以下、本発明に係るタイル、道路埋設部材および位置情報システムを、図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るタイル1を示す斜視図である。
このタイル1は、タイル基部2を有する。タイル基部2は、陶磁器製の本体部であり、表面側2aと裏面側2bが略正方形とされた板形状に形成されている。なお、タイル基部2は、他の形状、たとえば表面側2aと裏面側2bが略六角形などの正多角形形状あるいはその他の形状に形成されていてもよい。
タイル基部2の表面側2aには、二次元コードパターン部3が形成されている。この二次元コードパターン部3において描かれるパターンの色は、タイル基部2とは異なる色になっている。たとえば、タイル基部2の色を白とし、二次元コードパターン部3において描かれるパターンの色を黒とすると、二次元コードパターン部3の部分は、白黒が混在する状態となる。
二次元コードには、Code49、PDF417などのスタック型の二次元コードと、Veriコード、データ・マトリックス、QR(Quick Response)コード、マイクロQRコードなどのマトリックス型の二次元コードとがある。QRコードには、そのパターンの30%が汚れたり欠損したとしても、データを復元することができる特徴があり、本発明のタイル1に用いる二次元コードとして好適である。
そして、この二次元コードパターン部3には、少なくともタイル1を設置する場所を示す位置情報を含むデータが二次元コードパターン3aとして二次元コード化されて表示されている。位置情報には、たとえば、水平方向の位置情報と、垂直方向の位置情報と、それら位置情報の基準に関する情報と、がある。水平方向の位置情報としては、たとえば、緯度経度の値、住所あるいは地番などの情報が存在する。垂直方向の位置情報としては、標高、フロアの階数(地下を含む。)、基準面からの高さなどの情報が存在する。また、それら位置情報の基準に関する情報としては、たとえば緯度経度を水平方向の位置情報としている場合には、それが世界測地系での緯度経度の値であるのか、それ以外の測地系での緯度経度の値であるのかを示す情報や、測定基準点に関する情報などがある。
なお、水平方向の位置情報として、住所などを利用する場合などのように、水平方向や垂直方向の位置情報の基準を誤って解釈する恐れがない場合には、位置情報の基準に関する情報を省略してもよい。また、位置情報は、水平方向の位置情報および垂直方向の位置情報の両方を備えているものに限られるものではなく、水平方向の位置情報のみあるいは垂直方向の位置情報のみを備えているものであってもよい。
なお、二次元コードパターン部3に使用される二次元コードは、たとえばバーコードなどと比べて多くの量の情報をコード化することができる。そのため、位置情報とともに、たとえば、タイル1を設置する区域の測量情報、タイル1を設置する地域に関する情報、タイルを設置する場所の周辺設備や周辺施設の情報などを、二次元コードパターン部3に入れ込んでも良い。タイル1を設置した区域の測量情報としては、たとえば、区域の境界、地形、面積、測量日、画地番号、点名などが挙げられる。
このようなタイル1は、たとえば市街地の歩道などに設置されることで、路面7の一部を形成する。図2は、図1に示すタイル1の設置状態の一例を示す説明図である。図2の設置例では、図1に示すタイル1は、それと同じサイズで同じタイル基部2を有する多数のタイル6の中の一つとして、路面7を形成している。なお、タイル1は、市街地の路面7を形成するように設置するほかにも、ビルや地下道などの床面に設置したり、壁面や天井などに設置したりすることもできる。
このようにタイル1は、他のタイル6に囲まれるようにして、かつ他のタイル6とともに路面7を形成するようにに敷き詰めることができるので、路面7から突出しない。これにより、人が容易に確認できる場所に、且つ、歩行者8の通行や自転車の走行の妨げとならないように、コード化された位置情報を有する二次元コードパターン部3を設けることができる。
また、タイル1を歩道の中央部に設置すると、タイル1を歩道の端部に設置した場合に比べ二次元コードパターン部3が電柱や自動車などの物陰に隠れてしまう危険性が減少し、歩道を利用する歩行者8などは、移動しながら簡単に二次元コードパターン部3を見つけることができる。また、歩行者8は、所有する携帯電話装置10を利用して二次元コードパターン部3を容易に撮影することができる。
図3は、二次元コードパターン部3を撮影する携帯装置としての携帯電話装置10を示すブロック図である。
携帯電話装置10は、CCD(Charge Coupled Device)カメラ11と、デコード部12と、液晶モニタ13と、電話部14と、制御部15と、を有する。CCDカメラ11は、複数の受光素子が二次元的に配列されたものであり、この複数の受光素子の配列に基づいて輝度分布データを生成する。CCDカメラ11は、タイル1の二次元コードパターン部3を撮影する。そして、撮影された二次元コードパターン部3中から二次元コードパターン3aに相当する輝度分布データを得る。デコード部12は、この輝度分布データに含まれる二次元コードパターン3aを抽出し、抽出した二次元コードパターン3aから二次元コードをデコードして、データを復元する。液晶モニタ13は、このデコード部12により復元されたデータを表示する。
そして、図2に示すように、歩行者8がこの携帯電話装置10を用いて二次元コードパターン部3を撮影すると、CCDカメラ11が生成した輝度分布データに基づいて、デコード部12が二次元コードを抽出するとともにデータを復元する。その結果、液晶モニタ13は、この復元されたデータを表示する。これにより、歩行者8は、タイル1に二次元コード化されていた位置情報、すなわち歩行者8の現在位置などを知ることができる。たとえば、図4に示す二次元コードパターン3aをタイル1の二次元コードパターン部3に形成し、この二次元コードパターン3aを撮影した場合には、図5に示すように、タイル1の設置位置のX,Y(水平方向)の座標と、その座標系に関する情報と、画地番号と、計測日との情報を得ることができる。
現在位置を知るシステムとしては、GPS(Global Positioning System)が広く利用されているが、このGPSでは、4つの衛星を捕捉できないと正確な位置を知ることができない。また、4つの衛星を捕捉できたとしても、約10m程度の位置の誤差は残ってしまう。これに対して、タイル1に二次元コード化した位置情報を持たせることで、衛星を補足することができない場所、たとえばビル内や地下街などにあっても正確な位置情報を提供することができる。しかも、たとえばタイル1を1m置きに設置したり、タイル1を連続的に並べて配列したりすることで、数cm〜数十cmの位置精度にて位置情報を提供することも可能である。
なお、タイル基部2と、二次元コードパターン部3中の二次元コードパターン3aとは、色相、明度および彩度の中の少なくとも1つの要素において異なる色に色分けされていれば、互いを区別することができるが、CCDカメラ11が生成する輝度分布データから二次元コード、たとえば図4に示す二次元コードパターン3aを抽出する場合には、CCDカメラ11の性能や二次元コードパターン3aを抽出するアルゴリズムによって、輝度分布データから二次元コードパターン3aを抽出することができる色の組合せは制限される。そのため、携帯電話装置10に依存しないで輝度分布データから二次元コードとしての二次元コードパターン3aを抽出することができるように、タイル基部2の色と二次元コードパターン3aの色とは、それぞれが単色であり、且つ、それらの色同士が色相、明度および彩度の中の少なくとも2つ以上の要素においてあるいは少なくと色相において異なるように色分けするとよい。なお、二次元コードパターン3aの背景色をタイル基部2の色と異なるものとし、その背景色上に二次元コードパターン3aを描くようにしてもよい。
ところで、このようにタイル1の表面側2aに形成される二次元コードパターン部3は、たとえば、熱転写印刷あるいはレーザ印刷などでタイル1の表面側2aに二次元コードパターン3aを形成することで得られる。熱転写印刷でタイル1表面側2aに二次元コードパターン3aを形成する場合、たとえば、釉薬などを含んだインクを用いて印刷シートに二次元コードパターン3aを裏返しに作成し、この印刷シートをタイル1の表面側2aに重ね、さらに、ヒートプレス機による熱転写あるいはオーブンによる焼付けをすることによって二次元コードパターン部3を形成することができる。なお、印刷シートは焼付けの際に燃えてしまうので、タイル1上に残ることはない。他にもたとえば、二次元コードパターン3aが裏返しに形成された熱転写紙をタイル1の表面側2aに重ね、その後、熱転写紙を剥離し、二次元コードパターン3aが残されたタイル1をヒートプレス機による熱転写あるいはオーブンによる焼付けすることによって形成するようにしてもよい。
