JP2005036468A - 橋梁の施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基礎部15a、15b、60、66上に橋脚本体25bの強度部材となる複数の鋼管柱26を立上げ、該鋼管柱26の上端部に主桁ユニット41dを搭載して橋桁40を構築すると共に、該橋桁40と前記複数の鋼管柱26とを一体に仮固定して仮設の橋脚を構成し、前記鋼管柱26にコンクリート27を巻く前記橋脚本体25bの構築と、前記橋桁40上に床版56を搭載して行う橋面工55の構築を並行して行うようにした。橋脚本体25bの構築と橋面工55の構築を並行して行うことにより、橋梁の施工期間を大幅に短縮することができる。
【選択図】 図12
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、橋梁の施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、既存の平面交差点を立体交差化する場合、その橋梁は、地盤に形成された基礎部と、該基礎部の上部に形成されたフーチングと、該フーチング上に立設された橋脚本体と、該橋脚本体の上端部に形成される横桁と、該横桁に据え付けられた支承と、該支承に架設された上部工(橋桁)と、該上部工の上に形成された橋面工(路面)とにより構成される。
【0003】
このような橋梁の施工は、基礎部の構築、フーチングの構築、橋脚本体の構築、横桁の構築、支承の設置、橋桁の架設、橋面工の構築を順次施工しなければならず、施工期間が長期化している。特に、コンクリートの打設を伴う基礎部、フーチング、橋却本体等の施工では、鉄筋の配筋作業、型枠の着脱作業、打設したコンクリートの養生等を繰り返して行うことが必要であり、また、都市部等では施工時間の制限等もあり、施工期間が1〜2年程度の長期間を要していた。
【0004】
橋脚の施工方法として、フーチング上に鋼管柱を立設すると共に、橋脚本体の外形形状と同じ形状、大きさに形成されたプレキャスト管(型枠)を、前記鋼管柱を囲む形で設置し、前記鋼管柱とプレキャスト管の間にコンクリートを打設して橋脚本体を構築するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。このような橋脚の施工方法によれば、橋脚本体の構築工程における煩雑な配筋作業や型枠の着脱作業を簡略化して橋脚本体の施工期間を短縮することができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−104225号公報 (第4頁 図4、図5)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような施工方法を採用しても、橋梁の施工工程は従来と同様に、基礎部の構築、フーチングの構築、橋脚本体の構築、横桁の構築、支承の設置、橋桁の架設、橋面工の構築を順次施工する必要があり、橋梁の施工期間の大幅な短縮を望むことができない。また、施工期間の長期化に伴う経済的損失は莫大なものになっていた。
【0007】
上記の事情に鑑み、本発明は、橋梁の施工期間の大幅な短縮を可能にする橋梁の施工方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、地盤(10)中に構築された基礎部(15a、15b、60、66)に支持される橋脚本体(25a、25b)と、前記橋脚本体(25a、25b)に支持される橋桁(40)と、前記橋桁(40)上に構築された橋面工(55)と、を有する橋梁(5)を施工する際に、
前記基礎部(15a、15b、60、66)に、鋼管柱(26)を立設して橋脚本体(25a、25b)の構築を開始し、
前記前記橋脚本体(25a、25b)を構築しつつ、前記鋼管柱(26)上に前記橋桁(40)を搭載して前記橋面工(55)の構築を開始し、
前記橋脚本体(25a、25b)と前記橋面工(55)の構築を同時並行的に行うようにした。
【0009】
請求項2に係る発明は、前記基礎部(15a、15b、60、66)に、鋼管柱(26)を立設して橋脚本体の構築を開始し、
前記鋼管柱(26)が所定数立設されたところで、前記立設された鋼管柱(26)上に橋桁(40)を搭載し、
その後、前記鋼管柱(26)にコンクリート(27)を巻くと共に、前記搭載された橋桁(40)上に床版(56)を搭載するようにして構成した。
【0010】
