JP2005040893A - ブラスト加工方法およびブラスト加工装置 - Google Patents

ブラスト加工方法およびブラスト加工装置 Download PDF

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稔 太田
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Abstract

【課題】 製造効率が良好で、製造コストを低減でき、さらに精細な微小凹部のパターンを形成し得る、中空円筒部材の中空部内面に凹部を形成する、ブラスト加工方法およびブラスト加工装置を提供する。
【解決手段】 ブラスト加工装置10は、透孔41のパターンが形成され中空円筒部材Wの中空部21内に対する出し入れが自在とされた円筒シート状のマスキング部材40と、硬質粒子51を含んだガス52を投射するショットブラスト装置50と、中空部内に挿入されたマスキング部材を、中空部内面のうち少なくとも、ショットブラスト装置から投射されるガス52に正対する加工領域に密着させつつ保持する保持手段60と、を有する。そして、密着されたマスキング部材の透孔を通じて、硬質粒子を中空部内面に衝突させることにより、中空部内面に透孔のパターンに合致したパターンで凹部を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、軸受や自動車部品などの中空円筒部材の中空部内面に、例えばオイル溜まりとして機能する凹部を形成するためのブラスト加工方法およびブラスト加工装置に関するものである。
軸受や自動車部品の摺動部材にあっては表面にオイル溜まりとなる微小凹部が形成されることがある。このように工作物の表面に凹部を形成する加工方法として、マスクブラスト法が公知である(例えば、特許文献1参照)。この加工方法は、動圧流体軸受の表面に動圧発生溝を形成する方法であって、まず、円筒部材の外周表面に所期形状の透孔を有するマスキングシートを接着剤などを使用して貼り付けてマスキングする。次いで、炭化珪素やアルミナなどの硬質小径粒子をそのマスキング面に投射することで、所定形状の凹部を形成している。
しかしながら、特許文献1に記載された円筒部材の加工方法にあっては、透孔があらかじめ形成されたマスキングフィルムを円筒部材の外周表面に接着剤などを使用して貼り付ける工程、硬質粒子をそのマスキング面に投射する工程、マスキングフィルムおよび接着剤を取り除く工程、の順に行われるため、製造効率が悪い。
また、マスキングフィルム接着作業は熟練を要する作業であり、接着剤の厚みを均一にすることが難しく、粒子の噴射によって形成される凹部の深さが場所によって一定せず、安定した品質の部品を提供することが困難である。特に、中空円筒部材の中空部内面の一例であるシリンダ内面に凹部を形成しようとする場合には、被加工面の周辺が狭いためにマスキングフィルム貼り付け作業は困難を極める。
さらには、マスキングフィルム除去および洗浄工程にあっては、有機溶剤が使用されることがあり、有機溶剤を後処理する作業が必要となる。
特開平5−58765号公報
本発明は、これらの従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、製造効率が良好で、製造コストを低減でき、さらに精細な微小凹部のパターンを形成し得る、中空円筒部材の中空部内面に凹部を形成する、ブラスト加工方法およびブラスト加工装置を提供することを目的とする。
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
本発明は、投射手段から硬質粒子を含んだガスを投射して、被加工面に凹部を形成するブラスト加工方法において、
中空円筒部材の中空部内に、透孔のパターンが形成され前記中空部内に対する出し入れが自在とされ、被加工面である前記中空部の内面をマスクする、円筒シート状のマスキング部材を挿入し、
前記中空部内に挿入された前記マスキング部材を、前記中空部の内面のうち少なくとも、前記投射手段から投射される前記ガスに正対する領域に密着させつつ保持し、
密着された前記マスキング部材の前記透孔を通じて、前記硬質粒子を前記中空部の内面に衝突させることにより、前記中空部の内面に前記透孔のパターンに合致したパターンで凹部を形成するブラスト加工方法である。
