JP2005038942A - 貫通電極付き基板、その製造方法及び電子デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】貫通電極付き基板(1)は、支持基板層(10)とシリコン層(30)との間に埋め込み絶縁層(20)を有するSOIウェハ(2)を用いる。支持基板層(10)に保護層(11)をマスクとして埋め込み絶縁層(20)に達する深さまで形成されたブラインドビアホール(12)に、内壁絶縁層(13)を施して導電層(14)が形成される。また、シリコン層(30)が除去され露出した埋め込み絶縁層(20)の導電層(14)に対応する部分に、導電層(14)との導通を可能にするコンタクトホール(21)が形成される。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、シリコンICチップなどの高密度3次元実装に用いられる貫通電極付き基板と、その製造方法及び電子デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、シリコンICチップなどを積層して高密度3次元実装を効率よく実現するため、シリコン基板を貫通して接続することを可能にする貫通配線を基板に形成することが検討されている。
【0003】
このような貫通配線を実現する貫通電極を基板に形成する方法として、従来は、図3に示すような手順で行っている。
【0004】
まず、図3(a)に示すように、厚さが例えば300〜600μm程度のシリコンウェハ102上に、ブラインドビアホールのマスク用の保護層111を形成する。
【0005】
つぎに、図3(b)に示すように、上記のシリコンウェハ102に、その厚さの70〜90%程度までブラインドビアホール(Blind Via Hole)112を形成する。
【0006】
つぎに、図3(c)に示すように、形成したブラインドビアホール112の内壁に絶縁層113を形成する。
【0007】
つぎに、図3(d)に示すように、内壁絶縁層113を形成したブラインドビアホール112に貫通配線用の金属を充填し、導電層114を形成する。
【0008】
つぎに、図3(e)に示すように、シリコンウェハ102のブラインドビアホール112形成面とは反対(裏面)側から研磨を行い、導電層114を形成している金属部分を露出させる。このとき、裏面に形成されていた保護層(酸化膜)は研磨によって失われる。また、研磨後に例えばエッチングによって、電極部分(導電層114)以外のシリコンをわずかに(例えば数μm)研磨してもよい。
【0009】
つぎに、図3(f)に示すように、裏面側の絶縁のため絶縁層115を形成する。
【0010】
その後、図3(g)に示すように、電極部分(導電層114)に対応する部分の裏面絶縁層115を除去して、導通用のコンタクトホール121を形成する。
【0011】
【特許文献1】
特開2002−64146号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の貫通電極形成方法は、つぎのような問題があった。すなわち、
(1)図3(b)に示すブラインドビアホール形成工程において、エッチングの深さにばらつきが生じる。通常は、シリコンウェハ102の外周部が深く、内周部が浅くなる。
【0013】
(2)また、ブラインドビアホール形成工程において、ブラインドビアホール112の口径が細くなるにつれて(例えば30μm以下)、レーザ顕微鏡等の深さ測長器によりエッチング深さを測定することが困難になり、ブラインドビアホール形成後の深さの検証ができなくなる。
【0014】
(3)図3(e)に示す裏面研磨工程において、最も浅いブラインドビアホール112を基準に研磨を行わなければならない。
【0015】
(4)また、裏面研磨工程において、裏面に形成されていた保護層(酸化膜)が除去されるため、図3(f)に示すように、裏面絶縁層115の形成工程が必要となる。
【0016】
(5)また、裏面研磨工程において、裏面側の保護層すなわち絶縁層が一旦除去されるため、再度形成される絶縁層の品質が悪くなるおそれがあり、その結果裏面側の絶縁耐圧(耐電圧)が低下する。
【0017】
