JP2005037286A - バッテリ充放電電流検出装置 - Google Patents

バッテリ充放電電流検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 電流センサの検出値に含まれるオフセット誤差等の誤差を既存の構成で容易に検出して、充放電電流値を精度よく検出することができるバッテリ充電電流検出装置を提供する。
【解決手段】 車両用電気負荷2に電力を供給するバッテリの充放電電流を検出する電流センサ11が備えられたバッテリ充放電電流検出装置1において、イグニッションキースイッチ14がオンからオフに切り換わった直後の電流センサ11の検出値からオフセット誤差を検出して記憶し、該記憶されているオフセット誤差を用いて上記電流センサ11の検出値を補正する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車両用電気負荷に電力を供給するバッテリの充放電電流検出装置に関し、電流センサの誤差補正の技術分野に属する。
一般に、車両には、車両用電気負荷に電力を供給するバッテリや、車両用電気負荷及びバッテリに電力を供給する発電機が備えられると共に、上記バッテリの充放電電流を検出するために電流センサ等が備えられるが、この電流センサの検出値には誤差が含まれていることがあり、その場合、以下のような問題が生じる。
すなわち、バッテリの残容量は、初期容量に対して、電流センサで検出された充電電流値の積算値(充電量)を加算すると共に放電電流値の積算値(放電量)を減算することにより算出されるが、上記誤差が発生すると、充電量及び放電量、これに基づいて算出されるバッテリの残容量の算出精度が低下し、例えば、バッテリの充電時において、検出された充電電流値(検出値)の方が実際の充電電流値(真値)よりも大きい場合、実充電量が不足してバッテリ上がりをおこす虞があり、検出値の方が真値よりも小さい場合、過充電となってバッテリの劣化を招く虞がある。また、バッテリの放電時において、検出された放電電流値(検出値)の方が実際の放電電流値(真値)よりも小さい場合、放電過多となってバッテリ上がりをおこす虞があり、検出値の方が真値よりも大きい場合、バッテリの実残容量が算出された残容量より多くなって、次の充電時に過充電を招く虞がある。
ところで、上記誤差としては、例えば、真値がゼロであるときに検出値がゼロ以外の値と検出されるオフセット誤差や、真値の変化分と検出値の変化分とが一致しなくなるゲイン誤差があるが、これらの誤差のうち特にオフセット誤差は、電流センサの温度変化やヒステリシス等によって変動しやすいので、該オフセット誤差を検出して、電流センサで検出された検出値を補正することがある。
例えば、特許文献1には、電気負荷及びバッテリに電力を供給する発電機の出力電流計測用の電流センサの検出値に含まれるオフセット誤差を検出するために、一時的に発電電圧をバッテリの電圧より低下させて発電機の出力電流がゼロとなる状態を作り出し、このときの電流センサの検出値をオフセット誤差とするものが開示されている。
特開平3−256539号公報
しかしながら、バッテリの場合は、その充放電電流は、発電電圧とバッテリ電圧との関係、バッテリの残容量、負荷の作動状態等により変化するから、発電電圧の制御を行ったとしても、バッテリ電流がゼロの状態を作り出すことはできない。
そこで、バッテリの充放電をスイッチ等で遮断することにより、バッテリの充放電電流がゼロとなる状態を作り出すことが考えられるが、スイッチを設けるとコストがアップするだけでなく、スイッチ制御のために制御が複雑化する。
そこで、本発明は、電流センサの検出値に含まれるオフセット誤差等の誤差を既存の構成で容易に検出して、充放電電流値を精度よく検出することができるバッテリ充電電流検出装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に記載の発明(以下、第1発明という)は、車両用電気負荷に電力を供給するバッテリの充放電電流を検出する電流センサが備えられたバッテリ充放電電流検出装置であって、イグニッションキーがオンからオフに切り換わった直後の電流センサの検出値からオフセット誤差を検出するオフセット誤差検出手段と、該検出手段で検出されたオフセット誤差を記憶するオフセット誤差記憶手段と、該記憶手段で記憶されているオフセット誤差を用いて上記電流センサの検出値を補正するオフセット誤差補正手段とが備えられていることを特徴とする。
