JP2005038883A - 半導体装置、及び分圧回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】単位容量素子アレイの小型化・高精度化。
【解決手段】半導体装置は、複数の単位容量素子Cuで構成される容量素子群C1,C2を有する半導体装置において、容量素子群の上部電極7の全体の外周に、容量素子群の各単位容量素子の下部電極の取り出し電極8を配設しており、容量素子群には所定の容量素子が接続可能であり、所定の容量素子は、少なくとも容量素子群の寄生容量の影響を除去すべく、容量値が設定されてなる。また、所定の容量素子は容量素子群で構成されることができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置、及び分圧回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数の容量素子を組み込んだ半導体装置が知られている。このような半導体装置は、例えばバイポーラ型集積回路で構成される(例えば、特許文献1参照。)。このバイポーラ型集積回路に用いられる単位容量素子の断面構造の一例を図6に示す。図6に示すように、単位容量素子Cyは、P型の半導体基板1、P型の分離領域2、分離領域2で囲まれたN型層からなる島領域3、島領域3の表面に形成されたN型の下部電極領域4、酸化膜5、シリコン窒化膜等の誘電体薄膜6、アルミの上部電極7、及び下部電極の取り出し電極8で構成される。その容量値は、誘電体薄膜6が下部電極4の表面に接している面積で概略決定される。この面積は、下部電極4を被覆する酸化膜5を除去した開口部5aの面積に等しくなる。
【0003】
図7の平面図に示すように、このような単位容量素子Cyを並列接続することで、容量素子群Ca,Cbを構成する。容量比が5:15(1:3)であれば、単位容量素子Cyを5個並べて容量素子Caとする一方、単位容量素子Cyを15個並べて容量素子Cbとする。そして、各単位容量素子Cyは、容量素子群Ca,Cb毎に、接続電極11で共通電極12,13に接続されている。
【0004】
各容量素子群Ca,Cbを構成する容量素子Cyは、上部電極7に接続される電極配線11によって並列に接続されている。電極配線は、例えば3層アルミ配線とすると、第3層目の配線層、つまり最も上層に位置する配線層で形成されている。各単位容量素子Cyの下部電極4は接地電位GNDに接続されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−312784号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述したような容量素子群Ca,Cbを構成するに際し、単位容量素子Cyの設計や、そのレイアウトパターンが問題となる。すなわち、半導体装置に対する小型化及び高精度化の要請から、容量素子群について、できるだけ小さい単位容量素子を用いて、高精度な容量値や容量比を得る必要がある。
【0007】
しかしながら、一般的に、小面積化のため単位容量素子Cyの容量値を小さくするほど、全体の容量値や容量比の精度が悪くなる。そこで、これらの精度を落とさず小面積化を図ることが要求される。
【0008】
ところが、従来の単位容量素子Cyの設計や、前述した図7に示すようなレイアウト方式では、高精度な容量値や容量比を得たり、小型化を図るには不向きであった。すなわち、小型化を図るべく、単純に単位容量素子Cyを小さくすると、容量素子群全体の容量値が所望の値から外れて誤差が大きくなってしまうのである。この誤差の要因の一つとしては、各単位容量素子Cyの下部電極の寄生容量の影響である。この寄生容量としては、例えば、接地GNDに対する寄生容量(対寄生容量)があげられる。また、寄生容量の影響とは、例えば、容量素子群を構成要素として分圧回路等に適用した場合における分圧値の誤差など、寄生容量による回路特性等の誤差を含む不具合である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る半導体装置は、複数の単位容量素子で構成される容量素子群を有する半導体装置において、前記容量素子群の上部電極の全体の外周に、当該容量素子群の前記各単位容量素子の下部電極の取り出し電極を配設しており、
前記容量素子群には所定の容量素子が接続可能であり、当該所定の容量素子は、少なくとも前記容量素子群の寄生容量の影響を除去すべく、容量値が設定されてなる。よって、容量素子群についての寄生容量の影響を除去できる半導体装置が得られる。したがって、高精度な容量値及び容量比の半導体装置が得られる。加えて、除去する寄生容量分、容量素子若しくは容量素子群が小さくなるため、その小型化が図れる。
