JP2005032299A - 光ピックアップ装置及び光ディスク装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】大型化及び高コスト化を招くことなく、光利用効率を向上させることができる光ピックアップ装置を提供する。
【解決手段】光ディスクの記録面で反射された戻り光束は、対物レンズを介して偏向光学素子56に入射され、偏向光学素子にて偏向される。このとき、戻り光束は、回折素子50に対する入射角が回折素子におけるブラッグ角とほぼ等しくなるように偏向されるため、回折素子に入射した戻り光束は高い回折効率で回折される。そのため、光検出器PDでの受光量が増大し、光検出器の出力信号における信号レベル及びS/N比が向上する。
【選択図】 図5
【解決手段】光ディスクの記録面で反射された戻り光束は、対物レンズを介して偏向光学素子56に入射され、偏向光学素子にて偏向される。このとき、戻り光束は、回折素子50に対する入射角が回折素子におけるブラッグ角とほぼ等しくなるように偏向されるため、回折素子に入射した戻り光束は高い回折効率で回折される。そのため、光検出器PDでの受光量が増大し、光検出器の出力信号における信号レベル及びS/N比が向上する。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光ピックアップ装置及び光ディスク装置に係り、さらに詳しくは、光ディスクの記録面に光を照射し、その記録面からの反射光を受光する光ピックアップ装置及び該光ピックアップ装置を備えた光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタル技術の進歩及びデータ圧縮技術の向上に伴い、音楽、映画、写真及びコンピュータソフトなどの情報(以下「コンテンツ」ともいう)を記録するための媒体として、CD(compact disc)や、CDの約7倍相当のデータをCDと同じ直径のディスクに記録可能としたDVD(digital versatile disc)などの光ディスクが注目されるようになり、その低価格化とともに、光ディスクを記録及び再生などを含むアクセスの対象媒体とする光ディスク装置が普及するようになった。
【0003】
光ディスク装置は、スパイラル状又は同心円状のトラックが形成された光ディスクの記録面にレーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光(戻り光束)を受光する光ピックアップ装置を備えている。
【0004】
この光ピックアップ装置は通常、対物レンズを含み、光源から出射されたレーザ光を光ディスクの記録面に導くとともに、戻り光束を所定の受光位置まで導く光学系、及び受光位置に配置された光検出器などを備えている。この光検出器からは、記録面に記録されているデータの再生情報だけでなく、対物レンズの位置制御に必要な情報(サーボ制御情報)を含む信号が出力される。
【0005】
ところで、コンテンツの情報量は、年々増加する傾向にあり、アクセス速度の高速化への要求が高まり、アクセス速度が光ディスク装置の売れ行きを左右するようになってきた。そこで、アクセス速度の高速化に対応する方法の一つとして、光源から出射されるレーザ光の利用効率を高くする試みがなされた。
【0006】
例えば、記録面で反射された戻り光束を往路と復路の共通光路から分岐して受光位置に導くための光学素子の1つとして、その回折作用が入射光の偏光状態に依存する回折素子(偏光回折素子)を用いることにより、レーザ光の利用効率を高くすることが提案された(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。なお、この偏光回折素子は特許文献1では「偏光ビームスプリッタ」として記載されている。
【0007】
【特許文献1】
特許第2594548号公報
【特許文献2】
特許第3047314号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている偏光回折素子を用いた光ディスク装置及び上記特許文献2に開示されている光ディスク装置(光ヘッド)では、光源から出射されたレーザ光を少ない光量ロスで光ディスクの記録面に導くことは可能となったが、大型化及び高コスト化を招くことなく、偏光回折素子での戻り光束の回折効率を高くするには困難な点が多く、今後の更なるアクセス速度の高速化に対応するには不十分であった。
【0008】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、大型化及び高コスト化を招くことなく、光利用効率を向上させることができる光ピックアップ装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の第2の目的は、光ディスクへの高速度でのアクセスを精度良く行うことができる光ディスク装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、光ディスクの記録面に光を照射するとともに、前記記録面からの反射光を受光する光ピックアップ装置であって、光源と;前記光源から出射される光束を前記記録面に集光する対物レンズと、その回折効率が入射光束の入射角に依存し、前記記録面で反射された戻り光束を回折する回折素子と、該回折素子と前記対物レンズとの間の光路上に配置され、前記回折素子に対する前記戻り光束の入射角が前記回折素子におけるブラッグ角とほぼ等しくなるように、前記対物レンズを介した戻り光束を偏向する偏向光学素子とを含む光学系と;前記回折素子からの回折光を受光する光検出器と;を備える光ピックアップ装置である。
【0011】
これによれば、光ディスクの記録面で反射された戻り光束は、対物レンズを介して偏向光学素子に入射され、偏向光学素子にて偏向される。このとき、戻り光束は、回折素子に対する入射角が回折素子におけるブラッグ角とほぼ等しくなるように偏向されるため、回折素子に入射した戻り光束は高い回折効率で回折される。そのため、光検出器での受光量が増大し、光検出器の出力信号における信号レベル及びS/N比が向上する。すなわち、大型化及び高コスト化を招くことなく、光利用効率を向上させることができる。
【0012】
この場合において、請求項2に記載の光ピックアップ装置の如く、前記偏向光学素子は、その偏向特性が入射光束の偏光状態に依存することとすることができる。
【0013】
この場合において、前記偏向光学素子としては、種々のものが考えられ、例えば請求項3に記載の光ピックアップ装置の如く、前記偏向光学素子は、ローションプリズムであることとすることができる。
【0014】
上記請求項1〜3に記載の各光ピックアップ装置において、請求項4に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折素子は、その回折特性が入射光束の偏光状態に依存することとすることができる。
【0015】
この場合において、請求項5に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折素子は、複屈折性を有し、その一側の面に回折格子が形成された高分子膜を備えることとすることができる。
【0016】
この場合において、請求項6に記載の光ピックアップ装置の如く、前記高分子膜は、高分子の有機材料が所定方向に延伸された有機高分子膜であることとすることができる。
【0017】
上記請求項1〜6に記載の各光ピックアップ装置において、請求項7に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折素子は、前記入射光束の波長λ、前記回折素子における回折格子の溝深さT、該回折格子の格子ピッチd、及び前記回折素子の屈折率nを用いて、2πλT/nd2≧2を満足することとすることができる。
【0018】
上記請求項1〜7に記載の各光ピックアップ装置において、請求項8に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折素子は、更に前記戻り光束の波面収差に含まれる非点収差成分を補正することとすることができる。
【0019】
上記請求項1〜7に記載の各光ピックアップ装置において、請求項9に記載の光ピックアップ装置の如く、前記光検出器は、非点収差法に対応したフォーカスエラー情報を含む信号を出力することとすることができる。
【0020】
この場合において、請求項10に記載の光ピックアップ装置の如く、前記非点収差法は、前記偏向光学素子を透過する際に生じた非点収差を利用することとすることができる。
【0021】
上記請求項1〜10に記載の各光ピックアップ装置において、請求項11に記載の光ピックアップ装置の如く、前記光検出器は、前記光源と同一の筐体内に収納され、パッケージ化されていることとすることができる。
【0022】
この場合において、請求項12に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折素子は、前記筐体と一体化されていることとすることができる。
【0023】
上記請求項1〜12に記載の各光ピックアップ装置において、請求項13に記載の光ピックアップ装置の如く、前記偏向光学素子は、前記回折素子と一体化されていることとすることができる。
【0024】
この場合において、請求項14に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折素子は、前記偏向光学素子上に形成されていることとすることができる。
【0025】
上記請求項1〜14に記載の各光ピックアップ装置において、請求項15に記載の光ピックアップ装置の如く、前記光源から前記対物レンズに向かう光束を0次光と回折光とを含む複数のビームに分割するグレーティングを更に備えることとすることができる。
【0026】
この場合において、請求項16に記載の光ピックアップ装置の如く、前記グレーティングは、その回折特性が入射光束の偏光状態に依存することとすることができる。
【0027】
請求項17に記載の発明は、光ディスクに対して、情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行う光ディスク装置であって、請求項1〜16のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置と;前記光ピックアップ装置を介して、前記情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行う処理装置と;を備える光ディスク装置である。
【0028】
これによれば、請求項1〜16のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置を搭載しているため、結果として光ディスクへの高速度での情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を含むアクセスを精度良く行うことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る光ディスク装置20の概略構成が示されている。
【0030】
