JP2004279506A - 偏光回折素子、偏光回折素子の製造方法、光ピックアップ装置及び光ディスク装置 - Google Patents

偏光回折素子、偏光回折素子の製造方法、光ピックアップ装置及び光ディスク装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光利用効率に優れた小型で安価な偏光回折素子を提供する。
【解決手段】光学的異方性を有する高分子膜53cの一側の面に周期的な凹凸格子が形成され、その周期的な凹凸格子と対向するように、光に対してほぼ透明な透明部材53aが配置されている。そして、高分子膜と透明部材との間の凹凸格子の少なくとも凹部に、高分子膜の光学的異方性と所定の関係にある光学的異方性を有する液晶53eが充填されている。これにより、凹凸格子が形成された高分子膜、及び高分子膜と透明部材との間の凹凸格子の少なくとも凹部に充填された液晶がいずれも光学的異方性を有する光学部材となり、安価な汎用光学部材を用いても、回折効率を低下させることなく、従来の偏光回折素子に比べて格子深さを浅くすることができる。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光回折素子、偏光回折素子の製造方法、光ピックアップ装置及び光ディスク装置に係り、更に詳しくは、その回折効率が入射光の偏光方向に依存する偏光回折素子、該偏光回折素子の製造方法、前記偏光回折素子を備える光ピックアップ装置、及び該光ピックアップ装置を搭載する光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ディスク装置では、情報記録媒体として、例えばCD(compact disc)、DVD(digital versatile disc)などの光ディスクが用いられ、該光ディスクのスパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録面にレーザ光の微小スポットを形成することにより情報の記録を行い、記録面からの反射光に基づいて情報の再生などを行っている。そして、光ディスク装置には、情報記録媒体の記録面にレーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光を受光するために、光ピックアップ装置が設けられている。
【0003】
通常、光ピックアップ装置は、対物レンズを含み、光源から出射される光束を情報記録媒体の記録面に導くとともに、記録面で反射された戻り光束を所定の受光位置まで導く光学系、及び受光位置に配置された受光素子などを備えている。この受光素子からは、記録面に記録されているデータの再生情報だけでなく、光ピックアップ装置自体及び対物レンズの位置制御などに必要な情報(サーボ制御情報)を含む信号が出力される。
【0004】
近年、情報記録媒体の記憶容量が増大するとともに、音楽や映像といった情報量が非常に多いAV(Audio−Visual)情報を情報記録媒体に記録することが一般化しつつある。そこで、特に記録速度の高速化への要求が高まり、記録可能な最高速度が光ディスク装置の売れ行きを左右するようになってきた。記録速度が高速になると、短時間でマーク領域を形成しなければならなくなる。
【0005】
そこで、光ピックアップ装置において、記録面で反射された戻り光束を往路と復路の共通光路から分岐して受光位置に導くための光学素子の1つとして、その回折効率が入射光の偏光方向に依存する偏光回折素子を用いて、光源から出射されるレーザ光の利用効率を高くすることが提案された(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。なお、偏光回折素子は、特許文献1では偏光ビームスプリッタ、特許文献2では光学異方性回折格子として記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特許第2594548号公報
【特許文献2】
特開平9−102138号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
偏光回折素子は、常光に対する屈折率(以下「常光屈折率」という)と異常光に対する屈折率(以下「異常光屈折率」という)との差Δnが小さいため、所定の回折効率を確保するには、偏光性を有しない回折素子(以下「無偏光回折素子」という)に比べて凹凸格子の深さ(以下「格子深さ」という)を深くする必要がある。しかしながら、格子深さが深くなると、偏光回折素子の生産性が低下し、コストが上昇するおそれがあった。また、近年、光ピックアップ装置の小型化に応じて、偏光回折素子の凹凸格子のピッチが狭くなる傾向(狭ピッチ化)にあり、狭いピッチで、かつ格子深さの深い凹凸格子を精度良く形成するのは困難であった。上記特許文献1及び特許文献2に開示されている偏光回折素子では、格子深さをあまり深くしないで所定の回折効率を確保するには、入手困難な材料が必要となり、コストアップを招くという不都合があった。
【0008】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、光利用効率に優れた小型で安価な偏光回折素子を提供することにある。
【0009】
また、本発明の第2の目的は、光利用効率に優れた小型の偏光回折素子を低コストで製造する製造方法を提供することにある。
【0010】
また、本発明の第3の目的は、大型化及び高コスト化を招くことなく、光ピックアップ装置自体及び対物レンズの位置制御に必要な情報などを含む信号を精度良く安定して出力することができる光ピックアップ装置を提供することにある。
【0011】
また、本発明の第4の目的は、情報記録媒体への高速度でのアクセスを精度良く安定して行うことができる光ディスク装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、光学的異方性を有し、その一側の面に周期的な凹凸格子が形成された高分子膜と;前記凹凸格子に対向して配置され、光に対してほぼ透明な透明部材と;を備え、前記高分子膜と前記透明部材との間の前記凹凸格子の少なくとも凹部に、前記高分子膜の光学的異方性と所定の関係にある光学的異方性を有する液晶が充填されていることを特徴とする偏光回折素子である。
【0013】