また、本発明は、透孔のパターンが形成され中空円筒部材の中空部内に対する出し入れが自在とされ、被加工面である前記中空部の内面をマスクする、円筒シート状のマスキング部材と、
硬質粒子を含んだガスを投射する投射手段と、
前記中空部内に挿入された前記マスキング部材を、前記中空部の内面のうち少なくとも、前記投射手段から投射される前記ガスに正対する領域に密着させつつ保持する保持手段と、を有してなり、
密着された前記マスキング部材の前記透孔を通じて、前記硬質粒子を前記中空部の内面に衝突させることにより、前記中空部の内面に前記透孔のパターンに合致したパターンで凹部を形成するブラスト加工装置である。
本発明に係るブラスト加工方法およびブラスト加工装置によれば、シリンダ内面のような中空円筒部材の中空部内面に、透孔パターンに合致したパターンで凹部を分布させることができ、凹部をオイル溜まりとして機能させる場合にあっては、摩擦し合う摺動面同士の接触部に十分に潤滑油を行き届かせ、潤滑性能を向上させることができる。
また、投射ガスの圧力を利用して、あるいは機械的外力により、マスキング部材をシリンダ内面の一部に対して密着させる構成および方法であるので、中空部内面に対するマスキング部材の密着および密着解除を簡単かつ迅速に行うことができるため、中空部内面に凹部を形成する製造効率を高め、引いては、製造コストを低減することが可能となる。
さらに、熟練を要し煩雑なマスキング部材貼り付け工程が不要となることから、より均一な寸法の凹部を形成でき、安定した品質の製品を提供することが可能となる。
しかも、有機溶剤を使用することが一般的な、マスキング部材や接着剤の除去洗浄工程が不要となることから、有機溶剤を後処理する作業を大幅に軽減できる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る、中空円筒部材Wの中空部21の内面22としてのシリンダ部材の内周表面に凹部を形成するブラスト加工装置10を示す概略構成図、図2は、シリンダ部材Wとマスキング部材40との位置関係を表す、図1の2−2線に沿う断面図である。
ブラスト加工装置10は、概説すれば、中空円筒部材Wを回転駆動する駆動手段30と、透孔41のパターンが形成され中空円筒部材Wの中空部21内に対する出し入れが自在とされた円筒シート状のマスキング部材40と、硬質粒子51を含んだガス52を投射するショットブラスト装置50(投射手段に相当する)と、中空部21内に挿入されたマスキング部材40を、中空部21の内面22のうち少なくとも、ショットブラスト装置50から投射されるガス52に正対する領域に密着させつつ保持する保持手段60と、を有している。そして、マスキング部材40により中空部21の内面22をマスクし、密着されたマスキング部材40の透孔41を通じて、硬質粒子51を中空部21の内面22に衝突させることにより、当該中空部21の内面22に透孔41のパターンに合致したパターンで凹部を形成している。中空円筒部材Wとしては、例えば、シリンダ部材Wを挙げることができ、シリンダ部材Wの内周表面(以下、「シリンダ内面22」と言う)が、凹部を形成すべき被加工面となる。図示例では、ショットブラスト装置50から投射されるガス52の投射方向は図中左向きであり、中空部21の略左部分が、ショトブラスト処理により凹部を形成する加工部となる。シリンダ部材Wを回転することにより、シリンダ内面22が周方向に順次移動して加工部に達する。また、加工部は、ショットブラスト装置50をシリンダ部材Wの軸線方向に移動することにより、軸線方向に沿って移動する。中空部21の内面22のうち、ショットブラスト装置50から投射されるガス52に正対する領域は、ブラスト加工が実質的に施される部分である。このことから、前記領域を単に、「加工領域」とも言う。
以下、ブラスト加工装置10を詳述する。
前記駆動手段30は、モータ31により回転駆動される加工テーブル32と、加工テーブル32上に設けられシリンダ部材Wを着脱自在に把持するチャック33などから構成されている。加工テーブル32を回転駆動することにより、チャック33を介して加工テーブル32上に支持したシリンダ部材Wが回転駆動される。シリンダ部材Wは、図中矢印で示される回転方向に回転する。シリンダ部材Wの回転速度は、モータ31の回転速度を調整することにより、可変自在となっている。
