JP2005035935A - オキサゾール化合物およびその用途 - Google Patents

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Takahiko Taniguchi
孝彦 谷口
Saori Tsujimoto
さおり 辻本
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真一 今村
Sei Yoshida
聖 吉田
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Abstract

【課題】下記一般式(I)で表される抗がん剤として有用なHER2阻害剤の提供。
【解決手段】 一般式
【化1】
Figure 2005035935

〔式中、環Aは含窒素複素環を、Bは酸素原子または単結合を、Rは置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を、Rはハロゲン原子またはハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基を、Rは水素原子、ハロゲン原子またはハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基を、Rは水素原子、ハロゲン原子、C1−3アルキル基または置換されていてもよい水酸基を、Xは酸素原子またはメチレン基を、Yは酸素原子または単結合を、ZはC1-10アルキレン基を、WはC1-4アルキレン基をそれぞれ示す。〕で表される化合物またはその塩。
【選択図】なし

Description

本発明は増殖因子受容体チロシンキナーゼ(特に、HER2)阻害剤として有用な複素環化合物およびそれを含有してなる医薬組成物に関する。
細胞増殖因子および増殖因子受容体の遺伝子はプロトオンコジンと呼ばれ、乳癌等のヒト腫瘍の病態に重要な役割を果たしている(非特許文献1)。上皮細胞増殖因子EGFの受容体とホモロジーを有するHER2(Human EGF Receptor-2)遺伝子は膜貫通型の受容体糖タンパク質の遺伝子で、この受容体はチロシンキナーゼ活性を有する(非特許文献2)。HER2はヒト乳癌や卵巣癌で認められ(非特許文献3)、さらに前立腺癌(非特許文献4)や胃癌(非特許文献5)でも認められている。さらにHER2チロシンキナーゼの基質は膵癌の90%で認められている。HER2遺伝子を導入したトランスジェニックマウスは成長すると乳癌を発生する(非特許文献6)。
HER2に対する抗体が癌細胞のin vitro細胞増殖を抑制することが示され(非特許文献7)、さらにHER2に対するヒト型モノクローナル抗体が乳癌患者に対する臨床試験で有望な成績を示した(非特許文献8)。
これら抗体は増殖因子がHER2受容体に結合することを妨害しチロシンキナーゼが活性化されることを阻害する。その結果、乳癌患者の癌進行を抑制することが示されたので、HER2のチロシンキナーゼを直接的に阻害する薬剤が、乳癌治療薬として有効な可能性が示された(非特許文献9)。
HER2を含む受容体型チロシンキナーゼを阻害する化合物として、特許文献1に一般式
Figure 2005035935
〔式中、Rは置換されていてもよい芳香族複素環基を示し、Xは酸素原子、酸化されていてもよい硫黄原子、−C(=O)− または −CH(OH)− を示し、YはCHまたはNを示し、mxは0〜10の整数を示し、nxは1〜5の整数を示し、環式基
Figure 2005035935
は置換されていてもよい芳香族アゾール基を示し、環Aはさらに置換されていてもよい〕で表される複素環化合物またはその塩が記載されている。
また、特許文献2および特許文献3に一般式
Figure 2005035935
〔式中、mは1または2、R1yはハロゲン原子またはハロゲン化されていてもよいC1−2アルキル基、R2yおよびR3yの一方は水素原子、他方は式
Figure 2005035935
(式中、nyは3または4、R4yは1ないし2個のヒドロキシ基で置換されたC1−4アルキル基を示す)で表される基を示す〕で表される化合物またはその塩が記載されている。
さらに、特許文献4に一般式
Figure 2005035935
〔式中、mzは1ないし3の整数を、nzは1または2を、R1zはハロゲン原子またはハロゲン化されていてもよいC1-2アルキル基を、R2zおよびR3zは同一または異なって水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基または低級アルコキシ基を、R4zは式
Figure 2005035935
(式中、pzは2ないし5の整数を、R5zは置換基として、置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイル基、置換基を有していてもよい環状アミノカルボニル基、置換基を有していてもよいカルバモイルオキシ基、置換基を有していてもよい環状アミノカルボニルオキシ基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニル基、置換基を有していてもよいアルキルスルフィニル基、置換基を有していてもよいスルファモイル基、置換基を有していてもよい環状アミノスルホニル基、置換基を有していてもよいカルバモイルアミノ基、置換基を有していてもよい環状アミノカルボニルアミノ基、置換基を有していてもよいアルキルスルホニルアミノ基またはアシルアミノ基を有するC1-4アルキル基を示す。)で表される基を示す。〕で表される化合物またはその塩が記載されている。
アーロンソンら、サイエンス 254巻1146−1153ページ、1991年 秋山ら、サイエンス 232巻1644−1646ページ、1986年 スラモンら、サイエンス 244巻707−712ページ、1989年 リーンら、プロシーデイング オブ アメリカン アソシエーション フォー キャンサー リサーチ 37巻243ページ、1996年 ヨネムラら、キャンサー リサーチ 51巻1034ページ、1991年 ガイら、プロシーデイング オブ ナショナル アカデミー オブ サイエンス USA 89巻10578−10582ページ、1992年 マッケンジーら、オンコジン 4巻543−548ページ、1989年 バセルガら、ジャーナル オブ クリニカル オンコロジー 14巻737−744ページ、1996年 ヘイズ、ジャーナル オブ クリニカル オンコロジー 14巻697−699ページ、1996年 国際公開第98/003505号パンフレット 国際公開第01/077107号パンフレット 国際公開第02/006249号パンフレット 国際公開第03/031442号パンフレット
優れたチロシンキナーゼ阻害作用を有し、低毒性であり、溶解性、吸収性などに優れた医薬品として十分満足できる化合物の開発が切望されている。
本発明者らは、チロシンキナーゼ阻害作用を有する複素環化合物について種々検討を加えた結果、一般式
Figure 2005035935
〔式中、環Aは含窒素複素環を、Bは酸素原子または単結合を、Rは置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を、Rはハロゲン原子またはハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基を、Rは水素原子、ハロゲン原子またはハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基を、Rは水素原子、ハロゲン原子、C1−3アルキル基または置換されていてもよい水酸基を、Xは酸素原子またはメチレン基を、Yは酸素原子または単結合を、ZはC1-10アルキレン基を、WはC1-4アルキレン基をそれぞれ示す。但し、前記一般式(I)中、一般式
Figure 2005035935
(式中、各記号は前記と同意義を示す。)で表される基が、一般式
Figure 2005035935
(式中、環A’は含窒素複素環を、その他の各記号は前記と同意義を示す。)で表される基である場合、Xが酸素原子である化合物を除く。〕で表される化合物またはその塩を初めて合成し、かつこの化合物またはその塩が予想外にもその特異な化学構造に基づいて優れたチロシンキナーゼの阻害作用を有しており、また医薬品としても優れた性質を有することを見いだし、これらの知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち本発明は、
[1]一般式(I)で表される化合物またはその塩[以下単に化合物(I)ということもある];
[2]環Aがピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、オキサゾール、チアゾールまたはベンズイミダゾールである前記[1]記載の化合物;
[3]環Aがイミダゾールまたはピラゾールである前記[1]記載の化合物;
[4]一般式
Figure 2005035935
〔式中、Bは酸素原子または単結合を、Rは置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を、Rはハロゲン原子またはハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基を、Rは水素原子、ハロゲン原子またはハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基を、Rは水素原子、ハロゲン原子、C1−3アルキル基または置換されていてもよい水酸基を、Xは酸素原子またはメチレン基を、Yは酸素原子または単結合を、ZはC1-10アルキレン基を、WはC1-4アルキレン基をそれぞれ示す。〕で表される化合物またはその塩;
[5]Rが置換されていてもよい炭化水素基である前記[1]記載の化合物;
[6]Rが置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいアルコキシル基および置換されていてもよいカルボキシル基からなる群より選ばれた置換基で置換されている炭化水素基である前記[1]記載の化合物;
[7]Rが置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい水酸基および置換されていてもよいカルボキシル基からなる群より選ばれた置換基で置換されているC1−4アルキル基である前記[1]記載の化合物;
[8]Rがトリフルオロメチル基、Rが水素原子またはフッ素原子である前記[1]記載の化合物;
[9]Rがメチル基である前記[1]記載の化合物;
[10]エチル2-(5-(4-(4-((2-((E)-2-(2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ビニル)- 1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ)-2-メチルフェニル)ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル)エチルカーボネート、2-(5-(4-(4-((2-((E)-2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ビニル)-1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ)-2-メチルフェニル)ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル)エチル(ジメチルアミノ)アセテート、2-(5-(4-(2-メチル-4-((2-((E)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ビニル)-1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル)エチル(ジメチルアミノ)アセテート、2-(5-(4-(2-メチル-4-((2-((E)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ビニル)-1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル)エチル(2−メトキシエトキシ)アセテート、4-(2-(5-(4-(2-メチル-4-((2-((E)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ビニル)-1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル)エトキシ-4-オキソブタン酸、メチル(1-(3-(2-メチル-4-(2-(2-((E)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ビニル)-1,3-オキサゾール-4-イル)エチル)フェノキシ)プロピル)-1H-イミダゾール-2-イル)メチルスクシネート、2-[5-(4-{2-メチル-4-[(2-{(E)-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル}-1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ]フェニル}ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル]エタノール、4-((1-(3-(2-メチル-4-(2-(2-((E)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ビニル)-1,3-オキサゾール-4-イル)エチル)フェノキシ)プロピル)-1H-イミダゾール-2-イル)メトキシ-4-オキソブタン酸またはその塩;
[11]前記[1]記載の化合物を含有する医薬;
[12]チロシンキナーゼ阻害剤である前記[11]記載の医薬;
[13]癌の予防・治療剤である前記[11]記載の医薬;
[14]癌が乳癌、前立腺癌、肺癌、膵癌または腎臓癌である前記[13]記載の医薬;[15]哺乳動物に対して、前記[1]記載の化合物を有効量投与することを特徴とするチロシンキナーゼ阻害方法;
[16]哺乳動物に対して、前記[1]記載の化合物を有効量投与することを特徴とする癌の予防・治療方法;
[17]チロシンキナーゼ阻害剤を製造するための前記[1]記載の化合物の使用;
[18]癌の予防・治療剤を製造するための前記[1]記載の化合物の使用等に関する。
さらに本発明は、
[19]前記[1]記載の化合物と他の抗癌剤とを組み合わせてなる医薬;
[20]前記[1]記載の化合物とホルモン療法剤とを組み合わせてなる医薬;
[21]ホルモン療法剤がLH−RH調節薬である前記[20]記載の医薬;
[22]LH−RH調節薬がLH−RHアゴニストである前記[21]記載の医薬;
[23]LH−RHアゴニストがリュープロレリンまたはその塩である前記[22]記載の医薬;
[24](1)前記[1]記載の化合物の有効量を投与することと、(2)i)他の抗癌剤の有効量を投与すること、ii)ホルモン療法剤の有効量を投与すること、およびiii)非薬剤療法から成る群から選ばれる1〜3種とを組み合わせることを特徴とする癌の予防・治療方法;
[25]非薬剤療法が手術、放射線療法、遺伝子療法、温熱療法、凍結療法または(および)レーザー灼熱療法である前記[24]記載の方法;
[26]哺乳動物に対して、前記[1]記載の化合物の有効量と他の抗癌剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とする癌の予防・治療方法;
[27]哺乳動物に対して、前記[1]記載の化合物の有効量とホルモン療法剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とする癌の予防・治療方法;
[28]ホルモン療法剤がLH−RH調節薬である前記[27]記載の方法;
[29]LH−RH調節薬がLH−RHアゴニストである前記[28]記載の方法;
[30]LH−RHアゴニストがリュープロレリンまたはその塩である前記[29]記載の方法;
[31]手術、放射線療法、遺伝子療法、温熱療法、凍結療法または(および)レーザー灼熱療法を適用する前に、哺乳動物に対して、前記[1]記載の化合物の有効量を投与することを特徴とする癌の予防・治療方法;
[32]手術、放射線療法、遺伝子療法、温熱療法、凍結療法または(および)レーザー灼熱療法を適用した後に、哺乳動物に対して、前記[1]記載の化合物の有効量を投与することを特徴とする癌の予防・治療方法;
[33]手術、放射線療法、遺伝子療法、温熱療法、凍結療法または(および)レーザー灼熱療法を適用する前に、哺乳動物に対して、前記[1]記載の化合物の有効量と他の抗癌剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とする癌の予防・治療方法;
[34]手術、放射線療法、遺伝子療法、温熱療法、凍結療法または(および)レーザー灼熱療法を適用する前に、哺乳動物に対して、前記[1]記載の化合物の有効量とホルモン療法剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とする癌の予防・治療方法;
[35]ホルモン療法剤がLH−RH調節薬である前記[34]記載の方法;
[36]LH−RH調節薬がLH−RHアゴニストである前記[35]記載の方法;
[37]LH−RHアゴニストがリュープロレリンまたはその塩である前記[36]記載の方法;
[38]手術、放射線療法、遺伝子療法、温熱療法、凍結療法または(および)レーザー灼熱療法を適用した後に、哺乳動物に対して、前記[1]記載の化合物の有効量と他の抗癌剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とする癌の予防・治療方法;
[39]手術、放射線療法、遺伝子療法、温熱療法、凍結療法または(および)レーザー灼熱療法を適用した後に、哺乳動物に対して、前記[1]記載の化合物の有効量とホルモン療法剤の有効量とを組み合わせて投与することを特徴とする癌の予防・治療方法;
[40]ホルモン療法剤がLH−RH調節薬である前記[39]記載の方法;
[41]LH−RH調節薬がLH−RHアゴニストである前記[40]記載の方法;
[42]LH−RHアゴニストがリュープロレリンまたはその塩である前記[41]記載の方法;および
[43]リウマチの予防・治療剤である前記[11]記載の医薬等に関する。
以下、本発明について詳細に説明する。
環Aおよび環A’で示される「含窒素複素環」とは、環系を構成する原子(環原子)として少なくとも1つの窒素原子を含む環をいう。炭素原子のほか酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から任意に選ばれるヘテロ原子1ないし3個含んでいてもよい。
「含窒素複素環」として具体的に例示すると、例えばピロール、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリジン、イミダゾリン、チアゾリジン、オキサゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、フラザン、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン等の5ないし6員の単環式含窒素複素環、および例えばインドリン、イソインドリン、1H−インダゾール、ベンズインダゾール、ベンゾオキサゾール、1,2−ベンゾイソオキサゾール、ベンゾチアゾール、1,2−ベンゾイソチアゾール、1H−ベンゾトリアゾール、キノリン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キノキサリン、フタラジン、ナフチリジン、プリン、プテリジン、カルバゾール、α−カルボリン、β−カルボリン、γ−カルボリン、アクリジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フェナジン、フェナトリジン、フェナントロリン、インドリジン、ピロロ〔1,2−〕ピリダジン、ピラゾロ〔1,5−〕ピリジン、イミダゾ〔1,2−〕ピリジン、イミダゾ〔1,5−〕ピリジン、イミダゾ〔1,2−〕ピリダジン、イミダゾ〔1,2−〕ピリミジン、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−〕ピリジン、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−〕ピリダジン等の8〜12員の縮合多環式含窒素複素環等を用いることができる。
Rで示される「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」としては、例えば脂肪族鎖式炭化水素基、脂環式炭化水素基及びアリール基等が用いられる。
炭化水素基の例としての「脂肪族鎖式炭化水素基」としては、例えばアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等の直鎖状又は分枝鎖状の脂肪族炭化水素基が用いられる。
ここで、アルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−メチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルプロピル、2−エチルブチル、n−ヘプチル、1−メチルヘプチル、1−エチルヘキシル、n−オクチル、1−メチルヘプチル、ノニル等のC1−10アルキル基(好ましくはC1−6アルキル等)等が用いられる。
アルケニル基としては、例えばビニル、アリル、イソプロペニル、2−メチルアリル、1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル等のC2−6アルケニル基等が用いられる。
アルキニル基としては、例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル等のC2−6アルキニル基が用いられる。
炭化水素基の例としての「脂環式炭化水素基」としては、例えばシクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルカンジエニル基等の飽和又は不飽和の脂環式炭化水素基が用いられる。
ここで、「シクロアルキル基」としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル等のC3−9シクロアルキル等が用いられる。
「シクロアルケニル基」としては、例えば2−シクロペンテン−1−イル、3−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル、1−シクロブテン−1−イル、1−シクロペンテン−1−イル等のC3−6シクロアルケニル基等が用いられる。
「シクロアルカンジエニル基」としては、例えば2,4−シクロペンタンジエン−1−イル、2,4−シクロヘキサンジエン−1−イル、2,5−シクロヘキサンジエン−1−イル等のC4−6シクロアルカンジエニル基等が用いられる。
炭化水素基の例としての「アリール基」としては、単環式又は縮合多環式芳香族炭化水素基が用いられ、特に限定されないが、好ましくはC6−14芳香族炭化水素基、より好ましくはC6−10芳香族炭化水素基、さらに好ましくはC芳香族炭化水素基などである。
「芳香族炭化水素基」として具体的に例示すると、例えばフェニル、ナフチル、アントリル、アズレニル、フェナントリル、フェナレニル、フルオレニル、インダセニル、ビフェニレニル、ヘプタレニル、アセナフチレニル等であり、中でもフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル等が好ましい。
Rで示される「置換されていてもよい複素環基」の「複素環基」としては、例えば、環系を構成する原子(環原子)として、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子等から選ばれたヘテロ原子1ないし3種(好ましくは1ないし2種)を少なくとも1個(好ましくは1ないし4個、さらに好ましくは1ないし2個)含む芳香族複素環基、飽和あるいは不飽和の非芳香族複素環基(脂肪族複素環基)等が用いられ、特に限定されないが、好ましくは5ないし14員複素環基、より好ましくは5ないし10員複素環基、さらに好ましくは5ないし6員複素環基などである。
「芳香族複素環基」として具体的に例示すると、芳香族単環式複素環基(例えばフリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等)などの5ないし6員の芳香族単環式複素環基及び芳香族縮合複素環基(例えばベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズインダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピラニル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、ブテリジニル、カルバゾリル、α−カルボリニル、β−カルボリニル、γ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、フェナトリジニル、フェナトロリニル、インドリジニル、ピロロ〔1,2−〕ピリダジニル、ピラゾロ〔1,5−〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−〕ピリジル、イミダゾ〔1,5−〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−〕ピリダジニル、イミダゾ〔1,2−〕ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−〕ピリジル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−〕ピリダジニル等)などの8〜12員の芳香族縮合複素環基(好ましくは、前記した5ないし6員の芳香族単環式複素環基がベンゼン環と縮合した複素環または前記した5ないし6員の芳香族単環式複素環基の同一または異なった複素環2個が縮合した複素環)などが用いられる。