請求項3に係る発明は、前記基礎部(15a、15b、60、66)に、鋼管柱(26)を立設して橋脚本体(25a、25b)の構築を開始し、
前記鋼管柱(26)が所定数立設されたところで、それら鋼管柱(26)の高さ方向の途中までコンクリート(27)を巻き、
次いで、前記高さ方向に途中までコンクリート(27)が巻かれた鋼管柱(26)上に橋桁(40)を搭載し
次いで、前記高さ方向の途中までコンクリートが巻かれた鋼管柱(26)に、該鋼管柱(26)上に搭載された橋桁(40)部分まで達する形で更にコンクリート(27)を巻くと共に、前記搭載された橋桁(40)上に床版(56)を搭載するようにして構成した。
【0011】
請求項4に係る発明は、前記基礎部(15a、15b)は、地盤(10)中に設置された複数の支持杭を有しており、
前記鋼管柱(26)は、前記支持杭のうちの少なくとも一つの支持杭に直接接続する形で立設するようにして構成した。
【0012】
なお、括弧内の符号等は、図面と対照するためのものであり、これは、発明の理解を容易にするための便宜的なものであって、特許請求の範囲に何等影響を及ぼすものではない。
【0013】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1に係る発明によれば、橋脚本体と橋面工の構築とをそれぞれ同時並行的に施工するようにしたので、これらの工程を順次施工する場合に比べ、橋梁の施工期間を大幅に短縮することができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、橋脚本体を構成する所要数の鋼管を立設した後橋桁を搭載し、その後、橋脚本体の鋼管柱に対するコンクリート巻きと橋桁に対する床版の搭載を行うことにより橋脚本体の構築と橋面工の構築を同時並行的に施工することができる。また、これらの工程を順次施工する場合に比べ、橋梁の施工期間を大幅に短縮することができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、鋼管柱の高さ方向の途中までコンクリートを巻いて橋脚を構築した状態で、鋼管柱の上に橋桁を搭載し、その後、鋼管柱に対する更なるコンクリートまきと橋桁に対する床版の搭載を行うことにより、橋脚の構築と橋面工の構築を同時並行的に行うことができる。これにより、構築する橋梁の高さが高くなっても、橋脚本体の構築と橋面工の構築を同時並行的に行うことができ、これらの工程を順次施工する場合に比べ、橋梁の施工期間を短縮することができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、鋼管柱を基礎部に直接接続して立設するようにしたので、フーチング等を構築する必要がなく、橋梁の施工期間を更に短縮することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1乃至図13は、本発明の実施の形態の一例を示すもので、図1は、一般道の立体交差部の一例を示す平面図、図2は、図1の橋梁部分の構成の一例を示す側面図、図3は、図2のE−E断面図、図4は、図3のC−C断面図、図5は、図3のB−B断面図、図6は、図3のA−A断面図、図7は、図6のD−D断面図、図8は、図2のF−F断面図、図9は、図8のG−G断面図、図10は、本発明の橋梁の施工方法における基礎部の構築と鋼管柱の立上げ工程の一例を示す工程図、図11は、本発明の橋梁の施工方法における上部工の架設工程の一例を示す工程図、図12は、本発明の橋梁の施工方法における橋脚本体と橋面工の構築工程の一例を示す工程図、図13は、本発明により構築された橋梁の一例を示す断面図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、道路1と道路2とが交差した平面交差点3を立体交差化する場合には、一方の道路1(又は、道路2)に前記平面交差点3を跨ぐ橋梁5が配置され、前記橋梁5の両端には、盛土等で形成され、橋梁5と前記道路1とを接続するための取付け道路6、6(図1、図2で格子状のハッチングを施した部分)が接続される。そして、道路1を直進する車両は、道路1から取付け道路6、橋梁5及び反対側の取付け道路6を通り道路1へ戻ることにより平面交差点3内を通過することなく平面交差点3を越えることができる。
【0020】
前記橋梁5の施工方法を説明する前に前記橋梁5の構造の一例を、図2ないし図9を参照しながら説明する。
【0021】
