JP2005040030A - 緑茶抽出物及び緑茶系飲料の製法 - Google Patents
緑茶抽出物及び緑茶系飲料の製法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】透明度が高く、味及び香気が良好で、長期保存後も濁りやオリの生じない茶抽出物及び茶系飲料の提供。
【解決手段】緑茶葉を温水抽出した抽出液をブリックス１０〜４０まで濃縮し、当該濃縮液から３０００〜１６０００Ｇ条件の遠心分離により固形物を除去する、ブリックス０．２に希釈したときの濁度が０．１４０以下の緑茶抽出物の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】緑茶葉を温水抽出した抽出液をブリックス１０〜４０まで濃縮し、当該濃縮液から３０００〜１６０００Ｇ条件の遠心分離により固形物を除去する、ブリックス０．２に希釈したときの濁度が０．１４０以下の緑茶抽出物の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、緑茶抽出液から、透明度が高く、味と香気が良好で、濁りやオリ（沈殿）の発生しない長期保存安定性の良好な緑茶抽出物及び緑茶系飲料の製造法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
近年、緑茶を容器詰した緑茶系飲料が数多く上市されている。このような緑茶系飲料は、一般に、緑茶葉を温水抽出した抽出液を、必要により遠心分離により茶粒子を除去し、さらに必要によりフィルターろ過した後、容器詰めし、殺菌処理することにより製造されている。また近年においては、容器詰めの前に酸化防止剤やｐＨ調整剤の添加も行なわれている。
【０００３】
しかし、このように得られた緑茶抽出物や緑茶系飲料は、通常若干濁りがあり、より透明度が高く、かつ味の良好な飲料が望まれている。また、これら従来の茶系飲料は、冷却するとクリーミング、クリームダウンと称される白濁（濁りやオリ）が生じることが知られており、かかる白濁は消費者に不快感を与えるとともに腐敗と誤認されることから、この防止手段が必要であった。
これらの透明度の向上や、濁りやオリの防止手段としては、高速遠心分離法、タンナーゼ処理、カルシウム等の無機塩の添加などの手段の他に、（１）緑茶を温水抽出した抽出液にアスコルビン酸を加えて酸性域に調整し、これを急冷させた後、遠心分離等により抽出液をろ過し、この抽出液をろ過助剤により濾滓ろ過を行なって清澄化させ、その後、この抽出液のｐＨを中性域に調整し、瓶、プラスチック容器等の容器に詰める手段（特許文献１）、及び（２）陽イオン交換樹脂及び微小ろ過膜による処理（特許文献２）が知られている。
【０００４】
【特許文献１】
特開平４−３１１３４８号公報
【特許文献２】
特開２００１−１９７８６３号公報
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、最近の緑茶系飲料にはさらに透明度が高く、かつ味のスッキリ感及び香気の良さが求められており、従来の緑茶系飲料ではその点十分満足できるものではなかった。また、さらに、最近の容器詰飲料の流通過程は、低温販売だけでなく高温販売もあり、高温条件でも長期間濁りやオリが発生せず、透明度の高い状態を維持することが必要となっており、従来の製法で得られた緑茶系飲料及び緑茶抽出物は当該要求を十分満足できるものではなかった。
従って、本発明の目的は、透明度が高く、味及び香気が良好で長期保存後も濁りやオリの生じない緑茶抽出物及び緑茶系飲料の製造法を提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々検討したところ、緑茶葉の温水抽出液をまずブリックス１０〜４０まで濃縮し、当該濃縮液を一定条件下に遠心分離に付した後、希釈することにより、透明度が高く、味のスッキリ感が高く香気も高い、長期保存安定性も良好な緑茶抽出物及び緑茶系飲料が得られることを見出した。さらにまた、前記濃縮前及び／又は遠心分離後に限外ろ過膜処理すれば、長期保存安定性がさらに向上することも見出した。
【０００７】