この図1に示される光ディスク装置20は、情報記録媒体としての光ディスク15を回転駆動するためのスピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、レーザコントロール回路24、エンコーダ25、モータドライバ27、再生信号処理回路28、サーボコントローラ33、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、フラッシュメモリ39、CPU40、及びRAM41などを備えている。なお、図1における接続線は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。また、本実施形態では、一例として光ディスク装置20はDVDの規格に準拠した光ディスクに対応しているものとする。
【0031】
前記光ピックアップ装置23は、光ディスク15のスパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録面にレーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光を受光するための装置である。なお、この光ピックアップ装置23の構成等については後に詳述する。
【0032】
前記再生信号処理回路28は、光ピックアップ装置23の出力信号に基づいてウォブル信号、RF信号及びサーボ信号(フォーカスエラー信号、トラックエラー信号)などを検出する。ここで検出されたサーボ信号はサーボコントローラ33に出力される。また、再生信号処理回路28は、ウォブル信号からアドレス情報及び同期信号などを抽出し、アドレス情報をCPU40に、同期信号をエンコーダ25にそれぞれ出力する。さらに、再生信号処理回路28は、RF信号に対して復号処理及び誤り検出処理等を行い、誤りが検出されたときには誤り訂正処理を行った後、再生データとしてバッファマネージャ37を介してバッファRAM34に格納する。なお、本実施形態では、フォーカスエラー信号は、後述する光ピックアップ装置23のローションプリズムで戻り光束が偏向されることにより生じる非点収差を利用して、いわゆる非点収差法を用いて検出される。また、トラックエラー信号はいわゆるプッシュプル法(PP法)を用いて検出される。
【0033】
前記サーボコントローラ33は、再生信号処理回路28からのフォーカスエラー信号に基づいてフォーカスずれを補正するためのフォーカス制御信号を生成し、再生信号処理回路28からのトラックエラー信号に基づいてトラックずれを補正するためのトラッキング制御信号を生成する。ここで生成された各制御信号は、モータドライバ27に出力される。
【0034】
前記モータドライバ27は、サーボコントローラ33からの各制御信号及びCPU40の指示に基づいて、後述する光ピックアップ装置23の駆動系及びスピンドルモータ22を駆動する。すなわち、再生信号処理回路28、サーボコントローラ33及びモータドライバ27によってトラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。
【0035】
前記バッファRAM34は、光ディスクに記録するデータ(記録用データ)、及び光ディスクから再生したデータ(再生データ)などが一時的に格納されるバッファ領域と、各種プログラム変数などが格納される変数領域とを有している。
【0036】
前記バッファマネージャ37は、バッファRAM34へのデータの入出力を管理する。そして、バッファ領域に蓄積されたデータ量が所定量になるとCPU40に通知する。
【0037】
前記エンコーダ25は、CPU40の指示に基づいてバッファRAM34のバッファ領域に蓄積されている記録用データをバッファマネージャ37を介して取り出し、所定のデータ変調処理及びエラー訂正コードの付加処理などを行ない、光ディスク15への書き込み信号を生成する。ここで生成された書き込み信号はクロック信号とともにレーザコントロール回路24に出力される。
【0038】
前記レーザコントロール回路24は、後述する光ピックアップ装置23の半導体レーザのI−L特性、エンコーダ25からの書き込み信号及びクロック信号などに基づいて、光ピックアップ装置23から出射されるレーザ光の出力を制御する。
【0039】
前記インターフェース38は、ホスト(例えばパソコン)との双方向の通信インターフェースであり、一例としてATAPI(AT Attachment Packet Interface)の規格に準拠している。
【0040】
前記フラッシュメモリ39は、プログラム領域及びデータ領域を含んで構成されている。このフラッシュメモリ39は不揮発性メモリであり、電源供給が停止されても格納されている内容は保持される。フラッシュメモリ39のプログラム領域には、CPU40にて解読可能なコードで記述されたプログラムが格納されている。また、フラッシュメモリ39のデータ領域には、前記I−L特性、記録条件、及びシーク動作に関する情報(以下「シーク情報」ともいう)などが格納されている。
【0041】
前記CPU40は、フラッシュメモリ39のプログラム領域に格納されている上記プログラムに従って前記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータなどをRAM41及びバッファRAM34の変数領域に格納する。
【0042】
次に、前記光ピックアップ装置23の構成等について図2〜図5に基づいて説明する。
【0043】
一例として図2に示される光ピックアップ装置23は、光源ユニット51、回折素子としての偏光ホログラム50、ローションプリズム56、カップリングレンズ52、λ/4板55、対物レンズ60、及び駆動系(フォーカシングアクチュエータ、トラッキングアクチュエータ及びシークモータ(いずれも図示省略))などを備えている。
【0044】
前記光源ユニット51は、波長が660nmのレーザ光を発光する光源としての半導体レーザLD、及び光ディスク15で反射したレーザ光(戻り光束)を受光する受光器PDを含んで構成されている。なお、本実施形態では、光源ユニット51から出射されるレーザ光の光束(以下、「出射光束」と略述する)の最大強度出射方向を+X方向とする。また、本実施形態では一例として、出射光束は、偏光ホログラム50及びローションプリズム56の入射面に対してP偏光となるように設定されているものとする。
【0045】
受光器PDは受光した戻り光束を光電変換し、前記再生信号処理回路28に出力する。この受光器PDは、非点収差法を用いてフォーカスエラー信号を検出するのに適した信号、及びPP法を用いてトラックエラー信号を検出するのに適した信号が出力されるように設定されている。
【0046】
偏光ホログラム50は、光源ユニット51の+X側に配置され、出射光束のほとんどをそのまま透過するとともに、戻り光束を受光器PDの受光面方向に回折する。すなわち、ここでは、偏光ホログラム50はP偏光に対して低い回折効率を有し、S偏光に対して高い回折効率を有するように設定されている。なお、本実施形態では一例として、偏光ホログラム50は光源ユニット51と一体化されている。この偏光ホログラム50の構成等については後に詳述する。
【0047】
ローションプリズム56は、偏光ホログラム50の+X側に配置され、偏光ホログラム50からの出射光束のほとんどをそのまま透過するとともに、戻り光束を往路と復路の共通光路上から偏向する。なお、本実施形態では一例として、ローションプリズム56は偏光ホログラム50と一体化されている。従って、光源ユニット51、偏光ホログラム50及びローションプリズム56は一体化されている。
【0048】
カップリングレンズ52はローションプリズム56の+X側に配置され、ローションプリズム56を透過した出射光束を以降の光学系(ここでは、λ/4板55及び対物レンズ60)にカップリングする。
【0049】
λ/4板55はカップリングレンズ52の+X側に配置され、入射した光束に1/4波長の光学的位相差を付与する。
【0050】
対物レンズ60はλ/4板55の+X側に配置され、λ/4板55を透過した出射光束を集光し、光ディスク15の記録面に光スポットを形成する。
【0051】
ここで、前記偏光ホログラム50の構成等について図3を用いて説明する。この偏光ホログラム50は、複屈折性を有し、一方の面に周期的な凹凸(格子)が形成された有機高分子膜としての有機延伸膜50b、該有機延伸膜50bを保持するため、有機延伸膜50bの他方の面と接着されている第1ガラス基板50a、有機延伸膜50bの前記一方の面の少なくとも凹部に充填された充填材50c、及び充填材50cを保護するための第2ガラス基板50dを含んで構成されている。
【0052】
ところで、小山次郎、西原浩著、「光波電子工学」(コロナ社、1993年7月15日、p.117−132)によると、ホログラムは、一例として図4に示されるように、次の(1)式で算出されるパラメータQの値(Q値)によって回折特性が異なっている。ここで、λは入射光の波長、Tは格子の溝深さ、nは屈折率(偏光ホログラムでは常光屈折率と異常光屈折率の平均屈折率)、dは格子ピッチ(ホログラムピッチ)である。
【0053】
Q=2πλT/(nd2) ……(1)
【0054】
Q≦0.5のホログラムでは、光の入射角度に関係なく回折効率はほぼ一定であるが、Q≧2のホログラムでは、光の入射角度により回折効率は大きく変化し、特定の入射角θB(ブラッグ角)のときに回折効率が最大となる。このブラッグ角θBは次の(2)式から求めることができる。
【0055】
θB=sin−1(λ/2d) ……(2)
【0056】
本実施形態では一例として、偏光ホログラム50は、Q≧2となるように格子の溝深さ及び格子ピッチなどが設定されている。さらに、ローションプリズム56で偏向された戻り光束の偏光ホログラム50への入射角が偏光ホログラム50におけるブラッグ角とほぼ一致するように、ローションプリズム56の偏向特性及び偏光ホログラム50の格子ピッチがそれぞれ最適化されている。
【0057】
有機延伸膜50bの素材としては、例えばポリエステル系、ポリイミド系、ポリエチレン系、ポリカーボネート系、ポリビニルアルコール系、ポリメタクリル酸メチル系、ポリスチレン系、ポリサルフォン系、ポリエーテルサルフォン系、及びポリエチレンテレフタレート系などが適用できる(特開2000−075130号公報参照)。この有機延伸膜50bは、カルサイト等の光学異方性結晶材料に比べて大面積でかつ大量に、低コストで作成できる特徴がある。
【0058】
第1ガラス基板50aと第2ガラス基板50dとは同じ材質であり、光学ガラスの一種であるBSC7及び石英ガラスなどの安価なガラスが用いられている。
【0059】
上記のように構成される光ピックアップ装置23の作用を図2及び図5を用いて説明する。光源ユニット51から出射された直線偏光(ここではP偏光)の光束(出射光束)は、偏光ホログラム50及びローションプリズム56を透過してカップリングレンズ52に入射する。カップリングレンズ52でカップリングされた出射光束は、λ/4板55で円偏光とされ、対物レンズ60を介して光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。
【0060】
