の3本の管体を連通管部を介して順次接続して屈曲形の放電路を有するガラス製のバルブを形成し、このバルブの両端に電極を封装することにより、放電路長を確保しつつ小形化した蛍光ランプの構成が知られている。
このような蛍光ランプでは、定常点灯時にバルブ内の水銀蒸気圧を適正な範囲に制御する主アマルガム、消灯時にバルブ内の浮遊水銀を吸着しかつ始動時を含む点灯初期に吸着した水銀を放出して光束の立ち上がり特性を向上させる補助アマルガムを使用する場合がある。
補助アマルガムを使用する場合、光束の立ち上がり特性を改善するためにバルブの放電路の途中に補助アマルガムを配置する場合がある。従来技術1は、3本の管体のうち中間に位置する管体の一端部に封止される金属製のウエルズによって、補助アマルガムをバルブの放電路中に配置するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
補助アマルガムを放電路中に配置するには、補助アマルガムのウエルズを封止したダミーステムを用い、このダミーステムを管体の端部に接続したり、または、管体の端部に細管がある場合には細管から外れた位置に補助アマルガムのウエルズを偏位させて封止するようにしている。
実開昭63−109439号公報
ところで、放電ランプの製造工程では、中間の管体の一端の封止部に補助アマルガムを封止した後に、管体の端部近傍の管壁をバーナーで加熱溶融させて吹き破ることで連通管部を形成して接続する接続加工を行なうが、このとき、加熱される管体の管壁の近くに金属製のウエルズがあるので、そのウエルズが管体の管壁を加熱する熱で高温となってウエルズを封止する管体の封止箇所にクラックが発生することがあり、歩留まりが低下する問題を有している。
特に、ウエルズに作用する熱影響には、バーナーの放射熱と、管壁を伝わってウエルズの封止部に伝達される熱伝導とがあるが、熱伝導の方が影響が大きい傾向があり、そのため、ウエルズの封止部の径が大きいほど熱伝導による熱影響を受けやすく、ウエルズを封止する管体の封止箇所にクラックの発生が顕著になる傾向がある。
また、管体の管径が12mm以下と細い場合には、ウエルズをダミーステムなどを用いて管体端部に接続するには加工が煩雑であるとともに、ダミーステムが小形化されるので部品管理が面倒となる。ダミーステムを用いずにウエルズを中間の管体の一端に封止する方法としては、特開平9−106782号公報(従来技術2)に記載されているように、管体の一端をピンチシールすることによってウエルズを直接封止するものが知られている。しかし、管体の管径が12mm以下と細い場合にウエルズを直接ピンチシール封止した場合には管体の外面とウエルズとの距離が近くなって、ウエルズの封止部が加熱されやすくなるため、ウエルズを封止する管体の封止箇所にクラックの発生が顕著になる傾向がある。特に、従来技術2のウエルズは電極支持部材のウエルズと共用化しているため一対のウエルズがピンチシールされるものであり、管体の外面との距離が小さくなり、クラックがより発生しやすい。
また、管体が接続される連通管部の位置を管体の端部すなわちウエルズの封止部から遠ざけることで、管体の連通管部の接続加工時に、ウエルズが受ける熱影響を少なくしてウエルズを封止する管体の封止箇所にクラックが発生するのを低減することが考えられるが、そうすると管体の内部空間に対する放電路として使用される領域の割合が低くなり、ひいては放電路長が短くなり、発光効率が低下する問題が生じる。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、管体の連通管部の接続加工時に、補助アマルガムの支持部材を封止する管体の封止箇所にクラックが発生するのを低減し、歩留まりを向上でき、また管体の端部に補助アマルガムを容易に取り付けることができる放電ランプおよび電球形蛍光ランプを提供することを目的とする。
請求項1記載補放電ランプは、管内径が12mm以下の複数の管体が連通管部を介して順次接続されて屈曲形の放電路が形成され、連通管側管体の端部と連通管部との距離が8〜15mmの範囲に形成されたバルブと;バルブ内に封入された封入ガスと;バルブの両端に封装された電極と;バルブの連通管部を介して接続された少なくとも1つの管体の端部にピンチシールによって封止された支持部材と;支持部材によってバルブの放電路内に支持された補助アマルガムと;を具備していることを特徴とするものである。
そして、バルブの連通管部を介して接続された少なくとも1つの管体の端部に、バルブの放電路内に補助アマルガムを支持する支持部材をピンチシールによって封止する場合に、バルブの補助アマルガムが配置される連通管側管体の端部と連通管部との距離を8〜15mmの範囲に規定したことにより、管体の連通管部の接続加工時に、支持部材が受ける熱影響を少なくして支持部材を封止する管体の封止箇所にクラックが発生するのを低減する。
請求項2記載の放電ランプは、請求項1記載の放電ランプにおいて、補助アマルガムは、管体の軸方向に沿って長く形成されているものである。
そして、補助アマルガムを管体の軸方向に沿って長く形成したことにより、補助アマルガムの機能を確保したうえで、補助アマルガムの影を写りにくくするとともに製造誤差などによる補助アマルガムの管体の内壁への接触を防止し、管体の細管化に対応可能とする。
請求項3記載の放電ランプは、請求項1または2記載の放電ランプにおいて、補助アマルガムは、管体の端部からの距離が15〜25mmとなるように配置されているものである。
そして、補助アマルガムを、管体の端部からの距離が15〜25mmとなるように配置したことにより、補助アマルガムを放電路内に配置し、消灯時に放電路内の水銀蒸気を補助アマルガムに多く吸着させ、始動時の光束の立ち上がり特性を向上させる。
請求項4記載の電球形蛍光ランプは、バルブの内面に蛍光体層が形成された請求項1ないし3いずれか一記載の放電ランプと;放電ランプに接続された点灯回路と;放電ランプを支持するとともに点灯回路が収容されたカバーと;カバーに取り付けられた口金と;を具備しているものである。
