JP2005027884A - 使い捨ておむつ - Google Patents

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Katsuhiko Sugiyama
勝彦 杉山
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Abstract

【課題】おむつの内部を見やすいようにバックシートの透明性を上げると、透湿性を損なうという欠点を改良し、排尿したことがおむつの外から見て容易に判る使いすておむつを提供することである。
【解決手段】液透過性のトップシートと、透湿性かつ液不透過性のバックシートと、これら両シートの間に配置された吸収体を有する使い捨ておむつにおいて、前記バックシートの少なくとも股下中央部に、JIS K7361−1で規定する全光線透過率が40%以上である半透明化領域を有し、さらに、前記半透明化領域のシートより内側の部材に、尿で濡れた時に変色する指示剤が塗布されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、赤ちゃん向けや、介護を必要とする高齢者や障害者向けの、尿や便を吸収保持する使い捨てパッド、テープ型おむつ、パンツ型おむつに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
使い捨ておむつは、発汗や排尿によっておむつ内の湿度を上げないように、通気性に配慮されている。おむつ内の湿度が上昇した状態が続くと、肌はふやけて弱くなるので、おむつの表面材とこすれた場合に炎症を引き起こすことがあるためである。おむつ内の湿度を上げる一番の原因は、尿や便をおむつの外に漏らさないように用いられるバックシートであるが、通気性に配慮したおむつでは、バックシートとして、尿を透過させないが、水蒸気は透過させるポリエチレンの微多孔フィルムが用いられ、湿度を逃がすように配慮されている。透湿性のバックシートは孔が空けられているため、強度が低くので、その外側に不織布を貼りあわせられることが多い。不織布が貼られることにより手触りもよくなる。
【0003】
前記のようにおむつが蒸れないような配慮はされているものの排尿直後の不快感があり、衛生上の面からも、排尿後にすぐ交換することが利用者にとって好ましいことである。そこで、排尿したことが、外から確認しやすくして、使い捨ておむつの交換を促すために、さまざまな手段が考案されている。
【0004】
例えば、バックシートの内側に尿で変色する材料を塗布して、排尿を知らせることができる。(例えば特許文献1および特許文献2参照)
普段は透明で、尿に濡れると発色する発色性インキをバックシートの内側に印刷する方法もある。(例えば、特許文献3参照)
水に濡れると透明または半透明になる乾燥時不透明な水不溶性樹脂層と、その上に水不溶性着色剤を用いたインキを設けることもある。(例えば特許文献4参照)
バックシートと吸収体の間に、水に膨潤する高分子物質と、粉末もしくは固体状の酸もしくは塩基薬剤とその薬剤の水溶液のpHで変色する染料との混合物を熔融塗布する方法もある。(例えば、特許文献5参照)
【0005】
水溶性インクがバックシートの内側に印刷され、尿で流れて図柄が消えるような、消色タイプもある。(例えば、特許文献6参照)
尿に濡れると色が変わる色素粉末を吸収体の中にいれる変色タイプもある。(例えば、特許文献7参照)
半透明バックシートと吸収体との間に、pH変化一式変化型の湿潤指示薬被覆物を備え、前記湿潤指示薬にはブロムフェノールブルーと酸緩衝剤を含有し、尿によってブロムフェノールブルーが変色する方法もある。(例えば特許文献8参照)
透湿性のカバーシートと吸収体の間に前記湿潤指示薬を配置する方法が開示されている。(例えば特許文献9参照)
【0006】
これら排尿指示手段は、おむつの外部からは最外層の不織布とバックシートを通して見る必要があるが、バックシートは透湿性を高くするために、多孔性をあげると、透明性が悪くなる。それは、製法に理由があり、一般的にバックシートとして用いられる透湿性ポリエチレンフィルムは、ポリエチレン樹脂に炭酸カルシウムなどのフィラーを加えて、Tダイ方式や、インフレーション方式で成膜した後、一軸または二軸方向に延伸することによって、炭酸カルシウムとポリエチレンの界面でポリエチレンフィルムに多数の微細な穴が開けられている。すなわち、延伸するほどに透湿性が高くなる一方、フィルムに微細な裂け目が入るためにフィルムが白く見えて不透明になる。
【0007】