図2に示すように、前記橋梁5は、それぞれ所定の位置A1、P1、P2、P3、P4、A2の地盤10中に構築された複数の基礎部15a、15b、15b、15b、15b、15aと、前記基礎部15b、15b、15b、15bの上に構築された橋脚25a、25b、25b、25aと、前記基礎部15a、15aの上に構築された橋台35、35と、前記橋脚25a、25b、25b、25aと橋台35、35とに支持された橋桁40(上部工)と、該橋桁40上に構築された橋面工55とを有している。
【0022】
前記基礎部15bは、図2、図3及び図4に示すように、打ち込む長さの異なる複数の鋼管矢板16、17を矩形の井筒状に配置して構成される。なお、前記鋼管矢板16、17は、それぞれ支持杭を構成する。また、本実施の形態では、図4に示すように、前記鋼管矢板16、17を紙面の左右方向に4本ずつ、紙面の上下方向に3本ずつ(計10本)配列して矩形の井筒を構成している。
【0023】
一方、前記基礎部15aは、4本の前記鋼管矢板16、17、17、16を、図2の紙面の前後方向に1列に配置した構成になっている。
【0024】
前記基礎部15aの両端に位置する2本の前記鋼管矢板16、16及び前記基礎部15bを構成する矩形の井筒の4隅に位置する4本の前記鋼管矢板16、・・、16は、図2、図3に示すように、前記地盤10の地表面GLから沖積粘性土層11を貫通し前記橋梁5の支持層となる沖積砂礫層12に達する深さまで打ち込まれている。また、前記基礎部15aの中間に位置する2本の前記鋼管矢板17、17及び、前記基礎部15bを構成する矩形の各辺の中央部に位置する6本の前記鋼管矢板17、・・、17は、前記沖積粘性土層11の中間部まで打ち込まれている。
【0025】
図3に示すように、前記各鋼管矢板16、17の上端部には、中詰コンクリート19が打設されている。前記中詰コンクリート19の打設深さL7は、3m程度とすることができる。
【0026】
図4に示すように、矩形の井筒状に打ち込まれた10本の前記鋼管矢板16、17で構成される基礎部15bの頭頂部(地盤10の地表面GL側端部)には、図3に示すように、頂版コンクリート20が打設され、10本の前記鋼管矢板16、17を一体化している。前記頂版コンクリート20の厚さL15は、1.5m程度とすることができる。なお、4本の前記鋼管矢板16、17、17、16を一列に配列した前記基礎部15aは、前記鋼管矢板16、17、17、16の頭頂部に直接前記橋台35を形成するため、頂版コンクリートを打設する必要はない。
【0027】
前記基礎部15b上に構築される橋脚本体25a、25b(図2参照)は、図3、図5に示すように、前記基礎部15bを構成する矩形の井筒の4隅に配置された前記鋼管矢板16に直接接続され立設された複数本(本実施の形態では4本)の鋼管柱26と、前記複数本(本実施の形態では2本)の前記鋼管柱26を一体化するコンクリート27で構成されている。従って、本実施の形態では、図2の位置P1、P2、P3、P4に、それぞれ2本の前記橋脚本体25a、25a、橋脚本体25b、25bが形成される。
【0028】
図2に示すように、前記基礎部15aの上には、前記鋼管矢板16、16に直接接続された2本の鋼管柱(図示せず)が立設され、これら2本の鋼管柱を一体化する形で橋台35、35(図2参照)が構築される。
【0029】
図2、図3に示すように、前記鋼管柱26を、前記橋梁5(図2参照)の支持層となる前記沖積砂礫層12まで打ち込まれた前記鋼管矢板16に直接接続して立設することにより、前記基礎部15a、15b、橋脚本体25a、25b及び橋台35を確実に支持することができる。
【0030】
前記鋼管柱26は、例えば、外面リブ付鋼管で形成することができる。また、前記橋脚本体25a、25bの高さが高くなる場合には、所定の長さの複数本の前記外面リブ付鋼管を継ぎ足して前記鋼管柱26を構成することができる。
【0031】
前記基礎部15a、15bに立設する前記鋼管柱26は、所要の強度が得られる大きさ(直径及び板厚)の1本の鋼管柱26であってもよいし、本実施の形態のように2本以上の鋼管柱26で構成してもよい。また、本実施の形態では、図2の位置P1、P2、P3、P4にそれぞれ2本ずつの橋脚本体25a、25a、橋脚本体25b、25bを形成する場合について示しているが、前記各位置P1、P2、P3、P4に、それぞれ4本ずつ立設された前記鋼管柱26を、それぞれ1本の橋脚本体25a、橋脚本体25bとして一体化する形で構築してもよい。
【0032】