これによれば、光学的異方性を有する高分子膜の一側の面に周期的な凹凸格子が形成され、その周期的な凹凸格子と対向するように、光に対してほぼ透明な透明部材が配置されている。そして、高分子膜と透明部材との間の凹凸格子の少なくとも凹部に、高分子膜の光学的異方性と所定の関係にある光学的異方性を有する液晶が充填されている。すなわち、凹凸格子が形成された高分子膜、及び高分子膜と透明部材との間の凹凸格子の少なくとも凹部に充填された液晶がいずれも光学的異方性を有する光学部材である。そこで、安価な汎用光学部材を用いても、回折効率を低下させることなく前述した従来技術における偏光回折素子に比べて格子深さを浅くすることができる。従って、光利用効率を低下させることなく、小型化及び低コスト化を促進することが可能となる。
【0014】
この場合において、請求項2に記載の偏光回折素子の如く、前記高分子膜では、第1の方向の屈折率n1eと前記第1の方向に直交する第2の方向の屈折率n1oとが異なり、前記液晶では、前記第1の方向の屈折率n2eと前記第2の方向の屈折率n2oとが異なることとすることができる。
【0015】
この場合において、請求項3に記載の偏光回折素子の如く、前記屈折率n1oと前記屈折率n2oとは、前記凹凸格子の深さh、入射する光の波長λ及び任意の整数mを用いて、(n1o−n2o)・h≒mλを満足する関係にあることとすることができる。
【0016】
この場合において、請求項4に記載の偏光回折素子の如く、前記屈折率n1eと前記屈折率n2eとは、(n1e−n2e)・h≒(m+1/2)λを満足する関係にあることとすることができる。
【0017】
上記請求項2に記載の偏光回折素子において、請求項5に記載の偏光回折素子の如く、前記屈折率n1eと前記屈折率n2eとは、前記凹凸格子の深さh、入射する光の波長λ及び任意の整数mを用いて、(n1e−n2e)・h≒(m+1/2)λを満足する関係にあることとすることができる。
【0018】
上記請求項4及び5に記載の各偏光回折素子において、請求項6に記載の偏光回折素子の如く、前記屈折率n1e、前記屈折率n1o、前記屈折率n2e、及び前記屈折率n2oは、n2e<n2o≒n1o<n1e、もしくは、n2e>n2o≒n1o>n1eを満足する関係にあることとすることができる。
【0019】
上記請求項2に記載の偏光回折素子において、請求項7に記載の偏光回折素子の如く、前記屈折率n1eと前記屈折率n2eとは、前記凹凸格子の深さh、入射する光の波長λ及び任意の整数mを用いて、(n1e−n2e)・h≒mλを満足する関係にあることとすることができる。
【0020】
この場合において、請求項8に記載の偏光回折素子の如く、前記屈折率n1oと前記屈折率n2oとは、(n1o−n2o)・h≒(m+1/2)λを満足する関係にあることとすることができる。
【0021】
上記請求項2に記載の偏光回折素子において、請求項9に記載の偏光回折素子の如く、前記屈折率n1oと前記屈折率n2oとは、前記凹凸格子の深さh、入射する光の波長λ及び任意の整数mを用いて、(n1o−n2o)・h≒(m+1/2)λを満足する関係にあることとすることができる。
【0022】
上記請求項8及び9に記載の各偏光回折素子において、請求項10に記載の偏光回折素子の如く、前記屈折率n1e、前記屈折率n1o、前記屈折率n2e、及び前記屈折率n2oは、n2o<n2e≒n1e<n1o、もしくは、n2o>n2e≒n1e>n1oを満足する関係にあることとすることができる。
【0023】
上記請求項2〜10に記載の各偏光回折素子において、請求項11に記載の偏光回折素子の如く、前記高分子膜は、高分子の有機材料が前記第1の方向に延伸され、成形された有機高分子膜であることとすることができる。
【0024】
請求項12に記載の発明は、偏光回折素子の製造方法であって、光学的異方性を有する高分子膜の一方の面に周期的な凹凸格子を形成する第1工程と;前記凹凸格子と対向するように、光に対してほぼ透明な透明部材を前記高分子膜に固定する第2工程と;前記高分子膜と前記透明部材との間の前記凹凸格子の少なくとも凹部に、前記高分子膜の光学的異方性と所定の関係にある光学的異方性を有する液晶を充填する第3工程と;を含む偏光回折素子の製造方法である。
【0025】
これによれば、光学的異方性を有する高分子膜の一方の面に周期的な凹凸格子が形成され(第1工程)、その周期的な凹凸格子と対向するように、光に対してほぼ透明な透明部材が高分子膜に固定される(第2工程)。そして、高分子膜と透明部材との間の凹凸格子の少なくとも凹部に、高分子膜の光学的異方性と所定の関係にある光学的異方性を有する液晶が充填される(第3工程)。すなわち、凹凸格子が形成された高分子膜、及び高分子膜と透明部材との間の凹凸格子の少なくとも凹部に充填された液晶がいずれも光学的異方性を有する光学部材である。そこで、安価な汎用光学部材を用いて、回折効率を低下させることなく前述した従来技術における偏光回折素子に比べて格子深さを浅くすることができる。それにより、偏光回折素子の生産性を向上させることが可能となるとともに、偏光回折素子の光学特性のばらつきを従来よりも小さくすることが可能となる。従って、光利用効率に優れた小型の偏光回折素子を低コストで製造することができる。
【0026】
請求項13に記載の発明は、情報記録媒体の記録面に光を照射し、前記記録面からの反射光を受光する光ピックアップ装置であって、光源と;前記光源から出射される光束を前記記録面に集光する対物レンズと、前記記録面で反射され前記対物レンズを介した戻り光束の光路上に配置され、前記戻り光束をその光路上から分岐する請求項1〜11のいずれか一項に記載の偏光回折素子とを含む光学系と;前記偏光回折素子で分岐された前記戻り光束を受光する光検出器と;を備える光ピックアップ装置である。
【0027】
これによれば、請求項1〜11のいずれか一項に記載の偏光回折素子を備えていることから、大型化及び高コスト化を招くことなく、光ピックアップ装置自体及び対物レンズの位置制御に必要な情報などを含む信号を精度良く出力することが可能となる。
【0028】
請求項14に記載の発明は、情報記録媒体に対して、情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも再生を行なう光ディスク装置であって、請求項13に記載の光ピックアップ装置と;前記光ピックアップ装置からの出力信号を用いて、前記情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも再生を行なう処理装置と;を備える光ディスク装置である。