このように熱転写印刷あるいはレーザ印刷でタイル1の表面側2aに二次元コードパターン3aを形成した場合、シルクスクリーン印刷などでタイル1表面側2aに二次元コードパターン3aを形成した場合に比べて、二次元コードパターン3aが剥がれ難くなる。その結果、タイル1の上を通過する歩行者8の靴や車輪との間で二次元コードパターン3aが擦られたりしたとしても、数年あるいは数十年にわたって読み取り可能な二次元コードパターン3aを提供することができる。なお、シルクスクリーン印刷などでタイル1の表面側2aに二次元コードパターン3aを形成した場合、二次元コードパターン3aを形成するインクがタイル1の表面側2aから突出して盛り付けられた状態となるので、靴や車輪との間で擦れてしまうと、二次元コードパターン3aは直ちに剥がれてしまう。
また、印刷により二次元コードパターン3aを形成する場合、タイル1の表面側2aには凹凸が生じない。なお、このように印刷により二次元コードパターン3aを形成する場合、タイル1としては、陶磁器製のものに限られるものではなく、プラスチックや金属などであってもよい。また、二次元コードパターン部3およびタイル1の表面側2aをガラス、フッ素、セラミックなどでコーティングすることで、磨耗に強くなったり傷つき難くなったりするので、二次元コードパターン3aの損傷を更に防止することができる。
なお、タイル1の表面側2aに凹凸を形成し、この凹凸の輪郭で二次元コードパターン3aを形成するようにしてもよいが、タイル1の表面側2aにこのような凹凸を形成した場合には、その凹部に泥や砂利などが入り込みんで溜まり易い。また、その凸部の角に自転車や靴などが当たることで、凸部が欠けてしまい易い。そして、このように凹部に泥や砂利などが溜まったり、凸部が欠けたりしてしまうと、CCDカメラ11が生成する輝度分布データには、二次元コードパターン部3の撮影画像内に、二次元コードパターン3aとは関係ない線や色が入り込んでしまうことになり、この輝度分布データからの二次元コードパターン3aの抽出確率が低下してしまうことになる。タイル1の表面側2aが平らであれば、泥や砂利などの溜まりや欠けの問題が生じにくいので、このような抽出確率の低下は生じにくい。
また、凹凸の輪郭のみで二次元コードパターン3aを形成しようとした場合、凹部の色と凸部の色とが同じなので、輝度分布データからの二次元コードパターン部3の抽出確率は、色分けによる場合に比べて低い。そのため、このような凹凸の輪郭によって二次元コードパターン3aを形成しようとする場合であっても、凹部と凸部とを色分けしたほうがよい。色分けを併用することで、輝度分布データからの二次元コードパターン3aの抽出確率を上げることができる。
また、熱転写印刷あるいはレーザ印刷などでタイル1の表面側2aに二次元コードパターン3aを有する二次元コードパターン部3を形成した場合でも、たとえば、鋭利な石などがタイル1の表面側2aに擦れたり当たったりすることで、タイル1の表面側2aが欠けてしまい、これにより二次元コードパターン3aが損傷してしまうことがありえる。二次元コードパターン3aが損傷してしまうと、輝度分布データからの二次元コードパターン3aの抽出確率が低下してしまうことになる。
そのため、このようなタイル1の欠けなどが問題となるような場合にあっては、二次元コードパターン3a自体がタイル1の一部となるように、タイル1を成形するとよい。具体的にはたとえば、板状の陶土やプラスチックの表面側2aに二次元コードパターン3aとなる溝部を形成し、この溝部に先の陶土あるいはプラスチックとは異なる色の陶土やインクを配設し、更に、その全体をオーブンや釜などで焼いて固化させるように、タイル1を成形すればよい。この他にもたとえば、まず、白色および黒色などのように互いに色が異なる2種類の陶土をひも状に形成し、この2種類のひも状の陶土を順番に重ね合わせることで、二次元コードパターン3aを形成した後、その全体をオーブンや釜などで焼いて固化させるようにして、タイル1を成形すればよい。この他にもたとえば、陶磁器に対して象嵌手法を応用して、互いに色が異なる2種類の板の中の一方に二次元コードパターン3aの穴を開けるとともに他方に二次元コードパターン3aとなる凸部を形成し、穴に凸部を挿入するようにしてこれら2つの板を重ね合わせることで、タイル1を成形すればよい。
このようにタイル基部2を2種類の色の材料を組み合わせて形成することで、タイル1の一部として、タイル基部2の表面側2aに二次元コードパターン3aを形成することで、タイル1の表面側2aが欠けたとしても、その下地が表面側2aと同じ色になっているので、二次元コードパターン3aの撮影画像内に、二次元コードパターン3aとは関係ない線や色が入り込みにくくなり、輝度分布データからの二次元コードパターン3aの抽出確率が低下しにくくなる。その結果、二次元コードパターン3aの抽出確率を、長期にわたって維持することができる。なお、このようにタイル1を成形した場合であっても、タイル1の表面2aおよび二次元コードパターン3aを、ガラス、フッ素、セラミックなどでコーティングしてもよい。
板状に成形された陶土やプラスチック材の表面に二次元コードパターン部3となる凹凸を形成する場合には、たとえば図6に示すような二次元コードパターン転写装置21を利用するとよい。二次元コードパターン転写装置21は、コンピュータ22と、ワーク台23と、駆動ユニット24と、加工工具25と、を有する。加工工具25は、図7に示すように、断面四角形の複数の棒部材26を束ねた転写面形成部27と、各棒部材26を押出す複数のプッシュロッド28とを有する。棒部材26は、金属、プラスチックなどで形成すればよい。駆動ユニット24は、この加工工具25を保持するとともにワーク台23上に載置される。駆動ユニット24は、加工工具25をワーク台23から接離する方向(図6では上下方向)に駆動する。
コンピュータ22は、キーボードから入力された情報を二次元コード化して二次元コードパターン3aを生成する。また、加工開始指示が入力されると、プッシュロッド28に棒部材26を駆動させ、複数の棒部材26で形成される加工工具25の端面に、二次元コードパターン3aに応じた凹凸を形成する。なお、図4の二次元コードパターン3aの白色部分が凸になるとともに黒色部分が凹になっていても、白色部分が凹になるとともに黒色部分が凸になっていてもよい。
そして、ワーク台23に、板状の焼成前の柔らかい陶土あるいは塑性変形可能なプラスチックが載置されると、コンピュータ22の指示にしたがって、駆動ユニット24は、加工工具25をワーク台23へ接する方向へ駆動する。加工工具25の先端がタイル基部2に押し込まれたら、駆動ユニット24は、加工工具25をワーク台23から離間する方向へ駆動する。これにより、板状に成形された陶土やプラスチック材の表面に、二次元コードパターン3aとなる凹凸を形成することができる。
なお、この加工工具25の端面25aにインクなどを塗布し、加工工具25の端面をタイル基部2の表面に当接させることで、タイル基部2の表面側2aに二次元コードパターン3aを印刷のようにして形成することもできる。
また、異なる2種類の色の陶土を重ね合わせた後に、その積層した陶土を引き伸ばしたり、圧縮したりしてもよい。また、引き伸ばしたり、圧縮したりした後に、これを輪切りにすることで、1回の重ね合わせ作業にて、同一の二次元コードパターン部3を有する複数枚のタイル1を同時に形成するようにしてもよい。
この実施の形態1に係るタイル1は、図2に示すように歩道などに設置され、その表面が路面7の一部となるように形成される。歩行者8は携帯電話装置10を用いてこのタイル1を撮影する。そのため、このようなタイル1としては、ある程度の大きさに形成されていたほうが、歩行者8がしゃがんだり腰を屈めたりする必要が無くなるので、好ましい。そのため、たとえば、一辺が20〜40cm程度の大きさのタイル1を採用し、その全面に、二次元コードパターン部3を形成するようにするとよい。タイル1をこのようなサイズにしても、市街地などにおいては違和感を与えてしまうことはない。これにより、歩行者8は、立ったままの姿勢あるいは少しだけ腰を屈めた姿勢にてタイル1を撮影し、携帯電話装置10によって、輝度分布データからデータを復元することができる。また、タイル1のサイズが一辺20〜40cm程度の大きさになることで、上述した大量生産型の象嵌手法などによって、所望の二次元コードパターン部3をタイル1に形成することができる。
