JP2005035027A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、感光体としてアモルファスシリコンを用いた画像形成装置において、光メモリによる画像ノイズの発生を抑制し、電位ムラのない良好な画像を得ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】アモルファスシリコンからなる感光体と、感光体の表面に近接して設けられており、光照射により感光体の表面に静電潜像を形成し、感光体に対して画像情報を露光する露光装置とを備える画像形成装置において、露光装置の露光光源に、発光スペクトルにおけるピークの半値幅の中心波長が600nm以上685nm以下である光を用いることを特徴とする。
【選択図】 図10
【解決手段】アモルファスシリコンからなる感光体と、感光体の表面に近接して設けられており、光照射により感光体の表面に静電潜像を形成し、感光体に対して画像情報を露光する露光装置とを備える画像形成装置において、露光装置の露光光源に、発光スペクトルにおけるピークの半値幅の中心波長が600nm以上685nm以下である光を用いることを特徴とする。
【選択図】 図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式のプリンターやファクシミリ、複写機などの画像形成装置において、感光体としてアモルファスシリコンを用い、帯電、露光、現像、転写、除電の工程を経て画像形成を行なうにあたり、光メモリによる画像ノイズの発生を抑制するする画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機やプリンター等の画像形成装置において画像形成を行なうにあたっては、その感光体として、感光層を構成する材料にアモルファスシリコンを用いたアモルファスシリコン感光体が使用されている。
【0003】
このアモルファスシリコン感光体は、表面硬度が高く、長波長光に対して良好な感度を示し、しかも繰返し使用による劣化もほとんど認められず、高い電荷輸送性を有しているため、他の感光体に比べて高速で長期にわたって利用できるという利点を有している。従って、高速複写機やレーザービームプリンタなどの電子写真用においては、感光体として当該アモルファスシリコン感光体が幅広く使用されている。
【0004】
しかしながら、アモルファスシリコン感光体の特性として、光照射領域と暗領域を同時に帯電した場合、暗領域に比べ、光照射領域において極端に帯電能の低下が大きくなるため、電位ムラが大きくなり、露光による光メモリが発生しやすいという問題がある。このため、アモルファスシリコン感光体を反復使用する場合に、先の露光工程において受けた光メモリが、次に感光体表面が帯電を受けるまで残ってしまい、ゴーストと称される画像ノイズが生じ、画像品質が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、この様な問題を解消すべく、レーザー、又はLEDを露光光源として用いるとともに、当該露光光源のピーク波長を光メモリの発生が極小となる波長(600〜680nm)とし、かつ、当該ピークの半値幅を50nm以下とする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−108032号公報(第5−11頁、第1−18図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、露光光源としてLEDを用いた場合、当該LEDは幅広い波長分布(又は、発光スペクトル分布)を有するため、当該波長分布が左右非対称である場合が多く、例えば、ピーク波長が上述の波長領域(即ち、600〜680nm)のうち、長波長(680nm)側に位置するとともに、波長分布が長波長側に拡がった形状を有するLEDを露光光源として使用した場合、光メモリの発生が促進される長波長側の波長領域の割合が多いため、当該長波長側の光により画像ノイズが生じ、画像品質が低下してしまう。従って、上記従来技術のごとく、露光光源のピーク波長の範囲と当該ピークの半値幅のみを規定するだけでは、光メモリによる画像ノイズの発生を十分に抑制することができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決し、感光体としてアモルファスシリコンを用いた画像形成装置において、光メモリによる画像ノイズの発生を抑制し、電位ムラのない良好な画像を得ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、アモルファスシリコンからなる感光体と、感光体の表面に近接して設けられており、光照射により感光体の表面に静電潜像を形成し、感光体に対して画像情報を露光する露光装置とを備える画像形成装置において、露光装置の露光光源に、発光スペクトルにおけるピークの半値幅の中心波長が600nm以上685nm以下である光を用いることを特徴とする。
【0010】
ここで、本発明においては、半値幅を50nm以下とすることができ、また、露光光源をLEDとすることができる。
【0011】
又、本発明の画像形成装置は、アモルファスシリコンからなる感光体と、感光体表面の残留電荷を除去するための除電装置とを備える画像形成装置において、除電装置の露光光源に、発光スペクトルにおけるピークの半値幅の中心波長が600nm以上685nm以下である光を用いることを特徴とする。
【0012】
ここで、本発明においては、半値幅を50nm以下とすることができ、また、露光光源をLEDとすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【0014】
図1に示す様に、画像形成装置1は、回転自在に配設された感光体2と、所定の電圧が印加されることにより、感光体2の表面に一様な電荷を帯電させる帯電装置3と、感光体2の表面に近接して設けられており、光照射により感光体2の表面に静電潜像を形成し、感光体2に対して画像情報を露光する露光装置4と、静電潜像にトナーを付着させトナー像を形成する現像装置5と、現像装置5により形成されたトナー像を用紙に転写する転写装置6と、トナー像を用紙に転写した後に感光体2の表面上に残留した転写残トナーを除去するためのクリーニング装置7と、複数のLEDで構成され、感光体2表面の残留電荷を除去するための除電装置8と、トナー像を転写紙上に定着するための定着装置9を備えている。尚、ここで使用される感光体2には、非晶質シリコン系感光体(アモルファスシリコン感光体)が用いられ、露光装置4、及び除電装置8の露光光源には、LEDが用いられる。