この発明の課題は、上記従来のもののもつ問題点を排除して、ブラインドビアホールの深さおよび裏面側の研磨量を一定にできるとともに、裏面側の絶縁層形成の工程が不要で絶縁耐圧(耐電圧)の低下を未然に防止することのできる貫通電極付き基板と、その製造方法及び電子デバイスを提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を解決するものであって、請求項1に係る発明は、支持基板層とシリコン層との間に埋め込み絶縁層を有するシリコンウェハから作られた貫通電極付き基板であって、前記支持基板層に保護層をマスクとして前記埋め込み絶縁層に達する深さまで形成されたブラインドビアホールに、内壁絶縁層を施して導電層が形成され、前記シリコン層が除去され露出した前記埋め込み絶縁層の前記導電層に対応する部分に、当該導電層との導通を可能にするコンタクトホールが形成された貫通電極付き基板である。
【0019】
請求項2に係る発明は、支持基板層の片面に形成したシリコン酸化膜の表面に単結晶シリコン層を形成することで前記シリコン酸化膜を埋め込み絶縁層として構成したSOIウェハから作られた貫通電極付き基板であって、前記支持基板層に保護層をマスクとして前記埋め込み絶縁層に達する深さまで形成されたブラインドビアホールに、内壁絶縁層を施して導電層が形成され、前記単結晶シリコン層が除去され露出した前記埋め込み絶縁層の前記導電層に対応する部分に、当該導電層との導通を可能にするコンタクトホールが形成された貫通電極付き基板である。
【0020】
請求項3に係る発明は、支持基板層とシリコン層との間に埋め込み絶縁層を有するシリコンウェハを用いた貫通電極付き基板の製造方法であって、前記支持基板層の表面に、ブラインドビアホールのマスク用の保護層を形成する工程と、前記支持基板層に、前記埋め込み絶縁層をストップ層としてブラインドビアホールを形成する工程と、前記ブラインドビアホールの内壁に絶縁層を形成する工程と、前記内壁絶縁層を形成したブラインドビアホールに、貫通配線用の金属を充填して導電層を形成する工程と、前記シリコン層を除去して前記埋め込み絶縁層を露出させる工程と、前記導電層に対応する部分の埋め込み絶縁層を除去して、当該導電層との導通を可能にするコンタクトホールを形成する工程と、を含む貫通電極付き基板の製造方法である。
【0021】
請求項4に係る発明は、請求項1または2に記載の貫通電極付き基板を用いた電子デバイスである。
【0022】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、この発明による貫通電極付き基板の一実施の形態を断面で示す説明図であり、この貫通電極付き基板1は、主にシリコンよりなる支持基板層10(以下、シリコン基板層とする)とシリコン層30との間に、内部絶縁層(以下、埋め込み絶縁層20と称する)を有するシリコンウェハを用いたものである。このような埋め込み絶縁層20を有するシリコンウェハとして、具体的には、シリコン基板層10の片面に形成したシリコン酸化膜20の表面に単結晶シリコン層30を形成することでそのシリコン酸化膜20を埋め込み絶縁層20として構成したSOI(Silicon On Insulator)ウェハ2を使用するものである。なお、一般に熱酸化膜は品質が良好である。
【0023】
この貫通電極付き基板1は、支持基板層(シリコン基板層)10に保護層11をマスクとして埋め込み絶縁層(シリコン酸化膜)20に達する深さまで形成されたブラインドビアホール12に、内壁絶縁層13を施して導電層14が形成され、また、シリコン層(単結晶シリコン層)30が除去され露出した埋め込み絶縁層(シリコン酸化膜)20の導電層14に対応する部分に、導電層14との導通を可能にするコンタクトホール21が形成されたものである。
【0024】
図2は、この発明による貫通電極付き基板の製造方法の一実施の形態を断面で示す説明図であり、この貫通電極付き基板1は、支持基板層10とシリコン層30との間に埋め込み絶縁層20を有するシリコンウェハとして、例えば、シリコン基板層10の片面に、一般には熱酸化により形成したシリコン酸化膜20(熱酸化膜とも称する)の表面に例えば単結晶あるいは多結晶のシリコン層30を貼り合わせあるいは成長によって形成することで、そのシリコン酸化膜20を埋め込み絶縁層20として構成したSOIウェハ2を使用するものである。
【0025】
まず、図2(a)に示すように、SOIウェハ2を用意してその支持基板層10上にブラインドビアホールのマスク用の保護層11を形成する。例えば、SOIウェハ2は全体の厚さが300〜600μmであり、ブラインドビアホールを形成する支持基板層10の厚さが250〜550μm、埋め込み絶縁層20の厚さが0.1〜2μm程度、シリコン層30の厚さが5〜50μm程度のものである。
【0026】
