JP2005029643A - シリコーンシール剤を用いた接着方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、硬化速度の速い二液型シリコーンシール剤を使用する場合に、接着作業性に優れた方法を提供することを目的とする。
【解決手段】2つの被接着体をシリコーンシール剤の硬化物で接着する方法であって、a)前記シリコーンシール剤は、下記成分(A−1)〜(A−3)を含有するA剤:成分(A−1):OH基含有ポリシロキサン、成分(A−2):有機ケイ素架橋剤、成分(A−3):シランカップリング剤;および下記成分(B−1)〜(B−3)を含有するB剤:成分(B−1):OH基含有ポリシロキサン、成分(B−2):カルボジイミド化合物、成分(B−3):縮合硬化触媒;とからなり、B剤を少なくとも両側からA剤で挟んだ形状で、A剤が2つの比接着体の接着面に接するように、少なくとも一方の被接着体の接着面に塗布し、b)2つの被接着体の接着面を互いに押し付け、塗布したシリコーンシール剤を押し伸ばしてシール剤を硬化する。
【選択図】 図2
【解決手段】2つの被接着体をシリコーンシール剤の硬化物で接着する方法であって、a)前記シリコーンシール剤は、下記成分(A−1)〜(A−3)を含有するA剤:成分(A−1):OH基含有ポリシロキサン、成分(A−2):有機ケイ素架橋剤、成分(A−3):シランカップリング剤;および下記成分(B−1)〜(B−3)を含有するB剤:成分(B−1):OH基含有ポリシロキサン、成分(B−2):カルボジイミド化合物、成分(B−3):縮合硬化触媒;とからなり、B剤を少なくとも両側からA剤で挟んだ形状で、A剤が2つの比接着体の接着面に接するように、少なくとも一方の被接着体の接着面に塗布し、b)2つの被接着体の接着面を互いに押し付け、塗布したシリコーンシール剤を押し伸ばしてシール剤を硬化する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコーンシール剤を用いた接着方法に関し、詳しくは例えば自動車部品のシール面の接着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等のエンジンは、オイルパン、エンジンカバー等の種々の部材からなり、それらはフランジ部で接着されて構成される。特に近年は、フランジ部の接着部あるいはその他開口部の二つの接着部に対し、未硬化の縮合型液状シリコーンゴムを直接フランジにロボットで吐出し、硬化後の接着力を利用してシールする方法が用いられている。このように形成されるガスケットは、FIPG(formed−in−place−gasket)と呼ばれている。この方法により、フランジの形状や表面の凹凸に左右されることなくラインで自動化でき品質面、コスト面で従来の定形ガスケットにはない利点が得られる。一般的にシリコーンゴムは耐エンジンオイル特性が悪く、そのため組成に関して種々の提案がなされている(特許文献1〜4)。
【0003】
【特許文献1】
特公昭62−127348号公報
【特許文献2】
特開平7−126534号公報
【特許文献3】
特開平7−11139号公報
【特許文献4】
特開2000−119526号公報
【特許文献5】
特開平11−76896号公報
【特許文献6】
特開平2−60983号公報
【特許文献7】
特開平6−25638号公報
【特許文献8】
特開平6−57227号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来使用されているFIPG用のシリコーンシール剤は、一液型縮合硬化型であり、空気中の湿気と反応することで、表面から硬化が始まり内部に進行する。内部の硬化は、水分の拡散が律速となるため徐々に進行する。そのため、完全硬化には時間がかかり、例えば24時間以上かけて硬化させていた。
【0005】
しかし、エンジン組み立て後直ちにエンジンの試運転を行うためには、30分程度の短時間にて硬化が終了する材料と工法が求められている。
【0006】
一液型については、例えばビニル基を有する付加硬化型シリコーン組成物は、30分程度で加熱硬化させることができるが、保存安定性のための遅延剤が配合されており、通常100℃以上の温度が必要である。また付加硬化型は例えば切削油等に含まれるアミン成分やイオウ成分が触れると硬化が阻害されると言った問題点が生じる。
【0007】
一方、二液型については、保存安定性の問題が小さいため、室温で30分硬化できる縮合型シリコーン組成物を調製することが可能である。しかしながら、二液型は一液型とは異なって、使用前に二液を混合するための余分な工程が必要である。また、2液の混合は、例えばスタティックミキサー(別名、静止型混合攪拌器または管路内混合器)等の混合器を用いて行われるが、作業を迅速に行わないと、混合器内および吐出部内で硬化が進む場合がある。また、作業を中断したときには、混合器および吐出部内で硬化が進み、中断後に継続して塗布作業をすすめることができない。このように二液型の組成物は、常に作業時間の制約があり、作業性の改善が求められている。
【0008】
一般の二液型接着剤の塗布方法に関しては、特開平11−76896号公報(特許文献5)には、2つのノズルから2材料を別々に、一つの被接着面に平行または重ねて塗布し、もう一つの接着面を重ね合わせて接着することが記載されている。また、特開平2−60983号公報(特許文献6)、特開平6−25638号公報(特許文献7)、特開平6−57227号公報(特許文献8)には、二液の接着剤を2つの被接着面に別々に塗布したり、1つの接着面に重ねて塗布し、2つの接着面を合わせることで、2液材料の混合が起こるようにする方法が記載されている。しかし、これらの方法ではシリコーン樹脂、特に本発明に係わるシリコーン樹脂の特性を十分に生かすことができない欠点がある。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、硬化速度の速い二液型シリコーンシール剤を使用する場合に、接着作業性に優れた方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、2つの被接着体をシリコーンシール剤の硬化物で接着する方法であって、
a)前記シリコーンシール剤は、下記成分(A−1)〜(A−3)を含有するA剤:
成分(A−1):OH基含有ポリシロキサン
成分(A−2):有機ケイ素架橋剤
成分(A−3):シランカップリング剤
および下記成分(B−1)〜(B−3)を含有するB剤:
成分(B−1):OH基含有ポリシロキサン
成分(B−2):カルボジイミド化合物
成分(B−3):縮合硬化触媒
とからなり、B剤を少なくとも両側からA剤で挟んだ形状で、A剤が2つの被接着体の接着面に接するように、少なくとも一方の被接着体の接着面に塗布する工程と、
b)2つの被接着体の接着面を互いに押し付けて、塗布したシリコーンシール剤を押し伸ばす工程とを有する接着方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるシリコーンシール剤は、前述のようにA剤とB剤からなる二液型のシリコーン樹脂組成物である。A剤およびB剤は、それぞれを単独で用いても実用的な硬化速度では硬化しないが、混合することにより、−30℃〜120℃程度、好ましくは0℃〜50℃の間、例えば室温でも、1〜300分程度、例えば30分程度での短時間で硬化する性質を有する。
【0012】
本発明に用いられる二液型シリコーンシール剤は、特に自動車用途に要求される特性である高い伸び率、耐熱性、耐オイル性、耐薬品性に優れたシリコーン硬化ゴムを与えるものであるが、本発明の接着方法により、作業性よく短時間硬化が可能になった。
【0013】
図面を参照しながら、本発明の接着方法を説明する。
【0014】
図1に、1例としてオイルパン1のフランジ面2に、塗布装置4からシール剤3を吐出して塗布している様子を示す。図2にシール剤の塗布形態の1例を示す。即ち、図2(a)は、塗布されたシール剤3のX−X’断面図であり、図2(b)は、塗布されたシール剤3の中央付近を塗布方向に沿った面で切った断面図である。
【0015】
この例では、図2(a)に示すように、B剤11をA剤10で囲んだ形状でシール剤が塗布されている。その後もう一方の被接着体であるシリンダブロック等のフランジ面5を押し付けて、図3に示すようにシール剤3を押し伸ばす。このようにA剤およびB剤が薄く押しつぶされると、それぞれの間で各成分の混合・拡散が生じて、硬化が開始する。このとき、A剤に関しては、押しつぶされたときの厚さが各0.3mm以下になるようにすることが好ましく、またB剤については0.5mm以下になるようにすることが好ましい。この程度の厚さであれば、A剤とB剤の間で成分の接触移動が起こり、シール剤の硬化が可能になる。
【0016】
本発明の方法では、2つの被接着面にはA剤が必ず接触する。A剤中にはシランカップリング剤が必須成分として含まれるので、接着面に対する接着性が極めてよいために、接着面での十分な接着強度を保証することができる。また、A剤はB剤により硬化が促進されるが、十分に長い時間をかければ単独でも硬化するので、接着の信頼性の高い。また一方、B剤中にシランカップリング剤を添加すると、硬化する問題がある。このようなことから、特に本発明の組成においては、A剤−B剤−A剤がこの順で2つの接着面に挟まれて押しつぶされるのが好ましいのである。
【0017】
尚、本発明では、A剤とB剤が押しつぶしたときに薄層状になるように塗布されればよいので、図2(a)に示した断面でなくても、図4に示すように断面が矩形状でもよいし、形状に特に制限はなく、要するにB剤の周囲をA剤が被覆していればよい。また図5に示すように層状であってもよい。層状に塗布するときは1回でなくても、A剤、B剤、A剤の順に3回に分けて塗布してもよい。従って、本発明において、「B剤を少なくとも両側からA剤で挟んだ形状」とは、このように、B剤の周囲をA剤が被覆している場合と、A剤およびB剤が層状になっている場合の両方を意味する。但し、実際の作業上は、B剤の周囲をA剤が被覆している形状で塗布装置から押し出した方が、吐出された接着剤の方向性によらずに接着面で必ずA剤−B剤−A剤の層構造部分ができるので好ましい。
【0018】
