JP2005044554A - 熱動形過負荷継電器 - Google Patents
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Abstract
【課題】バイメタルの湾曲を阻害することなく、加熱体の熱を有効にバイメタルに伝達させることができる熱動形過負荷継電器を提供する。
【解決手段】通電電流に応じた量の発熱を行う加熱体1と、加熱体1によって過熱されて湾曲動作を行うバイメタル2と、前記加熱体1とバイメタル2とを保持する締金21とを備えた加熱部3と、前記バイメタル2の変位量が規定値を超えると反転機構4を動作させて接点を切り替える操作部7とからなる熱動形過負荷継電器において、前記締金21を加熱体1と接触する接触部とバイメタル2を保持する脚部とによりU字状に形成し、前記締金21の脚部の幅を前記接触部の幅よりも幅狭とする。
【選択図】 図1
【解決手段】通電電流に応じた量の発熱を行う加熱体1と、加熱体1によって過熱されて湾曲動作を行うバイメタル2と、前記加熱体1とバイメタル2とを保持する締金21とを備えた加熱部3と、前記バイメタル2の変位量が規定値を超えると反転機構4を動作させて接点を切り替える操作部7とからなる熱動形過負荷継電器において、前記締金21を加熱体1と接触する接触部とバイメタル2を保持する脚部とによりU字状に形成し、前記締金21の脚部の幅を前記接触部の幅よりも幅狭とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁接触器と組合せて使用する熱動形過負荷継電器(サーマルリレー)に関し、特に熱動形過負荷継電器の加熱部における加熱体とバイメタルとの保持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動機などの過負荷保護対策として、その電源回路に接続した電磁接触器に熱動形過負荷継電器を組合せ、過負荷運転時に電磁接触器で電流をしゃ断して電動機を運転停止するようにした方式が標準的な配電方式として一般に採用されている。
【0003】
図7乃至図9は、従来の熱動形過負荷継電器を示すものであり、図7は、熱動形過負荷継電器の裏面カバーを外し、ケースの内部を示した正面図、図8は図7における操作部の拡大図、図9は図7に示す締金の斜視図である。
【0004】
図において、熱動形過負荷継電器は、通電電流に応じた量の発熱を行う3相分の加熱体1と、加熱体1によって過熱されて湾曲動作を行う3相分のバイメタル2と、前記加熱体1とバイメタル2を保持する締金20とを備えた加熱部3と、バイメタル2の変位量が規定値を超えると、反転機構4を反転動作させて、接点5及び6を切り換える操作部7とからなっている。また、バイメタル2の先端にはシフタ8が連結されている。
【0005】
前記加熱体1は、短冊状にした金属材の薄板を略U字状に形成したものであり、図示しない一方の外部端子に接続された中継端子100に一端が接合され、他端が他方の外部端子200に接合されている。
【0006】
前記締金20は、加熱体1とバイメタル2の下端を保持することにより、加熱体1の熱をバイメタル2に伝達させるものであり、図9にその詳細を示すように、長方形の薄板をU字状に折り曲げて、板状の加熱体1と接触して加熱体1をバイメタル2に接触させる接触部20aと、バイメタル2を保持する脚部20b,20bを形成したものである。この締金20は、非磁性材で加工しやすく、比較的安い材料である真ちゅうが用いられている。この締金20は、図7に示すように加熱体1とバイメタル2の下端を抱きかかえるようにしてそのU字状に折り曲げられた脚部20b,20bの先端を内側に折り曲げることによって加熱体1とバイメタル2とを保持している。
【0007】
前記操作部7は、固定接点板ばね5aと可動接点5bとからなる常閉接点5と、固定接点板ばね6aと可動接点を有する可動接触子片6bとからなる常開接点6と、軸9aを支点に半時計方向に回動可能に軸支され、バイメタル2のシフタ8と反転機構4との間を連繋する釈放レバー9と、下端が本体ケース18の溝に支持されるとともに、一端が調整ダイヤル15のカム面に押圧され、他端が釈放レバー9の軸9aに連結された調整リンク10とを備えている。なお、15は図8に示すように調整リンク10に連結された釈放レバー9を実線の位置から点線の位置にずらして釈放レバー9とシフタ8の先端との間のギャップを変化させることにより動作電流値を調整する調整ダイヤルであり、16は反転機構4を自動復帰あるいは手動復帰させるリセット棒である。
【0008】
