JP5950620B2 - 脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、低温安定性に優れる脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物およびその製造方法に関する。
脂肪族アミンにエチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加して得られる脂肪族アミンアルキレンオキサイド付加物は、界面活性剤及びその原料として用いられ、利用分野は洗浄剤、乳化剤、分散剤、帯電防止剤、増粘剤、油相成分調整剤、浸透剤、繊維用薬剤、殺菌剤、農薬展着剤、帯電防止剤、塗膜表面改質剤等の様々な産業用途で有用であり汎用されている。
従来より脂肪族アミンアルキレンオキサイド付加物は、様々な製造方法が検討されてきた。たとえば、特許文献1には炭素数が1〜24の脂肪族第一級アミン1モルに平均付加モル数1.5〜2.0モルのエチレンオキサイドを無触媒で反応させて得られた脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物(A)に、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドを触媒としてさらに3〜8.1モルの炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを反応させる製造方法;特許文献2には原料アミンを蒸留精製する製造方法;特許文献3では原料アミンを製造する工程で特定の触媒を用いる製造方法;特許文献4では金属酸化物触媒または酸触媒を用いる方法等が提案されている。
しかしながら、これらの製造方法は、十分な色相を有する脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物を得ることには貢献しているが、低温安定性をも十分に満足するものではない。
このように、特許文献1〜4の脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物には低温安定性の問題があるが、問題を抱えつつも従来の脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物を使用せざるを得ないというのが現状であった。
特開2007−262251号公報 特開平11−228509号公報 特開2000−319232号公報 特開2005−154370号公報
本発明の目的は、低温安定性に優れる脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物とその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討した結果、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物の13C−NMRスペクトルを測定した場合に、オキシエチレン基の炭素に帰属されるそれぞれ特定の領域に確認されるスペクトルのうちで、最大強度を示す共鳴ピークの強度比が一定範囲にあると、上記課題を達成するという知見を得て、本発明に到達した。
すなわち、本発明にかかる脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物は、下記一般式(1):
Figure 0005950620
(但し、Rは炭素数1〜30のアルキル基またはアルケニル基を示し、直鎖または分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。EOはオキシエチレン基を示す。mおよびnは、各々の平均付加モル数を示し、1<m≦100および1<n≦100である。)
で表される脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物であって、
13C−NMRスペクトルチャートに基づいて下記に定義されるIおよびIが、0.5<I/I<5を満足する脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物である。
:オキシエチレン基の炭素に帰属され、71.5〜74.0ppmの範囲に確認されるスペクトルのうち最大強度を示す共鳴ピークの強度
:オキシエチレン基の炭素に帰属され、68.5〜71.0ppmの範囲に確認されるスペクトルのうち最大強度を示す共鳴ピークの強度
2.1<m+n<20であると好ましく、3<m+n<20であるとさらに好ましい。
本発明にかかる脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物の製造方法は、下記工程1と下記工程2とを含み、下記工程2で用いる触媒が、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属のアルコキシド、アルカリ土類金属のアルコキシド及びアミン化合物から選ばれる少なくとも1種である。
(1)工程1
下記一般式(2):
Figure 0005950620
(但し、Rは炭素数1〜30のアルキル基またはアルケニル基を示し、直鎖または分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。)
で表される脂肪族第1級アミン1モルに対してエチレンオキサイドxモル(但し、xは2<x≦100を満足する。)を無触媒で付加反応させる工程。
(2)工程2
前記工程1で得られた脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物に対して0.01〜3重量%の触媒の存在下、前記工程1で得られた脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物1モルに対して、エチレンオキサイドyモル(但し、yは0<y≦100を満足する。)をさらに付加反応させる工程。
前記工程2で得られた脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物の 13 C−NMRスペクトルを測定し、得られるチャートに基づいて、下記に定義されるI およびI を読み取り計算されるI /I が、0.5<I /I <5の関係を満足すると好ましい。
:オキシエチレン基の炭素に帰属され、71.5〜74.0ppmの範囲に確認されるスペクトルのうち最大強度を示す共鳴ピークの強度
