JP2005042150A - 成膜装置の隔壁コネクタ - Google Patents

成膜装置の隔壁コネクタ Download PDF

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Abstract

【課題】成膜電極の交換を容易にし、成膜電極を高い精度をもって固定できる隔壁コネクタを提供すること。
【解決手段】内部が成膜室とされたハウジング12の隔壁12Aに形成された貫通孔21に、絶縁体で被覆された給電導体23が嵌合され、前記成膜室内に成膜電極61が配置されると共に、該成膜電極61の端部が前記給電導体23と電気的に接続された成膜装置の隔壁コネクタ14であって、前記給電導体23と前記成膜電極61とのどちらか一方に、前記貫通孔21の基準軸線方向に延び、その先端が開口する係合孔37が形成され、他方には、該係合孔37に嵌合する柱状の係合部61が形成され、これら給電導体23と成膜電極61とが固定手段65により離脱可能に固定されている。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池および液晶ディスプレイ用薄膜トランジスタ等の大面積電子デバイスを製造する際に用いる成膜装置において、薄膜を基板上に形成する成膜室内の放電用電極と成膜室外部の電源ケーブルとを接続する隔壁コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、太陽電池および液晶ディスプレイ等の大面積電子デバイスには、薄膜の形成された基板が用いられる。薄膜の形成された基板は、成膜装置によって製造される。成膜装置は、内部を真空で保持する成膜室と、この成膜室内部の同一平面内に平行に配置された複数の成膜電極と、この成膜電極に高周波電力を供給する高周波電源と、高周波電源からの電力を成膜電極に供給する電力ケーブルとから構成されている。このような成膜装置により、基板に薄膜を形成するには、成膜室を真空にし、この成膜室内に薄膜の原料となる原料ガスを供給する。そして、電力を投入しプラズマを発生させ、原料ガスを分解して基板に堆積させる。これによって、基板上に薄膜を形成させる。
【0003】
上記成膜装置において、成膜電極は、一方の端子が隔壁に高周波電源からの電力が供給される給電部に接続され、他方の端子が隔壁内面の接地部に接合される。前記給電部は、隔壁を隔てて大気側の電気ケーブルと真空側の電極とを接合する隔壁コネクタを備えている。
図6は、従来のこの種の成膜装置における隔壁コネクタを示す図である。図6において、符号1は成膜装置におけるハウジングの隔壁である。このハウジングの隔壁1には、貫通孔2が形成されている。この貫通孔2には、中心部に図示しない給電導体の配置されたコネクタ部材3が嵌着されている。また、隔壁1の内部、すなわち真空状態とされたハウジングの内部には、成膜電極4が配置されており、その端部には固定部材5が設置されている。隔壁1の内面には、溝6が形成されている。この固定部材5は、前記溝6内にOリング8を配置した状態で、ねじ9によって隔壁1に固定されている。
【0004】
また更に、この種の隔壁コネクタの関連技術としては、隔壁内において電極の一部を構成する電極支持枠に溝を設け、この溝内に、隔壁内に挿入した電源ケーブルのコネクタを嵌入させ、このコネクタと電極支持枠を金属部材の弾性体を挿入して固定する接続具も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−105643号公報(段落番号0017〜0021、第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の成膜装置においては、ハウジング内部に設けられた成膜電極を一定時間稼動した後に交換する必要が生じる。そのため、図6に示す隔壁コネクタにおいては、成膜電極4を交換する際に、ねじ9で脱着を行うため手間がかかるとともに、再度正確な位置に成膜電極4を装着するのが困難であるという問題がある。
【0007】
また、特許文献1記載の接続具においては、隔壁コネクタの関連技術とはいえ、溝内にコネクタを嵌め込み、金属部材の弾性体で固定するだけであるため、適確な固定ができず、正確な位置決めをすることができないという問題がある。