前記反転機構4は、一端を略コ字状の支持片11のV溝11aに係止支持した揺動式可動板17と、該可動板17の先端部と支持片11のばね掛け部との間に張架した引っ張りばね(反転駆動ばね)13と、可動板17から背後に向けてL字形に突き出した絶縁物製の常開接点用駆動レバー14からなり、可動板17の先端部には常閉接点5の可動接点5bが取付けてある。
【0009】
かかる構成で、図7及び図8に示す定常状態では、反転機構4の可動板17が引っ張りばね13のばね力を受けて中立位置から時計方向に傾動していて、常閉接点5の可動接点5bを固定接点板ばね5aの固定接点に押し付けて接点をON状態に保持している。なお、この状態では常開接点6はOFFである。
【0010】
ここで、主回路に過負荷電流が流れると加熱体1による加熱によってバイメタル2が加熱湾曲し、その自由端の変位によりシフタ8が右方向に移動する。これにより、釈放レバー9は軸9aを中心にして反時計方向に揺動し、反転機構4の引っ張りばね13の線条の中腹13aを釈放レバー9のレバー先端部9aにより上方に突き上げるとともに、引っ張りばね13の変位が可動板17の死点を超えると可動板17が急速に反転駆動して、常閉接点5の可動接点5bが固定接点板ばね5aの固定接点から開離するとともに、駆動レバー14により可動接点が取付けられた可動接触子片6bが押圧されて可動接点が固定接点6aに接触して接点をONに切換える。(例えば、特許文献1参照。)
【0011】
【特許文献1】
特開2002−170471号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記した従来構造の熱動形過負荷継電器では、動作特性面で次に記すような問題点がある。
【0013】
すなわち、バイメタルの湾曲は加熱体の発熱により与えられるが、ほとんどの熱量は加熱体とバイメタルを保持する締金との接触部から与えられる。そのため締金の幅を広くすれば、加熱体とバイメタルとの接触面積が広くなり、より多くの熱量を伝達させることができるが、逆にバイメタルの湾曲を阻害してしまうといった欠点があった。
【0014】
そこで、本発明の課題は、上記問題点を解決し、バイメタルの湾曲を阻害することなく、加熱体の熱を有効にバイメタルに伝達させることができる熱動形過負荷継電器を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、通電電流に応じた量の発熱を行う加熱体と、加熱体によって過熱されて湾曲動作を行うバイメタルと、前記加熱体とバイメタルとを保持する締金とを備えた加熱部と、前記バイメタルの変位量が規定値を超えると反転機構を動作させて接点を切り替える操作部とからなる熱動形過負荷継電器において、前記締金を加熱体と接触する接触部とバイメタルを保持する脚部とによりU字状に形成し、前記締金の脚部の幅を前記接触部の幅よりも幅狭とするようにする。
【0016】
この請求項1の発明によれば、締金の接触部により加熱体をバイメタルに接触させているので、加熱体の熱をバイメタルに有効に伝達できるとともに、接触部よりも幅狭の脚部により加熱体とバイメタルを保持しているので、バイメタルの湾曲を阻害することなくバイメタルを加熱湾曲させることができる。
【0017】
また、上記熱動形過負荷継電器において、前記締金の接触部にビードを形成することにより、締金の板厚を薄くすることが可能となり、締金の板厚を薄くしても充分な強度を確保できる。
【0018】
更に、上記熱動形過負荷継電器において、前記締金の脚部を接触部の幅方向の略中央に形成することにより、締金により保持された加熱体とバイメタルの接触を確実にして、加熱体の熱をより有効にバイメタルに伝達できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、図1ないし図3において、従来例と同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。
【0020】
図1は、本発明の熱動形過負荷継電器の裏面カバーを外し、ケースの内部を示した正面図、図2は図1におけるバイメタルと加熱体の1相のみを取り出した要部拡大図、図3は、図1に示す締金の斜視図である。
【0021】
図において、本発明の実施例の熱動形過負荷継電器は基本的に図7と同様な構成となるが、従来例と相違する点は、加熱体1とバイメタル2を保持する締金として、従来例の図9の締金に変えて図3の締金21を用いるようにした点である。
【0022】
本発明の実施例における締金21は、図3に示すように、板状の加熱体1と接触して加熱体1をバイメタル2に接触させる接触部21aと、バイメタル2を保持する脚部21b,21bとにより略U字状に形成されており、接触部21aの高さ方向の幅は従来例と同様に幅広に形成されているが、脚部21bの幅を接触部21aの幅よりも幅狭に形成したものである。この締金21は、非磁性材で加工しやすく、比較的安い材料である真ちゅうが用いられている。
