以下、本発明に係るスロットマシンの一実施形態を、添付図面の記載に基づいて詳しく説明する。
図1は、本発明に係るスロットマシンの一実施形態を示した斜視図であり、図2は、スロットマシンの遊技領域を拡大して示す図である。
本実施形態に係るスロットマシン1は、前面に開閉可能な前面扉2を有する箱体3を備えている。前面扉2には、その前面のほぼ中央より上部に、パネル表示部2a、液晶表示部2b及び固定表示部2cが設けられている。前面扉2の内部(液晶表示部2b背面)には、3個の回転リール(遊技結果表示手段を構成する第1の表示手段;以下、リールと称する)3L,3C,3Rが回転自在に横一列に配設されており、これら各リールの外周表面には、複数種類の図柄によって構成される図柄列が描かれている。各リールに形成された図柄は、矩形の図柄表示領域21L,21C,21R(図2参照)を通して視認できるようになっており、各リールは、定速回転(例えば、80回転/分)可能に構成されている。
パネル表示部2a、液晶表示部2b、及び固定表示部2cの下方には、略水平面の台座部4が形成されている。この台座部4の左側には、押しボタン操作によりクレジットされているメダルを賭けるためのBETスイッチ5が設けられている。台座部4の右側には、メダル投入口6が設けられており、また、台座部4の前面部左寄りには、遊技者がゲームで獲得したメダルのクレジット/払出しを押しボタン操作で切り換えるC/Pスイッチ7が設けられている。このC/Pスイッチの切り換えにより、正面下部のメダル払出し口8からメダルが払い出され、払い出されたメダルはメダル受け部9に溜められる。
前記C/Pスイッチの右側には、遊技者の操作により上記リールを回転させ、図柄表示領域21L,21C,21R内での図柄の変動を開始(ゲームを開始)するためのスタートレバー(遊技者による操作が可能な遊技開始指令手段)10が所定の角度範囲で回動自在に取り付けられている。また、台座部4の前面中央部で、スタートレバー10の右側には、3個のリール3L,3C,3Rの回転をそれぞれ停止させるための3個の停止ボタン(遊技者による操作によって各リールの変動を停止させる変動表示停止手段)11L,11C,11Rが設けられている。前面扉2の上方の左右には、スピーカ12L,12Rが設けられ、その2台のスピーカ12L,12Rの間には、入賞図柄の組合せ及びメダルの配当枚数などを表示する配当表パネル13が設けられている。
ここで、前記パネル表示部2a、液晶表示部2b、及び固定表示部2cについて説明する。
パネル表示部2aは、ボーナス遊技情報表示部16,BETランプ17a〜17c、払出表示部18、及びクレジット表示部19により構成される。ボーナス遊技情報表示部16は、7セグメントLEDから成り、ボーナスゲーム中の遊技情報を表示する。1−BETランプ17a、2−BETランプ17b及び最大BETランプ17cは、ゲームを行うために賭けられたメダルの数に応じて点灯するものであり、1−BETランプ17aは、BET数が「1」の場合に点灯し、2−BETランプ17bは、BET数が「2」の場合に点灯し、最大BET17cは、BET数が「3」の場合に点灯する。また、払出表示部18及びクレジット表示部19は、夫々7セグメントLEDから構成されており、入賞成立時のメダルの払出枚数及び貯留(クレジット)されているメダルの枚数を表示する。
前記液晶表示部2bは、図柄表示領域21L,21C,21R、これらを囲むようにして設けられた窓枠表示領域22L,22C,22R、及び演出表示領域23を備えており、前記窓枠表示領域22L,22C,22Rは、リール3L,3C,3R上に配置された図柄の表示窓の枠を表している。また、演出表示領域23は、例えば、ボーナスの入賞成立を実現可能であることを確定的に報知する画像(いわゆる「WINランプ」を表したもの)の表示、遊技の興趣を増大するための演出、遊技者が遊技を有利に進めるために必要な情報などの表示が行われる。
前記固定表示部2cは、予め定めた画像を表示する領域であり、この固定表示部2cに表示された画像と、演出表示領域23に表示された画像により一つの静止画像又は動画像を表示できるようになっている。
なお、前記液晶表示部2bは、保護ガラス、表示板、液晶パネル、導光板、反射フィルム、光源、及び液晶パネル駆動用のICを搭載したテーブルキャリアパッケージ(TCP)からなり液晶パネルの端子部に接続されるフレキシブル基板、などを備えた透過型液晶表示装置(画像表示装置)31(遊技結果表示手段を構成する第2表示手段)で構成されている(詳しい構成については後述する)。