図6は、塗布装置のノズルの1例を示す断面図である。このノズルは中央にB剤の吐出口20を有し、その周囲にA剤を吐出するためのリング状の吐出口21が設けられている。B剤供給口22からB剤を供給し、A剤供給口23からA剤を供給する。A剤供給口の個数は1つでも2つでも、またはそれ以上でもよい。図6の例では、A剤供給口が2つあり、内部で一緒になってリング状の吐出口に連通している。2つ以上の供給口を供給口22の周囲に均等に配置することで、A剤の吐出形状を対称形に整え易くなる利点がある。
【0019】
図7は、塗布装置のノズルの異なる例を示す断面図である。このノズルはA剤供給口27が1つであり、リング状のA剤吐出口25に連通している。一方B剤は供給口26から供給され、供給口25の中央に位置している吐出口24から吐出される。
【0020】
このようなノズルを用いることで、B剤を中心にA剤がその周りを囲んだ形状でシール剤を吐出することができる。
【0021】
シール剤を間に挟んで2つの被接着体の接着面を押し付けた後、通常採用されている硬化条件でシール剤を硬化させることができる。例えば、湿度10〜90%RH、−30℃〜120℃、好ましくは0℃〜50℃、例えば室温下に、1〜300分、例えば30分程度放置することで実用的なレベルまで硬化が進行する。
【0022】
本発明に好ましく使用されるA剤およびB剤の各成分を説明する。
【0023】
A剤は、成分(A−1):OH基含有ポリシロキサン、成分(A−2):有機ケイ素架橋剤および成分(A−3):シランカップリング剤を含有し、B剤は、成分(B−1):OH基含有ポリシロキサン、成分(B−2):カルボジイミド化合物および成分(B−3):縮合硬化触媒を含有する。
【0024】
本発明のA剤およびB剤は、各成分を混合した後、各成分がそのままの状態で存在する場合の他、多くの場合において各成分を混合した際および混合してから使用までの間に反応が生じる場合がある。本発明においては、各成分を「混合した」ものであれば、いずれの状態のものをも意味するものである。
【0025】
<A剤およびB剤の構成>
A剤は、成分(A−1)〜(A−3)を含有し、A剤単独でも空気中の湿気によって徐々に硬化が進行するが十分な硬化速度ではない。しかし、B剤中の硬化触媒およびカルボジイミド化合物の働きにより硬化が促進される。また、B剤は成分(B−1)〜(B−3)を含有するものであって、A剤中のシランカップリング剤により硬化が促進されると考えられる。従って、A剤およびB剤ともに単独では安定であり、また、B剤をA剤で挟んだ形状で塗布した状態でも比較的安定である。しかし、A剤とB剤とが共に押し伸ばされたときに、成分の混合・拡散が生じて、硬化が急速に進行して接着が可能になる。以下に、各成分について説明する。
【0026】
<成分(A−1)および成分(B−1)の説明>
成分(A−1)および成分(B−1)のOH基含有ポリシロキサンは、OH基を2つ以上有するポリシロキサンであって、他の成分と混合できるためには液状であるものが好ましい。好ましいOH基含有ポリシロキサンは、一般式(I):
【0027】
【化2】
【0028】
で表されるものであり、この式中、R1、R2およびR3は互いに独立にH、OH基、またはフッ素で置換されていてもよい一価の炭化水素基を示し、その際、R1およびR2は、異なるSi原子上で異なる基であってもよく、R4はH、またはフッ素で置換されていてもよい一価の炭化水素基を示す。但し、R4がフッ素で置換されていてもよい一価の炭化水素基であるときは、すべてのR1およびR2、並びにR3のうち、少なくとも1つはOH基である。nは、25℃における粘度が所望の粘度となるように選択され、通常は10〜10,000,000cpとなるように選択される。
【0029】
式(I)のポリシロキサン中には、1以上のOH基が含まれるが、2つ以上のOH基が含まれることが好ましい。
【0030】
R1〜R4がとりうるフッ素で置換されていてもよい一価の炭化水素基としては、炭素数20までの直鎖状または環状脂肪族炭化水素基、アリール基、およびこれらの基において少なくとも1つの水素がフッ素で置換されている基が挙げられる。好ましくは、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル等の炭素数12まで、さらに好ましくは8までのアルキル基;シクロヘキシルおよびシクロペンチル等の炭素数6〜12の環状アルキル基;ビニルおよびアリル等の炭素数12まで、さらに好ましくは8までのアルケニル基;フェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、イソプロピルフェニル、キシリル、メシチリル、ナフチリル等のアリール基、好ましくは1つのベンゼン環のみを有するアリール基;3,3,3−トリフルオロプロピル等の炭素数12まで、さらに好ましくは8までのフルオロアルキル基を挙げることができる。通常は、フッ素置換されていないものが入手も容易であり好ましい。
【0031】
OH基含有ポリシロキサンとして特に好ましくは、R3がOH基であり、R4がHである両末端がOH基であるOH基末端ポリシロキサンであり、その際、R1およびR2がHまたはフッ素で置換されていてもよい一価の炭化水素基であることが好ましい。特にR1およびR2が共にメチル基、または一方がメチル基でもう一方がフェニル基もしくはHであるものが好ましい。最も好ましくはR1およびR2が共にメチル基である。
【0032】
また、OH基含有ポリシロキサンは、単独で用いても、または2種以上の混合物を用いてもよい。
【0033】
本発明で用いるOH基含有ポリシロキサンの粘度(または式(I)におけるn)は、他の成分を混合できる範囲の液状であれば特に制限はなく、通常10cp〜10,000,000cpの範囲であり、特に100〜1,000,000の範囲、さらに1,000〜100,000の範囲が好ましい。ポリシロキサンが式(I)で表されるときは、そのような粘度になるようにnが選ばれる。
【0034】
OH基含有ポリシロキサンは成分(A−1)および成分(B−1)の両方に用いられ、それぞれに対する分配割合は、混合の容易さを考慮すると重量比で成分(A−1):(B−1)が90:10〜10:90、好ましくは70:30〜30:70、さらに好ましくは60:40〜40:60であり、最も好ましくは、約50:50である。
【0035】
また、成分(A−1)、成分(B−1)は、異なるポリシロキサンを用いても、同一のポリシロキサンを用いてもどちらでもよいが、通常は同一のポリシロキサンが用いられる。
【0036】
<成分(A−2)の説明>
成分(A−2)の有機ケイ素架橋剤としては、縮合型液状シリコーンゴムの硬化剤として知られているものが、好適に使用される。これらの硬化剤は、OH基と反応して、カルボン酸類、アルコール類、オキシム類、アミン類、アミド類、アミノキシ類、ケトン類、水素分子または水等が脱離するような化合物である。
【0037】
このような有機ケイ素架橋剤としては、例えば一般式(II):
X1 (4−a)−Si−X2 a (II)
で表されるものが挙げられる。ここでX1は各々独立してH、OH基、アルコキシ基、オキシモ基、アルケノキシ基、アミノ基、アミド基、アミノキシ基またはアシルオキシ基である。X2は各々独立して炭素数20程度までの炭化水素基であり、例えばC1〜C20アルキル基、C2〜C20アルケニル基、炭素数20までのアリール基またはフルオロアルキル基である。aは、0、1または2、好ましくは0または1である。
【0038】
X1は加水分解性の基が好ましく、アルコキシ基、オキシモ基、アルケノキシ基、アミノ基、アミド基、アミノキシ基またはアシルオキシ基が好ましく、さらに好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、メチルエチルケトオキシモ基(−O−N=C(CH3)C2H5)、イソプロペノキシ基(−O−C(CH3)=CH2)、シクロヘキシルアミノ基(−NH−cyclohexyl)、アルキルカルボニル−N−アルキルアミノ基(メチルカルボニル−N−メチルアミノ基〔−NR−C(O)R〕等、但しRはアルキル基)、ジアルキルアミノオキシ基(ジメチルアミノオキシ基等)である。X2は、好ましくはC1〜C8アルキル、C2〜C8アルケニル、フェニル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基、ビニル基である。
【0039】
また、好ましい有機ケイ素架橋剤として、環状シロキサンのSiにアミノキシ基が結合した環状アミノキシシロキサンも挙げられ、例えば次式(III):
【0040】
【化3】
【0041】
〔式中、各Rは、同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル等のアルキル基、またはアリール基であり、qは3〜10程度であり、pは、0≦p≦q−2、好ましくは0≦p≦q−3を満たす整数である。〕
で表されるジオルガノアミノキシシロキサン類、および次式(IV):
【0042】
【化4】
【0043】
〔式中、各Rは、同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル等のアルキル基、またはアリール基であり、qは3〜10程度であり、pは、0≦p≦q−1、好ましくは0≦p≦q−2を満たす整数である。〕
で表されるジオルガノジアミノシロキサン類を挙げることができる。
【0044】
式(III)および式(IV)において、qは典型的には4であり、そのときpは0、1または2である。これらは混合物で使用することができる。また、Si原子に結合しているRと、Nに結合しているRは、互い同一であっても異なっていてもよく、好ましくはメチル基、エチル基またはフェニル基であり、さらに好ましくは少なくともSiに結合しているRがメチル基である。
【0045】
有機ケイ素架橋剤の例として、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン等)、ビニルトリアルコキシシラン(ビニルトリメトキシシラン等)、メチルトリ(メチルエチルケトオキシモ)シラン、ビニルトリ(メチルエチルケトオキシモ)シラン、テトラ(メチルエチルケトオキシモ)シラン、メチルトリ(シクロヘキシルアミノ)シラン、メチルトリ(イソプロペノキシ)シラン、ビニルトリ(イソプロペノキシ)シラン、ジメチルアミドシラン(メチルカルボニル−N−エチルアミノジメチルシラン等)、メチルビニルジアミドシラン(メチルカルボニル−N−エチルアミノメチルビニルシラン等)等を挙げることができる。
【0046】
