JP2005038629A - リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池用正極活物質、リチウム二次電池用正極及びそれを用いたリチウム二次電池 Download PDF

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Tomoko Katsuzaki
友子 勝▲崎▼
Kenji Okahara
賢二 岡原
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Abstract

【課題】高温保存性が改善されたリチウム二次電池用正極材料を提供すること。
【解決手段】一般式(I)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物からなり、溶出試験によるMnの溶出量が0.75μmol/g以下であることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。
【化1】
LiNiMn1−q−r(I)
(式中、Qは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アルミニウム、カルコゲン元素およびハロゲン元素から選ばれる少なくとも一種の元素を表し、Xは、Ga、Bi、B、Sn、Ge、Pb、PおよびSbから選ばれる少なくとも一種の元素を表し、0<p≦1.2、0.7≦q/r≦9、0≦(1−q−r)≦0.5、0≦t≦0.2を示す。)
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム遷移金属複合酸化物からなるリチウム二次電池用正極材料および該リチウム二次電池用正極材料を用いた二次電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯用電子機器や通信機器の小型化、軽量化に伴い、その電源として二次電池が使用されてきているが、特にリチウム二次電池は、高出力、高エネルギー密度であることから自動車用動力源として注目され、種々の検討が行われている。
【0003】
リチウム二次電池の正極活物質としては、酸化還元電位が高く4V級の二次電池を構成できる等の理由から、標準組成がLiCoOで示されるリチウムコバルト複合酸化物)、標準組成がLiNiOで示されるリチウムニッケル複合酸化物、標準組成がLiMnで示されるリチウムマンガン複合酸化物などが広く用いられている。
【0004】
なかでもスピネル型構造を有するリチウムマンガン複合酸化物は、他の活物質に比べて無害かつ安価であり、過充電時の安全性が高い等の優れた特性を有しているが、高温保存性やサイクル特性に問題があることが知られている。特許文献1には、安定なスピネル構造をもつリチウムマンガン複合酸化物が、これからMnイオンが溶出することよって不安定な結晶構造へ変化し、その結果、リチウムイオンの吸蔵・放出性能が低下すること、及びリチウムマンガン複合酸化物のMnの溶出量を0.2重量%以下に抑えることでサイクル特性を改善できることが記載されているが、この二次電池では高温保存性の改善が不十分である。
【0005】
また、非特許文献1には、スピネル型リチウムマンガン複合酸化物のMnの一部をGa、Cr、Coなどによって置換したものを正極活物質として用いると、容量劣化が抑制できることが記載されている。しかしながら、この方法では、Mnの溶出を防ぐことができず、高温保存性が十分ではない。
一方、リチウムニッケル複合酸化物は、リチウムコバルト複合酸化物に比べて安価であり、かつ高エネルギー密度が可能であるため、近年、正極活物質として期待されている。しかし、リチウムマンガン複合酸化物に比べて金属の溶出量は少ないが、高温において充放電を繰り返した場合の抵抗増加が大きいなどの問題がある。そこで、リチウムニッケル複合酸化物のNiサイトの一部をMn又はMnと他の金属(Fe、Mg、Co、Alなど)、特に、MnおよびCoで置換したリチウムニッケル複合酸化物は、Niの一部をMnに置換することによる安全性の向上などの利点があるため、特に注目されている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−76722号公報
【非特許文献1】J.Electrochem.Soc.,Vol.145,No.8(1998)2726
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このNiの一部をMn及びCoで置換したリチウムニッケル複合酸化物を用いたリチウム二次電池は、高温で保存すると電池容量が低下するという問題がある。夏の炎天下では車内温度が高温となるため、このリチウム二次電池を自動車用として用いるためには、高温保存特性の改善が強く求められている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明らは、Niの一部をMn、好ましくはMn及びCoで置換したリチウムニッケル複合酸化物を正極活物質とするリチウム二次電池は、Mnの溶出と高温保存性とが関係していること、すなわち、Mnの溶出量を少なくすると電池の高温保存性に優れることを見出し本発明に到達した。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るリチウム二次電池用正極活物質は、一般式(I)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物からなり、通常、層状の結晶構造を有する。
【0010】
【化3】
LiNiMn1−q−r(I)
【0011】
