JP2005039089A - 微粒子を用いるナノ結晶磁石の製造方法 - Google Patents

微粒子を用いるナノ結晶磁石の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 量産性の高い方法で作製した微粒子を用いて性能の高いナノ結晶磁石を製造する方法を提供することにある。
【解決手段】本発明の永久磁石の製造方法は、磁石の原料粉末を用意する工程(a)と、熱プラズマを用いて前記原料粉末を気相化した後、急冷によって凝縮させて複数の微粒子2を形成する工程(b)と、複数の微粒子2を成形することにより、バルク状のナノ結晶磁石を作製する工程(c)とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱プラズマによって作製した微粒子を成形するナノ結晶磁石の製造方法に関している。
組織構造が微細で結晶粒径がナノメートル・サイズの磁石は、「ナノ結晶磁石」と称されている。ナノ結晶磁石の中でも、微細なハード磁性相およびソフト磁性相が同一金属組織内に混在し、磁気的に結合したナノコンポジット磁石が優れた磁石特性を発揮しえるものとして注目されている。
従来、ナノコンポジット磁石などのナノ結晶磁石は、原料となる合金材料の溶湯を急冷し、凝固することによって作製されていた。急冷・凝固によって得られた合金は、非晶質または微細な結晶相(サイズはナノメートル・オーダー)を含む金属組織を有しており、通常、メルトスピニング法やアトマイズ法などの液体急冷法によって作製されている。このようにして得られた急冷凝固合金は、次に粉砕され、粉末粒子が作製される。粉末粒子は、樹脂などと混合されボンド磁石が作製されている。
液体急冷法によって合金溶湯を急冷し、凝固する従来の方法によれば、急冷合金を熱処理することによって所望の結晶相を適切なサイズに成長させる必要がある。最終的な磁石特性は、ナノ結晶磁石を構成する結晶相の種類、サイズ、および分布などに強く依存する。特に、ナノコンポジット磁石の場合は、ハード磁性相およびソフト磁性相が交換結合によって結合する必要があるため、結晶相生成を高度に制御することが必要になる。最終的な磁石組織構造は、原料合金の組成、添加元素、急冷・凝固時の冷却レート、熱処理などの種々のパラメータに依存し、理想的な特性を持つナノコンポジット磁石の量産は実現していない。
このため、従来、広く行なわれてきた液体急冷法による合金溶湯の急冷および熱処理によるのではなく、全く新しい方法で、高性能のナノ結晶磁石を製造することが求められている。
特許文献1は、磁石材料の急冷合金薄帯をレーザアブレーション法によって粉砕することによって超微粒子を生成し、こうして得られた超微粒子からナノコンポジット磁石を作製する技術を開示している。特許文献1には、また、第一鉄塩水溶液中でFeO(OH)の種結晶を成長させ、微粒子を作製した後、水素ガスで還元する技術が開示されている。
特許文献2は、熱プラズマを用いて超微粒子を作製する方法を開示している。
特開2000−270417号公報 特開2000−219901号公報
特許文献1に開示されている方法は、固定された急冷合金薄帯の表面にレーザを照射する方法であるため、蒸発速度が低く量産性に欠ける。また、この方法で作製される個々の粉末粒子のサイズは10μm以上となり、ナノ結晶磁石を構成する微細結晶相のサイズ(好ましくは100nm程度以下)よりも格段に大きい。故に、個々の粉末粒子は内部に多数の結晶粒を含み、それらの方位もランダムになるため、このままでは異方性磁石の製造に用いることはできない。
また、特許文献2に記載されている方法を用いて作製された超微粒子は磁石粉末ではなく、超微粒子を用いて磁石粉末を作製し得ることを示唆する記載はない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、量産性の高い方法で作製した微粒子を用いて性能の高いナノ結晶磁石を製造する方法を提供することにある。