前記液晶パネルの表示モードは、ノーマリーホワイトに設定されており、液晶を駆動できない事態が生じても、図柄表示領域(リール表示部)21L,21C,21Rを通して、各リール3L,3C,3R上に配置された図柄を視認でき、遊技を継続できるようになっている。そして、図柄表示領域21L,21C,21Rにある液晶を駆動しない場合には、前記リール3L,3C,3Rの図柄が視認できると共に、図柄表示領域21L,21C,21Rにある液晶を駆動すると、その部分での演出表示などを視認することが可能となる。
上記した各リール3L,3C,3R上に配置された図柄は、例えば、図3に示すような構成となっている。この図では、各リール3L,3C,3Rに表された複数種類の図柄が21個配列された図柄列を示している。各図柄には「00」〜「20」のコードナンバーが付され、データテーブルとして、後述するROMに格納されている。また、これらの図柄列は、各リールが回転駆動された際、矢印方向に移動するように回転駆動される。
ここで、前記液晶表示部2bの構成について図4を用いて説明する。この透過型液晶表示装置は、図4に示すように、保護ガラス32、表示板33、液晶パネル34、導光板35、反射フィルム36、及び光源37a,37bから主に構成されている。なお、この他に、液晶パネルを駆動するICを搭載したテーブルキャリアパッケージ(TCP)を含むフレキシブル基板があるが、一般の液晶表示装置に使用されるものと同様の構成であるので、図4においては説明を簡単にするために省略する。
導光板35及び光源37a,37bは、いわゆるバックライトを構成するものであり、液晶表示部2bの大きさを有する矩形板状の導光板35の上下端面に沿って光源37a,37bがそれぞれ配置されている。光源37a,37bから出射された光が導光板35の端面から入射して導光板35内で反射によりその進行方向を変えて導光板35の主面から出射されるようになっている。なお、光源37a,37bとしては、蛍光ランプを用いてもよく、LEDを用いても良い。また、導光板35の材料としては、アクリル系樹脂などの透光性材料を用いることができる。
導光板35の背面には、反射フィルム36が配置されている。反射フィルム36には、反射領域36Aと、光透過領域36BL,36BC,36BRとが設けられている。反射フィルム36は、例えば、白色のポリエステルフィルムやアルミニウム薄膜上に銀蒸着膜を設けてなるものが用いられており、光透過領域36BL,36BC,36BRは、この反射フィルム36を除去することにより形成することができる。また、反射フィルム36は、透明基材上に反射領域36Aのみに反射金属からなる膜を選択的に設けても良い。なお、光透過領域36BL,36BC,36BRの大きさや位置は、図柄表示領域21L,21C,21Rとほぼ一致するように設定される。この反射フィルム36により、導光板35の主面から背面側に出射された光を反射して、前面側(遊技者側)に光を向けることができる。
導光板35の前面側(遊技者側)には、液晶パネル34が配置されている。この液晶パネル34は、一対の透明基板(例えば、ガラス基板)と、その間に挟持された液晶材料とから構成されている。なお、液晶パネル34としては、パッシブ型液晶表示装置であっても良く、アクティブマトリクス型液晶表示装置であっても良い。また、液晶パネル34の表示モードは、電圧無印加状態で白表示を行うノーマリーホワイトモードに設定されることが望ましい。これにより、液晶パネル34に電圧を印加しない状態で図柄表示領域21L,21C,21Rの図柄を前面側から視認することが可能となり、遊技者が遊技を継続することができる。
液晶パネル34の前面側には、種々の図柄が表示された表示板33及び保護ガラス32が順次配置されている。
このように構成された液晶表示装置31の動作について、図5を用いて説明する。図5においては、液晶表示装置31の背面側に図柄表示領域用の光源38a,38bが配置されており、図柄表示領域21L,21C,21Rをその前面側から照射するようになっている。この光源38a,38bとしては、例えば、蛍光ランプなどを用いることができる。また、リール3L,3C,3R(図中では3R)の内側には、図柄表示領域21L,21C,21Rを内側から照らす光源であるLEDを収容するLED収容部24が配置されている。
まず、図柄表示領域21L,21C,21Rにある液晶を駆動しない場合には、図5(a)に示すように、図柄表示領域用の光源38a,38bが前面側から図柄表示領域21L,21C,21Rを照らす。このとき、その光は、リール3L,3C,3Rで反射して向きを変える。また、LED収容部24内のLEDが図柄表示領域21L,21C,21Rを内側から照らす。これらの光は、液晶表示装置31を透過して前面側に向かう。そして、これらの光は、反射フィルム36の光透過領域36BL,36BC,36BRを透過し、電圧が印加されない液晶パネル34を透過することにより、液晶表示装置31を透過する。反射フィルム36には、光透過領域36BL,36BC,36BRが設けられているため、遊技者は、光透過領域36BL,36BC,36BRを介して図柄表示領域21L,21C,21Rの図柄を視認することができる。これに対して、光源37a,37bから出射された光は、導光板35から液晶パネル34側に向けられ、電圧が印加されない液晶パネル34を透過することにより、液晶表示装置31を透過する。この光は、窓枠表示領域22L,22C,22R及び演出表示領域23に対応する液晶パネル34の領域の照明手段として機能する。
