JP2005039608A - アンテナおよび受信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】FM帯域における受信感度が良好で小型化できるアンテナと、このアンテナを備えて装置の小型化が図れる受信装置を提供する。
【解決手段】アンテナ100は、フェライトからなるコア101と、コア101の外周をほぼ1周して巻く形で設けられるアンテナ銅板102によって構成される。コア101の長さL1=アンテナ銅板102の長さL2であり、コア101の幅W1=アンテナ銅板102の幅W2である。また、コア101の高さH1とアンテナ銅板102の高さH2は、必要な受信特性に応じて一致あるいは一方が他方に対して大きく(または小さく)設定する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、電波を受信するアンテナとこのアンテナを備えた受信装置にかかり、特に、FM帯域における受信感度が良好で小型化できるアンテナと、このアンテナを備えて小型化できる受信装置に関する。
従来100MHz程度(例えば76〜108MHz)のFM帯域におけるアンテナとしては、受信装置のアンテナ端子に接続される外部アンテナや、伸縮自在なロッドアンテナがある。このようなアンテナを小型化する技術としては、フェライト棒に金属板を巻き付けたフェライトアンテナがある(例えば、下記特許文献1参照。)。
また、簡易構造のアンテナとしては、信号コードに沿ってコード状のアンテナを配設したものがある(例えば、下記特許文献2参照。)。コード状のアンテナは、携帯型のラジオやヘッドホンプレーヤーなどのヘッドホンコードに沿って配設されたものもある。
実開昭62−32613号公報 特開平11−284422号公報
しかしながら、従来の小型化したFM帯域のアンテナは、簡易構造であるため、比較的低周波なFM帯域において実用的に十分な感度を得ることができなかった。近年では受信装置自体が小型化されてきており、このように小型化された受信装置は、実用に耐える感度を有し十分に小型なアンテナが必要とされる。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、感度が良好で小型化を図ることができるアンテナおよび受信装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかるアンテナは、磁性体部材と、前記磁性体部材の外周面をほぼ1周巻いて設けられるアンテナ銅板と、を備えることを特徴とする。
この請求項1の発明によれば、アンテナ銅板の内部に磁性体部材を設けることにより、全体の大きさを変えることなく、アンテナ銅板単体時よりも感度の向上を図ることができる。
また、請求項2の発明にかかるアンテナは、FM帯域の周波数を受信するアンテナにおいて、所定の長さ、幅および高さを有する略直方体形状の磁性体部材と、前記磁性体部材の長さ方向および幅方向に連続する外周面をほぼ1周巻いて設けられ、前記磁性体部材の高さに対して所定の比の高さを有してなるアンテナ銅板と、を備えることを特徴とする。
この請求項2の発明によれば、アンテナ銅板の内部に磁性体部材を設け、アンテナ銅板の高さに対して磁性体部材の高さを所定の比を有して設定することにより、大型化することなくFM帯域の周波数を感度良く受信することができる。
また、請求項3の発明にかかるアンテナは、請求項2に記載の発明において、前記アンテナ銅板の高さは、前記磁性体部材の高さに一致することを特徴とする。
この請求項3の発明によれば、アンテナ銅板の内部に磁性体部材を収納することができ、大型化することなくFM帯域の周波数を感度良く受信することができる。
また、請求項4の発明にかかるアンテナは、請求項2に記載の発明において、前記アンテナ銅板の高さは、前記磁性体部材の高さより薄いことを特徴とする。
この請求項4の発明によれば、アンテナ銅板の高さに対して磁性体部材の高さが大きくアンテナ銅板からやや磁性体部材が突出するだけで、小型化しつつFM帯域の周波数をより感度良く受信できるようになる。
また、請求項5の発明にかかるアンテナは、請求項2に記載の発明において、前記アンテナ銅板の高さは、前記磁性体部材の高さより厚いことを特徴とする。