本発明の永久磁石の製造方法は、磁石の原料粉末を用意する工程(a)と、熱プラズマを用いて前記原料粉末を気相化した後、冷却によって凝縮させて複数の微粒子を形成する工程(b)と、前記複数の微粒子を成形することにより、バルク状のナノ結晶磁石を作製する工程(c)とを含む。
好ましい実施形態において、前記工程(c)を行なう前に、前記微粒子を加熱する熱処理工程を含む。
好ましい実施形態において、前記工程(c)を行なう前に、前記微粒子を磁気的に配向させる工程を含む。
好ましい実施形態において、前記工程(c)は、前記微粒子に対して1MPa以上の圧力を印加する工程を含む。
好ましい実施形態において、前記工程(a)は、前記熱プラズマ発生装置内に形成された熱プラズマ中に前記原料粉末を供給する工程を含む。
好ましい実施形態において、前記工程(b)は、ハード磁性相を含む前記微粒子を作製する。
好ましい実施形態において、前記工程(b)はハード磁性相を主として含む芯粒子と、前記芯粒子を覆いソフト磁性相を主として含む表面部とを備えた前記微粒子を作製する。
好ましい実施形態において、前記工程(b)は、第1種類の微粒子を作製する工程(b1)と、前記1種類の微粒子とは平均粒径が異なる第2種類の微粒子を作製する工程(b2)と含んでおり、前記工程(c)は、少なくとも前記第1種類の微粒子および第2種類の微粒子が混合した粉末を用意する工程(c1)と、前記混合粉末を加圧する工程(c2)とを含む。
好ましい実施形態において、前記第1種類の微粒子を作製する工程(b1)を行なうとき、前記原料粉末としてハード磁性相を形成する組成の合金粉末を用いる。
好ましい実施形態において、前記第2種類の微粒子を作製する工程(b2)を行なうときは、前記原料粉末としてソフト磁性相を形成する組成の合金粉末を用いる。
好ましい実施形態において、前記磁石は、ナノコンポジット磁石である。
好ましい実施形態において、前記微粒子の平均粒径は、1nm以上1000nm以下である。
好ましい実施形態において、前記微粒子の平均粒径は、500nm以下である。
好ましい実施形態において、前記工程(c)を行なった後、前記バルク状ナノ結晶磁石を加工する工程を更に有している。
本発明による磁石粉末の製造方法は、上記いずれかの製造方法によって作製されたバルク状ナノ結晶磁石を用意する工程と、前記バルク状ナノ結晶磁石を粉砕する工程とを有する。
本発明によるボンド磁石の製造方法は、上記の磁石粉末の製造方法によって作製された磁石粉末を用意する工程と、前記磁石粉末を成形する工程と有する。
本発明によれば、熱プラズマに原料粉末を供給して気化した後、凝縮・凝固することにより、高い生産性で微粒子を作製することができる。こうして作製した微粒子の粉末を各種の方法により成形し、性能の高いバルク状のナノ結晶磁石を製造することが可能になる。
本発明では、熱プラズマに原料粉末を供給し、気相化した後、冷却することにより、磁石の微粒子(好ましくは超微粒子)を作製する。こうして作製した微粒子を成形することにより、バルク状のナノ結晶磁石を作製することができる。
以下、原料粉末を用意する工程、微粒子を形成する工程、および成形によってバルク状磁石を作製する工程の各々について、好ましい実施形態を説明する。
(原料粉末)
本発明では、最終的に作製する永久磁石の組成に応じて必要な組成を有する原料粉末を用意する。例えばNd−Fe−B系永久磁石を得る場合には、Nd−Fe−B合金粉末を原料粉末として用いることができる。
後で説明する熱プラズマによる気相化・再凝縮に際して原料粉末の組成が変化する可能性がある。不活性ガス雰囲気で気相化・再凝縮を行なっても、原料粉末と同一組成の微粒子ができるわけではない。また、プラズマ化するガスや冷却雰囲気のガスの種類によっては、微粒子と化学的に反応する可能性がある。このような化学反応を考慮して、原料粉末の組成を設定することが望ましい。例えば、熱プラズマを形成する空間内に窒素ガスを供給し、窒素ガスから熱プラズマを形成する場合、原料粉末が気化し、再凝縮する過程で窒化反応が生じる。このため、最終的にSm−Fe−N系永久磁石を得たい場合には、N含有量が最終的な磁石組成におけるものよりも少ないSm−Fe−N系合金粉末、または窒素を実質的に含有しないSm−Fe合金粉末を原料粉末として用いることができる。ナノコンポジット磁石のソフト磁性相として機能するFe窒化物の微粉末を形成する場合、窒素含有量が最終的なソフト磁性相における組成よりも少ないFe−N系合金粉末、または窒素を実質的に含まないFe粉末を、原料粉末として用いることができる。