【0015】
画像形成装置1において、画像形成動作が開始されると、まず感光体2が図中のAの方向に回転を始める。次いで、所定の電圧が印加された帯電装置3により、感光体2への放電が行われ、感光体2の表面に一様な電荷が帯電される。次いで、感光体2の帯電面には、露光装置4により光照射が行われ、当該光照射により、画像となる部分の表面電位を所定の電位とすることにより、画像情報に応じた静電潜像が形成される。
【0016】
現像装置5は、現像剤容器である現像ハウジング5aに充填されたトナーを感光体2の表面上における電荷の除去された静電潜像部分に転移させ、当該トナーを静電潜像に付着させてトナー像として可視化する。感光体2の表面上に形成されたトナー像は、感光体2の矢印A方向の回転により、転写装置6へと搬送されてゆく。
【0017】
用紙供給経路10を経由して感光体2と転写装置6との間に供給された用紙(不図示)上には、転写装置6により感光体2からトナー像が引き寄せられて転写される。その後、トナー像が転写された用紙は図示しない分離装置により感光体2から分離されて定着装置9に搬送され、この定着装置9によりそのトナー像が転写紙上に定着される。
【0018】
一方、転写装置6によるトナー像転写後、感光体2の表面に残留するトナーは、クリーニング装置7により完全に除去される。そして、残留トナーが除去された感光体2は、複数のLEDを除電用露光光源として有する除電装置8によりその表面の残留電荷が除去され、帯電装置3に至る。
【0019】
次に、露光光源の波長とアモルファスシリコン感光体の感度、及び光メモリーの関係について説明する。図2は、アモルファスシリコン感光体の各波長に対する感度をプロットしたグラフである。尚、図2に示す感度は、感光体2の表面電位を、500Vの帯電電位から露光により250Vへと減少させるのに必要な光量の逆数で表している。図2に示す様に、680nm付近に感度のピークを有しており、上記ピーク波長までは、感度が徐々に上昇し、当該ピーク波長以上では、感度が下降してゆくことが解る。又、600nm以上740nm以下の波長領域においては、感度が良いことが解る。
【0020】
図3は、アモルファスシリコン感光体の各波長に対する光メモリをプロットしたグラフである。尚、図3においては、一定光量により、感光体2の表面電位を、500Vの帯電電位から露光により50Vへと減少させる場合も示している。光メモリとは、一定の光量の下で発生する帯電電位の減少をいい、図3に示したどちらの光量条件の場合も、波長が680nm付近を超えると光メモリが急激に増大することが解る。例えば、感光体2の表面電位を500Vの帯電電位から露光により50Vへと減少させる場合、710nmの波長においては、光メモリが約10Vであるため、実際には、感光体の表面が490Vまでしか帯電しないといことになる。又、逆に、680nm付近以下の波長においては、光メモリが5V以下になるため、光メモリはあまり問題にならないと言える。
【0021】
以上より、感度が比較的良好な600nm以上740nm以下の波長領域であって、光メモリがあまり問題とならない680nm以下の波長領域、即ち、600〜680nmの波長領域に露光光源のピーク波長を規定するとともに、光メモリや残存電位ムラを見かけ上均一化するために、当該ピークの半値幅を50nm以下に規定することにより、波長分布の狭い半導体レーザを露光光源として使用する場合は、光メモリによる画像ノイズの発生を抑制できるものと考えられる。
【0022】
しかしながら、上述のごとく、露光光源としてLEDを用いた場合は、当該LEDは幅広い波長分布を有するため、当該波長分布が左右非対称である場合が多い。従って、露光光源のピーク波長の範囲と当該ピークの半値幅のみを規定するだけでは、光メモリによる画像ノイズの発生を十分に抑制することができないものと考えられる。
【0023】
そこで、本発明者は、露光光源としてLEDを用いた場合の上記不都合を解消すべく、露光光源の発光スペクトルにおけるピークの半値幅(半値波長帯)の中心波長に注目し、実験を行った。以下に、この実験例について詳しく説明する。尚、本発明は、当該実験例に限定されるものではない。
【0024】
【実験例】
露光装置4の露光光源としてLEDを用いる京セラミタ製の4連タンデムデジタルフルカラー実験機(アモルファスシリコン感光体ドラム周速:116mm/sec、除電光源:波長ピーク650nmのLED)に、各波長特性のLED光源を搭載し、複写試験を実施し、光メモリー画像(ゴースト画像)が発生しているか否かを目視により評価した。ここで、光メモリー画像とは、図4(a)に示すようなモノクロ原稿を使用して複写試験を実施した場合、感光体ドラム2の1回転目の強い露光部分(黒ベタ部)11(マンセル値:N=1.0)の感光体表面電位の低下により、図4(b)に示すような露光部分11のゴースト画像(残像)12が感光体ドラム2の2回転目のグレー部13(マンセル値:N=6.5)に発生した画像を言う。
【0025】
(実験例1)まず、静電潜像形成用の露光光源として図5に実線で示す発光スペクトル(ピーク波長λpが680nm、ピークの半値幅Wが50nm、半値幅Wの中心波長λcが693nm)を有するLEDを用い、上記画像評価を行った。その結果を表1に示す。この場合、ゴースト画像が十分に認められて不良であった。尚、ピークの半値幅Wとは、発光スペクトル分布において、光強度が最大値の1/2となる波長の幅のことであり、半値幅Wの中心波長とは、半値幅Wの中間の波長のことである。
【0026】