保護層11は通常、二酸化珪素(SiO2)などの酸化膜かフォトレジストのいずれか一方またはその両方が使用される。酸化膜は、例えばシリコンとの選択比が100〜200程度、フォトレジストは50〜100程度であるので、形成されるブラインドビアホールの深さを勘案して、エッチングマスクとしての保護層11の種類および厚さを決定する。すなわち、形成されるブラインドビアホールの口径は、SOIウェハ2全体の厚さより小さくて例えば5〜200μm程度であり、また、ブラインドビアホールの深さは250〜550μm程度であり、また、ブラインドビアホールの形状は丸でも四角でも任意の形状とすることができ、また、ブラインドビアホールの個数は必要に応じて任意の個数とすることができる。
【0027】
つぎに、図2(b)に示すように、上記のSOIウェハ2にブラインドビアホール(Blind Via Hole)12を形成する。このブラインドビアホール形成工程において、例えば、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)法、レーザ加工法、マイクロドリル加工法、PAECE(Photo Assisted Electro−Chemical Etching)法など任意の形成方法を利用することが可能である。
【0028】
このとき、ブラインドビアホール12は、埋め込み絶縁層20をエッチングのストップ層として形成される。すなわち、埋め込み絶縁層20はシリコンと比較してエッチング速度が遅いため(選択比100以上)、基板の外周部のブラインドビアホール12が埋め込み絶縁層20に達してその部分のエッチングが停止した後も、内周部のブラインドビアホール12が埋め込み絶縁層20に達するまでエッチングを継続することが可能である。これにより、SOIウェハ2の全体に亘って深さ均一性の高いブラインドビアホール12が形成され、その深さはSOIウェハ2内において埋め込み絶縁層20が形成された深さとなる。これにより、従来の問題として前述した(1),(2),(3)の問題点が解決される。
【0029】
つぎに、図2(c)に示すように、形成したブラインドビアホール12の内壁に絶縁層13を形成する。この内壁絶縁層形成工程において、例えば、熱酸化法、PE−CVD(Plasma Enhanced−Chemical Vapor Deposition)法、陽極酸化法、スパッタリング法など任意の形成方法を利用することが可能である。
【0030】
つぎに、図2(d)に示すように、内壁絶縁層13を形成したブラインドビアホール12に貫通配線用の金属を充填し、導電層14を形成する。この導電層形成工程において、例えば、溶融金属吸引法、印刷法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法など任意の形成方法を利用することが可能である。
【0031】
つぎに、図2(e)に示すように、シリコン層30全体を除去して埋め込み絶縁層20を露出させる。この裏面シリコン除去工程において、例えば、六フッ化硫黄(SF6)ガス、四フッ化炭素(CF4)ガス、酸素ガス、またはこれらの混合ガスを用いたドライエッチングなどの方法を利用することができ、また、例えば、フッ酸、硝酸、酢酸混合液、水酸化カリウム水溶液を用いたウェットエッチングなどの方法を利用することもでき、さらに、例えば、研磨などの方法を利用することも可能である。
【0032】
この裏面シリコン除去工程により、それまでシリコン層30の内部に形成されていた埋め込み絶縁層20が、裏面側に露出した絶縁層として機能するため、従来の問題として前述した(3),(4),(5)の問題点が解決される。
【0033】
その後、図2(f)に示すように、電極部分(導電層14)に対応する部分の露出した埋め込み絶縁層20を除去して、導電層14との導通を可能にするコンタクトホール21を形成する。このコンタクトホール形成工程において、例えば、パターニングしてからエッチングするなど任意の方法を利用することが可能である。
【0034】
上記のような貫通電極付き基板1の製造方法によれば、
(1)図2(b)に示すブラインドビアホール形成工程において、形成されたブラインドビアホール12の深さにばらつきが生じない。
【0035】
(2)また、ブラインドビアホール形成工程において、ブラインドビアホール12の口径が細くなっても、その口径にかかわらず深さを正確に一定にすることができる。
【0036】
(3)図2(e)に示す裏面シリコン除去工程において、その研磨量を正確に一定にすることができる。
【0037】
(4)また、裏面シリコン除去工程において、埋め込み絶縁層20が新たな絶縁層として機能するため、別途に裏面絶縁層を形成する工程が不要となる。
【0038】