前記の排尿確認手段と、透湿性の高いバックシートとの組み合わせると、中身が見難くなるので、排尿が判りにくい。また、バックシートの外側に不織布を貼ると、さらに内側が見難くなるといった欠点があった。
【0008】
【特許文献1】
実開昭57−116704号公報
【特許文献2】
実開昭58−7809号公報
【特許文献3】
実開昭59−117610号公報
【特許文献4】
実開昭61−137605号公報
【特許文献5】
特許登録1361123号公報、第4欄、10行目〜第6欄8行目
【特許文献6】
実開昭58−184505号公報
【特許文献7】
実開昭56−28016号公報
【特許文献8】
実用新案公告平1−11682号公報、第6欄、4行目〜37行目
【特許文献9】
WO01/41691 A1
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、排尿したことがおむつの外から見て容易に判る使いすておむつを提供することである。
従来の技術では、おむつ内部が見やすいようにバックシートの透明性を上げると、透湿性が損なわれるという問題があった。本発明の更なる目的は、バックシートの透湿性を損なわないように透明性を上げて、排尿したことがおむつの外から見て容易に判る使いすておむつを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は以下の五つの発明から構成される。
(1)透過性のトップシートと、透湿性かつ液不透過性のバックシートと、これら両シートの間に配置された吸収体を有する使い捨ておむつにおいて、前記バックシートの少なくとも股下中央部に、その全光線透過率が40%以上である半透明化領域を有し、さらに、前記半透明化領域のシートより内側の部材に、尿で濡れた時に変色する指示剤が塗布されていることを特徴とする使い捨ておむつ。
この発明における「変色する」の意味は、「色が別の色に変化する」、「色が無色に変化する」、「無色の状態から色が現れる」の全てを含むものである。
【0011】
(2)前記半透明化領域が、バックシートに浸透することにより不透明度を下げることが可能な透明化物質を、塗布することによって形成されていることを特徴とする(1)に記載の使い捨ておむつ。
【0012】
(3)前記の透明化物質が、ホットメルトであり、主成分として(A)スチレン−ブロック共重合体又はその水素添加誘導体、及び(B)粘着付与樹脂、及び(C)可塑剤、を有することを特徴とする(1)または(2)に記載の使い捨ておむつ。
【0013】
(4)前記の指示剤が吸収体のバックシートに相対する側において、吸収体を包む吸収紙の内面、または外面に塗布されていることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
(5)前記の指示剤は変色するホットメルトであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の使い捨ておむつ。
【0014】
〈作用〉
第一の発明においては、おむつ股下部のバックシートの透明度を所定値以上に高く設定することにより、バックシート内の排尿を知らせる指示剤の変化が見やすく配慮されている。
【0015】
第二の発明は、バックシートに、その透湿性を損なわずに必要部位の透明性を向上させるために、透明化物質を塗布するものである。これによってバックシート全体の通気性を損なうことなく、股下部の透明であることが好ましい部位にだけ透明性を付与できる。その方法の特に好ましい形態は第三の発明の作用に後記する。
【0016】
第三の発明において、透明化物質を塗布することによりバックシートが透明化される原理は以下の通りである。前記のごとく、透湿性バックシートには、無数の微細な孔が開いている。本発明ではその主成分が(A)スチレン−ブロック共重合体又はその水素添加誘導体、及び(B)粘着付与樹脂、及び(C)可塑剤、からなるホットメルトを、透湿性バックシートに塗布することにより、各配合物から浸透性成分が微細な孔に入り込み、埋めてしまうので、微細な孔による白化が解消されて透明度が上がることを利用している。
【0017】
第四、五の発明においては、前記の尿に濡れると変色するホットメルト等の指示剤が吸収体のバックシートに相対する側において、吸収体を包む吸収紙の内面、または外面に塗布されていることによって、尿が指示剤に到達し易く、かつバックシートとも対面しているために、おむつの外からの視認性が高くなる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の使い捨ておむつは、排尿が外から容易に視認できるものであり、テープ型おむつ、パンツ型おむつ、尿パッドを含む。すなわち、吸収体の両側からフラップを突き出して前身頃と後身頃をテープで止めるテープ型おむつでも、前記フラップ部分をヒートシールなどの手段であらかじめ接合したパンツ型おむつでもどちらでもよく、さらに、吸収体の両側からフラップが突き出していない尿パッドの形態でもよい。