この請求項5の発明によれば、アンテナ銅板の内部に磁性体部材を収納することができ、大型化することなくFM帯域の周波数を感度良く受信することができる。また、磁性体部材の高さが薄くなるため、全体重量の軽量化を図ることができる。
また、請求項6の発明にかかるアンテナは、請求項2に記載の発明において、前記アンテナ銅板の高さに対して、前記磁性体部材が有する高さの前記比は、1〜2であることを特徴とする。
この請求項6の発明によれば、アンテナ銅板の高さと磁性体部材の高さの比を、FM帯域の周波数を感度良く受信できるよう設定することができる。
また、請求項7の発明にかかるアンテナは、請求項6に記載の発明において、前記アンテナ銅板の高さに対して、前記磁性体部材が有する高さの前記比は、1.2〜1.3であることを特徴とする。
この請求項7の発明によれば、アンテナ銅板の高さと磁性体部材の高さの比を、FM帯域の周波数を最も感度良く受信できるよう設定することができる。
また、請求項8の発明にかかるアンテナは、請求項1〜7のいずれか一つに記載の発明において、前記磁性体は、FM帯域の周波数における透磁率μ1が20以下であり、透磁率μ2が0.03以下となる材質からなることを特徴とする。
この請求項8の発明によれば、FM帯域の周波数を最も感度良く受信できる。
また、請求項9の発明にかかるアンテナは、請求項1〜8のいずれか一つに記載の発明において、前記磁性体は、酸化鉄(Fe23)および酸化ニッケル(NiO)を主成分としてなることを特徴とする。
この請求項9の発明によれば、FM帯域の周波数を最も感度良く受信できる。
また、請求項10の発明にかかる受信装置は、磁性体部材と、前記磁性体部材の外周面をほぼ1周巻いて設けられるアンテナ銅板と、前記アンテナのアンテナ端子に接続される受信手段と、を備えることを特徴とする。
この請求項10の発明によれば、アンテナ銅板の内部に磁性体部材を設けた小型のアンテナにより、装置全体の大きさを小型化しつつ感度の向上を図ることができる。
また、請求項11の発明にかかる受信装置は、FM帯域の周波数を受信するアンテナにおいて、所定の長さ、幅および高さを有する略直方体形状の磁性体部材と、前記磁性体部材の長さ方向および幅方向に連続する外周面をほぼ1周巻いて設けられ、前記磁性体部材の高さに対して所定の比の高さを有してなるアンテナ銅板と、前記アンテナのアンテナ端子に接続される受信手段と、を備えることを特徴とする。
この請求項11の発明によれば、アンテナ銅板の高さに対して磁性体部材の高さを所定の比を有して設定した小型のアンテナにより、装置全体の大きさを小型化しつつFM帯域の周波数を感度良く受信することができる。
また、請求項12の発明にかかる受信装置は、請求項11に記載の発明において、前記アンテナ銅板の高さは、前記磁性体部材の高さに一致することを特徴とする。
この請求項12の発明によれば、アンテナ銅板の内部に磁性体部材を収納した小型のアンテナにより、装置全体の大きさを小型化しつつFM帯域の周波数を感度良く受信することができる。
また、請求項13の発明にかかる受信装置は、請求項11に記載の発明において、前記アンテナ銅板の高さは、前記磁性体部材の高さより薄いことを特徴とする。
この請求項13の発明によれば、アンテナ銅板の高さに対して磁性体部材の高さが大きくアンテナ銅板からやや磁性体部材が突出するだけで、装置全体の大きさをできるだけ小型化しつつFM帯域の周波数をより感度良く受信できるようになる。
また、請求項14の発明にかかる受信装置は、請求項11〜13のいずれか一つに記載の発明において、前記アンテナは、前記受信手段の回路基板に直接接続されてなり、前記アンテナを通過する磁束が前記回路基板を通過しないよう配置してなることを特徴とする。
この請求項14の発明によれば、アンテナを通過する磁束が受信手段の回路基板を通過しないため、アンテナを回路基板に直接接続しても受信感度が低下せず、良好な受信感度を得ることができる。
また、請求項15の発明にかかる受信装置は、請求項11〜14のいずれか一つに記載の発明において、前記受信手段は、FM文字多重放送の受信電波を受信および復調出力する復調手段と、前記復調手段が出力する文字情報を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