ハード磁性相およびソフト磁性相が磁気的に結合したナノコンポジット磁石を最終的に作製する場合には、そのナノコンポジット磁石全体の組成に対応する組成を有する合金粉末や複数種類の合金粉末の混合粉を原料粉末として用い、個々の粒子内にハード磁性相とソフト磁性相とが共存する微粒子を作製することができる。あるいは、ハード磁性相に対応する組成を有する原料粉末を用いて第1種類の微粒子を作製する一方で、ソフト磁性相に対応する組成を有する原料粉末を用いて第2種類の微粒子を作製してもよい。この場合、熱プラズマを利用して別々に作製した複数種類の微粒子を混合し、成形(バルク化)することにより、ナノコンポジット構造を持つ高性能磁石を高い自由度で作製することが可能になる。
ナノコンポジット磁石は、微細なハード磁性相およびソフト磁性相が磁気的に結合した組織を有しているが、ハード磁性およびソフト磁性の各々について、ナノメートルサイズの超微粒子を別々に用意して混合・成形すれば、各相の組成やサイズについて従来方法では得られにくかったナノコンポジット構造を実現することが可能になる。
なお、原料粉末の平均粒径や粒度分布は、熱プラズマによって気相化できるものであれば、作製すべき微粒子のサイズや粒度分布にとらわれず適宜決定すればよい。プラズマ中で原料粉末を完全に気化するためには、原料粉末の最大粒径を100μm以下、好ましくは50μm以下に設定することが好ましい。
原料粉末の作製方法としては公知の方法を採用することができる。例えば、鋳造合金や急冷合金を粉砕する方法やアトマイズ法などの公知の粉砕方法を用いて原料合金を粉砕すればよい。
熱プラズマによって作製できる微粒子のサイズは、合金を粉砕することによって得られる微粒子のサイズ(例えば原料粉末のサイズ)よりも小さく設定できるため、各微粒子に含まれる結晶粒の数を少なくして単結晶に近い磁気的異方性を付与することができる。
[微粒子作製]
図1を参照して、本発明の実施形態で好適に使用される微粒子生成装置1を説明する。この装置1は、熱プラズマを用いて微粒子2を作製するためのチャンバー3と、チャンバー3の内部において熱プラズマを生成するためにチャンバーの外側に配置された高周波コイル4と、熱プラズマ生成領域にプラズマ化すべきガスを供給する第1インレット5と、原料粉末を供給するための第2インレット6などを備えている。チャンバー3の上部で高周波コイル4が取り付けられている部分は、石英管などの絶縁体によって構成される。
本発明の好ましい実施形態では、図1に示すような構成を有する装置2の第2インレット6から、上述の原料粉末をチャンバー3の内部に吹き付け、気化する。気化した原料粉末の構成原子は、プラズマ形成領域から下方に落下する過程で急冷され、凝縮・凝固して微粒子2となる。微粒子2は、装置1の下方に堆積し、所定の量に達した段階で装置外へ取り出されることになる。
図1の装置における熱プラズマの形成は、第1インレット5からプラズマ用ガスを内部に噴出させながら、高周波コイル4に高周波電圧を印加することによって行なう。噴出したプラズマ用ガスは、印加された高周波電圧によって電離し、プラズマ化する。図示されている例では、プラズマトーチのプラズマ室内に高温の熱プラズマが形成される。
プラズマ用ガスとしては、アルゴン、ヘリウムなどの希ガスや、窒素ガス、水素ガス、あるいは、これらの混合ガスを用いることができる。形成する微粒子に悪影響を与えないガスであれば、例示していない他の種類のガスを用いてもよい。なお、原料粉末をチャンバー3の内部に吹き込むキャリアガスは、プラズマ用ガスと同様のガスから構成されるが、これらのガスの種類が一致している必要はない。
