JP2004216512A - 円筒部材の加工装置および加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造効率が良好で、加工品質のばらつきを抑制し得る円筒部材の加工装置を提供する。
【解決手段】円筒部材Wが回転するように駆動するための駆動手段と、研削粒子62を投射するための投射手段60,61と、投射手段60,61から投射される研削粒子62が通過する複数の開口部が形成されたパターン部を有するマスキング部材30と、パターン部を円筒部材Wの外周面に接触させ、円筒部材Wの回転に対応して、パターン部の接触面を移動させるための移動手段とを有する。パターン部の開口部を通過した研削粒子62は、円筒部材Wの外周面に、パターン部の開口部に対応する凹部を形成する。
【選択図】 図2
【解決手段】円筒部材Wが回転するように駆動するための駆動手段と、研削粒子62を投射するための投射手段60,61と、投射手段60,61から投射される研削粒子62が通過する複数の開口部が形成されたパターン部を有するマスキング部材30と、パターン部を円筒部材Wの外周面に接触させ、円筒部材Wの回転に対応して、パターン部の接触面を移動させるための移動手段とを有する。パターン部の開口部を通過した研削粒子62は、円筒部材Wの外周面に、パターン部の開口部に対応する凹部を形成する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、円筒部材の加工装置および加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
円筒部材の外周面に凹部を形成するための従来の加工方法においては、円筒部材の表面に、切り抜き部を形成せるカッティングシート(マスキング部材)を貼着した状態でショットブラスト処理を施して、切り抜き部に対応する凹部を形成し、その後、カッティングシートを剥離している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−58765号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記公報に記載された円筒部材の加工方法は、接着剤を使用してカッティングシートを円筒部材の外周面に貼着するための工程、研削粒子をカッティングシート(切り抜き部)に投射して凹部を形成するための工程、カッティングシートおよび接着剤を剥離するための工程を有する。
【0005】
したがって、作業工数が多く、製造効率に問題を有している。なお、カッティングシートおよび接着剤を剥離するために有機溶剤を使用する場合、有機溶剤を後処理するための工程がさらに必要となり、作業工数を増加させる。
【0006】
また、カッティングシートの貼着作業は、熟練を要する作業であり、接着剤の厚みを均一にすることが難しい。そのため、研削粒子の投射によって形成される凹部の深さが、場所によって一定せず、安定した品質の部品を提供することが困難である問題を有している。
【0007】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、製造効率が良好で、加工品質のばらつきを抑制し得る円筒部材の加工装置および加工方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、
円筒部材が回転するように駆動するための駆動手段と、
研削粒子を投射するための投射手段と、
前記投射手段から投射される研削粒子が通過する複数の開口部が形成されたパターン部を有するマスキング部材と、
前記パターン部を前記円筒部材の外周面に接触させ、前記円筒部材の回転に対応して、前記パターン部の接触面を移動させるための移動手段とを有し、
前記パターン部の開口部を通過した研削粒子によって、前記円筒部材の外周面に、前記パターン部の開口部に対応する凹部が形成される
ことを特徴とする円筒部材の加工装置である。
【0009】
上記目的を達成するための請求項10に記載の発明は、
投射された研削粒子が通過する複数の開口部が形成されたパターン部を有するマスキング部材の前記パターン部を、円筒部材の外周面に接触させ、
前記円筒部材を回転するように駆動し、
前記円筒部材の回転に対応して、前記パターン部の接触面を移動させ、
前記パターン部の開口部を通過した研削粒子によって、前記円筒部材の外周面に、前記パターン部の開口部に対応する凹部を形成する
ことを特徴とする円筒部材の加工方法である。
【0010】
【発明の効果】
上記のように構成した本発明は以下の効果を奏する。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、マスキング部材は、円筒部材の外周面に物理的に接触するのみであり、接着されない。したがって、マスキング部材の接触および解除は、簡単かつ迅速に実行することができるため、製造効率を向上させることが可能となる。なお、マスキング部材の接触解除のために有機溶剤を使用しないため、有機溶剤の後処理は不要であり、作業工数を増加させない。
【0012】
また、接着剤を使用しないため、熟練を要し煩雑であるマスキング部材の貼着作業が不要である。したがって、研削粒子の投射によって形成される凹部の品質を一定とすることが可能である。つまり、製造効率が良好で、加工品質のばらつきを抑制し得る円筒部材の加工装置を提供することができる。
【0013】
請求項10に記載の発明によれば、マスキング部材は、円筒部材の外周面に物理的に接触するのみであり、接着されない。したがって、マスキング部材の接触および解除は、簡単かつ迅速に実行されるため、製造効率が向上する。なお、マスキング部材の接触解除のためには、有機溶剤を使用しないため、有機溶剤を後処理するための工程は不要であり、作業工数を増加させない。
【0014】