ここで、上述のごとく、アモルファスシリコン感光体を用いた画像形成装置において、当該感光体の感度が良好であり、かつ、光メモリによる影響をあまり受けることなく、画像ノイズの発生を抑制できる露光光源の波長範囲としては、露光光源のピーク波長が600〜680nmの波長領域にあり、かつ、当該ピークの半値幅が50nm以下である必要があるが、露光光源にLEDを用いた場合は、更に、LEDの波長分布が比較的左右対称に近い状態にある必要があると言える。その一例として、ピーク波長λpが640nm、ピーク半値幅が50nm、半値幅の中心波長λcが640nmである発光スペクトルを図9に示す。尚、図9に示した発光スペクトルのピーク波長λpを上限値である680nmにシフトしたもの(ピーク半値幅は50nm、半値幅の中心波長λcは680nm)を図5、図6に点線で示すとともに、図9に示した発光スペクトルのピーク波長λpを下限値である600nmにシフトしたもの(ピーク半値幅は50nm、半値幅の中心波長λcは600nm)を図7、図8に点線で示している。
【0027】
図5に点線で示した、図9の発光スペクトルのピーク波長λpを上限値である680nmにシフトした発光スペクトル(ピーク半値幅は50nm、半値幅の中心波長λcは680nm)を有するLEDを、露光光源として用い、上記画像評価を行ったところ、ゴースト画像が認められず良好であった(表1参照)。一方、露光光源として図5に実線で示す発光スペクトルを有するLEDを使用する場合、ピーク波長λpは、点線で示す発光スペクトルと同様に680nmであるため、上述の図2において説明したように、アモルファスシリコン感光体の感度は良好と言える。しかし、図5より明らかなように、このλpは、600〜680nmの波長領域内にあるものの、当該発光スペクトル内においては短波長側に偏っており、λc(693nm)が点線で示した発光スペクトルの場合(680nm)に比べて、長波長側に位置するとともに、発光スペクトルが長波長側(図5において右側)に拡がった左右非対称な形状になっている。従って、図5より明らかなように、点線で示した発光スペクトルに比し、長波長側の光の割合が多くなるため、光メモリが急激に増大し(図3参照)、結果として、ゴースト画像が発生してしまうものと考えられる。
【0028】
(実験例2)静電潜像形成用の露光光源として図6に実線で示す発光スペクトル(ピーク波長λpが698nm、ピークの半値幅Wが50nm、半値幅Wの中心波長λcが685nm)を有するLEDを用い、上記画像評価を行った。その結果を表1に示す。この場合、ゴースト画像が認められず良好であった。
【0029】
この場合、ピーク波長λp(698nm)は、点線で示す発光スペクトルのピーク波長(680nm)と比べて長く、600〜680nmの波長領域外にあるものの、上述の図2において説明したように、アモルファスシリコン感光体は680nm付近に感度のピークを有しているため、当該λpにおいても、アモルファスシリコン感光体の感度は比較的良好と言える。又、図6に実線で示す発光スペクトルにおいて、λpはやや長波長側に偏っており、λc(685nm)が点線で示した発光スペクトルの場合(680nm)に比べて長波長側に位置しているが、発光スペクトルが短波長側(図6において左側)に拡がった左右非対称な形状になっており、長波長側の光の割合が少ないため、即ち、長波長側の光の割合が、点線で示した発光スペクトルの場合と同程度であるため、点線で示した発光スペクトルの場合と同様に光メモリによる影響をあまり受けることがない。従って、ゴースト画像が認められず良好であったものと考えられる。
【0030】
(実験例3)次に、静電潜像形成用の露光光源として図7に実線で示す発光スペクトル(ピーク波長λpが600nm、ピークの半値幅Wが50nm、半値幅Wの中心波長λcが587nm)を有するLEDを用い、上記画像評価を行った。その結果を表1に示す。この場合、画像濃度ムラが十分に認められて不良であった。
【0031】
一方、図7に点線で示した、図9の発光スペクトルのピーク波長λpを下限値である600nmにシフトした発光スペクトル(ピーク半値幅は50nm、半値幅の中心波長λcは600nm)を有するLEDを、露光光源として用い、上記画像評価を行ったところ、ゴースト画像が認められず良好であった(表1参照)。
【0032】
これは、露光光源として図7に実線で示す発光スペクトルを有するLEDを使用する場合、λpは、点線で示す発光スペクトルと同様に600nmであり、600〜680nmの波長領域内にあるものの、当該λpが実線で示す発光スペクトル内においては長波長側に偏っているとともに、λc(587nm)が点線で示した発光スペクトルの場合(600nm)に比べて短波長側に位置しており、発光スペクトルが短波長側(図において左側)に拡がった左右非対称な形状になっている。従って、図7より明らかなように、点線で示した発光スペクトルに比し、長波長側の光の割合が少なくなるため、光メモリの影響を受けにくくなるが、短波長側の光の割合が多くなるため、感光体の感度が急激に低下し(図2参照)、画像濃度ムラが発生してしまうものと考えられる。
【0033】
(実験例4)静電潜像形成用の露光光源として図8に実線で示す発光スペクトル(ピーク波長λpが587nm、ピークの半値幅Wが50nm、半値幅Wの中心波長λcが600nm)を有するLEDを用い、上記画像評価を行った。その結果を表1に示す。この場合、ゴースト画像が認められず良好であった。
【0034】
この場合、ピーク波長λp(587nm)は、点線で示す発光スペクトルのピーク波長(600nm)と比べて短く、600〜680nmの波長領域外にあるものの、実線で示す発光スペクトル内において、当該λpはやや短波長側に偏っているとともに、λc(600nm)が点線で示した発光スペクトルの場合(600nm)と同じであり、発光スペクトルが長波長側(図8において右側)に拡がった左右非対称な形状になっており、短波長側の光の割合が少ない。即ち、短波長側の光の割合が、点線で示した発光スペクトルの場合と同程度であり、アモルファスシリコン感光体は600nm付近であっても比較的感度が良いため、当該λpにおいても、アモルファスシリコン感光体の感度は比較的良好と言え、ドラムの感度不足による画像ムラはあまり問題にならないと言える。又、図8に実線で示した発光スペクトルにおいては、長波長側の光の割合が少ないため、光メモリによる影響は殆ど受けないと言える。従って、ゴースト画像が認められず良好であったものと考えられる。
【0035】
