JP2005023283A - ボールペン用油性インキ組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ボールペンに充填して軽快な筆記感が得られると共に、ボテやかすれといった筆記不良を起こすことがなく、しかも、筆記面に形成される筆跡の滲みや裏抜けを起こすことのない良好な筆記性能を示すボールペン用油性インキ組成物を提供する。
【解決手段】 着色剤、有機溶剤、及び、アクリル酸又はメタクリル酸と、下記一般式(1)又は(2)で示されるアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの共重合体を含んでなり、3.84S-1の剪断速度におけるインキ粘度が10〜100mPa・s(20℃)、且つ、剪断減粘指数が0.5〜0.99であるボールペン用油性インキ組成物。
【化1】
Figure 2005023283

(式中、R1 は炭素数1乃至12のアルキル基を示す。)
【化2】
Figure 2005023283

(式中、R2 は炭素数1乃至12のアルキル基を示す。)
【選択図】 なし

Description

本発明はボールペン用油性インキ組成物に関する。
従来、一般に油性インキを用いるボールペンは、先端にボールを抱持する金属製チップを一端に嵌着してなるインキ収容管に、油性インキを収納してなるボールペンレフィルを軸筒に内蔵する簡易な構造のものが主に用いられている。
前記した構造の油性ボールペンは筆跡の堅牢性が良く、しかも、安価である利点を有する反面、チップが下向き状態、所謂、倒立状態においてボールとチップの間隙からインキが垂れることを抑制するために前記間隙を小さくし、且つ、インキ粘度を常温で約10乃至20Pa・s程度の高粘度としている。このため、低粘度の水性インキを用いる水性ボールペンよりも筆記感が重く、且つ、筆跡が薄い傾向にある。
前記問題を解消するために、インキを低粘度化することが考えられるが、粘度低下に伴ってインキ呑み込みやインキ垂れが発生したり、滲みや筆跡の裏抜けを生じ易くなる(例えば、特許文献1参照)。
従って、油性ボールペンにおいて滑らかな筆記感と、ボテやかすれ、筆跡の滲みや裏抜けのない良好な筆跡を得ることは困難であった。
特開昭63−309571号公報
本発明は、良好な筆記感を有すると共に、ボテやかすれ、筆跡の滲みや裏抜け等の筆記不良を起こすことのないボールペン用油性インキ組成物を提供しようとするものである。
本発明は、着色剤、有機溶剤、及び、アクリル酸又はメタクリル酸と、下記一般式(1)又は(2)で示されるアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの共重合体を含んでなり、3.84S-1の剪断速度におけるインキ粘度が10〜100mPa・s(20℃)、且つ、剪断減粘指数が0.5〜0.99であるボールペン用油性インキ組成物を要件とする。
Figure 2005023283
(式中、R1 は炭素数1乃至12のアルキル基を示す。)
Figure 2005023283
(式中、R2 は炭素数1乃至12のアルキル基を示す。)
更には、主溶剤として蒸気圧が5.0〜50mmHg(20℃)の有機溶剤を用いてなること、前記有機溶剤がアルコール類、グリコールエーテル類、炭化水素類から選ばれる一種又は二種以上の溶剤であること、前記有機溶剤がn−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる溶剤であること等を要件とする。
本発明のボールペン用油性インキ組成物は、アクリル酸又はメタクリル酸と、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの共重体を含有し、且つ、特定のインキ粘度及び剪断減粘指数を満たすことによって、ボールペンに充填して軽快な筆記感が得られると共に、ボテやかすれといった筆記不良を起こすことがなく、しかも、筆記面に形成される筆跡の滲みや裏抜けを起こすことのない良好な筆記性能を示すボールペン用油性インキ組成物を提供することができる。
本発明者は、油性ボールペン用油性インキについて鋭意検討した結果、アクリル酸又はメタクリル酸と、一般式(1)又は(2)で示されるアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの共重合体を添加することにより、軽い筆記感と、ボテ、かすれ、筆跡の滲みや裏抜け等の筆記不良を起こすことなく良好な筆記性能を有するインキ組成物が得られることを見いだした。
前記共重合体は、アクリル酸と一般式(1)で示されるアクリル酸エステルの共重合体、アクリル酸と一般式(2)で示されるメタクリル酸エステルの共重合体、メタクリル酸と一般式(1)で示されるアクリル酸エステルの共重合体、メタクリル酸と一般式(2)で示されるメタクリル酸エステルの共重合体のいずれかである。