一方、図柄表示領域21L,21C,21Rにある液晶を駆動する場合には、図5(b)に示すように、光源37a,37bから出射された光は、導光板35から液晶パネル34側に向けられる。このとき、液晶パネル34の所定の領域には電圧が印加されるため、液晶パネル34を透過した光は、画素表示されることになる。遊技者は、この画素表示(演出表示など)されたものを視認することができる。本発明においては、画素表示する領域は、図柄表示領域21L,21C,21R及びその周辺の領域である。
また、図柄表示領域用の光源38a,38bが前面側から図柄表示領域21L,21C,21Rを照らす。このとき、その光は、リール3L,3C,3Rで反射して向きを変える。また、LED収容部24内のLEDが図柄表示領域21L,21C,21Rを内側から照らす。これらの光は、液晶表示装置31を透過して前面側に向かう。反射フィルム36には、光透過領域36BL,36BC,36BRが設けられているため、遊技者は、光透過領域36BL,36BC,36BRを介して図柄表示領域21L,21C,21Rの図柄を視認することができる。なお、図柄表示領域用の光源38a,38bからの光は、リール3L,3C,3R上に配置された図柄や図柄表示領域21L,21C,21Rの液晶駆動されていない領域の照明手段として機能する。
次に、スロットマシンの遊技の進行を制御する制御手段について説明する。
上記したように、本実施形態のスロットマシンは、演出効果を高めるために画像表示装置(透過型液晶表示装置)を組み込んでおり、膨大な画像データに基づいて、画像表示装置における画像表示を制御すると共に、それに応じて複雑な効果音を発生するための音声データを制御する必要がある。このため、本実施形態の遊技の進行を制御する制御手段は、もっぱら遊技処理動作を制御するメイン制御基板(遊技制御手段)と、メイン制御基板から各種のコマンドを受け、画像表示や音声制御を行なうサブ制御基板(演出制御手段)とに分割して構成されている。
図6は、メイン制御基板の一構成例を示すブロック図である。
メイン制御基板100は、スロットマシン1における遊技処理動作を制御する主制御回路81を備えている。この主制御回路81は、回路基板上に配置されたマイクロコンピュータ40を主たる構成要素とし、これに乱数サンプリングのための回路を加えて構成されている。マイクロコンピュータ40は、予め設定されたプログラムに従って制御動作を行うCPU41と、記憶手段であるROM42及びRAM43を含む。
CPU41には、基準クロックパルスを発生するクロックパルス発生回路44及び分周器45と、サンプリングされる乱数を発生する乱数発生器46及びサンプリング回路47とが接続されている。なお、乱数サンプリングのための手段として、マイクロコンピュータ40内で、すなわちCPU41の動作プログラム上で乱数サンプリングを実行するように構成しても良い。その場合、乱数発生器46及びサンプリング回路47は省略可能であり、或いは、乱数サンプリング動作のバックアップ用として残しておくことも可能である。
マイクロコンピュータ40のROM42には、スタートレバー10を操作(スタート操作)する毎に行われる乱数サンプリングの判定に用いられる確率抽選テーブル、停止ボタンの操作に応じてリールの停止態様を決定するための停止制御テーブル、後述するサブ制御基板200の副制御回路82へ送信するための各種制御指令(コマンド)などが格納されている。このコマンドには、例えば、「デモ表示コマンド」、「スタートコマンド」、「停止出目コマンド」、「ボーナス遊技状態変更指示コマンド」、「入賞役コマンド」などがある。なお、副制御回路82が主制御回路81ヘコマンド、情報などを入力することはなく、主制御回路81から副制御回路82への一方向で通信が行われる。
主制御回路81には、周辺装置(アクチュエータ)が電気的に接続されている。これらの周辺装置は、マイクロコンピュータ40からの制御信号により動作が制御されるようになっており、主要な周辺装置としては、各種ランプ(1−BETランプ17a、2−BETランプ17b及び最大BETランプ17c、WINランプ17)と、各種表示部(払出表示部18、クレジット表示部19、役物作動回数表示部20)と、メダルを収納し、ホッパ駆動回路51の命令により所定枚数のメダルを払い出す遊技価値付与手段としてのホッパ(払い出しのための駆動部を含む)50と、リール3L,3C,3Rを回転駆動するステッピングモータ59L,59C,59Rなどがある。