チャンバー3の上方に形成される熱プラズマの温度は、第2インレット6から供給する原料粉末を気相化できる温度である必要がある。熱プラズマの温度は、最低でも千℃以上に設定される。チャンバー3の内部の雰囲気は減圧状態に限定されず、常圧またはそれを超える圧力を示す状態にあってもよい。
熱プラズマが形成される領域の下方は、気相化した原料粉末の構成原子が冷却によって凝縮しつつ落下しながら凝固して微粒子2となるように、充分な大きさの空間に設計される。この空間は、微粒子2に対する冷却部として機能するが、雰囲気ガスの種類を適宜選択することにより、微粒子2の表面を改質または被覆することも可能である。
このように熱プラズマを利用して微粒子2を製造する装置自体は公知である。例えば、前述の特許文献2に装置の詳細が開示されている。
本発明の方法により、最終的にナノコンポジット磁石を作製する場合は、図1に示す装置1を用いて、ハード磁性相用の超微粒子とソフト磁性相用の超微粒子を別々に作製してもよいが、ハード磁性およびソフト磁性の一方を担う芯粒子の周りを他方の層が被覆した超微粒子を作製してもよい。後者の超微粒子を作製する場合、ソフト磁性の体積比率が大きいと、最終的に得られるナノコンポジット磁石組織内での交換結合が小さくなるため、ハード磁性の芯粒子を薄いソフト磁性層が覆う超微粒子を作製することが好ましい。このような態様は、ハード磁性材料として希土類合金を採用する場合には、ハード磁性相の酸化が抑制されるという利点がある。
最終的にはナノ結晶磁石を作製するため、熱プラズマによって作製され得る微粒子の個々の粒子径は500nm以下に設定することが好ましく、300nm以下に設定することがより好ましく、100nm以下に設定することが更に好ましい。粒子径が500nmを超えると、個々の粒子内の結晶粒が粗大化して優れた磁気特性を有するナノ結晶磁石が作製できない可能性が高くなる。また、個々の粒子内に含まれる結晶粒の数が増加するため、各粒子が磁気的等方性を示すようになる。
ソフト磁性の微粒子を作製する場合、その粒径は100nm以下、好ましくは50nm以下、より好ましくは30nm以下に設定する。ソフト磁性微粒子の粒径が100nmを超えると、最終的に作製されるナノコンポジット磁石中においてハード磁性相との交換結合が不十分となり、磁石特性が低下するからである。
本発明で用いる熱プラズマ法によれば、1nm以上1000nm以下の超微粒子を再現性良く作製できるが、酸化しやすい元素(例えば希土類元素)を含む微粒子を作製する場合は、大気雰囲気と接触させないように後工程での雰囲気を不活性ガスまたは真空度の高い状態にしておくことが好ましい。また、微粒子の個々の粒子径は5nm以上に設定されることが好ましく、10nm以上に設定されることが更に好ましい。粒子径が5nmよりも小さくなると、粉末のかさ密度が大きく、後の工程でのハンドリングが困難になる可能性があるからである。
[熱処理]
上記の方法で作製された微粒子2は、熱プラズマ領域から出て凝固する過程で結晶化し、微粒子の段階でハード磁性相および/またはソフト磁性相を有している場合がある。また、凝固する過程で非晶質化し、磁性相を実質的に含んでいない場合もある。後者の場合、微粒子を成形してバルク状磁石を作製する前に、所望する結晶組織を発現させる目的で熱処理を施してもよい。また、Sm−Fe−N系永久磁石を作製する場合には、本発明で用いる熱プラズマ法によってSm−Fe合金の微粒子を作製した後、窒素雰囲気中で熱処理を行なってもよい。この熱処理により、Sm−Fe合金の微粒子が窒化して、所望の組成に変化する。
この目的で行なう熱処理の温度は、400℃以上800℃以下の範囲に設定することが好ましい。熱処理の温度が400℃を下回ると、所望の結晶組織が得られず、また、800℃を超えると、各微粒子に含まれる結晶粒の成長が進行し、最終的に優れた磁気特性を有するナノコンポジット磁石を得ることが困難になるからである。