光ディスク15の記録面で反射した反射光は、往路とは反対回りの円偏光となり、戻り光束として対物レンズ60で再び略平行光とされ、λ/4板55で往路と直交した直線偏光(ここではS偏光)とされる。そして、カップリングレンズ52を透過した後、ローションプリズム56に入射する。ローションプリズム56に入射した戻り光束は、一例として図5に示されるように、往路と復路の共通光路上から偏向され、偏光ホログラム50に入射する。偏光ホログラム50に入射した戻り光束は、入射角(ここでは、ほぼブラッグ角)に応じた回折効率で回折され、受光器PDで受光される。受光器PDでは受光量に応じた電流信号を再生信号処理回路28に出力する。ここでは、戻り光束はほぼブラッグ角に対応した入射角で偏光ホログラム50に入射するため、無偏光ホログラムに比べて回折効率が高くなり、受光器PDでの受光量が増加する。
【0061】
《記録処理》
次に、ホストからの記録要求コマンドを受信したときの光ディスク装置20における処理(記録処理)について図6を用いて簡単に説明する。図6のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応し、ホストから記録要求コマンドを受信すると、図6のフローチャートに対応するプログラムの先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、記録処理がスタートする。
【0062】
最初のステップ501では、記録速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、ホストから記録要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。また、ホストから受信したデータ(記録用データ)のバッファRAM34への蓄積をバッファマネージャ37に指示する。
【0063】
次のステップ503では、光ディスク15の回転が所定の線速度に達していることを確認すると、サーボコントローラ33に対してサーボオンを設定する。これにより、前述の如くトラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。なお、トラッキング制御及びフォーカス制御は記録処理が終了するまで随時行われる。
【0064】
次のステップ505では、記録速度に基づいてOPC(Optimum Power Control)を行い、最適な記録パワーを取得する。すなわち、記録パワーを段階的に変化させつつ、PCA(Power Calibration Area)と呼ばれる試し書き領域に所定のデータを試し書きした後、それらのデータを順次再生し、例えばRF信号から検出されたアシンメトリの値が予め実験等で求めた目標値とほぼ一致する場合を最も高い記録品質であると判断し、そのときの記録パワーを最適な記録パワーとする。
【0065】
次のステップ507では、再生信号処理回路28からのアドレス情報に基づいて現在のアドレスを取得する。
【0066】
次のステップ509では、現在のアドレスと記録要求コマンドから抽出した目標アドレスとの差分(アドレス差)を算出する。
【0067】
次のステップ511では、アドレス差に基づいてシークが必要であるか否かを判断する。ここでは、前記シーク情報の一つとしてフラッシュメモリ39に格納されている閾値を参照し、アドレス差が閾値を越えていれば、ここでの判断は肯定され、ステップ513に移行する。
【0068】
このステップ513では、アドレス差に応じたシークモータの制御信号をモータドライバ27に出力する。これにより、シークモータが駆動し、シーク動作が行なわれる。そして、前記ステップ507に戻る。
【0069】
なお、前記ステップ511において、アドレス差が閾値を越えていなければ、ここでの判断は否定され、ステップ515に移行する。
【0070】
このステップ515では、現在のアドレスが目標アドレスと一致しているか否かを判断する。現在のアドレスが目標アドレスと一致していなければ、ここでの判断は否定され、ステップ517に移行する。
【0071】
このステップ517では、アドレス情報に基づいて現在のアドレスを取得する。そして、前記ステップ515に戻る。
【0072】
以下、前記ステップ515での判断が肯定されるまで、ステップ515→517の処理を繰り返し行う。
【0073】
現在のアドレスが目標アドレスと一致すれば、前記ステップ515での判断は肯定され、ステップ519に移行する。
【0074】
このステップ519では、エンコーダ25に書き込みを許可する。これにより、記録用データは、エンコーダ25、レーザコントロール回路24及び光ピックアップ装置23を介して光ディスク15に書き込まれる。記録用データがすべて書き込まれると、所定の終了処理を行った後、記録処理を終了する。
【0075】
《再生処理》
さらに、ホストから再生要求コマンドを受信したときの光ディスク装置20における処理(再生処理)について図7を用いて説明する。図7のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応し、ホストから再生要求コマンドを受信すると、図7のフローチャートに対応するプログラムの先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、再生処理がスタートする。
【0076】
最初のステップ701では、再生速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、ホストから再生要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。
【0077】
次のステップ703では、光ディスク15の回転が所定の線速度に達していることを確認すると、サーボコントローラ33に対してサーボオンを設定する。これにより、前述の如くトラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。なお、トラッキング制御及びフォーカス制御は再生処理が終了するまで随時行われる。
【0078】
次のステップ705では、アドレス情報に基づいて現在のアドレスを取得する。
【0079】
次のステップ707では、現在のアドレスと再生要求コマンドから抽出した目標アドレスとの差分(アドレス差)を算出する。
【0080】
次のステップ709では、前記ステップ511と同様にして、シークが必要であるか否かを判断する。シークが必要であれば、ここでの判断は肯定され、ステップ711に移行する。
【0081】
このステップ711では、アドレス差に応じたシークモータの制御信号をモータドライバ27に出力する。そして、前記ステップ705に戻る。
【0082】
一方、前記ステップ709において、シークが必要でなければ、ここでの判断は否定され、ステップ713に移行する。
【0083】
このステップ713では、現在のアドレスが目標アドレスと一致しているか否かを判断する。現在のアドレスが目標アドレスと一致していなければ、ここでの判断は否定され、ステップ715に移行する。
【0084】
このステップ715では、アドレス情報に基づいて現在のアドレスを取得する。そして、前記ステップ713に戻る。
【0085】
以下、前記ステップ713での判断が肯定されるまで、ステップ713→715の処理を繰り返し行う。
【0086】
現在のアドレスが目標アドレスと一致すれば、前記ステップ713での判断は肯定され、ステップ717に移行する。
【0087】
このステップ717では、再生信号処理回路28に読み取りを指示する。これにより、再生信号処理回路28にて再生データが取得され、バッファRAM34に格納される。この再生データはセクタ単位でバッファマネージャ37及びインターフェース38を介してホストに転送される。そして、ホストから指定されたデータの再生がすべて終了すると、所定の終了処理を行った後、再生処理を終了する。
【0088】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光ディスク装置20では、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムによって、処理装置が実現されている。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではないことは勿論である。すなわち、上記実施形態は一例に過ぎず、上記のCPU40によるプログラムに従う処理によって実現した処理装置の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良いし、あるいは全てをハードウェアによって構成することとしても良い。
【0089】
以上説明したように、本実施形態に係る光ピックアップ装置23によると、戻り光束を偏光ホログラム50への入射角がブラッグ角とほぼ一致するように偏向するローションプリズム56を備えているため、偏光ホログラム50での戻り光束の回折効率が高くなり、受光器PDの出力信号における信号レベル及びS/N比を向上させることが可能となる。従って、大型化及び高コスト化を招くことなく、光利用効率を向上させることができる。
【0090】
また、偏光ホログラム50は複屈折性を有する部材として透明度が高い有機延伸膜を用いているために、偏光ホログラム50における光量のロスを抑制することができる。すなわち、光利用効率の低下を抑制することができる。また、有機延伸膜は安価で微細加工性に優れているため、製品歩留まりが向上し、低コスト化を促進することができる。さらに、有機延伸膜はシート状であるため、小型化を促進することが可能となる。また、波長が660nmの光束に対する有機延伸膜の屈折率は1.6近傍であるため、市販されている安価な高分子材料を充填材として用いることが可能となる。従って、部品コストの低減を図ることができる。
【0091】
また、偏光ホログラム50はQ≧2となるように格子の溝深さ及び格子ピッチなどが設定されているため、ブラッグ角近傍における回折効率を高くすることが可能となる。すなわち、光利用効率を向上させることができる。
【0092】
また、半導体レーザLDと受光器PDとを同一パッケージ内に実装しているため、小型化を促進することができる。さらに、組み付け時の部品点数が減少するため、組み付け作業及び調整作業を簡素化することが可能となる。
【0093】
また、偏光ホログラム50は光源ユニット51と一体化しているため、小型化を促進することができる。さらに、組み付け時の部品点数が減少するため、組み付け作業及び調整作業を簡素化することが可能となる。
【0094】
また、ローションプリズム56は偏光ホログラム50と一体化しているため、小型化を促進することができる。さらに、組み付け時の部品点数が減少するため、組み付け作業及び調整作業を簡素化することが可能となる。
【0095】
また、本実施形態に係る光ディスク装置20によると、光利用効率に優れた光ピックアップ装置23を搭載しているため、高速度での情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を含むアクセスを精度良く行うことが可能となる。さらに、光ピックアップ装置の小型化によって、光ディスク装置自体の小型化及び消費電力の低減も促進することができ、例えば携帯用として用いられる場合には、持ち運びが容易となり、更に長時間の使用が可能となる。