すなわち、本発明は、緑茶葉を温水抽出した抽出液をブリックス１０〜４０まで濃縮し、当該濃縮液から３０００〜１６０００Ｇ条件の遠心分離により固形物を除去する、ブリックス０．２に希釈したときの濁度が０．１４０以下である緑茶抽出物又はこれを配合する緑茶系飲料の製法を提供するものである。
さらにまた、本発明は、緑茶葉を温水抽出した抽出液をブリックス１０〜４０まで濃縮し、当該濃縮液から３０００〜１６０００Ｇ条件の遠心分離により固形物を除去する、ブリックス０．２に希釈したときの濁度が０．１４０以下である緑茶抽出物の製法であって、茶葉抽出液の濃縮前及び／又は遠心分離後に限外ろ過膜処理する緑茶抽出物又はこれを配合する緑茶系飲料の製法を提供するものである。
【０００８】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる緑茶葉としては、Ｃａｍｅｌｌｉａ属、例えばＣ． ｓｉｎｅｎｓｉｓ及びＣ． ａｓｓａｉｍｉｃａ、やぶきた種又はそれらの雑種から得られる茶葉から製茶された、煎茶、玉露、てん茶などの緑茶類の茶葉が挙げられる。これらの緑茶葉の温水抽出液は、例えば、これらの緑茶葉から水や熱水により抽出して得られる。
緑茶を抽出する方法は、攪拌抽出など従来の方法により行う。また抽出時の水にあらかじめアスコルビン酸ナトリウムなどの有機酸又は有機酸塩類を添加してもよい。また煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつついわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法も併用してもよい。
【０００９】
この緑茶抽出液のブリックスは通常０．１〜１．５程度である。
【００１０】
本発明においては、上記緑茶抽出液を、ブリックス１０〜４０まで、好ましくは、２３〜４０、さらに好ましくは、２５〜４０に、濃縮するのが、濁度の点から好ましい。濃縮前に遠心分離処理により茶葉由来の微粒子を除去してもよい。この遠心分離は、３０００〜１６０００Ｇ、特に６０００〜１６０００Ｇの条件で行うのが、微粒子除去効果の点で好ましい。
【００１１】
濃縮度がブリックス１０未満では、得られる緑茶抽出物又は緑茶系飲料の透明度、味のクリア感、香気の良さ及び長期保存安定性の点で十分でなく、ブリックス４０を超えるとその後の遠心分離などが効果的でなくなる。なお、好ましい濃縮度はブリックス２０〜４０である。
【００１２】
ここで茶抽出液の濃縮処理手段としては、減圧濃縮（薄膜濃縮、フラッシュ濃縮）、ＲＯ膜濃縮等、従来公知の濃縮法が挙げられる。減圧濃縮では、香気の劣化防止の点から圧力２ｍＰａ〜５ｍＰａ、温度１０〜５０℃が好ましい。
【００１３】
次いで濃縮液から３０００〜１６０００Ｇ条件の遠心分離により固形物を除去する。このとき、濃縮液は−５℃〜３５℃、特に０℃〜１５℃に冷却して遠心分離に付すのが濃縮液の清澄性向上とエグミ改善等の風味向上の点から好ましい。
【００１４】
遠心分離条件が３０００Ｇ未満では、十分な透明度及び味のクリア感が得られず、１６０００Ｇを超えると抽出液中にある、うまみ成分の過除去による風味低減などの問題が生じる。好ましい遠心分離条件は３０００〜１６０００Ｇであり、特に６０００〜１６０００Ｇが好ましい。このような条件で遠心分離することにより、ブリックス０．２に希釈したときの濁度が０．１４０以下の緑茶抽出物が得られる。ここで濁度は６６０ｎｍの波長の吸光度である。
【００１５】
得られた上清を希釈することにより目的の緑茶抽出物又は緑茶系飲料とすることができる。この上清を全く希釈しない場合、そのブリックスはほぼ１０〜４０であるが、この高ブリックス緑茶抽出物は、そのまま緑茶系飲料製造用原料として用いることもできる。また、そのまま緑茶系飲料とする場合のブリックスは０．０１〜２．０、特に０．１〜１．０であるのが好ましい。ここでブリックスが０．２〜１．２の範囲の緑茶系飲料中には、カテキン類が２０〜２００ｍｇ／１００ｍＬ含有されており、カテキン類の生理効果を発現する飲料となる。
【００１６】
長期安定性を維持する範囲としては、緑茶ではブリックス０．２に希釈した際の６６０ｎｍの吸光度が０．０５以下であるのが好ましい。
【００１７】
緑茶系飲料を得る場合には、得られた上清をブリックス０．０１〜１．０に希釈し、必要に応じて茶由来の成分にあわせて、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、ｐＨ調整剤、品質安定剤などの添加剤を単独、あるいは併用して添加しても良い。
