JP2005029656A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】磁気テープとして用いる際に、バックコート層側に容易にサーボトラックを形成することが可能な二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができ、特にバックコート層側にサーボトラックを形成した磁気記録テープ用ベースフィルム用途として好適な二軸配向ポリエステルフィルムを提供する
【解決手段】一方の表面(A面)の中心線平均粗さRaAが3〜30nmであり、かつもう一方の表面(B面)の中心線平均粗さRaBが0.5〜10nmであり、いずれかの表面の光沢度が20〜170%であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムとする。または、屈折率が1.2〜1.6であるポリマー層を少なくとも1層有し、かつ一方の表面(A面)の中心線平均粗さRaAが3〜30nmであり、もう一方の表面(B面)の中心線平均粗さRaBが0.5〜10nmである二軸配向ポリエステルフィルムとする。
【選択図】 図2
【解決手段】一方の表面(A面)の中心線平均粗さRaAが3〜30nmであり、かつもう一方の表面(B面)の中心線平均粗さRaBが0.5〜10nmであり、いずれかの表面の光沢度が20〜170%であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムとする。または、屈折率が1.2〜1.6であるポリマー層を少なくとも1層有し、かつ一方の表面(A面)の中心線平均粗さRaAが3〜30nmであり、もう一方の表面(B面)の中心線平均粗さRaBが0.5〜10nmである二軸配向ポリエステルフィルムとする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルフィルムの品質、特に光学的サーボトラックを有する磁気記録装置用磁気テープのベースフィルムとして用いる際のサーボ特性を大幅に向上させることが可能な二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
二軸配向ポリエステルフィルムは、その優れた熱特性、寸法安定性、機械特性および表面形態の制御のし易さから各種用途に使用されており、特に磁気テープ用などのベースフィルムとしての有用性が知られている。近年、磁気テープは、コンピュータのバックアップなどのデータストレージ用途などにおいて、大容量記録化が要求されている。大容量化のためには、薄膜化によるテープカートリッジ収容テープ長の増加や、記録信号の小型化による高密度記録化などが有効である。しかしながら、テープを薄膜化する場合、テープスティフネスが低下することによって磁気ヘッドと磁気テープの接触状態が不良となることがあり、また、記録密度を高めると、磁気テープの走行時における熱や、またテープ保存時の熱変形により、記録トラックのずれを起こしやすくなる問題点がある。
【0003】
そこで、大容量化のもう一つの手法として、磁気テープのバックコート層側にサーボトラックを形成することにより、磁性層のデータエリアの面積を減少させることなくサーボトラッキングを行う手法が知られている(例えば、特許文献1〜4)。これら文献では、磁気テープのバックコート層を改良する手法が開示されているが、このような手法の場合、磁気テープ加工工程が複雑となり、生産性が低下することや、加工コストが増加する問題がある。
【0004】
そこで、磁気テープのバックコートを改良する方法ではなく、バックコート層の一部にバックコート層を塗布せず、ベースフィルムを露出させた部分を設け、バックコート層と基材であるベースフィルムの光沢度の差を利用して光学的にサーボトラッキングを行う手法が考えられる。しかし、通常磁気テープ用ベースフィルムは表面平滑性が求められるため(例えば、特許文献5、特許文献6)、粒子やボイドの少ない透明なフィルムであり、バックコート層と光沢度の差が大きい低光沢度のフィルムは知られていない。
【0005】
また、これに対して、低光沢度のポリエステルフィルムは、不活性無機粒子を含有させ表面に適度な凹凸を形成させているため、高密度磁気テープとして必要な表面平滑性を達成することは困難であるのが現状である(例えば、特許文献7、特許文献8)。
【0006】
【特許文献1】特開平11−216684号公報
【0007】
【特許文献2】特開平11−242814号公報
【0008】
【特許文献3】特開2001−148115号公報
【0009】
【特許文献4】特開2002−8332号公報
【0010】
【特許文献5】特開2001−270056号公報
【0011】
【特許文献6】特開2001−319323号公報
【0012】
【特許文献7】特開2002−309014号公報
【0013】
【特許文献8】特開平9−1648号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、磁気テープとして用いる際に、バックコート層側に容易にサーボトラックを形成することが可能な、特にバックコート層側にサーボトラックを形成した磁気記録テープ用ベースフィルム用途として好適な二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題について鋭意検討した結果、二軸配向ポリエステルフィルムの光沢度を改良すること、または低屈折率のポリマー層を積層することで磁気テープとして用いる際に、バックコート層側に容易にサーボトラックを形成することが可能で、サーボ特性を大幅に向上することを見いだし発明の完成に至った。
【0016】
すなわち、上記課題を達成するための本発明は、一方の表面(A面)の中心線平均粗さRaAが3〜30nmであり、かつもう一方の表面(B面)の中心線平均粗さRaBが0.5〜10nmであり、いずれかの表面の光沢度が20〜170%である二軸配向ポリエステルフィルムを特徴とする。
【0017】
また、屈折率が1.20〜1.60であるポリマー層を少なくとも1層有し、かつ一方の表面(A面)の中心線平均粗さRaAが3〜30nmであり、もう一方の表面(B面)の中心線平均粗さRaBが0.5〜10nmである二軸配向ポリエステルフィルムを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは一方の表面(A面)の中心線平均粗さRaAが3〜30nmである。RaAが3nmより小さい場合は、フィルム製造、加工工程などで、搬送ロールなどとの摩擦係数が大きくなり、工程トラブルを起こすことがあり、磁気テープとして用いる場合に、ガイドロールとの摩擦が大きくなり、テープ走行性が低下することがある。また、RaAが30nmより大きい場合は、フィルムロールやパンケーキとして保存する際に、A面側の表面突起がB面側に転写し、B面側が粗くなり、電磁変換特性が低下する傾向がある。
より好ましくは5〜12nm、さらに好ましくは7〜10nmである。
【0019】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムはA面と反対側の表面(B面)の中心線平均粗さRaBは0.5nm〜10nmである。RaBが0.5nmより小さい場合は、フィルム製造、加工工程などで、搬送ロールなどとの摩擦係数が大きくなり、工程トラブルを起こすことがあり、磁気テープとして用いる場合に、磁気ヘッドとの摩擦が大きくなり、磁気テープ特性が低下しやすい。また、RaBが10nmより大きい場合は、高密度記録の磁気テープとして用いる場合に、磁性面側が粗くなり、電磁変換特性が低下することがある。より好ましくは2〜9nm、さらに好ましくは3〜8nmである。
【0020】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは少なくとも一方の表面の光沢度が20〜170%である。特に限定はされないがA面の光沢度が20〜170%であることが好ましい。光沢度が20%より小さい場合、光学サーボでは感知できずエラーとなる場合がある。光沢度が170%より大きい場合は磁気テープとした場合、バックコート層とベースフィルム部分の光沢度の差が小さいため、光学サーボの感度が低下しやすい。より好ましくは40〜150%、さらに好ましくは60〜120%である。
【0021】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは屈折率が1.20〜1.60であるポリマー層を少なくとも1層有するフィルムである。特に限定はされないがA面側に屈折率が1.20〜1.60であるポリマー層が積層されていることが好ましい。屈折率が1.20より小さい場合は光学サーボでは感知できずエラーとなる場合がある。屈折率が1.60より大きい場合は磁気テープとして用いる場合、バックコート層とベースフィルム部分の光沢度の差が小さいため、光学サーボの感度を低下させることがある。より好ましくは1.25〜1.58、さらに好ましくは1.30〜1.56である。ここでいう屈折率とは積層状態(上記ポリマー層とその他の層とが積層された状態)において測定される値をいう。また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを使用した磁気テープの磁性層やバックコート層を剥離した後のベースフィルムを測定しても良い。
【0022】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは特に限定されないが、ポリマー層がアクリル系樹脂、フッ素系樹脂およびウレタン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーを含んでいることが好ましい。特に密着性、屈折率の観点からアクリル系樹脂が好ましい。なお、上記ポリマー層は、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂およびウレタン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーのみから成っていてもよい。
【0023】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにポリマー層を設ける方法は特に限定されないが、コーティング、ラミネート、共押出が好ましい。特にフィルム製膜工程中に塗液を塗布し、乾燥、熱処理する、いわゆるインラインコーティング法が好ましい。インラインコーティング法は特に限定はされないが、例えば、溶融押出された未延伸フィルムを長手方向に延伸した後に連続的に塗液を塗布し、その後段階的に加熱されたゾーンを通過させつつ乾燥せしめ、幅方向に延伸し熱処理する方法などがある。また、塗液を塗布する前に基材フィルムの表面にコロナ放電処理などを施し、該基材フィルム表面の濡れ張力を大きくさせることが積層膜と基材フィルム表面との接着性や塗布性を向上させることができるので好ましい。さらに好ましくは、イソプロピルアルコール、ブチルセロソルブ、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶媒を塗液中に少量含有させて、濡れ性や基材フィルム表面との接着性を向上させることもできる。
【0024】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに設けるポリマー層の厚みは特に限定はされないが0.005〜1μmが好ましい。0.005μm未満の場合、効果が小さすぎる場合がある。1μmより厚い場合、磁気テープとして使用した際に総厚みが厚くなりすぎるために大容量化が図りにくい。より好ましくは0.01〜0.5μm、さらに好ましくは0.05〜0.25μmである。
【0025】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのポリマー層中にアクリル系樹脂を含有させる場合、該アクリル系樹脂を構成するモノマー成分としては特に限定はされないが、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基など)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有モノマー、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸、およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩など)などのカルボキシル基またはその塩を含有するモノマーなどを用いることができ、これらは1種もしくは2種以上を用いて共重合される。さらに、これらは他種のモノマーと併用することができる。他種のモノマーとしては、例えば、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有モノマー、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)などのスルホン酸基またはその塩を含有するモノマー、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)などのカルボキシル基またはその塩を含有するモノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物を含有するモノマー、ビニルイソシアネートアリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリスアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリルアルキルイタコン酸モノエステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニルなどを用いることができる。また、変性アクリル共重合体、例えばポリエステル、ウレタン、エポキシ、フッ化ビニリデンなどで変性したブロック共重合体、グラフト共重合体なども可能である。
【0026】
好ましいアクリル系樹脂としては、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、アクリル酸から選ばれる共重合体などである。該アクリル樹脂を水に溶解、乳化、あるいは懸濁し、水系アクリル樹脂として用いることが環境汚染や塗布時の防爆性の点で好ましい。このような水系アクリル樹脂は親水性基を有するモノマー(アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、ビニルスルホン酸およびその塩など)との共重合や反応性乳化剤や界面活性剤を用いた乳化重合、懸濁重合、ソープフリー重合などの方法によって作製することができる。該アクリル系樹脂の重量平均分子量は特に限定されないが10万以上が好ましく、より好ましくは30万以上とするのが接着性の観点から好ましい。
【0027】
上記のポリマー層にウレタン系樹脂を含有させる場合、特に限定はされないがアニオン性基を有する水溶性あるいは水分散性ウレタン樹脂が好ましい。主要構成成分としては、ポリオール、ポリイソシアネートを共重合して得られるものである。また、水への親和性を高めるためにカルボン酸塩基、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基または硫酸半エステル塩基などを含有することが好ましく、ポリマー層中における含有量は0.5〜15重量%が好ましい。
【0028】
ポリオール化合物としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、アクリル系ポリオールなどを用いることができる。
【0029】
ポリイソシアネート化合物としては特に限定されないが、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールエタンの付加物などを用いることができる。該ウレタン系樹脂は鎖長延長剤、架橋剤などを含んでも良く、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどを用いることができる。
【0030】
アニオン性基を有するウレタン系樹脂の製造方法は特に限定されないが、例えば、ポリオール、ポリシソシアネート、鎖長延長剤などにアニオン性基を有する化合物を用いる方法、生成したウレタン系樹脂の未反応イソシアネート基とアニオン性基を有する化合物を反応させる方法、ウレタン系樹脂の活性水素を有する基と特定の化合物を反応させる方法などが好ましい。また、分子量300〜20000のポリオール、ポリイソシアネート、反応性水素原子を有する鎖長延長剤及びイソシアネート基と反応する基、及びアニオン性基を少なくとも1個有する化合物からなる樹脂が好ましい。ウレタン系樹脂中のアニオン性基はスルホン酸基、カルボン酸基およびこれらのアンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩あるいはマグネシウム塩が好ましい。より好ましくはスルホン酸基である。ポリウレタン系樹脂中のアニオン性基の量は0.05〜8重量%が好ましい。0.05重量%未満ではウレタン系樹脂の水分散性が悪くなる傾向があり、8重量%を越えると樹脂の耐水性やタイブロッキング性が劣る傾向がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに積層するフッ素系樹脂は、特に限定はされないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド等が挙げられる
