JP2005024057A - 油圧緩衝器の車高調整装置 - Google Patents

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達也 井垣
Koji Yasuda
幸治 安田
Hiroshi Kanesashi
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Abstract

【課題】 ダンパチューブに対するスプリングシートの取付位置の調整幅と、取付ブラケットの取付位置の調整幅をともに大きくとることができ、油圧緩衝器の下部外径のコンパクト化を図ること。
【解決手段】 ダンパチューブ11の外周に上下位置変更可能に取着したスプリングシート21とピストンロッド12の突出端側に設けたスプリングシート13Aの間に懸架スプリング16を介装してなる油圧緩衝器10の車高調整装置20において、ダンパチューブ11の内周に取付ブラケット14を上下位置変更可能に取着したもの。
【選択図】 図1

Description

本発明は油圧緩衝器の車高調整装置に関する。
油圧緩衝器の車高調整装置として、特許文献1に記載の如く、ダンパチューブの一端からピストンロッドを挿入し、ダンパチューブから突き出るピストンロッドの突出端と、ダンパチューブの他端のそれぞれに取付ブラケットを備えてなり、ダンパチューブの外周に上下位置変更可能に取着したスプリングシートとピストンロッドの突出端側に設けたスプリングシートの間に懸架スプリングを介装してなるものがある(従来技術a)。ダンパチューブに対するスプリングシートの取付位置を変更することにより、ばね荷重を調整するとともに、車高調整できる。
他の車高調整装置として、ダンパチューブの外周に取付ブラケットを上下位置変更可能に取着するものもある(従来技術b)。取付ブラケットに対するダンパチューブの取付位置を変更することにより、ばね荷重と、ダンパチューブに対するピストンロッドの挿入位置のそれぞれを一定に保ちながら、車高調整できる。
他の車高調整装置として、ダンパチューブの外周に、スプリングシートと取付ブラケットの両者を上下位置変更可能に取着し、ダンパチューブに対するスプリングシートの取付位置を変更可能にするとともに、取付ブラケットに対するダンパチューブの取付位置を変更可能にするものがある(従来技術c)。図3は、この車高調整装置を示す模式図であり、1はダンパチューブ、2はピストンロッド、2Aはピストン、2Bはフリーピストン、3は車体側取付ブラケット、3Aはロックナット、4は車軸側取付ブラケット、4Aはロックナット、5は上スプリングシート、6は下スプリングシート、6Aはロックナット、7は懸架スプリングである。この車高調整装置によれば、従来技術a、bにおけると同様に車高調整できる他、ダンパチューブに対するスプリングシートの取付位置を変更し、かつ取付ブラケットに対するダンパチューブの取付位置を変更することにより、車高を一定に保ちながら、ダンパチューブに対するピストンロッドの挿入位置(車両の1G状態からの伸び側ストロークと縮み側ストローク)を調整できる。
特開平7-280020
図3の従来技術には以下の問題点がある。
a.ダンパチューブの外周にスプリングシートと取付ブラケットの両者を螺着している。従って、取付ブラケットに対しダンパチューブを下げようとするとき、ダンパチューブの外周に螺着されているロックナット及びスプリングシートが取付ブラケットに干渉し、ダンパチューブを十分に下げることができない。
b.取付ブラケットがダンパチューブの外周に螺着されるから、油圧緩衝器の下部外径が大きくなり、取付スペース上の不利を招く。また、ダンパチューブより大径の取付ブラケットを用いることにより、重量も重くなる。
本発明の課題は、ダンパチューブに対するスプリングシートの取付位置の調整幅と、取付ブラケットの取付位置の調整幅をともに大きくとることができ、油圧緩衝器の下部外径のコンパクト化を図ることにある。
請求項1の発明は、ダンパチューブの一端からピストンロッドを挿入し、ダンパチューブから突き出るピストンロッドの突出端と、ダンパチューブの他端のそれぞれに取付ブラケットを備えてなり、ダンパチューブの外周に上下位置変更可能に取着したスプリングシートとピストンロッドの突出端側に設けたスプリングシートの間に懸架スプリングを介装してなる油圧緩衝器の車高調整装置において、ダンパチューブの内周に取付ブラケットを上下位置変更可能に取着したものである。
