JP2005041819A - アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物及びそのアルキレンオキシド付加物及びこれらの製造方法 - Google Patents

アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物及びそのアルキレンオキシド付加物及びこれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物及びそのアルキレンオキシド付加物の、アルカリ金属残存量が少ない製造方法を提供し、保存安定性が向上したアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物及びそのアルキレンオキシド付加物を提供する。
【解決手段】アルカリ金属残存量が10質量ppm以下の、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物及びそのアルキレンオキシド付加物、並びにこれら脂肪族化合物及びアルキレンオキシド付加物の、カリウム触媒を用いるが、触媒反応後このカリウム触媒を無機吸着剤で吸着除去する工程を有する製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、アルカリ金属残存量の少ない、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物及びそのアルキレンオキシド付加物、並びにこれらの製造方法に関する。
グリセリン部分脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキシド付加物、ソルビタン部分脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキシド付加物等の、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物又はそのアルキレンオキシド付加物は、洗浄剤の洗浄力向上剤、汚れ分散剤、起泡剤、泡安定化剤、消泡剤;潤滑油の摩擦低減剤、分散剤;合成樹脂の滑剤、離型剤、帯電防止剤等として広く利用されている。
アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物の製造方法としては、(A)脂肪酸と脂肪族ポリオール又はアルカノールアミンとを直接反応させる方法、(B)脂肪酸グリセリンエステル又は脂肪酸低級アルキルエステルと脂肪族ポリオール又はアルカノールアミンとを触媒を用いて反応させる方法等が知られているが、(A)の方法では比較的高い反応温度が必要であり、副反応や着色等が起こり易いのに対し、(B)の方法では比較的低い温度で反応が進行し、副反応や着色等が起こりにくい。また、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物にアルキレンオキシドを付加する場合の触媒としては、アルカリ触媒が一般的に用いられている(特許文献1、2を参照)。
また、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物にアルキレンオキシドを付加するには、ナトリウムメチラート、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属化合物(特許文献1、3を参照)、トリエチルアミン等の第3級アミン化合物(非特許文献1を参照)を触媒として用いることが知られている。触媒として第3級アミン化合物を使用すると、着色や経時的な変色の問題があることから、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物へのアルキレンオキシド付加の触媒には、主にアルカリ金属化合物が使用されている。
一方、触媒としてアルカリ金属化合物を使用し、アルコール、フェノール、アミン等へアルキレンオキシドを付加重合して得られるポリオキシアルキレン化合物については、残存するアルカリ金属化合物(触媒)を無機吸着剤により吸着除去できることが知られているが(特許文献4等を参照)、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物及びそのアルキレンオキシド付加物については、残存するアルカリ金属化合物(触媒)を無機吸着剤により吸着除去できることは未だ知られていなかった。
特開平9−255773号公報 特開2001−329291号公報 特開平9−87379号公報 特開平6−234847号公報 E. Jungermann, D. Taber; Nonionic Surfactant; USA, Marcel Dekker Inc., 1967, p222.
残存するアルカリ金属化合物を充分に除去していないアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物、及びそのアルキレンオキシド付加物は、保存安定性が十分とは言えず、長期間高温で保存すると、経時的にゲル状物質が生成分離する場合があり、保存安定性の向上が求められている。
本発明者らは、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物及びそのアルキレンオキシド付加物の保存安定性について鋭意検討し、アルカリ金属の残存量を低減することにより保存安定性が向上すること、及びアルカリ金属化合物の中でもカリウム化合物を触媒として使用し、反応終了後に触媒を無機吸着剤で吸着処理することにより、アルカリ金属(カリウム)残存量の低減が可能であることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、アルカリ金属化合物を触媒として反応させて得られた、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物又はそのアルキレンオキシド付加物において、アルカリ金属の残存量が10質量ppm以下であることを特徴とするものである。