更に、ステッピングモータ59L,59C,59Rを駆動制御するモータ駆動回路49、ホッパ50を駆動制御するホッパ駆動回路51、各種ランプを駆動制御するランプ駆動回路55、及び各種表示部を駆動制御する表示部駆動回路58がI/Oポート48を介してCPU41の出力部に接続されている。これらの駆動回路は、それぞれCPU41から出力される駆動指令などの制御信号を受けて各アクチュエータの動作を制御する。また、マイクロコンピュータ40が制御指令を発生するために必要な入力信号を発生する主な入力信号発生手段としては、スタートスイッチ10a、1−BETスイッチ5a、2−BETスイッチ5b及び最大BETスイッチ5c、貯留メダル精算スイッチ14、投入メダルセンサ22S、リール停止信号回路56、リール位置検出回路60、払い出し完了信号回路61などがある。これらも、I/Oポート48を介してCPU41に接続されている。
前記スタートスイッチ10aは、スタートレバー10の操作を検出する。投入メダルセンサ22Sは、メダル投入口6に投入されたメダルを検出する。リール停止信号回路56は、各停止ボタン11L,11C,11Rの操作に応じて停止信号を発生する。リール位置検出回路60は、リール回転センサからのパルス信号を受けて各リール3L,3C,3Rの位置を検出するための信号をCPU41へ供給する。払い出し完了信号回路61は、メダル検出部50Sの計数値(ホッパ50から払い出されたメダルの枚数)が指定された枚数データに達したとき、メダル払い出し完了を検知するための信号を発生する。
前記乱数発生器46は、一定の数値範囲に属する乱数を発生し、サンプリング回路47は、スタートレバー10が操作された後の適宜のタイミングで1個の乱数をサンプリングする。こうしてサンプリングされた乱数及びROM42内に格納されている確率抽選テーブルに基づいて内部当選役が決定される。内部当選役が決定された後、「停止制御テーブル」を選択するために再び乱数のサンプリングが行われる。
リール3L,3C,3Rの回転が開始された後、ステッピングモータ59L,59C,59Rの各々に供給される駆動パルスの数が計数され、その計数値はRAM43の所定エリアに書き込まれる。リール3L,3C,3Rからは一回転毎にリセットパルスが得られ、これらのパルスはリール位置検出回路60を介してCPU41に入力される。こうして得られたリセットパルスにより、RAM43で計数されている駆動パルスの計数値が「0」にクリアされる。これにより、RAM43内には、各リール3L,3C,3Rについて一回転の範囲内における回転位置に対応した計数値が格納される。上記のようなリール3L,3C,3Rの回転位置とリール外周面上に描かれた図柄とを対応づけるために、図柄テーブルが、ROM42内に格納されている。この図柄テーブルでは、前述したリセットパルスが発生する回転位置を基準として、各リール3L,3C,3Rの一定の回転ピッチ毎に順次付与されるコードナンバーと、それぞれのコードナンバー毎に対応して設けられた図柄を示す図柄コードとが対応づけられている。
更に、ROM42内には、入賞図柄組合せテーブルが格納されている。この入賞図柄組合せテーブルでは、入賞となる図柄の組合せと、入賞のメダル配当枚数と、その入賞を表す入賞判定コードとが対応づけられている。上記の入賞図柄組合せテーブルは、左のリール3L、中央のリール3C、右のリール3Rの停止制御時、及び全リール停止後の入賞確認を行うときに参照される。
上記乱数サンプリングに基づく抽選処理(確率抽選処理)により内部当選した場合には、CPU41は、遊技者が停止ボタン11L,11C,11Rを操作したタイミングでリール停止信号回路56から送られる操作信号、及び選択された「停止制御テーブル」に基づいて、リール3L,3C,3Rを停止制御する信号をモータ駆動回路49に送る。
内部当選した役の入賞成立を示す停止態様となれば、CPU41は、払い出し指令信号をホッパ駆動回路51に供給してホッパ50から所定個数のメダルの払い出しを行う。その際、メダル検出部50Sは、ホッパ50から払い出されるメダルの枚数を計数し、その計数値が指定された数に達したときに、メダル払い出し完了信号がCPU41に入力される。これにより、CPU41は、ホッパ駆動回路51を介してホッパ50の駆動を停止し、「メダルの払い出し処理」を終了する。
また、CPU41は、リール3L,3C,3Rが停止された際、その停止した図柄(停止出目)を認識し、それに対応した停止出目コマンドを後述するサブ制御基板側に送信する。この停止出目コマンドは、例えば、図3に示した各リール3L,3C,3Rにおける複数の図柄に付与されたコードナンバーを認識し、そのコードナンバーを特定するものであれば良い。なお、停止出目コマンドは、1つのリールが停止される毎に送信するのが良いが、すべてのリールが停止した後に送信するようにしても良い。
