JP2005028911A - 車両エンジンルーム内の補機配設構造 - Google Patents
車両エンジンルーム内の補機配設構造 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】車室とエンジンルーム1とがダッシュパネル3によって仕切られた車両エンジンルーム内の補機配設構造であって、上記ダッシュパネル3に形成された前後方向の凹部3a内には駆動装置32が配設され、上記駆動装置32の側方のダッシュパネル3の前方にはバッテリ72が配設され、上記バッテリ72の前端位置が駆動装置32より前方に位置していることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車室とエンジンルームとがダッシュパネルによって仕切られたような車両エンジンルーム内の補機配設構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両のエンジンルーム内のエンジンおよび補機の配設構造としては、次のような構造がある(特許文献1参照)。
すなわち、図14に示すように、車室101と、この車室101の前方にダッシュパネル102により区画されたエンジンルーム103とが設けられ、上述のエンジンルーム103内に縦置き配設されたエンジン104により後輪(図示せず)を駆動すべく構成したFR(前部機関後輪駆動)タイプの一般的な構造である。
【0003】
また、左右一対のフロントサイドフレーム105,105間において、エンジン104の前方にはクーラコンデンサ106およびラジエータ107を配設し、エンジン104の前部とほぼ面一状になるようにフロントサイドフレーム105,105の車外側には左右一対のバッテリ108,108が配設されたものである。
【0004】
この従来構造においては重量物としてのエンジン104およびバッテリ108(補機)が車両中心部から前方に離間したエンジンルーム103内に配置されているので、ヨー慣性モーメントが比較的大きい問題点があり、加えて、車両の衝突時には、エンジンの104の後退量が大となる問題点があった。
【0005】
そこで、上述のヨー慣性モーメントを低減し、操縦安定性を向上させるためには、空調ユニットのコンパクト化構造(特許文献2参照)、またはフィルムダンパ方式の空調ユニットを用いることが考えられる(特許文献3参照)。
【0006】
このような空調ユニットを用いると、前部機関構成のエンジンをある程度、車両の中心部寄りに後退させ、ヨー慣性モーメントの低減により、操縦安定性をある程度向上させることができる。
【0007】
上述のヨー慣性モーメントをさらに低減して、操縦安定性を向上させるためには、エンジンを小型化するか或は重量としてのエンジンおよびバッテリをさらに後退レイアウト化する必要があるが、エンジンの小型化には限界があり、このためエンジンおよびバッテリを車両の中心部に配置すべく、さらに後退させる要請があった。
【0008】
一方、車両のフロント側においてダッシュパネルの後部にオートエアコンを配置すると共に、車両のリヤ側にはリヤクーラユニットを配置した車両用空気調和装置(特許文献4参照)も既に発明されているが、一般的な空調装置である以上、エンジンおよびバッテリの後退レイアウト化には支障があった。
【0009】
また、ダッシュロアパネルの上部に設けられて車幅方向に延びるカウルボックスを設け、上述のダッシュロアパネルの後部にエアコンユニットを配置した構造(特許文献5参照)も既に発明されているが、一般的なカウルボックスとエアコンユニットの開示に過ぎないので、エンジンの後退レイアウト化には支障があった。
【0010】
【特許文献1】
特開平6−239147号公報
【特許文献2】
特開2001−105833号公報
【特許文献3】
特開平10−324141号公報
【特許文献4】
特開平5−193337号公報
【特許文献5】