:オキシエチレン基の炭素に帰属され、68.5〜71.0ppmの範囲に確認されるスペクトルのうち最大強度を示す共鳴ピークの強度
本発明の脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物は低温安定性に優れる。
本発明の脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物の製造方法は、低温安定性に優れるこの付加物を効率良く製造することができる。
実施例1で得られた脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物の13C−NMRスペクトルを測定した結果を示すチャート図である。 比較例1で得られた脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物の13C−NMRスペクトルを測定した結果を示すチャート図である。
〔脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物〕
本発明の脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物(以下、単に「付加物」ということがある。)は、上記一般式(1)で示される化合物である。
Rは、炭素数1〜30のアルキル基またはアルケニル基を示し、直鎖または分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。
Rの炭素数は、通常1〜30、好ましくは1〜25、さらに好ましくは1〜22、特に好ましくは6〜20、最も好ましくは8〜20である。Rの炭素数が30超であると、得られる付加物の疎水性が増大する。
Rとしては、たとえば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、オクタデセニル基、オクタデカジエニル基等が挙げられる。Rは、牛脂アミン、硬化牛脂アミン、ヤシ油アミン、パーム油アミン、大豆油アミン等のアミンから、アミノ基を除いた基であってもよい。これらのRは1種または2種以上を併用してもよい。
EOはオキシエチレン基を示す。mおよびnは、2つのEO鎖それぞれのEO平均付加モル数を示す。mおよびnは、それぞれ通常1超100以下、好ましくは1超50以下、より好ましくは1超40以下、さらに好ましくは1超30以下、特に好ましくは1.05超20以下、最も好ましくは1.5超10以下である。mおよびnのいずれかが1以下であると、低温流動性が十分ではないことがある。一方、mおよびnのいずれかが100超であると、ハンドリング性が悪くなることがある。
本願発明では、mおよびnは基本的に同じ値になっている。これは、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物は、一般にEOの付加モル数について分布を有しているために、現在の分析技術水準では、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物の個々の分子について、mとnとをそれぞれ個別に測定するのは不可能に近い。また、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物のアミン価を測定することによって、アミンの1級化率、2級化率および3級化率を識別することは可能ではあるが、それでもEOの平均付加モル数mおよびnについての知見を得ることはできない。そのため、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物に結合するEOの総数(すなわちm+n)については、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物を製造する際のエチレンオキサイドの使用量や、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物のH−NMRのスペクトルデータ等から分析可能であるので、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物に結合するEOの総数を等分して、本発明ではmおよびnとした。
mおよびnの合計(m+n)は、通常2<m+n≦200、好ましくは2<m+n≦100、より好ましくは2<m+n≦50、さらに好ましくは2<m+n≦25、特に好ましくは2.1<m+n≦20、最も好ましくは3<m+n≦20である。(m+n)が2以下であると、低温流動性が十分ではないことがある。一方、(m+n)が200超であると、ハンドリング性が悪くなることがある。
本発明では、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物の13C−NMRスペクトルを解析しある条件を満足する場合に、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物が低温流動性および低温安定性に優れ、特には低温安定性に優れることを見出した。
本発明の脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物では、その13C−NMRスペクトルを測定し、得られるチャートに基づいて下記に定義されるIおよびIを読み取り、I/Iが、0.5<I/I<5の関係を満足する。
:オキシエチレン基の炭素に帰属され、71.5〜74.0ppmの範囲に確認されるスペクトルのうち最大強度を示す共鳴ピークの強度
:オキシエチレン基の炭素に帰属され、68.5〜71.0ppmの範囲に確認されるスペクトルのうち最大強度を示す共鳴ピークの強度
およびIはいずれもオキシエチレン基の炭素に帰属されるが、IおよびIの相違点は、大まかには、Iが算出される71.5〜74.0ppmの範囲のスペクトルは窒素に近いオキシエチレン基の炭素であり、Iが算出される68.5〜71.0ppmの範囲のスペクトルは窒素から遠いオキシエチレン基の炭素であると考えられる。