【0023】
前記締金21は、図2に示すように、U字状の脚部21b,21bを加熱体1の板面方向(図2の左側)から挿入し、加熱体1側に接触部21aを対向させるとともに、U字状の脚部21b,21bの先端を内側に折り曲げることによって加熱体1とバイメタル2とを保持している。
【0024】
上述した構成において、主回路に過負荷電流が流れると加熱体1による加熱によってバイメタル2が加熱湾曲するが、締金21の幅広の接触部21aによって加熱体1はバイメタル2に接触しているので、加熱体1の熱はバイメタル2に有効に伝達するとともに、接触部21aよりも幅狭の脚部21bにより加熱体1とバイメタル2が保持されているので、バイメタル2の湾曲が阻害されることはなく、バイメタルの湾曲量も従来に比べて大きくなる。
【0025】
このように本発明の締金を採用することにより、締金の組立作業性を損なうことなく、加熱体の熱を有効にバイメタルに伝達できるので、バイメタルのより多い湾曲量を得ることができるとともに、設計値の湾曲量を確保するための発熱量が少なくてすみ、消費電力の軽減を図ることができる。
【0026】
なお、本発明の実施例では、締金21の接触部21aの高さ方向の幅は従来例の接触部20aの幅と略同じであるとして説明したが、接触部21aの高さ方向の幅を更に幅広にすれば、バイメタルの湾曲を阻害することなく、加熱体の熱をより有効にバイメタルに伝達させることができるようになる。
【0027】
図4は、本発明の他の実施例を示す締金の斜視図であり、締金22の接触部22aの加熱体側に高さ方向に伸びるビード22cを形成したものである。本実施例によれば、接触部22aの加熱体側にビード22cを形成したので、締金22の強度を確保することができ、締金22が加熱部1の張力により変形しにくくなり、加熱体1とバイメタル2を常に近づけておくことができるので、より効率的に熱伝達できるようになる。また、ビードを形成することで締金の強度を確保できるので、締金の板厚を薄くすることが可能となる。なお、締金22の加熱体1及びバイメタル2への取り付けは図3の実施例と同じである。
【0028】
図5は、本発明の更に他の実施例を示す締金の斜視図であり、図3に示した締金において、加熱体とバイメタルを保持する脚部23b,23bを、接触部23aの高さ方向、すなわち幅方向の略中央の位置に形成したものである。この実施例によれば、締金により保持された加熱体とバイメタルとの接触部23aによる接触をより確実に行うことができる。
【0029】
図6は、本発明の更に他の実施例を示す締金の斜視図であり、接触部24aの加熱体側に高さ方向に伸びるビード24cを形成した締金24において、加熱体とバイメタルを保持する脚部24b,24bを、接触部24aの高さ方向の略中央の位置に形成したものである。この実施例によれば、図5に示した実施例と同様に接触部24aによる加熱体とバイメタルとの接触をより確実に行うことができる。
【0030】
なお、加熱体とバイメタルを保持する脚部の位置は、図5及び図6に示す実施例以外にも、バイメタルと加熱部の位置関係により、接触部の高さ方向の上側に形成するようにしてもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上のとおり、この発明によれば、締金を加熱体と接触する接触部とバイメタルを保持する脚部とによりU字状に形成し、前記締金の脚部の幅を前記接触部の幅よりも幅狭としたことにより、バイメタルの湾曲を阻害することなく、加熱体の熱を有効にバイメタルに伝達させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による熱動形過負荷継電器の裏面カバーを外し、ケースの内部を示した正面図
【図2】図1におけるバイメタルと加熱体の1相のみを取り出した要部拡大図
【図3】図1に示す締金の斜視図
【図4】本発明の他の実施例を示す締金の斜視図
【図5】本発明の他の実施例を示す締金の斜視図
【図6】本発明の他の実施例を示す締金の斜視図
【図7】従来例を示す熱動形過負荷継電器の裏面カバーを外し、ケースの内部を示した正面図
【図8】図7における操作部の拡大図
【図9】図7に示す従来例の締金の斜視図
【符号の説明】
1 加熱体
2 バイメタル
3 加熱部
4 反転機構
7 操作部
21 締金
21a 接触部
21b 脚部
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁接触器と組合せて使用する熱動形過負荷継電器(サーマルリレー)に関し、特に熱動形過負荷継電器の加熱部における加熱体とバイメタルとの保持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動機などの過負荷保護対策として、その電源回路に接続した電磁接触器に熱動形過負荷継電器を組合せ、過負荷運転時に電磁接触器で電流をしゃ断して電動機を運転停止するようにした方式が標準的な配電方式として一般に採用されている。