【0019】
本発明において、トップシートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、その他の熱可塑性樹脂を原料とした合成繊維を主とした液透過性不織布が用いられる。
【0020】
バックシートは、熱可塑性樹脂からなる透湿性のある液不透過性シートであり、代表的にはポリエチレン樹脂に炭酸カルシウムなどのフィラーを加えて、混練して押し出した後、延伸したポリエチレンフィルムが用いられる。押し出しの方式としてTダイと呼ばれる巾方向に設けたスリットから押し出してシート状にする方法と、インフレーション方式と呼ばれるチューブ状に吹き出す方式がある。いずれの方式にしても、シートを延伸すると、ポリエチレンと炭酸カルシウムの界面で剥離して裂け目が生じ、微多孔性のシートができる。前記炭酸カルシウムとポリエチレン樹脂間が剥離しやすいように、相互の接着の邪魔になる添加物を配合したり、炭酸カルシウム表面を剥離しやすいよう加工したものを使用することがある。また、別の製造方法として、特定の添加剤を配合し延伸してフィルムを成形して、後工程で前記添加剤を溶出させて孔を形成する製造方法も知られている。
【0021】
これらの製造方法で得られたシートは前記の通り多数の0.1〜数μmの微細な孔が開けられており、空気、湿気、ガスを通すが、耐水圧内で水を通さない撥水性シートである。
【0022】
本発明でバックシートの少なくとも股下部分は、その全光線透過率が40%以上である。好ましくは50%以上、最適は60%以上であるとよい。もちろん股下部分を含む全体が前記の全光線透過率以上であってもよい。バックシートが前記の全光線透過率であれば、バックシートがカバーシートに覆われてもなお、おむつ内部の指示剤の変化を確認することが可能となる。
【0023】
本発明で規定している全光線透過率は、フィルムの平行入射光束に対する全透過光束の割合であり、JIS K7361−1「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法−第一部:シングルビーム法」に記載されている方法を用いて測定することが出来る。フィルムは薄くたわみやすいので2重リング式のホルダーに挟んで測定する。また、全光線透過率は数値が大きいほうが透明度が高いことを表す。
【0024】
本発明でバックシートの透明化のために用いる透明化物質としては、ホットメルトが好適に用いられる。このホットメルトは、5〜90質量%のスチレン−ブロック共重合体又はその水素添加誘導体と、5〜90質量%の粘着付与樹脂、さらに5〜50質量%の可塑剤が主成分であり、その他の成分には必要に応じてエチレン−酢酸ビニル共重合体などのエチレン系共重合体、ポリプロピレン−ポリエチレン−ブテン1高重合体などのプロピレン系共重合体、充填剤(酸化チタン、炭酸カルシウムなど)、ワックス、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を配合することが出来る。また、粘着付与剤としては、従来公知のもの、例えば、石油樹脂、水素添加石油樹脂、ロジン系樹脂、水素添加ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、水素添加テルペン系樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂等が用いられる。
さらに、可塑剤も、従来公知のもの、例えば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマ系オイル等が用いられる。
【0025】
前記透明化物質として用いるホットメルトの成分のうち、可塑剤の含有率は20〜50質量%とすることが更に好ましい。可塑剤の含有率が高くなると、ブリードアウトして基材から染み出しやすくなる。可塑剤はバックシート表面との濡れ、低温時の可とう性、耐衝撃性のために配合する。含有率が少なすぎると、バックシートの微細孔への浸透が少なく効果が期待できないうえに、バックシートとの濡れ性が悪くなるなど、前記の機能が不足する。