【0096】
なお、上記実施形態では、偏光ホログラム50は、Q≧2となるように格子の溝深さ及び格子ピッチなどが設定されている場合について説明したが、これに限らず、ブラッグ角近傍における回折効率を高くすることができれば1<Q<2であっても良い。
【0097】
また、上記実施形態では、戻り光束を受光器の受光面方向に回折する回折素子として、偏光ホログラム50を用いる場合について説明したが、これに限らず、例えば無偏光ホログラムであっても良い。この場合に、一例として図8に示されるように、ローションプリズムの光源ユニット側の面に、戻り光束を受光器の受光面方向に回折するための回折格子を形成しても良い。
【0098】
また、上記実施形態では、ローションプリズム56と偏光ホログラム50とが一体化している場合について説明したが、これに限らず、例えば図9に示されるように、ローションプリズム56は偏光ホログラム50と個別に配置しても良い。
【0099】
また、上記実施形態では、半導体レーザLDと受光器PDとが同一パッケージ内に実装されている場合について説明したが、これに限らず、一例として図10に示されるように、半導体レーザLDと受光器PDとをそれぞれ個別に配置しても良い。この場合には、受光器PDの位置に応じてローションプリズム56及び偏光ホログラム50の位置も変更される。図10に示される光ピックアップ装置では、カップリングレンズ52とλ/4板55との間に偏光ビームスプリッタ54が配置され、この偏光ビームスプリッタ54の−Z側にローションプリズム56、偏光ホログラム50及び受光器PDが配置されている。ここでは、λ/4板55を透過した戻り光束は、偏光ビームスプリッタ54で−Z方向に分岐されローションプリズム56に入射する。ローションプリズム56で偏向された戻り光束はブラッグ角とほぼ等しい入射角で偏光ホログラム50に入射する。そして、偏光ホログラム50からの回折光は受光器PDで受光される。なお、この場合には、ローションプリズム56に代えてウォラストンプリズムを用いても良い。
【0100】
また、この場合には、図11に示されるように、ローションプリズム56に代えて反射ミラーMRを用いても良い。要するに、偏光ホログラム50への入射角がブラッグ角とほぼ等しくなるように、戻り光束を偏向する偏向光学素子であれば良い。
【0101】
また、上記実施形態では、偏光ホログラム50と光源ユニット51とが一体化している場合について説明したが、これに限らず、偏光ホログラム50は光源ユニット51と個別に配置しても良い。
【0102】
また、上記実施形態では、偏光ホログラム50は複屈折性を有する部材として有機延伸膜50bを用いる場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えばポリエステル系高分子(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)のように延伸しなくても複屈折性を有する高分子膜を用いても良い。
【0103】
また、上記実施形態では、偏光ホログラム50は、第2ガラス基板50dが光源ユニット側となるように配置される場合について説明したが、これに限らず、第1ガラス基板50aが光源ユニット側となるように配置されても良い。
【0104】
また、上記実施形態において、一例として図12に示されるように、第2ガラス基板50dにグレーティング50eを形成しても良い。これにより、光源ユニット51から出射された光束はグレーティング50eにて0次光(主ビーム)及び±一次回折光(副ビーム)に分割されることとなり、トラックエラー信号をいわゆる差動プッシュプル法(DPP法)を用いて検出することが可能となる。なお、この場合には、受光器PDはDPP法に対応した信号を出力するように設定される。このDPP法は対物レンズのレンズシフトや光ディスクの記録面に垂直な方向と対物レンズの光軸方向とのずれ(メディアチルト)などの影響を受けにくいことから、記録可能なDVD系の光ディスクに対応した光ディスク装置の多くで採用されている。この場合においても、一例として図13に示されるように、偏光ホログラム50とローションプリズム56とがそれぞれ個別に配置されても良い。さらに、グレーティング50eは出射光束に対しては高い回折効率を有し、戻り光束に対しては低い回折効率を有するように設定しても良い。すなわち、偏光グレーティングであっても良い。これにより、戻り光束がグレーティング領域を避ける必要がなくなり、設計の自由度が増加するとともに、光源ユニットの小型化を促進することが可能となる。
【0105】
また、上記実施形態では、非点収差法を用いてフォーカスエラー信号を検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、いわゆるナイフエッジ法を用いても良い。この場合には、非点収差を補正する機能が付加された偏光ホログラムを用いると、フォーカスエラー信号の検出精度を向上させることができる。なお、偏光ホログラムでは、回折格子の形状を調整することにより、非点収差を補正する機能を付加することができる。
【0106】
また、上記実施形態では、PP法を用いてトラックエラー信号を検出する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、いわゆる位相差法を用いても良い。この場合には、受光器は位相差法に対応した信号を出力するように設定される。
【0107】
また、上記実施形態では、偏向光学素子としてローションプリズムを用いる場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0108】
また、上記実施形態では、第1ガラス基板50aと第2ガラス基板50dとは同じ材質である場合について説明したが、これに限定されるものではない。また、第1ガラス基板50a及び第2ガラス基板50dの代わりに、透明な樹脂製の基板を用いても良い。
【0109】
また、上記実施形態では、光源として波長が660nmの光束を発光する半導体レーザLDを用いる場合について説明したが、これに限られるものはなく、例えば波長が約405nmの光束を発光する光源又は波長が約780nmの光束を発光する光源が用いられても良い。
【0110】
また、上記実施形態では、光ピックアップ装置が1つの半導体レーザを備える場合について説明したが、これに限らず、例えば互いに異なる波長の光束を発光する複数の半導体レーザを備えていても良い。この場合に、例えば波長が約405nmの光束を発光する半導体レーザ、波長が約660nmの光束を発光する半導体レーザ及び波長が約780nmの光束を発光する半導体レーザの少なくとも1つを含んでいても良い。すなわち、光ディスク装置が互いに異なる規格に準拠した複数種類の光ディスクに対応する光ディスク装置であっても良い。この場合に、各波長毎に偏光ホログラムを設けても良い。
【0111】
また、上記実施形態では、インターフェースがATAPIの規格に準拠する場合について説明したが、これに限らず、例えばATA(AT Attachment)、SCSI(Small Computer System Interface)、USB(Universal Serial Bus)1.0、USB2.0、IEEE1394、IEEE802.3、シリアルATA及びシリアルATAPIのうちのいずれかの規格に準拠しても良い。
【0112】
また、上記実施形態では、情報の記録及び再生が可能な光ディスク装置について説明したが、これに限らず、情報の記録、再生及び消去のうち、少なくとも再生が可能な光ディスク装置であれば良い。
【0113】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るピックアップ装置によれば、大型化及び高コスト化を招くことなく、光利用効率を向上させることができるという効果がある。
【0114】
また、本発明に係る光ディスク装置によれば、光ディスクへの高速度でのアクセスを精度良く行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1における光ピックアップ装置の構成を説明するための図である。
【図3】図2における偏光ホログラムの構成を説明するための図である。
【図4】ホログラムにおける回折効率とQ値との関係を説明するための図である。
【図5】図2の光ピックアップ装置の作用を説明するための図である。
【図6】ホストからの記録要求コマンドに応じて行なわれる光ディスク装置での記録処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】ホストからの再生要求コマンドに応じて行なわれる光ディスク装置での再生処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】回折格子が形成されたローションプリズムを説明するための図である。
【図9】ローションプリズムが個別に配置された光ピックアップ装置を説明するための図である。
【図10】半導体レーザと受光器とがそれぞれ個別に配置された光ピックアップ装置(その1)を説明するための図である。
【図11】半導体レーザと受光器とがそれぞれ個別に配置された光ピックアップ装置(その2)を説明するための図である。
【図12】グレーティングが形成された偏光ホログラム(その1)を説明するための図である。
【図13】グレーティングが形成された偏光ホログラム(その2)を説明するための図である。
【符号の説明】
15…光ディスク、20…光ディスク装置、23…光ピックアップ装置、40…CPU(処理装置)、50…偏光ホログラム(回折素子)、50b…有機延伸膜(有機高分子膜)、50e…グレーティング、56…ローションプリズム(偏向光学素子)、60…対物レンズ、LD…半導体レーザ(光源)、PD…受光器(光検出器)。
【発明の属する技術分野】
本発明は光ピックアップ装置及び光ディスク装置に係り、さらに詳しくは、光ディスクの記録面に光を照射し、その記録面からの反射光を受光する光ピックアップ装置及び該光ピックアップ装置を備えた光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタル技術の進歩及びデータ圧縮技術の向上に伴い、音楽、映画、写真及びコンピュータソフトなどの情報(以下「コンテンツ」ともいう)を記録するための媒体として、CD(compact disc)や、CDの約7倍相当のデータをCDと同じ直径のディスクに記録可能としたDVD(digital versatile disc)などの光ディスクが注目されるようになり、その低価格化とともに、光ディスクを記録及び再生などを含むアクセスの対象媒体とする光ディスク装置が普及するようになった。
【0003】
光ディスク装置は、スパイラル状又は同心円状のトラックが形成された光ディスクの記録面にレーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光(戻り光束)を受光する光ピックアップ装置を備えている。
【0004】
この光ピックアップ装置は通常、対物レンズを含み、光源から出射されたレーザ光を光ディスクの記録面に導くとともに、戻り光束を所定の受光位置まで導く光学系、及び受光位置に配置された光検出器などを備えている。この光検出器からは、記録面に記録されているデータの再生情報だけでなく、対物レンズの位置制御に必要な情報(サーボ制御情報)を含む信号が出力される。
