JP2005024451A - 変位センサ、変位センサの最適な原点位置候補の検知方法、及び、変位センサの原点検出の安定度判断方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】変位センサの信号処理回路部6を、アナログ位置信号(a)及び(b)をデジタル位置信号(c)及び(d)に変換するための2値化回路101と、原点検出用信号(e)を所定のスライスレベルで2値化してデジタル原点検出用信号(f)に変換する2値化回路102と、上記デジタル原点検出用信号(f)をラッチするラッチ回路106と、このラッチされたデジタル原点検出用信号(f)を上記デジタル位置信号(c)及び(d)に同期させて原点信号(g)または(h)を発生させる同期回路103と、この同期回路103における同期のタイミングを切り替える選択部としてのスイッチ104と、最適同期位置の検知と現在の同期位置の安定度を判断する判定回路107と、この判定回路107による最適同期位置判定結果出力を表示する表示器108とから構成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、変位検出に用いられる変位センサに関するものであり、特に、原点検出機能を有するエンコーダに関する。
【0002】
また、本発明は、そのような変位センサの、最適な原点位置候補の検知方法、及び、原点検出の安定度判断方法に関する。
【0003】
【従来の技術】
従来の技術によるエンコーダの一般的な例としては、光学式のエンコーダが知られている。
【0004】
即ち、この光学式のエンコーダは、図24に示すように、LED等の発光部1と該発光部1からのビーム光を平行光にするための光学素子2とを組み合わせた光源部10と、該光源部10からの平行光が順次に照射されるインデックススケール3及びスケール4と、該スケール4から見て光源部10の反対側に配置された光検出器5と、該光検出器5からの信号を処理してエンコーダ信号として出力する信号処理回路部6とから構成されている。
【0005】
このような構成において、インデックススケール3、スケール4、光検出器5のうち、位置検出用に用いられるのは、インデックススケール3に形成されているスリット3aと、スケール4に形成されているスリット4aと、光検出器5に形成されている光検出部5aとの組合せである。また、原点検出用に用いられるのは、インデックススケール3に形成されているスリット3bと、スケール4に形成されているスリット4bと、光検出器5に形成されている光検出部5bとの組合せである。
【0006】
ステージやモータなどの位置検出を行う対象物においては、上記光源部10とインデックススケール3と光検出器5との組合せは、それらの可動部と固定部のうち、どちらか一方に取り付けられる。また、スケール4は、それらの可動部と固定部のうち、どちらか他方に取り付けられる。
【0007】
また、一般的なエンコーダ出力信号には、装置などの可動部の変位に伴って出力される互いに90°位相の異なる正弦波信号、または、パルス(矩形波)信号であるA相信号とB相信号、さらに、可動部の基準位置検出の際に出力されるZ相信号(原点信号)がある。
【0008】
装置の電源を投入したり、位置情報をクリアした時点などで可動部の絶対位置が不明な場合には、原点検出を行うことによって正確な位置情報を得ることができる。エンコーダのうち、直線的な位置検出を行うリニアエンコーダでは、直状スケールの一端近傍に原点検出用パターンを配置することが多い。また、回転運動を検出するロータリエンコーダでは、通常、円盤状スケール上の1箇所に原点検出用パターンを配置する。そして、可動部を動かしてスケールの原点検出用パターンを検出し、必要に応じてAB相信号との同期をとって原点信号を出力するようになされている。
【0009】
例えば、特許文献1では、図25に示すように、スケール・インデックススケール・受光部に、位置検出信号より周期の長い信号を発生させて検出する機構を設けている。これにより、原点信号を位置検出信号に同期させる際の指標としている。
【0010】
即ち、図25においては、光源31からの光を平行光にするコリメータレンズ32と、メインスケ−ル33とが備えられている。メインスケ−ル33には、変位信号生成用のパターン34と、基準位置信号生成用のスリットパターン35と、基準位置補助信号生成用のスリットパターン39とが設けられている。
【0011】
また、メインスケ−ル33と相対移動する移動体または固定体に固定し、メインスケール33に対向するように配置されたインデックススケール36には、90°ずつ位相の異なる変位信号を生成するために4箇所に設けたスリットパターン71〜74と、基準位置信号生成用のスリットパターン38と、基準位置補助信号生成用のスリットパターン75、76とが形成されている。
【0012】
そして、インデックススケール36の光源側に対して、それの反対側には、変位信号用の受光素子51〜54と、基準信号用の受光素子55と、基準位置補助信号用の受光素子61、62とが設けられている。これにより、変位信号と基準位置信号の他に基準位置補助信号を発生させ、原点信号を位置検出信号に同期させる際の指標としている。
【0013】
また、特許文献2に開示のエンコーダでは、矩形パルスであるZ相信号の特定側エッジを検出することにより基準位置を検出する。そのため、移動方向に応じてZ相信号の立ち上がりまたは立ち下がりのエッジを選択して検出する。
【0014】
一方、特許文献3では、ロータリーエンコーダの原点検出時にカウンタのオフセット値を調整することで、所定の角度でカウンタ値が0になるように設定する技術を開示している。
【0015】
さらに、特許文献4では、AB相位相に同期するための複数の位相から1つを選択するための最適候補判定部を持つエンコーダを開示している。
【0016】
【特許文献1】
特開平8−261795号公報
【0017】
【特許文献2】
特開平7−4991号公報
【0018】
【特許文献3】
特開平7−203661号公報
【0019】
【特許文献4】
特開2003−83771号公報
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
近年、エンコーダの高分解能・高精度化が進む中で、原点信号の精度に対しても要求が高まり、AB相信号と同等の分解能・精度が求められるようになり、さらには原点検出のタイミングもAB相信号と同期して出すことが要求として挙がってきている。即ち、検出精度が高く、しかも再現性の良い原点信号が求められている。従って、システムとしての不安定要素による原点検出精度の劣化や検出タイミングのずれを抑えることがエンコーダに求められてきている。
【0021】
なお、不安定要素には、信号ノイズやふらつき、さらには、光学式のエンコーダでは光源の安定性、発光・受光素子の温度特性とそのばらつきやステージのガタツキやギャップ・取付け角度の経時変化といった、組み込むステージの原点検出時のヘッドとスケールの配置や姿勢の変動などがある。
【0022】
特に、AB相信号とZ相信号を別個の光学系などで検出しながら原点検出をAB相に同期させる場合、A相またはB相信号とZ相信号の位相を正確に同期させなければ、検出タイミングのずれにより、AB相信号の1周期分、またはそれ以上ずれた位置を原点とする可能性がある。
【0023】
上記特許文献1に開示のエンコーダでは、原点検出のための補助信号発生用部材を設けている。これにより、確かにAB相信号の数周期分のずれは抑制できる。しかしながら、同期のタイミングによるAB相信号の1周期分のずれまで抑え込むに至ってない。また、部材・特殊な光学系の追加やスケールパターンを追加すれば、ヘッドサイズやスケール幅を大きくする必要が生じたり、コストの上昇につながりかねず、小型化・低コスト化の流れに反するものになり易い。
【0024】
また、上記特許文献2に開示のエンコーダでは、矩形波Z相信号の特定側エッジ選択手段を有しているが、移動方向に応じた選択を行っており、結局、同じ位置を検出するための選択手段であり、安定な原点位置を選択するための複数の原点位置候補を有しているわけではない。
【0025】
また、上記特許文献3に開示のエンコーダでは、位置制御システムとしては原点位置を切り替えている。しかしながら、エンコーダの原点位置そのものを変更しているわけではなく、よって、原点検出の安定性改善が図られるわけではない。
【0026】
そして、上記特許文献4に開示のエンコーダでは、原点検出の安定性改善のための複数の原点位置候補を有し、さらに選択のための最適候補判定部を持っている。しかしながら、現状の原点検出の安定性を判断するわけではなく、設定変更の必要性が示されていない。
【0027】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、変位センサ、その中でも特に、変位検出に用いられるエンコーダにおいて、AB相に同期した原点検出が安定して行える安価な変位センサ、並びに、そのような変位センサの、最適な原点位置候補の検知方法、及び、原点検出の安定度判断方法を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明による変位センサは、
移動体の位置又は角度の変位に応じて発生する周期信号に基づき変位量を検出し、上記移動体が所定の範囲にある場合に、原点信号を発生する変位センサであり、
それぞれ上記原点信号を発生する複数の原点信号発生位置候補があって、
上記複数の原点信号発生位置候補の中から1つの発生位置候補を原点信号発生位置として選択して切り替える選択部を具備することを特徴とする。
【0029】
また、上記の目的を達成するために、本発明による変位センサの最適な原点位置候補の検知方法は、
移動体の位置又は角度の変位に応じて発生する、周期信号に基づき変位量を検出し、上記移動体が所定の範囲にある場合に、原点信号を発生する変位センサの最適な原点位置候補の検知方法であり、
上記変位センサは、
上記移動体が所定の範囲にある場合に、原点検出用信号を発生し、
上記原点信号が発生する原点信号発生位置には複数の原点信号発生位置候補があって、
上記複数の発生位置候補の中から1つの発生位置候補を原点信号発生位置として選択する選択部と、上記複数の原点信号発生位置候補の内、最適な発生位置候補を、原点検出用信号発生時に検知する判定部とを有しており、
上記選択部は、上記判定部の判定結果に基づいて原点信号発生位置を選択可能であるような変位センサの最適な原点位置候補の検知方法において、
原点検出用信号の発生を検知するステップと、
上記判定部により最適な原点位置候補を検知するステップと、
判定結果を出力するステップと、
原点位置の設定を切り替えるステップと、
を有することを特徴とする。
【0030】
また、上記の目的を達成するために、本発明による変位センサの最適な原点位置候補の検知方法は、
移動体の位置又は角度の変位に応じて発生する、周期信号に基づき変位量を検出し、上記移動体が所定の範囲にある場合に、原点信号を発生する変位センサの最適な原点位置候補の検知方法であり、
上記変位センサは、
上記移動体が所定の範囲にある場合に、原点検出用信号を発生し、
上記原点信号が発生する原点信号発生位置には複数の原点信号発生位置候補があって、
上記複数の発生位置候補の中から1つの発生位置候補を原点信号発生位置として選択する選択部と、上記複数の原点信号発生位置候補の内、最適な発生位置候補を、原点検出用信号発生時に検知する判定部とを具備しており、
上記選択部は、上記判定部の判定結果に基づいて原点信号発生位置を選択可能であるような上記変位センサの最適な原点位置候補の検知方法において、
原点検出用信号の発生を検知するステップと、
上記判定部により最適な原点位置候補を検知するステップと、
判定結果を出力するステップと、
判定結果を反映させる設定か判断するステップと、
設定を反映させると判断した場合のみ、原点位置の設定を切り替えるステップと、
を有することを特徴とする。
【0031】
また、上記の目的を達成するために、本発明による変位センサは、
移動体の位置又は角度の変位に応じて発生する周期信号に基づき変位量を検出し、上記移動体が所定の範囲にある場合に、原点信号を発生する変位センサであって、
上記移動体が所定の範囲にある場合に、上記周期信号とは必ずしも同期していない原点検出用信号を発生する原点検出用信号発生部と、
上記原点検出用信号の発生時と原点信号発生位置での上記周期信号との位相余裕度を元に、現状の原点信号発生位置の安定度を判断する安定度判定部と、
を具備することを特徴とする。
【0032】
また、上記の目的を達成するために、本発明による変位センサの原点検出の安定度判断方法は、
移動体の位置又は角度の変位に応じて発生する、周期信号に基づき変位量を検出し、上記移動体が所定の位置又は角度である原点信号発生位置にある場合に、原点信号を発生する変位センサの原点検出の安定度判断方法であり、
上記変位センサは、
上記移動体が所定の範囲にある場合に原点検出用信号を発生し、
上記原点検出用信号の発生時と原点信号発生位置での上記周期信号との位相余裕度を元に、現状の原点信号発生位置の安定度を判断する安定度判定部を有しているような上記変位センサの原点検出の安定度判断方法において、
原点検出用信号の発生を検知するステップと、
上記安定度判定部により現状の原点位置の安定度を判断するステップと、
上記判定結果を出力するステップと、
を有することを特徴とする。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の各実施の形態では、変位センサとして、直線的な位置検出を行うリニアエンコーダを例に説明するが、本発明は、そのようなリニアエンコーダに限定されるものではなく、回転運動を検出するロータリエンコーダ等、各種の機械的な変位を検出する変位センサに適用可能なことは勿論である。
【0034】
(第1の実施の形態)
[構成]
本発明の変位センサの第1の実施の形態によるエンコーダの主要部の構成は、信号処理回路部を除き、位置信号(位置検出信号)と原点検出用信号とが得られるものであれば、特に、限定されない。
【0035】
例えば、図24に示したような光学式のエンコーダによる構成など一般的なものを適用することができる。また、図24の例では光学式のエンコーダを挙げているが、変位量に応じた位置信号と原点信号を有するものであれば、磁気式・静電式など他のタイプのエンコーダや変位センサでもよい。
【0036】
即ち、図24に示すように、この光学式のエンコーダは、LED等の発光部1と該発光部1からのビーム光を平行光にするための光学素子2とを組み合わせた光源部10と、該光源部10からの平行光が順次に照射されるインデックススケール3及びスケール4と、該スケール4から見て光源部10の反対側に配置された光検出器5と、該光検出器5からの信号を処理してエンコーダ信号として出力する信号処理回路部6とから構成されている。
【0037】
このような構成において、インデックススケール3、スケール4、光検出器5のうち、位置検出用に用いられるのは、インデックススケール3に形成されているスリット3aと、スケール4に形成されているスリット4aと、光検出器5に形成されている光検出部5aとの組合せである。また、原点検出用に用いられるのは、インデックススケール3に形成されているスリット3bと、スケール4に形成されているスリット4bと、光検出器5に形成されている光検出部5bとの組合せである。
【0038】
ステージやモータなどの位置検出を行う対象物においては、上記光源部10とインデックススケール3と光検出器5との組合せは、それらの可動部と固定部のうち、どちらか一方に取り付けられる。また、スケール4は、それらの可動部と固定部のうち、どちらか他方に取り付けられる。
【0039】
ここで、光検出部5aの受光素子からは、スケール4の移動に対応して互いに位相が90°異なる信号(A(+)、A(−)、B(+)、B(−))が出力されるが、後述する図では説明の簡単化のため、A(+)信号を位置信号(a)、B(+)信号を位置信号(b)として、もしくは、[A(+)−A(−)]信号を位置信号(a)、[B(+)−B(−)]信号を位置信号(b)として表示し、他の信号については表示しないものとしている。なお、光検出部5bの受光素子からは、可動部の基準位置検出の際に出力されるZ相信号としての原点検出用信号(e)が出力される。この原点検出用信号(e)は、周期信号である位置信号(a)及び(b)とは必ずしも同期していない、原点検出の原信号である。
【0040】
図1は、本発明の第1の実施の形態による図24のエンコーダにおける信号処理回路部6の構成を示すブロック図である。この信号処理回路部6は、アナログ位置信号(a)及び(b)をデジタル位置信号(c)及び(d)に変換するための2値化回路101と、原点検出用信号(e)を所定のスライスレベルで2値化してデジタル原点検出用信号(f)に変換する2値化回路102と、この2値化回路102からのデジタル原点検出用信号(f)をラッチするラッチ回路106と、このラッチ回路106にラッチされたデジタル原点検出用信号(f)を2値化回路101からのデジタル位置信号(c)及び(d)に同期させて原点信号(g)または(h)を発生させる同期回路103と、この同期回路103における同期のタイミングを切り替える選択部としてのスイッチ104と、最適同期位置の検知と現在の同期位置の安定度を判断する判定回路107と、この判定回路107による最適同期位置判定結果出力を表示する表示器108とからなる。なお、図1においては、デジタル位置信号(c)及び(d)に同期させて原点信号(g)または(h)を得ているが、アナログ位置信号(a)または(b)に同期させて原点信号(g)または(h)を得ることも同様の機能で実現できる。