図3に示すように、前記橋脚本体25a、25bに配置された前記鋼管柱26の下端部と上端部には、それぞれ中詰コンクリート29、30が打設されている。前記鋼管柱26の下端部に打設される中詰コンクリート29の打設深さL10は、1.5m程度とすることができる。また、前記鋼管柱26の上端部に打設される中詰コンクリート30の打設深さL11は、3m程度とすることができる。なお、図2に示す基礎部15aに立設された鋼管柱(図示せず)には、その全長に亘って中詰コンクリート(図示せず)が打設される。
【0033】
図3に示すように、前記基礎部15bの前記鋼管矢板16の上端部の中詰コンクリート19と前記鋼管矢板16に接続された前記鋼管柱26の下端部の中詰コンクリート29とは、前記鋼管矢板16に前記鋼管柱26を接続した後、同時に打設して一体の中詰コンクリート31を形成するようにしてもよい。前記中詰コンクリート19と中詰コンクリート29とを、一体の中詰コンクリート31とすることにより、前記鋼管矢板16と鋼管柱26の接続部の座屈強度を向上させることができる。
【0034】
図3に示すように、前記橋脚本体25bの下端部は、前記地盤10中に埋設された形となっている。そして、前記橋脚本体25bが地盤10に埋設される深さL16は、0.3m程度とすることができる。
【0035】
図3、図6及び図7に示すように、前記橋桁40(図2参照)の一部を構成する主桁ユニット41d(主桁ユニット41b、41c、41eも同様)は、それぞれ鋼材で形成された複数の主桁42と、該主桁42に一体に固定され、前記鋼管柱26に外嵌される複数(本実施の形態では4個)の鋼管キャップ43と、前記複数の主桁42を一体に接続する一対の横桁45、45と、前記主桁42と並行に配置され、前記横桁45、45を接続する枠体46とにより構成されている。なお、図7は、図6に示す鋼管柱26を省略した形で示してある。
【0036】
なお、前記主桁ユニット41d(主桁ユニット41b、41c、41eも同様)を図2の位置P3(位置P1、P2、P4)に立設された前記鋼管柱26上に、前記鋼管キャップ43を外嵌する形で搭載したとき、前記鋼管柱26、主桁42、横桁45及び枠体46で囲まれる空間が、コンクリート打設空間47となる。そして、前記主桁42、横桁45及び枠体46の前記コンクリート打設空間47を構成する内側面には、複数のスタッドジベル49が配置されている。
【0037】
前記鋼管キャップ43は、図7に示すように、前記鋼管柱26に外嵌する鋼管43aと、該鋼管43aの上端を閉塞する蓋43bとにより構成され、前記鋼管43aの周面には、前記コンクリート打設空間47に打設されるコンクリート50(図3参照)の骨材の最大外径より大きな寸法を有する複数の貫通穴43cが放射状に形成されている。
【0038】
そして、前記コンクリート打設空間47に打設されたコンクリート50(図3参照)は、前記主桁42、鋼管キャップ43、横桁45及び枠体46で囲まれた空間に充填されると共に、前記鋼管キャップ43の貫通穴43cを通り前記鋼管柱26と鋼管キャップ43の間に充填される。即ち、前記コンクリート50を介して前記鋼管柱26と主桁42が一体化される。
【0039】
前記橋桁40(図2参照)の両端部を構成する主桁ユニット41a(主桁ユニット41fも同様)は、図8、図9に示すように、それぞれ鋼材で形成された複数の主桁42と、該主桁42に一体に固定され、前記鋼管柱26に外嵌される複数(本実施の形態では2個)の鋼管キャップ43(構成は前記鋼管キャップ43と同じであるので説明を省略する)と、前記複数の主桁42を一体に接続する一対の横桁45、45と、前記主桁42と並行に配置され、前記横桁45、45を接続する枠体46とにより構成されている。なお、図9は、図8に示す鋼管柱26を省略した形で示してある。
【0040】
なお、前記主桁ユニット41a、41fの場合も、前記主桁ユニット41dと同様に、図2の位置A1、A2に立設された前記鋼管柱26上に前記鋼管キャップ43を外嵌する状態で搭載した時、前記鋼管柱26、主桁42、横桁45及び枠体46で囲まれる空間がコンクリート打設空間47となる。そして、前記主桁42、横桁45および枠体46の前記コンクリート打設空間47を構成する内側面には、複数のスタッドジベル49が配置されている。
【0041】
