JP2005034630A - 生体インプラント用セラミックス部材及びその製造方法 - Google Patents

生体インプラント用セラミックス部材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 セラミックス本来の優れた機械特性を維持したまま、生体骨との結合性に優れた生体インプラント用セラミックス部材を提供することを目的とする。
【解決手段】 生体インプラント用セラミックス部材は、粗面状に形成した表面層を備え、この表面層を構成するセラミックスの結晶相のうちの1つの結晶相に着目したときに、その存在率(質量%)と、セラミックス部材深部における当該着目した結晶相の存在率(質量%)との差が10ポイント以内である。
【選択図】 図8

Description

本発明は、人工骨や人工関節などに好適に使用される生体インプラント用セラミックス部材およびその製造方法に関するものである。
ジルコニアやアルミナ、またこれらの複合セラミックス材は、生体無毒性,耐食性,機械的強度および優れた摩擦特性を有することから、人工骨や人工関節用摺動部材といったインプラント部材の材料として良く用いられている。そして実際にインプラント部材として使用するにあたっては、上記セラミックス材が生体骨との結合性に乏しいことから、骨セメントを用いて生体骨に固定する様にしている。しかしこの骨セメントは、硬化時に発熱し、またときには手術時に患者の血圧低下を引き起こしたり、長期間使用するとセメント部に割れや緩みが生じるといった問題がある。
そこで上記骨セメントを用いない方法として、生体内において生体骨とインプラント部材との間にアパタイトを形成させ(殊にヒドロキシアパタイトが形成される)、このアパタイトを介して生体骨とインプラント部材を結合させることが提案されている。
ところがジルコニアやアルミナ等のセラミックス材表面ではアパタイトを形成し難いことから、これを改善する方法が検討され、例えば特許文献1には、ジルコニア等の基材の表面に、Zr−OH基を有するジルコニア結晶相の被膜を設けたものが示されている(従来例[1])。従来例[1]では上記Zr−OH基により生体内においてアパタイトの核形成が誘起され、また上記被膜が結晶相であるのでアパタイトの結晶成長が促されるというものである。
ところで上記従来例[1]は、例えば擬似体液(体液と同等の無機イオン組成を有する液)に浸漬すると、上記の様に被膜上にアパタイトが良好に形成されるものの、この被膜とアパタイト層の結合強度は弱く、従ってインプラント部材からアパタイトが容易に剥離する懸念があった。
そこで本発明者らは剥離を防止するべく検討したところ、インプラント部材の表面を微細に粗面化することにより、セラミックス表面と生体骨の結合力を向上させ得ることを見出した。具体的には、先ずジルコニア系複合セラミックス(インプラント部材材料)の表面を、アルミナスラリーを用いて研磨し、次いで常温でフッ酸溶液に浸漬することによって更に表面をエッチングし、これら処理によって上記セラミックス表面を粗面化したものである(従来例[2])。この粗面の凹凸によるアンカー効果で、インプラント部材(セラミックス部材)とその表面に形成されたアパタイト層とが強固に結合される。尚この従来例[2]に関して学会発表を行っている(非特許文献1参照)。
特開2002−186663号公報 「第24回 日本バイオマテリアル学会大会 予稿集 2002年11月29日〜30日」、日本バイオマテリアル学会、第137頁
ところが本発明者らは更に検討を重ねたところ、上記従来例[2]ではセラミックス本来の機械的特性がやや損なわれるという知見を得た。
そこで本発明はこの点を改良し、セラミックス本来の優れた機械特性を維持したまま、生体骨との結合性に優れた生体インプラント用セラミックス部材を提供すること、並びにその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る生体インプラント用セラミックス部材は、生体骨と対面する部分を粗面状に形成した表面層を備え、この表面層を構成するセラミックスの複数或いは単数の結晶相のうちの1つの結晶相に着目したときに(以下、この着目した結晶相を着目結晶相と称することがある)、その存在率(質量%)と、セラミックス部材深部における当該着目した結晶相(着目結晶相)の存在率(質量%)との差が10ポイント以内であることを特徴とする。
またこの様な生体インプラント用セラミックス部材を得ることのできる本発明の製造方法〔その1〕は、前記粗面が、セラミックス基材を強酸溶液を用いて腐食させる工程(以下、強酸処理工程と称することがある)と、次いで1000〜1800℃で熱処理する工程(以下、熱処理工程と称することがある)を用いて形成されることを特徴とする。或いは本発明の製造方法〔その2〕は、前記粗面が、セラミックス基材表面にセラミックス粉末を付着させる工程(以下、粉末付着工程と称することがある)と、次いで1000〜1800℃で熱処理する工程(熱処理工程)を用いて形成されることを特徴とする。
本発明者らは鋭意研究したところ、従来例[2]において上述の如く機械的特性が損なわれる理由は、アルミナスラリーを用いた研磨によって、セラミックス表面でジルコニア結晶相の相変態が起こり、この相変態がジルコニア系複合セラミックスの機械的特性を損なわしめるとの知見を得た。
つまり例えば正方晶ジルコニアが何らかのエネルギーを受けることによって単斜晶ジルコニアに相変態した場合に、約4.6%の体積変化を伴い、この相変態時の体積変化によって局所的に微細な破壊が生じ、機械的強度を低下させるのである。