【0003】
図7乃至図9は、従来の熱動形過負荷継電器を示すものであり、図7は、熱動形過負荷継電器の裏面カバーを外し、ケースの内部を示した正面図、図8は図7における操作部の拡大図、図9は図7に示す締金の斜視図である。
【0004】
図において、熱動形過負荷継電器は、通電電流に応じた量の発熱を行う3相分の加熱体1と、加熱体1によって過熱されて湾曲動作を行う3相分のバイメタル2と、前記加熱体1とバイメタル2を保持する締金20とを備えた加熱部3と、バイメタル2の変位量が規定値を超えると、反転機構4を反転動作させて、接点5及び6を切り換える操作部7とからなっている。また、バイメタル2の先端にはシフタ8が連結されている。
【0005】
前記加熱体1は、短冊状にした金属材の薄板を略U字状に形成したものであり、図示しない一方の外部端子に接続された中継端子100に一端が接合され、他端が他方の外部端子200に接合されている。
【0006】
前記締金20は、加熱体1とバイメタル2の下端を保持することにより、加熱体1の熱をバイメタル2に伝達させるものであり、図9にその詳細を示すように、長方形の薄板をU字状に折り曲げて、板状の加熱体1と接触して加熱体1をバイメタル2に接触させる接触部20aと、バイメタル2を保持する脚部20b,20bを形成したものである。この締金20は、非磁性材で加工しやすく、比較的安い材料である真ちゅうが用いられている。この締金20は、図7に示すように加熱体1とバイメタル2の下端を抱きかかえるようにしてそのU字状に折り曲げられた脚部20b,20bの先端を内側に折り曲げることによって加熱体1とバイメタル2とを保持している。
【0007】
前記操作部7は、固定接点板ばね5aと可動接点5bとからなる常閉接点5と、固定接点板ばね6aと可動接点を有する可動接触子片6bとからなる常開接点6と、軸9aを支点に半時計方向に回動可能に軸支され、バイメタル2のシフタ8と反転機構4との間を連繋する釈放レバー9と、下端が本体ケース18の溝に支持されるとともに、一端が調整ダイヤル15のカム面に押圧され、他端が釈放レバー9の軸9aに連結された調整リンク10とを備えている。なお、15は図8に示すように調整リンク10に連結された釈放レバー9を実線の位置から点線の位置にずらして釈放レバー9とシフタ8の先端との間のギャップを変化させることにより動作電流値を調整する調整ダイヤルであり、16は反転機構4を自動復帰あるいは手動復帰させるリセット棒である。
【0008】
前記反転機構4は、一端を略コ字状の支持片11のV溝11aに係止支持した揺動式可動板17と、該可動板17の先端部と支持片11のばね掛け部との間に張架した引っ張りばね(反転駆動ばね)13と、可動板17から背後に向けてL字形に突き出した絶縁物製の常開接点用駆動レバー14からなり、可動板17の先端部には常閉接点5の可動接点5bが取付けてある。
【0009】
かかる構成で、図7及び図8に示す定常状態では、反転機構4の可動板17が引っ張りばね13のばね力を受けて中立位置から時計方向に傾動していて、常閉接点5の可動接点5bを固定接点板ばね5aの固定接点に押し付けて接点をON状態に保持している。なお、この状態では常開接点6はOFFである。
【0010】
ここで、主回路に過負荷電流が流れると加熱体1による加熱によってバイメタル2が加熱湾曲し、その自由端の変位によりシフタ8が右方向に移動する。これにより、釈放レバー9は軸9aを中心にして反時計方向に揺動し、反転機構4の引っ張りばね13の線条の中腹13aを釈放レバー9のレバー先端部9aにより上方に突き上げるとともに、引っ張りばね13の変位が可動板17の死点を超えると可動板17が急速に反転駆動して、常閉接点5の可動接点5bが固定接点板ばね5aの固定接点から開離するとともに、駆動レバー14により可動接点が取付けられた可動接触子片6bが押圧されて可動接点が固定接点6aに接触して接点をONに切換える。(例えば、特許文献1参照。)
【0011】
【特許文献1】
特開2002−170471号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記した従来構造の熱動形過負荷継電器では、動作特性面で次に記すような問題点がある。
【0013】
すなわち、バイメタルの湾曲は加熱体の発熱により与えられるが、ほとんどの熱量は加熱体とバイメタルを保持する締金との接触部から与えられる。そのため締金の幅を広くすれば、加熱体とバイメタルとの接触面積が広くなり、より多くの熱量を伝達させることができるが、逆にバイメタルの湾曲を阻害してしまうといった欠点があった。