【0041】
また、本実施の形態においては、更に、基準信号(j)が与えられている。この基準信号(j)は、位置信号(a)と位置信号(b)の振幅中心レベルとなる参照信号であり、2値化回路101及び判定回路107で用いられる。例えば、位置信号(a)及び(b)が−5V〜5Vの範囲で変化するよう設計されている場合にはこの基準信号(j)は0Vであるし、位置信号(a)及び(b)が0V〜5Vの範囲で変化するよう設計されている場合にはそれは2.5Vとなる。
【0042】
なお、判定回路107において、処理内容によっては基準信号(j)は必ずしも必要ではない。また、2値化回路101は必ずしも2値化信号である必要はなく、デジタル化された複数ビットの信号でも構わない。複数ビットの信号の場合には、2値化データを取り出すには最上位の符号ビットのみを取り出せば以後同等の処理が可能である。
【0043】
ここで、原点信号発生位置候補とアナログ位置信号(a)及び(b)のリサージュ図形の区分について、図2の(A)乃至(C)を用いて説明する。なお、これら図2の(A)乃至(C)は別々の構成を示すものであるが、共に図1に示す回路構成に対応可能であり、並記する。
【0044】
図2の(A)において、原点信号発生位置候補の位相は、縦軸とリサージュ円との2交点の2つであり、位置信号(a)及び(b)の周期に対して180°の位相差がある。ここで、縦軸−側を同期位置1、縦軸+側を同期位置2とする。また、最適同期位置判定用に、横軸によってリサージュ円を分割した、2つの区分を有し、縦軸+側を区分(O1)、縦軸−側を区分(O2)とする。さらに、現在指定されている原点検出位置候補の位相安定度判定用に、縦軸と横軸で分けられた4つの区分を有し、第1象限から反時計回りに(S1)〜(S4)の番号が振られている。
【0045】
また、図2の(B)においては、原点信号発生位置候補の位相は、縦軸とリサージュ円との2交点の2つであり、位置信号(a)及び(b)を基準として見ると180°の位相差がある。ここで、縦軸−側を同期位置1、縦軸+側を同期位置2とする。また、縦軸と横軸で分けられた4つの区分を有し、図2の(B)に示すように第1象限から反時計回りに(1)〜(4)の番号が振られている。
【0046】
そして、図2の(C)においては、原点信号発生位置候補の位相は、縦軸及び横軸の2軸とリサージュ円との4交点の4つであり、位置信号(a)及び(b)を基準として見ると90°の位相差置きに並んでいる。ここで、縦軸−側を同期位置1、縦軸+側を同期位置2、横軸−側を同期位置3、横軸+側を同期位置4とする。また、最適同期位置判定用に、以下の2つの式で表される2直線によってリサージュ円を分割した、4つの区分を有し、図2の(C)に示すように、横軸+側から反時計回りに(O1)〜(O4)の番号が振られている。ただし、以下の2つの式において、Vaは位置信号(a)の出力、Vbは位置信号(b)の出力、Vrefは基準信号(j)の値を表す。
【0047】
Va=Vb …(式1)
Va+Vb=2Vref …(式2)
また、現在指定されている原点検出位置候補の位相安定度判定用に、上記式1及び式2で表される2直線と縦軸及び横軸との合計4直線によってリサージュ円を分割した、8つの区分を有し、図2の(C)に示すように第1象限の横軸+側に近い区分から(S1)〜(S8)の番号が振られている。
【0048】
以上の図2の(A)乃至(C)の例における複数の同期位置候補の設定については、90°位相差の2つの周期信号のリサージュ波形を、振幅中心を通る任意の直線で2つの区分に分割した際に、どちらの区分にも、原点信号発生位置候補の位相が1つ以上含まれるように設定されている。このような設定においては、任意の原点検出用信号発生時の位置から±90°以上位相余裕のある同期位置候補が必ずあることになる。
【0049】
また、信号処理回路部6における同期回路103については、図3の(A)乃至図5の構成のものとする。なおここで、図3の(B)乃至図5は、図3の(A)に示した、位置信号に同期をとった原点信号を発生させるための、検出回路103mの5つの具体例を示している。これら具体例における原点検出用信号検出回路と方向判別回路の2つの回路は、D−CトリガタイプのLS423などのフリップフロップを使用する。
【0050】
図3の(B)に示す具体例では、位置信号(c)の立ち上がり時の、ラッチされた原点検出用信号(f)の値を出力する原点検出用信号検出回路を構成するフリップフロップ103m1と、リサージュ円上で反時計回りとなる変位を検出する方向判別回路を構成するフリップフロップ103m2と、これらの出力の論理積を取るAND回路103m3とによって、ラッチされた原点検出信号(f)がハイレベルになった後、設定された同期位置にあることを検出する検出回路103mを構成している。即ち、フリップフロップ103m1のデータDへはラッチ回路106によってラッチされた原点検出用信号(f)を入力し、クロックCLKへは位置信号(c)を入力し、Q出力をAND回路103m3へ入力している。また、フリップフロップ103m2のデータDへは位置信号(d)を入力し、クロックCLKへは位置信号(c)を入力し、
【数1】
出力をAND回路103m3へ入力している。
【0051】
また、図3の(C)に示す具体例では、位置信号(c)の立ち下がり時の、ラッチされた原点検出用信号(f)の値を出力する原点検出用信号検出回路を構成するフリップフロップ103m1及びNOT回路103m4と、リサージュ円上で時計回りとなる変位を検出する方向判別回路を構成するフリップフロップ103m2と、これらの出力の論理積を取るAND回路103m3とによって、ラッチされた原点検出信号(f)がハイレベルになった後、設定された同期位置にあることを検出する検出回路103mを構成している。即ち、フリップフロップ103m1のデータDへはラッチ回路106によってラッチされた原点検出用信号(f)を入力し、クロックCLKへはNOT回路103m4で反転した位置信号(c)を入力し、Q出力をAND回路103m3へ入力している。また、フリップフロップ103m2のデータDへは位置信号(d)を入力し、クロックCLKへは位置信号(c)を入力し、Q出力をAND回路103m3へ入力している。
【0052】
図4の(A)に示す具体例では、図3の(B)及び(C)の出力の論理和をOR回路で取っている。即ち、フリップフロップ103m1aのデータDへはラッチ回路106によってラッチされた原点検出用信号(f)を入力し、クロックCLKへは位置信号(c)を入力し、Q出力をAND回路103m3aへ入力している。また、フリップフロップ103m2aのデータDへは位置信号(d)を入力し、クロックCLKへは位置信号(c)を入力し、Qバー出力をAND回路103m3aへ入力している。さらに、フリップフロップ103m1bのデータDへはラッチ回路106によってラッチされた原点検出用信号(f)を入力し、クロックCLKへはNOT回路103m4で反転した位置信号(c)を入力し、Q出力をAND回路103m3bへ入力している。また、フリップフロップ103m2bのデータDへは位置信号(d)を入力し、クロックCLKへは位置信号(c)を入力し、Q出力をAND回路103m3bへ入力している。そして、AND回路103m3aの出力とAND回路103m3bの出力とをOR回路103m5に入力している。なお、方向判別用のフリップフロップを2個(103m2a,103m2b)用いているが、出力の取り方以外は同一なので、1つにまとめて出力を分けることも可能である。
【0053】
図4の(B)に示す具体例では、位置信号(c)の立ち下がり時の、ラッチされた原点検出用信号(f)の値を出力する原点検出用信号検出回路を構成するフリップフロップ103m1及びNOT回路103m4と、リサージュ円上で反時計回りとなる変位を検出する方向判別回路を構成するフリップフロップ103m2と、これらの出力の論理積を取るAND回路103m3とによって、ラッチされた原点検出信号(f)がハイレベルになった後、設定された同期位置にあることを検出する検出回路103mを構成している。即ち、フリップフロップ103m1のデータDへはラッチ回路106によってラッチされた原点検出用信号(f)を入力し、クロックCLKへはNOT回路103m4で反転した位置信号(c)を入力し、Q出力をAND回路103m3へ入力している。また、フリップフロップ103m2のデータDへは位置信号(d)を入力し、クロックCLKへは位置信号(c)を入力し、Qバー出力をAND回路103m3へ入力している。
【0054】
そして、図5に示す具体例では、図3の(B)の構成と、図3の(B)の原点信号の幅を規定するための、位置信号(c)がハイレベルで位置信号(d)がローレベルのとき出力がハイレベルとなるAND回路103m6と、そのAND回路103m6の出力と図3の(B)の出力との論理積を取るAND回路103m7とによって、ラッチされた原点検出信号(f)がハイレベルになった後、設定された同期位置にあることを検出する検出回路103mを構成している。即ち、AND回路103m6には、位置信号(c)とNOT回路103m8で反転した位置信号(d)とを入力し、このAND回路103m6の出力と図3の(B)の構成におけるAND回路103m3の出力とを、AND回路103m7に入力している。
【0055】
また、判定回路107については、図6乃至図8に示すような3例の構成とする。ここで、図6乃至図8は図2の(A)乃至(C)にそれぞれ対応している。
【0056】
図6に示す具体例では、判定回路107は、位置信号(d)とその位置信号(d)をNOT回路107Dで反転した信号とを原点検出用信号(f)の立ち上がりでラッチするラッチ回路107mを含む。このラッチ回路107mから出力される判定O1の信号は、位置信号(d)がハイレベルの時にハイレベルとなり、また、判定O2の信号は、位置信号(d)がローレベルの時にハイレベルとなる。さらに、この判定回路107は、位置信号(c)とそれをNOT回路107Eで反転した信号、位置信号(d)とそれをNOT回路107Dで反転した信号を図示されたように入力する4つのAND回路107F,107G,107H,107Iと、それらAND回路107F〜107Iからの4つの出力を原点検出用信号(f)の立ち上がりでラッチする上記ラッチ回路107mからの出力と現原点位置の指定状況とを入力する安定度判定部107Jとを含む。即ち、上記ラッチ回路107mから出力される判定S1の信号は、位置信号(c)と位置信号(d)が共にハイレベルの時にハイレベルとなる。判定S2の信号は、位置信号(c)がハイレベルで位置信号(d)がローレベルの時にハイレベルとなる。判定S3の信号は、位置信号(c)がローレベルで位置信号(d)がハイレベルの時にハイレベルとなる。判定S4の信号は、位置信号(c)と位置信号(d)が共にローレベルの時にハイレベルとなる。
【0057】
また、図9に示す具体例では、判定回路107は、位置信号(c)とそれをNOT回路107Eで反転した信号、位置信号(d)とそれをNOT回路107Dで反転した信号を図示されたように入力する4つのAND回路107F,107G,107H,107Iと、それらAND回路107F〜107Iからの4つの出力を原点検出用信号(f)の立ち上がりでラッチするラッチ回路107mと、該ラッチ回路107mからの出力と現原点位置の指定状況とを入力する安定度判定部107Jとからなる。ラッチ回路107mから出力される判定1の信号は、位置信号(c)と位置信号(d)が共にハイレベルの時にハイレベルとなる。判定2の信号は、位置信号(c)がハイレベルで位置信号(d)がローレベルの時にハイレベルとなる。判定3の信号は、位置信号(c)がローレベルで位置信号(d)がハイレベルの時にハイレベルとなる。判定4の信号は、位置信号(c)と位置信号(d)が共にローレベルの時にハイレベルとなる。
【0058】
そして、図8に示す具体例では、位置信号(a)と位置信号(b)の値を比較するコンパレータ107hと、位置信号(b)を基準信号(j)を基準に線対称とした信号
【数2】
を生成するための抵抗値の等しい2つの抵抗とオペアンプとでなる反転回路107gと、信号(b)バーと位置信号(a)の値を比較するコンパレータ107iと、コンパレータ107hとコンパレータ107iの出力、及びNOT回路107p,107rでそれらを反転した信号を図示したように入力する4つのAND回路107n,107o,107q,107s、それら4つのAND回路の出力信号(p)〜(s)と位置信号(c)とそれをNOT回路107Aで反転した信号と位置信号(d)とそれをNOT回路107yで反転した信号とを図示されたように入力する8つのAND回路107t,107u,107v,107w,107x,107z,107B,107Cと、上記信号(p)〜(s)とされら8つのAND回路からの8つの出力を原点検出用信号(f)の立ち上がりでラッチするラッチ回路107mと、該ラッチ回路107mからの出力で、信号(p)〜(s)に対応する判定(O1)〜(O4)と8つのAND回路からの8つの出力に対応する信号(S1)〜(S8)のうち、信号(S1)〜(S8)と現原点位置の指定状況を入力し、現原点位置の安定度判定結果を出力する安定度判定部107Jとからなる。
【0059】
現在の原点位置の指定状況や判定結果は、信号処理回路部6内にあり図示されていない記憶器や、スイッチ104あるいは当該判定回路107内に設けた図示されない記憶器、もしくは、該信号処理回路部6外部に接続された外部記憶器のどれか、または、これらの内の複数に格納される。こうした記憶器は、記憶媒体を中心に、必要に応じて判定結果の加工や入出力のためのロジックアレイやCPUなどから構成される。記憶器では判定回路107からの判定結果を記憶しておくと共に、外部へ判定結果を出力したり、その判定結果を同期タイミング切り替えスイッチ104へ送り、最適と判断した同期位置に切り替えるよう構成される。記憶器は電源をオフしても情報が維持されるSRAMやFLASH ROMなどの不揮発性の記憶媒体が望ましい。
【0060】
[作用]
本実施の形態における信号処理回路部6によって、図24に示したような光検出器5からの入力を処理する際の説明を、図9及び図10に示すタイムチャートを参照して行う。なお、図9はリサージュ円上で反時計回りとなる方向に変位した際を示しており、図10はリサージュ円上で時計回りとなる方向に変位した際を示している。
【0061】
変位(スケール4の相対移動)に伴い周期的に変化するエンコーダのアナログ位置検出信号(a)及び(b)を2値化回路101でデジタル化することでデジタル位置検出信号(c)及び(d)が得られる。また、2値化回路102において、原点検出用信号(e)を所定のスライスレベルで2値化することによって、デジタル原点検出用信号(f)が得られ、ラッチ回路106にて、該デジタル原点検出用信号(f)の立ち上がりを検出してラッチ信号(i)をハイレベルとする。
【0062】
そして、このラッチ信号(i)がハイレベルの領域において、次の2つの検出方法から1つを選択することで、原点信号が得られる。なお、原点検出の方向は、図2の(A)乃至(C)のリサージュ円周上を(Va、Vb)によって決まる点が反時計回りの時、即ち、原点検出方向と矢印で示された方向に動く時のみ検出するものとする。
【0063】
1つ目の方法は、ラッチ信号(i)発生後に位置信号(a)または(c)の最初の立ち上がりに同期させてハイレベルとし、位置信号(b)または(d)のレベル変化に同期させてローレベルとすることで、原点信号(g)を得るというものである。ここで、アナログ信号である位置信号(a)及び(b)のレベル変化とは、基準信号(j)のレベルの下から上、または、上から下へのレベル変化を指す。2つ目の方法は、ラッチ信号(i)発生後に位置信号(a)または(c)の最初の立ち下がりに同期させてハイレベルとし、位置信号(b)または(d)のレベル変化に同期させてローレベルとすることで、原点信号(h)を得るというものである。これら2つのうちの1つを選択して原点信号(g)または(h)として出力するが、この選択はスイッチ104により行う。
【0064】
ここで、1つ目の原点信号(g)の立ち上がり部分の生成について図3の(A)及び(B)に基づき詳細に説明する。
【0065】
図3の(A)に示す検出回路103mは、位置信号(c)及び(d)とラッチ信号(i)とを入力として、ラッチされた原点検出用信号(f)がハイレベルになった後に、設定された同期位置で原点信号を発生する回路である。なお、本実施の形態は、必ずしもこれに限定したものではない。例えば、方向判別の機能は、入力信号を元に実現できるが、必ずしも、方向判別機能が含まれるとは限らない。
【0066】
