JP2005041928A - エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 Download PDF

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大祐 岡
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Abstract

【課題】成形後や半田処理時の反りが小さく、耐半田クラック性、流動性に優れ、かつ高熱伝導性に優れる特性を有するエポキシ樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】ビフェニル型エポキシ樹脂を全エポキシ樹脂中に特定量含むエポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂を全フェノール樹脂中に特定量含むフェノール樹脂、球状アルミナを特定量含む球状無機充填材、硬化促進剤及びポリオルガノシロキサンを必須成分とし、かつ前記球状無機充填材を特定量含むことを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エポキシ樹脂組成物及び半導体装置に関するものであり、例えば、エリア実装型半導体装置に好適に用いられる。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子機器の小型化、軽量化、高機能化の市場動向において、半導体の高集積化が年々進み、また半導体装置の表面実装化が促進される中で、新規にエリア実装型半導体装置が開発され、従来構造の半導体装置から移行し始めている。エリア実装型半導体装置としてはボールグリッドアレイ(以下BGAという)、或いは更に小型化を追求したチップサイズパッケージ(以下CSPという)が代表的であるが、これらは従来QFP、SOPに代表される表面実装型半導体装置では限界に近づいている多ピン化・高速化への要求に対応するために開発されたものである。構造としては、ビスマレイミド・トリアジン(以下、BTという)樹脂/銅箔回路基板に代表される回路基板の片面上に半導体素子を搭載し、その半導体素子搭載面、即ち基板の片面のみがエポキシ樹脂組成物等で成形・封止されている。また基板の半導体素子搭載面の反対面には半田ボールを2次元的に並列して形成し、半導体装置を実装する回路基板との接合を行う特徴を有している。更に、半導体素子を搭載する基板としては、上記有機回路基板以外にもリードフレーム等の金属基板を用いる構造も考案されている。
極まれに、リードフレーム等の金属基板等では、半田ボール形成面でも数十μm程度の封止樹脂層が存在することもあるが、半導体素子搭載面では数百μmから数mm程度の封止樹脂層が形成されるため、実質的に片面封止となっている。このため有機基板は金属基板とエポキシ樹脂組成物の硬化物との間での熱膨張・熱収縮の不整合、或いはエポキシ樹脂組成物の成形・硬化時の硬化収縮による影響により、これらの半導体装置では成形直後から反りが発生しやすい。
【0003】
一方使用する半導体デバイスの発熱は増える一方であり、半導体デバイスが発生する熱を、半導体封止用エポキシ樹脂組成物を介在してパッケージ外部へ放散する必要性は最近急速に重要になってきた。従来エリア実装型半導体装置の構造においては、エリア実装可能なことから外部端子の多ピン化、パッケージの縮小化が容易の為に、大量の熱を発生する半導体デバイスの適用が進み、PKG外部への熱放散が大きく注目されている。特に半導体封止用エポキシ樹脂組成物から外部への熱放散を高める為に熱放散性の高い金属板等をパッケージに付着することで改良を行ってきたが、半導体封止用エポキシ樹脂組成物自身の熱放散性を高めない限り限界があり、その重要性が特に着目されている。
しかし、過去アルミナ等を利用した高熱伝導性エポキシ封止樹脂の開発はあるが(例えば、特許文献1参照。)、エリア実装型半導体装置の構造への適用では、高流動性やパッケージでの反りが満足されず、新しい半導体用高熱伝導性エポキシ封止樹脂の開発が急務であった。
【0004】
【特許文献1】
特許第2874089号公報(第1〜8頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、エリア実装型半導体装置での成形後や半田処理時の反りが小さく、耐半田クラック性、流動性に優れ、かつ高熱伝導性に優れる半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置を提供するところにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
