JP2005027428A - オフセット型支持部材のモデル化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】オフセット型支持部材も正確にモデル化して、より現実に則したワイヤーハーネスの経路予測等に役立つ方法を提供する。
【解決手段】ワイヤーハーネス1に対応する複数の梁要素C1〜C3と同様に、オフセット型支持部材3のオフセット部32も梁要素Ca3で表して、この梁要素Ca3の端点における拘束自由度を設定することにより、オフセット型支持部材3を含むあらゆる支持部材がモデル化できるようになる。
【選択図】 図4
【解決手段】ワイヤーハーネス1に対応する複数の梁要素C1〜C3と同様に、オフセット型支持部材3のオフセット部32も梁要素Ca3で表して、この梁要素Ca3の端点における拘束自由度を設定することにより、オフセット型支持部材3を含むあらゆる支持部材がモデル化できるようになる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の線条材が束ねられてなるワイヤーハーネスを複数の梁要素が結合された弾性体とみなしてモデル化し、このワイヤーハーネスの経路予測等を有限要素法を用いて計算する際に、ワイヤーハーネスに取り付けられる支持部材をモデル化する方法に関し、特に、支持部材としてのオフセット型クランプをモデル化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両等においては多種多様の電装品が搭載されるようになっており、それらは、複数の電線や通信線がインシュロック等の結束部材やテープ等の保護部材によって束ねられた、いわゆる、ワイヤーハーネスで接続されている。図7は、本発明に係るワイヤーハーネスの全体形状を概略的に示す図である。
【0003】
図7に示すように、ワイヤーハーネス1は、各端部に電装品等と接続されるコネクタ2a、2b、2c、2dが取り付けられている。また、その中間部には各種クランプ3a、3b、3c、3dが取り付けられ、更に、分岐点4を有している。
【0004】
上記各コネクタ2a、2b、2c、2dは、電装品側の相手方コネクタの固定位置及びその装着方向に応じて所定の位置に着脱可能に固定され、ワイヤーハーネスの端部を完全拘束する。また、上記各クランプ3a、3b、3c、3dは、ワイヤーハーネスの所定部位を、電装品の筐体やステー等の所定位置に完全拘束又は回転拘束する。
【0005】
ところで、近年、ワイヤーハーネスの経路予測等のために、コンピュータを利用した設計支援システムが利用されることが多くなった。例えば、ワイヤーハーネスの経路予測等の計算の際には、ワイヤーハーネスと共に各クランプもモデル化される。このモデル化では、ワイヤーハーネスの形状特性や材料特性等と共に、クランプやコネクタが取り付けられるワイヤーハーネス上の各点における拘束条件として、拘束自由度がそれぞれ各点に設定される。以下に、従来、行われていたコネクタやクランプ等に対する拘束自由度の設定方法について説明する。
【0006】
図8は、従来、行われていたコネクタやクランプ等に対する拘束自由度の設定方法を示す図である。図8において、X軸、Y軸及びZ軸は、ワイヤーハーネス上の各節点(又はノードともよぶ)における右手ローカル座標系での直行する3軸に対応する。例えば、Z軸をクランプ軸と一致するようにしているが、これらの決定方法は適宜変更可能である。なお、図中、参考のために、分岐点の拘束自由度についても示している。
【0007】
ここで、クランプについて説明を加える。クランプには、基本的に、長穴クランプ及び丸穴クランプがある。丸穴クランプは、回転クランプともよばれ、ワイヤーハーネスを保持する台座部とステー等に設けられた丸穴形状の取付穴に挿入される支持脚とから構成される。丸穴クランプは、Z軸(取付部位に鉛直方向)廻りに回転自由である。
【0008】
一方、長穴クランプは、固定クランプともよばれ、ワイヤーハーネスを保持する台座部とステー等に設けられた長穴形状の取付穴に挿入される支持脚とから構成される。この支持脚の断面形状は、取付穴と略同様の長穴形状をしている。長穴クランプは、Z軸廻りに回転拘束されている。更に、長穴クランプ及び丸穴クランプには、X軸(ワイヤーハーネスの長手方向)廻りに回転自由である、コルゲート長穴クランプ及びコルゲート丸穴クランプもある。
【0009】
このようなクランプ等の支持部材の拘束自由度の設定方法は、下記特許文献1又は特許文献2においても示されている。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−251741号公報(図4)
【特許文献2】
特願2002−279502
【非特許文献1】
B.ナス著「マトリックス有限要素法」ブレイン図書出版株式会社出版、1978年8月10日、p.7−15
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、実際的には、ワイヤーハーネスの支持部材の中には、図4に示すようなオフセット型クランプ3(請求項のオフセット型支持部材に対応する)も存在する。オフセット型クランプ3は、ワイヤーハーネスへの取り付け時にワイヤーハーネスの所定部位に固定される固定部31と、ワイヤーハーネスが配策されるべき車両ボディ(請求項のベースに対応する)の一部に設けられられた取付穴に係止される係止部33と、所定のオフセット長を有して固定部31と係止部33とを結合するオフセット部32と、から構成される。
【0012】
しかしながら、上述の従来の設定方法では、このようなオフセット型クランプ3を正確に表現できない。特に、オフセット部32によるオフセット長が、上述の従来の設定方法ではモデルに反映されない。このため、従来、オフセット型クランプ3は、図8中の他の類似の支持部材に近似して、拘束自由度を設定しモデル化されたり、或いは、オフセット型クランプ3は使用されないものとして想定して、ワイヤーハーネスの経路予測等を行なわざるを得なかった。したがって、オフセット型クランプ等のオフセット型支持部材も正確にモデル化された、より現実に則したワイヤーハーネスの経路予測等が求められている。
【0013】
よって本発明は、上述した現状に鑑み、オフセット型支持部材も正確にモデル化して、より現実に則したワイヤーハーネスの経路予測等に役立つ方法を提供することを課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載のオフセット型支持部材のモデル化方法は、複数の線条材が束ねられてなるワイヤーハーネスを複数の梁要素が結合された弾性体とみなしてモデル化し、このワイヤーハーネスの経路予測等を有限要素法を用いて計算する際に、前記ワイヤーハーネスに取り付けられるワイヤーハーネス支持部材をモデル化する方法であって、前記支持部材は、取り付け時に前記ワイヤーハーネスの所定部位に固定される固定部と、前記ワイヤーハーネスが配策されるべきベースの一部に設けられられた取付穴に係止される係止部と、所定のオフセット長を有して前記固定部と前記係止部とを結合するオフセット部と、から構成されるオフセット型支持部材であって、前記ワイヤーハーネスに対応する複数の梁要素と同様に、前記オフセット部も前記オフセット長に対応する梁要素で表して、この梁要素の端点における拘束自由度を設定することにより、前記オフセット型支持部材をモデル化する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項1記載の発明によれば、ワイヤーハーネスに対応する複数の梁要素と同様に、オフセット型支持部材のオフセット部も梁要素で表して、この梁要素の端点における拘束自由度を設定することにより、オフセット型支持部材を含むあらゆる支持部材がモデル化できるようになる。