例えば甘味料としては、砂糖、ぶどう糖、果糖、異性化液糖、グリチルリチン、ステビア、アスパラテーム、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、その他のオリゴ糖としてシクロデキストリンが挙げられる。シクロデキストリンとしては、α−、β−、γ−シクロデキストリン及び、分岐α−、β−、γ−シクロデキストリンが使用できる。また、人工甘味剤も使用できる。
酸味料としては、天然成分から抽出した果汁類のほか、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、リン酸が挙げられる。
無機酸類、無機酸塩類としてはリン酸、リン酸二ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムなどが、有機酸類、有機酸塩類としてはクエン酸、コハク酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【００１８】
緑茶系飲料の容器詰に使用される容器は、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器（いわゆるＰＥＴボトル）、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶などの通常の形態で提供することができる。ここでいう容器詰飲料とは希釈せずに飲用できるものをいう。
【００１９】
また本発明の緑茶系容器詰飲料は、例えば、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で製造される。ＰＥＴボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用される。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。さらに、酸性下で加熱殺菌後、無菌下でｐＨを中性に戻すことや、中性下で加熱殺菌後、無菌下でｐＨを酸性に戻すなどの操作も可能である。
【００２０】
また、本発明の緑茶抽出物の製法においては、緑茶抽出液の濃縮前及び／又は遠心分離後に限外ろ過膜処理すると、長期保存安定性がさらに顕著に向上する。かかる効果は、緑茶抽出物の製法の場合に特に顕著である。
【００２１】
用いる限外ろ過膜処理としては、分子量５万以上の粒子を除去できる膜が好ましく、分子量１万以上の粒子を除去できる膜がより好ましい。このような限外ろ過膜としては旭化成工業（株）（ＳＥＰ−１０１３、ＳＩＰ−１０１３、ＳＬＰ−１０５３、ＡＨＰ−１０１０）、日東電工（株）ＮＴＵ−２１２０、ＮＴＵ−３１５０、ＮＴＵ−３０５０等が挙げられる。限外ろ過の条件は、ろ過膜推奨の圧力以下で、ろ過液温が０℃〜３５℃とするのが好ましい。
【００２２】
本発明において、緑茶抽出液とブリックス１０〜４０まで濃縮した後遠心分離により固形物を除去することにより、得られる緑茶抽出液の透明度、味及び香気が向上する理由は明らかではないが、濃縮により緑茶抽出液中に存在する粒子が成長して大きくなり、その後の遠心分離により、通常の処理では除去できない濁りの原因となる粒子が除去できるためと考えられる。
【００２３】
【実施例】
（１）濁度の測定
濁度を測定する方法は、分光光度計（島津製作所 ＵＶ ｍｉｎｉ−１２４０）を用いて、６６０ｎｍの波長で吸光度を測定した。
【００２４】
（２）味の評価
調整したサンプルは専門パネルであるフレーバリスト５名による官能評価法によって評価した。評価にあたって以下の基準によって評点をつけた。
５：えぐみがかなり強い
４：えぐみが強い
３：えぐみが弱い
２：えぐみがかなり弱い
１：えぐみが感じられない
【００２５】
（３）香気の評価
調整したサンプルは専門パネルであるフレーバリスト５名による官能評価法によって評価した。評価にあたって以下の基準によって評点をつけた。
５：香気が強い
４：香気がやや強い
３：香気がやや弱い
２：香気が弱い
１：香気が感じられない
【００２６】
（４）長期保存安定性の評価