そして、前記コンクリート打設空間47に打設されたコンクリート(図示せず)は、前記主桁42、鋼管キャップ43、横桁45及び枠体46で囲まれた空間に充填されると共に、前記鋼管キャップ43の貫通穴43cを通り、前記鋼管柱26と鋼管キャップ43の間に充填される。即ち、前記コンクリートを介して前記鋼管柱と主桁42が一体化される。
【0042】
図3、図4に示すように、前記基礎部15bを構成する前記鋼管矢板16、17は、例えば,鋼管部16a、17aの直径D1が1m(板厚10mm)、隣接する前記鋼管部16a、17aを接続する継ぎ手部16b、17bの長さL1が(接続した状態で)0.248mのものを用いることができる。従って、図4に示すように、3本の前記鋼管矢板16、17、16を並べて打ち込んだとき、両端に位置する前記鋼管矢板16、16の軸間の距離L2は、2.496mとなり、4本の前記鋼管矢板16、17、17、16を並べて打ち込んだとき、両端に位置する前記鋼管矢板16、16の軸間の距離L3は、3.3744mとなる。なお、前記橋脚本体25a、25bの前記基礎部15bとして要求される強度に合せ前記鋼管矢板16、17の数を増減することができる。
【0043】
図3に示すように、前記橋脚本体25a、25bの前記鋼管柱26は、本実施の形態では前記鋼管矢板16と同じ直径D1(1m)を有し、その長さL8は、前記橋梁5(図2参照)が完成したときに、前記橋梁5のそれぞれの位置P1、P2、P3、P4で地盤10の地表面GLから前記橋桁40(図2参照)の下面までの所要の高さL9(例えば、図3の場合は5m)を確保できるものを用いる。本実施の形態では、前記鋼管柱26の長さL8を、例えば、7mとすることができる。
【0044】
前記橋台35、35(図2参照)の前記鋼管柱26は、図8に示すように、前記鋼管矢板16と同じ直径D1を有し、その長さは、前記主桁ユニット41a(41f)を確実に支持し得る長さ(例えば、2m)とする。
【0045】
前記主桁ユニット41d(41b、41c、41eも同様)の前記主桁42は、図7に示すように、例えば、高さL12が、2.5mのH型鋼材が用いられる。また、前記横桁45及び枠体46は、例えば板厚20mmの鋼鈑で形成されている。そして、図6に示すように、前記横桁45は、前記鋼管キャップ43を挟んで相対向するように前記主桁42に固定されている。前記横桁45、45の間隔L13は、例えば、4.5mとすることができる。
【0046】
なお、図8、図9に示すように、前記主桁ユニット41a、41fも、前記主桁ユニット41d(図6、図7参照)を長手方向に2分割した構成である他は、前記主桁ユニット41dと同様の構成である。従って、前記横桁45、45の間隔L13は、例えば2.25mとなる。
【0047】
また、図6ないし図9に示すように、前記主桁ユニット41d(41a、41b、41c、41e、41fも同様)に配置される前記鋼管キャップ43は、例えば、直径D2が、1.2m、長さL14が、2m程度とすることができる。
【0048】
前記のような構成の橋梁5の施工方法の一例を、図10ないし図13を参照しながら説明する。
【0049】
まず、地盤10に、支持杭となる鋼管矢板16、17を打ち込んで基礎部15a、15bを構築するのと並行して、該基礎部15a、15b上に橋脚本体25a、25bの構築を開始する。
【0050】
図2の位置A1、P1、P2、P3、P4、A2に、それぞれ前記鋼管矢板16、17を打ち込み前記基礎部15a、15bを構築する。例えば、前記基礎部15bは、図10に示すように、位置Aから時計回りに位置B、C、・・、Jの順で前記鋼管矢板16、17の打ち込みを行う。
【0051】
なお、図10の前記位置B、E、G、Jに打ち込まれる前記鋼管矢板16の打ち込み深さは、図3に示すように、地盤10の地表面GLから沖積粘性土層11を貫通し沖積砂礫層12に深さL4が1m程度侵入する深さとし、例えば、前記沖積粘性土層11の深さが40mの場合には、前記鋼管矢板16の打ち込み深さL5を41mとすることができる。
【0052】
一方、図10の位置A、C、D、F、H、Iに打ち込まれる前記鋼管矢板17は、前記鋼管矢板16の略半分の長さのものを用いることができ、図3に示すように、その打ち込み深さL6を20m程度とすることができる。
【0053】