【0010】
また、前記所定の容量素子は前記容量素子群で構成されることとできる。
【0011】
さらに、前記容量素子群に接続される前記容量素子の所定の容量値から、前記寄生容量の値を差し引いた設定値を当該容量素子の実際の容量値とすることとできる。
【0012】
さらにまた、前記寄生容量の影響を除去する対象となる前記容量素子群に対して印加される電圧は設定変更されることとでできる。
【0013】
また、前記容量素子群に接続される前記容量素子の一端に印加される電圧は固定的な所定値であることとできる。よって、印加される電圧が不定ではない固定の容量素子でもって、印加される電圧が設定変更される容量素子群の寄生容量による影響を除去できる。すなわち、容量素子群に対し、印加する電圧や接続する回路素子等について設計変更を加えて自由度を与えても、前記容量素子でもって寄生容量による影響を除去できる。
【0014】
さらに、前記容量素子群に接続される前記容量素子は、前記容量素子群に接続される外部の回路による外部寄生容量の影響を除去すべく、前記容量値が設定されてなることとできる。よって、外部の回路と接続された場合の寄生容量も除去できる便利な半導体装置が得られる。
【0015】
また、前記取り出し電極は、前記単位容量素子すべての前記取り出し電極を一体化してなることできる。よって、各単位容量素子毎に取り出し電極の引き回しの必要がなく、容量素子群の小面積化が図れて半導体装置を小型化できるとともに、加工がしやすくなる結果、加工精度が向上する。以て、容量比精度が向上する。
【0016】
さらに、前記各単位容量素子は格子状に配置され、前記各容量素子群における互いに隣接する前記各単位容量素子の前記上部電極は、相互に結合されてなることとできる。よって、各単位容量素子毎に上部電極を外部へ引き出す配線パターンを形成せずに済み、高密度で単位容量素子を実装でき、より一層、容量素子群の小面積化が図れる。したがって、より一層、半導体装置の小型化が図れる。また、各単位容量素子は格子状に配置されていることで、加工精度が上がり、以て容量比精度が向上する。
【0017】
さらにまた、前記容量素子群は複数形成されてなることとできる。よって、容量素子群を複数備えた場合でも、これら複数の容量素子群についての寄生容量の影響を除去できる半導体装置が得られる。したがって、高精度な容量値及び容量比の半導体装置が得られるとともに、除去する寄生容量分、容量素子若しくは容量素子群が小さくなるため、半導体装置の小型化が図れる。
【0018】
本発明に係る分圧回路は、前記半導体装置を用いたのであって、前記容量素子群を構成要素とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
===単位容量素子のレイアウト===
本実施の形態の一例を示す図1乃至図8において、前述した図6の断面図に示す従来の部分と同等若しくは共通する部分については、同じ符号を付し、前述した従来の技術における説明にて代用する。例えば、単位容量素子の断面構造については、基本的に図6に示したものと同等である。
【0020】
図1の平面図に示すように、半導体装置は、ペアの容量素子群C1,C2を有する。図中波線で画された左側が容量素子群C1の領域であり、その右側が容量素子群C2の領域である。また、波線の上部が途中で二手に分かれて囲まれた領域には、後述するダミー素子D1,D2が配置されている。
【0021】
各容量素子群C1,C2は、同一の単位容量素子Cuが数多く配置されることで構成される。そして、全ての単位容量素子Cuの上部電極7の全体の外周に、容量素子群C1,C2の各単位容量素子Cuの下部電極の取り出し電極8を配設してなる。
【0022】
したがって、前述した図7に示す従来のレイアウト方式のような場合に比べ、各単位容量素子Cu毎に取り出し電極8の引き回しの必要がなく、容量素子群C1,C2の小面積化が図れて半導体装置を小型化できるとともに、加工がしやすくなる結果、加工精度が向上する。以て、容量比精度が向上する。
【0023】
特に、取り出し電極8は、容量素子群C1,C2の上部電極7の全体を囲むように、帯状に配設されている。このことで、各容量素子群C1,C2毎に、それぞれ取り出し電極8を配設せずに済み、容量素子群C1,C2の小面積化がより一層図れる。また、取り出し電極8は、上部電極7の全体を囲むように配設されているため、取り出し電極8に対する外部回路等との接続が容易となる。
【0024】