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、二軸に配向したフィルムである。
フィルムが、2層以上の積層構成である場合には、これを構成するフィルム層の少なくとも1層が二軸に配向している必要がある。全ての層が無配向や一軸配向では本発明の特性を満足させることができない。
【0031】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは特に限定されないがフィルムに波長750nmの光線を入射した場合、少なくとも一方の反射率が50%以下であることが好ましい。さらに好ましくはA面が反射率50%以下であることが好ましい。本発明の範囲内の表面粗さで反射率が50%より大きい二軸配向ポリエステルフィルムは工業的に製造が困難である。より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下である。
【0032】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは特に限定されないが温度50℃、荷重28MPaの条件下で30分経過後の長手方向のクリープコンプライアンスが0.10〜0.35GPa−1の範囲であることが好ましい。クリープコンプライアンスが、0.35GPa−1より大きい場合、荷重下でフィルム変形が起こりやすく、例えば、磁気記録媒体用に用いる場合、磁気テープの走行時あるいは保存時の張力によるテープの伸び変形が起こりやすく、記録再生時にトラックずれを発生する懸念が生じることがある。また、クリープコンプライアンスが、0.10GPa−1より小さい場合、フィルムの破断が生じやすく、例えば、磁気記録媒体用として用いる場合、磁気テープの破断が生じることがある。より好ましくは0.11〜0.30GPa−1、さらに好ましくは0.12〜0.25GPa−1である。なお、本発明でいうクリープコンプライアンスとは、「高分子化学序論(第2版)」((株)化学同人発行)p150に記載されたものである。
【0033】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは特に限定されないが少なくとも一方の表面の動摩擦係数μkが0.15〜0.35の範囲であることが好ましい。さらに好ましくはA面がμk0.15〜0.35の範囲であることが好ましい。μkが0.35より大きい場合、例えば記録媒体用に用いる場合、テープ走行性やテープ表面の耐久性が低下したり、磁気ヘッド摩耗を引き起こしたりするという問題がある。μkが0.15より小さい場合、磁気テープとして使用した際滑りすぎるために走行中にぶれてしまい安定した走行が困難となる。より好ましくは0.17〜0.32、さらに好ましくは0.20〜0.30である。
【0034】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などの酸成分やジオール成分を構成単位(重合単位)とするポリマーである。
【0035】
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ましくは、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることができる。脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0036】
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも好ましくは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等を用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコール等を用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0037】
また、ポリエステルには、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物が共重合されていてもよいし、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリトール、2,4−ジオキシ安息香酸、等の3官能化合物などが、過度に分枝や架橋をせずポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。さらに酸成分、ジオール成分以外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の少量であればさらに共重合せしめることができる。
【0038】
本発明のポリエステルとしては、特に限定はされないがポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。またこれらの共重合体、および変性体でもよい。
【0039】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは特に限定されないが2層以上の積層構成であることが好ましい。特に、磁気テープなどの磁気記録媒体用途に用いる場合、表裏の表面には、優れた電磁変換特性を得るための平滑な表面と、製膜・加工工程での搬送や、磁気テープの走行性や走行耐久性を付与するために比較的粗い表面という異なる粗さの表面形態が求められる。この意味でも、フィルムは2層以上の積層構成であることが好ましい。
【0040】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムはフィルム表面に易滑性や耐摩耗性、耐スクラッチ性などを付与するために特に限定されないが無機粒子、有機粒子、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カリオン、タルク、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系樹脂、熱硬化樹脂、シリコーン、イミド等を構成成分とする有機粒子、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等によって析出する粒子(いわゆる内部粒子)などが添加されてもよい。
【0041】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに含有させる粒子の平均粒径や含有量はフィルム用途や積層構成によって大きく異なる。特に、磁気テープなどの磁気記録媒体用途に用いる場合、通常は、一つの表層(A層)には比較的粒径の大きな粒子を添加し、反対側の表層(B層)には粒径の小さな粒子を添加する手法が一般的である。A層に添加する粒子は磁気テープの走行性、走行耐久性、裏写りの観点から、平均粒径は0.01〜2μmが好ましく、より好ましくは0.01〜1μmである。含有量は0.001〜3重量%、好ましくは0.005〜1重量%である。B層に添加する粒子の平均粒径は、電磁変換特性や磁気ヘッドとの摩耗性などの観点から、0.005〜0.5μmが好ましく、より好ましくは0.01〜0.3μmである。含有量は、電磁変換特性、粒子凝集による粗大突起生成、突起の削れなどの観点から、0.01〜1重量%が好ましく、より好ましくは0.02〜0.05重量%である。また、各層に含有させる粒子は1種類でもよいが、2種類以上併用しても構わない。特に限定されないがA層はA面側であることが好ましい。
【0042】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、本発明を阻害しない範囲内で各種添加剤、例えば、相溶化剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、などが添加されてもよい。
【0043】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは必要に応じて、熱処理、マイクロ波加熱、成形、表面処理、ラミネート、コーティング、印刷、エンボス加工、エッチング、などの任意の加工を行ってもよい。
【0044】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのヤング率は、フィルムの使用用途によって大きく異なるが、例えば、磁気記録媒体用途として用いる場合、長手方向のヤング率と幅方向のヤング率の和は、磁気テープの伸び変形などの観点から、10〜25GPaの範囲であることが好ましく、より好ましくは11.5〜22GPa、さらに好ましくは14〜20GPaである。また、長手方向のヤング率は、磁気ヘッドとのヘッド当たりなどの観点から、5.5GPa以上が好ましく、より好ましくは6.5GPa以上、最も好ましくは、7.5GPa以上である。幅方向のヤング率は、テープエッジダメージなどの観点から、4.5GPa以上が好ましく、より好ましくは5GPa以上、最も好ましくは、5.5GPa以上である。
【0045】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの熱収縮率は、フィルムの使用用途によって大きく異なるが、例えば、磁気記録媒体用途として用いる場合、長手方向の温度100℃、30分における熱収縮率は、寸法安定性やテープの伸び変形性および保存性の観点から、1.2%以下であることが好ましい。より好ましくは、1%以下である。幅方向の温度100℃、30分における熱収縮率は、テープの保存性および磁気テープ加工時の安定性の観点から、0.5%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.3%以下である。
【0046】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリマーの固有粘度は、フィルム成形加工の安定性や熱可塑性樹脂との混合性の観点から、0.55〜3(dl/g)の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、0.6〜2(dl/g)である。また、製膜後のフィルムの固有粘度は、フィルム成形加工の安定性や寸法安定性などの観点から、0.5〜2(dl/g)の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.55〜1(dl/g)である。
【0047】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの用途は、特に限定されないが、磁気記録媒体用ベースフィルムやコンデンサー用途、感熱転写リボン用途、感熱孔版用途、光学材料用途などに用いられる。中でも、高い寸法安定性を必要とするデータストレージ用ベースフィルムや蒸着型磁性層を有するデジタルビデオテープなどの磁気記録媒体に好ましく用いられる。中でも特に好ましくは、走行面側に光学サーボ機能を有するデータストレージ用磁気テープのベースフィルムに適したものである。
【0048】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの厚みは、用途に応じて適宜決定できるが、通常磁気記録媒体用途では3〜15μmが好ましい。中でも、高密度磁気記録媒体用途の場合、3〜8μmが好ましく、より好ましくは4〜7μm、最も好ましくは4.5〜6μmである。厚みが3μmより小さい場合は、テープに腰がなくなるため、電磁変換特性が低下することがあり、8μmより大きい場合は、テープ1巻あたりのテープ長さが短くなるため、磁気テープの小型化、高容量化が困難になる場合がある。
【0049】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に磁性層を設けることにより、磁気記録媒体として用いることができる。この場合、磁性層としては、強磁性金属薄膜や強磁性金属微粉末を結合剤中に分散してなる磁性層や金属酸化物塗布による磁性層などが好適な例として挙げられる。前記強磁性金属薄膜に用いる金属としては、鉄、コバルト、ニッケルやその合金等が好ましい。また、前記強磁性金属微粉末を結合剤中に分散してなる磁性層に用いる強磁性金属微粉末としては、強磁性六方晶フェライト微粉末や、鉄、コバルト、ニッケルやその合金からなる粉末が好ましい。前記結合剤としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物などが好ましい。
【0050】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造するための方法においては、ポリエステルのペレットを押出機を用いた溶融押出により口金から吐出し、吐出されたポリマーを冷却固化させてシート状に成形することが好ましい。その際、繊維焼結ステンレス金属フィルターによりポリマーを濾過することが、ポリマー中の未溶融物を除去するために好ましい。
【0051】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、該シートを長手方向と幅方向の二軸に特定条件で延伸した後、熱処理することにより製造できる。特に限定されないが2段階以上に分けて、再縦、再横延伸を行う方法が高密度記録の磁気テープとして最適な高強度のフィルムが得られ易いために好ましい。
【0052】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の長手方向の総延伸倍率は、特に限定されないが、2.5〜10倍が好ましく、より好ましくは4.5〜7倍である。長手方向の総延伸倍率が2.5倍より小さな場合は、長手方向の弾性率が低下するため、磁気記録媒体として用いる場合、電磁変換特性が低下することがある。長手方向の総延伸倍率が10倍より大きな場合には、フィルム破れが増加して、生産性が低下したりする。また、再縦延伸を行う際の再縦延伸倍率を総縦延伸倍率の25%以下にする場合、フィルム破れが減少するため好ましい。再縦延伸を行う際、1度目の縦延伸の延伸倍率は2.5〜4倍、再縦延伸倍率は1.2〜2.3倍が好ましい。
【0053】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の幅方向の総延伸倍率は、特に限定されないが、3〜8倍が好ましく、より好ましくは3.5〜6倍である。幅方向の総延伸倍率が3倍より小さな場合は、磁気記録媒体として用いる場合、トラックずれが起こりやすくなったりする。幅方向の総延伸倍率が6倍以上である場合、フィルム破れによって生産性が低下することがある。また、再横延伸を行う際の再横延伸倍率を総横延伸倍率の20%以上にする場合、フィルム破れが減少するため好ましい。再横延伸を行う際、1度目の横延伸の延伸倍率は3〜4.5倍、再縦延伸倍率は1.2〜2倍が好ましい。
【0054】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の長手方向の延伸温度は、特に限定されないが、延伸性などの観点から、ポリマーのガラス転移温度Tg〜(Tg+50℃)の範囲で行う場合、延伸性が良好となるため好ましい。再縦延伸を行う場合、再縦延伸温度は(Tg+30℃)〜(Tg+80℃)が好ましい。
【0055】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の幅方向の延伸温度は、特に限定されないが、延伸性などの観点から、ポリマーのTg〜(Tg+50℃)の範囲が好ましい。再横延伸を行う場合、再横延伸温度は(Tg+50℃)〜(Tg+150℃)が好ましい。
【0056】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の長手方向の延伸速度は、特に限定されないが、5,000〜20万%/分の範囲が好ましく、再縦延伸を行う場合、再縦延伸速度は3万〜20万%/分の範囲が好ましい。
【0057】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の幅方向の延伸速度は、特に限定されないが、1,000〜10,000%/分の範囲が好ましく、再横延伸を行う場合、再横延伸速度は1,000〜20,000%/分が好ましい。
【0058】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の熱処理温度は、160℃〜230℃の範囲が好ましく、より好ましくは、180℃〜210℃である。