この請求項15の発明によれば、FM文字多重放送による文字情報を得ることができるようになる。
また、請求項16の発明にかかる受信装置は、請求項11〜15のいずれか一つに記載の発明において、前記アンテナ、前記受信手段および前記表示手段を備えた装着型の腕時計からなることを特徴とする。
この請求項16の発明によれば、装着型の小型な腕時計で感度良く電波を受信できるようになる。
本発明にかかるアンテナによれば、FM帯域の受信電波を良好な受信感度を有しつつアンテナを小型化することができる。また、この発明の受信装置は、この小型なアンテナにより良好な受信感度を有し、装置の大きさを容易に小型化できるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるアンテナおよび受信装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
この発明にかかるアンテナは、FM帯域の周波数を受信するものである。また、この実施形態において説明する受信装置は、FM文字多重放送の電波を受信し、この受信した電波を復調して文字情報を表示するものである。このFM文字多重放送は、音声放送と同じチャンネル(CH)に文字情報データを重ねて伝送する方式である。
図1は、この発明にかかるアンテナを示す斜視図である。アンテナ100は、磁性体部材、例えばフェライトからなるコア101と、このコア101の外周をほぼ1周して巻く形で設けられるアンテナ銅板102によって構成されている。アンテナ100の両端はアンテナ端子102a,102bであり、受信装置の受信部に接続される。
図2は、この発明のアンテナの分解斜視図である。図2記載の構成は、図1と構成が一部相違しているが、基本構成は同一である。図示のようにコア101は、長さL1,幅W1,高さH1を有する直方体形状である。
アンテナ銅板102は、金属板を折り曲げ形成してなり、長さL2,幅W2,高さH2,板厚dを有する。図示のように、コア101の外周にアンテナ銅板102を巻き付けた構成であるため、コア101の長さL1=アンテナ銅板102の長さL2であり、コア101の幅W1=アンテナ銅板102の幅W2である。後述するが、コア101の高さH1とアンテナ102の高さH2は、必要な受信特性に応じて一致あるいは一方が他方に対して大きく(または小さく)形成される。
また、図2に示すように、アンテナ端子102a,102bは、アンテナ銅板102の端部102cと平行な切り込み102dを設け、90度折り曲げてなる。これにより、アンテナ銅板102の底面102eとアンテナ端子102a,102bとの間に所定高さh3の隙間が形成される。この隙間部分に後述する受信装置に設けられる受信部の回路基板200を配置でき、アンテナ端子102a,102bと受信部との接続を容易化できる。また、アンテナ端子102a,102bと受信部の隙間を無くすよう形成でき、図示の幅W方向の寸法を小型化することができる。
このように、アンテナ100を直接、受信部の回路基板200に接続した状態で、回路基板200とアンテナ100が並列状に配置されることになる。このように、回路基板200とアンテナ100が近接して配置される構成のとき、アンテナ100に対して磁束Bが通過する方向は、回路基板200を通過しないように設定する必要がある。このため、図示のように、アンテナ100の磁束Bの通過方向は、回路基板200の面と同一方向となるように設定する。この設定を行わないとき、例えば、アンテナ100の磁束Bの方向が回路基板200の面と直交する方向としたときには、磁束Bの一方が回路基板200に向くこととなり、受信感度が低下する。
次に、上記構成のアンテナ100を備えた受信装置について説明する。図3は、この発明の受信装置の全体構成を示すブロック図である。
受信装置300は、アンテナ端子102a,102bが接続され、FM帯域の受信信号を受信し、ベースバンド信号を出力するRF受信部301と、ベースバンド信号に基づきFM帯域に含まれる音声あるいは、文字情報を復調出力する復調部302と、これらRF受信部301と復調部302を制御する制御部303と、制御部303の制御処理用のプログラム、および復調した情報を格納するメモリー304と、受信装置300を操作するための操作部305と、受信CHや受信状態、受信情報などを表示する表示部306とを備えている。