スチレン−ブロック共重合体又はその水素添加誘導体はホットメルト全体の凝集力の強さ、バックシートとの接着性に関わり、5〜90質量%の範囲で配合されるが、配合量が多くなると粘度が高くなる傾向があるため、配合量が多すぎると粘度が高くなり過ぎるので好ましくない。また、配合量が少なすぎるとホットメルトの凝集力が不足して、好ましくない。
【0026】
粘着付与樹脂は、溶融粘度を下げ、バックシートとの濡れ性を良くするために、5〜90質量%の範囲で配合されるが、配合量が多くなると、温度依存性が高くなるため、オープンタイムが短くなり、ホットメルトが固まるまでの時間が短くなる。従って、配合量が多すぎると、ホットメルトが固まるまでの時間が短くなり過ぎるので好ましくない。また、粘着付与樹脂の配合量が不足した場合は、熔融粘度が高すぎて塗工性が悪くなる、バックシートとの濡れ性が悪くなるなどの問題が起こる。
上記ホットメルト成分は混合されることによって、物性に影響がでるために、ブリードアウト回避、塗布しやすい粘度への調整、オープンタイムの最適化を達成するために、それぞれ上記範囲の中で任意の比率で配合することができる。
また、バックシートに浸透するのは、前記ホットメルト成分にそれぞれ含まれる低分子量成分やオイル分であるため、オイル分の多い可塑剤の影響が大きい。
【0027】
本発明の、尿に濡れたときに外観が変化する指示剤は、尿(水)に濡れると変色するインク、尿に濡れると変色するホットメルト、尿に濡れると溶ける水溶性インクなどを使用することができるが、本発明では吸水紙に塗布するため、尿に濡れると変色するホットメルトが好ましい。前記指示剤を塗布する面は、吸水紙のバックシート側でも吸収体側でもよいが、吸収体側にしたほうが、尿にすばやく接触できる上、指示剤が尿で滲む場合でも見た目が汚らしくならないので、好ましい。
【0028】
尿に濡れると変色するホットメルトとしては、ニッタフィンドレイのホットメルトウエットネスインジケーターが一般に知られ、水溶性成分、非水溶性成分、pH感応成分の3成分から構成されている。前記水溶性成分は、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルのコポリマー、水溶性ポリエステルなどの高極性ポリマーが用いられる。非水溶性成分は、高極性の粘着付与樹脂と可塑剤からなる。粘着付与剤は基材へ接着するために必要であり、可塑剤は素材を接着するまでの時間を延長して、ホットメルトを使いやすいものにする。pH感応成分は、尿中のOHと反応して黄色から青色に変色する。
【0029】
吸収体は木材パルプや非木材パルプを綿状にしたフラッフパルプを主材としたものに高分子吸収体を併用したものが好ましく、その他に吸収紙単独、又は熱融着繊維等の混合物や積層物が用いられる。また、高分子吸収体の漏れ出し防止、吸収体の形状安定性付与のために全体をティシュで包み込んだ構造とする。ティシュは米坪15g/m〜30g/mのものが用いられる。
【0030】
カバーシートは、バックシートの外側に貼り、強度を付与し、手触りをよくする。カバーシートは一般に不織布からなり、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどの熱可塑性樹脂を原料とした乾式不織布、湿式不織布を用いることができる。
【0031】
【実施例】
次に、本発明について図面を参照して、実施形態の一例を以下に説明する。
【0032】
図1は、本発明の使いすて紙おむつの一例としてテープ型おむつを外側を上に平面に展開した図を示す。
テープ型おむつ1は、液透過性のトップシート2と、透湿性かつ液不透過性のバックシート3と、これら両シートの間に配置された吸収体4、さらにバックシート3の外側にカバーシート5、おむつの股下部6には、半透明化された領域7が設けられており、外から尿によって変色するホットメルト8がライン状に塗布されており、バックシート3を透して見ることができる。おむつの後身頃の両側縁部9に、おむつを着用する際の固定手段としてテープ10、おむつの前身頃のウエスト付近に、前記テープ10と係合するフロントパッチ11、吸収体の両側縁には、おむつの長さ方向に配置された、脚周りギャザー12を形成している。
【0033】