前記位置Aから位置Cまでの前記鋼管矢板17、16、17の打ち込みが終わり、前記位置Dに前記鋼管矢板17を打ち込む間に、前記位置Bに打ち込まれた前記鋼管矢板16の上端部に、溶接等により前記鋼管柱26を直接接続して立設する。以下、同様に、前記位置Dから位置Fまでの前記鋼管矢板17、16、17の打ち込みが終わり、前記位置Gに前記鋼管矢板16を打ち込む間に、前記位置Eに打ち込まれた前記鋼管矢板16の上端部に、前記鋼管柱26を立設する。また、前記位置G、位置Hの前記鋼管矢板16、17の打ち込みが終わり、前記位置Iに前記鋼管矢板17を打ち込んでいる間に、前記位置Gに打ち込まれた前記鋼管矢板16の上端部に、前記鋼管柱26を立設する。さらに、前記位置Jに前記鋼管矢板16を打ち込んだ後、前記位置Jに打ち込まれた前記鋼管矢板16の上端部に、前記鋼管柱26を立設する。
【0054】
このようにして、前記基礎部15bを構成する矩形の井筒の4隅(前記基礎部15aの場合は、例えば、図10の位置Bから位置Eまでの1列の両端)に打ち込まれた前記鋼管矢板16の上端部に4本(前記基礎部15aの場合は2本)の前記鋼管柱26を立設して、橋脚本体25a、25bの構築を開始する。
【0055】
図11に示すように、前記鋼管矢板17の上端部に中詰コンクリート19を打設すると共に、前記鋼管矢板16の上端部と前記鋼管柱26の下端部に一体の中詰コンクリート31を打設し、前記鋼管柱26の上端部に中詰コンクリート30を打設する。前記のように、前記鋼管矢板16の上端部と前記鋼管柱26の下端部に一体の中詰コンクリート31を打設することにより、前記鋼管矢板16と鋼管柱26の接続部の座屈強度を向上させることができる。
【0056】
前述のように、前記鋼管矢板16、17の打ち込みによる基礎部15a、15bの構築と、前記鋼管柱26の立設による橋脚本体25a、25bの構築を同時並行的に行うことにより、橋脚本体25a、25bの施工期間を短縮することができる。
【0057】
ついで、図2の前記各位置A1、P1、P2、P3、P4、A2に立設された鋼管柱26上に、前記主桁ユニット41a、41b、41c、41d、41e、41fを搭載し、橋桁40を構築する。
【0058】
前記鋼管柱26の上端部の中詰コンクリート30の打設が終了した後、図11に示すように、前記基礎部15bに立設された前記鋼管柱26の上端部に、前記鋼管キャップ43を外嵌する形で、前記主桁ユニット41dを搭載する。同様に、図2に示すように、位置A1、P1、P2、P4、A2に立設された前記鋼管柱26にも、それぞれ対応する前記主桁ユニット41a、41b、41c、41e、41fを搭載する。
【0059】
そして、隣接する前記主桁ユニット41aと41b、前記主桁ユニット41bと41c、・・、前記主桁ユニット41eと41fの前記主桁42をボルト等で接続し、橋桁40を構築する。なお、前記主桁ユニット41aと41b、前記主桁ユニット41bと41c、・・、前記主桁ユニット41eと41fの間に、別途形成された主桁(図示せず)を配置して橋桁40を構成するようにしてもよい。
【0060】
前記橋桁40が構築された状態で、前記橋桁40(即ち、前記主桁ユニット41a、・・、41fの主桁42)と前記鋼管柱26とを、例えば、溶接等で接続して仮固定し、仮設の橋脚とする。この状態では、橋脚本体25a、25bの強度部材である前記複数本の鋼管柱26が、その下端部を前記基礎部15b(又は15a)で一体に連結され、その上端部が前記橋桁40(即ち、前記主桁ユニット41a、・・、41f)で一体に連結されているので、仮設の橋脚として必要な強度を発揮する。
【0061】
ついで、橋脚本体25a、25bの構築と並行して、橋台35、35の構築及び橋面工55の構築を行う。
【0062】
図2の位置P1、P2、P3、P4に構築された前記基礎部15bの前記鋼管矢板16、17で形成された矩形の井筒(図4参照)の内側と外側を所要の深さまで掘り下げ、掘られた穴の内部から上方に向けて立ち上がる鉄筋(図示せず)を配置すると共に、該鉄筋を型枠(図示せず)で囲み、コンクリートを打設して、図11に示すように、前記基礎部15bの頂版コンクリート20を形成し、前記鋼管矢板16、17の上端部を一体化する。
【0063】
図12に示すように、前記頂版コンクリート20から立ち上がる鉄筋(図示せず)に接続する形で、それぞれ2本(図面の前後方向の2本)の前記鋼管柱26を囲むように鉄筋32を配置すると共に、該鉄筋32を型枠(図示せず)で囲いコンクリート27を打設して、橋脚本体25a、25bを構築する。このとき、前記型枠として、プレキャスト型枠を用いることにより、配筋作業や型枠の取付け作業を軽減して、施工期間を短縮することができる。
【0064】