RF受信部301は、図示しないが、LNA(ローノイズアンプ)、ミキサ、中間増幅器、フィルター等を備えてベースバンド信号を出力する。復調部302は、選択した受信CHの音声および文字情報を出力する。制御部303は、受信したFM文字多重放送の受信データに含まれる文字情報をメモリー304に一時格納し、表示部306に表示する。
アンテナ100のアンテナ端子102a,102bの間には、並列にトリマコンデンサ307が接続され、受信装置300(RF受信部301)と、アンテナ100を接続したときに、最大のアンテナゲイン(利得)が得られるよう容量を可変することができる。
次に、上記説明したアンテナ100のコア101およびアンテナ銅板102の利得調整を最適化するための、これらコア101と、アンテナ102の寸法設定について説明する。
図4は、アンテナのアンテナ銅板の寸法を一定とし、コアの寸法を可変させたときの感度の変化状態を示す図表である。コア101の長さL1=アンテナ銅板102の長さL2=29mm,コア101の幅W1=アンテナ銅板102の幅W2=9mmである。また、アンテナ銅板102の厚みd=0.7mmである。
横軸は、コア101の高さH1とアンテナ銅板102の高さH2の比(コア101の高さH1/アンテナ銅板102の高さH2)であり、縦軸は、コア101を設けずアンテナ銅板102だけで構成したとき(コア101の高さH1=0)のときの感度を基準(0)としたときの感度増加(dB)である。例えば、横軸の「1」は、コア101の高さH1とアンテナ銅板102の高さH2が一致した高さである。
横軸が「1」を超える領域Aは、アンテナ銅板102の高さH2よりもコア101の高さH1が大きい場合であり、例えば、「2」であれば、コア101の高さH1がアンテナ銅板102の高さH2に比して2倍の高さである。一方、横軸が「1」よりも小さい領域Bは、アンテナ銅板102の高さH2よりもコア101の高さH1が小さい場合である。
そして、アンテナ銅板102の高さH2が2,3,4,6,7mmとし、コア101の高さH1を0(なし),3,4,5,6,7,9mmとしたときの感度の変化状態を示してある。図示のように、アンテナ銅板102の高さH2が大きいほど(同時にコア101の高さH1が大きいほど)、感度増加する。また、アンテナ銅板102の高さH2が一定のとき、このアンテナ銅板102の内部に設けられるコア101の高さH1が大きいほど、感度増加する傾向となった。
そして、領域Aにおいて、最も感度増加が大きい範囲は、横軸におけるコア101の高さH1とアンテナ銅板102の高さH2の比が「1〜2」の範囲であった。この範囲は、アンテナ銅板102の高さH2に対してコア101の高さH1が2倍までの範囲であり、アンテナ100として小型化を達成するに適した範囲である。
領域Bについては、アンテナ銅板102の高さH2が6,7mm以上の場合に限り、感度増加の変化が大きいが、このような寸法設定では、アンテナ100の高さが大きくなるため、小型化に適さない。
次に、図5は、アンテナのコアの寸法を一定とし、アンテナ銅板の寸法を可変させたときの感度の変化状態を示す図表である。コア101の長さL1=アンテナ銅板102の長さL2=29mm,コア101の幅W1=アンテナ銅板102の幅W2=9mmである。また、アンテナ銅板102の厚みd=0.7mmである。
横軸は、コア101の高さH1とアンテナ銅板102の高さH2の比(コア101の高さH1/アンテナ銅板102の高さH2)であり、縦軸は、コア101を設けずアンテナ銅板102だけで構成したとき(コア101の高さH1=0)のときの感度を基準(0)としたときの感度増加(dB)である。例えば、横軸の「1」は、コア101の高さH1とアンテナ銅板102の高さH2が一致する。
横軸が「1」を超える領域Aは、アンテナ銅板102の高さH2よりもコア101の高さH1が大きい場合であり、例えば、「2」であれば、コア101の高さH1がアンテナ銅板102の高さH2に比して2倍の高さである。一方、横軸が「1」よりも小さい領域Bは、アンテナ銅板102の高さH2よりもコア101の高さH1が小さい場合である。