また、本願の請求項2に記載の発明(以下、第2発明という)は、第1発明において、車両用電気負荷のうちの所定の電気負荷の消費電流値を記憶する消費電流値記憶手段と、上記所定電気負荷がオン状態かオフ状態かを検出する作動状態検出手段と、該作動状態検出手段で上記所定電気負荷がオン状態と検出されたときの電流センサの検出値とオフ状態と検出されたときの電流センサの検出値との差分と上記消費電流値記憶手段で記憶されている所定電気負荷の消費電流値とに基づいてゲイン誤差を算出するゲイン誤差算出手段と、該算出手段で算出されたゲイン誤差を記憶するゲイン誤差記憶手段と、該記憶手段で記憶されているゲイン誤差を用いて上記電流センサの検出値を補正するゲイン誤差補正手段とが備えられていることを特徴とする。
そして、本願の請求項3に記載の発明(以下、第3発明という)は、第1発明または第2発明において、オフセット誤差記憶手段は、オフセット誤差検出手段で検出されたオフセット誤差が所定値以上のときは、該誤差を記憶しないことを特徴とする。
さらに、本願の請求項4に記載の発明(以下、第4発明という)は、第1発明から第3発明のいずれかにおいて、オフセット誤差検出手段がオフセット誤差を検出するときの電流センサの温度に関連するパラメータ値を検出するパラメータ値検出手段が備えられ、オフセット誤差記憶手段は、上記パラメータ値検出手段で検出されたパラメータ値が所定の適正範囲内にないときは、オフセット誤差を記憶しないことを特徴とする。
また、本願の請求項5に記載の発明(以下、第5発明という)は、第1発明から第4発明のいずれかにおいて、オフセット誤差記憶手段及びゲイン誤差記憶手段は、オフセット誤差検出手段及びゲイン誤差検出手段で検出されたオフセット誤差及びゲイン誤差を直近の所定回数分記憶すると共に、オフセット誤差補正手段及びゲイン誤差補正手段は、該直近の所定回数分の記憶値を平均した値をオフセット誤差及びゲイン誤差として用いて電流センサの検出値を補正することを特徴とする。
次に、本発明の効果について説明する。
まず、第1発明によれば、イグニッションキーがオンからオフに切り換わった直後の電流センサの検出値からオフセット誤差を検出するようにしたから、強制的にバッテリの充放電電流がゼロの状態を作り出す必要がなくなり、この結果、スイッチ等を設けることなく既存の機器構成で容易に電流センサの検出値に含まれるオフセット誤差を検出することができるようになり、また、コストアップを抑制することができる。また、この検出されたオフセット誤差に基づいて検出値を補正することにより、該検出値に含まれている誤差を軽減することができ、充放電電流値を精度よく検出することができる。
また、第2発明によれば、車両用電気負荷のうちの所定の電気負荷のオン時における電流センサの検出値とオフ時における検出値との差分と、予め記憶されている上記所定電気負荷の消費電流値(真値)とに基づいてゲイン誤差を算出するから、第1発明同様、別途専用の機器類を新設することなく、既存の機器構成で容易にゲイン誤差を検出することができるようになる。そして、この検出されたゲイン誤差に基づいて検出値を補正することにより、該検出値に含まれている誤差を軽減することができる。
そして、第3発明によれば、オフセット誤差検出手段で検出されたオフセット誤差が所定値以上のときは、該誤差を記憶しないから、補正精度の低下を防止することができる。すなわち、検出されたオフセット誤差が所定値以上のときは、例えばコントロールユニットやそれに付随する微小な消費電流の電気負荷が一時的に多く作動していることが考えられ、そのような場合、正確にオフセット誤差を検出することができなくなってしまうが、該第3発明によれば、該誤差の記憶が禁止されるから、補正精度の低下が防止されるのである。
さらに、第4発明によれば、電流センサの温度に関連するパラメータ値が所定の適正範囲内にないときは、この検出された誤差を記憶しないから、補正精度の低下を防止することができる。すなわち、電流センサの温度に関連するパラメータ値が所定の適正範囲内にないときは、電流センサの検出値の信頼性が低く、正確にオフセット誤差を検出することができない状態であるが、そのような場合、該第4発明によれば、この検出された誤差の記憶が禁止されるから、補正精度の低下が防止されるのである。