【0059】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の熱処理時間は、0.5〜10秒の範囲が好ましく、より好ましくは3〜8秒である。
【0060】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの延伸形式としては、長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行うなどの逐次二軸延伸法や、同時二軸テンター等を用いて長手方向と幅方向を同時に延伸する同時二軸延伸法、さらに、逐次二軸延伸法と同時二軸延伸法を組み合わせた方法などが包含される。
【0061】
以下、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法の例について説明するが、これに限定されるものではない。ここでは、ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレート(PET)を用いたフィルムの例を示す。また、製造条件は、用いるポリマー、または積層構成によって異なる。
【0062】
まず、ポリエチレンテレフタレートを例にしてポリエステルの製造方法を説明する。本発明で使用するポリエチレンテレフタレートは、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のポリエチレンテレフタレートまたはオリゴマーを得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセスである。ここで、エステル化は無触媒でも反応は進行するが、エステル交換反応においては、通常、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム、チタン等の化合物を触媒に用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加する場合もある。
【0063】
また、フィルムを構成するポリエステルに不活性粒子を含有させる場合には、エチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールを重合時に添加する方法が好ましい。不活性粒子を添加する際には、例えば、不活性粒子の合成時に得られる水ゾルやアルコールゾル状態の粒子を一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよい。また、不活性粒子の水スラリーを直接PETペレットと混合し、ベント式二軸混練押出機を用いて、PETに練り込む方法も有効である。不活性粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度の不活性粒子のマスターペレットを作っておき、それを製膜時に不活性粒子を実質的に含有しないPETで希釈して不活性粒子の含有量を調節する方法が有効である。
【0064】
得られたPETのペレットを、180℃で3時間以上減圧乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは減圧下で、280〜320℃に加熱された押出機に供給し、スリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを得る。この際、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けてもよい。フィルムを積層する場合には、2台以上の押出機およびマニホールドまたは合流ブロックを用いて、複数の異なるポリマーを溶融積層する。
【0065】
次に、この未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向させる。ここでは、最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸法を用いる。延伸温度は、未延伸フィルムを70〜130℃の加熱ロール群で加熱し、長手方向に2.5〜10倍(再縦延伸を行う場合、2.5〜4倍)に1段もしくは多段で延伸し、20〜50℃の冷却ロール群で冷却する。長手方向の延伸速度は5,000〜200,000%/分の範囲で行うのが好ましい。この延伸フィルム表面にコロナ放電処理を施し、該表面の濡れ張力を47mN/m以上とし、その処理面に塗液を塗布する。この塗布されたフィルムを加熱されたゾーンに導き乾燥させた後、続いて幅方向の延伸を行う。幅方向の延伸方法としては、例えば、テンターを用いる方法が一般的である。幅方向の延伸倍率は3〜8倍(再横延伸を行う場合、3〜4.5倍)、延伸速度は1,000〜10,000%/分、温度は80〜120℃の範囲で行うのが好ましい。さらに、再縦延伸および再横延伸を行う。その場合の延伸条件としては、長手方向の延伸は、温度70〜170℃の加熱ロール群で、延伸倍率1.2〜2.3倍、幅方向の延伸方法としてはテンターを用いる方法が好ましく、温度130〜230℃、延伸倍率1.2〜2倍で行うのが好ましい。続いて、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱処理する。
この場合の熱処理温度は、130℃〜230℃で、時間は0.5〜10秒の範囲で行うのが好ましい。
【0066】
(物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
本発明における特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。
【0067】
(1)表面粗さRa
触針式表面粗さ計を用いて中心線平均粗さRaを測定した。条件は下記のとおりであり、フィルム幅方向に走査して20回測定を行った平均値をもって値とした。
【0068】
測定装置 :小坂研究所製高精度薄膜段差測定器ET−10
触針先端半径:0.5μm
触針荷重 :5mg
測定長 :1mm
カットオフ値:0.08mm
(2)光沢度
JIS−Z−1702に規定された方法に従って、スガ試験機製デジタル変角光沢度計UGV−5Dを用いて、60°鏡面光沢度を測定した。
【0069】
(3)屈折率
JIS−K−7105に規定された方法に従って、ナトリウムD線を光源としてアッベ屈折率計を用いて測定した。なお、マウント液はヨウ化メチレンを用い、25℃、65%RHにて測定した。本発明では長手方向、幅方向、深さ方向の屈折率をそれぞれ測定し、その平均を屈折率とした。また、各層の屈折率は他の層のみ溶解できる適切な溶媒で溶解させ各層の単独フィルムを作製し屈折率を測定した。
【0070】
(4)反射率
JIS−Z−8722に規定された方法に従って、(株)日立製作所製分光光度計U−3410に、φ60積分球130−063および10°傾斜スペーサーを取り付けた状態で、750nmの反射率を求めた。
【0071】
(5)クリープコンプライアンス
測定装置:真空理工(株)製TMA TM−3000および加熱制御部TA−1500、カノープス電子(株)製ADコンバータADX−98E、日本電気(株)製パーソナルコンピューターPC−9801
試料サイズ:幅4mm×試長間15mm、
測定環境:温度50℃、湿度65%RH、荷重28MPa
保持時間:30分
30分経過後のフィルムの伸縮量(%表示、ΔL)を測定した。次式からクリープコンプライアンスを算出した。
クリープコンプライアンス(GPa−1)=(ΔL/100)/0.028
(6)摩擦係数μk
テープ走行性試験機を用いて初期の摩擦係数を測定した。測定は下記の条件とした。
【0072】
測定装置:(株)横浜システム研究所製テープ走行性試験機TBT−300型
試料サイズ:幅1/2インチ
測定環境:温度25℃、湿度65%RH
ガイドロール:SUS27(6mmφ,表面粗度0.2S)
巻き付け角度:90°
走行速度:3.3cm/s
初期荷重:30g
入側張力T1、出側張力T2から次式を用いて摩擦係数μkを算出した。
【0073】
摩擦係数μk=(2/π)×ln(T1/T2)
(7)ヤング率
ASTM−D882に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下記の条件とした。
【0074】
測定装置:オリエンテック(株)製フイルム強伸度自動測定装置
“テンシロンAMF/RTA−100”
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm、
引張り速度:200mm/分
測定環境:温度23℃、湿度65%RH
(8)粒子の平均粒径(分散径)
フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1万倍以上の倍率で観察する。TEMの切片厚さは約100nmとし、場所を変えて100視野以上測定する。測定した等価円相当径の平均を不活性粒子の平均粒径とした。
【0075】
フィルム中に粒径の異なる2種類以上の粒子が存在する場合、上記の等価円相当径の個数分布が2種類以上のピークを有する分布となるため、そのそれぞれについて、別個に平均粒径を算出する。
【0076】
(9)ポリマー、粒子の含有量
ポリマーを溶解する適切な溶媒に溶解し、1H核のNMR(核磁気共鳴)スペクトルを測定する。適切な溶媒は、ポリマーの種類によって異なるが、例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)/重クロロホルムが用いられる。
得られたスペクトルにおいて、ポリマーに特有の吸収(例えばPETであればテレフタル酸の芳香族プロトンの吸収)のピーク面積強度をもとめ、その比率とプロトン数よりポリマーのモル比を算出する。さらに各々のポリマーの単位ユニットに相当する式量より重量比を算出する。測定条件は、例えば、以下のような条件であるが、ポリマーの種類によって異なるため、この限りではない。
【0077】
装置 :ブルカー社製BRUKER DRX−500
溶媒 :HFIP/重クロロホルム
観測周波数 :499.8MHz
基準 :TMS(テトラメチルシラン)(0ppm)
測定温度 :30℃
観測幅 :10KHz
データ点 :64K
acquisiton time :4.952秒
pulse delay time:3.048秒
積算回数 :256回
また、必要に応じて、顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)で組成分析を行ってもよい。その場合、ポリエステルのカルボニル基に起因するピークとそれ以外の物質に起因するピークの比から求める。なお、ピーク高さ比を重量比に換算するために、あらかじめ重量比既知のサンプルで検量線を作成してポリエステルとそれ以外の物質の合計量に対するポリエステル比率を求める。また、必要に応じてX線マイクロアナライザーを併用してもよい。また、不活性粒子の含有量については、ポリマーは溶解するが不活性粒子は溶解させない溶媒を選んで、ポリマーを溶解し、粒子を遠心分離して重量百分率を求めた。
【0078】
(10)積層厚さ
(株)日立製作所製透過型電子顕微鏡H−600型を用いて、加速電圧100kVで、フィルム断面を、超薄切片法(RuO4染色)で観察する。その界面の観察結果から、各層の厚さを求める。倍率は、判定したい積層厚さによって適切な倍率を選ぶが、1万〜10万倍が適当である。
【0079】
また、2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて測定することもできる。表層から深さ3,000nmの範囲のフィルム中の不活性粒子の内、最も高濃度の粒子(あるいはPEI)に起因する元素と、ポリエステルの炭素元素の濃度比(M+/C+)を、表面から深さ3,000nmまで厚さ方向にSIMSで分析する。表層では不活性粒子に起因する元素濃度は低く、表面から遠ざかるにつれて不活性粒子に起因する元素濃度は高くなる。本発明フィルムの場合は一旦極大値となった不活性粒子に起因する元素濃度がまた減少し始める。この濃度分布曲線において、不活性粒子に起因する元素濃度が極大値の1/2まで減少した深さを積層厚さとする。条件は次の通りである。
【0080】
i)測定装置
2次イオン質量分析装置(SIMS)
西独、ATOMIKA社製 A−DIDA3000
ii)測定条件
1次イオン種 :O2 +
1次イオン加速電圧:12KV
1次イオン電流 :200nA
ラスター領域 :400μm□
分析領域 :ゲート30%
測定真空度 :5.0×10−9Torr
E−GUN :0.5KV−3.0A
なお、表層から深さ3,000nmの範囲に最も多く含有する不活性粒子が有機高分子粒子の場合はSIMSでは測定が難しいので、表面からエッチングしながらXPS(X線光電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記同様のデプスプロファイルを測定し積層厚みを求めることもできる。
【0081】
(11)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から下式から計算する。
【0082】
ηsp/C=[η]+K[η]2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。
【0083】
(12)ガラス転移温度(Tg)
下記装置および条件で比熱測定を行い、JIS K7121に従って決定した。
【0084】
装置 :TA Instrument社製温度変調DSC
測定条件:
加熱温度 :270〜570K(RCS冷却法)
温度校正 :高純度インジウムおよびスズの融点
温度変調振幅:±1K
温度変調周期:60秒
昇温ステップ:5K
試料重量 :5mg
試料容器 :アルミニウム製開放型容器(22mg)
参照容器 :アルミニウム製開放型容器(18mg)
なお、ガラス転移温度は下記式により算出した。
【0085】
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
(13)磁気テープの電磁変換特性(S/N)
1m幅にスリットしたフィルムを、張力20kg/mで搬送させ、フィルムのB面側に下記組成の磁性塗料および非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより重層塗布(上層は磁性塗料で、塗布厚0.1μm、非磁性下層の厚みは適宜変化させた。)し、磁気配向させ、乾燥温度100℃で乾燥させる。次いでA面に下記組成のバックコートを塗布した後、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)で、温度85℃、線圧200kg/cmでカレンダー処理した後、巻き取る。上記テープ原反を1/2インチ幅にスリットし、パンケーキを作成した。次いで、このパンケーキから長さ200m分をカセットに組み込んで、カセットテープとした。
(磁性塗料の組成)
・強磁性金属粉末 : 100重量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 10重量部
・変成ポリウレタン : 10重量部
・ポリイソシアネート : 5重量部
・ステアリン酸 : 1.5重量部
・オレイン酸 : 1重量部
・カーボンブラック : 1重量部
・アルミナ : 10重量部
・メチルエチルケトン : 75重量部
・シクロヘキサノン : 75重量部
・トルエン : 75重量部
(バックコートの組成)
・カーボンブラック(平均粒径20nm) : 95重量部
・カーボンブラック(平均粒径280nm): 10重量部
・αアルミナ : 0.1重量部
・変成ポリウレタン : 20重量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 30重量部
・シクロヘキサノン : 200重量部
・メチルエチルケトン : 300重量部
・トルエン : 100重量部
市販のHi8用VTRを用いてビデオS/N比を求めた。S/N比の測定には、TV試験信号発生器から信号を供給し、ビデオノイズメーターを用い、比較例1より作成したテープを0デシベル(dB)として比較測定した。なお、走行条件は25℃、60%RHである。
【0086】
電磁変換特性が比較例1と比較して、次の基準で評価した。
【0087】
○:0dB以上(高密度記録磁気テープ用途として、優れたレベルである。)△:−0.5dB以上、0dB未満(高密度記録磁気テープ用途として、使用可能なレベルである。)
×:−0.5dB未満(高密度記録磁気テープ用途として、不十分なレベルである。)
(14)磁気テープの光学サーボ特性
上記の手法で作成した磁気テープのバックコート面をレーザー加工装置でテープ幅方向中央部に連続した1本の帯状の部分(幅100μm)のバックコートを排除し、ベースフィルムを露出させる。
【0088】