「非芳香族複素環基」として具体的に例示すると、例えばオキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、チオラニル、ピペリジル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル等の3〜8員(好ましくは5〜6員)の飽和あるいは不飽和(好ましくは飽和)の非芳香族複素環基(脂肪族複素環基)などが用いられる。
、RおよびRで示される「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などを用いることができる。
およびRで示される「ハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基」とは、炭素数1ないし4の直鎖または分枝状アルキル基の置換可能な部位に、ハロゲン原子が0ないし4個置換されたものが用いられ、具体的には例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、トリクロロメチル、1,2,2−トリクロロエチル等を用いることができる。
で示される「C1−3アルキル基」とは、直鎖または分枝状の炭素数1ないし3のアルキル基が用いられ、具体的には、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル等を用いることができる。
で示される「置換されていてもよい水酸基」における置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、トリクロロメトキシ、2,2,2−トリクロロエトキシ等)およびC7−11アルキルアリール基(例えばo-トルイル、m-トルイル、p-トルイル、キシリル、メシチル等、好ましくはC1−5アルキル-フェニル等)から選ばれた置換基で置換されていてもよい低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1−6アルキル等)、C3−6シクロアルキル基(例、シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシルなど)、アシル基(C1−6アルカノイル(例、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル等)、ベンゾイル、C1−6アルキルスルホニル(例、メタンスルホニル等)、ベンゼンスルホニル等)、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、トリフルオロメトキシカルボニル、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル、トリクロロメトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル等)、フェニル基で置換されていてもよいC1−6アルコキシカルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル等)、置換されていてもよいアリール基(例、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のC6−10アリール等;その置換基としては下記置換基としての「置換されていてもよいアリール基」における「アリール基」の置換基と同様なもの)、アラルキル基(例、ベンジル、フェネチル等のC7−10アラルキル、好ましくはフェニル−C1−4アルキル等)、アリールアルケニル基(例、シンナミル等のC8−10アリールアルケニル、好ましくはフェニル−C2−4アルケニル等)、置換されていてもよい複素環基(下記置換基としての「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」と同様なもの、好ましくはピリジル、さらに好ましくは4−ピリジル等;その置換基としては下記置換基としての「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」の置換基と同様なもの)等を用いることができる。
Zで示される「C1−10アルキレン基」とは、直鎖または分枝を有する炭素数1ないし10のアルキレン基であり、具体的に例示すれば、例えばメチレン基、エチレン基、メチルメチレン基、イソプロピルメチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ジメチルメチレン基、テトラメチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、エチルメチルメチレン基、ペンタメチレン基、1−メチルテトラメチレン基、2−メチルテトラメチレン基、4−メチルテトラメチレン基、3−エチルテトラメチレン基、1,1−ジメチルトリメチレン基、2,2−ジメチルトリメチレン基、1,3−ジメチルトリメチレン基、2,3−ジメチルトリメチレン基、1,1,2−トリメチルエチレン基、ジエチルメチレン基、ヘキサメチレン基、1−メチルペンタメチレン基、1,1−ジメチルテトラメチレン基、1−エチル−2−メチルテトラメチレン基、1−エチル−2−メチルペンタメチレン基、2−エチルヘキサメチレン基、3−プロピルヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、1,1−ジメチルヘプタメチレン基、1,3−ジメチルヘプタメチレン基、2,3−ジメチルヘプタメチレン基、1−メチルヘプタメチレン基、1−エチル−2−メチルヘプタメチレン基、1,1,2−トリメチルヘプタメチレン基、2,2,5−トリメチルヘプタメチレン基、4−イソプロピルヘプタメチレン基、オクタメチレン基、1,2−ジメチルオクタメチレン基、1,3−ジメチルオクタメチレン基、2,4−ジメチルオクタメチレン基、2−エチルオクタメチレン基、3−エチルオクタメチレン基、4−オクタメチレン基、ノナメチレン基、1−メチルノナメチレン基、2−メチルノナメチレン基、3−メチルノナメチレン基、4−メチルノナメチレン基、デカメチレン基等を用いることができる。
Zとしてより好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、2−エチルトリメチレン基、2−イソプロピルトリメチレン基、テトラメチレン基、1−メチルテトラメチレン基、2−メチルテトラメチレン基、1−エチルテトラメチレン基、2−エチルテトラメチレン基などのC1−6アルキレン基であり、さらに好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、テトラメチレン基などのC1−4アルキレン基である。
Wで示される「C1−4アルキレン基」とは、前記と同様にして直鎖または分枝を有する炭素数1ないし4のアルキレン基であり、具体的に例示すれば、例えばメチレン基、エチレン基、メチルメチレン基、イソプロピルメチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ジメチルメチレン基、テトラメチレン基、1−メチルトリメチレン基、2−メチルトリメチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、エチルメチルメチレン基等を用いることができる。
Wとしてより好ましくは、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などである。
Bは酸素原子または単結合を示す。
Xは酸素原子またはメチレン基を示す。
Yは酸素原子または単結合を示す。
ここで、Rで示される「置換されていてもよい炭化水素基」の置換基、「置換されていてもよい複素環基」の置換基としては、それぞれ同一又は異なって、必要により有機化学合成の常法により保護されていてもよく特に制限はないが、例えば(i)置換されていてもよいアルキル基、(ii)置換されていてもよいアルケニル基、(iii)置換されていてもよいアルキニル基、(iv)置換されていてもよいアリール基、(v)置換されていてもよいアラルキル基、(vi)置換されていてもよいシクロアルキル基、(vii)置換されていてもよいシクロアルケニル基、(viii)置換されていてもよい複素環基、(ix)置換されていてもよいアミノ基、(x)置換されていてもよいイミドイル基(例えば、式−C(L’)=N−L〔式中、LおよびL’はそれぞれ水素原子又は置換基を示す(Lは好ましくは水素原子を示す)で表される基等)、(xi)置換されていてもよいアミジノ基(例えば、式−C(NE’E’’)=N−E〔式中、E,E’およびE’’はそれぞれ水素原子又は置換基を示す(Eは好ましくは水素原子を示す)〕で表される基等)、(xii)置換されていてもよい水酸基、(xiii)置換されていてもよいチオール基、(xiv)置換されていてもよいアルキルスルフィニル基、(xv)エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基、(xvi)置換されていてもよいチオカルバモイル基、(xvii)置換されていてもよいスルファモイル基、(xviii)ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等、好ましくは塩素、臭素等)、(xix)シアノ基、(xx)イソシアノ基、(xxi)シアネート基、(xxii)イソシアネート基、(xxiii)チオシアネート基、(xxiv)イソチオシアネート基、(xxv)ニトロ基、(xxvi)ニトロソ基、(xxvii)スルホン酸由来のアシル基、(xxviii)カルボン酸由来のアシル基、(xxix)C1−4アルキレンジオキシ基、(xxx)オキソ基、(xxxi)チオキソ基等が用いられ、これらの任意の置換基は置換可能な位置に1ないし5個(好ましくは1ないし3個)置換していてもよい。
前記置換基としての「置換されていてもよいアルキル基」におけるアルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−メチルプロピル、n−ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルプロピル等のC1−6アルキル等を用いることができる。ここで、アルキル基の置換基としては、低級アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等のC1−6アルコキシ等)、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル等のC1−6アルキル等)、低級アルケニル基(例、ビニル、アリル等のC2−6アルケニル等)、低級アルキニル基(例、エチニル、プロパルギル等のC2−6アルキニル等)、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい水酸基、シアノ基、置換されていてもよいアミジノ基、カルボキシ基、低級アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等のC1−6アルコキシカルボニル等)、置換されていてもよいカルバモイル基(例、5ないし6員の単環式芳香族複素環基(例、ピリジル等)で置換されていてもよいC1−6アルキル基またはアシル基(例、ホルミル、C2−6アルカノイル、ベンゾイル、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシカルボニル、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキルスルホニル、ベンゼンスルホニル等)で置換されていてもよいカルバモイル基、1−アゼチジニルカルボニル、1−ピロリジニルカルボニル、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、1−ピペラジニルカルボニル等)等を用いることができ、これらの任意の置換基は置換可能な位置に1ないし3個置換していてもよい。
前記の「置換されていてもよいアルキル基」の置換基としての「置換されていてもよいアミノ基」、「置換されていてもよい水酸基」、および「置換されていてもよいアミジノ基」としては、後述する置換基としての「置換されていてもよいアミノ基」、「置換されていてもよい水酸基」、および「置換されていてもよいアミジノ基」と同様なものを用いることができる。
前記置換基としての「置換されていてもよいアルケニル基」におけるアルケニル基としては、例えばビニル、アリル、イソプロペニル、2−メチルアリル、1−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−エチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、4−ヘキセニル、5−ヘキセニル等のC2−6アルケニル等を用いることができる。ここで、アルケニルの置換基としては、前記した置換基としての「置換されていてもよいアルキル基」における置換基と同様な数の同様なものを用いることができる。
前記置換基としての「置換されていてもよいアルキニル基」におけるアルキニル基としては、例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル等のC2−6アルキニルを用いることができる。ここで、アルキニル基の置換基としては、前記した置換基としての「置換されていてもよいアルキル基」における置換基と同様な数の同様なものを用いることができる。
前記置換基としての「置換されていてもよいアリール基」におけるアリール基としては、例えばフェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナフチレニル等のC6−14アリール等を用いることができる。ここで、アリール基の置換基としては、前記した置換基としての「置換されていてもよいアルキル基」における置換基と同様な数の同様なものを用いることができる。
前記置換基としての「置換されていてもよいアラルキル基」におけるアラルキル基としては、例えば、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル等のC7−11アラルキル等を用いることができる。ここで、アラルキル基の置換基としては前記した置換基としての「置換されていてもよいアルキル基」における置換基と同様な数の同様なものを用いることができる。
前記置換基としての「置換されていてもよいシクロアルキル基」におけるシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル等のC3−7シクロアルキル等を用いることができる。ここで、シクロアルキル基の置換基としては、前記した置換基としての「置換されていてもよいアルキル基」における置換基と同様な数の同様なものを用いることができる。
前記置換基としての「置換されていてもよいシクロアルケニル基」におけるシクロアルケニル基としては、例えばシクロプロぺニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等のC3−7シクロアルケニル等を用いることができる。ここで、置換されていてもよいシクロアルケニル基の置換基としては、前記した置換基としての「置換されていてもよいアルキル基」における置換基と同様な数の同様なものを用いることができる。
前記置換基としての「置換されていてもよい複素環基」における複素環基としては、例えば環系を構成する原子(環原子)として、酸素原子、硫黄原子および窒素原子等から選ばれたヘテロ原子1ないし3種(好ましくは1ないし2種)を少なくとも1個(好ましくは1ないし4個、さらに好ましくは1ないし2個)含む芳香族複素環基、飽和あるいは不飽和の非芳香族複素環基(脂肪族複素環基)等を用いることができる。
ここで「芳香族複素環基」としては、例えばフリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、フラザニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等の5ないし6員の単環式芳香族複素環基、および例えばベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾ〔〕チエニル、インドリル、イソインドリル、1H−インダゾリル、ベンズインダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1,2−ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾピラニル、1,2−ベンゾイソチアゾリル、1H−ベンゾトリアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、α−カルボリニル、β−カルボリニル、γ−カルボリニル、アクリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、フェナジニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、フェナトリジニル、フェナトロリニル、インドリジニル、ピロロ〔1,2−〕ピリダジニル、ピラゾロ〔1,5−〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−〕ピリジル、イミダゾ〔1,5−〕ピリジル、イミダゾ〔1,2−〕ピリダジニル、イミダゾ〔1,2−〕ピリミジニル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−〕ピリジル、1,2,4−トリアゾロ〔4,3−〕ピリダジニル等の8ないし4員の縮合多環式芳香族複素環基(好ましくは、前記した5ないし6員の単環式芳香族複素環基がベンゼン環と縮合した複素環基または前記した5ないし6員の単環式芳香族複素環基の同一または異なった複素環2個が縮合した複素環基)、より好ましくは前記した5ないし6員の単環式芳香族複素環基がベンゼン環と縮合した複素環基、とりわけ好ましくはベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾ〔〕チエニル等を用いることができる。
ここで「非芳香族複素環基」としては、例えばオキシラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、テトラヒドロフリル、チオラニル、ピペリジル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル等の3ないし8員(好ましくは5ないし6員)の飽和あるいは不飽和(好ましくは飽和)の非芳香族複素環基(脂肪族複素環基)等、あるいは1,2,3,4−テトラヒドロキノリル、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリル等のように前記した単環式芳香族複素環基又は縮合多環式芳香族複素環基の一部又は全部の二重結合が飽和した非芳香族複素環基等を用いることができる。
置換基としての「置換されていてもよい複素環基」が有していてもよい置換基としては、低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル等のC1−6アルキル等)、低級アルケニル基(例、ビニル、アリル等のC2−6アルケニル等)、低級アルキニル基(例、エチニル、プロパルギル等のC2−6アルキニル等)、アシル基(例、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル等のC1−6アルカノイル、ベンゾイル等)、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい水酸基、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等、好ましくは塩素、臭素等)、置換されていてもよいイミドイル基、置換されていてもよいアミジノ基等を用いることができる。これらの任意の置換基は置換可能な位置に1ないし5個(好ましくは1ないし3個)置換していてもよい。
置換基としての「置換されていてもよい複素環基」が有していてもよい「置換されていてもよいアミノ基」、「置換されていてもよい水酸基」、「置換されていてもよいイミドイル基」、および「置換されていてもよいアミジノ基」としては、後述する置換基としての「置換されていてもよいアミノ基」、「置換されていてもよい水酸基」、「置換されていてもよいイミドイル基」、および「置換されていてもよいアミジノ基」と同様なものを用いることができる。
前記置換基としての「置換されていてもよいアミノ基」、「置換されていてもよいイミドイル基」、「置換されていてもよいアミジノ基」、「置換されていてもよい水酸基」、「置換されていてもよいチオール基」、における置換基としては、例えば、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ(例えばメトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、トリクロロメトキシ、2,2,2−トリクロロエトキシ等)およびC7−11アルキルアリール基(例えばo-トルイル、m-トルイル、p-トルイル、キシリル、メシチル等、好ましくはC1−5アルキル-フェニル等)から選ばれた置換基で置換されていてもよい低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1−6アルキル等)、アシル基(C1−6アルカノイル(例、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル等)、ベンゾイル、C1−6アルキルスルホニル(例、メタンスルホニル等)、ベンゼンスルホニル等)、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシカルボニル基(例、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、トリフルオロメトキシカルボニル、2,2,2−トリフルオロエトキシカルボニル、トリクロロメトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル等)、フェニル基で置換されていてもよいC1−6アルコキシカルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル等)、アリール(例、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のC6−10アリール等)、アラルキル(例、ベンジル、フェネチル等のC7−10アラルキル、好ましくはフェニル−C1−4アルキル等)、アリールアルケニル(例、シンナミル等のC8−10アリールアルケニル、好ましくはフェニル−C2−4アルケニル等)、複素環基(前記置換基としての「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」と同様なもの、好ましくはピリジル、さらに好ましくは4−ピリジル等)等を用いることができる。これらの任意の置換基は置換可能な位置に1ないし3個置換していてもよい。
また、前記置換基としての「置換されていてもよいアミノ基」における「アミノ基」は、置換されていてもよいイミドイル基(例えば、C1−6アルキルイミドイル(例、ホルミルイミドイル、アセチルイミドイル等)、C1−6アルコキシイミドイル、C1−6アルキルチオイミドイル、アミジノ等)、1〜2個のC1−6アルキル基で置換されていてもよいアミノ基等で置換されていてもよい。これらの任意の置換基は置換可能な位置に1ないし2個置換していてもよい。また、2個の置換基が窒素原子と一緒になって環状アミノ基を形成する場合もあり、この様な場合の環状アミノ基としては、例えば1−アゼチジニル、1−ピロリジニル、ピペリジノ、チオモルホリノ、モルホリノ、1−ピペラジニルおよび4位に低級アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1−6アルキル等)、アラルキル(例、ベンジル、フェネチル等のC7−10アラルキル等)、アリール(例、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のC6−10アリール等)等を有していてもよい1−ピペラジニル、1−ピロリル、1−イミダゾリル等の3〜8員(好ましくは5〜6員)の環状アミノ等を用いることができる。
前記置換基としての「置換されていてもよいアルキルスルフィニル基」におけるアルキルスルフィニル基としては、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、プロピルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル、ブチルスルフィニル、イソブチルスルフィニル、sec-ブチルスルフィニル、tert-ブチルスルフィニル、ペンチルスルフィニル、ヘキシルスルフィニル等のC1−6アルキルスルフィニルを用いることができる。ここでアルキルスルフィニルの置換基としては、前記した置換基としての「置換されていてもよいアルキル基」における置換基と同様な数の同様なものを用いることができる。
前記置換基としての「エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基」としては、カルボキシル基、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アラルキルオキシカルボニル、カルバモイル、N−モノ置換カルバモイルおよびN,N−ジ置換カルバモイルを用いることができる。