また、接着剤を使用しないため、熟練を要し煩雑であるマスキング部材を貼着するための工程が不要である。したがって、研削粒子の投射によって形成される凹部の品質が一定となる。つまり、製造効率が良好で、加工品質のばらつきを抑制し得る円筒部材の加工方法を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態1に係る円筒部材の加工装置の側面図、図2は、図1の加工装置の正面図、図3は、図1の加工装置におけるマスキング部材の斜視図、図4は、円筒部材とマスキング部材との接触面を説明するための断面図である。
【0017】
加工装置10は、円筒部材Wが回転するように駆動するための駆動手段20と、研削粒子62を投射するためのショットブラスト装置(投射手段)60と、複数の開口部32が形成されたパターン部31を有するマスキング部材30と、円筒部材Wの外周面に対するパターン部31の接触面を移動させるための移動手段と、コントローラ70とを有する。円筒部材Wは、例えば、軸受や自動車部品などの摺動体である。
【0018】
移動手段は、マスキング部材30が回転するように駆動するための駆動手段50を有し、パターン部31を円筒部材Wの外周面に接触させ、円筒部材Wの回転に対応して、マスキング部材30を回転させることによって、パターン部31の接触面を移動させる。したがって、開口部32を通過した研削粒子62によって、円筒部材Wの外周面に、開口部32に対応する凹部22が形成される(図4参照)。
【0019】
詳述すると、駆動手段20は、円筒部材Wの回転軸を着脱自在に把持するチャック21と、チャック21に連結され、円筒部材Wを回転するように駆動するモータとを有している。円筒部材Wは、図1中矢印で示される方向に回転する。円筒部材Wの回転速度は、モータの回転速度を調整することにより、可変自在である。
【0020】
ショットブラスト装置60は、圧縮空気源と、圧縮空気と共に研削粒子62を投射するためのノズル61とを有する。ノズル61は、円筒部材Wの上方にあり、パターン部31の接触面から所定距離離間した位置に、配置される。研削粒子62は、炭化珪素やアルミナ等からなる硬質粒子である。研削粒子62の種類や投射条件(噴射圧力および噴射流量など)は、適宜選択できる。
【0021】
マスキング部材30は、外周面にパターン部31が配置された円筒状であり、回転自在に保持されている。マスキング部材30は、円筒部材Wの回転軸に平行な軸の周りを、図1中矢印で示されるように、駆動手段50によって回転するように駆動されることによって、パターン部31の接触面が移動する。なお、マスキング部材30は、円筒部材Wの回転に対応して、接触面が移動し得るパターン部31を有すれば、特に円筒状の形状に限定されない。
【0022】
パターン部31は、マスキング部材30の全周に渡って形成されており、その長さは、円筒部材Wの全周長に等しい。この場合、マスキング部材30と円筒部材Wの回転速度を同一にすることで、円筒部材Wの外周面の全体に凹部22を形成することができる。つまり、パターン部31の接触面の移動と円筒部材Wの回転の同期を取ることが容易である。
【0023】
なお、パターン部31の長さは、円筒部材Wの全周長に等しいことに限定されない。例えば、パターン部31の長さを円筒部材Wの全周長の2分の1にする場合、パターン部31の接触面の移動速度を、円筒部材Wの周速度の2分の1にすることで、円筒部材Wの外周面の全体に凹部22を形成することができる。
【0024】
パターン部31の開口部32は、所定のパターンを形成している。開口部32の形状は、例えば、直径50〜100μmの円形である。開口部32の面積率は、例えば、5〜40%である。マスキング部材30の材料は、特に限定されないが、繰り返し使用可能な樹脂や金属などの材料から形成することが好ましい。
【0025】
なお、マスキング部材30が円筒状であるため、ショットブラスト装置60のノズル61は、マスキング部材30の側方に配置され、研削粒子62は、パターン部31の接触面に対し、傾斜して投射される(図2参照)。
【0026】
移動手段が有する駆動手段50は、マスキング部材30に連結され、マスキング部材30を図1中矢印で示される方向に回転するように駆動するためのモータを有している。マスキング部材30の回転速度は、モータの回転速度を調整することにより、可変自在である。
【0027】
なお、移動手段は、円筒部材Wの回転に対応して、マスキング部材30のパターン部31の接触面を移動させることが可能であれば、駆動手段50を有することに限定されず、例えば、マスキング部材30のパターン部31の形状に応じて、適宜構成することが可能である。
【0028】
コントローラ70は、駆動手段20,50の作動を制御すると共に、円筒部材Wの回転送りとマスキング部材30の回転送り(パターン部31の接触面の移動)とを同期させるための同期手段として機能する。同期手段を有することは、円筒部材Wの外周面に対する開口部32の位置精度が向上し、断面鋭角的なエッジ部を備える凹部22を形成することができる点で好ましい。
【0029】
以上のように実施の形態1に係る円筒部材の加工装置においては、マスキング部材は、円筒部材の外周面に物理的に接触するのみであり、接着されない。したがって、マスキング部材の接触および解除は、簡単かつ迅速に実行することができるため、製造効率を向上させることが可能となる。なお、マスキング部材の接触解除のためには、有機溶剤を使用しないため、有機溶剤の後処理は不要であり、作業工数を増加させない。
【0030】
また、接着剤を使用しないため、熟練を要し煩雑であるマスキング部材の貼着作業が不要である。したがって、研削粒子の投射によって形成される凹部の品質を一定とすることが可能である。つまり、製造効率が良好で、加工品質のばらつきを抑制し得る円筒部材の加工装置を提供することができる。
【0031】
なお、円筒部材Wを、軸受や自動車部品などの摺動体に適用する場合、凹部がオイル溜まりとして機能する。したがって、摩擦し合う摺動面同士の接触部に、潤滑油が十分に行き届くため、摺動体の潤滑性能を向上させることができる。
【0032】
次に、実施の形態1に係る円筒部材Wの加工方法を説明する。
【0033】