また、本発明は、下記の(1)及び(2)の工程を有する、アルカリ金属残存量が10質量ppm以下であるアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物の製造方法;並びに下記の(1)、(3)及び(4)の工程を有する、アルカリ金属残存量が10質量ppm以下であるアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物のアルキレンオキシド付加物の製造方法である。
(1)脂肪酸エステルと、脂肪族ポリオール又はアルカノールアミンとを、カリウム触媒の存在下に反応させ、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物を合成する工程;
(2)前記アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物中のカリウム触媒を、無機吸着剤で吸着除去する工程;
(3)前記アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物に、カリウム触媒の存在下にアルキレンオキシドを付加して、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物のアルキレンオキシド付加物を合成する工程;
(4)前記アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物のアルキレンオキシド付加物中のカリウム触媒を、無機吸着剤で吸着除去する工程。
本発明により、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物及びそのアルキレンオキシド付加物の、アルカリ金属残存量が少ない製造方法を提供することが出来、保存安定性が向上したアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物及びそのアルキレンオキシド付加物を提供することが出来る。
本発明のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物及びそのアルキレンオキシド付加物は、アルカリ金属化合物を触媒として得られ、その触媒残存量がアルカリ金属として10質量ppm以下であることを特徴とする。アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物及びそのアルキレンオキシド付加物中のアルカリ金属の残存量が10質量ppmを超えると、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物及びそのアルキレンオキシド付加物の保存安定性が十分とは言えず、長期間高温で保存すると、経時的にゲル状物質が生成分離する場合がある。アルカリ金属の残存量は5質量ppm以下であることが好ましく、3質量ppmであることが更に好ましい。
本発明において、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物は、脂肪族ポリオール又はアルカノールアミンの部分脂肪酸エステル、及びアルカノールアミンの脂肪酸アミドである。脂肪族ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、イソプレングリコール(3−メチル−1,3−ブタンジオール)、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、オクタンジオール(2−エチル−1,3−ヘキサンジオール)、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,2−デカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等の2価アルコール;グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、2,3,4−ヘキサントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、トリメチロールプロパン、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、ペンタメチルグリセリン(2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール)等の3価アルコール;ペンタエリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ソルビタン等の4価アルコール;アドニトール、アラビトール、キシリトール、トリグレセリン等の5価アルコール;ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、イノシトール、ダルシトール、タロース、アロース、テトラグリセリン等の6価アルコール;蔗糖等の8価アルコール等が挙げられる。また、アルカノールアミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、モノイソプロパノールアミン、モノブタノールアミン、2−ヒドロキシブチルアミン、N−(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等のモノアルカノールアミン;ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジブタノールアミン、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等のジアルカノールアミン;トリエタノールアミン、トリプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタノールアミン等のトリアルカノールアミン;N,N,N’,N’−テトラ(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラ(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン等のテトラアルカノールアミン等が挙げられる。これらの脂肪族ポリオールやアルカノールアミンは、本発明のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物及びそのアルキレンオキシド付加物が使用される用途に応じて適宜選択すればよいが、例えば、分散性能や吸着性能を重視する場合には、3価アルコール、4価アルコール及びアルカノールアミンが好ましく、グリセリン、ジグリセリン、ソルビタン及びジアルカノールアミンがより好ましく、グリセリン、ソルビタン、モノエタノールアミン及びジエタノールアミンが更に好ましく、ジエタノールアミンが最も好ましい。