特開平8−58431号公報。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は、ダッシュパネルの凹部内に駆動装置を配設し、該駆動装置の側方のダッシュパネルの前方にバッテリを配設し、バッテリ前端位置を駆動装置よりも前方に位置させることで、駆動装置とバッテリとの両者を後退配置し、これにより、ヨー慣性モーメントの低減を図って、操縦安定性および車両の運動性能の向上を図り、しかも、衝突荷重をバッテリで受け止めて、衝突時の駆動装置後退量の減少を図って、安全性を向上させることができる車両エンジンルーム内の補機配設構造の提供を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明による車両エンジンルーム内の補機配設構造は、車室とエンジンルームとがダッシュパネルによって仕切られた車両エンジンルーム内の補機配設構造であって、上記ダッシュパネルに形成された前後方向の凹部内には駆動装置が配設され、上記駆動装置の側方のダッシュパネルの前方にはバッテリが配設され、上記バッテリの前端位置が駆動装置より前方に位置しているものである。
【0013】
上述の駆動装置はエンジンまたはエンジンとISGユニットに設定してもよい。
上記構成によれば、ダッシュパネルの凹部内に駆動装置を配設し、かつ駆動装置の側方のダッシュパネル前方にバッテリを配設したので、駆動装置とバッテリとの両者を後退配置することができ、この結果、ヨー慣性モーメントの低減を図って、操縦安定性および車両の運動性能の向上を図ることができる。
【0014】
しかも、剛性を有して衝突時にも潰れにくいバッテリの前端位置を駆動装置よりも前方に位置させたので、衝突荷重をバッテリで受け止めて、衝突時の駆動装置の後退量の減少を図って、安全性を向上させることができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記バッテリは左右一対配設されたものである。
上記構成によれば、左右一対のバッテリ配設構造と成したので、重量バランスがよく、しかも左右一対設けることで、衝突時において適切にクラッシュ対応ができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、上記エンジンルーム内には左右一対で車両の前後方向に延びて後端がダッシュパネルに接続されるフロントフレームが設けられ、上記バッテリはフロントフレームのダッシュパネル接続部に配設されたものである。
上記構成によれば、フロントフレームのダッシュパネル接続部が強度が強いので、バッテリに入力される衝突荷重を効率的に伝達することができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記ダッシュパネルと連続して車室フロアを形成するフロアパネルには車室内側に突設するトンネル部が設けられ、上記トンネル部に沿って延びて閉断面を形成するトンネルメンバがダッシュパネルのバッテリ配設位置に接続されたものである。
【0018】
上記構成によれば、バッテリに入力した衝突荷重を、閉断面構造のトンネルメンバを介して車体に伝達することができ、荷重の分散を図るので、クラッシュ時の荷重吸収が良好となる。
【0019】
この発明の一実施態様においては、上記バッテリはフロントフレーム上に配設固定されたものである。
上記構成によれば、フロントフレームにバッテリを上載固定するので、バッテリ取付け用に特別な別部材が不要となり、簡単な構成でありながら、スペース効率が向上する。
【0020】
この発明の一実施態様においては、上記駆動装置はエンジンとISGユニットとを含むものである。
上述のISGユニット(integrated・starter・generator・unit、インテグレーテッド・スタータ・ジェネレータ・ユニット)は内蔵されたスタータとジェネレータとを兼ねるもので、以下単にISGユニットと略記する。
上記構成によれば、安全性を確保しつつ、ISGユニットが発電した電気エネルギをバッテリで充電することができる。
【0021】
この発明の一実施態様においては、上記駆動装置の前方の上記補機のエンジンルーム内側方には該補機と前後方向にオーバラップして熱交換器が配設されたものである。
上述の交換器はラジエータまたはクーリングユニットに設定してもよい。
上記構成によれば、重量物としての熱交換器をも可及的車両の中央寄りに配設することができる。
【0022】