【0005】
ところで、コンテンツの情報量は、年々増加する傾向にあり、アクセス速度の高速化への要求が高まり、アクセス速度が光ディスク装置の売れ行きを左右するようになってきた。そこで、アクセス速度の高速化に対応する方法の一つとして、光源から出射されるレーザ光の利用効率を高くする試みがなされた。
【0006】
例えば、記録面で反射された戻り光束を往路と復路の共通光路から分岐して受光位置に導くための光学素子の1つとして、その回折作用が入射光の偏光状態に依存する回折素子(偏光回折素子)を用いることにより、レーザ光の利用効率を高くすることが提案された(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。なお、この偏光回折素子は特許文献1では「偏光ビームスプリッタ」として記載されている。
【0007】
【特許文献1】
特許第2594548号公報
【特許文献2】
特許第3047314号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている偏光回折素子を用いた光ディスク装置及び上記特許文献2に開示されている光ディスク装置(光ヘッド)では、光源から出射されたレーザ光を少ない光量ロスで光ディスクの記録面に導くことは可能となったが、大型化及び高コスト化を招くことなく、偏光回折素子での戻り光束の回折効率を高くするには困難な点が多く、今後の更なるアクセス速度の高速化に対応するには不十分であった。
【0008】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、大型化及び高コスト化を招くことなく、光利用効率を向上させることができる光ピックアップ装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の第2の目的は、光ディスクへの高速度でのアクセスを精度良く行うことができる光ディスク装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、光ディスクの記録面に光を照射するとともに、前記記録面からの反射光を受光する光ピックアップ装置であって、光源と;前記光源から出射される光束を前記記録面に集光する対物レンズと、その回折効率が入射光束の入射角に依存し、前記記録面で反射された戻り光束を回折する回折素子と、該回折素子と前記対物レンズとの間の光路上に配置され、前記回折素子に対する前記戻り光束の入射角が前記回折素子におけるブラッグ角とほぼ等しくなるように、前記対物レンズを介した戻り光束を偏向する偏向光学素子とを含む光学系と;前記回折素子からの回折光を受光する光検出器と;を備える光ピックアップ装置である。
【0011】
これによれば、光ディスクの記録面で反射された戻り光束は、対物レンズを介して偏向光学素子に入射され、偏向光学素子にて偏向される。このとき、戻り光束は、回折素子に対する入射角が回折素子におけるブラッグ角とほぼ等しくなるように偏向されるため、回折素子に入射した戻り光束は高い回折効率で回折される。そのため、光検出器での受光量が増大し、光検出器の出力信号における信号レベル及びS/N比が向上する。すなわち、大型化及び高コスト化を招くことなく、光利用効率を向上させることができる。
【0012】
この場合において、請求項2に記載の光ピックアップ装置の如く、前記偏向光学素子は、その偏向特性が入射光束の偏光状態に依存することとすることができる。
【0013】
この場合において、前記偏向光学素子としては、種々のものが考えられ、例えば請求項3に記載の光ピックアップ装置の如く、前記偏向光学素子は、ローションプリズムであることとすることができる。
【0014】
上記請求項1〜3に記載の各光ピックアップ装置において、請求項4に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折素子は、その回折特性が入射光束の偏光状態に依存することとすることができる。
【0015】
この場合において、請求項5に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折素子は、複屈折性を有し、その一側の面に回折格子が形成された高分子膜を備えることとすることができる。
【0016】
この場合において、請求項6に記載の光ピックアップ装置の如く、前記高分子膜は、高分子の有機材料が所定方向に延伸された有機高分子膜であることとすることができる。
【0017】
上記請求項1〜6に記載の各光ピックアップ装置において、請求項7に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折素子は、前記入射光束の波長λ、前記回折素子における回折格子の溝深さT、該回折格子の格子ピッチd、及び前記回折素子の屈折率nを用いて、2πλT/nd2≧2を満足することとすることができる。
【0018】
上記請求項1〜7に記載の各光ピックアップ装置において、請求項8に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折素子は、更に前記戻り光束の波面収差に含まれる非点収差成分を補正することとすることができる。
【0019】
上記請求項1〜7に記載の各光ピックアップ装置において、請求項9に記載の光ピックアップ装置の如く、前記光検出器は、非点収差法に対応したフォーカスエラー情報を含む信号を出力することとすることができる。
【0020】
この場合において、請求項10に記載の光ピックアップ装置の如く、前記非点収差法は、前記偏向光学素子を透過する際に生じた非点収差を利用することとすることができる。
【0021】
上記請求項1〜10に記載の各光ピックアップ装置において、請求項11に記載の光ピックアップ装置の如く、前記光検出器は、前記光源と同一の筐体内に収納され、パッケージ化されていることとすることができる。
【0022】
この場合において、請求項12に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折素子は、前記筐体と一体化されていることとすることができる。
【0023】
上記請求項1〜12に記載の各光ピックアップ装置において、請求項13に記載の光ピックアップ装置の如く、前記偏向光学素子は、前記回折素子と一体化されていることとすることができる。
【0024】
この場合において、請求項14に記載の光ピックアップ装置の如く、前記回折素子は、前記偏向光学素子上に形成されていることとすることができる。
【0025】
上記請求項1〜14に記載の各光ピックアップ装置において、請求項15に記載の光ピックアップ装置の如く、前記光源から前記対物レンズに向かう光束を0次光と回折光とを含む複数のビームに分割するグレーティングを更に備えることとすることができる。
【0026】
この場合において、請求項16に記載の光ピックアップ装置の如く、前記グレーティングは、その回折特性が入射光束の偏光状態に依存することとすることができる。
【0027】
請求項17に記載の発明は、光ディスクに対して、情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行う光ディスク装置であって、請求項1〜16のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置と;前記光ピックアップ装置を介して、前記情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行う処理装置と;を備える光ディスク装置である。
【0028】
これによれば、請求項1〜16のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置を搭載しているため、結果として光ディスクへの高速度での情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を含むアクセスを精度良く行うことができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る光ディスク装置20の概略構成が示されている。
【0030】
この図1に示される光ディスク装置20は、情報記録媒体としての光ディスク15を回転駆動するためのスピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、レーザコントロール回路24、エンコーダ25、モータドライバ27、再生信号処理回路28、サーボコントローラ33、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、フラッシュメモリ39、CPU40、及びRAM41などを備えている。なお、図1における接続線は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。また、本実施形態では、一例として光ディスク装置20はDVDの規格に準拠した光ディスクに対応しているものとする。
【0031】
前記光ピックアップ装置23は、光ディスク15のスパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録面にレーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光を受光するための装置である。なお、この光ピックアップ装置23の構成等については後に詳述する。
【0032】
前記再生信号処理回路28は、光ピックアップ装置23の出力信号に基づいてウォブル信号、RF信号及びサーボ信号(フォーカスエラー信号、トラックエラー信号)などを検出する。ここで検出されたサーボ信号はサーボコントローラ33に出力される。また、再生信号処理回路28は、ウォブル信号からアドレス情報及び同期信号などを抽出し、アドレス情報をCPU40に、同期信号をエンコーダ25にそれぞれ出力する。さらに、再生信号処理回路28は、RF信号に対して復号処理及び誤り検出処理等を行い、誤りが検出されたときには誤り訂正処理を行った後、再生データとしてバッファマネージャ37を介してバッファRAM34に格納する。なお、本実施形態では、フォーカスエラー信号は、後述する光ピックアップ装置23のローションプリズムで戻り光束が偏向されることにより生じる非点収差を利用して、いわゆる非点収差法を用いて検出される。また、トラックエラー信号はいわゆるプッシュプル法(PP法)を用いて検出される。
【0033】
前記サーボコントローラ33は、再生信号処理回路28からのフォーカスエラー信号に基づいてフォーカスずれを補正するためのフォーカス制御信号を生成し、再生信号処理回路28からのトラックエラー信号に基づいてトラックずれを補正するためのトラッキング制御信号を生成する。ここで生成された各制御信号は、モータドライバ27に出力される。
【0034】
前記モータドライバ27は、サーボコントローラ33からの各制御信号及びCPU40の指示に基づいて、後述する光ピックアップ装置23の駆動系及びスピンドルモータ22を駆動する。すなわち、再生信号処理回路28、サーボコントローラ33及びモータドライバ27によってトラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。