【0008】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、成膜電極の交換を容易にし、成膜電極を高い精度をもって固定できる隔壁コネクタを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
請求項1に係わる発明は、内部が成膜室とされたハウジングの隔壁に形成された貫通孔に、絶縁体で被覆された給電導体が嵌合され、前記成膜室内に成膜電極が配置されると共に、該成膜電極の端部が前記給電導体と電気的に接続された成膜装置の隔壁コネクタであって、前記給電導体と前記成膜電極とのどちらか一方に、前記貫通孔の基準軸線方向に延び、その先端が開口する係合孔が形成され、他方には、該係合孔に嵌合する柱状の係合部が形成され、これら給電導体と成膜電極とが固定手段により離脱可能に固定されている。
【0010】
この発明によれば、給電導体を隔壁の貫通孔に嵌合させ、給電導体と成膜電極とのどちらか一方の係合部を、他方の係合孔内に嵌合して、固定手段によって両者を固定する。これによって、給電導体と成膜電極は固定される。また、固定手段を解除することによって、成膜電極は給電導体に対して離脱可能である。
【0011】
請求項2に係わる発明は、前記固定手段が、前記係合孔内面に前記開口部から前記基準軸線方向に延び、更に該係合孔の周方向に屈曲して延びる係合溝と、前記係合部にその外周面から径方向外方へ突出するように設けられ、前記係合溝に係合自在な突起とを備える。
【0012】
この発明によれば、成膜電極と給電導体とを固定手段を用いて固定する際には、まず、給電導体および成膜電極のどちらか一方の係合部を、他方の係合孔に嵌合する。この際、係合部に備えられた突起を、係合溝の基準軸線方向に延びる部分に沿わせて移動させる。続いて、給電導体と成膜電極とを基準軸線を中心として相反する方向に回転させ、突起を係合溝の周方向に伸びる部分に沿って移動させる。これにより、給電導体と成膜電極とを基準軸線方向に離間させる力が作用しても、係合溝に突起が係合するので両者が堅固に固定される。
【0013】
請求項3に係わる発明は、前記係合孔内面および前記係合部外面に圧着する導電性の弾性部材が設けられている。
【0014】
この発明によれば、導電性の弾性部材が、自身の弾性力により、係合孔の内面および係合部の外面の双方に圧着するので、給電導体と成膜電極との間は電気的接続を適確になされる。
【0015】
請求項4に係わる発明は、前記係合部と前記係合孔に嵌合させたときに、これら係合部と係合孔との隙間を覆う被覆部材が設けられている。
【0016】
この発明によれば、成膜作業を行った際に、プラズマによって分解された原料ガスが、被覆部材によって係合部と係合孔との隙間に入り込むのを阻まれるので、薄膜が付着するのを防ぐことが可能である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1,2は、この発明を適用した成膜装置を示す図である。これらの図において、符号11は成膜装置、符号12は成膜装置11のハウジングである。このハウジング12内には、成膜用の成膜電極13が配置されており、また、ハウジング12には、隔壁コネクタ14が設けられている。成膜電極13には、外部に設けられた電源装置15からケーブル16により、隔壁コネクタ14を介して電力が供給されるようになっている。また、ハウジング12には、内部に原料ガスを供給する原料ガス供給口17と排気口18とが設けられている。
【0018】
図1において、符号19は成膜対象となる基板を示している。基板19に成膜を行うには、ハウジング12内を真空にして、原料ガス供給口17より原料ガスを供給する。そして、電源装置15からの電力をケーブル16を介して成膜電極13に供給し、プラズマを発生させる。このプラズマにより、原料ガスは分解され、分解された原料は基板19に堆積し薄膜が形成される。
【0019】