しかし上記本発明の製造方法〔その1〕の様に強酸処理工程と熱処理工程の組合せによりセラミックス表面を粗面化した場合は、その表面層の結晶組成は粗面化処理前の結晶組成と同等(或いはほぼ同等)となる。例えば、ジルコニアにアルミナを30容量%混合させたジルコニア/アルミナ複合セラミックスについて、X線回折により得られるピーク強度によりジルコニアの結晶相組成を計算すると、粗面化処理の前においては正方晶ジルコニアが約95質量%、単斜晶ジルコニアが約5質量%であったのに対し、上記本発明の製造方法〔その1〕、例えばフッ化水素酸水溶液による処理(強酸処理工程)と1300℃,3時間の熱処理(熱処理工程)を施した後のものについて、同様にジルコニアの結晶相組成を調べると、正方晶ジルコニアが約93質量%、単斜晶ジルコニアが約7質量%となっており、処理の前後で結晶相組成の変化した部分が質量%で2ポイントの差しかなかった。そしてこの様に結晶相組成の変化した部分が質量%で10ポイント以内であれば、機械的強度が殆ど低下していないとの知見を得ている。
また本発明の方法〔その1〕において、強酸溶液による腐食によってセラミックス表面の粗面化が生じるが(強酸処理工程)、単に強酸処理工程を行っただけでは、セラミックス材結晶間の結合が弱くなる。しかし本発明の方法の様に、その後に熱処理(熱処理工程)することによって、上記結晶間が拡散接合されて強固な結合に戻る。
或いは本発明の製造方法〔その2〕の様に粉末付着工程の後、熱処理工程を行えば、上記粉末付着工程において付着したセラミックス粉末が熱処理工程でセラミックス基材表面に拡散接合される様にして強固に結合し、この結合した粉末によって表面が粗面となったセラミックス部材が得られる。
上記セラミックス粉末としては、その主成分(尚、主成分とは50%超の割合を占める成分を言う)がセラミックス基材の主成分と同じで、その結晶相がセラミックス基材と同一のものまたは多少異なるものを用いることができる。この多少異なる結晶相の粉末には、熱処理工程後の付着粉末とセラミックス部材深部との着目結晶相の存在率の差が10ポイント以内になるものを用い、セラミックス基材の主成分と同じ成分を主成分として含むセラミックス粉末を用いれば、熱処理後においても差が10ポイント以内に収まると考えられる。尤も結晶相としては同一である方が好ましい。尚この同一とは詳細には、セラミックス粉末,セラミックス基材のそれぞれの主成分の結晶相が同一のもの、セラミックス粉末の全体,セラミックス基材の全体の結晶相が同一のものが挙げられ、特に全体の結晶相が同一のものがより好ましい。またセラミックス粉末はセラミックス基材と全く同じ成分である必要はなく、その主成分が同じであれば、セラミックス粉末をセラミックス基材に強固に結合させることが可能だからである。尤も両者が全く同じ成分であることがより好ましい。
尚本発明に係るセラミックス部材において、上記の様に着目結晶相の存在率によって規定しているが、着目結晶相の存在率を比較することにより、全体的な結晶相組成の変化を推察することができるからである。即ち代表として1つの着目結晶相を選び、その存在率の差が10ポイント以内であれば、全体としてもほぼ10ポイント以内であって、結晶相の相変態が小さい(或いは無い)と推察される。また本発明に係るセラミックス部材においては、処理前後を比較するのではなく、その深部における着目結晶相と表面層における当該着目結晶相とを比較し、その差によって規定しているが、セラミックス部材深部は未処理時と同じ結晶組成を維持しているから、未処理のものに代えてこの深部を対照とすることとしたものである。ここで深部とは、後述する凹凸部における凹部の深さ(表面のマクロな凹凸の深さ)の2倍以上深くセラミックス部材内部に入った部分を言う。粗面化処理の影響を受けていない部分として安全を考えると、凹凸部における最も深い凹部(1000μm)の2倍以上深い部分、即ち2000μm以上深い部分で表面層と比較するのが好ましい。
つまり本発明の様に、粗面化された表層部と深部とを対比して着目結晶相の存在率(質量%)の差が10ポイント以内であれば、セラミックス表面における結晶相の相変態が起こっていない(或いは殆ど起こっていない)と考えられ、従って相変態時の体積変化に伴う破壊も生じず、機械的強度が保持される。また表層部は粗面状となっているから、その表面に形成されたアパタイト層を強固に結合し得る。
尚本発明に係る生体インプラント用セラミックス部材は、上記の如く強酸処理工程と熱処理工程によりセラミックス基材表面を粗面化して得られたものや、粉末付着工程と熱処理工程によりセラミックス基材表面を粗面化して得られたものに限るものではなく、他の方法により粗面化したもの、或いは表面が粗な状態で成形されたセラミックス部材であっても良い。
更に本発明に係る生体インプラント用セラミックス部材においては、前記表面層の粗面における凸部(以下、ミクロ凸部と称することがある)が、走査型電子顕微鏡を用いて10,000〜20,000倍で観察したときに1〜2500個/100μm2存在することが好ましい。前述の様に粗面によるアンカー効果で、セラミックス部材にアパタイトが強固に結合されるものであるが、上記の如くミクロ凸部が1〜2500個/100μm2存在することによって、上記アンカー効果がより有効に発揮される。
この理由を説明するにあたり、まずアパタイトの形成過程について説明すると、例えばアパタイトを形成し易い材料を擬似体液中に浸漬した場合において、形成されるアパタイトは通常まずドーム状の形態をとり、これが成長してやがてアパタイト層を形成する。上記アパタイトドームの直径はほぼ0.5〜20μmの範囲であり、この様な大きさのアパタイトドームに対してアンカー効果を発揮するミクロ凸部、つまりドームを捕捉して固定力を強めることのできるミクロ凸部の大きさとしては、数100nmレベルである。そしてこのミクロ凸部の個数としては1〜2500個/100μm2程度が好ましいのである。より好ましくは30個/100μm2以上、550個/100μm2以下である。ミクロ凸部が少なすぎるとアパタイト層に対するアンカー効果に乏しくなるからであり、またミクロ凸部が多すぎても、前記表面層の粗面における凹部(以下、ミクロ凹部と称することがある)が小さ過ぎるか或いはミクロ凸部が小さ過ぎることとなってアンカー効果に乏しくなるからである。尚前記表面層の粗面における凸部(ミクロ凸部)や凹部(ミクロ凹部)がランダム且つ入り組んだ状態で存在することがより好ましい。