但し、容量素子群C1,C2の上部電極の外部接続用端子T1,T2と交差する部分の取り出し電極8については、その一部を切り欠くことでスペースを空けている。このことで、外部接続用端子T1,T2が取り出し電極8と重なることなく取り出せる状態となっている。しかしながら、取り出し電極8が表面上、切り欠かれていても、単位容量素子C1,C2すべての下部電極が互いに接続されていることには変わりない。
【0025】
また、単位容量素子Cuは格子状若しくはアレイ状に配置され、各容量素子群C1,C2において、互いに隣接する各単位容量素子Cuの上部電極7は相互に結合されている。よって、各単位容量素子Cu毎に上部電極7を外部へ引き出す配線パターンを形成せずに済み、高密度で多くの単位容量素子Cuを実装できるとともに、より一層、容量素子群C1,C2の小面積化が図れる。よって、より一層、半導体装置の小型化が図れる。また、各単位容量素子は格子状に配置されていることで、加工が容易となり精度が上がるため、容量比精度が向上する。
【0026】
さらに、容量素子群C1,C2と取り出し電極8との間に生じた空き領域にはダミーの容量素子を配置する。このことで、空き領域に何も存在しないことによる段差の発生が防止でき、加工がしやすくなり、加工精度が上がる。以て、容量比が向上する。
【0027】
===他の実施形態===
他の実施形態に係る半導体装置のレイアウトパターンを図2の平面図に示す。図1を参照して前述した半導体装置と共通する部分は、単位容量素子の容量値設定に関する事項も含め、重複するため、相違する部分を中心に説明する。
【0028】
図2の平面図に示す半導体装置は、三つの容量素子群C4,C5,C6を有する。下段側に、波線で囲まれた二つの領域のうち、左側には容量素子群C4が配設され、右側には容量素子群C5が配設される。そして、残りの大きな領域に、容量素子群C6が配設される。
【0029】
容量素子群C5と二つの容量素子群C4,C6とでは、互いに異なる大きさ(容量)の単位容量素子を用いている。容量素子群C5は、比較的大きいサイズの同一の単位容量素子Cu2が配置されることで構成される。容量素子群C4,C6は、比較的小さいサイズの同一の単位容量素子Cu2が配置されることで構成される。
【0030】
そして、三つの容量素子群C4,C5,C6全ての単位容量素子Cu1,Cu2の上部電極7の全体の外周に、容量素子群C4,C5,C6全ての各単位容量素子Cuの下部電極の取り出し電極8を配設してなる。
【0031】
===特定用途の回路への応用例===
図1を参照して説明した半導体装置は、例えば図3に示すような0.1V単位の精度に対応できる各分圧回路に用いられる。左側の分圧回路は、2.0Vの設定電圧をSOLAR端子で検出し、右側の分圧回路は、2.9Vの設定電圧をEPR端子で検出する。各分圧回路で用いられる容量C1は、図1の半導体装置における容量素子群C1で構成される。また、各分圧回路で用いられる容量C2は、図1の半導体装置における容量素子群C2で構成される。
【0032】
図3の左側の分圧回路では、一端が接地された容量C0,C2の並列回路に対し、容量C1が直列接続されている。この並列回路と容量C1との接続点は、COMP入力端子とし、後段の回路に接続される。
【0033】
一方、図3の右側の分圧回路では、一端が接地された容量C0,C1の並列回路に対し、容量C2が直列接続されている。この並列回路と容量C2との接続点は、COMP入力端子とし、後段の回路に接続される。
【0034】
両分圧回路とも、各容量C0,C1,C2について、所定の容量比が設定されている。その結果、入力端子SOLAR,EPRに印加される電圧について、各設定電圧2.0V,2.9Vを基準とし、三つの容量の接続点たるCOMP入力端子から共通の0.9Vを基準とする電圧が得られる。すなわち、入力端子SOLAR,EPRに印加される電圧が、各設定電圧2.0V,2.9Vを中心に上下に変化すれば、COMP入力端子の電圧は、共通の0.9Vを中心として上下に変化する。
【0035】
これらの分圧回路は、例えば電子ノギス等の計測装置の電圧検出回路系の一部として用いることが可能である。すなわち、これらの分圧回路に接続される後段の回路として、図5に示すようなコンパレータCMPを採用できる。すなわち、各分圧回路のCOMP入力端子をコンパレータCMPの反転入力に接続する。このコンパレータCMPの非反転入力端子には、比較基準として0.9Vの基準電圧Vrefが印加される。この構成により、各分圧回路の入力端子SOLAR,EPRに印加される電圧が各設定電圧2.0V,2.9Vを中心に変化した場合、その変化に応じ、共通のコンパレータCMPから正あるいは負の出力が得られる。
【0036】