また、第5発明によれば、複数回にわたって検出されたオフセット誤差及びゲイン誤差を平均することで、それぞれ検出値の補正精度が向上する。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、このバッテリ充放電電流検出装置1が設けられた車両の電気系統を示している。該車両には、エアコン、ヘッドランプ、デフォッガ等の車両用電気負荷2に電力を供給するバッテリ3と、上記車両用電気負荷2に電力を供給すると共にバッテリ3を充電する発電機4とが備えられている。ここで、バッテリ3は自動車用に一般的に用いられる鉛蓄電池であり、発電機4はオルタネータ及び出力電圧調整用のレギュレータ等で構成されている。
また、この充放電電流検出装置1は、コントロールユニット10と、バッテリ3の充放電電流を検出する電流センサ11と、バッテリ3の温度を検出する温度センサ12と、電気負荷2の作動状態を検出する電気負荷作動状態検出器13とを有する。そして、コントロールユニット10は、これらのセンサからの信号を入力すると共に、イグニッションキースイッチ14からのON・OFF信号等を入力し、これらの信号に基づいて発電機4の出力電圧を制御することにより、バッテリ3の充放電、すなわちバッテリ3の残容量を制御する。なお、上記電流センサ11は温度センサ12の近傍に配置されており、該温度センサ12は電流センサ11の温度に関連する値を検出するセンサとしても機能する。
ところで、背景技術で説明したように、一般に電流センサの検出値にはオフセット誤差やゲイン誤差が含まれている。これを、図2を用いて説明すると、検出値Yの真値Xに対する理想的な特性は、実線で示すようにY=Xの特性となるべきであるが、上記ゲイン誤差やオフセット誤差により、点線で示すようにY=GX+Dの特性となってしまう。その場合、バッテリの残容量制御の精度が低下するので、これを防止するためには、Y=GX+Dという特性で出力された検出値を、理想特性Y=Xに一致させる補正をおこなえばよい。すなわち上記実特性の式を変形したX=(Y−D)/Gにより検出値Yから真値Xを逆算する処理を行えばよい。なお、実際は、該変形式により求められる数値は真の真値Xでなく、検出値Yから求められる真値相当の値X′であるから、誤解を生じないよう、X′=(Y−D)/Gとし、以後これを検出値補正式と呼ぶ。その場合に、該式に基づいて補正を行うには、実特性のパラメータG(ゲイン),D(オフセット誤差)を把握する必要があるが、車両用のバッテリは車両の運転中においては充電状態または放電状態にあり、充放電電流が継続的に安定してゼロとなることは皆無であるから、オフセット誤差Dを把握することができない。
そこで、本発明を実施するための最良の形態に係る充放電電流検出装置1のコントロールユニット10は、イグニッションキースイッチ14がオンからオフに切り換わった直後の電流センサ11の検出値からオフセット誤差を検出して記憶し、この記憶されているオフセット誤差を用いて上記電流センサ11の検出値を補正すると共に、イグニッションキースイッチ14がONの状態において電気負荷2のうちの所定の電気負荷がON状態からOFF状態へ、あるいはOFF状態からON状態へ変化したときの電流変化に基づいてゲイン(ゲイン誤差)を検出し、この検出されたゲイン(ゲイン誤差)を用いて上記電流センサ11の検出値を補正するように構成されており、以下、その制御の詳細について図3、図4のフローチャートを用いて説明する。
まず、ステップS1では、イグニッションキースイッチ14がONからOFFに切り換わったか否かを判定し、NOのとき、すなわちイグニッションキー14がON状態であるときは、OFFに切り換わったと判定されるまで、本判定を繰り返す。
そして、ステップS1の判定がYESとなったとき、すなわちイグニッションキースイッチ14がONからOFFに切換えられたときは、ステップS2で、温度センサ12で検出された温度T、すなわち電流センサ11の温度に関連する値を読み込むと共に、ステップS3で、電流センサ11の検出値Aを読み込む。