異なる磁場範囲に検出されるが、互いにオキシエチレン基の炭素に帰属される共鳴ピークIおよびIの比I/Iが意味するところは、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物のEOの平均付加モル数mおよびnのそれぞれの数値に関する情報である。脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物であって結合するEOの総数が同数の付加物が2つあった場合、それぞれの付加物でEOの平均付加モル数mおよびnのそれぞれの数値が異なれば、2つの付加物の物性は大きく異なってくる。本発明では、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物のI/Iがある特定の範囲を満足する場合は、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物のEOの平均付加モル数mおよびnのそれぞれの数値がある特定の範囲にあることを示しており、本発明で規定されるI/Iの範囲内である脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物は低温流動性および低温安定性に優れる物性を有する。
/Iとしては、通常0.5<I/I<5であり、好ましくは0.6≦I/I≦4、さらに好ましくは0.7≦I/I≦3、特に好ましくは0.8≦I/I≦2、最も好ましくは0.9≦I/I≦1.5である。I/Iが0.5以下であると、低温流動性に優れないことがある。一方、I/Iが5以上であると、ハンドリング性に優れないことがある。
付加物の重量平均分子量としては、特に限定はないが、好ましくは200〜5000、より好ましくは200〜4000、さらに好ましくは200〜3000、特に好ましくは200〜2000、最も好ましくは200〜1500である。付加物の重量平均分子量が200未満であると、付加物の親水性が低いことがある。付加物の重量平均分子量が5000超であると、ハンドリング性が低いことがある。重量平均分子量の測定方法は、実施例で詳しく説明する。
付加物の曇点は、通常、付加物の1重量%水溶液を調製し加温して一旦液を濁らせ、徐々に冷却して濁りが無くなる温度を曇点とする方法を用いて測定する。上記曇点としては、好ましくは0〜95℃、より好ましくは0〜90℃、さらに好ましくは0〜85℃、特に好ましくは0〜80℃、最も好ましくは0〜75℃の範囲である。上記曇点が0℃未満であると、付加物の乳化性が低いことがある。一方、上記曇点が95℃超であると、付加物のハンドリング性が低いことがある。
付加物は、衣料用液体または粉体洗剤、家庭用洗剤、台所用洗剤、固体洗浄剤、シャンプー等の各種洗浄剤の有効成分として使用することができる。また、付加物は、消泡剤、抑泡剤、潤滑剤、繊維油剤、紙薬剤、機械・金属用洗浄剤、脱樹脂剤、脱墨剤、脱脂剤、減水剤、凝集剤、分散剤、乳化重合剤、乳化剤、可溶化剤、懸濁剤、増粘剤、ゲル化剤、帯電防止剤、表面処理剤等や、それらの有効成分として使用することができる。
本発明の付加物の製造方法については特に限定はなく、たとえば、以下に示す製造方法を好ましいものとして挙げることができる。
〔脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物の製造方法〕
本発明の脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物の製造方法は、上記一般式(2)で表される脂肪族第1級アミン1モルに対してエチレンオキサイドxモルを無触媒で付加反応させる工程1を含む製造方法である。ここで、xは2<x≦100を満足する。
また、本発明の製造方法では、上記工程1で得られた脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物(以下では「付加物A」ということがある。)に対して0.01〜3重量%の触媒の存在下、前記工程1で得られた脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物1モルに対して、エチレンオキサイドyモルをさらに付加反応させる工程2を含んでもよい。ここで、yは0<y≦100を満足する。
(工程1の説明)
一般式(2)で表される脂肪族第1級アミンにおけるRは、アルキル基またはアルケニル基である。また、Rは直鎖または分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。
Rの炭素数は、通常1〜30、好ましくは1〜25、さらに好ましくは1〜22、特に好ましくは6〜20、最も好ましくは8〜20である。Rの炭素数が30超であると、得られる付加物の疎水性が増大する。
一般式(2)で表される脂肪族第1級アミンとしては、特に限定はないが、たとえば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、イコシルアミン、ヘンイコシルアミン、ドコシルアミン、トリコシルアミン、テトラコシルアミン、オクタデセニルアミン、オクタデカジエニルアミン等が挙げられる。脂肪族第1級アミンは、牛脂アミン、硬化牛脂アミン、ヤシ油アミン、パーム油アミン、大豆油アミン等であってもよい。これらの脂肪族第1級アミンは1種または2種以上を併用してもよい。脂肪族第1級アミンは、蒸留精製したものでもよく、未精製のものでもよい。
工程1では、脂肪族第1級アミンに対してエチレンオキサイドを無触媒で付加反応させる。工程1において、脂肪族第1級アミン1モルに対して付加反応させるエチレンオキサイドをxモルとすると、xは、通常2<x≦100、好ましくは2<x≦50、より好ましくは2<x≦30、さらに好ましくは2<x≦20、特に好ましくは2.1<x≦20、最も好ましくは3<x≦20である。xが2以下であると、乳化力や低温流動性が十分ではないことがある。一方、xが100超であると、ハンドリング性が悪くなることがある。
工程1における付加反応の反応温度としては特に限定はないが、好ましくは70〜240℃、より好ましくは75〜220℃、さらに好ましくは80〜200℃、特に好ましくは90〜180℃、最も好ましくは100〜160℃である。反応温度が70℃未満であると、付加反応が十分に進行しないことがある。一方、反応温度が240℃超であると、得られる付加物の着色および付加物中のポリオキシエチレン基の分解が促進されることがある。
工程1の付加反応に要する時間(反応時間)については特に限定はないが、好ましくは0.1〜100時間、より好ましくは0.1〜80時間、さらに好ましくは0.1〜60時間、特に好ましくは0.1〜40時間、最も好ましくは0.5〜30時間である。反応時間が0.1時間未満であると、付加反応が十分に進行しないことがある。一方、反応時間が100時間超であると、生産効率が悪くなることがある。