【0016】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載のオフセット型支持部材のモデル化方法は、複数の線条材が束ねられてなるワイヤーハーネスを複数の梁要素が結合された弾性体とみなしてモデル化し、このワイヤーハーネスの経路予測等を有限要素法を用いて計算する際に、前記ワイヤーハーネスに取り付けられるワイヤーハーネス支持部材をモデル化する方法であって、前記支持部材は、取り付け時に前記ワイヤーハーネスの所定部位に固定される固定部と、前記ワイヤーハーネスが配策されるべきベースの一部に設けられられた取付穴に係止される係止部と、所定のオフセット長を有して前記固定部と前記係止部とを結合するオフセット部と、から構成されるオフセット型支持部材であって、前記オフセット型支持部材を、前記係止部の回転軸に対応する第1梁要素と、前記第1梁要素に直交し、このクランプの面向きに対応する第2梁要素と、前記オフセット部に対応し、前記第1梁要素及び前記第2梁要素との交点と前記所定部位に対応する点とを結合する第3梁要素と、で表し、前記第1梁要素〜前記第3梁要素のそれぞれの端点における拘束自由度を設定することにより、前記オフセット型支持部材をモデル化する、ことを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、ワイヤーハーネスに対応する複数の梁要素と同様に、オフセット型支持部材を、係止部の回転軸に対応する第1梁要素と、第1梁要素に直交し、このクランプの面向きに対応する第2梁要素と、オフセット部に対応し、第1梁要素及び第2梁要素との交点と所定部位に対応する点とを結合する第3梁要素と、で表し、第1梁要素〜第3梁要素のそれぞれの端点における拘束自由度を設定することにより、オフセット型支持部材をより正確にモデル化できるようになる。
【0018】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載のオフセット型支持部材のモデル化方法は、請求項2記載のモデル化方法において、前記第2梁要素は、前記ワイヤーハーネスに割り当てられた複数の梁要素のうちで、前記第3梁要素に接する梁要素のうちのひとつと同長かつ平行にする、ことを特徴とする。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、第2梁要素は、ワイヤーハーネスに割り当てられた複数の梁要素のうちで、第3梁要素に接する梁要素のうちのひとつと同長かつ平行にしている。したがって、ワイヤーハーネスの経路予測を行う際の計算量を削減することができる。
【0020】
上記課題を解決するためになされた請求項4記載のオフセット型支持部材のモデル化方法は、請求項2又は3記載のモデル化方法において、前記拘束自由度として、前記それぞれの端点における3次元空間を表す3軸の、各軸方向の変位及び各軸廻りの回転に関する自由度をそれぞれ設定する、ことを特徴とする。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、拘束自由度として、それぞれの端点における3次元空間を表す3軸の、各軸方向の変位及び各軸廻りの回転に関する自由度をそれぞれ設定するようにしているので、非常に詳細にオフセット型支持部材をモデル化することが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、オフセット型クランプを含むワイヤーハーネスの経路設計等のために、本発明では有限要素法が用いられる。このため、ワイヤーハーネス及びクランプに対して、有限要素モデルが作成される。そこで、まず、図1及び図2を参照しながら、有限要素法を用いるために前提となる仮定条件、利用される理論及び基本式の概略について説明する。なお、本明細書中、コネクタもクランプの一種であるとみなしている。
【0023】
図1(A)は、ワイヤーハーネスの外観を示す図であり、図1(B)は、図1(A)のワイヤーハーネスを離散化した様子を示す図であり、図1(C)は、図1(A)のワイヤーハーネスを梁要素と節点とで表した図である。図2は、梁要素と節点とで表したワイヤーハーネスにおける自由度を説明するための図である。
【0024】
まず、本発明では、この有限要素法を用いるに際し、以下のような仮定をする。
▲1▼.ワイヤーハーネスを弾性体と仮定する。
▲2▼.ワイヤーハーネスを梁要素が結合されたものと仮定する。
▲3▼.各梁要素に線形性が保たれるものと仮定する。
▲4▼.ワイヤーハーネスの断面を円形であると仮定する。
【0025】
次に、ワイヤーハーネスを離散化する。すなわち、図1(A)に示すように、複数の電線11がテープ12等の保護部材によって束ねられたワイヤーハーネス1は連続体とみなすことができる。次に、図1(B)に示すように、このようなワイヤーハーネス1を、いくつかの梁要素C1、C2、C3、…に分割(離散化)する。すなわち、ワイヤーハーネスは1本のロープのようなものなので、有限個の梁要素をつなげたものとみなすことができる。
【0026】
したがって、図1(C)に示すように、モデル化されたワイヤーハーネス1′は、複数の梁要素C1、C2、C3、…を複数のノードN0、N1、N2、N3、…で結合したものとして表すことができる。梁要素に必要な特性値は以下の通りである。
長さl(図1(B)参照)
断面積A(図1(B)参照)
断面2次モーメントI
断面2次極モーメントJ
密度ρ
縦弾性係数E
横弾性係数G
【0027】
そして、図2に示すように、各梁要素C(C1、C2、C3、…)はそれぞれ、2つの節点α及び節点βを有する。3次元空間においては、節点αは、3つの並進成分と3つの回転成分を持ため、合計6つの自由度を持つ。また、節点βも同様である。したがって、梁要素Cは12自由度を持つことになる。
【0028】
なお、図中、
Fxi:i番要素のxi軸方向の力
Fyi:i番要素のyi軸方向の力
Fzi:i番要素のzi軸方向の力
Mxi:i番要素のxi軸周りのモーメント
Myi:i番要素のyi軸周りのモーメント
Mzi:i番要素のzi軸周りのモーメント
Uxi:i番要素のxi軸方向の変位
Uyi:i番要素のyi軸方向の変位
Uzi:i番要素のzi軸方向の変位
θxi:i番要素のxi軸方向の角変位
θyi:i番要素のyi軸方向の角変位
θzi:i番要素のzi軸方向の角変位
αは左側の節点、βは右側の節点
を示す。
【0029】
ところで、振動してない静的な力による構造物の変位は、弾性範囲内では、以下の式(1)に示すフックの法則が成り立つことが知られている。
Kx=F…(1)
ここで、K:ばね定数、x:変位、F:力
を示す。
【0030】
また、図2で示した梁要素Cにも同様にフックの法則が成り立つことが知られている。但し、梁要素Cは、上記のように12自由度をもつため、以下の式(2)で示すように、12行12列のマトリクスと12行のベクトルとで、力と変位との関係を表現することができる。
【0031】
【数1】
【0032】