また、脂肪酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸(酪酸)、ペンタン酸(吉草酸)、イソペンタン酸(イソ吉草酸)、ヘキサン酸(カプロン酸)、ヘプタン酸、イソヘプタン酸、オクタン酸(カプリル酸)、2−エチルヘキサン酸、イソオクタン酸、ノナン酸(ペラルゴン酸)、イソノナン酸、デカン酸(カプリン酸)、イソデカン酸、ウンデカン酸、イソウンデカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸)、イソドデカン酸、トリデカン酸、イソトリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、イソステアリン酸、エイコサン酸(アラキドン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラコサン酸(リグノセリン酸)、ヘキサコサン酸(セロチン酸)、オクタコサン酸(モンタン酸)、10−ウンデセン酸、ゾーマリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、ガドレン酸、エルカ酸、セラコレイン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。また、天然油脂から得られる混合脂肪酸であってもよい。これらの脂肪酸は、本発明のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物及びそのアルキレンオキシド付加物が使用される用途に応じて適宜選択すればよいが、工業的な入手が容易であり種々の性能も優れていることから、炭素数8〜22の脂肪酸が好ましく、炭素数10〜20の脂肪酸が更に好ましく、炭素数12〜18の脂肪酸が最も好ましい。
また、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物のアルキレンオキシド付加物のアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド等が挙げられる。アルキレンオキシドやその付加モル数比は、本発明のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物及びそのアルキレンオキシド付加物が使用される用途に応じて、適宜選択すればよい。例えば、アルキレンオキシドは、洗浄剤等の水性媒体に使用する場合及び樹脂用途に使用する場合にはエチレンオキシドが好ましく、潤滑油等の非水性媒体に使用する場合にはプロピレンオキシドが好ましい。また、アルキレンオキシドの付加モル数比があまりにも大きい場合には、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物の部分の特性が出にくくなってしまうため、通常の用途では、1〜20倍モルが好ましく、1〜10倍モルが更に好ましく、1〜5倍モルが最も好ましいが、乳化剤として用いる場合には、10〜60倍モルが好ましく、15〜50倍モルが更に好ましく、20〜40倍モルが最も好ましい。
アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物又はそのアルキレンオキシド付加物は、例えば、下記の一般式(1)で表すことができる。
Figure 2005041819
一般式(1)において、Rは脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基を表し、A及びBは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、Xは、脂肪族ポリオール若しくはアルカノールアミンから、これらが有する水酸基及びアミノ基上の水素原子を除いた残基を表し、a及びbは0又は1以上の数を表し、m及びnは1以上の数を表す。但し、mとnの合計の数(m+n)は、前記脂肪族ポリオール若しくは前記アルカノールアミンが有する水酸基とアミノ基との合計の数に等しい。
一般式(1)において、mは上記の条件を満足する数であれば特に限定されないが、種々の性能が最も発揮されるのは、通常mが1の場合である。
本発明のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物、又はそのアルキレンオキシド付加物を製造する場合の触媒アルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化リチウム、炭酸リチウム等のリチウム化合物;水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、炭酸ナトリウム等のナトリウム化合物;水酸化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウム−t−ブトキシド、炭酸カリウム等のカリウム化合物;水酸化ルビジウム等のルビジウム化合物;水酸化セシウム等のセシウム化合物等が挙げられる。これらのアルカリ金属化合物の中でも、比較的温和な条件で反応し、着色が少ないことから、ナトリウム化合物及びカリウム化合物が好ましく、反応終了後の除去が容易であることから、カリウム化合物が更に好ましい。カリウム化合物には通常、ナトリウム等の他のアルカリ金属が不純物として含まれるが、本発明に使用するカリウム触媒においては、カリウム以外のアルカリ金属の含量は、カリウム原子100質量部に対して10質量部以下であることが好ましく、3質量部以下であることが更に好ましく、1質量部以下であることが最も好ましい。カリウム以外のアルカリ金属の含量が10質量部を超える場合には、反応終了後の無機吸着剤等によるアルカリ金属除去が困難になる場合があるからである。