調整したサンプルは耐熱ねじ口ガラスビン（ＳＣＨＯＴＴ ＤＵＲＡＮ ５０ｍＬ）に入れ、ヘッドスペースを窒素ガス置換した後にレトルト滅菌（１２１℃ １０分）した後、５５℃のインキュベーター（ＹＡＭＡＴＯ ＤＮ−４２）で保存し、サンプル中に発生するオリを目視により観察した。評価にあたって以下の基準によって評点をつけた。
１：なし
２：極小
３：少ない
４：やや多い
５：多い
【００２７】
実施例１（緑茶抽出物）
緑茶１ｋｇを６５℃、３０Ｌの温度水にて５分間抽出し、軽く圧搾して得た搾汁を集めてブリックス２３になるまで濃縮した液を６０００Ｇの遠心分離処理をし、本発明品１を得た。
濃縮度をブリックス１５、ブリックス４０とする以外は同様にして本発明品２及び３を得た。
【００２８】
実施例４（緑茶抽出物）
緑茶１ｋｇを８５℃、３０Ｌの温度水にて５分間抽出し、軽く圧搾して得た搾汁を集めて旭化成工業（株）ＳＬＰ−１０５３（分子量分画１万）にかけ、透過液を集めてブリックス２３になるまで濃縮した液を６０００Ｇの遠心分離処理をし、本発明品４を得た。
【００２９】
比較例１（緑茶抽出物）
緑茶１ｋｇを６５℃、３０Ｌの温度水にて５分間抽出し、軽く圧搾して得た搾汁を集めた液を６０００Ｇの遠心分離処理をし、比較品１を得た。
また、実施例１において濃縮度をブリックス５とする以外は同様にして比較品２を得た。
【００３０】
上記実施例及び比較例で得られた緑茶抽出物についての濁度及び味の評価結果を表１に示す。
【００３１】
【表１】
【００３２】
上記本発明品１及び４と比較品１の茶抽出物を５０℃で１４日間保存し、オリの発生の有無を目視により評価した。その結果を表２に示す。
【００３３】
【表２】
【００３４】
表１及び２の結果より、本発明の特定の濃縮度まで濃縮後に遠心分離により固形物を除去して得られた緑茶抽出物は、濁りがなく透明度が高く、かつ味がクリアでスッキリしており、かつ香気も高い。また、濃縮前又は遠心分離後に限外ろ過膜処理すると長期保存安定性がさらに向上する。また、本発明品１〜４の抽出物は、そのまま容器詰後、殺菌処理することにより容器詰茶系飲料とすることができた。
【００３５】
【発明の効果】
本発明によれば、簡便かつ工業的に有利な手段により、透明度が高く、味及び香気が良好で、かつ長期保存安定性の良好な緑茶抽出物及び緑茶系飲料が得られる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、緑茶抽出液から、透明度が高く、味と香気が良好で、濁りやオリ（沈殿）の発生しない長期保存安定性の良好な緑茶抽出物及び緑茶系飲料の製造法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
近年、緑茶を容器詰した緑茶系飲料が数多く上市されている。このような緑茶系飲料は、一般に、緑茶葉を温水抽出した抽出液を、必要により遠心分離により茶粒子を除去し、さらに必要によりフィルターろ過した後、容器詰めし、殺菌処理することにより製造されている。また近年においては、容器詰めの前に酸化防止剤やｐＨ調整剤の添加も行なわれている。
【０００３】
しかし、このように得られた緑茶抽出物や緑茶系飲料は、通常若干濁りがあり、より透明度が高く、かつ味の良好な飲料が望まれている。また、これら従来の茶系飲料は、冷却するとクリーミング、クリームダウンと称される白濁（濁りやオリ）が生じることが知られており、かかる白濁は消費者に不快感を与えるとともに腐敗と誤認されることから、この防止手段が必要であった。
これらの透明度の向上や、濁りやオリの防止手段としては、高速遠心分離法、タンナーゼ処理、カルシウム等の無機塩の添加などの手段の他に、（１）緑茶を温水抽出した抽出液にアスコルビン酸を加えて酸性域に調整し、これを急冷させた後、遠心分離等により抽出液をろ過し、この抽出液をろ過助剤により濾滓ろ過を行なって清澄化させ、その後、この抽出液のｐＨを中性域に調整し、瓶、プラスチック容器等の容器に詰める手段（特許文献１）、及び（２）陽イオン交換樹脂及び微小ろ過膜による処理（特許文献２）が知られている。
【０００４】
【特許文献１】
特開平４−３１１３４８号公報
【特許文献２】
特開２００１−１９７８６３号公報