なお、二次元コードパターン3aをその全面に渡って形成することができるタイル1のサイズは、一辺が20〜40cm程度のものに限られるものではなく、たとえば、一辺が2.5cm程度のサイズのタイル1であっても、二次元コードパターン3aを形成することができる。但し、このように小さなタイル1である場合には、上述した大量生産型の象嵌手法などによる二次元コードパターン部3の形成は難しいので、上述した熱転写印刷あるいはレーザ印刷などの手法にて二次元コードパターン部3を形成するとよい。また、図1に示すように、タイル1の全面ではなく、その表面積の50%以上、90%以下となるように且つ端部を含まないように二次元コードパターン3aを形成してもよい。このようにすると、欠け易い端部を避けることで損傷確率が大きく減少する一方、コードを抽出し易いものとなる。また、タイル1表面積の50%以上、90%以下であれば、二次元コードパターン部3の大きさを確保することができるので、目立つようになる。
この実施の形態1に係るタイル1は、表面側2aが平らな略四角形の板形状に形成されている。この他にもたとえば、図8に示すように、二次元コードパターン部3の外側となるタイル1の周縁部31を表面側2a側に突出するように形成してもよい。これにより、二次元コードパターン部3に靴などが接触し難くなるので、二次元コードパターン3aを保護することができる。そのため、たとえば、タイル基部2の表面2aに貼着されたシールによって二次元コードパターン3aを形成したとしても、長期に渡って二次元コードパターン3aの読み取りが可能となる。特に、タイル1の一辺が2.5〜5cm程度である場合には、この表側に盛り上がった周縁部31を形成することによる二次元コードパターン部3の保護効果が大きい。
この実施の形態1に係るタイル1には、その略全面にわたる大きさの二次元コードパターン3aが1つ形成されている。また、このタイル1は、図2に示すように、基本的には歩道などに所定間隔を置いて設置したり、交差点などに1つずつ設置すればよい。この他にもたとえば、タイル1の表面側2aの一部に二次元コードパターン部3を形成してもよい。図9に4個の場合を例示するように、1つのタイル1に複数個の二次元コードパターン部3を形成したり、二次元コードパターン部3が形成された複数のタイル1を交差点などに並べて設置したりしてもよい。複数のタイル1の並べ方としては、一列であっても、密集して並べてもよい。
さらに、これら近接する複数の二次元コードパターン部3に含まれる二次元コードパターン3a同士は、互いに異なる二次元コードパターン3aであってもよいが、同一の二次元コードパターン3aであってもよい。同一の二次元コードパターン3aを近接した位置に複数個設けることで、その中の1つの二次元コードパターン3aが破損してしまったとしも、他の同一パターンの二次元コードパターン3aから二次元コード化されたデータを復元することができる。したがって、このように同じ二次元コードパターン3aを複数個配設することで、数年あるいは数十年にわたって二次元コード化されたデータの復元が可能となることを期待できる。なお、タイル1に二次元コードパターン3aを形成しているのだけなので、このようなタイル1が複数個並べて配列されていたとしても、歩行者2などに違和感を与えてしまうことはない。特に、公園内などに無機的な二次元コードパターン3aを複数個配設する場合であっても、これをタイル1として並べて配設することで、歩行者2などに違和感を与えてしまうことはない。
なお、このように二次元コードパターン部3が形成されたタイル1を複数個近接して配置した場合、携帯電話装置10にて路面7や床を撮影して得られる輝度分布データに、複数の二次元コードパターン3aが撮影されてしまうことが考えられる。そして、携帯電話装置10での二次元コードパターン3aの抽出処理のアルゴリズムにもよるが、輝度分布データに複数の二次元コードパターン3aが含まれてしまうことによって、所望の二次元コードパターン3aを抽出することができなくなってしまうことが考えられる。
そのため、近接して配置する複数の二次元コードパターン3aを互いに異なる色に色分けしたり、複数のタイル1を互いに異なる色に色分けしたりすればよい。そして、携帯電話装置10のCCDカメラ11とタイル1との間に、所望の二次元コードパターン3aとタイル1との色分けが強調され、且つ、他の二次元コードパターン3aとタイル1との色分けが弱められる色の色フィルタを配置して、携帯電話装置10で撮影すればよい。これにより、複数の二次元コードパターン3aが輝度分布データに撮影されている場合であっても、所望の二次元コードパターン3aを抽出させることができるようになる。
その結果、各コード専用の携帯電話装置10を使用することなく、近接して配置される複数の二次元コードパターン3aをそれぞれに抽出することが可能となる。なお、データの種類に応じて二次元コードパターン3aおよびタイル1の色の組合せを予め決めておけば、目視によりこれらの色を確認するだけで、近接して配置されている複数の二次元コードパターン3aの中から目的とする二次元コードパターン3aを選択することができる。そして、その選択したものだけを携帯電話装置10などで撮影することとなる。
この実施の形態1のタイル1は、その表面側2aが平らに形成されている。この他にもたとえば、凹凸で形成される表面が連続した曲面となるようにその凹凸がタイル1の表面側2aに形成されていてもよい。凹凸で形成される表面が連続した曲面となっていることで、その凹凸の高さが1〜2cm程度以内であれば、タイル1の正面方向から撮影することで、タイル1を撮影した画像には、その凹凸による影や色の濃淡などが発生し難く、しかも、撮影画像からの二次元コードパターン3aの抽出確率の低下を効果的に抑えることができる。そして、図10に示すように、タイル1にこのような連続した曲面による凹凸32を形成することで、たとえばタイル1を点字用のタイルとしても利用することが可能となる。
この実施の形態1では、タイル1に二次元コードパターン3aを形成している。この他にもたとえば、二次元コードパターン3aを一時的に利用したいときなどにあっては、絨毯に二次元コードパターン3aを織り込んだり、床面に二次元コードパターン3aを直接に描画したりしても良い。これにより、歩行や通行の妨げとなることなく、路面7や床面の目立つ位置に、二次元コードパターン3aを形成することができる。
この実施の形態1では、二次元コードパターン3aを形成したタイル1は、他の一般的なタイル6と組み合わせて路面7を形成するように敷き詰められている。この他にもたとえば、二次元コードパターン3aを形成したタイル1は、点字用のタイルと組み合わせて敷き詰められてもよい。
この実施の形態1では、1つのタイル1に二次元コードパターン部3を形成している。この他にもたとえば、色違いの2種類の小さなタイルを組み合わせることで、1つの二次元コードパターン3aを形成してもよい。
この実施の形態1のタイル1は、その表面側2aに二次元コードパターン3aが形成されている。この他にもたとえば、図11に示すように、タイル1の裏面2bなどに孔33を開設し、この孔33の中にICチップ34などを配設することで、二次元コードのみでは記憶できる情報量が不足してしまうような多くの情報量を、1つのタイル1に持たせることができる。なお、ICチップ34を配設した孔33は、樹脂材35などで封止するとよい。なお、図11に示すタイル1は、二次元コードパターン部3をその表面側2aに有しているが、この二次元コードパターン部3を設けず、ICチップ34のみを有するものとしてもよい。
この実施の形態に係る携帯電話装置10では、液晶モニタ13は、デコード部12が復元したデータを直ちに表示している。この他にもたとえば、携帯電話装置10の電話部14の入力装置から正しいパスワードなどが入力された場合にのみ、液晶モニタ13がデータを表示するようにしてもよい。この場合、入力されたパスワードと照合するパスワードは、予め携帯電話装置10内に記憶させてもよいが、二次元コードパターン3aにデータとして持たせておいてもよい。
実施の形態2.