なお、ポリウレタン等に用いられるポリエーテルポリオールからの除去の容易さについて、ナトリウム化合物とカリウム化合物とでは大きな差はないが、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物及びそのアルキレンオキシド付加物からは、ナトリウム化合物の除去が困難であるのに対し、カリウム化合物は、後述する無機吸着剤等により比較的容易に除去できる。このような知見は、従来知られていなかった。
アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物又はそのアルキレンオキシド付加物中のアルカリ金属化合物の除去方法としては、例えば、アルカリ金属化合物を鉱酸で中和して生成した鉱酸塩の結晶を濾過する方法、アルカリ金属化合物を二酸化炭素で中和して生成した炭酸塩の結晶を濾過する方法、アルカリ金属化合物を無機吸着剤に吸着させこれを濾過する方法、陰イオン交換樹脂に吸着させる方法等が挙げられる。これらの中で、アルカリ金属化合物を無機吸着剤に吸着させこれを濾過する方法は、比較的簡便であり、アルカリ金属の残存が少ないことから、特に好ましい。無機吸着剤としては、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、アルミン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、活性白土、ゼオライト等が挙げられ、中でも、ケイ酸アルミニウム及びアルミン酸マグネシウムが好ましい。
本発明のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物の製造方法としては、下記の(1)及び(2)の工程を有する製造方法であることが好ましい。
(1)脂肪酸エステルと、脂肪族ポリオール又はアルカノールアミンとを、カリウム触媒の存在下に反応させて、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物を合成する工程;
(2)前記アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物中のカリウム触媒を、無機吸着剤で吸着除去する工程。
(1)の工程に用いられる脂肪酸エステル化合物としては、例えば、脂肪酸メチルエステル、脂肪酸エチルエステル、脂肪酸ブチルエステル等の脂肪酸と低級モノオールとのエステル;エチレングリコールジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールジ脂肪酸エステル、ブタンジオールジ脂肪酸エステル等の脂肪酸と低級ジオールとのエステル;グリセリントリ脂肪酸エステル等の脂肪酸のポリオールエステル等が挙げられる。本発明のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物がグリセリン部分脂肪酸エステルの場合には、反応が簡便であることから、原料の脂肪酸エステル化合物は、グリセリントリ脂肪酸エステルが好ましい。また、グリセリン部分脂肪酸エステル以外の場合には、反応性が良好であり、生成するアルコールの除去が容易であることから、脂肪酸と低級モノオールとのエステルが好ましく、脂肪酸メチルエステル及び脂肪酸エチルエステルが更に好ましく、脂肪酸メチルエステルが最も好ましい。
脂肪酸エステルと、脂肪族ポリオール又はアルカノールアミンとのモル比は、脂肪酸エステルの脂肪酸残基に対して、0.9〜1.5であることが好ましく、1.0〜1.3であることが更に好ましく、1.05〜1.15であることが最も好ましい。0.9よりも低い場合は、生成物の純度が低くなり、1.5よりも高い場合には、性能が低い。
触媒として用いられるカリウム化合物としては、カリウムメトキシド及び水酸化カリウムが好ましく、水酸化カリウムが更に好ましい。また、カリウム化合物には通常、ナトリウム等の他のアルカリ金属が不純物として含まれるが、本発明に使用するカリウム触媒においては、他のアルカリ金属の含量は、カリウム原子100質量部に対して10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下であることが更に好ましく、3質量部以下であることが最も好ましい。カリウム以外のアルカリ金属の含量が10質量部を超える場合には、反応終了後の無機吸着剤等によるアルカリ金属除去が困難になる場合があるからである。
カリウム化合物の添加量は、脂肪酸エステルと、モノアルカノールアミン又はジアルカノールアミンとの合計量に対して、カリウム原子換算で0.01〜2質量%であることが好ましく、0.05〜1質量%であることが更に好ましく、0.1〜0.5質量%であることが最も好ましい。カリウム触媒の添加量が0.01質量%未満では、反応が不充分となり、2質量%を超えると添加量に見合う効果は得られず、(2)の工程で除去するのに必要な無機吸着剤の量が増えてしまう。
(1)の工程の反応温度は、50〜130℃が好ましく、60〜110℃が更に好ましく、65〜100℃が最も好ましい。反応温度が50℃未満では反応が充分進行せず、130℃を超えると着色が起き易くなる。反応時間は、1〜10時間程度である。生成するアルコールを除去するために、減圧しながら反応させることが好ましい。(1)の工程により得られた、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物が、過剰のモノアルカノールアミン若しくはジアルカノールアミン、生成したアルコール等を含有している場合には、これらを必要に応じて除去してもよい。
(2)の工程は、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物中のカリウム化合物を、無機吸着剤で吸着除去する工程である。無機吸着剤の添加量は、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物中のカリウム原子100質量部に対して、50〜2000質量部であることが好ましく、100〜1000質量部であることが更に好ましい。50質量部未満では十分にカリウム化合物を吸着除去出来ず、2000質量部より多くしても、添加量に見合う吸着除去は出来ず、吸着剤によるロスが大きくなり、収率が低下するからである。無機吸着剤の中でも、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、アルミン酸マグネシウム又は酸化アルミニウムが好ましい。吸着処理を行う場合は、カリウム化合物を含有するアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物に無機吸着剤を添加し、攪拌した後、無機吸着剤を濾過・分離するのが一般的であるが、無機吸着剤が充填された容器(カラム)中を、カリウム化合物を含有するアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物を通過させてもよい。吸着処理時の温度は常温〜150℃程度であり、好ましくは60〜120℃、更に好ましくは80〜110℃である。