【0014】
そこで、本発明の課題は、上記問題点を解決し、バイメタルの湾曲を阻害することなく、加熱体の熱を有効にバイメタルに伝達させることができる熱動形過負荷継電器を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、通電電流に応じた量の発熱を行う加熱体と、加熱体によって過熱されて湾曲動作を行うバイメタルと、前記加熱体とバイメタルとを保持する締金とを備えた加熱部と、前記バイメタルの変位量が規定値を超えると反転機構を動作させて接点を切り替える操作部とからなる熱動形過負荷継電器において、前記締金を加熱体と接触する接触部とバイメタルを保持する脚部とによりU字状に形成し、前記締金の脚部の幅を前記接触部の幅よりも幅狭とするようにする。
【0016】
この請求項1の発明によれば、締金の接触部により加熱体をバイメタルに接触させているので、加熱体の熱をバイメタルに有効に伝達できるとともに、接触部よりも幅狭の脚部により加熱体とバイメタルを保持しているので、バイメタルの湾曲を阻害することなくバイメタルを加熱湾曲させることができる。
【0017】
また、上記熱動形過負荷継電器において、前記締金の接触部にビードを形成することにより、締金の板厚を薄くすることが可能となり、締金の板厚を薄くしても充分な強度を確保できる。
【0018】
更に、上記熱動形過負荷継電器において、前記締金の脚部を接触部の幅方向の略中央に形成することにより、締金により保持された加熱体とバイメタルの接触を確実にして、加熱体の熱をより有効にバイメタルに伝達できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、図1ないし図3において、従来例と同一部材には同一符号を付してその説明は省略する。
【0020】
図1は、本発明の熱動形過負荷継電器の裏面カバーを外し、ケースの内部を示した正面図、図2は図1におけるバイメタルと加熱体の1相のみを取り出した要部拡大図、図3は、図1に示す締金の斜視図である。
【0021】
図において、本発明の実施例の熱動形過負荷継電器は基本的に図7と同様な構成となるが、従来例と相違する点は、加熱体1とバイメタル2を保持する締金として、従来例の図9の締金に変えて図3の締金21を用いるようにした点である。
【0022】
本発明の実施例における締金21は、図3に示すように、板状の加熱体1と接触して加熱体1をバイメタル2に接触させる接触部21aと、バイメタル2を保持する脚部21b,21bとにより略U字状に形成されており、接触部21aの高さ方向の幅は従来例と同様に幅広に形成されているが、脚部21bの幅を接触部21aの幅よりも幅狭に形成したものである。この締金21は、非磁性材で加工しやすく、比較的安い材料である真ちゅうが用いられている。
【0023】
前記締金21は、図2に示すように、U字状の脚部21b,21bを加熱体1の板面方向(図2の左側)から挿入し、加熱体1側に接触部21aを対向させるとともに、U字状の脚部21b,21bの先端を内側に折り曲げることによって加熱体1とバイメタル2とを保持している。
【0024】
上述した構成において、主回路に過負荷電流が流れると加熱体1による加熱によってバイメタル2が加熱湾曲するが、締金21の幅広の接触部21aによって加熱体1はバイメタル2に接触しているので、加熱体1の熱はバイメタル2に有効に伝達するとともに、接触部21aよりも幅狭の脚部21bにより加熱体1とバイメタル2が保持されているので、バイメタル2の湾曲が阻害されることはなく、バイメタルの湾曲量も従来に比べて大きくなる。
【0025】
このように本発明の締金を採用することにより、締金の組立作業性を損なうことなく、加熱体の熱を有効にバイメタルに伝達できるので、バイメタルのより多い湾曲量を得ることができるとともに、設計値の湾曲量を確保するための発熱量が少なくてすみ、消費電力の軽減を図ることができる。
【0026】
なお、本発明の実施例では、締金21の接触部21aの高さ方向の幅は従来例の接触部20aの幅と略同じであるとして説明したが、接触部21aの高さ方向の幅を更に幅広にすれば、バイメタルの湾曲を阻害することなく、加熱体の熱をより有効にバイメタルに伝達させることができるようになる。
【0027】
図4は、本発明の他の実施例を示す締金の斜視図であり、締金22の接触部22aの加熱体側に高さ方向に伸びるビード22cを形成したものである。本実施例によれば、接触部22aの加熱体側にビード22cを形成したので、締金22の強度を確保することができ、締金22が加熱部1の張力により変形しにくくなり、加熱体1とバイメタル2を常に近づけておくことができるので、より効率的に熱伝達できるようになる。また、ビードを形成することで締金の強度を確保できるので、締金の板厚を薄くすることが可能となる。なお、締金22の加熱体1及びバイメタル2への取り付けは図3の実施例と同じである。