次に、図1に示す装置により、波長750nmのレーザー光を10°の入射角で、上記磁気テープ(バックコート面側)に入射し、反射角10°の方向の反射光を、受光部にて検出する。
【0089】
上記の手法で、上記帯状部分の中央部からの反射光強度Icと中央部からテープ端部方向3mmの部分からの反射光強度Ibを測定し、Ic/Ibの値より光学サーボ特性を下記の通り評価した。
【0090】
○:3以上(高密度記録磁気テープ用途として、優れたレベルである。)
△:2以上、3未満(高密度記録磁気テープ用途として、使用可能なレベルである。)
×:2未満(高密度記録磁気テープ用途として、不十分なレベルである。)
(15)総合評価
上記の電磁変換特性(13)および光学サーボ特性(14)の評価において、両特性が優れたレベル(○)である場合を総合評価において特に優れている(◎)、片方が優れたレベル(○)であり、片方が使用可能なレベル(△)である場合を、総合評価において優れている(○)とし、両方が使用可能なレベル(△)である場合や、一方でも不十分なレベル(×)である場合は、総合評価において、使用不可である(×)と判断した。
【0091】
【実施例】
次の実施例に基づき、本発明の実施形態を説明する。なお、ここでポリエチレンテレフタレートをPET、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)をPENと表記する。
【0092】
(参考例)
下記の共重合組成からなるアクリル樹脂(Tg:42℃)を粒子状に水へ分散させた水性分散液(いわゆる、「ラテックス」状塗液、水溶率:1%以下)を作製し、塗液A(水分散性アクリル系樹脂)として用いた。
(共重合成分)
・メチルメタクリレート 62モル%
・エチルアクリレート 35モル%
・アクリル酸 1モル%
・N−メチロールアクリルアミド 2モル%
(実施例1)
押出機A、B2台を用い、280℃に加熱された押出機Aには、常法により得られたPET(固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.2重量%と平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.01重量%)のペレット(A面側)を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく280℃に加熱された押出機Bには、常法により得られたPET(配合固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状シリカ粒子0.16重量%配合)のペレット(B面側)を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比A/B=1/7)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に2段で、速度20,000%/分、温度70℃から95℃で3.0倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に速度2,000%/分、温度100℃で3.0倍延伸した。続いて、ロール式延伸機で長手方向に1段で、温度80℃から140℃で1.7倍に再延伸した。この延伸フィルムのA面にコロナ放電処理を施し、A面の濡れ張力を55mN/mとし、フィルムA面に易滑剤(粒径0.1μmのコロイダルシリカ固形分比0.5重量%)を含む塗液Aを水分比4.5重量%で塗布した後、テンターを用いて幅方向に温度170℃で1.5倍再延伸した。定長下で温度220℃で5秒間熱処理した後、幅方向に5%の弛緩処理を行い、塗布厚み0.1μmフィルム厚み約6μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。
【0093】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおり表面粗さ、光沢度、屈折率が本発明の範囲内であったため磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に優れた特性を有していた。
【0094】
(実施例2)
塗布厚みを0.4μmにした以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは光沢度が55%であっても磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に優れた特性を有していた。
【0095】
(実施例3)
アクリル系樹脂ではなくフッ素系樹脂(住友スリーエム製“THV340C”;テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフロライド共重合体、溶質濃度50重量%)を塗布すること以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは屈折率が1.34のポリマー層を有していても磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に優れた特性を有していた。
【0096】
(実施例4)
アクリル系樹脂ではなくウレタン系樹脂(大日本インキ化学工業製“ハイドランHW350”;ポリエステル系ウレタン水溶液)を塗布すること以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは屈折率が1.58のポリマー層を有していても磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に優れた特性を有していた。
【0097】
(実施例5)
PETではなくPENを用いること以外は実施例1と同様の方法にて積層未延伸フィルムを作製した。
【0098】
この未延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に2段で、速度80,000%/分、温度160℃で3.1倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に速度5,000%/分、温度160℃で4.2倍延伸した。続いて、ロール式延伸機で長手方向に1段で、温度185℃で1.05倍に再延伸した。この延伸フィルムのA面にコロナ放電処理を施し、A面の濡れ張力を55mN/mとし、フィルムA面に易滑剤(粒径0.1μmのコロイダルシリカ固形分比0.5重量%)を含む水分散性アクリル系樹脂を水分比4.5重量%で塗布した後、テンターを用いて幅方向に温度240℃で1.75倍再延伸した。定長下で温度260℃で6秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、厚さ約4.5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。
【0099】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおり表面粗さ、光沢度、屈折率が本発明の範囲内であったため磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に優れた特性を有していた。
【0100】
(実施例6)
PETペレット(A面側)に固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状シリカ粒子0.12重量%配合のペレットを用いること以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0101】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおりA面の表面粗さRaが3nmであっても磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に優れた特性を有していた。
【0102】
(実施例7)
PETペレット(A面側)に固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.5重量%と平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.1重量%配合のペレットを用いること以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0103】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおりA面の表面粗さRaが30nmであっても磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に優れた特性を有していた。
【0104】
(実施例8)
PETペレット(B面側)に固有粘度0.62、平均径0.1μmの球状シリカ粒子0.2重量%配合のペレットを用いること以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0105】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおりB面の表面粗さRaが1nmであっても磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に優れた特性を有していた。
【0106】
(実施例9)
PETペレット(B面側)に固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.2重量%と平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.01重量%配合のペレットを用いること以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0107】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおりB面の表面粗さRaが10nmであっても磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に優れた特性を有していた。
【0108】
(比較例1)
PETペレット(A面側)に固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.5重量%と平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.3重量%配合のペレットを用いること以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0109】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおりA面の表面粗さが本発明の範囲外であったため磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に劣るものであった。
【0110】
(比較例2)
塗布を行わないこと以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0111】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは光沢度が本発明の範囲外であり、また本発明の範囲内の屈折率を持つポリマー層を有さないため磁気テープとして使用した際に光学サーボ特性に劣るものであった。
【0112】
(比較例3)
押出機を2台用いず、280℃に加熱された押出機AにPETペレット(配合固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状シリカ粒子0.5重量%配合)を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、単層で表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、単層未延伸フィルムを作製したこと以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0113】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおりB面の表面粗さが本発明の範囲外であったため磁気テープとして使用した際に電磁変換特性に劣るものであった。
【0114】
(比較例4)
PETペレット(A面側)に固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状シリカ粒子0.05重量%配合のペレット、PETペレット(B面側)に固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状シリカ粒子0.08重量%配合のペレットを用いること以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0115】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおりA面の表面粗さが本発明の範囲外であったため磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に劣るものであった。
【0116】
(比較例5)
PETペレット(A面側)に固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.2重量%と平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.05重量%配合のペレット、PETペレット(B面側)に固有粘度0.62、平均径0.1μmの球状シリカ粒子0.01重量%配合のペレットを用いること以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0117】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおりB面の表面粗さが本発明の範囲外であったため磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に劣るものであった。
【0118】
(比較例6)
比較例3と同様の方法にて単層未延伸フィルムを作成した。この未延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に速度20000%/分、温度70℃から90℃で3.5倍延伸し、この延伸フィルムのA面にコロナ放電処理を施し、A面の濡れ張力を55mN/mとし、フィルムA面に易滑剤(粒径0.1μmのコロイダルシリカ固形分比0.5重量%)を含む塗液Aを水分比4.5重量%で塗布した後、テンターを用いて幅方向に速度2000%/分、温度100℃で4.0倍延伸した。定長下で温度220℃で5秒間熱処理した後、幅方向に5%の弛緩処理を行い、塗布厚み0.1μmフィルム厚み約6μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。
【0119】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおりB面の表面粗さが本発明の範囲外であったため磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に劣るものであった。
【0120】
【表1】
【0121】
【発明の効果】
本発明によれば、磁気テープとして用いる際に、バックコート層側に容易にサーボトラックを形成することが可能な二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができ、特にバックコート層側にサーボトラックを形成した磁気記録テープ用ベースフィルム用途として好適な二軸配向ポリエステルフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学サーボ特性測定装置の概略断面図である。
【図2】本発明の一実施態様に係る二軸配向ポリエステルフィルムを用いた磁気テープの概略断面図である。
【符合の説明】
1:磁気テープ
2:レーザー光発生装置
3:検出部(光電子増倍管)
4:入射角(10°)
5:反射角(10°)
6:バックコート層
7:ベースフィルムを露出させた部分
8:ベースフィルム(二軸配向ポリエステルフィルム)
9:下塗り層
10:磁性層
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステルフィルムの品質、特に光学的サーボトラックを有する磁気記録装置用磁気テープのベースフィルムとして用いる際のサーボ特性を大幅に向上させることが可能な二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