吸着処理は1回だけでもよいが、使用する無機吸着剤を分割して複数回行ってもよい。吸着処理を複数回行うことは、煩雑であるが、無機吸着剤の使用量を削減でき、吸着量を増やせるという利点がある。また、吸着剤を添加する前に、少量の水を添加したり、鉱酸や二酸化炭素によりカリウム化合物を中和してもよい。
吸着処理終了後、無機吸着剤を分離する方法は特に限定されず、遠心分離やフィルターを用いた濾過等の公知の方法が使用できる。
無機吸着剤は水分を含んでいることから、無機吸着剤を分離した後のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物は、多少水分を含有している場合がある。必要であれば、吸着処理終了後で、無機吸着剤の分離前又は分離後に、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物中の水分を除去するために、加熱減圧等を行ってもよい。
本発明のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物のアルキレンオキシド付加物の製造方法としては、下記の(1)、(3)及び(4)の工程を有する製造方法であることが好ましい。
(1)脂肪酸エステルと、脂肪族ポリオール又はアルカノールアミンとを、カリウム触媒の存在下に反応させて、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物を合成する工程;
(3)前記アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物に、カリウム触媒の存在下にアルキレンオキシドを付加して、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物のアルキレンオキシド付加物を合成する工程;
(4)前記アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物のアルキレンオキシド付加物中のカリウム触媒を、無機吸着剤で吸着除去する工程。
なお、この(1)の工程は、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物の製造方法の(1)の工程と同一である。
(3)の工程は、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物にアルキレンオキシドを付加する工程である。(1)の工程で得られたアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物には、触媒として用いたカリウム化合物が含有されていることから、そのままアルキレンオキシドを付加することもできるが、必要に応じて、カリウム化合物を更に添加してからアルキレンオキシドを付加してもよい。また、前記(2)の工程で得られたアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物を用いる場合には、カリウム触媒が除去されていることから、触媒としてカリウム化合物を添加してからアルキレンオキシドを付加する。
(3)の工程において、カリウム触媒の好ましい含量は、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物及びアルキレンオキシドの合計量に対して、カリウム原子換算で0.01〜2質量%であり、更に好ましくは0.03〜0.5質量%、最も好ましくは0.05〜0.3質量%である。また、反応温度は、90〜130℃が好ましく、95〜125℃が更に好ましく、100〜120℃が最も好ましい。また、アルキレンオキシドの付加反応は、必要に応じて、窒素等の不活性ガスにより0.11〜1.0MPa程度に加圧して行ってもよい。
(3)の工程では、付加反応中に、分子内又は分子間でアシル基の交換(転位)反応が起こる場合がある。例えば、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物が脂肪酸ジアルカノールアミドである場合には、アシル基の交換(転位)反応により、脂肪酸アルカノールアミンエステル若しくは脂肪酸ポリオキシアルカノールアミンエステルが生成する場合がある。
なお、(4)の工程は、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物のアルキレンオキシド付加物中のカリウム化合物を、無機吸着剤で吸着除去する工程である。(4)の工程は、前記(2)の工程に準じて行うことができる。
本発明のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物及びそのアルキレンオキシド付加物は、アルカリ金属残存量が10質量ppm以下であることにより、保存安定性が向上し、長期間保存してもゲル状物質が生成しにくい。このような知見は従来なかったものである。
本発明のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物及びそのアルキレンオキシド付加物は、従来のものと同様に、液体洗浄剤の洗浄力向上剤、汚れ分散剤、起泡剤、泡安定化剤;潤滑油の摩擦低減剤、分散剤;合成樹脂の滑剤、離型剤、帯電防止剤等として使用できる。また、本発明のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物及びそのアルキレンオキシド付加物は、アルカリ金属の残存量が低いことが要求される用途、例えば、ポリカーボネート樹脂用滑剤や、ポリウレタン樹脂原料等にも使用することができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。尚、以下の実施例中、部及び%は特に記載が無い限り質量基準である。水酸化カリウム中のカリウムの含量、並びに本発明品及び比較品中のアルカリ金属の残存量は、誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP)を用いて測定した。なお、アルカリ金属の残存量は、リチウム、ナトリウム及びカリウムの合計量である。