まず、円筒部材Wの回転軸をチャック21によって把持する。その後、マスキング部材30を円筒部材Wに向かって移動させ、マスキング部材30のパターン部31を、円筒部材Wの外周面(円筒部材Wの頂上の部分)に、接触させ、駆動手段20,50によって、円筒部材Wおよびマスキング部材30を、図1中矢印で示される方向に回転するように駆動する。
【0034】
また、コントローラ70によって、円筒部材Wの回転送りとマスキング部材30の回転送り(パターン部31の接触面の移動)とを同期させる。この同期した状態の下で、研削粒子62を、マスキング部材30のパターン部31に向けて投射する。
【0035】
なお、ショットブラスト装置60のノズル61は、円筒部材Wの上方かつマスキング部材30の側方に位置し、例えば、パターン部31の接触面から約100mm離間した位置に、配置される。そして、研削粒子62は、パターン部31の接触面に対し、傾斜して投射される。例えば、研削粒子62は、粒度#800のアルミナ砥粒、噴射圧力は、0.4MPa、噴射流量は、100g/minである。
【0036】
その結果、パターン部31の開口部32を通過した研削粒子62によって、円筒部材Wの外周面に、開口部32に対応する凹部22が形成される。研削粒子62の投射(ショットブラスト処理)は、円筒部材Wが1回転する間、継続される。つまり、円筒部材Wが1回転した瞬間に、研削粒子62の投射が停止される。マスキング部材30のパターン部31の長さは、円筒部材Wの全周長に等しいため、円筒部材の外周面の全体に、凹部22が形成される。
【0037】
その後、コントローラ70によって、駆動手段20,50の作動を停止し、マスキング部材30を、円筒部材Wから離間する方向に移動(上昇)させる。マスキング部材30と円筒部材Wの外周面との接触状態が解除された後、円筒部材Wの回転軸を把持しているチャック21を開放することよって、加工済みの円筒部材Wが取り出される。
【0038】
以上のように実施の形態1に係る加工方法においては、マスキング部材は、円筒部材の外周面に物理的に接触するのみであり、接着されない。したがって、マスキング部材の接触および解除は、簡単かつ迅速に実行されるため、製造効率が向上する。なお、マスキング部材の接触解除のためには、有機溶剤を使用しないため、有機溶剤を後処理するための工程は不要であり、作業工数を増加させない。
【0039】
また、接着剤を使用しないため、熟練を要し煩雑であるマスキング部材を貼着するための工程が不要である。したがって、研削粒子の投射によって形成される凹部の品質が一定となる。つまり、製造効率が良好で、加工品質のばらつきを抑制し得る円筒部材の加工方法を提供することができる。
【0040】
特に、円筒部材の回転送りとパターン部の接触面の移動とを同期させているため、円筒部材の外周面に対する開口部の位置精度が向上し、断面鋭角的なエッジ部を備える凹部が形成される。
【0041】
図5は、本発明の実施の形態2に係る円筒部材の加工装置の側面図である。実施の形態2は、移動手段が駆動手段を有しない点で、実施の形態1と概して異なる。なお、実施の形態1と共通する部材には同一の符号を付しており、重複する説明は、省略する。
【0042】
加工装置11の移動手段は、マスキング部材30のパターン部の接触面が、円筒部材Wの回転によって従動するように、マスキング部材30を保持するための保持手段51を有する。つまり、マスキング部材30は、円筒部材Wとの接触による摩擦力によって連れ回りする。この場合、マスキング部材30を回転するように駆動するための駆動手段が不要となるため、移動手段の構成を簡略化することができる。
【0043】
また、コントローラ71は、円筒部材Wを回転させるための駆動手段20の作動を制御するが、円筒部材Wの回転送りとマスキング部材30の回転送り(パターン部の接触面の移動)とを同期させる機能は有しない。これは、上記のように、パターン部の接触面が、円筒部材Wの回転によって従動することによって、円筒部材Wの回転送りとパターン部の接触面の移動とが同期するためである。
【0044】
図6は、本発明の実施の形態3に係る円筒部材の加工装置の側面図、図7は、図6の加工装置の正面図である。実施の形態3は、マスキング部材の形状が概して異なる。なお、実施の形態1と共通する部材には同一の符号を付しており、重複する説明は、省略する。
【0045】
加工装置12のマスキング部材40は、少なくとも半周部分が欠落した円筒状である。マスキング部材40の外周面に配置されるパターン部31は、円弧状断面を有する曲面体状であり、円筒部材Wの回転軸に平行な軸の周りを回転することによって、パターン部31の接触面が移動する。
【0046】
そのため、ショットブラスト装置60のノズル61を、マスキング部材40の側方位置ではなく、マスキング部材40の欠落した部位によって形成される空間を利用して、パターン部31の接触面に対して垂直な位置に配置することが可能である。
【0047】
したがって、研削粒子62は、傾斜して投射されないため、加工部位によって凹部22の深さが異なることはなく、ばらつきをさらに抑制することができる。また、ノズル61の配置に関する取り回しの自由度が増え、装置設計に対する自由度が増すことになる。
【0048】
図8は、本発明の実施の形態4に係る円筒部材の加工装置の側面図である。実施の形態4は、マスキング部材の形状が概して異なる。なお、実施の形態1と共通する部材には同一の符号を付しており、重複する説明は、省略する。
【0049】
加工装置13のマスキング部材41は、外周面にパターン部が配置された円錐台状であり、円筒部材Wの回転軸に対して傾斜した軸の周りを回転することによって、パターン部の接触面が移動する。したがって、マスキング部材41は、その中心線を含む断面の形状が台形となる。
【0050】
そのため、ショットブラスト装置60のノズル61を、マスキング部材41の側方位置ではなく、マスキング部材41が傾斜することで形成される空間を利用して、パターン部の接触面に対して垂直な位置に配置することが可能である。
【0051】