以上の実験結果から、アモルファスシリコン感光体2を使用する画像形成装置1において、幅広い波長分布を有するLEDを露光素子4の露光光源として用いる場合、露光光源であるLEDの発光スペクトルにおけるピークの半値幅Wの中心波長λcを600nm以上685nm以下に規定するとともに、半値幅Wを50nm以下に規定することにより、光メモリによる画像ノイズの発生を抑制し、電位ムラのない良好な画像を得ることが可能になる。その一例として、ピーク半値幅Wが50nm、半値幅Wの中心波長λcが645nmである発光スペクトルを図10に示す。
【0036】
即ち、露光光源として幅広い波長分布を有するLEDを用いた場合は、当該波長分布が左右非対称である場合が多いため、露光光源の発光スペクトルのピーク波長λpの範囲とピークの半値幅Wのみを、上述の所定の範囲内で規定(即ち、600〜680nmの波長領域に露光光源のピーク波長λpを規定するとともに、当該ピークの半値幅Wを50nm以下に規定)するだけでは、図5、図7において説明したように、光メモリによる画像ノイズの発生を十分に抑制することができない。
【0037】
しかしながら、露光光源の発光スペクトルにおけるピークの半値幅Wの中心波長λcの範囲と、当該半値幅Wを所定の範囲内で規定(即ち、ピークの半値幅Wの中心波長λcを600〜685nmに規定するとともに、半値幅Wを50nm以下に規定)することにより、光メモリによる画像ノイズの発生を抑制し、電位ムラのない良好な画像を得ることができる。
【0038】
【表1】
【0039】
尚、上記各実験例においては、除電用露光光源としてLEDを使用しており、当該LEDの波長ピークを650nmに固定しているが、複数のLEDを除電用露光光源として有する除電装置8により、アモルファスシリコン感光体2の表面の残留電荷を除去する場合にも、上述の露光装置4の露光光源として用いるLEDの場合と同様に、除電用露光光源であるLEDの発光スペクトルにおけるピークの半値幅Wの中心波長λcを600nm以上685nm以下に規定するとともに、当該半値幅Wを50nm以下に規定すればよい。
【0040】
一般に、除電工程においては、アモルファスシリコン感光体2に対して均一露光を行うことにより、アモルファスシリコン感光体2の非画像形成領域において、より多くの光キャリアを発生させて、全面で均一になるようにして光メモリを消去するが、この際、除電用露光光源の波長を、図2に示したアモルファスシリコン感光体2の分光感度のピーク(約600〜700nm)に近づけることにより、より効果的に光メモリを消去することが可能となる。従って、除電用露光光源であるLEDの発光スペクトルにおけるピークの半値幅Wの中心波長λcを600nm以上685nm以下に規定するとともに、半値幅Wを50nm以下に規定することにより、光メモリによる電位ムラの発生を軽減でき、最適な除電を行うことができるものと考えられるためである。
【0041】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて各部の構造等を適宜変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0042】
【発明の効果】
以上、説明した様に、本発明に係る画像形成装置においては、アモルファスシリコン感光体を使用する場合であって、幅広い波長分布を有するLEDを露光光源として用いる場合、当該露光光源の発光スペクトルにおけるピークの半値幅の中心波長λcを600nm以上685nm以下に規定するとともに、当該半値幅Wを50nm以下に規定することにより、光メモリによる画像ノイズの発生を抑制し、電位ムラのない良好な画像を得ることが可能になる。
【0043】
又、本発明に係る画像形成装置においては、複数のLEDを除電用露光光源として有する除電装置により、アモルファスシリコン感光体の表面の残留電荷を除去する場合にも、除電用露光光源の発光スペクトルにおけるピークの半値幅Wの中心波長λcを600nm以上685nm以下に規定するとともに、当該半値幅Wを50nm以下に規定することにより、光メモリによる電位ムラの発生を軽減でき、最適な除電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】は、アモルファスシリコン感光体の各波長に対する感度をプロットしたグラフである。
【図3】は、アモルファスシリコン感光体の各波長に対する光メモリをプロットしたグラフである。
【図4】は、露光光源として各波長特性を有するLEDを使用した場合の、光メモリー画像の発生の評価方法を説明するための図である。
【図5】は、光メモリー画像の発生評価を行うに際し、静電潜像形成用の露光光源として使用されるLEDの発光スペクトルを示した図である。
【図6】は、光メモリー画像の発生評価を行うに際し、静電潜像形成用の露光光源として使用されるLEDの発光スペクトルを示した図である。
【図7】は、光メモリー画像の発生評価を行うに際し、静電潜像形成用の露光光源として使用されるLEDの発光スペクトルを示した図である。
【図8】は、光メモリー画像の発生評価を行うに際し、静電潜像形成用の露光光源として使用されるLEDの発光スペクトルを示した図である。
【図9】は、静電潜像形成用の露光光源として使用されるLEDの発光スペクトルの一例を示した図である。
【図10】は、本発明の実施形態に係る画像形成装置において、静電潜像形成用の露光光源として使用されるLEDの発光スペクトルの一例を示した図である。
【符号の説明】
1 画像形成装置
2 感光体
3 帯電装置
4 露光装置
5 現像装置
6 転写装置
7 クリーニング装置
8 除電装置
9 定着装置
10 用紙供給経路
w 半値幅
λp ピーク波長
λc 半値幅の中心波長
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真方式のプリンターやファクシミリ、複写機などの画像形成装置において、感光体としてアモルファスシリコンを用い、帯電、露光、現像、転写、除電の工程を経て画像形成を行なうにあたり、光メモリによる画像ノイズの発生を抑制するする画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機やプリンター等の画像形成装置において画像形成を行なうにあたっては、その感光体として、感光層を構成する材料にアモルファスシリコンを用いたアモルファスシリコン感光体が使用されている。