図12は、本発明に係る道路埋設部材の一例としての道路鋲40を示す斜視図である。
この道路鋲40は、セメント、コンクリート、金属などの材料で形成され、表面が略四角形の平板形状の頭部41と、頭部41の下面からその下方へ突出するように設けられるアンカー部42と、を有する。
頭部41の側面には、スリット43が設けられている。また、スリット43の入口には、スリット43内に突出させて弾性を有する突起部44が設けられている。
頭部41の上面には、道路鋲40を設置する市町村のマーク45、基準位置マーク46などとともに、四角形形状の貫通穴47が設けられている。この貫通穴47の大きさは、スリット43の平面形状の大きさよりも1回り小さい。
このスリット43内には、この貫通穴47の縦横の平面積よりも大きく且つスリット43の縦横の平面積よりも小さい表面が四角形の平板形状のタイル1が挿入して配設されている。このタイル1は、実施の形態1に係るタイル1よりも小さい。スリット43の入口に突起部44が突出して形成されているので、タイル1をスリット43に一旦挿入すると、突起部44に押されてスリット43内の奥部の部屋43aに入り込む。部屋43aに入り込んだタイル1は、突起部44によって常時、部屋43a内に保持されるため、そのタイル1がスリット43から抜け落ちてしまうことはない。
このタイル1の表面側2aには、少なくとも位置情報を含むデータが二次元コード化されてなる二次元コードパターン3aを有する二次元コードパターン部3が形成されている。スリット43に配設した状態では、この二次元コードパターン部3の全体は、貫通穴47から目視することができる。なお、タイル1の形状や材質、二次元コードの形成の仕方などは、実施の形態1と同様であり、その説明を省略する。
アンカー部42は、略四角柱形状の表面側と四角錘形状の先端側とから形成されている。
そして、この道路鋲40は、たとえば歩道などに埋設され、その表面が路面7の一部として形成される。埋設した状態では、頭部41の表面側2aが路面7に露出した状態になる。これにより、確認し易い場所に、且つ、歩道を利用する歩行者や自転車の走行の妨げとならないように、位置情報がコード化された二次元コードパターン3aを設けることができる。
なお、歩行者などの移動の妨げにならない位置であれば、スリット43を路面7から露出させた状態で、道路鋲40を道路に埋設してもよい。これにより、タイル1あるいは二次元コードパターン3aが破損した場合には、スリット43から古いタイル1を取り除き、新しいタイル1をスリット43に挿入することができる。
また、図2に示す携帯電話装置10を用いて二次元コードパターン部3を撮影することで、歩行者などは、二次元コード化されていたデータを液晶モニタ13に表示させて、現在位置などの情報を得ることができる。
ところで、この実施の形態2の道路鋲40には、スリット43および貫通穴47が1組だけ形成され、そのスリット43にタイル1が1つだけ配設されている。この他にもたとえば、道路鋲40に、スリット43および貫通穴47を複数組設け、各スリットにタイル1を配設するようにしてもよい。特に、この複数のスリット43には、同じ二次元コードパターン3aを有する複数のタイル1を配設することで、その中の1つのタイル1が破損してしまったとしても、他のタイル1から位置情報を取得することができる。
この実施の形態2の道路鋲40には、1zのスリット43および1zk貫通穴47が形成され、その1つのスリット43に1つのタイル1が配設されている。この他にもたとえば、道路鋲40に、タイル1よりも一回り大きいサイズの凹部を形成し、この凹部にタイル1を配設するようにしてもよい。このとき、凹部の深さを、タイル1の厚さよりも深く形成することで、タイル1表面側2aを保護する効果を得ることができる。特に、各辺が2.5cmなどの大きさとなるタイル1などにおいては、タイル1表面側2aを摩擦などから保護することができる。
この実施の形態2では、実施の形態1と同様に作られたタイル1を、道路鋲40のスリット43に配設している。タイル1は、道路鋲40のスリット43に挿入されることで、基本的に傷つき難くなっている。したがって、シルクスクリーン印刷などで二次元コードパターン3aを形成したタイル1であっても、二次元コードパターン3aを印刷した透明シールを貼着させたタイル1であっても、道路鋲40のスリット43に挿入することで、長期に渡って二次元コードパターン3aを提供できる。なお、このタイル1および二次元コードパターン3aを、透明な保護塗料でコーティングしたり、タイル1の表側に、強化ガラス板、透明アクリル板などを貼着したりしてもよい。
この実施の形態2では、道路鋲40に、タイル1を配設している。この他にもたとえば、図13に境界杭51の場合を例示するように、境界杭51などの少なくともその表面側2aが露出した状態で道路に埋設される道路埋設部材に、スリット43および貫通穴47を形成し、さらに、この境界杭51にタイル1を配設するようにしてもよい。なお、境界杭51は、測量境界を明示するために道路に埋設される部材である。また、マンホールの蓋などに、スリットおよび貫通穴を形成し、このマンホールの蓋にタイル1を配設するようにしてもよい。
また、図14に示すように、タイル1よりも厚みがある板状の枠材52に、タイル1よりも一回り大きいサイズの凹部53を形成し、この凹部53にタイル1を配設するようにしてもよい。この枠材52も道路埋設部材である。このように板状の枠材52の凹部53内にタイル1を配設する場合には、凹部53の深さをタイル1の厚さよりも深く形成することで、枠材52の周縁部54によるタイル1表面側2aの保護効果を期待することができる。特に、各辺が2.5cmなどとなる正方形状のタイル1などにおいては、枠材52の周縁部54が突出することで、タイル1の表面側2aを摩擦などから効果的に保護することができる。また、そのタイル1の表面側2aを、コーティングしてもよい。また、凹部53の深さをタイル1の厚さと同程度としてもよい。
実施の形態3.