また本発明において前記粗面は、前記セラミックス部材の生体骨と対面する部分に形成された凹凸部の表面に形成されたものであり、前記凹凸部における凹部(以下、マクロ凹部と称することがある)が、平面視で最大長さ部分が50〜1000μmの大きさを有し、且つ該凹部は実体顕微鏡を用いて10〜15倍で観察したときに10〜500個/cm2存在することが好ましい。尚実体顕微鏡(Stereoscopic Microscopes)とは光学顕微鏡の一種であり、拡大率が大凡5〜80倍で、各種試料・標本の立体的な像を観察する顕微鏡である。尚本明細書等において、凹凸部とはこの様なマクロな凹凸(マクロ凹部,マクロ凸部)のことを称し、該凹凸部表面の微細な凹凸(ミクロ凹部,ミクロ凸部)については粗面と称して、言い分ける。
つまりマクロ的にセラミックス部材の表面を見たときに、上記の如くマクロ凹部を有する凹凸部を備えることが好ましく、マクロ凹部が生体骨との対面部分に存在すれば、該マクロ凹部に生体骨が侵入する様に成長することが期待でき、これにより生体骨と生体インプラント用セラミックス部材がより強固に結合することができる。尚マクロ凹部は独立したものであっても或いは隣接する凹部と連通したものであっても良い。
また本発明において前記セラミックス部材がジルコニア系複合セラミックスであることが好ましく、ジルコニア系の複合セラミックスは機械的強度に優れ、表面の粗面化も比較的容易に行えるからである。
加えて本発明に係る生体インプラント用セラミックス部材においては、前記表面層における前記粗面の少なくとも凹部(ミクロ凹部)内に、生体骨との親和性を有する物質(以下、生体骨親和性物質と称することがある)が担持されたものであることが好ましい。
この生体骨親和性物質(生体活性を有する物質)としてはカルシウム塩化合物が好ましい例として挙げられ、このカルシウム塩化合物等の生体骨親和性物質が粗面の凹部内に担持されていると、アパタイトの形成が促進され、生体骨との結合が速やかに行われる。
この製造法としては、前述の製造方法〔その1〕様に強酸処理工程と熱処理工程を行った後、或いは前述の製造方法〔その2〕様に粉末付着工程と熱処理工程を行った後、生体骨親和性物質を担持させる様にする(以下、担持工程と称することがある)と良い。
更に本発明に係る生体インプラント用セラミックス部材においては、最表面側にアパタイトを主成分とする被膜を備えたものであることが好ましい。またアパタイトとしてはヒドロキシアパタイト(Ca5(PO43OH)がより好ましい。この様に最表面にアパタイトが存在すると生体骨との結合性がより良好となる。
この製造法としては、上記担持工程の後、更にアパタイトを主成分とする被膜を形成する様にすると良く、具体的には、担持工程を経た後のセラミックス部材を、体液に近似した無機イオン組成を有する擬似体液に浸漬して、その最表面にアパタイトを生成させる。
本発明に係る生体インプラント用セラミックス部材は、その表面に形成されるアパタイト層を強固に結合できると共に、セラミックスが本来有する特性を維持して機械的特性に優れるという効果がある。また本発明の製造方法によれば、上記の如く機械的特性の低下を殆どもたらさずに、その表面に形成されるアパタイト層を強固に結合し得る粗面を形成することができる。しかもその方法は簡単である。
まず本発明の実施形態1に係る生体インプラント用セラミックス部材の製造方法〔その1〕について、その大きな流れを説明する。
材料としてジルコニアおよびアルミナを含む複合セラミックス材を用い、凹凸を有する所要形状寸法のセラミックス基材を形成する。このセラミックス基材をアセトンおよび純水中で洗浄した後、強酸溶液中で材料表面を腐食させ[強酸処理工程]、次いで純水中で超音波洗浄し、乾燥した後、拡散熱処理温度以上の温度で熱処理を行い[熱処理工程]、その後カルシウム塩化合物を担持させ、次いで更に体液に近い無機イオン組成を有する擬似体液中に数日間浸漬させて、最表面にアパタイトを主成分とする被膜を形成させる。
次に本発明の実施形態2に係る生体インプラント用セラミックス部材の製造方法〔その2〕について、その大きな流れを説明する。
先ずセラミックス粉末を用いて凹凸を有する所要形状寸法のセラミックス基材を焼結により形成し、このセラミックス基材をアセトンおよび純水中で洗浄する。別途、上記基材原料粉末と同じセラミックス粉末を溶媒に分散させたスラリーを調製する(セラミックス粉末スラリーと称する)。このセラミックス粉末スラリーに上記セラミックス基材を浸漬し、続いて引き上げる[粉末付着工程]。これによりセラミックス基材表面にセラミックス粉末が付着する。次いで、拡散熱処理温度以上(例えば1200℃以上)で熱処理を行い[熱処理工程]、その後上記と同様にカルシウム塩化合物を担持させ、次いで更に体液に近い無機イオン組成を有する擬似体液中に数日間浸漬させて、最表面にアパタイトを主成分とする被膜を形成させる。
上記の様にして得られた本実施形態1,2のセラミックス部材は、生体骨と対面する部分に凹凸部が形成され、この凹凸部の表面が粗面状に形成されて表面層をなし、この粗面の少なくともミクロ凹部内に生体骨親和性物質が担持され、最表面にアパタイトを主成分とする被膜が形成されたものであって、前記表面層を構成するセラミックス結晶相のうちの着目結晶相の存在率(質量%)とセラミックス部材深部における当該着目結晶相の存在率(質量%)との差が10ポイント以内のものである。
次に本発明について詳細に説明するにあたり、まず上記凹凸部について説明する。
凹凸部の形成手法としては、(1)所定寸法・形状のセラミックスビーズをセラミックス緻密体表面に加熱接合させる方法や、(2)所定寸法・形状の有機ビーズなど焼失性気孔形成材をセラミックス原料粉に混合して成型した後、これを焼結して上記焼失性気孔形成材を焼失させることにより凹凸部を形成する方法等が挙げられる。