図3の(B)は、リサージュ円上で反時計回りとなる方向に変位した際に原点検出するものである。方向判別について、まず説明する。フリップフロップ103m2のデータDへは位置信号(d)を、クロックCLKへは位置信号(c)を入力する。この結果、フリップフロップ103m2のQバー出力から出力される信号は、位置信号(c)の立ち上がりの度に位置信号(d)の反転信号として更新される。そのため、位置信号(c)の立ち上がり時に位置信号(d)がローレベルの時のみフリップフロップ103m2のQバー出力がハイレベルとなるため、方向判別が可能となる。また、原点検出用信号の検出については、フリップフロップ103m1のデータDへはラッチ信号(i)を、クロックCLKへは位置信号(c)を入力する。この結果、フリップフロップ103m1のQ出力から出力される信号は、位置信号(c)の立ち上がりの度にラッチ信号(i)として更新される。その結果、原点検出用信号が検出されてから位置信号(c)の立ち上がりのタイミングで同期された原点検出用信号を出力することが可能となる。そして、これら方向判別信号と同期された原点検出用信号との論理積をAND回路103m3で取ることで、所定の検出方向とタイミングとで図9に示す原点信号(g)を発生させることが可能となる。
【0067】
一方、逆方向に変位した場合には、図10の信号(g)に示すように、原点信号(g)は検出されない。
【0068】
2つ目の原点信号(h)の立ち上がり部分の生成については、図4の(B)を用いて説明する。図3の(B)に対して、原点検出用信号の検出について、フリップフロップ103m1により、NOT回路103m4で位置信号(c)を反転した信号の立ち上がりを検出するようにしている。同一の移動方向での検出を行うため、図2の(B)及び(C)における同期位置2で、図9に示す原点検出信号(h)を発生させることが可能となる。
【0069】
一方、逆方向に変位した場合には、図10に示すように、原点信号(h)は検出されない。
【0070】
なお、原点検出時の移動方向を変えた場合や、両方向の検出を行う場合について、図3の(C)及び図4の(A)を用いて説明する。
【0071】
3の(C)は、図3の(B)とは逆にリサージュ円上で時計回りとなる方向に変位したの際に原点検出するものである。方向判別について、図3の(B)の具体例と同一のフリップフロップ103m2を使用しているが、出力としてQ出力をとることで、逆方向の検出が可能となる。原点検出用信号の検出については、図2の(B)及び(C)における同期位置1での位置信号(c)は逆方向の変位になることで立ち下がりとなる。このため、位置信号(c)をNOT回路103m4で反転した信号の立ち上がりを検出するようにしている。これらを組み合わせることで、図3の(B)と同じ同期位置1で図10の原点信号(g’)に示すように、逆方向の原点を検出することが可能となる。なお、リサージュ円上で反時計回りとなる方向に変位した場合には、方向検出の結果から図9の原点信号(g’)に示すように、原点は検出されない。
【0072】
図4の(A)の具体例は、図3の(B)の具体例の出力と図3の(C)の具体例の出力との論理和をOR回路103m5で取るようにしたものであり、正逆両方向で原点検出をする場合に有効である。結果として、図9の(g)と図10の(g’)に示す原点信号を検出可能である。
【0073】
さらに、所定の信号幅を持った原点信号を出すための条件を追加する。本実施の形態では、位置信号(c)の立ち上がりから位置信号(d)の立ち上がりまでを検出するが、位置信号(c)の立ち上がりエッジが重要な点である。一方、検出幅については所定の時間で指定したり、測定対象物の変位量で指定してもよく、幅そのものも任意に指定して構わない。例えば、エンコーダの最小検出幅にしてもよい。本具体例では、方向が指定された上で、位置信号(c)の立ち上がりから位置信号(d)の立ち上がりまでという変位量に応じた条件を設けている。このことは、位置信号(c)がハイレベルで位置信号(d)がローレベルであることと等価であり、この条件を付加する。
【0074】
図5の具体例では、所定幅の原点信号を得るために、位置信号(c)がハイレベルであり、かつ、位置信号(d)がローレベルである時にハイレベルとなる信号と、図3の(B)の原点信号との論理積をAND回路103m7で取るようにしている。これにより、1/4周期の間だけ原点信号(g)を発生させることができる。さらに、図5の回路構成では、原点信号が複数発生される可能性があるため、原点信号検出後は、回路に図示しないリセット信号で、原点検出信号(f)の立ち上がりエッジのラッチ回路と位置信号(c)への同期検出回路として機能しているフリップフロップ103m1をリセットするなどして、その出力Qをローレベルに戻す必要がある。
【0075】
なお、図3の(B)乃至図5においては、移動体が所定の原点検出方向に移動中だったものが反転すると、方向判別回路によってこれが検知されて原点信号の出力がなされなくなる。但し、図4の(A)の例においては、双方向の検出が可能なため、反対方向での原点検出が可能である。
【0076】
原点検出用信号が発生して、この信号がラッチされた後に方向の反転がなされた場合には、原点検出において誤検出がなされる可能性がある。所定の方向に移動体が移動していない場合には、ラッチされた原点検出用信号をリセットすることで、こうした誤検出を防ぐことが可能である。
【0077】
具体例を図3の(B)を用いて説明する。原点検出の方向と異なる方向に移動体が動く時、方向判別用のフリップフロップ103m2のQバー信号はローレベルとなり、Q信号はハイレベルとなる。方向判別用のフリップフロップ103m2のQ信号またはQバー信号を、必要に応じて反転させるなどして、原点検出用信号検出のフリップフロップ103m1の図示されていないリセット端子に接続する。これにより、原点検出の方向と異なる方向に移動体が動く時、原点検出用信号検出のフリップフロップ103m1のQ信号がリセットされて、原点検出のシーケンスは一旦停止される。他の例においても同様の対応が可能である。
【0078】
上述した図3の(A)乃至図5に示す同期回路103を適切に設計することにより、正方向・逆方向の両方向の変位において所望の同期位置において所定の検出幅を持った原点検出が可能となる。
【0079】
なお、位置信号(a)及び(c)と位置信号(b)及び(d)とは、90°の位相差を持つ。また、アナログ信号である位置検出信号(a)及び(b)と原点検出用信号(e)とは、デジタル信号である位置検出信号(c)及び(d)と原点検出用信号(f)とを作り出せれば、どのようなタイプの信号でも構わない。また、検出系からの入力がデジタル信号のみで、アナログ信号を含まなくても構わない。また、位置検出信号をデジタル化する際にはさらに位相分割により分解能を向上させたものとしても構わない。
【0080】
そして、位置検出は、デジタル位置検出信号(c)及び(d)をカウンタに入力することで行う。この場合、原点信号(g)または(h)が発生したときに、カウンタをリセットする、または、適切なプリセット値をセットするなどすることで、位置検出の原点出しが可能となる。
【0081】
以上のように、本実施の形態においては、原点検出用信号を検知してから最初の同期位置に合わせて原点信号を出力する。そのため、全ての同期位置は、周期信号の1周期以内に配置されることになる。
【0082】
また、原点検出の方法によっては、原点近傍での位置検出用の周期信号と原点検出用信号を記憶して、原点検出用信号発生位置に最も近い同期位置を原点と判別することも可能である。この場合、その判別された位置を基準とした変位量をコントローラやカウンタへプリセット値として送ることで原点位置を正確に求めることができる。このような例において、複数の原点検出位置候補を配置する場合には、原点検出用信号発生時点の前後1周期に全ての検出位置候補が配置されることになる。
【0083】
次に、図2の(A)乃至(C)を用いて、同期位置の候補と最適同期位置の検知の概要について説明する。原点検出用信号(f)の検出となる立ち上がり時点において位置信号(a)及び(b)により決まる点がどの区分にあるかによって最適な同期位置候補の判定を行う。基本的には、複数の区分と複数の同期位置候補について、各区分ごとに全ての同期位置候補との位相余裕度を段階的に判定して、最も位相余裕のある同期位置候補を最適と見なして出力する。本実施の形態においては、区分の数は2、同期位置候補の数は2、位相余裕度は位相差を0°から180°で表した時に、位相差が最も大きい時を最適としている。位相余裕度については、リアルタイム処理ではない場合などに見られるように、位相差を0°から180°で表現した時に、逆に0°に近い候補を最適と見なしてもよい。
【0084】
図2の(A)の場合について説明する。同期位置候補は、180°位相の離れた同期位置1と同期位置2とがある。位置信号(a)及び(b)により決まる点が原点検出用信号(f)の立ち上がり時に含まれる区分が(O1)である場合、同期位置1に対しては90°以上の位相差があるが、同期位置2に対しては90°以内の位相差しかない。従って、同期位置2よりも同期位置1に対して位相差が大きいので、同期位置1を最適同期位置として検知し、判定結果とする。同様に、位置信号(a)及び(b)により決まる点が原点検出用信号(f)の立ち上がり時に含まれる区分が(O2)である場合には、同期位置1よりも同期位置2に対して位相差が大きいので、同期位置1を最適同期位置として検知し、判定結果とする。
【0085】
次に、図2の(B)の場合について説明する。同期位置候補は、180°位相の離れた同期位置1と同期位置2とがある。位置信号(a)及び(b)により決まる点が原点検出用信号(f)の立ち上がり時に含まれる区分が(1)または(2)である場合、同期位置1に対しては90°以上の位相差があるが、同期位置2に対しては90°以内の位相差しかない。従って、同期位置2よりも同期位置1に対して位相差が大きいので、同期位置1を最適同期位置として検知し、判定結果とする。同様に、位置信号(a)及び(b)により決まる点が原点検出用信号(f)の立ち上がり時に含まれる区分が(3)または(4)である場合には、同期位置1よりも同期位置2に対して位相差が大きいので、同期位置1を最適同期位置として検知し、判定結果とする。
【0086】
さらに、図2の(C)の場合について説明する。同期位置候補は、90°位相置きに、同期位置1乃至同期位置4までの4つがある。同期位置1と同期位置2は180°位相が離れて縦軸上に、同期位置3と同期位置4は180°位相が離れて横軸上にある。位置信号(a)及び(b)により決まる点が原点検出用信号(f)の立ち上がり時に含まれる区分が(O1)である場合、同期位置3に対しては135°以上180°以下の位相差があるが、同期位置1と同期位置2に対しては45°以上135°以下の位相差しかなく、同期位置4に対しては0°以上45°以下の位相差しかない。従って、同期位置1、同期位置2、同期位置4よりも同期位置3に対して位相差が最も大きいので、同期位置3を最適同期位置として検知し、判定結果とする。同様に、位置信号(a)及び(b)により決まる点が原点検出用信号(f)の立ち上がり時に含まれる区分が、(O2)である場合には同期位置1を、(O3)である場合には同期位置4を、(O4)である場合には同期位置2を、それぞれを最適同期位置として検知し、判定結果とする。
【0087】
次に、最適同期位置候補の判定に際して用いる区分に関して、原点検出用信号(f)の検出時に位置信号(a)及び(b)により決まる点が含まれる区分の検出については、図6乃至図8を用いて説明する。
【0088】
図9に示す具体例においては、区分分けは以下の2つの判定により行う。
【0089】
Va>Vref …(式3)
Vb>Vref …(式4)
ここで、式3と式4について共に真の場合に区分(1)、式3が偽で式4が真の場合に区分(2)、共に偽の場合に区分(3)、式3が真で式4が偽の場合に区分(4)、の4通りの分け方をする。図9に示す実際の回路例では、2値化された位置信号(c)及び(d)と2個のNOT回路107D,107Eと4個のAND回路107F〜107Iとを用いて生成した4つの区分判定信号を、原点検出用信号検出のタイミングでラッチ回路107mにてラッチし、4信号の内でハイレベルになる信号によって位置信号(a)及び(b)の存在する区分を判断する。従って、判定1は区分(1)に、判定2は区分(4)、判定3は区分(2)、判定4は区分(3)に対応する。
【0090】
また、図6に示す具体例においては、区分分けは(式4)の判定により行う。式4について真の場合に区分(O1)、式4が偽の場合に区分(O2)、の2通りの分け方をする。図6に示す実際の回路例では、2値化された位置信号(d)とそのNOT回路107Dとを用いて生成した2つの区分判定信号を、原点検出用信号検出のタイミングでラッチ回路107mにてラッチし、2信号の内でハイレベルになる信号によって位置信号(a)及び(b)の存在する区分を判断する。従って、判定O1は区分(O1)に、判定O2は区分(O2)に対応する。
【0091】
図8に示す具体例においては、区分分けは以下の2つの判定により行う。
【0092】
Va>Vb …(式5)
Va+Vb>2Vref …(式6)
ここで、式5と式6について共に真の場合に区分(O1)、式5が偽で式6が真の場合に区分(O2)、共に偽の場合に区分(O3)、式5が真で式6が偽の場合に区分(O4)、の4通りの分け方をする。図8に示す実際の回路では、アナログの位置信号(a)及び(b)と1個のオペアンプと2個のコンパレータ107h,107iと2個の抵抗と2個のNOT回路107p,107rと4個のAND回路107n,107o,107q,107sを用いて生成した4つの区分判別信号(p)〜(q)を、原点検出用信号検出のタイミングでラッチ回路107mにてラッチし、4信号(p)〜(s)の内でハイレベルになる信号によって位置信号(a)及び(b)の存在する区分を判断する。従って、判定O1は区分(O1)に、判定O2は区分(O2)、判定O3は区分(O3)、判定O4は区分(O4)に対応する。
【0093】
なお、本実施の形態においてはVaとVbとが共通の振幅中心と振幅を持っているものを扱っているが、実際の信号において差がある場合には、共通の振幅中心と振幅を持つように信号を正規化してから適用したり、VaとVbで振幅中心値のみが異なる場合には、同一の参照信号Vrefを用いる代わりにVaとVbに対して個別に中心値を設定して、図2の(B)または図2の(C)の区分けに当てはまるよう式3、式4、式5、及び式6に適用するものとする。
【0094】
次に、図6乃至図8を用いて、最適同期位置候補の検知における、その判定論理と具体的な回路の詳細とを説明する。
【0095】
図6と図9の具体例では、同期位置1はVbの2値化信号である位置信号(d)がローレベルとなる領域の中心位相に、同期位置2は位置信号(d)がハイレベルとなる領域の中心位相に、それぞれ設定される。原点検出用信号(f)の検出時に位置信号(a)及び(b)が存在する点との位相差が最も大きくなる同期位置を最適と判断するため、原点検出用信号(f)の検出時に位置信号(d)のレベルとは異なるレベルの領域に含まれる同期位置が最適である。
【0096】
図6の具体例では、位置信号(d)がローレベルとなる領域には区分(O2)が含まれ、位置信号(d)がハイレベルとなる領域には区分(O1)が含まれる。従って、判定O1の結果が得られた場合には、同期位置1が最適同期位置である。さらに、判定O1では、原点信号検出時の位置から同期位置1まで時計回り方向と反時計回り方向とに共に90°以上の位相余裕があることが分かる。同様にして、判定O2の結果が得られた場合には、同期位置2が最適同期位置である。判定O2では、原点信号検出時の位置から同期位置2まで時計回り方向と反時計回り方向とに共に90°以上の位相余裕があることが分かる。以上の処理が図6の回路で実現されている。
【0097】
図9の具体例では、同期位置1はVbの2値化信号である位置信号(d)がローレベルとなる領域の中心位相に、同期位置2は位置信号(d)がハイレベルとなる領域の中心位相に、それぞれ設定される。原点検出用信号(f)の検出時に位置信号(a)及び(b)が存在する点との位相差が最も大きくなる同期位置を最適と判断するため、原点検出用信号(f)の検出時に位置信号(d)のレベルとは異なるレベルの領域に含まれる同期位置が最適である。
【0098】
位置信号(d)がローレベルとなる領域には区分(3)と区分(4)が含まれ、位置信号(d)がハイレベルとなる領域には区分(1)と区分(2)が含まれる。従って、実際には4つの区分に分かれているが、最適同期位置の判断には、区分(1)及び(2)を1つにまとめ、かつ区分(3)及び(4)を1つにまとめることで、2つの区分として判定すれば効率的である。さらに細かい区分によって移動方向ごとの位相余裕が確認できる。
【0099】
従って、判定1または判定3の結果が得られた場合には、同期位置1が最適同期位置である。さらに、判定1では、原点信号検出時の位置から同期位置1まで時計回り方向に90°以上の位相余裕、反時計回りに180°以上の位相余裕があり、判定3では、時計回り方向に180°以上の位相余裕、反時計回りに90°以上の位相余裕があることが分かる。同様にして、判定2または判定4の結果が得られた場合には、同期位置2が最適同期位置である。さらに、判定2では、原点信号検出時の位置から同期位置2まで時計回り方向に180°以上の位相余裕、反時計回りに90°以上の位相余裕があり、判定4では、時計回り方向に90°以上の位相余裕、反時計回りに180°以上の位相余裕があることが分かる。
【0100】
以上の処理が図9の回路で実現されている。
【0101】