次に、図2を参照して説明したレイアウトパターンの半導体装置は、例えば図4に示すような0.1V単位の精度に対応できる各分圧回路に用いられる。左側の分圧回路は、1.3Vの設定電圧をVDD端子で検出し、中央の分圧回路は、1.4Vの設定電圧をVDD端子で検出し、右側の分圧回路は、1.5Vの設定電圧をVDD端子で検出する。各分圧回路で用いられる容量C4は、図2の半導体装置における容量素子群C4で構成される。また、各分圧回路で用いられる容量C5は、図2の半導体装置における容量素子群C5で構成される。さらに、各分圧回路で用いられる容量C6は、図2の半導体装置における容量素子群C6で構成される。
【0037】
図4の左側の分圧回路では、一端が接地された容量C3に対し、容量C4,C5,C6の並列回路が直列に接続されている。この並列回路と容量C3との接続点は、COMP入力端子とし、後段の回路に接続される。なお、容量C3について、容量C4,C5,C6と同様、複数の単位容量素子で構成される容量素子群で構成してもよい。
【0038】
また、図4の中央の分圧回路では、一端が接地された容量C6,C3の並列回路に対し、容量C4,C5の並列回路が直列接続されている。これら並列回路の接続点は、COMP入力端子とし、後段の回路に接続される。
【0039】
さらに、図4の右側の分圧回路では、一端が接地された容量C6,C5,C3の並列回路に対し、容量C4が直列接続されている。この並列回路と容量C4との接続点は、COMP入力端子とし、後段の回路に接続される。
【0040】
これら三つの分圧回路とも、各容量C3乃至C6について、所定の容量比が設定されている。その結果、各入力端子VDDに印加される電圧について、各設定電圧1.3V,1.4V,1.5Vを基準とし、COMP入力端子から共通の0.9Vを基準とする電圧が得られる。すなわち、各入力端子VDDに印加される電圧が、各設定電圧1.3V,1.4V,1.5Vを中心に上下に変化すれば、COMP入力端子の電圧は、共通の0.9Vを中心として上下に変化する。
【0041】
これらの分圧回路は、例えば電子ノギス等の計測装置の電圧検出回路系の一部として用いることが可能である。すなわち、これらの分圧回路に接続される後段の回路として、図5に示すようなコンパレータCMPを採用できる。すなわち、各分圧回路のCOMP入力端子をコンパレータCMPの反転入力に接続する。このコンパレータCMPの非反転入力端子には、比較基準として0.9Vの基準電圧Vrefが印加される。この構成により、各分圧回路の入力端子VDDに印加される電圧が各設定電圧1.3V,1.4V,1.5Vを中心に変化した場合、その変化に応じ、共通のコンパレータCMPから正あるいは負の出力が得られる。
【0042】
===容量素子群の寄生容量の除去===
図1乃至図4を参照して前述した容量素子群C1,C2及びC4乃至C6に関し、その寄生容量の影響を除去する技術について、説明する。
【0043】
まず、容量素子群C1,C2を備える図1の半導体装置の寄生容量の除去について説明する。図3の分圧回路に示すように、前述した通り、半導体装置を構成する容量素子群C1,C2に対し、一端が接地された容量C0(所定の容量素子)が接続される。これら容量素子群C1,C2の接続並びに印加される電圧の態様は、図3に示すように、例えば少なくとも二通りあり、不定であって設定変更される。すなわち、容量素子群C1について、図3の左側の分圧回路では、容量素子群C1のSOLAR端子に2.0Vの設定電圧が印加され、その他端は容量素子群C2と接続される。一方、図3の右側の分圧回路では、容量素子群C1の一端が接地され、その他端は容量素子群C2と接続される。また、容量素子群C2について、図3の左側の分圧回路では、容量素子群C2の一端が接地され、その他端は容量素子群C1と接続される。一方、図3の右側の分圧回路では、容量素子群C2のEPR端子に2.9Vの設定電圧が印加され、その他端は容量素子群C1と接続される。
【0044】
これら容量素子群C1,C2に対し、容量C0は、図3に示すように、左右双方の分圧回路において、一方の端子が接地されている。すなわち、容量C0の一方の端子に印加される電圧は固定的な所定値(接地電位)である。
【0045】
この容量C0の容量値の設定でもって、容量素子群C1,C2の寄生容量の影響の除去を図る。以て、高精度な容量値及び容量比の半導体装置を得る。そして、除去する寄生容量分、容量素子(若しくは容量素子群)C0が小さくなるため、その小型化が図れる。特に、容量素子群C1,C2を構成する半導体装置に接続され、一端に印加される電圧(接地電位)が固定の容量C0でもって、印加される電圧が設定変更される容量素子群C1,C2の寄生容量による影響を除去できる。すなわち、容量素子群C1,C2に対し、印加する電圧や接続する回路素子等について設計変更を加えて自由度を与えても、固定的な容量C0でもって寄生容量による影響を除去できる。