[1](A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)球状アルミナを含む球状無機充填材、(D)硬化促進剤及び(E)ポリオルガノシロキサンを必須成分とするエポキシ樹脂組成であって、式(1)で示されるエポキシ樹脂を全エポキシ樹脂中に30〜100重量%含み、式(2)で示されるフェノール樹脂を全フェノール樹脂中に20〜100重量%含み、前記球状アルミナを全球状無機充填材中に50〜100重量%含み、かつ前記球状無機充填材を全エポキシ樹脂組成物中に85〜95重量%含むことを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
【0007】
【化3】
Figure 2005041928
【0008】
【化4】
Figure 2005041928
(R1、R2は炭素数1〜4のアルキル基で、互いに同一でも異なっていてもよい。aは0〜3の整数、bは0〜4の整数。nは平均値で、1〜5の正数)
【0009】
[2]基板の片面に半導体素子が搭載され、この半導体素子が搭載された基板面側の実質的に片面のみが第[1]項記載のエポキシ樹脂組成物を用いて封止されてなることを特徴とするエリア実装型半導体装置、
である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は、ビフェニル型エポキシ樹脂を特定量含むエポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂を特定量含むフェノール樹脂、球状アルミナを特定量含む球状無機充填材、硬化促進剤及びポリオルガノシロキサンを必須成分とし、かつ球状無機充填材を特定量含むことにより、エリア実装型半導体装置での成形後や半田処理時の反りが小さく、耐半田クラック性、流動性に優れ、かつ高熱伝導性に優れる半導体封止用エポキシ樹脂組成物が得られるものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0011】
本発明で用いられる式(1)で示されるビフェニル型エポキシ樹脂は、低分子量のため溶融粘度が低く流動性に優れており、球状無機充填材の高充填化が可能となり、エポキシ樹脂組成物の硬化物を低吸水化することができる。本発明では、式(1)で示されるエポキシ樹脂は2官能であるため、これを用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物は架橋密度が低く抑えられ、高温での弾性率が低く、半田処理時等の応力緩和に適しており、成形性と耐半田クラック性とを向上できる。
【0012】
【化5】
Figure 2005041928
【0013】
本発明では式(1)で示されるエポキシ樹脂を全エポキシ樹脂中に30〜100重量%含むことが必要である。上記下限値を下回ると低粘度化の効果が少なく好ましくない。
式(1)で示されるエポキシ樹脂と併用することができるエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは単独でも混合して用いてもよい。
【0014】
本発明で用いられる一般式(2)で示されるフェノール樹脂は、フェノール骨格間の距離が長く架橋密度が低いため、ガラス転移温度を越えた高温域での弾性率が低いという特徴があり、基板の熱膨張係数とエポキシ樹脂組成物の熱膨張差から発生する応力、特にエポキシ樹脂組成物の熱膨張係数が大きいガラス転移温度以上で発生する応力を緩和する効果があり、反りを低減させることができる。また、一般式(2)で示されるフェノール樹脂は水酸基間に疎水性構造を有しており、吸水率が低く耐半田クラック性が良好である。更にフェノール骨格間の疎水性構造は剛直なビフェニル骨格であることから、架橋密度が低い割には耐熱性の低下が少ないという特徴を有する。
【0015】
【化6】
Figure 2005041928
【0016】
一般式(2)中のnは平均値で、1〜5の正数、好ましくは1〜3である。nが下限値を下回るとエポキシ樹脂組成物の硬化性が低下するので好ましくない。nが上限値を越えると、粘度が高くなりエポキシ樹脂組成物の流動性が低下する。
一般式(2)で示されるフェノール樹脂は、1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。また、一般式(2)で示されるフェノール樹脂の内では、式(3)で示されるフェノール樹脂が特に好ましい。
【0017】
【化7】
Figure 2005041928
【0018】
本発明では式(2)で示されるフェノール樹脂を全フェノール樹脂中に20〜100重量%含むことが必要である。上記下限値を下回ると低吸湿化および低応力化の効果が少なく好ましくない。