ここで、上記の隔壁コネクタ14の詳細を図3に示す。図3に示すように、ハウジング12の隔壁12Aには、貫通孔21が形成されており、この貫通孔21には電極部材22が挿通されている。この電極部材22は、中心に位置する給電導体23と、その外側に配置された絶縁体24と、その外側に配置された接地導体25とから構成されている。
【0020】
また、この電極部材22は、押え部材30によって固定されている。即ち、押え部材30には、電極部材22が挿入される貫通孔31と、ねじ32が挿入される貫通孔33とが形成されている。また、ハウジング12Aにも、ねじ32が挿入されるねじ穴34が形成されている。従って、押え部材30と、ハウジング12Aとは、貫通孔32と、ねじ穴34とに設置されたねじ32によって固定されるものである。さらに、押え部材30には、周溝28が形成されており、この周溝28には、Oリング29が配置されている。このOリング29により、ハウジング12と押え部材30とが、密に接するものである。
【0021】
電極部材22の給電導体23は、基部36と有底円筒状の接続部(係合孔)37とから構成されている。基部36の先端部36Aは、隔壁の内面側に位置しており、この部分が小径に形成されている。接続部37の底部には、孔38が形成されており、この孔38には基部36の先端部36Aが密に嵌合されている。この接続部37の内面は、基準軸線O方向の孔37Aとなっており、先端部が開口部37Bとなっている。接続部37の内面には、周方向の溝39が形成されている。この溝39には、コイルスプリング(弾性部材)40が嵌合されている。コイルスプリング40は、コイル状に巻かれた導電性の金属線の両端をつないで環状にしたもので、その内径は後述する柱状の突出部62の外形よりも若干小さくなっている。さらに、接続部37の内面には係合溝51が形成されている。この係合溝51は、図5に示すように、開口部37Bから基準軸線O方向に延びた溝51aと、更に周方向に屈曲して延びた溝51bと、開口部37B方向に屈曲されている51cとで構成されている。
【0022】
ハウジング12の隔壁12Aの内面には導体52が貼着されている。また、前記貫通孔21の凹部53には、第1の防着部材(被覆部材)54が設置されている。第1の防着部材54は、円筒部54Aと、円筒部54Aから張り出されたフランジ部54Bとから構成されており、フランジ部54Bを凹部53内に位置させ、導体52に形成された開口部52Aから、隔壁12A内方に向けて円筒部54Aが配置されており、前記給電導体23はこの円筒部54Aの内方に位置している。
【0023】
図3において、符号61は、成膜電極を示している。成膜電極61の先端は、断面円形の柱状の突出部(係合部)62とされており、その外周には係合溝51に係合されるピン(突起)63が形成されている。また、この成膜電極61の突出部62には、カップ状の第2の防着部材(被覆部材)64が設けられている。上記構成において、係合溝51とピン63とは、固定手段65を構成している。
【0024】
次に、上記の構成からなる成膜装置の隔壁コネクタ14の作用について説明する。
成膜電極61を隔壁コネクタ14に接続するには、成膜電極61の突出部62を隔壁コネクタ14の開口部37B方向に向け、この突出部62を接続部37に挿入する。この際、ピン63を係合溝51の開口部37Bに位置させる。すなわち、図5において、ピン63を溝51aに挿入させて、溝51bに至らせ、更に成膜電極61を周方向に回動し溝51cに至らせ、更に成膜電極61を抜出方向に引き図において下方に移動させる。このため、成膜電極61は電極部材22に固定されることになる。また、このとき突出部62は、溝39に圧着されたコイルスプリング40の内部に接触し、この際コイルスプリング40は、弾性変形し、接続部37と突出部62に圧着する。したがって、図4に示すように隔壁コネクタ14と成膜電極61とは電気的に接続される。
【0025】
また、成膜電極61を隔壁コネクタ14から離脱させる際には、上記の操作を逆順に行えばよい。すなわち、係合溝51において成膜電極61を押し込み、ピン63を溝51cから溝51bに移動させて、周方向に回動させて溝51aまで移動させて、抜出して係合を解除する。このようにしてピン63と係合溝51との係合が解除されれば、成膜電極61を隔壁コネクタ14から抜出することにより、両者を離間することができる。
【0026】