一般式(I)中、Qは、NiとMnのサイトの一部を置換する金属元素を表し(このような金属元素を以下「置換金属元素」と呼ぶことがある)、Qは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アルミニウム、カルコゲン元素またはハロゲン元素を表し、具体的には、Mg、Ca、Ti、V、Cr、Fe、Co、Cu、Zn、Zr、Nb、Ta、Alなどが挙げられる。Qとして好ましいのは、Al、Co、Fe、Mg、Ga、Ti、Caであり、なかでもAl、Co、Mg、特にAl、Coが好ましい。最も好ましいのはCoである。また、Qのなかで、Al、CaなどはMnよりも溶媒和しやすいので、これらの元素を含有するよってリチウム遷移金属複合酸化物からのマンガン溶出量を低減することができるので好ましい。また、Vは粒子成長促進剤としても働く点から好ましい。Qは1種類でも、2種類以上を併用してもよい。
【0012】
Xは、粒子成長促進剤または粒子成長促進剤と類似の働きをする元素であり、Ga、Bi、B、Sn、Ge、Pb、PおよびSbからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を表す。なかでもBi、B、Pb、Sbなどが好ましく、特に、粒子表面への拡散性や一次粒子の焼結性などの観点からBi又はBが好ましい。粒子成長促進剤は、一次粒子の粒界で溶融し、一次粒子サイズを増大させ、その結果、正極活物質の比表面積が低下し、正極活物質と電解液との接触面積が減少するため、正極活物質からのMnの溶出を抑制することができるものと推察される。Xは1種類でも、2種類以上を併用してもよい。
【0013】
pは0より大きい数であり、通常1.2以下、好ましくは1.15以下の数を表わす。pが大きすぎると、結晶構造が不安定化したり、これを使用したリチウム二次電池の電池容量低下を招く恐れがある。qは、通常0.3以上、0.8以下、好ましくは0.7以下の数である。rは、通常0.05以上、好ましくは0.1以上であり、通常0.6以下、好ましくは0.45以下の数である。
【0014】
q/rは、層状結晶構造が安定に存在し、また電池特性を悪化させないという観点から、0.7以上、好ましくは0.8以上、特に好ましくは0.9以上であり、9以下、好ましくは8以下、特に好ましくは6以下である。
(1−q−r)の値は、0以上であり、通常0.5以下、好ましくは0.4以下、特に好ましくは0.3以下である。(1−q−r)の値が大きすぎると、電池の容量が低下する恐れがある。
【0015】
tは、0以上、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.002以上、特に好ましくは0.005以上、さらに好ましくは0.01以上であり、0.2以下、好ましくは0.05以下、特に好ましくは0.02以下である。XとしてBiおよび/またはBを用いる場合には、BiとBの合計が、通常0.005以上、好ましくは0.01以上であり、通常0.1以下、好ましくは0.05以下となるようにするのが望ましい。
【0016】
なお、一般式(I)の組成においては、酸素量に多少の不定比性があってもよい。
本発明にかかるリチウム二次電池用正極活物質は、以下に記す溶出試験により求められる負極12mmφに対して析出する正極活物質1g当たりのMnの溶出量が0.75μmol/g以下、好ましくは0.38μmol/g以下であり、Mnの溶出量が非常に低減されていることが特徴である。Mnの溶出量が低減された本発明にかかる正極活物質を用いたリチウム二次電池は、高温保存による放電容量の低下が少なく、高温保存性に優れている。
【0017】
<溶出試験>
(1)正極の作製
正極活物質、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデンを85:10:5の重量比で混合し正極合剤を調製する。これをN−メチルピロリドン溶媒中で10分間分散させ、厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布、乾燥後、12mmφに打ち抜き、正極合剤層の電極密度が2.4±0.1g/ccになるように加圧する。なお、このようにして得られる正極の正極活物質層に含まれる正極活物質の重量が13.2mg±0.5mgとなるように正極合剤の塗布量を適宜調整する。
【0018】
(2)負極の作製
平均粒径約8〜10μmの黒鉛粉末(d002=0.335nm)を活物質とし、これとポリフッ化ビニリデンを92.5:7.5の重量比で混合し負極合剤を調製する。これにN−メチルピロリドンを加えてスラリーとし、これを厚さ20μmの銅箔の片面に塗布、乾燥後、12mmφで打ち抜き、負極合剤層の電極密度が1.5±0.1g/ccになるように加圧する。
【0019】
(3)電池の作成
直径20mm、厚さ3.2mmのコインセルを使用し、正極缶の中に、非水電解液を浸漬させたAlエキスパンドメタル、非水電解液を浸漬させた正極、及びセパレータとして非水電解液を浸漬させた厚さ25μmの多孔性ポリエチレンフィルム2枚を順次挿入した後、正極と負極の短絡を防ぐために、リング状のポリプロピレン製ガスケットで押さえる。さらに、ガスケット上に非水電解液を浸漬させた負極、及び厚みを調整するためのステンレス製のスペーサーをのせ、最後に負極缶をかぶせて、封口し、電池を作製する。コインセルとしては、例えば、宝泉株式会社製「CR2032型コインセル」などが好ましく用いられる。
【0020】
非水電解液としては、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの体積比が3:7の混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1mol/Lとなるように溶解させたものを用いる。