このような手法により形成されたマクロ凹部としては、直径50〜1000μmの大きさで、10〜15倍の実体顕微鏡観察において1cm四方の範囲に10〜500個存在することが好ましく、このマクロ凹部内へ新生骨(生体骨)が侵入し、アンカー効果によって生体骨と生体インプラント用セラミックス部材が強力に固定されることとなる。マクロ凹部の存在頻度が少なすぎる場合には、マクロ凹部内への新生骨(生体骨)侵入によるアンカー効果があまり期待できず、一方マクロ凹部の存在頻度が多すぎる場合には、新生骨侵入によるアンカー効果は期待できるものの、凹凸部自体の強度が低下して生体用インプラントとして必要な強度を満たし得ないこととなる懸念がある。より好ましくは50個/cm2以上、200個/cm2以下である。なおマクロ凹部としては独立したものであっても或いは連通孔として存在するものであっても良い。尚例えば2個のマクロ凹部が連通して形成された場合は、2個として数える。
次にセラミックス部材の素材について説明する。
セラミックス部材の素材としては、ジルコニア、アルミナ、チタニア、カルシア、マグネシア等のセラミックスが用いられ、好ましくは上記ジルコニア/アルミナ複合セラミックスの様な、異なる組成の結晶の集合体である複合セラミックスである。複合セラミックスであれば、異なる組成の結晶粒はそれぞれ特定の腐食液(酸やアルカリ等)に対して溶解挙動が異なることから、例えばこの複合セラミックス材を腐食液に曝せば、溶解され易い結晶粒が溶解される一方で溶解され難い結晶粒が表面に微細凸部(ミクロ凸部)として残存することとなるので、容易に粗面を形成することができる。尚セラミックスが3Yジルコニアのように単一の組成の場合では、強酸溶液による腐食によって粗面化されるものの、結晶粒同士の結合が弱く、その後に加熱処理による拡散接合を行うと、表面が平滑化されて微細な凹凸を形成し難い傾向にある。
特に好ましいセラミックス材としては、ジルコニアを主材としてこれにアルミナが添加されたものが挙げられ、更に微量成分としてシリカ、チタニア、カルシア、マグネシアなど他の酸化物を含んでいても良い。これらのジルコニア系複合セラミックスは生体用インプラントとして使用可能な機械的特性を備える。
次いで上記表面層について説明する。
本発明の製造方法〔その1〕では、上記の如く強酸処理工程によりセラミックス基材の表面が腐食されて粗面状を呈することになるが、この強酸処理工程において用いられる強酸溶液としては、フッ酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸およびこれらの混合溶液が挙げられる。上記の様にジルコニアを主材としてこれにアルミナが添加したような複合セラミックス材の場合には、フッ酸を使用するのが良い。このものの場合は、アルミナよりもジルコニアの方がフッ酸溶液に溶解し易いことから、フッ酸処理後は表面にアルミナの突起(ミクロ凸部)が残ることとなる。
この様に強酸溶液を用いて腐食させることにより、セラミックス基材の表面において結晶粒が数100nmレベルのミクロ凸部となって粗面が形成される。このとき強酸溶液の濃度や温度を変更することにより、腐食反応速度を調整することができ、これによりミクロ凸部の存在量等を調節することができる。殊にエッチングの効率を高める為には温度を上げることが効果的であり、フッ酸水溶液の温度としては40〜80℃程度が好ましい。
強酸処理による腐食によって弱くなった結晶間の結合は、この後に熱処理(1000〜1800℃)が施されることによって、結晶間が拡散接合されて強固な結合に戻る。加熱温度としてはセラミックス基材の種類によって適宜調節するのが良く、当該セラミックス基材の拡散熱処理温度以上とすると良い。例えば主材がジルコニアでアルミナが添加された複合セラミックス材の場合は、ジルコニアの拡散が速やかに進行する温度が1150℃前後であることから、これを超える温度で加熱処理を行うと良い。温度が低過ぎると、結晶同士の拡散接合が起こらないために、腐食を受けた結晶粒の脱落が生じる虞があり、一方で温度が高すぎると結晶粒の粒成長が起こりセラミックス基材の強度低下を引き起こしかねない。従ってジルコニアの場合の加熱温度範囲としては1150〜1500℃が好ましく、より好ましくは1200℃以上、1450℃以下である。
上記の如く強酸処理工程及び熱処理工程によって、セラミックス基材表面に該セラミックスを構成する結晶粒からなる粗面が形成される。このミクロ凸部の大きさはセラミックス基材を構成する結晶粒の大きさに依存するが、アパタイトドームの直径がおよそ0.5〜20μmであり、アパタイト層の厚さも同様に0.5〜20μmであることから、このアパタイト層に対するアンカー効果を発揮する為にミクロ凸部のサイズとして0.1〜10μmが好ましい。換言すればミクロ凸部の大きさとしてその太さおよび長さが0.1〜10μmであることが好ましい。ミクロ凸部間の間隔(即ちミクロ凹部)に関しても、アパタイトドーム径および厚さを基準にすると、0.1〜10μmであるのが好ましい。またこのようなミクロ凸部及びミクロ凹部の大きさからミクロ凸部の存在頻度を考察すると、10000〜20000倍のSEM観察により10μm四方の範囲で1〜2500個であり、より好ましくは50個以上、500個以下である。尚表面層の厚みに関しては、ミクロ凸部が一層形成されていれば良いことから、0.1〜10μmが好ましい。
本発明の製造方法〔その2〕では、上記の如く粉末付着工程で基材に付着した粉末が熱処理工程によって基材と強固に結合し、この結合した粉末がそれぞれミクロ凸部となって、セラミックス部材表面層が粗面状を呈する様になるものであるところ、この製造方法〔その2〕において用いるセラミックス粉末としては、熱処理後(焼結後)にセラミックス基材と結晶相がほぼ同じ(差が10ポイント以内)になるセラミックス粉末を用いるのが良く、上記セラミックス基材を作製する為の原料粉末を用いるのが望ましい。
セラミックス粉末の粒径としては0.1〜20μmが好ましく、その理由は、上記の如く粗面におけるミクロ凸部のサイズ(太さ、長さ)は0.1〜10μmが好ましいところ、セラミックス粉末粒径が0.1μmより小さいと、熱処理工程の際にセラミックス基材表面に吸収されてしまって極めて小さいミクロ凸部となり、この為にアパタイト層に対するアンカーとしての役割があまり発揮されなくなるからである。一方セラミックス粉末が20μmより大きいと、熱処理によりセラミックス基材表面に多少吸収されるとは言え、形成されるアパタイト層の厚さよりも大きなミクロ凸部となる為、アパタイト層へのアンカー効果が期待できないからである。アパタイト層へのアンカー効果をより良く発揮させる為には、セラミックス粉末の粒径が0.2μm以上、3μm以下がより好ましい。