図15は、この発明に係る位置情報システムの一例としてのインテリジェントトランスポートシステム(Inteligent Transport System:ITS)を示すシステム構成図である。このインテリジェントトランスポートシステムは、路面に設置される複数のタイル1と、システムの利用者が持ち歩くことができる携帯装置61と、を有する。
図16は、タイル1の設置状態の一例を示す説明図である。タイル1は、車道、歩道、地下街、ビル通路の床面などの、人や自動車の通路に、人の移動方向にそって設置されている。このタイル1は、実施の形態1のように、タイル1が直接に歩道などに設置され、路面の一部を形成するようにしても、あるいは、実施の形態2のように、道路鋲などの道路埋設部材のスリットにタイル1が挿入され、この道路埋設部材が路面の一部を形成するようにしてもよい。なお、タイル1以外の物品や構造物、たとえば絨毯や壁などに、二次元コードパターンを有するシールを配設したりして、二次元コードパターンを配設するようにしてもよい。また、タイル1をタイルで構成される壁の一部に設置するようにしてもよい。
各タイル1の二次元コードパターン部3には、それぞれの設置位置の位置情報がコード化された二次元コードパターン3aが形成されている。この位置情報は、度分秒までの緯度と、度分秒までの経度と、標高と、それらの値が世界側地系での値であることを示す情報とで構成されている。
携帯装置61は、画像を撮影する撮像デバイスとしてのCCDカメラ62と、起動ボタン63と、GPS受信機64と、キー操作に応じた入力情報を生成する入力キー65と、表示データを表示する表示デバイスとしての液晶モニタ66と、マイクロコンピュータ67と、を有する。なお、このような携帯装置61としては、たとえばCCDカメラ62およびGPS受信機64を有する携帯電話端末がある。
GPS受信機64は、衛星91からのGPS電波を受信して、電波を受信した位置の位置情報を生成する。なお、GPS受信機64は、携帯装置61に設けられているので、GPS受信機64が生成する位置情報は、携帯装置61の現在の位置を示す情報、ひいてはこの携帯装置61を利用する人の現在の位置を示す情報となる。
マイクロコンピュータ67は、その図示外の記憶部に、図示外のITSプログラムと、地図データベース71と、経路データ72と、を記憶する。これらITSプログラムおよび地図データベース71は、図示外のコンピュータ読取可能な記録媒体あるいは伝送媒体を介して、記憶部に記録することができる。
地図データベース71は、表示地図データと、座標データと、を有する。表示地図データは、たとえば国土地理院や出版社が発行している地形図、道路地図、市街地地図、住宅地図などの地図をビットマップ形式のデータにしたものである。なお、ビットマップ形式では、ビットマップのドット毎に階調データそのままのビット数を使用するので、記憶情報量が多くなる。そのため、表示地図データは、たとえば、このビットマップ形式に変換することができる、たとえばJPEG(Joint Photographic Coding Experts Group)形式、TIFF(Tagged Image File Format)などの圧縮フォーマット形式にて、記憶部に記憶させるとよい。
座標データは、地図データの各ドットの緯度経度を示すデータである。緯度経度としては、たとえば世界測地系の緯度経度がある。なお、座標データが、地図データのすべてのドットの緯度経度を示すデータを備えると、その記憶情報量が多くなってしまうので、たとえば、座標データは、地図データの複数のドットの中の少なくとも2つのドットの緯度経度を示すデータを備え、その他のドットについては、この緯度経度が既知となるドットに対する相対位置に基づいて、緯度経度を演算にて求めるようにしてもよい。
経路データ72は、所望の出発地から目的地までの移動経路を示すデータである。このような経路データ72は、たとえば、出発地の緯度経度、移動経路上の通過点の緯度経度、目的地の緯度経度を示すデータで構成されている。
マイクロコンピュータ67は、ITSプログラムを実行する。これにより、図15に示すように、マイクロコンピュータ67には、デコード手段としてのデコード部81と、位置情報抽出部82と、セレクタ83と、表示データ生成としての表示データ生成部84と、経路生成部85と、が実現される。
デコード部81は、起動ボタン63が操作されると動作を開始する。そして、デコード部81は、周期的に、CCDカメラ62が生成する輝度分布データから二次元コードパターン3aを抽出し、抽出した二次元コードパターン3aの二次元コードをデコードして、データを復元する。なお、デコード部81は、操作ボタンの操作に応じて1度だけデータの復元処理を実行するようにしても、あるいは、起動ボタン63の操作によらずに、デコード部81は、CCDカメラ62による撮影のたびに常にデータの復元処理を実行するようにしてもよい。
このデコード部81が二次元コードパターン3aを抽出する周期は、いかなる周期であってもよいが、好ましくは0.5秒以上、数十秒以下の周期、さらに好ましくは、1秒以上、十秒以下の周期にするとよい。これにより、現代人の歩行速度からすると、市街地や繁華街を歩いて移動する人は、一々起動ボタン63を操作しなくとも、1〜5m程度の移動距離毎に位置情報を得ることが可能となる。この1〜5m程度の移動距離であれば、小さな路地やビル内の通路であっても十分な精度にてナビゲーションすることができる距離間隔である。なお、このデコード部81の動作周期は、入力キー65の操作に応じて自由に設定できるようにしてもよい。
位置情報抽出部82は、デコード部81が復元したデータから、タイル1の設置位置を示す位置情報を抽出する。なお、二次元コードパターン部3にデータをコード化する際に、データ中の位置情報を所定の位置に配置したり、位置情報にタグなどの所定の識別情報を付加しておけば、位置情報抽出部82は、その位置に値が格納されているか否かを判断したり、そのデータに所定の識別情報が含まれているか否かを判断したりするだけで、位置情報を特定することができる。
セレクタ83は、GPS受信機64からの位置情報と位置情報抽出部82からの位置情報との中の一方を選択する。具体的にはたとえば、セレクタ83は、位置情報抽出部82からの位置情報を優先して選択し、位置情報抽出部82からの位置情報が所定の期間以上にわたって無い場合に、GPS受信機64からの位置情報を選択する。これにより、セレクタ83は、位置情報抽出部82からの位置情報を優先的に選択することになる。GPS受信機64からの位置情報が数十メートルの精度であるのに対して、位置情報抽出部82からの位置情報は、数メートルあるいは数センチメートルの位置精度を持たせることができるので、位置情報抽出部82からの位置情報を優先的に選択することで、位置精度を高精度に維持することができる。
経路生成部85は、入力キー65が生成する入力情報に基づいて、経路データ72を生成する。具体的にはたとえば、入力キー65が出発地と目的地との入力情報を生成すると、地図データを参照して出発地から目的地までの最短距離の移動経路を探索し、この移動経路の出発地の緯度経度、移動経路上の通過点の緯度経度、目的地の緯度経度からなる経路データ72を生成する。なお、経路生成部85は、最短距離の移動経路ではなく、たとえば最短時間の移動経路などを探索してもよい。経路生成部85は、入力キー65が生成する出発地に替えて、セレクタ83が選択している現在の位置情報を出発地として利用してもよい。
表示データ生成部84は、セレクタ83が選択している位置情報に基づいて、その位置情報で示される位置を中心とする表示データを生成する。具体的にはたとえば、表示データ生成部84は、液晶モニタ66の表示ドット数に相当するサイズの表示地図データを地図データベース71から切り出し、その中心のドットを所定の階調データに置き換える。また、表示データ生成部84は、経路データ72と切出した表示地図データとをつき合わせて、切出した表示地図データ内の移動経路を所定の階調データに置き換える。表示データ生成部84は、この移動経路および中心が所定の階調データとなっている、切出した表示地図データを、表示データとして生成する。
次に、このインテリジェントトランスポートシステムの動作を説明する。ここでは、図16に示すように、歩行者が携帯装置61を利用する場合を例として説明する。
歩行者が入力キー65を操作して出発地と目的地を入力すると、経路生成部85は、入力キー65が生成する入力情報に基づいて、経路データ72を生成する。この経路データ72は、記憶部に記憶される。