成分(A−2):有機ケイ素架橋剤は、1種類の化合物であっても、2種以上を混合して用いてもよい。使用量は、架橋硬化(特に、水分による硬化)が生じる程度の量を用いればよい。しかし、少なすぎると硬化が不充分となる可能性が生じ、仮に硬化が行われるとしても貯蔵安定性に乏しくなる一方、多すぎると硬化の遅延効果が著しく、使用上問題となる場合が生じる。従って、通常は成分(A−1)のOH基含有ポリシロキサン100重量部に対して、例えば0.01重量部〜50重量部であり、好ましくは0.1重量部〜20重量部である。
【0047】
<成分(A−3)の説明>
シランカップリング剤は、接着性の向上に加えて、B剤を硬化させる作用を有する。成分(A−3)としては、ビニル基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤およびアミノ基含有シランカップリング剤が好ましく、特にビニル基含有シランカップリング剤およびエポキシ基含有シランカップリング剤が好ましい。
【0048】
ビニル基含有シランカップリング剤およびエポキシ基含有シランカップリング剤としては、具体的には、3−[N−アリル−N−(2−アミノエチル)]アミノプロピルトリメトシキシラン、3−(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−アリル−N−メタクリロイル)アミノプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、α,ω−(3−グリシドキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−メタクリロキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]メタクリルアミド、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]メタクリルアミド、α,ω−ビス(ビニル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(ビニル)ポリジメチルシロキサン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−グリシジル−N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]アミン、N−グリシジル−N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−(3−メタクリロキシプロピル)−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランおよび3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等を挙げることができる。
【0049】
また、アミノ基含有シランカップリング剤としては、3−[N−アリル−N(2−アミノエチル)]アミノプロピルトリメトキシシラン、P−[N−(アミノエチル)アミノメチル]フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、1−(3−アミノプロピル)1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3,テトラメチルジシロキサン、N,N−ビス[(メチルジメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N−[(3−トリメトキシシリル)プロピル]ジエチレントリアミン、N−[(3−トリメトキシシリル)プロピル]トリエチレンテトラミン、N−3−トリメトキシシリルプロピル−m−フェニレンジアミン、N−トリメチルシリルアセトアミド、N−トリメチルシリルフェニル尿素等を挙げることができる。
【0050】
成分(A−3)は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0051】
成分(A−3)の使用量は、成分(B−1)のOH基含有ポリシロキサン100重量部に対して、通常0.1〜100重量部であり、特に1〜50重量部が好ましい。また、成分(A−3)の成分(A−1)に対する使用量は特に制限はなく、適宜決めることができる。
【0052】
<成分(B−2)の説明>
成分(B−2)は、分子中に1個以上のカルボジイミド基(−N=C=N−)を含有する化合物であり、モノカルボジイミド化合物及びポリカルボジイミド化合物を含む。
【0053】
カルボジイミド化合物は公知の化合物であり、一般的に良く知られた方法で合成されたものを使用することができる。例えば、触媒として有機リン系化合物又は有機金属化合物を用い、各種イソシアネート化合物を無溶媒又は不活性溶媒中で脱炭酸縮合反応させて合成することができる。
【0054】
モノカルボジイミド化合物としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド等を例示することができる。これらの中では特に、工業的に入手の容易な面からジシクロカルボジイミド、ジイソプロピルベンゼンカルボジイミドが好適である。
【0055】
又、ポリカルボジイミド化合物としては、公知の種々の方法で製造したものを使用することができる。基本的には従来のポリカルボジイミドの製造方法(米国特許第2941956号明細書や特公昭47−33279号公報、J.Org.Chem,28,2069−2075(1963)、Chemical Review 1981,Vol.81 No.4 p619−621)により、具体的には有機ジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応により製造したポリカルボジイミドを例示することができる。
【0056】
上記方法において、ポリカルボジイミド化合物の合成原料である有機ジイソシアネートとしては、例えば芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートやこれらの混合物を使用することができ、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート等を例示することができる。
【0057】
また、このような反応で得られるポリカルボジイミドは、末端にイソシアネート基を有しており、本発明ではこのような末端イソシアネート基含有ポリカルボジイミドであっても、末端イソシアネート基を変性したポリカルボジイミドであってもどちらでも使用することができる。
【0058】
例えば、ジイソシアネートから合成したポリカルボジイミドの末端にモノイソシアネート化合物を反応させて、末端イソシアネートを変成させた化合物を用いることもできる。このようにポリカルボジイミドの末端を封止するためのモノイソシアネートとしては、例えば、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート、メチルイソシアネート等を例示することができる。
【0059】
さらにこの他にも、封止剤として末端イソシアネートと反応し得る化合物として、脂肪族化合物、芳香物化合物、脂環族化合物であって、−OH基を持つメタノール、エタノール、フェノール、シクロヘキサノール、N−メチルエタノールアミン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル等;=NH基を持つジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等;−NH2基を持つブチルアミン、シクロヘキシルアミン等;−COO基を持つコハク酸、安息香酸、シクロヘキサン酸等;−SH基を持つエチルメルカプタン、アリルメルカプタン、チオフェノール等やエポキシ基等を有する化合物を使用することができる。
【0060】
上記有機ジイソシアネートの脱炭酸縮合反応はカルボジイミド化触媒の存在下に進行するものであり、このカルボジイミド化触媒としては、例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−スルフィド、1,3−ジメチル−2−ホスホレン−1−スルフィド等のホスホレン化合物;ペンタカルボニル鉄、ノナカルボニル鉄、ヘキサカルボニルタンブステン等の金属カルボニル錯体;鉄、アルミニウム、クロム、ジルコニウム等のアセチルアセトナイト錯体;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等の燐酸エステル等を使用することができ、これらのうち、反応性の面からは3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドが好適である。
【0061】
上記カルボジイミド化触媒は、単独で若しくは混合して使用することができ、その使用量としては、有機ジイソシアネート100重量部に対して30重量部以下、好ましくは0.01〜10重量部である。
【0062】
有機ポリイソシアネートのカルボジイミド化反応は、無溶媒でも、適当な溶媒を使用してもよく、溶媒を使用する場合、その溶媒は合成反応時にポリカルボジイミド樹脂を溶解できるものであればよく、例えば1,1−ジクロロエタン、テトラクロロエチレン、p−クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;2−メチルシクロヘキサノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、2,4−ジメチル−3−ヘプタノン等のケトン系溶媒;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のアセテート系溶媒を挙げることができる。
【0063】
尚、ポリカルボジイミドの具体例としては、日清紡株式会社から「カルボジライト」の商標名にて入手できるV−02、V−04、V−06、E−01、E−02等の水性タイプ、V−01、V−03、V−05、V−07、V−09等の油性タイプ等を好適に用いることができる。これらの製品においては、主鎖の構造、末端基の構造、1分子中に含まれるカルボジイミド基の割合、希釈率等が異なっており、適宜選択して使用することができる。
【0064】
カルボジイミド化合物は、1種類のものを単独で用いても、2種以上を混合して用いてもどちらでもよい。
【0065】