工程1では、脂肪族第1級アミンおよびエチレンオキサイドを混合すると、付加反応が生起する。両者の混合方法については特に限定はないが、1)エチレンオキサイドを供給ラインから脂肪族第1級アミンに対して連続的に供給して混合する方法や、2)エチレンオキサイドを何回かに分けて脂肪族第1級アミンに対して順次供給して混合する方法や、3)エチレンオキサイドの一部を一括して脂肪族第1級アミンに対して供給し、次いで、残部のエチレンオキサイドを供給ラインから脂肪族第1級アミンに対して連続的に供給して混合する方法等が挙げられる。特に、1)に示すように、脂肪族第1級アミンに対してエチレンオキサイドを連続的に供給すると、副反応が抑制され、色相が優れるために好ましい。
(工程2の説明)
次に、工程2は、上記工程1で得られた脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物(付加物A)に対して0.01〜3重量%の触媒の存在させた下で、前記工程1で得られた付加物A1モルに対して、エチレンオキサイドyモルをさらに付加反応させる工程である。工程2では、工程1で得られた付加物Aの末端水酸基に対して、エチレンオキサイドをさらに付加反応させる。
工程2において、工程1で得られた付加物Aの1モルに対して、付加反応させるエチレンオキサイドをyモルとすると、yは、通常0<y≦100、好ましくは0<y≦70、より好ましくは0<y≦50、さらに好ましくは0<y≦40、特に好ましくは0<y≦30、最も好ましくは0<y≦20である。yが0であると、乳化力や低温流動性が十分ではないことがある。一方、yが100超であると、ハンドリング性が悪くなることがある。
工程2では、1)工程1で得られる反応混合物そのままに対してエチレンオキサイドを供給して付加反応を行ってもよく、また、2)工程1で得られる反応混合物のうち取り出した一部に対してエチレンオキサイドを供給して付加反応を行ってもよく、または、3)工程1で得られる反応混合物に対して、不活性溶媒等を除去したりした後処理を済ませてから、エチレンオキサイドを供給して、付加反応を行ってもよい。
工程2で用いる触媒としては、特に限定はないが、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム等のアルカリ(土類)金属の水酸化物;酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム等のアルカリ(土類)金属の酸化物;金属カリウム、金属ナトリウム等のアルカリ金属;水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化アルミニウム、水素化カルシウム、水素化チタン、水素化リチウム等の金属の水素化物;炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ(土類)金属の炭酸塩;硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等のアルカリ(土類)金属の硫酸塩;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の有機スルホン酸;パラトルエンスルホン酸ナトリウム、パラトルエンスルホン酸ピリジニウム等の芳香族スルホン酸塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、トリエチルアミン等のアミン化合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムクロライド等のアンモニウム塩;鉄粉、アルミニウム粉、アンチモン粉、塩化アルミニウム(III)、臭化アルミニウム(III)、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、塩化コバルト(III)、塩化アンチモン(III)、塩化アンチモン(V)、臭化アンチモン(III)、四塩化スズ、四塩化チタン、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル等のルイス酸;硫酸、過塩素酸等のプロトン酸;過塩素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カルシウム、過塩素酸マグネシウム等のアルカリ(土類)金属の過塩素酸塩;カルシウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、リチウムエトキシド等のアルカリ(土類)金属のアルコキシド;カリウムフェノキシド、カルシウムフェノキシド等のアルカリ(土類)金属のフェノキシド;珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、アルミノ珪酸ナトリウム、アルミノ珪酸カリウム、メタ珪酸ナトリウム、オルソ珪酸ナトリウム、ゼオライト等の珪酸塩;水酸化アルミニウム・マグネシウム焼成物、金属イオン添加酸化マグネシウム、焼成ハイドロタルサイト等のAl−Mg系複合酸化物またはそれらの表面改質物、ランタノイド系錯体等が挙げられる。これらの触媒は、1種または2種以上を併用してもよい。これらの触媒のうちでも、反応効率を考慮すると、アルカリ(土類)金属の水酸化物、アルカリ(土類)金属の炭酸塩、アルカリ(土類)金属のアルコキシド、アミン化合物、アンモニウム塩が好ましい。特に汎用性に優れるのでアルカリ(土類)金属の水酸化物が好ましい。
工程2で用いる触媒の重量割合については、特に限定はないが、好ましくは付加物Aの0.001〜10重量%、より好ましくは0.001〜8重量%、さらに好ましくは0.01〜6重量%、特に好ましくは0.01〜5重量%、最も好ましくは0.01〜3重量%である。触媒の重量割合が0.001重量%未満であると付加反応が十分に進行しないことがある。一方、触媒の重量割合が10重量%超であると、得られる付加物が着色し易くなるおそれがある。
工程2で用いる触媒の重量割合については、特に限定はないが、好ましくは工程1で用いる脂肪族第1級アミンの0.001〜10重量%、より好ましくは0.001〜5重量%、さらに好ましくは0.01〜5重量%、特に好ましくは0.01〜3重量%、最も好ましくは0.01〜1重量%である。触媒の重量割合が0.001重量%未満であると付加反応が十分に進行しないことがある。一方、触媒の重量割合が10重量%超であると、得られる付加物が着色し易くなるおそれがある。