GPS受信機64は、衛星91からのGPS電波を受信すると、電波を受信した位置の位置情報を生成する。歩行者が起動ボタン63を操作すると、デコード部81は、周期的に、CCDカメラ62が生成する輝度分布データから二次元コードパターン3aを抽出し、抽出した二次元コードパターン3aの二次元コードをデコードして、データを復元する。位置情報抽出部82は、デコード部81が復元したデータから、タイル1の設置位置を示す位置情報を抽出する。なお、CCDカメラ62が生成する輝度分布データにタイル1の二次元コードパターン3aが含まれていない場合には、デコード部81は輝度分布データから二次元コードパターン3aを抽出することができない。セレクタ83は、GPS受信機64からの位置情報と位置情報抽出部82からの位置情報のいずれか一方を選択するが、この際、位置情報抽出部82からの位置情報を優先して選択する。表示データ生成部84は、セレクタ83が選択している位置情報に基づいて、その位置情報で示される位置を中心とする表示データを生成する。液晶モニタ66は、この表示データを表示する。これにより、歩行者は、液晶モニタ66に表示された地図の上で、現在位置を確認することができる。
歩行者が移動すると、GPS受信機64が生成する位置情報は、その移動に応じて変化する。CCDカメラ62は、移動先の路面に設置された新たなタイル1の二次元コードパターン部3を撮影し、位置情報抽出部82は、この新たな二次元コードパターン部3内に配置されていいた二次元コードパターン3a中にコード化されていた位置情報を抽出する。セレクタ83は、これら2つの新たな位置情報の中の一方を選択し、表示データ生成部84は、セレクタ83が選択した新たな位置情報に基づいて、その位置情報で示される位置を中心とする表示データを生成する。液晶モニタ66は、この表示データを表示する。これにより、歩行者は、移動先となる現在の位置を、次から次へと液晶モニタ66に表示された地図の上で確認することができる。
そして、たとえば液晶モニタ66の表示において、現在位置の表示ドットが経路の表示ドット上を連続または間欠的に順次移動するように移動することで、歩行者は、先の出発地から目的地まで、迷うことなく最短距離にて移動することができる。また、液晶モニタ66の表示において、現在位置の表示ドットが経路の表示ドットから外れることを確認することで、誤った方向へ移動していることを知ることができる。その後、現在位置の表示ドットが経路の表示ドットと重なるように戻ることで歩行者は目的地への正しい経路に復帰し、そこから最短距離にて目的地まで移動することができる。
この実施の形態3では、タイル1の二次元コードパターン3aに位置情報をコード化し、これを携帯装置61で読み取ることで、経路案内のための現在位置情報を提供している。この他にもたとえば、歩道、プラットフォームなどの段差の手前、立体横断施設の手前、横断歩道の手前などに、このタイル1を設置し、携帯装置61においてはこの位置情報に基づいて警告音、警告表示などをするように構成することで危険を知らせることができる。その結果、視覚障害者や下肢障害者、高齢者、車椅子の利用者などが安全且つ安心して、快適に歩くことができる。特に、点字用のタイルの配列の曲がり角や端部にこのタイル1を設置することで、視覚障害者にとっても自分がいる場所の危険度を知ることができ、高い安全を提供することができる。
なお、二次元コードパターン3aに、位置情報の他に、警告内容や警告の仕方(音声、表示、バイブレータによる振動など)を指示する情報をコード化しておき、これらの情報が検出された場合には、その警告を行うように携帯装置61を構成してもよい。また、二次元コードパターン3aに、位置情報の他に、そのタイル1を設置する位置の周辺情報や番地などをコード化しておき、この情報が検出された場合には、表示あるいは音声にて知らせるように携帯装置61を構成してもよい。
この実施の形態3では、タイル1の位置情報と、GPSによる位置情報とを選択して現在位置情報として利用している。この他にもたとえば、道路に設置されたビーコンを受信し、これに基づく位置情報と、タイル1の位置情報とを選択して現在位置情報として利用してもよい。また、予め送信元が判っている所定の時刻情報を有する電波を受信して、この電波の時刻に基づいて送信元からの距離を求め、この距離で現在位置を補正してもよい。
この実施の形態3では、タイル1が設置されていれば、その二次元コードパターン部3を携帯装置61で撮影して現在位置、経路、危険度などを把握することができる。したがって、特定の携帯装置を利用する必要は無くなり、他の町へいったとしてもタイル1が設置されていれば利用することができ、たくさんの専用端末を所持しなくても現在位置、経路、危険度などを把握することができる。
この実施の形態3では、液晶モニタ66の表示に基づいて、歩行者は現在位置や経路を確認している。この他にもたとえば、このタイル1を移動経路にそって配列し、CCDの輝度分布情報から位置情報を抽出できなかった場合には、携帯装置61から警告音を発したり、携帯装置61を振動させたりするように構成してもよい。これにより、点字用のタイルの替わりとして用いることができる。
この実施の形態3では、液晶モニタ66に、現在位置と、出発地から目的地までの誘導経路を表示している。このほかにもたとえば、過去に位置情報を取得した位置や、その過去の位置情報を結んだ実際に移動した経路の軌跡などを、液晶モニタ66に表示してもよい。
この実施の形態3では、携帯装置61に、ITSプログラムおよび地図データベース71を記憶させている。この他にもたとえば、ITSプログラムおよび地図データベース71の中の少なくとも一方を、携帯装置61が通信ネットワークやインターネットを介してアクセスできるサーバに設け、携帯装置61は位置情報をこのサーバへ送信し、その結果としての表示データを受信して表示するように構成してもよい。また、このITSプログラムおよび地図データベース71は、セキュリティレベルに応じて、所定の期間毎にダウンロードしなければ使用できなくしたり、パスワードの入力やユーザ登録などを義務付けたりしてもよい。これらの処理をしなければ、表示データが表示されないようにしたりすればよい。
携帯装置61が通信ネットワークやインターネットを介してサーバ上の地図データベース71にアクセスする場合、携帯装置61は、固定的に1つの地図データベースを利用するのではなく、そのサーバ上の複数の地図データベースの中から1つを選択して利用したり、複数のサーバに分散している複数の地図データベースの中から1つを選択して利用したりするとよい。各地図データベースの地図データは、たとえば、不動産情報が掲載されている地図データであったり、ラーメンなどの特定の商品や食事が掲載されている地図データであったり、国道などの大きな道路だけが掲載されている地図データであったりと、それぞれの目的に応じて情報が掲載されるので、このように地図データベースを切り換えることで、地図データの表示に基づいて得られる情報の質や量を変えることができる。
このように携帯装置61が複数の地図データベースの中から1つを選択して利用する場合、前記サーバあるいは他のサーバから携帯装置61へ位置情報を検索条件として検索可能な地図データの選択リストを送信し、液晶モニタ66がこの選択リストを表示し、さらに、表示データ生成部84がその選択リストから選択された地図データを含む表示データを生成すればよい。
これにより、今までは、携帯装置61の利用者自身が、地図データベースを有する各サイトにアクセスしてから、そのサイト内で緯度経度、目的物、住所などの位置情報を入力する必要があり、その結果として、携帯装置61の利用者自身が予めそのサイトを知らなければ利用できない状況であるが、そのサイトが地図データの選択リストに目的別に分類されて掲載されることによって、携帯装置61の利用者自身が予めそのサイトを知らなくても利用することができるようになる。特に、地図データの選択リストにおいて、複数の地図データベースが、たとえば不動産であったり、ラーメンなどの特定の商品や食事であったりするように、地図を利用したい目的別に分類されていることで、その選択リストからの地図データの選択あるいは地図データの差替えが容易となり、予め知らないサイトの地図データを利用目的に基づいて選択して利用することができる。これにより、たとえば、ラーメンを探したい場合に、その目的のための利用には適さない不動産用の地図データベースにアクセスしてしまうことがなくなる。
また、表示データ生成部84は、その地図データの選択リストで別の地図データが選択されたら、その別の地図データを含む表示データを生成し、液晶モニタ66はこの別の地図データを含む表示データを表示する。したがって、今までは、使用している地図データを差し替えるためには、たとえば、地図データベースを有する各サイトに一々アクセスし直し、その新たなサイト内で位置情報を入力し直さなければならなかったが、地図データの選択リストから地図データを選択しなおすだけで、少ない操作の手間で簡単且つ便利に地図データを差し替えて利用することができる。特に、地図データの選択リストにおいて、各地図データを選択するための表示項目に、位置情報を含むHTML(HyperText Markup Language)などのリンクを割り付けて位置情報を保持させておくことで、別の地図データへ差し替える際に位置情報を取得し直す必要が無くなり、地図を切り換えるときの切換時間を短縮することができる。
実施の形態4.