次いで、ステップS4では、ステップS2で読み込まれた温度Tが第1所定値α以上でかつ第2所定値β以下か否か、すなわち温度Tが所定の適性範囲(α≦T≦β)にあるか否かを判定する。これは、例えば、気温が高い状態のときにエンジン高負荷状態が長時間継続して通常生じ得ない程度の高温状態になった場合や、極低温状態の場合には、電流センサ11の検出値の誤差が大きくなりすぎて信頼のおける数値が得られないので、このようなときの検出値を排除することを目的としている。そして、その判定がYESのとき、すなわち温度Tが所定の適性範囲にあるときは、さらに、ステップS5で、所定の電気負荷がON状態か否かを判定する。ここで、所定の電気負荷とは、例えば、ヘッドランプやブレーキランプ等、エンジン停止後ONされている可能性のある電気負荷のうちの予め定められた比較的消費電力の大きな電気負荷である。
そして、このステップS5の判定がNOのとき、すなわち、所定の電気負荷がON状態でないときは、ステップS6で、上記検出値Aをオフセット誤差Dsとし、次いで、ステップS7で、該オフセット誤差Dsが所定値γ以上か否かを判定する。ここで、この所定値γは、コントロールユニット10の消費電流等を考慮して設定される数値である。つまり、本制御の実行中には、上記所定の電気負荷がON状態でないときでも、コントロールユニット10や、所定電気負荷として設定されていない消費電流の小さな電気負荷等の作動により、実際は微小な電流が流れることとなるが、その値はコントロールユニット10等の作動状態により変動して一時的に増加することがあり、その場合、このオフセット誤差検出制御の精度を維持する上で無視することができなくなる。そこで、本制御の上でもはや電流値がほぼゼロの状態とは認められなくなる限度の値を所定値γとし、このステップS7で、検出されたオフセット誤差Dsが所定値γ以上か否かを判定する。そして、その判定がNOのとき、すなわち検出されたオフセット誤差Dsが所定値γ以上でないときのみ、ステップS8に進んで該オフセット誤差Dsを記憶し、その判定がYESのとき、すなわち検出されたオフセット誤差Dsが所定値γ以上のときは、ステップS14で、該オフセット誤差Dsを記憶するのを禁止するのである。
ここで、このステップS8では、このフローチャートが繰り返し実行されたときにステップS7でDsがγ以上でないと判定された(NOと判定された)オフセット誤差Dsのうちの直近の所定個数分の誤差Dsを記憶可能とされており、記憶回数が所定回数に達するまでは、ステップS7でNOと判定されるたびにその検出されたオフセット誤差Dsが記憶済のデータに加えて追加して記憶され、記憶回数が所定回数に達した後は、最も古いデータが廃棄されると共に、新たにステップS7でNOと判定されたオフセット誤差Dsが記憶される。
次いで、ステップS9では、ステップS8での記憶回数が上記所定回数以上となったか否かを判定し、YESのとき、すなわち記憶回数が所定回数以上のときは、ステップS10で、記憶されている上記所定回数分のオフセット誤差Dsの平均値Daを算出し、さらに、ステップS11で、上記検出値補正式X′=(Y−D)/GのパラメータDの値として上記平均値Daを設定する。すなわち検出値補正式を書き換える。ここで、記憶回数が上記所定回数以上となったか否かを判定するのは、補正精度の向上を目的とする。
一方、ステップS9の判定がNOのとき、すなわち記憶回数が所定回数以上でないときは、補正精度を向上させるためのサンプル数が十分でないので、ステップS10〜S11を実行することなく、すなわち、上記算出式のパラメータDの値を設定し直すことなく、本フローチャートによる制御を終了する。
また、ステップS4の判定がNOのとき、すなわち温度Tが所定の適性範囲内(α≦T≦β)にないときは、検出されたオフセット誤差Dsが信頼のおける値でないから、ステップS14で、検出されたオフセット誤差Dsを記憶するのを禁止して、該オフセット誤差Dsを記憶することなく本制御を終了する。
他方、ステップS5の判定がYESのとき、すなわち、所定の電気負荷がON状態のときは、ステップS12で、ON状態の所定電気負荷の消費電流値Amを読み込んだ後、ステップS13で、上記検出値Aから上記消費電流値Amを減算した値をオフセット誤差Dsとし、前述したステップS7以後の処理を実行する。