ここで、正極中の正極活物質および負極中の負極活物質の重量比率は、上記の正極を試験極、Li金属を対極としたコインセルを別途作製し、上限電圧4.2Vまで0.2mA/cmで定電流充電をした時の正極活物質重量当たりの初期充電容量をQs[mAh/g]、上記の負極を試験極、Li金属を対極として電池を作製し、下限電圧0Vまで0.5mA/cmの定電流で負極にLiイオンを吸蔵させた時の負極活物質重量当たりの初期吸蔵容量をQf[mAh/g]としたとき、次式を満足するような比率とする。
【0021】
【数2】
正極活物質重量[g]/負極活物質重量[g]=(Qf[mAh/g]/1.2)/Qs[mAh/g]
【0022】
(4)Mn溶解量の分析
上記の正極と負極を組み合わせた電池を25℃の恒温槽中で、0.2Cの定電流で4.1Vまで充電した後1時間定電圧で保持し、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電する。次に1Cで定電流で充電し、4.1Vで1時間保持したのち、1/3Cで3.0Vまで放電する。これと同条件で充放電を更に1回繰り返し、初期の容量確認試験を行う。
【0023】
初期容量確認試験の終了した電池を1/3Cの定電流で4.1Vまで充電し1時間保持した後、80℃の恒温槽中に一週間保存する。
恒温槽から取り出した電池は室温まで冷却し、25℃の恒温槽中、1/3Cで3.0Vまで放電させて残存容量を確認したのち、1Cで4.1Vまで充電した後1時間保持し、1/3Cで3.0Vまで放電する。この充放電を更に2回繰り返す。
【0024】
ついで、この電池を解体し、負極及び負極に接した側の多孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータ1枚を、硝酸と硫酸の混酸中で加熱した後、不溶部分を過塩素酸と硫酸の混酸中で加熱し、完全に溶解させる。この溶解液中のMn量を誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP−AES)により測定し、負極12mmφに対して析出する正極活物質1g当たりのMn溶出量を算出する。
【0025】
本発明に係るリチウム二次電池用正極活物質は、
(1)リチウム遷移金属複合酸化物の製造に際し、原料中にホウ素化合物やビスマス化合物などのような粒子成長促進剤となる元素の化合物を含ませることなどにより、大粒径の一次粒子を生成させて正極活物質の比表面積を小さくし、電解液との接触面積を低減する方法。
(2)リチウム遷移金属複合酸化物の製造に際し、原料中に活物質表層の反応活性点を低減させる作用のある化合物などを含ませることによって、リチウム遷移金属複合酸化物の構造変化や電解液との反応を抑制し、Mnの溶出を抑制する方法。
(3)リチウム遷移金属複合酸化物に表面処理を行い、活物質表面層の反応活性点を低減させ、電解液との反応を抑制し、Mnの溶出を防ぐ方法。
などにより得ることができる。
【0026】
リチウム遷移金属複合酸化物は、ニッケル源、マンガン源及びリチウム源並びに元素Q及び元素Xを含む混合物を焼成することにより得ることができる。混合物は均一な組成の粒状物として焼成に供するのが好ましい。例えばこれらを含有するスラリーを噴霧乾燥して得られた粒状物を焼成に供するのが好ましい。なお、リチウム源はこのスラリーに含有させておいてもよいが、噴霧乾燥により得られた粒状物に後から混合してもよい。また、元素X源も、スラリー中に含有させずに、噴霧乾燥により得られたスラリーに後から混合するのが好ましい。元素X源を含む混合物をその酸化物の融点以上の温度で焼成すると、元素Xの酸化物が一次粒子の焼結を促進しながら二次粒子表面へと拡散し、最終的に二次粒子表面に濃化することで、効果的に正極活物質からのMnの溶出量を低減することができる。
【0027】
リチウム源としては、Li CO ;LiNO;LiOH、LiOH・H Oなどの水酸化リチウム;LiCl、LiIなどのリチウムハロゲン化物;アルキルリチウム、酢酸リチウムなどの有機リチウム化合物などが挙げられる。なかでもLi CO、LiNO 、LiOH・HO、酢酸リチウムが好ましい。ニッケル源及びマンガン源との反応性が良好なのでLiOH・HOが最も好ましい。
【0028】
ニッケル源としては、Ni(OH) ;NiO;NiOOH;NiCO ・2Ni(OH)・4H O;Ni(NO・6HO;NiSO ;NiSO・6H O;ニッケルハロゲン化物;脂肪酸ニッケル、シュウ酸ニッケルなどの有機ニッケル化合物などが挙げられる。なかでも焼成時にNO及びSO等の有害物質を発生させないNi(OH) 、NiO、NiOOH、NiCO・2Ni(OH) ・4H O、NiC・2H Oなどが好ましい。安価に入手でき、かつ湿式粉砕が容易である点で、Ni(OH) 、NiO、NiOOHなどが特に好ましい。
【0029】
マンガン源としては、Mn 、Mn 、MnO などの酸化マンガン;MnOOH;マンガン水酸化物;MnCO;Mn(NO ;MnSO ;マンガンハロゲン化物;有機マンガン化合物などが挙げられる。これらの中でも、Mn 、MnO 、Mn は、最終目的物である複合酸化物のマンガン酸化数に近い価数を有しているため好ましい。さらに工業原料として安価に入手でき、かつ湿式粉砕が容易である点から、特に好ましいのはMn である。
【0030】