この発明の一実施態様においては、上記駆動装置、補機および熱交換器はホイールベース内に配設されたものである。
【0023】
上記構成によれば、駆動装置、補機(バッテリ)、熱交換器の重量物をホイールベース内に配設したので、ヨー慣性モーメントのさらなる低減を図って、操縦安定性および車両の運動性能がさらに向上する。
【0024】
この発明の一実施態様においては、上記車室を空調する空調ユニットを設け、該空調ユニットを車室後方に配設したものである。
上記構成によれば、空調ユニットを車室後方いわゆるリヤ側に配設したので、駆動装置のさらなる後退配置が可能となる。
【0025】
この発明の一実施態様においては、上記空調ユニットの後方には荷室が形成されたものである。
上記構成によれば、空調ユニットの配置と、荷室(トランクルーム)の形式との両立を図ることができる。
【0026】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両エンジンルーム内の補機配設構造を示し、側面図で示す図1および平面図で示す図2において、エンジンルーム1と車室2とをダッシュロアパネル3(ダッシュパネル)で前後方向に仕切っている。
【0027】
上述のダッシュロアパネル3の下端後部には略水平に後方へ延びるフロアパネル4を連設し、このフロアパネル4の後部から前低後高状に立上がるバルクヘッド5を設け、該バルクヘッド5の上端部背面には車幅方向に延びるリヤカウル部6を配設している。
【0028】
また上述のバルクヘッド5の上下方向中間部から後方に延びるリヤフロア7を設け、このリヤフロア7におけるリヤカウル部6近傍位置には車室2を空調する空調ユニット8を配設し、この空調ユニット8の後方には荷室9(いわゆるトランクルーム)を形成している。
【0029】
上述のダッシュロアパネル3と連続して車室フロアを形成するところのフロアパネル4の中央部には車室2内側に突設して車両の前後方向に延びるトンネル部10が形成され、このトンネル部10の上部には該トンネル部10に沿って延びるトンネルメンバ11(いわゆるハイマウントバックボーンフレーム)が接合されている。このトンネルメンバ11はその前端がダッシュロアパネル3に接合され、その後端がバルクヘッド5に接合されると共に、トンネルメンバ11とトンネル部10との間には図3に示すように、前後方向に延びる閉断面11A,11Aが形成されたもので、該トンネルメンバ11によりフロア剛性、車体剛性の向上を図るように構成している。
【0030】
上述のトンネル部10およびトンネルメンバ11を隔ててフロアパネル4上部には、シートクッション12とシートバック13とを備えた左右のシート14,14を配設している。この実施例ではステアリングホイール15に対応する右側のシート14をドライバーズシートに設定し、左側のシート14をパッセンジャーズシートに設定している。
【0031】
ところで、上述のエンジンルーム1内には左右一対で車両の前後方向に延び後端がダッシュロアパネル3に接続されたフロントサイドフレーム16,16を設け、これら各フロントサイドフレーム16,16後部のキックアップ部をダッシュロアパネル3に沿設すると共に、その下端部には車両の前後方向に延びる左右一対のフロアフレーム17,17を設けている。
【0032】
上述のフロントサイドフレーム16,16の相互間には車幅方向に延びるフロントクロスメンバ18(図5参照)を設け、フロアパネル4下面に接合されたフロアフレーム17,17の後端部間には車幅方向に延びるリヤクロスメンバ19,19を設けている。
【0033】
このリヤクロスメンバ19の背面からリヤフロア7の下面に延びるように左右一対のリヤサイドフレーム20,20を設け、これらリヤサイドフレーム20,20相互間には車幅方向に延びる2つのリヤクロスメンバ21,22を前後に離間して配設すると共に、左右一対のリヤサイドフレーム20,20の後部には車幅方向に延びるリヤバンパレインフォースメント23を配設すべく構成している。
【0034】
上述のフロアフレーム17と平行にフロアパネル4の左右両端部には車両の前後方向に延びるサイドシル24,24を設けている。これらサイドシル24,24はサイドシルインナとサイドシルアウタとを接合して、車両の前後方向に延びるサイドシル閉断面をもった車体剛性部材である。