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、最近の緑茶系飲料にはさらに透明度が高く、かつ味のスッキリ感及び香気の良さが求められており、従来の緑茶系飲料ではその点十分満足できるものではなかった。また、さらに、最近の容器詰飲料の流通過程は、低温販売だけでなく高温販売もあり、高温条件でも長期間濁りやオリが発生せず、透明度の高い状態を維持することが必要となっており、従来の製法で得られた緑茶系飲料及び緑茶抽出物は当該要求を十分満足できるものではなかった。
従って、本発明の目的は、透明度が高く、味及び香気が良好で長期保存後も濁りやオリの生じない緑茶抽出物及び緑茶系飲料の製造法を提供することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々検討したところ、緑茶葉の温水抽出液をまずブリックス１０〜４０まで濃縮し、当該濃縮液を一定条件下に遠心分離に付した後、希釈することにより、透明度が高く、味のスッキリ感が高く香気も高い、長期保存安定性も良好な緑茶抽出物及び緑茶系飲料が得られることを見出した。さらにまた、前記濃縮前及び／又は遠心分離後に限外ろ過膜処理すれば、長期保存安定性がさらに向上することも見出した。
【０００７】
すなわち、本発明は、緑茶葉を温水抽出した抽出液をブリックス１０〜４０まで濃縮し、当該濃縮液から３０００〜１６０００Ｇ条件の遠心分離により固形物を除去する、ブリックス０．２に希釈したときの濁度が０．１４０以下である緑茶抽出物又はこれを配合する緑茶系飲料の製法を提供するものである。
さらにまた、本発明は、緑茶葉を温水抽出した抽出液をブリックス１０〜４０まで濃縮し、当該濃縮液から３０００〜１６０００Ｇ条件の遠心分離により固形物を除去する、ブリックス０．２に希釈したときの濁度が０．１４０以下である緑茶抽出物の製法であって、茶葉抽出液の濃縮前及び／又は遠心分離後に限外ろ過膜処理する緑茶抽出物又はこれを配合する緑茶系飲料の製法を提供するものである。
【０００８】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる緑茶葉としては、Ｃａｍｅｌｌｉａ属、例えばＣ． ｓｉｎｅｎｓｉｓ及びＣ． ａｓｓａｉｍｉｃａ、やぶきた種又はそれらの雑種から得られる茶葉から製茶された、煎茶、玉露、てん茶などの緑茶類の茶葉が挙げられる。これらの緑茶葉の温水抽出液は、例えば、これらの緑茶葉から水や熱水により抽出して得られる。
緑茶を抽出する方法は、攪拌抽出など従来の方法により行う。また抽出時の水にあらかじめアスコルビン酸ナトリウムなどの有機酸又は有機酸塩類を添加してもよい。また煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつついわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法も併用してもよい。
【０００９】
この緑茶抽出液のブリックスは通常０．１〜１．５程度である。
【００１０】
本発明においては、上記緑茶抽出液を、ブリックス１０〜４０まで、好ましくは、２３〜４０、さらに好ましくは、２５〜４０に、濃縮するのが、濁度の点から好ましい。濃縮前に遠心分離処理により茶葉由来の微粒子を除去してもよい。この遠心分離は、３０００〜１６０００Ｇ、特に６０００〜１６０００Ｇの条件で行うのが、微粒子除去効果の点で好ましい。
【００１１】
濃縮度がブリックス１０未満では、得られる緑茶抽出物又は緑茶系飲料の透明度、味のクリア感、香気の良さ及び長期保存安定性の点で十分でなく、ブリックス４０を超えるとその後の遠心分離などが効果的でなくなる。なお、好ましい濃縮度はブリックス２０〜４０である。
【００１２】
ここで茶抽出液の濃縮処理手段としては、減圧濃縮（薄膜濃縮、フラッシュ濃縮）、ＲＯ膜濃縮等、従来公知の濃縮法が挙げられる。減圧濃縮では、香気の劣化防止の点から圧力２ｍＰａ〜５ｍＰａ、温度１０〜５０℃が好ましい。
【００１３】
次いで濃縮液から３０００〜１６０００Ｇ条件の遠心分離により固形物を除去する。このとき、濃縮液は−５℃〜３５℃、特に０℃〜１５℃に冷却して遠心分離に付すのが濃縮液の清澄性向上とエグミ改善等の風味向上の点から好ましい。
【００１４】