図8の具体例では、同期位置1は式5が真で式6が偽の領域である区分O4の中心位相に、同期位置2は式5が偽で式6が真の領域である区分O2の中心位相に、同期位置3は式5と式6が共に偽の領域である区分O3の中心位相に、同期位置4は式5と式6が共に真の領域である区分O1の中心位相に、それぞれ設定される。原点検出用信号(f)の検出時に位置信号(a)及び(b)が存在する点との位相差が最も大きくなる同期位置を最適と判断するため、原点検出用信号(f)の検出時の区分から最も位相の離れた、即ち、反対側の区分に含まれる同期位置が最適である。
【0102】
従って、判定O1の結果が得られた場合には、同期位置3が最適同期位置であり、原点信号検出時の位置から同期位置3まで時計回り方向も反時計回り方向にも90°以上の位相余裕がある。判定O2の結果が得られた場合には、同期位置1が最適同期位置であり、原点信号検出時の位置から同期位置1まで時計回り方向も反時計回り方向にも90°以上の位相余裕がある。判定O3の結果が得られた場合には、同期位置4が最適同期位置であり、原点信号検出時の位置から同期位置4まで時計回り方向も反時計回り方向にも90°以上の位相余裕がある。判定O4の結果が得られた場合には、同期位置2が最適同期位置であり、原点信号検出時の位置から同期位置2まで時計回り方向も反時計回り方向にも90°以上の位相余裕がある。
【0103】
以上の処理が図8の回路で実現されている。
【0104】
なお、上記最適同期位置候補の判定結果に関して、出力が判定1から判定4、判定O1から判定O4といった信号が、本実施の形態においてはパラレルに出力されているが、エンコードした判定結果を出力しても良い。
【0105】
次に、図2の(A)乃至(C)を用いて、現在設定されている同期位置の安定度の判断方法の概要について説明する。
【0106】
即ち、本実施の形態においては、原点検出用信号(f)の検出となる立ち上がり時点において、位置信号(a)及び(b)により決まる点がどの区分にあるかによって、同期位置安定度の判断を行う。この判定の仕方としては、上述した最適同期位置の検知と同様に、原点検出用信号(f)の立ち上がり時に含まれる区分と同期位置の位相差が大きいほど安定度が高く、位相差が小さいほど安定度が低いものとする。
【0107】
まず、図2の(A)の場合について説明する。同期位置の設定が同期位置1である場合についてであるが、位置信号(a)及び(b)により決まる点が原点検出用信号(f)の立ち上がり時に含まれる区分が(S1)の場合、時計回りに90°、反時計回りに180°の位相余裕がある。区分が(S2)の場合、時計回りに180°、反時計回りに90°の位相余裕がある。区分が(S3)の場合、時計回りに270°の位相余裕度、反時計回りには位相余裕がない。区分が(S4)の場合、時計回りには位相余裕がなく、反時計回りには270°の位相余裕度がある。以上のことから、安定度には2つのレベルがあり、同期位置1に対して、区分(S1)と(S2)は安定度が高く、区分(S3)と(S4)は安定度が低い。同様に、同期位置2に対して、区分(S3)と(S4)は安定度が高く、区分(S1)と(S2)は安定度が低い。
【0108】
ただし、あくまで位相差の絶対値が大きいことが安定であるという判断基準を用いており、位相差の変化が片方向に起こる場合など固有の条件があるときには、それらの条件に応じた位相余裕安定度の判定基準を用いる必要がある。
【0109】
また、図2の(B)の場合については、上記図2の(A)の説明について、区分(S1)〜(S4)を区分(1)〜(4)に置き換えればよい。
【0110】
次に、図2の(C)の場合について説明する。同期位置の設定が同期位置1である場合についてであるが、位置信号(a)及び(b)により決まる点が原点検出用信号(f)の立ち上がり時に含まれる区分が(S1)の場合、時計回りに90°、反時計回りに225°の位相余裕がある。区分が(S2)の場合、時計回りに180°、反時計回りに135°の位相余裕がある。区分が(S3)の場合、時計回りに180°、反時計回りに135°の位相余裕がある。区分が(S4)の場合、時計回りに225°、反時計回りに90°の位相余裕がある。区分が(S5)の場合、時計回りに270°、反時計回りに45°の位相余裕がある。区分が(S6)の場合、時計回りには315°の位相余裕度があり、反時計回りには位相余裕がない。区分が(S7)の場合、時計回りには位相余裕がなく、反時計回りには315°の位相余裕度がある。区分が(S8)の場合、時計回りに45°、反時計回りに270°の位相余裕がある。以上のことから、安定度には4つのレベルがあり、同期位置1に対して、区分(S2)と(S3)は安定度が一番高く、区分(S1)と(S4)は安定度が2番目に高く、区分(S5)と(S8)は安定度が3番目に高く、区分(S6)と(S7)は安定度が一番低い。
【0111】
同様に、同期位置2に対して、区分(S6)と(S7)は安定度が一番高く、区分(S5)と(S8)は安定度が2番目に高く、区分(S1)と(S4)は安定度が3番目に高く、区分(S2)と(S3)は安定度が一番低い。同期位置3に対しては、区分(S1)と(S8)は安定度が一番高く、区分(S2)と(S7)は安定度が2番目に高く、区分(S3)と(S6)は安定度が3番目に高く、区分(S4)と(S5)は安定度が一番低い。そして、同期位置4に対しては、区分(S4)と(S5)は安定度が一番高く、区分(S3)と(S6)は安定度が2番目に高く、区分(S2)と(S7)は安定度が3番目に高く、区分(S1)と(S8)は安定度が一番低い。
【0112】
なお、目的によっては1番目と2番目の安定度レベルの組合せや2番目と3番目の安定度レベルの組合せを1つの安定度のグループに分けて、全体として3つの安定度のレベルを設けることも可能である。
【0113】
次に、安定度の判断に際して用いる区分に関して、原点検出用信号(f)の検出時に位置信号(a)及び(b)により決まる点が含まれる区分の検出について説明する。これは、基本的には、上記最適同期位置の検知の際のそれと同じ手順である。本実施の形態においては、図6乃至図8を用いて説明する。
【0114】
図6及び図9の具体例においては、区分分けは図2の(B)に挙げる構成での最適同期位置の検知の際と同一の方法により行う。即ち、式3と式4について共に真の場合に区分(S1)または区分(1)、式3が偽で式4が真の場合に区分(S2)または区分(2)、共に偽の場合に区分(S3)または区分(3)、式3が真で式4が偽の場合に区分(S4)または区分(4)、の4通りの分け方をする。実際の回路例では、図6及び図9に示すように、2値化された位置信号(c)及び(d)と2個のNOT回路107D,107Eと4個のAND回路107F〜107Iとを用いて区分検知信号を生成し、ラッチ回路107mへ入力する4信号の内、原点検出用信号検出のタイミングでのハイレベルになる信号によって位置信号(a)及び(b)の存在する区分を判断する。
【0115】
また、図8の例においては、区分分けは式3、式4、式5、式6の4つの判定により行う。即ち、式3と式4と式5と式6の全てが真の場合に区分(S1)、式3が真で式4が真で式5が偽で式6が真の場合に区分(S2)、式3が偽で式4が真で式5が偽で式6が真の場合に区分(S3)、式3が偽で式4が真で式5が偽で式6が偽の場合に区分(S4)、式3と式4と式5と式6の全てが偽の場合に区分(S5)、式3が偽で式4が偽で式5が真で式6が偽の場合に区分(S6)、式3が真で式4が偽で式5が真で式6が偽の場合に区分(S7)、式3が真で式4が偽で式5が真で式6が真の場合に区分(S8)、の8通りの分け方をする。実際の回路では、図8に示すように、最適同期位置の区分けの際に生成した4つの信号(p)〜(q)と、さらに、2値化された位置信号(c)及び(d)と2個のNOT回路107y,107Aと8個のAND回路107t〜107x,107z,107B,107Cを用いて8つの区分検知信号を生成し、原点検出用信号検出のタイミングでラッチ回路107mにてラッチし、8信号の内でハイレベルになる信号によって位置信号(a)及び(b)の存在する区分を検知する。
【0116】
次に、図6乃至図8を用いて現状同期位相の安定度判断についてその判定論理と具体的な回路の詳細とを説明する。
【0117】
図6及び図9の具体例で、同期位置1はVbの2値化信号である位置信号(d)がローレベルとなる領域の中心位相に、同期位置2は位置信号(d)がハイレベルとなる領域の中心位相に設定される。原点検出用信号(f)の検出時に位置信号(a)及び(b)が存在する点と現状の同期位置との位相差が大きいほど安定と判断するため、原点検出用信号(f)の検出時に位置信号(d)のレベルとは異なるレベルの領域に同期位置が含まれれば安定であり、同じ領域に含まれれば不安定である。位置信号(d)がローレベルとなる領域には区分(S3)または(3)と区分(S4)または(4)が含まれ、位置信号(d)がハイレベルとなる領域には区分(S1)または(1)と区分(S2)または(2)が含まれる。従って、実際には4つの区分に分かれているが、安定度の判断には、区分(S1)及び(S2)または(1)及び(2)を1つにまとめ、区分(S3)及び(S4)または(3)及び(4)を1つにまとめることで、2つの区分として判定すれば効率的である。さらに細かい区分によって移動方向ごとの位相余裕が確認できる。
【0118】
まず、同期位置1が現状の同期位置である場合について説明する。判定S1もしくは判定S3の結果が得られた場合、または、判定1もしくは判定3の結果が得られた場合には、安定である。判定S1または判定1では、原点信号検出時の位置から同期位置1まで時計回り方向に90°以上の位相余裕、反時計回りに180°以上の位相余裕があり、判定S3または判定3では、時計回り方向に180°以上の位相余裕、反時計回りに90°以上の位相余裕があることが分かる。判定S2もしくは判定S4の結果が得られた場合、または、判定2もしくは判定4の結果が得られた場合には、不安定である。判定S2または判定2では、原点信号検出時の位置から同期位置1まで時計回り方向に90°以下の位相余裕、反時計回りに270°以上の位相余裕があり、判定S4または判定4では、時計回り方向に270°以上の位相余裕、反時計回りに90°以下の位相余裕があることが分かる。
【0119】
次に、同期位置2が現状の同期位置である場合について説明する。判定S1もしくは判定S3の結果が得られた場合、または、判定1もしくは判定3の結果が得られた場合には、不安定である。判定S1または判定1では、原点信号検出時の位置から同期位置1まで時計回り方向に270°以上の位相余裕、反時計回りに90°以下の位相余裕があり、判定S3または判定3では、時計回り方向に90°以下の位相余裕、反時計回りに270°以上の位相余裕があることが分かる。判定S2もしくは判定S4の結果が得られた場合、または、判定2もしくは判定4の結果が得られた場合には、安定である。判定S2または判定2では、原点信号検出時の位置から同期位置1まで時計回り方向に180°以上の位相余裕、反時計回りに90°以上の位相余裕があり、判定S4または判定4では、時計回り方向に90°以上の位相余裕、反時計回りに180°以上の位相余裕があることが分かる。
【0120】
以上の処理が図6及び図9に示す構成の判定回路107で処理されて出力される。
【0121】
図8の具体例では、同期位置1は式5が真で式6が偽の領域である区分O4の中心位相に、同期位置2は式5が偽で式6が真の領域である区分O2の中心位相に、同期位置3は式5と式6が共に偽の領域である区分O3の中心位相に、同期位置4は式5と式6が共に真の領域である区分O1の中心位相に、それぞれ設定される。原点検出用信号(f)の検出時に位置信号(a)及び(b)が存在する点との位相差が最も大きくなる同期位置を最適と判断するため、原点検出用信号(f)の検出時の区分から最も位相の離れた、即ち、反対側の区分に含まれる同期位置が最適である。図8から分かるように、区分O1には区分S1とS8、区分O2には区分S2とS3、区分O3には区分S4とS5、区分O4には区分S6とS7がそれぞれ含まれている。
【0122】
本具体例の安定度のレベル区分については、特定の同期位置に対して最大4つのレベルに分けることができる。なぜなら、区分の数が8つあり、特定の同期位置から見て、時計回りと反時計回りに対称に4つずつ区分があり、対称の位置にある区分同士を1つにまとめることで4つのグループに分かれるためである。従って、同期位置からの位相余裕度が、レベル1)135°から180°、レベル2)90°から135°、レベル3)45°から90°、レベル4)0°から45°、の4つの分けられる。さらに、これらのレベルを、隣り合ったレベル同士をまとめることで2レベル、または、3レベルにまとめることができる。以下の説明では、このように4つのレベルに分けた場合について説明するが、実際の適用においては、2、または、3のレベル分けを用いても良い。
【0123】
まず、同期位置1が現状の同期位置である場合について説明する。判定S2または判定S3の結果が得られた場合にレベル1、判定S1または判定S4の結果が得られた場合にレベル2、判定S5または判定S8の結果が得られた場合にレベル3、判定S6または判定S7の結果が得られた場合にレベル4となる。また、同期位置2が現状の同期位置であるときには、判定S6または判定S7の結果が得られた場合にレベル1、判定S5または判定S8の結果が得られた場合にレベル2、判定S1または判定S4の結果が得られた場合にレベル3、判定S2または判定S3の結果が得られた場合にレベル4となる。同期位置3が現状の同期位置であるときには、判定S1または判定S8の結果が得られた場合にレベル1、判定S2または判定S7の結果が得られた場合にレベル2、判定S3または判定S6の結果が得られた場合にレベル3、判定S4または判定S5の結果が得られた場合にレベル4となる。そして、同期位置4が現状の同期位置であるときには、判定S4または判定S5の結果が得られた場合にレベル1、判定S3または判定S6の結果が得られた場合にレベル2、判定S2または判定S7の結果が得られた場合にレベル3、判定S1または判定S8の結果が得られた場合にレベル4となる。
【0124】
さらに、各同期位相での判定により、時計回りと反時計回りの位相余裕度の情報も得ることが可能である。
【0125】
以上の処理が、図8に示す構成の判定回路107で行われ、安定度の判定結果が出力される。この安定度の判定の出力に関しては、レベル1からレベル4といったレベル判定結果のみを出力しても良い。また、判定1から判定4、判定S1から判定S8の信号を、現状の同期位置がどれであるかの情報と共に出力してもよい。この場合、現状の同期位置の情報は、必ずしも判定回路107から出力されなくとも、スイッチ104から出力したり、外部が設定情報を持っている場合には出力しなくともよい。
【0126】
なお、原点検出用信号を2値化した信号の検出位置は基本的には検出方向毎に異なる。そのため、移動体の移動方向が原点検出方向と一致していない場合には、最適同期位置や現状の原点検出位置の安定度についての判定結果は無意味である可能性が高く、場合によっては誤った情報となって混乱のもとになり得る。そのため、移動体の移動方向が原点検出方向と一致していない場合の判定結果は出力しないことが望ましい場合がある。
【0127】
また、移動体が所定の原点検出方向に移動中だったものが反転すると、判定結果が誤ったものになる可能性がある。
【0128】
上記2つの問題に対応するために、移動体の移動方向が原点検出方向と一致していない場合や途中で反転した場合に判定結果を出力しない方法について図6乃至図8の例を用いて説明する。
【0129】
本実施の形態の構成においては、原点検出に図3の(B)乃至図5に挙げた回路を用いている。これらの回路において、所定の原点検出方向でないことや、途中で反転したことは、方向判別回路を構成するフリップフロップ103m2の出力レベル、または、そのレベル変化によって確認できる。所定の原点検出方向でない時や、途中で反転した時には、方向判別用のフリップフロップ103m2の出力信号によって判定回路107に入力される原点検出用信号(f)をマスクしたり、方向判別用のフリップフロップ103m2の出力信号を判定回路107に入力して、判定結果の出力をマスクして抑制する。
【0130】
このような方法により、最適同期位置の検知、及び、現状の原点位置の安定度判断シーケンスは一旦停止されるか、または、出力が停止される。なお、ここに説明した方法以外にも上記目的を達成可能ならば、他の方法を用いても構わない。
【0131】
次に、上記のような最適同期位置や現状の原点検出位置の安定度についての判定結果を、どのように利用するかについて説明する。
【0132】
判定結果は、判定回路107内で記憶装置(図示せず)に記憶するか、外部へ出力される。外部出力先としては、表示器108、スイッチ104、インタフェースを通した外部などが挙げられる。また、本実施の形態では、最適同期位置の検知と現状の原点検出位置の安定度判断を行う判定回路が共通化されているが、判定回路が別個に配置されていて、かつ、設定を切り替える場合には、判定回路間での設定情報の交換もあり得る。
【0133】
判定結果の出力先としての表示器108は、結果が示せるものであればどのようなタイプの物でも良い。例えば、複数のLEDを有しており、最適な同期位置に対応したLEDと現状の同期位置の安定度を示すLEDとを原点検出時に点灯・点滅・消灯するものや、安定度のみならず位相関係までに対応したLEDを点灯・点滅・点灯させるものとすることができる。この表示器108の表示出力のタイミングは、判定時や、外部からリクエストがある時点や、原点検出用信号の検出を受けて判定を出す直前であっても、原点検出処理や判定処理に影響を与えない範囲で設定して構わない。