【0035】
上述のサイドシル24の前端部は上下方向に延びるヒンジピラー25の下端部に接合されている。このヒンジピラー25はヒンジピラーインナとヒンジピラーアウタとを接合して、上下方向に延びる閉断面をもった車体剛性部材である。
【0036】
図4は図1の要部拡大側面図、図5は図2の要部拡大平面図であって、図4に示すようにダッシュロアパネル3の前方に離間してフロントウインド26の前端を支持するカウル部27が車幅方向に配設されている。この実施例では上述のカウル部27はカウルアッパパネル28とカウルボックス29とで構成している。
【0037】
上述のカウル部27の後方に離間してダッシュロアパネル3の上部を車幅方向に延びる閉断面構造のインパネメンバ30を設けている。
このインパネメンバ30の左右両端部は図5に示すようにヒンジピラー25の後部相互間に接合されている。
【0038】
そして、図5に示すようにダッシュロアパネル3の車幅方向中央部をカウル部27からインパネメンバ30の間まで後方に凹設して凹部3aを形成している。ここで、上述のトンネル部10の上部に接合したトンネルメンバ11には、該トンネルメンバ11と一体または一体的に延長部11aを形成し、この延長部11aをダッシュロアパネル3の凹部3aに沿って、その一般面(凹設されていない面)まで配設している。
【0039】
また上述のインパネメンバ30と、トンネルメンバ11とを前高後低状に接続する閉断面構造かつ一対のインパネ接続メンバ31,31を設け、車体剛性の向上を図るように構成している。
【0040】
図4、図5に示すように上述のインパネメンバ30の前方に近接するように上述の凹部3a内にはエンジン32が配設されている。このエンジン32は縦置きに配設され、エンジン32の後部には連続してISGユニット33を備えると共に、このISGユニット33の後方にはフロアパネル4のトンネル部10内に連続して配設されるトランスミッション34を設けている。
【0041】
上述のISGユニット33は図13に示すようにケース33C内にステータ33Sとロータ33Rが配設され、駆動軸85によってロータ33Rが回転して発電が行われる。
【0042】
図6に示すように、上述のエンジン32の上端はフロアパネル4上部に配設された乗員用シート14の着座面よりも高い位置になるように配設されると共に、上述のエンジン32、ISGユニット33およびトランスミッション34が乗員用シート14に着座した乗員Aと車両の前後方向にオーバラップする位置に配設されている。
【0043】
ところで、図4、図5に示すようにエンジン32のシリンダヘッドの排気側には排気系が接続されるが、この排気系を構成する排気マニホルド35はエンジン32のシリンダヘッドから該エンジン32の一側前方に配設されている。
【0044】
そして、エンジン32の一側前方に位置する排気マニホルド35の集合部から、ほぼ上下方向に延びる排気管36を設け、この排気管36にはキャタリスト37を介設している。
【0045】
また排気管36下流のエキゾーストパイプ38をトンネル部10内に配設し、このエキゾーストパイプ38下流には図2に示すように、キャタリスト39、サイレンサ40、エキゾーストパイプ41を接続している。
【0046】
つまり、エンジン32の排気系は上述の各要素35〜41から構成されるが、このエンジン32の排気系は、エンジン32の一側前方を経由して配設されたものである。
【0047】
一方、前輪42はサスペンションアーム43で支持され、左右一対のサスペンションアーム43,43はサスペンションクロスメンバ44(いわゆるサスクロス)に取付けられている。また前輪42はステアリングラック45および左右のタイロッド46,46を介して操舵される。
【0048】
上述のサスペンションクロスメンバ44にブラケット47を介してクーリングユニット48(ラジエータとファンとを含むユニット)が支持され、このクーリングユニット48の前部には空調用コンデンサいわゆるクーラコンデンサ49が配設されている。
【0049】