図2は、図1に示した紙おむつの股下部x−x’面の横断面図である。トップシート2とバックシート3の間に配置された吸収体4は、開繊されたフラッフパルプ22と高分子吸収体23を、吸水紙24で包み、重なり部25で閉じられて構成されている。吸水紙24の股下部26の内側には、尿によって変色するホットメルト(ニッタフィンドレイ株式会社製)8が塗布されており、バックシート3の半透明化された領域7とカバーシート5を透して、変色するホットメルト8の変化を知ることができる。トップシート2の両側縁は、液不透過性の不織布で構成されたサイドシート27が配置されている。サイドシートは、起立線28から吸収体4の方向に起立自由な防漏壁29を形成し、その防漏壁29の先端30には弾性体31を伸張状態で挟んで、立体的な防漏壁を形成し、尿や便を外に漏れないように配慮されている。その他の図1で説明した部位に関する記号の説明は省略する。
【0034】
図3〜5は、本発明による透湿性バックシートの透明化の機構を説明するものである。バックシート3は、衛生吸収製品に一般的に用いられるポリエチレン製の透湿性フィルムである。製造時には、ポリエチレンを主成分とし、炭酸カルシウムなどのフィラーを混練して、押し出し、冷却されながら、延伸される。そのとき、フィラーとの境目で微細な裂け目が発生して、細孔が形成される。細孔部分の比率が高くなると透湿性は高くなるが、透明性が低下することになる。図中細孔を41、骨格となるポリエチレンを42で示す。図は説明のための模式図であるため、実際の細孔の形状、バックシートと細孔のサイズの比率を正確に表現するものではない。また、フィラーは省略されて描かれている。細孔41は、バックシート3の厚さ方向43に連続して貫通孔となっている。その大きさは一般的には0.1μm〜数μmの範囲にある。
【0035】
図4はバックシート3上に浸透性の透明化物質が配合されたホットメルト44が、塗布された様子を示したものである。
【0036】
図5に示す様に、浸透性成分が時間を経てバックシート3の細孔41に浸透し、空隙を埋めるため(45は透明化物質によって埋められた細孔を示す)、光を透過しやすくなり、結果としてバックシート3を透明化することができる。ホットメルト44が塗られていない部分46は、そのままの通気性を保つことができる。
【0037】
本発明が更に理解されやすいように、バックシートに透明化領域を形成する透明化物質の具体例を以下に示すが、その内容によって本発明がなんら縮小限定されるものではない。
〈実施例1〉
紙おむつ加工機のライン上で、透湿性バックシート(20g/m、白色、全光線透過率31%)に、透明化物質としてホットメルトを30g/mの厚さで、塗布面積巾50mm、長さ150mmで塗布し、図1〜2に示すようなSサイズのテープ型おむつ1を製造した。ホットメルトの成分は、ベースポリマー、粘着付与樹脂(粘着剤)、可塑剤、酸化防止剤を使用し、その配合率を表1に示した。ただし、ベースポリマーは旭化成株式会社製商品名タフプレンA(スチレン系熱可塑性エラストマー(スチレン/ブタジエン比40対60)、粘着付与樹脂として荒川化学株式会社製商品名アルコンM−90(脂環族飽和炭化水素)、可塑剤として出光興産株式会社製商品名KP−100(プロセスオイル)、および酸化防止剤としてチバスペシャリティーケミカルズ株式会社製商品名イルガノックス1010(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を用いた。
【0038】
〈実施例2〉
実施例1のテープ型おむつにおいて、ベースポリマー、粘着付与樹脂(粘着剤)、可塑剤、酸化防止剤の配合率を変えたホットメルトを塗布した。この配合率は表1に示す通りであり、この配合率以外は実施例1と同様とした。
【0039】
〈比較例1〉
実施例1のテープ型おむつにおいて、ベースポリマー、粘着付与樹脂(粘着剤)、可塑剤、酸化防止剤の配合率を変えたホットメルトを塗布した。この配合率は表1に示す通りであり、配合率以外は実施例1と同様とした。
【0040】
実施例1、2、比較例1において用いた透湿性バックシートのホットメルト塗布部分について、全光線透過率(JIS K7361−1による)を測定した。この測定における測定装置は、日本電色工業株式会社製、型番 COH−300Aを用い、光源はハロゲンランプ(C光源)を用いた。更に、得られたおむつについて、モニターテストによって排尿の判り易さを5段階(1点〜5点 点数が高いほど良好)で評価した。結果を下表に示す。
【0041】
【表1】
Figure 2005027884
【0042】
表1から明らかなように、実施例1および2においては、バックシートの股下部の全光線透過率が40%以上であるため、吸収体4の吸水紙24に塗布されている指示剤の変色を容易に認識することができ、排尿を容易に知ることが可能であった。これに対し、比較例1においては、可塑剤の配合率が15%と低いため、バックシートの細孔をホットメルトが充分に埋めることができず、バックシートの股下部の全光線透過率が低く、指示剤の変色を認識するのは容易でなかった。