なお、式(2)において、12行12列のマトリクスを、4つの6行6列のマトリクスに分割し、それぞれをKi(1,1)、Ki(1,2)、Ki(2,1)及びKi(2,2)とする。そして、以降の説明では、簡単のために、これら6行6列のマトリクスを利用して説明する。
【0033】
ここで、適合条件と釣り合い条件について図3を用いて説明する。図3(A)は、ワイヤーハーネスの一部位を3つの梁要素で示した図であり、図3(B)は、3つの梁要素に拘束条件を設定するための3軸をそれぞれ合成した図であり、図3(C)は、図3(B)の3つの梁要素を結合した状態を示す図である。
【0034】
ここでは、まず簡単のために、図3(A)で示すように、ワイヤーハーネスにおいて枝線やクランプの存在しない3つの梁要素C1、C2、C3からなる部位につて考える。すなわち、この部位は、図3(B)に示すように、3つの梁要素C1、C2、C3で表わされるものとして設定する。この場合、梁要素C1の節点1β及び梁要素C2の節点2αの変位は等しくなり、これら両節点に加わる力も釣り合うことになる。同様に、梁要素C2の節点2β及び梁要素C3の節点3αの変位も等しくなり、これら両節点に加わる力も釣り合うことになる。したがって、これら変位の連続性と力の釣り合いの条件を満たすことで、梁要素C1及びC2、梁要素C2及びC3を、図3(C)に示すように、結合することができる。
【0035】
なお、図中、
Fxi:i番要素のxi軸方向の力
Fyi:i番要素のyi軸方向の力
Fzi:i番要素のzi軸方向の力
Mxi:i番要素のxi軸周りのモーメント
Myi:i番要素のyi軸周りのモーメント
Mzi:i番要素のzi軸周りのモーメント
Uxi:i番要素のxi軸方向の変位
Uyi:i番要素のyi軸方向の変位
Uzi:i番要素のzi軸方向の変位
θxi:i番要素のxi軸方向の角変位
θyi:i番要素のyi軸方向の角変位
θzi:i番要素のzi軸方向の角変位
を示し、
i=1α、1β、2α、2β、3α、3βである。
【0036】
例えば、上記梁要素C1は、上記式(2)と同様の形式で示すと、以下の式(3)のように表される。
【0037】
【数2】
【0038】
梁要素C2、C3も式(3)と同様に表し、これら梁要素C1、C2、C3を図3(C)に示すように結合し、梁要素C1、C2、C3における上記変位の連続性と力の釣り合いを上記式(3)と同様の形式で示すと、以下の式(4)のようになる。
【0039】
【数3】
【0040】
ここで、式(4)中の6行6列のマトリクスK1(1,1)、K1(1,2)、K1(2,1)及びK1(2,2)は上記式(3)で示した通り梁要素C1に対応するものであり、同様に、K2(1,1)、K2(1,2)、K2(2,1)及びK2(2,2)は梁要素C2に対応し、K3(1,1)、K3(1,2)、K3(2,1)及びK3(2,2)は梁要素C3に対応するものである。但し、M12で示すK1(2,2)とK2(1,1)とが重なっている部分、並びに、M23で示すK2(2,2)とK3(1,1)とが重なっている部分は、それらの各構成要素が足し合わされたものとなる。
【0041】
ちなみに、上記式(4)を簡単に表すと、
[K]{x}={F}
となる。
なお、[K]を剛性マトリクス、{x}を変位ベクトル、{F}を力ベクトルとよぶ。
【0042】
このような考え方は、図示しない4つ以上の梁要素に分割されたワイヤーハーネスや、図4に示すようなオフセット型クランプが取り付けられたワイヤーハーネスにも拡張することができる。図4は、本発明で前提となるオフセット型クランプの一例を示す斜視図である。図5(A)は、オフセット型クランプが取り付けられたワイヤーハーネスを梁要素で示した図であり、図5(B)は、図5(A)における各節点に拘束条件を設定するための3軸を合成した図である。
【0043】
図4において、オフセット型クランプ3は上述したように、固定部31、オフセット部32及び係止部33とから基本構成される。固定部31はワイヤーハーネスの所定部位に締め付け固定される。係止部33は、車両ボディ等の一部に設けられられた取付穴(不図示)に係止される。この例では、取付穴は長穴であり、これにともない係止部33も長穴凸状をしている。すなわち、このオフセット型クランプ3は、3軸廻りに共に回転拘束されることになる。
【0044】
このようなオフセット型クランプ3をモデル化するために、本発明では、オフセット型クランプ3に対して、図4で示すように、第1梁要素Ca1、第2梁要素Ca2、第3梁要素Ca3を想定する。第1梁要素Ca1は、係止部33の回転軸に一致する。第2梁要素Ca2は、第1梁要素Ca1に直交し、このクランプ3の面向きに一致する。クランプ3の面向きとは、係止部33の回転軸、すなわち、第1梁要素Ca1に直交する向きである。第3梁要素Ca3は、オフセット部32に対応し、第1梁要素Ca1及び第2梁要素Ca2との交点Na3とワイヤーハーネスへの取付部位(請求項のワイヤーハーネスの所定部位)に対応する点N1とを結合する。計算を簡単にするために、第1梁要素Ca1及び第2梁要素Ca2の長さは、上記ワイヤーハーネスの梁要素C1、C2、C3と同等とし、第2梁要素Ca2は梁要素C2と平行にしている。なお、図中、1′はモデル化されたワイヤーハーネスを示す。
【0045】
このような第1梁要素Ca1、第2梁要素Ca2、第3梁要素Ca3を、図3(A)に示したような梁要素C1、C2、C3で表されたワイヤーハーネスに結合すると、図5(A)に示すようになる。そして、ここでも、各節点における変位の連続性と力の釣り合いの条件を満たすことで、全梁要素C1〜C3、Ca1〜Ca3を、図5(B)に示すように、結合することができる。紙面の都合上、梁要素C1、C2、C3と、第1梁要素Ca1、第2梁要素Ca2、第3梁要素Ca3とは分離されているが、実際的には、これらは図5(A)に示すように結合される。なお、図5(A)の節点Na1、Na2及びNa3はそれぞれ、図5(B)の点5β、6β及び4βに対応する。
【0046】
なお、図中、
Fxi:i番要素のxi軸方向の力
Fyi:i番要素のyi軸方向の力
Fzi:i番要素のzi軸方向の力
Mxi:i番要素のxi軸周りのモーメント
Myi:i番要素のyi軸周りのモーメント
Mzi:i番要素のzi軸周りのモーメント
Uxi:i番要素のxi軸方向の変位
Uyi:i番要素のyi軸方向の変位
Uzi:i番要素のzi軸方向の変位
θxi:i番要素のxi軸方向の角変位
θyi:i番要素のyi軸方向の角変位
θzi:i番要素のzi軸方向の角変位
を示し、
i=1α、1β、2α、2β、3α、3β、4α、4β、5α、5β、6α、6βである。
【0047】
このように梁要素を結合する場合、例えば、節点N1に結合された第3梁要素Ca3を、上記梁要素C1、C2、C3における上記変位の連続性と力の釣り合いを上記式(3)と同様の形式で示すと、以下の式(5)のように拡張することができる。
【0048】
【数4】
【0049】
ここで、6行6列のマトリクスK4(1,1)、K4(1,2)、K4(2,1)及びK4(2,2)は上記K1(1,1)、K1(1,2)、K1(2,1)及びK1(2,2)と同様である。
【0050】
そして、第3梁要素Ca3が結合された梁要素C1〜C3、すなわち、梁要素C1、C2、C3、C4における上記変位の連続性と力の釣り合いを上記式(4)と同様の形式で示すと、以下の式(6)のようになる。
【0051】