セラミックス基材へセラミックス粉末を付着させる方法としては、セラミックス粉末を水、或いはエタノール,メタノール,アセトン等の揮発性有機溶媒中に分散させた分散液を調製し、この分散液にセラミックス基材を浸して引き上げる手法が挙げられ、これにより基材表面にセラミック粉末が付着する。
上記分散液の濃度としては、0.1〜20mass/vol.%が好ましく、濃度が薄過ぎると、セラミックス基材表面への粉末付着効率が非常に悪く、セラミックス粉末が疎らに付着した状態となり、仮にこの疎らな状態で熱処理(焼結)して得られた粗面はそのミクロ凸部間の間隔(ミクロ凹部)が大き過ぎるものとなり、アンカー効果を発揮し難いからである。一方、分散液の濃度が濃すぎると、分散液の粘度も高くなることから、粉末が分厚く付着し、即ち粉末が重なって付着する様になるので、これを熱処理(焼結)したものとして該分厚い粉末層中で破壊が起こる虞があるからでる。基板表面に粉末を1〜2層形成させるのが最も望ましく、この為には分散液の濃度を0.5mass/vol.%以上、15mass/vol.%以下とするのがより好ましく、更に好ましくは3mass/vol.%以上、10mass/vol.%以下である。
なお分散液の濃度が低い場合にはセラミックス基材のディッピング操作(浸し引上げる操作)を複数回行うと良く、分散液の濃度が高い場合にはディッピング操作を1回だけ行うことにし、この様に分散液の濃度とディッピング操作の回数を調整することにより、セラミックス基材表面に粉末が1〜2500個/100μm2の存在率で1〜2層形成される様にすると良い。
またセラミックス基材へセラミックス粉末を付着させる方法としては、上述の様に分散液にセラミックス基材をディッピングする方法の他、濃度の比較的高い分散液を刷毛塗りによってセラミックス基材表面にセラミックス粉末を付着させたり、或いは分散液をセラミックス基材表面にスプレーで吹き付けることにより付着させても良い。
上記の様にしてセラミックス粉末を付着させたセラミックス基材に対し、次に熱処理を施すのであるが[熱処理工程]、このときの熱処理温度としては、セラミックス基材において拡散が起こる温度以上とするのが良く、つまり1000℃以上とする。尤もセラミックスの種類によって好ましい温度を適宜設定するのが良く、例えば基材がジルコニアで、この表面にジルコニア粉末を拡散接合させる場合には、ジルコニアの拡散が進行する温度が1150℃前後であることから、これを超える温度(1150℃以上)で熱処理を施すと良い。より好ましくは1200℃以上である。仮に温度が低すぎると、結晶同士の拡散が起こらない為に、付着粉末の結合力が弱いものとなる。
一方熱処理温度が高すぎると、結晶粒の著しい成長が起こり、セラミックス基材の強度低下を引き起こしかねないので、熱処理温度を1800℃以下とする。上記ジルコニアの場合においては1500℃以下にするのが好ましく、より好ましくは1450℃以下である。
以上の様にして基材表面に付着したセラミックス粉末が熱処理により基材表面に拡散接合されて強固に結合し、基材表面が粗面状を呈することになる。尚本製造方法〔その2〕においても、ミクロ凸部間の間隔(即ちミクロ凹部)に関して、アパタイトドーム径および厚さを基準にすると0.1〜10μmであるのが好ましい。またこのようなミクロ凸部及びミクロ凹部の大きさからミクロ凸部の存在頻度を考察すると、10000〜20000倍のSEM観察により10μm四方の範囲で1〜2500個であり、より好ましくは50個以上、500個以下である。
次にカルシウム塩化合物等の生体骨親和性物質を担持させる工程について説明する。
生体骨親和性物質の種類や担持させる手法については特に限定されるものではないが、生体骨親和性物質としてはカルシウム塩化合物や生体活性ガラスが好ましい。またカルシウム塩化合物のうちでもリン酸カルシウムは骨の主成分であることから特に好ましい。担持方法としては、例えば(1)比較的融点の低い生体活性ガラスを加熱融解させて被膜を形成する方法、(2)リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、水酸化カルシウム、塩化カルシウムなどのカルシウム塩化合物の水溶液に浸漬し、結晶化させることにより被膜を形成する方法、(3)ヒドロキシアパタイトのプラズマ溶射法等が挙げられる。尚リン酸カルシウム化合物を担持させる方法として、カルシウムイオンを含む水溶液とリン酸イオンを含む水溶液に交互に浸漬することにより、リン酸カルシウム化合物よりなる結晶を担持する様にしても良い。
上記の様にリン酸カルシウム化合物等の水溶液を用いて担持させる場合において、仮にセラミックスを切削加工したままの表面に対して行うにあたっては、濡れ性が悪いことからその表面に水溶液を保持できず、リン酸カルシウム化合物の担持はほぼ不可能である。これに対して、本発明のセラミックス部材では表面が粗面化されているので、濡れ性が良く、このミクロ凹部に水溶液が保持され易いから、簡単にリン酸カルシウム化合物の被膜が形成される。
セラミックス部材表面における生体骨親和性物質の担持形態としては、ミクロ凹部を完全に埋めることなく粗面(ミクロ凹部及びミクロ凸部表面)を均一に被覆するように担持させたものが最も好ましい。前述の様にセラミックス表面の粗面によってアパタイト層が強固に結合されるとは言え、セラミックス材自体はアパタイト形成能を有してないため生体骨との結合を期待し難いが、上記のように生体骨親和性物質を担持させることによって、アパタイトが良好に形成され、生体骨との結合性が良好になる。尚少なくともミクロ凹部に担持させることで、アパタイト層に対するアンカー効果が十分に期待でき、セラミック部材とアパタイト層が強く結合される。