ここで、クーリングユニット48のラジエータ48R下部は図7に側面図で示すように支持されている。すなわち、サスペンションクロスメンバ44にボルト、ナット等の連結手段90を用いて側面視コ字状のブラケット47を取付け、このブラケット47の上面部にマウントラバー91を介してラジエータ48Rのロアタンクを取付け支持させている。
【0050】
またラジエータ48R上部は図8に正面図で示すように支持されている。すなわち、フロントサイドフレーム16にボルト、ナット等の連結手段92を用いて正面視略Z字状のアッパブラケット93を取付け、このアッパブラケット93の内方突出部下部にマウントラバー94を介してラジエータ48Rのアッパタンクを取付け支持させている。
【0051】
なお、図8においてはラジエータ48Rの一方の支持構造のみを示したが、ラジエータ48Rの他方はほぼ対称の構造によって支持されている。また、図7、図8において矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車両内方を示し、矢印OUTは車両外方を示すものである。
【0052】
一方、図4に示すように、上述のエンジンルーム1の上部を開閉可能に覆うボンネット50を設け、このボンネット50の前部および下部には走行風取入れ用の開口部51を有するフロントグリル52を設け、上述の開口部51とクーリングユニット48の前面との間をエアダクト53で連通させている。
【0053】
上述のエンジンルーム1内において、エアダクト53およびクーリングユニット48の上部には、図4、図5に示すように、エアクリーナ54を配設し、このエアクリーナ54の上流側には吸気管55(いわゆるフレッシュエアダクト)を取付けると共に、エアクリーナ54内の下流側には吸気管56および吸気マニホルド57を取付け、エアクリーナ54内のエレメント58(図4参照)で浄化した吸気を、吸気管56および吸気マニホルド57を介してエンジン32のシリンダヘッドにおける吸気ポートに供給すべく構成している。
【0054】
図9は図4の要部拡大側面図であって、カウル部27とダッシュロアパネル3上端との間の車体パネルが取外し可能に構成されている。この実施例ではカウル部27の一部を構成するカウルアッパパネル28を脱着構造に成している。
【0055】
すなわち、カウルアッパパネル28のカウルボックス29側の折曲げ部28aと対応してカウルボックス29前部の下面複数箇所には予めナット60を溶接固定し、このナット60と対向してカウルマッパパネル28の上方からボルト61を上記ナット60に締付けて、車体パネルとしてのカウルアッパパネル28をカウルボックス29に取付け、メンテナンス時にはボンネット50の開放後において、上述のボルト61を取外すことにより、カウルアッパパネル28をカウルボックス29およびダッシュロアパネル3から取外すことができるように構成している。
【0056】
上述のカウルアッパパネル28の前部はダッシュロアパネル3の上端折曲げ部3bよりもさらに前方に位置しており、このカウルアッパパネル28の前部上端には、ボンネット50下面のレインフォースメント62との間をシールするシール部材63が取付けられている。
【0057】
またフロントウインド26の前端支持部としてのカウルボックス29と、インパネメンバ30直前における凹部3aの上端折曲げ部3cとの間には該凹部3aに対応するようにサービスホール64が形成されている。
そして、このサービスホール64上部を着脱可能に覆う車体パネルとしてのサービスホールカバー65を設けている。
【0058】
この実施例では上述のカウルボックス29の下面および凹部3aの上端折曲げ部3cの下面複数箇所に予めナット66,67を溶接固定し、これらナット66,67と対向してサービスホールカバー65の上側からボルト68,69を上記ナット66,67に締付けて、サービスホールカバー65をカウルボックス29および凹部3aの上端折曲げ部3cに取付け、メンテナンス時には上述のボルト68,69を取外すことにより、サービスホールカバー65をサービスホール64の口縁から取外すことができるように構成している。
【0059】
また、上述のサービスホールカバー65とサービスホール64の口縁との間にはシール部材としてのシールラバー70が介設されている。