また、前記橋脚本体25a、25bの構築と並行して、図2の位置A1、A2に構築された前記基礎部15a、15aの1列に打ち込まれた前記鋼管矢板16、17の上端部には、1列に打ち込まれた前記鋼管矢板16、17の周囲に前記橋台35用の穴を掘り、該穴の内部から上方に向けて立ち上がる鉄筋(図示せず)を配置すると共に型枠(図示せず)で囲み、コンクリートを打設して前記鋼管矢板16、17の上端部を一体化すると共に、前記橋台35を構築する。
【0065】
一方、前記橋脚本体25a、25b及び橋台35、35の構築と並行して、図12に示すように、前記橋桁40上にプレキャスト形成された複数の床版56を搭載する。そして、前記橋桁40上に搭載された複数の前記床版56を、隣接する各床版56、56が互いに熱膨張等による伸縮が可能なように連結すると共に、各床版56、56を前記橋桁40に結合する。
【0066】
そして、図13に示すように、前記床版56、56上に路面57の舗装を行うと共に、街路灯(図示せず)の設置、防音壁や金網の設置等、所要の付帯工事を行うことにより、橋面工55を構築する。
【0067】
前記橋脚本体25a、25bの下端部から上端部に向けて巻き上げられる前記コンクリート27の打設位置が、前記橋桁40(即ち、主桁42)の下端に到達したら、前記コンクリート27を打設すると共に、前記鋼管柱26、主桁42、横桁45(図6、図7参照)及び枠体46で構成される前記コンクリート打設空間47に図13に示すように、コンクリート50を打設し、仮固定されていた前記鋼管柱26と前記橋桁40を一体化する。
【0068】
なお、強度上の問題がなければ、前記コンクリート50は、前記鋼管柱26に前記主桁ユニット41a、41b、41c、41d、41e、41fを搭載し、前記各主桁ユニット41a、41b、41c、41d、41e、41fの前記主桁42を連結して前記橋桁40を構築した状態で打設し、前記鋼管柱26と前記橋桁40を一体化するようにしてもよい。
【0069】
また、前記鋼管柱26に橋桁40を搭載した後の橋脚本体25a、25bの構築と床版56の取付け(橋面工55の構築)は、何れか一方を先行する形で施工してもよいし、同時平行的に施工してもよい。特に、橋梁の施工期間を短縮する場合には、同時並行的に行うことが望ましい。
【0070】
前記実施の形態によれば、前記橋脚本体25a、25bの構築と前記橋面工55の構築とをそれぞれ同時並行的に施工することにより、前記橋脚本体25a、25bが完成するまでの間に前記橋面工55の構築も完成させることができるので、図1に示すような平面交差点3の立体化のための橋梁5の工事であれば、施工期間を約4ヶ月程度に大幅に短縮することができる。また、施工期間の短縮により、橋梁工事により交通渋滞が発生する期間を短縮して、経済的な損失を大幅に軽減することができる。
【0071】
また、前記実施の形態によれば、前記基礎部15a、15b上にフーチングを構築することなく、前記基礎部15a、15bを構成する前記鋼管矢板16に直接接続して前記鋼管柱26を立上げ、該鋼管柱26に前記コンクリート27を巻いて前記橋脚本体25a、25b、前記橋台35、35を構築するようにしたので、橋脚の構造を簡素化することができるだけでなく、施工期間をより一層短縮することができる。
【0072】
なお、前記橋脚本体25a、25bの構築作業と並行して行う前記橋面工55の構築作業は、例えば、橋脚本体25a、25bの鉄筋32の配筋作業と型枠の取付け作業を行っている間に作業を行い、前記橋脚本体25a、25bにコンクリート27を打設するとき、また、前記主桁ユニット41d(41a、41b、41c、41e、41fも同様)のコンクリート打設空間47にコンクリート50を打設するとき、及び、打設されたコンクリート27、50が固まるまでの間は、前記鋼管柱26の振動を防止するために作業を中断するようにしてもよい。
【0073】
図14は、本発明の第2の実施の形態を示す橋梁の断面図である。
【0074】
同図において、図3及び図13と同じものは、同じ符号をつけて示し、説明を省略する。本実施の形態においては、基礎部60が、前記地盤10に掘削された穴61内に、例えば、鉄筋籠62を配置し、コンクリート63を打設して構築された現場造成杭65で構成されている。そして、前記現場造成杭65上に前記鋼管柱26を立設している。
【0075】
このような構成の橋梁5であっても、前記現場造成杭65上に前記鋼管柱26を立設した後は、前記実施の形態と同様に、前記鋼管柱26上に前記橋桁40を搭載して前記鋼管柱26の上端部を一体的に連結し、前記橋脚本体25a、25bの構築と、前記橋面工55の構築を同時並行的に行うことができる。