遠心分離条件が３０００Ｇ未満では、十分な透明度及び味のクリア感が得られず、１６０００Ｇを超えると抽出液中にある、うまみ成分の過除去による風味低減などの問題が生じる。好ましい遠心分離条件は３０００〜１６０００Ｇであり、特に６０００〜１６０００Ｇが好ましい。このような条件で遠心分離することにより、ブリックス０．２に希釈したときの濁度が０．１４０以下の緑茶抽出物が得られる。ここで濁度は６６０ｎｍの波長の吸光度である。
【００１５】
得られた上清を希釈することにより目的の緑茶抽出物又は緑茶系飲料とすることができる。この上清を全く希釈しない場合、そのブリックスはほぼ１０〜４０であるが、この高ブリックス緑茶抽出物は、そのまま緑茶系飲料製造用原料として用いることもできる。また、そのまま緑茶系飲料とする場合のブリックスは０．０１〜２．０、特に０．１〜１．０であるのが好ましい。ここでブリックスが０．２〜１．２の範囲の緑茶系飲料中には、カテキン類が２０〜２００ｍｇ／１００ｍＬ含有されており、カテキン類の生理効果を発現する飲料となる。
【００１６】
長期安定性を維持する範囲としては、緑茶ではブリックス０．２に希釈した際の６６０ｎｍの吸光度が０．０５以下であるのが好ましい。
【００１７】
緑茶系飲料を得る場合には、得られた上清をブリックス０．０１〜１．０に希釈し、必要に応じて茶由来の成分にあわせて、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、果汁エキス類、野菜エキス類、花蜜エキス類、ｐＨ調整剤、品質安定剤などの添加剤を単独、あるいは併用して添加しても良い。
例えば甘味料としては、砂糖、ぶどう糖、果糖、異性化液糖、グリチルリチン、ステビア、アスパラテーム、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、その他のオリゴ糖としてシクロデキストリンが挙げられる。シクロデキストリンとしては、α−、β−、γ−シクロデキストリン及び、分岐α−、β−、γ−シクロデキストリンが使用できる。また、人工甘味剤も使用できる。
酸味料としては、天然成分から抽出した果汁類のほか、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、リン酸が挙げられる。
無機酸類、無機酸塩類としてはリン酸、リン酸二ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムなどが、有機酸類、有機酸塩類としてはクエン酸、コハク酸、イタコン酸、リンゴ酸、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【００１８】
緑茶系飲料の容器詰に使用される容器は、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器（いわゆるＰＥＴボトル）、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶などの通常の形態で提供することができる。ここでいう容器詰飲料とは希釈せずに飲用できるものをいう。
【００１９】
また本発明の緑茶系容器詰飲料は、例えば、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で製造される。ＰＥＴボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用される。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。さらに、酸性下で加熱殺菌後、無菌下でｐＨを中性に戻すことや、中性下で加熱殺菌後、無菌下でｐＨを酸性に戻すなどの操作も可能である。
【００２０】
また、本発明の緑茶抽出物の製法においては、緑茶抽出液の濃縮前及び／又は遠心分離後に限外ろ過膜処理すると、長期保存安定性がさらに顕著に向上する。かかる効果は、緑茶抽出物の製法の場合に特に顕著である。
【００２１】
用いる限外ろ過膜処理としては、分子量５万以上の粒子を除去できる膜が好ましく、分子量１万以上の粒子を除去できる膜がより好ましい。このような限外ろ過膜としては旭化成工業（株）（ＳＥＰ−１０１３、ＳＩＰ−１０１３、ＳＬＰ−１０５３、ＡＨＰ−１０１０）、日東電工（株）ＮＴＵ−２１２０、ＮＴＵ−３１５０、ＮＴＵ−３０５０等が挙げられる。限外ろ過の条件は、ろ過膜推奨の圧力以下で、ろ過液温が０℃〜３５℃とするのが好ましい。
【００２２】