<製造例1>
攪拌装置、温度計及び窒素ガス導入管を備えた3リットルオートクレーブに、ヤシ油652g(1モル)、グリセリン138g(1.5モル)及び触媒として水酸化カリウム(ただし、ナトリウム含量0.2質量%)0.8gを仕込んだ。90℃に昇温し、常圧で2時間攪拌し、グリセリン部分ヤシ油脂肪酸エステルを得た。このグリセリン部分ヤシ油脂肪酸エステルに、無機吸着剤として合成ケイ酸アルミニウム(協和化学製、商品名キョーワード700)を5g添加して100℃で1時間攪拌した後、濾過して無機吸着剤を除去し、得られた濾液を撹拌しながら100℃で1時間1kPa以下に減圧して水分を除去し、本発明のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物である本発明品1を得た。本発明品1のアルカリ金属残存量は6ppm、水酸基価は213mgKOH/gであった。
<製造例2>
製造例1と同様にして、グリセリン部分ヤシ油脂肪酸エステルを得た後、無機吸着剤で処理することなしに、残存する水酸化カリウムを触媒として用い、エチレンオキシド308g(7モル)を110℃で2時間かけてフィードし、フィード終了後、オートクレーブ内の圧力が一定になるまで110℃で熟成を行い、グリセリン部分ヤシ油脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物を得た。製造例1と同様の無機吸着剤処理を行い、本発明のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物のアルキレンオキシド付加物である本発明品2を得た。本発明品2のアルカリ金属残存量は6ppm、水酸基価は153mgKOH/gであった。
<製造例3>
製造例1と同様の反応装置に、オレイン酸メチル354g(1.2モル)、グリセリン92g(1モル)及び触媒として水酸化カリウム0.2gを仕込んだ。85℃に昇温し、常圧で1時間攪拌した後、1〜3kPaに減圧して、生成するメタノールを除去しながら3時間反応させ、グリセリン部分オレイン酸エステルを得た。以下、無機吸着剤として合成ケイ酸アルミニウムを用いて、製造例1と同様の方法でカリウム触媒を除去し、本発明のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物である本発明品3を得た。本発明品3のアルカリ金属残存量は4ppm、水酸基価は247mgKOH/gであった。
<製造例4>
製造例3と同様にして、グリセリン部分オレイン酸エステルを得た後、無機吸着剤で処理することなしに、更に水酸化カリウム0.6gを追加し、100℃で1時間撹拌して、水酸化カリウムを溶解させた。以下、エチレンオキシドを220g(5モル)使用した他は、製造例2と同様の方法で、エチレンオキシドの付加及びカリウム触媒の除去を行い、本発明のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物のアルキレンオキシド付加物である本発明品4を得た。本発明品4のアルカリ金属残存量は3ppm、水酸基価は161mgKOH/gであった。
<製造例5>
製造例1と同様の反応装置に、ヤシ油脂肪酸メチルエステル222g(1モル)、モノエタノールアミン64g(1.05モル)及び触媒として水酸化カリウム(ただし、ナトリウム含量0.2質量%)0.4gを仕込んだ。75℃に昇温し、常圧で1時間攪拌した後、1〜3kPaに減圧して、生成するメタノールを除去しながら3時間反応させ、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドを得た。以下、製造例1と同様の方法でカリウム触媒を除去し、本発明のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物である本発明品5を得た。本発明品5のアルカリ金属残存量は5ppm、水酸基価は273mgKOH/gであった。
<製造例6>
製造例5と同様にして、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドを得た後、無機吸着剤で処理することなしに、エチレンオキシド220g(5モル)を製造例2と同様の方法で付加反応させた。以下、製造例2と同様の方法でカリウム触媒を除去し、本発明のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物のアルキレンオキシド付加物である本発明品6を得た。本発明品6のアルカリ金属残存量は3ppm、水酸基価は135mgKOH/gであった
<製造例7>
製造例1と同様の反応装置に、ヤシ油脂肪酸メチルエステル222g(1モル)、ジエタノールアミン110g(1.05モル)及び触媒として水酸化カリウム(ただし、ナトリウム含量0.2質量%)0.4gを仕込んだ。75℃に昇温し、常圧で1時間攪拌した後、1〜3kPaに減圧して、生成するメタノールを除去しながら3時間反応させ、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドを得た。以下、製造例1と同様の方法でカリウム触媒を除去し、本発明のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物である本発明品7を得た。本発明品7のアルカリ金属残存量は3ppm、水酸基価は377mgKOH/gであった。
<製造例8>