【0029】
これによれば、請求項13に記載の光ピックアップ装置からの出力信号に基づいて、RF信号及びサーボ信号などを精度良く安定して検出することができるため、結果として情報記録媒体への高速度での情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を含むアクセスを精度良く安定して行うことが可能となる。さらに、光ピックアップ装置の小型化によって、光ディスク装置自体の小型化及び消費電力の低減も促進することができ、例えば携帯用として用いられる場合には、持ち運びが容易となり、更に長時間の使用が可能となる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1〜図10(B)に基づいて説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る光ディスク装置20の概略構成が示されている。
【0031】
この図1に示される光ディスク装置20は、情報記録媒体としての光ディスク15を回転駆動するためのスピンドルモータ22、光ピックアップ装置23、レーザコントロール回路24、エンコーダ25、モータドライバ27、再生信号処理回路28、サーボコントローラ33、バッファRAM34、バッファマネージャ37、インターフェース38、フラッシュメモリ39、CPU40及びRAM41などを備えている。なお、図1における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表すものではない。なお、本実施形態では、一例としてDVD系の規格に準拠した情報記録媒体が光ディスク15に用いられるものとする。
【0032】
前記光ピックアップ装置23は、光ディスク15のスパイラル状又は同心円状のトラックが形成された記録面にレーザ光を照射するとともに、記録面からの反射光を受光するための装置である。なお、この光ピックアップ装置23の構成等については後に詳述する。
【0033】
前記再生信号処理回路28は、光ピックアップ装置23の出力信号に基づいてウォブル信号、RF信号及びサーボ信号(フォーカスエラー信号、トラックエラー信号)などを検出する。そして、再生信号処理回路28はウォブル信号からADIP(Address In Pregroove)情報及び同期信号などを抽出する。ここで抽出されたADIP情報はCPU40に出力され、同期信号はエンコーダ25に出力される。さらに、再生信号処理回路28は、RF信号に対して復号処理及び誤り訂正処理などを行なった後、再生データとしてバッファマネージャ37を介してバッファRAM34に格納する。また、サーボ信号は再生信号処理回路28からサーボコントローラ33に出力される。
【0034】
前記サーボコントローラ33は、再生信号処理回路28からのフォーカスエラー信号に基づいてフォーカスずれを補正するための制御信号を生成し、トラックエラー信号に基づいてトラックずれを補正するための制御信号を生成する。ここで生成された各制御信号はそれぞれモータドライバ27に出力される。
【0035】
前記モータドライバ27は、サーボコントローラ33からの制御信号及びCPU40の指示に基づいて、光ピックアップ装置23の駆動系(図示省略)及びスピンドルモータ22を駆動する。すなわち、再生信号処理回路28、サーボコントローラ33及びモータドライバ27によってトラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。
【0036】
前記バッファマネージャ37は、バッファRAM34へのデータの入出力を管理し、蓄積されたデータ量が所定量になるとCPU40に通知する。
【0037】
前記エンコーダ25は、CPU40の指示に基づいてバッファRAM34に蓄積されているデータをバッファマネージャ37を介して取り出し、データの変調及びエラー訂正コードの付加等を行ない、光ディスク15への書き込み信号を生成するとともに、再生信号処理回路28からの同期信号に同期して書き込み信号をレーザコントロール回路24に出力する。
【0038】
前記レーザコントロール回路24は、エンコーダ25からの書き込み信号及びCPU40の指示に基づいて、光ディスク15に照射するレーザ光の出力を制御する制御信号を光ピックアップ装置23に出力する。
【0039】
前記インターフェース38は、ホスト(例えばパソコン)との双方向の通信インターフェースであり、一例としてATAPI(AT Attachment Packet Interface)の規格に準拠している。
【0040】
前記フラッシュメモリ39には、CPU40にて解読可能なコードで記述されたプログラムが格納されている。
【0041】
前記CPU40は、フラッシュメモリ39に格納されているプログラムに従って上記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータなどを一時的にRAM41に保存する。
【0042】
次に、前記光ピックアップ装置23の構成等について図2〜図10(B)に基づいて説明する。
【0043】
この光ピックアップ装置23は、図2に示されるように、受発光モジュール51、偏光回折素子としての偏光ホログラム素子53、コリメートレンズ52、λ/4板55、対物レンズ60及び駆動系(フォーカシングアクチュエータ、トラッキングアクチュエータ及びシークモータ(いずれも図示省略))などを備えている。
【0044】
前記受発光モジュール51は、図3に示されるように、光源としての半導体レーザ51a、光検出器としての受光器59を含んで構成されている。
【0045】
半導体レーザ51aは、波長が660nmの光束を発光する。なお、ここでは、受発光モジュール51から出射される光束(以下、便宜上「出射光束」ともいう)の最大強度出射方向を+X方向(図3における紙面右方向)とする。また、本実施形態では、一例として出射光束は偏光ホログラム素子53の入射面に対してP偏光の光束であるものとする。
【0046】
前記受光器59は、半導体レーザ51aの近傍に配置され、偏光ホログラム素子53で回折された戻り光束を受光する。この受光器59は、通常の光ディスク装置と同様に、ウォブル信号情報、再生データ情報、フォーカスエラー情報及びトラックエラー情報などを含む信号を出力する複数の受光素子を含んで構成されている。
【0047】