【0035】
前記バッファRAM34は、光ディスクに記録するデータ(記録用データ)、及び光ディスクから再生したデータ(再生データ)などが一時的に格納されるバッファ領域と、各種プログラム変数などが格納される変数領域とを有している。
【0036】
前記バッファマネージャ37は、バッファRAM34へのデータの入出力を管理する。そして、バッファ領域に蓄積されたデータ量が所定量になるとCPU40に通知する。
【0037】
前記エンコーダ25は、CPU40の指示に基づいてバッファRAM34のバッファ領域に蓄積されている記録用データをバッファマネージャ37を介して取り出し、所定のデータ変調処理及びエラー訂正コードの付加処理などを行ない、光ディスク15への書き込み信号を生成する。ここで生成された書き込み信号はクロック信号とともにレーザコントロール回路24に出力される。
【0038】
前記レーザコントロール回路24は、後述する光ピックアップ装置23の半導体レーザのI−L特性、エンコーダ25からの書き込み信号及びクロック信号などに基づいて、光ピックアップ装置23から出射されるレーザ光の出力を制御する。
【0039】
前記インターフェース38は、ホスト(例えばパソコン)との双方向の通信インターフェースであり、一例としてATAPI(AT Attachment Packet Interface)の規格に準拠している。
【0040】
前記フラッシュメモリ39は、プログラム領域及びデータ領域を含んで構成されている。このフラッシュメモリ39は不揮発性メモリであり、電源供給が停止されても格納されている内容は保持される。フラッシュメモリ39のプログラム領域には、CPU40にて解読可能なコードで記述されたプログラムが格納されている。また、フラッシュメモリ39のデータ領域には、前記I−L特性、記録条件、及びシーク動作に関する情報(以下「シーク情報」ともいう)などが格納されている。
【0041】
前記CPU40は、フラッシュメモリ39のプログラム領域に格納されている上記プログラムに従って前記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータなどをRAM41及びバッファRAM34の変数領域に格納する。
【0042】
次に、前記光ピックアップ装置23の構成等について図2〜図5に基づいて説明する。
【0043】
一例として図2に示される光ピックアップ装置23は、光源ユニット51、回折素子としての偏光ホログラム50、ローションプリズム56、カップリングレンズ52、λ/4板55、対物レンズ60、及び駆動系(フォーカシングアクチュエータ、トラッキングアクチュエータ及びシークモータ(いずれも図示省略))などを備えている。
【0044】
前記光源ユニット51は、波長が660nmのレーザ光を発光する光源としての半導体レーザLD、及び光ディスク15で反射したレーザ光(戻り光束)を受光する受光器PDを含んで構成されている。なお、本実施形態では、光源ユニット51から出射されるレーザ光の光束(以下、「出射光束」と略述する)の最大強度出射方向を+X方向とする。また、本実施形態では一例として、出射光束は、偏光ホログラム50及びローションプリズム56の入射面に対してP偏光となるように設定されているものとする。
【0045】
受光器PDは受光した戻り光束を光電変換し、前記再生信号処理回路28に出力する。この受光器PDは、非点収差法を用いてフォーカスエラー信号を検出するのに適した信号、及びPP法を用いてトラックエラー信号を検出するのに適した信号が出力されるように設定されている。
【0046】
偏光ホログラム50は、光源ユニット51の+X側に配置され、出射光束のほとんどをそのまま透過するとともに、戻り光束を受光器PDの受光面方向に回折する。すなわち、ここでは、偏光ホログラム50はP偏光に対して低い回折効率を有し、S偏光に対して高い回折効率を有するように設定されている。なお、本実施形態では一例として、偏光ホログラム50は光源ユニット51と一体化されている。この偏光ホログラム50の構成等については後に詳述する。
【0047】
ローションプリズム56は、偏光ホログラム50の+X側に配置され、偏光ホログラム50からの出射光束のほとんどをそのまま透過するとともに、戻り光束を往路と復路の共通光路上から偏向する。なお、本実施形態では一例として、ローションプリズム56は偏光ホログラム50と一体化されている。従って、光源ユニット51、偏光ホログラム50及びローションプリズム56は一体化されている。
【0048】
カップリングレンズ52はローションプリズム56の+X側に配置され、ローションプリズム56を透過した出射光束を以降の光学系(ここでは、λ/4板55及び対物レンズ60)にカップリングする。
【0049】
λ/4板55はカップリングレンズ52の+X側に配置され、入射した光束に1/4波長の光学的位相差を付与する。
【0050】
対物レンズ60はλ/4板55の+X側に配置され、λ/4板55を透過した出射光束を集光し、光ディスク15の記録面に光スポットを形成する。
【0051】
ここで、前記偏光ホログラム50の構成等について図3を用いて説明する。この偏光ホログラム50は、複屈折性を有し、一方の面に周期的な凹凸(格子)が形成された有機高分子膜としての有機延伸膜50b、該有機延伸膜50bを保持するため、有機延伸膜50bの他方の面と接着されている第1ガラス基板50a、有機延伸膜50bの前記一方の面の少なくとも凹部に充填された充填材50c、及び充填材50cを保護するための第2ガラス基板50dを含んで構成されている。
【0052】
ところで、小山次郎、西原浩著、「光波電子工学」(コロナ社、1993年7月15日、p.117−132)によると、ホログラムは、一例として図4に示されるように、次の(1)式で算出されるパラメータQの値(Q値)によって回折特性が異なっている。ここで、λは入射光の波長、Tは格子の溝深さ、nは屈折率(偏光ホログラムでは常光屈折率と異常光屈折率の平均屈折率)、dは格子ピッチ(ホログラムピッチ)である。
【0053】
Q=2πλT/(nd2) ……(1)
【0054】
Q≦0.5のホログラムでは、光の入射角度に関係なく回折効率はほぼ一定であるが、Q≧2のホログラムでは、光の入射角度により回折効率は大きく変化し、特定の入射角θB(ブラッグ角)のときに回折効率が最大となる。このブラッグ角θBは次の(2)式から求めることができる。
【0055】
θB=sin−1(λ/2d) ……(2)
【0056】
本実施形態では一例として、偏光ホログラム50は、Q≧2となるように格子の溝深さ及び格子ピッチなどが設定されている。さらに、ローションプリズム56で偏向された戻り光束の偏光ホログラム50への入射角が偏光ホログラム50におけるブラッグ角とほぼ一致するように、ローションプリズム56の偏向特性及び偏光ホログラム50の格子ピッチがそれぞれ最適化されている。
【0057】
有機延伸膜50bの素材としては、例えばポリエステル系、ポリイミド系、ポリエチレン系、ポリカーボネート系、ポリビニルアルコール系、ポリメタクリル酸メチル系、ポリスチレン系、ポリサルフォン系、ポリエーテルサルフォン系、及びポリエチレンテレフタレート系などが適用できる(特開2000−075130号公報参照)。この有機延伸膜50bは、カルサイト等の光学異方性結晶材料に比べて大面積でかつ大量に、低コストで作成できる特徴がある。
【0058】
第1ガラス基板50aと第2ガラス基板50dとは同じ材質であり、光学ガラスの一種であるBSC7及び石英ガラスなどの安価なガラスが用いられている。
【0059】
上記のように構成される光ピックアップ装置23の作用を図2及び図5を用いて説明する。光源ユニット51から出射された直線偏光(ここではP偏光)の光束(出射光束)は、偏光ホログラム50及びローションプリズム56を透過してカップリングレンズ52に入射する。カップリングレンズ52でカップリングされた出射光束は、λ/4板55で円偏光とされ、対物レンズ60を介して光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。
【0060】
光ディスク15の記録面で反射した反射光は、往路とは反対回りの円偏光となり、戻り光束として対物レンズ60で再び略平行光とされ、λ/4板55で往路と直交した直線偏光(ここではS偏光)とされる。そして、カップリングレンズ52を透過した後、ローションプリズム56に入射する。ローションプリズム56に入射した戻り光束は、一例として図5に示されるように、往路と復路の共通光路上から偏向され、偏光ホログラム50に入射する。偏光ホログラム50に入射した戻り光束は、入射角(ここでは、ほぼブラッグ角)に応じた回折効率で回折され、受光器PDで受光される。受光器PDでは受光量に応じた電流信号を再生信号処理回路28に出力する。ここでは、戻り光束はほぼブラッグ角に対応した入射角で偏光ホログラム50に入射するため、無偏光ホログラムに比べて回折効率が高くなり、受光器PDでの受光量が増加する。
【0061】
《記録処理》
次に、ホストからの記録要求コマンドを受信したときの光ディスク装置20における処理(記録処理)について図6を用いて簡単に説明する。図6のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応し、ホストから記録要求コマンドを受信すると、図6のフローチャートに対応するプログラムの先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、記録処理がスタートする。
【0062】
最初のステップ501では、記録速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、ホストから記録要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。また、ホストから受信したデータ(記録用データ)のバッファRAM34への蓄積をバッファマネージャ37に指示する。
【0063】
次のステップ503では、光ディスク15の回転が所定の線速度に達していることを確認すると、サーボコントローラ33に対してサーボオンを設定する。これにより、前述の如くトラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。なお、トラッキング制御及びフォーカス制御は記録処理が終了するまで随時行われる。
【0064】
次のステップ505では、記録速度に基づいてOPC(Optimum Power Control)を行い、最適な記録パワーを取得する。すなわち、記録パワーを段階的に変化させつつ、PCA(Power Calibration Area)と呼ばれる試し書き領域に所定のデータを試し書きした後、それらのデータを順次再生し、例えばRF信号から検出されたアシンメトリの値が予め実験等で求めた目標値とほぼ一致する場合を最も高い記録品質であると判断し、そのときの記録パワーを最適な記録パワーとする。
【0065】
次のステップ507では、再生信号処理回路28からのアドレス情報に基づいて現在のアドレスを取得する。
【0066】