ここで「アルコキシカルボニル」としては、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル等のC1−6アルコキシカルボニル(低級アルコキシカルボニル)等を用いることができ、中でもメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル等のC1−3アルコキシカルボニル等が好ましい。該「低級アルコキシカルボニル」は置換基を有していてもよく、その置換基としては、水酸基、置換されていてもよいアミノ基[該アミノ基は、例えば1ないし5個のハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)で置換されていてもよい低級アルキル基(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1−6アルキル等、好ましくはメチル、エチル等)、アシル基(例、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル等のC1−6アルカノイル、ベンゾイル等)、カルボキシル基、C1−6アルコキシカルボニル等の1又は2個を置換基として有していてもよい。]、ハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、ニトロ基、シアノ基、1ないし5個のハロゲン原子(例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)で置換されていてもよい低級アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等のC1−6アルコキシ等、好ましくはメトキシ、エトキシ等)等を用いることができる。また、これらの置換基は、同一または異なって1または2ないし3個(好ましくは1または2個)置換しているのが好ましい。
ここで「アリールオキシカルボニル」としては、例えばフェノキシカルボニル、1−ナフトキシカルボニル、2−ナフトキシカルボニル、1−フェナントキシカルボニル等のC6−14アリールオキシカルボニル等が好ましい。該「アリールオキシカルボニル」は置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記の置換基としての「アルコキシカルボニル」における置換基と同様な数の同様なものを用いることができる。
ここで「アラルキルオキシカルボニル」としては、例えばベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル等のC7−14アラルキルオキシカルボニル等(好ましくは、C6−10アリール−C1−4アルコキシ−カルボニル等)が好ましい。該「アラルキルオキシカルボニル」は置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記の置換基としての「アルコキシカルボニル」における置換基と同様な数の同様なものを用いることができる。
ここで「N−モノ置換カルバモイル」としては、例えば低級アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1−6アルキル等)、低級アルケニル(例、ビニル、アリル、イソプロペニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル等のC2−6アルケニル等)、シクロアルキル(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等のC3−6シクロアルキル等)、アリール(例、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のC6−10アリール等)、アラルキル(例、ベンジル、フェネチル等のC7−10アラルキル、好ましくはフェニル−C1−4アルキル等)、アリールアルケニル(例、シンナミル等のC8−10アリールアルケニル、好ましくはフェニル−C2−4アルケニル等)、複素環基(例えば前記置換基としての「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」と同様のもの等)等を用いることができる。該低級アルキル、低級アルケニル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、アリールアルケニル、複素環基は置換基を有していてもよく、その置換基としては、前記の置換基としての「アルコキシカルボニル」における置換基と同様な数の同様なものを用いることができる。
ここで「N,N−ジ置換カルバモイル」は、窒素原子上に2個の置換基を有するカルバモイル基を意味し、該置換基の一方の例としては前記した置換基としての「N−モノ置換カルバモイル」における置換基と同様のものを用いることができ、他方の例としては、例えば低級アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1−6アルキル等)、C3−7シクロアルキル(例、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等)、C7−10アラルキル(例、ベンジル、フェネチル等、好ましくはフェニル−C1−4アルキル等)等を用いることができる。また、2個の置換基が窒素原子と一緒になって環状アミノを形成する場合もあり、この様な場合の環状アミノカルバモイルとしては、例えば1−アゼチジニルカルボニル、1−ピロリジニルカルボニル、ピペリジノカルボニル、モルホリノカルボニル、1−ピペラジニルカルボニルおよび4位に低級アルキル(例、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル等のC1−6アルキル等)、アラルキル(例、ベンジル、フェネチル等のC7−10アラルキル等)、アリール(例、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等のC6−10アリール等)等を有していてもよい1−ピペラジニルカルボニル等の3〜8員(好ましくは5〜6員)の環状アミノカルボニル等を用いることができる。
前記置換基としての「置換されていてもよいチオカルバモイル基」および「置換されていてもよいスルファモイル基」の置換基としては、前記置換基としての「エステル化もしくはアミド化されていてもよいカルボキシル基」における「N−モノ置換カルバモイル」、「N,N−ジ置換カルバモイル」の置換基と同様のものを用いることができる。
前記置換基としての「スルホン酸由来のアシル」としては、例えば前記した「N−モノ置換カルバモイル」が窒素原子上に1個有する置換基とスルホニルとが結合したもの等を用いることができるが、好ましくは、メタンスルホニル、エタンスルホニル等のC1−6アルキルスルホニル等のアシルを用いることができる。
前記置換基としての「カルボン酸由来のアシル」としては、水素原子または前記した「N−モノ置換カルバモイル」が窒素原子上に1個有する置換基とカルボニルとが結合したもの等を用いることができるが、好ましくは、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル等のC1−6アルカノイル、ベンゾイル等のアシルを用いることができる。
前記置換基としての「C1−4アルキレンジオキシ基」として具体的に例示すれば、例えばメチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基、メチルエチレンジオキシ基、プロピレンジオキシ基、ブチレンジオキシ基等を用いることができる。
本願において好ましい化合物は具体的には以下のとおりである。
一般式
Figure 2005035935
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕で表される本発明化合物またはその塩が好ましく、より好ましくは一般式
Figure 2005035935
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕で表される本発明化合物またはその塩、もしくは、
Figure 2005035935
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕で表される本発明化合物またはその塩である。
また、環Aとしては、より好ましくはピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、オキサゾール、チアゾールまたはベンズイミダゾールであり、さらに好ましくはイミダゾールまたはピラゾールである。
Rとしては、好ましくは置換されていてもよい炭化水素基であり、より好ましくは置換されていてもよい脂肪族鎖式炭化水素基であり、さらに好ましくは置換されていてもよいアルキル基であり、さらにより好ましくは置換されていてもよいC1−4アルキル基である。
Rの置換基として好ましいものは、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいアルコキシル基および置換されていてもよいカルボキシル基からなる群より選ばれた置換基である。
としては、好ましくはハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基であり、より好ましくはトリフルオロメチル基である。
としては、好ましくは水素原子またはフッ素原子である。
としては、好ましくは水素原子またはメチル基であり、より好ましくはメチル基である。
本願発明において、好ましい化合物を具体的に挙げると、たとえば、
エチル2-(5-(4-(4-((2-((E)-2-(2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ビニル)- 1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ)-2-メチルフェニル)ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル)エチルカーボネート、2-(5-(4-(4-((2-((E)-2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ビニル)-1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ)-2-メチルフェニル)ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル)エチル(ジメチルアミノ)アセテート、2-(5-(4-(2-メチル-4-((2-((E)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ビニル)-1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル)エチル(ジメチルアミノ)アセテート、2-(5-(4-(2-メチル-4-((2-((E)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ビニル)-1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル)エチル(2−メトキシエトキシ)アセテート、4-(2-(5-(4-(2-メチル-4-((2-((E)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ビニル)-1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル)エトキシ-4-オキソブタン酸、メチル(1-(3-(2-メチル-4-(2-(2-((E)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ビニル)-1,3-オキサゾール-4-イル)エチル)フェノキシ)プロピル)-1H-イミダゾール-2-イル)メチルスクシネート、2-[5-(4-{2-メチル-4-[(2-{(E)-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル}-1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ]フェニル}ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル]エタノール、4-((1-(3-(2-メチル-4-(2-(2-((E)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ビニル)-1,3-オキサゾール-4-イル)エチル)フェノキシ)プロピル)-1H-イミダゾール-2-イル)メトキシ-4-オキソブタン酸またはこれらの塩等が好ましい。
本発明化合物である一般式
Figure 2005035935
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物またはその塩において、Bが単結合を示す場合、当該一般式(I)は、次の一般式
Figure 2005035935
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物またはその塩を表す。
また、同様にして本発明化合物である一般式(I)で表される化合物またはその塩において、Yが単結合を示す場合、当該一般式(I)は、次の一般式
Figure 2005035935
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物またはその塩を表す。
本発明化合物である一般式
Figure 2005035935
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物またはその塩において、
一般式(I)中、一般式
Figure 2005035935
(式中、各記号は前記と同意義を示す。)で表される基が、一般式
Figure 2005035935
(式中、環A’は含窒素複素環を、その他の各記号は前記と同意義を示す。)で表される基である場合、Xが酸素原子である化合物は除かれる。
つまり、下記一般式
Figure 2005035935
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕で表される化合物は、本願発明から除かれる。
本発明の化合物の塩としては、薬学的に許容される塩が好ましく、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩等が用いられる。無機塩基との塩の好適な例としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩;アンモニウム塩等が用いられる。有機塩基との塩の好適な例としては、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン等との塩が用いられる。無機酸との塩の好適な例としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等との塩が用いられる。有機酸との塩の好適な例としては、例えばギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等との塩が用いられる。塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアルギニン、リジン、オルニチン等との塩が用いられ、酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、例えばアスパラギン酸、グルタミン酸等との塩が用いられる。
一般式(I)および(II)で表される化合物には、(Z)−ビニレン体および(E)−ビニレン体の2種が存在し、この異性体が単独の場合も、それらの混合物の場合も本発明に含まれる。
また、化合物(I)が不斉炭素を有する場合、光学異性体が生ずるが、この異性体が単独の場合も、それらの混合物の場合も本発明に含まれる。
[一般製造法]
本発明の化合物(I)またはその塩
Figure 2005035935
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕は、自体公知の方法、例えば国際公開第98/003505号パンフレット、国際公開第01/077107号パンフレット、国際公開第02/006249号パンフレットおよび国際公開第03/031442号パンフレットに記載の方法に準じた方法等により得られるほか、例えば以下の反応式A〜Iで示される方法等により製造することができる。
以下の反応式中の各記号は前記と同意義を示す。反応式中の化合物は塩を形成している場合も含み、該塩としては、例えば化合物(I)の塩と同様のもの等が用いられる。
製造法A
Figure 2005035935
〔式中、Tは脱離基を、他の記号は前記と同意義をそれぞれ示す。〕
で示される「脱離基」としては、例えばハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニルオキシ基(例、メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ等)、置換されていてもよいアリールスルホニルオキシ基(例、ベンゼンスルホニルオキシ、p-トルエンスルホニルオキシ、p-ブロモベンゼンスルホニルオキシ等)または水酸基で、遊離カルボン酸、その塩(無機塩、有機塩等)あるいはその反応性誘導体(例、酸ハライド、エステル、酸アジド、酸無水物、混合酸無水物、活性アミド、活性エステル、活性チオエステル等)を形成する基等を用いることができる。
[工程A]
化合物(III)と化合物(IV)とを反応させ、化合物(I)を得る工程である。
本反応は、通常、塩基の存在下、化合物(III)と化合物(IV)とを縮合させる。
該「塩基」としては、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属あるいはアンモニウム塩の水酸化物(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムなど)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩(例、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)、アミン類(例、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリンなど)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水素化物(例、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウムなど)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の低級アルコキシド(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム tert−ブトキシドなど)などが用いられる。
「塩基」の好ましい使用量は、化合物(IV)に対して約1〜5モル当量である。
「化合物(III)」の好ましい使用量は、化合物(IV)に対して約0.5〜5モル当量である。
本反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒存在下にて行うことができる。該溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば芳香族炭化水素類(例、トルエン、クロロベンゼン、キシレンなど)、エーテル類(例、エチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、ケトン類(例、アセトン、メチルエチルケトンなど)、ハロゲン化炭化水素類(例、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムなど)、アミド類(例、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)など)、スルホキシド類(例、ジメチルスルホキシド(DMSO)など)またはこれら二種以上の混合物等が用いられ、必要に応じて含水条件も用いることができる。
反応温度は、通常−50〜+150℃、好ましくは約−10〜+100℃である。反応時間は、通常0.5〜48時間である。
製造法B
化合物(IV)のYが酸素原子である化合物(IVa)は、反応式Bの記載に従い、化合物(V)、化合物(VI)から合成される化合物(VII)を必要に応じて脱保護することにより得られる。
Figure 2005035935
〔式中、Pは水素原子または保護基を、Tは脱離基を、他の記号は前記と同意義をそれぞれ示す。〕
で示される「保護基」としては、例えばアルキル(例、メチル、エチルなどのC1−6アルキルなど)、フェニル−C1−6アルキル(例、ベンジルなど)、C1−6アルキル−カルボニル、アルキル置換シリル(例、トリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリルなど)などが用いられる。
で示される「脱離基」としては、例えば前記Tで示される「脱離基」と同様のものが用いられる。
工程Bは工程Aと同様の反応条件で行われる。
工程Cの「脱保護反応」は、常法の中から適宜選択することができる。例えばPがアルキルの場合、化合物(VII)を酸(例、臭化水素酸などの鉱酸、四塩化チタンなどのルイス酸など)処理に付すことにより、例えばPがフェニル−C1−6アルキルの場合、化合物(VII)を水素添加反応に付すことにより、例えばPがアルキル置換シリルの場合、化合物(VII)とフッ化物(例、テトラブチルアンモニウムフルオリドなど)とを反応させることにより化合物(IVa)を得ることができる。
製造法C
化合物(IV)のYが単結合で、ZがC2-10アルキレン基である化合物(IVb)は、反応式Cの記載に従い、化合物(VIII)、化合物(IX)から合成される化合物(X)を必要に応じて脱保護および水素添加反応することにより得られる。
Figure 2005035935
〔式中、Pは水素原子または保護基を、Tは脱離基を、Zaは単結合またはC1-8アルキレン基を、他の記号は前記と同意義をそれぞれ示す。〕
で示される「保護基」としては、例えば前記Pで示される「保護基」と同様のものが用いられる。
で示される「脱離基」としては、例えばハロゲン(例、ブロム、ヨードなど)または式:−OSOCF で表される基などが用いられる。
Zaで示される「C1-8アルキレン基」としては、前記Zにおける炭素数1ないし8のアルキレン基と同様なものが用いられる。
[工程D]
化合物(VIII)と化合物(IX)とを反応させ、化合物(X)を得る工程である。
本反応は、通常、パラジウム触媒存在下、化合物(VIII)と化合物(IX)とを縮合させる。
該「パラジウム触媒」としては、例えばジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(ベンゾニトリル)パラジウム、酢酸パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、パラジウム炭素などが用いられる。また必要に応じて、よう化銅およびアミン類をパラジウム触媒と共に用いる。該「アミン」としては、例えばトリエチルアミン、ジエチルアミン、ピロリジン、ブチルアミンなどが用いられる。
「化合物(IX)」の好ましい使用量は、化合物(VIII)に対して約1〜5モル当量である。「パラジウム触媒」の好ましい使用量は、化合物(VIII)に対して約0.05〜0.5モル当量である。「よう化銅」の好ましい使用量は、化合物(VIII)に対して約0.05〜0.5モル当量である。アミン類は、溶媒として用いても良い。
本反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒存在下にて行うことができる。該溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば前記アミン類、エーテル類、アミド類、水またはこれら二種以上の混合物等が用いられる。
反応温度は、通常−50〜+150℃、好ましくは約−10〜+100℃である。反応時間は、通常1〜72時間である。
[工程E]
化合物(X)に対し、脱保護および水素添加反応を行い、化合物(IVb)を得る工程である。
脱保護は工程Cと同様の反応条件で実施可能である。
水素添加反応は、通常、金属触媒存在下に行う。
該「金属触媒」としては、例えばパラジウム炭素、白金炭素、酸化白金、ラネーニッケルおよび還元鉄などが用いられる。また本反応は、通常、水素気流下で行うが、シクロへキセン、シクロヘキサジエン、ギ酸、ギ酸アンモニウムなどを水素の代わりに用いることも出来る。
「金属触媒」の好ましい使用量は、化合物(X)に対して約5〜50重量%である。
本反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒存在下にて行うことができる。該溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えばアルコール類、エステル類、エーテル類またはこれら二種以上の混合物等が用いられる。
反応温度は、通常室温〜+50℃、好ましくは室温である。反応時間は、通常1〜72時間である。
なお、保護基Pが、フェニル−C1-6アルキルの場合、脱保護と水素添加反応を同時に行うことが出来る。
製造法D
化合物(IV)のYが単結合で、ZがC2-10アルキレン基である化合物(IVb)は、以下の反応式Dの記載に従い、化合物(XI)から得られる化合物(XII)と化合物(XIII)を反応させて得た化合物(XIV)を必要に応じて脱保護および水素添加反応することにより得られる。
Figure 2005035935
〔式中、Pは水素原子または保護基を、Tは脱離基を、Zbは単結合またはC1-8アルキレン基を、他の記号は前記と同意義をそれぞれ示す。〕
3で示される「保護基」としては、例えば前記Pで示される「保護基」と同様のものが用いられる。
で示される「脱離基」としては、例えばハロゲン(例、クロル、ブロム、ヨードなど)で表される基などが用いられる。
Zbで示される「C1-8アルキレン基」としては、前記Zにおける炭素数1ないし8のアルキレン基と同様なものが用いられる。
[工程F]
化合物(XI)とトリフェニルホスフィンとを反応させ、化合物(XII)を得る工程である。
「トリフェニルホスフィン」の好ましい使用量は、化合物(XI)に対して1当量である。
本反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒存在下にて行うことができる。該溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば芳香族炭化水素類などが用いられる。
反応温度は、通常室温〜+200℃、好ましくは室温〜+150℃である。反応時間は、通常1〜72時間である。
[工程G]
化合物(XII)と化合物(XIII)とを反応させ、化合物(XIV)を得る工程である。