上記のように、この隔壁コネクタ14によれば、成膜電極61を接続する際にピン63を係合溝51に押し込み、回動操作をすることで固定され、逆順に行えば解除できるのでワンタッチで脱着が可能であり、交換作業を容易に行うことができ、かつ高い精度で固定することができる。また、隔壁コネクタ14と成膜電極61とはコイルスプリング40により圧着されるので、電気的接続を適確に行うことができる。
【0027】
なお、上記の実施の形態においては、係合孔37を隔壁コネクタ14側に、係合部62を成膜電極61側に設ける構成としたが、これ逆にして隔壁コネクタ14に係合部62を、成膜電極61に係合孔37を設ける構成としてもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したこの発明の成膜装置の隔壁コネクタにおいては、以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明によれば、係合孔と係合溝が係合され、更に固定手段により簡単に固定できるので、交換作業が容易にでき、かつ高い精度で固定することができる。
【0029】
請求項2に係る発明によれば、係合部を係合孔に挿入し、この際係合部の突起を係合孔の係合溝に一致させ、周方向に回動することにより固定できるので、堅固に固定でき、かつ交換作業を容易に行うことができる。
【0030】
請求項3に係る発明によれば、係合孔に嵌着された導電性の弾性部材が、係合部に嵌着することにより、電気的接続を適確になすことができる。
【0031】
請求項4に係る発明によれば、係合部と係合孔との隙間を被覆部材で覆うため、成膜時にプラズマによって分解された原料が係合部と係合孔に付着するのを防止することができるため、膜付着部品定期メンテナンス時に、真空気密を構成する隔壁コネクタを交換する必要性がなく、短時間でのメンテナンス作業が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態として示した隔壁コネクタを有する成膜装置の縦断正面図である。
【図2】本発明の実施形態として示した隔壁コネクタを有する成膜装置の縦断平面図である。
【図3】隔壁コネクタの要部を示す拡大断面図であって、隔壁コネクタと成膜電極とが離間した状態を示すものである。
【図4】隔壁コネクタの要部を示す拡大断面図であって、隔壁コネクタと成膜電極とが装着した状態を示すものである。
【図5】係合溝の展開図である。
【図6】従来のコネクタの要部を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
12 ハウジング
12A 隔壁
14 隔壁コネクタ
21 貫通孔
23 給電導体
37 接続部(係合孔)
61 成膜電極
62 突出部(係合部)
65 固定手段

Claims (4)

  1. 内部が成膜室とされたハウジングの隔壁に形成された貫通孔に、絶縁体で被覆された給電導体が嵌合され、前記成膜室内に成膜電極が配置されると共に、該成膜電極の端部が前記給電導体と電気的に接続された成膜装置の隔壁コネクタであって、
    前記給電導体と前記成膜電極とのどちらか一方に、前記貫通孔の基準軸線方向に延び、その先端が開口する係合孔が形成され、他方には、該係合孔に嵌合する柱状の係合部が形成され、これら給電導体と成膜電極とが固定手段により離脱可能に固定されている成膜装置の隔壁コネクタ。
  2. 前記固定手段が、前記係合孔内面に前記開口部から前記基準軸線方向に延び、更に該係合孔の周方向に屈曲して延びる係合溝と、前記係合部にその外周面から径方向外方へ突出するように設けられ、前記係合溝に係合自在な突起とを備える請求項1記載の成膜装置の隔壁コネクタ。
  3. 前記係合孔内面および前記係合部外面に圧着する導電性の弾性部材が設けられている請求項1または請求項2記載の成膜装置の隔壁コネクタ。
  4. 前記係合部と前記係合孔に嵌合させたときに、これら係合部と係合孔との隙間を覆う被覆部材が設けられている請求項1から請求項3のいずれか1項記載の成膜装置の隔壁コネクタ。
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