【0003】
このアモルファスシリコン感光体は、表面硬度が高く、長波長光に対して良好な感度を示し、しかも繰返し使用による劣化もほとんど認められず、高い電荷輸送性を有しているため、他の感光体に比べて高速で長期にわたって利用できるという利点を有している。従って、高速複写機やレーザービームプリンタなどの電子写真用においては、感光体として当該アモルファスシリコン感光体が幅広く使用されている。
【0004】
しかしながら、アモルファスシリコン感光体の特性として、光照射領域と暗領域を同時に帯電した場合、暗領域に比べ、光照射領域において極端に帯電能の低下が大きくなるため、電位ムラが大きくなり、露光による光メモリが発生しやすいという問題がある。このため、アモルファスシリコン感光体を反復使用する場合に、先の露光工程において受けた光メモリが、次に感光体表面が帯電を受けるまで残ってしまい、ゴーストと称される画像ノイズが生じ、画像品質が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、この様な問題を解消すべく、レーザー、又はLEDを露光光源として用いるとともに、当該露光光源のピーク波長を光メモリの発生が極小となる波長(600〜680nm)とし、かつ、当該ピークの半値幅を50nm以下とする技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−108032号公報(第5−11頁、第1−18図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、露光光源としてLEDを用いた場合、当該LEDは幅広い波長分布(又は、発光スペクトル分布)を有するため、当該波長分布が左右非対称である場合が多く、例えば、ピーク波長が上述の波長領域(即ち、600〜680nm)のうち、長波長(680nm)側に位置するとともに、波長分布が長波長側に拡がった形状を有するLEDを露光光源として使用した場合、光メモリの発生が促進される長波長側の波長領域の割合が多いため、当該長波長側の光により画像ノイズが生じ、画像品質が低下してしまう。従って、上記従来技術のごとく、露光光源のピーク波長の範囲と当該ピークの半値幅のみを規定するだけでは、光メモリによる画像ノイズの発生を十分に抑制することができないという問題があった。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決し、感光体としてアモルファスシリコンを用いた画像形成装置において、光メモリによる画像ノイズの発生を抑制し、電位ムラのない良好な画像を得ることができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の画像形成装置は、アモルファスシリコンからなる感光体と、感光体の表面に近接して設けられており、光照射により感光体の表面に静電潜像を形成し、感光体に対して画像情報を露光する露光装置とを備える画像形成装置において、露光装置の露光光源に、発光スペクトルにおけるピークの半値幅の中心波長が600nm以上685nm以下である光を用いることを特徴とする。
【0010】
ここで、本発明においては、半値幅を50nm以下とすることができ、また、露光光源をLEDとすることができる。
【0011】
又、本発明の画像形成装置は、アモルファスシリコンからなる感光体と、感光体表面の残留電荷を除去するための除電装置とを備える画像形成装置において、除電装置の露光光源に、発光スペクトルにおけるピークの半値幅の中心波長が600nm以上685nm以下である光を用いることを特徴とする。
【0012】
ここで、本発明においては、半値幅を50nm以下とすることができ、また、露光光源をLEDとすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【0014】
図1に示す様に、画像形成装置1は、回転自在に配設された感光体2と、所定の電圧が印加されることにより、感光体2の表面に一様な電荷を帯電させる帯電装置3と、感光体2の表面に近接して設けられており、光照射により感光体2の表面に静電潜像を形成し、感光体2に対して画像情報を露光する露光装置4と、静電潜像にトナーを付着させトナー像を形成する現像装置5と、現像装置5により形成されたトナー像を用紙に転写する転写装置6と、トナー像を用紙に転写した後に感光体2の表面上に残留した転写残トナーを除去するためのクリーニング装置7と、複数のLEDで構成され、感光体2表面の残留電荷を除去するための除電装置8と、トナー像を転写紙上に定着するための定着装置9を備えている。尚、ここで使用される感光体2には、非晶質シリコン系感光体(アモルファスシリコン感光体)が用いられ、露光装置4、及び除電装置8の露光光源には、LEDが用いられる。
【0015】
画像形成装置1において、画像形成動作が開始されると、まず感光体2が図中のAの方向に回転を始める。次いで、所定の電圧が印加された帯電装置3により、感光体2への放電が行われ、感光体2の表面に一様な電荷が帯電される。次いで、感光体2の帯電面には、露光装置4により光照射が行われ、当該光照射により、画像となる部分の表面電位を所定の電位とすることにより、画像情報に応じた静電潜像が形成される。
【0016】
現像装置5は、現像剤容器である現像ハウジング5aに充填されたトナーを感光体2の表面上における電荷の除去された静電潜像部分に転移させ、当該トナーを静電潜像に付着させてトナー像として可視化する。感光体2の表面上に形成されたトナー像は、感光体2の矢印A方向の回転により、転写装置6へと搬送されてゆく。
【0017】
用紙供給経路10を経由して感光体2と転写装置6との間に供給された用紙(不図示)上には、転写装置6により感光体2からトナー像が引き寄せられて転写される。その後、トナー像が転写された用紙は図示しない分離装置により感光体2から分離されて定着装置9に搬送され、この定着装置9によりそのトナー像が転写紙上に定着される。
【0018】