工程2におけるエチレンオキサイドの付加反応の反応温度としては特に限定はないが、好ましくは70〜240℃、より好ましくは70〜200℃、さらに好ましくは80〜190℃、特に好ましくは100〜180℃、最も好ましくは110〜180℃である。反応温度が70℃未満であると、付加反応が十分に進行しないことがある。一方、反応温度が240℃超であると、得られる付加物の着色および付加物中のポリオキシエチレン基の分解が促進されることがある。
工程2の付加反応に要する時間(反応時間)については特に限定はないが、好ましくは0.1〜100時間、より好ましくは0.1〜80時間、さらに好ましくは0.1〜60時間、特に好ましくは0.1〜40時間、最も好ましくは0.5〜30時間である。反応時間が0.1時間未満であると、付加反応が十分に進行しないことがある。一方、反応時間が100時間超であると、生産効率が悪くなることがある。
工程2におけるエチレンオキサイドの付加反応の終了後は、必要に応じて、触媒を中和および/または除去したり、不活性溶媒を除去したりすると好ましい。
触媒がアルカリ触媒である場合には、たとえば、塩酸、リン酸、酢酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、アクリル酸、メタクリル酸等の酸を添加して行うことが好ましい。
触媒の中和は不活性ガスの雰囲気下で行われると好ましい。不活性ガスとしては、特に限定はないが、たとえば、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。
触媒の中和時の温度としては、特に限定はないが、好ましくは50〜200℃、より好ましくは50〜190℃、さらに好ましくは60〜180℃、特に好ましくは60〜170℃、最も好ましくは60〜160℃である。触媒の中和時の温度が50℃未満であると、中和に要する時間が長くなることがある。一方、触媒の中和時の温度が200℃超であると、得られる付加物の着色および付加物中のポリオキシエチレン基の分解が促進されることがある。
触媒の中和により、上記付加反応により得られる反応生成物のpHが好ましくは4〜12に調整され、さらに好ましくは5〜11.5、特に好ましくは6〜11である。また、触媒中和の際に、必要に応じて、キノン類やフェノール類等の酸化防止剤を併用することもできる。
中和により生成した中和塩は、さらに固液分離してもよい。中和により生成した中和塩の固液分離の方法としては、濾過や遠心分離等が挙げられる。濾過は、たとえば、濾紙、濾布、カートリッジフィルター、セルロースとポリエステルとの2層フィルター、金属メッシュ型フィルター、金属焼結型フィルター等を用いて、減圧または加圧下で温度20〜140℃の条件下で行うとよい。遠心分離は、たとえば、デカンターや遠心清澄機等の遠心分離器を用いて行うとよい。また、必要に応じて、固液分離前の液100重量部に対して水を1〜30重量部程度添加することもできる。上記固液分離として、特に濾過を行う際には、濾過助剤を使用すると濾過速度が向上するので好適である。
濾過助剤としては、特に限定はないが、たとえば、セライト、ハイフロースーパーセル、セルピュアの各シリーズ(Advanced Minerals Corporation製)、シリカ#645、シリカ#600H、シリカ#600S、シリカ#300S、シリカ#100F(中央シリカ社製)、ダイカライト(グレフコ社製)等の珪藻土;ロカヘルプ(三井金属鉱業社製)、トプコ(昭和化学社製)等のパーライト;KCフロック(日本製紙社製)、ファイブラセル(Advanced Minerals Corporation製)等のセルロース系濾過助剤;サイロピュート(富士シリシア化学社製)等のシリカゲル等が挙げられる。これらの濾過助剤は、1種または2種以上を併用してもよい。
濾過助剤は、予め濾紙等のフィルター面に濾過助剤層を形成するプレコート法を用いてもよいし、濾液に直接添加するボディーフィード法を用いてもよいし、これら両方を併用してもよい。濾過助剤の使用量としては、固液分離前の液100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、より好ましくは0.1〜1.5重量部である。また、濾過処理速度は、濾面の大きさ、減圧度または加圧度、処理湿度等にも依存するが、好ましくは100kg/m・hr以上、より好ましくは300kg/m・hr以上であり、さらに好ましくは、500kg/m・hr以上である。
触媒の除去については、特に限定はないが、たとえば、触媒を吸着剤に吸着させた後、固液分離する方法が好ましい。
吸着剤としては、たとえば、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の珪酸塩、活性白土、酸性白土、シリカゲル、イオン交換樹脂等が挙げられる。市販の吸着剤としては、たとえば、キョーワード600、700(協和化学社製)、ミズカライフP−1、P−1S、P−1G、F−1G(水澤化学社製)、トミタ−AD600、700(富田製薬社製)等の珪酸塩;アンバーリスト(ローム・アンド・ハース社製)やアンバーライト(ローム・アンド・ハース社製)、ダイヤイオン(三菱化学社製)、ダウエックス(ダウケミカル社製)等のイオン交換樹脂等が挙げられる。これらの吸着剤は、1種または2種以上を併用してもよい。
吸着剤の使用量は、たとえば、触媒100重量部に対して、好ましくは100〜5000重量部、より好ましくは300〜3000重量部である。
触媒の除去条件としては、特に限定はないが、たとえば、減圧、常圧または加圧のいずれかの圧力条件下において、吸着剤を温度20〜140℃で5〜120分間攪拌混合した後、触媒が吸着された吸着剤を上記固液分離方法により分離する方法や、予めカラム等に吸着剤を充填しておいて、温度20℃〜140℃で反応混合物を通過させて触媒を吸着させて、触媒を除去する方法等が挙げられる。この際、さらに必要により、反応混合物100重量部に対して、水やエタノールに代表される低級アルコール等5の水溶性溶剤を1〜20重量部添加してもよい。
触媒の除去後の残存量については、特に限定はないが、好ましくは300ppm以下、より好ましくは200ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下、特に好ましくは50ppm以下、最も好ましくは20ppm以下である。
不活性溶媒の除去は、たとえば、蒸留により行うことが好ましい。
なお、触媒の中和および/または除去と不活性溶媒の除去とを行う場合、各工程の順序は特に限定はなく、たとえば、触媒の中和および/または除去を行った後に、不活性溶媒の除去を行うと、得られる付加物の精製効率に優れるために好ましい。