【数5】
【0052】
ここで、式(6)中の6行6列のマトリクスK1(1,1)、K1(1,2)、K1(2,1)及びK1(2,2)は梁要素C1に対応し、K2(1,1)、K2(1,2)、K2(2,1)及びK2(2,2)は梁要素C2に対応し、K3(1,1)、K3(1,2)、K3(2,1)及びK3(2,2)は梁要素C3に対応し、K4(1,1)、K4(1,2)、K4(2,1)及びK4(2,2)は梁要素C4に対応するものである。但し、M124で示すK1(2,2)とK2(1,1)とK4(1,1)とが重なっている部分、M23で示すK2(2,2)とK3(1,1)とが重なっている部分は、それらの各構成要素が足し合わされたものとなる。
【0053】
なお、第3梁要素Ca3の一方の端点、すなわち、節点Na3に結合される第1梁要素Ca1及び第2梁要素Ca2も同様にして、梁要素C1〜C3と合成して表すことができる。図示しないが、梁要素C1〜C3に梁要素Ca1〜Ca3が合成されると、式(6)が拡張された形式で表すことができる。このようにして、オフセット型クランプが取り付けられたワイヤーハーネスに対して、有限要素モデルを作成することができる。なお、4つ以上の梁要素や複数のオフセット型クランプが取り付けられたワイヤーハーネスについても、同様に扱うことができる。なお、上記のような一般的なマトリックス有限要素法の基本は、例えば、上記非特許文献1中でも紹介されている。
【0054】
このようなワイヤーハーネスの数式モデルに対して、例えば、ワイヤーハーネスの形状特性及び材料特性として、予め取得可能な長さl、断面積A、断面2次モーメントI、断面2次極モーメントJ、縦弾性係数E及び横弾性係数Gを上記(4)や式(6)のように表される有限要素モデルのマトリクスKiからなる剛性マトリクス[K]に代入し、拘束条件として、図8に示したような拘束自由度に対応する座標情報を同有限要素モデルの変位ベクトル{x}の一部に代入し、未知数である変位ベクトル{x}をコンピュータを利用して求めることにより、ワイヤーハーネスの経路予測等の計算をすることができる。この解を求める際には、周知の弧長法や陽解法が利用可能である。
【0055】
このように、本発明の実施形態によれば、ワイヤーハーネスと共に、従来なされてなかったオフセット型クランプも正確にモデル化される。したがって、より現実に則したワイヤーハーネスの経路予測等ができるようになる。
【0056】
なお、本発明は、図4に示したタイプのオフセット型クランプのみならず、図6(A)に示すように、固定部31′による固定方向が図4とは異なり、ワイヤーハーネス1′の延長方向にオフセット部32が延びたようなオフセット型クランプや、図6(B)に示すような、図6(A)のオフセット型クランプのオフセット部32がやや起立したようなオフセット部32′を有するオフセット型クランプにも、各パラメータ値を適宜設定することにより同様に適用可能である。また、これら以外のオフセット型支持部材にも同様に適用可能である。更に、本発明は、車両内に配線されるワイヤーハーネスに限定されず、屋内に配線されるワイヤー様構造物にも、同様に適用可能である。本発明は、その主旨の範囲を逸脱しない範囲で小変更されたものも含む。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1発明によれば、ワイヤーハーネスに対応する複数の梁要素と同様に、オフセット型支持部材のオフセット部も梁要素で表して、この梁要素の端点における拘束自由度を設定することにより、オフセット型支持部材を含むあらゆる支持部材がモデル化できるようになる。したがって、より現実に則したワイヤーハーネスの経路予測等ができるようになる。
【0058】
請求項2記載の発明によれば、ワイヤーハーネスに対応する複数の梁要素と同様に、オフセット型支持部材を、係止部の回転軸に対応する第1梁要素と、第1梁要素に直交し、このクランプの面向きに対応する第2梁要素と、オフセット部に対応し、第1梁要素及び第2梁要素との交点と所定部位に対応する点とを結合する第3梁要素と、で表し、第1梁要素〜第3梁要素のそれぞれの端点における拘束自由度を設定することにより、オフセット型支持部材をより正確にモデル化できるようになる。したがって、更に現実に則したワイヤーハーネスの経路予測等ができるようになる。
【0059】
請求項3記載の発明によれば、第2梁要素は、ワイヤーハーネスに割り当てられた複数の梁要素のうちで、第3梁要素に接する梁要素のうちのひとつと同長かつ平行にしている。したがって、ワイヤーハーネスの経路予測を行う際の計算量を削減することができる。
【0060】
請求項4記載の発明によれば、拘束自由度として、それぞれの端点における3次元空間を表す3軸の、各軸方向の変位及び各軸廻りの回転に関する自由度をそれぞれ設定するようにしているので、非常に詳細にオフセット型支持部材をモデル化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は、ワイヤーハーネスの外観を示す図であり、図1(B)は、図1(A)のワイヤーハーネスを離散化した様子を示す図であり、図1(C)は、図1(A)のワイヤーハーネスを梁要素と節点とで表した図である。
【図2】梁要素と節点とで表したワイヤーハーネスにおける自由度を説明するための図である。
【図3】図3(A)は、ワイヤーハーネスの一部位を3つの梁要素で示した図であり、図3(B)は、3つの梁要素に拘束条件を設定するための3軸をそれぞれ合成した図であり、図3(C)は、図3(B)の3つの梁要素を結合した状態を示す図である。
【図4】本発明で前提となるオフセット型クランプの一例を示す斜視図である。
【図5】図5(A)は、オフセット型クランプが取り付けられたワイヤーハーネスを梁要素で示した図であり、図5(B)は、図5(A)における各節点に拘束条件を設定するための3軸を合成した図である。
【図6】図6(A)及び図6(B)は、本発明が適用可能な他のオフセット型クランプを例示する斜視図である。
【図7】本発明に係るワイヤーハーネスの全体形状を概略的に示す図である。
【図8】従来、行われていたコネクタやクランプ等に対する拘束自由度の設定方法を示す図である。
【符号の説明】
1 ワイヤーハーネス
3 オフセット型クランプ(オフセット型支持部材)
31 固定部
32 オフセット部
33 係止部
C1〜C7 梁要素
Ca1 第1梁要素
Ca2 第2梁要素
Ca3 第3梁要素
N0〜N7、Na1〜Na3 節点
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の線条材が束ねられてなるワイヤーハーネスを複数の梁要素が結合された弾性体とみなしてモデル化し、このワイヤーハーネスの経路予測等を有限要素法を用いて計算する際に、ワイヤーハーネスに取り付けられる支持部材をモデル化する方法に関し、特に、支持部材としてのオフセット型クランプをモデル化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、車両等においては多種多様の電装品が搭載されるようになっており、それらは、複数の電線や通信線がインシュロック等の結束部材やテープ等の保護部材によって束ねられた、いわゆる、ワイヤーハーネスで接続されている。図7は、本発明に係るワイヤーハーネスの全体形状を概略的に示す図である。
【0003】