前記共重合体をインキ中に添加することにより、剪断減粘性を付与でき、不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れだしを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができると共に、ボテ、かすれ、筆跡の裏抜け等の筆記不良を防止できる。
また、前記共重合体を添加することによって筆跡の滲みを抑制することができるため、紙面は勿論、浸透性の高い布帛等の繊維材料に筆記しても滲みのない良好な筆跡を形成できる。
なお、本発明のボールペン用油性インキ組成物は、20℃でのE型粘度計による3.84S-1の剪断速度におけるインキ粘度が10〜100mPa・s(20℃)、好ましくは10〜90mPa・sであり、且つ、剪断減粘指数が0.5〜0.99、好ましくは0.8〜0.99、更に好ましくは0.9〜0.99である。
前記した粘度範囲及び剪断減粘指数を示すことによって、スムーズな筆記感が得られる。
3.84S-1の剪断速度におけるインキ粘度が10mPa・s未満ではインキの逆流を防止する効果に乏しい。更に、着色剤として顔料を用いた場合には、前記顔料の凝集・沈降を抑制でき難くなる。
また、100mPa・sを越えると、インキ吐出性に支障を来すことがある。
剪断減粘指数が0.5未満では筆記時のインキ粘度が低下し過ぎて滲みを生じたり、筆跡の裏抜けを生じ易くなる。また、剪断減粘指数が0.99を越えるとインキの漏れだしを防止でき難くなる。
なお、剪断減粘指数(n)は、剪断応力値(T)及び剪断速度値(j)の如き粘度計による流動学測定から得られる実験式T=Kjn (Kは非ニュートン粘性係数)にあてはめることによって計算される値である。
前記共重合体は、0.01〜10重量%添加される。
0.01重量%未満の添加量では、所望の剪断減粘性を付与でき難く、また、10重量%を越える添加量では、必要以上の剪断減粘性が付与されるため、筆跡のかすれ等の不具合を生じる虞がある。
また、剪断減粘性付与剤として従来より公知の化合物を併用して用いることもできる。具体的には、架橋型アクリル樹脂、架橋型アクリル樹脂のエマルションタイプ、非架橋型アクリル樹脂、架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、非架橋型N−ビニルカルボン酸アミド重合体又は共重合体、水添ヒマシ油、脂肪酸アマイドワックス、酸化ポリエチレンワックス等のワックス類、ステアリン酸、パルミチン酸、オクチル酸、ラウリン酸のアルムニウム塩等の脂肪酸金属塩、ジベンジリデンソルビトール、N−アシルアミノ酸系化合物、スメクタイト系無機化合物、モンモリロナイト系無機化合物、ベントナイト系無機化合物、ヘクトライト系無機化合物、シリカ等を例示できる。
着色剤として用いられる染料は、例えば、カラーインデックスにおいてソルベント染料として分類される有機溶剤可溶性染料が挙げられる。
前記ソルベント染料の具体例としては、バリファーストブラック3806(C.I.ソルベントブラック29)、同3807(C.I.ソルベントブラック29のトリメチルベンジルアンモニウム塩)、スピリットブラックSB(C.I.ソルベントブラック5)、スピロンブラックGMH(C.I.ソルベントブラック43)、バリファーストレッド1308(C.I.ベーシックレッド1とC.I.アシッドイエロー23の造塩体)、バリファーストイエローAUM(C.I.ベーシックイエロー2とC.I.アシッドイエロー42の造塩体)、スピロンイエローC2GH(C.I.ベーシックイエロー2の有機酸塩)、スピロンバイオレットCRH(C.I.ソルベントバイオレット8−1)、バリファーストバイオレット1701(C.I.ベーシックバイオレット1とC.I.アシッドイエロー42の造塩体)、スピロンレッドCGH(C.I.ベーシックレッド1の有機酸塩)、スピロンピンクBH(C.I.ソルベントレッド82)、ニグロシンベースEX(C.I.ソルベントブラック7)、オイルブルー613(C.I.ソルベントブルー5)、ネオザポンブルー808(C.I.ソルベントブルー70)等が挙げられる。