元素Qとしては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アルミニウム、カルコゲン元素またはハロゲン元素を表し、具体的には、Mg、Ca、Ti、V、Cr、Fe、Co、Cu、Zn、Zr、Nb、Ta、Alなどが挙げられる。Qとして好ましいのは、Al、Co、Fe、Mg、Ga、Ti、Caであり、なかでもAl、Co、Mg、特にAl、Coが好ましい。Al及びCoは、これを含む複合酸化物をリチウム二次電池の正極活物質として用いたときに、高性能な電池特性、特に繰り返し充放電を行った際の放電容量維持率について良好な性能を示すという利点がある。最も好ましいのはCoである。また、Qのなかで、Al、CaなどはMnよりも溶媒和しやすいので、これらの元素を含有するよってリチウム遷移金属複合酸化物からのマンガン溶出量を低減することができるので好ましい。また、Vは粒子成長促進剤としても働く点から好ましい。元素Qは1種類でも、2種類以上を併用してもよい。
【0031】
元素Xとしては、Ga、Bi、B、Sn、Ge、Pb、Pおよびからなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を表す。なかでもBi、B、Pb、Sbなどが好ましく、特に、粒子表面への拡散性や一次粒子の焼結性などの観点からBi又はBが好ましい。元素Xは1種類でも、2種類以上を併用してもよい。
元素Q、元素Xの元素源としては、オキシ水酸化物、酸化物、水酸化物、ハロゲン化物の他、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の無機酸塩や、酢酸塩、シュウ酸塩等の有機酸塩を挙げることができる。
【0032】
アルミニウム源としては、AlOOH、Al 、Al(OH) 、AlCl 、Al(NO ・9H O、有機アルミニウム化合物及びAl (SO などが挙げられる。好ましくはAlOOH、Al 又はAl(OH) を用いる。工業的に安価に入手でき、かつ反応性が高い点でAlOOHを用いるのが最も好ましい。
【0033】
コバルト源としては、Co(OH) 、CoO、Co 、Co 、酢酸コバルト等の有機コバルト化合物、CoCl 、Co(NO ・6H O、及びCo(SO) ・7H Oなどが挙げられる。好ましくはCo(OH)、CoO、Co 、又はCo を用いる。工業的に安価に入手でき、かつ反応性が高い点でCo(OH)を用いるのが最も好ましい。
【0034】
ビスマス源としては、ビスマス金属、酸化ビスマス、ハロゲン化ビスマス、炭化ビスマス、窒化ビスマス、水酸化ビスマス、カルコゲン化ビスマス、硫酸ビスマス、硝酸ビスマス、有機ビスマス化合物などが挙げられる。
ホウ素源としては、ホウ酸、ホウ素、ハロゲン化ホウ素、炭化ホウ素、窒化ホウ素、酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素有機錯体、有機ホウ素化合物、アルキルホウ酸、ボラン類が挙げられる。
【0035】
スラリーに用いられる分散媒としては、各種の有機溶媒、水性溶媒を使用することができるが、好ましいのは水である。
スラリー中の各元素の配合比は、目的とするリチウム遷移金属複合酸化物の組成に応じて適宜調節する。例えば、ニッケルとマンガンは、原子比(Ni/Mn)が0.7≦Ni/Mn≦9の範囲で、目的とする複合酸化物の組成に応じてその原子比を調節する。また、ニッケル及びマンガンの合計原子数に対するXで表される元素の原子数比(元素X/(Ni+Mn))は、0〜1.0の範囲で目的とする複合酸化物の組成に応じてその原子比を調節する。リチウムは焼成時に揮散しやすいので、目的とする複合酸化物中の比率よりも多めに用いるのが好ましい。
【0036】
スラリーに含まれるリチウム源、ニッケル源、マンガン源、元素X源及び元素Q源の合計の、スラリー全体の重量に対する割合は、通常10重量%以上、好ましくは12.5重量%以上である。スラリー濃度が希薄であると、噴霧乾燥により得られる粒子が小粒化したり、粒子内部に空隙が生じて破損しやすくなったりする。逆に、濃度が高すぎるとスラリーの均一性を保つのが困難となるので、スラリー濃度は50重量%以下、特に35重量%以下とするのが好ましい。
【0037】
各元素源を分散媒中で混合してスラリーを調製する際に、湿式粉砕を行うのが好ましい。湿式粉砕することによりスラリー中での金属元素の均一性を向上させ、かつ、焼成工程での反応性を向上させることができる。特に、固形物の平均粒子径が2μm以下になるまで粉砕することにより、単一相生成物を容易に製造することができる。
【0038】
湿式粉砕に用いる湿式粉砕機としては、ホモジナイザー、ホモミキサー等の主に分散解砕を目的とするものや、ビーズミル、ボールミル、振動ミル等の主に粉砕を目的とするもの等が挙げられるが、後者の粉砕機はスラリー固形分の粉砕効率が非常に高いことから、これを用いてスラリー中の固形分を所望の小粒径にまで粉砕するのが好ましい。特に好ましいのは、ビーズミルによる湿式粉砕である。
【0039】
なお、本発明において、スラリー中の固形分の平均粒子径、噴霧乾燥により得られた粒状物の平均粒子径、及びリチウム遷移金属複合酸化物の平均粒子径は、いずれも公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置によって測定する。この方法の測定原理は次の通りである。即ち、スラリー又は粉体を分散媒に分散させたものにレーザー光を照射し、粒子に入射されて散乱(回折)した散乱光をディテクタで検出する。検出された散乱光の散乱角θ(入射方向と散乱方向の角度)は、大きい粒子の場合は前方散乱(0<θ<90°)となり、小さい粒子の場合は側方散乱又は後方散乱(90°<θ<180°)となる。測定された角度分布値から、入射光波長及び粒子の屈折率等の情報を用いて粒子径分布を算出する。更に得られた粒子径分布から平均粒子径を算出する。測定の際に用いる分散媒としては、例えば0.1重量%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を用いる。
【0040】