図7は、サブ制御基板の一構成例を示すブロック図である。
サブ制御基板200は、副制御回路82を備えており、副制御回路82は、主制御回路81からの制御指令(コマンド)に基づいて、液晶表示部2bにおける表示制御及びスピーカ12L,12Rからの音の出力制御を行う。この副制御回路82は、主制御回路81を構成する回路基板とは別の回路基板上に構成されており、マイクロコンピュータ(以下「サブマイクロコンピュータ」という)83を主たる構成要素とし、液晶表示部2bの表示制御手段としての画像制御回路91、スピーカ12L,12Rにより出音される音を制御する音源IC88、及び増幅器としてのパワーアンプ89を備えている。
サブマイクロコンピュータ83は、主制御回路81から送信された制御指令に従って制御動作を行うサブCPU84と、記憶手段としてのプログラムROM85と、ワークRAM86とを含んでいる。また、副制御回路82は、クロックパルス発生回路、分周器、乱数発生器及びサンプリング回路を備えていないが、サブCPU84の動作プログラム上で乱数サンプリングを実行するように構成されている。
サブCPU84の機能として、メイン制御基板100からのコマンドの受信を管理する受信機能、各種演出を選択、決定する演出選択機能、選択された演出種別を画像制御回路91に送信する送信機能、選択された演出種別に基づいて具体的な効果音のシーケンス制御を行う効果音制御機能を備えている。
プログラムROM85は、サブCPU84で実行する制御プログラムを格納している。ワークRAM86は、上記制御プログラムをサブCPU84で実行するときの一時記億手段としての機能を有する。
また、上記したプログラムROM85内には、図柄表示領域21L,21C,21Rにおいて停止される各リール3L,3C,3R上の停止図柄(出目)が特定の図柄配列(ここでは、1リールでリーチ目が確定する、いわゆる1確目)になったことを認識する1確目テーブルが格納されている。この1確目テーブルは、図3に示した各リール3L,3C,3Rにおける複数の図柄に付与されたコードナンバーと対応付けられており、例えば、図8に示すように、各リールの上段に停止した図柄に対応するコードナンバーで特定されている。
なお、リーチ目は、全てのリールが停止した際に確定する場合、いずれか1つ以上のリールが停止した際に確定する場合があるが、本発明は、いずれか1つのリールが停止した際に確定する場合に適用される。この1確目テーブルは、いずれかのリールの停止操作が成される毎に、メイン制御基板側から送信されてくる後述する予定停止出目コマンドと共に参照され、該当するものがあった場合、所定の画像表示をする処理がなされる。
具体的には、停止出目(後述する予定停止出目)が1確目テーブルに該当する場合、CPU84は後述する画像制御CPU92に対して、画像表示部2bにて所定の演出を行なわせるためのコマンドを送信する。なお、1確目テーブルは、メイン制御基板側のROMに格納しておいても良く、メイン制御基板側でリールの停止出目を認識すると共に各リールの停止出目を1確目テーブルと参照し、その参照結果に応じて、演出に関する演出コマンドをCPU84に送信するようにしても良い。すなわち、メイン制御基板側でリール停止を認識した後、演出に関する決定も行い、サブ制御基板側は、単に演出を行うだけの機能であっても良い。
画像制御回路91は、画像制御CPU92、画像制御ワークRAM93、画像制御プログラムROM94、画像ROM96、ビデオRAM97及び画像制御IC98で構成される。画像制御CPU92は、サブマイクロコンピュータ83で設定されたパラメータに基づき、画像制御プログラムROM94内に格納する画像制御プログラムに従って液晶表示部2bでの表示内容を決定する。
この画像制御プログラムROM94は、液晶表示部2bでの表示に関する画像制御プログラムや、上記したメイン制御基板側から送信されるコマンドに応じた各種演出パターンなど、各種の選択テーブルを格納する。また、画像制御ワークRAM93は、上記画像制御プログラムを画像制御CPU92で実行するときの一時記億手段として構成され、画像制御IC98は、画像制御CPU92で決定された表示内容に応じた画像を形成し、液晶表示部2bに出力する。また、画像ROM96は画像を形成するためのドットデータを格納し、ビデオRAM97は画像制御IC98で画像を形成するときの一時記億手段として構成される。
次に、メイン制御基板100の主制御回路81におけるCPU41の制御動作について、図9〜図12のフローチャートを参照して説明する。