本発明の製造方法において、未反応で残存する脂肪族第1級アミンの含有量としては、特に限定はないが、得られる付加物100重量部に対して、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.01重量部以下、さらに好ましくは0.001重量部以下、特に好ましくは0.0001重量部以下、最も好ましくは0.00001重量部以下である。未反応で残存する脂肪族第1級アミンの含有量が、付加物100重量部に対して1重量部超であると、その臭気が発生することがある。
(工程1および工程2で共通する説明)
工程1および工程2で共通する事項を以下にまとめて説明する。
本発明の製造方法では、付加反応を減圧状態から開始してもよいし、大気圧の状態から開始してもよいし、さらには加圧状態から開始してもよい。大気圧状態や加圧状態から開始する場合には不活性ガスの雰囲気下で行われることが好ましい。付加反応が不活性ガスの雰囲気下で行われるとエチレンオキサイドと酸素との副反応等に起因して生成する不純物を十分に除去することが可能となり、また、安全性の観点からも有用であるので好ましい。不活性ガスとしては特に限定はないが、たとえば、窒素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等が挙げられる。これらの不活性ガスは1種または2種以上を併用してもよい。不活性ガスの雰囲気下における反応容器内の酸素濃度については、特に限定はないが、好ましくは10体積%以下、より好ましくは5体積%以下、さらに好ましくは3体積%以下、特に好ましくは1体積%以下、最も好ましくは0.5体積%以下である。反応容器内の酸素濃度が10体積%超であると不純物を十分に除去できないことがあり、また安全性の観点からも好ましくないことがある。
反応容器内の初期圧力については、特に限定はないが、たとえば、ゲージ圧で好ましくは0〜0.50MPa、より好ましくは0〜0.45MPa、さらに好ましくは0〜0.4MPa、特に好ましくは0〜0.35MPa、最も好ましくは0〜0.3MPaである。反応容器内の初期圧力が0MPa未満であると、不純物の発生量が多くなることがある。一方、反応容器内の初期圧力が0.50MPa超であると、反応速度が遅くなることがある。
付加反応時の反応容器内の圧力は、エチレンオキサイドの供給速度、反応温度、触媒量等に影響される。付加反応時の反応容器内の圧力は特に限定はないが、ゲージ圧で好ましくは0〜5.0MPa、より好ましくは0〜4.0MPa、さらに好ましくは0〜3.0MPa、特に好ましくは0〜2.0MPa、最も好ましくは0.1〜1.0MPaである。付加反応時の反応容器内の圧力が0MPa未満であると、反応速度が遅くなることがある。一方、付加反応時の反応容器内の圧力が5.0MPa超であると、製造が困難であることがある。
エチレンオキサイドの供給が完了すると反応容器内の内圧はエチレンオキサイドが消費されることにより徐々に低下していく。エチレンオキサイドの付加反応は内圧の変化が認められなくなるまで継続することが好ましい。エチレンオキサイドの付加反応は一定時間における内圧の変化が認められなくなった時点で反応を終了する。必要に応じて加熱減圧操作等を実施し、未反応のエチレンオキサイドを回収してもよい。
エチレンオキサイドの付加反応においては、必要に応じて不活性溶媒を用いることができる。不活性溶媒を用いることにより反応性をより十分に向上できるとともに、ハンドリング性が高い。また、不活性溶媒を用いると除熱効果も期待できる。
不活性溶媒としては特に限定はないが、たとえば、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ジエチレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等のエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類;スルホラン、ジメチルスルホンホキシド等のスルホン類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類等が挙げられ、1種または2種以上を併用してもよい。なかでも、芳香族炭化水素類が好ましく、より好ましくはトルエンである。
不活性溶媒の使用量としては、特に限定はないが、脂肪族第1級アミンを溶解するのに使用する場合には、脂肪族第1級アミン100重量部に対して、好ましくは10〜1000重量部、より好ましくは10〜500重量部、さらに好ましくは10〜400重量部、特に好ましくは10〜300重量部、最も好ましくは10〜200重量部である。不活性溶媒の量が脂肪族第1級アミン100重量部に対して1000重量部超であると、付加反応を十分に進行させることができないことがある。一方、不活性溶媒の量が10重量部未満であると、脂肪族第1級アミンを十分に溶解することができないことがある。なお、不活性溶媒を使用した場合には、付加反応後に除去することが好ましい。不活性溶媒の除去によって、不活性溶媒の残存に起因する不純物の発生を十分に防ぐことができ、各種物性により優れた付加物を得ることができる。溶媒の除去工程については、後述するとおりである。
以下に、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物の実施例を、その比較例とともに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例1〜5については、参考例とする。
13C−NMR法〕
測定試料約30mgを直径5mmのNMR用試料管に秤量し、重水素化溶媒として約0.5mlの重水素化クロロホルムを加え溶解させて、13C−NMR測定装置(BRUKER社製AVANCE400,100MHz)で測定した。
〔重量平均分子量〕
付加物を不揮発分濃度が約0.2質量%濃度となるようにテトラヒドロフランに溶かした後、以下の測定条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を測定した。次いで、ポリエチレングリコールのGPC測定結果から、検量線を作成し、重量平均分子量を算出した。
(測定条件)
機器名:HLC−8220(東ソー社製)
カラム:KF−G、KF−402HQ、KF−403HQ各1本ずつを直列に連結(いずれもShodex社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
注入量:10μl
溶離液の流量:0.3ml/分