ニッケル源、マンガン源並びに必要に応じてリチウム源、元素X源及び元素Q源を含有するスラリーの粘度は、通常50mPa・s以上、好ましくは100mPa・s以上、特に好ましくは200mPa・s以上とする。粘度が小さすぎると噴霧乾燥に大きな負担がかかったり、噴霧乾燥により得られる粒状物が小粒化したり、破損しやすくなる。逆に、粘度が大きすぎるとポンプによるスラリーの輸送が困難になるので、粘度は通常3000mPa・s以下、好ましくは2000mPa・s以下、特に好ましくは1600mPa・s以下とする。スラリーの粘度の測定は、室温でBM型粘度計を用いて行う。
【0041】
次いで、スラリーを乾燥させて粒状物を作製する。乾燥は、より均一な球状原料粉体が得られるという点から噴霧乾燥法が好ましい。スラリーの噴霧乾燥は、公知の方法により行えばよい。例えば、ノズルの先端に気体流とスラリーとを流入させることによってノズルからスラリーを液滴として吐出させ、乾燥ガスと接触させて液滴を迅速に乾燥させる方法を用いることができる。スラリーの噴霧乾燥は、粒状物の平均粒子径が50μm以下、特に30μm以下となるように行うのが好ましい。ただし、あまりに小さな粒径の粒状物は製造困難なので、平均粒径が通常4μm以上、好ましくは5μm以上となるようにする。粒状物の粒子径は、噴霧形式、加圧気体流供給速度、スラリー供給速度、乾燥温度等を適宜選定することによって制御することができる。
【0042】
ノズルからの気体流は、ガス線速として、通常100m/s以上、好ましくは200m/s以上、さらに好ましくは300m/s以上で噴射される。ガス線速が小さすぎると適切な液滴を形成し難くなる。但し、あまりに大きな線速は得にくいので、通常噴射速度は1000m/s以下である。ノズルの形状は、微小液滴を吐出することができるものであればよく、液滴は環状に噴霧すると生産性が向上するので好ましい。
【0043】
乾燥ガスとしては、空気、窒素等を用いることができるが、通常は空気が用いられる。乾燥ガスは加圧して使用することが好ましい。乾燥ガスは搭上部から下部に向かうダウンフローで導入するのが好ましい。この様な構造とすることにより、塔単位容積当たりの処理量を大幅に向上させることができる。また、液滴を略水平方向に噴霧する場合、水平方向に噴霧された液滴をダウンフローガスで抑え込むことにより、乾燥塔の直径を大きく低減させることが可能となり、粒状物を安価かつ大量に製造することが可能となる。
【0044】
乾燥ガス温度は、通常50℃以上、好ましくは70℃以上であり、通常120℃以下、好ましくは100℃以下である。温度が高すぎると、得られた造粒粒子が中空構造の多いものとなり、粉体の充填密度が低下する傾向にあり、一方、低すぎると結露による粉体固着・閉塞等の問題が生じる可能性がある。
噴霧乾燥により得られた粒状物は、そのまま焼成するか、粉末のリチウム源や元素X源と混合した後に焼成して、目的とするリチウム遷移金属複合酸化物とする。
【0045】
粒状物と、リチウム源又は元素X源との混合は、常用の混合装置を用いて行えばよいが、混合時に粒状物が破砕しないように、すなわち粒状物がその形状を実質的に保持するように行うのが好ましい。リチウム源を粒状物と混合してから焼成する場合、リチウム源は最大粒径が100μm以下、特に50μm以下の微粉末として混合するのが好ましい。但し微粉末とする費用と微粉末を用いることによる効果との関係を考慮すると、平均粒径0.1μm以下とする必要はなく、多くの場合は平均粒径0.5μm以上で十分である。
【0046】
粒状物の焼成温度は、原料の種類や、原子比によって異なるが、通常700℃以上、好ましくは750℃以上、更に好ましくは800℃以上であり、また通常1050℃以下、好ましくは950℃以下である。温度が低すぎると、結晶性の良いリチウムニッケルマンガン複合酸化物を得るために長時間の焼成時間を要する。また、温度が高すぎると目的とするリチウムニッケルマンガン複合酸化物以外の結晶相が生成したり、欠陥が多いリチウムニッケルマンガン複合酸化物を生成したりする。このようなリチウムニッケルマンガン複合酸化物を正極活物質として使用したリチウム二次電池は、電池容量が低下したり、充放電による結晶構造の崩壊による劣化を招くことがある。
【0047】
焼成時間は温度によっても異なるが、前述の温度範囲であれば、通常30分以上、50時間以下である。焼成時間が短すぎると結晶性の良い層状リチウムニッケルマンガン複合酸化物を得るのが困難である。焼成時の雰囲気は、通常は空気等の酸素含有ガス雰囲気である。焼成装置としては常用のものを用いればよく、例えば箱形炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルン等を使用することができる。
【0048】
このようにして得られたリチウム遷移金属複合酸化物は、粉体であり、一次粒径が通常0.01μm以上、好ましくは0.02μm以上、更に好ましくは0.1μm以上、通常10μm以下、好ましくは2μm以下、更に好ましくは1μm以下である。特に粒子成長促進剤を配合した場合には、比表面積が通常1.0m/g以下、好ましくは0.8m/g以下となる。比表面積は小さいほうが好ましいが、通常は0.1m/g以上程度である。
【0049】
リチウム遷移金属複合酸化物はそのままリチウム二次電池用正極活物質として用いてもよいが、表面処理を施してから用いてもよい。表面処理を施すことによって、正極活物質表面の反応活性点が低減し、Mnの溶出を抑制することができる。表面処理としては、リチウム遷移金属複合酸化物をシランカップリング剤などの有機ケイ素化合物で表面処理する方法(たとえば特開2002−83596号公報参照)などが挙げられる。
【0050】