顔料としては、カーボンブラック、群青、二酸化チタン顔料等の無機顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、スレン顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、スロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリノン系顔料等の有機顔料、アルミニウム粉やアルミニウム粉表面を着色樹脂で処理した金属顔料、透明又は着色透明フィルムにアルミニウム等の金属蒸着膜を形成した金属光沢顔料、フィルム等の基材に形成したアルミニウム等の金属蒸着膜を剥離して得られる厚みが0.01〜0.1μmの金属顔料、蛍光顔料、蓄光性顔料、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆したパール顔料等が挙げられる。
前記着色剤は1種又は2種以上を混合して用いてもよく、インキ組成中3乃至40重量%の範囲で用いられる。
前記有機溶剤としては、従来より汎用の溶剤を使用でき、インキ組成中40乃至80重量%の範囲で用いられる。
前記有機溶剤としては、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ベンジルグリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等を例示できる。
また、有機溶剤として揮発し易い20℃における蒸気圧が5.0〜50mmHgの溶剤を主溶剤として用いると、ガラスやプラスチック等の非浸透性材料に筆記しても、筆跡の乾燥性に優れるため、筆跡を手触した際、未乾燥のインキが手に付着したり、筆記面上の筆跡を形成していない空白部分を汚染する等の不具合を生じることなく、良好な筆跡を形成できる。
蒸気圧が5.0〜50mmHg(20℃)の有機溶剤としては、エチルアルコール(45)、n−プロピルアルコール(14.5)、イソプロピルアルコール(32.4)、n−ブチルアルコール(5.5)、イソブチルアルコール(8.9)、sec−ブチルアルコール(12.7)、tert−ブチルアルコール(30.6)、tert−アミルアルコール(13.0)等のアルコール系有機溶剤、
エチレングリコールモノメチルエーテル(8.5)、エチレングリコールジエチルエーテル(9.7)、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル(6.0)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(7.6)等のグリコールエーテル系有機溶剤、
n−ヘプタン(35.0)、n−オクタン(11.0)、イソオクタン(41.0)、メチルシクロヘキサン(37.0)、エチルシクロヘキサン(10.0)、トルエン(24.0)、キシレン(5.0〜6.0)、エチルベンゼン(7.1)等の炭化水素系有機溶剤、
メチルイソブチルケトン(16.0)、メチルn−プロピルケトン(12.0)、メチルn−ブチルケトン(12.0)、ジ−n−プロピルケトン(5.2)等のケトン系有機溶剤、
蟻酸n−ブチル(22.0)、蟻酸イソブチル(33.0)、酢酸n−プロピル(25.0)、酢酸イソプロピル(48.0)、酢酸n−ブチル(8.4)、酢酸イソブチル(13.0)、プロピオン酸エチル(28.0)、プロピオン酸n−ブチル(45.0)、酪酸メチル(25.0)、酪酸エチル(11.0)等のエステル系有機溶剤を例示できる。
なお、括弧内の数字は20℃におけるそれぞれの有機溶剤の蒸気圧を示す。
前記有機溶剤のうち、好適にはアルコール類、グリコールエーテル類、炭化水素類から選ばれる溶剤が用いられ、特にアルコール類のうちn−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、グリコールエーテル類のうちプロピレングリコールモノメチルエーテルが併用する種々の樹脂や各種添加剤の溶解性に優れるため好適に用いられる。
前記20℃における蒸気圧が5.0〜50mmHgの有機溶剤は溶剤中50重量%以上添加される。
また、2種以上の溶剤を併用して用いてもよい。
更に、本発明のボールペン用油性インキ組成物には、オレイン酸等の高級脂肪酸、長鎖アルキル基を有するノニオン性界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、チオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルメチルエステル)やチオ亜燐酸トリ(アルコキシカルボニルエチルエステル)等のチオ亜燐酸トリエステル等の潤滑剤を必要により添加することもできるが、特に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸モノエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル又はポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルのリン酸ジエステル、或いは、それらの金属塩、アンモニウム塩、アミン塩、アルカノールアミン塩等を用いるとボール受け座の摩耗防止効果に優れる。