まず、CPU41は、遊技終了時のRAM43をクリアする(ST1)。続いて、メダルの自動投入の要求があるか否かを判断する(ST2)。自動投入の要求がある場合とは、前の遊技において再遊技の入賞が成立した場合である。メダルの自動投入の要求があるときは、投入要求分のメダルを自動投入し(ST3)、副制御回路82に遊技メダル投入コマンドを送信した後、ST6の処理に移る。メダルの自動投入の要求がないときは、メダル投入口及びベットボタンからのメダルの投入を受け付け(ST5)、ST6の処理に移る。
ST6の処理では、スタートレバー10が「オン」か否かを判断し、スタートレバーが「オン」のときは、前遊技から4.1秒経過しているか否かを判断する
(ST7)。具体的には、後述のST10の処理でセットされる一遊技監視用タイマの値に基づいて判断する。前遊技から4.1秒経過していないときは、遊技開始待ち時間を消化し(ST8)、ST9の処理に移る。
ST9の処理では、CPU41は、抽選用の乱数を抽出する。具体的には、0〜16383の範囲から乱数を抽出する。続いて、一遊技監視用タイマをセットする(ST10)。次に、確率抽選処理を行う(ST11)。この確率抽選処理では、ST9の処理で抽出された乱数値、及び遊技状態監視処理で判断した現在の遊技状態に対応した確率抽選テーブルに基づいて、内部当選役を決定する。確率抽選テーブルは、各入賞役毎に内部当選となる乱数値が予め定められている。
次に、CPU41は、告知ランプ点灯抽選処理を行い(ST12)、内部当選役によって停止制御テーブル選択処理を行う(ST13)。そして、遊技開始時の送信処理としてスタートコマンドを副制御回路に送信し(ST14)、リール回転開始用に初期化する(ST15)。
次に、CPU41は、停止ボタンが「オン」であるか否かを判断し(ST16)、停止ボタンが「オン」のときは、ST18の処理に移り、停止ボタンが「オフ」のときは、ST17の処理に移る。ST17の処理では、自動停止タイマの値が「0」であるか否かを判断し、自動停止タイマの値が「0」のときは、ST18の処理に移り、自動停止タイマの値が「0」でないときは、ST16の処理に移る。ST18の処理では、当選要求(内部当選役のこと)、図柄位置(停止操作時におけるリールの回転位置)、選択されている停止制御テーブルなどから滑りコマ数を決定する。ここで、「滑りコマ数」とは、停止ボタンが操作された後、リールが停止するまでの間に図柄表示領域内を移動する図柄の数のことであり、本実施例では、滑らせることができるコマ数(「滑りコマ数」)を最大4コマとしている。これにより、各リール3L,3C,3Rは、対応する停止ボタン11L,11C,11Rが押された時にその対応する図柄表示領域21L,21C,21Rの中央に位置する図柄から最大で4コマ回転方向にずれた図柄を、対応する図柄表示領域21L,21C,21Rの中央に表示させるべく停止する。例えば、「停止制御テーブル」に基づいて滑りコマ数が4である場合、左のリール3Lの回転中において、コードナンバー“06”の図柄が図柄表示領域21Lの中央位置に到達した時、停止ボタン11Lが操作されると、コードナンバー“02”の図柄を図柄表示領域21Lの中央位置に停止表示するように左のリール3Lが停止制御される。
以上のように、滑りコマ数が決定されると、リールの回転が停止していなくても、その滑りコマ数から、実際に図柄表示領域に停止表示される図柄(以下、予定停止出目という)が内部的に認識できる(すなわち、滑りコマ数の決定処理は、予定停止出目という停止表示態様を決定するための停止表示態様決定手段を構成する)。本実施形態では、ST18で滑りコマ数が決定されると、その滑りコマ数に応じた予定停止出目を知らせる予定停止出目コマンドを主制御回路81から副制御回路82に送信する(ST19)。そして、予定停止出目コマンドが副制御回路に送信された後、決定された滑りコマ数分、リールが回転される(ST20)。次に、そのリールの停止要求をセットし(ST21)、副制御回路82にリール停止コマンドを送信する(ST22)。全てのリールが停止したか否かを判断する(ST23)が、全てのリールが停止したときは、遊技終了時の演出処理に移り、全てのリールが停止していないときは、ST16の処理に移る。そして、遊技終了時の演出処理を行った後に入賞検索を行う(ST24)。
次いで、入賞フラグが正常であるか否かを判断し(ST25)、入賞フラグが正常な場合には、ST27の処理に移り、入賞フラグが正常でない場合には、イリーガルエラーの表示を行い(ST26)、処理を中断する。
ST26では、入賞枚数0であるか否かを判断する。具体的には、いずれかの役(再遊技を除く)の入賞が成立したか否かを判断する。入賞が成立したときは、状態(BB作動中或いはRB作動中であるか否か)及び入賞役に応じてメダルの貯留または払い出しを行う(ST28)。