前記マスキング部材40は、シート状のマスキング素材の両端を接合してなる円筒シート形状を有している。マスキング部材40には、所期形状の透孔41が所定のパターンであらかじめ形成されている。透孔41の所期形状は、例えば、直径50〜100μmの円形の貫通穴である。透孔41は、面積率が例えば5〜40%となるように形成されている。なお、透孔41が形成する所定のパターンを、以下、「透孔パターン」ともいう。マスキング部材40の材質は、鉄材、アルミニウム材、銅材などの金属に限定されず、ブラスト加工によって消失するものでなければ特に限定はないが、摩耗の少ない鉄材等が好ましい。また、マスキング部材40の耐久性や耐摩耗性を向上させるために、その内面に表面改質やコーティング等の表面処理を施してもよい。
図2にも示すように、マスキング部材40の外径寸法は、シリンダ部材Wの内径寸法よりも若干小さめに設定されている。これにより、マスキング部材40は、中空部21内に対する出し入れが自在となる。マスキング部材40とシリンダ内面22との間に形成される隙間、すなわち、マスキング部材40の外径寸法とシリンダ部材Wの内径寸法との差は、後述するブラストノズル53と干渉しない範囲内で自由に選択可能である。一例を挙げれば、前記隙間は、例えば、1〜2mmである。また、円筒シート状をなすマスキング部材40は、ある程度の可撓性を備え、軸直交断面の形状は、真円形状と楕円形状との間である程度の変形が自由となっている。これにより、マスキング部材40の外面を、比較的広い接触面積で、シリンダ内面22に好適に密着させることができる。
マスキング部材40は、透孔パターンが形成されたマスク部42と、透孔41が形成されずシリンダ内面22への硬質粒子51の衝突を防止する保護部43とが一体的に設けられている。保護部43をマスキング部材40とは別体で構成することもできるが、かかる構成の場合には、中空部21内に対するマスキング部材の出し入れ作業と、保護部の配置作業とを別個に行わなければならず、作業が煩雑なものとなる。これに対して、マスク部42と保護部43とを一体的に設けたマスキング部材40によれば、マスク部42の出し入れ作業と、保護部43の配置作業とを同時に行うことができ、作業を簡素化できるという利点がある。
図示例では、マスキング部材40の円筒部分をマスク部42とし、円筒部分の上端に連続し外方に拡がるように形成した上面フランジ44を保護部43としてある。上面フランジ44は、中空部21内に配置するショットブラスト装置50が通過する中空円筒部材Wの開口端の縁部、つまりシリンダ上面23と接するように、マスク部42に接続されている。この上面フランジ44により、ブラスト加工中にシリンダ上面23に硬質粒子51が衝突することが防止される。
マスキング部材40は、上面フランジ44などを把持する図示しない搬送装置により、ブラスト加工を実施する前に、シリンダ部材Wの中空部21内に挿入される。
前記ショットブラスト装置50は、シリンダ部材Wの上方に配置され、加工部から所定距離離間した位置に、ブラストノズル53の先端が配置されている。前記離間する距離は、シリンダ部材Wの内径寸法によって適宜設定されるが、例えば、30mmである。投射する硬質粒子51やその投射条件(噴射圧力や噴射流量)は適宜選択できるが、一例を挙げれば、粒度#800のアルミナ砥粒からなる硬質粒子51が、噴射圧力0.4MPa、噴射流量100g/minで投射される。ショットブラスト装置50から投射されるガス52としては、例えば乾燥エアが用いられる。
ショットブラスト装置50は、ブラストノズル53をシリンダ部材Wの軸線方向に沿って移動自在に構成されている。ブラストノズル53は、シリンダ部材Wの中空部21内に挿入した位置と、中空部21から退避した位置との間で移動する。また、ブラストノズル53は、加工部を軸線方向に沿って移動させるため、中空部21内に挿入された位置で、シリンダ部材Wの軸線方向に移動する。
前記保持手段60は、マスキング部材40をブラスト加工中に移動可能に保持する保持機構と、マスキング部材40をシリンダ内面22の加工領域に密着させる押圧機構と、を含んでいる。