前記偏光ホログラム素子53は、受発光モジュール51と一体化されており、受発光モジュール51の+X側に配置されている。この偏光ホログラム素子53の構成等については後に詳述する。
【0048】
図2に戻り、前記コリメートレンズ52は偏光ホログラム素子53の+X側に配置され、偏光ホログラム素子53を透過した光束を略平行光とする。そして、前記λ/4板55はコリメートレンズ52の+X側に配置され、入射した光束に1/4波長の光学的位相差を付与する。
【0049】
前記対物レンズ60はλ/4板55の+X側に配置され、λ/4板55を透過した光束を集光し、光ディスク15の記録面に光スポットを形成する。
【0050】
ここで、前記偏光ホログラム素子53の構成等について図4を用いて説明する。偏光ホログラム素子53は、透明部材としての第1ガラス基板53a、配向膜53b、光学的異方性を有する高分子膜としての有機延伸膜53c、第2ガラス基板53d、光学的異方性を有する液晶53e、及びシール材SEを含んで構成されている。
【0051】
前記第1ガラス基板53aは、最も受発光モジュール51側に配置され、光学的に透明である。
【0052】
前記配向膜53bは、第1ガラス基板53aの+X側の面上に配置されている。配向膜53bとしては、斜方蒸着膜や、無機又は有機被膜を形成した後に綿布などでラビングしたものなどが用いられる。具体的には、ポリアミドやポリイミドなどの高分子被膜等にラビング処理を施したものや、SiO、MgO、MgF等を斜め蒸着したものが好適である。なお、配向のためのラビング方向と周期的な凹凸格子の格子長手方向とが同一方向となるように偏光ホログラム素子を構成すると液晶53eの配向が安定する。また、第1ガラス基板53aを直接ラビング処理する場合や、周期的な凹凸格子そのものの配向作用のみによって液晶53eを配向させる場合には配向膜53bはなくても良い。但し、この場合には液晶53eの配向の安定性について注意が必要である。
【0053】
前記有機延伸膜53cは、配向膜53bの+X側に配置されている。有機延伸膜53cの−X側の面には所定の周期的な凹凸格子が形成されている。この凹凸格子が形成されている面(以下「凹凸形成面」という)と反対側の面(+X側の面)は、前記第2ガラス基板53dと貼り合わされている。
【0054】
前記液晶53eは、配向膜53bと有機延伸膜53cとの間に形成される空間内に充填されている。なお、液晶53eは、前記シール材SEによって前記空間内に保持されている。
【0055】
前記シール材SEは、所定の直径を有する球状スペーサを含んだエポキシ樹脂製の部材である。この場合、球状スペーサの直径が大きすぎると液晶53eの配向力が低下するため、5μm以下が望ましい。なお、液晶53eを凹凸格子の凹部のみに充填し、凹凸格子の凸部と配向膜53bとを接着する場合には、シール材SEは不要である。
【0056】
前記第1ガラス基板50aと前記第2ガラス基板50dとは同じ材質であり、光学ガラスの一種であるBSC7及び石英ガラスなどの安価なガラスが用いられている。なお、第1ガラス基板50a及び第2ガラス基板50dの代わりに、透明な樹脂製の基板を用いても良い。
【0057】
高分子の有機材料(有機高分子材料)を延伸すると光学的異方性を生じるが、これは有機高分子材料を延伸すると材料中の高分子鎖の配向が生じ、延伸方向の屈折率とそれに直交する方向の屈折率とに差異が生じるためである。この方法により形成された膜(高分子光学異方性膜)はカルサイト等の光学異方性結晶材料に比べて大面積でかつ大量に、低コストで作成できる特徴がある。延伸する有機高分子材料としては、かなり広範な材料を用いることができる。例えばポリエステル系、ポリイミド系、ポリエチレン系、ポリカーボネート系、ポリビニルアルコール系、ポリメタクリル酸メチル系、ポリスチレン系、ポリサルフォン系、ポリエーテルサルフォン系、及びポリエチレンテレフタレート系などが適用できる(特開2000−075130号公報参照)。
【0058】
多くの有機高分子材料では、一例として図5(A)に示されるように、延伸方向の屈折率n1eが延伸方向に直交する方向の屈折率n1oよりも大きくなるように光学的異方性が現れ、面内の屈折率分布は延伸方向を長軸とする楕円形状となる。但し、ポリスチレン系の有機高分子材料では、一例として図5(B)に示されるように、延伸方向に直交する方向の屈折率n1oが延伸方向の屈折率n1eよりも大きくなるように光学的異方性が現れ、面内の屈折率分布は延伸方向を短軸とする楕円形状となる。なお、図5(A)及び図5(B)では、延伸により屈折率が大きくなる方向に直交する方向では、屈折率は変化しないとしているが、若干変化する場合もある。
【0059】
《n1o=n2oの場合》
ここで、有機延伸膜53cの延伸方向に対応する液晶53eの屈折率をn2e、延伸方向に直交する方向に対応する液晶の屈折率をn2oとする。そして、次の(1)式が満足されると、入射光に含まれる有機延伸膜53cの延伸方向に直交する方向に振動する偏光成分(以下、便宜上「直交偏光成分」ともいう)は0次光として全て直進する。
【0060】
1o=n2o ……(1)
【0061】
また、次の(2)式が満足されると、入射光に含まれる有機延伸膜53cの延伸方向に振動する偏光成分(以下、便宜上「平行偏光成分」ともいう)は最も高い回折効率で回折される。ここで、hは凹凸格子の格子深さ、λは光の波長、mは任意の整数である。なお、回折方向は周期的な凹凸格子の格子長手方向に直交する方向、いわゆる格子ベクトル方向である。
【0062】
(n1e−n2e)・h=(m+1/2)λ ……(2)
【0063】
特に上記(1)式と(2)式とが同時に満足されると、最大の偏光分離性を得ることができる。すなわち、入射光に含まれる平行偏光成分は最も高い回折効率で回折されるとともに、直交偏光成分は全て直進することとなる。なお、上記(1)式又は(2)式がほぼ満足される場合であっても、高い偏光分離性を得ることができる。
【0064】
上記(1)式と(2)式とが同時に満足されると、格子深さhは上記(2)式によって決定されることとなる。そこで、次の(3)式で示される屈折率差Δnが大きくなるように、有機延伸膜53c及び液晶53eを配置すれば、格子深さhを浅くすることができる。
【0065】
Δn =|n1e−n2e| ……(3)
【0066】