研削粒子62は、実施の形態3と同様に、パターン部の接触面に対して垂直に投射されるため、加工部位によって凹部22の深さが異なることはなく、ばらつきを抑制することができる。また、ノズル61の配置に関する取り回しの自由度が増え、装置設計に対する自由度が増すことになる。
【0052】
図9は、本発明の実施の形態5に係る円筒部材の加工装置におけるマスキング部材の斜視図である。実施の形態5は、マスキング部材の形状が概して異なる。なお、実施の形態1と共通する部材には同一の符号を付しており、重複する説明は、省略する。
【0053】
マスキング部材42は、外周の一部にパターン部31が形成されており、パターン部31の長さは、円筒部材Wの全周長に等しい。パターン部31の接触面の移動方向に関するパターン部31の両側に、開口部が形成されていない隣接部を有する。
【0054】
また、マスキング部材42は、研削粒子が投射される側の面に配置される弾性材料からなる被覆層33を有する。被覆層33は、パターン部31が形成されていない部位つまり隣接部に、配置される。弾性材料は、例えば、ゴムシートである。
【0055】
この場合、ショットブラスト処理の加工開始位置より手前側および加工終了位置より先側の領域は、隣接部であり、開口部32が形成されていない。したがって、円筒部材Wの外周面における加工開始位置と加工終了位置との継ぎ目に位置する部位の加工が容易であり、非加工部あるいは二重加工部が形成されることが確実に抑制される。
【0056】
つまり、一定の品質の凹部を確実に得ることができる。なお、マスキング部材42の構成は、実施の形態1〜4に係るマスキング部材に組み合わせることも可能である。また、必要に応じ、被覆層33を省略することも可能である。
【0057】
図10は、本発明の実施の形態6に係る円筒部材の加工装置におけるマスキング部材の斜視図である。実施の形態6は、マスキング部材の形状が概して異なる。なお、実施の形態1と共通する部材には同一の符号を付しており、重複する説明は、省略する。
【0058】
マスキング部材43のパターン部31は、開口部32のパターンが異なる第1領域31Aおよび第2領域31Bを有する。第1領域31Aおよび第2領域31Bは、パターン部31の接触面の移動する方向に沿って配置される。
【0059】
ショットブラスト処理においては、マスキング部材43は、円筒部材Wの回転速度と同期させ、第1速度で回転する。第1速度は、第1領域31Aの長さと円筒部材Wの全周長に基づいており、第1領域31Aの範囲で、円筒部材Wの全周に渡って接触できるように設定される。したがって、円筒部材Wの外周面に、第1領域31Aの開口部32のパターンに対応した凹部が形成される。
【0060】
マスキング部材43の回転が継続され、パターン部31の接触面が第1領域31Aを越えると、マスキング部材43の回転速度が、第2速度に変更される。第2速度は、第2領域31Bの長さと円筒部材Wの全周長に基づいており、第2領域31Bの範囲で、円筒部材Wの全周に渡って接触できるように設定される。したがって、第1領域31Aの開口部32のパターンに対応した凹部が形成された円筒部材Wの外周面に、第2領域31Bの開口部32のパターンに対応した凹部が、さらに形成される
この結果、第1領域31Aおよび第2領域31Bにおける開口部32のパターンが、凹部の深さを変更するように設定されている場合、円筒部材Wの外周面の部位によって深さの異なる凹部の分布パターンが形成される。なお、開口部32のパターンが異なる領域の数は、特に限定されず、円筒部材Wの必要に応じ、適宜設定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る円筒部材の加工装置の側面図である。
【図2】図1の加工装置の正面図である。
【図3】図1の加工装置におけるマスキング部材の斜視図である。
【図4】円筒部材とマスキング部材との接触面を説明するための断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る円筒部材の加工装置の側面図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る円筒部材の加工装置の側面図である。
【図7】図6の加工装置の正面図である。
【図8】本発明の実施の形態4に係る円筒部材の加工装置の正面図である。
【図9】本発明の実施の形態5に係る円筒部材の加工装置におけるマスキング部材の斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態6に係る円筒部材の加工装置におけるマスキング部材の斜視図である。
【符号の説明】
10,11,12,13…円筒部材の加工装置、
20…駆動手段、
21…チャック、
22…凹部、
30,40,41,42,43…マスキング部材、
31…パターン部、
31A…第1領域、
31B…第1領域、
32…開口部、
33…被覆層、
50…駆動手段、
51…保持手段、
60…ショットブラスト装置、
61…ノズル、
62…研削粒子、
70,71…コントローラ、
W…円筒部材。
【発明の属する技術分野】
本発明は、円筒部材の加工装置および加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
円筒部材の外周面に凹部を形成するための従来の加工方法においては、円筒部材の表面に、切り抜き部を形成せるカッティングシート(マスキング部材)を貼着した状態でショットブラスト処理を施して、切り抜き部に対応する凹部を形成し、その後、カッティングシートを剥離している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−58765号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記公報に記載された円筒部材の加工方法は、接着剤を使用してカッティングシートを円筒部材の外周面に貼着するための工程、研削粒子をカッティングシート(切り抜き部)に投射して凹部を形成するための工程、カッティングシートおよび接着剤を剥離するための工程を有する。
【0005】