そして、請求項1ないし3いずれか一記載の放電ランプを備えた電球形蛍光ランプを提供することが可能となる。
請求項5記載の電球形蛍光ランプは、消費電力が16W以上23W以下で、バルブの内面に蛍光体層が形成された請求項1ないし3いずれか一記載の放電ランプと;放電ランプに接続された点灯回路と;放電ランプを支持するとともに点灯回路が収容されたカバー、およびカバーに取り付けられた口金を有し、口金を含む高さが125mm以上145mm以下とした外囲器と;を具備しているものである。
そして、消費電力が16W以上23W以下で、バルブの内面に蛍光体層が形成された請求項1ないし12いずれか一記載の放電ランプと、放電ランプに接続された点灯回路と、放電ランプを支持するとともに点灯回路が収容されたカバー、およびカバーに取り付けられた口金を有し、口金を含む高さが125mm以上145mm以下とした外囲器とを具備したことにより、小形化した放電ランプを高さ寸法に大きく配置することで、電球形蛍光ランプを小形化し、照明器具への適用範囲を広げるとともに、放電ランプの消費電力が16W以上23W以下の範囲で、80W以上100W以下相当の白熱電極に相当する100
0lm以上1600lm以下の明るさが得られ、省電力を図れる。
請求項6記載の電球形蛍光ランプは、バルブの内面に蛍光体層が形成された請求項1ないし3いずれか一記載の放電ランプと;始動時に放電ランプの一端の電極と放電路途中に配置される補助アマルガムとの間に通電する点灯回路と;放電ランプを支持するとともに点灯回路が収容されたカバーと;カバーに取り付けられた口金と;を具備しているものである。
そして、バルブの内面に蛍光体層が形成された請求項1ないし3いずれか一記載の放電ランプを備えた電球形蛍光ランプを提供可能となり、しかも、始動時に放電ランプの一端の電極と放電路途中に配置される補助アマルガムとの間に通電することにより、放電路途中の補助アマルガムを加熱して温度上昇を早め、始動時の光束の立ち上がり特性を向上させる。
請求項1記載の放電ランプによれば、バルブの連通管部を介して接続された少なくとも1つの管体の端部に、バルブの放電路内に補助アマルガムを支持する支持部材をピンチシールによって封止する場合に、バルブの補助アマルガムが配置される連通管側管体の端部と連通管部との距離を8〜15mmの範囲に規定したことにより、管体の連通管部の接続加工時に、支持部材が受ける熱影響を少なくして支持部材を封止する管体の封止箇所にクラックが発生するのを低減する。
請求項2記載の放電ランプによれば、請求項1記載の放電ランプの効果に加えて、補助アマルガムを管体の軸方向に沿って長く形成したので、補助アマルガムの機能を確保したうえで、補助アマルガムの影を写りにくくするとともに製造誤差などによる補助アマルガムの管体の内壁への接触を防止でき、管体の細管化に対応できる。
請求項3記載の放電ランプによれば、請求項1または2記載の放電ランプの効果に加えて、補助アマルガムを、管体の端部からの距離が15〜25mmとなるように配置したので、補助アマルガムを放電路内に配置でき、消灯時に放電路内の水銀蒸気を補助アマルガムに多く吸着させることができ、始動時の光束の立ち上がり特性を向上できる。
請求項4電球形蛍光ランプによれば、バルブの内面に蛍光体層が形成された請求項1ないし3いずれか一記載の放電ランプと;放電ランプに接続された点灯回路と;放電ランプを支持するとともに点灯回路が収容されたカバーと;カバーに取り付けられた口金と;を具備しているものである。
請求項5記載の電球形蛍光ランプによれば、消費電力が16W以上23W以下で、バルブの内面に蛍光体層が形成された請求項1ないし3いずれか一記載の放電ランプと、放電ランプに接続された点灯回路と、放電ランプを支持するととともに点灯回路が収容されたカバー、およびカバーに取り付けられた口金を有し、口金を含む高さが125mm以上145mm以下とした外囲器とを具備したので、小形化した放電ランプを高さ寸法に大きく配置することで、電球形蛍光ランプを小形化し、照明器具への適用範囲を広げることができるとともに、放電ランプの消費電力が16W以上23W以下の範囲で、80W以上100W以下相当の白熱電極に相当する1000lm以上1600lm以下の明るさが得られ、省電力を図ることができる。
請求項6記載の電球形蛍光ランプによれば、バルブの内面に蛍光体層が形成された請求項1ないし3いずれか一記載の放電ランプを備えた電球形蛍光ランプを提供でき、しかも、始動時に放電ランプの一端の電極と放電路途中に配置される補助アマルガムとの間に通電するので、放電路途中の補助アマルガムを加熱して温度上昇を早めることができ、始動時の光束の立ち上がり特性を向上できる。
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1ないし図5に放電ランプの一実施の形態を示し、図1はバルブの展開図、図2は発光管の仕切体を透過した平面図、図3は電球形蛍光ランプの一部を切り欠くとともにグローブを透視した側面図、図4は電球形蛍光ランプの一部の分解斜視図、図5は光束の立ち上がり特性の特性図である。
そして、図3および図4において、11は電球形蛍光ランプで、この電球形蛍光ランプ11は、口金12を有するカバー14、このカバー14に収納された点灯回路16、透光性を有するグローブ17、このグローブ17に収納された放電ランプとしての発光管18を備えている。そして、口金12、カバー14およびグローブ17から構成される外囲器は、定格電力が例えば60Wタイプや100Wタイプの白熱電球などの一般照明用電球の規格寸法に近似する外形に形成されている。すなわち、60Wタイプでは、口金12を含むランプ長は110〜125mm程度、直径すなわちグローブ17の外径は50〜60mm程度、カバー14の最大径は40mm程度に形成されている。また、100Wタイプでは、それぞれ、ランプ長125〜145mm程度、例えば140mm、グローブ外径65〜75mm程度、例えば70mm、カバー最大径50mm程度に形成される。なお、一般照明用電球とはJISC