そこで、図5(A)に示されるように有機延伸膜53cの延伸方向の屈折率n1eが延伸方向に直交する方向の屈折率n1oよりも大きい場合には、次の(4)式を満たすような配置が好ましい。特に、一例として図6(A)に示されるように、入射光から見た時の有機延伸膜53cの面内屈折率分布の長軸と液晶53eの面内屈折率分布の長軸とが互いに直交するような配置が屈折率差Δnを最大にできる配置である。
【0067】
2e < n2o = n1o < n1e ……(4)
【0068】
一例として、n1o=1.58、n1e=1.67、n2o=1.58、n2e=1.38とすると、Δn=0.29となる。例えば液晶53eの代わりに屈折率n1oの等方性材料を用いた場合には、平行偏光成分に対する屈折率差(n1e−n1o)は0.09である。すなわち、液晶53eを用いることにより、屈折率差が約3倍になり、格子深さhを約1/3にすることができる。
【0069】
なお、上記(1)式が満足されない場合であっても、次の(5)式が満足されると、同様の効果を得ることができる。
【0070】
(n1o−n2o)・h=mλ ……(5)
【0071】
一方、図5(B)に示されるように有機延伸膜53cの延伸方向に直交する方向の屈折率n1oが延伸方向の屈折率n1eよりも大きい場合には、次の(6)式を満たすような配置が好ましい。特に、一例として図6(B)に示されるように、入射光から見た時の有機延伸膜53cの面内屈折率分布の長軸と液晶53eの面内屈折率分布の長軸とが互いに直交するような配置が屈折率差Δnを最大にできる配置である。
【0072】
2e > n2o = n1o > n1e ……(6)
【0073】
《n1e=n2eの場合》
上記(1)式の代わりに、次の(7)式が満足されると、入射光に含まれる平行偏光成分が0次光として全て直進する。
【0074】
1e=n2e ……(7)
【0075】
また、次の(8)式が満足されると、入射光に含まれる直交偏光成分が最も高い回折効率で回折される。
【0076】
(n1o−n2o)・h=(m+1/2)λ ……(8)
【0077】
特に上記(7)式と(8)式とが同時に満足されると、最大の偏光分離性を得ることができる。すなわち、入射光に含まれる直交偏光成分は最も高い回折効率で回折されるとともに、平行偏光成分は全て直進することとなる。なお、上記(7)式又は(8)式がほぼ満足される場合であっても、高い偏光分離性を得ることができる。
【0078】
上記(7)式と(8)式とが同時に満足されると、凹凸格子深さhは上記(8)式によって決定されることとなる。そこで、次の(9)式で示される屈折率差Δn’が大きくなるように、有機延伸膜53c及び液晶53eを配置すれば、格子深さhを浅くすることができる。
【0079】
Δn’=|n1o−n2o| ……(9)
【0080】
そこで、図5(A)に示されるように有機延伸膜53cの延伸方向の屈折率n1eが延伸方向に直交する方向の屈折率n1oよりも大きい場合には、次の(10)式を満たすような配置が好ましい。特に、一例として図7(A)に示されるように、入射光から見た時の有機延伸膜53cの面内屈折率分布の長軸と液晶53eの面内屈折率分布の長軸とが互いに直交するような配置が屈折率差Δn’を最大にできる配置である。
【0081】
2o > n2e = n1e > n1o ……(10)
【0082】
一例として、n1o=1.58、n1e=1.67、n2o=1.87、n2e=1.67とすると、Δn’=0.29となる。例えば液晶53eの代わりに屈折率n1oの等方性材料を用いた場合には、平行偏光成分に対する屈折率差(n1e−n1o)は0.09である。すなわち、液晶53eを用いることにより、屈折率差が約3倍になり、格子深さhを約1/3にすることができる。
【0083】
なお、上記(7)式が満足されない場合であっても、次の(11)式が満足されるように設定すると、同様の効果を得ることができる。
【0084】
(n1e−n2e)・h=mλ ……(11)
【0085】
一方、図5(B)に示されるように有機延伸膜53cの延伸方向に直交する方向の屈折率n1oが延伸方向の屈折率n1eよりも大きい場合には、次の(12)式を満たすような配置が好ましい。特に、一例として図7(B)に示されるように、入射光から見た時の有機延伸膜53cの面内屈折率分布の長軸と液晶53eの面内屈折率分布の長軸とが互いに直交するような配置が屈折率差Δnを最大にできる配置である。
【0086】
2o < n2e = n1e < n1o ……(12)
【0087】
ここで、偏光ホログラム素子53の製造方法の一例について図8〜図10(B)を用いて説明する。なお、実際は複数個の偏光ホログラム素子が同時に製造されるが、図8〜図10(B)には便宜上1個の偏光ホログラム素子に対応する部分のみが示されている。
【0088】
1.第1ガラス基板53aとなるガラス円板G1及び第2ガラス基板53dとなるガラス円板G2のそれぞれ片面に誘電体多層膜を反射防止膜MBとして形成する(図8(A)参照)。なお、ガラス円板G1及びガラス円板G2は通常のシリコンウェハと同程度の直径(例えば約10cm)を有している。
2.ガラス円板G2を反転させ、反射防止膜MBが形成されていない面に、有機延伸膜53cとなる有機延伸膜シートMCを接着剤AD1を介して貼り付ける(図8(B)参照)。
3.スピン塗布装置を用いて、有機延伸膜シートMCの表面に感光性樹脂(以下、「フォトレジスト」と呼ぶ)Rを均一に塗布する(図8(C)参照)。
4.露光装置を用いて、所定の周期的格子パターンをフォトレジストRに転写した後、現像装置を用いてフォトレジストRを現像し、フォトレジストRによる周期的凹凸格子パターンを形成する(図8(D)参照)。このときの露光はマスクによる密着露光でもよいし、投影露光でもよい。この他、電子線等を用いた露光や、レーザ光による干渉露光などでもよい。
5.蒸着装置あるいはスパッタリング装置を用いて、アルミニウムやクロム等の金属層MPをフォトレジストによる周期的凹凸格子パターン上に形成する(図8(E)参照)。
6.溶剤を用いてフォトレジストRを除去し、金属層MPの周期的凹凸格子パターンを有機延伸膜シートMCに残す(図9(A)参照)。
7.反応性イオンエッチング装置を用いて、金属層MPの周期的凹凸格子パターンをエッチングマスクとして酸素ガスやCFガス等により有機延伸膜シートMCをドライエッチングし、所定の深さの溝を形成する(図9(B)参照)。
8.金属層MPを硫酸などの酸で溶解して、周期的凹凸格子パターンを有する有機延伸膜シートMCを得る(図9(C)参照)。