したがって、作業工数が多く、製造効率に問題を有している。なお、カッティングシートおよび接着剤を剥離するために有機溶剤を使用する場合、有機溶剤を後処理するための工程がさらに必要となり、作業工数を増加させる。
【0006】
また、カッティングシートの貼着作業は、熟練を要する作業であり、接着剤の厚みを均一にすることが難しい。そのため、研削粒子の投射によって形成される凹部の深さが、場所によって一定せず、安定した品質の部品を提供することが困難である問題を有している。
【0007】
本発明は、上記従来技術に伴う課題を解決するためになされたものであり、製造効率が良好で、加工品質のばらつきを抑制し得る円筒部材の加工装置および加工方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、
円筒部材が回転するように駆動するための駆動手段と、
研削粒子を投射するための投射手段と、
前記投射手段から投射される研削粒子が通過する複数の開口部が形成されたパターン部を有するマスキング部材と、
前記パターン部を前記円筒部材の外周面に接触させ、前記円筒部材の回転に対応して、前記パターン部の接触面を移動させるための移動手段とを有し、
前記パターン部の開口部を通過した研削粒子によって、前記円筒部材の外周面に、前記パターン部の開口部に対応する凹部が形成される
ことを特徴とする円筒部材の加工装置である。
【0009】
上記目的を達成するための請求項10に記載の発明は、
投射された研削粒子が通過する複数の開口部が形成されたパターン部を有するマスキング部材の前記パターン部を、円筒部材の外周面に接触させ、
前記円筒部材を回転するように駆動し、
前記円筒部材の回転に対応して、前記パターン部の接触面を移動させ、
前記パターン部の開口部を通過した研削粒子によって、前記円筒部材の外周面に、前記パターン部の開口部に対応する凹部を形成する
ことを特徴とする円筒部材の加工方法である。
【0010】
【発明の効果】
上記のように構成した本発明は以下の効果を奏する。
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、マスキング部材は、円筒部材の外周面に物理的に接触するのみであり、接着されない。したがって、マスキング部材の接触および解除は、簡単かつ迅速に実行することができるため、製造効率を向上させることが可能となる。なお、マスキング部材の接触解除のために有機溶剤を使用しないため、有機溶剤の後処理は不要であり、作業工数を増加させない。
【0012】
また、接着剤を使用しないため、熟練を要し煩雑であるマスキング部材の貼着作業が不要である。したがって、研削粒子の投射によって形成される凹部の品質を一定とすることが可能である。つまり、製造効率が良好で、加工品質のばらつきを抑制し得る円筒部材の加工装置を提供することができる。
【0013】
請求項10に記載の発明によれば、マスキング部材は、円筒部材の外周面に物理的に接触するのみであり、接着されない。したがって、マスキング部材の接触および解除は、簡単かつ迅速に実行されるため、製造効率が向上する。なお、マスキング部材の接触解除のためには、有機溶剤を使用しないため、有機溶剤を後処理するための工程は不要であり、作業工数を増加させない。
【0014】
また、接着剤を使用しないため、熟練を要し煩雑であるマスキング部材を貼着するための工程が不要である。したがって、研削粒子の投射によって形成される凹部の品質が一定となる。つまり、製造効率が良好で、加工品質のばらつきを抑制し得る円筒部材の加工方法を提供することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態1に係る円筒部材の加工装置の側面図、図2は、図1の加工装置の正面図、図3は、図1の加工装置におけるマスキング部材の斜視図、図4は、円筒部材とマスキング部材との接触面を説明するための断面図である。
【0017】
加工装置10は、円筒部材Wが回転するように駆動するための駆動手段20と、研削粒子62を投射するためのショットブラスト装置(投射手段)60と、複数の開口部32が形成されたパターン部31を有するマスキング部材30と、円筒部材Wの外周面に対するパターン部31の接触面を移動させるための移動手段と、コントローラ70とを有する。円筒部材Wは、例えば、軸受や自動車部品などの摺動体である。
【0018】
移動手段は、マスキング部材30が回転するように駆動するための駆動手段50を有し、パターン部31を円筒部材Wの外周面に接触させ、円筒部材Wの回転に対応して、マスキング部材30を回転させることによって、パターン部31の接触面を移動させる。したがって、開口部32を通過した研削粒子62によって、円筒部材Wの外周面に、開口部32に対応する凹部22が形成される(図4参照)。
【0019】
詳述すると、駆動手段20は、円筒部材Wの回転軸を着脱自在に把持するチャック21と、チャック21に連結され、円筒部材Wを回転するように駆動するモータとを有している。円筒部材Wは、図1中矢印で示される方向に回転する。円筒部材Wの回転速度は、モータの回転速度を調整することにより、可変自在である。
【0020】
ショットブラスト装置60は、圧縮空気源と、圧縮空気と共に研削粒子62を投射するためのノズル61とを有する。ノズル61は、円筒部材Wの上方にあり、パターン部31の接触面から所定距離離間した位置に、配置される。研削粒子62は、炭化珪素やアルミナ等からなる硬質粒子である。研削粒子62の種類や投射条件(噴射圧力および噴射流量など)は、適宜選択できる。
【0021】
マスキング部材30は、外周面にパターン部31が配置された円筒状であり、回転自在に保持されている。マスキング部材30は、円筒部材Wの回転軸に平行な軸の周りを、図1中矢印で示されるように、駆動手段50によって回転するように駆動されることによって、パターン部31の接触面が移動する。なお、マスキング部材30は、円筒部材Wの回転に対応して、接触面が移動し得るパターン部31を有すれば、特に円筒状の形状に限定されない。
【0022】