成分(B−2):カルボジイミド化合物は樹脂硬化物の物性、耐エンジンオイル性、耐ロングライフクーラント性の向上に効果があり、実質的に効果が明確になる量としては、成分(B−1)のOH基含有ポリシロキサンの合計100重量部に対して、0.1重量部以上が好ましい。さらに好ましくは1重量部以上である。また成分(B−2)は、成分(B−1)に対して相溶する限りにおいて多量に使用することができるが、通常は成分(B−1)100重量部に対して200重量部以下が好ましく、特に80重量部以下、さらに50重量部以下が好ましい。
【0066】
<成分(B−3)縮合硬化触媒の説明>
縮合硬化触媒は、硬化を促進するために用いられ、特に30分程度以内の時間で硬化させるためには必須の成分である。縮合硬化触媒としては、従来より縮合型シリコーン組成物の硬化触媒として用いられるものから適宜選択して使用することができる。
【0067】
具体的には、ジブチルすずジオクトエート、ジブチルすずジアセテート、ジブチルすず−2−エチルヘキソエート、鉄−2−エチルヘキソエート、コバルト−2−エチルヘキソエート、マンガン−2−エチルヘキソエート、亜鉛−2−エチルヘキソエート、カプリル酸第一すず、ナフテン酸すず、オレイン酸すず、ブチル酸すず、ナフテン酸すず、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛などの有機カルボン酸の金属塩;テトラブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、トリエタノールアミンチタネート、テトラ(イソプロペニルオキシ)チタネートなどの有機チタン酸エステル;オルガノシロキシチタン、β−カルボニルチタンなどの有機チタン化合物;アルコキシアルミニウム化合物;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミンなどのアミノアルキル基置換アルコキシシラン;ヘキシルアミン、リン酸ドデシルアミンなどのアミン化合物およびその塩;ペンジルトリエチルアンモニウムアセテートなどの第4級アンモニウム塩;酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、しゅう酸リチウムなどのアルカリ金属の低級脂肪酸塩;ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミンなどのジアルキルヒドロキシアミン等を挙げることができる。
【0068】
一般に多用されているものは、スズを含むスズ化合物およびチタンを含むチタン化合物であり、本発明においても好ましく使用することができる。
【0069】
成分(B−3)の硬化触媒の使用量は、通常は成分(A−1)のOH基含有ポリシロキサン100重量部に対して、例えば0.01重量部〜30重量部であり、好ましくは0.05重量部〜20重量部である。また、成分(B−3)の成分(B−1)に対する使用量は特に制限はなく、適宜決めることができる。
【0070】
<A剤とB剤の量>
A剤とB剤は重量比率は適宜決めることができるが、2剤をノズルから吐出したときのシール剤の形状等を考慮すると、例えば重量比(断面体積比でもほぼ同じ)で、A剤:B剤が8:1〜1:8程度が好ましく、さらに好ましくは4:1〜1:4である。
【0071】
本発明が適用される用途は、耐オイル性が必要な箇所で、作業性と接着特性が要求される用途が好ましい。特にエンジン周りの接着に用いられることが好ましく、オイルパンとシリンダーブロックの接着の他、チェーンケースとシリンダーブロック、ラダーフレームとオイルパン、シリンダーブロックとラダーフレーム、リアオイルシールとシリンダーブロックの接着に用いられる。その他、ATミッションケース同士、ATミッションとオイルパンとの接着にも用いられる。
【0072】
本発明では、シリコーン硬化組成物の物理特性を向上させるため、必要に応じて公知の充填剤、たとえば煙霧質シリカ、表面処理煙霧質シリカ、沈殿シリカ、けいそう土、石英粉、炭酸、カルシウム、カーボンブラック、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄などを配合しても良い。
【0073】
【実施例】
次に実施例により本発明を具体的に説明する。
【0074】
<実施例1〜14、比較例1〜9>
A剤の調製
ダルトン株式会社製5リットル万能混練機に、20000cpのOH基末端ポリジメチルシロキサン(表中ではPDMSと略す。)とシリカ(カボット社の製品名Cab−O−Si TS530)を、表1に記載の量を仕込み、1時間混練りした。その後120℃に加熱しさらに1時間混練りした。
【0075】
冷却後、窒素封入し、さらにビニルトリ(メチルエチルケトオキシモ)シラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランおよび3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを表1に記載した量で仕込み、25℃にて1時間混練りし、A剤A1〜A3を得た。
【0076】
B剤の調製
ダルトン株式会社製5リットル万能混練機に、20000cpのOH基末端ポリジメチルシロキサンとシリカ(カボット社のCab−O−Si TS530)を、表2に記載の量を仕込み、1時間混練りした。その後120℃に加熱しさらに1時間混練りした。
【0077】
冷却後、ポリカルボジイミド(日清紡株式会社製の商品名Carbodilite V−04B)およびスズ触媒(ジブチルスズオクトエート)をさらに表2記載の量仕込み、25℃にて1時間混練りし、B剤B1〜B4を得た。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
試験
エンジンオイルパンのフランジ部に、B剤の周りにA剤を被覆したシール剤をφ4mmのビード幅で塗布した。実際に塗布したシール剤の断面は、図8に模式的に示すようにB剤11をA剤10が被覆する形態であった。その後、シリンダブロックを組みつけ温度25℃湿度50%の条件、および温度5℃湿度35%の条件でそれぞれ30分放置させた後、オイルパンをブロック部から引き剥がし、シリコーンシール剤の硬化性と接着性を確認した。
【0081】
シリコーンシール剤が硬化しており、シール剤が凝集破壊するほどの接着性を示したものを「良好」と評価した。
【0082】
【表3】
【0083】
<比較例7:一液性シール剤>
表4の組成で、実施例のA剤の調製と同様にして一液性シール剤を調製した。
【0084】
得られた一液性シール剤を、エンジンオイルパンフランジ部にφ4mmのビード幅で塗布し、ついでオイルパンをシリンダブロック部に組みつけ室温25℃湿度50%および室温5℃湿度35%の条件で30分養生させた後、オイルパンをブロック部から引き剥がし、シリコーンシール剤の硬化性を確認しようとしたが、シリコーンシール剤は未硬化のままであった。
【0085】
【表4】
【0086】
<比較例8:付加型シリコンシール剤>
トヨタ自動車製JZエンジンオイルパンフランジ部にGE東芝シリコーン社製の付加型シリコーンシーラントTSE322をφ4mmのビード幅で塗布し、ついでオイルパンをシリンダブロック部に組みつけ温度150℃条件で30分エージングさせた後、オイルパンをブロック部から引き剥がし、シリコーンシール剤の硬化性を確認したところ、残存切削油による硬化阻害が発生して、硬化していなかった。
【0087】
<比較例9:スタティックミキサーによる塗布>
トヨタ自動車製JZエンジンオイルパンフランジ部にGE東芝シリコーン社製二液縮合型シリコーンーラントTSE3633(A)(B)を100:2の割合となるようカートリッジに詰め7cmのスタティックミキサーにてφ4mmのビード幅で塗布し、ついでオイルパンをシリンダブロック部に組みつけ室温25℃湿度50%および室温5℃湿度35%の条件で30分硬化させた後、オイルパンをブロック部から引き剥がし、シリコーンシール剤の硬化性を確認した。その結果、1回目の塗布工程では上手く塗布ができ、シール剤の硬化が確認されたが、2回目以降はスタティックミキサー内でシール剤が硬化し、塗布自体が実施不可能になった。
【0088】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の接着方法によれば、エンジンのFIPG用として使用できる性能を有する2液型のシリコーンシール剤を、作業性よく短時間で硬化することができるので、工程の大幅な簡略と時間の短縮が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンのオイルパンのフランジ面にシール剤を塗布している様子を示す図である。
【図2】図2(a):塗布したシール剤の断面(図1のX−X’断面)を模式的に示す図である。図2(b):塗布したシール剤の断面(塗布方向であってシール剤の中央付近)を模式的に示す図である。
【図3】塗布したシール剤を、2つの被接着体で押し伸ばした様子を模式的に示す図である。
【図4】塗布されたシール剤の断面形態の1例を模式的に示す図である。
【図5】塗布されたシール剤の断面形態の1例を模式的に示す図である。
【図6】本発明に用いられる塗布装置のノズルの1例を示す図である。
【図7】本発明に用いられる塗布装置のノズルの1例を示す図である。
【図8】実施例で塗布したシール剤の断面の模式図である。
【符号の説明】
1 オイルパン
2 フランジ面
3 シール剤
4 塗布装置
5 シリンダブロック等のフランジ面
10 A剤
11 B剤
20 B剤吐出口
21 A剤を吐出するためのリング状の吐出口
22 B剤供給口
23 A剤供給口
24 B剤吐出口
25 リング状のA剤吐出口
26 B剤供給口
27 A剤供給口
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコーンシール剤を用いた接着方法に関し、詳しくは例えば自動車部品のシール面の接着方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等のエンジンは、オイルパン、エンジンカバー等の種々の部材からなり、それらはフランジ部で接着されて構成される。特に近年は、フランジ部の接着部あるいはその他開口部の二つの接着部に対し、未硬化の縮合型液状シリコーンゴムを直接フランジにロボットで吐出し、硬化後の接着力を利用してシールする方法が用いられている。このように形成されるガスケットは、FIPG(formed−in−place−gasket)と呼ばれている。この方法により、フランジの形状や表面の凹凸に左右されることなくラインで自動化でき品質面、コスト面で従来の定形ガスケットにはない利点が得られる。一般的にシリコーンゴムは耐エンジンオイル特性が悪く、そのため組成に関して種々の提案がなされている(特許文献1〜4)。