式(2)で示されるフェノール樹脂と併用することができるフェノール樹脂としては、例えばフェノール性水酸基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を指し、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、キシリレン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、ビスフェノールA、トリフェノールメタン等が挙げられる。これらのフェノール樹脂は、単独もしくは混合して用いても差し支えない。
【0019】
本発明で用いられる球状無機充填材は、球状アルミナを含む球状無機充填材である。
本発明で用いられる球状アルミナは、球状であれば特に限定されるものではないが、平均粒径は30μm以下が好ましい。平均粒径が上限値を越えるとエポキシ樹脂組成物の流動性が損なわれ、また強度の低下も起こるので好ましくない。球状アルミナの形状としては、流動性改善のために限りなく真球状であることが好ましい。
また(D)球状アルミナと併用することができる球状無機充填材としては、特に限定されるものではないが、汎用性のある球状溶融シリカが好ましい。本発明では球状アルミナを全球状無機充填材中に50〜100重量%含むことが必要である。球状アルミナの配合比率は使用される半導体装置に要求される熱伝導特性に応じて決定されれば良いが、上記下限値を下回ると充分な高熱伝導性が得られず好ましくない。
【0020】
また、本発明での球状無機充填材の含有量は、全エポキシ樹脂組成物中で85〜95重量%であることが必要であり、より好ましくは88〜93重量%である。上記下限値を下回るとエリア実装型半導体装置の成形品が反ったり、耐半田クラック性が低下したりするので好ましくない。また上限値を超えると流動性が損なわれるので好ましくない。
【0021】
本発明で用いられる硬化促進剤としては、エポキシ樹脂とフェノール樹脂との架橋反応を促進するものであればよく、例えば1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等のアミジン系化合物、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート塩等の有機リン系化合物、2−メチルイミダゾール化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは単独でも混合して用いてもよい。
【0022】
本発明で用いられるポリオルガノシロキサンは、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンの骨格を有するポリシロキサンを指すが、一般的にエポキシ樹脂、フェノール樹脂との親和性を付与するために、メチル基、フェニル基の有機置換基の他に、C、O、N、S原子等を有する有機置換基をその主鎖もしくは側鎖に有するものが好ましい。具体的にはアミノ基置換有機基、エポキシ基置換有機基、水酸基置換有機基、ビニル基置換有機基、メルカプト基置換有機基、カルボキシル基置換有機基、フェネチル基置換有機基、アクリル基置換有機基、アルコキシ基置換有機基、ポリエーテル基置換有機基、カプロラクトン基置換有機基、ウレイド基置換有機基、イソシアネート基置換有機基等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。本発明で用いられるポリオルガノシロキサンはエポキシ樹脂組成物の、低弾性化よる半導体装置の反りを低減する作用をし、また半田リフロー処理時や温度サイクル試験時に発生する応力の緩和に適しており、実装信頼性を向上できる。このポリオルガノシロキサンは全エポキシ樹脂組成物中に0.5〜2.5重量%が好ましく、下限値を下回ると低弾性化が小さく反りを低減する効果が小さくなる可能性があり、上限値を越えると流動性や耐半田クラック性が低下する可能性があるため好ましくない。
【0023】
本発明においては、(A)〜(E)成分の他、必要に応じて臭素化エポキシ樹脂、酸化アンチモン等の難燃剤、カップリング剤、カーボンブラックに代表される着色剤、天然ワックス及び合成ワックス等の離型剤等が適宜配合可能である。
エポキシ樹脂組成物とするには、各成分を混合後、加熱ニーダや熱ロールにより加熱混練し、続いて冷却、粉砕することで得られる。
本発明のエポキシ樹脂組成物を用いて、半導体素子を封止して半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の従来からの成形方法で硬化成形すればよい。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例で具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合割合は重量部とする。
実施例1
式(1)を主成分とするエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)・製、
YX−4000HK、融点105℃、エポキシ当量195)) 3.3重量部