そして、上述の車体パネルとしてのカウルアッパパネル28およびサービスホールカバー65の取外し時には、エンジン32のシリンダヘッドカバー71が取外し可能なスペースを確保するように構成している。
【0060】
ここで、図7においてはカウルボックス29をアルミ部材により構成したが、このカウルボックス29は図10に示すように鋼板製のアウタ部材29Aと鋼板製のインナ部材29Bとを接合して構成してもよい。
ところで、図1、図2、図5に示すようにエンジン32の側方において上述のダッシュロアパネル3の一般面の前方(この実施例では直前部)には左右一対のバッテリ72,72を配設している。
【0061】
これら左右一対のバッテリ72,72はISGユニット33が発電した電気エネルギを充電する役目を兼ねるもので、この実施例では左右一対のフロントサイドフレーム16,16におけるダッシュロアパネル接続部に配設され、バッテリ72の前端位置がエンジン32よりも前方に位置するように配設されている。
【0062】
上述のトンネルメンバ11の延長部11a,11aは図5に示すように、ダッシュロアパネル3のバッテリ配設位置に接続されたものである。
さらに図2、図5に示すように、左右一対のバッテリ72,72のエンジンルーム1内側方には、これらバッテリ72,72と車両の前後方向にオーバラップするように前述のクーリングユニット48が配設されている。
【0063】
しかも、エンジン32およびISGユニット33を含む駆動装置と、補機としての左右一対のバッテリ72,72と、クーリングユニット48とのそれぞれの重量物は図2、図5に示すようにホイールベース内に配設されたものである。
【0064】
上述のバッテリ72は図11に示すように取付けられている。すなわち、下部にフランジ部73が一体に設けられた合成樹脂製のバッテリケース74を設け、フロントサイドフレーム16におけるアッパフレーム16aとバッテリ72下端との間に金属製のバッテリトレイ75を介設し、上述のアッパフレーム16aの下面に予め溶接固定したナットに対してフランジ部73上方からボルト76を締付けて、バッテリケース74内のバッテリ72をフロントサイドフレーム16上に固定したものである。
【0065】
ここで、バッテリ72の上方部はバッテリケース74に被着されるバッテリカバー77にて覆われる。図11において矢印Fは車両前方を示し、矢印INは車両内方を示し、矢印OUTは車両外方を示すものである。図11においては一方のバッテリ72の取付け構造のみを示したが、他方のバッテリ72は略対称の取付け構造によりフロントサイドフレーム16上に固定されている。
【0066】
図11に示すバッテリ取付け構造に代えて、図12に示すバッテリ取付け構造を採用してもよい。すなわち、バッテリトレイ75をフランジ部73の少なくとも外端部まで延出し、上述のボルト76およびナットにより、バッテリケース74のフランジ部73と、バッテリトレイ75と、フロントサイドフレーム16のアッパフレーム16aとの三者を共締め固定し、締付け力の増大を図るように構成してもよい。
【0067】
なお、図中、80はトルクボックス、81は後輪、82はリヤディファレンシャル装置、83はインストルメントパネルである。
【0068】
このように上記実施例の車両エンジンルーム内の補機配設構造は、車室2とエンジンルーム1とがダッシュロアパネル3によって仕切られた車両エンジンルーム内の補機配設構造であって、上記ダッシュロアパネル3に形成された前後方向の凹部3a内には駆動装置(エンジン32、ISGユニット33参照)が配設され、上記駆動装置の側方のダッシュロアパネル3の前方にはバッテリ72が配設され、上記バッテリ72の前端位置が駆動装置より前方に位置しているものである。
【0069】
この構成によれば、ダッシュロアパネル3の凹部3a内に駆動装置(エンジン32、ISGユニット33参照)を配設し、かつ駆動装置の側方のダッシュロアパネル3前方にバッテリ72を配設したので、駆動装置とバッテリ72との両者を後退配置することができ、この結果、ヨー慣性モーメントの低減を図って、操縦安定性および車両の運動性能の向上を図ることができる。
【0070】