【0046】
この容量値の具体的な設定方法について説明する。まず、その設定の原理について説明する。容量素子群C1,C2に接続される容量C0の理論上の設定値(所定の容量値,寄生容量の影響を盛り込まない値)から、計算した寄生容量の値を差し引く。この差し引いた値を設定値として容量C0の実際の容量値とする。
【0047】
具体的には、図1に示すレイアウトパターンの半導体装置において、容量素子群C1,C2の下部電極4全体の寄生容量値を算出する。レイアウトパターンが決定した半導体装置であれば、単位面積あたりの寄生容量値に対し、下部電極4全体の面積を乗ずることにより、下部電極4全体の寄生容量値を算出できる。この下部電極4全体の寄生容量値を容量C0の理論上の設定値から差し引き、この差し引いた値を設定値として容量C0の実際の容量値とする。
【0048】
加えて、容量C0の実際の容量値を設定するにあたり、半導体装置を構成する容量素子群C1,C2に接続される外部の回路による外部寄生容量の影響を除去することもできる。すなわち、前述したように、図3に示す分圧回路に対して接続される図5のコンパレータ(外部の回路、この回路は電子素子の意義も含む。)を構成するトランジスタの寄生容量も合わせて、容量C0の理論上の設定値から差し引く。このことで、外部の回路と接続された場合の寄生容量も除去できる便利な半導体装置が得られる。
【0049】
なお、外部寄生容量の影響を除去するに際し、コンパレータから各容量素子群C1,C2までの配線それぞれの長さを揃えて同じとすることにより、配線の寄生容量の影響除去を図る。また、各容量素子群C1,C2について、容量値の調整が可能とすべく、トリミング可能な構成とした。
【0050】
また、容量C0を容量素子群C1,C2とともに、一つの半導体装置として一体化する構成も、本発明の技術思想に含まれる。さらに、容量C0自体の寄生容量も含め、半導体装置全体または外部の寄生容量の影響を除去するよう、設計することも、本発明の技術思想に含まれる。
【0051】
次に、容量素子群C4乃至C6を備える図2の半導体装置の寄生容量の除去について説明する。図4の分圧回路に示すように、前述した通り、半導体装置を構成する容量素子群C4乃至C6に対し、一端が接地された容量C3(所定の容量素子)が接続される。これら容量素子群C4乃至C6の接続並びに印加される電圧の態様は、図4を参照して前述したように、例えば少なくとも三通りあり、不定であって設定変更される。
【0052】
これら容量素子群C4乃至C6に対し、容量C3は、図4に示すように、すべての分圧回路において、一方の端子が接地されている。すなわち、容量C3の一方の端子に印加される電圧は固定的な所定値(接地電位)である。
【0053】
この容量C3の容量値の設定でもって、容量素子群C4乃至C6の寄生容量の影響の除去を図る。以て、高精度な容量値及び容量比の半導体装置を得る。そして、除去する寄生容量分、容量素子(若しくは容量素子群)C3が小さくなるため、その小型化が図れる。特に、容量素子群C4乃至C6を構成する半導体装置に接続され、一端に印加される電圧(接地電位)が固定の容量C3でもって、印加される電圧が設定変更される容量素子群C4乃至C6の寄生容量による影響を除去できる。すなわち、容量素子群C4乃至C6に対し、印加する電圧や接続する回路素子等について設計変更を加えて自由度を与えても、固定的な容量C3でもって寄生容量による影響を除去できる。
【0054】
この容量値の設定の原理については、前述した図1及び図3を参照して説明した容量素子群C1,C2の場合と同様である。つまり、容量素子群C4乃至C6に接続される容量C3の理論上の設定値(所定の容量値,寄生容量の影響を盛り込まない値)から、計算した寄生容量の値を差し引く。この差し引いた値を設定値として容量C3の実際の容量値とする。この実際の容量値について、具体的な設定方法は、外部寄生容量の影響の除去も含め、前述した図1及び図3を参照して説明した容量素子群C1,C2の場合と同様である。なお、各容量素子群C4乃至C6についても、容量値の調整が可能とすべく、トリミング可能な構成とした。
【0055】
また、容量C3を容量素子群C4乃至C6とともに、一つの半導体装置として一体化する構成も、本発明の技術思想に含まれる。さらに、容量C3自体の寄生容量も含め、半導体装置全体または外部の寄生容量の影響を除去するよう、設計することも、本発明の技術思想に含まれる。