【0028】
図5は、本発明の更に他の実施例を示す締金の斜視図であり、図3に示した締金において、加熱体とバイメタルを保持する脚部23b,23bを、接触部23aの高さ方向、すなわち幅方向の略中央の位置に形成したものである。この実施例によれば、締金により保持された加熱体とバイメタルとの接触部23aによる接触をより確実に行うことができる。
【0029】
図6は、本発明の更に他の実施例を示す締金の斜視図であり、接触部24aの加熱体側に高さ方向に伸びるビード24cを形成した締金24において、加熱体とバイメタルを保持する脚部24b,24bを、接触部24aの高さ方向の略中央の位置に形成したものである。この実施例によれば、図5に示した実施例と同様に接触部24aによる加熱体とバイメタルとの接触をより確実に行うことができる。
【0030】
なお、加熱体とバイメタルを保持する脚部の位置は、図5及び図6に示す実施例以外にも、バイメタルと加熱部の位置関係により、接触部の高さ方向の上側に形成するようにしてもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上のとおり、この発明によれば、締金を加熱体と接触する接触部とバイメタルを保持する脚部とによりU字状に形成し、前記締金の脚部の幅を前記接触部の幅よりも幅狭としたことにより、バイメタルの湾曲を阻害することなく、加熱体の熱を有効にバイメタルに伝達させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による熱動形過負荷継電器の裏面カバーを外し、ケースの内部を示した正面図
【図2】図1におけるバイメタルと加熱体の1相のみを取り出した要部拡大図
【図3】図1に示す締金の斜視図
【図4】本発明の他の実施例を示す締金の斜視図
【図5】本発明の他の実施例を示す締金の斜視図
【図6】本発明の他の実施例を示す締金の斜視図
【図7】従来例を示す熱動形過負荷継電器の裏面カバーを外し、ケースの内部を示した正面図
【図8】図7における操作部の拡大図
【図9】図7に示す従来例の締金の斜視図
【符号の説明】
1 加熱体
2 バイメタル
3 加熱部
4 反転機構
7 操作部
21 締金
21a 接触部
21b 脚部
Claims (3)
- 通電電流に応じた量の発熱を行う加熱体と、加熱体によって過熱されて湾曲動作を行うバイメタルと、前記加熱体とバイメタルとを保持する締金とを備えた加熱部と、前記バイメタルの変位量が規定値を超えると反転機構を動作させて接点を切り替える操作部とからなる熱動形過負荷継電器において、前記締金を加熱体と接触する接触部とバイメタルを保持する脚部とによりU字状に形成し、前記締金の脚部の幅を前記接触部の幅よりも幅狭としたことを特徴とする熱動形過負荷継電器。
- 請求項1に記載の熱動形過負荷継電器において、前記締金の接触部にビードを形成したことを特徴とする熱動形過負荷継電器。
- 請求項1又は2に記載の熱動形過負荷継電器において、前記締金の脚部を接触部の幅方向の略中央に形成したことを特徴とする熱動形過負荷継電器。
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JP2003200920A JP2005044554A (ja) | 2003-07-24 | 2003-07-24 | 熱動形過負荷継電器 |
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Cited By (3)
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US20100245018A1 (en) * | 2009-03-27 | 2010-09-30 | Fuji Electric Fa Components & Systems, Co., Ltd. | Thermal overload relay |
CN101958204A (zh) * | 2009-07-15 | 2011-01-26 | 大陆株式会社 | 一种热过载继电器 |
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2003
- 2003-07-24 JP JP2003200920A patent/JP2005044554A/ja active Pending
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