本反応は、通常、塩基の存在下、化合物(XII)と化合物(XIII)とを縮合させる。
該「塩基」としては、例えばアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物(例、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩(例、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなど)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水素化物(例、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウムなど)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の低級アルコキシド(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウム tert−ブトキシドなど)、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のアミン塩(例、リチウムジイソプロピルアミド、ヘキサメチルジシラジドなど)などが用いられる。
「塩基」の好ましい使用量は、化合物(XII)に対して約1〜5モル当量である。「化合物(XIII)」の好ましい使用量は、化合物(XII)に対して約0.5〜5モル当量である。
本反応は、反応に影響を及ぼさない溶媒存在下にて行うことができる。該溶媒は、反応が進行する限り特に限定されないが、例えば芳香族炭化水素類、エーテル類、アミド類、スルホキシド類またはこれら二種以上の混合物等が用いられる。
反応温度は、通常−50〜+150℃、好ましくは約−10〜+100℃である。反応時間は、通常0.5〜48時間である。
工程Hは工程Eと同様の反応条件で行われる。
製造法E
Yが酸素原子である化合物(Ia)は、以下の反応式Eの記載に従い、化合物(XV)、化合物(VI)から得られる。
Figure 2005035935
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕
工程Iは前記工程Aと同様の反応条件で実施可能である。
製造法F
Xが酸素原子である化合物(XVI)は、以下の反応式Fの記載に従い、化合物(III)、化合物(XVI)から合成される化合物(XVII)を必要に応じて脱保護することにより得られる。
Figure 2005035935
〔式中、Pは水素原子または保護基を、他の記号は前記と同意義をそれぞれ示す。〕
で示される「保護基」としては、例えば前記Pで示される「保護基」と同様のものが用いられる。
工程Jは前記工程A、工程Kは工程Cと同様の反応条件で実施可能である。
製造法G
環Aが環上の窒素原子で側鎖と結合している化合物(Ib)は、以下の反応式Gの記載に従い、化合物(XVIII)、化合物(XIX)から得られる。
Figure 2005035935
〔式中、Tは脱離基を示し、他の記号は前記と同意義を示す。〕
で示される「脱離基」としては、例えば前記Tで示される「脱離基」と同様のものが用いられる。
工程Lは前記工程Aと同様の反応条件で実施可能である。
製造法H
Yが酸素原子である化合物(XVIIIa)は、以下の反応式Hの記載に従い、化合物(XX)、化合物(XXI)から合成される化合物(XXII)を脱保護することにより得られる化合物(XXIII)に対し、脱離基を導入して合成できる。
Figure 2005035935
〔式中、Pは水素原子または保護基を、Tは脱離基を、他の記号は前記と同意義をそれぞれ示す。〕
で示される「保護基」としては、例えば前記Pで示される「保護基」と同様のものが用いられる。
6で示される「脱離基」としては、例えば前記Tで示される「脱離基」と同様のものが用いられる。
工程Mは前記工程A、工程Nは工程Cと同様の反応条件で実施可能である。
工程Oの「脱離基の導入反応」は、「ソロモンの新有機化学 第7版 11章アルコールとエーテル(花房昭静、池田正澄、上西潤一 監訳、 廣川書店、2002年発行)」の中から適宜選択することができる。
製造法I
化合物(I)は、以下の反応式Iの記載に従い、化合物(XXIV)と化合物(XXV)を縮合することにより得られる。
Figure 2005035935
〔式中、Gは水酸基または脱離基を、他の記号は前記と同意義をそれぞれ示す。〕
化合物(XXIV)と化合物(XXV)の縮合反応は通常のエステルを合成する手段により行われる。該エステルを合成する手段は、任意の公知の方法に従えばよく、例えば 「プロテクティブ グループス イン オーガニック シンセシス(T.W.Greene, P.G.Wuts編, John Wiley & Sons, 1999)」などに記載された方法、例えば、酸触媒による脱水法、アジド法、クロライド法、酸無水物法、混合酸無水物法、DCC法、活性エステル法、ウッドワード試薬Kを用いる方法、カルボニルジイミダゾール法、酸化還元法、DCC/HONB法などの他、WSC法,シアノリン酸ジエチル(DEPC)を用いる方法等があげられる。
Gが脱離基である場合はカルボキシ基の反応性誘導体となり、カルボキシ基の反応性誘導体としてはたとえば酸ハライド、酸アジド、酸無水物、混合酸無水物、活性アミド、活性エステル、活性チオエステル,イソシアナートなどの反応性誘導体がアシル化反応に供される。酸ハライドとしてはたとえば酸クロライド、酸ブロマイドなどが、混合酸無水物としてはモノC1−6アルキル炭酸混合酸無水物(たとえば遊離酸とモノメチル炭酸、モノエチル炭酸、モノイソプロピル炭酸、モノイソブチル炭酸、モノtert−ブチル炭酸、モノベンジル炭酸、モノ(p−ニトロベンジル)炭酸、モノアリル炭酸などとの混合酸無水物)、C1−6脂肪族カルボン酸混合酸無水物(たとえば遊離酸と酢酸、トリクロロ酢酸、シアノ酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、アセト酢酸などとの混合酸無水物)、C7−12芳香族カルボン酸混合酸無水物(たとえば遊離酸と安息香酸、p−トルイル酸、p−クロロ安息香酸などとの混合酸無水物)、有機スルホン酸混合酸無水物(たとえば遊離酸とメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの混合酸無水物)などが、活性アミドとしては含窒素複素環化合物とのアミド〔たとえば遊離酸とピラゾール、イミダゾール、ベンゾトリアゾールなどとの酸アミドで、これらの含窒素複素環化合物はC1−6アルキル基(例、メチル、エチル等)、C1−6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ等)、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素等)、オキソ基、チオキソ基、C1−6アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ等)などで置換されていてもよい。〕などがあげられる。
活性エステルとしては、たとえば有機リン酸エステル(たとえばジエトキシリン酸エステル、ジフェノキシリン酸エステルなど)のほかp−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、シアノメチルエステル、ペンタクロロフェニルエステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、N−ヒドロキシフタルイミドエステル、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、6−クロロ−1−ヒドロキシベンゾトリアゾールエステル、1−ヒドロキシ−1H−2−ピリドンエステルなどがあげられる。活性チオエステルとしては芳香族複素環チオール化合物とのエステル〔たとえば2−ピリジルチオールエステル、2−ベンゾチアゾリルチオールエステルなどで、これらの複素環はC1−6 アルキル基(例、メチル、エチル等)、C1−6アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ等)、ハロゲン原子(例、フッ素、塩素、臭素等)、C1−6アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ等)などで置換されていてもよい。〕などが挙げられる。
この反応は、通常反応に不活性な溶媒中で行われる。該溶媒としては、たとえばエーテル系溶媒(例、エチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)、ハロゲン系溶媒(例、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムなど)、芳香族系溶媒(例、トルエン、クロロベンゼン、キシレンなど)、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水などを単独あるいはそれらを混合して用いることができる。中でもテトラヒドロフラン、ジクロロメタン、クロロホルムなどが好ましい。この反応は通常化合物(XXIV)に対し、化合物(XXV)1ないし5当量、好ましくは1ないし3当量反応させることにより行われる。反応温度は−20℃から50℃、好ましくは0℃ないし室温である。反応時間は通常5分間から100時間である。またこの反応においては塩基を共存させることにより、反応がより円滑に進行する場合もある。該塩基としては、無機塩基、有機塩基ともに有効である。無機塩基の例としては、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、水素化物、炭酸塩、炭酸水素塩、有機酸塩などがあげられ、中でも炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムが好ましい。有機塩基としてはトリエチルアミンなどの3級アミン類が好ましい。該反応性誘導体には酸無水物、酸ハライド(例えば酸クロリド、酸ブロミド)、活性エステル、イソシアナートなどがあげられ、中でも酸ハライドが好ましい。該塩基の使用量は、化合物(XXIV)に対し、通常1ないし10当量、好ましくは1ないし3当量である。
Gが水酸基であるカルボン酸からアシル化する場合には、不活性溶媒(例えば、ハロゲン系溶媒、芳香族系溶媒、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシド(DMSO))あるいはピリジン中、化合物(XXIV)とこれ1当量に対し1ないし1.5当量の(XXV)とを1ないし1.5当量のジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)あるいは1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸(WSC)などの脱水縮合剤存在下反応させることにより行われる。この反応は通常室温下に行われる。反応時間は0.5ないし24時間である。
化合物(XXIV)は自体公知の方法、例えば国際公開第98/003505号パンフレット、国際公開第01/077107号パンフレット、国際公開第02/006249号パンフレットおよび国際公開第03/031442号パンフレットに記載の方法あるいは上記製造法AからHに準じた方法で合成することができる。
前記の各反応において、生成物が遊離体で得られた場合はその塩に、また、塩で得られた場合は遊離体にそれぞれ常法に従って変換することができる。
前記の反応において、置換基中にアミノ基(NH)、ヒドロキシ基(OH)、カルボキシル基(COOH)等が含まれる場合には、これらの基が保護されたものを原料として用い、反応後に自体公知の方法により保護基を除去して目的物を製造してもよい。アミノ基の保護基としては、例えばアシル基(例、アセチル等のC1−6アルキル−カルボニル;ベンジルオキシカルボニル;tert−ブトキシカルボニル等のC1−6アルコキシ−カルボニル;フタロイル;ホルミル等)等が用いられる。ヒドロキシ基の保護基としては、例えばC1−6アルキル基(例、メチル、エチル等)、フェニル−C1−6アルキル基(例、ベンジル等)、C1−6アルキル−カルボニル基(例、アセチル等)、ベンゾイル基、アルキル置換シリル基(例、トリメチルシリル、tert−ブチルジメチルシリル等)等が用いられる。カルボキシル基の保護基としては、例えばC1−6アルキル基(例、メチル、エチル等)、フェニル−C1−6アルキル基(例、ベンジル等)等が用いられる。
前記の各反応において得られた生成物を自体公知の方法により目的物を製造してもよい。例えば生成物にカルボニル基が含まれる場合は還元反応、求核反応などにより水酸基に変換してもよい。また生成物に酸化されていてもよい硫黄原子が含まれる場合は酸化反応あるいは還元反応により目的の化合物に変換してもよい。
かくして得られた化合物(I)は、自体公知の分離手段、例えば濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィー等により単離、精製することができる。
化合物(I)が遊離体で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によって目的とする塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準ずる方法により、遊離体または、目的とする他の塩に変換することができる。
化合物(I)は、水和物であってもよく、非水和物であってもよい。
化合物(I)が光学活性体の混合物として得られる場合には、自体公知の光学分割手段により目的とする(R)体または(S)体に分離することができる。
化合物(I)は同位元素(例、H、14C等)等で標識されていてもよい。
下記一般式
Figure 2005035935
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕で表される本発明化合物またはその塩(以下、化合物(I)と略記する)は、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応、即ち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こすか、または胃酸等により加水分解等を起こして下記化合物(Ix)に変化する。
Figure 2005035935
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕
つまり化合物(I)は化合物(Ix)のいわゆるプロドラッグとして作用する。このプロドラッグ化により化合物の溶解性及び吸収性が改善され、さらに薬効を高めることが可能となる。
本発明の化合物(I)またはその塩(以下、本発明の化合物と略記する場合がある)は、チロシンキナーゼ阻害作用を有し、哺乳動物におけるチロシンキナーゼ依存性疾患の予防または治療に用いることができる。チロシンキナーゼ依存性疾患には、異常なチロシンキナーゼ酵素活性による細胞増殖亢進性の疾患が含まれる。さらに、本発明の化合物は、HER2チロシンキナーゼを特異的に阻害するため、HER2を発現している癌の増殖を抑制する治療剤として、また、ホルモン依存性癌のホルモン非依存性癌への移行を防ぐ予防剤としても有用である。
即ち、本発明の化合物は、種々の癌(なかでも乳癌、前立腺癌、膵癌、胃癌、肺癌、結腸癌、直腸癌、食道癌、十二指腸癌、舌癌、咽頭癌、脳腫瘍、神経鞘腫、非小細胞肺癌、肺小細胞癌、肝臓癌、腎臓癌、胆管癌、子宮体癌、子宮頸癌、卵巣癌、膀胱癌、皮膚癌、血管腫、悪性リンパ腫、悪性黒色腫、甲状腺癌、骨腫瘍、血管線維腫、網膜肉腫、陰茎癌、小児固形癌、カポジ肉腫、AIDSに起因するカポジ肉腫、上顎洞腫瘍、線維性組織球腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、白血病等)、アテローム性動脈硬化症、血管新生(例、固形癌および肉腫の成長にともなう血管新生、腫瘍の転移にともなう血管新生、および糖尿病性網膜症にともなう血管新生等)、ウイルス性疾患(HIV感染等)等の異常な細胞増殖による疾患に対する安全な予防または治療剤として単独またはこれらの疾患に有効な他剤と併用して用いることができる。
チロシンキナーゼ依存性疾患にはまた、異常なチロシンキナーゼ酵素活性に関連する心臓血管疾患が含まれる。従って本発明の化合物は、再狭窄のような心臓血管疾患に対する予防または治療剤として用いることもできる。
さらに、HER2は種々の癌における発現が知られているがヒトリウマチ患者の滑膜細胞でも発現しており、またHER2に対する抗体やチロシンキナーゼ阻害剤などの添加でリウマチ患者由来滑膜細胞の増殖を抑制することが報告されている(佐藤ら,アースライティス アンド リューマティズム(Arthritis and Rheumatism),44巻,p260−265(2001年);WO01/76630A1)。従って本発明の化合物は、リウマチの予防または治療剤として用いることもできる。
本発明の化合物は、癌、特に乳癌、前立腺癌、膵癌、胃癌、肺癌、結腸癌、大腸癌等の予防・治療のための抗癌剤として、心臓血管疾患に対する予防または治療剤として、リウマチの予防または治療剤として有用である。
本発明の化合物は、毒性が低く、そのまま医薬として、または自体公知の薬学的に許容しうる担体等と混合して哺乳動物(例、ヒト、ウマ、ウシ、犬、猫、ラット、マウス、ウサギ、ブタ、サル等)に対して医薬組成物として用いることができる。
医薬組成物の中に本発明の化合物とともに他の活性成分、例えば下記のホルモン療法剤、抗癌剤(例えば、化学療法剤、免疫療法剤、または細胞増殖因子ならびにその受容体の作用を阻害する薬剤等)等を含有させてもよい。
本発明の化合物を医薬として、ヒト等の哺乳動物に投与するにあたって、投与方法は通常例えば錠剤、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、散剤、顆粒剤等として経口的、あるいは注射剤、坐剤、ペレット等として非経口的に投与できる。「非経口」には、静脈内、筋肉内、皮下、臓器内、鼻腔内、皮内、点眼、脳内、直腸内、膣内および腹腔内、腫瘍内部、腫瘍の近位等への投与あるいは直接病巣への投与を含む。
本発明の化合物の投与量は、投与ルート、症状等によって異なるが、例えば乳癌、前立腺癌を持つ患者(体重40ないし80kg)に抗癌剤として経口投与する場合、例えば1日0.5〜100mg/kg体重、好ましくは1日1〜50mg/kg体重、さらに好ましくは1日1〜25mg/kg体重である。この量を1日1回または2〜3回に分けて投与することができる。
本発明の化合物は、薬学的に許容される担体と配合し、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤等の固形製剤;またはシロップ剤、注射剤等の液状製剤として経口または非経口的に投与することができる。
薬学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用されている各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等として配合される。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の製剤添加物を用いることもできる。
賦形剤の好適な例としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が用いられる。
滑沢剤の好適な例としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が用いられる。
結合剤の好適な例としては、例えば結晶セルロース、白糖、D-マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が用いられる。
崩壊剤の好適な例としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム等が用いられる。
溶剤の好適な例としては、例えば注射用水、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油等が用いられる。
溶解補助剤の好適な例としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が用いられる。
懸濁化剤の好適な例としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が用いられる。
等張化剤の好適な例としては、例えば塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が用いられる。
緩衝剤の好適な例としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が用いられる。
無痛化剤の好適な例としては、例えばベンジルアルコール等が用いられる。
防腐剤の好適な例としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が用いられる。
抗酸化剤の好適な例としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸等が用いられる。
医薬組成物は、剤型、投与方法、担体等により異なるが、本発明の化合物を製剤全量に対して通常0.1〜95%(w/w)含有させることにより、常法に従って製造することができる。
また、(1)本発明の化合物の有効量を投与することと、(2)i)他の抗癌剤の有効量を投与すること、ii)ホルモン療法剤の有効量を投与すること、およびiii)非薬剤療法から成る群から選ばれる1〜3種とを組み合わせることにより、より効果的に癌を予防・治療することができる。非薬剤療法としては、例えば、手術、放射線療法、遺伝子療法、温熱療法、凍結療法、レーザー灼熱療法等が用いられ、これらを2種以上組み合わせることもできる。
例えば、本発明化合物は、他のホルモン療法剤、抗癌剤(例えば、化学療法剤、免疫療法剤、または細胞増殖因子ならびにその受容体の作用を阻害する薬剤)等(以下、併用薬物と略記する)とを併用して使用することができる。
本発明の化合物は単剤として使用しても優れた抗癌作用を示すが、さらに前記併用薬物の一つまたは幾つかと併用(多剤併用)することによって、その効果をより一層増強させることができる。
該「ホルモン療法剤」としては、例えば、ホスフェストロール、ジエチルスチルベストロール、クロロトリアニセリン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸クロルマジノン、酢酸シプロテロン、ダナゾール、アリルエストレノール、ゲストリノン、メパルトリシン、ラロキシフェン、オルメロキフェン、レボルメロキシフェン、抗エストロゲン(例、クエン酸タモキシフェン、クエン酸トレミフェン等)、ピル製剤、メピチオスタン、テストロラクトン、アミノグルテチイミド、LH−RHアゴニスト(例、酢酸ゴセレリン、ブセレリン、酢酸リュープロレリン等)、ドロロキシフェン、エピチオスタノール、スルホン酸エチニルエストラジオール、アロマターゼ阻害薬(例、塩酸ファドロゾール、アナストロゾール、レトロゾール、エキセメスタン、ボロゾール、フォルメスタン等)、抗アンドロゲン(例、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミド等)、5α-レダクターゼ阻害薬(例、フィナステリド、エプリステリド等)、副腎皮質ホルモン系薬剤(例、デキサメタゾン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、トリアムシノロン等)、アンドロゲン合成阻害薬(例、アビラテロン等)、レチノイドおよびレチノイドの代謝を遅らせる薬剤(例、リアロゾール等)等が用いられ、なかでもLH−RHアゴニスト(例、酢酸ゴセレリン、ブセレリン、リュープロレリン等)が好ましい。
該「化学療法剤」としては、例えばアルキル化剤、代謝拮抗剤、抗癌性抗生物質、植物由来抗癌剤等が用いられる。
「アルキル化剤」としては、例えば、ナイトロジェンマスタード、塩酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、クロラムブチル、シクロフォスファミド、イホスファミド、チオテパ、カルボコン、トシル酸インプロスルファン、ブスルファン、塩酸ニムスチン、ミトブロニトール、メルファラン、ダカルバジン、ラニムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム、トリエチレンメラミン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ピポブロマン、エトグルシド、アルトレタミン、アンバムスチン、塩酸ジブロスピジウム、フォテムスチン、プレドニムスチン、プミテパ、リボムスチン、テモゾロミド、トレオスルファン、トロフォスファミド、ジノスタチンスチマラマー、カルボコン、アドゼレシン、システムスチン、ビゼレシン、白金錯体(カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチンなど)等が用いられる。
「代謝拮抗剤」としては、例えば、メルカプトプリン、6−メルカプトプリンリボシド、チオイノシン、メトトレキサート、エノシタビン、シタラビン、シタラビンオクフォスファート、塩酸アンシタビン、5−FU系薬剤(例、フルオロウラシル、テガフール、UFT、ドキシフルリジン、カルモフール、ガロシタビン、エミテフール等)、アミノプテリン、ロイコボリンカルシウム、タブロイド、ブトシン、フォリネイトカルシウム、レボフォリネイトカルシウム、クラドリビン、エミテフール、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、ピリトレキシム、イドキシウリジン、ミトグアゾン、チアゾフリン、アンバムスチン等が用いられる。
「抗癌性抗生物質」としては、例えば、アントラサイクリン系抗癌薬(塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン、塩酸ピラルビシン、塩酸エピルビシンなど)、アクチノマイシンD、アクチノマイシンC、マイトマイシンC、クロモマイシンA3、塩酸ブレオマイシン、硫酸ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、ネオカルチノスタチン、ミスラマイシン、ザルコマイシン、カルチノフィリン、ミトタン、塩酸ゾルビシン、塩酸ミトキサントロン、塩酸イダルビシン等が用いられる。