【0056】
なお、単位容量素子の断面構造の一例として図6に示すものを挙げたが、これに限らず、様々な形態の断面構造を本発明に適用できる。例えば、図8に示す断面構造も本発明の実施形態としては望ましい。すなわち、図8に示すように、単位容量素子の断面構造として、上部電極7の外周に下部電極の取り出し電極8を配置した構成とする。
【0057】
【発明の効果】
容量素子群についての寄生容量の影響を除去できる半導体装置が得られる。したがって、高精度な容量値及び容量比の半導体装置が得られる。加えて、除去する寄生容量分、容量素子若しくは容量素子群が小さくなるため、その小型化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る半導体装置の平面図である。
【図2】本発明の他の実施の形態に係る半導体装置の平面図である。
【図3】図1の半導体装置を用いる分圧回路の構成例を示す回路図である。
【図4】図2の半導体装置を用いる分圧回路の構成例を示す回路図である。
【図5】図3及び図4の分圧回路が接続されるコンパレータを示す回路図である。
【図6】従来と本発明に共通しうる単位容量素子の断面構造の一例を示す図である。
【図7】従来の単位容量素子のレイアウトパターンを示す平面図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る単位容量素子の断面構造の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 半導体基板
2 分離領域
3 島領域
4 下部電極領域
5 酸化膜
6 シリコン窒化膜等の誘電体薄膜
7 アルミの上部電極
8 下部電極4の取り出し電極
Cu 単位容量素子,
C1乃至C6 容量素子群
Cu,Cu1,Cu2 単位容量素子

Claims (10)

  1. 複数の単位容量素子で構成される容量素子群を有する半導体装置において、
    前記容量素子群の上部電極の全体の外周に、当該容量素子群の前記各単位容量素子の下部電極の取り出し電極を配設しており、
    前記容量素子群には所定の容量素子が接続可能であり、当該所定の容量素子は、少なくとも前記容量素子群の寄生容量の影響を除去すべく、容量値が設定されてなることを特徴とする半導体装置。
  2. 前記所定の容量素子は前記容量素子群で構成されることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
  3. 前記容量素子群に接続される前記容量素子の所定の容量値から、前記寄生容量の値を差し引いた設定値を当該容量素子の実際の容量値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
  4. 前記寄生容量の影響を除去する対象となる前記容量素子群に対して印加される電圧は設定変更されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体装置。
  5. 前記容量素子群に接続される前記容量素子の一端に印加される電圧は固定的な所定値であることを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
  6. 前記容量素子群に接続される前記容量素子は、前記容量素子群に接続される外部の回路による外部寄生容量の影響を除去すべく、前記容量値が設定されてなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体装置。
  7. 前記取り出し電極は、前記単位容量素子すべての前記取り出し電極を一体化してなることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体装置。
  8. 前記各単位容量素子は格子状に配置され、前記各容量素子群における互いに隣接する前記各単位容量素子の前記上部電極は、相互に結合されてなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体装置。
  9. 複数の前記容量素子群が前記半導体装置に形成されてなることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の半導体装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれかに記載の半導体装置を用いた分圧回路であって、前記容量素子群を構成要素とする分圧回路。
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