しかも、剛性を有して衝突時にも潰れにくいバッテリ72の前端位置を駆動装置(エンジン32、ISGユニット33参照)よりも前方に位置させたので、衝突荷重をバッテリ72で受け止めて、衝突時の駆動装置(エンジン32、ISGユニット33参照)の後退量の減少を図って、安全性を向上させることができる。
【0071】
また、上記バッテリ72は左右一対配設されたものである。
この構成によれば、左右一対のバッテリ配設構造と成したので、重量バランスがよく、しかも左右一対設けることで、衝突時において適切にクラッシュ対応ができる。
【0072】
仮に、容量が必要な大きい1つのバッテリと成した場合には、その搭載がスペース上困難となるうえ、車体の挙動に対しても悪影響を及ぼすが、左右一対のバッテリ配設構造と成すことで、このような問題点が解消される。
【0073】
さらに、上記エンジンルーム1内には左右一対で車両の前後方向に延びて後端がダッシュロアパネル3に接続されるフロントサイドフレーム16が設けられ、上記バッテリ72,72はフロントサイドフレーム16,16のダッシュロアパネル接続部に配設されたものである。
この構成によれば、フロントサイドフレーム16,16のダッシュロアパネル接続部が強度が強いので、バッテリ72に入力される衝突荷重を効率的に伝達することができる。
【0074】
加えて、上記ダッシュロアパネル3と連続して車室フロアを形成するフロアパネル4には車室内側に突設するトンネル部10が設けられ、上記トンネル部10に沿って延びて閉断面11A(図3参照)を形成するトンネルメンバ11がダッシュロアパネル3のバッテリ配設位置に接続されたものである。
【0075】
この構成によれば、バッテリ72に入力した衝突荷重を、閉断面11A構造のトンネルメンバ11を介して車体に伝達することができ、荷重の分散を図るので、クラッシュ時の荷重吸収が良好となる。この実施例においては、バッテリ72に入力した衝突荷重はトンネルメンバ11とフロントサイドフレーム16のキックアップ部とを介して車体に伝達、分散される。
【0076】
また、上記バッテリ72はフロントサイドフレーム16上に配設固定されたものである。
この構成によれば、フロントサイドフレーム16にバッテリ72を上載固定するので、バッテリ取付け用に特別な別部材が不要となり、簡単な構成でありながら、スペース効率が向上する。
【0077】
さらに、上記駆動装置はエンジン32とISGユニット33とを含むものである。
この構成によれば、安全性を確保しつつ、ISGユニット33が発電した電気エネルギをバッテリ72で充電することができる。
【0078】
加えて、上記駆動装置(エンジン32、ISGユニット33参照)の前方の上記補機(バッテリ72参照)のエンジンルーム1内側方には該補機(バッテリ72参照)と前後方向にオーバラップして熱交換器(クーリングユニット48参照)が配設されたものである。
この構成によれば、重量物としての熱交換器(クーリングユニット48参照)をも可及的車両の中央寄りに配設することができる。
【0079】
しかも、上記駆動装置(エンジン32、ISGユニット33参照)、補機(バッテリ72参照)および熱交換器(クーリングユニット48参照)はホイールベース内に配設されたものである。
【0080】
この構成によれば、駆動装置、補機(バッテリ72)、熱交換器の重量物をホイールベース内に配設したので、ヨー慣性モーメントのさらなる低減を図って、操縦安定性および車両の運動性能がさらに向上する。
【0081】
さらに、上記車室2を空調する空調ユニット8を設け、該空調ユニット8を車室2後方に配設したものである。
この構成によれば、空調ユニット8を車室2の後方いわゆるリヤ側に配設したので、駆動装置のさらなる後退配置が可能となる。
【0082】
また、上記空調ユニット8の後方には荷室9が形成されたものである。
この構成によれば、空調ユニット8の配置と、荷室9(トランクルーム)の形式との両立を図ることができる。
【0083】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のダッシュパネルは、実施例のダッシュロアパネル3に対応し、
以下同様に、
駆動装置は、エンジン32またはエンジン32とISGユニット33に対応し、