製造例7と同様にして、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドを得た後、無機吸着剤で処理することなしに、プロピレンオキシド232g(4モル)を製造例2と同様の方法で付加反応させた。以下、製造例2と同様の方法で、カリウム触媒を除去し、本発明のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物のアルキレンオキシド付加物である本発明品8を得た。本発明品8のアルカリ金属残存量は2ppm、水酸基価は213mgKOH/gであった。
<製造例9>
触媒として水酸化カリウムの代わりにナトリウムメトキシドの28%メタノール溶液1.9gを用いた他は、製造例7と同様にして、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドを得た。以下、製造例1と同様の方法で、無機吸着剤によるナトリウム触媒の除去を行ったところ、アルカリ金属残存量は70ppmだったため、更に無機吸着剤によるナトリウム触媒の除去を2回行い、本発明のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物である本発明品9を得た。本発明品9のアルカリ金属残存量は8ppm、水酸基価は377mgKOH/gであった。
<製造例10>
製造例9と同様にして、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドを得た後、無機吸着剤で処理することなしに、プロピレンオキシド232g(4モル)を製造例2と同様の方法で付加反応させた。以下、製造例9と同様の方法で、無機吸着剤によるナトリウム触媒の除去を計3回行い、本発明のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物のアルキレンオキシド付加物である本発明品10を得た。なお、ナトリウム触媒の1回目の除去後のアルカリ金属残存量は62ppm、2回目後は18ppmであった。本発明品10の最終的なアルカリ金属残存量は7ppm、水酸基価は213mgKOH/gであった。
<比較品1>
製造例1と同様に反応させたが、無機吸着剤処理を行わないものを、比較品1とした。比較品1のナトリウム及びカリウムの残存量の合計は680ppm、水酸基価は213mgKOH/gであった。
<比較品2>
製造例2と同様に反応させたが、無機吸着剤処理を行わないものを、比較品2とした。比較品2のナトリウム及びカリウムの残存量の合計は498ppm、水酸基価は153mgKOH/gであった。
<比較品3>
製造例3と同様に反応させたが、無機吸着剤処理を行わないものを、比較品3とした。比較品3のナトリウム及びカリウムの残存量の合計は338ppm、水酸基価は247mgKOH/gであった。
<比較品4>
製造例4と同様に反応させたが、無機吸着剤処理を行わないものを、比較品4とした。比較品4のナトリウム及びカリウムの残存量の合計は1075ppm、水酸基価は161mgKOH/gであった。
<比較品5>
製造例5と同様に反応させたが、無機吸着剤処理を行わないものを、比較品5とした。比較品5のナトリウム及びカリウムの残存量の合計は872ppm、水酸基価は273mgKOH/gであった。
<比較品6>
製造例6と同様に反応させたが、無機吸着剤処理を行わないものを、比較品6とした。比較品6のナトリウム及びカリウムの残存量の合計は614ppm、水酸基価は135mgKOH/gであった。
<比較品7>
製造例7と同様に反応させたが、無機吸着剤処理を行わないものを、比較品7とした。比較品7のナトリウム及びカリウムの残存量の合計は895ppm、水酸基価は377mgKOH/gであった。
<比較品8>
製造例8と同様に反応させたが、無機吸着剤処理を行わないものを、比較品8とした。比較品8のナトリウム及びカリウムの残存量の合計は450ppm、水酸基価は213mgKOH/gであった。
<比較品9>
製造例9と同様に反応させたが、無機吸着剤処理を行わないものを、比較品9とした。比較品9のナトリウム及びカリウムの残存量の合計は767ppm、水酸基価は377mgKOH/gであった。
<比較品10>
製造例10と同様に反応させたが、無機吸着剤処理を行わないものを、比較品10とした。比較品10のナトリウム及びカリウムの残存量の合計は386ppm、水酸基価は213mgKOH/gであった。
<比較品11>
本発明品1に比較品1を1.5%添加したものを比較品11とした。比較品11のナトリウム及びカリウムの残存量の合計は16ppm、水酸基価は213mgKOH/gであった。
<比較品12>
本発明品2に比較品2を1.5%添加したものを比較品12とした。比較品12のナトリウム及びカリウムの残存量の合計は13ppm、水酸基価は153mgKOH/gであった。
<比較品13>
本発明品3に比較品3を2.5%添加したものを比較品13とした。比較品13のナトリウム及びカリウムの残存量の合計は12ppm、水酸基価は247mgKOH/gであった。
<比較品14>
本発明品4に比較品4を1.5%添加したものを比較品14とした。比較品14のナトリウム及びカリウムの残存量の合計は19ppm、水酸基価は161mgKOH/gであった。
<比較品15>
本発明品5に比較品5を1.5%添加したものを比較品15とした。比較品15のナトリウム及びカリウムの残存量の合計は18ppm、水酸基価は273mgKOH/gであった。
<比較品16>
本発明品6に比較品6を1.5%添加したものを比較品16とした。比較品16のナトリウム及びカリウムの残存量の合計は12ppm、水酸基価は135mgKOH/gであった。
<比較品17>
本発明品7に比較品7を2.5%添加したものを比較品17とした。比較品17のナトリウム及びカリウムの残存量の合計は16ppm、水酸基価は377mgKOH/gであった。
<比較品18>
本発明品8に比較品8を1.5%添加したものを比較品18とした。比較品18のナトリウム及びカリウムの残存量の合計は13ppm、水酸基価は213mgKOH/gであった。
<比較品19>
本発明品9に比較品9を1.5%添加したものを比較品19とした。比較品19のナトリウム及びカリウムの残存量の合計は19ppm、水酸基価は377mgKOH/gであった。
<比較品20>
本発明品10に比較品10を1.5%添加したものを比較品20とした。比較品20のナトリウム及びカリウムの残存量の合計は13ppm、水酸基価は213mgKOH/gであった。
<保存安定性試験>