二軸配向ポリエステルフィルムは、その優れた熱特性、寸法安定性、機械特性および表面形態の制御のし易さから各種用途に使用されており、特に磁気テープ用などのベースフィルムとしての有用性が知られている。近年、磁気テープは、コンピュータのバックアップなどのデータストレージ用途などにおいて、大容量記録化が要求されている。大容量化のためには、薄膜化によるテープカートリッジ収容テープ長の増加や、記録信号の小型化による高密度記録化などが有効である。しかしながら、テープを薄膜化する場合、テープスティフネスが低下することによって磁気ヘッドと磁気テープの接触状態が不良となることがあり、また、記録密度を高めると、磁気テープの走行時における熱や、またテープ保存時の熱変形により、記録トラックのずれを起こしやすくなる問題点がある。
【0003】
そこで、大容量化のもう一つの手法として、磁気テープのバックコート層側にサーボトラックを形成することにより、磁性層のデータエリアの面積を減少させることなくサーボトラッキングを行う手法が知られている(例えば、特許文献1〜4)。これら文献では、磁気テープのバックコート層を改良する手法が開示されているが、このような手法の場合、磁気テープ加工工程が複雑となり、生産性が低下することや、加工コストが増加する問題がある。
【0004】
そこで、磁気テープのバックコートを改良する方法ではなく、バックコート層の一部にバックコート層を塗布せず、ベースフィルムを露出させた部分を設け、バックコート層と基材であるベースフィルムの光沢度の差を利用して光学的にサーボトラッキングを行う手法が考えられる。しかし、通常磁気テープ用ベースフィルムは表面平滑性が求められるため(例えば、特許文献5、特許文献6)、粒子やボイドの少ない透明なフィルムであり、バックコート層と光沢度の差が大きい低光沢度のフィルムは知られていない。
【0005】
また、これに対して、低光沢度のポリエステルフィルムは、不活性無機粒子を含有させ表面に適度な凹凸を形成させているため、高密度磁気テープとして必要な表面平滑性を達成することは困難であるのが現状である(例えば、特許文献7、特許文献8)。
【0006】
【特許文献1】特開平11−216684号公報
【0007】
【特許文献2】特開平11−242814号公報
【0008】
【特許文献3】特開2001−148115号公報
【0009】
【特許文献4】特開2002−8332号公報
【0010】
【特許文献5】特開2001−270056号公報
【0011】
【特許文献6】特開2001−319323号公報
【0012】
【特許文献7】特開2002−309014号公報
【0013】
【特許文献8】特開平9−1648号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、磁気テープとして用いる際に、バックコート層側に容易にサーボトラックを形成することが可能な、特にバックコート層側にサーボトラックを形成した磁気記録テープ用ベースフィルム用途として好適な二軸配向ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題について鋭意検討した結果、二軸配向ポリエステルフィルムの光沢度を改良すること、または低屈折率のポリマー層を積層することで磁気テープとして用いる際に、バックコート層側に容易にサーボトラックを形成することが可能で、サーボ特性を大幅に向上することを見いだし発明の完成に至った。
【0016】
すなわち、上記課題を達成するための本発明は、一方の表面(A面)の中心線平均粗さRaAが3〜30nmであり、かつもう一方の表面(B面)の中心線平均粗さRaBが0.5〜10nmであり、いずれかの表面の光沢度が20〜170%である二軸配向ポリエステルフィルムを特徴とする。
【0017】
また、屈折率が1.20〜1.60であるポリマー層を少なくとも1層有し、かつ一方の表面(A面)の中心線平均粗さRaAが3〜30nmであり、もう一方の表面(B面)の中心線平均粗さRaBが0.5〜10nmである二軸配向ポリエステルフィルムを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは一方の表面(A面)の中心線平均粗さRaAが3〜30nmである。RaAが3nmより小さい場合は、フィルム製造、加工工程などで、搬送ロールなどとの摩擦係数が大きくなり、工程トラブルを起こすことがあり、磁気テープとして用いる場合に、ガイドロールとの摩擦が大きくなり、テープ走行性が低下することがある。また、RaAが30nmより大きい場合は、フィルムロールやパンケーキとして保存する際に、A面側の表面突起がB面側に転写し、B面側が粗くなり、電磁変換特性が低下する傾向がある。
より好ましくは5〜12nm、さらに好ましくは7〜10nmである。
【0019】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムはA面と反対側の表面(B面)の中心線平均粗さRaBは0.5nm〜10nmである。RaBが0.5nmより小さい場合は、フィルム製造、加工工程などで、搬送ロールなどとの摩擦係数が大きくなり、工程トラブルを起こすことがあり、磁気テープとして用いる場合に、磁気ヘッドとの摩擦が大きくなり、磁気テープ特性が低下しやすい。また、RaBが10nmより大きい場合は、高密度記録の磁気テープとして用いる場合に、磁性面側が粗くなり、電磁変換特性が低下することがある。より好ましくは2〜9nm、さらに好ましくは3〜8nmである。
【0020】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは少なくとも一方の表面の光沢度が20〜170%である。特に限定はされないがA面の光沢度が20〜170%であることが好ましい。光沢度が20%より小さい場合、光学サーボでは感知できずエラーとなる場合がある。光沢度が170%より大きい場合は磁気テープとした場合、バックコート層とベースフィルム部分の光沢度の差が小さいため、光学サーボの感度が低下しやすい。より好ましくは40〜150%、さらに好ましくは60〜120%である。
【0021】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは屈折率が1.20〜1.60であるポリマー層を少なくとも1層有するフィルムである。特に限定はされないがA面側に屈折率が1.20〜1.60であるポリマー層が積層されていることが好ましい。屈折率が1.20より小さい場合は光学サーボでは感知できずエラーとなる場合がある。屈折率が1.60より大きい場合は磁気テープとして用いる場合、バックコート層とベースフィルム部分の光沢度の差が小さいため、光学サーボの感度を低下させることがある。より好ましくは1.25〜1.58、さらに好ましくは1.30〜1.56である。ここでいう屈折率とは積層状態(上記ポリマー層とその他の層とが積層された状態)において測定される値をいう。また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを使用した磁気テープの磁性層やバックコート層を剥離した後のベースフィルムを測定しても良い。
【0022】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは特に限定されないが、ポリマー層がアクリル系樹脂、フッ素系樹脂およびウレタン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーを含んでいることが好ましい。特に密着性、屈折率の観点からアクリル系樹脂が好ましい。なお、上記ポリマー層は、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂およびウレタン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種のポリマーのみから成っていてもよい。
【0023】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムにポリマー層を設ける方法は特に限定されないが、コーティング、ラミネート、共押出が好ましい。特にフィルム製膜工程中に塗液を塗布し、乾燥、熱処理する、いわゆるインラインコーティング法が好ましい。インラインコーティング法は特に限定はされないが、例えば、溶融押出された未延伸フィルムを長手方向に延伸した後に連続的に塗液を塗布し、その後段階的に加熱されたゾーンを通過させつつ乾燥せしめ、幅方向に延伸し熱処理する方法などがある。また、塗液を塗布する前に基材フィルムの表面にコロナ放電処理などを施し、該基材フィルム表面の濡れ張力を大きくさせることが積層膜と基材フィルム表面との接着性や塗布性を向上させることができるので好ましい。さらに好ましくは、イソプロピルアルコール、ブチルセロソルブ、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶媒を塗液中に少量含有させて、濡れ性や基材フィルム表面との接着性を向上させることもできる。
【0024】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに設けるポリマー層の厚みは特に限定はされないが0.005〜1μmが好ましい。0.005μm未満の場合、効果が小さすぎる場合がある。1μmより厚い場合、磁気テープとして使用した際に総厚みが厚くなりすぎるために大容量化が図りにくい。より好ましくは0.01〜0.5μm、さらに好ましくは0.05〜0.25μmである。
【0025】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのポリマー層中にアクリル系樹脂を含有させる場合、該アクリル系樹脂を構成するモノマー成分としては特に限定はされないが、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基など)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートなどのヒドロキシ基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートなどのアミノ基含有モノマー、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどのエポキシ基含有モノマー、アクリル酸、メタクリル酸、およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩など)などのカルボキシル基またはその塩を含有するモノマーなどを用いることができ、これらは1種もしくは2種以上を用いて共重合される。さらに、これらは他種のモノマーと併用することができる。他種のモノマーとしては、例えば、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有モノマー、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)などのスルホン酸基またはその塩を含有するモノマー、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、およびそれらの塩(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩など)などのカルボキシル基またはその塩を含有するモノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物を含有するモノマー、ビニルイソシアネートアリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリスアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリルアルキルイタコン酸モノエステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニルなどを用いることができる。また、変性アクリル共重合体、例えばポリエステル、ウレタン、エポキシ、フッ化ビニリデンなどで変性したブロック共重合体、グラフト共重合体なども可能である。
【0026】
好ましいアクリル系樹脂としては、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、アクリル酸から選ばれる共重合体などである。該アクリル樹脂を水に溶解、乳化、あるいは懸濁し、水系アクリル樹脂として用いることが環境汚染や塗布時の防爆性の点で好ましい。このような水系アクリル樹脂は親水性基を有するモノマー(アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、ビニルスルホン酸およびその塩など)との共重合や反応性乳化剤や界面活性剤を用いた乳化重合、懸濁重合、ソープフリー重合などの方法によって作製することができる。該アクリル系樹脂の重量平均分子量は特に限定されないが10万以上が好ましく、より好ましくは30万以上とするのが接着性の観点から好ましい。
【0027】
上記のポリマー層にウレタン系樹脂を含有させる場合、特に限定はされないがアニオン性基を有する水溶性あるいは水分散性ウレタン樹脂が好ましい。主要構成成分としては、ポリオール、ポリイソシアネートを共重合して得られるものである。また、水への親和性を高めるためにカルボン酸塩基、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基または硫酸半エステル塩基などを含有することが好ましく、ポリマー層中における含有量は0.5〜15重量%が好ましい。
【0028】
ポリオール化合物としては特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリテトラメチレンアジペート、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、アクリル系ポリオールなどを用いることができる。
【0029】
ポリイソシアネート化合物としては特に限定されないが、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールエタンの付加物などを用いることができる。該ウレタン系樹脂は鎖長延長剤、架橋剤などを含んでも良く、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどを用いることができる。
【0030】
アニオン性基を有するウレタン系樹脂の製造方法は特に限定されないが、例えば、ポリオール、ポリシソシアネート、鎖長延長剤などにアニオン性基を有する化合物を用いる方法、生成したウレタン系樹脂の未反応イソシアネート基とアニオン性基を有する化合物を反応させる方法、ウレタン系樹脂の活性水素を有する基と特定の化合物を反応させる方法などが好ましい。また、分子量300〜20000のポリオール、ポリイソシアネート、反応性水素原子を有する鎖長延長剤及びイソシアネート基と反応する基、及びアニオン性基を少なくとも1個有する化合物からなる樹脂が好ましい。ウレタン系樹脂中のアニオン性基はスルホン酸基、カルボン酸基およびこれらのアンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩あるいはマグネシウム塩が好ましい。より好ましくはスルホン酸基である。ポリウレタン系樹脂中のアニオン性基の量は0.05〜8重量%が好ましい。0.05重量%未満ではウレタン系樹脂の水分散性が悪くなる傾向があり、8重量%を越えると樹脂の耐水性やタイブロッキング性が劣る傾向がある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに積層するフッ素系樹脂は、特に限定はされないが、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド等が挙げられる
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、二軸に配向したフィルムである。
フィルムが、2層以上の積層構成である場合には、これを構成するフィルム層の少なくとも1層が二軸に配向している必要がある。全ての層が無配向や一軸配向では本発明の特性を満足させることができない。
【0031】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは特に限定されないがフィルムに波長750nmの光線を入射した場合、少なくとも一方の反射率が50%以下であることが好ましい。さらに好ましくはA面が反射率50%以下であることが好ましい。本発明の範囲内の表面粗さで反射率が50%より大きい二軸配向ポリエステルフィルムは工業的に製造が困難である。より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下である。