図17は、この発明に係る位置情報システムの一例としての買物支援システムを示すシステム構成図である。この買物支援システムは、路面などに設置される複数のタイル1と、携帯装置101と、サーバ装置102と、を有する。
タイル1は、図18に示すように、大型店舗のフロア床面151と、フロアに設置された複数の商品棚152とに設置されている。なお、これらのタイル1は、実施の形態1のように、タイル1が直接にフロア床面151や商品棚152に設置されていても、あるいは、実施の形態2のように、道路鋲などの道路埋設部材のスリットにタイル1が挿入され、この道路埋設部材がフロア床面151や商品棚152に設置されていてもよい。
フロア床面151に設置されるタイル1は、少なくともこのフロアへの入口となるたとえばエレベータ、エスカレータあるいは階段の降口と、フロア通路の分岐位置とに設置されていればよい。つまり、人の移動方向にそって設置されていればよい。しかしながら、フロア床面151に設置されるタイル1は、たとえば少なくとも0.5〜2m程度の間隔毎に、フロア床面151の全面に敷き詰めて設置しておくのが好ましい。これにより、フロア床面151の商品棚152のレイアウトなどが変更され、その結果としてフロア通路の分岐位置が変更されてしまったとしても、各分岐位置あるいはその近くにいずれかのタイル1が位置し、且つ、人の移動方向にそってタイル1が設置されることになる。
フロア床面151に設置されるタイル1の二次元コードパターン部3には、それぞれの設置位置の位置情報がコード化された二次元コードパターン3aが配置されている。この位置情報は、連続した番号などであってもよい。特に、フロア床面151の全面に所定の間隔毎にタイル1を設置した場合には、その複数のタイル1は格子状の配列になるので、たとえば(0,1)などの二次元の配列要素形式になっていてもよい。
各商品棚152には、タイル1が1つずつ設置されていても、複数個ずつ設置されていてもよい。図18の商品棚152では、1つの商品棚に3つのタイル1が設置されている。商品棚152に設置されるタイル1の二次元コードパターン3aには、フロア内での全ての商品棚152において互いを区別することができるID番号などの識別情報が位置情報としてコード化されている。なお、タイル1の二次元コードパターン3a中に、フロアの階数を示すデータを入れ込んでもよい。
サーバ装置102は、フロアレイアウトデータ111と、商品リスト112と、商品リスト送信部113と、経路探索部114と、経路表示データ生成部115と、を有する。
フロアレイアウトデータ111は、何階のフロアであるかを示すデータと、フロア表示データと、位置データと、を有する。フロア表示データは、フロア床面151の図面の上に、複数の商品棚152を配置した図面を、データ化したものである。このフロア床面151の図面の上に、複数の商品棚152を配置する作業は、図示外の商品棚マッピング部にて実行すればよい。なお、各商品棚152を選択することで、その商品棚152に陳列されている商品のリストや陳列のレイアウトを表示できるようにしてもよい。
位置データは、フロア床面151を所定の領域毎に分割し、その分割した領域毎に異なる位置座標を割り付けたデータである。各分割領域に割り付ける位置座標は、たとえば、床面に設置されるタイル1の二次元コードパターン3a中のコード化され、表示された位置情報と一致させるとよい。また、その分割領域内に商品棚152あるいは商品棚152のタイル1が位置する場合には、その商品棚152のタイル1の二次元コードパターン3a中のコード化された位置情報と一致させるとよい。1つの分割領域に複数の位置座標が対応付けられていてもよい。
商品リスト112は、各フロアで販売する商品のリストであり、各商品には、少なくともフロアの階数と、その商品を陳列する商品棚152のタイル1の位置情報あるいはその商品棚152の近くのフロア床面151のタイル1の位置座標が対応付けられる。この商品と位置情報との対応付けは、たとえば、CCDカメラ121つきの携帯装置101を用いて商品のバーコードと商品の陳列位置の近くのタイル1の二次元コードパターン3aとを1つの画像または連続した画像として撮影し、この画像をサーバ装置102の図示外の商品登録部において画像解析し、これによりバーコードに対応付けられたPOS情報の商品名と、二次元コードパターン3aから復元される位置情報とを商品リスト112に追加するように処理すればよい。このようにフロア床面151の全面および商品棚152にタイル1の二次元コードパターン3aを配設することで、簡単に商品と位置情報とを関連付けることができる。なお、二次元コードパターン3a中にフロア階数を示すデータが含まれていれば、自動的に、各フロアとの関連付けもされるが、そのようなデータが二次元コードパターン3a中に無い場合は、データ入力時にフロア階数のデータ(高さ方向の位置情報)を手作業で入力するようにする。
商品リスト送信部113は、携帯装置101からの要求に応じて商品リスト112を送信する。
経路探索部114は、商品が指定されると、その商品がどのフロアにあるのかを判断し、該当するフロアのフロア表示データを抽出するとともに、その商品を陳列している商品棚152を通過する経路を示す経路データを生成する。具体的にはたとえば、経路探索部114は、指定された商品の位置情報を商品リスト112から検索し、その位置情報で示される位置を通過する経路を現在の位置データを用いて探索し、経路データを生成する。この経路データは、たとえば、買物を希望する消費者が現在いる位置情報と、フロア入口の位置情報と、商品が陳列されている商品棚152の位置情報と、清算カウンタ153の位置情報とからなる。
経路表示データ生成部115は、経路データが示す経路をフロアレイアウトデータ111中のフロア表示データに割り付け、この経路が割り付けられたフロア表示データと位置データとを経路表示データ131として送信する。
携帯装置101は、画像を撮影する撮像デバイスとしてのCCDカメラ121と、キー操作に応じた入力情報を生成する入力キー122と、表示データを表示する表示デバイスとしての液晶モニタ123と、サーバ装置102とデータを送受信する通信部124と、マイクロコンピュータ125と、を有する。なお、このような携帯装置101としては、たとえばCCDカメラ121を有する携帯電話端末がある。また、携帯装置101は、買物用カートなどに配設されていてもよい。
マイクロコンピュータ125は、その図示外の記憶部に、図示外の経路案内プログラムと、通信部124が受信した経路表示データ131と、を記憶する。経路案内プログラムは、図示外のコンピュータ読取可能な記録媒体あるいは伝送媒体を介して、この記憶部に記録することができる。
マイクロコンピュータ125は、経路案内プログラムを実行する。これにより、図17に示すように、マイクロコンピュータ125には、デコード手段としてのデコード部141と、位置情報抽出部142と、表示データ生成手段としての表示データ生成部143と、商品選択部144と、が実現される。
デコード部141は、周期的に、CCDカメラ121が生成する輝度分布データから二次元コードパターン3aを抽出し、抽出した二次元コードパターン3aの二次元コードをデコードして、データを復元する。デコード部141の動作条件や二次元コードパターン3aの抽出周期は、実施の形態3のデコード部81と同様にすることができる。
位置情報抽出部142は、デコード部141が復元したデータから、タイル1の設置位置を示す位置情報を抽出する。
商品選択部144は、入力キー122が生成する入力情報に基づいて商品リスト112の送信要求を通信部124にサーバ102に対して送信させる。また、商品選択部144は、通信部124がサーバ102から受信した商品リスト112を液晶モニタ123に表示させるとともに、入力キー122が生成する入力情報に基づいて商品を選択し、その選択した商品を通信部124にサーバ102に対して送信させる。さらに、商品選択部144は、通信部124がサーバ102から経路表示データ131を受信すると、この経路表示データ131を記憶部に記憶させる。
表示データ生成部143は、位置情報抽出部142が抽出した位置情報に基づいて、その位置情報で示される位置を中心とする表示データを生成する。具体的にはたとえば、表示データ生成部143は、液晶モニタ123の表示ドット数に相当するサイズの表示データを経路表示データ131から切り出し、その中心のドットを所定の階調データに置き換えて表示データを生成する。中心のドットに該当する部分が現在位置となる。