そして、コア101の高さH1を0(なし),3,4,5,6,7,9mmとし、アンテナ銅板102の高さH2が3,4,5,6,7mmとしたときの感度の変化状態を示してある。図示のように、コア101の高さH1が大きいほど(同時に、アンテナ銅板102の高さH2が大きいほど)、感度増加する。しかし、コア101の高さH1が一定のとき、このコア101に巻かれているアンテナ銅板102の高さH2との比を見ると、領域Aにおいて、最も感度増加が大きい範囲は、横軸におけるコア101の高さH1とアンテナ銅板102の高さH2の比が「1〜2」の範囲であった。
この範囲は、アンテナ銅板102の高さH2に対してコア101の高さH1が2倍までの範囲であり、アンテナ100として小型化を達成するに適した範囲である。特に、コア101の高さH1とアンテナ銅板102の高さH2の比が1.2あるいは1.3が感度増加のピークとなった。また、領域Bについては、いずれも領域Aのピークより低い値となった。
以上の図4,図5の結果により、小型化に最適な範囲は、領域Aにおけるコア101の高さH1とアンテナ銅板102の高さH2の比が「1〜2」の範囲となった。特に、コア101の高さH1とアンテナ銅板102の高さH2の比が1.3の付近が最も感度が良好であった。例えば、コア101の高さH1=4mmのとき、アンテナ銅板102の高さH2=4×1.3=5.2mmが最も感度が良好となる。
なお、領域Bの設定は、アンテナ銅板102の高さH2より、コア101の高さH1の方が小さく、アンテナ銅板102の内部にコア101を納めることができるため、コア101の高さH1を薄くして軽量化を図るために、この領域Bの設定を用いることも考えられる。
また、アンテナ銅板102の板厚dについては、上記0.7mmの他に、0.1,0.3,0.5,1.0mm等があるが、高周波の基本的な性質(表皮効果)ではこの板厚dは導電率に大きな影響を及ぼさないとされている。しかしながら、板厚dが0.1mmおよび0.3mmの場合に比べて板厚dが0.7mmのときには2dB程度の感度増加を得ることができた。
次に、コア101に用いる磁性体の特性について説明する。コア101として用いる軟磁性体(フェライト)は、使用するFM帯域において、Q値が高いものが望ましい。図6は、ある磁性体材料の周波数−Q特性を示す図である。図示のように、使用する周波数100MHz付近においてQ値が高い、例えばQ値が100以上である材質のものを用いる必要がある。
また、コア101として用いる磁性体については、使用する周波数に適した透磁率が必要となる。一般に、コア101に用いる磁性体は、磁束密度B=μH(μ:透磁率,H:交番磁界)であり、このとき、μ=μ1−jμ2である(μ1=μ’,μ2=μ”である)。透磁率μ1,μ2は、周波数によって値が変化する。
図7は、この発明で扱う周波数帯域に用いて適当なコアの透磁率の周波数特性を示す図である。使用する周波数(100MHz付近)において、透磁率μ1がほぼ平坦であり、かつ透磁率μ2ができるだけ小さい値となる材質が好ましい。したがって、図中点線に示す如く、使用する周波数付近で既に透磁率が高い透磁率μ2Xを有する材質は好ましくない。透磁率μ2として示した特性線の如く、使用する周波数(100MHz付近)において透磁率μ2の値が小さい材質を用いることが望ましい。具体的には、使用する周波数(100MHz付近)において、透磁率μ1が10以下、透磁率μ2が0.03以下の材質のものを用いることが好ましい。
以上説明したように、この発明において用いる磁性体は、使用するFM帯域の周波数(100MHz)付近においてQ値が高く、透磁率μ1がほぼ平坦であり、透磁率μ2ができるだけ小さい値となる材質のものを用いることが望ましい。
図8は、この発明のコアに用いることができる材質の一例を示す図表である。図示の材質例は、コア1については、酸化鉄(Fe23)、酸化ニッケル(NiO)を主成分とし、これに酸化銅(CuO)、酸化亜鉛(ZnO)を含む組成のものである。コア2については、酸化鉄(Fe23)、酸化ニッケル(NiO)を主成分とし、これに酸化マンガン(MnO)を含むものである。なお、コア1,コア2は、いずれも棒形状でありそれぞれの長さと幅と高さは、コア1が27×7×3mm,コア2は21×5×3mmの大きさである。