【0043】
【発明の効果】
第一の発明(請求項1の発明)においては、バックシートより内側の部材に塗布された排尿を知らせるホットメルトの変色が見やすく配慮されたことにより、おむつの交換時期が判りやすく、着用者へのスキントラブルが減ることが期待される。
【0044】
第二の発明においては、バックシートに股下部のような望みの部位にだけ透明化剤を塗布して透明性を付与できるため、全体の透湿性を損なわずに透明性を向上させることができる。
【0045】
第三の発明においては、その主成分が(A)スチレン−ブロック共重合体又はその水素添加誘導体、(B)粘着付与樹脂、(C)可塑剤からなるホットメルトを、透湿性バックシートに塗布することにより、各配合物から浸透性成分が微細な孔に入り込み、埋めてしまうので、微細な孔による白化が解消されて透明度が上がり、バックシート上の任意の位置で透過率を上げることができる。この方法によれば、ホットメルトが塗布された部分のみ透湿性が失われるとしても、全体の透湿性を損なわずに透明性を向上させることができる。
【0046】
第四の発明においては、前記の尿に濡れると変化する指示剤が吸収体のバックシートに相対する側において、吸収体を包む吸収紙の内面、または外面に塗布されているため、指示剤が尿に接触しやすく、かつバックシートとも対面しているために、おむつの外からよく見える。
【0047】
第五の発明によれば、指示剤としてホットメルトを用いるため、加工機の中で容易に塗布することが可能である。また、尿に触れて変色するために、おむつの外から容易に排尿を知ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の使いすておむつの外側を上にした展開図である。
【図2】図1に示した股下部X−X’断面の横断面図である。
【図3】本発明による透湿性バックシートの透明化の機構を説明するための、バックシートの断面の模式図である。
【図4】図3のバックシート表面に浸透性の透明化物質を含むホットメルトを塗布した状態を示す模式図である。
【図5】図4の状態から、浸透性の透明化物質がバックシートの細孔に染み込んだ様子を示す模式図である。
【符号の説明】
1:テープ型おむつ
2:液透過性のトップシート
3:液不透過性のバックシート
4:吸収体
5:カバーシート
6:おむつの股下部
7:半透明化された領域
8:変色ホットメルト
9:おむつの後身頃の両側縁
10:テープ
11:フロントパッチ
12:脚周りギャザー
22:開繊されたフラッフパルプ
23:高分子吸収体
24:吸水紙
25:重なり部
26:股下部
27:サイドシート
28:起立線
29:防漏壁
30:防漏壁の先端
31:弾性体
41:細孔
42:ポリエチレン骨格
43:フィルムの厚さ方向
44:透明化物質(ホットメルト)
45:透明化物質によって埋められた細孔
46:透明化物質によって埋められていない細孔

Claims (5)

  1. 液透過性のトップシートと、透湿性かつ液不透過性のバックシートと、これら両シートの間に配置された吸収体を有する使い捨ておむつにおいて、
    前記バックシートの少なくとも股下中央部に、JIS K7361−1で規定する全光線透過率が40%以上である半透明化領域を有し、
    さらに、前記半透明化領域のシートより内側の部材に、尿で濡れた時に変色する指示剤が塗布されていることを特徴とする使い捨ておむつ。
  2. 前記半透明化領域が、バックシートに浸透することにより不透明度を下げることが可能な透明化物質を、塗布することによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の使い捨ておむつ。
  3. 前記の透明化物質が、ホットメルトであり、主成分として(A)スチレン−ブロック共重合体又はその水素添加誘導体、及び(B)粘着付与樹脂、及び(C)可塑剤、を有することを特徴とする請求項1または2に記載の使い捨ておむつ。
  4. 前記の指示剤が吸収体のバックシートに相対する側において、吸収体を包む吸収紙の内面、または外面に塗布されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
  5. 前記の指示剤は変色するホットメルトであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の使い捨ておむつ。
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