【0003】
【特許文献1】
特公昭62−127348号公報
【特許文献2】
特開平7−126534号公報
【特許文献3】
特開平7−11139号公報
【特許文献4】
特開2000−119526号公報
【特許文献5】
特開平11−76896号公報
【特許文献6】
特開平2−60983号公報
【特許文献7】
特開平6−25638号公報
【特許文献8】
特開平6−57227号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来使用されているFIPG用のシリコーンシール剤は、一液型縮合硬化型であり、空気中の湿気と反応することで、表面から硬化が始まり内部に進行する。内部の硬化は、水分の拡散が律速となるため徐々に進行する。そのため、完全硬化には時間がかかり、例えば24時間以上かけて硬化させていた。
【0005】
しかし、エンジン組み立て後直ちにエンジンの試運転を行うためには、30分程度の短時間にて硬化が終了する材料と工法が求められている。
【0006】
一液型については、例えばビニル基を有する付加硬化型シリコーン組成物は、30分程度で加熱硬化させることができるが、保存安定性のための遅延剤が配合されており、通常100℃以上の温度が必要である。また付加硬化型は例えば切削油等に含まれるアミン成分やイオウ成分が触れると硬化が阻害されると言った問題点が生じる。
【0007】
一方、二液型については、保存安定性の問題が小さいため、室温で30分硬化できる縮合型シリコーン組成物を調製することが可能である。しかしながら、二液型は一液型とは異なって、使用前に二液を混合するための余分な工程が必要である。また、2液の混合は、例えばスタティックミキサー(別名、静止型混合攪拌器または管路内混合器)等の混合器を用いて行われるが、作業を迅速に行わないと、混合器内および吐出部内で硬化が進む場合がある。また、作業を中断したときには、混合器および吐出部内で硬化が進み、中断後に継続して塗布作業をすすめることができない。このように二液型の組成物は、常に作業時間の制約があり、作業性の改善が求められている。
【0008】
一般の二液型接着剤の塗布方法に関しては、特開平11−76896号公報(特許文献5)には、2つのノズルから2材料を別々に、一つの被接着面に平行または重ねて塗布し、もう一つの接着面を重ね合わせて接着することが記載されている。また、特開平2−60983号公報(特許文献6)、特開平6−25638号公報(特許文献7)、特開平6−57227号公報(特許文献8)には、二液の接着剤を2つの被接着面に別々に塗布したり、1つの接着面に重ねて塗布し、2つの接着面を合わせることで、2液材料の混合が起こるようにする方法が記載されている。しかし、これらの方法ではシリコーン樹脂、特に本発明に係わるシリコーン樹脂の特性を十分に生かすことができない欠点がある。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、硬化速度の速い二液型シリコーンシール剤を使用する場合に、接着作業性に優れた方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、2つの被接着体をシリコーンシール剤の硬化物で接着する方法であって、
a)前記シリコーンシール剤は、下記成分(A−1)〜(A−3)を含有するA剤:
成分(A−1):OH基含有ポリシロキサン
成分(A−2):有機ケイ素架橋剤
成分(A−3):シランカップリング剤
および下記成分(B−1)〜(B−3)を含有するB剤:
成分(B−1):OH基含有ポリシロキサン
成分(B−2):カルボジイミド化合物
成分(B−3):縮合硬化触媒
とからなり、B剤を少なくとも両側からA剤で挟んだ形状で、A剤が2つの被接着体の接着面に接するように、少なくとも一方の被接着体の接着面に塗布する工程と、
b)2つの被接着体の接着面を互いに押し付けて、塗布したシリコーンシール剤を押し伸ばす工程とを有する接着方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられるシリコーンシール剤は、前述のようにA剤とB剤からなる二液型のシリコーン樹脂組成物である。A剤およびB剤は、それぞれを単独で用いても実用的な硬化速度では硬化しないが、混合することにより、−30℃〜120℃程度、好ましくは0℃〜50℃の間、例えば室温でも、1〜300分程度、例えば30分程度での短時間で硬化する性質を有する。
【0012】
本発明に用いられる二液型シリコーンシール剤は、特に自動車用途に要求される特性である高い伸び率、耐熱性、耐オイル性、耐薬品性に優れたシリコーン硬化ゴムを与えるものであるが、本発明の接着方法により、作業性よく短時間硬化が可能になった。
【0013】
図面を参照しながら、本発明の接着方法を説明する。
【0014】
図1に、1例としてオイルパン1のフランジ面2に、塗布装置4からシール剤3を吐出して塗布している様子を示す。図2にシール剤の塗布形態の1例を示す。即ち、図2(a)は、塗布されたシール剤3のX−X’断面図であり、図2(b)は、塗布されたシール剤3の中央付近を塗布方向に沿った面で切った断面図である。
【0015】
この例では、図2(a)に示すように、B剤11をA剤10で囲んだ形状でシール剤が塗布されている。その後もう一方の被接着体であるシリンダブロック等のフランジ面5を押し付けて、図3に示すようにシール剤3を押し伸ばす。このようにA剤およびB剤が薄く押しつぶされると、それぞれの間で各成分の混合・拡散が生じて、硬化が開始する。このとき、A剤に関しては、押しつぶされたときの厚さが各0.3mm以下になるようにすることが好ましく、またB剤については0.5mm以下になるようにすることが好ましい。この程度の厚さであれば、A剤とB剤の間で成分の接触移動が起こり、シール剤の硬化が可能になる。
【0016】
本発明の方法では、2つの被接着面にはA剤が必ず接触する。A剤中にはシランカップリング剤が必須成分として含まれるので、接着面に対する接着性が極めてよいために、接着面での十分な接着強度を保証することができる。また、A剤はB剤により硬化が促進されるが、十分に長い時間をかければ単独でも硬化するので、接着の信頼性の高い。また一方、B剤中にシランカップリング剤を添加すると、硬化する問題がある。このようなことから、特に本発明の組成においては、A剤−B剤−A剤がこの順で2つの接着面に挟まれて押しつぶされるのが好ましいのである。
【0017】
尚、本発明では、A剤とB剤が押しつぶしたときに薄層状になるように塗布されればよいので、図2(a)に示した断面でなくても、図4に示すように断面が矩形状でもよいし、形状に特に制限はなく、要するにB剤の周囲をA剤が被覆していればよい。また図5に示すように層状であってもよい。層状に塗布するときは1回でなくても、A剤、B剤、A剤の順に3回に分けて塗布してもよい。従って、本発明において、「B剤を少なくとも両側からA剤で挟んだ形状」とは、このように、B剤の周囲をA剤が被覆している場合と、A剤およびB剤が層状になっている場合の両方を意味する。但し、実際の作業上は、B剤の周囲をA剤が被覆している形状で塗布装置から押し出した方が、吐出された接着剤の方向性によらずに接着面で必ずA剤−B剤−A剤の層構造部分ができるので好ましい。
【0018】
図6は、塗布装置のノズルの1例を示す断面図である。このノズルは中央にB剤の吐出口20を有し、その周囲にA剤を吐出するためのリング状の吐出口21が設けられている。B剤供給口22からB剤を供給し、A剤供給口23からA剤を供給する。A剤供給口の個数は1つでも2つでも、またはそれ以上でもよい。図6の例では、A剤供給口が2つあり、内部で一緒になってリング状の吐出口に連通している。2つ以上の供給口を供給口22の周囲に均等に配置することで、A剤の吐出形状を対称形に整え易くなる利点がある。
【0019】
図7は、塗布装置のノズルの異なる例を示す断面図である。このノズルはA剤供給口27が1つであり、リング状のA剤吐出口25に連通している。一方B剤は供給口26から供給され、供給口25の中央に位置している吐出口24から吐出される。
【0020】
このようなノズルを用いることで、B剤を中心にA剤がその周りを囲んだ形状でシール剤を吐出することができる。
【0021】
シール剤を間に挟んで2つの被接着体の接着面を押し付けた後、通常採用されている硬化条件でシール剤を硬化させることができる。例えば、湿度10〜90%RH、−30℃〜120℃、好ましくは0℃〜50℃、例えば室温下に、1〜300分、例えば30分程度放置することで実用的なレベルまで硬化が進行する。
【0022】
本発明に好ましく使用されるA剤およびB剤の各成分を説明する。
【0023】
A剤は、成分(A−1):OH基含有ポリシロキサン、成分(A−2):有機ケイ素架橋剤および成分(A−3):シランカップリング剤を含有し、B剤は、成分(B−1):OH基含有ポリシロキサン、成分(B−2):カルボジイミド化合物および成分(B−3):縮合硬化触媒を含有する。
【0024】
本発明のA剤およびB剤は、各成分を混合した後、各成分がそのままの状態で存在する場合の他、多くの場合において各成分を混合した際および混合してから使用までの間に反応が生じる場合がある。本発明においては、各成分を「混合した」ものであれば、いずれの状態のものをも意味するものである。
【0025】
<A剤およびB剤の構成>
A剤は、成分(A−1)〜(A−3)を含有し、A剤単独でも空気中の湿気によって徐々に硬化が進行するが十分な硬化速度ではない。しかし、B剤中の硬化触媒およびカルボジイミド化合物の働きにより硬化が促進される。また、B剤は成分(B−1)〜(B−3)を含有するものであって、A剤中のシランカップリング剤により硬化が促進されると考えられる。従って、A剤およびB剤ともに単独では安定であり、また、B剤をA剤で挟んだ形状で塗布した状態でも比較的安定である。しかし、A剤とB剤とが共に押し伸ばされたときに、成分の混合・拡散が生じて、硬化が急速に進行して接着が可能になる。以下に、各成分について説明する。
【0026】
<成分(A−1)および成分(B−1)の説明>
成分(A−1)および成分(B−1)のOH基含有ポリシロキサンは、OH基を2つ以上有するポリシロキサンであって、他の成分と混合できるためには液状であるものが好ましい。好ましいOH基含有ポリシロキサンは、一般式(I):