「植物由来抗癌剤」としては、例えば、ビンカアルカロイド系抗癌薬(硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシンなど)、タクサン系抗癌薬(パクリタキセル、ドセタクセルなど)、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、ビノレルビン、DJ-927、TZT-1027等が用いられる。
該「免疫療法剤(BRM)」としては、例えば、ピシバニール、クレスチン、シゾフィラン、レンチナン、ウベニメクス、インターフェロン、インターロイキン、マクロファージコロニー刺激因子、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポイエチン、リンホトキシン、BCGワクチン、コリネバクテリウムパルブム、レバミゾール、ポリサッカライドK、プロコダゾール等が用いられる。
該「細胞増殖因子ならびにその受容体の作用を阻害する薬剤」における、「細胞増殖因子」としては、細胞の増殖を促進する物質であればどのようなものでもよく、通常、分子量が20,000以下のペプチドで、受容体との結合により低濃度で作用が発揮される因子が用いられ、具体的には、(1)EGF(epidermal growth factor)またはそれと実質的に同一の活性を有する物質〔例、EGF、ハレグリン(HER2リガンド)等〕、(2)インシュリンまたはそれと実質的に同一の活性を有する物質〔例、インシュリン、IGF(insulin-like growth factor)−1、IGF−2等〕、(3)FGF(fibroblast growth factor)またはそれと実質的に同一の活性を有する物質〔例、酸性FGF、塩基性FGF、KGF(keratinocyte growth factor)、 FGF-10等〕、(4)その他の細胞増殖因子〔例、CSF(colony stimulating factor)、EPO(erythropoietin)、IL−2(interleukin-2)、NGF(nerve growth factor)、PDGF(platelet-derived growth factor)、TGFβ(transforming growth factorβ)、HGF(hepatocyte growth factor)、VEGF(vascular endothelial growth factor)等〕等があげられる。
該「細胞増殖因子の受容体」としては、前記の細胞増殖因子と結合能を有する受容体であればいかなるものであってもよく、具体的には、EGF受容体、ハレグリン受容体(HER2)、インシュリン受容体、IGF受容体、FGF受容体−1またはFGF受容体−2等があげられる。
該「細胞増殖因子の作用を阻害する薬剤」としては、トラスツズマブ(ハーセプチン(商標);抗HER2抗体)、メシル酸イマチニブ(c−met、c−kit、abl阻害薬;Gleevec(商標))、ゲフィチニブ(EGFR−TKI(上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤);Iressa(商標))、ZD1839またはセツキシマブ(EGFR−TKI(上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤))等があげられる。また、一つの薬剤で複数の細胞増殖因子の作用を阻害する薬剤や、細胞増殖因子によって発せられる細胞内の情報を遮断する薬剤も含まれる。
前記の薬剤の他に、L−アスパラギナーゼ、アセグラトン、塩酸プロカルバジン、プロトポルフィリン・コバルト錯塩、水銀ヘマトポルフィリン・ナトリウム、トポイソメラーゼI阻害薬(例、イリノテカン、トポテカン、エキサテカン、DE-310等)、トポイソメラーゼII阻害薬(例えば、ソブゾキサン等)、分化誘導剤(例、レチノイド、ビタミンD類等)、血管新生阻害薬、α−ブロッカー(例、塩酸タムスロシン等)等も用いることができる。
前記した中でも、併用薬としては、LH−RHアゴニスト(例、酢酸ゴセレリン、ブセレリン、酢酸リュープロレリン等)、トラスツズマブ(HER2抗体)、ゲフィチニブ、タクサン系薬剤(例、パクリタクセル、ドセタクセル)、白金錯体(例、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチンなど)、5−FU系薬剤(例、フルオロウラシル、テガフール、UFT、ドキシフルリジンなど)、ゲムシタビン、アントラサイクリン系抗癌薬(例、塩酸ドキソルビシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸エピルビシンなど)、シクロフォスファミド、イホスファミド、ビンカアルカロイド系抗癌薬(例、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシンなど)などが好ましい。また、これら薬剤の併用療法と併用して用いることもできる。例えば、タクサン系薬剤と白金錯体の併用、ゲムシタビンとタクサン系または白金錯体または5−FUとの併用、シクロフォスファミドとアントラサイクリン系抗癌薬の併用、さらには、これらとゲフィチニブまたはトラスツズマブとの併用などがあげられる。併用する時の投与法としては、個々の薬剤をそれぞれの最適な投与法で投与する方法と、併用による効果を高めるために個々の投与法を最適な投与法から変更した方法のどちらも用いることができる。
本発明の化合物と併用薬物との併用に際しては、本発明の化合物と併用薬物の投与時期は限定されず、本発明の化合物と併用薬物とを、投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬物の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与ルート、疾患、組み合わせ等により適宜選択することができる。
本発明の化合物と併用薬物の投与形態は、特に限定されず、投与時に、本発明の化合物と併用薬物とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、(1)本発明の化合物と併用薬物とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)本発明の化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)本発明の化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)本発明の化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)本発明の化合物と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明の化合物→併用薬物の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)等が用いられる。以下、これらの投与形態をまとめて、本発明の併用剤と略記する。
本発明の併用剤は、毒性が低く、例えば、本発明の化合物または(および)前記併用薬物を自体公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体と混合して医薬組成物、例えば錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤、(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等として、経口的又は非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。注射剤は、静脈内、筋肉内、皮下、臓器内、鼻腔内、皮内、点眼、脳内、直腸内、膣内および腹腔内、腫瘍内部、腫瘍の近位等への投与あるいは直接病巣に投与することができる。
本発明の併用剤の製造に用いられてもよい薬理学的に許容される担体としては、前記した本発明の医薬組成物に使用されるものと同様のものを使用することができる。
本発明の併用剤における本発明の化合物と併用薬物との配合比は、投与対象、投与ルート、疾患等により適宜選択することができる。
例えば、本発明の併用剤における本発明の化合物の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01ないし100重量%、好ましくは約0.1ないし50重量%、さらに好ましくは約0.5ないし20重量%程度である。
本発明の併用剤における併用薬物の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約0.01ないし100重量%、好ましくは約0.1ないし50重量%、さらに好ましくは約0.5ないし20重量%程度である。
本発明の併用剤における担体等の添加剤の含有量は、製剤の形態によって相違するが、通常製剤全体に対して約1ないし99.99重量%、好ましくは約10ないし90重量%程度である。
また、本発明の化合物および併用薬物をそれぞれ別々に製剤化する場合も同様の含有量でよい。
これらの製剤は、製剤工程において通常一般に用いられる自体公知の方法により製造することができる。
例えば、本発明の化合物または併用薬物は、分散剤(例、ツイーン(Tween)80(アトラスパウダー社製、米国)、HCO 60(日光ケミカルズ製)、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリン等)、安定化剤(例、アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等)、界面活性剤(例、ポリソルベート80、マクロゴール等)、可溶剤(例、グリセリン、エタノール等)、緩衝剤(例、リン酸及びそのアルカリ金属塩、クエン酸及びそのアルカリ金属塩等)、等張化剤(例、塩化ナトリウム、塩化カリウム、マンニトール、ソルビトール、ブドウ糖等)、pH調節剤(例、塩酸、水酸化ナトリウム等)、保存剤(例、パラオキシ安息香酸エチル、安息香酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、ベンジルアルコール等)、溶解剤(例、濃グリセリン、メグルミン等)、溶解補助剤(例、プロピレングリコール、白糖等)、無痛化剤(例、ブドウ糖、ベンジルアルコール等)等と共に水性注射剤に、あるいはオリーブ油、ゴマ油、綿実油、コーン油等の植物油、プロピレングリコール等の溶解補助剤に溶解、懸濁あるいは乳化して油性注射剤に成形し、注射剤とすることができる。
経口投与用製剤とするには、自体公知の方法に従い、本発明の化合物または併用薬物を例えば、賦形剤(例、乳糖、白糖、デンプン等)、崩壊剤(例、デンプン、炭酸カルシウム等)、結合剤(例、デンプン、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、ポリビニールピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース等)又は滑沢剤(例、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール 6000等)等を添加して圧縮成形し、次いで必要により、味のマスキング、腸溶性あるいは持続性の目的のため自体公知の方法でコーティングすることにより経口投与製剤とすることができる。そのコーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレングリコール、ツイーン 80、プルロニック F68、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、オイドラギット(ローム社製、ドイツ,メタアクリル酸・アクリル酸共重合)および色素(例、ベンガラ,二酸化チタン等)等が用いられる。経口投与用製剤は速放性製剤、徐放性製剤のいずれであってもよい。
例えば、坐剤とするには、自体公知の方法に従い、本発明の化合物または併用薬物を油性又は水性の固状、半固状あるいは液状の坐剤とすることができる。前記組成物に用いる油性基剤としては、例えば、高級脂肪酸のグリセリド〔例、カカオ脂、ウイテプゾル類(ダイナマイトノーベル社製,ドイツ)等〕、中級脂肪酸〔例、ミグリオール類(ダイナマイトノーベル社製,ドイツ)等〕、あるいは植物油(例、ゴマ油、大豆油、綿実油等)等が用いられる。また、水性基剤としては、例えばポリエチレングリコール類、プロピレングリコール、水性ゲル基剤としては、例えば天然ガム類、セルロース誘導体、ビニール重合体、アクリル酸重合体等が用いられる。
前記徐放性製剤としては、徐放性マイクロカプセル剤等が用いられる。
徐放型マイクロカプセルとするには、自体公知の方法を採用できるが、例えば、下記〔2〕に示す徐放性製剤に成型して投与するのが好ましい。
本発明の化合物は、固形製剤(例、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤)等の経口投与用製剤に成型するか、坐剤等の直腸投与用製剤に成型するのが好ましい。特に経口投与用製剤が好ましい。
併用薬物は、薬物の種類に応じて前記した剤形とすることができる。
以下に、〔1〕本発明の化合物または併用薬物の注射剤およびその調製、〔2〕本発明の化合物または併用薬物の徐放性製剤又は速放性製剤およびその調製、〔3〕本発明の化合物または併用薬物の舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤およびその調製について具体的に示す。
〔1〕注射剤およびその調製
本発明の化合物または併用薬物を水に溶解してなる注射剤が好ましい。該注射剤には安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩を含有させてもよい。
該注射剤は、本発明の化合物または併用薬物と所望により安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩の双方を水に溶解することにより得られる。
前記安息香酸、サリチル酸の塩としては、例えばナトリウム,カリウム等のアルカリ金属塩、カルシウム,マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、メグルミン塩、その他トロメタモール等の有機酸塩等が用いられる。
注射剤中の本発明の化合物または併用薬物の濃度は0.5〜50w/v%、好ましくは3〜20w/v%程度である。また安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩の濃度は0.5〜50w/v%、好ましくは3〜20w/v%が好ましい。
また、本剤には一般に注射剤に使用される添加剤、例えば安定化剤(アスコルビン酸、ピロ亜硫酸ナトリウム等)、界面活性剤(ポリソルベート80、マクロゴール等)、可溶剤(グリセリン、エタノール等)、緩衝剤(リン酸及びそのアルカリ金属塩、クエン酸及びそのアルカリ金属塩等)、等張化剤(塩化ナトリウム、塩化カリウム等)、分散剤(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デキストリン)、pH調節剤(塩酸、水酸化ナトリウム等)、保存剤(パラオキシ安息香酸エチル、安息香酸等)、溶解剤(濃グリセリン、メグルミン等)、溶解補助剤(プロピレングリコール、白糖等)、無痛化剤(ブドウ糖、ベンジルアルコール等)等を適宜配合することができる。これらの添加剤は一般に注射剤に通常用いられる割合で配合される。
注射剤はpH調節剤の添加により2〜12好ましくは2.5〜8.0に調整するのがよい。
注射剤は本発明の化合物または併用薬物と所望により安息香酸塩又は/およびサリチル酸塩の双方を、また必要により前記添加剤を水に溶解することにより得られる。これらの溶解はどのような順序で行ってもよく、従来の注射剤の製法と同様に適宜行うことができる。
注射用水溶液は加温するのがよく、また通常の注射剤と同様にたとえば濾過滅菌,高圧加熱滅菌等を行うことにより注射剤として供することができる。
注射用水溶液は、例えば100℃〜121℃の条件で5分〜30分高圧加熱滅菌するのがよい。
さらに多回分割投与製剤として使用できるように、溶液の抗菌性を付与した製剤としてもよい。
〔2〕徐放性製剤又は速放性製剤およびその調製
本発明の化合物または併用薬物を含んでなる核を所望により水不溶性物質や膨潤性ポリマー等の被膜剤で被覆してなる徐放性製剤が好ましい。例えば、1日1回投与型の経口投与用徐放性製剤が好ましい。
被膜剤に用いられる水不溶性物質としては、例えばエチルセルロース、ブチルセルロース等のセルロースエーテル類、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート等のセルロースエステル類、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチレート等のポリビニルエステル類、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、メチルメタクリレート共重合体、エトキシエチルメタクリレート/シンナモエチルメタクリレート/アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、メタクリル酸アルキルアミド共重合体、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリメタクリレート、ポリメタクリルアミド、アミノアルキルメタクリレート共重合体、ポリ(メタクリル酸アンヒドリド)、グリシジルメタクリレート共重合体、とりわけオイドラギットRS−100,RL−100,RS−30D,RL−30D,RL−PO,RS−PO(アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸塩化トリメチル・アンモニウムエチル共重合体)、オイドラギットNE−30D(メタアクリル酸メチル・アクリル酸エチル共重合体)等のオイドラギット類(ローム・ファーマ社)等のアクリル酸系ポリマー、硬化ヒマシ油(例、ラブリーワックス(フロイント産業)等)等の硬化油、カルナバワックス、脂肪酸グリセリンエステル、パラフィン等のワックス類、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が用いられる。
膨潤性ポリマーとしては、酸性の解離基を有し、 pH依存性の膨潤を示すポリマーが好ましく、胃内のような酸性領域では膨潤が少なく、小腸や大腸等の中性領域で膨潤が大きくなる酸性の解離基を有するポリマーが好ましい。
このような酸性の解離基を有し pH依存性の膨潤を示すポリマーとしては、例えばカーボマー(Carbomer)934P、940、941、974P、980、1342等、ポリカーボフィル(polycarbophil)、カルシウムポリカボーフィル(carcium polycarbophil)(前記はいずれもBFグツドリッチ社製)、ハイビスワコー103、104、105、304(いずれも和光純薬(株)製)等の架橋型ポリアクリル酸重合体が用いられる。
徐放性製剤に用いられる被膜剤は親水性物質をさらに含んでいてもよい。
該親水性物質としては、例えばプルラン、デキストリン、アルギン酸アルカリ金属塩等の硫酸基を有していてもよい多糖類、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のヒドロキシアルキル基又はカルボキシアルキル基を有する多糖類、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等が用いられる。
徐放性製剤の被膜剤における水不溶性物質の含有率は約30ないし約90%(w/w)、好ましくは約35ないし約80%(w/w)、さらに好ましくは約40ないし75%(w/w)、膨潤性ポリマーの含有率は約3ないし約30%(w/w)、好ましくは約3ないし約15%(w/w)である。被膜剤は親水性物質をさらに含んでいてもよく、その場合被膜剤における親水性物質の含有率は約50%(w/w)以下、好ましくは約5〜約40%(w/w)、さらに好ましくは約5〜約35%(w/w)である。ここで前記%(w/w)は被膜剤液から溶媒(例、水、メタノール、エタノール等の低級アルコール等)を除いた被膜剤組成物に対する重量%を示す。
徐放性製剤は、以下に例示するように薬物を含む核を調製し、次いで得られた核を、水不溶性物質や膨潤性ポリマー等を加熱溶解あるいは溶媒に溶解又は分散させた被膜剤液で被覆することにより製造される。
I.薬剤を含む核の調製。
被膜剤で被覆される薬物を含む核(以下、単に核と称することがある)の形態は特に制限されないが、好ましくは顆粒あるいは細粒等の粒子状に形成される。
核が顆粒又は細粒の場合、その平均粒子径は、好ましくは約150ないし2,000μm、さらに好ましくは約500ないし約1,400μmである。
核の調製は通常の製造方法で実施することができる。例えば、薬物に適当な賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定化剤等を混合し、湿式押し出し造粒法、流動層造粒法等により調製する。
核の薬物含量は、約0.5ないし約95%(w/w)、好ましくは約5.0ないし約80%(w/w)、さらに好ましくは約30ないし約70%(w/w)である。
核に含まれる賦形剤としては、例えば白糖、乳糖、マンニトール、グルコース等の糖類、澱粉、結晶セルロース、リン酸カルシウム、コーンスターチ等が用いられる。中でも、結晶セルロース、コーンスターチが好ましい。
結合剤としては、例えばポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、プルロニックF68、アラビアゴム、ゼラチン、澱粉等が用いられる。崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロースカルシウム(ECG505)、クロスカルメロースナトリウム(Ac-Di-Sol)、架橋型ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)等が用いられる。中でも、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが好ましい。滑沢剤、凝集防止剤としては例えばタルク、ステアリン酸マグネシウムおよびその無機塩、また潤滑剤としてポリエチレングリコール等が用いられる。安定化剤としては酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸等の酸が用いられる。
核は前記製造法以外にも、例えば核の中心となる不活性担体粒子上に水、低級アルコール(例、メタノール、エタノール等)等の適当な溶媒に溶解した結合剤をスプレーしながら、薬物あるいはこれと賦形剤、滑沢剤等との混合物を少量づつ添加して行なう転動造粒法、パンコーティング法、流動層コーティング法や溶融造粒法によっても調製することができる。不活性担体粒子としては、例えば白糖、乳糖、澱粉、結晶セルロース、ワックス類で製造されたものが使用でき、その平均粒子径は約100μmないし約1,500μmであるものが好ましい。
核に含まれる薬物と被膜剤とを分離するために、防護剤で核の表面を被覆してもよい。防護剤としては、例えば前記親水性物質や、水不溶性物質等が用いられる。防護剤は、好ましくはポリエチレングリコールやヒドロキシアルキル基又はカルボキシアルキル基を有する多糖類、より好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースが用いられる。該防護剤には安定化剤として酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸等の酸や、タルク等の滑沢剤を含んでいてもよい。防護剤を用いる場合、その被覆量は核に対して約1ないし約15%(w/w)、好ましくは約1ないし約10%(w/w)、さらに好ましくは約2ないし約8%(w/w)である。
防護剤は通常のコーティング法により被覆することができ、具体的には、防護剤を例えば流動層コーティング法、パンコーティング法等により核にスプレーコーティングすることで被覆することができる。
II.核の被膜剤による被覆
前記Iで得られた核を、前記水不溶性物質及び pH依存性の膨潤性ポリマー、および親水性物質を加熱溶解あるいは溶媒に溶解又は分散させた被膜剤液により被覆することにより徐放性製剤が製造される。
核の被膜剤液による被覆方法として、例えば噴霧コーティングする方法等が用いられる。
被膜剤液中の水不溶性物質、膨潤性ポリマー又は親水性物質の組成比は、被膜中の各成分の含有率がそれぞれ前記含有率となるように適宜選ばれる。
被膜剤の被覆量は、核(防護剤の被覆量を含まない)に対して約1ないし約90%(w/w)、好ましくは約5ないし約50%(w/w)、さらに好ましくは約5ないし35%(w/w)である。
被膜剤液の溶媒としては水又は有機溶媒を単独であるいは両者の混液を用いることができる。混液を用いる際の水と有機溶媒との混合比(水/有機溶媒:重量比)は、1ないし100%の範囲で変化させることができ、好ましくは1ないし約30%である。該有機溶媒としては、水不溶性物質を溶解するものであれば特に限定されないが、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール等の低級アルコール、アセトン等の低級アルカノン、アセトニトリル、クロロホルム、メチレンクロライド等が用いられる。このうち低級アルコールが好ましく、エチルアルコール、イソプロピルアルコールが特に好ましい。水及び水と有機溶媒との混液が被膜剤の溶媒として好ましく用いられる。この時、必要であれば被膜剤液中に被膜剤液安定化のために酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸等の酸を加えてもよい。