次のステップ509では、現在のアドレスと記録要求コマンドから抽出した目標アドレスとの差分(アドレス差)を算出する。
【0067】
次のステップ511では、アドレス差に基づいてシークが必要であるか否かを判断する。ここでは、前記シーク情報の一つとしてフラッシュメモリ39に格納されている閾値を参照し、アドレス差が閾値を越えていれば、ここでの判断は肯定され、ステップ513に移行する。
【0068】
このステップ513では、アドレス差に応じたシークモータの制御信号をモータドライバ27に出力する。これにより、シークモータが駆動し、シーク動作が行なわれる。そして、前記ステップ507に戻る。
【0069】
なお、前記ステップ511において、アドレス差が閾値を越えていなければ、ここでの判断は否定され、ステップ515に移行する。
【0070】
このステップ515では、現在のアドレスが目標アドレスと一致しているか否かを判断する。現在のアドレスが目標アドレスと一致していなければ、ここでの判断は否定され、ステップ517に移行する。
【0071】
このステップ517では、アドレス情報に基づいて現在のアドレスを取得する。そして、前記ステップ515に戻る。
【0072】
以下、前記ステップ515での判断が肯定されるまで、ステップ515→517の処理を繰り返し行う。
【0073】
現在のアドレスが目標アドレスと一致すれば、前記ステップ515での判断は肯定され、ステップ519に移行する。
【0074】
このステップ519では、エンコーダ25に書き込みを許可する。これにより、記録用データは、エンコーダ25、レーザコントロール回路24及び光ピックアップ装置23を介して光ディスク15に書き込まれる。記録用データがすべて書き込まれると、所定の終了処理を行った後、記録処理を終了する。
【0075】
《再生処理》
さらに、ホストから再生要求コマンドを受信したときの光ディスク装置20における処理(再生処理)について図7を用いて説明する。図7のフローチャートは、CPU40によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応し、ホストから再生要求コマンドを受信すると、図7のフローチャートに対応するプログラムの先頭アドレスがCPU40のプログラムカウンタにセットされ、再生処理がスタートする。
【0076】
最初のステップ701では、再生速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、ホストから再生要求コマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。
【0077】
次のステップ703では、光ディスク15の回転が所定の線速度に達していることを確認すると、サーボコントローラ33に対してサーボオンを設定する。これにより、前述の如くトラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。なお、トラッキング制御及びフォーカス制御は再生処理が終了するまで随時行われる。
【0078】
次のステップ705では、アドレス情報に基づいて現在のアドレスを取得する。
【0079】
次のステップ707では、現在のアドレスと再生要求コマンドから抽出した目標アドレスとの差分(アドレス差)を算出する。
【0080】
次のステップ709では、前記ステップ511と同様にして、シークが必要であるか否かを判断する。シークが必要であれば、ここでの判断は肯定され、ステップ711に移行する。
【0081】
このステップ711では、アドレス差に応じたシークモータの制御信号をモータドライバ27に出力する。そして、前記ステップ705に戻る。
【0082】
一方、前記ステップ709において、シークが必要でなければ、ここでの判断は否定され、ステップ713に移行する。
【0083】
このステップ713では、現在のアドレスが目標アドレスと一致しているか否かを判断する。現在のアドレスが目標アドレスと一致していなければ、ここでの判断は否定され、ステップ715に移行する。
【0084】
このステップ715では、アドレス情報に基づいて現在のアドレスを取得する。そして、前記ステップ713に戻る。
【0085】
以下、前記ステップ713での判断が肯定されるまで、ステップ713→715の処理を繰り返し行う。
【0086】
現在のアドレスが目標アドレスと一致すれば、前記ステップ713での判断は肯定され、ステップ717に移行する。
【0087】
このステップ717では、再生信号処理回路28に読み取りを指示する。これにより、再生信号処理回路28にて再生データが取得され、バッファRAM34に格納される。この再生データはセクタ単位でバッファマネージャ37及びインターフェース38を介してホストに転送される。そして、ホストから指定されたデータの再生がすべて終了すると、所定の終了処理を行った後、再生処理を終了する。
【0088】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光ディスク装置20では、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムによって、処理装置が実現されている。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではないことは勿論である。すなわち、上記実施形態は一例に過ぎず、上記のCPU40によるプログラムに従う処理によって実現した処理装置の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良いし、あるいは全てをハードウェアによって構成することとしても良い。
【0089】
以上説明したように、本実施形態に係る光ピックアップ装置23によると、戻り光束を偏光ホログラム50への入射角がブラッグ角とほぼ一致するように偏向するローションプリズム56を備えているため、偏光ホログラム50での戻り光束の回折効率が高くなり、受光器PDの出力信号における信号レベル及びS/N比を向上させることが可能となる。従って、大型化及び高コスト化を招くことなく、光利用効率を向上させることができる。
【0090】
また、偏光ホログラム50は複屈折性を有する部材として透明度が高い有機延伸膜を用いているために、偏光ホログラム50における光量のロスを抑制することができる。すなわち、光利用効率の低下を抑制することができる。また、有機延伸膜は安価で微細加工性に優れているため、製品歩留まりが向上し、低コスト化を促進することができる。さらに、有機延伸膜はシート状であるため、小型化を促進することが可能となる。また、波長が660nmの光束に対する有機延伸膜の屈折率は1.6近傍であるため、市販されている安価な高分子材料を充填材として用いることが可能となる。従って、部品コストの低減を図ることができる。
【0091】
また、偏光ホログラム50はQ≧2となるように格子の溝深さ及び格子ピッチなどが設定されているため、ブラッグ角近傍における回折効率を高くすることが可能となる。すなわち、光利用効率を向上させることができる。
【0092】
また、半導体レーザLDと受光器PDとを同一パッケージ内に実装しているため、小型化を促進することができる。さらに、組み付け時の部品点数が減少するため、組み付け作業及び調整作業を簡素化することが可能となる。
【0093】
また、偏光ホログラム50は光源ユニット51と一体化しているため、小型化を促進することができる。さらに、組み付け時の部品点数が減少するため、組み付け作業及び調整作業を簡素化することが可能となる。
【0094】
また、ローションプリズム56は偏光ホログラム50と一体化しているため、小型化を促進することができる。さらに、組み付け時の部品点数が減少するため、組み付け作業及び調整作業を簡素化することが可能となる。
【0095】
また、本実施形態に係る光ディスク装置20によると、光利用効率に優れた光ピックアップ装置23を搭載しているため、高速度での情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を含むアクセスを精度良く行うことが可能となる。さらに、光ピックアップ装置の小型化によって、光ディスク装置自体の小型化及び消費電力の低減も促進することができ、例えば携帯用として用いられる場合には、持ち運びが容易となり、更に長時間の使用が可能となる。
【0096】
なお、上記実施形態では、偏光ホログラム50は、Q≧2となるように格子の溝深さ及び格子ピッチなどが設定されている場合について説明したが、これに限らず、ブラッグ角近傍における回折効率を高くすることができれば1<Q<2であっても良い。
【0097】
また、上記実施形態では、戻り光束を受光器の受光面方向に回折する回折素子として、偏光ホログラム50を用いる場合について説明したが、これに限らず、例えば無偏光ホログラムであっても良い。この場合に、一例として図8に示されるように、ローションプリズムの光源ユニット側の面に、戻り光束を受光器の受光面方向に回折するための回折格子を形成しても良い。
【0098】
また、上記実施形態では、ローションプリズム56と偏光ホログラム50とが一体化している場合について説明したが、これに限らず、例えば図9に示されるように、ローションプリズム56は偏光ホログラム50と個別に配置しても良い。
【0099】
また、上記実施形態では、半導体レーザLDと受光器PDとが同一パッケージ内に実装されている場合について説明したが、これに限らず、一例として図10に示されるように、半導体レーザLDと受光器PDとをそれぞれ個別に配置しても良い。この場合には、受光器PDの位置に応じてローションプリズム56及び偏光ホログラム50の位置も変更される。図10に示される光ピックアップ装置では、カップリングレンズ52とλ/4板55との間に偏光ビームスプリッタ54が配置され、この偏光ビームスプリッタ54の−Z側にローションプリズム56、偏光ホログラム50及び受光器PDが配置されている。ここでは、λ/4板55を透過した戻り光束は、偏光ビームスプリッタ54で−Z方向に分岐されローションプリズム56に入射する。ローションプリズム56で偏向された戻り光束はブラッグ角とほぼ等しい入射角で偏光ホログラム50に入射する。そして、偏光ホログラム50からの回折光は受光器PDで受光される。なお、この場合には、ローションプリズム56に代えてウォラストンプリズムを用いても良い。
【0100】
また、この場合には、図11に示されるように、ローションプリズム56に代えて反射ミラーMRを用いても良い。要するに、偏光ホログラム50への入射角がブラッグ角とほぼ等しくなるように、戻り光束を偏向する偏向光学素子であれば良い。
【0101】
また、上記実施形態では、偏光ホログラム50と光源ユニット51とが一体化している場合について説明したが、これに限らず、偏光ホログラム50は光源ユニット51と個別に配置しても良い。
【0102】
また、上記実施形態では、偏光ホログラム50は複屈折性を有する部材として有機延伸膜50bを用いる場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えばポリエステル系高分子(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)のように延伸しなくても複屈折性を有する高分子膜を用いても良い。