このような結晶化のための熱処理を次に行なう成形工程前に実行する代わりに、成形工程中に行なってもよい。すなわち、後述する焼結や熱間成形を行なうときに、バルク化と同時に結晶化を進行させてもよい。
粒径が500nm程度以下の超微粒子に対して熱処理を行なう場合、超微粒子が堆積した状態にあると、超微粒子の二次凝集が生じる可能性がある。このため、装置1内で微粒子2を形成した後、下方に落下して堆積する前に、落下中の微粒子2を加熱するようにしてもよい。
[微粒子の混合]
図2(a)に示すように、ハード磁性粒子(Nd2Fe14B、SmCo5などの超微粒子)とソフト磁性粒子(α−Fe、Co、Fe−Coなど超微粒子)とを別々に形成してナノコンポジット磁石を作製する場合、その混合は公知の方法によって行なうことができる。ただし、微粒子が酸化しやすい元素(NdやFeなど)を含んでいるとき、熱プラズマ装置から取り出した微粒子を酸化性ガス(大気など)と接触させることなく、その後の一連のプロセスを実行する必要がある。このため、微粒子の混合も不活性ガス雰囲気中で行なうことが好ましい。具体的には、水分や酸素が混入しない構成を有する密閉容器20の内部に微粒子および不活性ガスを封入し、この容器20を搬送するようにすることが好ましい。結晶化のための熱処理を行なう場合も、この容器20を全体として加熱すればよい。また、この容器20は、後述する冷間成形、熱間成形、および焼結などの工程を行なう場合にも、そのまま用いることが可能である。
採用する容器20の材質は、最終的に得ようとする永久磁石の組成や、熱処理、焼結条件などによって適宜選定される。例えば、微粒子と反応しないことや、熱処理温度を超える融点を持つことが必要である。Nd−Fe−B系のナノコンポジット磁石を作製する場合には、希土類元素と反応しにくいNbなどからなる膜を少なくとも内面に有する容器20を採用することが望ましい。また、冷間成形や熱間成形を容器20ごと行う場合には、容器20を変形容易な薄肉の金属から形成することが好ましい。また、超微粒子の酸化や発火を抑制するための容器20を用いる代わりに、金属箔で微粒子粉末を包み込み、大気との接触を抑えるようにしてもよい。
[磁界中配向]
本発明の好ましい実施形態によれば、熱プラズマを用いて粒径が極めて小さい超微粒子を作製できるため、個々の微粒子に磁気的異方性を付与することができる。このような微粒子の粉末を成形する際、磁界配向を行なうことにより、異方性を有するナノコンポジット磁石を作製することができる。
磁界配向は、図2(a)に示すように、容器20に微粒子粉末を収納した状態で容器20の外から磁界を印加して行なうことができる。また、後述する冷間成形や熱間成形を行なうに際して、そのための金型内で磁界を印加することも可能である。磁界配向に必要な磁界形成装置としては、電磁石を用いた磁気回路を用いることができるが、高い配向度が要求されない場合には永久磁石から形成した配向用磁石21を用いてもよい。
磁界配向を行なう場合、微粒子はハード磁性を示す状態にあることが好ましい。また、個々の微粒子中に含まれる結晶粒の数が5個を超えると、ひとつの微粒子内における各結晶粒の容易磁化方向がランダムになるため、高い磁気特性を有する異方性磁石を得ることが困難になる。このため、個々の微粒子に含まれる結晶粒の数は5個以下であることが好ましく、3個以下であることが更に好ましい。特に異方性に優れた磁石を得るには、個々の微粒子がほぼ単結晶であることが最も望ましい。一方、超微粒子の粒径が1nmよりも小さくなると、個々の粉末粒子が超常磁性化するため、磁界配向を行なえなくなる。このため、ハード磁性相を含む超微粒子の粒子径は1nm以上であることが好ましい。
[成形]
微粒子粉末の成形は、種々の方法で実現できる。例えば、冷間成形、焼結、熱間加工などによって行なうことができる。