7501に定義されるものである。そして、以下、口金12側を上側、グローブ17側を下側として説明する。
そして、カバー14は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの耐熱性合成樹脂などにて形成されたカバー本体21を備えている。このカバー本体21は、下方に拡開する開口部を有する略円筒状をなし、上端部に、エジソンタイプのE26型などの口金12が被せられ、接着剤またはかしめなどにより固定されている。
また、グローブ17は、透明あるいは光拡散性を有する乳白色などで、ガラスあるいは合成樹脂により、白熱電球などの一般照明用電球のガラス球と略同一形状の滑らかな曲面状に形成されているとともに、開口部の縁部には、カバー14の下端開口部の内側に嵌合する図示しない嵌合縁部が形成されている。なお、このグローブ17は、拡散膜などの別部材を組み合わせ、輝度の均一性を向上することもでき、あるいは省略することもできる。
また、点灯回路16は、水平状、すなわち発光管18の長手方向と垂直に配置される回路基板(PC板)24を備え、この回路基板24の両面すなわち口金12側である上面および発光管18側である下面に、複数の電気部品25,26が実装されて、高周波点灯させるインバータ回路(高周波点灯回路)が構成されている。
回路基板24は、略円板状で、直径寸法は、40mm程度の略円と同等かそれよりも小さく形成されている。回路基板24の上面には、比較的熱に弱い(比較的耐熱性が低い)電解コンデンサ、フィルムコンデンサなどの電気部品25が配置されているとともに、下面には、比較的熱に強く(比較的耐熱性が高く)、高さ寸法の小さいチップ状の電気部品(チップ部品)26が配置されている。このチップ状の電気部品26は、REC(整流素子、ダイオードブリッジ)、トランジスタ、あるいは抵抗などであり、パッケージの厚さ寸法は、2〜3mm程度に形成されている。
また、図1および図4に示すように、発光管18は、バルブ31を有し、このバルブ31の内面に蛍光体(蛍光体層)が形成され、バルブ31の内部にアルゴンなどの希ガスや水銀などを含む封入ガス(放電ガス)が封入され、バルブ31の両端に一対の電極32がピンチシールによって封装されている。
バルブ31は、略同形状の4本の管体33a ,33b
,33c ,33d を有し、これら管体33a 〜33d は、例えば、管外径が8〜11mm、管内径が12mm以下の6〜9mm、肉厚が0.7〜1.0mmのガラス製の断面略円筒状であって、長さ寸法が110〜130mmの管が、中間部で滑らかに湾曲されて頂部を有する略U字状に形成されている。すなわち、各管体33a
〜33d は、滑らかに反転する屈曲部34と、この屈曲部34に連続する互いに平行な一対の直管部35とを備えている。
バルブ31の中間部の各管体33b ,33c の両端と、バルブ31の両端の各管体33a,33d
の一端とが連通管部(つなぎ部)36を介して順次接続されて1本の連続した放電路37が形成されている。連通管部36は、各管体33a 〜33d の端部をバーナーで加熱溶融した後、吹き破ることによって形成された開口同士をつなぎ合わせて形成されている。そして、バルブ31は、60Wタイプで、放電路長が200mm以上の200〜300mm、ランプ高さが50〜60mm、バルブ並設方向の最大幅が32〜43mm、例えば36mmに形成されている。また、100Wタイプでは、放電路長が400〜500mm、ランプ高さが70〜80mm、バルブ並設方向の最大幅が37〜46mm、例えば43mmに形成されている。
そして、バルブ31が電球形蛍光ランプ11に組み込まれた状態において、各管体33a
〜33d の頂部(屈曲部34)は、電球形蛍光ランプ11の上下方向を長手方向とする中心軸を中心とする所定の円周上に等間隔で位置され、また、各管体33a 〜33d
の直管部35も、電球形蛍光ランプ11の中心軸を中心とする所定の円周上に等間隔で位置され、すなわち、各管体33a 〜33d の直管部35が断面四角形の各辺に対応して配置されている。
各管体33a 〜33d の一端には排気管とも呼ばれる円筒状の細管38a
,38b ,38c ,38d がそれぞれ連通状態で突設されている。但し、バルブ31の両端部の管体33a ,33d の細管38a ,38d は電極32が封装される端部とは反対側(非電極側)の端部に突設されている。これら各細管38a
〜38d は、バルブ31の製造過程で溶断によって順次封止され、各細管38a 〜38d のうちの封止されていない一部を通じてバルブ31内が排気されるとともに、封入ガスが封入されて置換された後に、その各細管38a
〜38d のうちの封止されていない一部、例えば細管38b を溶断することによって封止される。
各電極32は、例えばタングステン(W)ワイヤを三重巻きしたトリプルコイルなどのフィラメントコイル41を有し、このフィラメントコイル41が一対(2本)の線状のウエルズ(電極用ウエルズ)42に支持されている。各ウエルズ42は、バルブ31の両端の管体33a
,33d の端部にピンチシールによって封着されたジュメット線43を介して、管体33a ,33d の外部に導出されたワイヤ44に接続されている。このジュメット線43はバルブ端部のピンチシール部45によって封止されている。そして、バルブ31が電球形蛍光ランプ11に組み込まれる際に、ワイヤ44が点灯回路16に接続される。
なお、各管体33a 〜33d の端部とも、ピンチシールによって封止されたピンチシール部45が形成されている。
中間部の一方の管体33c の細管38c には、その細管38a
を封止する際に主アマルガム51が封入されている。この主アマルガム51は、ビスマス、インジウムおよび水銀にて構成される合金であり、略球形状に形成され、バルブ31内の水銀蒸気圧を適正な範囲に制御する作用を有している。なお、主アマルガム51としては、ビスマス、インジウムの他に、スズ、鉛などを組み合わせた合金によって形成したものを用いてもよい。
中間部の各管体33b ,33c の細管38b ,38c