図7に示すように、ワイヤーハーネス1は、各端部に電装品等と接続されるコネクタ2a、2b、2c、2dが取り付けられている。また、その中間部には各種クランプ3a、3b、3c、3dが取り付けられ、更に、分岐点4を有している。
【0004】
上記各コネクタ2a、2b、2c、2dは、電装品側の相手方コネクタの固定位置及びその装着方向に応じて所定の位置に着脱可能に固定され、ワイヤーハーネスの端部を完全拘束する。また、上記各クランプ3a、3b、3c、3dは、ワイヤーハーネスの所定部位を、電装品の筐体やステー等の所定位置に完全拘束又は回転拘束する。
【0005】
ところで、近年、ワイヤーハーネスの経路予測等のために、コンピュータを利用した設計支援システムが利用されることが多くなった。例えば、ワイヤーハーネスの経路予測等の計算の際には、ワイヤーハーネスと共に各クランプもモデル化される。このモデル化では、ワイヤーハーネスの形状特性や材料特性等と共に、クランプやコネクタが取り付けられるワイヤーハーネス上の各点における拘束条件として、拘束自由度がそれぞれ各点に設定される。以下に、従来、行われていたコネクタやクランプ等に対する拘束自由度の設定方法について説明する。
【0006】
図8は、従来、行われていたコネクタやクランプ等に対する拘束自由度の設定方法を示す図である。図8において、X軸、Y軸及びZ軸は、ワイヤーハーネス上の各節点(又はノードともよぶ)における右手ローカル座標系での直行する3軸に対応する。例えば、Z軸をクランプ軸と一致するようにしているが、これらの決定方法は適宜変更可能である。なお、図中、参考のために、分岐点の拘束自由度についても示している。
【0007】
ここで、クランプについて説明を加える。クランプには、基本的に、長穴クランプ及び丸穴クランプがある。丸穴クランプは、回転クランプともよばれ、ワイヤーハーネスを保持する台座部とステー等に設けられた丸穴形状の取付穴に挿入される支持脚とから構成される。丸穴クランプは、Z軸(取付部位に鉛直方向)廻りに回転自由である。
【0008】
一方、長穴クランプは、固定クランプともよばれ、ワイヤーハーネスを保持する台座部とステー等に設けられた長穴形状の取付穴に挿入される支持脚とから構成される。この支持脚の断面形状は、取付穴と略同様の長穴形状をしている。長穴クランプは、Z軸廻りに回転拘束されている。更に、長穴クランプ及び丸穴クランプには、X軸(ワイヤーハーネスの長手方向)廻りに回転自由である、コルゲート長穴クランプ及びコルゲート丸穴クランプもある。
【0009】
このようなクランプ等の支持部材の拘束自由度の設定方法は、下記特許文献1又は特許文献2においても示されている。
【0010】
【特許文献1】
特開2001−251741号公報(図4)
【特許文献2】
特願2002−279502
【非特許文献1】
B.ナス著「マトリックス有限要素法」ブレイン図書出版株式会社出版、1978年8月10日、p.7−15
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、実際的には、ワイヤーハーネスの支持部材の中には、図4に示すようなオフセット型クランプ3(請求項のオフセット型支持部材に対応する)も存在する。オフセット型クランプ3は、ワイヤーハーネスへの取り付け時にワイヤーハーネスの所定部位に固定される固定部31と、ワイヤーハーネスが配策されるべき車両ボディ(請求項のベースに対応する)の一部に設けられられた取付穴に係止される係止部33と、所定のオフセット長を有して固定部31と係止部33とを結合するオフセット部32と、から構成される。
【0012】
しかしながら、上述の従来の設定方法では、このようなオフセット型クランプ3を正確に表現できない。特に、オフセット部32によるオフセット長が、上述の従来の設定方法ではモデルに反映されない。このため、従来、オフセット型クランプ3は、図8中の他の類似の支持部材に近似して、拘束自由度を設定しモデル化されたり、或いは、オフセット型クランプ3は使用されないものとして想定して、ワイヤーハーネスの経路予測等を行なわざるを得なかった。したがって、オフセット型クランプ等のオフセット型支持部材も正確にモデル化された、より現実に則したワイヤーハーネスの経路予測等が求められている。
【0013】
よって本発明は、上述した現状に鑑み、オフセット型支持部材も正確にモデル化して、より現実に則したワイヤーハーネスの経路予測等に役立つ方法を提供することを課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載のオフセット型支持部材のモデル化方法は、複数の線条材が束ねられてなるワイヤーハーネスを複数の梁要素が結合された弾性体とみなしてモデル化し、このワイヤーハーネスの経路予測等を有限要素法を用いて計算する際に、前記ワイヤーハーネスに取り付けられるワイヤーハーネス支持部材をモデル化する方法であって、前記支持部材は、取り付け時に前記ワイヤーハーネスの所定部位に固定される固定部と、前記ワイヤーハーネスが配策されるべきベースの一部に設けられられた取付穴に係止される係止部と、所定のオフセット長を有して前記固定部と前記係止部とを結合するオフセット部と、から構成されるオフセット型支持部材であって、前記ワイヤーハーネスに対応する複数の梁要素と同様に、前記オフセット部も前記オフセット長に対応する梁要素で表して、この梁要素の端点における拘束自由度を設定することにより、前記オフセット型支持部材をモデル化する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項1記載の発明によれば、ワイヤーハーネスに対応する複数の梁要素と同様に、オフセット型支持部材のオフセット部も梁要素で表して、この梁要素の端点における拘束自由度を設定することにより、オフセット型支持部材を含むあらゆる支持部材がモデル化できるようになる。
【0016】
上記課題を解決するためになされた請求項2記載のオフセット型支持部材のモデル化方法は、複数の線条材が束ねられてなるワイヤーハーネスを複数の梁要素が結合された弾性体とみなしてモデル化し、このワイヤーハーネスの経路予測等を有限要素法を用いて計算する際に、前記ワイヤーハーネスに取り付けられるワイヤーハーネス支持部材をモデル化する方法であって、前記支持部材は、取り付け時に前記ワイヤーハーネスの所定部位に固定される固定部と、前記ワイヤーハーネスが配策されるべきベースの一部に設けられられた取付穴に係止される係止部と、所定のオフセット長を有して前記固定部と前記係止部とを結合するオフセット部と、から構成されるオフセット型支持部材であって、前記オフセット型支持部材を、前記係止部の回転軸に対応する第1梁要素と、前記第1梁要素に直交し、このクランプの面向きに対応する第2梁要素と、前記オフセット部に対応し、前記第1梁要素及び前記第2梁要素との交点と前記所定部位に対応する点とを結合する第3梁要素と、で表し、前記第1梁要素〜前記第3梁要素のそれぞれの端点における拘束自由度を設定することにより、前記オフセット型支持部材をモデル化する、ことを特徴とする。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、ワイヤーハーネスに対応する複数の梁要素と同様に、オフセット型支持部材を、係止部の回転軸に対応する第1梁要素と、第1梁要素に直交し、このクランプの面向きに対応する第2梁要素と、オフセット部に対応し、第1梁要素及び第2梁要素との交点と所定部位に対応する点とを結合する第3梁要素と、で表し、第1梁要素〜第3梁要素のそれぞれの端点における拘束自由度を設定することにより、オフセット型支持部材をより正確にモデル化できるようになる。