【0032】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは特に限定されないが温度50℃、荷重28MPaの条件下で30分経過後の長手方向のクリープコンプライアンスが0.10〜0.35GPa−1の範囲であることが好ましい。クリープコンプライアンスが、0.35GPa−1より大きい場合、荷重下でフィルム変形が起こりやすく、例えば、磁気記録媒体用に用いる場合、磁気テープの走行時あるいは保存時の張力によるテープの伸び変形が起こりやすく、記録再生時にトラックずれを発生する懸念が生じることがある。また、クリープコンプライアンスが、0.10GPa−1より小さい場合、フィルムの破断が生じやすく、例えば、磁気記録媒体用として用いる場合、磁気テープの破断が生じることがある。より好ましくは0.11〜0.30GPa−1、さらに好ましくは0.12〜0.25GPa−1である。なお、本発明でいうクリープコンプライアンスとは、「高分子化学序論(第2版)」((株)化学同人発行)p150に記載されたものである。
【0033】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは特に限定されないが少なくとも一方の表面の動摩擦係数μkが0.15〜0.35の範囲であることが好ましい。さらに好ましくはA面がμk0.15〜0.35の範囲であることが好ましい。μkが0.35より大きい場合、例えば記録媒体用に用いる場合、テープ走行性やテープ表面の耐久性が低下したり、磁気ヘッド摩耗を引き起こしたりするという問題がある。μkが0.15より小さい場合、磁気テープとして使用した際滑りすぎるために走行中にぶれてしまい安定した走行が困難となる。より好ましくは0.17〜0.32、さらに好ましくは0.20〜0.30である。
【0034】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、例えば、芳香族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸または脂肪族ジカルボン酸などの酸成分やジオール成分を構成単位(重合単位)とするポリマーである。
【0035】
芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることができ、なかでも好ましくは、テレフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸を用いることができる。脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることができる。これらの酸成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0036】
また、ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン等を用いることができ、なかでも好ましくは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール等を用いることができ、特に好ましくは、エチレングリコール等を用いることができる。これらのジオール成分は一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0037】
また、ポリエステルには、ラウリルアルコール、イソシアン酸フェニル等の単官能化合物が共重合されていてもよいし、トリメリット酸、ピロメリット酸、グリセロール、ペンタエリスリトール、2,4−ジオキシ安息香酸、等の3官能化合物などが、過度に分枝や架橋をせずポリマーが実質的に線状である範囲内で共重合されていてもよい。さらに酸成分、ジオール成分以外に、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸などを本発明の効果が損なわれない程度の少量であればさらに共重合せしめることができる。
【0038】
本発明のポリエステルとしては、特に限定はされないがポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。またこれらの共重合体、および変性体でもよい。
【0039】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは特に限定されないが2層以上の積層構成であることが好ましい。特に、磁気テープなどの磁気記録媒体用途に用いる場合、表裏の表面には、優れた電磁変換特性を得るための平滑な表面と、製膜・加工工程での搬送や、磁気テープの走行性や走行耐久性を付与するために比較的粗い表面という異なる粗さの表面形態が求められる。この意味でも、フィルムは2層以上の積層構成であることが好ましい。
【0040】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムはフィルム表面に易滑性や耐摩耗性、耐スクラッチ性などを付与するために特に限定されないが無機粒子、有機粒子、例えば、クレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カリオン、タルク、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ジルコニア等の無機粒子、アクリル酸類、スチレン系樹脂、熱硬化樹脂、シリコーン、イミド等を構成成分とする有機粒子、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等によって析出する粒子(いわゆる内部粒子)などが添加されてもよい。
【0041】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに含有させる粒子の平均粒径や含有量はフィルム用途や積層構成によって大きく異なる。特に、磁気テープなどの磁気記録媒体用途に用いる場合、通常は、一つの表層(A層)には比較的粒径の大きな粒子を添加し、反対側の表層(B層)には粒径の小さな粒子を添加する手法が一般的である。A層に添加する粒子は磁気テープの走行性、走行耐久性、裏写りの観点から、平均粒径は0.01〜2μmが好ましく、より好ましくは0.01〜1μmである。含有量は0.001〜3重量%、好ましくは0.005〜1重量%である。B層に添加する粒子の平均粒径は、電磁変換特性や磁気ヘッドとの摩耗性などの観点から、0.005〜0.5μmが好ましく、より好ましくは0.01〜0.3μmである。含有量は、電磁変換特性、粒子凝集による粗大突起生成、突起の削れなどの観点から、0.01〜1重量%が好ましく、より好ましくは0.02〜0.05重量%である。また、各層に含有させる粒子は1種類でもよいが、2種類以上併用しても構わない。特に限定されないがA層はA面側であることが好ましい。
【0042】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、本発明を阻害しない範囲内で各種添加剤、例えば、相溶化剤、可塑剤、耐候剤、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、帯電防止剤、増白剤、着色剤、導電剤、結晶核剤、紫外線吸収剤、難燃剤、難燃助剤、顔料、染料、などが添加されてもよい。
【0043】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは必要に応じて、熱処理、マイクロ波加熱、成形、表面処理、ラミネート、コーティング、印刷、エンボス加工、エッチング、などの任意の加工を行ってもよい。
【0044】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのヤング率は、フィルムの使用用途によって大きく異なるが、例えば、磁気記録媒体用途として用いる場合、長手方向のヤング率と幅方向のヤング率の和は、磁気テープの伸び変形などの観点から、10〜25GPaの範囲であることが好ましく、より好ましくは11.5〜22GPa、さらに好ましくは14〜20GPaである。また、長手方向のヤング率は、磁気ヘッドとのヘッド当たりなどの観点から、5.5GPa以上が好ましく、より好ましくは6.5GPa以上、最も好ましくは、7.5GPa以上である。幅方向のヤング率は、テープエッジダメージなどの観点から、4.5GPa以上が好ましく、より好ましくは5GPa以上、最も好ましくは、5.5GPa以上である。
【0045】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの熱収縮率は、フィルムの使用用途によって大きく異なるが、例えば、磁気記録媒体用途として用いる場合、長手方向の温度100℃、30分における熱収縮率は、寸法安定性やテープの伸び変形性および保存性の観点から、1.2%以下であることが好ましい。より好ましくは、1%以下である。幅方向の温度100℃、30分における熱収縮率は、テープの保存性および磁気テープ加工時の安定性の観点から、0.5%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.3%以下である。
【0046】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリマーの固有粘度は、フィルム成形加工の安定性や熱可塑性樹脂との混合性の観点から、0.55〜3(dl/g)の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは、0.6〜2(dl/g)である。また、製膜後のフィルムの固有粘度は、フィルム成形加工の安定性や寸法安定性などの観点から、0.5〜2(dl/g)の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.55〜1(dl/g)である。
【0047】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの用途は、特に限定されないが、磁気記録媒体用ベースフィルムやコンデンサー用途、感熱転写リボン用途、感熱孔版用途、光学材料用途などに用いられる。中でも、高い寸法安定性を必要とするデータストレージ用ベースフィルムや蒸着型磁性層を有するデジタルビデオテープなどの磁気記録媒体に好ましく用いられる。中でも特に好ましくは、走行面側に光学サーボ機能を有するデータストレージ用磁気テープのベースフィルムに適したものである。
【0048】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの厚みは、用途に応じて適宜決定できるが、通常磁気記録媒体用途では3〜15μmが好ましい。中でも、高密度磁気記録媒体用途の場合、3〜8μmが好ましく、より好ましくは4〜7μm、最も好ましくは4.5〜6μmである。厚みが3μmより小さい場合は、テープに腰がなくなるため、電磁変換特性が低下することがあり、8μmより大きい場合は、テープ1巻あたりのテープ長さが短くなるため、磁気テープの小型化、高容量化が困難になる場合がある。
【0049】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に磁性層を設けることにより、磁気記録媒体として用いることができる。この場合、磁性層としては、強磁性金属薄膜や強磁性金属微粉末を結合剤中に分散してなる磁性層や金属酸化物塗布による磁性層などが好適な例として挙げられる。前記強磁性金属薄膜に用いる金属としては、鉄、コバルト、ニッケルやその合金等が好ましい。また、前記強磁性金属微粉末を結合剤中に分散してなる磁性層に用いる強磁性金属微粉末としては、強磁性六方晶フェライト微粉末や、鉄、コバルト、ニッケルやその合金からなる粉末が好ましい。前記結合剤としては熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂やこれらの混合物などが好ましい。
【0050】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造するための方法においては、ポリエステルのペレットを押出機を用いた溶融押出により口金から吐出し、吐出されたポリマーを冷却固化させてシート状に成形することが好ましい。その際、繊維焼結ステンレス金属フィルターによりポリマーを濾過することが、ポリマー中の未溶融物を除去するために好ましい。
【0051】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、該シートを長手方向と幅方向の二軸に特定条件で延伸した後、熱処理することにより製造できる。特に限定されないが2段階以上に分けて、再縦、再横延伸を行う方法が高密度記録の磁気テープとして最適な高強度のフィルムが得られ易いために好ましい。
【0052】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の長手方向の総延伸倍率は、特に限定されないが、2.5〜10倍が好ましく、より好ましくは4.5〜7倍である。長手方向の総延伸倍率が2.5倍より小さな場合は、長手方向の弾性率が低下するため、磁気記録媒体として用いる場合、電磁変換特性が低下することがある。長手方向の総延伸倍率が10倍より大きな場合には、フィルム破れが増加して、生産性が低下したりする。また、再縦延伸を行う際の再縦延伸倍率を総縦延伸倍率の25%以下にする場合、フィルム破れが減少するため好ましい。再縦延伸を行う際、1度目の縦延伸の延伸倍率は2.5〜4倍、再縦延伸倍率は1.2〜2.3倍が好ましい。
【0053】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の幅方向の総延伸倍率は、特に限定されないが、3〜8倍が好ましく、より好ましくは3.5〜6倍である。幅方向の総延伸倍率が3倍より小さな場合は、磁気記録媒体として用いる場合、トラックずれが起こりやすくなったりする。幅方向の総延伸倍率が6倍以上である場合、フィルム破れによって生産性が低下することがある。また、再横延伸を行う際の再横延伸倍率を総横延伸倍率の20%以上にする場合、フィルム破れが減少するため好ましい。再横延伸を行う際、1度目の横延伸の延伸倍率は3〜4.5倍、再縦延伸倍率は1.2〜2倍が好ましい。
【0054】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の長手方向の延伸温度は、特に限定されないが、延伸性などの観点から、ポリマーのガラス転移温度Tg〜(Tg+50℃)の範囲で行う場合、延伸性が良好となるため好ましい。再縦延伸を行う場合、再縦延伸温度は(Tg+30℃)〜(Tg+80℃)が好ましい。
【0055】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の幅方向の延伸温度は、特に限定されないが、延伸性などの観点から、ポリマーのTg〜(Tg+50℃)の範囲が好ましい。再横延伸を行う場合、再横延伸温度は(Tg+50℃)〜(Tg+150℃)が好ましい。
【0056】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の長手方向の延伸速度は、特に限定されないが、5,000〜20万%/分の範囲が好ましく、再縦延伸を行う場合、再縦延伸速度は3万〜20万%/分の範囲が好ましい。
【0057】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の幅方向の延伸速度は、特に限定されないが、1,000〜10,000%/分の範囲が好ましく、再横延伸を行う場合、再横延伸速度は1,000〜20,000%/分が好ましい。
【0058】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の熱処理温度は、160℃〜230℃の範囲が好ましく、より好ましくは、180℃〜210℃である。
【0059】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する際の熱処理時間は、0.5〜10秒の範囲が好ましく、より好ましくは3〜8秒である。
【0060】
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの延伸形式としては、長手方向に延伸した後に幅方向に延伸を行うなどの逐次二軸延伸法や、同時二軸テンター等を用いて長手方向と幅方向を同時に延伸する同時二軸延伸法、さらに、逐次二軸延伸法と同時二軸延伸法を組み合わせた方法などが包含される。
【0061】
以下、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法の例について説明するが、これに限定されるものではない。ここでは、ポリエステルとしてポリエチレンテレフタレート(PET)を用いたフィルムの例を示す。また、製造条件は、用いるポリマー、または積層構成によって異なる。
【0062】