保持機構は次のように構成されている。マスキング部材40は、その外径寸法がシリンダ部材Wの内径寸法よりも小さめに設定され、さらに、マスク部42に一体的に形成した保護部43としての上面フランジ44がシリンダ上面23に接している。このため、マスキング部材40を中空部21内に挿入すると、マスキング部材40は、上面フランジ44がシリンダ上面23に接して保持され、さらに、径寸法の相違からブラスト加工中に移動可能なものとなる。
押圧機構は次のように構成されている。ショットブラスト装置50から投射されるガス52の圧力は比較的高圧であり、さらに、前述したように、円筒シート状のマスキング部材40は、ある程度の可撓性を備えている。本実施形態ではこれらの点に着目し、ショットブラスト装置50から投射されるガス52の圧力を、マスキング部材40を押し付ける駆動力として利用している。したがって、マスキング部材40をシリンダ内面22の加工領域に密着させるために別個独立した設備を設けていない。
ブラストノズル53は回転しないが、シリンダ部材Wが回転することにより、ショットブラスト装置50から投射されるガス52の投射方向は、シリンダ内面22に対して相対的に変化することになる。シリンダ内面22の加工領域においては、マスキング部材40は投射されるガス52の圧力が作用して密着しており、シリンダ内面22との摩擦抵抗が高い。このため、シリンダ部材Wが回転すると、マスキング部材40もつれまわって回転し、加工領域には、マスキング部材40が回転して順次送り込まれる形態となる。加工領域に送り込まれるマスキング部材40は、ガス52の圧力が作用してシリンダ内面22に押圧される。
このように、本実施形態の保持手段60は、ショットブラスト装置50から投射されるガス52の圧力をマスキング部材40に作用させて、当該マスキング部材40をシリンダ内面22に密着させている。さらに、保持手段60は、マスキング部材40を、ショットブラスト装置50から投射されるガス52の投射方向の変化に合わせて常に、シリンダ内面22の加工領域に押し付けている。
次に、本発明の実施形態の作用を説明する。
まず、図示しない搬送装置は、上面フランジ44などを把持し、マスキング部材40のマスク部42をシリンダ部材Wの中空部21内に挿入する。マスク部42の外径寸法は、シリンダ部材Wの内径寸法よりも若干小さめに設定されているので、マスク部42を、中空部21内にスムーズに挿入することができる。上面フランジ44の把持を解除すると、上面フランジ44がシリンダ上面23に接し、このシリンダ上面23が覆われる。
次に、ショットブラスト装置50は、ブラストノズル53をシリンダ部材Wの軸線方向に沿って下降移動し、中空部21内に挿入する。ブラストノズル53は、マスキング部材40の内側で、所定の位置に配置される。その後、ショットブラスト装置50から硬質粒子51をガス52とともに吹き付ける。ガス52の噴射により、マスキング部材40は、シリンダ内面22の加工領域(図示例ではシリンダ部材Wの略左半分の範囲)に対して密着する。
図中左方向にガス52を常に吹き付けながら、シリンダ部材Wを所定の速度で回転させる。硬質粒子51は、加工領域でシリンダ内面22に密着しつつ追従移動するマスキング部材40の透孔41を通じて、シリンダ内面22に衝突する。シリンダ上面23は、上面フランジ44により、硬質粒子51の衝突が防止されている。
硬質粒子51の投射は、シリンダ部材Wが少なくとも1回転する間中、継続されている。ショットブラスト処理が終了した瞬間、例えば、シリンダ部材Wが1回転し終わった瞬間に、硬質粒子51およびガス52の投射が停止される。ガス52の投射が停止することにより、マスキング部材40は、シリンダ内面22に対する押圧が解除される。ショットブラスト装置50は、ブラストノズル53をシリンダ部材Wの軸線方向に沿って上昇移動し、中空部21から退避した位置まで移動させる。
図示しない搬送装置は、上面フランジ44などを把持し、マスキング部材40をシリンダ部材Wから取り出す。マスキング部材40はシリンダ内面22への密着状態が解除され、シリンダ上面23に単に載置されただけの状態となっているため、加工済みのシリンダ部材Wからマスキング部材40を簡単に取り出すことができる。