【0018】
上記課題を解決するためになされた請求項3記載のオフセット型支持部材のモデル化方法は、請求項2記載のモデル化方法において、前記第2梁要素は、前記ワイヤーハーネスに割り当てられた複数の梁要素のうちで、前記第3梁要素に接する梁要素のうちのひとつと同長かつ平行にする、ことを特徴とする。
【0019】
請求項3記載の発明によれば、第2梁要素は、ワイヤーハーネスに割り当てられた複数の梁要素のうちで、第3梁要素に接する梁要素のうちのひとつと同長かつ平行にしている。したがって、ワイヤーハーネスの経路予測を行う際の計算量を削減することができる。
【0020】
上記課題を解決するためになされた請求項4記載のオフセット型支持部材のモデル化方法は、請求項2又は3記載のモデル化方法において、前記拘束自由度として、前記それぞれの端点における3次元空間を表す3軸の、各軸方向の変位及び各軸廻りの回転に関する自由度をそれぞれ設定する、ことを特徴とする。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、拘束自由度として、それぞれの端点における3次元空間を表す3軸の、各軸方向の変位及び各軸廻りの回転に関する自由度をそれぞれ設定するようにしているので、非常に詳細にオフセット型支持部材をモデル化することが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、オフセット型クランプを含むワイヤーハーネスの経路設計等のために、本発明では有限要素法が用いられる。このため、ワイヤーハーネス及びクランプに対して、有限要素モデルが作成される。そこで、まず、図1及び図2を参照しながら、有限要素法を用いるために前提となる仮定条件、利用される理論及び基本式の概略について説明する。なお、本明細書中、コネクタもクランプの一種であるとみなしている。
【0023】
図1(A)は、ワイヤーハーネスの外観を示す図であり、図1(B)は、図1(A)のワイヤーハーネスを離散化した様子を示す図であり、図1(C)は、図1(A)のワイヤーハーネスを梁要素と節点とで表した図である。図2は、梁要素と節点とで表したワイヤーハーネスにおける自由度を説明するための図である。
【0024】
まず、本発明では、この有限要素法を用いるに際し、以下のような仮定をする。
▲1▼.ワイヤーハーネスを弾性体と仮定する。
▲2▼.ワイヤーハーネスを梁要素が結合されたものと仮定する。
▲3▼.各梁要素に線形性が保たれるものと仮定する。
▲4▼.ワイヤーハーネスの断面を円形であると仮定する。
【0025】
次に、ワイヤーハーネスを離散化する。すなわち、図1(A)に示すように、複数の電線11がテープ12等の保護部材によって束ねられたワイヤーハーネス1は連続体とみなすことができる。次に、図1(B)に示すように、このようなワイヤーハーネス1を、いくつかの梁要素C1、C2、C3、…に分割(離散化)する。すなわち、ワイヤーハーネスは1本のロープのようなものなので、有限個の梁要素をつなげたものとみなすことができる。
【0026】
したがって、図1(C)に示すように、モデル化されたワイヤーハーネス1′は、複数の梁要素C1、C2、C3、…を複数のノードN0、N1、N2、N3、…で結合したものとして表すことができる。梁要素に必要な特性値は以下の通りである。
長さl(図1(B)参照)
断面積A(図1(B)参照)
断面2次モーメントI
断面2次極モーメントJ
密度ρ
縦弾性係数E
横弾性係数G
【0027】
そして、図2に示すように、各梁要素C(C1、C2、C3、…)はそれぞれ、2つの節点α及び節点βを有する。3次元空間においては、節点αは、3つの並進成分と3つの回転成分を持ため、合計6つの自由度を持つ。また、節点βも同様である。したがって、梁要素Cは12自由度を持つことになる。
【0028】
なお、図中、
Fxi:i番要素のxi軸方向の力
Fyi:i番要素のyi軸方向の力
Fzi:i番要素のzi軸方向の力
Mxi:i番要素のxi軸周りのモーメント
Myi:i番要素のyi軸周りのモーメント
Mzi:i番要素のzi軸周りのモーメント
Uxi:i番要素のxi軸方向の変位
Uyi:i番要素のyi軸方向の変位
Uzi:i番要素のzi軸方向の変位
θxi:i番要素のxi軸方向の角変位
θyi:i番要素のyi軸方向の角変位
θzi:i番要素のzi軸方向の角変位
αは左側の節点、βは右側の節点
を示す。
【0029】
ところで、振動してない静的な力による構造物の変位は、弾性範囲内では、以下の式(1)に示すフックの法則が成り立つことが知られている。
Kx=F…(1)
ここで、K:ばね定数、x:変位、F:力
を示す。
【0030】
また、図2で示した梁要素Cにも同様にフックの法則が成り立つことが知られている。但し、梁要素Cは、上記のように12自由度をもつため、以下の式(2)で示すように、12行12列のマトリクスと12行のベクトルとで、力と変位との関係を表現することができる。
【0031】
【数1】
【0032】
なお、式(2)において、12行12列のマトリクスを、4つの6行6列のマトリクスに分割し、それぞれをKi(1,1)、Ki(1,2)、Ki(2,1)及びKi(2,2)とする。そして、以降の説明では、簡単のために、これら6行6列のマトリクスを利用して説明する。
【0033】
ここで、適合条件と釣り合い条件について図3を用いて説明する。図3(A)は、ワイヤーハーネスの一部位を3つの梁要素で示した図であり、図3(B)は、3つの梁要素に拘束条件を設定するための3軸をそれぞれ合成した図であり、図3(C)は、図3(B)の3つの梁要素を結合した状態を示す図である。
【0034】
ここでは、まず簡単のために、図3(A)で示すように、ワイヤーハーネスにおいて枝線やクランプの存在しない3つの梁要素C1、C2、C3からなる部位につて考える。すなわち、この部位は、図3(B)に示すように、3つの梁要素C1、C2、C3で表わされるものとして設定する。この場合、梁要素C1の節点1β及び梁要素C2の節点2αの変位は等しくなり、これら両節点に加わる力も釣り合うことになる。同様に、梁要素C2の節点2β及び梁要素C3の節点3αの変位も等しくなり、これら両節点に加わる力も釣り合うことになる。したがって、これら変位の連続性と力の釣り合いの条件を満たすことで、梁要素C1及びC2、梁要素C2及びC3を、図3(C)に示すように、結合することができる。
【0035】
なお、図中、
Fxi:i番要素のxi軸方向の力
Fyi:i番要素のyi軸方向の力
Fzi:i番要素のzi軸方向の力
Mxi:i番要素のxi軸周りのモーメント
Myi:i番要素のyi軸周りのモーメント
Mzi:i番要素のzi軸周りのモーメント
Uxi:i番要素のxi軸方向の変位
Uyi:i番要素のyi軸方向の変位
Uzi:i番要素のzi軸方向の変位
θxi:i番要素のxi軸方向の角変位
θyi:i番要素のyi軸方向の角変位
θzi:i番要素のzi軸方向の角変位
を示し、
i=1α、1β、2α、2β、3α、3βである。
【0036】
例えば、上記梁要素C1は、上記式(2)と同様の形式で示すと、以下の式(3)のように表される。
【0037】
【数2】