次に最表面に形成されるアパタイトの被膜について述べる。
前述の様に擬似体液(体液に近い無機イオン組成を有する液)に浸漬することにより、アパタイトを主成分とする被膜が形成される。擬似体液中で形成させたアパタイトは、その組成および構造が生体骨のアパタイトの組成および構造に近似しているため、アパタイトの被膜を形成させておくことで、生体内において速やかな骨結合が期待できる。尚この様にして形成した被膜にはアパタイトの他に炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム等が微量成分として含まれるのが通常であり、一般にアパタイトの含有率はおよそ70%以上となる。
擬似体液中で新たに形成されたアパタイト層は、下記に示す剥離試験によっても剥離せず、該アパタイト層はセラミックス基材と強固に結合している。上記剥離試験の方法は、粘着テープをアパタイト層表面に粘着させ、これを表面に対して90度の角度で上方向に剥がすという方法である(JIS K5400−8.5)。
以上の様に本実施形態のセラミックス部材は、凹凸部の表面が粗面化され、その表面に生体骨親和性物質が担持され、更に最表面にアパタイトの被膜が形成されているから、このセラミックス部材を生体内に埋入すると、セラミックス部材表面にアパタイトを介して生体骨が直接結合するとともに、凹凸部の凹部内に骨の侵入が起こると期待され、この様なミクロ的な直接的結合と、骨侵入によるマクロ的なアンカー効果によって、より強固な骨結合力が発揮される。尚表面からおよそ5mmまでを凹凸部とし、それよりも深い部分を緻密体とした場合は、人工関節の摺動部材としての利用が期待され、全体が凹凸部(多孔質)である場合には人工骨や骨充填材としての利用が期待される。
以下実施例によって本発明に係る生体インプラント用セラミックス部材及びその製造方法について更に詳述するが、下記例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。尚実験例1〜4については本発明の製造方法〔その1〕によりセラミック部材を作製する場合(及びその比較例)を示し、実験例5については本発明の製造方法〔その2〕によりセラミック部材を作製する場合(及びその比較例)を示す。
<実験例1>
ジルコニアにアルミナを30容量%混合させたジルコニア/アルミナ複合セラミックス原料粉を圧縮成型した後焼結し、これを10×10×3mmに加工し、次いでアセトンおよび純水中で超音波洗浄した。この試料を、60℃に加温した12質量%フッ化水素酸水溶液中に30分間浸漬し[強酸処理工程]、取出した後、純水中で10分間の超音波洗浄を行った。この超音波洗浄を3回繰り返した後、室温で乾燥させ、その後1300℃で3時間加熱処理を行い[熱処理工程]、腐食を受けた結晶粒同士を拡散接合させた。この様にして得られた試料の表面における粗面の状態について走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。このSEM写真(上面からの写真)を図1に示す。また水平方向から観察したSEM写真を図2に示す。
図1から分かる様に粗面のミクロ凸部の太さはおよそ0.3〜1μmで、ミクロ凸部の間隔はおよそ0.5〜2μmであった。また図2から分かる様に、ミクロ凸部の長さはおよそ0.3〜1μmであった。そしてミクロ凸部は大凡160個/100μm2存在していた。
次に上記試料に対し、表面へのリン酸カルシウム化合物の担持を行った。具体的には、上記試料を200mM塩化カルシウム水溶液に5分間浸漬し、洗浄を行うことなく乾燥させた後、160mMリン酸水素2ナトリウム水溶液に5分間浸漬した[担持工程]。上記2種の水溶掖への浸漬を2回繰り返した後、純水で洗浄を行った。この様にしてリン酸カルシウム化合物の被膜を形成させ、この試料についてSEM観察した。該SEM写真を図3に示す。
図3から分かる様に、先に形成させたミクロ凸部を完全に埋めることなく、リン酸カルシウムの結晶が担持されている。また、薄膜X線回折により本試料表面を分析した結果、アパタイトおよびCaHPO4(OH)・2H2Oに由来するピークが僅かに確認された。
またこの試料について曲げ強度試験(4点曲げ試験:JIS R1601)を行ったところ、粗面化処理(強酸処理工程,熱処理工程)を施さないジルコニア/アルミナ複合セラミックス部材と比べて遜色のないものであった。そしてこの試料の表面層と深部のそれぞれについて単斜晶ジルコニアの存在量(質量%)をX線回折により調べたところ、これらの差は大凡2〜3ポイントであった。
<実験例2>
上記実験例1と同様の方法で作製したセラミックス試料(リン酸カルシウム化合物の被膜コーティングを施したもの)を、体液と同等の無機イオン組成を有する擬似体液(37℃)に1〜3日間浸漬して、表面にアパタイト被膜(アパタイト層)を形成させた。
試料表面について薄膜X線回折により分析したところ、図4(試料表面の薄膜X線回折結果を表すグラフ)から分かる様に、アパタイトに由来するピークを確認した。尚図4中、白抜丸印(○)で指し示す箇所はアパタイト、白抜三角印(△)で指し示す箇所は単斜晶ジルコニア、黒塗逆三角印で指し示す箇所は正方晶ジルコニアの存在を表す。
またアパタイト層とセラミックス基板の結合強度をテープ剥離試験(JIS K5400−8.5)によって評価した結果、アパタイト層はセラミックス基板表面に残存し、剥離は起こらなかった。この結果から両者は強固に結合していることが分かる。
またこの試料における表面層と深部の単斜晶ジルコニアの存在量(質量%)の差は大凡2〜3ポイントであった。
<実験例3>