【0134】
さらに、スイッチ104が同期位置候補の切替をするタイミングも、同様に、原点位置切替設定を受け取った後、直後から、判定時や、外部からリクエストがある時点や、原点検出用信号の検出を受けて判定を出す直前であっても、原点検出処理や判定処理に影響を与えない範囲で設定して構わない。
【0135】
同期タイミングの切り替えは、スイッチ104によって行われるが、該スイッチ104は、手動によって切り替えても構わないし、外部からの設定指令で切り替えても、該スイッチ104が情報収集して切り替えるようにしてもよい。スイッチ104が情報収集する場合には、必要に応じて設定情報のリクエスト信号を判定回路107や記憶器や外部へ出してもよい。また、切り替えについては、現状の同期位置設定と最適な同期位置とが異なっていたり、現状の同期位置の安定度が低い場合に、必ず切り替えるものである必要はない。同期位置の切り替えが原点位置の変動につながるため、必要に応じて、切り替えを有効にするかどうかを設定しておくことも可能である。また、切り替えた設定については、原点信号検出中の切り替えの場合、今回の検出に適用するか、次回の検出から適用するかの設定をする必要があり、必要に応じて切替手段を設けることも可能である。
【0136】
判定結果の出力において、結果に応じて異常信号や警告信号を発生させることも可能である。例えば、最適同期位置判定結果と現在の同期位置が異なっていたり、現状の同期位置の安定度が一定レベル以下であったり、記録されている安定度の変化が特定の条件を満たした場合には、異常信号や警告信号によってメンテナンスの必要性等を伝えることが可能である。
【0137】
次に、最適同期位置の検知フローを、図11の(A)及び(B)を用いて説明する。
【0138】
図11の(A)の例では、まず、原点検出用信号が発生したか否かを検知する(ステップS11)。そして、原点検出用信号の発生が検知されたならば、判定回路107により、最適な同期位置候補を検知し(ステップS12)、その判定結果を出力する(ステップS13)。その後、判定結果を反映させる設定であるか否かを判断し(ステップS14)、反映させない場合には、この最適同期位置の検知フローを終了する。これに対して、判定結果を反映させる場合には、同期位置の設定を切り替えてから(ステップS15)、該最適同期位置の検知フローを終了する。
【0139】
また、図11の(B)の例では、まず、原点検出用信号が発生したか否かを検知する(ステップS11)。そして、原点検出用信号の発生が検知されたならば、判定回路107により、最適な同期位置候補を検知し(ステップS12)、その判定結果を出力する(ステップS13)。その後、この判定結果を反映させるために、同期位置の設定を切り替えて(ステップS15)、該最適同期位置の検知フローを終了する。勿論、判定結果の反映については、反映内容と現状の設定が同一の場合に再設定をしないことも可能である。
【0140】
なお、図11の(A)及び(B)に示したフローは最適同期位置検知についてのフローであるが、同期位置を原点検出位置と置き換えて、最適原点位置検知のフローとしても構わない。
【0141】
現状の同期位置の安定度判断フローを、図12の(A)及び(B)を用いて説明する。
【0142】
図12の(A)の例では、まず、原点検出用信号が発生したか否かを検知する(ステップS21)。そして、原点検出用信号の発生が検知されたならば、判定回路107により現在の同期位置の安定度を判断し(ステップS22)、その判定結果を出力する(ステップS23)。その後、判定結果を反映させる設定であるか否かを判断し(ステップS24)、反映させない場合には、この現状の同期位置の安定度判断フローを終了する。これに対して、判定結果を反映させる場合には、同期位置の設定を切り替えてから(ステップS25)、該現状の同期位置の安定度判断フローを終了する。なお、判定結果の反映については、反映内容と現状の設定が同一の場合に再設定をしないことも可能である。
【0143】
また、図12の(B)の例では、まず、原点検出用信号が発生したか否かを検知する(ステップS21)。そして、原点検出用信号の発生が検知されたならば、判定回路107により現在の同期位置の安定度を判断し(ステップS22)、その判定結果を出力して(ステップS23)、この現状の同期位置の安定度判断フローを終了する。
【0144】
図12の(A)の例では、ステップS24にて同期位置の設定を切り替えており、図12の(B)の例では、ステップS23で終わっているが、選択手段が無いような構成に適用した場合も含めて、原点検出用信号発生のタイミングや原点検出位置の調整のステップに置き換えたり、このステップを追加することも可能である。
【0145】
なお、図12の(A)及び(B)に示したフローは、現状の同期位相の安定度判断についてのフローであるが、同期位置を原点検出位置と置き換えて、現状原点位置の安定度判断のフローとしても構わない。
【0146】
[効果]
本実施の形態によれば、原点信号を位置検出信号に同期させる際に、原点検出用信号の検出時の位置検出信号の位置(位相)に応じて、同期位置を選択することが可能である。従って、信号ノイズやふらつき、さらには、光学式のエンコーダでは光源の安定性、発光・受光素子の温度特性とそのばらつき、個々のエンコーダの設計とのずれなどの不安定要素によって生じうる原点検出位置のずれの発生を極力抑える同期位置を選択することが可能である。
【0147】
原点信号の位置検出信号への同期をとるに当たり、複数の同期位置の内、どれが最良かを判断する判定回路を有しており、実際にエンコーダを装置に取り付けた状態で最良の同期位置を選ぶことが出来る。本実施の形態においては、位相余裕の大きい方の同期位置を選択することにより、変動などに対する安定性を向上させることが可能となっている。このことにより、位置信号に同期させた原点検出の安定性が増すと共に、エンコーダの取付け時のヘッドとスケールの取付け角度やギャップ等といった相対位置や姿勢のばらつきの影響を事前に考慮したり、調整を行う作業が省ける。即ち、位置検出信号と原点信号の位相差を厳密に設計や製作において設定して加工する必要がないため、製作コストや組立調整の時間短縮につながると共に、設計や製作上の制約が減ることによって機能上の自由度が上がりうる利点がある。
【0148】
複数の同期位置候補の設定については、90°位相差の2つの周期信号のリサージュ波形を、振幅中心を通る任意の直線で2つの区分に分割した際に、どちらの区分にも、原点信号発生位置候補の位相が1つ以上含まれるように設定されている。このような設定においては、任意の原点検出用信号発生時の位置から±90°以上位相余裕のある同期位置候補が必ずあり、この条件を満たす同期位置候補を選択することで、同期位置と原点検出用信号発生時の位相の間に±90°以上の位相余裕を取ることができ、安定な原点検出が可能となる。
【0149】
また、原点信号発生位置候補が周期信号の1周期以内に配置されることで、各原点信号発生位置候補間の位置の差を最小に抑えることができる。このことは、原点位置の切り替えを行った際の原点位置の変動を最小に抑える効果がある。同様に、作用の説明で例に挙げた、原点近傍での位置検出用の周期信号と原点検出用信号を記憶して、原点検出用信号発生位置に最も近い同期位置を原点と判別する原点検出の方法においては、原点検出用信号発生時点の前後1周期の合計2周期以内に検出位置候補が配置されることになり、本実施の形態に準じて原点位置の切り替えを行った際の原点位置の変動を抑える効果がある。
【0150】
本実施の形態において、最適同期位置の検知は、原点検出用信号発生時に90°位相差の2つの位置検出用信号が存在するリサージュ波形上の区分と同期位置候補との位相差が最も大きくなる候補を選択することによって行われる。同様に、現状の同期位置の安定度の判断は、原点検出用信号発生時に90°位相差の2つの位置検出用信号が存在するリサージュ波形上の区分と現状の同期位置との位相差の大きさをもとにレベル分けすることで行われる。
【0151】
区分の概念を導入することで、位相余裕度を求めるに当たって位置検出用信号が存在するリサージュ波形上の点の位置を直接求めたり、それを用いて演算する必要がなくなり、処理が簡易化されている。区分の数については2、4、8など2以上の数を設定できる。区分の数を増やすことできめ細かい判定が可能となるが、処理能力や回路サイズ・コストなどの面で負担になりうる。システムに見合った適切な区分を設定することで、位置検出信号に同期した原点検出機能が高い安定性でコンパクトで安価なエンコーダを実現できる。
【0152】
さらに、図2の(B)の4つの区分の例のように、各区分の位相余裕度が移動方向によって異なる場合には、原点検出用信号検出時の位相のバラツキが経時変化でドリフトするなど、特に片方向の位相余裕度に注目して判定すべき場合には有効である。また、図2の(C)のように、最適同期位置の判定よりも現状の同期位置の安定度の判定で区分の数を増やしている場合、位相余裕度の変化の詳細を確認したり、さらには、経時変化の記録を取るのに向いている。
【0153】
区分の導入により処理の簡易化が図られると述べたが、このことは、判定の単純化につながり、さらに具体的な回路構成や演算処理が簡便になり、実現も容易となる。例えば、180°位相の離れた2つの同期位置と180°の半円からなる2つの区分とを設ける際に、各区分がどちらかの同期位置候補に対して90°以上の位相差ができるように配置したとする。このとき、原点検出用信号検出時点での位置信号(a)及び(b)により決まる点が含まれる区分がいずれであっても、適切な同期位置候補を選択することによって90°以上の位相差が得られる。2つの同期位置を図2の(B)及び(C)において縦軸上、または、横軸上に配置することで、原点検出用信号(f)の検出時と同期位置での2値化位置信号のレベルが異なる同期位置を選ぶという、2つの区分と2つの同期位置と簡潔な判定基準のみで容易に最適同期位置が検知でき、高精度で安定な原点検出が可能となる。さらに、この判定基準は、フリップフロップを用いた回路、または、同等の処理が可能なFPGAやCPUなどへの応用が容易にできる。
【0154】
本実施の形態では、図2の(B)に挙げるように、上記180°の半円からなる2つの区分をさらに細分化するように分けた場合にも、2つの区分しかないと見なして処理することで同様の判定処理が可能である。また、細かく分割していることで移動方向ごとに位相余裕が細かく確認可能である。区分の数が4の場合も、AND回路、NOT回路で区分の判断が容易にでき、区分数が8の場合にも、コンパレータやオペアンプや抵抗を1〜2個ずつ程度用いることで容易に区分の判断が可能である。従って、簡単な回路の割に細かい区分を用いて詳細な判定結果を得ることが可能である。
【0155】
さらに、判定結果の表示部も数個のLEDや数桁の7セグメントの数字表示器などで実現可能であり、追加することによる負担も軽い割に位置信号に同期させた原点検出の安定性の確保と安定性の判断が容易に実現できる。
【0156】
また、この実施の形態では、信号処理回路部を除いて原点検出のための補助信号発生用部材などを設けていない。従って、安定した原点検出ができ、かつ、小型で安価なエンコーダを供給することが可能である。
【0157】
本実施の形態においては、また、一定方向に変位がなされているときのみ原点検出が可能なことが挙げられる。これにより、可動部のバックラッシュの影響を受けにくくしたり、原点検出時に2重に原点検出をせずに済ませることにつながるなどの利点が生まれ、高精度で使い勝手のよい原点検出が可能となる。
【0158】
さらに、記憶器に経時的に逐次保存される判定結果よりシステムとしての挙動が確認できる。例えば、図2の(A)の区分において、ある区分結果から1つ隣の区分結果へ移ることは可動体の構成や検出系の若干の変動により生じる可能性があり、また、許容できるとしても、一定以上変動したり、測定の度に異なる結果が得られる場合には問題があると判断できる。また、原点位置も原点出し後の変動さえなければ良い場合には、例えばシステムの立ち上げ時に原点出しを行い、その際に最適な同期位置を毎回選び直すことも可能となり、経時的な緩やかな変動に対して自己調整が可能となる。
【0159】
(第2の実施の形態)
[構成]
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。本実施の形態によるエンコーダの主要構成は、前述の第1の実施の形態と同様に、信号処理回路部6を除き、位置検出信号と原点検出用信号が得られれば特に限定されない。例えば、前述した第1の実施の形態の主要部の構成として図24に示したような光学式の構成など一般的なものでよい。また、図24の例では光学式のエンコーダを挙げているが、変位量に応じた位置信号と原点信号を有するものであれば、磁気式・静電式など他のタイプのエンコーダや変位センサでもよい。
【0160】
また、本第2の実施の形態における信号処理回路部6の構成については、図13に示すようになっている。即ち、この第2の実施の形態による信号処理回路部6は、90°位相差のアナログ位置信号(a)及び(b)を元に位相差を分割してN個の正弦波信号(k1)〜(kN)を出力する位相分割回路110、これらN個の正弦波信号(k1)〜(kN)と基準信号(j)とからN個のデジタル信号(p1)〜(pN)を生成する2値化回路101、これらN個のデジタル信号(p1)〜(pN)を元に、移動体の変位量に応じたパルス信号(da)及び(db)を生成するパルス発生回路111、原点検出用信号(e)を所定のスライスレベルで2値化してデジタル原点検出用信号(f)に変換する2値化回路102、そのデジタル原点検出用信号(f)をラッチするラッチ回路106、そのラッチされたデジタル原点検出用信号(f)を位置信号であるN個のデジタル信号(p1)〜(pN)の1つに同期させて原点信号(g)を発生させる同期回路103、同期のタイミングを切り替えるスイッチ104、最適同期位置の検知と現在の同期位置の安定度を判断する判定回路107、及び、その判定結果を表示する表示器108からなる。
【0161】
ここで、N個の正弦波信号(k1)〜(kN)は、正弦波信号(k1)が位置信号(b)に等しく、位置信号(b)即ち正弦波信号(k1)をsinθとしたときに、正弦波信号(ki)、但し、i=1〜N、は、以下のように表す。
【0162】
(ki)=sin[θ−360°/N・(i−1)] …(式7)
このN個の正弦波信号(k1)〜(kN)は、本実施の形態においては位相分割回路110にて生成されているが、(式7)を満足する信号が得られれば、その構成や方法はどんなものであっても構わない。例えば、2つの90°位相差信号からそれらの反転信号を反転アンプで得たり、これら信号の加減算によって3〜8相程度の多相信号の生成を行ってもよい。また、元々120°位相差間隔の3相信号のような信号を直接入力としても良い。
【0163】
また、基準信号(j)は、位置信号(a)及び位置信号(b)の振幅中心レベルとなる参照信号であり、位相分割回路110、2値化回路101で用いられる。
【0164】
原点信号発生位置候補とアナログ位置信号(a)及び(b)のリサージュ図形の区分について、図14を用いて説明する。リサージュ円上に原点信号発生位置候補のN個の位置(位相)が、同期位置1を横軸上の+側として、位置信号(a)及び(b)の周期に対して(360°/N)の位相差置きに並んでいる。また、最適同期位置の検知と現状の同期位置の安定度判断用に上記N個の原点信号発生位置候補の位相で区切られた、N個の区分を有し、図14に示すように、横軸+側から反時計回りに(1)〜(N)の番号が振られている。
【0165】
信号処理回路部6における2値化回路101については、図15の構成のものとする。即ち、位置信号(k1)〜(kN)を基準信号(j)とコンパレータ101a1〜101aNで比較して、2値化信号(d1)〜(dN)を生成する。さらに、XOR回路101b1〜101bNにより、隣り合った2値化信号(di)と(di+1)、(ただし、i=1〜N)、との排他的論理和(XOR)を取る。ここで、i=Nの時は、2値化信号(dN)と(d1)との排他的論理和を取るものとする。そして、AND回路101c1〜101cNで、それら排他的論理和の結果と2値化信号(di)との論理積(AND)を取った結果を信号(pi)(ただし、i=1〜N)とする。
【0166】
信号処理回路部6における同期回路103については、図16の(A)及び(B)の構成のものとする。ここで、図16の(B)は図16の(A)に示した、位置信号に同期をとった原点信号を発生させるための、検出回路103nの具体例を示す図である。この具体例における原点検出用信号検出回路と方向判別回路の2つの回路は、D−CトリガタイプのLS423などのフリップフロップを使用する。
【0167】
図16の(B)に示す具体例では、位置信号(pi)(ただし、i=1〜N)の立ち上がり時の、ラッチされた原点検出用信号(f)の値を出力する原点検出用信号検出回路を構成するフリップフロップ103n1と、リサージュ円上で反時計回りとなる変位を検出する方向判別回路を構成するフリップフロップ103n2と、これらの出力の論理積を取るAND回路103n3とによって、ラッチされた原点検出信号(f)がハイレベルで、設定された同期位置にあることを検出する検出回路103nを構成している。即ち、フリップフロップ103n1のデータDへはラッチ回路106によってラッチされた原点検出用信号(f)を入力し、クロックCLKへは位置信号(pi)を入力し、Q出力をAND回路103n3へ入力している。また、フリップフロップ103n2のデータDへは位置信号(p2)を入力し、クロックCLKへは位置信号(p1)を入力し、Qバー出力をAND回路103n3へ入力している。