これらコア1,コア2は、いずれも酸化鉄(Fe23)、酸化ニッケル(NiO)を主成分とし、これに酸化銅(CuO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化マンガン(MnO)を組み合わせた組成からなる。このような組成のコア101を用いることにより、図6に示したように、使用するFM帯域の周波数(100MHz)付近においてQ値が高く、また、図7に示したように、透磁率μ1がほぼ平坦であり、透磁率μ2ができるだけ小さい値となり、アンテナ100のコア101として良好な特性を得ることができる。
次に、図1に示したアンテナの感度特性(図4,図5参照)を測定した測定環境について説明する。図9は、この発明のアンテナの感度測定環境を示す図である。アンテナ100の感度は、3m法で用いられる電波暗室900内部で行い、97.3MHzの周波数で地上高h=1.5mのダイポールアンテナを送信アンテナ901として用いた。受信側であるこの発明のアンテナ100を備えた受信装置(小型受信機)300も、同様に地上高1.5mに設け、送信アンテナ901とアンテナ100の距離l=3.0mである。
エンコーダー910および信号発生器911は、上記の周波数97.3MHzで送信パケットを生成し、送信アンテナ901を介して送信する。受信装置300は、バッテリーにより駆動されるものであり、図3に示した各構成部を有している。感度特性の測定のために、図3に示した復調部302は受信パケットに対するパケットエラーの個数を出力し、制御部303はこのパケットエラーの個数をカウントする構成とした。そして、制御部303は、ある一定時間の受信期間における受信パケット数と、パケットエラー個数を表示部306に表示するようになっている。
これら受信パケット数と、パケットエラー個数の割合に基づいて図4,図5に示した受信感度を得る。受信パケット数に対してパケットエラーが10%となる電界強度を受信感度として測定する。なお、この感度測定時には、前述したように、最大のアンテナゲインが得られる状態となるよう、トリマコンデンサ307を調整しておく。
以上のように構成されたアンテナ100は、図4,図5に示した感度特性に基づいてコア101と、アンテナ銅板102の寸法設定を最適に設定することにより、小型で高感度なアンテナとして用いることができる。FM周波数の受信電波は、良好に受信するためには所定の受信感度が必要である。ある種の通信サービスの規格では、電界強度が47(dBμV/m)以上が適切である。この電界強度を満たすようにコア101およびアンテナ銅板102の寸法を設定すれば良い。
具体的には、図5に示した例では、コア101の長さL1=アンテナ銅板102の長さL2=29mm,コア101の幅W1=アンテナ銅板102の幅W2=9mm,アンテナ銅板102の厚みd=0.7mmとしたとき、コア101の高さH1=5mmとし、アンテナ銅板102の高さH2=(H1/H2=1〜1.5)=約3.33〜5mmであり、中でもアンテナ銅板102の高さH2の最適値はH1/H2=1.2(4.16mm)、あるいはH1/H2=1.3(3.85mm)としたとき、ほぼこの通信サービスの規格値を満たすことができる。
次に、このアンテナ100を用いた受信装置300の具体的構成例について説明する。この発明のアンテナは、十分に小型化して感度が良好なものであるため、各種機器に組み込むことができる。特に、ノートPCやPDA、小型ラジオ、携帯型CD/DVDプレーヤーなどの携帯型機器や、装着用の時計等の小型機器や、車載用のラジオ、CD/DVDプレーヤー、ナビゲーション装置等に組み込むことができる。
図10および図11は、この発明のアンテナおよび受信装置を備えた装着用の腕時計を示す図である。図10は正面から見た斜視図、図11は裏面から見た斜視図である。この腕時計1000は、表示画面1001上に時刻、日付等の表示を行う。また、前述したアンテナ100と、時計機能および受信装置300の回路構成を備えた回路基板200が内蔵されている。