【0027】
【化2】
【0028】
で表されるものであり、この式中、R1、R2およびR3は互いに独立にH、OH基、またはフッ素で置換されていてもよい一価の炭化水素基を示し、その際、R1およびR2は、異なるSi原子上で異なる基であってもよく、R4はH、またはフッ素で置換されていてもよい一価の炭化水素基を示す。但し、R4がフッ素で置換されていてもよい一価の炭化水素基であるときは、すべてのR1およびR2、並びにR3のうち、少なくとも1つはOH基である。nは、25℃における粘度が所望の粘度となるように選択され、通常は10〜10,000,000cpとなるように選択される。
【0029】
式(I)のポリシロキサン中には、1以上のOH基が含まれるが、2つ以上のOH基が含まれることが好ましい。
【0030】
R1〜R4がとりうるフッ素で置換されていてもよい一価の炭化水素基としては、炭素数20までの直鎖状または環状脂肪族炭化水素基、アリール基、およびこれらの基において少なくとも1つの水素がフッ素で置換されている基が挙げられる。好ましくは、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル等の炭素数12まで、さらに好ましくは8までのアルキル基;シクロヘキシルおよびシクロペンチル等の炭素数6〜12の環状アルキル基;ビニルおよびアリル等の炭素数12まで、さらに好ましくは8までのアルケニル基;フェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、イソプロピルフェニル、キシリル、メシチリル、ナフチリル等のアリール基、好ましくは1つのベンゼン環のみを有するアリール基;3,3,3−トリフルオロプロピル等の炭素数12まで、さらに好ましくは8までのフルオロアルキル基を挙げることができる。通常は、フッ素置換されていないものが入手も容易であり好ましい。
【0031】
OH基含有ポリシロキサンとして特に好ましくは、R3がOH基であり、R4がHである両末端がOH基であるOH基末端ポリシロキサンであり、その際、R1およびR2がHまたはフッ素で置換されていてもよい一価の炭化水素基であることが好ましい。特にR1およびR2が共にメチル基、または一方がメチル基でもう一方がフェニル基もしくはHであるものが好ましい。最も好ましくはR1およびR2が共にメチル基である。
【0032】
また、OH基含有ポリシロキサンは、単独で用いても、または2種以上の混合物を用いてもよい。
【0033】
本発明で用いるOH基含有ポリシロキサンの粘度(または式(I)におけるn)は、他の成分を混合できる範囲の液状であれば特に制限はなく、通常10cp〜10,000,000cpの範囲であり、特に100〜1,000,000の範囲、さらに1,000〜100,000の範囲が好ましい。ポリシロキサンが式(I)で表されるときは、そのような粘度になるようにnが選ばれる。
【0034】
OH基含有ポリシロキサンは成分(A−1)および成分(B−1)の両方に用いられ、それぞれに対する分配割合は、混合の容易さを考慮すると重量比で成分(A−1):(B−1)が90:10〜10:90、好ましくは70:30〜30:70、さらに好ましくは60:40〜40:60であり、最も好ましくは、約50:50である。
【0035】
また、成分(A−1)、成分(B−1)は、異なるポリシロキサンを用いても、同一のポリシロキサンを用いてもどちらでもよいが、通常は同一のポリシロキサンが用いられる。
【0036】
<成分(A−2)の説明>
成分(A−2)の有機ケイ素架橋剤としては、縮合型液状シリコーンゴムの硬化剤として知られているものが、好適に使用される。これらの硬化剤は、OH基と反応して、カルボン酸類、アルコール類、オキシム類、アミン類、アミド類、アミノキシ類、ケトン類、水素分子または水等が脱離するような化合物である。
【0037】
このような有機ケイ素架橋剤としては、例えば一般式(II):
X1 (4−a)−Si−X2 a (II)
で表されるものが挙げられる。ここでX1は各々独立してH、OH基、アルコキシ基、オキシモ基、アルケノキシ基、アミノ基、アミド基、アミノキシ基またはアシルオキシ基である。X2は各々独立して炭素数20程度までの炭化水素基であり、例えばC1〜C20アルキル基、C2〜C20アルケニル基、炭素数20までのアリール基またはフルオロアルキル基である。aは、0、1または2、好ましくは0または1である。
【0038】
X1は加水分解性の基が好ましく、アルコキシ基、オキシモ基、アルケノキシ基、アミノ基、アミド基、アミノキシ基またはアシルオキシ基が好ましく、さらに好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、メチルエチルケトオキシモ基(−O−N=C(CH3)C2H5)、イソプロペノキシ基(−O−C(CH3)=CH2)、シクロヘキシルアミノ基(−NH−cyclohexyl)、アルキルカルボニル−N−アルキルアミノ基(メチルカルボニル−N−メチルアミノ基〔−NR−C(O)R〕等、但しRはアルキル基)、ジアルキルアミノオキシ基(ジメチルアミノオキシ基等)である。X2は、好ましくはC1〜C8アルキル、C2〜C8アルケニル、フェニル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基、ビニル基である。
【0039】
また、好ましい有機ケイ素架橋剤として、環状シロキサンのSiにアミノキシ基が結合した環状アミノキシシロキサンも挙げられ、例えば次式(III):
【0040】
【化3】
【0041】
〔式中、各Rは、同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル等のアルキル基、またはアリール基であり、qは3〜10程度であり、pは、0≦p≦q−2、好ましくは0≦p≦q−3を満たす整数である。〕
で表されるジオルガノアミノキシシロキサン類、および次式(IV):
【0042】
【化4】
【0043】
〔式中、各Rは、同一であっても異なっていてもよく、メチル、エチル等のアルキル基、またはアリール基であり、qは3〜10程度であり、pは、0≦p≦q−1、好ましくは0≦p≦q−2を満たす整数である。〕
で表されるジオルガノジアミノシロキサン類を挙げることができる。
【0044】
式(III)および式(IV)において、qは典型的には4であり、そのときpは0、1または2である。これらは混合物で使用することができる。また、Si原子に結合しているRと、Nに結合しているRは、互い同一であっても異なっていてもよく、好ましくはメチル基、エチル基またはフェニル基であり、さらに好ましくは少なくともSiに結合しているRがメチル基である。
【0045】
有機ケイ素架橋剤の例として、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリアルコキシシラン(メチルトリメトキシシラン等)、ビニルトリアルコキシシラン(ビニルトリメトキシシラン等)、メチルトリ(メチルエチルケトオキシモ)シラン、ビニルトリ(メチルエチルケトオキシモ)シラン、テトラ(メチルエチルケトオキシモ)シラン、メチルトリ(シクロヘキシルアミノ)シラン、メチルトリ(イソプロペノキシ)シラン、ビニルトリ(イソプロペノキシ)シラン、ジメチルアミドシラン(メチルカルボニル−N−エチルアミノジメチルシラン等)、メチルビニルジアミドシラン(メチルカルボニル−N−エチルアミノメチルビニルシラン等)等を挙げることができる。
【0046】
成分(A−2):有機ケイ素架橋剤は、1種類の化合物であっても、2種以上を混合して用いてもよい。使用量は、架橋硬化(特に、水分による硬化)が生じる程度の量を用いればよい。しかし、少なすぎると硬化が不充分となる可能性が生じ、仮に硬化が行われるとしても貯蔵安定性に乏しくなる一方、多すぎると硬化の遅延効果が著しく、使用上問題となる場合が生じる。従って、通常は成分(A−1)のOH基含有ポリシロキサン100重量部に対して、例えば0.01重量部〜50重量部であり、好ましくは0.1重量部〜20重量部である。
【0047】
<成分(A−3)の説明>
シランカップリング剤は、接着性の向上に加えて、B剤を硬化させる作用を有する。成分(A−3)としては、ビニル基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤およびアミノ基含有シランカップリング剤が好ましく、特にビニル基含有シランカップリング剤およびエポキシ基含有シランカップリング剤が好ましい。
【0048】
ビニル基含有シランカップリング剤およびエポキシ基含有シランカップリング剤としては、具体的には、3−[N−アリル−N−(2−アミノエチル)]アミノプロピルトリメトシキシラン、3−(N−アリル−N−グリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(N−アリル−N−メタクリロイル)アミノプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメチルシラン、α,ω−(3−グリシドキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(3−メタクリロキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]メタクリルアミド、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]メタクリルアミド、α,ω−ビス(ビニル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(ビニル)ポリジメチルシロキサン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N−グリシジル−N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]アミン、N−グリシジル−N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、1−(3−メタクリロキシプロピル)−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランおよび3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン等を挙げることができる。
【0049】