成形は、例えば図2(b)に示すプレス装置を用いて行なうことが可能である。この装置は、ダイ22に設けられ貫通孔に挿入された上パンチ23aおよび下パンチ23bを備えている。貫通穴の壁面と下パンチ23bの上面によって区画される空間(キャビティ)の内部に微粒子の粉末(図の例では混合粉末)を供給した後、上パンチ23aを降下させ、キャビティ内の粉末に圧力を印加し、成形する。このとき、ダイ22の周りに設けたコイル24に電流を流し、配向磁界を印加することも可能である。こうして形成される粉末の成形体25は、図2(b)に模式的に示すように、ハード磁性の微粒子とソフト磁性の微粒子とが混ざり合った状態でバルク状に固化される。個々の微粒子のサイズがナノメートルサイズであるため、ハード磁性相とソフト磁性相とが交換結合できる。
冷間成形を行なう場合、1MPa以上、好ましくは5MPa以上の圧力を付与することが好ましい。冷間成形は、公知の金型成形や冷間静水圧成形(CIP)などを用いることができる。また、前述した容器内に超微粒子を収容した状態で容器ごと加圧して成形してもよい。この場合、成形後に容器から成形体を取り出すことになる。
焼結を行なう場合は、微粒子粉末または冷間加工によって形成した成形体を焼結用容器や金型に投入し、例えば300℃以上800℃以下の温度範囲内で1分以上24時間以下の焼結処理を行なってバルク状磁石を作製する。焼結時の雰囲気は不活性ガスまたは真空であることが好ましい。
通常の焼結を行なう代わりに、熱間静水圧成形(HIP)やスパークプラズマ焼結(SPS)などの加圧焼結法(熱間成形法)を採用しても良い。このような加圧焼結法を行なう場合、充分に緻密化を進行させるため、成形体に印加する圧力を1MPa以上に設定することが好ましく、5MPa以上に設定することが更に好ましい。
磁気特性の向上などを目的として焼結時に外部から粉末成形体に磁界を印加しても良く、また、焼結後のバルク状磁石に熱処理を施しても良い。
こうして得られたバルク状磁石に対しては、更に、各種の加工(冷間加工、熱間加工、機械加工)を施すことにより、所望の形状およびサイズを有する磁石を得ることができる。このような加工を付加的に行なうことにより、磁石の緻密化を促進したり、磁気的異方性を付与したりすることができる。なお、熱間加工としては、圧延、後方押出し、前方押出しなどの公知の方法を採用することができる。
これらの工程を経て得られたバルク状ナノ結晶磁石に対して、必要に応じて、表面処理を行ってもよいし、また、バルク状ナノ結晶磁石を粉砕することによって、ボンド磁石用磁粉を作製してもよい。
以上、ハード磁性微粒子とソフト磁性微粒子と混合した粉末を成形する例を中心に本発明の好ましい実施形態を説明してきたが、本発明は、上述した工程を種々に組み合わせて実行することが可能である。以下の表1は、12組の工程パターンを例示している。
Figure 2005039089
表1における「原料の種類」の欄の「1」とは、熱プラズマで作製した1種類の微粒子から粉末を形成することを意味し、「2」とは、熱プラズマで作製した2種類の微粒子から粉末を形成することを意味する。また、プラズマ複合化とは、ハード磁性の芯粒子の表面をソフト磁性の層で被覆した微粒子を作製し、それによって粉末を形成することを意味している。また、表1における「○」マークは、対応する工程を必ず実行することを意味し、「△」マークは、対応する工程を必要に応じて実行してもよいことを意味している。例えば、熱処理や磁気配向の工程は、「△」マークが付与されているため、必須の工程ではない。グレイの欄は、実行不要な工程を示している。
表1の工程パターンNo.1を例にとって説明すると、この工程パターンでは、まず、1種類の微粒子を作製し、その微粒子粉末を容器に投入する。そして、焼結を行なうことにより、バルク状のナノ結晶磁石を作製する。熱処理、磁気配向、冷間加工、および熱間加工を行なうか否かは、いずれも、任意である。
表1のNo.1〜4では、ハード磁性相のみ、またはハード磁性相と少量の非磁性相とからなる単相型磁石や、ナノコンポジット磁石を作製できる。ナノコンポジット磁石を作製する場合は、熱プラズマによって作製する個々の微粒子の中にハード磁性相ソフト磁性相とが混在するように原料粉末を組成を決定する。