次に、図11に示すフローチャートのST19において、副制御回路82に予定停止出目コマンドが送信された後の副制御回路82での処理について図13を用いて説明する。
まず、副制御回路82においては、予定停止出目コマンドを受信したか否かを判断する(ST31)。この予定停止出目コマンドは、前述したように、滑りコマ数が決定された後、リール毎に送信される。予定停止出目コマンドを受信した時には、その予定停止出目が1リール確定目であるかどうか、すなわちリール停止時に、図柄表示領域に特定の図柄配列が位置するかどうかを判断する(ST32)。予定停止出目コマンドを受信していない場合には、ST31に戻る。
具体的に、1リール確定目であるかどうかを判断する場合には、副制御回路82のプログラムROM85に格納されている1確目テーブル(図8参照)を参照することにより行う。例えば、図8の1確目テーブルにおいては、左リール3Lの予定停止出目コマンドが「01」のコードナンバーに対応するものであるなら、左リール3Lが1リール確定目であることを表し、中リール3Cの予定停止出目コマンドが「05」のコードナンバーに対応するものであるなら、中リール3Cが1リール確定目であることを表す。すなわち、予定停止出目コマンドに含まれるコードナンバーについて、1確目テーブルを参照することにより、そのリールが確定目であるかどうかをそのリールの回転停止前に事前に判断することができる。なお、1確目テーブルの内容については図8に示したものに限定されず、種々変更して実施することが可能である。
1リール確定目であれば、リールの回転が停止する前にリールの図柄表示領域の周囲に1リール確定目であることを示す特定の画像表示を行う(ST33)。この場合、サブCPU84がOUTポート90を介して画像制御回路91に画像表示の指示を行う。画像制御回路91は、1リール確定目のリールの図柄表示領域の周囲に画像表示を行うように液晶表示部2bに対して制御を行う。具体的には、画像制御回路91は、液晶表示装置31の液晶パネル34における1リール確定目のリールの図柄表示領域の周囲の液晶に電圧を印加して画素表示するように制御する。これにより、例えば、図14に示すような表示が行われる。
図14においては、リール3Lに関する予定停止出目コマンドが送られた際、1リール確定目(ここでは、7が3つ続く表示)であると判断されて、リール3Lの回転停止前にリール3Lの図柄表示領域21Lの周囲から特定表示(ここでは炎110)がなされる場合について図示されている。すなわち、全てのリール3L,3C,3Rが回転されている状態(図14の(a)の状態)で、左のリール3Lの停止ボタン11Lを押した際にリール3Lにおいて1リール確定目であると判断されると、その時点(リール3Lの回転が停止する前)でリール3Lの図柄表示領域21Lおよびその周囲に特定表示がなされ(図14の(b)の状態)、その状態(停止表示態様に基づく演出)は、最終的にリール3Lの回転が停止するまで維持される(図14の(c)の状態)。
なお、以上のように、停止ボタンが押されてからリールの回転が停止するまでの間に、主制御回路81から副制御回路82へ予定停止出目コマンドを送信して副制御回路82にて前述した演出を行なうことは十分に可能である。これは、主制御回路81から副制御回路82へコマンドを送信して副制御回路82が演出を実行するまでの最短時間が一般に25msであるのに対し、1コマ当たりの滑り時間が50ms弱(図柄が4コマ滑る時間は一般に190ms)であるからである。したがって、滑りコマ数が少なくとも1コマあれば(究極的には、コマンド送信〜演出実行までの時間を、回転リールが停止するまでの時間よりも短く設定すれば)、停止ボタンが押されて予定停止出目コマンドにより1リール確定目が判断されてから、リールの回転が停止するまでの僅かな時間に、前述した演出を十分に行なうことができる。
以上説明したように、本実施形態のスロットマシン1では、回転リールの停止表示態様を決定されると、その停止表示態様が決定された回転リールの回転が停止する前に、その停止表示態様に基づく演出が画像表示装置上で行なわれる。このように回転リールが停止する前に演出を行なえば、インパクトを増すことができ、また、インパクトを増すことで、遊技者に対する期待度や興奮度をより向上させることができる。すなわち、遊技者は、回転リールの回転が停止するのを待つまでもなく、停止ボタンを操作した時点で、画像表示装置上の演出により回転リールの停止表示態様に期待を馳せることができ、停止ボタンの操作時から回転リールの停止時までの間に対して期待感を抱くことができる。
また、本実施形態のスロットマシン1では、回転リールの停止表示態様が特定の図柄配列(遊技者にとって有利なゲーム(ボーナスゲーム等)に内部当選している旨を報知する所謂1リール確定リーチ目)である場合に、画像表示装置上で演出が行なわれる。したがって、特定の図柄配列が表示されることを遊技者に事前に報知することができ、遊技者の興奮を更に高めることができる。