また、アミノ基含有シランカップリング剤としては、3−[N−アリル−N(2−アミノエチル)]アミノプロピルトリメトキシシラン、P−[N−(アミノエチル)アミノメチル]フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、1−(3−アミノプロピル)1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3,テトラメチルジシロキサン、N,N−ビス[(メチルジメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[3−(メチルジメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アミン、N,N−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N−[(3−トリメトキシシリル)プロピル]ジエチレントリアミン、N−[(3−トリメトキシシリル)プロピル]トリエチレンテトラミン、N−3−トリメトキシシリルプロピル−m−フェニレンジアミン、N−トリメチルシリルアセトアミド、N−トリメチルシリルフェニル尿素等を挙げることができる。
【0050】
成分(A−3)は、単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0051】
成分(A−3)の使用量は、成分(B−1)のOH基含有ポリシロキサン100重量部に対して、通常0.1〜100重量部であり、特に1〜50重量部が好ましい。また、成分(A−3)の成分(A−1)に対する使用量は特に制限はなく、適宜決めることができる。
【0052】
<成分(B−2)の説明>
成分(B−2)は、分子中に1個以上のカルボジイミド基(−N=C=N−)を含有する化合物であり、モノカルボジイミド化合物及びポリカルボジイミド化合物を含む。
【0053】
カルボジイミド化合物は公知の化合物であり、一般的に良く知られた方法で合成されたものを使用することができる。例えば、触媒として有機リン系化合物又は有機金属化合物を用い、各種イソシアネート化合物を無溶媒又は不活性溶媒中で脱炭酸縮合反応させて合成することができる。
【0054】
モノカルボジイミド化合物としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t−ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ−t−ブチルカルボジイミド、ジ−β−ナフチルカルボジイミド等を例示することができる。これらの中では特に、工業的に入手の容易な面からジシクロカルボジイミド、ジイソプロピルベンゼンカルボジイミドが好適である。
【0055】
又、ポリカルボジイミド化合物としては、公知の種々の方法で製造したものを使用することができる。基本的には従来のポリカルボジイミドの製造方法(米国特許第2941956号明細書や特公昭47−33279号公報、J.Org.Chem,28,2069−2075(1963)、Chemical Review 1981,Vol.81 No.4 p619−621)により、具体的には有機ジイソシアネートの脱二酸化炭素を伴う縮合反応により製造したポリカルボジイミドを例示することができる。
【0056】
上記方法において、ポリカルボジイミド化合物の合成原料である有機ジイソシアネートとしては、例えば芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートやこれらの混合物を使用することができ、具体的には、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−キシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート等を例示することができる。
【0057】
また、このような反応で得られるポリカルボジイミドは、末端にイソシアネート基を有しており、本発明ではこのような末端イソシアネート基含有ポリカルボジイミドであっても、末端イソシアネート基を変性したポリカルボジイミドであってもどちらでも使用することができる。
【0058】
例えば、ジイソシアネートから合成したポリカルボジイミドの末端にモノイソシアネート化合物を反応させて、末端イソシアネートを変成させた化合物を用いることもできる。このようにポリカルボジイミドの末端を封止するためのモノイソシアネートとしては、例えば、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート、メチルイソシアネート等を例示することができる。
【0059】
さらにこの他にも、封止剤として末端イソシアネートと反応し得る化合物として、脂肪族化合物、芳香物化合物、脂環族化合物であって、−OH基を持つメタノール、エタノール、フェノール、シクロヘキサノール、N−メチルエタノールアミン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル等;=NH基を持つジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等;−NH2基を持つブチルアミン、シクロヘキシルアミン等;−COO基を持つコハク酸、安息香酸、シクロヘキサン酸等;−SH基を持つエチルメルカプタン、アリルメルカプタン、チオフェノール等やエポキシ基等を有する化合物を使用することができる。
【0060】
上記有機ジイソシアネートの脱炭酸縮合反応はカルボジイミド化触媒の存在下に進行するものであり、このカルボジイミド化触媒としては、例えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−スルフィド、1,3−ジメチル−2−ホスホレン−1−スルフィド等のホスホレン化合物;ペンタカルボニル鉄、ノナカルボニル鉄、ヘキサカルボニルタンブステン等の金属カルボニル錯体;鉄、アルミニウム、クロム、ジルコニウム等のアセチルアセトナイト錯体;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等の燐酸エステル等を使用することができ、これらのうち、反応性の面からは3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシドが好適である。
【0061】
上記カルボジイミド化触媒は、単独で若しくは混合して使用することができ、その使用量としては、有機ジイソシアネート100重量部に対して30重量部以下、好ましくは0.01〜10重量部である。
【0062】
有機ポリイソシアネートのカルボジイミド化反応は、無溶媒でも、適当な溶媒を使用してもよく、溶媒を使用する場合、その溶媒は合成反応時にポリカルボジイミド樹脂を溶解できるものであればよく、例えば1,1−ジクロロエタン、テトラクロロエチレン、p−クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;2−メチルシクロヘキサノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、2,4−ジメチル−3−ヘプタノン等のケトン系溶媒;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒;2−メトキシエチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のアセテート系溶媒を挙げることができる。
【0063】
尚、ポリカルボジイミドの具体例としては、日清紡株式会社から「カルボジライト」の商標名にて入手できるV−02、V−04、V−06、E−01、E−02等の水性タイプ、V−01、V−03、V−05、V−07、V−09等の油性タイプ等を好適に用いることができる。これらの製品においては、主鎖の構造、末端基の構造、1分子中に含まれるカルボジイミド基の割合、希釈率等が異なっており、適宜選択して使用することができる。
【0064】
カルボジイミド化合物は、1種類のものを単独で用いても、2種以上を混合して用いてもどちらでもよい。
【0065】
成分(B−2):カルボジイミド化合物は樹脂硬化物の物性、耐エンジンオイル性、耐ロングライフクーラント性の向上に効果があり、実質的に効果が明確になる量としては、成分(B−1)のOH基含有ポリシロキサンの合計100重量部に対して、0.1重量部以上が好ましい。さらに好ましくは1重量部以上である。また成分(B−2)は、成分(B−1)に対して相溶する限りにおいて多量に使用することができるが、通常は成分(B−1)100重量部に対して200重量部以下が好ましく、特に80重量部以下、さらに50重量部以下が好ましい。
【0066】
<成分(B−3)縮合硬化触媒の説明>
縮合硬化触媒は、硬化を促進するために用いられ、特に30分程度以内の時間で硬化させるためには必須の成分である。縮合硬化触媒としては、従来より縮合型シリコーン組成物の硬化触媒として用いられるものから適宜選択して使用することができる。
【0067】
具体的には、ジブチルすずジオクトエート、ジブチルすずジアセテート、ジブチルすず−2−エチルヘキソエート、鉄−2−エチルヘキソエート、コバルト−2−エチルヘキソエート、マンガン−2−エチルヘキソエート、亜鉛−2−エチルヘキソエート、カプリル酸第一すず、ナフテン酸すず、オレイン酸すず、ブチル酸すず、ナフテン酸すず、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸亜鉛などの有機カルボン酸の金属塩;テトラブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、トリエタノールアミンチタネート、テトラ(イソプロペニルオキシ)チタネートなどの有機チタン酸エステル;オルガノシロキシチタン、β−カルボニルチタンなどの有機チタン化合物;アルコキシアルミニウム化合物;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミンなどのアミノアルキル基置換アルコキシシラン;ヘキシルアミン、リン酸ドデシルアミンなどのアミン化合物およびその塩;ペンジルトリエチルアンモニウムアセテートなどの第4級アンモニウム塩;酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、しゅう酸リチウムなどのアルカリ金属の低級脂肪酸塩;ジメチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミンなどのジアルキルヒドロキシアミン等を挙げることができる。