また、筆跡の滲み抑制、定着性向上、堅牢性付与等の目的で樹脂を添加することもできる。
具体的には、ケトン樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、アミド樹脂、アルキッド樹脂、ロジン変性樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルピロリドン、α−及びβ−ピネン・フェノール重縮合樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂等を例示できる。
更に、所望によりカルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、みつろう、オゾケライト、セレシン、モンタンワックス、モンタン酸ワックス、モンタンエステルワックス等のワックス類を添加することもできる。
本発明のボールペン用油性インキ組成物は、ボールペンチップを筆記先端部に装着した筆記具のボールペンに充填される。
ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、さらにインキの端面には逆流防止用の液栓が密接しているボールペンを例示できる。
前記ボールペンチップについて更に詳しく説明すると、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、金属又はプラスチック製チップ内部に樹脂製のボール受け座を設けたチップ、或いは、前記チップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。
又、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック、樹脂、ゴム等の0.3〜3.0mm径程度のものが適用できる。
なお、本発明のインキを充填する筆記具は、ボールと同様の転動作用により筆跡を形成させる、転動機構を筆記先端部に備えたものを含む。
前記インキ組成物を収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる成形体が用いられる。
更に、前記インキ収容管として透明、着色透明、或いは半透明の成形体を用いることにより、インキ色やインキ残量等を確認できる。
前記インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
尚、前記インキ収容管はレフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
前記インキ収容管に収容したインキ組成物の後端にはインキ逆流防止体が充填される。前記インキ逆流防止体組成物は不揮発性液体又は難揮発性液体からなる。
具体的には、ワセリン、スピンドル油、ヒマシ油、オリーブ油、精製鉱油、流動パラフィン、ポリブテン、α−オレフィン、α−オレフィンのオリゴマーまたはコオリゴマー、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル等があげられ、一種又は二種以上を併用することもできる。
前記不揮発性液体及び/又は難揮発性液体には、ゲル化剤を添加して好適な粘度まで増粘させることが好ましく、表面を疎水処理したシリカ、表面をメチル化処理した微粒子シリカ、珪酸アルミニウム、膨潤性雲母、疎水処理を施したベントナイトやモンモリロナイトなどの粘土系増粘剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等の脂肪酸金属石鹸、トリベンジリデンソルビトール、脂肪酸アマイド、アマイド変性ポリエチレンワックス、水添ひまし油、脂肪酸デキストリン等のデキストリン系化合物、セルロース系化合物を例示できる。
更に、前記液状のインキ逆流防止体組成物と、固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
本発明のボールペン用油性インキは、着色剤が染料の場合は、予め共重合体を溶解又は分散させた有機溶剤溶液中に染料、必要により樹脂、各種添加剤を投入し、攪拌、溶解することにより調製される。
また、着色剤が顔料の場合は、予め共重合体を溶解又は分散させた有機溶剤溶液中に、必要により樹脂、各種添加剤を投入して攪拌、溶解し、更に、これとは別に調製した溶剤中に顔料を分散した分散液を投入し、攪拌することにより調製される。
実施例1乃至5及び比較例1乃至5のインキの組成及びその粘度(E型粘度計、標準コーンローター使用、20℃での測定値)及び剪断減粘指数を示す。
なお、表中の組成の数値は重量部を示す。
Figure 2005023283