【0038】
梁要素C2、C3も式(3)と同様に表し、これら梁要素C1、C2、C3を図3(C)に示すように結合し、梁要素C1、C2、C3における上記変位の連続性と力の釣り合いを上記式(3)と同様の形式で示すと、以下の式(4)のようになる。
【0039】
【数3】
【0040】
ここで、式(4)中の6行6列のマトリクスK1(1,1)、K1(1,2)、K1(2,1)及びK1(2,2)は上記式(3)で示した通り梁要素C1に対応するものであり、同様に、K2(1,1)、K2(1,2)、K2(2,1)及びK2(2,2)は梁要素C2に対応し、K3(1,1)、K3(1,2)、K3(2,1)及びK3(2,2)は梁要素C3に対応するものである。但し、M12で示すK1(2,2)とK2(1,1)とが重なっている部分、並びに、M23で示すK2(2,2)とK3(1,1)とが重なっている部分は、それらの各構成要素が足し合わされたものとなる。
【0041】
ちなみに、上記式(4)を簡単に表すと、
[K]{x}={F}
となる。
なお、[K]を剛性マトリクス、{x}を変位ベクトル、{F}を力ベクトルとよぶ。
【0042】
このような考え方は、図示しない4つ以上の梁要素に分割されたワイヤーハーネスや、図4に示すようなオフセット型クランプが取り付けられたワイヤーハーネスにも拡張することができる。図4は、本発明で前提となるオフセット型クランプの一例を示す斜視図である。図5(A)は、オフセット型クランプが取り付けられたワイヤーハーネスを梁要素で示した図であり、図5(B)は、図5(A)における各節点に拘束条件を設定するための3軸を合成した図である。
【0043】
図4において、オフセット型クランプ3は上述したように、固定部31、オフセット部32及び係止部33とから基本構成される。固定部31はワイヤーハーネスの所定部位に締め付け固定される。係止部33は、車両ボディ等の一部に設けられられた取付穴(不図示)に係止される。この例では、取付穴は長穴であり、これにともない係止部33も長穴凸状をしている。すなわち、このオフセット型クランプ3は、3軸廻りに共に回転拘束されることになる。
【0044】
このようなオフセット型クランプ3をモデル化するために、本発明では、オフセット型クランプ3に対して、図4で示すように、第1梁要素Ca1、第2梁要素Ca2、第3梁要素Ca3を想定する。第1梁要素Ca1は、係止部33の回転軸に一致する。第2梁要素Ca2は、第1梁要素Ca1に直交し、このクランプ3の面向きに一致する。クランプ3の面向きとは、係止部33の回転軸、すなわち、第1梁要素Ca1に直交する向きである。第3梁要素Ca3は、オフセット部32に対応し、第1梁要素Ca1及び第2梁要素Ca2との交点Na3とワイヤーハーネスへの取付部位(請求項のワイヤーハーネスの所定部位)に対応する点N1とを結合する。計算を簡単にするために、第1梁要素Ca1及び第2梁要素Ca2の長さは、上記ワイヤーハーネスの梁要素C1、C2、C3と同等とし、第2梁要素Ca2は梁要素C2と平行にしている。なお、図中、1′はモデル化されたワイヤーハーネスを示す。
【0045】
このような第1梁要素Ca1、第2梁要素Ca2、第3梁要素Ca3を、図3(A)に示したような梁要素C1、C2、C3で表されたワイヤーハーネスに結合すると、図5(A)に示すようになる。そして、ここでも、各節点における変位の連続性と力の釣り合いの条件を満たすことで、全梁要素C1〜C3、Ca1〜Ca3を、図5(B)に示すように、結合することができる。紙面の都合上、梁要素C1、C2、C3と、第1梁要素Ca1、第2梁要素Ca2、第3梁要素Ca3とは分離されているが、実際的には、これらは図5(A)に示すように結合される。なお、図5(A)の節点Na1、Na2及びNa3はそれぞれ、図5(B)の点5β、6β及び4βに対応する。
【0046】
なお、図中、
Fxi:i番要素のxi軸方向の力
Fyi:i番要素のyi軸方向の力
Fzi:i番要素のzi軸方向の力
Mxi:i番要素のxi軸周りのモーメント
Myi:i番要素のyi軸周りのモーメント
Mzi:i番要素のzi軸周りのモーメント
Uxi:i番要素のxi軸方向の変位
Uyi:i番要素のyi軸方向の変位
Uzi:i番要素のzi軸方向の変位
θxi:i番要素のxi軸方向の角変位
θyi:i番要素のyi軸方向の角変位
θzi:i番要素のzi軸方向の角変位
を示し、
i=1α、1β、2α、2β、3α、3β、4α、4β、5α、5β、6α、6βである。
【0047】
このように梁要素を結合する場合、例えば、節点N1に結合された第3梁要素Ca3を、上記梁要素C1、C2、C3における上記変位の連続性と力の釣り合いを上記式(3)と同様の形式で示すと、以下の式(5)のように拡張することができる。
【0048】
【数4】
【0049】
ここで、6行6列のマトリクスK4(1,1)、K4(1,2)、K4(2,1)及びK4(2,2)は上記K1(1,1)、K1(1,2)、K1(2,1)及びK1(2,2)と同様である。
【0050】
そして、第3梁要素Ca3が結合された梁要素C1〜C3、すなわち、梁要素C1、C2、C3、C4における上記変位の連続性と力の釣り合いを上記式(4)と同様の形式で示すと、以下の式(6)のようになる。
【0051】
【数5】
【0052】
ここで、式(6)中の6行6列のマトリクスK1(1,1)、K1(1,2)、K1(2,1)及びK1(2,2)は梁要素C1に対応し、K2(1,1)、K2(1,2)、K2(2,1)及びK2(2,2)は梁要素C2に対応し、K3(1,1)、K3(1,2)、K3(2,1)及びK3(2,2)は梁要素C3に対応し、K4(1,1)、K4(1,2)、K4(2,1)及びK4(2,2)は梁要素C4に対応するものである。但し、M124で示すK1(2,2)とK2(1,1)とK4(1,1)とが重なっている部分、M23で示すK2(2,2)とK3(1,1)とが重なっている部分は、それらの各構成要素が足し合わされたものとなる。
【0053】
なお、第3梁要素Ca3の一方の端点、すなわち、節点Na3に結合される第1梁要素Ca1及び第2梁要素Ca2も同様にして、梁要素C1〜C3と合成して表すことができる。図示しないが、梁要素C1〜C3に梁要素Ca1〜Ca3が合成されると、式(6)が拡張された形式で表すことができる。このようにして、オフセット型クランプが取り付けられたワイヤーハーネスに対して、有限要素モデルを作成することができる。なお、4つ以上の梁要素や複数のオフセット型クランプが取り付けられたワイヤーハーネスについても、同様に扱うことができる。なお、上記のような一般的なマトリックス有限要素法の基本は、例えば、上記非特許文献1中でも紹介されている。
【0054】
このようなワイヤーハーネスの数式モデルに対して、例えば、ワイヤーハーネスの形状特性及び材料特性として、予め取得可能な長さl、断面積A、断面2次モーメントI、断面2次極モーメントJ、縦弾性係数E及び横弾性係数Gを上記(4)や式(6)のように表される有限要素モデルのマトリクスKiからなる剛性マトリクス[K]に代入し、拘束条件として、図8に示したような拘束自由度に対応する座標情報を同有限要素モデルの変位ベクトル{x}の一部に代入し、未知数である変位ベクトル{x}をコンピュータを利用して求めることにより、ワイヤーハーネスの経路予測等の計算をすることができる。この解を求める際には、周知の弧長法や陽解法が利用可能である。