次に、図4のフローチャートを用いてゲイン誤差の補正制御について説明する。 なお、このフローチャートによる制御はイグニッションキースイッチ14がONの間、所定周期で繰り返し実行される。まず、ステップS21で、電流センサの検出値Aを読み込み、ステップS22で、この検出値Aを今回検出値A1として記憶する。次いで、ステップS23で、この制御が、イグニッションキースイッチ14のON後、初回の制御か否かすなわち1制御周期目か否かを判定し、YESのとき、すなわち初回のときは、ステップS32で、上記今回検出値A1を過前回検出値A2として記憶してステップS21に戻り、再度、ステップS21〜S23を実行する。その場合、2制御周期目以後は、ステップS23の判定がNOとなり、ステップS24以後が実行される。
そして、ステップS24では、所定の電気負荷の作動状態がONからOFFに、あるいはOFFからONに変化したか否かを判定する。ここで、この所定の電気負荷とは、前述したように、ヘッドランプやブレーキランプ、電動ファン等である。
そして、このステップS24の判定がYESのとき、すなわち、所定電気負荷の作動状態に変化があったときは、ステップS25で、この作動状態変化があった所定電気負荷の消費電流値Anを読み込むと共に、ステップS26で、今回の検出値A1と1制御周期前の検出値A2との差分の絶対値Ansを算出した後、ステップS27で、該差分Ansと上記読み出された消費電流値Anとの比、すなわちゲインGsを算出し、ステップS28で、該ゲインGsを記憶する。ここで、このステップS28では、このフローチャートが繰り返し実行されるたびにステップS27で繰り返し算出されることとなるゲインGsのうちの直近の所定個数分の誤差Gsを記憶可能とされており、記憶回数が所定回数に達するまでは、上記ステップS27でゲインGsが算出されるたびにその算出されたゲインGsが記憶済のデータに加えて追加して記憶され、記憶回数が所定回数に達した後は、最も古いデータが廃棄されると共に、新たに算出されたゲインGsが記憶される。
次いで、ステップS29では、ステップS28での記憶回数が上記所定回数以上となったか否かを判定し、YESのとき、すなわち記憶回数が所定回数以上のときは、ステップS30で、上記所定回数分記憶されているゲインGsの平均値Gaを算出し、ステップS31で、上記検出値補正式X′=(Y−D)/GのパラメータGの値として上記平均値Gaを設定する。すなわち検出値補正式を書き換える。
一方、ステップS29の判定がNOのとき、すなわち、記憶回数が所定回数以上でないときは、ステップS30〜S31を実行することなく、すなわち上記検出値補正式のパラメータGの値を設定し直すことなく、ステップS32を実行して、ステップS21に戻る。
なお、本フローチャートによる制御では、ゲインGsを検出して検出値Aを補正するようにしたが、これは、いうまでもなくゲイン誤差を検出して検出値Aを補正するのと同じ意味を持つ。すなわち、ゲインGsのときのゲイン誤差は、該ゲインGsから、Y=Xという理想特性のときのゲイン1を減算した値であるが、上記補正は、該減算した値であるゲイン誤差がゼロとなるように補正しているのである。
次に、図5を用いて、本バッテリ充放電電流検出装置1による作用及び効果を説明する。
すなわち、イグニッションキースイッチ14がONの状態で、所定電気負荷の作動状態がONからOFFに変化した場合(時刻t1)、電流センサ11の今回検出値A1と前回検出値A2との差分Ansが算出されると共に、該所定電気負荷の消費電流値Anが読み出され、さらに、算出された差分Ansと読み出された消費電流値Anとから電流センサのゲインGsが算出されて記憶されることとなる。そして、今回算出されたゲインGsを含む直近の所定回数分のゲインGsの平均値Gaが算出されると共に、検出値補正式のパラメータGの値がこの算出された平均値Gaに書き換えられ、それ以後の検出値はこの書き換えられたあとの検出値補正式に基づいて補正されることとなる。
そして、乗員によってイグニッションキースイッチ14がONからOFFに切り換えられた場合(時刻t2)、図5に示す状態においては、温度センサ12で検出された温度が所定の適性範囲(α≦T≦β)にあり、かつ検出値Aが所定値γ未満であり、さらに所定電気負荷がOFF状態なので、電流センサ11の検出値Aがオフセット誤差Dsとして記憶される。そして、このとき、今回算出されたオフセット誤差Dsを含む直近の所定回数分のゲインDsの平均値Daが算出されると共に、検出値補正式のパラメータDの値がこの算出された平均値Daに書き換えられ、次にイグニッションキースイッチ14がONとされた後の電流センサ11の検出値はこの書き換えられたあとの検出値補正式に基づいて補正されることとなる。