(5)また、裏面シリコン除去工程において、シリコン基板層10の裏面側は露出しないため、絶縁耐圧(耐電圧)の低下が生じない。
【0039】
なお、上記の実施の形態では、シリコン基板層10の片面に形成したシリコン酸化膜20の表面に単結晶シリコン層30を形成することでそのシリコン酸化膜20を埋め込み絶縁層20として構成したSOIウェハ2を使用したが、これに限定するものでなく、支持基板層10とシリコン層30との間に品質良好な埋め込み絶縁層20を有するものであれば、SOIウェハ2以外の適宜のものを使用することが可能である。
【0040】
さらに、この発明は、上記のような貫通電極付き基板1を用いた電子デバイスにも適用されるものである。ここで、電子デバイスとは、貫通電極付き基板上に、あるいは基板自体に、各種半導体回路あるいは素子が形成あるいは搭載されたものを指す。具体的には、LSIや受発光のデバイスを指す。あるいは、これらデバイスがアセンブルされた物の一部分として使う場合も含む。
【0041】
【発明の効果】
この発明は以上のように、支持基板層とシリコン層との間に埋め込み絶縁層を有するシリコンウェハを用いた貫通電極付き基板であって、支持基板層に保護層をマスクとして埋め込み絶縁層に達する深さまで形成されたブラインドビアホールに、内壁絶縁層を施して導電層が形成され、シリコン層が除去され露出した埋め込み絶縁層の導電層に対応する部分に、その導電層との導通を可能にするコンタクトホールが形成された構成としたので、ブラインドビアホールの深さおよび裏面側の研磨量を一定にできるとともに、別工程による裏面側の絶縁層形成が不要であり、品質の良好なSOI基板由来の絶縁層を用いることができるから、別工程にて形成される例えば低温酸化膜等の絶縁層の品質不良による絶縁耐圧(耐電圧)の低下を未然に防止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による貫通電極付き基板の一実施の形態を断面で示す説明図である。
【図2】この発明による貫通電極付き基板の製造方法の一実施の形態を断面で示す説明図である。
【図3】従来の貫通電極付き基板の製造方法の一例を断面で示す説明図である。
【符号の説明】
1 貫通電極付き基板
2 SOI(Silicon On Insulator)ウェハ
10 支持基板層(シリコン基板層)
11 保護層
12 ブラインドビアホール
13 絶縁層(内壁絶縁層)
14 導電層
20 埋め込み絶縁層(シリコン酸化膜)
21 コンタクトホール
30 シリコン層(単結晶シリコン層)
Claims (4)
- 支持基板層とシリコン層との間に埋め込み絶縁層を有するシリコンウェハから作られた貫通電極付き基板であって、
前記支持基板層に保護層をマスクとして前記埋め込み絶縁層に達する深さまで形成されたブラインドビアホールに、内壁絶縁層を施して導電層が形成され、
前記シリコン層が除去され露出した前記埋め込み絶縁層の前記導電層に対応する部分に、当該導電層との導通を可能にするコンタクトホールが形成されたことを特徴とする貫通電極付き基板。 - 支持基板層の片面に形成したシリコン酸化膜の表面に単結晶シリコン層を形成することで前記シリコン酸化膜を埋め込み絶縁層として構成したSOIウェハから作られた貫通電極付き基板であって、
前記支持基板層に保護層をマスクとして前記埋め込み絶縁層に達する深さまで形成されたブラインドビアホールに、内壁絶縁層を施して導電層が形成され、
前記単結晶シリコン層が除去され露出した前記埋め込み絶縁層の前記導電層に対応する部分に、当該導電層との導通を可能にするコンタクトホールが形成されたことを特徴とする貫通電極付き基板。 - 支持基板層とシリコン層との間に埋め込み絶縁層を有するシリコンウェハを用いた貫通電極付き基板の製造方法であって、
前記支持基板層の表面に、ブラインドビアホールのマスク用の保護層を形成する工程と、
前記支持基板層に、前記埋め込み絶縁層をストップ層としてブラインドビアホールを形成する工程と、
前記ブラインドビアホールの内壁に絶縁層を形成する工程と、
前記内壁絶縁層を形成したブラインドビアホールに、貫通配線用の金属を充填して導電層を形成する工程と、
前記シリコン層を除去して前記埋め込み絶縁層を露出させる工程と、
前記導電層に対応する部分の埋め込み絶縁層を除去して、当該導電層との導通を可能にするコンタクトホールを形成する工程と、
を含むことを特徴とする貫通電極付き基板の製造方法。 - 請求項1または2に記載の貫通電極付き基板を用いた電子デバイス。
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