噴霧コーティングにより被覆する場合の操作は通常のコーティング法により実施することができ、具体的には、被膜剤液を例えば流動層コーティング法、パンコーティング法等により核にスプレーコーティングすることで実施することができる。この時必要であれば、タルク、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸等を滑沢剤として、グリセリン脂肪酸エステル、硬化ヒマシ油、クエン酸トリエチル、セチルアルコール、ステアリルアルコール等を可塑剤として添加してもよい。
被膜剤による被膜後、必要に応じてタルク等の帯電防止剤を混合してもよい。
速放性製剤は、液状(溶液、懸濁液、乳化物等)であっても固形状(粒子状、丸剤、錠剤等)であってもよい。経口投与剤、注射剤等非経口投与剤が用いられるが、経口投与剤が好ましい。
速放性製剤は、通常、活性成分である薬物に加えて、製剤分野で慣用される担体、添加剤や賦形剤(以下、賦形剤と略称することがある)を含んでいてもよい。用いられる製剤賦形剤は、製剤賦形剤として常用される賦形剤であれば特に限定されない。例えば経口固形製剤用の賦形剤としては、乳糖、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース(旭化成(株)製、アビセルPH101等)、粉糖、グラニュウ糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、L−システイン等が用いられ、好ましくはコーンスターチおよびマンニトール等が用いられる。これらの賦形剤は一種又は二種以上を組み合わせて使用できる。賦形剤の含有量は速放性製剤全量に対して、例えば約4.5〜約99.4w/w%、好ましくは約20〜約98.5w/w%、さらに好ましくは約30〜約97w/w%である。
速放性製剤における薬物の含量は、速放性製剤全量に対して、約0.5〜約95%、好ましくは約1〜約60%の範囲から適宜選択することができる。
速放性製剤が経口固型製剤の場合、通常前記成分に加えて、崩壊剤を含有する。このような崩壊剤としては、例えばカルボキシメチルセルロースカルシウム(五徳薬品製、ECG−505)、クロスカルメロースナトリウム(例えば、旭化成(株)製、アクジゾル)、クロスポビドン(例えば、BASF社製、コリドンCL)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学(株))、カルボキシメチルスターチ(松谷化学(株))、カルボキシメチルスターチナトリウム(木村産業製、エキスプロタブ)、部分α化デンプン(旭化成(株)製、PCS)等が用いられ、例えば水と接触して吸水、膨潤、あるいは核を構成している有効成分と賦形剤との間にチャネルを作る等により顆粒を崩壊させるものを用いることができる。これらの崩壊剤は、一種又は二種以上を組み合わせて使用できる。崩壊剤の配合量は、用いる薬物の種類や配合量、放出性の製剤設計等により適宜選択されるが、速放性製剤全量に対して、例えば約0.05〜約30w/w%、好ましくは約0.5〜約15w/w%である。
速放性製剤が経口固型製剤である場合、経口固型製剤の場合には前記の組成に加えて、所望により固型製剤において慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば結合剤(例えば、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、プルラン、デキストリン等)、滑沢剤(例えば、ポリエチレングリコール、ステアリン酸マグネシウム、タルク、軽質無水ケイ酸(例えば、アエロジル(日本アエロジル))、界面活性剤(例えば、アルキル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体等の非イオン系界面活性剤等)、着色剤(例えば、タール系色素、カラメル、ベンガラ、酸化チタン、リボフラビン類)、必要ならば、橋味剤(例えば、甘味剤、香料等)、吸着剤、防腐剤、湿潤剤、帯電防止剤等が用いられる。また、安定化剤として酒石酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸等の有機酸を加えてもよい。
前記結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコールおよびポリビニルピロリドン等が好ましく用いられる。
速放性製剤は、通常の製剤の製造技術に基づき、前記各成分を混合し、必要により、さらに練合し、成型することにより調製することができる。前記混合は、一般に用いられる方法、例えば、混合、練合等により行われる。具体的には、例えば速放性製剤を粒子状に形成する場合、前記徐放性製剤の核の調製法と同様の手法により、バーチカルグラニュレーター、万能練合機(畑鉄工所製)、流動層造粒機FD−5S(パウレック社製)等を用いて混合しその後、湿式押し出し造粒法、流動層造粒法等により造粒することにより調製することができる。
このようにして得られた速放性製剤と徐放性製剤とは、そのままあるいは適宜、製剤賦形剤等と共に常法により別々に製剤化後、同時あるいは任意の投与間隔を挟んで組み合わせて投与する製剤としてもよく、また両者をそのままあるいは適宜、製剤賦形剤等と共に一つの経口投与製剤(例、顆粒剤、細粒剤、錠剤、カプセル等)に製剤化してもよい。両製剤を顆粒あるいは細粒に製して、同一のカプセル等に充填して経口投与用製剤としてもよい。
〔3〕舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤およびその調製
舌下錠、バッカル製剤、口腔内速崩壊剤は錠剤等の固形製剤であってもよいし、口腔粘膜貼付錠(フィルム)であってもよい。
舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤としては、本発明の化合物または併用薬物と賦形剤とを含有する製剤が好ましい。また、滑沢剤、等張化剤、親水性担体、水分散性ポリマー、安定化剤等の補助剤を含有していてもよい。また、吸収を容易にし、生体内利用率を高めるためにβ−シクロデキストリン又はβ−シクロデキストリン誘導体(例、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン等)等を含有していてもよい。
前記賦形剤としては、乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が用いられる。滑沢剤としてはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が用いられ、特に、ステアリン酸マグネシウムやコロイドシリカが好ましい。等張化剤としては塩化ナトリウム、グルコース、フルクトース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、サッカロース、グリセリン、尿素等が用いられ、特にマンニトールが好ましい。親水性担体としては結晶セルロース、エチルセルロース、架橋性ポリビニルピロリドン、軽質無水珪酸、珪酸、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウム等の膨潤性親水性担体が用いられ、特に結晶セルロース(例、微結晶セルロース等)が好ましい。水分散性ポリマーとしてはガム(例、トラガカントガム、アカシアガム、グアーガム)、アルギン酸塩(例、アルギン酸ナトリウム)、セルロース誘導体(例、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、ゼラチン、水溶性デンプン、ポリアクリル酸(例、カーボマー)、ポリメタクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリカーボフィル、アスコルビン酸パルミチン酸塩等が用いられ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸、アルギン酸塩、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール等が好ましい。特にヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。安定化剤としては、システイン、チオソルビトール、酒石酸、クエン酸、炭酸ナトリウム、アスコルビン酸、グリシン、亜硫酸ナトリウム等が用いられ、特に、クエン酸やアスコルビン酸が好ましい。
舌下錠、バッカル又は口腔内速崩壊剤は、本発明の化合物または併用薬物と賦形剤とを自体公知の方法により混合することにより製造することができる。さらに、所望により前記した滑沢剤、等張化剤、親水性担体、水分散性ポリマー、安定化剤、着色剤、甘味剤、防腐剤等の補助剤を混合してもよい。前記成分を同時に若しくは時間差をおいて混合した後、加圧打錠成形することにより舌下錠、バッカル錠又は口腔内速崩壊錠が得られる。適度な硬度を得るため、打錠成形の過程の前後において必要に応じ水やアルコール等の溶媒を用いて加湿・湿潤させ、成形後、乾燥させて製造してもよい。
粘膜貼付錠(フィルム)に成型する場合は、本発明の化合物または併用薬物および前記した水分散性ポリマー(好ましくは、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、賦形剤等を水等の溶媒に溶解させ、得られる溶液を流延させて(cast)フィルムとする。さらに、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、保存剤、着色剤、緩衝剤、甘味剤等の添加物を加えてもよい。フィルムに適度の弾性を与えるためポリエチレングリコールやプロピレングリコール等のグリコール類を含有させたり、口腔の粘膜ライニングへのフィルムの接着を高めるため生物接着性ポリマー(例、ポリカルボフィル、カルボポール)を含有させてもよい。流延は、非接着性表面に溶液を注ぎ、ドクターブレード等の塗布用具で均一な厚さ(好ましくは10〜1000ミクロン程度)にそれを広げ、次いで溶液を乾燥してフィルムを形成することにより達成される。このように形成されたフィルムは室温若しくは加温下乾燥させ、所望の表面積に切断すればよい。
好ましい口腔内速崩壊剤としては、本発明の化合物または併用薬物と、本発明の化合物または併用薬物とは不活性である水溶性若しくは水拡散性キャリヤーとの網状体からなる固体状の急速拡散投与剤が用いられる。該網状体は、本発明の化合物または併用薬物を適当な溶媒に溶解した溶液とから構成されている固体状の該組成物から溶媒を昇華することによって得られる。
該口腔内速崩壊剤の組成物中には、本発明の化合物または併用薬物に加えて、マトリックス形成剤と二次成分とを含んでいるのが好ましい。
該マトリックス形成剤としてはゼラチン類、デキストリン類ならびに大豆、小麦ならびにオオバコ(psyllium)種子タンパク等の動物性タンパク類若しくは植物性タンパク類;アラビアゴム、ガーガム、寒天ならびにキサンタン等のゴム質物質;多糖類;アルギン酸類;カルボキシメチルセルロース類;カラゲナン類;デキストラン類;ペクチン類;ポリビニルピロリドン等の合成ポリマー類;ゼラチン−アラビアゴムコンプレックス等から誘導される物質が含まれる。さらに、マンニトール、デキストロース、ラクトース、ガラクトースならびにトレハロース等の糖類;シクロデキストリン等の環状糖類;リン酸ナトリウム、塩化ナトリウムならびにケイ酸アルミニウム等の無機塩類;グリシン、L−アラニン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−ヒドロシキプロリン、L−イソロイシン、L−ロイシンならびにL−フェニルアラニン等の炭素原子数が2から12までのアミノ酸等が含まれる。
マトリックス形成剤は、その1種若しくはそれ以上を、固形化の前に、溶液又は懸濁液中に導入することができる。かかるマトリックス形成剤は、界面活性剤に加えて存在していてもよく、また界面活性剤が排除されて存在していてもよい。マトリックス形成剤はそのマトリックスを形成することに加えて、本発明の化合物または併用薬物の拡散状態をその溶液又は懸濁液中に維持する助けをすることができる。
保存剤、酸化防止剤、界面活性剤、増粘剤、着色剤、pH調整剤、香味料、甘味料若しくは食味マスキング剤等の二次成分を組成物中に含有していてよい。適当な着色剤としては、赤色、黒色ならびに黄色酸化鉄類およびエリス・アンド・エベラールド社のFD&Cブルー2号ならびにFD&Cレッド40号等のFD&C染料が用いられる。適当な香味料には、ミント、ラスベリー、甘草、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、カラメル、バニラ、テェリーならびにグレープフレーバーおよびその組合せたものが含まれる。適当なpH調整剤は、クエン酸、酒石酸、リン酸、塩酸およびマレイン酸が含まれる。適当な甘味料としてはアスパルテーム、アセスルフェームKならびにタウマチン等が含まれる。適当な食味マスキング剤としては、重炭酸ナトリウム、イオン交換樹脂、シクロデキストリン包接化合物、吸着質物質ならびにマイクロカプセル化アポモルフィンが含まれる。
製剤には通常約0.1〜約50重量%、好ましくは約0.1〜約30重量%の本発明の化合物または併用薬物を含み、約1分〜約60分の間、好ましくは約1分〜約15分の間、より好ましくは約2分〜約5分の間に(水に)本発明の化合物または併用薬物の90%以上を溶解させることが可能な製剤(前記、舌下錠、バッカル等)や、口腔内に入れられて1ないし60秒以内に、好ましくは1ないし30秒以内に、さらに好ましくは1ないし10秒以内に崩壊する口腔内速崩壊剤が好ましい。
前記賦形剤の製剤全体に対する含有量は、約10〜約99重量%、好ましくは約30〜約90重量%である。β−シクロデキストリン又はβ−シクロデキストリン誘導体の製剤全体に対する含有量は0〜約30重量%である。滑沢剤の製剤全体に対する含有量は、約0.01〜約10重量%、好ましくは約1〜約5重量%である。等張化剤の製剤全体に対する含有量は、約0.1〜約90重量%、好ましくは、約10〜約70重量%である。親水性担体の製剤全体に対する含有量は約0.1〜約50重量%、好ましくは約10〜約30重量%である。水分散性ポリマーの製剤全体に対する含有量は、約0.1〜約30重量%、好ましくは約10〜約25重量%である。安定化剤の製剤全体に対する含有量は約0.1〜約10重量%、好ましくは約1〜約5重量%である。前記製剤はさらに、着色剤、甘味剤、防腐剤等の添加剤を必要に応じ含有していてもよい。
本発明の併用剤の投与量は、本発明の化合物の種類、年齢、体重、症状、剤形、投与方法、投与期間等により異なるが、例えば、乳癌の患者(成人、体重約60kg)一人あたり、通常、本発明の化合物および併用薬物として、それぞれ1日約0.01〜約1000mg/kg、好ましくは約0.01〜約100mg/kg、より好ましくは約0.1〜約100mg/kg、とりわけ約0.1〜約50mg/kgを、なかでも約1.5〜約30mg/kgを1日1回から数回に分けて静脈投与される。もちろん、前記したように投与量は種々の条件で変動するので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあり、また範囲を超えて投与する必要のある場合もある。
併用薬物は、副作用が問題とならない範囲でどのような量を設定することも可能である。併用薬物としての一日投与量は、症状の程度、投与対象の年齢、性別、体重、感受性差、投与の時期、間隔、医薬製剤の性質、調剤、種類、有効成分の種類等によって異なり、特に限定されないが、薬物の量として通常、たとえば経口投与で哺乳動物1kg体重あたり約0.001〜2000mg、好ましくは約0.01〜500mg、さらに好ましくは、約0.1〜100mg程度であり、これを通常1日1〜4回に分けて投与する。
本発明の併用剤を投与するに際しては、同時期に投与してもよいが、併用薬物を先に投与した後、本発明の化合物を投与してもよいし、本発明の化合物を先に投与し、その後で併用薬物を投与してもよい。時間差をおいて投与する場合、時間差は投与する有効成分、剤形、投与方法により異なるが、例えば、併用薬物を先に投与する場合、併用薬物を投与した後1分〜3日以内、好ましくは10分〜1日以内、より好ましくは15分〜1時間以内に本発明の化合物を投与する方法が用いられる。本発明の化合物を先に投与する場合、本発明の化合物を投与した後、1分〜1日以内、好ましくは10分〜6時間以内、より好ましくは15分から1時間以内に併用薬物を投与する方法が用いられる。
好ましい投与方法としては、例えば、経口投与製剤に製形された併用薬物約0.001〜200mg/kgを経口投与し、約15分後に経口投与製剤に製形された本発明の化合物 約0.005〜100mg/kgを1日量として経口投与する。
また、本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を、例えば(1)手術、(2)アンジオテンシンII等を用いる昇圧化学療法、(3)遺伝子療法、(4)温熱療法、(5)凍結療法、(6)レーザー焼灼法、(7)放射線療法等の非薬剤療法と組み合わせることもできる。
例えば、本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を手術等の前または後に、あるいはこれら2、3種を組み合わせた治療前または後に使用することによって、耐性発現の阻止、無病期(Disease-Free Survival)の延長、癌転移あるいは再発の抑制、延命等の効果が得られる。
また、本発明の医薬組成物または本発明の併用剤による治療と、支持療法〔(i)各種感染病の併発に対する抗生物質(例えば、パンスポリン等のβ−ラクタム系、クラリスロマイシン等のマクロライド系等)の投与、(ii)栄養障害改善のための高カロリー輸液、アミノ酸製剤、総合ビタミン剤の投与、(iii)疼痛緩和のためのモルヒネ投与、(iv)悪心、嘔吐、食欲不振、下痢、白血球減少、血小板減少、ヘモグロビン濃度低下、脱毛、肝障害、腎障害、DIC、発熱等のような副作用を改善する薬剤の投与および(v)癌の多剤耐性を抑制するための薬剤の投与等〕を組み合わせることもできる。
このような目的のための薬剤、例えば「制吐剤」としての具体例を挙げれば、オンダンセトロン、塩酸トロピセトロン、アザセトロン、ラモセトロン、グラニセトロン、ドラセトロンメシレート、パロノセトロンなどの5-HT3拮抗剤;sendide、CP−99994、CP−100263、CP−122721−1、CP−96345、FK224、RPR100893、NKP608、aprepitant(EMEND(商標))などのNK1受容体拮抗薬;ドンペリドン、モサプリド、メトクロプラミドなどの5-HT4拮抗剤などの消化管運動促進薬;トリメブチンなどの消化管運動調律薬;マレイン酸プロクロルペラジン、プロメタジン,チエチルペラジンなどのフェノチアジン系薬剤;ハロペリドール、フェノールフタレイン酸クロルプロマジン、ジアゼパム、ドロペリドールなどの精神安定剤;デキサメタゾン、プレドニゾロン、ベタメタゾン、トリアムシノロン等などのステロイド剤;その他、ジメチルヒドリン酸、ジフェンヒドラミン、ヒヨスチン、臭酸ヒヨスチン、テトラベナジンなどを用いることができる。
前記の処置を施す前または施した後に、本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を経口投与(徐放性を含む)、静脈内投与(bolus、infusion、包接体を含む)、皮下および筋注(bolus、infusion、徐放性を含む)、経皮、腫瘍内および近位投与によって投与するのが好ましい。
手術等の前に本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を投与する場合の時期としては、例えば、手術等の約30分〜24時間前に1回投与することもできるし、あるいは手術等の約3ヶ月〜6ヶ月前に1〜3サイクルに分けて投与することもできる。このように、手術等の前に本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を投与することにより、例えば癌組織を縮小させることができるので、手術等がしやすくなる。
手術等の後に本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を投与する場合の時期としては、手術等の約30分〜24時間後に、例えば数週間〜3ヶ月単位で反復投与することができる。このように、手術等の後に本発明の医薬組成物または本発明の併用剤を投与することにより、手術等の効果を高めることができる。
以下に参考例、実施例、製剤例および試験例を挙げて、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
参考例および実施例のカラムクロマトグラフィーにおける溶出は、TLC(Thin Layer Chromatography, 薄層クロマトグラフィー)による観察下に行われた。TLCの観察においては、TLCプレートとしてメルク社製のキーゼルゲル60F254プレートを使用し、展開溶媒としてはカラムクロマトグラフィーで溶出溶媒として用いられた溶媒を、検出法としてUV検出器を採用した。カラム用シリカゲルは、同じくメルク社製のキーゼルゲル60F254(70〜230メッシュ)、ダイソー社製のダイソーゲル1002Wまたはフジシリシア化学社製のNHを用いた。NMRスペクトルは、プロトンNMRを示し、内部標準としてテトラメチルシランを用いてVARIAN Gemini−200(200MHz型スペクトロメーター)、VARIAN Mercury−300(300MHz型スペクトロメーター)またはBRUKER AVANCE300(300MHz型スペクトロメーター)で測定し、δ値をppmで表した。
参考例および実施例で用いる略号は、次のような意義を有する。
s :シングレット
br :ブロード(幅広い)
d :ダブレット
t :トリプレット
q :クワルテット
dd :ダブルダブレット
ddd :ダブルダブルダブレット
dt :ダブルトリプレット
m :マルチプレット
J :カップリング定数
Hz :ヘルツ
DMF :N,N−ジメチルホルムアミド
THF :テトラヒドロフラン
DMSO:ジメチルスルホキシド
参考例1
4-(4-(1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-5-イル)ブチル)-3-メチルフェノールの製造
Figure 2005035935
(i) 1-(1-(2-((tert-ブチル(ジメチル)シリル)オキシ)エチル)-1H-ピラゾール-5-イル)-4-(4-メトキシ-2-メチルフェニル)-1-ブタノールの製造
窒素雰囲気下、2-(1H-ピラゾール-1-イル)エタノール(30.7 g)のTHF(800 ml)溶液に-78℃で1.6Mブチルリチウム-へキサン溶液(377 ml)を滴下し、0℃で30分間攪拌した。再び-78℃に冷却し、4-(4-メトキシ-2-メチルフェニル)ブタナール(47.9 g)のTHF(50 ml)溶液を加えた。室温で16時間攪拌した後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し減圧濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液、酢酸エチル:ヘキサン=1:1→酢酸エチル→メタノール:酢酸エチル=1:20)で精製し、1-(1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-5-イル)-4-(4-メトキシ-2-メチルフェニル)-1-ブタノールと2-(1H-ピラゾール-1-イル)エタノールの混合物を得た。ジクロロメタン(450 ml)に溶解後、トリエチルアミン(45.8 ml)、4-ジメチルアミノピリジン(837 mg)、tert-ブチルジメチルシリルクロリド(49.6 g)を室温で加え、20時間攪拌した。水を加え、ジクロロメタンで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液、酢酸エチル:ヘキサン=1:2→1:1)で精製し、表題化合物(53.6 g)を無色液体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ : -0.05 (3H, s), -0.03 (3H, s), 0.80 (9H, s), 1.50-2.03 (4H, m), 2.27 (3H, s), 2.60 (2H, t, J = 7.4 Hz), 3.70 (1H, br), 3.76 (3H, s), 3.94-4.03 (2H, m), 4.30-4.40 (2H, m), 4.64-4.76 (1H, m), 6.10 (1H, d, J = 1.8 Hz), 6.61-6.70 (2H, m), 7.03 (1H, d, J = 8.2 Hz), 7.43 (1H, d, J = 1.8 Hz).
(ii) 1-(2-((tert-ブチル(ジメチル)シリル)オキシ)エチル)-5-((1E)-4-(4-メトキシ-2-メチルフェニル)-1-ブテニル)-1H-ピラゾールの製造
1-(1-(2-((tert-ブチル(ジメチル)シリル)オキシ)エチル)-1H-ピラゾール-5-イル)-4-(4-メトキシ-2-メチルフェニル)-1-ブタノール(16.5 g)のアセトニトリル(250 ml)溶液に0℃でN-エチルジイソプロピルアミン(54.8 ml)とメタンスルホニルクロリド(4.57 ml)を加えた。室温で2時間攪拌後、ヨウ化ナトリウム(14.7 g)を加え、2時間加熱還流した。室温に冷却後、水を加え酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液、酢酸エチル:ヘキサン=1:3)で精製し、表題化合物(16.8 g)を淡赤色液体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ : -0.10 (6H, s), 0.83 (9H, s), 2.30 (3H, s), 2.38-2.49 (2H, m), 2.66-2.75 (2H, m), 3.78 (3H, s), 3.93 (2H, t, J = 5.8 Hz), 4.20 (2H, t, J = 5.8 Hz), 6.14-6.46 (3H, m), 6.66-6.72 (2H, m), 7.06 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.40 (1H, d, J = 1.8 Hz).