とは反対側(細管38b ,38c を有していない側)端部には、放電路途中に位置し、消灯時にバルブ31内の浮遊水銀を吸着しかつ始動時を含む点灯初期に吸着した水銀を放出する2つの放電路途中の補助アマルガム52が配設されている。すなわち、バルブ31の放電路途中の2つの補助アマルガム52に挟まれる管体33c
の端部に主アマルガム51が配置されている。
補助アマルガム52は、管体33b ,33c の軸方向に長い長方形板状で例えばSUS製の基板53を有し、この基板53の一端がニッケル(Ni)製で1本の線状の支持部材としてのウエルズ(補助アマルガム用ウエルズ)54に溶接にて取り付けられている。基板53には、ウエルズ54との溶接箇所から離反した箇所に水銀を吸着するインジウム(In)などの金属メッキ55が施されている。そして、ウエルズ54との溶接箇所から離反した箇所に金属メッキ55を施すことにより、ランプ点灯時に金属メッキ55のインジウムが溶けてウエルズ54に達するために、ウエルズ54のニッケルとインジウムとの反応によって合金を形成して水銀蒸気圧特性を損なうというようなことがなく、経時的な使用による始動時の光束の立ち上がり特性の低下を防止できる。また、補助アマルガム52を、管体33b
,33c の端部からの距離が15〜25mmとなるように配置することにより、補助アマルガム52を放電路37内に配置し、消灯時に放電路37内の水銀蒸気を補助アマルガム52に多く吸着させ、始動時の光束の立ち上がり特性を向上させることができる。
補助アマルガム52のウエルズ54は、径寸法が電極32のウエルズ42の径寸法以下に形成され、管体33b
,33c の端部で、管体33b ,33c の略管中心(管中心を含む)より連通管部36から離れた偏心位置にピンチシール部45で封止されている。そして、ウエルズ54の径寸法を電極32のウエルズ42の径寸法以下に細くするとともに、ウエルズ54を連通管部36から離すことにより、管体33a
〜33d を連通管部36で接続する接続加工時に、ウエルズ54が受ける熱影響を少なくしてウエルズ54が高温となって封止箇所であるピンチシール部45にクラックが発生するのが防止される。
ウエルズ54の径は、0.2mm以下では機械的強度が不足し、0.4mm以上では熱影響の低減が十分でないので、0.2〜0.4mmの範囲内で形成されている。
両端の各管体33a ,33d の電極32の一方のウエルズ42には、電極側の補助アマルガム56が取り付けられている。この補助アマルガム56は、補助アマルガム52と同様に構成され、同様の水銀蒸気圧特性を有する。
また、バルブ31の補助アマルガム52が配置される中間の管体33b
,33c の端部であるピンチシール部45と連通管部36との距離Lは8〜15mmの範囲に形成されている。このように規定することで、管体33a 〜33d を連通管部36で接続する接続加工時に、ウエルズ54が受ける熱影響を少なくしてウエルズ54が高温となって封止箇所であるピンチシール部45にクラックが発生するのが防止される。距離Lが8mm以下であると熱影響を受けやくなり、距離Lが15mm以上であると放電路長が短くなって発光効率が低下する問題が生じる。
また、発光管18は、蛍光ランプ固定部材でありまた点灯回路固定部材である支持手段としての仕切板61に取り付けられ、この仕切板61がカバー14に固定されている。すなわち、仕切板61は、円板状をなす基板部62を備え、この基板部62に形成された取付孔62a
に、各管体33a 〜33d の端部を挿入したうえ接着剤にて接着などして、発光管18が仕切板61に固定されている。また、基板部62の外周部からは、上側に向かいさらに外側に向かう嵌合段部63が形成されている。そして、この嵌合段部63をカバー14の内側に嵌合し、さらに、この嵌合段部63とカバー14との間にグローブ17の嵌合縁部を嵌合した状態で、嵌合段部63とカバー14との間に接着剤を充填することにより、これらの部材が互いに固定されている。また、嵌合段部63の上側には、円筒状などをなす取付片部64が突設され、この取付片部64に、嵌合あるいは接着などして、点灯回路16の回路基板24が取り付けられている。
そして、このように構成された電球形蛍光ランプ11は、60Wタイプで、入力電力定格14Wで、発光管18には、12.5Wの電力の高周波で加わり、ランプ電流は210mA、ランプ電圧は60Vとなり、3波長発光形蛍光体の使用により全光束810lmとなっている。
この実施の形態によれば、バルブ31の放電路37内に補助アマルガム52を支持する1本のウエルズ54を、バルブ31の連通管部36を介して接続された管体33b
,33c の端部でその管中心より連通管部36から離れた位置にピンチシールによって封止したので、管体33a 〜33d を連通管部36で接続する接続加工時に、ウエルズ54が受ける熱影響を少なくしてウエルズ54が高温となって封止箇所であるピンチシール部45にクラックが発生するのを防止でき、歩留まりを向上できる。
しかも、バルブ31の補助アマルガム52が配置される中間の管体33b
,33c の端部のピンチシール部45と連通管部36との距離を8〜15mmの範囲に規定したので、管体33a 〜33d を連通管部36で接続する接続加工時に、ウエルズ54が受ける熱影響を少なくしてウエルズ54が高温となって封止箇所であるピンチシール部45にクラックが発生するのを防止でき、歩留まりを向上できる。
さらに、バルブ31の放電路37内に補助アマルガム52を支持する1本のウエルズ52の径寸法を、電極32のウエルズ42の径寸法以下となるように細くしたので、管体33a
〜33d を連通管部36で接続する接続加工時に、ウエルズ54が受ける熱影響を少なくしてウエルズ54が高温となって封止箇所であるピンチシール部45にクラックが発生するのを防止でき、歩留まりを向上できる。
さらに、ウエルズ54の径を、0.2〜0.4mmの範囲に規定したので、ウエルズ54の熱影響を低減と強度の確保とを両立できる。なお、ウエルズ54の径は、全体的に同一径でもよいが、少なくとも管体33b