【0168】
また、判定回路107については、図17の構成のものとする。即ち、図17では、位置信号(p1)〜(pN)と、ラッチされた原点検出用信号(f)と、現状の原点位置指定とを入力信号とするもので、ラッチ回路107mと安定度判定部107Jとから構成されている。ここで、ラッチ回路107mは、位置信号(p1)〜(pN)を、ラッチされた原点検出用信号(f)の立ち上がりでラッチする。このラッチ回路107mの出力を最適同期位置の検知結果(1)〜(N)とする。安定度判定部107Jは、これら判定結果(1)〜(N)と、現状の原点位置指定の情報とを入力として、現状の同期位置の安定度判定結果を出力する。
【0169】
これらの現在の原点位置の指定状況や判定結果は、信号処理回路部6内にあり図示されていない記憶器や、スイッチ104あるいは当該判定回路107内に設けた図示されない記憶器、もしくは、該信号処理回路部6外部に接続された外部記憶器のどれか、または、これらの内の複数に格納される。こうした記憶器は、記憶媒体を中心に、必要に応じて判定結果の加工や入出力のためのロジックアレイやCPUなどから構成される。記憶器では判定回路107からの判定結果を記憶しておくと共に、外部へ判定結果を出力したり、その判定結果をスイッチ104へ送り、最適と判断した同期位置に切り替えるよう構成される。記憶器は電源をオフしても情報が維持されるSRAMやFLASH ROMなどの不揮発性の記憶媒体が望ましい。
【0170】
[作用]
本実施の形態における信号処理回路部6によって、図24に示したような光検出器5からの入力を処理する際の説明を図9及び図10に示すタイムチャートの一部を参照して行う。図9はリサージュ円上で反時計回りとなる方向に変位した際を示し、図10はリサージュ円上で時計回りとなる方向に変位した際を示している。
【0171】
即ち、変位(スケール4の相対移動)に伴い周期的に変化するエンコーダの、90°位相差を持つ2つのアナログ位置信号(a)及び(b)を、位相分割回路110によって位相分割することで、N個の位置信号(k1)〜(kN)が得られる。これら位置信号(k1)〜(kN)を2値化回路101でデジタル化することで、デジタル信号(p1)〜(pN)が得られる。また、2値化回路102で原点検出用信号(e)を所定のスライスレベルで2値化することで、デジタル原点検出用信号(f)が得られる。ラッチ回路106にて、このデジタル原点検出用信号(f)の立ち上がりを検出してラッチ信号(i)をハイレベルとする。
【0172】
このラッチ信号(i)がハイレベルの領域において、同期回路103は、以下のようにして原点信号を生成する。即ち、ラッチ信号(i)発生後に位置信号(pi)(ただし、i=1〜N)の最初の立ち上がりに同期させてハイレベルとし、位置信号(pi)の立ち下がりに同期させてローレベルとする原点信号(g)を生成する。上記iの値を1からNまで切り替えることでN個の検出位置の内から1つを選択することにより、所望の原点信号(g)が得られる。
【0173】
図16の(A)の例は、位置信号(p1)〜(pN)と、ラッチされた原点検出用信号(f)即ちラッチ信号(i)とを入力として、原点検出用信号(f)がハイレベルになった後に設定された同期位置で原点信号を発生する回路である。なお、同期回路103は、本実施の形態の構成に必ずしも限定したものではない。例えば、方向判別の機能は、入力信号を元に実現できるが、必ずしも、方向判別機能が含まれるとは限らない。
【0174】
図16の(B)は、リサージュ円上で反時計回りとなる方向に変位した際に原点検出する回路構成を示している。
【0175】
方向判別について、まず説明する。フリップフロップ103n2のデータDへは位置信号(p2)を、クロックCLKへは位置信号(p1)を入力する。この結果、該フリップフロップ103n2のQバー出力から出力される信号は、位置信号(p1)の立ち上がりの度に位置信号(p2)の反転信号として更新される。そのため、位置信号(p1)の立ち上がり時に位置信号(p2)がローレベルの時のみフリップフロップ103n2のQバー出力がハイレベルとなるため、方向判別が可能となる。
【0176】
原点検出用信号を検出する回路については、フリップフロップ103n1のデータDへはラッチ信号(i)を、クロックCLKへは位置信号(pi)を入力する。この結果、フリップフロップ103n1のQ出力から出力される信号は、位置信号(pi)の立ち上がりの度にラッチ信号(i)として更新される。その結果、原点検出用信号が検出されてから位置信号(pi)の立ち上がりのタイミングで同期された原点検出用信号を出力することが可能となる。
【0177】
そして、これら方向判別信号と同期された原点検出用信号との論理積をAND回路103n3で取ることで、所定の検出方向とタイミングとで図9に示す原点信号(g)を発生させることが可能となる。一方、逆方向に変位した場合には、図10の信号(g)に示すように原点信号は検出されない。
【0178】
また、位置検出は、パルス発生回路111で生成したパルス信号(da)及び(db)を図示しないカウンタに入力することで行う。このカウンタを、原点信号(g)が発生した時にリセットする、または、適切なプリセット値をセットするなどすることで、位置検出の原点出しが可能となる。
【0179】
次に、図17を用いて、同期位置の候補と最適同期位置の検知について説明する。原点検出用信号(f)の検出となる立ち上がり時点において位置信号(a)及び(b)により決まる点がどの区分にあるかによって最適な同期位置の検知を行う。
【0180】
基本的には、複数の区分と複数の同期位置候補について、各区分ごとに全ての同期位置候補との位相余裕度を段階的に判定して、最も位相余裕のある同期位置候補を最適と見なして出力する。本実施の形態においては、区分の数は2、同期位置候補の数は2、位相余裕度は位相差を0°から180°で表した時に、位相差が最も大きい時を最適としている。位相余裕度については、リアルタイム処理ではない場合などに見られるように、位相差を0°から180°で表現した時に、逆に0°に近い候補を最適と見なしてもよい。
【0181】
図17において、同期位置候補は、(360°/N)位相置きに、同期位置1〜同期位置NまでのN個がある。位置信号(a)及び(b)により決まる点が原点検出用信号(f)の立ち上がり時に含まれる区分が(i)である場合について、Nが偶数と奇数の場合に分けて説明する。
【0182】
Nが偶数の場合、j=[(i+N/2) mod N]として、同期位置jと同期位置(j+1)に対して位相差が(180°−360°/N)と最も大きくなるので、同期位置j、または、同期位置(j+1)を最適同期位置と判定する。ただし、(M mod N)は、MをNで割った余りを示し、0から(N−1)までの数となる。
【0183】
Nが奇数の場合には、j=[{i+(N+1)/2} mod N]として、同期位置jに対して位相差が(180°−180°/N)と最も大きくなるので、同期位置jを最適同期位置と判定する。
【0184】
次に、最適同期位相候補の検知に際して用いる区分に関して、原点検出用信号(f)の検出時に位置信号(a)及び(b)により決まる点が含まれる区分の検出について、図15及び図17を用いて説明する。
【0185】
図15において、各位置信号(di)は位置信号(ki)を2値化したものであり、半周期ごとにハイレベルとローレベルを繰り返す。位置信号(d1)〜(dN)は、(360°/N)位相差ごとの信号であり、添え字の数が増えるほど位相が遅れている。そのため、XOR回路101b1〜101bNで位置信号(di)と位置信号(di+1)との排他的論理和を取り、かつ、それらの結果と位置信号(di)との論理積をAND回路101c1〜101cNで取ることで、(式7)に当てはめると、θが360°・(i−1)/Nから360°・i/Nの間でのみ、位置信号(pi)がハイレベルとなる。従って、位置信号(a)及び(b)により決まる点が含まれる区分が(i)の時、(式7)より、信号(pi)のみがハイレベルとなる。
【0186】
以上のことから、図17に示すように、原点検出用信号(f)の検出時に位置信号(p1)〜(pN)をラッチして、ハイレベルの位置信号が(pi)であったとき、原点検出用信号(f)の検出時に位置信号(a)及び(b)により決まる点が含まれる区分は区分(i)であることが判別出来る。
【0187】
以上のことから、原点検出用信号(f)の検出時に位置信号(p1)〜(pN)をラッチして、ハイレベルの位置信号が(pi)であった時、即ち、図17において、判定iがハイレベルであった時の最適同期位置の判定の論理を、Nが偶数、奇数の場合に分けて説明する。Nが偶数の場合、j=[(i+N/2) mod N]として、同期位置jと同期位置(j+1)に対して位相差が(180°−360°/N)と最も大きくなるので、同期位置j、または、同期位置(j+1)を最適同期位置と判定する。Nが奇数の場合は、j=[{i+(N+1)/2} mod N]として、同期位置jに対して位相差が(180°−180°/N)と最も大きくなるので、同期位置jを最適同期位置と判定する。
【0188】
次に、同期位置の設定が(i)で原点検出用信号(f)の検出時に位置信号(a)及び(b)により決まる点が含まれる区分が(j)であった場合の、同期位置安定度の判断方法について説明する。判定の仕方としては、最適同期位置の判定と同様に、原点検出用信号(f)の立ち上がり時に含まれる区分と同期位置との位相差が大きいほど安定度が高く、位相差が小さいほど安定度が低いものとする。
【0189】
図14より、反時計回り方向と時計回り方向とに、同期位置iから区分(j)までの位相差の最小値を求める。反時計回り方向の値をθ+、時計回り方向の値をθ−とすると、
θ+ =[(j−i)mod N]・360°/N …(式8)
θ− =[(i−j−1)mod N]・360°/N …(式9)
θ+とθ−の内、小さい方をθminとすると、θminが位相余裕度となる。θminの値によって余裕度の判定を行うことができる。
【0190】
位相差θminは段階的な値を取り、Nが偶数の場合、(N/2)段階となる。また、Nが奇数の場合には、[(N+1)/2]段階となる。これらの段階数については、判定レベル分けの仕様に基づき、必要に応じて、隣り合う段階同士をまとめることで段階数を減らすことができる。
【0191】
なお、本実施の形態においては、安定度の判断に際して用いる区分は、最適同期位置の検知に用いる区分と同一である。従って、ここでの説明は省略する。
【0192】
以上のことから、原点検出用信号(f)の検出時に位置信号(p1)〜(pN)をラッチして、ハイレベルの位置信号が(pj)であった時、即ち、図17において、判定iがハイレベルであった時の、現状の同期位置iについての安定度判断の論理について、以下に説明する。
【0193】
(式8)及び(式9)で表されるθ+とθ−の内、小さい方をθminとして、θminの値に応じた位相余裕度の判定を事前に行っておく。この時、θminの値は離散的な値を取り、Nが偶数の場合、(N/2)段階、Nが奇数の場合には、[(N+1)/2]段階となる。iとjの値に基づくレベル判定を安定度判定部107Jで行い、外部へ出力する。なお、安定度判定部107Jからはiとjの値のみを出力して外部で安定度の判断が可能なようにしても構わない。
【0194】
最適同期位置や現状の原点検出位置の安定度についての判定結果を、どのように利用するかについては、上記第1の実施の形態と同様なので、詳細は省略する。
【0195】
[効果]
本実施の形態では、概ね上記第1の実施の形態の効果と同等の効果を得ることができる。
【0196】
本実施の形態特有の効果としては、ゲイン・オフセットの調整や90°位相差信号の位相補正のために、90°位相差信号およびその反転信号の加減算による3〜8相程度の多相信号の生成を行ったり、抵抗分割による位相分割を行う回路においては、判定のための回路がある程度共有できるということが挙げられる。
【0197】
前者の加減算による多相信号の生成も広い意味で位相分割の一部と捕らえることも出来、本実施の形態に適用することが可能である。特に、抵抗分割による位相分割を行う回路では、AB相信号やこれらの反転信号などを重み付けしながら加減算することでAB相の1周期360°をN分割して、(360°/N)位相差間隔のN個の信号の生成を行っている、または、容易に機能追加できる。また、そのN個のアナログ位相差信号と基準信号との交差を検出するコンパレータ回路を既に持っている物が大半である。これらのことから、原点信号の位相同期機能や特定のタイミングにおける位相位置の検知は比較的容易である。さらに、原点信号の位相同期機能や特定のタイミングにおける位相位置の検知において、全ての同期位置候補に対して同一の検出方法を適用し、同様に、全ての区分検出に対して同一の検出方法を適用しているため、多数の同期位置候補と区分の割に回路が簡易化できる。
【0198】
また、位相分割では、通常、数十から数千程度の分割を行うため、多数の同期位置候補と区分を持つことで、きめ細かい最適同期位置の検知と現状の同期位置の安定度判断が行える。
【0199】
以上のことから、本実施の形態の内容は、抵抗分割による位相分割機能を持つ、変位センサの原点検出に容易に適用でき、抵抗分割による位相分割のメリットである、IC化による小型化と低コスト化のメリットを享受できる。
【0200】
(第3の実施の形態)
[構成]
図18は、本発明の変位センサの第3の実施の形態によるエンコーダの主要部の構成を示す図である。但し、信号処理回路部を除き、位置信号と原点検出用信号とが得られるものであれば、この構成に限定されないことは勿論である。
【0201】
図18に示すように、この第3の実施の形態による光学式のエンコーダは、LED等の発光部1と該発光部1からのビーム光を平行光にするための光学素子2とを組み合わせた光源部10と、該光源部10からの平行光が順次に照射されるインデックススケール3及びスケール4と、該スケール4から見て光源部10の反対側に配置された光検出器5と、該光検出器5からの信号を処理してエンコーダ信号として出力する信号処理回路部6からなる。
【0202】
このような構成において、インデックススケール3、スケール4、光検出器5のうち、位置検出用に用いられるのは、インデックススケール3に形成されているスリット3aと、スケール4に形成されているスリット4aと、光検出器5に形成されている光検出部5aとの組合せである。また、原点検出用に用いられるのはインデックススケール3に形成されているスリット3bと、スケール4に形成されているスリット4bと、光検出器5に形成されている光検出部5bとの組合せである。
【0203】
ステージやモータなどの位置検出を行う対象物において、上記光源部10とインデックススケール3と光検出器5との組合せは、可動部と固定部のどちらか一方に取り付けられる。また、スケール4は、可動部と固定部のどちらか他方に取り付けられる。
【0204】
そして、本実施の形態では、スケール4と光検出器5とにおいて、原点検出用のスリット4bと光検出部5bとが、それぞれ、3個ずつ設けられている。これら3個の光検出部5bでの各検出信号は、3つとも同様の波形パターンを有し、位相差は、以下の式を満足する。
【0205】
位相差α=[位置信号の1周期]×(i+1/N) …(式10)
ただし、iは整数の定数であり、Nは原点検出用信号の数を表す。本実施の形態においては、N=3となる。
【0206】
なお、本実施の形態では光学式のエンコーダを挙げているが、磁気式など他のタイプを含めて、式10を満足する位相差の複数の原点検出用信号が得られれば、どのような構成であっても良い。
【0207】
図19は、本実施の形態によるエンコーダの信号処理回路部6の構成を示すブロック図である。即ち、この信号処理回路部6は、アナログ位置信号(a)及び(b)をデジタル位置信号(c)及び(d)に変換するための2値化回路101と、原点検出用信号(e1),(e2),及び(e3)を所定のスライスレベルで2値化してデジタル原点検出用信号(f1),(f2),及び(f3)に変換する2値化回路102と、この2値化回路102からのデジタル原点検出用信号(f1),(f2),及び(f3)の内の1つを選択して原点信号(g)として発生させる選択回路105と、この選択回路105における選択候補を切り替えるスイッチ104と、最適同期位置を検知する判定回路107と、この判定回路107による最適同期位置判定結果を表示する表示器108とからなる。
【0208】
式10では、原点信号と位置検出信号との同期の位相タイミングを複数用意するために1/Nずつ位相がずれているが、同期の位相タイミングを合わせたい場合には、位相差が以下のようになるよう、原点検出用のスリット4bの位置を設定すれば良い。
【0209】
位相差α=[位置信号の1周期]×i …(式11)
ただし、iは整数の定数である。
【0210】
さらに、位相差ではなく、間隔や特定の原点位置を設けたい場合には、以下のように原点検出用のスリット4bと光検出部5bの間隔a、または、間隔aj(j=1,…,N、本実施の形態ではN=3)を設定すれば良い。