パターン部31は、マスキング部材30の全周に渡って形成されており、その長さは、円筒部材Wの全周長に等しい。この場合、マスキング部材30と円筒部材Wの回転速度を同一にすることで、円筒部材Wの外周面の全体に凹部22を形成することができる。つまり、パターン部31の接触面の移動と円筒部材Wの回転の同期を取ることが容易である。
【0023】
なお、パターン部31の長さは、円筒部材Wの全周長に等しいことに限定されない。例えば、パターン部31の長さを円筒部材Wの全周長の2分の1にする場合、パターン部31の接触面の移動速度を、円筒部材Wの周速度の2分の1にすることで、円筒部材Wの外周面の全体に凹部22を形成することができる。
【0024】
パターン部31の開口部32は、所定のパターンを形成している。開口部32の形状は、例えば、直径50〜100μmの円形である。開口部32の面積率は、例えば、5〜40%である。マスキング部材30の材料は、特に限定されないが、繰り返し使用可能な樹脂や金属などの材料から形成することが好ましい。
【0025】
なお、マスキング部材30が円筒状であるため、ショットブラスト装置60のノズル61は、マスキング部材30の側方に配置され、研削粒子62は、パターン部31の接触面に対し、傾斜して投射される(図2参照)。
【0026】
移動手段が有する駆動手段50は、マスキング部材30に連結され、マスキング部材30を図1中矢印で示される方向に回転するように駆動するためのモータを有している。マスキング部材30の回転速度は、モータの回転速度を調整することにより、可変自在である。
【0027】
なお、移動手段は、円筒部材Wの回転に対応して、マスキング部材30のパターン部31の接触面を移動させることが可能であれば、駆動手段50を有することに限定されず、例えば、マスキング部材30のパターン部31の形状に応じて、適宜構成することが可能である。
【0028】
コントローラ70は、駆動手段20,50の作動を制御すると共に、円筒部材Wの回転送りとマスキング部材30の回転送り(パターン部31の接触面の移動)とを同期させるための同期手段として機能する。同期手段を有することは、円筒部材Wの外周面に対する開口部32の位置精度が向上し、断面鋭角的なエッジ部を備える凹部22を形成することができる点で好ましい。
【0029】
以上のように実施の形態1に係る円筒部材の加工装置においては、マスキング部材は、円筒部材の外周面に物理的に接触するのみであり、接着されない。したがって、マスキング部材の接触および解除は、簡単かつ迅速に実行することができるため、製造効率を向上させることが可能となる。なお、マスキング部材の接触解除のためには、有機溶剤を使用しないため、有機溶剤の後処理は不要であり、作業工数を増加させない。
【0030】
また、接着剤を使用しないため、熟練を要し煩雑であるマスキング部材の貼着作業が不要である。したがって、研削粒子の投射によって形成される凹部の品質を一定とすることが可能である。つまり、製造効率が良好で、加工品質のばらつきを抑制し得る円筒部材の加工装置を提供することができる。
【0031】
なお、円筒部材Wを、軸受や自動車部品などの摺動体に適用する場合、凹部がオイル溜まりとして機能する。したがって、摩擦し合う摺動面同士の接触部に、潤滑油が十分に行き届くため、摺動体の潤滑性能を向上させることができる。
【0032】
次に、実施の形態1に係る円筒部材Wの加工方法を説明する。
【0033】
まず、円筒部材Wの回転軸をチャック21によって把持する。その後、マスキング部材30を円筒部材Wに向かって移動させ、マスキング部材30のパターン部31を、円筒部材Wの外周面(円筒部材Wの頂上の部分)に、接触させ、駆動手段20,50によって、円筒部材Wおよびマスキング部材30を、図1中矢印で示される方向に回転するように駆動する。
【0034】
また、コントローラ70によって、円筒部材Wの回転送りとマスキング部材30の回転送り(パターン部31の接触面の移動)とを同期させる。この同期した状態の下で、研削粒子62を、マスキング部材30のパターン部31に向けて投射する。
【0035】
なお、ショットブラスト装置60のノズル61は、円筒部材Wの上方かつマスキング部材30の側方に位置し、例えば、パターン部31の接触面から約100mm離間した位置に、配置される。そして、研削粒子62は、パターン部31の接触面に対し、傾斜して投射される。例えば、研削粒子62は、粒度#800のアルミナ砥粒、噴射圧力は、0.4MPa、噴射流量は、100g/minである。
【0036】
その結果、パターン部31の開口部32を通過した研削粒子62によって、円筒部材Wの外周面に、開口部32に対応する凹部22が形成される。研削粒子62の投射(ショットブラスト処理)は、円筒部材Wが1回転する間、継続される。つまり、円筒部材Wが1回転した瞬間に、研削粒子62の投射が停止される。マスキング部材30のパターン部31の長さは、円筒部材Wの全周長に等しいため、円筒部材の外周面の全体に、凹部22が形成される。
【0037】
その後、コントローラ70によって、駆動手段20,50の作動を停止し、マスキング部材30を、円筒部材Wから離間する方向に移動(上昇)させる。マスキング部材30と円筒部材Wの外周面との接触状態が解除された後、円筒部材Wの回転軸を把持しているチャック21を開放することよって、加工済みの円筒部材Wが取り出される。
【0038】
以上のように実施の形態1に係る加工方法においては、マスキング部材は、円筒部材の外周面に物理的に接触するのみであり、接着されない。したがって、マスキング部材の接触および解除は、簡単かつ迅速に実行されるため、製造効率が向上する。なお、マスキング部材の接触解除のためには、有機溶剤を使用しないため、有機溶剤を後処理するための工程は不要であり、作業工数を増加させない。
【0039】
また、接着剤を使用しないため、熟練を要し煩雑であるマスキング部材を貼着するための工程が不要である。したがって、研削粒子の投射によって形成される凹部の品質が一定となる。つまり、製造効率が良好で、加工品質のばらつきを抑制し得る円筒部材の加工方法を提供することができる。