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記スプリングシートをダンパチューブの外周に螺着し、前記取付ブラケットをダンパチューブの内周に螺着したものである。
(1)ダンパチューブの外周にスプリングシートを上下位置変更可能に取着し、ダンパチューブの内周に取付ブラケットを上下位置変更可能に取着した。これにより、スプリングシートと取付ブラケットは、ダンパチューブの外周で互いに干渉することなく、上下位置変更できる。従って、取付ブラケットに対しダンパチューブを下げようとするとき、ダンパチューブの外周のロックナット及びスプリングシートが、ダンパチューブの内周の取付ブラケットに干渉することなく、ダンパチューブを十分に下げることができる。即ち、ダンパチューブに対するスプリングシートの取付位置の調整幅と、取付ブラケットの取付位置の調整幅を共に大きくとることができる。
(2)取付ブラケットがダンパチューブの内周に螺着されるから、取付ブラケットが油圧緩衝器の下部外径を太らせることなく、油圧緩衝器の下部外径をコンパクトにし、取付スペース上の不利を招くことがないし、軽量化できる。
図1は実施例1の油圧緩衝器を示す模式断面図、図2は実施例2の油圧緩衝器を示す模式断面図である。
油圧緩衝器10は、正立型単筒式であり、ダンパチューブ11の上端からピストンロッド12を挿入し、ダンパチューブ11から突き出るピストンロッド12の突出端に車体側取付ブラケット13、ロックナット15Aを備え、ダンパチューブ11の下端に車軸側取付ブラケット14、ロックナット15Bを備え、車両の懸架装置を構成する。車軸側取付けブラケット14は、上端開口を備える筒体14Aと、筒体14Aの下端閉塞面に固着された取付アイ14Bとからなる。
油圧緩衝器10は、ダンパチューブ11の外周に後述する車高調整装置20の下スプリングシート21を取着するとともに、ピストンロッド12の突出端に備えた車体側取付ブラケット13に上スプリングシート13Aを設け、上下のスプリングシート13A、21の間に懸架スプリング16を介装する。懸架スプリング16のばね力が、車両が路面から受ける衝撃力を吸収する。
油圧緩衝器10は、ダンパチューブ11に挿入したピストンロッド12の挿入端にピストン17を設け、ピストン17をダンパチューブ11の内面に液密に摺接させ、ダンパチューブ11の内部を上下の油室18A、18Bに区画する。油圧緩衝器10は、ピストン17に設けた、油室18A、18Bを連絡する油路に圧側と伸側の減衰力発生装置を付帯させ、懸架スプリング16による衝撃力の吸収に伴うダンパチューブ11とピストンロッド12の伸縮振動を制振する。
油圧緩衝器10は、ダンパチューブ11の内部で下油室18Bを区画するためのフリーピストン19を、ダンパチューブ11の内面に液密に摺接させ、ダンパチューブ11の軸方向の中間部に設けた底壁11Aとフリーピストン19の間をガス室18Cとする。ガス室18Cには加圧ガスが封入される。フリーピストン19は、ダンパチューブ11の内部に進入、退出するピストンロッド12の容積に応じて上下動し、その容積変化を補償するとともに、油室18A、18Bの油のエアレーションを防止する。
以下、車高調整装置20について説明する。
車高調整装置20は、ダンパチューブ11の外周にその下端側から設けたおねじ部に、下スプリングシート21の内周雌ねじ部を螺着し、この下スプリングシート21をロックナット22でダンパチューブ11に固定化する。下スプリングシート21をダンパチューブ11の外周において螺動することにより、ダンパチューブ11に対する下スプリングシート21の上下位置を変更し、結果として懸架スプリング16のばね荷重を調整し、車高調整可能とする。
車高調整装置20は、ダンパチューブ11の底壁11Aより下端側の中空部をブラケット収容部11Bとし、その内周に下端開口側から設けた雌ねじ部に、車軸側取付ブラケット14を構成する筒体14Aの外周に上端側から設けた雄ねじ部を螺着し、この車軸側取付ブラケット14をロックナット15Bでダンパチューブ11に固定化する。車軸側取付ブラケット14をダンパチューブ11の内周において螺動することにより、ダンパチューブ11に対する車軸側取付ブラケット14の上下位置を変更し、結果としてダンパチューブ11及びピストンロッド12を上下動し、車高調整可能とする。
車高調整装置20は以下の如くに用いられる。