ジルコニアにアルミナを30容量%混合させたジルコニア/アルミナ複合セラミックス原料粉を、圧縮成型した後に焼結し、これを10×10×3mmに加工し、次いでアセトンおよび純水中で超音波洗浄した。次にこのセラミックス材をフッ化水素酸水溶液に浸漬して表面を粗面化した[強酸処理工程]。この強酸処理工程の際、フッ化水素酸水溶液処理条件(フッ酸濃度,温度,浸漬時間)を様々に変えることにより、表1に示す様にミクロ凸部の存在頻度が様々な試料を作製した。尚ミクロ凸部が25個/100μm2及び85個/100μm2のものは、6%フッ化水素酸水溶液を用い、浸漬時間及び温度を調節して作製し(試料No.1,2)、ミクロ凸部が160個/100μm2及び570個/100μm2のものは、12%フッ化水素酸水溶液を用い、浸漬時間及び温度を調節して作製した(試料No.3,4)。またフッ化水素酸水溶液処理を行わないもの(粗面化されていないもの)も作製した(試料No.5(比較材))。
これらの試料について上記実験例1と同様に、超音波洗浄を行った後乾燥させ、加熱処理を行い[熱処理工程]、次いでリン酸カルシウム化合物の被覆を形成させた。その後、擬似体液に3日間浸漬してアパタイト被覆を形成させた。このアパタイト被覆の結合強度を前記テープ剥離試験によって評価した。このテープ剥離試験結果及びアパタイト被覆の形成状態について表1に示す。また比較材(試料No.5)の表面のSEM写真を図5に示す。尚試料No.3は上記実験例2と同じのものである。
Figure 2005034630
表1から分かる様に、粗面を形成していない比較材ではアパタイト層が形成されない。また粗面におけるミクロ凸部が25個/100μm2と少ない試料No.1や570個/100μm2と多い試料No.4の場合は、セラミックス部材へのアパタイト層の結合力にやや乏しいことが分かる。これに対し、ミクロ凸部が85,160個/100μm2の試料No.2,3はアパタイト層の結合力に優れる。尚試料No.1〜4について表面層と深部の単斜晶ジルコニアの存在量(質量%)についてX線回折により調べたところ、これらの差は大凡2〜3ポイントであった。また試料No.1〜5について曲げ強度試験(4点曲げ試験:JIS R1601)を行ったところ、これら試料No.1〜5は殆ど差のないものであった。
<実験例4>
ジルコニアにアルミナを30容量%混合させたジルコニア/アルミナ複合セラミックス原料粉に有機ビーズ(焼失性気孔形成材)を混合して成型し、その後焼結して、口径約200μmおよび800μmの孔(マクロ凹部)を形成したマクロ多孔試料(凹凸部を有するもの)を作製した。この材料の実体顕微鏡写真を図6に示す。
この試料には直径約200μmの小孔と、直径約800μmの大孔が存在し、これら大小の穴(マクロ凹部)の頻度は10倍の実体顕微鏡観察において約200個/cm2であった。
次いで該試料を60℃に加温した12質量%フッ化水素酸水溶液中に30分間浸漬し[強酸処理工程]、取出した後、純水中で10分間の超音波洗浄を行った。この超音波洗浄を3回繰り返した後、室温で乾燥させ、続いて1300℃で3時間加熱処理を行い[熱処理工程]、腐食を受けた結晶粒同士を拡散接合させた。該試料の表面をSEM観察した結果、マクロ凹部の内部まで均一に粗面が形成されていた。
次にこの試料(凹凸部を備え更に表面が粗面化されたもの)について、上記実験例1と同様の方法により表面にリン酸カルシウム化合物の被膜を形成させた[担持工程]。続いてこれを擬似体液(37℃)に1〜3日間浸漬して、表面にアパタイト被膜を形成させた。
得られた試料は、凹凸部の表面に沿ってほぼ均一にアパタイト被膜が形成されていた。またこの試料について曲げ強度試験(4点曲げ試験:JIS R1601)を行ったところ、粗面化処理(強酸処理工程,熱処理工程)を施さないマクロ多孔のジルコニア/アルミナ複合セラミックス(凹凸部を備えたもの)と比べて遜色のないものであった。そしてこの試料の表面層と深部のそれぞれについて単斜晶ジルコニアの存在量(質量%)をX線回折により調べたところ、これらの差は大凡2〜3ポイントであった。
<実験例5>
ジルコニアにアルミナを30容量%混合させたジルコニア/アルミナ複合セラミックス原料粉を圧縮成型した後焼結し、これを10×10×3mmに加工し、次いでアセトンおよび純水中で超音波洗浄した。尚これをセラミックス基材とする。一方ジルコニア粉末(上記ジルコニア/アルミナ複合セラミックス原料粉と同じ結晶相を有する)をエタノール中に分散させ、5mass/vol.%のジルコニア粉末分散液を調製した。この分散液に上記セラミックス基材を浸した後直ぐに取り出して室温で乾燥させ、更にこの操作を2回繰り返した(該操作を合計3回)[粉末付着工程]。これによりセラミックス基材表面にセラミックス粉末が付着したものが得られた。次いでこれを1300℃で3時間加熱処理を行い[熱処理工程]、上記付着粉末をセラミックス基材に拡散接合させた。この様にして得られた試料の表面における粗面の状態について走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した。このSEM写真(上面からの写真)を図7に示す。
図7から分かる様に粗面のミクロ凸部の太さは凡そ0.3〜1.0μmで、ミクロ凸部の間隔は凡そ0.3〜1.0μmであった。またミクロ凸部はセラミックス基材に強固に結合しており、この理由は、セラミックス基材の主成分(ジルコニア:70%を占める)と同じものを付着粉末として用いたことにより、熱処理工程で良好に拡散して結合できたからであると考えられる。尚この実験例5(本発明の製造方法〔その2〕)で形成した粗面を、上記実験例1(本発明の製造方法〔その1〕)で形成した粗面と比較すると、そのミクロ凸部の大きさ及び分布が似ているものであった。
次に上記実験例1と同様の方法で、上記試料に対してその表面にリン酸カルシウム化合物を担持させた。その後37℃の擬似体液(体液と同等の無機イオン組成を有する液)に3日間浸漬し、表面にアパタイト被膜(アパタイト層)を形成させた。
この形成したアパタイト層とセラミックス基板との結合強度をテープ剥離試験(JIS K5400−8.5)によって評価した結果、アパタイト層はセラミックス基板に残存し、剥離は起こらなかった。この結果から両者は強固に結合していることが分かる。
またこの試料における表面層と深部の単斜晶ジルコニアの存在量(質量%)の差は大凡2〜3ポイントであった。
<実験例6>