まず、ポリエチレンテレフタレートを例にしてポリエステルの製造方法を説明する。本発明で使用するポリエチレンテレフタレートは、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低分子量のポリエチレンテレフタレートまたはオリゴマーを得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低分子量体を得、さらにその後の三酸化アンチモンやチタン化合物を触媒に用いた重縮合反応によってポリマーを得るプロセスである。ここで、エステル化は無触媒でも反応は進行するが、エステル交換反応においては、通常、マンガン、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、リチウム、チタン等の化合物を触媒に用いて進行させ、またエステル交換反応が実質的に完結した後に、該反応に用いた触媒を不活性化する目的で、リン化合物を添加する場合もある。
【0063】
また、フィルムを構成するポリエステルに不活性粒子を含有させる場合には、エチレングリコールに不活性粒子を所定割合にてスラリーの形で分散させ、このエチレングリコールを重合時に添加する方法が好ましい。不活性粒子を添加する際には、例えば、不活性粒子の合成時に得られる水ゾルやアルコールゾル状態の粒子を一旦乾燥させることなく添加すると粒子の分散性がよい。また、不活性粒子の水スラリーを直接PETペレットと混合し、ベント式二軸混練押出機を用いて、PETに練り込む方法も有効である。不活性粒子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度の不活性粒子のマスターペレットを作っておき、それを製膜時に不活性粒子を実質的に含有しないPETで希釈して不活性粒子の含有量を調節する方法が有効である。
【0064】
得られたPETのペレットを、180℃で3時間以上減圧乾燥した後、固有粘度が低下しないように窒素気流下あるいは減圧下で、280〜320℃に加熱された押出機に供給し、スリット状のダイから押出し、キャスティングロール上で冷却して未延伸フィルムを得る。この際、異物や変質ポリマーを除去するために各種のフィルター、例えば、焼結金属、多孔性セラミック、サンド、金網などの素材からなるフィルターを用いることが好ましい。また、必要に応じて、定量供給性を向上させるためにギアポンプを設けてもよい。フィルムを積層する場合には、2台以上の押出機およびマニホールドまたは合流ブロックを用いて、複数の異なるポリマーを溶融積層する。
【0065】
次に、この未延伸フィルムを二軸延伸し、二軸配向させる。ここでは、最初に長手方向、次に幅方向の延伸を行う逐次二軸延伸法を用いる。延伸温度は、未延伸フィルムを70〜130℃の加熱ロール群で加熱し、長手方向に2.5〜10倍(再縦延伸を行う場合、2.5〜4倍)に1段もしくは多段で延伸し、20〜50℃の冷却ロール群で冷却する。長手方向の延伸速度は5,000〜200,000%/分の範囲で行うのが好ましい。この延伸フィルム表面にコロナ放電処理を施し、該表面の濡れ張力を47mN/m以上とし、その処理面に塗液を塗布する。この塗布されたフィルムを加熱されたゾーンに導き乾燥させた後、続いて幅方向の延伸を行う。幅方向の延伸方法としては、例えば、テンターを用いる方法が一般的である。幅方向の延伸倍率は3〜8倍(再横延伸を行う場合、3〜4.5倍)、延伸速度は1,000〜10,000%/分、温度は80〜120℃の範囲で行うのが好ましい。さらに、再縦延伸および再横延伸を行う。その場合の延伸条件としては、長手方向の延伸は、温度70〜170℃の加熱ロール群で、延伸倍率1.2〜2.3倍、幅方向の延伸方法としてはテンターを用いる方法が好ましく、温度130〜230℃、延伸倍率1.2〜2倍で行うのが好ましい。続いて、この延伸フィルムを緊張下または幅方向に弛緩しながら熱処理する。
この場合の熱処理温度は、130℃〜230℃で、時間は0.5〜10秒の範囲で行うのが好ましい。
【0066】
(物性の測定方法ならびに効果の評価方法)
本発明における特性値の測定方法並びに効果の評価方法は次の通りである。
【0067】
(1)表面粗さRa
触針式表面粗さ計を用いて中心線平均粗さRaを測定した。条件は下記のとおりであり、フィルム幅方向に走査して20回測定を行った平均値をもって値とした。
【0068】
測定装置 :小坂研究所製高精度薄膜段差測定器ET−10
触針先端半径:0.5μm
触針荷重 :5mg
測定長 :1mm
カットオフ値:0.08mm
(2)光沢度
JIS−Z−1702に規定された方法に従って、スガ試験機製デジタル変角光沢度計UGV−5Dを用いて、60°鏡面光沢度を測定した。
【0069】
(3)屈折率
JIS−K−7105に規定された方法に従って、ナトリウムD線を光源としてアッベ屈折率計を用いて測定した。なお、マウント液はヨウ化メチレンを用い、25℃、65%RHにて測定した。本発明では長手方向、幅方向、深さ方向の屈折率をそれぞれ測定し、その平均を屈折率とした。また、各層の屈折率は他の層のみ溶解できる適切な溶媒で溶解させ各層の単独フィルムを作製し屈折率を測定した。
【0070】
(4)反射率
JIS−Z−8722に規定された方法に従って、(株)日立製作所製分光光度計U−3410に、φ60積分球130−063および10°傾斜スペーサーを取り付けた状態で、750nmの反射率を求めた。
【0071】
(5)クリープコンプライアンス
測定装置:真空理工(株)製TMA TM−3000および加熱制御部TA−1500、カノープス電子(株)製ADコンバータADX−98E、日本電気(株)製パーソナルコンピューターPC−9801
試料サイズ:幅4mm×試長間15mm、
測定環境:温度50℃、湿度65%RH、荷重28MPa
保持時間:30分
30分経過後のフィルムの伸縮量(%表示、ΔL)を測定した。次式からクリープコンプライアンスを算出した。
クリープコンプライアンス(GPa−1)=(ΔL/100)/0.028
(6)摩擦係数μk
テープ走行性試験機を用いて初期の摩擦係数を測定した。測定は下記の条件とした。
【0072】
測定装置:(株)横浜システム研究所製テープ走行性試験機TBT−300型
試料サイズ:幅1/2インチ
測定環境:温度25℃、湿度65%RH
ガイドロール:SUS27(6mmφ,表面粗度0.2S)
巻き付け角度:90°
走行速度:3.3cm/s
初期荷重:30g
入側張力T1、出側張力T2から次式を用いて摩擦係数μkを算出した。
【0073】
摩擦係数μk=(2/π)×ln(T1/T2)
(7)ヤング率
ASTM−D882に規定された方法に従って、インストロンタイプの引張試験機を用いて測定した。測定は下記の条件とした。
【0074】
測定装置:オリエンテック(株)製フイルム強伸度自動測定装置
“テンシロンAMF/RTA−100”
試料サイズ:幅10mm×試長間100mm、
引張り速度:200mm/分
測定環境:温度23℃、湿度65%RH
(8)粒子の平均粒径(分散径)
フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、1万倍以上の倍率で観察する。TEMの切片厚さは約100nmとし、場所を変えて100視野以上測定する。測定した等価円相当径の平均を不活性粒子の平均粒径とした。
【0075】
フィルム中に粒径の異なる2種類以上の粒子が存在する場合、上記の等価円相当径の個数分布が2種類以上のピークを有する分布となるため、そのそれぞれについて、別個に平均粒径を算出する。
【0076】
(9)ポリマー、粒子の含有量
ポリマーを溶解する適切な溶媒に溶解し、1H核のNMR(核磁気共鳴)スペクトルを測定する。適切な溶媒は、ポリマーの種類によって異なるが、例えば、ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)/重クロロホルムが用いられる。
得られたスペクトルにおいて、ポリマーに特有の吸収(例えばPETであればテレフタル酸の芳香族プロトンの吸収)のピーク面積強度をもとめ、その比率とプロトン数よりポリマーのモル比を算出する。さらに各々のポリマーの単位ユニットに相当する式量より重量比を算出する。測定条件は、例えば、以下のような条件であるが、ポリマーの種類によって異なるため、この限りではない。
【0077】
装置 :ブルカー社製BRUKER DRX−500
溶媒 :HFIP/重クロロホルム
観測周波数 :499.8MHz
基準 :TMS(テトラメチルシラン)(0ppm)
測定温度 :30℃
観測幅 :10KHz
データ点 :64K
acquisiton time :4.952秒
pulse delay time:3.048秒
積算回数 :256回
また、必要に応じて、顕微FT−IR法(フーリエ変換顕微赤外分光法)で組成分析を行ってもよい。その場合、ポリエステルのカルボニル基に起因するピークとそれ以外の物質に起因するピークの比から求める。なお、ピーク高さ比を重量比に換算するために、あらかじめ重量比既知のサンプルで検量線を作成してポリエステルとそれ以外の物質の合計量に対するポリエステル比率を求める。また、必要に応じてX線マイクロアナライザーを併用してもよい。また、不活性粒子の含有量については、ポリマーは溶解するが不活性粒子は溶解させない溶媒を選んで、ポリマーを溶解し、粒子を遠心分離して重量百分率を求めた。
【0078】
(10)積層厚さ
(株)日立製作所製透過型電子顕微鏡H−600型を用いて、加速電圧100kVで、フィルム断面を、超薄切片法(RuO4染色)で観察する。その界面の観察結果から、各層の厚さを求める。倍率は、判定したい積層厚さによって適切な倍率を選ぶが、1万〜10万倍が適当である。
【0079】
また、2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて測定することもできる。表層から深さ3,000nmの範囲のフィルム中の不活性粒子の内、最も高濃度の粒子(あるいはPEI)に起因する元素と、ポリエステルの炭素元素の濃度比(M+/C+)を、表面から深さ3,000nmまで厚さ方向にSIMSで分析する。表層では不活性粒子に起因する元素濃度は低く、表面から遠ざかるにつれて不活性粒子に起因する元素濃度は高くなる。本発明フィルムの場合は一旦極大値となった不活性粒子に起因する元素濃度がまた減少し始める。この濃度分布曲線において、不活性粒子に起因する元素濃度が極大値の1/2まで減少した深さを積層厚さとする。条件は次の通りである。
【0080】
i)測定装置
2次イオン質量分析装置(SIMS)
西独、ATOMIKA社製 A−DIDA3000
ii)測定条件
1次イオン種 :O2 +
1次イオン加速電圧:12KV
1次イオン電流 :200nA
ラスター領域 :400μm□
分析領域 :ゲート30%
測定真空度 :5.0×10−9Torr
E−GUN :0.5KV−3.0A
なお、表層から深さ3,000nmの範囲に最も多く含有する不活性粒子が有機高分子粒子の場合はSIMSでは測定が難しいので、表面からエッチングしながらXPS(X線光電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記同様のデプスプロファイルを測定し積層厚みを求めることもできる。
【0081】
(11)固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から下式から計算する。
【0082】
ηsp/C=[η]+K[η]2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1、Cは溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。
【0083】
(12)ガラス転移温度(Tg)
下記装置および条件で比熱測定を行い、JIS K7121に従って決定した。
【0084】
装置 :TA Instrument社製温度変調DSC
測定条件:
加熱温度 :270〜570K(RCS冷却法)
温度校正 :高純度インジウムおよびスズの融点
温度変調振幅:±1K
温度変調周期:60秒
昇温ステップ:5K
試料重量 :5mg
試料容器 :アルミニウム製開放型容器(22mg)
参照容器 :アルミニウム製開放型容器(18mg)
なお、ガラス転移温度は下記式により算出した。
【0085】
ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
(13)磁気テープの電磁変換特性(S/N)
1m幅にスリットしたフィルムを、張力20kg/mで搬送させ、フィルムのB面側に下記組成の磁性塗料および非磁性塗料をエクストルージョンコーターにより重層塗布(上層は磁性塗料で、塗布厚0.1μm、非磁性下層の厚みは適宜変化させた。)し、磁気配向させ、乾燥温度100℃で乾燥させる。次いでA面に下記組成のバックコートを塗布した後、小型テストカレンダー装置(スチール/ナイロンロール、5段)で、温度85℃、線圧200kg/cmでカレンダー処理した後、巻き取る。上記テープ原反を1/2インチ幅にスリットし、パンケーキを作成した。次いで、このパンケーキから長さ200m分をカセットに組み込んで、カセットテープとした。
(磁性塗料の組成)
・強磁性金属粉末 : 100重量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 10重量部
・変成ポリウレタン : 10重量部
・ポリイソシアネート : 5重量部
・ステアリン酸 : 1.5重量部
・オレイン酸 : 1重量部
・カーボンブラック : 1重量部
・アルミナ : 10重量部
・メチルエチルケトン : 75重量部
・シクロヘキサノン : 75重量部
・トルエン : 75重量部
(バックコートの組成)
・カーボンブラック(平均粒径20nm) : 95重量部
・カーボンブラック(平均粒径280nm): 10重量部
・αアルミナ : 0.1重量部
・変成ポリウレタン : 20重量部
・変成塩化ビニル共重合体 : 30重量部
・シクロヘキサノン : 200重量部
・メチルエチルケトン : 300重量部
・トルエン : 100重量部
市販のHi8用VTRを用いてビデオS/N比を求めた。S/N比の測定には、TV試験信号発生器から信号を供給し、ビデオノイズメーターを用い、比較例1より作成したテープを0デシベル(dB)として比較測定した。なお、走行条件は25℃、60%RHである。
【0086】
電磁変換特性が比較例1と比較して、次の基準で評価した。
【0087】
○:0dB以上(高密度記録磁気テープ用途として、優れたレベルである。)△:−0.5dB以上、0dB未満(高密度記録磁気テープ用途として、使用可能なレベルである。)
×:−0.5dB未満(高密度記録磁気テープ用途として、不十分なレベルである。)
(14)磁気テープの光学サーボ特性
上記の手法で作成した磁気テープのバックコート面をレーザー加工装置でテープ幅方向中央部に連続した1本の帯状の部分(幅100μm)のバックコートを排除し、ベースフィルムを露出させる。
【0088】
次に、図1に示す装置により、波長750nmのレーザー光を10°の入射角で、上記磁気テープ(バックコート面側)に入射し、反射角10°の方向の反射光を、受光部にて検出する。
【0089】
上記の手法で、上記帯状部分の中央部からの反射光強度Icと中央部からテープ端部方向3mmの部分からの反射光強度Ibを測定し、Ic/Ibの値より光学サーボ特性を下記の通り評価した。
【0090】
○:3以上(高密度記録磁気テープ用途として、優れたレベルである。)
△:2以上、3未満(高密度記録磁気テープ用途として、使用可能なレベルである。)
×:2未満(高密度記録磁気テープ用途として、不十分なレベルである。)
(15)総合評価
上記の電磁変換特性(13)および光学サーボ特性(14)の評価において、両特性が優れたレベル(○)である場合を総合評価において特に優れている(◎)、片方が優れたレベル(○)であり、片方が使用可能なレベル(△)である場合を、総合評価において優れている(○)とし、両方が使用可能なレベル(△)である場合や、一方でも不十分なレベル(×)である場合は、総合評価において、使用不可である(×)と判断した。
【0091】
【実施例】
次の実施例に基づき、本発明の実施形態を説明する。なお、ここでポリエチレンテレフタレートをPET、ポリ(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)をPENと表記する。
【0092】
(参考例)
下記の共重合組成からなるアクリル樹脂(Tg:42℃)を粒子状に水へ分散させた水性分散液(いわゆる、「ラテックス」状塗液、水溶率:1%以下)を作製し、塗液A(水分散性アクリル系樹脂)として用いた。
(共重合成分)
・メチルメタクリレート 62モル%
・エチルアクリレート 35モル%
・アクリル酸 1モル%
・N−メチロールアクリルアミド 2モル%
(実施例1)