9.ガラス円板G1の反射防止膜MBが形成されていない面に、スピン塗布装置を用いて配向剤(例えばポリイミド)を塗布した後、所定の熱処理を行う。これにより、配向膜が形成される。
10.有機延伸膜シートMCの凹凸形成面において、1個の偏光ホログラム素子に対応する部分毎にシール材SEで取り囲む(図9(D)参照)。ここでは、シール材SEとして球状スペーサを含む紫外線硬化型エポキシ接着剤が用いられる。なお、後工程で凹凸の溝に液晶を充填するために、シール材SEの一部に液晶の注入口及び空気抜き(いずれも不図示)が設けられている。
11.有機延伸膜シートMCの凹凸形成面と配向膜MHとがそれぞれ対向するように、ガラス円板G2とガラス円板G1とを重ね合わせる(図10(A)参照)。
12.紫外線照射装置を用いてシール材SEに紫外線を照射し、シール材SEを硬化させる。
13.有機延伸膜シートMCの凹凸形成面と配向膜MHとの間の空間に液晶LCを充填する(図10(B)参照)。これにより、ガラス円板G1、液晶LC、有機延伸膜シートMC、及びガラス円板G2が積層され一体化した円板(以下、便宜上「積層円板」という)HPが作られる。
14.積層円板HPを切断装置にセットし、所定の寸法に切断する。そして、仕上げ工程、洗浄・乾燥工程及び検査工程などを経て偏光ホログラム素子53となる。すなわち、1枚の積層円板HPから複数個の偏光ホログラム素子53を得ることができる。
【0089】
なお、上記製造方法では、金属層MPの周期的凹凸格子パターンを形成する場合について説明したが、フォトレジストによる周期的凹凸格子パターンを形成した後、このフォトレジストをエッチングマスクとして酸素ガスやCFガス等による反応性イオンエッチングでドライエッチングし、溶剤あるいはガスによるアッシングでフォトレジストマスクを除去して、図9(C)に示されるように周期的凹凸格子パターンを有する有機延伸膜シートMCを得るようにしてもよい。なお、配向膜MHや周期的凹凸格子パターンを有する有機延伸膜シートMCの表面が液晶LCにより腐食されないようにSiNやSiO等を蒸着やスパッタリング等によりバリア層として形成するのが好ましい。
【0090】
上記のように構成される光ピックアップ装置23の作用を説明すると、半導体レーザ51aから出射された直線偏光(ここではP偏光)の光束は、偏光ホログラム素子53に入射する。この光束の殆どは偏光ホログラム素子53を透過し、コリメートレンズ52で略平行光となった後、λ/4板55で円偏光とされ、対物レンズ60を介して光ディスク15の記録面に微小スポットとして集光される。光ディスク15の記録面にて反射した反射光は、往路とは反対回りの円偏光となり、戻り光束として対物レンズ60で再び略平行光とされ、λ/4板55で往路と直交した直線偏光(ここではS偏光)とされる。そして、この戻り光束は、コリメートレンズ52を透過した後、偏光ホログラム素子53に入射する。偏光ホログラム素子53では高い回折効率で回折され、受光器59で受光される。受光器59を構成する各受光素子は受光量に応じた信号をそれぞれ再生信号処理回路28に出力する。
【0091】
次に、前述の光ディスク装置20を用いて、光ディスク15にデータを記録する場合の処理動作について簡単に説明する。
【0092】
CPU40はホストから記録要求のコマンドを受信すると、記録速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、ホストから記録要求のコマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。また、CPU40はホストから受信したデータ(以下、「ユーザデータ」という)をバッファRAM34に蓄積するようにバッファマネージャ37に指示する。
【0093】
光ディスク15の回転が所定の線速度に達すると、前述の如くして、トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。なお、トラッキング制御及びフォーカス制御は記録処理が終了するまで随時行われる。
【0094】
そして、CPU40は、所定のタイミング毎に再生信号処理回路28から出力されるADIP情報に基づいて、指定された書き込み開始地点に光ピックアップ装置23が位置するように光ピックアップ装置23のシークモータを制御する信号をモータドライバ27に出力する。また、CPU40は、バッファマネージャ37からバッファRAM34に蓄積されたデータ量が所定の値を超えたとの通知を受けると、エンコーダ25に書き込み信号の生成を指示する。
【0095】
光ピックアップ装置23が書き込み開始地点に到達すると、CPU40はエンコーダ25に書き込みを許可する。これにより、ユーザデータは、エンコーダ25、レーザコントロール回路24及び光ピックアップ装置23を介して光ディスク15に書き込まれる。ユーザデータがすべて書き込まれると、所定の終了処理を行った後、記録処理を終了する。
【0096】
続いて前述した光ディスク装置20を用いて、光ディスク15に記録されているデータを再生する場合の処理動作について簡単に説明する。
【0097】
CPU40は、ホストから再生要求のコマンドを受信すると、再生速度に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するための制御信号をモータドライバ27に出力するとともに、ホストから再生要求のコマンドを受信した旨を再生信号処理回路28に通知する。
【0098】
光ディスク15の回転が所定の線速度に達すると、前記トラッキング制御及びフォーカス制御が行われる。なお、トラッキング制御及びフォーカス制御は再生処理が終了するまで随時行われる。
【0099】
CPU40は、所定のタイミング毎に再生信号処理回路28から出力されるADIP情報に基づいて、読み出し開始地点に光ピックアップ装置23が位置するようにシークモータを制御する信号をモータドライバ27に出力する。そして、光ピックアップ装置23が読み出し開始地点に到達すると、CPU40は再生信号処理回路28に通知する。
【0100】
そして、再生信号処理回路28は、前述の如く、受光器59の出力信号からRF信号を検出し、復号処理、誤り訂正処理などを行った後、再生データとしてバッファRAM34に蓄積する。バッファマネージャ37はバッファRAM34に蓄積された再生データがセクタデータとして揃ったときに、インターフェース38を介してホストに転送する。CPU40は、ホストから指定されたデータの再生がすべて終了すると、所定の終了処理を行った後、再生処理を終了する。