以上の操作により、シリンダ内面22には、透孔41の形状に対応した形状を有する微小な凹部が、透孔パターンに合致したパターンで形成される。
本実施形態のブラスト加工方法は、ショットブラスト装置50から硬質粒子51を含んだガス52を投射して、被加工面に凹部を形成するブラスト加工方法において、中空円筒部材Wの中空部21内に、透孔41のパターンが形成され中空部21内に対する出し入れが自在とされ被加工面である中空部21の内面22をマスクする円筒シート状のマスキング部材40を挿入し、中空部21内に挿入されたマスキング部材40を、中空部21の内面22のうち少なくとも、ショットブラスト装置50から投射されるガス52に正対する加工領域に密着させつつ保持し、密着されたマスキング部材40の透孔41を通じて、硬質粒子51を中空部21の内面22に衝突させることにより、中空部21の内面22に透孔41のパターンに合致したパターンで凹部を形成するブラスト加工方法であるので、中空部21の内面22に、透孔41のパターンに合致したパターンで凹部を分布させることができる。凹部をオイル溜まりとして機能させる場合にあっては、摩擦し合う摺動面同士の接触部に十分に潤滑油を行き届かせて、潤滑性能を向上させることができる。
また、マスキング部材40は、中空部21の内面22の加工領域に密着するように、ブラスト加工中に移動可能に保持されているので、中空部21の内面22を好適にマスクして、凹部を形成することができる。
また、マスキング部材40は、ショットブラスト装置50から投射されるガス52の圧力が作用されて中空部21の内面22に密着するので、ブラスト加工工程の前にマスキング部材を中空部内面に接着剤などを使用して貼り付ける工程や、ブラスト加工工程の後にマスキング部材や接着剤を中空円筒部材から取り除く工程が不要となる。中空部21の内面22に対するマスキング部材40の密着および密着解除を簡単かつ迅速に行うことができるため、中空部21の内面22に凹部を形成する製造効率を高め、引いては、製造コストを低減することが可能となる。
さらに、マスキング部材を接着剤を用いて被加工物に貼り付ける作業は本来熟練を要する作業であり、接着剤の厚みを均一にすることが難しい。しかしながら、本実施形態にあっては、熟練を要し煩雑なマスキングフィルム貼り付け工程が不要となることから、より均一な寸法の凹部を形成でき、安定した品質の製品を提供することが可能となる。
しかも、マスキング部材や接着剤を除去したり洗浄したりする工程では、一般的に有機溶剤が使用される。しかしながら、本実施形態にあっては、有機溶剤を使用しなければならない、マスキング部材や接着剤の除去洗浄工程が不要となることから、有機溶剤を後処理する作業を大幅に軽減できる。
また、マスキング部材40は、ショットブラスト装置50から投射されるガス52の投射方向の変化に合わせて常に、中空部21の内面22の加工領域に押し付けられているので、透孔41の形状に対応した形状を有する凹部を形成することができる。
また、中空円筒部材Wはシリンダ部材Wであるので、オイル溜まりとして機能させる凹部がシリンダ内面22に好適に形成され、摩擦し合う摺動面同士の接触部に十分に潤滑油を行き届かせて、潤滑性能を向上させることができる。
また、本実施形態のブラスト加工装置10は、上記のブラスト加工方法を具現化したものであり、透孔41のパターンが形成され中空円筒部材Wの中空部21内に対する出し入れが自在とされ被加工面である中空部21の内面22をマスクする円筒シート状のマスキング部材40と、硬質粒子51を含んだガス52を投射するショットブラスト装置50と、中空部21内に挿入されたマスキング部材40を、中空部21の内面22のうち少なくとも、ショットブラスト装置50から投射されるガス52に正対する加工領域に密着させつつ保持する保持手段60と、を有してなり、密着されたマスキング部材40の透孔41を通じて、硬質粒子51を中空部21の内面22に衝突させることにより、中空部21の内面22に透孔41のパターンに合致したパターンで凹部を形成するブラスト加工装置10であるので、前述したのと同様に、中空部21の内面22に、透孔41のパターンに合致したパターンで凹部を分布させることができる。凹部をオイル溜まりとして機能させる場合にあっては、摩擦し合う摺動面同士の接触部に十分に潤滑油を行き届かせて、潤滑性能を向上させることができる。