【0211】
間隔a=L …(式12)
間隔aj=Lj …(式13)
ただし、L及びLjは定数である。
【0212】
式10や式11の場合には、原点検出用信号の検出位置での位置検出用信号の位相が正確に決められるよう構成されており、式12や式13の場合には、原点信号発生位置が位置検出信号に正確に同期している必要は必ずしも無く、間隔のみが指定されることになる。
【0213】
[作用]
図20乃至図22は、図19の信号処理回路部6によって、図18に示したような光検出器5からの入力が処理されている様子を示すタイムチャートである。特に、図20は式10に、図21は式11に、図22は式12に、それぞれ対応するものである。なお、式13固有のタイムチャートは図示していないが、図22は式13の特殊な場合と見なすことができる。なお、図20乃至図23において、横軸は時間を表し、一定速度の変位が生じているときの各信号の変化を示している。
【0214】
即ち、2値化回路101において、変位(スケール4の相対移動)に伴い周期的に変化するエンコーダのアナログ位置信号(a)及び(b)を2値化することによって、デジタル位置信号(c)及び(d)が得られる。また、2値化回路102において、原点検出用信号(e1),(e2),及び(e3)を所定のスライスレベルで2値化することによって、デジタル原点検出用信号(f1),(f2),及び(f3)が得られる。そして、選択回路105において、このデジタル原点検出用信号(f1),(f2),及び(f3)の内の1つをスイッチ104に応じて選択する。図20乃至図22において、デジタル原点検出用信号(f1),(f2),及び(f3)に対応する原点信号(g)の検出状態部分はパルス状の部分の内、ぞれぞれ、実線の部分、細い点線の部分、点線の部分である。
【0215】
なお、本実施の形態では、デジタル原点検出用信号(f)をそのまま原点信号としているが、デジタル原点検出用信号(f)を加工して中間点でシャープな原点信号を出したり、さらには、式10乃至式13の条件を満たす範囲において、各原点検出用信号(e)からデジタル原点検出用信号(f)を作り出す方法を個別に設定しても良い。
【0216】
ここで、位置信号(a)及び(c)と位置信号(b)及び(d)とは90°の位相差を持つ。なお、アナログ信号である位置信号(a)及び(b)と原点検出用信号(e1),(e2),及び(e3)は、デジタル信号である位置信号(c)及び(d)と原点検出用信号(f1),(f2),及び(f3)を作り出せれば、どのようなタイプの信号でも構わない。また、検出系からの入力がデジタル信号のみで、アナログ信号を含まなくても構わない。また、位置信号をデジタル化する際にはさらに位相分割により分解能を向上させたものとしても構わない。
【0217】
位置検出は、デジタル位置信号(c)及び(d)を図示しないカウンタに入力することで行う。そして、原点信号(g)が発生したときに、カウンタをリセットすることによって、位置検出の原点出しが可能となる。
【0218】
次に、図23の(A)及び(B)に示すように、位置信号(a)と(b)の描くリサージュ円と縦軸+側との交点を原点検出の目標位相とし、図において右回りを原点検出方向としたときの判定回路107の処理内容を説明する。図において、右回りを原点検出方向とし、図示された目標位相を検出するには、位置信号(d)がハイレベルとなる位置信号(c)の立ち上がりを検出すれば良い。
【0219】
判定回路107では、原点検出用信号(f1),(f2),または(f3)を検知した時点での位置検出信号の位相と目標位相との位相差が最も小さい原点検出用信号を最適と見なして出力する。さらに、現状の原点位置の設定について、目標位相と実際の検出位相との差より、現状の安定度を判断して出力する。これらの最適同期位置と現状の原点検出の安定度の判定結果は、表示器108へ、または、電気信号として外部へ出力される。なお、表示器108は、結果が示せるものであれば、どのようなタイプの物でも良いが、例えば、各原点検出用信号を表す3つLEDの内、最適なものを原点検出時に点灯するものや、現状の原点検出の安定度を2色点灯可能なLEDの表示色で表示することなどができる。
【0220】
ここで、具体的な判定方法を図20と図23の(A)及び(B)を参照して説明する。図23の(A)及び(B)は式10に対応し、図中の(f1),(f2),及び(f3)の3点は、原点検出用信号(f1),(f2),及び(f3)が検出された瞬間の位置信号(a)及び(b)の位置を示している。
【0221】
図20の位置信号(a),(b),(c),及び(d)においては、位置信号(b)及び(d)の方が位置信号(a)及び(c)に対して位相が90°進んでいる。これらを、図23の(A)及び(B)を用いて説明する。図20の位置信号(a)及び(b)の信号レベルの組合せを2次元のグラフに表すと図23の(A)及び(B)の円周上を右回りに動くことになる。ここで、位置信号(a)のレベルがマイナスからプラスになる、即ち、位置信号(c)の立ち上がりは、図23の(A)及び(B)中矢印で示した縦軸と円の交点の内、位置信号(b)がプラス側である上方の点となる。この点から最も近い原点検出用信号検出時の位置が、系の変動に対して最も安定であり、最適な候補と言える。また、現状の原点の設定において、原点検出用信号検出時の位置が目標位相に近ければ原点検出が安定と見なせる。
【0222】
原点検出用信号が検出された際の位置信号(d)のレベルがハイレベル、即ち、原点検出用信号検出時の位置が円周上で上半分に存在すれば、少なくとも位相差が90°以内であり、安定である。各原点検出用信号の位相差は、既知であり、ほぼ120°である。従って、原点検出用信号が検出された際の位置信号(d)のレベルがハイレベルになる原点検出用信号は1つ、または、2つである。
【0223】
図23の(A)の例のように、条件を満たす原点検出用信号が1つならば、それを最適な検出信号と判定すれば良い。
【0224】
これに対して、図23の(B)の例のように、条件を満たす原点検出用信号が2つならば、両方を安定と見なしても良い。ここで、2つの中からさらに1つに絞るのであれば、以下のようにする。即ち、図23の(B)の例では、位置信号(d)のレベルがローレベルになる原点検出用信号が(f2)唯1つとなる。各原点検出用信号の位相差は既知でほぼ120°であるから、対応する点(f2)での位置信号(a)(即ち位置信号(c))のレベル(ハイレベル)と同じレベルを持つ点(f3)に対応する原点検出用信号(f3)が最も安定な原点検出用信号として判定できる。
【0225】
判定について式10を例に説明したが、他の式に対応する原点検出信号を持つ原点検出系について説明する。
【0226】
式11の場合においては、図23の(A)及び(B)において(f1),(f2),及び(f3)の3点がほぼ同一点に重なることになる。この場合、どれが最適という判断を行うことはできない。安定性については、目標位置から外れているかの安定性については式10と同様に判断できる。
【0227】
式12及び式13についても、原点検出位置での位置信号の位相についての指定があれば、式10のような最適位置や安定度の判定が行える。また、原点検出時での位置信号の位相の指定がない場合でも、それぞれの検出位置に応じたシステムの目的が想定されるので、その目的に応じた最適位置や安定度の判定を行うことは可能である。
【0228】
例えば、限定された可動範囲での使用に用いられ、しかもその可動範囲が使用目的や時間によって変化する場合には、その可動範囲内にある原点検出信号のみ原点検出に用いることが可能となる。また、複数の原点検出信号がその可動範囲内で検出可能な場合にも、原点位置が可動範囲の座標系のマイナス側の端にあるべきとか、中央にあるべきといったシステムの使用条件などに応じて最適な原点検出位置が存在する。同様に、現状の原点位置の安定度も判定すべき状況が存在する。このような場合、可動範囲などシステム使用条件などの情報、または、その情報に対応するコードを判定回路にスイッチや外部入力信号として与えることで判定が可能となる。
【0229】
[効果]
本実施の形態によれば、複数の原点検出用信号の中から1つを選択することで、位置信号との位相差を3つの候補の中から選択することも可能である。従って、位置信号の所望の位相に同期して原点信号を出力することが可能である。しかも、原点信号の位置信号への同期をとるに当たり、複数の原点検出用信号の内、どれが最良かを判断する判定回路107を有しており、実際にエンコーダを装置に取り付けた状態で最良の同期位置を選ぶことができる。これにより、変動などに対する安定性を向上させることが可能となっている。このことにより、位置信号に同期させた原点検出の安定性が増すと共に、エンコーダの取付け時のヘッドとスケールの取付け角度やギャップ等といった相対位置や姿勢のばらつきの影響を事前に考慮する必要が無くなる。即ち、位置信号と原点信号の位相差を厳密に設計や製作において設定して加工する必要がないため、製作コストや組立調整の時間短縮につながると共に、設計や製作上の制約が減ることによって機能上の自由度が上がり得る利点がある。
【0230】
さらに、本実施の形態によれば、複数の原点検出用信号の中から1つを選択することで原点位置の選択が可能である。さらに、式10と式11に挙げる原点検出部の配置によっては、位置信号との同期位相をも指定することが可能である。さらに、本実施の形態の式10においては、120°間隔の位相差を設けているが、原点検出用信号発生部の数Nを適切に選ぶことで、原点検出用信号の位相差(360°/N)を所望の値にすることが可能である。
【0231】
本実施の形態では、複数の原点信号発生位置候補があり、各原点信号発生位置候補には、物理的に、少なくとも一部が、独立した検出系が構成され、原点信号発生位置候補の間隔を変化させることが設計上可能である。このため、使用条件などに応じて原点位置を変え、離れた別の場所に動かしたいというニーズには有効である。
【0232】
以上、実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0233】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、信号ノイズやふらつき、さらに光源の安定性、発光素子及び受光素子の温度特性などの不安定要素が発生しても、安定して原点位置の検出が可能となるので、変位センサ、その中でも特に、変位検出に用いられるエンコーダにおいて、AB相に同期した原点検出が安定して行える安価な変位センサ、並びに、そのような変位センサの、最適な原点位置候補の検知方法、及び、原点検出の安定度判断方法を提供することができる。
【0234】
また特に、本発明によれば、現状の原点位置候補の安定度判定回路が実装されているため、その判定結果に基づき原点位置の切り替えや原点検出機構の取り付け調整の必要性が判断でき、その結果として常に安定した原点検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるエンコーダの信号処理回路部の構成を示すブロック図である。
【図2】(A)は原点信号発生位置候補とアナログ位置信号(a)及び(b)のリサージュ図形の区分とを示す図、(B)は原点信号発生位置候補とアナログ位置信号(a)及び(b)のリサージュ図形の別の区分とを示す図であり、(C)は原点信号発生位置候補とアナログ位置信号(a)及び(b)のリサージュ図形のさらに別の区分とを示す図である。
【図3】(A)は第1の実施の形態によるエンコーダの信号処理回路部における同期回路の構成を示す図、(B)は(A)の回路の具体的な構成を示す図であり、(C)は(A)の回路の具体的な別の構成を示す図である。
【図4】(A)は図3の(A)の回路の具体的なさらに別の構成を示す図であり、(B)は図3の(A)の回路の具体的な他の構成を示す図である。
【図5】図3の(A)の回路の具体的なさらに他の構成を示す図である。
【図6】第1の実施の形態によるエンコーダの信号処理回路部における判定回路の具体的な構成を示す図である。
【図7】第1の実施の形態によるエンコーダの信号処理回路部における判定回路の具体的な別の構成を示す図である。
【図8】第1の実施の形態によるエンコーダの信号処理回路部における判定回路の具体的なさらに別の構成を示す図である。
【図9】図1の信号処理回路によって、リサージュ円上で反時計回りとなる方向に変位した際の光検出器からの入力が処理されている様子を示すタイムチャートである。
【図10】図1の信号処理回路によって、リサージュ円上で時計回りとなる方向に変位した際の光検出器からの入力が処理されている様子を示すタイムチャートである。
【図11】(A)は最適同期位置の検知フローを示す図であり、(B)は最適同期位置の検知フローの別の例を示す図である。
【図12】(A)は現状の同期位置の安定度判断フローを示す図であり、(B)は現状の同期位置の安定度判断フローの別の例を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施の形態によるエンコーダの信号処理回路部の構成を示すブロック図である。
【図14】原点信号発生位置候補とアナログ位置信号(a)及び(b)のリサージュ図形の区分とを示す図である。
【図15】第2の実施の形態によるエンコーダの信号処理回路部における位置信号の2値化回路の構成を示す図である。
【図16】(A)は第2の実施の形態によるエンコーダの信号処理回路部における同期回路の構成を示す図であり、(B)は(A)の回路の具体的な構成を示す図である。
【図17】第2の実施の形態によるエンコーダの信号処理回路部における判定回路の構成を示す図である。
【図18】本発明の第3の実施の形態によるエンコーダの主要部の構成を示す図である。
【図19】第3の実施の形態によるエンコーダの信号処理回路部の構成を示すブロック図である。
【図20】第3の実施の形態によるエンコーダの信号処理回路部によって光検出器からの入力が処理されている様子を示すタイムチャートである。
【図21】第3の実施の形態によるエンコーダの信号処理回路部によって光検出器からの入力が処理されている様子を示すタイムチャートである。
【図22】第3の実施の形態によるエンコーダの信号処理回路部によって光検出器からの入力が処理されている様子を示すタイムチャートである。
【図23】(A)及び(B)はそれぞれ位置信号(a),(b)と原点検出用信号(f1),(f2),(f3)との関係を説明するため、位置信号(a),(b)の信号レベルの組合せを2次元のグラフに表した図である。
【図24】従来の技術による光学式のエンコーダの主要部の構成を示す図である。
【図25】特開平8−261795号公報に示されている従来のエンコーダの構成を示す図である。
【符号の説明】
1…発光部、 2…光学素子、 3…インデックススケール、 3a,3b,4a4b…スリット、 4…スケール、 5…光検出器、 5a,5b…光検出部、 6…信号処理回路部、 10…光源部、 101,102…2値化回路、 101a1〜101aN,107h,107i…コンパレータ、 101b1〜101bN…XOR回路、 101c1〜101cN,103m3,103m3a,103m3b,103m6,103m7,103n3,107n,107o,107q,107s,107t〜107x,107z,107B,107C,107F〜107I…AND回路、 103…同期回路、 103m…ラッチされた原点検出信号(f)がハイレベルになった後、設定された同期位置にあることを検出する検出回路、 103m1,103m1a,103m1b,103m2,103m2a,103m2b,103n1,103n2…フリップフロップ、 103m4,103m8,107p,107r,107y,107A,107D,107E…NOT回路、 103m5…OR回路、 103n…ラッチされた原点検出信号(f)がハイレベルで、設定された同期位置にあることを検出する検出回路、 104…スイッチ、 105…選択回路、 106,107m…ラッチ回路、 107…判定回路、 107g…反転回路、 107J…安定度判定部、 108…表示器、 110…位相分割回路、 111…パルス発生回路。
Claims (57)
- 移動体の位置又は角度の変位に応じて発生する周期信号に基づき変位量を検出し、上記移動体が所定の範囲にある場合に、原点信号を発生する変位センサであり、
それぞれ上記原点信号を発生する複数の原点信号発生位置候補があって、
上記複数の原点信号発生位置候補の中から1つの発生位置候補を原点信号発生位置として選択して切り替える選択部を具備することを特徴とする変位センサ。 - 上記複数の原点信号発生位置候補の内、最適な候補を検知する判定部をさらに具備し、
上記選択部は、上記判定部からの判定結果に基づいて原点信号発生位置を選択可能とすることを特徴とする請求項1に記載の変位センサ。 - 現状の原点信号発生位置の安定性を判断する安定度判定部をさらに具備し、
上記安定度判定部は、最適な原点信号発生位置候補の検知が行われる際に、現状の原点信号発生位置の安定度判断を行うことを特徴とする請求項2に記載の変位センサ。 - 上記判定部による判定結果に基づいて原点信号発生位置の選択切替を自動で行うことを特徴とする請求項2に記載の変位センサ。
- 判定結果を表示する表示器をさらに具備することを特徴とする請求項2に記載の変位センサ。