なお、本実施形態における特定表示は、1つのリールの図柄表示領域の周囲内に収めることが望ましい。これにより、特定表示をしたとしても見栄えの良い状態となり、遊技者に見易い状態でインパクトを与えることができる。なお、特定表示は、図柄表示領域内で行うようにしても良い。
また、特定表示を行う図柄表示領域の照明の明暗を繰り返す制御を行いながら特定表示を行うことにより、照明の点滅効果と特定表示の効果とが相まって遊技者にさらにインパクトを与えることができる。
また、本実施形態においては、1リール確定目であると判断されたときの特定表示が炎である場合について説明しているが、特定表示として炎以外のものであっても良い。例えば、機種のコンセプトや図柄に対応した特定表示を行うことにより、遊技者に別の異なったインパクトを与えることができる。
また、本実施形態においては、炎110が図柄表示領域21Lを瞬時に覆う場合について説明しているが、炎の演出形態はこれに限定されない。例えば、リール3Lの図柄表示領域21Lの下側から炎110が噴出し、その炎110が図柄表示領域21Lを覆い、最終的に炎110が図柄表示領域21Lよりも広い領域を覆うように画像制御しても良い。また、このような炎等の特定表示は、図側表示領域の周囲であればどの方向から表示されても良い。例えば、特定表示として滝が図柄表示領域の上側から水を落とすようにしても良く、特定表示として自動車が図側表示領域の側方から走るようにしても良い。また、特定表示として炎が上側から噴出するようにしても良い。さらに、図柄表示領域からその周囲に向かって時間と共に表示領域を広げるように特定表示がなされても良い。
また、本実施形態においては、1リール確定目が3連図柄(図14における“7”)である場合について説明しているが、1リール確定目が3連図柄以外の図柄であっても良い。この場合、例えば、“7”、“スイカ”、“7”などの遊技者に対してインパクトのある表示態様であることが好ましい。
また、本実施形態においては、リール3Lに1リール確定目を用意してリール3Lに対して特定表示を行う場合について説明しているが、他のリール3C,3Rに1リール確定目を用意して、そのリールに対して特定表示を行っても良い。この場合、特定表示を行うリールを最初に停止する必要はない。
また、本実施形態においては、サブ制御基板のプログラムROM85が1確目テーブルを有しており、サブ制御基板において、いずれかのリールが停止する毎に1確目テーブルを参照し、該当するものがあった場合に、所定の画像表示処理を行う場合について説明しているが、メイン制御基板のROMが1確目テーブルを備えており、メイン制御基板において、いずれかのリールが停止する毎に1確目テーブルを参照し、該当するものがあった場合に、そのコマンド(演出コマンドであっても良い)をサブ制御基板に送信し、サブ制御基板において所定の画像表示処理を行うようにしても良い。或いは、メイン制御基板、サブ制御基板に分割することなく、上記した制御を全て1つの基板上で処理しても良い。
また、特定の図柄配列として、本実施形態では、1リール確定として説明したが、複数のリール間で特定の図柄配列を構成しても良い。この場合、対応するリール部分について、特定表示を行なうように制御するのが好ましい。
また、本実施形態においては、内部当選役に応じて停止制御テーブル群の中から1つの停止制御テーブルが選択された時点(図10のST13)で、その選択された停止制御テーブルの種類が主制御回路81側から副制御回路82側に送られても良い。この場合、停止制御テーブル群の中には、1リール確定目が出現する可能性があるテーブルと、可能性がないテーブルとが存在するが、副制御回路82は、1リール確定目が出現する可能性がある停止制御テーブルが選択されたことを認識した場合に、その後に送られてくる予定停止出目コマンドに基づいて、前述した特定表示の演出を行なう。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形実施できることは言うまでもない。例えば、本発明は、前述した実施形態で説明したようなスロットマシンの他、パチンコ遊技機などの他の遊技機にも適用することができる。更に、本発明は、このような遊技機の動作をパソコンや家庭用ゲーム機用として、擬似的に実行するようなゲームプログラムにも適用することができる。その場合、ゲームプログラムを記録する記録媒体としては、DVD、CD−ROM、FD(フレキシブルディスク)などの任意の記録媒体を利用することができ、或いは、そのようなプログラムは、インターネット、衛星通信回線等のネットワーク環境下で配信しても良い。