,33c の端部に封止される部分(封止部)が0.2〜0.4mmの範囲であれば、他の部分については範囲外でもよく、強度確保のために径大にすることもできる。
そして、ウエルズ54を、バルブ31の連通管部36を介して接続された管体33b
,33c の端部でその管中心より連通管部36から離れた位置に封止するとともに、径寸法を電極32のウエルズ42の径寸法以下で、0.2〜0.4mmの範囲となるように細くすること、バルブ31の補助アマルガム52が配置される管体33b
,33c の端部と連通管部36との距離を8〜15mmの範囲に規定することの、いずれか2つの組み合わせ、あるいは全てを組み合わせることにより、それらの相乗効果によって、ウエルズ54が受ける熱影響をより少なくして、ピンチシール部45にクラックが発生するのを確実に防止でき、歩留まりをより向上できる。
また、4つの管体33a 〜33d に少なくとも1つずつの補助アマルガム52,56を配置したので、始動時の光束の立ち上がり特性を向上できる。この場合、バルブ31の放電路途中の補助アマルガム52に挟まれる管体33c
の端部に主アマルガム52を配置したので、消灯時に主アマルガム52に戻るバルブ31内の水銀蒸気を隣接する2つの補助アマルガム52にバランスよく吸着させることができ、始動時での各補助アマルガム52からの水銀蒸気の放出が略均等でかつ良好になり、始動時に均等な明るさで点灯させることができる。
また、2つの補助アマルガム52をバルブ31の放電路37途中で放電路長方向に略均等な位置つまり電極32のない中間の管体33b
,33c に配設し、4つの補助アマルガム52,56を放電路長方向に略均等に配置したので、始動時にこれら補助アマルガム52,56からの水銀蒸気を放電路37全体に対して略均等に放出でき、始動時の光束の立ち上がり特性を向上できる。すなわち、光束の立ち上がり特性の測定結果を図5に示し、光束の立ち上がり特性Aは主アマルガム51を中間の管体33bに配設するとともに補助アマルガム52,56を各管体33a
〜33d に配設した本実施の形態の場合である。光束の立ち上がり特性Bは、図6 (a) に示すように、本実施の形態の構成から主アマルガム51を一端の管体33a の電極32と反対側の端部に配設した他の実施の形態の場合である。光束の立ち上がり特性Cは、図6
(b) に示すように、本実施の形態の構成から中間の管体33b ,33c の補助アマルガム52を省いた比較例の場合である。比較の結果、光束の立ち上がり特性Cに比べて、光束の立ち上がり特性A,Bがそれぞれ向上した。
さらに、図1の実施の形態のように、主アマルガム51が配置される管体33c
の端部に連通管部36を介して接続された管体33b の細管38b を有していない端部に補助アマルガム52を配置したので、バルブ31の管体33b 側から水銀蒸気が連通管部36を通じて主アマルガム51に戻る際に、水銀蒸気が補助アマルガム52に吸着しやすくでき、始動時には補助アマルガム52からの水銀蒸気の放出が良好となり、始動時の光束の立ち上がり特性を向上できる。
また、図6 (a)の実施の形態のように、バルブ31の電極32が封装される管体33dの端部と反対側の端部に主アマルガム51を配置し、主アマルガム51が配置される管体33d
の端部に連通管部36を介して接続された管体33c の端部に放電路途中の補助アマルガム52を配置したので、消灯時に主アマルガム51に戻るバルブ31内の水銀蒸気を主アマルガム51に隣接する補助アマルガム52に多く吸着させることができ、さらに、主アマルガム51が電極32に近いので、電極2の発熱の影響により主
アマルガム51から水銀が早期に蒸発、拡散されて、始動時の光束の立ち上がり特性を向上できる。
また、補助アマルガム52を管体33b ,33c の軸方向に沿って長く形成したので、補助アマルガム52の機能を確保したうえで、補助アマルガム52の影を写りにくくするとともに製造誤差などにより補助アマルガム52が管体33b
,33c の内壁に接触するのを防止でき、バルブ31の細管化に対応できる。
さらに、補助アマルガム52のウエルズ54に接続された溶接箇所を除いた箇所に水銀を吸着する金属メッキ55を施しているので、金属メッキ55がウエルズ54に流れて反応するために水銀蒸気圧特性を損なうのを防止でき、光束の立ち上がり特性を寿命末期まで維持できる。
また、放電路途中の補助アマルガム52を、管体33b
,33c の端部からの距離が15〜25mmとなるように配置することにより、補助アマルガム52を放電路37内に配置でき、消灯時に放電路37内の水銀蒸気を補助アマルガム52に多く吸着させることができ、始動時の光束の立ち上がり特性を向上できる。
また、4つの管体33a 〜33d でバルブ31を形成するので、放電路長を確保しつつ小形化できる。
また、100Wタイプの電球形蛍光ランプ11では、管内径が6mm以上9mm以下、放電路長が400mm以上500mm以下、消費電力が16W以上23W以下で、バルブ31の内面に蛍光体層が形成された発光管18、発光管18に接続された点灯回路16と、発光管18を支持するととともに点灯回路16が収容されたカバー14、およびカバー14に取り付けられた口金12を有し、口金12を含む高さが125mm以上145mm以下とした外囲器とを具備したので、小形化した発光管18を高さ寸法に大きく配置することで、電球形蛍光ランプ11を小形化し、照明器具への適用範囲を広げることができるとともに、発光管18の消費電力が16W以上23W以下の範囲で、80W以上100W以下相当の白熱電極に相当する1000lm以上1600lm以下の明るさが得られ、省電力を図ることができる。
また、図7および図8に示すように、補助アマルガム52を支持するウエルズ54は、管体33b のピンチシール部45に封止される封止部71、この封止部71の一端から管体33b