一方、転写装置6によるトナー像転写後、感光体2の表面に残留するトナーは、クリーニング装置7により完全に除去される。そして、残留トナーが除去された感光体2は、複数のLEDを除電用露光光源として有する除電装置8によりその表面の残留電荷が除去され、帯電装置3に至る。
【0019】
次に、露光光源の波長とアモルファスシリコン感光体の感度、及び光メモリーの関係について説明する。図2は、アモルファスシリコン感光体の各波長に対する感度をプロットしたグラフである。尚、図2に示す感度は、感光体2の表面電位を、500Vの帯電電位から露光により250Vへと減少させるのに必要な光量の逆数で表している。図2に示す様に、680nm付近に感度のピークを有しており、上記ピーク波長までは、感度が徐々に上昇し、当該ピーク波長以上では、感度が下降してゆくことが解る。又、600nm以上740nm以下の波長領域においては、感度が良いことが解る。
【0020】
図3は、アモルファスシリコン感光体の各波長に対する光メモリをプロットしたグラフである。尚、図3においては、一定光量により、感光体2の表面電位を、500Vの帯電電位から露光により50Vへと減少させる場合も示している。光メモリとは、一定の光量の下で発生する帯電電位の減少をいい、図3に示したどちらの光量条件の場合も、波長が680nm付近を超えると光メモリが急激に増大することが解る。例えば、感光体2の表面電位を500Vの帯電電位から露光により50Vへと減少させる場合、710nmの波長においては、光メモリが約10Vであるため、実際には、感光体の表面が490Vまでしか帯電しないといことになる。又、逆に、680nm付近以下の波長においては、光メモリが5V以下になるため、光メモリはあまり問題にならないと言える。
【0021】
以上より、感度が比較的良好な600nm以上740nm以下の波長領域であって、光メモリがあまり問題とならない680nm以下の波長領域、即ち、600〜680nmの波長領域に露光光源のピーク波長を規定するとともに、光メモリや残存電位ムラを見かけ上均一化するために、当該ピークの半値幅を50nm以下に規定することにより、波長分布の狭い半導体レーザを露光光源として使用する場合は、光メモリによる画像ノイズの発生を抑制できるものと考えられる。
【0022】
しかしながら、上述のごとく、露光光源としてLEDを用いた場合は、当該LEDは幅広い波長分布を有するため、当該波長分布が左右非対称である場合が多い。従って、露光光源のピーク波長の範囲と当該ピークの半値幅のみを規定するだけでは、光メモリによる画像ノイズの発生を十分に抑制することができないものと考えられる。
【0023】
そこで、本発明者は、露光光源としてLEDを用いた場合の上記不都合を解消すべく、露光光源の発光スペクトルにおけるピークの半値幅(半値波長帯)の中心波長に注目し、実験を行った。以下に、この実験例について詳しく説明する。尚、本発明は、当該実験例に限定されるものではない。
【0024】
【実験例】
露光装置4の露光光源としてLEDを用いる京セラミタ製の4連タンデムデジタルフルカラー実験機(アモルファスシリコン感光体ドラム周速:116mm/sec、除電光源:波長ピーク650nmのLED)に、各波長特性のLED光源を搭載し、複写試験を実施し、光メモリー画像(ゴースト画像)が発生しているか否かを目視により評価した。ここで、光メモリー画像とは、図4(a)に示すようなモノクロ原稿を使用して複写試験を実施した場合、感光体ドラム2の1回転目の強い露光部分(黒ベタ部)11(マンセル値:N=1.0)の感光体表面電位の低下により、図4(b)に示すような露光部分11のゴースト画像(残像)12が感光体ドラム2の2回転目のグレー部13(マンセル値:N=6.5)に発生した画像を言う。
【0025】
(実験例1)まず、静電潜像形成用の露光光源として図5に実線で示す発光スペクトル(ピーク波長λpが680nm、ピークの半値幅Wが50nm、半値幅Wの中心波長λcが693nm)を有するLEDを用い、上記画像評価を行った。その結果を表1に示す。この場合、ゴースト画像が十分に認められて不良であった。尚、ピークの半値幅Wとは、発光スペクトル分布において、光強度が最大値の1/2となる波長の幅のことであり、半値幅Wの中心波長とは、半値幅Wの中間の波長のことである。
【0026】
ここで、上述のごとく、アモルファスシリコン感光体を用いた画像形成装置において、当該感光体の感度が良好であり、かつ、光メモリによる影響をあまり受けることなく、画像ノイズの発生を抑制できる露光光源の波長範囲としては、露光光源のピーク波長が600〜680nmの波長領域にあり、かつ、当該ピークの半値幅が50nm以下である必要があるが、露光光源にLEDを用いた場合は、更に、LEDの波長分布が比較的左右対称に近い状態にある必要があると言える。その一例として、ピーク波長λpが640nm、ピーク半値幅が50nm、半値幅の中心波長λcが640nmである発光スペクトルを図9に示す。尚、図9に示した発光スペクトルのピーク波長λpを上限値である680nmにシフトしたもの(ピーク半値幅は50nm、半値幅の中心波長λcは680nm)を図5、図6に点線で示すとともに、図9に示した発光スペクトルのピーク波長λpを下限値である600nmにシフトしたもの(ピーク半値幅は50nm、半値幅の中心波長λcは600nm)を図7、図8に点線で示している。
【0027】
図5に点線で示した、図9の発光スペクトルのピーク波長λpを上限値である680nmにシフトした発光スペクトル(ピーク半値幅は50nm、半値幅の中心波長λcは680nm)を有するLEDを、露光光源として用い、上記画像評価を行ったところ、ゴースト画像が認められず良好であった(表1参照)。一方、露光光源として図5に実線で示す発光スペクトルを有するLEDを使用する場合、ピーク波長λpは、点線で示す発光スペクトルと同様に680nmであるため、上述の図2において説明したように、アモルファスシリコン感光体の感度は良好と言える。しかし、図5より明らかなように、このλpは、600〜680nmの波長領域内にあるものの、当該発光スペクトル内においては短波長側に偏っており、λc(693nm)が点線で示した発光スペクトルの場合(680nm)に比べて、長波長側に位置するとともに、発光スペクトルが長波長側(図5において右側)に拡がった左右非対称な形状になっている。従って、図5より明らかなように、点線で示した発光スペクトルに比し、長波長側の光の割合が多くなるため、光メモリが急激に増大し(図3参照)、結果として、ゴースト画像が発生してしまうものと考えられる。