【0101】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る光ディスク装置20では、CPU40及び該CPU40によって実行されるプログラムによって、処理装置が実現されている。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではないことは勿論である。すなわち、上記実施形態は一例に過ぎず、上記のCPU40によるプログラムに従う処理によって実現した構成各部の少なくとも一部をハードウェアによって構成することとしても良いし、あるいは全ての構成部分をハードウェアによって構成することとしても良い。
【0102】
以上説明したように、本実施形態に係る偏光ホログラム素子によると、光学的異方性を有し、その1側の面に周期的な凹凸格子が形成された有機延伸膜と、周期的な凹凸に充填され、有機延伸膜の光学的異方性と所定の関係にある光学的異方性を有する液晶とを備えているために、最大の偏光分離性を容易に得ることができる。
【0103】
また、光学的異方性を有する高分子膜として有機延伸膜を用いている。有機延伸膜は透明度が高いため、偏光ホログラム素子における光量のロスを抑制することができる。すなわち、光利用効率の低下を抑制することができる。また、有機延伸膜は安価であるため、部品コストを低減することが可能となる。さらに、有機延伸膜はシート状であるため、小型化を促進することが可能となる。また、波長が660nmの光束に対する有機延伸膜の屈折率は1.6近傍であるため、汎用品として市販されている液晶を用いることが可能となる。従って、部品コストを低減することができる。
【0104】
また、本実施形態に係る偏光ホログラム素子の製造方法によると、回折効率を低下させることなく、有機延伸膜M1に形成する周期性凹凸格子の格子深さが従来の偏光ホログラム素子に比べて1/3程度と浅くすることができるため、製造工程において、周期性凹凸格子を形成する作業時間を短縮することができるとともに、歩留まりが向上し、低コスト化を促進することが可能となる。また、製品(偏光ホログラム素子)間の光学特性のばらつきを従来よりも小さくすることができる。従って、光利用効率に優れた小型の偏光回折素子を低コストで製造することができる。
【0105】
また、高分子膜として有機延伸膜を用いているために、微細加工が容易であり、有機延伸膜シートMCの表面に所定の凹凸を精度良く形成することができる。従って、歩留まりが向上し、低コスト化を促進することができるとともに、ほぼ設計通りの光学特性を有することとなる。
【0106】
また、本実施形態に係る光ピックアップ装置によると、光利用効率に優れた小型で安価な偏光ホログラム素子を用いているために、大型化及び高コスト化を招くことなく、光ピックアップ装置自体及び対物レンズの位置制御に必要な情報などを含む信号を精度良く出力することが可能となる。
【0107】
また、本実施形態に係る光ディスク装置によると、光ピックアップ装置の出力信号に基づいて光ピックアップ装置自体及び対物レンズの位置を精度良く制御することができるため、高速度での情報の記録、再生、及び消去のうち少なくとも再生を含むアクセスを精度良く安定して行うことが可能となる。さらに、光ピックアップ装置の小型化によって、光ディスク装置自体の小型化及び消費電力の低減も促進することができ、例えば携帯用として用いられる場合には、持ち運びが容易となり、更に長時間の使用が可能となる。
【0108】
なお、上記実施形態では、光学的異方性を有する高分子膜の材料として有機延伸膜を用いる場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えばポリエステル系高分子(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなど)のように延伸しなくても光学的異方性を有する高分子膜を用いても良い。
【0109】
また、上記実施形態では、偏光ホログラム素子53における第1ガラス基板53aが最も受発光モジュール51側に配置される場合について説明したが、これに限らず、第2ガラス基板53dが最も受発光モジュール51側に配置されても良い。
【0110】
また、上記実施形態では、偏光ホログラム素子53と受発光モジュール51とが一体化した場合について説明したが、これに限らず、それぞれ個別に配置されても良い。さらに、半導体レーザ51aと受光器59もそれぞれ個別に配置されても良い。
【0111】
また、上記実施形態では、光源として波長が660nmの光束を出射する半導体レーザを用いる場合について説明したが、これに限られるものはなく、例えば波長が405nmの光束を出射する光源及び波長が780nmの光束を出射する光源のいずれかが用いられても良い。但し、その場合には、偏光ホログラム素子の凹凸は、使用される光源から出射される光束の波長に対応したものとなる。
【0112】
また、上記実施形態では、光源が1つの場合について説明したが、本発明がこれに限定されるものではない。例えば波長が405nmの光束を出射する光源、波長が660nmの光束を出射する光源及び波長が780nmの光束を出射する光源のうち少なくとも2つの光源を備えていても良い。この場合には、各波長毎に偏光ホログラム素子を設けても良い。
【0113】
また、上記実施形態では、情報の記録及び再生が可能な光ディスク装置について説明したが、これに限らず、情報の記録、再生及び消去のうち、少なくとも情報の再生が可能な光ディスク装置であれば良い。
【0114】
また、上記実施形態では、インターフェースがATAPIの規格に準拠する場合について説明したが、これに限らず、例えばATA(AT Attachment)、SCSI(Small Computer System Interface)、USB(Universal Serial Bus)1.0、USB2.0、IEEE1394、IEEE802.3、シリアルATA及びシリアルATAPIのうちのいずれかの規格に準拠しても良い。
【0115】
【発明の効果】
本発明に係る偏光回折素子によれば、光利用効率を低下させることなく、小型化及び低コスト化を促進することができるという効果がある。
【0116】