内に進入して補助アマルガム52を支持する支持部72、および封止部71の他端から管体33b の外部に導出される導出部73にて1本の線状に構成してもよい。封止部71は、例えば、鉄とニッケルの合金で、表面に銅メッキが施され、径が0.2〜0.4mmの範囲内であって0.3mm程度に形成され、また、支持部72および導出部73は、例えば、鉄製で、表面に銅メッキが施され、径が封止部71より太い0.5mm程度に形成されている。このウエルズ54は、管体33b
の端部の略管中心にピンチシール封止されている。
そして、補助アマルガム52を支持する1本のウエルズ54を、バルブ31の連通管部36を介して接続された少なくとも1つの管体33b
の略管中心にピンチシールによって封止し、ウエルズ54と管体33b の管壁との距離を略均等としてウエルズ54が管壁から最も離れるようにし、しかも、ウエルズ54の封止部71の径を0.2〜0.4mmの範囲に規定したので、ウエルズ54の強度を確保しつつ、図8に示すように、管体33b
の管壁をバーナー74で過熱溶融して連通管部36の箇所を吹きやぶり・つなぎ加工する際、管体33b の管壁を伝わってウエルズ54の封止部71に伝達される熱伝導の影響を少なくし、ウエルズ54を封止する管体33b
の封止箇所であるピンチシール部45にクラックが発生するのを低減できる。また、ウエルズ54をダミーステムなどの別部品を用いることなく管体33b の端部の略管中心に封止するので、ウエルズ33b
の封止加工を容易にできるとともに、補助アマルガム52の影がバルブ31に映りにくくできる。
なお、管体33c に封止される補助アマルガム52のウエルズ54についても、管体33b
に封止される補助アマルガム52のウエルズ54と同様に構成してもよい。
また、図9に示すように、3本の管体33a ,33c
,33d を接続してバルブ31を構成する場合を示し、この場合、1つの主アマルガム51と3つの補助アマルガム52,56を用い、放電路途中の補助アマルガム52を中間の管体33c
の細管38c が配置されない端部に配置するとともに電極側の両端の補助アマルガム56を両端の電極32に配置してこれら補助アマルガム52,56を放電路長方向に略均等に配置し、主アマルガム51を補助アマルガム52,56間に位置する端部の管体33d
の細管38dに配置する。
そして、3つの補助アマルガム52,56を放電路長方向に略均等に配置したので、始動時にこれら補助アマルガム52,56からの水銀蒸気を放電路37全体に対して略均等に放出でき、始動時の光束の立ち上がり特性を向上できる。
さらに、主アマルガム51が配置される管体33d の端部に連通管部36を介して接続された管体33c
の細管38c を有していない端部に補助アマルガム52を配置したので、バルブ31の管体33c 側から水銀蒸気が連通管部36を通じて主アマルガム51に戻る際に、水銀蒸気が補助アマルガム52に吸着しやすくでき、始動時には補助アマルガム52からの水銀蒸気の放出が良好となり、始動時の光束の立ち上がり特性を向上できる。
また、バルブ31の電極32が封装される管体33d の端部と反対側の端部に主アマルガム51を配置し、主アマルガム51が配置される管体33d の端部に連通管部36を介して接続された管体33c
の端部に放電路途中の補助アマルガム52を配置したので、消灯時に主アマルガム51に戻るバルブ31内の水銀蒸気を主アマルガム51に隣接する補助アマルガム52に多く吸着させることができ、さらに、主アマルガム51が電極32に近いので、電極2の発熱の影響により主アマルガム51から水銀が早期に蒸発、拡散されて、始動時の光束の立ち上がり特性を向上できる。
また、図10に示すように、電球形蛍光ランプ11としては、曲管形の蛍光ランプ(発光管18)、およびボール形のグローブ17を有するボール形の電球形蛍光ランプ11に適用することもできる。
また、図11 (a) 〜(d) に示す電極側の補助アマルガム56の位置に応じた各試作例1〜4について、図10に示す電球形蛍光ランプ11をそれぞれ試作し、始動時の光束の立ち上がり特性を試験したところ、図12に示すような光束の立ち上がり特性の結果が得られた。図11
(a) に示す補助アマルガム56を電極32のウエルズ42に電気的に接続した試作例1、およびこの試作例1より補助アマルガム56をフィラメントコイル41から離した図11(b)
に示す試作例2は、図11(c) に示す補助アマルガム56を電極32から電気的に離した試作例3、およびこの試作例3より補助アマルガム56をフィラメントコイル41から離した図11(d)
に示す試作例4に比べて、立ち上がり特性がよい結果がえられた。これは、試作例1および試作例2では、電極32と電気的に接続されているために、始動時にグロー放電による高い陰極効果電圧降下が発生し、補助アマルガム56も冷陰極の一部として陰極暗部からのイオン衝撃を受けて瞬間に加熱されることによるもので、そのため、試作例1と試作例2とでは特性にあまり差がでない。それに対して、試作例3および試作例4では、補助アマルガム56が電極32から電気的に離れているので、イオン衝撃を受けず、負グロー中の電子イオンの再結合による比較的穏やかな加熱を受け、しかも、フィラメントコイル41から離れるにしたがってプラズマ密度が低くなるために、より加熱されにくくなる傾向がある。そして、この試験結果から上述した各実施の形態において考察すると、負グローよりもさらにプラズマ密度の低い陽光柱中にある放電路途中の補助アマルガム52が、電極側の補助アマルガム56より加熱されにくい傾向にあり、このことが始動時の光束の立ち上がり特性に影響していることがわかる。
そのため、放電路途中に配置される補助アマルガム52の熱容量を、電極側の補助アマルガム56の熱容量より小さくすることにより、始動時における放電路途中の補助アマルガム52の温度上昇を早めて、水銀放出を良好にできるので、始動時の光束の立ち上がり特性を向上できる。
補助アマルガム52の熱容量を小さくするには、金属製の基板53の面積を小さくしたり、また、図13
(a) に示すように、基板53に代えてメッシュワイヤを用いたり、あるいは、図13 (b) に示すように、ウエルズ54自体にインジウム(In)などの金属メッキ55を形成する。