アンテナ100と回路基板200との間は、図2を用いて説明したように隙間なく接続することができ、全体を小型化できる。なお、図3に示した操作部305は、側面に配置された複数のボタン1003が用いられ、表示部306は、表示画面1001が用いられる。表示画面1001上には、FM文字多重放送を受信したときの表示画面として文字が表示された例を図示してある。
図示のように、腕時計1000の上部には、樹脂製のカバー1004が設けられ、このカバー1004内部にアンテナ100が収容されている。このカバー1004を通過してアンテナ100がFM帯域の周波数の電波を受信する。また、図11に示すように、腕時計1000の裏面側は、全面に渡って金属製のベースプレート1005となっている。アンテナ100に位置するベースプレート1005部分には、開口穴1005aが形成され、樹脂製の閉塞部材によって塞がれている。これにより、アンテナ100に対する受信電波は、図10に示す正面側と、この正面側に対向する図11の裏面側との間を通過でき(仮想線Cに示す方向)、所定の受信感度を得ることができるようになっている。
また、図12は、この発明のアンテナおよび受信装置を備えた装着用のペンダント型時計を示す正面図である。このペンダント型時計1200は、チェーン1201によって首に吊して持ち運ぶことができる等、装着用途として十分に小型化されている。そして、このペンダント型時計1200は、アンテナ100を収容する樹脂製のトップケース1202と、金属製のボトムケース1203によって構成されている。トップケース1202は、アンテナ100が受信するFM周波数帯域の電波の感度を落とさない構造であれば、例えば裏面側に金属製のものを一部あるいは全体に用いることができる。
図13は、ペンダント型時計の操作状態を示す正面図である。図示のように、トップケース1202に対してボトムケース1203がスライド可能である。ボトムケース1203をスライドさせることにより、表示画面1204および操作ボタン1205を表出させることができる。このようなペンダント型時計1200においても、図10に示したアンテナ100と受信装置300を同様に内蔵し、FM文字多重放送の内容を見ることができる。図示しないヘッドホンジャックあるいは裏面等にスピーカを設けることによりFM放送を視聴することもできる。
次に、以上説明したアンテナ100の形状変更例について説明する。図14は、アンテナ100の変形例を示す正面図である。図示の例は、コア101の一部(4角のうち外側の2角部分)を削った形の傾斜部101aを形成したものである。傾斜部101aの形状に合わせて、このコア101の外周に巻かれるアンテナ銅板102も傾斜部102fを有する。このようにアンテナ100の角部を削った形として不要な突起を無くし小型化することもできる。
例えば、図12に示したペンダント型時計1200はトップケース1202の外形が円弧状に形成されている。このように、アンテナ100が収納されるトップケース1202の形状に対応させるために、図14に示した傾斜部101aを有するアンテナ100を設けることができる。図12には、図14に示したアンテナ100を記載してある。このように、アンテナ100は、直方体や棒形状に限らず、一部を削ったり丸める形状にすることもできる。
以上説明したように、本実施の形態にかかるアンテナによれば、FM帯域の周波数において良好な受信感度を得ることができ、十分に小型化することができる。このアンテナを用いた受信装置も小型化することができ、携帯型機器に対する組み込みも容易に行うことができる。
以上のように、本発明にかかるアンテナおよび受信装置は、FM帯域の周波数を受信するアンテナおよび受信装置に有用であり、特に、アンテナを小型化できるため携帯型や装着用の受信装置に適している。
この発明にかかるアンテナを示す斜視図である。 この発明のアンテナの分解斜視図である。 受信装置の全体構成を示すブロック図である。 アンテナのコアの寸法を一定とし、アンテナ銅板の寸法を可変させたときの感度の変化状態を示す図表である。 アンテナのアンテナ銅板の寸法を一定とし、コアの寸法を可変させたときの感度の変化状態を示す図表である。 ある磁性体材料の周波数−Q特性を示す図である。 この発明で扱う周波数帯域に用いて適当なコアの透磁率の周波数特性を示す図である。 この発明のコアに用いることができる材質の一例を示す図表である。 この発明のアンテナの感度測定環境を示す図である。 この発明のアンテナおよび受信装置を備えた腕時計を正面から見た斜視図である。 この発明のアンテナおよび受信装置を備えた腕時計を裏面から見た斜視図である。 この発明のアンテナおよび受信装置を備えたペンダント型時計を示す正面図である。 ペンダント型時計の操作状態を示す正面図である。 アンテナの変形例を示す正面図である。