【0076】
図15は、本発明の第3の実施の形態を示す橋梁の断面図である。
【0077】
同図において、図13と同じものは、同じ符号をつけて示し、説明を省略する。本実施の形態においては、前記基礎部66が、前記地盤10に打ち込まれた基礎杭67と、該基礎杭67上に形成されたフーチング69で構築されている。なお、前記基礎杭67は、前記各実施の形態に示すような鋼管矢板16、17(又は、鋼管杭)や現場造成杭65で構築するほか、コンクリートパイル等を用いることもできる。要は、基礎部66として、前記橋脚本体25a、25b、前記橋桁40及び橋面工55を確実に支持できる構造であればよい。
【0078】
このような構成の橋梁5であっても、前記フーチング69上に前記鋼管柱26を立設した後は、前記各実施の形態と同様に、前記鋼管柱26上に前記橋桁40を搭載して前記鋼管柱26の上端部を一体的に連結し、前記橋脚本体25a、25bの構築と、前記橋面工55の構築を同時並行的に行うことができる。
【0079】
なお、山間部に設置する橋梁のように、橋脚本体の高さが高くなる場合には、基礎部に立上げる鋼管柱が長くなるので、基礎部に立設された鋼管柱から順次コンクリートで巻いて橋脚本体を構築しながら、順次鋼管柱を継ぎ足すことにより、鋼管柱を所要の高さまで延設して、橋脚本体の強度を確保した状態で鋼管柱上に橋桁を架設し、残りの橋脚本体の構築と橋面工の構築を並行して行うようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般道の立体交差部の一例を示す平面図。
【図2】図1の橋梁部分の構成の一例を示す側面図。
【図3】図2のE−E断面図。
【図4】図3のC−C断面図。
【図5】図3のB−B断面図。
【図6】図3のA−A断面図。
【図7】図6のD−D断面図。
【図8】図2のF−F断面図。
【図9】図8のG−G断面図。
【図10】本発明の橋梁の施工方法における基礎部の構築と鋼管柱の立上げ工程の一例を示す工程図。
【図11】図11は、本発明の橋梁の施工方法における上部工の架設工程の一例を示す工程図。
【図12】本発明の橋梁の施工方法における橋脚本体と橋面工の構築工程の一例を示す工程図。
【図13】図13は、本発明により構築された橋梁の一例を示す断面図。
【図14】本発明の第2の実施の形態を示す橋梁の断面図。
【図15】本発明の第3の実施の形態を示す橋梁の断面図。
【符号の説明】
10…地盤
15a…基礎部
15b…基礎部
16…支持杭(鋼管矢板)
17…支持杭(鋼管矢板)
25a…橋脚本体
25b…橋脚本体
26…鋼管柱
27…コンクリート
40…橋桁
55…橋面工
56…床版
60…基礎部
66…基礎部
Claims (4)
- 地盤中に構築された基礎部に支持される橋脚本体と、前記橋脚本体に支持される橋桁と、前記橋桁上に構築された橋面工と、を有する橋梁を施工する際に、
前記基礎部に、鋼管柱を立設して橋脚本体の構築を開始し、
前記前記橋脚本体を構築しつつ、前記鋼管柱上に前記橋桁を搭載して前記橋面工の構築を開始し、
前記橋脚本体と前記橋面工の構築を同時並行的に行う、
ことを特徴とする、橋梁の施工方法。 - 前記基礎部に、鋼管柱を立設して橋脚本体の構築を開始し、
前記鋼管柱が所定数立設されたところで、前記立設された鋼管柱上に橋桁を搭載し、
その後、前記鋼管柱にコンクリートを巻くと共に、前記搭載された橋桁上に床版を搭載するようにして構成した、請求項1記載の橋梁の施工方法。 - 前記基礎部に、鋼管柱を立設して橋脚本体の構築を開始し、
前記鋼管柱が所定数立設されたところで、それら鋼管柱の高さ方向の途中までコンクリートを巻き、
次いで、前記高さ方向の途中までコンクリートが巻かれた鋼管柱上に橋桁を搭載し、
次いで、前記高さ方向の途中までコンクリートが巻かれた鋼管柱上に、該鋼管柱上に搭載された橋桁部分まで達する形で更にコンクリートを巻くと共に、前記搭載された橋桁上に床版を構築するようにして構成した、請求項1記載の橋梁の施工方法。 - 前記基礎部は、地盤中に設置された複数の支持杭を有しており、
前記鋼管柱は、前記支持杭の内の少なくとも一つの支持杭に直接接続する形で立設するように構成した、請求項1記載の橋梁の施工方法。
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