表1のNo.5〜8では、熱プラズマで作製する個々の微粒子の芯部分と表面部分とに分かれてハード磁性相とソフト磁性相とが存在するため、混合工程を行なうことなく、ナノコンポジット磁石を製造することができる。
表1のNo.9〜12では、ハード磁性微粒子とソフト磁性微粒子とを混合することにより、種々のナノコンポジット磁石を作製できる。
本発明の実施形態に好適に用いられる超微粒子製造装置の構成を示す図である。 本発明の好ましい実施形態における製造工程を示す模式図であり、(a)は微粒子粉末を収納する容器と容器内の混合粉末を示す図であり、(b)は、粉末成形のため装置の構成を示す断面図である。
符号の説明
1 微粒子生成装置
2 微粒子
3 チャンバー
4 高周波コイル
5 第1インレット
6 第2インレット
20 容器
21 配向用磁石
22 ダイ
23a 上パンチ
23b 下パンチ
24 コイル
25 成形体

Claims (16)

  1. 磁石の原料粉末を用意する工程(a)と、
    熱プラズマを用いて前記原料粉末を気相化した後、冷却によって凝縮させて複数の微粒子を形成する工程(b)と、
    前記複数の微粒子を成形することにより、バルク状のナノ結晶磁石を作製する工程(c)と、
    を含む永久磁石の製造方法。
  2. 前記工程(c)を行なう前に、前記微粒子を加熱する熱処理工程を含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記工程(c)を行なう前に、前記微粒子を磁気的に配向させる工程を含む、請求項1に記載の製造方法。
  4. 前記工程(c)は、前記微粒子に対して1MPa以上の圧力を印加する工程を含む、請求項1に記載の製造方法。
  5. 前記工程(a)は、前記熱プラズマ発生装置内に形成された熱プラズマ中に前記原料粉末を供給する工程を含む、請求項1に記載の製造方法。
  6. 前記工程(b)は、ハード磁性相を含む前記微粒子を作製する、請求項1に記載の製造方法。
  7. 前記工程(b)は、ハード磁性相を主として含む芯粒子と、前記芯粒子を覆いソフト磁性相を主として含む表面部とを備えた前記微粒子を作製する請求項1に記載の製造方法。
  8. 前記工程(b)は、
    第1種類の微粒子を作製する工程(b1)と、
    前記1種類の微粒子とは平均粒径が異なる第2種類の微粒子を作製する工程(b2)と含んでおり、
    前記工程(c)は、少なくとも前記第1種類の微粒子および第2種類の微粒子が混合した粉末を用意する工程(c1)と、
    前記混合粉末を加圧する工程(c2)と、
    を含む請求項1に記載の製造方法。
  9. 前記第1種類の微粒子を作製する工程(b1)を行なうとき、前記原料粉末としてハード磁性相を形成する組成の合金粉末を用いる、請求項8に記載の製造方法。
  10. 前記第2種類の微粒子を作製する工程(b2)を行なうときは、前記原料粉末としてソフト磁性相を形成する組成の合金粉末を用いる、請求項9に記載の製造方法。
  11. 前記磁石は、ナノコンポジット磁石である、請求項1から10のいずれかに記載の製造方法。
  12. 前記微粒子の平均粒径は、1nm以上1000nm以下である、請求項1から11のいずれかに記載の製造方法。
  13. 前記微粒子の平均粒径は、500nm以下である、請求項12に記載の製造方法。
  14. 前記工程(c)を行なった後、前記バルク状ナノ結晶磁石を加工する工程を更に有している、請求項1から13のいずれかに記載の製造方法。
  15. 請求項1から14のいずれかに記載の製造方法によって作製されたバルク状ナノ結晶磁石を用意する工程と、
    前記バルク状ナノ結晶磁石を粉砕する工程と、
    を有する磁石粉末の製造方法。
  16. 請求項15に記載の製造方法によって作製された磁石粉末を用意する工程と、
    前記磁石粉末を成形する工程と、
    を有するボンド磁石の製造方法。


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