次に、この買物支援システムの動作を説明する。ここでは、図18に示すように、商品を販売する所定階のフロアで利用する場合を例として説明する。
フロアの入口まで来た買い物客がフロアの入口のタイル1を撮影した後、携帯装置101の入力キー122を操作すると、商品選択部144は、入力キー122が生成する入力情報に基づいて商品リスト112の送信要求を通信部124に送信させる。サーバ装置102の商品リスト送信部113は、この要求に応じて、商品リスト112を送信する。商品選択部144は、通信部124が受信した商品リスト112を液晶モニタ123に表示させる。
買い物客は、入力キー122を操作して、携帯装置101に表示された商品リスト112から商品を選択する。商品選択部144は、その選択された商品を通信部124に送信させる。サーバ装置102では、経路探索部114が、この指定された商品を陳列している商品棚152を通過する経路を示す経路データを生成し、経路表示データ生成部115が、フロア表示データに経路データが示す経路を割り付けた経路表示データ131を携帯装置101に送信する。通信部124が経路表示データ131を受信すると、商品選択部144は、この経路表示データ131を記憶部に記憶させる。
買物客が携帯装置101とともに移動を開始し、携帯装置101によって次のタイル1を撮影する。すると、CCDカメラ121は床面などに設置されたタイル1の二次元コードパターン3aを含む輝度分布データを出力する。デコード部141は、この輝度分布データから二次元コードパターン3aを抽出し、抽出した二次元コードパターン3aの二次元コードをデコードしてデータを復元し、位置情報抽出部142は、デコード部141が復元したデータから、タイル1の設置位置を示す位置情報を抽出する。表示データ生成部143は、位置情報抽出部142が抽出した位置情報に基づいて、その位置情報で示される位置を中心とする表示データを新たに生成する。液晶モニタ123は、この表示データを表示する。これにより、買物客は、液晶モニタ123に表示された地図の上で、現在位置と、選択した商品への行き方とを確認することができる。
買物客がさらに移動して、CCDカメラ121が移動先の路面などに設置された新たなタイル1の二次元コードパターン3aを撮影すると、位置情報抽出部142は、この新たな二次元コードパターン3aにコード化されていた位置情報を抽出し、表示データ生成部143は、この新たな位置情報に基づいて、その位置情報で示される位置を中心とする新たな表示データを生成する。液晶モニタ123は、この表示データを表示する。これにより、歩行者は、現在の位置を、液晶モニタ123に表示された地図の上で確認し続けることができる。
そして、たとえば液晶モニタ123の表示において、現在位置の表示ドットが経路上を移動するように移動することで、買物客は、フロアの入口から、指定した商品を陳列する商品棚152まで迷うことなく移動することができる。また、買物客は、液晶モニタ123の表示において、現在位置の表示ドットが経路の表示ドットから外れることを確認することで、誤った方向へ移動していることを知ることができる。その後、現在位置の表示ドットが経路の表示ドットと重なるように戻ることで、買物客は、目的地への正しい経路に復帰し、そこから最短距離にて指定した商品を陳列する商品棚152まで移動することができる。また、商品棚152から商品をとった後、現在位置の表示ドットが経路上を移動するように更に移動することで、買物客は、清算カウンタ153まで迷うことなく移動することができる。
この実施の形態4では、携帯装置101に、買物支援プログラムを記憶させている。この他にもたとえば、買物支援プログラムを、サーバ装置102側に設けてもよい。この場合、携帯装置101は位置情報をこのサーバへ送信し、その結果としての表示データを受信して表示することになる。また、サーバ装置102は、携帯装置101が通信ネットワークやインターネットを介してアクセスするようにしてもよい。特に、携帯装置101が携帯電話端末である場合、サーバ装置102にインターネットを介してアクセスできるようにすることで、フロアの外、店舗の外からも商品リストにアクセスすることができ、そのフロアの外、店舗の外から、商品を陳列する商品棚まで経路案内をすることもできる。
また、この買物支援プログラムは、セキュリティレベルに応じて、所定の期間毎にダウンロードしなければ使用できなくしたり、パスワードの入力やユーザ登録などを義務付けるようにしたりしてもよい。これらの処理をしなければ、表示データが表示されないようにしたりすればよい。また、各商品棚152のどの位置に商品があるかの情報(Zの位置情報)を入れることで、商品位置をより正確に入力し表示することができる。このようにZの位置情報としては、先に示したフロアの階数などのようにビルの階数、1つの商品棚152の詳細位置の他に、海抜位置(標高位置)などが挙げられる。
この実施の形態4では、商品棚152で販売されている商品への経路を案内している。この他にもたとえば、商品リストを、食事のメニューリストとし、このメニューリストをインターネットを介して公開することで、その食事を食べたい人を、店舗まで経路案内することもできる。特に、たとえば店舗の緯度経度と検索する人の緯度経度とを比較することができるので、検索する人に検索距離範囲などを指定させることで、たとえば500m以内の店舗で塩ラーメンを食べるなどの検索をすることができるようになる。これにより、従来では店舗を検索し、検索した店舗の名前などから食べたい食事を提供しているか否かを推測するしか手立てがなかったのが、食べたい食事を直接に検索することができるようになる。
この実施の形態4では、商品リストから1つの商品が選択されると、その商品への経路が誘導される。この他にもたとえば、商品リストから複数の商品が選択された場合には、その複数の商品への経路を誘導するようにしてもよい。また、商品リストから選択した商品が他のフロアに配置されている場合には、当該フロアから他のフロアに行くための好ましい経路を併せて表示するようにしてもよい。
この実施の形態4では、登録された商品は、商品リスト112に掲載されつづける。この他にもたとえば、POSシステムによる在庫管理と連動して、売り切れた商品は商品リスト112から削除したり、売り切れそうな商品は商品リスト112から削除したり、あるいは、商品の販売サイクルを商品毎に入力して、その販売サイクルが経過したら、その商品を商品リスト112から削除するようにするとよい。このように商品の陳列時間などを関連付けることにより、商品リスト112に掲載されている商品が、実際に商品棚152へいったら商品が無かったなどの不具合の発生を防止することができる。また、なくなってしまった場合には、代替商品への経路を誘導するようにしてもよい。
また、商品を入力する際、入力日時と、その商品の販売最終日の日時を入力することで、商品のX,Y,Zの位置情報に加え、商品の販売時間となる時間情報を得ることができる。このようなデータを検索できるようにすることで、商品の検索に関して従来とは全く異なる検索が可能となり、消費者にとってもきわめて使い易いものとなる。
この実施の形態4では、経路案内する商品を商品リスト112から検索させている。この他にもたとえば、作りたい食事のメニューリストから食事を検索させ、その食事に関連した商品をサーバ装置で抽出させ、食事に必要となる商品への経路を案内するようにしてもよい。また、海や山への行楽に必要なものを店舗全体で案内したりしてもよい。さらに、これらの案内を1フロアや1店舗ではなく、商店街全体で案内するようにしてもよい。さらには、商品としては、食べ物以外に、名物品や絵画とし、観光名所や美術館を案内させたりしてもよい。商店街全体を案内する場合には、各店舗を商品棚152と同じ扱いとすればよい。また、二次元コードパターン3aやICチップに観光案内の説明などを記憶させ、これを携帯装置に表示させたり、音声案内させたりするようにしてもよい。
以上の各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるが、本発明はこれに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能である。たとえば、携帯電話装置10で二次元コードパターン3aを撮影する例を示したが、PDA(Personal Data Assistant)、デジタルカメラなどの他の携帯装置で撮影するようにしてもよい。