(A)ダンパチューブ11に対する下スプリングシート21の上下位置(取付位置)を変更することにより、懸架スプリング16のばね荷重を調整し、車高調整する。
(B)ダンパチューブ11に対する車軸側取付ブラケット14の上下位置(取付位置)を変更することにより、懸架スプリング16のばね荷重と、ダンパチューブ11に対するピストンロッド12の挿入位置のそれぞれを一定に保ちながら、車高調整する。
(C)ダンパチューブ11に対する下スプリングシート21の上下位置(取付位置)を変更し、かつ車軸側取付ブラケット14に対するダンパチューブ11の上下位置(取付位置)を変更することにより、車高を一定に保ちながら、ダンパチューブ11に対するピストンロッド12の挿入位置(車両の1G状態からのピストンロッド12の伸び側ストロークと縮み側ストローク)を調整する。
本実施例によれば、以下の作用効果を奏する。
(1)ダンパチューブ11の外周に下スプリングシート21を上下位置変更可能に螺着し、ダンパチューブ11の内周に車軸側取付ブラケット14を上下位置変更可能に螺着した。これにより、下スプリングシート21と車軸側取付ブラケット14は、ダンパチューブ11の外周で互いに干渉することなく、上下位置変更できる。従って、車軸側取付ブラケット14に対しダンパチューブ11を下げようとするとき、ダンパチューブ11の外周のロックナット22及び下スプリングシート21が、ダンパチューブ11の内周の車軸側取付ブラケット14に干渉することなく、ダンパチューブ11を十分に下げることができる。即ち、ダンパチューブ11に対する下スプリングシート21の取付位置の調整幅と、車軸側取付ブラケット14の取付位置の調整幅を共に大きくとることができる。
(2)車軸側取付ブラケット14がダンパチューブ11の内周に螺着されるから、車軸側取付ブラケット14が油圧緩衝器の下部外径を太らせることなく、油圧緩衝器10の下部外径をコンパクトにし、取付スペース上の不利を招くことがないし、軽量化できる。
実施例2が実施例1と異なる点は、ダンパチューブ11の底壁11Aに一体となる有底内筒部31を、同軸結合し、内筒部31の中空状凹部をガス室18Cに連続化するとともに、内筒部31の外周を車軸側取付ブラケット14の筒体14Aの中空部に遊嵌自在にしたことにある(図2)。
ダンパチューブ11の全長を格別長尺化することなく、ダンパチューブ11の底壁11Aに一体化された内筒部31を、ダンパチューブ11のブラケット収容部11Bに挿着された車軸側取付ブラケット14の中空部に遊嵌可能にし、内筒部31の凹部によりガス室18Cの容積を拡張することができる。これにより、ダンパチューブ11の内部に進入、退出するピストンロッド12の容積を補償するためのフリーピストン19の上下動によっても、ガス室18Cの容積変化率を小さくしてガス室18Cのガス圧力の安定を図り、結果としてダンパチューブ11とピストンロッド12の伸縮ストロークの安定を図ることができる。
以上、本発明の実施例を図面により記述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本発明は、倒立型の油圧緩衝器にも適用できるし、複筒式の油圧緩衝器にも適用できる。
図1は実施例1の油圧緩衝器を示す模式断面図である。 図2は実施例2の油圧緩衝器を示す模式断面図である。 図3は従来例を示す模式断面図である。
符号の説明
10 油圧緩衝器
11 ダンパチューブ
12 ピストンロッド
14 取付ブラケット
16 懸架スプリング
20 車高調整装置
21 スプリングシート

Claims (2)

  1. ダンパチューブの一端からピストンロッドを挿入し、ダンパチューブから突き出るピストンロッドの突出端と、ダンパチューブの他端のそれぞれに取付ブラケットを備えてなり、
    ダンパチューブの外周に上下位置変更可能に取着したスプリングシートとピストンロッドの突出端側に設けたスプリングシートの間に懸架スプリングを介装してなる油圧緩衝器の車高調整装置において、
    ダンパチューブの内周に取付ブラケットを上下位置変更可能に取着したことを特徴とする油圧緩衝器の車高調整装置。
  2. 前記スプリングシートをダンパチューブの外周に螺着し、前記取付ブラケットをダンパチューブの内周に螺着した請求項1に記載の油圧緩衝器の車高調整装置。
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