また、保持手段60は、ショットブラスト装置50から投射されるガス52の圧力をマスキング部材40に作用させて、当該マスキング部材40を中空部21の内面22に密着させるので、前述したのと同様に、製造コストを低減することが可能となり、安定した品質の製品を提供することが可能となり、有機溶剤を後処理する作業を大幅に軽減できる。
また、保持手段60は、マスキング部材40を、ショットブラスト装置50から投射されるガス52の投射方向の変化に合わせて常に、中空部21の内面22の領域に押し付けるので、透孔41の形状に対応した形状を有する凹部を形成することができる。
また、マスキング部材40は、透孔41のパターンが形成されたマスク部42と、透孔41が形成されず硬質粒子51の衝突を防止する保護部43とが一体的に設けられているので、マスク部42の出し入れ作業と、保護部43の配置作業とを同時に行うことができ、作業を簡素化できるという利点がある。
また、保護部43は、中空部21内に配置する投射手段が通過する中空円筒部材Wの開口端の縁部を覆うので、ブラスト加工中に中空円筒部材Wの開口端の縁部に硬質粒子51が衝突することが防止される。
また、中空円筒部材Wはシリンダ部材Wであるので、オイル溜まりとして機能させる凹部がシリンダ内面22に好適に形成され、摩擦し合う摺動面同士の接触部に十分に潤滑油を行き届かせて、潤滑性能を向上させることができる。
(変形例)
ショットブラスト装置50から投射されるガス52の圧力をマスキング部材40を押し付ける駆動力として利用する方法および保持手段60について説明したが、本発明はこの場合に限定されるものではない。例えば、機械的な外力によって、中空部21内に挿入されたマスキング部材40を、中空部21の内面22のうち少なくとも、投射手段から投射されるガス52に正対する加工領域に密着させつつ保持する方法および保持手段に改変することもできる。かかる保持手段としては、例えば、ばねなどの弾発部材からの弾発力が付勢された回転自在なローラ部材を、中空部21内に挿入されたマスキング部材40の内面に対して接近離反移動可能に設け、当該ローラ部材により、マスキング部材40を中空部内面22の加工領域に押し付ける構成を例示できる。
また、マスキング部材40全体に対するマスク部42および保護部43の配置位置や割合は、加工対象の中空円筒部材Wの種類に応じて適宜決定されるものであり、図示した形状に限定されるものではない。例えば、中空部内面22のうち軸線方向に沿うある高さ領域に硬質粒子51が衝突することを防止するような場合には、筒状マスク部と筒状保護部とを一体的に設けたマスキング部材40を用いることができる。
(対比例)
透孔パターンを有する感光樹脂製のマスキングフィルムに接着剤を塗り、これをシリンダ内面に貼り付けた。このとき、シリンダ内面へのマスキングフィルム貼り付け作業はスペースの制約から極めて困難であり、一部ではマスキングフィルムにしわが寄ってしまってシリンダ内面に密着させることができなかった。
この状態で、ショットブラスト装置から硬質粒子を投射し、マスキングフィルムの透孔を通じて、硬質粒子をシリンダ内面に衝突させて微小凹部を形成した。ブラスト条件は本発明の実施形態と同様にした。
この結果、シリンダ内面のうち、マスキングフィルムにしわが寄っていない範囲では、本実施形態と同様に、マスキングフィルムの透孔パターンに対応したパターンで凹部が形成されたが、マスキングフィルムにしわが寄ってしまった範囲では、凹部が形成できなかった領域が存在した。
以上説明したように、本発明は、摺動特性に優れるシリンダ内面のブラスト加工方法および加工装置において、マスクブラスト工法の開発を鋭意行ってきた結果、製造工程の簡略化に直結する大きな効果が得られる加工技術を見出したものであって、工業的に有益なものである。すなわち、本発明によれば、製造工程が簡便で製造コストが安く、有機溶剤を後処理する作業を大幅に軽減できる、シリンダ内面に凹部を形成するブラスト加工方法およびブラスト加工装置を提供できた。
ブラスト加工方法およびブラスト加工装置10は、軸受や自動車部品などの中空円筒部材Wの中空部内面22に、例えばオイル溜まりとして機能する凹部を形成する用途に適用できる。