符号の説明
100 アンテナ
101 コア
102 アンテナ銅板
102a,102b アンテナ端子
200 回路基板
300 受信装置
301 RF受信部
302 復調部
303 制御部
304 メモリー
305 操作部
306 表示部
307 トリマコンデンサ
1000 腕時計
1200 ペンダント型時計

Claims (16)

  1. 磁性体部材と、
    前記磁性体部材の外周面をほぼ1周巻いて設けられるアンテナ銅板と、
    を備えることを特徴とするアンテナ。
  2. FM帯域の周波数を受信するアンテナにおいて、
    所定の長さ、幅および高さを有する略直方体形状の磁性体部材と、
    前記磁性体部材の長さ方向および幅方向に連続する外周面をほぼ1周巻いて設けられ、前記磁性体部材の高さに対して所定の比の高さを有してなるアンテナ銅板と、
    を備えることを特徴とするアンテナ。
  3. 前記アンテナ銅板の高さは、前記磁性体部材の高さに一致することを特徴とする請求項2に記載のアンテナ。
  4. 前記アンテナ銅板の高さは、前記磁性体部材の高さより薄いことを特徴とする請求項2に記載のアンテナ。
  5. 前記アンテナ銅板の高さは、前記磁性体部材の高さより厚いことを特徴とする請求項2に記載のアンテナ。
  6. 前記アンテナ銅板の高さに対して、前記磁性体部材が有する高さの前記比は、1〜2であることを特徴とする請求項2に記載のアンテナ。
  7. 前記アンテナ銅板の高さに対して、前記磁性体部材が有する高さの前記比は、1.2〜1.3であることを特徴とする請求項6に記載のアンテナ。
  8. 前記磁性体は、FM帯域の周波数における透磁率μ1が20以下であり、透磁率μ2が0.03以下となる材質からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のアンテナ。
  9. 前記磁性体は、酸化鉄(Fe23)および酸化ニッケル(NiO)を主成分としてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のアンテナ。
  10. 磁性体部材と、
    前記磁性体部材の外周面をほぼ1周巻いて設けられるアンテナ銅板と、
    前記アンテナのアンテナ端子に接続される受信手段と、
    を備えることを特徴とする受信装置。
  11. FM帯域の周波数を受信するアンテナにおいて、
    所定の長さ、幅および高さを有する略直方体形状の磁性体部材と、
    前記磁性体部材の長さ方向および幅方向に連続する外周面をほぼ1周巻いて設けられ、前記磁性体部材の高さに対して所定の比の高さを有してなるアンテナ銅板と、
    前記アンテナのアンテナ端子に接続される受信手段と、
    を備えることを特徴とする受信装置。
  12. 前記アンテナ銅板の高さは、前記磁性体部材の高さに一致することを特徴とする請求項11に記載の受信装置。
  13. 前記アンテナ銅板の高さは、前記磁性体部材の高さより薄いことを特徴とする請求項11に記載の受信装置。
  14. 前記アンテナは、前記受信手段の回路基板に直接接続されてなり、前記アンテナを通過する磁束が前記回路基板を通過しないよう配置してなることを特徴とする請求項11〜13のいずれか一つに記載の受信装置。
  15. 前記受信手段は、FM文字多重放送の受信電波を受信および復調出力する復調手段と、
    前記復調手段が出力する文字情報を表示する表示手段と、
    を備えることを特徴とする請求項11〜14のいずれか一つに記載の受信装置。
  16. 前記アンテナ、前記受信手段および前記表示手段を備えた装着型の腕時計からなることを特徴とする請求項11〜15のいずれか一つに記載の受信装置。
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