Figure 2005023283
表中の原料の内容を注番号に沿って説明する。
(1)C.I.ソルベントブラック7〔オリエント化学工業(株)製、商品名:ニグロシンベースEX〕
(2)C.I.ベーシックレッド1〔保土谷化学工業(株)製、商品名:スピロンレッドCGHの有機酸塩〕
(3)C.I.ソルベントブルー5〔オリエント化学工業(株)製、商品名:オイルブルー613〕
(4)東亞合成(株)製、商品名:アロンB−300、アクリル酸とメタクリル酸エステルの共重合体エマルジョン
(5)日本触媒(株)製、商品名:アクリセットAT−2、メタクリル酸とアクリル酸エステルの共重合体エマルジョン
(6)ローム&ハース社製、商品名:プライマルASE−60、メタクリル酸とアクリル酸エステルの共重合体エマルジョン
(7)ケトンホルムアルデヒド樹脂誘導体、ドイツ国ヒュルス社製、商品名:シンセチックレジンSK
(8)ヤスハラケミカル(株)製、商品名:YSポリスターS145、α−ピネンを主成分とするテルペン(β−ピネンが少量含まれる)とフェノールの共重合体。
(9)積水化学工業(株)製、商品名:エスレックBL−1
(10)東邦化学工業(株)製、商品名:フォスファノールRA600、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸モノエステルとポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸ジエステルの混合物
各実施例及び比較例のボールペン用油性インキ組成物を前記したインキ調製法によって調製し、直径0.7mmのボールを抱持するステンレススチール製チップがポリプロピレン製パイプの一端に嵌着されたボールペンレフィルに充填した後、前記ボールペンレフィルを軸筒に組み込み、油性ボールペンを得た。
各チップと各試料インキとの組合せにつき10本づつ作成し、以下のテストを行った。
(1)筆記試験(紙面)
各試料ペンを用いて、JIS S6039に記載の紙面に手書きにより筆記を行い、その筆記感と筆跡の状態を目視により観察した。
(2)筆記試験(フィルム)
各試料ペンを用いて、ポリエステルフィルム〔東洋紡績(株)製、E5100〕に手書きにより筆記を行い、筆跡の状態を目視により観察した。
(3)インキ漏れ促進試験
各試料ペンを筆記できることを確認したうえ、20℃、相対湿度95%の条件下でペン先下向き(倒立状態)の状態で20時間放置した後、ペン先からのインキの漏れ出し状態を観察した。
(4)インキ安定性試験
各インキをインキ瓶中に充填して密封した後、50℃で1週間放置後、各々のインキの状態を目視、及び、顕微鏡により観察した。
テスト結果を表3に示す。
Figure 2005023283
表中の記号の内容を以下に説明する。
(1)筆記試験(紙)
○:滑らかに筆記でき、且つ、滲みのない筆跡が得られる。
△:筆跡の滲みはないものの、筆記感は重い。
×:滑らかに筆記できるものの、滲みがみられる。
(2)筆記試験(フィルム)
○:良好な筆跡が形成できる。
×:筆跡に線割れやカスレがみられる。
(3)インキ漏れ促進試験
○:インキ漏れは全く認められない
×:インキ漏れによる這い上がりやボタ落ちが認められる。
(4)インキ安定性試験
○:凝集物や沈降物はみられず、初期と同様の状態を示す。
×:凝集物が認められるか、或いは、インキが相分離する。

Claims (4)

  1. 着色剤、有機溶剤、及び、アクリル酸又はメタクリル酸と、下記一般式(1)又は(2)で示されるアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの共重合体を含んでなり、3.84S-1の剪断速度におけるインキ粘度が10〜100mPa・s(20℃)、且つ、剪断減粘指数が0.5〜0.99であるボールペン用油性インキ組成物。
    Figure 2005023283
    (式中、R1 は炭素数1乃至12のアルキル基を示す。)
    Figure 2005023283
    (式中、R2 は炭素数1乃至12のアルキル基を示す。)
  2. 主溶剤として蒸気圧が5.0〜50mmHg(20℃)の有機溶剤を用いてなる請求項1記載のボールペン用油性インキ組成物。
  3. 前記有機溶剤がアルコール類、グリコールエーテル類、炭化水素類から選ばれる一種又は二種以上の溶剤である請求項2記載のボールペン用油性インキ組成物。
  4. 前記有機溶剤がn−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルから選ばれる溶剤である請求項3記載のボールペン用油性インキ組成物。
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