本発明の実施形態に係る、中空円筒部材の中空部の内面としてのシリンダ部材の内周表面に凹部を形成するブラスト加工装置を示す概略構成図である。 シリンダ部材とマスキング部材との位置関係を表す、図1の2−2線に沿う断面図である。
符号の説明
10 ブラスト加工装置、
21 中空部、
22 中空部の内面(被加工面)、
23 シリンダ上面(中空円筒部材の開口端の縁部)、
30 駆動手段、
40 マスキング部材、
41 透孔、
42 マスク部、
43 保護部、
44 上面フランジ、
50 ショットブラスト装置(投射手段)、
51 硬質粒子、
52 ガス、
60 保持手段、
W 中空円筒部材(シリンダ部材)。

Claims (11)

  1. 投射手段から硬質粒子を含んだガスを投射して、被加工面に凹部を形成するブラスト加工方法において、
    中空円筒部材の中空部内に、透孔のパターンが形成され前記中空部内に対する出し入れが自在とされ、被加工面である前記中空部の内面をマスクする、円筒シート状のマスキング部材を挿入し、
    前記中空部内に挿入された前記マスキング部材を、前記中空部の内面のうち少なくとも、前記投射手段から投射される前記ガスに正対する領域に密着させつつ保持し、
    密着された前記マスキング部材の前記透孔を通じて、前記硬質粒子を前記中空部の内面に衝突させることにより、前記中空部の内面に前記透孔のパターンに合致したパターンで凹部を形成するブラスト加工方法。
  2. 前記マスキング部材は、前記中空部の内面の前記領域に密着するように、ブラスト加工中に移動可能に保持されていることを特徴とする請求項1に記載のブラスト加工方法。
  3. 前記マスキング部材は、前記投射手段から投射される前記ガスの圧力が作用されて前記中空部の内面に密着することを特徴とする請求項1に記載のブラスト加工方法。
  4. 前記マスキング部材は、前記投射手段から投射される前記ガスの投射方向の変化に合わせて常に、前記中空部の内面の前記領域に押し付けられていることを特徴とする請求項1に記載のブラスト加工方法。
  5. 前記中空円筒部材は、シリンダ部材であることを特徴とする請求項1に記載のブラスト加工方法。
  6. 透孔のパターンが形成され中空円筒部材の中空部内に対する出し入れが自在とされ、被加工面である前記中空部の内面をマスクする、円筒シート状のマスキング部材と、
    硬質粒子を含んだガスを投射する投射手段と、
    前記中空部内に挿入された前記マスキング部材を、前記中空部の内面のうち少なくとも、前記投射手段から投射される前記ガスに正対する領域に密着させつつ保持する保持手段と、を有してなり、
    密着された前記マスキング部材の前記透孔を通じて、前記硬質粒子を前記中空部の内面に衝突させることにより、前記中空部の内面に前記透孔のパターンに合致したパターンで凹部を形成するブラスト加工装置。
  7. 前記保持手段は、前記投射手段から投射される前記ガスの圧力を前記マスキング部材に作用させて、当該マスキング部材を前記中空部の内面に密着させることを特徴とする請求項6に記載のブラスト加工装置。
  8. 前記保持手段は、前記マスキング部材を、前記投射手段から投射される前記ガスの投射方向の変化に合わせて常に、前記中空部の内面の前記領域に押し付けることを特徴とする請求項6に記載のブラスト加工装置。
  9. 前記マスキング部材は、透孔のパターンが形成されたマスク部と、透孔が形成されず前記硬質粒子の衝突を防止する保護部とが一体的に設けられていることを特徴とする請求項6に記載のブラスト加工装置。
  10. 前記保護部は、前記中空部内に配置する前記投射手段が通過する前記中空円筒部材の開口端の縁部を覆うことを特徴とする請求項9に記載のブラスト加工装置。
  11. 前記中空円筒部材は、シリンダ部材であることを特徴とする請求項6に記載のブラスト加工装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015091614A (ja) * 2013-09-30 2015-05-14 日本ピストンリング株式会社 マスキング部材固定方法及びマスキング部材固定装置

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