また、本発明に係る偏光回折素子の製造方法によれば、光利用効率に優れた小型の偏光回折素子を低コストで製造することができるという効果がある。
【0117】
また、本発明に係る光ピックアップ装置によれば、大型化及び高コスト化を招くことなく、光ピックアップ装置自体及び対物レンズの位置制御に必要な情報などを含む信号を精度良く出力することができるという効果がある。
【0118】
また、本発明に係る光ディスク装置によれば、情報記録媒体への高速度でのアクセスを精度良く安定して行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図1の光ピックアップ装置の概略構成を示す図である。
【図3】図2における受発光モジュールの構成を説明するための図である。
【図4】図2における偏光ホログラム素子の詳細構成を説明するための図である。
【図5】図5(A)及び図5(B)は、それぞれ有機延伸膜の光学的異方性を説明するための図である。
【図6】図6(A)及び図6(B)は、それぞれ有機延伸膜の屈折率と液晶の屈折率との設定方法(その1)を説明するための図である。
【図7】図7(A)及び図7(B)は、それぞれ有機延伸膜の屈折率と液晶の屈折率との設定方法(その2)を説明するための図である。
【図8】図8(A)〜図8(E)は、それぞれ偏光ホログラム素子の製造方法を説明するための図(その1)である。
【図9】図9(A)〜図9(D)は、それぞれ偏光ホログラム素子の製造方法を説明するための図(その2)である。
【図10】図10(A)及び図10(B)は、それぞれ偏光ホログラム素子の製造方法を説明するための図(その3)である。
【符号の説明】
15…光ディスク(情報記録媒体)、20…光ディスク装置、23…光ピックアップ装置、40…CPU(処理装置)、51a…半導体レーザ(光源)、53…偏光ホログラム素子(偏光回折素子)、53a…第1ガラス基板(透明部材)、53c…有機延伸膜(有機高分子膜)、53e…液晶、59…受光器(光検出器)、60…対物レンズ、MC…有機延伸膜(有機高分子膜)、LC…液晶。

Claims (14)

  1. 光学的異方性を有し、その一側の面に周期的な凹凸格子が形成された高分子膜と;
    前記凹凸格子に対向して配置され、光に対してほぼ透明な透明部材と;を備え、
    前記高分子膜と前記透明部材との間の前記凹凸格子の少なくとも凹部に、前記高分子膜の光学的異方性と所定の関係にある光学的異方性を有する液晶が充填されていることを特徴とする偏光回折素子。
  2. 前記高分子膜では、第1の方向の屈折率n1eと前記第1の方向に直交する第2の方向の屈折率n1oとが異なり、
    前記液晶では、前記第1の方向の屈折率n2eと前記第2の方向の屈折率n2oとが異なることを特徴とする請求項1に記載の偏光回折素子。
  3. 前記屈折率n1oと前記屈折率n2oとは、前記凹凸格子の深さh、入射する光の波長λ及び任意の整数mを用いて、(n1o−n2o)・h≒mλを満足する関係にあることを特徴とする請求項2に記載の偏光回折素子。
  4. 前記屈折率n1eと前記屈折率n2eとは、(n1e−n2e)・h≒(m+1/2)λを満足する関係にあることを特徴とする請求項3に記載の偏光回折素子。
  5. 前記屈折率n1eと前記屈折率n2eとは、前記凹凸格子の深さh、入射する光の波長λ及び任意の整数mを用いて、(n1e−n2e)・h≒(m+1/2)λを満足する関係にあることを特徴とする請求項2に記載の偏光回折素子。
  6. 前記屈折率n1e、前記屈折率n1o、前記屈折率n2e、及び前記屈折率n2oは、n2e<n2o≒n1o<n1e、もしくは、n2e>n2o≒n1o>n1eを満足する関係にあることを特徴とする請求項4又は5に記載の偏光回折素子。
  7. 前記屈折率n1eと前記屈折率n2eとは、前記凹凸格子の深さh、入射する光の波長λ及び任意の整数mを用いて、(n1e−n2e)・h≒mλを満足する関係にあることを特徴とする請求項2に記載の偏光回折素子。
  8. 前記屈折率n1oと前記屈折率n2oとは、(n1o−n2o)・h≒(m+1/2)λを満足する関係にあることを特徴とする請求項7に記載の偏光回折素子。
  9. 前記屈折率n1oと前記屈折率n2oとは、前記凹凸格子の深さh、入射する光の波長λ及び任意の整数mを用いて、(n1o−n2o)・h≒(m+1/2)λを満足する関係にあることを特徴とする請求項2に記載の偏光回折素子。
  10. 前記屈折率n1e、前記屈折率n1o、前記屈折率n2e、及び前記屈折率n2oは、n2o<n2e≒n1e<n1o、もしくは、n2o>n2e≒n1e>n1oを満足する関係にあることを特徴とする請求項8又は9に記載の偏光回折素子。
  11. 前記高分子膜は、高分子の有機材料が前記第1の方向に延伸され、成形された有機高分子膜であることを特徴とする請求項2〜10のいずれか一項に記載の偏光回折素子。
  12. 偏光回折素子の製造方法であって、
    光学的異方性を有する高分子膜の一方の面に周期的な凹凸格子を形成する第1工程と;
    前記凹凸格子と対向するように、光に対してほぼ透明な透明部材を前記高分子膜に固定する第2工程と;
    前記高分子膜と前記透明部材との間の前記凹凸格子の少なくとも凹部に、前記高分子膜の光学的異方性と所定の関係にある光学的異方性を有する液晶を充填する第3工程と;を含む偏光回折素子の製造方法。
  13. 情報記録媒体の記録面に光を照射し、前記記録面からの反射光を受光する光ピックアップ装置であって、
    光源と;
    前記光源から出射される光束を前記記録面に集光する対物レンズと、前記記録面で反射され前記対物レンズを介した戻り光束の光路上に配置され、前記戻り光束をその光路上から分岐する請求項1〜11のいずれか一項に記載の偏光回折素子とを含む光学系と;
    前記偏光回折素子で分岐された前記戻り光束を受光する光検出器と;を備える光ピックアップ装置。
  14. 情報記録媒体に対して、情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも再生を行なう光ディスク装置であって、
    請求項13に記載の光ピックアップ装置と;
    前記光ピックアップ装置からの出力信号を用いて、前記情報の記録、再生及び消去のうち少なくとも再生を行なう処理装置と;を備える光ディスク装置。
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