本発明において、緑茶抽出液とブリックス１０〜４０まで濃縮した後遠心分離により固形物を除去することにより、得られる緑茶抽出液の透明度、味及び香気が向上する理由は明らかではないが、濃縮により緑茶抽出液中に存在する粒子が成長して大きくなり、その後の遠心分離により、通常の処理では除去できない濁りの原因となる粒子が除去できるためと考えられる。
【００２３】
【実施例】
（１）濁度の測定
濁度を測定する方法は、分光光度計（島津製作所 ＵＶ ｍｉｎｉ−１２４０）を用いて、６６０ｎｍの波長で吸光度を測定した。
【００２４】
（２）味の評価
調整したサンプルは専門パネルであるフレーバリスト５名による官能評価法によって評価した。評価にあたって以下の基準によって評点をつけた。
５：えぐみがかなり強い
４：えぐみが強い
３：えぐみが弱い
２：えぐみがかなり弱い
１：えぐみが感じられない
【００２５】
（３）香気の評価
調整したサンプルは専門パネルであるフレーバリスト５名による官能評価法によって評価した。評価にあたって以下の基準によって評点をつけた。
５：香気が強い
４：香気がやや強い
３：香気がやや弱い
２：香気が弱い
１：香気が感じられない
【００２６】
（４）長期保存安定性の評価
調整したサンプルは耐熱ねじ口ガラスビン（ＳＣＨＯＴＴ ＤＵＲＡＮ ５０ｍＬ）に入れ、ヘッドスペースを窒素ガス置換した後にレトルト滅菌（１２１℃ １０分）した後、５５℃のインキュベーター（ＹＡＭＡＴＯ ＤＮ−４２）で保存し、サンプル中に発生するオリを目視により観察した。評価にあたって以下の基準によって評点をつけた。
１：なし
２：極小
３：少ない
４：やや多い
５：多い
【００２７】
実施例１（緑茶抽出物）
緑茶１ｋｇを６５℃、３０Ｌの温度水にて５分間抽出し、軽く圧搾して得た搾汁を集めてブリックス２３になるまで濃縮した液を６０００Ｇの遠心分離処理をし、本発明品１を得た。
濃縮度をブリックス１５、ブリックス４０とする以外は同様にして本発明品２及び３を得た。
【００２８】
実施例４（緑茶抽出物）
緑茶１ｋｇを８５℃、３０Ｌの温度水にて５分間抽出し、軽く圧搾して得た搾汁を集めて旭化成工業（株）ＳＬＰ−１０５３（分子量分画１万）にかけ、透過液を集めてブリックス２３になるまで濃縮した液を６０００Ｇの遠心分離処理をし、本発明品４を得た。
【００２９】
比較例１（緑茶抽出物）
緑茶１ｋｇを６５℃、３０Ｌの温度水にて５分間抽出し、軽く圧搾して得た搾汁を集めた液を６０００Ｇの遠心分離処理をし、比較品１を得た。
また、実施例１において濃縮度をブリックス５とする以外は同様にして比較品２を得た。
【００３０】
上記実施例及び比較例で得られた緑茶抽出物についての濁度及び味の評価結果を表１に示す。
【００３１】
【表１】
上記本発明品１及び４と比較品１の茶抽出物を５０℃で１４日間保存し、オリの発生の有無を目視により評価した。その結果を表２に示す。
【００３３】
【表２】
表１及び２の結果より、本発明の特定の濃縮度まで濃縮後に遠心分離により固形物を除去して得られた緑茶抽出物は、濁りがなく透明度が高く、かつ味がクリアでスッキリしており、かつ香気も高い。また、濃縮前又は遠心分離後に限外ろ過膜処理すると長期保存安定性がさらに向上する。また、本発明品１〜４の抽出物は、そのまま容器詰後、殺菌処理することにより容器詰茶系飲料とすることができた。
【００３５】
【発明の効果】
本発明によれば、簡便かつ工業的に有利な手段により、透明度が高く、味及び香気が良好で、かつ長期保存安定性の良好な緑茶抽出物及び緑茶系飲料が得られる。
Claims (4)
- 緑茶葉を温水抽出した抽出液をブリックス１０〜４０まで濃縮し、当該濃縮液から３０００〜１６０００Ｇ条件の遠心分離により固形物を除去する、ブリックス０．２に希釈したときの濁度が０．１４０以下の緑茶抽出物の製造方法。
- 茶葉抽出液の濃縮前及び／又は遠心分離後に限外ろ過膜処理するものである請求項１記載の緑茶抽出物の製法。
- 緑茶葉抽出液の濃縮前に、３０００〜１６０００Ｇ条件の遠心分離により固形物を除去するものである請求項１又は２記載の緑茶抽出物の製法。
- 請求項１〜３のいずれか１項記載の緑茶抽出物を配合する緑茶系飲料の製造方法。
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