また、図14に示すように、発光管18の両端の電極32に接続されるインバータ回路にて構成された点灯回路16の出力の一端に、放電路途中の補助アマルガム52を支持するウエルズ54を抵抗などのハンインピーダンス素子Rを介して接続することにより、始動時に、ウエルズ45と点灯回路16の出力の他端に接続された電極32との間で放電が生じ、補助アマルガム52が冷陰極としてイオン衝突を受けて速やかに加熱され、さらに、その放電が点灯回路16の出力の一端に接続された電極32に拡大するので、放電路途中の補助アマルガム52からの水銀放出が良好で、始動時の光束の立ち上がり特性を向上できる。しかも、この場合、始動性を向上し、始動電圧が低下するので、点灯回路16の部品を小容量のものが使え、小形化できる。
また、図15 (a) に示すように、点灯回路16により、始動時に、発光管18の一端の電極32と放電路途中の補助アマルガム52との間に例えば1kV程度の高電圧を印加し、補助アマルガム52が冷陰極としてイオン衝突を受けて瞬時に加熱され、その後、図15(b)
に示すように、両端の電極32間に例えば1kV程度の高電圧を印加し、両端の電極32間で放電させるようにする。これにより、始動時に、放電路途中の補助アマルガム52を瞬時に加熱し、水銀放出を良好にできるので、始動時の光束の立ち上がり特性を向上できる。
なお、放電路途中の補助アマルガム52に印加する時間は100msec程度で十分であり、その期間内に他端の電極32がアークに移転しても問題ない。また、これら一連の動作は数百msecの間でなされるものであり、電極32や放電路途中の補助アマルガム52もダメージを受けることはない。
なお、図15には3本の管体33a ,33c ,33d
を備えた場合を示すが、4本の管体33a 〜33d を備えた場合も同様である。
そして、上述した各電球形蛍光ランプ11を白熱電球などの一般照明用電球のソケットを備えた器具本体に装着することにより、照明器具が構成される。そして、この構成では、上述した各電球形蛍光ランプ11の効果を備えた照明器具を構成できる。
なお、バルブ31が4本の管体33a 〜33d を備えている場合、放電路途中の補助アマルガム52は、中間の管体33b
,33c のいずれか一方のみに配設してもよい。
また、主アマルガム51は、細管38a 〜38dのいずれか1つ、または複数に配置してもよい。細管38a
〜38dのいずれか1つに主アマルガム51を配置する場合には、放電路途中の補助アマルガム52間、あるいは放電路途中の補助アマルガム52と電極側の補助アマルガム56との間に主アマルガム51が位置するようにし、また、複数の細管38a
〜38dに複数の主アマルガム51を配置する場合には、複数の主アマルガム51間に放電路途中の補助アマルガム52を配置することにより、始動時の光束の立ち上がり特性を向上できる。
また、前記実施の形態では、U字状の管体を4本あるいは3本接続して発光管を構成したが、発光管の形状はこれに限られず、例えば、H字状の管体を用いてもよく、管体を2本あるいは6本以上を接続して構成してもよい。
また、点灯回路は、1枚の回路基板を水平に配置したが、複数枚の回路基板を設けることもできる。
次に、図16ないし図18に放電ランプの他の実施の形態を示し、図16はバルブの展開図、図17は放電ランプのバルブの製造工程を(a)〜(c)の順に示す説明図、図18は放電ランプと比較例との光束の立ち上がり特性を示す特性図である。
図16に示すように、バルブ31には、複数の管体33a,33c,33dが連通管部(つなぎ部)36を介して順次接続されて1本の屈曲形の放電路37が形成されているとともに、それらの各接続部分つまり連通管部36が管体33a,33c,33dの端部付近に形成され(屈曲形の放電路37に沿った屈曲形の形状に形成され)、すなわち、連通管部36には放電路37から外れる空間ができないように放電路37に沿って連続した屈曲形の形状に形成されている。
バルブ31の両端に対応する両端の管体33a,33dの各端部には、細管(排気管)38a,38dが突設されているとともにウエルズ42によって電極32および補助アマルガム56が支持されたステムが封装されている。各ウエルズ42は、ステムに封止されたジュメット線43を介して、管体33a,33dの外部に導出されたワイヤ44に接続されている。一端側の管体33の細管には主アマルガム51が封入されている。
このバルブ31を製造するには、まず、図17(a)に示すように、一端側の管体33aと中間の管体33cとを接続する。一端側の管体33aの一端には、封止されていない細管(排気管)38aが突設されているとともに電極32および補助アマルガム56が支持されたステムが封装され、他端は開口されている。中間の管体33cの両端は開口されている。そして、管体33aおよび管体33cの接続する端部をそれぞれバーナーで加熱溶融させて焼き丸め、封止する。
続いて、図17(b)に示すように、管体33aおよび管体33cの接続する端部をそれぞれバーナー81で加熱溶融させながら、一端側の管体33aには細管38aを通じてエアを送り込み、中間の管体33cの開口されている端部にはゴム栓82を装着して閉止するとともにこのゴム栓82を貫通する挿通管83を通じてエアを送り込むことにより、加熱溶融された管体33aおよび管体33cの接続する端部を互いに吹き破ることで形成される開口同士をつなぎ合わせる。
続いて、図17(c)に示すように、一端側の管体33aと中間の管体33cとを接続したときと同様工程を経て、中間の管体33cと他端側の管体33dとを接続する。このとき、加熱溶融した管体33cおよび管体33dの接続する端部を互いに吹き破る際、一端側の管体33aには細管38aを通じてエアを送り込み、他端側の管体33dには細管38dを通じてエアを送り込む。
その後、一端側の管体33aの細管38aに主アマルガム51を封入して封止し、他端側の管体33dの細管38dを通じて排気するとともに放電ガスを注入して置換し、細管38dを封止する。