【0055】
このように、本発明の実施形態によれば、ワイヤーハーネスと共に、従来なされてなかったオフセット型クランプも正確にモデル化される。したがって、より現実に則したワイヤーハーネスの経路予測等ができるようになる。
【0056】
なお、本発明は、図4に示したタイプのオフセット型クランプのみならず、図6(A)に示すように、固定部31′による固定方向が図4とは異なり、ワイヤーハーネス1′の延長方向にオフセット部32が延びたようなオフセット型クランプや、図6(B)に示すような、図6(A)のオフセット型クランプのオフセット部32がやや起立したようなオフセット部32′を有するオフセット型クランプにも、各パラメータ値を適宜設定することにより同様に適用可能である。また、これら以外のオフセット型支持部材にも同様に適用可能である。更に、本発明は、車両内に配線されるワイヤーハーネスに限定されず、屋内に配線されるワイヤー様構造物にも、同様に適用可能である。本発明は、その主旨の範囲を逸脱しない範囲で小変更されたものも含む。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1発明によれば、ワイヤーハーネスに対応する複数の梁要素と同様に、オフセット型支持部材のオフセット部も梁要素で表して、この梁要素の端点における拘束自由度を設定することにより、オフセット型支持部材を含むあらゆる支持部材がモデル化できるようになる。したがって、より現実に則したワイヤーハーネスの経路予測等ができるようになる。
【0058】
請求項2記載の発明によれば、ワイヤーハーネスに対応する複数の梁要素と同様に、オフセット型支持部材を、係止部の回転軸に対応する第1梁要素と、第1梁要素に直交し、このクランプの面向きに対応する第2梁要素と、オフセット部に対応し、第1梁要素及び第2梁要素との交点と所定部位に対応する点とを結合する第3梁要素と、で表し、第1梁要素〜第3梁要素のそれぞれの端点における拘束自由度を設定することにより、オフセット型支持部材をより正確にモデル化できるようになる。したがって、更に現実に則したワイヤーハーネスの経路予測等ができるようになる。
【0059】
請求項3記載の発明によれば、第2梁要素は、ワイヤーハーネスに割り当てられた複数の梁要素のうちで、第3梁要素に接する梁要素のうちのひとつと同長かつ平行にしている。したがって、ワイヤーハーネスの経路予測を行う際の計算量を削減することができる。
【0060】
請求項4記載の発明によれば、拘束自由度として、それぞれの端点における3次元空間を表す3軸の、各軸方向の変位及び各軸廻りの回転に関する自由度をそれぞれ設定するようにしているので、非常に詳細にオフセット型支持部材をモデル化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)は、ワイヤーハーネスの外観を示す図であり、図1(B)は、図1(A)のワイヤーハーネスを離散化した様子を示す図であり、図1(C)は、図1(A)のワイヤーハーネスを梁要素と節点とで表した図である。
【図2】梁要素と節点とで表したワイヤーハーネスにおける自由度を説明するための図である。
【図3】図3(A)は、ワイヤーハーネスの一部位を3つの梁要素で示した図であり、図3(B)は、3つの梁要素に拘束条件を設定するための3軸をそれぞれ合成した図であり、図3(C)は、図3(B)の3つの梁要素を結合した状態を示す図である。
【図4】本発明で前提となるオフセット型クランプの一例を示す斜視図である。
【図5】図5(A)は、オフセット型クランプが取り付けられたワイヤーハーネスを梁要素で示した図であり、図5(B)は、図5(A)における各節点に拘束条件を設定するための3軸を合成した図である。
【図6】図6(A)及び図6(B)は、本発明が適用可能な他のオフセット型クランプを例示する斜視図である。
【図7】本発明に係るワイヤーハーネスの全体形状を概略的に示す図である。
【図8】従来、行われていたコネクタやクランプ等に対する拘束自由度の設定方法を示す図である。
【符号の説明】
1 ワイヤーハーネス
3 オフセット型クランプ(オフセット型支持部材)
31 固定部
32 オフセット部
33 係止部
C1〜C7 梁要素
Ca1 第1梁要素
Ca2 第2梁要素
Ca3 第3梁要素
N0〜N7、Na1〜Na3 節点
Claims (4)
- 複数の線条材が束ねられてなるワイヤーハーネスを複数の梁要素が結合された弾性体とみなしてモデル化し、このワイヤーハーネスの経路予測等を有限要素法を用いて計算する際に、前記ワイヤーハーネスに取り付けられるワイヤーハーネス支持部材をモデル化する方法であって、
前記支持部材は、
取り付け時に前記ワイヤーハーネスの所定部位に固定される固定部と、
前記ワイヤーハーネスが配策されるべきベースの一部に設けられられた取付穴に係止される係止部と、
所定のオフセット長を有して前記固定部と前記係止部とを結合するオフセット部と、から構成されるオフセット型支持部材であって、
前記ワイヤーハーネスに対応する複数の梁要素と同様に、前記オフセット部も前記オフセット長に対応する梁要素で表して、この梁要素の端点における拘束自由度を設定することにより、前記オフセット型支持部材をモデル化する、
ことを特徴とするオフセット型支持部材のモデル化方法。 - 複数の線条材が束ねられてなるワイヤーハーネスを複数の梁要素が結合された弾性体とみなしてモデル化し、このワイヤーハーネスの経路予測等を有限要素法を用いて計算する際に、前記ワイヤーハーネスに取り付けられるワイヤーハーネス支持部材をモデル化する方法であって、
前記支持部材は、
取り付け時に前記ワイヤーハーネスの所定部位に固定される固定部と、
前記ワイヤーハーネスが配策されるべきベースの一部に設けられられた取付穴に係止される係止部と、
所定のオフセット長を有して前記固定部と前記係止部とを結合するオフセット部と、から構成されるオフセット型支持部材であって、
前記オフセット型支持部材を、
前記係止部の回転軸に対応する第1梁要素と、
前記第1梁要素に直交し、このクランプの面向きに対応する第2梁要素と、
前記オフセット部に対応し、前記第1梁要素及び前記第2梁要素との交点と前記所定部位に対応する点とを結合する第3梁要素と、で表し、
前記第1梁要素〜前記第3梁要素のそれぞれの端点における拘束自由度を設定することにより、前記オフセット型支持部材をモデル化する、
ことを特徴とするオフセット型支持部材のモデル化方法。 - 請求項2記載のモデル化方法において、
前記第2梁要素は、
前記ワイヤーハーネスに割り当てられた複数の梁要素のうちで、前記第3梁要素に接する梁要素のうちのひとつと同長かつ平行にする、
ことを特徴とするオフセット型支持部材のモデル化方法。 - 請求項2又は3記載のモデル化方法において、
前記拘束自由度として、
前記それぞれの端点における3次元空間を表す3軸の、各軸方向の変位及び各軸廻りの回転に関する自由度をそれぞれ設定する、
ことを特徴とするオフセット型支持部材のモデル化方法。
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---|---|---|---|---|
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-
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