本発明品1〜10及び比較品1〜20を個々に50mLのフタ付ネジ口ガラスビンに入れ、70℃の恒温槽で60日間、次いで15℃恒温槽で7日間保存した後、外観を目視し、以下の基準により保存安定性を評価した。結果を表1にまとめて示す。
○:ゲル状物質の生成がみられず、保存安定性が良好
△:ゲル状物質がわずかにみられ、保存安定性がやや不良
×:ゲル状物質があきらかにみられ、保存安定性が不良
<ゲル化試験:ポリウレタン原料としての評価>
本発明品1〜10又は比較品1〜20を用いて、下記の方法によりポリウレタンを合成すると共にゲル化試験を行い、ゲル化(異常反応である)の起こりにくさを評価した。結果を表1にまとめて示す。
[評価方法]
窒素ガス導入管、温度計及び攪拌装置を備えたガラス製フラスコに、本発明品1〜10又は比較品1〜20を個々に、水酸基換算で0.5モル、2,4−トリレンジイソシアネートを0.5モル(87g)及び希釈剤(溶媒)としてトルエンを50g加え、60℃で30分、80℃で1時間撹拌して反応させた。この反応生成物の25℃における粘度を測定し、以下の基準により評価した。
○:粘度が10Pa・s未満であり、ゲル化が起こりにくい。
△:粘度が10Pa・s以上、50Pa・s未満であり、ゲル化がやや起こり易い。
×:粘度が50Pa・s以上であり、ゲル化が起こり易い。
<衝撃強度:ポリカーボネート樹脂用添加剤としての評価>
本発明品1〜10又は比較品1〜20を個々に配合(添加)したポリカーボネート(PC)樹脂組成物について、下記の方法によりアイゾット衝撃強度を測定した。なお、アイゾット衝撃強度が高いほど、PC樹脂の物性の低下が少なく、配合(添加)された添加剤が優れていることを示す。結果を表1にまとめて示す。
[評価方法]
下記の配合の樹脂組成物を原料として、押し出し機を用いて、280℃、15rpmの条件で、厚さ3.2mmのPC樹脂板を作成した。この樹脂板を用いて、長さ63.5mm、厚さ12.7mm、幅3.2mmでノッチ(切欠き)を有する試験片を調製し、JIS K7110(プラスチック―アイゾット衝撃強さの試験方法)に準じて、ノッチ側からおもりを衝突させ、アイゾット衝撃強度を測定した。なお測定温度は25℃である。
[配合]
PC樹脂(ユーロピンS−3000:三菱ガス化学社製)100質量部
フェノール系酸化防止剤 0.2質量部
リン系難燃剤 5質量部
本発明品1〜10及び比較品1〜20の内の1種類 5質量部
Figure 2005041819
以上をまとめると、本発明品1〜10では、いずれも10ppm未満しかアルカリ金属が残存せず、比較品1〜20と比較して、保存安定性、ウレタン合成時のゲル化の起こり難さ、アイゾット衝撃強度において、優れた物性を有していることが判った。

Claims (5)

  1. アルカリ金属化合物を触媒とした反応で得られた、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物、又はそのアルキレンオキシド付加物において、アルカリ金属残存量が10質量ppm以下であることを特徴とするもの。
  2. 下記の一般式(1):
    Figure 2005041819
    (式中、Rは脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基を表し、A及びBは炭素数2〜4のアルキレン基を表し、Xは、脂肪族ポリオール若しくはアルカノールアミンからこれらが有する水酸基及びアミノ基上の水素原子を除いた残基を表し、a及びbは0又は1以上の数を表し、m及びnは1以上の数を表す。但し、mとnの合計の数(m+n)は、前記脂肪族ポリオール若しくは前記アルカノールアミンの有する水酸基とアミノ基との合計の数に等しい。)
    で表される、請求項1に記載のアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物、又はそのアルキレンオキシド付加物。
  3. 下記の(1)及び(2)の工程を有する、アルカリ金属含量が10質量ppm以下であるアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物の製造方法:
    (1)脂肪酸エステルと、脂肪族ポリオール又はアルカノールアミンとを、カリウム触媒の存在下に反応させて、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物を合成する工程;
    (2)前記アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物中のカリウム触媒を、無機吸着剤で吸着除去する工程。
  4. 下記の(1)、(3)及び(4)の工程を有する、アルカリ金属含量が10質量ppm以下であるアシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物のアルキレンオキシド付加物の製造方法:
    (1)脂肪酸エステルと、脂肪族ポリオール又はアルカノールアミンとを、カリウム触媒の存在下に反応させて、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物を合成する工程;
    (3)前記アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物に、カリウム触媒の存在下にアルキレンオキシドを付加して、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物のアルキレンオキシド付加物を合成する工程;
    (4)前記アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物のアルキレンオキシド付加物中のカリウム触媒を、無機吸着剤で吸着除去する工程。
  5. 前記無機吸着剤が、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、アルミン酸マグネシウム又は酸化アルミニウムである、請求項3又は4に記載の、アシル基と水酸基とを有する脂肪族化合物又はそのアルキレンオキシド付加物の製造方法。
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