【0068】
一般に多用されているものは、スズを含むスズ化合物およびチタンを含むチタン化合物であり、本発明においても好ましく使用することができる。
【0069】
成分(B−3)の硬化触媒の使用量は、通常は成分(A−1)のOH基含有ポリシロキサン100重量部に対して、例えば0.01重量部〜30重量部であり、好ましくは0.05重量部〜20重量部である。また、成分(B−3)の成分(B−1)に対する使用量は特に制限はなく、適宜決めることができる。
【0070】
<A剤とB剤の量>
A剤とB剤は重量比率は適宜決めることができるが、2剤をノズルから吐出したときのシール剤の形状等を考慮すると、例えば重量比(断面体積比でもほぼ同じ)で、A剤:B剤が8:1〜1:8程度が好ましく、さらに好ましくは4:1〜1:4である。
【0071】
本発明が適用される用途は、耐オイル性が必要な箇所で、作業性と接着特性が要求される用途が好ましい。特にエンジン周りの接着に用いられることが好ましく、オイルパンとシリンダーブロックの接着の他、チェーンケースとシリンダーブロック、ラダーフレームとオイルパン、シリンダーブロックとラダーフレーム、リアオイルシールとシリンダーブロックの接着に用いられる。その他、ATミッションケース同士、ATミッションとオイルパンとの接着にも用いられる。
【0072】
本発明では、シリコーン硬化組成物の物理特性を向上させるため、必要に応じて公知の充填剤、たとえば煙霧質シリカ、表面処理煙霧質シリカ、沈殿シリカ、けいそう土、石英粉、炭酸、カルシウム、カーボンブラック、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化鉄などを配合しても良い。
【0073】
【実施例】
次に実施例により本発明を具体的に説明する。
【0074】
<実施例1〜14、比較例1〜9>
A剤の調製
ダルトン株式会社製5リットル万能混練機に、20000cpのOH基末端ポリジメチルシロキサン(表中ではPDMSと略す。)とシリカ(カボット社の製品名Cab−O−Si TS530)を、表1に記載の量を仕込み、1時間混練りした。その後120℃に加熱しさらに1時間混練りした。
【0075】
冷却後、窒素封入し、さらにビニルトリ(メチルエチルケトオキシモ)シラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランおよび3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを表1に記載した量で仕込み、25℃にて1時間混練りし、A剤A1〜A3を得た。
【0076】
B剤の調製
ダルトン株式会社製5リットル万能混練機に、20000cpのOH基末端ポリジメチルシロキサンとシリカ(カボット社のCab−O−Si TS530)を、表2に記載の量を仕込み、1時間混練りした。その後120℃に加熱しさらに1時間混練りした。
【0077】
冷却後、ポリカルボジイミド(日清紡株式会社製の商品名Carbodilite V−04B)およびスズ触媒(ジブチルスズオクトエート)をさらに表2記載の量仕込み、25℃にて1時間混練りし、B剤B1〜B4を得た。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
試験
エンジンオイルパンのフランジ部に、B剤の周りにA剤を被覆したシール剤をφ4mmのビード幅で塗布した。実際に塗布したシール剤の断面は、図8に模式的に示すようにB剤11をA剤10が被覆する形態であった。その後、シリンダブロックを組みつけ温度25℃湿度50%の条件、および温度5℃湿度35%の条件でそれぞれ30分放置させた後、オイルパンをブロック部から引き剥がし、シリコーンシール剤の硬化性と接着性を確認した。
【0081】
シリコーンシール剤が硬化しており、シール剤が凝集破壊するほどの接着性を示したものを「良好」と評価した。
【0082】
【表3】
【0083】
<比較例7:一液性シール剤>
表4の組成で、実施例のA剤の調製と同様にして一液性シール剤を調製した。
【0084】
得られた一液性シール剤を、エンジンオイルパンフランジ部にφ4mmのビード幅で塗布し、ついでオイルパンをシリンダブロック部に組みつけ室温25℃湿度50%および室温5℃湿度35%の条件で30分養生させた後、オイルパンをブロック部から引き剥がし、シリコーンシール剤の硬化性を確認しようとしたが、シリコーンシール剤は未硬化のままであった。
【0085】
【表4】
【0086】
<比較例8:付加型シリコンシール剤>
トヨタ自動車製JZエンジンオイルパンフランジ部にGE東芝シリコーン社製の付加型シリコーンシーラントTSE322をφ4mmのビード幅で塗布し、ついでオイルパンをシリンダブロック部に組みつけ温度150℃条件で30分エージングさせた後、オイルパンをブロック部から引き剥がし、シリコーンシール剤の硬化性を確認したところ、残存切削油による硬化阻害が発生して、硬化していなかった。
【0087】
<比較例9:スタティックミキサーによる塗布>
トヨタ自動車製JZエンジンオイルパンフランジ部にGE東芝シリコーン社製二液縮合型シリコーンーラントTSE3633(A)(B)を100:2の割合となるようカートリッジに詰め7cmのスタティックミキサーにてφ4mmのビード幅で塗布し、ついでオイルパンをシリンダブロック部に組みつけ室温25℃湿度50%および室温5℃湿度35%の条件で30分硬化させた後、オイルパンをブロック部から引き剥がし、シリコーンシール剤の硬化性を確認した。その結果、1回目の塗布工程では上手く塗布ができ、シール剤の硬化が確認されたが、2回目以降はスタティックミキサー内でシール剤が硬化し、塗布自体が実施不可能になった。
【0088】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の接着方法によれば、エンジンのFIPG用として使用できる性能を有する2液型のシリコーンシール剤を、作業性よく短時間で硬化することができるので、工程の大幅な簡略と時間の短縮が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンのオイルパンのフランジ面にシール剤を塗布している様子を示す図である。
【図2】図2(a):塗布したシール剤の断面(図1のX−X’断面)を模式的に示す図である。図2(b):塗布したシール剤の断面(塗布方向であってシール剤の中央付近)を模式的に示す図である。
【図3】塗布したシール剤を、2つの被接着体で押し伸ばした様子を模式的に示す図である。
【図4】塗布されたシール剤の断面形態の1例を模式的に示す図である。
【図5】塗布されたシール剤の断面形態の1例を模式的に示す図である。
【図6】本発明に用いられる塗布装置のノズルの1例を示す図である。
【図7】本発明に用いられる塗布装置のノズルの1例を示す図である。
【図8】実施例で塗布したシール剤の断面の模式図である。
【符号の説明】
1 オイルパン
2 フランジ面
3 シール剤
4 塗布装置
5 シリンダブロック等のフランジ面
10 A剤
11 B剤
20 B剤吐出口
21 A剤を吐出するためのリング状の吐出口
22 B剤供給口
23 A剤供給口
24 B剤吐出口
25 リング状のA剤吐出口
26 B剤供給口
27 A剤供給口
Claims (11)
- 2つの被接着体をシリコーンシール剤の硬化物で接着する方法であって、
a)前記シリコーンシール剤は、下記成分(A−1)〜(A−3)を含有するA剤:
成分(A−1):OH基含有ポリシロキサン
成分(A−2):有機ケイ素架橋剤
成分(A−3):シランカップリング剤
および下記成分(B−1)〜(B−3)を含有するB剤:
成分(B−1):OH基含有ポリシロキサン
成分(B−2):カルボジイミド化合物
成分(B−3):縮合硬化触媒
とからなり、B剤を少なくとも両側からA剤で挟んだ形状で、A剤が2つの被接着体の接着面に接するように、少なくとも一方の被接着体の接着面に塗布する工程と、
b)2つの被接着体の接着面を互いに押し付けて、塗布したシリコーンシール剤を押し伸ばす工程と
を有する接着方法。 - 前記a)の工程において、前記B剤を中心にしてその周囲を前記A剤で被覆した形状で塗布することを特徴とする請求項1記載の接着方法。
- 前記被接着体の1つがシリンダブロックであることを特徴とする請求項1または2記載の接着方法。
- 前記被接着体の1つがシリンダブロックで、もう1つがオイルパンであることを特徴とする請求項3記載の接着方法。
- 前記成分(A−1)および(B−1)のOH基含有ポリシロキサンが、下記一般式(I):
で表されるポリシロキサンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の接着方法。 - 前記成分(A−1)および(B−1)のOH基含有ポリシロキサンが、前記式(I)において、R1およびR2がHまたは一価の炭化水素基、R3がOH基、R4がHであるOH基末端ポリシロキサンであることを特徴とする請求項5記載の接着方法。
- 前記成分(A−1)および(B−1)のOH基含有ポリシロキサンが、前記式(I)において、R1およびR2がメチル基、R3がOH基、R4がHであるOH基末端ポリジメチルシロキサンであることを特徴とする請求項5記載の接着方法。
- 前記有機ケイ素架橋剤が、OH基との反応によりカルボン酸類、アルコール類、オキシム類、アミン類、アミド類、アミノキシ類、ケトン類、水素分子および水からなる群より選ばれる化合物が脱離する架橋剤であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の接着方法。
- 前記シランカップリング剤が、ビニル基、エポキシ基またはアミノ基を含むシランカップリング剤を含む請求項1〜8のいずれかに記載の接着方法。
- 前記カルボジイミド化合物が、ポリカルボジイミドであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の接着方法。
- 前記縮合硬化触媒が、スズ化合物またはチタン化合物であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の接着方法。
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