【化8】
Figure 2005041928
【0025】
式(3)で示されるフェノール樹脂(軟化点65℃、水酸基当量200g/e
q) 1.6重量部
【化9】
Figure 2005041928
【0026】
Figure 2005041928
【0027】
式(4)のポリオルガノシロキサン 1.5重量部
【化10】
Figure 2005041928
【0028】
上記の各成分を常温においてミキサーで混合し、70〜120℃で加熱ロールにより混練し、冷却後粉砕してエポキシ樹脂組成物を得た。得られたエポキシ樹脂組成物を以下の方法で評価した。評価結果を表1に示す。
【0029】
評価方法
・スパイラルフロー:EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用い、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間2分で測定した。単位はcm。80cm以上を合格とした。
・熱伝導率:トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間2分で直径40mm、厚さ30mmの成形品を成形し、175℃、8時間で後硬化し、得られた成形品の熱伝導率を熱伝導率計(京都電子工業社製QTM−500)で測定した。単位はW/mK。1.5W/mK以上を合格とした。
・パッケージ反り量:トランスファー成形機を用いて、金型温度180℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間2分で225pBGA(基板は厚さ0.36mmのビスマレイミド・トリアジン/ガラスクロス基板、パッケージサイズは24×24mm、厚さ1.17mm、シリコンチップはサイズ9×9mm、厚さ0.35mm)を成形した。更に後硬化として175℃で2時間処理した。室温に冷却後パッケージのゲートから対角線方向に、表面粗さ計を用いて高さ方向の変位を測定し、変位差の最も大きい値を反り量とした。単位はμm。90μm以下を合格とした。
・耐半田クラック性:前記の225pBGAを成形し、後硬化として175℃で2時間処理したパッケージ8個を、85℃、相対湿度60%で168時間処理した後、JEDEC条件のピーク温度235℃でIRリフロー処理を行った。処理後の内部の剥離及びクラックの有無を超音波探傷機で観察し、不良パッケージの個数を数えた。DS不良パッケージの個数がn個であるとき、n/8と表示する。
【0030】
実施例2〜14、比較例1〜6
実施例1と同様にして、表1、表2の配合に従って得られたエポキシ樹脂組成物について評価した。評価結果を表1、表2に示す。
実施例1以外で用いた材料を以下に示す。
オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(軟化点55℃、エポキシ当量196g/eq)
球状アルミナB(平均粒径18.5μm)
球状アルミナC(平均粒径28.1μm)
球状溶融シリカB(平均粒径1.9μm)
【0031】
【表1】
Figure 2005041928
【0032】
【表2】
Figure 2005041928
【0033】
【発明の効果】
本発明で得られるエポキシ樹脂組成物を用いた半導体装置は、エリア実装型半導体装置での成型後や半田処理後の反りが小さく、耐半田クラック性、流動性に優れ、かつ高熱伝導性に優れる半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置に関するものである。

Claims (2)

  1. (A)エポキシ樹脂、(B)フェノール樹脂、(C)球状アルミナを含む球状無機充填材、(D)硬化促進剤及び(E)ポリオルガノシロキサンを必須成分とするエポキシ樹脂組成であって、式(1)で示されるエポキシ樹脂を全エポキシ樹脂中に30〜100重量%含み、式(2)で示されるフェノール樹脂を全フェノール樹脂中に20〜100重量%含み、前記球状アルミナを全球状無機充填材中に50〜100重量%含み、かつ前記球状無機充填材を全エポキシ樹脂組成物中に85〜95重量%含むことを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
    Figure 2005041928
    Figure 2005041928
    (R1、R2は炭素数1〜4のアルキル基で、互いに同一でも異なっていてもよい。aは0〜3の整数、bは0〜4の整数。nは平均値で、1〜5の正数)
  2. 基板の片面に半導体素子が搭載され、この半導体素子が搭載された基板面側の実質的に片面のみが請求項1記載のエポキシ樹脂組成物を用いて封止されてなることを特徴とするエリア実装型半導体装置。
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