- N個(Nは2以上の整数)の上記原点信号発生位置候補を有し、
該N個の原点信号発生位置候補での上記周期信号の各位相について、それらの位相差が(360°/N)置きとなることを特徴とする請求項1に記載の変位センサ。 - 上記複数の原点信号発生位置候補は、上記周期信号の複数の位相に対応し、
上記選択部は、上記複数の位相の1つを上記原点信号発生位置として切り替え可能であることを特徴とする請求項1に記載の変位センサ。 - 上記複数の原点信号発生位置候補の内、最適な候補を検知する判定部をさらに具備し、
上記選択部は、上記判定部からの判定結果に基づいて原点信号発生位置を選択可能とすることを特徴とする請求項7に記載の変位センサ。 - 上記移動体が所定の範囲にある場合に、上記周期信号とは必ずしも同期していない原点検出用信号が発生され、
上記判定部は、上記原点検出用信号の発生時と原点信号発生位置候補での上記周期信号の各位相について、それらの位相差に基づき、上記最適な候補を検知することを特徴とする請求項8に記載の変位センサ。 - 原点検出用信号発生時と原点信号発生位置での上記周期信号との位相余裕度を元に現状の原点信号発生位置の安定度を判断する安定度判定部をさらに具備し、
上記安定度判定部は、最適な原点信号発生位置候補の検知と共に、現状の原点信号発生位置の安定度の判断を行うことを特徴とする請求項8に記載の変位センサ。 - 上記周期信号は、同一の周期で相互にほぼ90°位相差を持つ2つの周期信号であることを特徴とする請求項7に記載の変位センサ。
- 2次元の直交座標系の横軸方向に上記2つの周期信号の一方の出力を、縦軸方向に他方の出力を取り、上記横軸と縦軸の交点でのそれぞれの座標の値が、上記2つの周期信号のそれぞれの出力の振幅中心値に一致するように座標系を取り、且つ、上記座標系上で上記2つの周期信号のそれぞれの出力によって決まる点が移動体の変位につれて描く波形を上記2つの周期信号のリサージュ波形とし、
上記2つの周期信号のリサージュ波形を、上記2つの周期信号の振幅中心を通る任意の直線で2つの区分に分割した際に、どちらの区分についても原点信号発生位置候補の位相が1つ以上含まれることを特徴とする請求項11に記載の変位センサ。 - 上記複数の原点信号発生位置候補の内、最適な候補を検知する判定部をさらに具備し、
上記選択部は、上記判定部からの判定結果に基づいて原点信号発生位置を選択可能とすることを特徴とする請求項11に記載の変位センサ。 - 上記移動体が所定の範囲にある場合に、上記周期信号とは必ずしも同期していない原点検出用信号が発生され、
上記判定部は、上記原点検出用信号の発生時と原点信号発生位置候補での上記周期信号の各位相について、それらの位相差に基づき上記最適な候補を検知することを特徴とする請求項13に記載の変位センサ。 - 上記判定部は、上記原点検出用信号の発生時と上記原点信号発生位置候補での上記周期信号の各位相について、それらの位相差を0°〜180°で表した時に、位相差が最も大きくなる原点信号発生位置候補を最適と判定することを特徴とする請求項14に記載の変位センサ。
- 2つの上記原点信号発生位置候補を有し、
該2つの原点信号発生位置候補の間で上記周期信号が180°の位相差を持つことを特徴とする請求項11に記載の変位センサ。 - 2次元の直交座標系の横軸方向に上記2つの周期信号の一方の出力を、縦軸方向に他方の出力を取り、上記横軸と縦軸の交点でのそれぞれの座標力の値が、上記2つの周期信号のそれぞれの出力の振幅中心値に一致するように座標系を取り、且つ、上記座標系上で上記2つの周期信号のそれぞれの出力によって決まる点が移動体の変位につれて描く波形を上記2つの周期信号のリサージュ波形とし、上記2つの周期信号のリサージュ波形と上記縦軸又は横軸との2交点の組合せを、原点信号発生位置候補の位相とする請求項16に記載の変位センサ。
- 2次元の直交座標系の横軸方向に上記2つの周期信号の一方の出力を、縦軸方向に他方の出力を取り、上記横軸と縦軸の交点でのそれぞれの座標力の値が、上記2つの周期信号のそれぞれの出力の振幅中心値に一致するように座標系を取り、且つ、上記座標系上で上記2つの周期信号のそれぞれの出力によって決まる点が移動体の変位につれて描く波形を上記2つの周期信号のリサージュ波形とし、
上記移動体が所定の範囲にある場合に、上記周期信号とは必ずしも同期していない原点検出用信号が発生され、
上記2つの周期信号のリサージュ波形を、分割してできる複数の区分のうち、上記2つの周期信号で決まる点が含まれる区分が、少なくとも上記原点検出用信号の発生時に判別できることを特徴とする請求項11に記載の変位センサ。 - 上記原点検出用信号の発生時に上記2つの周期信号によって決まる点が存在するリサージュ波形上の上記区分に基づき、上記複数の原点信号発生位置候補の内、最適な原点信号発生位置候補を検知する判定部をさらに具備し、
上記選択部は、上記判定部からの判定結果に基づいて原点信号発生位置を選択可能とすることを特徴とする請求項18に記載の変位センサ。 - 上記判定部は、上記原点検出用信号の発生時に上記2つの周期信号によって決まる点が存在するリサージュ波形上の区分と上記原点信号発生位置候補での上記周期信号の各位相について、それらの位相差を0°〜180°で表す時に、上記区分と各原点信号発生位置候補の組合せについて、区分内での位相差の最小値を該区分と各原点信号発生位置候補の位相差とし、この位相差が最も大きくなる原点信号発生位置候補を最適と判定することを特徴とする請求項19に記載の変位センサ。
- 上記区分の数が2つであることを特徴とする請求項18に記載の変位センサ。
- 上記2つの周期信号のリサージュ波形を、上記縦軸又は横軸で分割してできる2つの区分を上記区分とすることを特徴とする請求項21に記載の変位センサ。
- 上記判定部は、
上記リサージュ波形と上記縦軸との2交点を、原点信号発生位置候補の位相とし、上記2つの周期信号のリサージュ波形を上記横軸で分割してできる2つの区分を有するとき、
原点検出用信号発生時に上記2つの周期信号によって決まる点が存在する上記リサージュ波形上の区分と異なる区分に含まれる原点信号発生位置候補を最適と判定することを特徴とする請求項22に記載の変位センサ。 - 上記移動体が所定の範囲にある場合に、上記周期信号とは必ずしも同期していない複数の原点検出用信号が発生され、
上記複数の原点検出用信号の少なくとも一部と同数の上記原点信号発生位置候補が有り、
上記複数の原点検出用信号の少なくとも一部と上記原点信号発生位置候補の間に1対1の対応があり、
上記選択部は、1つの上記原点信号発生位置候補の位相検出に、対応する上記原点検出用信号を用いることを特徴とする請求項11に記載の変位センサ。 - 同一周期を有する3つ以上の上記周期信号が有り、
上記周期信号の数と同数の上記複数の原点信号発生位置候補が有り、
上記複数の原点信号発生位置候補と上記周期信号に1対1の対応が有り、
上記選択部は、上記複数の原点信号発生位置候補の位相検出に、対応する上記周期信号を用いることを特徴とする請求項7に記載の変位センサ。 - 上記3つ以上の周期信号は、90°位相差の2信号、3信号、及び4信号の何れかを元に、位相分割によって生成されることを特徴とする請求項25に記載の変位センサ。
- 上記周期信号の少なくとも1つが、その周期信号自身のほぼ振幅中心値を交差することによって、上記複数の原点信号発生位置候補の位相検出を行うことを特徴とする請求項7に記載の変位センサ。
- 上記周期信号の少なくとも1つを2値化したパルス信号が有り、
上記パルス信号の立ち上がり又は立ち下がりと移動体の移動方向とによって、上記複数の原点信号発生位置候補の位相検出を行うことを特徴とする請求項7に記載の変位センサ。 - 上記複数の原点信号発生位置候補が上記周期信号の2周期内に配置されることを特徴とする請求項1に記載の変位センサ。
- 上記移動体が所定の範囲にある場合に原点検出用信号を発生して上記原点検出用信号をラッチし、
上記原点検出用信号がラッチされた後に、上記周期信号の少なくとも1つに原点信号を同期させて発生させることを特徴とする請求項1に記載の変位センサ。 - 上記移動体が所定の方向に移動する場合にのみ原点検出を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の変位センサ。
- 移動体の位置又は角度の変位に応じて発生する、周期信号に基づき変位量を検出し、上記移動体が所定の範囲にある場合に、原点信号を発生する変位センサの最適な原点位置候補の検知方法であり、
上記変位センサは、
上記移動体が所定の範囲にある場合に、原点検出用信号を発生し、
上記原点信号が発生する原点信号発生位置には複数の原点信号発生位置候補があって、
上記複数の発生位置候補の中から1つの発生位置候補を原点信号発生位置として選択する選択部と、上記複数の原点信号発生位置候補の内、最適な発生位置候補を、原点検出用信号発生時に検知する判定部とを有しており、
上記選択部は、上記判定部の判定結果に基づいて原点信号発生位置を選択可能であるような変位センサの最適な原点位置候補の検知方法において、
原点検出用信号の発生を検知するステップと、
上記判定部により最適な原点位置候補を検知するステップと、
判定結果を出力するステップと、
原点位置の設定を切り替えるステップと、
を有することを特徴とする変位センサの最適な原点位置候補の検知方法。 - 移動体の位置又は角度の変位に応じて発生する、周期信号に基づき変位量を検出し、上記移動体が所定の範囲にある場合に、原点信号を発生する変位センサの最適な原点位置候補の検知方法であり、
上記変位センサは、
上記移動体が所定の範囲にある場合に、原点検出用信号を発生し、
上記原点信号が発生する原点信号発生位置には複数の原点信号発生位置候補があって、
上記複数の発生位置候補の中から1つの発生位置候補を原点信号発生位置として選択する選択部と、上記複数の原点信号発生位置候補の内、最適な発生位置候補を、原点検出用信号発生時に検知する判定部とを具備しており、
上記選択部は、上記判定部の判定結果に基づいて原点信号発生位置を選択可能であるような上記変位センサの最適な原点位置候補の検知方法において、
原点検出用信号の発生を検知するステップと、
上記判定部により最適な原点位置候補を検知するステップと、
判定結果を出力するステップと、
判定結果を反映させる設定か判断するステップと、
設定を反映させると判断した場合のみ、原点位置の設定を切り替えるステップと、
を有することを特徴とする変位センサの最適な原点位置候補の検知方法。 - 上記移動体の移動方向が反転した場合には、一旦最適な原点位置候補の検知シーケンスを終了することを特徴とする請求項32又は33に記載の変位センサの最適な原点位置候補の検知方法。
- 移動体の位置又は角度の変位に応じて発生する周期信号に基づき変位量を検出し、上記移動体が所定の範囲にある場合に、原点信号を発生する変位センサであって、
上記移動体が所定の範囲にある場合に、上記周期信号とは必ずしも同期していない原点検出用信号を発生する原点検出用信号発生部と、
上記原点検出用信号の発生時と原点信号発生位置での上記周期信号との位相余裕度を元に、現状の原点信号発生位置の安定度を判断する安定度判定部と、
を具備することを特徴とする変位センサ。 - 上記安定度判定部は、上記原点検出用信号発生時と上記原点信号発生位置での上記周期信号との位相差を0°〜180°で表した時に、位相差が180°の時に最も安定、位相差が0°の時に最も不安定と判定することを特徴とする請求項35に記載の変位センサ。
- 上記原点信号発生位置には複数の候補があり、その内の1つを上記原点信号発生位置として選択可能なことを特徴とする請求項35に記載の変位センサ。
- 上記安定度の判定結果に基づいて上記原点信号発生位置の指定を変更可能であることを特徴とする請求項37に記載の変位センサ。
- 指定されている原点信号発生位置がいずれの上記原点信号発生位置の候補であるかを上記安定度判定部が自動で取得可能であることを特徴とする請求項37に記載の変位センサ。
- 上記周期信号は、ほぼ90°位相差を持つ2つの周期信号であり、
2次元の直交座標系の横軸方向に上記2つの周期信号の一方の出力を、縦軸方向に他方の出力を取り、上記横軸と縦軸の交点でのそれぞれの座標の値が、上記2つの周期信号のそれぞれの出力の振幅中心値に一致するように座標系を取り、上記座標系上で上記2つの周期信号のそれぞれの出力によって決まる点が移動体の変位につれて描く波形を上記2つの周期信号のリサージュ波形とし、
上記安定度判定部は、上記2つの周期信号のリサージュ波形を2つ以上の複数の区分に分割し、上記原点検出用信号発生時に上記2つの周期信号によって決まる点が存在する上記リサージュ波形上の区分に基づき上記安定度を判定することを特徴とする請求項35に記載の変位センサ。 - 上記複数の区分は、上記2つの周期信号のリサージュ波形を、対応する変位量がほぼ均等になるように分割してできることを特徴とする請求項18又は40に記載の変位センサ。
- 上記安定度判定部は、上記原点検出用信号発生時に上記2つの周期信号によって決まる点が存在するリサージュ波形上の区分と上記原点信号発生位置での周期信号の位相差を0°〜180°で表す時に、上記区分内での位相差の最小値を該区分と上記原点信号発生位置との位相差とし、該位相差が180°の時最も安定、0°の時最も不安定と判定することを特徴とする請求項40に記載の変位センサ。
- 上記区分の数が2つであることを特徴とする請求項40に記載の変位センサ。
- 上記2つの周期信号のリサージュ波形を、上記横軸又は縦軸で分割してできる2つの区分を上記区分とすることを特徴とする請求項43に記載の変位センサ。
- 上記原点信号発生位置候補が2つ有り、上記2つの周期信号のリサージュ波形と上記縦軸との2交点を、それぞれの原点信号発生位置候補の位相とし、上記2つの周期信号のリサージュ波形を上記横軸で分割してできる2つの区分が有るとき、
上記安定度判定部は、原点検出用信号発生時に上記2つの周期信号によって決まる点が存在するリサージュ波形上の区分と原点信号発生位置が同じ区分に含まれる時は不安定、異なる区分に含まれる時は安定と判定することを特徴とする請求項44に記載の変位センサ。 - 上記安定度判定部は、上記2つの周期信号のうちの上記縦軸に対応する周期信号の2値化信号が原点検出用信号発生時と原点信号発生位置において、同じ信号レベルである時は不安定、異なるレベルである時は安定と判定することを特徴とする請求項23又は45に記載の変位センサ。
- 上記複数の区分の数が4つであることを特徴とする請求項18又は40に記載の変位センサ。
- 上記4つの区分は、上記2つの周期信号のリサージュ波形を、上記横軸、および、上記縦軸で分割してできることを特徴とする請求項47に記載の変位センサ。
- 上記4つの区分は、各々上記縦軸と上記横軸との交点を通り、かつ、上記横軸に対して±45°の傾きを有する2直線で分割してできることを特徴とする請求項47に記載の変位センサ。
- 上記複数の区分の数が8つであることを特徴とする請求項18又は40に記載の変位センサ。
- 上記8つの区分は、上記2つの周期信号のリサージュ波形を、上記縦軸と上記横軸、並びに、各々上記縦軸と上記横軸との交点を通り、かつ、上記横軸に対して±45°の傾きを有する2直線、の4つの直線で分割してできることを特徴とする請求項50に記載の変位センサ。
- 上記安定度判定部は、上記移動体が原点検出を行う方向に移動する場合にのみ、安定度の判断及び安定度の出力の双方を行うことを特徴とする請求項35に記載の変位センサ。
- 上記安定度のレベルをデジタル的に表現することを特徴とする請求項35に記載の変位センサ。
- 移動体の位置又は角度の変位に応じて発生する、周期信号に基づき変位量を検出し、上記移動体が所定の位置又は角度である原点信号発生位置にある場合に、原点信号を発生する変位センサの原点検出の安定度判断方法であり、
上記変位センサは、
上記移動体が所定の範囲にある場合に原点検出用信号を発生し、
上記原点検出用信号の発生時と原点信号発生位置での上記周期信号との位相余裕度を元に、現状の原点信号発生位置の安定度を判断する安定度判定部を有しているような上記変位センサの原点検出の安定度判断方法において、
原点検出用信号の発生を検知するステップと、
上記安定度判定部により現状の原点位置の安定度を判断するステップと、
上記判定結果を出力するステップと、
を有することを特徴とする変位センサの原点検出の安定度判断方法。 - 上記原点信号が発生する原点信号発生位置には複数の原点信号発生位置候補があって、かつ、上記変位センサが、上記複数の発生位置候補の中から1つの発生位置候補を原点信号発生位置として選択する選択部をさらに具備するとき、
判定結果を反映させるか判断するステップと、
判定結果を反映させると判断した場合のみ、原点位置の設定を切り替えるステップと、
をさらに有することを特徴とする請求項54に記載の変位センサの原点検出の安定度判断方法。 - 上記判定結果を反映させるか判断するステップ及び上記原点位置の設定を切り替えるステップが自動で行われることを特徴とする請求項55に記載の変位センサの原点検出の安定度判断方法。
- 上記移動体の移動方向が反転した場合には、上記安定度判定のシーケンスを、一旦終了することを特徴とする請求項54に記載の変位センサの原点検出の安定度判断方法。
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