【0040】
特に、円筒部材の回転送りとパターン部の接触面の移動とを同期させているため、円筒部材の外周面に対する開口部の位置精度が向上し、断面鋭角的なエッジ部を備える凹部が形成される。
【0041】
図5は、本発明の実施の形態2に係る円筒部材の加工装置の側面図である。実施の形態2は、移動手段が駆動手段を有しない点で、実施の形態1と概して異なる。なお、実施の形態1と共通する部材には同一の符号を付しており、重複する説明は、省略する。
【0042】
加工装置11の移動手段は、マスキング部材30のパターン部の接触面が、円筒部材Wの回転によって従動するように、マスキング部材30を保持するための保持手段51を有する。つまり、マスキング部材30は、円筒部材Wとの接触による摩擦力によって連れ回りする。この場合、マスキング部材30を回転するように駆動するための駆動手段が不要となるため、移動手段の構成を簡略化することができる。
【0043】
また、コントローラ71は、円筒部材Wを回転させるための駆動手段20の作動を制御するが、円筒部材Wの回転送りとマスキング部材30の回転送り(パターン部の接触面の移動)とを同期させる機能は有しない。これは、上記のように、パターン部の接触面が、円筒部材Wの回転によって従動することによって、円筒部材Wの回転送りとパターン部の接触面の移動とが同期するためである。
【0044】
図6は、本発明の実施の形態3に係る円筒部材の加工装置の側面図、図7は、図6の加工装置の正面図である。実施の形態3は、マスキング部材の形状が概して異なる。なお、実施の形態1と共通する部材には同一の符号を付しており、重複する説明は、省略する。
【0045】
加工装置12のマスキング部材40は、少なくとも半周部分が欠落した円筒状である。マスキング部材40の外周面に配置されるパターン部31は、円弧状断面を有する曲面体状であり、円筒部材Wの回転軸に平行な軸の周りを回転することによって、パターン部31の接触面が移動する。
【0046】
そのため、ショットブラスト装置60のノズル61を、マスキング部材40の側方位置ではなく、マスキング部材40の欠落した部位によって形成される空間を利用して、パターン部31の接触面に対して垂直な位置に配置することが可能である。
【0047】
したがって、研削粒子62は、傾斜して投射されないため、加工部位によって凹部22の深さが異なることはなく、ばらつきをさらに抑制することができる。また、ノズル61の配置に関する取り回しの自由度が増え、装置設計に対する自由度が増すことになる。
【0048】
図8は、本発明の実施の形態4に係る円筒部材の加工装置の側面図である。実施の形態4は、マスキング部材の形状が概して異なる。なお、実施の形態1と共通する部材には同一の符号を付しており、重複する説明は、省略する。
【0049】
加工装置13のマスキング部材41は、外周面にパターン部が配置された円錐台状であり、円筒部材Wの回転軸に対して傾斜した軸の周りを回転することによって、パターン部の接触面が移動する。したがって、マスキング部材41は、その中心線を含む断面の形状が台形となる。
【0050】
そのため、ショットブラスト装置60のノズル61を、マスキング部材41の側方位置ではなく、マスキング部材41が傾斜することで形成される空間を利用して、パターン部の接触面に対して垂直な位置に配置することが可能である。
【0051】
研削粒子62は、実施の形態3と同様に、パターン部の接触面に対して垂直に投射されるため、加工部位によって凹部22の深さが異なることはなく、ばらつきを抑制することができる。また、ノズル61の配置に関する取り回しの自由度が増え、装置設計に対する自由度が増すことになる。
【0052】
図9は、本発明の実施の形態5に係る円筒部材の加工装置におけるマスキング部材の斜視図である。実施の形態5は、マスキング部材の形状が概して異なる。なお、実施の形態1と共通する部材には同一の符号を付しており、重複する説明は、省略する。
【0053】
マスキング部材42は、外周の一部にパターン部31が形成されており、パターン部31の長さは、円筒部材Wの全周長に等しい。パターン部31の接触面の移動方向に関するパターン部31の両側に、開口部が形成されていない隣接部を有する。
【0054】
また、マスキング部材42は、研削粒子が投射される側の面に配置される弾性材料からなる被覆層33を有する。被覆層33は、パターン部31が形成されていない部位つまり隣接部に、配置される。弾性材料は、例えば、ゴムシートである。
【0055】
この場合、ショットブラスト処理の加工開始位置より手前側および加工終了位置より先側の領域は、隣接部であり、開口部32が形成されていない。したがって、円筒部材Wの外周面における加工開始位置と加工終了位置との継ぎ目に位置する部位の加工が容易であり、非加工部あるいは二重加工部が形成されることが確実に抑制される。
【0056】
つまり、一定の品質の凹部を確実に得ることができる。なお、マスキング部材42の構成は、実施の形態1〜4に係るマスキング部材に組み合わせることも可能である。また、必要に応じ、被覆層33を省略することも可能である。
【0057】
図10は、本発明の実施の形態6に係る円筒部材の加工装置におけるマスキング部材の斜視図である。実施の形態6は、マスキング部材の形状が概して異なる。なお、実施の形態1と共通する部材には同一の符号を付しており、重複する説明は、省略する。
【0058】
マスキング部材43のパターン部31は、開口部32のパターンが異なる第1領域31Aおよび第2領域31Bを有する。第1領域31Aおよび第2領域31Bは、パターン部31の接触面の移動する方向に沿って配置される。
【0059】
ショットブラスト処理においては、マスキング部材43は、円筒部材Wの回転速度と同期させ、第1速度で回転する。第1速度は、第1領域31Aの長さと円筒部材Wの全周長に基づいており、第1領域31Aの範囲で、円筒部材Wの全周に渡って接触できるように設定される。したがって、円筒部材Wの外周面に、第1領域31Aの開口部32のパターンに対応した凹部が形成される。