本発明に係るリチウム二次電池用の正極は、通常、上記リチウム遷移金属複合酸化物、導電剤及びバインダーを含有する活物質層を集電体上に形成してなる。活物質層は、通常、リチウム遷移金属複合酸化物、導電剤及びバインダーを含有するスラリーを調整し、これを集電体上に塗布・乾燥することで得ることができる。
【0051】
正極に使用される導電剤としては、天然黒鉛、人造黒鉛、アセチレンブラック等を挙げることができる。活物質層中の導電剤の割合は通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上であり、通常50重量%以下、好ましくは10重量%以下である。導電剤が多すぎると容量の面で不十分となることがあり、少なすぎると電気導電性が不十分となることがある。
【0052】
正極に使用されるバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロセルロース等を挙げることができる。正極活物質層中のバインダーの割合は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上であり、通常60重量%以下、好ましくは40重量%以下である。多すぎると容量の面で不十分となることがあり、少なすぎると強度が不十分となることがある。
【0053】
正極活物質層を形成するためのスラリーを調製する際に使用する溶媒としては、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、水等を挙げることができる。
正極集電体としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等が挙げられる。好ましくはアルミニウムである。正極集電体の厚さは、通常1〜1000μm、好ましくは5〜500μm程度である。
【0054】
本発明に係るリチウム二次電池は、通常、上記の正極、負極及び電解質とからなる。
負極は、負極活物質層を集電体上に形成したものや、リチウム金属、リチウム−アルミニウム合金等のリチウム合金などの金属箔が用いられる。
負極活物質層を有する負極は、集電体上に負極活物質、バインダー及び必要に応じて導電剤などを含むスラリーを塗布、乾燥したのち、ローラープレス等により圧密することにより得られる。負極活物質としては、炭素材料を用いるのが好ましく、炭素材料としては、天然黒鉛、熱分解炭素等が挙げられる。負極に使用されるバインダーや導電剤は、正極に使用するものと同様のものを例示することができる。負極集電体としては、銅が好ましく用いられ、その厚さは、通常1〜1000μm、好ましくは5〜500μm程度である。
【0055】
負極のなかでも、炭素材料を含む負極活性層を集電体上に形成したものが好ましい。
電解質としては、電解液、固体電解質、ゲル状電解質などが挙げられるが、なかでも電解液、特には非水電解液が好ましい。非水電解液としては、各種の電解塩を非水系溶媒に溶解したものが挙げられる。電解塩としては、LiCiO、LiAsF、LiPF、LiBF、LiBr、LiCFSO等のリチウム塩が挙げられる。また、非水系溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等が挙げられる。これら電解塩や非水系溶媒は単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。
【0056】
正極と負極の間には、通常セパレーターが設けられる。セパレーターとしては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル等の高分子からなる多孔質高分子フィルム、ガラス繊維等の不繊布フィルター、ガラス繊維と高分子繊維の複合不繊布フィルター等を挙げることができる。
【0057】
【実施例】
本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
LiOH・HO、NiO、Mn、Co(OH)、BiをLi:Ni:Mn:Co:Bi=1.05:0.33:0.33:0.33:0.01(モル比)となるように混合し、これに水を加え、得られたスラリーを噴霧乾燥して、粒状物を作製した。この粒状物を900℃10時間焼成することにより、単相のリチウム遷移金属複合酸化物を得た。
【0058】
このリチウム遷移金属複合酸化物、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデンを85:10:5の重量比で混合し、N−メチルピロリドン中で10分間分散させてスラリーとした。このスラリーを、厚さ20mmのアルミニウム箔の片面に塗布・乾燥して正極物質層を形成した後、直径12mmの円形に打ち抜き、ついで正極活物質層を加圧して、正極活物質層の密度が2.39g/ccの正極を作製した。このようにして得られた正極の正極活物質層に含まれる正極活物質の重量は、13.7mgであった。
【0059】
平均粒径10μm、d002=0.335nmの黒鉛粉末と、ポリフッ化ビニリデンを92.5:7.5の重量比で混合し、これにN−メチルピロリドンを加えてスラリーとした。このスラリーを厚さ20μmの銅箔の片面に塗布、乾燥して負極活物質層を形成した後、直径12mmの円形に打ち抜き、ついで負極活物質層を加圧して、負極活物質層の密度が1.55g/ccの負極を作製した。
【0060】
正極中の正極活物質と負極中の負極活物質は、正極活物質重量当たりの初期充電容量をQs[mAh/g]、負極活物質当たりの負極の充電容量をQf[mAh/g]としたときに、次式を満足する比率で用いた。
【0061】
【数3】
正極活物質重量[g]/負極活物質重量[g]=(Qf[mAh/g]/1.2)/Qs[mAh/g]
エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの体積比が3:7の混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1mol/Lとなるように溶解させ、非水電解液を調製した。
【0062】
宝泉株式会社製CR2032型コインセル(直径20mm、深さ3.2mm)を用い、正極缶の中に、非水電解液を浸したアルミニウムエキスパンドメタル、非水電解液を浸した上記の正極、非水電解液を浸した厚さ25μmの多孔質ポリエチレンフィルム2枚を順番に置いた後、ポリプロピレン製ガスケットを載せて押さえた。さらに、非水電解液を浸した上記の負極及びSUS製スペーサーを入れ、最後に負極缶をかぶせて封口し、電池を作製した。
【0063】
得られた電池を25℃の恒温槽中で、0.2Cの定電流で4.1Vまで充電した後1時間定電圧で保持し、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電し、次に1Cで定電流で充電し4.1Vで1時間保持したのち、1/3Cで3.0Vまで放電した。これと同条件で充放電を更に1回繰り返し、初期の容量確認試験を行なった。なお、2回目の充電−放電時に放電容量を求めた。この結果を保存前放電容量として表−1に示す。
【0064】
初期容量確認試験の終了した電池を1/3Cの定電流で充電端が4.1Vとなるまで充電し、1時間保持した。このときの電位を保存前電位として表−1に示す。
この充電された電池を80℃の恒温槽中に一週間保存した後、25℃の恒温槽中で電位を測定した。このときの電位を保存後電位として表−1に示す。ついで、25℃の恒温槽中、1Cの定電流で充電端が4.1Vになるまでまで充電し1時間保持した後、1/3Cで3.0Vまで放電し、放電容量を確認した。
【0065】
保存前放電容量(Qbefore)と保存後放電容量(Qafter)から、回復率((Qafter/Qbefore)×100)を求めた。結果を表−1に示す。
ついで、この電池を解体し、負極と多孔質ポリエチレンフィルムとを、硝酸と硫酸の混酸中で加熱した後、不溶部分を過塩素酸と硫酸の混酸中で加熱し、完全に溶解させた。この溶解液中のMn含有量を誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP−AES)により測定し、負極12mmφに対して析出する正極活物質1g当たりのMn溶出量を算出した。
【0066】
<比較例1>
リチウム遷移金属複合酸化物の原料として、LiOH・HO、NiO、Mn、Co(OH)をLi:Ni:Mn:Co=1.05:0.33:0.33:0.33(モル比)で用いた他は実施例1と同様に行って正極を作製した。得られた正極の正極活物質層に含まれる正極活物質の重量は、13.3mgであった。
【0067】
得られた正極を用いて、実施例1と同様に電池を作製し電池性能およびMn溶出量の測定を行った。結果を表−1に示す。
【0068】
【表1】
Figure 2005038629
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、高温保存時の劣化を抑制したリチウム二次電池用正極活物質およびリチウム二次電池を提供することができる。

Claims (4)

  1. 一般式(I)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物からなり、下記の溶出試験によるMnの溶出量が0.75μmol/g以下であることを特徴とするリチウム二次電池用正極活物質。
    Figure 2005038629
    (式中、Qは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アルミニウム、カルコゲン元素およびハロゲン元素から選ばれる少なくとも一種の元素を表し、Xは、Ga、Bi、B、Sn、Ge、Pb、PおよびSbから選ばれる少なくとも一種の元素を表し、0<p≦1.2、0.7≦q/r≦9、0≦(1−q−r)≦0.5、0≦t≦0.2を示す。)
    <溶出試験>
    (1)正極の作製
    正極活物質、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデンを85:10:5の重量比で混合し正極合剤を調製する。これをN−メチルピロリドン溶媒中で10分間分散させ、厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布、乾燥後、12mmφ円形に打ち抜き、正極合剤層の電極密度が2.4±0.1g/ccになるように加圧する。得られた正極の正極活物質層に含まれる正極活物質の重量は、13.2mg±0.5mgとなるようにする。
    (2)負極の作製
    平均粒径約8〜10μmの黒鉛粉末(d002=0.335nm)を活物質とし、これとポリフッ化ビニリデンを92.5:7.5の重量比で混合し負極合剤を調製する。これにN−メチルピロリドンを加えてスラリーとし、これを厚さ20μmの銅箔の片面に塗布、乾燥後、12mmφ円形に打ち抜き、負極合剤層の電極密度が1.5±0.1g/ccになるように加圧する。
    (2)電池の作製
    直径20mm、深さ3.2mmのコインセルを使用し、正極缶の中に、非水電解液を浸漬させた厚さ0.25mmのAlエキスパンドメタル、非水電解液を浸漬させた正極、非水電解液を浸漬させた多孔性ポリエチレンフィルム2枚、ポリプロピレン製ガスケット、非水電解液を浸漬させた負極及びスペーサーを順に挿入した後、負極缶をかぶせて封口し、電池を作製する。