押出機A、B2台を用い、280℃に加熱された押出機Aには、常法により得られたPET(固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.2重量%と平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.01重量%)のペレット(A面側)を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、同じく280℃に加熱された押出機Bには、常法により得られたPET(配合固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状シリカ粒子0.16重量%配合)のペレット(B面側)を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給した。2層積層するべくTダイ中で合流させ(積層比A/B=1/7)、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、積層未延伸フィルムを作製した。この未延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に2段で、速度20,000%/分、温度70℃から95℃で3.0倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に速度2,000%/分、温度100℃で3.0倍延伸した。続いて、ロール式延伸機で長手方向に1段で、温度80℃から140℃で1.7倍に再延伸した。この延伸フィルムのA面にコロナ放電処理を施し、A面の濡れ張力を55mN/mとし、フィルムA面に易滑剤(粒径0.1μmのコロイダルシリカ固形分比0.5重量%)を含む塗液Aを水分比4.5重量%で塗布した後、テンターを用いて幅方向に温度170℃で1.5倍再延伸した。定長下で温度220℃で5秒間熱処理した後、幅方向に5%の弛緩処理を行い、塗布厚み0.1μmフィルム厚み約6μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。
【0093】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおり表面粗さ、光沢度、屈折率が本発明の範囲内であったため磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に優れた特性を有していた。
【0094】
(実施例2)
塗布厚みを0.4μmにした以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは光沢度が55%であっても磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に優れた特性を有していた。
【0095】
(実施例3)
アクリル系樹脂ではなくフッ素系樹脂(住友スリーエム製“THV340C”;テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン・ビニリデンフロライド共重合体、溶質濃度50重量%)を塗布すること以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは屈折率が1.34のポリマー層を有していても磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に優れた特性を有していた。
【0096】
(実施例4)
アクリル系樹脂ではなくウレタン系樹脂(大日本インキ化学工業製“ハイドランHW350”;ポリエステル系ウレタン水溶液)を塗布すること以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた二軸配向ポリエステルフィルムは屈折率が1.58のポリマー層を有していても磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に優れた特性を有していた。
【0097】
(実施例5)
PETではなくPENを用いること以外は実施例1と同様の方法にて積層未延伸フィルムを作製した。
【0098】
この未延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に2段で、速度80,000%/分、温度160℃で3.1倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に速度5,000%/分、温度160℃で4.2倍延伸した。続いて、ロール式延伸機で長手方向に1段で、温度185℃で1.05倍に再延伸した。この延伸フィルムのA面にコロナ放電処理を施し、A面の濡れ張力を55mN/mとし、フィルムA面に易滑剤(粒径0.1μmのコロイダルシリカ固形分比0.5重量%)を含む水分散性アクリル系樹脂を水分比4.5重量%で塗布した後、テンターを用いて幅方向に温度240℃で1.75倍再延伸した。定長下で温度260℃で6秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を行い、厚さ約4.5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。
【0099】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおり表面粗さ、光沢度、屈折率が本発明の範囲内であったため磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に優れた特性を有していた。
【0100】
(実施例6)
PETペレット(A面側)に固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状シリカ粒子0.12重量%配合のペレットを用いること以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0101】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおりA面の表面粗さRaが3nmであっても磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に優れた特性を有していた。
【0102】
(実施例7)
PETペレット(A面側)に固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.5重量%と平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.1重量%配合のペレットを用いること以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0103】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおりA面の表面粗さRaが30nmであっても磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に優れた特性を有していた。
【0104】
(実施例8)
PETペレット(B面側)に固有粘度0.62、平均径0.1μmの球状シリカ粒子0.2重量%配合のペレットを用いること以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0105】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおりB面の表面粗さRaが1nmであっても磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に優れた特性を有していた。
【0106】
(実施例9)
PETペレット(B面側)に固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.2重量%と平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.01重量%配合のペレットを用いること以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0107】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおりB面の表面粗さRaが10nmであっても磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に優れた特性を有していた。
【0108】
(比較例1)
PETペレット(A面側)に固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.5重量%と平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.3重量%配合のペレットを用いること以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0109】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおりA面の表面粗さが本発明の範囲外であったため磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に劣るものであった。
【0110】
(比較例2)
塗布を行わないこと以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0111】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは光沢度が本発明の範囲外であり、また本発明の範囲内の屈折率を持つポリマー層を有さないため磁気テープとして使用した際に光学サーボ特性に劣るものであった。
【0112】
(比較例3)
押出機を2台用いず、280℃に加熱された押出機AにPETペレット(配合固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状シリカ粒子0.5重量%配合)を180℃で3時間減圧乾燥した後に供給し、単層で表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着冷却固化し、単層未延伸フィルムを作製したこと以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0113】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおりB面の表面粗さが本発明の範囲外であったため磁気テープとして使用した際に電磁変換特性に劣るものであった。
【0114】
(比較例4)
PETペレット(A面側)に固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状シリカ粒子0.05重量%配合のペレット、PETペレット(B面側)に固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状シリカ粒子0.08重量%配合のペレットを用いること以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0115】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおりA面の表面粗さが本発明の範囲外であったため磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に劣るものであった。
【0116】
(比較例5)
PETペレット(A面側)に固有粘度0.62、平均径0.3μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.2重量%と平均径0.8μmの球状架橋ポリスチレン粒子0.05重量%配合のペレット、PETペレット(B面側)に固有粘度0.62、平均径0.1μmの球状シリカ粒子0.01重量%配合のペレットを用いること以外は実施例1と同様の方法にて二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
【0117】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおりB面の表面粗さが本発明の範囲外であったため磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に劣るものであった。
【0118】
(比較例6)
比較例3と同様の方法にて単層未延伸フィルムを作成した。この未延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に速度20000%/分、温度70℃から90℃で3.5倍延伸し、この延伸フィルムのA面にコロナ放電処理を施し、A面の濡れ張力を55mN/mとし、フィルムA面に易滑剤(粒径0.1μmのコロイダルシリカ固形分比0.5重量%)を含む塗液Aを水分比4.5重量%で塗布した後、テンターを用いて幅方向に速度2000%/分、温度100℃で4.0倍延伸した。定長下で温度220℃で5秒間熱処理した後、幅方向に5%の弛緩処理を行い、塗布厚み0.1μmフィルム厚み約6μmの二軸配向ポリエステルフィルムを作製した。
【0119】
得られた二軸配向ポリエステルフィルムは表1で示したとおりB面の表面粗さが本発明の範囲外であったため磁気テープとして使用した際に電磁変換特性、光学サーボ特性に劣るものであった。
【0120】
【表1】
【0121】
【発明の効果】
本発明によれば、磁気テープとして用いる際に、バックコート層側に容易にサーボトラックを形成することが可能な二軸配向ポリエステルフィルムを得ることができ、特にバックコート層側にサーボトラックを形成した磁気記録テープ用ベースフィルム用途として好適な二軸配向ポリエステルフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光学サーボ特性測定装置の概略断面図である。
【図2】本発明の一実施態様に係る二軸配向ポリエステルフィルムを用いた磁気テープの概略断面図である。
【符合の説明】
1:磁気テープ
2:レーザー光発生装置
3:検出部(光電子増倍管)
4:入射角(10°)
5:反射角(10°)
6:バックコート層
7:ベースフィルムを露出させた部分
8:ベースフィルム(二軸配向ポリエステルフィルム)
9:下塗り層
10:磁性層
Claims (9)
- 一方の表面(A面)の中心線平均粗さRaAが3〜30nmであり、他方の表面(B面)の中心線平均粗さRaBが0.5〜10nmであり、かつ、少なくとも一方の表面の光沢度が20〜170%である二軸配向ポリエステルフィルム。
- 屈折率が1.20〜1.60であるポリマー層を少なくとも1層有し、かつ、一方の表面(A面)の中心線平均粗さRaAが3〜30nmであり、他方の表面(B面)の中心線平均粗さRaBが0.5〜10nmである二軸配向ポリエステルフィルム。
- ポリマー層が、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂およびウレタン系樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含んでいる、請求項2に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 屈折率が1.20〜1.60であるポリマー層を少なくとも1層有し、一方の表面(A面)の中心線平均粗さRaAが3〜30nmであり、他方の表面(B面)の中心線平均粗さRaBが0.5〜10nmであり、かつ、少なくとも一方の表面の光沢度が20〜170%である二軸配向ポリエステルフィルム。
- 波長750nmの光線を入射したときの、少なくとも一方の表面の反射率が0〜50%である、請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 温度50℃、荷重28MPaの条件下で30分経過後の長手方向のクリープコンプライアンスが、0.10〜0.35GPa−1である、請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 少なくとも一方の表面の動摩擦係数μkが0.15〜0.35である、請求項1〜6のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- ポリエステルがポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートを含んでいる、請求項1〜7のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムを用いてなる記録媒体。
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