(iii) 2-(5-((1E)-4-(4-メトキシ-2-メチルフェニル)-1-ブテニル)-1H-ピラゾール-1-イル)エタノールの製造
1-(2-((tert-ブチル(ジメチル)シリル)オキシ)エチル)-5-((1E)-4-(4-メトキシ-2-メチルフェニル)-1-ブテニル)-1H-ピラゾール(16.8 g)のTHF(50 ml)溶液に0℃で1Mテトラブチルアンモニウムフルオリド-THF溶液(50.3 ml)を加え、室温で1時間攪拌した。水を加え酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液、酢酸エチル:ヘキサン=3:1)で精製した。得られた固体をジイソプロピルエーテル-へキサン(1:1)溶液で洗浄し、表題化合物(9.4 g)を白色固体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.30 (3H, s), 2.40-2.51 (2H, m), 2.72 (2H, t, J = 8.4 Hz), 3.42 (1H, t, J = 5.8 Hz), 3.78 (3H, s), 3.94-4.02 (2H, m), 4.13-4.19 (2H, m), 6.22-6.31 (3H, m), 6.66-6.74 (2H, m), 7.04 (1H, d, J = 8.2 Hz), 7.42 (1H, d, J = 2.2 Hz).
(iv) 2-(5-(4-(4-メトキシ-2-メチルフェニル)ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル)エタノールの製造
2-(5-((1E)-4-(4-メトキシ-2-メチルフェニル)-1-ブテニル)-1H-ピラゾール-1-イル)エタノール(10.3 g)のエタノール(80 ml)溶液に10%パラジウム-炭素(2.0 g)を加え、水素雰囲気下16時間攪拌した。濾過後、濾液を濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液、酢酸エチル:ヘキサン=3:1)で精製し、表題化合物(9.7 g)を無色液体として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ : 1.50-1.79 (4H, m), 2.27 (3H, s), 2.54-2.66 (4H, m), 3.65 (1H, br), 3.78 (3H, s), 3.95-4.15 (4H, m), 6.03 (1H, d, J = 1.8 Hz), 6.62-6.70 (2H, m), 7.01 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.42 (1H, d, J = 1.8 Hz).
(v) 4-(4-(1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-5-イル)ブチル)-3-メチルフェノールの製造
2-(5-(4-(4-メトキシ-2-メチルフェニル)ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル)エタノール(4.3 g)のジクロロメタン(50 ml)溶液に、0℃で3.17M三臭化ホウ素-ジクロロメタン溶液(50 ml)を加え4時間攪拌した。水を加えた後、1N NaOH水溶液を用い水層を中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し濃縮後、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液、酢酸エチル:ヘキサン=1:1→酢酸エチル→メタノール:酢酸エチル=1:9)で精製し、表題化合物(2.6 g)を白色固体として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ : 1.41-1.68 (4H, m), 2.14 (3H, s), 2.48 (2H, t, J = 8.2 Hz), 2.65 (2H, t, J = 8.2 Hz), 3.61-3.70 (2H, m), 4.01 (2H, t, J = 6.2 Hz), 4.81 (1H, t, J = 5.4 Hz), 5.96 (1H, d, J = 1.8 Hz), 6.43-6.55 (2H, m), 6.87 (1H, d, J = 7.6 Hz), 7.29 (1H, d, J = 1.8 Hz), 8.97 (1H, s).
参考例2
2-[5-[4-[4-[[2-[(E)-2-[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]-1,3-オキサゾール-4-イル]メトキシ]-2-メチルフェニル]ブチル]-1H-ピラゾール-1-イル]エタノールの製造
Figure 2005035935
4-[4-[1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-5-イル]ブチル]-3-メチルフェノール (720 mg)のDMF (8 ml)溶液に0℃で65%水素化ナトリウム (106 mg)を加え、室温で30分間攪拌後、0℃で4-(クロロメチル)-2-[(E)-2-[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]-1,3-オキサゾール (802 mg)を加え、0℃で30分間、さらに室温で14時間攪拌した。反応液に1N水酸化ナトリウムを加え、酢酸エチルで抽出し、1N水酸化ナトリウム、次いで飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出液、ヘキサン: 酢酸エチル=1:1→酢酸エチル)で精製し、酢酸エチル-ジエチルエーテル-ヘキサンより再結晶を行い、表題化合物 (1.02 g)を無色針状晶として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.63-1.70 (4H, m), 2.27 (3H, s), 2.56-2.65 (4H, m), 3.68 (1H, t, J = 5.7 Hz), 3.97-4.02 (2H, m), 4.09 (2H, t, J = 6.3 Hz), 5.01 (2H, s), 6.02 (1H, d, J = 1.8 Hz), 6.74-6.80 (2H, m), 7.02 (1H, d, J = 8.7 Hz), 7.12 (1H, d, J = 16.8 Hz), 7.35-7.45 (3H, m), 7.61-7.68 (3H, m).
参考例3
[1−[3−[2−メチル−4−[2−[2−[(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]エチル]フェノキシ]プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル]メタノールの製造
Figure 2005035935
(i)4−[2−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)エチル]−2−[2−[(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]−1,3−オキサゾール及び5−(4−メトキシ−3−メチルベンジル)−4−メチル−2−[(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]−1,3−オキサゾールの製造
(2E)−3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]アクリルアミド(66g)にトルエン(990ml)、1−ブロモ−4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)ブタン−2−オンと3−ブロモ−4−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)ブタン−2−オンの混合物(124g)を加え、脱水しながら24時間加熱還流した。室温に冷却後、飽和重曹水を加え酢酸エチルにて抽出した。飽和食塩水にて洗浄後、硫酸マグネシウムにて乾燥した。減圧下溶媒を除去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液、酢酸エチル:ヘキサン=1:4)にて精製し、4−[2−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)エチル]−2−[(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]−1,3−オキサゾール(38.1g)及び5−(4−メトキシ−3−メチルベンジル)−4−メチル−2−[(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]−1,3−オキサゾール(15.7g)を得た。
4−[2−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)エチル]−2−[2−[(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]−1,3−オキサゾール
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.20 (3H, s), 2.82-2.92 (4H, m), 3.81 (3H, s), 6.75 (1H, d, J= 8.8 Hz), 6.95-7.05 (2H, m), 7.00 (1H, d, J= 16.6 Hz), 7.30 (1H, s), 7.49 (1H, d, J= 16.4 Hz), 7.59-7.65 (4H, m).
5−(4−メトキシ−3−メチルベンジル)−4−メチル−2−[(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]−1,3−オキサゾール
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.18 (3H, s), 2.21 (3H, s), 3.81 (3H, s), 3.90 (2H, s), 6.77 (1H, d, J= 7.8 Hz), 6.91 (1H, d, J= 16.5 Hz), 6.98-7.03 (2H, m), 7.40 (1H, d, J= 16.2 Hz), 7.54-7.64 (4H, m).
(ii)2−メチル−4−[2−[2−[(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]エチル]フェノールの製造
4−[2−(4−メトキシ−3−メチルフェニル)エチル]−2−[2−[(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]−1,3−オキサゾール(15g)を塩化メチレン(300ml)に溶解し、0℃にて4.2N三臭化ホウ素塩化メチレン溶液(13.8ml)を加え、室温にて5時間攪拌した。0℃にて8N水酸化ナトリウムを加えpH=5〜6にした後、酢酸エチルにて抽出した。飽和食塩水にて洗浄後、硫酸マグネシウムにて乾燥した。減圧下溶媒を除去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液、酢酸エチル:ヘキサン=1:2)にて精製し、表題化合物(4.1g)を無色結晶として得た。
1H-NMR (DMSO-d6) δ: 2.08 (3H, s), 2.71-2.78 (4H, m), 6.66 (1H, d, J= 8.1 Hz), 6.80-6.85 (2H, m), 6.92 (1H, s), 7.30 (1H, d, J= 16.2 Hz), 7.55 (1H, d, J= 16.5 Hz), 7.75 (2H, d, J= 8.1 Hz), 7.83 (1H, s), 7.94 (2H, d, J= 8.1 Hz), 9.02 (1H, s).
(iii)4−[2−[4−(3−クロロプロポキシ)−3−メチルフェニル]エチル]−2−[(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]−1,3−オキサゾールの製造
2−メチル−4−[2−[2−[(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]エチル]フェノール(3.0g)をアセトン(90ml)に溶解し、炭酸カリウム(2.8g)、1−ブロモ−3−クロロプロパン(1.2ml)を加え、24時間加熱還流した。室温に冷却後、減圧下溶媒を除去し、得られた残渣に水を加え、酢酸エチルにて抽出した。飽和食塩水にて洗浄後、硫酸マグネシウムにて乾燥した。減圧下溶媒を除去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液、酢酸エチル:ヘキサン=1:3)にて精製し、表題化合物(2.0g)を無色結晶として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.18-2.32 (2H, m), 2.20 (3H, s), 2.83-2.92 (2H, m), 3.77 (2H, t, J= 6.2 Hz), 4.09 (2H, t, J= 5.8 Hz), 6.75 (1H, d, J= 8.4 Hz), 6.95-7.01 (2H, m), 7.00 (1H, d, J= 16.2 Hz), 7.31 (1H, s), 7.49 (1H, d, J= 16.2 Hz), 7.58-7.66 (4H, m).
(iv)1−[3−[2−メチル−4−[2−[2−[(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]エチル]フェノキシ]プロピル]−1H−イミダゾール−2−カルバルデヒドの製造
4−[2−[4−(3−クロロプロポキシ)−3−メチルフェニル]エチル]−2−[(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]−1,3−オキサゾール(0.60g)をDMF(12ml)に溶解し、炭酸カリウム(0.33g)、ヨウ化ナトリウム(0.24g)、2−ホルミルイミダゾール(0.18g)を加えた。70℃にて24時間攪拌後、室温に冷却し、水を加え、酢酸エチルにて抽出した。飽和食塩水にて洗浄後、硫酸マグネシウムにて乾燥した。減圧下溶媒を除去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液、酢酸エチル:ヘキサン=1:2)にて精製し、表題化合物(0.51g)を無色結晶として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.23-2.33 (2H, m), 2.24 (3H, s), 2.80-2.93 (4H, m), 3.90 (2H, t, J= 5.7 Hz), 4.63 (2H, t, J= 6.6 Hz), 6.94-7.02 (2H, m), 6.99 (1H, d, J= 16.2 Hz), 7.12 (1H, s), 7.25 (1H, s), 7.30 (1H, s), 7.49 (1H, d, J= 16.2 Hz), 7.59-7.63 (4H, m), 9.81 (1H, s).
(v)[1−[3−[2−メチル−4−[2−[2−[(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]エチル]フェノキシ]プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル]メタノールの製造
1−[3−[2−メチル−4−[2−[2−[(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]エチル]フェノキシ]プロピル]−1H−イミダゾール−2−カルバルデヒド(0.50g)をメタノール(20ml)に溶解し、0℃にて水素化ホウ素ナトリウム(19mg)を加えて、0℃にて30分攪拌した。溶媒を半分まで濃縮した後、水を加え、酢酸エチル/THFにて抽出した。飽和食塩水にて洗浄後、硫酸マグネシウムにて乾燥した。減圧下溶媒を除去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液、酢酸エチル:エタノール=6:1)にて精製し、ヘキサン/酢酸エチルにて再結晶し、表題化合物(0.29g)を無色結晶として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.23-2.32 (2H, m), 2.25 (3H, s), 2.81-2.94 (4H, m), 3.93 (2H, t, J= 5.4 Hz), 4.25 (2H, t, J= 6.9 Hz), 4.32 (1H, br), 4.67 (2H, s), 6.68 (1H, d, J= 8.1 Hz), 6.87-7.03 (5H, m), 7.31 (1H, s), 7.50 (1H, d, J= 16.5 Hz), 7.61-7.67 (4H, m).
実施例1
エチル2-[5-[4-[4-[[2-[(E)-2-[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]-1,3-オキサゾール-4-イル]メトキシ]-2-メチルフェニル]ブチル]-1H-ピラゾール-1-イル]エチルカーボネートの製造
Figure 2005035935
2-[5-[4-[2-メチル-4-[[2-[(E)-2-[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]-1,3-オキサゾール-4-イル]メトキシ]フェニル]ブチル]-1H-ピラゾール-1-イル]エタノール (400 mg)のDMF (3 ml)溶液に0℃でピリジン (119 μl)、クロロ炭酸エチル (113 μl)を加え、室温で24時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、水、次いで飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出液、ヘキサン: 酢酸エチル=5:2)で精製し、酢酸エチル-ヘキサンより再結晶を行い、表題化合物 (380 mg)を無色針状晶として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.27 (3H, t, J = 6.9 Hz), 1.60-1.78 (4H, m), 2.28 (3H, s), 2.59 (2H, t, J = 6.9 Hz), 2.64 (2H, t, J = 7.2 Hz), 4.16 (2H, q, J = 6.9 Hz), 4.30 (2H, t, J = 5.7 Hz), 4.45 (2H, t, J = 5.7 Hz), 5.01 (2H, d, J = 0.6 Hz), 5.99 (1H, d, J = 1.5 Hz), 6.74-6.80 (2H, m), 7.03 (1H, d, J = 8.4 Hz), 7.12 (1H, d, J = 16.5 Hz), 6.35-7.45 (3H, m), 7.61-7.68 (3H, m).
実施例2
2-[5-[4-[4-[[2-[(E)-2-[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]-1,3-オキサゾール-4-イル]メトキシ]-2-メチルフェニル]ブチル]-1H-ピラゾール-1-イル]エチル(ジメチルアミノ)アセテートの製造
Figure 2005035935
2-[5-[4-[4-[[2-[(E)-2-[2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]-1,3-オキサゾール-4-イル]メトキシ]-2-メチルフェニル]ブチル]-1H-ピラゾール-1-イル]エタノール (0.70 g, 1.3 mmol) のピリジン (8 ml) 溶液に、N,N-ジメチルグリシン塩酸塩 (0.36 g, 2.6 mmol) および 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (0.49 g, 2.6 mmol) を加え、室温で 5 時間攪拌した。反応終了後、氷冷下、1N HCl 水溶液 (8 ml) を注意深く加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を 3N HCl 水溶液および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をアミン性シリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出液、酢酸エチル : へキサン=1 : 1) で精製し、再結晶 (酢酸エチル/へキサン) を行い、表題化合物 (0.75 g, 92 %) を白色粉末結晶として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.64-1.77 (4H, m), 2.28 (3H, s), 2.31 (6H, s), 2.56-2.68 (4H, m), 3.13 (2H, s), 4.29 (2H, t, J = 5.4 Hz), 4.48 (2H, t, J = 5.4 Hz), 5.02 (2H, s), 6.00 (1H, d, J = 1.8 Hz), 6.74-6.82 (2H, m), 7.04 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.13 (1H, d, J = 16.4 Hz), 7.35-7.46 (2H, m), 7.42 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.64-7.72 (2H, m), 7.65 (1H, d, J = 16.4 Hz).
実施例3
2-[5-[4-[2-メチル-4-[[2-[(E)-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]-1,3-オキサゾール-4-イル]メトキシ]フェニル]ブチル]-1H-ピラゾール-1-イル]エチル(ジメチルアミノ)アセテートの製造
Figure 2005035935
2-[5-(4-{2-メチル-4-[(2-{(E)-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル}-1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ]フェニル}ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル]エタノール (0.50 g, 0.95 mmol)、ピリジン (7 ml)、N,N-ジメチルグリシン塩酸塩 (0.27 g, 1.9 mmol) および 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (0.37 g, 1.9 mmol) を用いて、実施例 2 と同様の反応を行い、表題化合物 (0.54 g, 93 %) を白色粉末結晶として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.64-1.78 (4H, m), 2.28 (3H, s), 2.30 (6H, s), 2.56-2.68 (4H, m), 3.13 (2H, s), 4.29 (2H, t, J = 5.4 Hz), 4.48 (2H, t, J = 5.4 Hz), 5.01 (2H, s), 6.00 (1H, d, J = 1.8 Hz), 6.74-6.82 (2H, m), 7.02 (1H, d, J = 16.4 Hz), 7.04 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.43 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.55 (1H, d, J = 16.4 Hz), 7.64 (4H, s), 7.68 (1H, s).
実施例4
2-[5-[4-[2-メチル-4-[[2-[(E)-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]-1,3-オキサゾール-4-イル]メトキシ]フェニル]ブチル]-1H-ピラゾール-1-イル]エチル(2-メトキシエトキシ)アセテートの製造
Figure 2005035935
2-[5-(4-{2-メチル-4-[(2-{(E)-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル}-1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ]フェニル}ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル]エタノール (0.60 g, 1.1 mmol) のピリジン (6 ml) 溶液に、(2-メトキシエトキシ)酢酸 (0.26 μl, 2.2 mmol) および 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (0.44 g, 2.2 mmol) を加え、室温で 5 時間攪拌した。反応終了後、氷冷下、1N HCl 水溶液 (6 ml) を注意深く加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を 3N HCl 水溶液および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出液、酢酸エチル : へキサン=2 : 1) で精製し、再結晶 (酢酸エチル/へキサン) を行い、表題化合物 (0.64 g, 88 %) を白色粉末結晶として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.63-1.74 (4H, m), 2.28 (3H, s), 2.55-2.67 (4H, m), 3.36 (3H, s), 3.52-3.57 (2H, m), 3.64-3.69 (2H, m), 4.11 (2H, s), 4.29 (2H, t, J = 5.4 Hz), 4.51 (2H, t, J = 5.4 Hz), 5.02 (2H, s), 6.00 (1H, d, J = 1.8 Hz), 6.74-6.82 (2H, m), 7.02 (1H, d, J = 16.4 Hz), 7.04 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.42 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.55 (1H, d, J = 16.4 Hz), 7.64 (4H, s), 7.68 (1H, s).
実施例5
4-[2-[5-[4-[2-メチル-4-[[2-[(E)-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]-1,3-オキサゾール-4-イル]メトキシ]フェニル]ブチル]-1H-ピラゾール-1-イル]エトキシ]-4-オキソブタン酸の製造
Figure 2005035935
(i) tert-ブチル2-[5-(4-{2-メチル-4-[(2-{(E)-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル}-1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ]フェニル}ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル]エチルスクシネートの製造
2-[5-(4-{2-メチル-4-[(2-{(E)-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル}-1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ]フェニル}ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル]エタノール (4.2 g, 8.0 mmol) のピリジン (40 ml) 溶液に、コハク酸モノ-tert -ブチル (2.8 g, 16.0 mmol) および 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (3.1 g, 16.0 mmol) を加え、室温で 5 時間攪拌した。反応終了後、氷冷下、1N HCl 水溶液 (40 ml) を注意深く加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を 3N HCl 水溶液および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出液、酢酸エチル : へキサン=2 : 3) で精製し、表題化合物 (5.0 g, 92 %) を淡黄色油状物として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.42 (6H, s), 1.44 (3H, s), 1.63-1.79 (4H, m), 2.28 (3H, s), 2.51 (4H,s), 2.55-2.69 (4H, m), 4.28 (2H, t, J = 5.4 Hz), 4.44 (2H, t, J = 5.4 Hz), 5.02 (2H, s), 6.00 (1H, d, J = 1.8 Hz), 6.74-6.82 (2H, m), 7.02 (1H, d, J = 16.4 Hz), 7.04 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.43 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.55 (1H, d, J = 16.4 Hz), 7.64 (4H, s), 7.68 (1H, s).