    非水電解液としては、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの体積比が3:7の混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1mol/Lとなるように溶解させたものを用いる。
    ここで、正極中の正極活物質および負極中の負極活物質の重量比率は、上記の正極を試験極、Li金属を対極としたコインセルを別途作製し、上限電圧4.2Vまで0.2mA/cmで定電流充電をした時の正極活物質重量当たりの初期充電容量をQs[mAh/g]、上記の負極を試験極、Li金属を対極として電池を作製し、下限電圧0Vまで0.5mA/cmの定電流で負極にLiイオンを吸蔵させた時の負極活物質重量当たりの初期吸蔵容量をQf[mAh/g]としたとき、次式を満足する比率とする。
    Figure 2005038629
    (4)Mn溶解量測定
    上記の正極と負極を組み合わせた電池を25℃の恒温槽中で、0.2Cの定電流で4.1Vまで充電した後1時間定電圧で保持し、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電する。次に1Cで定電流で充電し、4.1Vで1時間保持したのち、1/3Cで3.0Vまで放電する。これと同条件で充放電を更に1回繰り返し、初期の容量確認試験を行う。
    初期容量確認試験の終了した電池を1/3Cの定電流で4.1Vまで充電し1時間保持した後、80℃の恒温槽中に一週間保存する。
    恒温槽から取り出した電池は室温まで冷却し、25℃の恒温槽中、1/3Cで3.0Vまで放電させて残存容量を確認したのち、1Cで4.1Vまで充電した後1時間保持し、1/3Cで3.0Vまで放電する。この充放電を更に2回繰り返す。
    ついで、この電池を解体し、負極と、負極に接した側の多孔性ポリエチレンフィルム1枚とを、硝酸と硫酸の混酸中で加熱した後、不溶部分を過塩素酸と硫酸の混酸中で加熱し、完全に溶解させる。この溶解液中のMn量を誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP−AES)により測定し、負極12mmφに対して析出する正極活物質1g当たりのMn溶出量を算出する。
  2. 請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質、導電材及びバインダーからなる正極活物質層を有することを特徴とするリチウム二次電池用正極。
  3. 請求項2に記載のリチウム二次電池用正極、負極及び電解質からなることを特徴とするリチウム二次電池。
  4. 正極、負極、電解液及びセパレータからなるリチウム二次電池であって、正極活物質が一般式(I)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物であり、かつ、下記の溶出量測定法によるマンガンの溶出量が0.75μmol/g以下である正極を用いることを特徴とするリチウム二次電池。
    Figure 2005038629
    (式中、Qは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アルミニウム、カルコゲン元素およびハロゲン元素から選ばれる少なくとも一種の元素を表し、Xは、Ga、Bi、B、Sn、Ge、Pb、PおよびSbから選ばれる少なくとも一種の元素を表し、0<p≦1.2、0.7≦q/r≦9、0≦(1−q−r)≦0.5、0≦t≦0.2を示す。)
    <電池の作製>
    直径20mm、深さ3.2mmのコインセルを使用し、正極缶の中に、非水電解液を浸漬させた厚さ0.25mmのAlエキスパンドメタル、非水電解液を浸漬させた12mmφ円形に打ち抜いた正極、非水電解液を浸漬させた多孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータ2枚、ポリプロピレン製ガスケット、非水電解液を浸漬させた12mmφ円形に打ち抜いた負極及びスペーサーを順に挿入した後、負極缶をかぶせて封口し、電池を作製する。
    非水電解液としては、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの体積比が3:7の混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1mol/Lとなるように溶解させたものを用いる。
    <Mn溶解量測定>
    上記の電池を25℃の恒温槽中で、2Cの定電流で4.1Vまで充電した後1時間定電圧で保持し、0.2Cの定電流で3.0Vまで放電する。次に1Cで定電流で充電し、4.1Vで1時間保持したのち、1/3Cで3.0Vまで放電する。これと同条件で充放電を更に1回繰り返し、初期の容量確認試験を行う。
    初期容量確認試験の終了した電池を1/3Cの定電流で4.1Vまで充電し1時間保持した後、80℃の恒温槽中に一週間保存する。
    恒温槽から取り出した電池は室温まで冷却し、25℃の恒温槽中、1/3Cで3.0Vまで放電させて残存容量を確認したのち、1Cで4.1Vまで充電した後1時間保持し、1/3Cで3.0Vまで放電する。この充放電を更に2回繰り返す。
    ついで、この電池を解体し、負極と負極に接した側の多孔性ポリエチレンフィルム1枚とを、硝酸と硫酸の混酸中で加熱した後、不溶部分を過塩素酸と硫酸の混酸中で加熱し、完全に溶解させる。この溶解液中のMn量を誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP−AES)により測定し、負極12mmφに対して析出する正極活物質1g当たりのMn溶出量を算出する。
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