そして、このバルブ31を用いた電球形蛍光ランプ11と、例えば図9に示すような管体33a〜33dの端部から離れた位置に連通管部36が形成された比較例の電球形蛍光ランプ11(但し、中間の補助アマルガム52は備えない)とについて、始動時の光束の立ち上がり特性を試験したところ、図18に示すような光束の立ち上がり特性の結果が得られた。このバルブ31を用いた電球形蛍光ランプ11における光束の立ち上がり特性を破線で示し、比較例における光束の立ち上がり特性を実線で示す。
比較例では、バルブ31の管体33a〜33dの接続部分に放電路37から外れる空間があるため、その放電路37から外れた空間部分での温度上昇が遅く、放電路37内に拡散途中の水銀蒸気が凝縮することにより、始動直後の光束の立ち上がりが遅いとともに、始動後の40〜100秒前後での光出力の上昇が停滞する。
それに対して、このバルブ31を用いた電球形蛍光ランプ11では、バルブ31の管体33a〜33dの接続部分である連通管部36を管体33a,33c,33dの端部付近すなわち屈曲形の放電路37に沿った形状に形成し、バルブ31の連通管部36には放電路37から外れる空間が少ないため、始動時におけるバルブ31の連通管部36での温度上昇が早く、水銀蒸気が凝縮することがなく、始動直後からの光束の立ち上がりが早い。
そのため、放電路37の途中に補助アマルガムを設けなくても、始動時の光束の立ち上がり特性を向上でき、したがって、放電路37の途中に補助アマルガムを配置することに起因するバルブ31のクラックの発生を防止でき、歩留まりを向上できる。
なお、図18において、電球形蛍光ランプ11では、始動後に、放電路37内の水銀蒸気圧が安定するまでの間は光出力が上下を繰り返すが、徐々に収束して安定する。
本発明の放電ランプおよび電球形蛍光ランプの一実施の形態を示すバルブの展開図である。 同上発光管の仕切体を透過した平面図である。 同上電球形蛍光ランプの一部を切り欠くとともにグローブを透視した側面図である。 同上電球形蛍光ランプの一部の分解斜視図である。 同上光束の立ち上がり特性の特性図である。 (a) は本発明の放電ランプの他の実施の形態を示すバルブの展開図、(a)は比較例を示すバルブの展開図である。 本発明の放電ランプのまた他の実施の形態を示すバルブの一部の断面図である。 同上バルブの連通管部の吹き破り・つなぎ加工時の説明図である。 本発明の放電ランプのさらに他の実施の形態を示すバルブの展開図である。 本発明の電球形蛍光ランプの他の実施の形態を示す斜視図である。 同上電球形蛍光ランプで補助アマルガムの位置に応じた各試作例を(a) 〜(d)に示す説明図である。 同上各試作例における光束の立ち上がり特性を示す特性図である。 本発明の放電ランプのまたさらに他の実施の形態を(a)(b)それぞれに示す放電路途中の補助アマルガムの正面図である。 本発明の電球形蛍光ランプのまた他の実施の形態を示す構成図である。 本発明の電球形蛍光ランプのさらに他の実施の形態を(a)(b)に示す構成図である。 本発明の放電ランプのさらに他の実施の形態を示すバルブの展開図である。 同上放電ランプのバルブの製造工程を(a)〜(c)の順に示す説明図である。 同上放電ランプと比較例との光束の立ち上がり特性を示す特性図である。
符号の説明
11 電球形蛍光ランプ、12 口金、14 カバー、16 点灯回路
18 放電ランプとしての発光管、31 バルブ、32 電極、33a
〜33d 管体、36 連通管部、
37 放電路、38a 〜38d 細管、42 ウエルズ、51 主アマルガム、52
補助アマルガム
54 支持部材としてのウエルズ、55 金属メッキ、56 補助アマルガム

Claims (6)

  1. 管内径が12mm以下の複数の管体が連通管部を介して順次接続されて屈曲形の放電路が形成され、連通管側管体の端部と連通管部との距離が8〜15mmの範囲に形成されたバルブと;
    バルブ内に封入された封入ガスと;
    バルブの両端に封装された電極と;
    バルブの連通管部を介して接続された少なくとも1つの管体の端部にピンチシールによって封止された支持部材と;
    支持部材によってバルブの放電路内に支持された補助アマルガムと;
    を具備していることを特徴とする放電ランプ。
  2. 補助アマルガムは、管体の軸方向に沿って長く形成されていることを特徴とする請求項1記載の放電ランプ。
  3. 補助アマルガムは、管体の端部からの距離が15〜25mmとなるように配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の放電ランプ。
  4. バルブの内面に蛍光体層が形成された請求項1ないし3いずれか一記載の放電ランプと;
    放電ランプに接続された点灯回路と;
    放電ランプを支持するとともに点灯回路が収容されたカバーと;
    カバーに取り付けられた口金と;
    を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。
  5. 消費電力が16W以上23W以下で、バルブの内面に蛍光体層が形成された請求項1ないし4いずれか一記載の放電ランプと;
    放電ランプに接続された点灯回路と;
    放電ランプを支持するとともに点灯回路が収容されたカバー、およびカバーに取り付けられた口金を有し、口金を含む高さが125mm以上145mm以下とした外囲器と;
    を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。
  6. バルブの内面に蛍光体層が形成された請求項1ないし3いずれか一記載の放電ランプと;
    始動時に放電ランプの一端の電極と放電路途中に配置される補助アマルガムとの間に通電する点灯回路と;
    放電ランプを支持するとともに点灯回路が収容されたカバーと;
    カバーに取り付けられた口金と;
    を具備していることを特徴とする電球形蛍光ランプ。
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