(ii) 4-[2-[5-[4-[2-メチル-4-[[2-[(E)-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]-1,3-オキサゾール-4-イル]メトキシ]フェニル]ブチル]-1H-ピラゾール-1-イル]エトキシ]-4-オキソブタン酸の製造
tert-ブチル2-[5-(4-{2-メチル-4-[(2-{(E)-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル}-1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ]フェニル}ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル]エチルスクシネート (5.0 g, 7.3 mmol) にギ酸 (99 %, 25 ml) を加え、45 ℃で 6 時間攪拌した。反応終了後、室温で水 (20 ml) を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (溶出液、テトラヒドロフラン: 酢酸エチル : へキサン=2 : 2 : 1) で精製し、再結晶 (酢酸エチル/へキサン) を行い、表題化合物 (3.5 g, 76 %) を白色粉末結晶として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.62-1.78 (4H, m), 2.27 (3H, s), 2.48-2.66 (8H, m), 4.28 (2H, t, J = 5.4 Hz), 4.41 (2H, t, J = 5.4 Hz), 5.00 (2H, s), 6.02 (1H, d, J = 1.8 Hz), 6.73-6.78 (2H, m), 7.02 (1H, d, J = 16.4 Hz), 7.03 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.44 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.55 (1H, d, J = 16.4 Hz), 7.63 (4H, s), 7.68 (1H, s).
実施例6
2-[5-[4-[2-メチル-4-[[2-[(E)-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]-1,3-オキサゾール-4-イル]メトキシ]フェニル]ブチル]-1H-ピラゾール-1-イル]エタノールの製造
Figure 2005035935
4-[4-[1-(2-ヒドロキシエチル)-1H-ピラゾール-5-イル]ブチル]-3-メチルフェノール (1.00 g)、65%水素化ナトリウム (141 mg)、4-(クロロメチル)-2-[(E)-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]-1,3-オキサゾール (1.05 g)を用いて参考例1と同様の反応を行い、表題化合物 (1.23 g)を無色針状晶として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.63-1.73 (4H, m), 2.27 (3H, s), 2.56-2.65 (4H, m), 3.68 (1H, t, J = 6.3 Hz), 3.97-4.02 (2H, m), 4.10 (2H, t, J = 5.4 Hz), 5.00 (2H, d, J = 0.9 Hz), 6.02 (1H, d, J = 1.8 Hz), 6.76 (1H, dd, J = 2.7, 7.8 Hz), 6.79 (1H, d, J = 2.7 Hz), 6.98-7.03 (2H, m), 7.41 (1H, d, J = 1.8 Hz), 7.51-7.67 (6H, m).
実施例7
メチル1−[3−[2−メチル−4−[2−[2−[(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]エチル]フェノキシ]プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル]メチルスクシネートの製造
Figure 2005035935
[1−[3−[2−メチル−4−[2−[2−[(E)−2−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]−1,3−オキサゾール−4−イル]エチル]フェノキシ]プロピル]−1H−イミダゾール−2−イル]メタノール(1.0g)をピリジン(10ml)に溶解し、コハク酸モノメチルエステル(0.36g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(0.52g)を加えて、室温にて12時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチル/ヘキサンにて抽出した。飽和食塩水にて洗浄後、硫酸マグネシウムにて乾燥した。減圧下溶媒を除去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液、酢酸エチル:ヘキサン=3:1)にて精製し、ヘキサン/酢酸エチルにて再結晶して表題化合物(0.66g)を無色結晶として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.20-2.29 (2H, m), 2.22 (3H, s), 2.61 (4H, s), 2.80-2.93 (4H, m), 3.65 (3H, s), 3.92 (2H, t, J= 5.7 Hz), 4.23 (2H, t, J= 6.9 Hz), 5.19 (2H, s), 6.67 (1H, d, J= 8.4 Hz), 6.93-7.04 (5H, m), 7.30 (1H, s), 7.48 (1H, d, J= 16.2 Hz), 7.57-7.64 (4H, m).
実施例8
4-[[1-[3-[2-メチル-4-[2-[2-[(E)-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]-1,3-オキサゾール-4-イル]エチル]フェノキシ]プロピル]-1H-イミダゾール-2-イル]メトキシ]-4-オキソブタン酸の製造
Figure 2005035935
(i)tert-ブチル[1-[3-[2-メチル-4-[2-[2-[(E)-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]-1,3-オキサゾール-4-イル]エチル]フェノキシ]プロピル]-1H-イミダゾール-2-イル]メチルスクシネートの製造
[1-[3-[2-メチル-4-[2-[2-[(E)-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]-1,3-オキサゾール-4-イル]エチル]フェノキシ]プロピル]-1H-イミダゾール-2-イル]メタノール (0.60 g, 1.2 mmol)、ピリジン (6 ml)、コハク酸モノ-tert -ブチル (0.41 g, 2.4 mmol) および 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (0.45 g, 2.4 mmol) を用いて、実施例 5-(i) と同様の反応を行い、表題化合物 (0.56 g, 71 %) を淡黄色油状物として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 1.42 (9H, s), 2.23 (3H, s), 2.23-2.27 (2H, m), 2.53-2.56 (4H, m), 2.85-2.90 (4H,m), 3.93 (2H, t, J = 5.7 Hz), 4.24 (2H, t, J = 5.7 Hz), 5.19 (2H, s), 6.67 (1H, d, J = 7.8 Hz), 6.94 (1H, s), 6.95 (1H, s), 6.98-7.04 (2H, m), 7.00 (1H, d, J = 16.4 Hz), 7.31 (1H, s), 7.50 (1H, d, J = 16.4 Hz), 7.63 (4H, s).
(ii) 4-[[1-[3-[2-メチル-4-[2-[2-[(E)-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]-1,3-オキサゾール-4-イル]エチル]フェノキシ]プロピル]-1H-イミダゾール-2-イル]メトキシ]-4-オキソブタン酸の製造
tert-ブチル[1-[3-[2-メチル-4-[2-[2-[(E)-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル]-1,3-オキサゾール-4-イル]エチル]フェノキシ]プロピル]-1H-イミダゾール-2-イル]メチルスクシネート (0.5 g, 0.75 mmol) およびギ酸 (99 %, 3 ml) を用いて、実施例 5-(ii) と同様の反応を行い、表題化合物 (0.35 g, 75 %) を白色粉末結晶として得た。
1H-NMR (CDCl3) δ: 2.21 (3H, s), 2.22-2.25 (2H, m), 2.59-2.62 (4H, m), 2.84-2.88 (4H,m), 3.92 (2H, t, J = 5.7 Hz), 4.21 (2H, t, J = 5.7 Hz), 5.21 (2H, s), 6.66 (1H, d, J = 7.8 Hz), 6.92 (1H, s), 6.95 (1H, m), 7.00 (1H, d, J = 2.1 Hz), 7.01 (1H, d, J = 16.2 Hz), 7.06 (1H, s), 7.31 (1H, s), 7.49 (1H, d, J = 16.2 Hz), 7.62 (4H,s).
製剤例1 (一錠当たりの用量)
(1)実施例2で得られた化合物 10.0mg
(2)乳糖 60.0mg
(3)コーンスターチ 35.0mg
(4)ゼラチン 3.0mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
実施例2で得られた化合物10.0mgと乳糖60.0mgおよびコーンスターチ35.0mgの混合物を10重量%ゼラチン水溶液0.03ml(ゼラチンとして3.0mg)を用い、1mmメッシュの篩を通して顆粒化したのち、40℃で乾燥し再び濾過する。得られた顆粒をステアリン酸マグネシウム2.0mgと混合し圧縮する。得られる中心錠をしょ糖、二酸化チタン、タルクおよびアラビアゴムの懸濁液による糖衣でコーテイングを施し、ミツロウで艶出して糖衣錠を得る。
製剤例2 (一錠当たりの用量)
(1)実施例2で得られた化合物 10.0mg
(2)乳糖 70.0mg
(3)コーンスターチ 50.0mg
(4)可溶化デンプン 7.0mg
(5)ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
実施例2で得られた化合物10.0mgとステアリン酸マグネシウム3.0mgを可溶化デンプンの水溶液0.07ml(可溶化デンプンとして7.0mg)で顆粒化後、乾燥し、乳糖70.0mgおよびコーンスターチ50.0mgを混合する。混合物を圧縮し錠剤を得る。
以下の試験例において、化合物番号は実施例番号を示す(例えば、実施例2の化合物は化合物2と表示した)。
試験例1. ヒト乳癌細胞の受容体チロシンリン酸化の抑制
ヒト乳癌細胞BT−474の細胞懸濁液500μL(30,000細胞)を24穴プレートに播き、5%炭酸ガスインキュベーター中37℃で培養した。翌日、5倍段階希釈した被検化合物溶液250μLを添加し、2時間後、溶解液を加え反応を停止させるとともにタンパク質を抽出した。このタンパク質をタンパク質電気泳動法により分画した後、電気泳動ゲル内のタンパク質をナイロンフィルターにトランスファーした。このフィルターとリン酸化チロシン特異抗体とを反応させ、反応産物を化学発光させ、画像解析装置により定量した。無処理群での細胞HER2チロシンのリン酸化量を100%として、各濃度の被検化合物溶液を加えた群の細胞HER2チロシンリン酸化量の割合を求め、被検化合物がHER2チロシンのリン酸化量を対照の50%に抑制するのに必要な化合物濃度(IC50値)を算出した。結果を〔表1〕に示す。
これより、本発明の化合物は、ヒト乳癌細胞が受容体チロシンキナーゼの活性化によって引き起こされる、受容体タンパク質のチロシン残基のリン酸化反応を強く阻害することが示された。
〔表1〕

実施例番号(化合物番号) 細胞内HER2リン酸化阻害
BT−474(IC 50 :nM)
2 18
3 6.4
7 17

試験例2. in vitro での乳癌細胞BT−474増殖抑制作用
ヒト乳癌細胞BT−474の細胞懸濁液100μL(6,000細胞)を96穴マイクロプレートに播き、5%炭酸ガスインキュベーター中37℃で培養した。翌日、2倍段階希釈した各被検化合物溶液100μLを添加し、培養を5日間行った。被検化合物を含む培養液を除き、細胞を洗浄した後、50%トリクロロ酢酸溶液で固定後、色素SRB0.4%(W/V)溶液(1%酢酸に溶解)を加え細胞タンパク質を固定するとともに染色した(スケハンら、ジャーナル オブ ナショナル キャンサー インスティチュート 82巻1107−1112ページ、1990年)。1%酢酸溶液にて洗浄した後、100μLの抽出液(10mM トリス緩衝液)を加えて色素を抽出し、吸収波長550nmの吸光度を測定し、タンパク質量として細胞量を測定した。被検化合物溶液を加えていない対照群のタンパク質量を100%としたときに各処理群の残存タンパク質量の割合を求め、残存細胞量を対照の50%に抑制するのに必要な化合物濃度(IC50)値を算出した。結果を〔表2〕に示す。
これより、本発明の化合物は、ヒト乳癌細胞株BT−474の増殖を強く抑制することが示された。
〔表2〕

実施例番号(化合物番号) 細胞増殖阻害
BT−474(IC 50 :μM)
2 0.016
5 0.045
7 0.030

試験例3. in vivo での乳癌増殖抑制作用
500万個のヒト乳癌細胞BT−474を、マトリゲル溶液に懸濁してBalb/C系雌ヌードマウス(6週齢)胸部皮下に移植する(フリードマンら プロシーデイング オブ ナショナル アカデミー オブ サイエンス USA 87巻6698−6702ページ、1990年)。移植時ならびに移植後7日目に、腫瘍の生着率を高める目的で、ジプロピオン酸エストラジオール(5mg/mL溶液)50μLを、後足に筋肉内投与する。移植後14日目以降に腫瘍径を測定し腫瘍サイズを揃えたマウスを一群当たり5匹実験に使用する。試験化合物の0.5%メチルセルロース懸濁液(生理的食塩水溶液)を30〜120mg/kgの濃度で一日二回、計14日間経口投与を行う。投与終了日に腫瘍径を測定し、
式:腫瘍体積=長径×短径×短径×(1/2)
により腫瘍体積を算出する。メチルセルロース懸濁液投与の対照群での投与終了日の腫瘍体積から投与開始日の腫瘍体積を減じた値と、薬物投与群での投与終了日の腫瘍体積から投与開始日の腫瘍体積を減じた値との比率を増殖率として求める。

試験例4. グリコケノデオキシコール酸添加日本薬局方崩壊試験第二液に対する溶解度
試料約0.5mgに20mmol/L グリコケノデオキシコール酸添加日本薬局方崩壊試験第二液0.5mLを加え、3分間の超音波照射及び37℃で1時間放置した後、孔径0.22μmのメンブランフィルターでろ過し,ろ液を試料溶液とした。別に、試料約1mgを精密に量りとり,アセトニトリル10mLに溶解して標準溶液とした。試料溶液及び標準溶液を下記のHPLC条件で測定し、得られたクロマトグラムのピーク面積値から溶解度を算出した。結果を〔表3〕に示す。
これより、本発明の化合物はグリコケノデオキシコール酸添加日本薬局方崩壊試験第二液に対する溶解性に優れていることが示された。
HPLC条件
検出波長: 230-280nm
カラム: CAPCELLPAK C18 MG 75×4.6mm
移動相A: 0.05mol/L 酢酸アンモニウム水溶液/水/アセトニトリル(1:8:1)
移動相B: 0.05mol/L 酢酸アンモニウム水溶液/アセトニトリル(1:9)
グラジエントプログラム:
0→10min 0→100%B)
10→15min 100%B)
15.1→20min 0%B)
カラム温度: 40℃
流速: 1mL/min
注入量: 10μL
〔表3〕

実施例番号(化合物番号) 溶解度
20mM GCDC(μg/mL)
1 158
2 854
3 >1000
4 20.9
5 65.6
本発明の化合物(I)またはその塩は、チロシンキナーゼ阻害作用を有し、かつ毒性が低く、溶解性に優れ、吸収性も良いため、哺乳動物におけるチロシンキナーゼ依存性疾患の予防または治療に用いることができる。チロシンキナーゼ依存性疾患には、異常なチロシンキナーゼ酵素活性による細胞増殖亢進性の疾患が含まれる。さらに、本発明の化合物(I)またはその塩は、チロシンキナーゼを特異的に阻害するため、HER2を発現している癌の増殖を抑制する治療剤として、または、ホルモン依存性癌のホルモン非依存性癌への移行を防ぐ予防剤としても有用である。


Claims (18)

  1. 一般式
    Figure 2005035935
    〔式中、環Aは含窒素複素環を、Bは酸素原子または単結合を、Rは置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を、Rはハロゲン原子またはハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基を、Rは水素原子、ハロゲン原子またはハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基を、Rは水素原子、ハロゲン原子、C1−3アルキル基または置換されていてもよい水酸基を、Xは酸素原子またはメチレン基を、Yは酸素原子または単結合を、ZはC1-10アルキレン基を、WはC1-4アルキレン基をそれぞれ示す。但し、前記一般式(I)中、一般式
    Figure 2005035935
    (式中、各記号は前記と同意義を示す。)で表される基が、一般式
    Figure 2005035935
    (式中、環A’は含窒素複素環を、その他の各記号は前記と同意義を示す。)で表される基である場合、Xが酸素原子である化合物を除く。〕で表される化合物またはその塩。
  2. 環Aがピロール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、オキサゾール、チアゾールまたはベンズイミダゾールである請求項1記載の化合物。
  3. 環Aがイミダゾールまたはピラゾールである請求項1記載の化合物。
  4. 一般式
    Figure 2005035935
    〔式中、Bは酸素原子または単結合を、Rは置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を、Rはハロゲン原子またはハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基を、Rは水素原子、ハロゲン原子またはハロゲン化されていてもよいC1−4アルキル基を、Rは水素原子、ハロゲン原子、C1−3アルキル基または置換されていてもよい水酸基を、Xは酸素原子またはメチレン基を、Yは酸素原子または単結合を、ZはC1-10アルキレン基を、WはC1-4アルキレン基をそれぞれ示す。〕で表される化合物またはその塩。
  5. Rが置換されていてもよい炭化水素基である請求項1記載の化合物。
  6. Rが置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいアルコキシル基および置換されていてもよいカルボキシル基からなる群より選ばれた置換基で置換されている炭化水素基である請求項1記載の化合物。
  7. Rが置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよい水酸基および置換されていてもよいカルボキシル基からなる群より選ばれた置換基で置換されているC1−4アルキル基である請求項1記載の化合物。
  8. がトリフルオロメチル基、Rが水素原子またはフッ素原子である請求項1記載の化合物。
  9. がメチル基である請求項1記載の化合物。
  10. エチル2-(5-(4-(4-((2-((E)-2-(2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ビニル)-1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ)-2-メチルフェニル)ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル)エチルカーボネート、2-(5-(4-(4-((2-((E)-2-フルオロ-4-(トリフルオロメチル)フェニル)ビニル)-1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ)-2-メチルフェニル)ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル)エチル(ジメチルアミノ)アセテート、2-(5-(4-(2-メチル-4-((2-((E)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ビニル)-1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル)エチル(ジメチルアミノ)アセテート、2-(5-(4-(2-メチル-4-((2-((E)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ビニル)-1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル)エチル(2−メトキシエトキシ)アセテート、4-(2-(5-(4-(2-メチル-4-((2-((E)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ビニル)-1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ)フェニル)ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル)エトキシ-4-オキソブタン酸、メチル(1-(3-(2-メチル-4-(2-(2-((E)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ビニル)-1,3-オキサゾール-4-イル)エチル)フェノキシ)プロピル)-1H-イミダゾール-2-イル)メチルスクシネート、2-[5-(4-{2-メチル-4-[(2-{(E)-2-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ビニル}-1,3-オキサゾール-4-イル)メトキシ]フェニル}ブチル)-1H-ピラゾール-1-イル]エタノール、4-((1-(3-(2-メチル-4-(2-(2-((E)-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニル)ビニル)-1,3-オキサゾール-4-イル)エチル)フェノキシ)プロピル)-1H-イミダゾール-2-イル)メトキシ-4-オキソブタン酸またはその塩。
  11. 請求項1記載の化合物を含有する医薬。
  12. チロシンキナーゼ阻害剤である請求項11記載の医薬。
  13. 癌の予防・治療剤である請求項11記載の医薬。
  14. 癌が乳癌、前立腺癌、肺癌、膵癌または腎臓癌である請求項13記載の医薬。
  15. 哺乳動物に対して、請求項1記載の化合物を有効量投与することを特徴とするチロシンキナーゼ阻害方法。
  16. 哺乳動物に対して、請求項1記載の化合物を有効量投与することを特徴とする癌の予防・治療方法。
  17. チロシンキナーゼ阻害剤を製造するための請求項1記載の化合物の使用。
  18. 癌の予防・治療剤を製造するための請求項1記載の化合物の使用。
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