【0060】
マスキング部材43の回転が継続され、パターン部31の接触面が第1領域31Aを越えると、マスキング部材43の回転速度が、第2速度に変更される。第2速度は、第2領域31Bの長さと円筒部材Wの全周長に基づいており、第2領域31Bの範囲で、円筒部材Wの全周に渡って接触できるように設定される。したがって、第1領域31Aの開口部32のパターンに対応した凹部が形成された円筒部材Wの外周面に、第2領域31Bの開口部32のパターンに対応した凹部が、さらに形成される
この結果、第1領域31Aおよび第2領域31Bにおける開口部32のパターンが、凹部の深さを変更するように設定されている場合、円筒部材Wの外周面の部位によって深さの異なる凹部の分布パターンが形成される。なお、開口部32のパターンが異なる領域の数は、特に限定されず、円筒部材Wの必要に応じ、適宜設定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る円筒部材の加工装置の側面図である。
【図2】図1の加工装置の正面図である。
【図3】図1の加工装置におけるマスキング部材の斜視図である。
【図4】円筒部材とマスキング部材との接触面を説明するための断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る円筒部材の加工装置の側面図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る円筒部材の加工装置の側面図である。
【図7】図6の加工装置の正面図である。
【図8】本発明の実施の形態4に係る円筒部材の加工装置の正面図である。
【図9】本発明の実施の形態5に係る円筒部材の加工装置におけるマスキング部材の斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態6に係る円筒部材の加工装置におけるマスキング部材の斜視図である。
【符号の説明】
10,11,12,13…円筒部材の加工装置、
20…駆動手段、
21…チャック、
22…凹部、
30,40,41,42,43…マスキング部材、
31…パターン部、
31A…第1領域、
31B…第1領域、
32…開口部、
33…被覆層、
50…駆動手段、
51…保持手段、
60…ショットブラスト装置、
61…ノズル、
62…研削粒子、
70,71…コントローラ、
W…円筒部材。
Claims (12)
- 円筒部材が回転するように駆動するための駆動手段と、
研削粒子を投射するための投射手段と、
前記投射手段から投射される研削粒子が通過する複数の開口部が形成されたパターン部を有するマスキング部材と、
前記パターン部を前記円筒部材の外周面に接触させ、前記円筒部材の回転に対応して、前記パターン部の接触面を移動させるための移動手段とを有し、
前記パターン部の開口部を通過した研削粒子によって、前記円筒部材の外周面に、前記パターン部の開口部に対応する凹部が形成される
ことを特徴とする円筒部材の加工装置。 - 前記移動手段は、前記パターン部の接触面が、前記円筒部材の回転によって従動するように、前記マスキング部材を保持するための保持手段を有することを特徴とする請求項1に記載の円筒部材の加工装置。
- 前記円筒部材の回転送りと前記パターン部の接触面の移動とを同期させるための同期手段を、有することを特徴とする請求項1に記載の円筒部材の加工装置。
- 前記パターン部は、前記パターン部の接触面の移動する方向に沿って配置される、前記開口部のパターンが異なる複数の領域を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の円筒部材の加工装置。
- 前記マスキング部材は、前記パターン部の接触面の移動方向に関する前記パターン部の両側に、前記開口部が形成されていない隣接部を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の円筒部材の加工装置。
- 前記マスキング部材は、研削粒子が投射される側の面に配置される弾性材料からなる被覆層を有し、前記被覆層は、前記隣接部に配置されることを特徴とする請求項5に記載の円筒部材の加工装置。
- 前記マスキング部材は、外周面に前記パターン部が配置された円筒状であり、前記円筒部材の回転軸に平行な軸の周りを回転することによって、前記パターン部の接触面が移動することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の円筒部材の加工装置。
- 前記パターン部は、円弧状断面を有する曲面体状であり、前記円筒部材の回転軸に平行な軸の周りを回転することによって、前記パターン部の接触面が移動することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の円筒部材の加工装置。
- 前記マスキング部材は、外周面に前記パターン部が配置された円錐台状であり、前記円筒部材の回転軸に対して傾斜した軸の周りを回転することによって、前記パターン部の接触面が移動することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の円筒部材の加工装置。
- 投射された研削粒子が通過する複数の開口部が形成されたパターン部を有するマスキング部材の前記パターン部を、円筒部材の外周面に接触させ、
前記円筒部材を回転するように駆動し、
前記円筒部材の回転に対応して、前記パターン部の接触面を移動させ、
前記パターン部の開口部を通過した研削粒子によって、前記円筒部材の外周面に、前記パターン部の開口部に対応する凹部を形成する
ことを特徴とする円筒部材の加工方法。 - 前記パターン部の接触面が、前記円筒部材の回転によって従動することを特徴とする請求項10に記載の円筒部材の加工方法。
- 前記円筒部材の回転送りと前記パターン部の接触面の移動とを同期させることを特徴とする請求項10に記載の円筒部材の加工方法。
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