温度:40℃
〔曇点〕
付加物の1重量%水溶液を調製し、加温して一旦液を濁らせ、徐々に冷却して濁りが無くなる温度を測定した。
〔低温流動点(低温流動性)〕
JIS K2269の方法に準拠した手法を用いて測定した。すなわち、試験管にとった45mlの付加物を45℃に加温し、次いで寒剤を用いた冷却浴で冷却した。2.5℃下がるごとに試験管を冷却浴から取り出し、付加物が5秒間全く動かなくなったときの温度を読み取り、その値に2.5℃を加えて低温流動点とした。低温流動点の値が小さいほど低温流動性に優れる。
〔低温安定性〕
スクリュー管にとった30mlの付加物を低温流動点よりも温度が15℃高い恒温槽中で24時間保管した後、エチレンオキサイド付加物の外観を確認した。保管後の外観に濁りが生じていなければ低温安定性に優れる(○)と評価する。保管後の外観に濁りが生じていれば低温安定性に劣る(×)と評価する。
〔実施例1〕
(工程1)
エチレンオキサイドの供給ラインを接続した1Lのオートクレーブに、ココナットアミン(分子量192)100gを仕込んだ後、オートクレーブ内を窒素置換してから、攪拌しつつ110℃に昇温した。
反応温度110±5℃、反応圧力3.5±0.5kg/cmを維持しつつエチレンオキサイドを供給開始した。エチレンオキサイドは、69g/hの供給速度を維持して供給し、約100分間で総量115gを供給した。
エチレンオキサイドの供給が完了した後、反応温度を維持しつつ、内圧が低下して一定になるまで熟成させた。次いで、120℃で一時間減圧処理を行った後冷却して、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物(以下では付加物A)を得た。
工程1では、脂肪族アミンであるココナットアミン1モルに対して付加反応したエチレンオキサイド5モルであった。付加物Aは、一般式(1)においてm=n=2.5であり、工程1におけるエチレンオキサイド付加モル数(m+n)は5であった。
付加物Aの13C−NMRスペクトル(図1)の共鳴ピークの強度を読み取り計算されるI/Iは1.1であった。
また、付加物Aの重量平均分子量は412、曇点は60.3℃であった。低温流動点は−20.0℃で低温流動性に優れた。−5℃の恒温槽で24時間保管した後の外観変化はなく低温安定性に優れた。
〔実施例2〜5〕
実施例2〜5では、実施例1において、表1に示すように原料等をそれぞれ変更する以外は、実施例1と同様に工程1を行って脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物をそれぞれ得て、物性等も実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示す。
Figure 0005950620
〔比較例1〕
(工程1)
エチレンオキサイドの供給ラインを接続した1Lのオートクレーブに、ココナットアミン(分子量192)100gと水酸化カリウム0.3gを仕込んだ後、オートクレーブ内を窒素置換してから、攪拌しつつ110℃に昇温した。
反応温度110±5℃、反応圧力3.5±0.5kg/cmを維持しつつエチレンオキサイドを供給開始した。エチレンオキサイドは、77g/hの供給速度を維持して供給し、約90分間で総量115gを供給した。
エチレンオキサイドの供給が完了した後、反応温度を維持しつつ、内圧が低下して一定になるまで熟成させた。次いで、120℃で一時間減圧処理を行った後冷却して、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物(以下では付加物A)を得た。
工程1では、脂肪族アミンであるココナットアミン1モルに対して付加反応したエチレンオキサイド5モルであった。付加物Aは、一般式(1)においてm=n=2.5であり、工程1におけるエチレンオキサイド付加モル数(m+n)は5であった。
付加物Aの13C−NMRスペクトル(図2)の共鳴ピークの強度を読み取り計算されるI/Iは0.44であった。
また、付加物Aの重量平均分子量は412、曇点は59.7℃であった。低温流動点は−17.5℃で実施例1よりも低温流動性に優れなかった。−2.5℃の恒温槽で24時間保管した後の外観は濁りが発生しており低温安定性に優れなかった。
〔比較例2〜5〕
比較例2〜5では、比較例1において、表2に示すように原料等をそれぞれ変更する以外は、比較例1と同様にエチレンオキサイド付加物をそれぞれ得て、物性等も比較例1と同様に評価した。その結果を表2に示す。比較例2〜5では各々対応する実施例2〜5よりも低温流動性に優れなかった。それぞれの比較例について、得られたエチレンオキサイド付加物の低温流動点よりも温度が15℃高い恒温槽で、24時間保管した後の外観は濁りが発生しており低温安定性に優れなかった。
Figure 0005950620
〔実施例6〕
(工程1)
エチレンオキサイドの供給ラインを接続した1Lのオートクレーブに、ココナットアミン(分子量192)100gを仕込んだ後、オートクレーブ内を窒素置換してから、攪拌しつつ110℃に昇温した。
反応温度110±5℃、反応圧力3.5±0.5kg/cmを維持しつつエチレンオキサイドを供給開始した。エチレンオキサイドは、34g/hの供給速度を維持して供給し、約85分間で総量48gを供給した。エチレンオキサイドの供給が完了した後、反応温度を維持しつつ、内圧が低下して一定になるまで熟成させて、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物(以下では付加物A)を146g得た。
工程1では、脂肪族アミンであるココナットアミン1モルに対して付加反応したエチレンオキサイド2.1モルであった。付加物Aは、一般式(1)においてm=n=1.05であり、工程1におけるエチレンオキサイド付加モル数(m+n)は2.1であった。
(工程2)
次いで、水酸化カリウム0.3gを空気が混入しないように付加物Aを含む上記反応混合物に添加し、反応温度110±5℃、反応圧力3.5±0.5kg/cmを維持しつつエチレンオキサイドを供給開始した。エチレンオキサイドは、159g/hの供給速度を維持して供給し、約70分間で総量185gを供給した。エチレンオキサイドの供給が完了した後、反応温度を維持しつつ、内圧が低下して一定になるまで熟成させた。
後処理として、得られた反応混合物に合成吸着剤(キョーワード700、協和化学工業(株))9gを加えて、90℃で窒素気流下1時間攪拌して処理した後、ろ過により触媒を除去して、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物(以下では付加物)を321g得た。