【0028】
(実験例2)静電潜像形成用の露光光源として図6に実線で示す発光スペクトル(ピーク波長λpが698nm、ピークの半値幅Wが50nm、半値幅Wの中心波長λcが685nm)を有するLEDを用い、上記画像評価を行った。その結果を表1に示す。この場合、ゴースト画像が認められず良好であった。
【0029】
この場合、ピーク波長λp(698nm)は、点線で示す発光スペクトルのピーク波長(680nm)と比べて長く、600〜680nmの波長領域外にあるものの、上述の図2において説明したように、アモルファスシリコン感光体は680nm付近に感度のピークを有しているため、当該λpにおいても、アモルファスシリコン感光体の感度は比較的良好と言える。又、図6に実線で示す発光スペクトルにおいて、λpはやや長波長側に偏っており、λc(685nm)が点線で示した発光スペクトルの場合(680nm)に比べて長波長側に位置しているが、発光スペクトルが短波長側(図6において左側)に拡がった左右非対称な形状になっており、長波長側の光の割合が少ないため、即ち、長波長側の光の割合が、点線で示した発光スペクトルの場合と同程度であるため、点線で示した発光スペクトルの場合と同様に光メモリによる影響をあまり受けることがない。従って、ゴースト画像が認められず良好であったものと考えられる。
【0030】
(実験例3)次に、静電潜像形成用の露光光源として図7に実線で示す発光スペクトル(ピーク波長λpが600nm、ピークの半値幅Wが50nm、半値幅Wの中心波長λcが587nm)を有するLEDを用い、上記画像評価を行った。その結果を表1に示す。この場合、画像濃度ムラが十分に認められて不良であった。
【0031】
一方、図7に点線で示した、図9の発光スペクトルのピーク波長λpを下限値である600nmにシフトした発光スペクトル(ピーク半値幅は50nm、半値幅の中心波長λcは600nm)を有するLEDを、露光光源として用い、上記画像評価を行ったところ、ゴースト画像が認められず良好であった(表1参照)。
【0032】
これは、露光光源として図7に実線で示す発光スペクトルを有するLEDを使用する場合、λpは、点線で示す発光スペクトルと同様に600nmであり、600〜680nmの波長領域内にあるものの、当該λpが実線で示す発光スペクトル内においては長波長側に偏っているとともに、λc(587nm)が点線で示した発光スペクトルの場合(600nm)に比べて短波長側に位置しており、発光スペクトルが短波長側(図において左側)に拡がった左右非対称な形状になっている。従って、図7より明らかなように、点線で示した発光スペクトルに比し、長波長側の光の割合が少なくなるため、光メモリの影響を受けにくくなるが、短波長側の光の割合が多くなるため、感光体の感度が急激に低下し(図2参照)、画像濃度ムラが発生してしまうものと考えられる。
【0033】
(実験例4)静電潜像形成用の露光光源として図8に実線で示す発光スペクトル(ピーク波長λpが587nm、ピークの半値幅Wが50nm、半値幅Wの中心波長λcが600nm)を有するLEDを用い、上記画像評価を行った。その結果を表1に示す。この場合、ゴースト画像が認められず良好であった。
【0034】
この場合、ピーク波長λp(587nm)は、点線で示す発光スペクトルのピーク波長(600nm)と比べて短く、600〜680nmの波長領域外にあるものの、実線で示す発光スペクトル内において、当該λpはやや短波長側に偏っているとともに、λc(600nm)が点線で示した発光スペクトルの場合(600nm)と同じであり、発光スペクトルが長波長側(図8において右側)に拡がった左右非対称な形状になっており、短波長側の光の割合が少ない。即ち、短波長側の光の割合が、点線で示した発光スペクトルの場合と同程度であり、アモルファスシリコン感光体は600nm付近であっても比較的感度が良いため、当該λpにおいても、アモルファスシリコン感光体の感度は比較的良好と言え、ドラムの感度不足による画像ムラはあまり問題にならないと言える。又、図8に実線で示した発光スペクトルにおいては、長波長側の光の割合が少ないため、光メモリによる影響は殆ど受けないと言える。従って、ゴースト画像が認められず良好であったものと考えられる。
【0035】
以上の実験結果から、アモルファスシリコン感光体2を使用する画像形成装置1において、幅広い波長分布を有するLEDを露光素子4の露光光源として用いる場合、露光光源であるLEDの発光スペクトルにおけるピークの半値幅Wの中心波長λcを600nm以上685nm以下に規定するとともに、半値幅Wを50nm以下に規定することにより、光メモリによる画像ノイズの発生を抑制し、電位ムラのない良好な画像を得ることが可能になる。その一例として、ピーク半値幅Wが50nm、半値幅Wの中心波長λcが645nmである発光スペクトルを図10に示す。
【0036】
即ち、露光光源として幅広い波長分布を有するLEDを用いた場合は、当該波長分布が左右非対称である場合が多いため、露光光源の発光スペクトルのピーク波長λpの範囲とピークの半値幅Wのみを、上述の所定の範囲内で規定(即ち、600〜680nmの波長領域に露光光源のピーク波長λpを規定するとともに、当該ピークの半値幅Wを50nm以下に規定)するだけでは、図5、図7において説明したように、光メモリによる画像ノイズの発生を十分に抑制することができない。
【0037】
しかしながら、露光光源の発光スペクトルにおけるピークの半値幅Wの中心波長λcの範囲と、当該半値幅Wを所定の範囲内で規定(即ち、ピークの半値幅Wの中心波長λcを600〜685nmに規定するとともに、半値幅Wを50nm以下に規定)することにより、光メモリによる画像ノイズの発生を抑制し、電位ムラのない良好な画像を得ることができる。
【0038】
【表1】
【0039】