ジルコニアにアルミナを30容量%混合させたジルコニア/アルミナ複合セラミックス原料粉を圧縮成型した後焼結し、これを10×10×3mmに加工し、次いでアセトンおよび純水中で超音波洗浄した。この試料を4つ作製し、まず1の試料については、このままとし(試料No.6:「未処理材」)、他の1の試料については、#600アルミナスラリーを用いて研磨を施した後、室温の12質量%フッ化水素酸水溶液に30分間浸漬し、次いで純水中で10分間の超音波洗浄を3回行った(従来例[2]の方法)(試料No.7:「研磨+エッチング材」)。更に他の1の試料については、60℃の12質量%フッ化水素酸水溶液に30分間浸漬し[強酸処理工程]、純水中で10分間の超音波洗浄を3回行った後、1300℃で3時間加熱処理を行った[熱処理工程](本発明の製造方法〔その1〕)(試料No.8:「エッチング+加熱材」)。残りの1の試料については、5mass/vol.%のジルコニア粉末分散液に浸して引き上げる操作を3回行い[粉末付着工程]、1300℃で3時間加熱処理を行った[熱処理工程](本発明の製造方法〔その2〕)(試料No.9:「粉末付着+加熱材」)。
これら試料No.6〜9について、X線回折によりその表面におけるジルコニア結晶相の組成分析を行い、正方晶ジルコニア及び単斜晶ジルコニアのピーク強度によって両者の存在比を導いた。この分析結果を図8に示す。
図8から分かる様に、本発明の様に強酸処理(エッチング)と熱処理を行った試料No.8や、粉末付着させて熱処理を行った試料No.9は、試料No.6の未処理材とほぼ同等の結晶組成を示す。これに対して従来例[2]のように研磨と強酸処理(エッチング)を行った試料No.7では、ジルコニアの相変態が生じていることが分かる。
また試料No.7,8について曲げ強度試験(4点曲げ試験:JIS R1601)を行ったところ、試料No.8に比べて試料No.7の強度が劣っていた。このことより試料No.7の様に相変態を起こすと、強度低下を招くことが分かる。
以上の結果から、本発明の製造方法〔その1〕や製造方法〔その2〕により粗面化を行えば、ジルコニアの相変態が殆ど起こらず、機械特性を損なう懸念が殆どないと考えられる。
本発明に係る生体インプラント用セラミックス部材についての実験例1のSEM写真(上方から観察したもの)である。 本発明に係る生体インプラント用セラミックス部材についての実験例1のSEM写真(水平法から観察したもの)である。 本発明に係る生体インプラント用セラミックス部材についての実験例2のSEM写真である。 実験例2の試料表面の薄膜X線回折結果を表すグラフである。 実験例3における比較材(試料No.5)の表面のSEM写真である。 本発明に係る生体インプラント用セラミックス部材についての実験例4の実体顕微鏡写真である。 本発明に係る生体インプラント用セラミックス部材についての実験例5のSEM写真(上方から観察したもの)である。 実験例6における試料No.6〜9の表面のジルコニア結晶相組成分析結果を表すグラフである。

Claims (11)

  1. 生体インプラント用のセラミックス部材であって、
    該セラミックス部材は、生体骨と対面する部分を粗面状に形成した表面層を備え、この表面層を構成するセラミックスの複数或いは単数の結晶相のうちの1つの結晶相に着目したときに、その存在率(質量%)と、セラミックス部材深部における当該着目した結晶相の存在率(質量%)との差が10ポイント以内であることを特徴とする生体インプラント用セラミックス部材。
  2. 前記粗面の少なくとも凹部内に、生体骨との親和性を有する物質が担持されたものである請求項1に記載の生体インプラント用セラミックス部材。
  3. 前記粗面における凸部が、走査型電子顕微鏡を用いて10,000〜20,000倍で観察したときに1〜2500個/100μm2存在する請求項1または2に記載の生体インプラント用セラミックス部材。
  4. 前記粗面は、前記セラミックス部材の生体骨と対面する部分に形成された凹凸部の表面に形成されたものであり、
    前記凹凸部における凹部は、平面視で最大長さ部分が50〜1000μmの大きさを有し、且つ該凹部は実体顕微鏡を用いて10〜15倍で観察したときに10〜500個/cm2存在する請求項1〜3のいずれかに記載の生体インプラント用セラミックス部材。
  5. 前記セラミックス部材がジルコニア系複合セラミックスである請求項1〜4のいずれかに記載の生体インプラント用セラミックス部材。
  6. 前記生体骨との親和性を有する物質がカルシウム塩化合物である請求項2〜5のいずれかに記載の生体インプラント用セラミックス部材。
  7. 最表面側にアパタイトを主成分とする被膜を備えたものである請求項1〜6のいずれかに記載の生体インプラント用セラミックス部材。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の生体インプラント用セラミックス部材を製造する方法であって、
    前記粗面が、
    セラミックス基材を、強酸溶液を用いて腐食させる工程と、
    次いで1000〜1800℃で熱処理する工程を用いて形成されることを特徴とする生体インプラント用セラミックス部材の製造方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の生体インプラント用セラミックス部材を製造する方法であって、
    前記粗面が、
    セラミックス基材表面にセラミックス粉末を付着させる工程と、
    次いで1000〜1800℃で熱処理する工程を用いて形成されることを特徴とする生体インプラント用セラミックス部材の製造方法。
  10. その後、生体骨との親和性を有する物質を担持させる請求項8または9に記載の生体インプラント用セラミックス部材の製造方法。
  11. その後更にアパタイトを主成分とする被膜を形成する請求項10に記載の生体インプラント用セラミックス部材の製造方法。
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