工程2では、付加物の1モルに対して付加反応したエチレンオキサイド8モルであり、工程2におけるエチレンオキサイド付加モル数は8であった。付加物は、工程1および工程2を経て得られているので、一般式(1)においてm=n=5.05あり、付加物のエチレンオキサイド付加モル数(m+n)は10.1であった。
付加物の13C−NMRスペクトルの共鳴ピークの強度を読み取り計算されるI/Iは1.1であった。
また、付加物の重量平均分子量は636、曇点は70.3℃であった。低温流動点は−20.0℃で低温流動性に優れた。−5℃の恒温槽で24時間保管した後の外観変化はなく低温安定性に優れた。
〔実施例7および8〕
実施例7および8では、実施例6において、表3に示すように原料等をそれぞれ変更する以外は、実施例6と同様に工程1および工程2を行って脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物をそれぞれ得て、物性等も実施例6と同様に評価した。その結果を表3に示す。
〔比較例6〕
(工程1)
エチレンオキサイドの供給ラインを接続した1Lのオートクレーブに、ココナットアミン(分子量192)100gを仕込んだ後、オートクレーブ内を窒素置換してから、攪拌しつつ110℃に昇温した。
反応温度110±5℃、反応圧力3.5±0.5kg/cmを維持しつつエチレンオキサイドを供給開始した。エチレンオキサイドは、28g/hの供給速度を維持して供給し、約50分間で総量23gを供給した。エチレンオキサイドの供給が完了した後、反応温度を維持しつつ、内圧が低下して一定になるまで熟成させて、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物(以下では付加物A)を122g得た。
工程1では、脂肪族アミンであるココナットアミン1モルに対して付加反応したエチレンオキサイド1.1モルであった。付加物Aは、一般式(1)においてm=n=0.55であり、工程1におけるエチレンオキサイド付加モル数(m+n)は1.1であった。
(工程2)
次いで、水酸化カリウム0.3gを空気が混入しないように付加物Aを含む上記反応混合物に添加し、反応温度110±5℃、反応圧力3.5±0.5kg/cmを維持しつつエチレンオキサイドを供給開始した。エチレンオキサイドは、139g/hの供給速度を維持して供給し、約90分間で総量209gを供給した。エチレンオキサイドの供給が完了した後、反応温度を維持しつつ、内圧が低下して一定になるまで熟成させた。後処理として、得られた反応混合物に合成吸着剤(キョーワード700、協和化学工業(株))9gを加えて、90℃で窒素気流下1時間攪拌して処理した後、ろ過により触媒を除去して、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物(以下では付加物)を328g得た。
工程2では、付加物の1モルに対して付加反応したエチレンオキサイド9モルであり、工程2におけるエチレンオキサイド付加モル数は9であった。付加物は、工程1および工程2を経て得られているので、一般式(1)においてm=n=5.05あり、付加物のエチレンオキサイド付加モル数(m+n)は10.1であった。
付加物の13C−NMRスペクトルの共鳴ピークの強度を読み取り計算されるI/Iは0.46であった。
また、付加物の重量平均分子量は637、曇点は70℃であった。低温流動点は−15.0℃で実施例6よりも低温流動性に優れなかった。0℃の恒温槽で24時間冷却した後の外観は濁りが発生しており低温安定性に優れなかった。
〔比較例7および8〕
比較例7および8では、比較例6において、表3に示すように原料等をそれぞれ変更する以外は、比較例6と同様に工程1および工程2を行ってエチレンオキサイド付加物をそれぞれ得て、物性等も比較例6と同様に評価した。その結果を表3に示す。比較例7および8では各々対応する実施例7および8よりも低温流動性に優れなかった。それぞれの比較例について、得られたエチレンオキサイド付加物の低温流動点よりも温度が15℃高い恒温槽で、24時間保管した後の外観は濁りが発生しており低温安定性に優れなかった。
Figure 0005950620

Claims (2)

  1. 下記一般式(2):
    Figure 0005950620
    (但し、Rは炭素数1〜30のアルキル基またはアルケニル基を示し、直鎖または分枝鎖のいずれの構造から構成されていてもよい。)
    で表される脂肪族第1級アミン1モルに対してエチレンオキサイドxモル(但し、xは2<x≦100を満足する。)を無触媒で付加反応させる工程1と、
    前記工程1で得られた脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物に対して0.01〜3重量%の触媒の存在下、前記工程1で得られた脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物1モルに対して、エチレンオキサイドyモル(但し、yは0<y≦100を満足する。)をさらに付加反応させる工程2とを含み
    前記工程2で用いる触媒が、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属のアルコキシド、アルカリ土類金属のアルコキシド及びアミン化合物から選ばれる少なくとも1種である、脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物の製造方法。
  2. 前記工程2で得られた脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物の 13 C−NMRスペクトルを測定し、得られるチャートに基づいて、下記に定義されるI およびI を読み取り計算されるI /I が、0.5<I /I <5の関係を満足する、請求項1に記載の脂肪族アミンエチレンオキサイド付加物の製造方法。
    :オキシエチレン基の炭素に帰属され、71.5〜74.0ppmの範囲に確認されるスペクトルのうち最大強度を示す共鳴ピークの強度
    :オキシエチレン基の炭素に帰属され、68.5〜71.0ppmの範囲に確認されるスペクトルのうち最大強度を示す共鳴ピークの強度
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