【0103】
また、上記実施形態では、偏光ホログラム50は、第2ガラス基板50dが光源ユニット側となるように配置される場合について説明したが、これに限らず、第1ガラス基板50aが光源ユニット側となるように配置されても良い。
【0104】
また、上記実施形態において、一例として図12に示されるように、第2ガラス基板50dにグレーティング50eを形成しても良い。これにより、光源ユニット51から出射された光束はグレーティング50eにて0次光(主ビーム)及び±一次回折光(副ビーム)に分割されることとなり、トラックエラー信号をいわゆる差動プッシュプル法(DPP法)を用いて検出することが可能となる。なお、この場合には、受光器PDはDPP法に対応した信号を出力するように設定される。このDPP法は対物レンズのレンズシフトや光ディスクの記録面に垂直な方向と対物レンズの光軸方向とのずれ(メディアチルト)などの影響を受けにくいことから、記録可能なDVD系の光ディスクに対応した光ディスク装置の多くで採用されている。この場合においても、一例として図13に示されるように、偏光ホログラム50とローションプリズム56とがそれぞれ個別に配置されても良い。さらに、グレーティング50eは出射光束に対しては高い回折効率を有し、戻り光束に対しては低い回折効率を有するように設定しても良い。すなわち、偏光グレーティングであっても良い。これにより、戻り光束がグレーティング領域を避ける必要がなくなり、設計の自由度が増加するとともに、光源ユニットの小型化を促進することが可能となる。
【0105】
また、上記実施形態では、非点収差法を用いてフォーカスエラー信号を検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、いわゆるナイフエッジ法を用いても良い。この場合には、非点収差を補正する機能が付加された偏光ホログラムを用いると、フォーカスエラー信号の検出精度を向上させることができる。なお、偏光ホログラムでは、回折格子の形状を調整することにより、非点収差を補正する機能を付加することができる。
【0106】
また、上記実施形態では、PP法を用いてトラックエラー信号を検出する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、いわゆる位相差法を用いても良い。この場合には、受光器は位相差法に対応した信号を出力するように設定される。
【0107】
また、上記実施形態では、偏向光学素子としてローションプリズムを用いる場合について説明したが、これに限定されるものではない。
【0108】
また、上記実施形態では、第1ガラス基板50aと第2ガラス基板50dとは同じ材質である場合について説明したが、これに限定されるものではない。また、第1ガラス基板50a及び第2ガラス基板50dの代わりに、透明な樹脂製の基板を用いても良い。
【0109】
また、上記実施形態では、光源として波長が660nmの光束を発光する半導体レーザLDを用いる場合について説明したが、これに限られるものはなく、例えば波長が約405nmの光束を発光する光源又は波長が約780nmの光束を発光する光源が用いられても良い。
【0110】
また、上記実施形態では、光ピックアップ装置が1つの半導体レーザを備える場合について説明したが、これに限らず、例えば互いに異なる波長の光束を発光する複数の半導体レーザを備えていても良い。この場合に、例えば波長が約405nmの光束を発光する半導体レーザ、波長が約660nmの光束を発光する半導体レーザ及び波長が約780nmの光束を発光する半導体レーザの少なくとも1つを含んでいても良い。すなわち、光ディスク装置が互いに異なる規格に準拠した複数種類の光ディスクに対応する光ディスク装置であっても良い。この場合に、各波長毎に偏光ホログラムを設けても良い。
【0111】
また、上記実施形態では、インターフェースがATAPIの規格に準拠する場合について説明したが、これに限らず、例えばATA(AT Attachment)、SCSI(Small Computer System Interface)、USB(Universal Serial Bus)1.0、USB2.0、IEEE1394、IEEE802.3、シリアルATA及びシリアルATAPIのうちのいずれかの規格に準拠しても良い。
【0112】
また、上記実施形態では、情報の記録及び再生が可能な光ディスク装置について説明したが、これに限らず、情報の記録、再生及び消去のうち、少なくとも再生が可能な光ディスク装置であれば良い。
【0113】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るピックアップ装置によれば、大型化及び高コスト化を招くことなく、光利用効率を向上させることができるという効果がある。
【0114】
また、本発明に係る光ディスク装置によれば、光ディスクへの高速度でのアクセスを精度良く行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1における光ピックアップ装置の構成を説明するための図である。
【図3】図2における偏光ホログラムの構成を説明するための図である。
【図4】ホログラムにおける回折効率とQ値との関係を説明するための図である。
【図5】図2の光ピックアップ装置の作用を説明するための図である。
【図6】ホストからの記録要求コマンドに応じて行なわれる光ディスク装置での記録処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】ホストからの再生要求コマンドに応じて行なわれる光ディスク装置での再生処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】回折格子が形成されたローションプリズムを説明するための図である。
【図9】ローションプリズムが個別に配置された光ピックアップ装置を説明するための図である。
【図10】半導体レーザと受光器とがそれぞれ個別に配置された光ピックアップ装置(その1)を説明するための図である。
【図11】半導体レーザと受光器とがそれぞれ個別に配置された光ピックアップ装置(その2)を説明するための図である。
【図12】グレーティングが形成された偏光ホログラム(その1)を説明するための図である。
【図13】グレーティングが形成された偏光ホログラム(その2)を説明するための図である。
【符号の説明】
15…光ディスク、20…光ディスク装置、23…光ピックアップ装置、40…CPU(処理装置)、50…偏光ホログラム(回折素子)、50b…有機延伸膜(有機高分子膜)、50e…グレーティング、56…ローションプリズム(偏向光学素子)、60…対物レンズ、LD…半導体レーザ(光源)、PD…受光器(光検出器)。
Claims (17)
- 光ディスクの記録面に光を照射するとともに、前記記録面からの反射光を受光する光ピックアップ装置であって、
光源と;
前記光源から出射される光束を前記記録面に集光する対物レンズと、その回折効率が入射光束の入射角に依存し、前記記録面で反射された戻り光束を回折する回折素子と、該回折素子と前記対物レンズとの間の光路上に配置され、前記回折素子に対する前記戻り光束の入射角が前記回折素子におけるブラッグ角とほぼ等しくなるように、前記対物レンズを介した戻り光束を偏向する偏向光学素子とを含む光学系と;
前記回折素子からの回折光を受光する光検出器と;を備える光ピックアップ装置。 - 前記偏向光学素子は、その偏向特性が入射光束の偏光状態に依存することを特徴とする請求項1に記載の光ピックアップ装置。
- 前記偏向光学素子は、ローションプリズムであることを特徴とする請求項2に記載の光ピックアップ装置。
- 前記回折素子は、その回折特性が入射光束の偏光状態に依存することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記回折素子は、複屈折性を有し、その一側の面に回折格子が形成された高分子膜を備えることを特徴とする請求項4に記載の光ピックアップ装置。
- 前記高分子膜は、高分子の有機材料が所定方向に延伸された有機高分子膜であることを特徴とする請求項5に記載の光ピックアップ装置。
- 前記回折素子は、前記入射光束の波長λ、前記回折素子における回折格子の溝深さT、該回折格子の格子ピッチd、及び前記回折素子の屈折率nを用いて、2πλT/nd2≧2を満足することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記回折素子は、更に前記戻り光束の波面収差に含まれる非点収差成分を補正することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記光検出器は、非点収差法に対応したフォーカスエラー情報を含む信号を出力することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記非点収差法は、前記偏向光学素子を透過する際に生じた非点収差を利用することを特徴とする請求項9に記載の光ピックアップ装置。
- 前記光検出器は、前記光源と同一の筐体内に収納され、パッケージ化されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記回折素子は、前記筐体と一体化されていることを特徴とする請求項11に記載の光ピックアップ装置。
- 前記偏向光学素子は、前記回折素子と一体化されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記回折素子は、前記偏向光学素子上に形成されていることを特徴とする請求項13に記載の光ピックアップ装置。
- 前記光源から前記対物レンズに向かう光束を0次光と回折光とを含む複数のビームに分割するグレーティングを更に備えることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置。
- 前記グレーティングは、その回折特性が入射光束の偏光状態に依存することを特徴とする請求項15に記載の光ピックアップ装置。
- 光ディスクに対して、情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行う光ディスク装置であって、
請求項1〜16のいずれか一項に記載の光ピックアップ装置と;
前記光ピックアップ装置を介して、前記情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を行う処理装置と;を備える光ディスク装置。
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EP1923878A1 (en) | 2006-11-16 | 2008-05-21 | Funai Electric Co., Ltd. | Optical pickup device |
-
2003
- 2003-07-08 JP JP2003193413A patent/JP2005032299A/ja active Pending
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