一方、図6に示すように、乗員によってイグニッションキースイッチ14がONからOFFに切り換えられた場合(時刻t11)に、温度センサ12で検出された温度が所定の適性範囲(α≦T≦β)にあり、かつ所定電気負荷がON状態のときは、該所定電気負荷の消費電流値Amが読み出されると共に、検出値Aとこの消費電流値Amとの差分(A−Am)が算出される。その場合に、本例においては、該差分(A−Am)が所定値γ未満であるので、該差分(A−Am)が電流センサのオフセット誤差Dsとして記憶される。また、このとき、今回算出されたオフセット誤差Dsを含む直近の所定回数分のオフセット誤差Dsの平均値Daが算出されると共に、検出値補正式のパラメータDの値がこの算出された平均値Daに書き換えられ、次にイグニッションキースイッチ14がONとされた後の電流センサ11の検出値はこの書き換えられたあとの検出値補正式に基づいて補正されることとなる。
以上のように、本発明を実施するための最良の形態によれば、イグニッションキースイッチ14がオンからオフに切り換わった直後の電流センサ11の検出値からオフセット誤差Dsを検出するようにしたから、強制的にバッテリ3の充放電電流がゼロの状態を作り出す必要がなくなり、この結果、スイッチ等を設けることなく既存の機器構成で容易に検出値Aに含まれるオフセット誤差Dsを検出することができるようになり、また、コストアップを抑制することができる。また、この検出されたオフセット誤差Dsに基づいて検出値Aを補正することにより、該検出値Aに含まれている誤差を軽減することができ、バッテリの充放電電流値を精度よく検出することができる。
また、車両用電気負荷2のうちの所定の電気負荷のオン時における電流センサ11の検出値とオフ時における検出値との差分Ansと、予め記憶されている上記所定電気負荷の消費電流値Anとに基づいてゲインGs(ゲイン誤差)を算出するから、オフセット誤差Dsの検出時同様、別途専用の機器類を新設することなく、既存の機器構成で容易にゲインGs(ゲイン誤差)を検出することができるようになる。しかも、この検出されたゲインGs(ゲイン誤差)に基づいて検出値Aを補正することにより、該検出値Aに含まれている誤差を軽減することができる。
また、電流センサ11の検出値A(所定電気負荷がON状態のときはA−Am)が所定値γ以上のときは、コントロールユニット10やそれに付随する微小な消費電流の電気負荷が一時的に多く作動していることが考えられ、そのような場合、正確にオフセット誤差Dsを検出することができなくなってしまうが、本形態によれば、この検出された誤差Dsを記憶するのを禁止するから、補正精度の低下を防止することができる。
さらに、電流センサ11の温度に関連する温度Tが所定の適性範囲内にないときは、電流センサ11の検出値の信頼性が低く、正確にオフセット誤差Dsを検出することができない状態であるが、そのような場合、該検出された誤差Dsを記憶するのを禁止するから、補正精度の低下を防止することができる。
また、複数回にわたって検出されたオフセット誤差Ds及びゲイン誤差Gsを平均することで、それぞれ検出値の補正精度が向上する。なお、平均方法を加重平均法とすればより精度を向上させることができる。
なお、本実施の形態に係るフローチャートにおいては、ステップS5で所定電気負荷がON状態か否かを判定し、ON状態のときは、ステップS12、S13で、検出値Aから所定電気負荷の消費電流値Amを減算した値をオフセット誤差Dsとした後、ステップS7で該オフセット誤差Dsが所定値γ以上か否かを判定するようにしたが、ステップS5,S12,S13を設けずに、ステップS4でYESと判定された場合、次にステップS6で検出値Aをオフセット誤差Dsとした後、ステップS7で該オフセット誤差Dsが所定値γ以上か否かを判定するようにしてもよい。その場合は、例えばヘッドランプやブレーキランプ等の所定電気負荷がON状態のときには、このステップS7でYESと判定され、その結果、ステップS14でオフセット誤差Dsの記憶が禁止されることとなる。もちろん、このような場合も第3発明に含まれる。