フロントフレームは、フロントサイドフレーム16に対応し、
補機は、バッテリ72に対応し、
熱交換器は、クーリングユニット48に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0084】
【発明の効果】
この発明によれば、ダッシュパネルの凹部内に駆動装置を配設し、該駆動装置の側方のダッシュパネルの前方にバッテリを配設し、バッテリ前端位置を駆動装置よりも前方に位置させたので、駆動装置とバッテリとの両者を後退配置し、これにより、ヨー慣性モーメントの低減を図って、操縦安定性および車両の運動性能の向上を図り、しかも、衝突荷重をバッテリで受け止めて、衝突時の駆動装置後退量の減少を図って、安全性を向上させることができる効果がある。
【0085】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両エンジンルーム内の補機配設構造を示す側面図。
【図2】図1の平面図。
【図3】トンネル部およびトンネルメンバの断面図
【図4】図1の要部拡大側面図。
【図5】図2の要部拡大平面図。
【図6】シート上の乗員と駆動装置の位置関係を示す説明図。
【図7】ラジエータ下部の支持構造を示す側面図。
【図8】ラジエータ上部の支持構造を示す正面図。
【図9】図4の要部拡大図。
【図10】カウルボックスの他の実施例を示す要部拡大図。
【図11】バッテリ取付け構造を示す斜視図。
【図12】バッテリ取付け構造の他の実施例を示す斜視図。
【図13】ISGユニットを示す概略断面図。
【図14】従来の車両用駆動装置の配設構造を示す平面図。
【符号の説明】
1…エンジンルーム
2…車室
3…ダッシュロアパネル(ダッシュパネル)
3a…凹部
4…フロアパネル
8…空調ユニット
9…荷室
10…トンネル部
11…トンネルメンバ
11A…閉断面
16…フロントサイドフレーム(フロントフレーム)
32…エンジン(駆動装置)
33…ISGユニット(駆動装置)
48…クーリングユニット(熱交換器)
72…バッテリ(補機)
Claims (10)
- 車室とエンジンルームとがダッシュパネルによって仕切られた車両エンジンルーム内の補機配設構造であって、
上記ダッシュパネルに形成された前後方向の凹部内には駆動装置が配設され、
上記駆動装置の側方のダッシュパネルの前方にはバッテリが配設され、
上記バッテリの前端位置が駆動装置より前方に位置している車両エンジンルーム内の補機配設構造。 - 上記バッテリは左右一対配設された請求項1記載の車両エンジンルーム内の補機配設構造。
- 上記エンジンルーム内には左右一対で車両の前後方向に延びて後端がダッシュパネルに接続されるフロントフレームが設けられ、
上記バッテリはフロントフレームのダッシュパネル接続部に配設された請求項1または2記載の車両エンジンルーム内の補機配設構造。 - 上記ダッシュパネルと連続して車室フロアを形成するフロアパネルには車室内側に突設するトンネル部が設けられ、
上記トンネル部に沿って延びて閉断面を形成するトンネルメンバがダッシュパネルのバッテリ配設位置に接続された請求項3記載の車両エンジンルーム内の補機配設構造。 - 上記バッテリはフロントフレーム上に配設固定された請求項1〜4の何れか1に記載の車両エンジンルーム内の補機配設構造。
- 上記駆動装置はエンジンとISGユニットとを含む請求項1〜5の何れか1に記載の車両エンジンルーム内の補機配設構造。
- 上記駆動装置の前方の上記補機のエンジンルーム内側方には該補機と前後方向にオーバラップして熱交換器が配設された請求項1〜6の何れか1に記載の車両エンジンルーム内の補機配設構造。
- 上記駆動装置、補機および熱交換器はホイールベース内に配設された請求項7記載の車両エンジンルーム内の補機配設構造。
- 上記車室を空調する空調ユニットを設け、該空調ユニットを車室後方に配設した請求項1〜8の何れか1に記載の車両エンジンルーム内の補機配設構造。
- 上記空調ユニットの後方には荷室が形成された請求項1〜9の何れか1に記載の車両エンジンルーム内の補機配設構造。
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