尚、上記各実験例においては、除電用露光光源としてLEDを使用しており、当該LEDの波長ピークを650nmに固定しているが、複数のLEDを除電用露光光源として有する除電装置8により、アモルファスシリコン感光体2の表面の残留電荷を除去する場合にも、上述の露光装置4の露光光源として用いるLEDの場合と同様に、除電用露光光源であるLEDの発光スペクトルにおけるピークの半値幅Wの中心波長λcを600nm以上685nm以下に規定するとともに、当該半値幅Wを50nm以下に規定すればよい。
【0040】
一般に、除電工程においては、アモルファスシリコン感光体2に対して均一露光を行うことにより、アモルファスシリコン感光体2の非画像形成領域において、より多くの光キャリアを発生させて、全面で均一になるようにして光メモリを消去するが、この際、除電用露光光源の波長を、図2に示したアモルファスシリコン感光体2の分光感度のピーク(約600〜700nm)に近づけることにより、より効果的に光メモリを消去することが可能となる。従って、除電用露光光源であるLEDの発光スペクトルにおけるピークの半値幅Wの中心波長λcを600nm以上685nm以下に規定するとともに、半値幅Wを50nm以下に規定することにより、光メモリによる電位ムラの発生を軽減でき、最適な除電を行うことができるものと考えられるためである。
【0041】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて各部の構造等を適宜変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0042】
【発明の効果】
以上、説明した様に、本発明に係る画像形成装置においては、アモルファスシリコン感光体を使用する場合であって、幅広い波長分布を有するLEDを露光光源として用いる場合、当該露光光源の発光スペクトルにおけるピークの半値幅の中心波長λcを600nm以上685nm以下に規定するとともに、当該半値幅Wを50nm以下に規定することにより、光メモリによる画像ノイズの発生を抑制し、電位ムラのない良好な画像を得ることが可能になる。
【0043】
又、本発明に係る画像形成装置においては、複数のLEDを除電用露光光源として有する除電装置により、アモルファスシリコン感光体の表面の残留電荷を除去する場合にも、除電用露光光源の発光スペクトルにおけるピークの半値幅Wの中心波長λcを600nm以上685nm以下に規定するとともに、当該半値幅Wを50nm以下に規定することにより、光メモリによる電位ムラの発生を軽減でき、最適な除電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】は、アモルファスシリコン感光体の各波長に対する感度をプロットしたグラフである。
【図3】は、アモルファスシリコン感光体の各波長に対する光メモリをプロットしたグラフである。
【図4】は、露光光源として各波長特性を有するLEDを使用した場合の、光メモリー画像の発生の評価方法を説明するための図である。
【図5】は、光メモリー画像の発生評価を行うに際し、静電潜像形成用の露光光源として使用されるLEDの発光スペクトルを示した図である。
【図6】は、光メモリー画像の発生評価を行うに際し、静電潜像形成用の露光光源として使用されるLEDの発光スペクトルを示した図である。
【図7】は、光メモリー画像の発生評価を行うに際し、静電潜像形成用の露光光源として使用されるLEDの発光スペクトルを示した図である。
【図8】は、光メモリー画像の発生評価を行うに際し、静電潜像形成用の露光光源として使用されるLEDの発光スペクトルを示した図である。
【図9】は、静電潜像形成用の露光光源として使用されるLEDの発光スペクトルの一例を示した図である。
【図10】は、本発明の実施形態に係る画像形成装置において、静電潜像形成用の露光光源として使用されるLEDの発光スペクトルの一例を示した図である。
【符号の説明】
1 画像形成装置
2 感光体
3 帯電装置
4 露光装置
5 現像装置
6 転写装置
7 クリーニング装置
8 除電装置
9 定着装置
10 用紙供給経路
w 半値幅
λp ピーク波長
λc 半値幅の中心波長
Claims (6)
- アモルファスシリコンからなる感光体と、前記感光体の表面に近接して設けられており、光照射により前記感光体の表面に静電潜像を形成し、前記感光体に対して画像情報を露光する露光装置とを備える画像形成装置において、
前記露光装置の露光光源に、発光スペクトルにおけるピークの半値幅の中心波長が600nm以上685nm以下である光を用いることを特徴とする画像形成装置。 - 前記半値幅が50nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記露光光源はLEDであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
- アモルファスシリコンからなる感光体と、前記感光体表面の残留電荷を除去するための除電装置とを備える画像形成装置において、
前記除電装置の露光光源に、発光スペクトルにおけるピークの半値幅の中心波長が600nm以上685nm以下である光を用いることを特徴とする画像形成装置。 - 前記半値幅が50nm以下であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
- 前記露光光源はLEDであることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の画像形成装置。
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Cited By (2)
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JP2008225319A (ja) * | 2007-03-15 | 2008-09-25 | Kyocera Mita Corp | 画像形成装置 |
JP2010134447A (ja) * | 2008-10-30 | 2010-06-17 | Kyocera Corp | 露光装置 |
-
2003
- 2003-07-16 JP JP2003197683A patent/JP2005035027A/ja not_active Withdrawn
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