また、本バッテリの充放電電流検出装置1をバッテリの容量検出装置に適用すれば、バッテリの充放電電流を精度よく検出することができるようになり、バッテリの容量を精度よく推定することができるようになる。つまり、バッテリの充電不足によるバッテリ上がりや、バッテリ過充電によるバッテリ劣化等を効果的に防止することができる。
本発明を実施するための最良の形態に係る車両用電力設備の構成図である。 電流センサの検出値に含まれる誤差の説明図である。 本発明の実施の形態に係るオフセット誤差検出補正制御のフローチャートの一例である。 同ゲイン誤差検出補正制御のフローチャートの一例である。 本発明を実施するための最良の形態に係る制御を説明するタイムチャートである(イグニッションキースイッチがONからOFFに切り換わったときに、所定電気負荷がOFF状態のとき)。 本発明を実施するための最良の形態に係る制御を説明するタイムチャートである(イグニッションキースイッチがONからOFFに切り換わったときに、所定電気負荷がON状態のとき)。
符号の説明
1 バッテリ充放電電流検出装置
2 車両用電気負荷
3 バッテリ
4 発電機
10 コントロールユニット(オフセット誤差検出手段、オフセット誤差記憶手段、オフセット誤差補正手段、消費電流値記憶手段、ゲイン誤差算出手段、ゲイン誤差記憶手段、ゲイン誤差補正手段)
11 電流センサ
12 温度センサ(パラメータ値検出手段)
13 電気負荷作動状態検出器(作動状態検出手段)
14 イグニッションキースイッチ(イグニッションキー)

Claims (5)

  1. 車両用電気負荷に電力を供給するバッテリの充放電電流を検出する電流センサが備えられたバッテリ充放電電流検出装置であって、イグニッションキーがオンからオフに切り換わった直後の電流センサの検出値からオフセット誤差を検出するオフセット誤差検出手段と、該検出手段で検出されたオフセット誤差を記憶するオフセット誤差記憶手段と、該記憶手段で記憶されているオフセット誤差を用いて上記電流センサの検出値を補正するオフセット誤差補正手段とが備えられていることを特徴とするバッテリ充放電電流検出装置。
  2. 車両用電気負荷のうちの所定の電気負荷の消費電流値を記憶する消費電流値記憶手段と、上記所定電気負荷がオン状態かオフ状態かを検出する作動状態検出手段と、該作動状態検出手段で上記所定電気負荷がオン状態と検出されたときの電流センサの検出値とオフ状態と検出されたときの電流センサの検出値との差分と上記消費電流値記憶手段で記憶されている所定電気負荷の消費電流値とに基づいてゲイン誤差を算出するゲイン誤差算出手段と、該算出手段で算出されたゲイン誤差を記憶するゲイン誤差記憶手段と、該記憶手段で記憶されているゲイン誤差を用いて上記電流センサの検出値を補正するゲイン誤差補正手段とが備えられていることを特徴とする請求項1に記載のバッテリ充放電電流検出装置。
  3. オフセット誤差記憶手段は、オフセット誤差検出手段で検出されたオフセット誤差が所定値以上のときは、該誤差を記憶しないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバッテリ充放電電流検出装置。
  4. オフセット誤差検出手段がオフセット誤差を検出するときの電流センサの温度に関連するパラメータ値を検出するパラメータ値検出手段が備えられ、オフセット誤差記憶手段は、上記パラメータ値検出手段で検出されたパラメータ値が所定の適正範囲内にないときは、オフセット誤差を記憶しないことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のバッテリ充放電電流検出装置。
  5. オフセット誤差記憶手段及びゲイン誤差記憶手段は、オフセット誤差検出手段及びゲイン誤差検出手段で検出されたオフセット誤差及びゲイン誤差を直近の所定回数分記憶すると共に、オフセット誤差補正手段及びゲイン誤差補正手段は、該直近の所定回数分の記憶値を平均した値をオフセット誤差及びゲイン誤差として用いて電流センサの検出値を補正することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のバッテリ充放電電流検出装置。
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