JP2005023014A - ラクタム化合物の製造方法 - Google Patents

ラクタム化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】固体触媒の存在下、シクロアルカノンオキシム化合物のベックマン転位反応を行うにあたり、経済的に優れた固体触媒を使用し、温和な反応条件下、高活性・高選択率でラクタム化合物を製造する方法を提供する。
【解決手段】珪素およびアルミニウムを含む複合酸化物の存在下、シクロアルカノンオキシム化合物からベックマン転位反応により対応するラクタム化合物を製造するに際し、
(1)該複合酸化物に含まれる珪素とアルミニウムのSi/Al(原子比)が20以上で、かつ、硫黄含有化合物にて処理したもの、
を使用することを特徴とするラクタム化合物の製造方法により解決される。
好ましくは、上記複合酸化物存在下に、
(2)液相にて、
(3)反応温度30〜350℃で、
おこなうことを特徴とするラクタム化合物の製造方法により解決される。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シクロアルカノンオキシム化合物をベックマン転位反応により対応するラクタム化合物を製造する方法に関するものである。得られるラクタム化合物は、ナイロンの原料として重要な化合物である。
【0002】
【従来の技術】
シクロアルカノンオキシム化合物のラクタム化合物への転位反応は、ベックマン転位反応として知られている。具体的には、シクロヘキサノンオキシムの転位によるε−カプロラクタムの工業的製造では、触媒として発煙硫酸を用いた液相系の反応が採用されている。しかし、この方法ではε−カプロラクタムを分離回収するために、通常、硫酸等の強酸をアンモニアで中和する必要があり、大量の硫酸アンモニウムが副生すること、また、装置の腐食など工程上の問題も多く、効率的な転位用触媒の開発が期待されている。
【0003】
そこで、硫酸触媒を使用しない液相でのベックマン転位反応に関し、均一系触媒或いは不均一系触媒について種々の検討が行われてきている。しかし、均一系触媒は、触媒の分離が煩雑となるため、工業的には触媒分離が容易な不均一系触媒がより好ましい。
不均一系触媒に関してはレニウム化合物を触媒として使用する方法、亜鉛を含有したベータゼオライトを触媒とする方法、酸化ジルコニウムや酸化チタン、酸化アルミニウム等のIV属、III属金属の酸化物を担体にパラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム等のVIII属金属を担持した触媒を使用する方法、イミニウムイオンを担持したゼオライトを触媒とする方法、固体触媒存在下、誘電率が6〜60の範囲にある化合物を共存させて反応を行う方法等が提案されている。
しかしながら、レニウム化合物を触媒とした方法(例えば特許文献1参照)では、カプロラクタム選択率が極めて低い。更に反応温度も200℃以上と高い。同様レニウム化合物を触媒とした方法(例えば特許文献2参照)は転化率100%、カプロラクタム収率81.4モル%と高いが、ピリジン等の含窒素複素環化合物を併用するため、反応系が複雑になっている。
亜鉛を含有したベータゼオライトを触媒とする方法(例えば特許文献3参照)では、反応温度130℃で転化率47モル%、カプロラクタム選択率72モル%(収率では34モル%)といずれも低い。
酸化ジルコニウムや酸化チタン、酸化アルミニウム等のIV属、III属金属の酸化物を担体にパラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム等のVIII属金属を担持した触媒を使用する方法(例えば特許文献4参照)は転化率、収率ともに高いが、パラジウム、白金、ロジウム、ルテニウム等の貴金属も高価で価格変動も大きく、工業的に実施するには満足しうるものではない。
イミニウムイオンを担持したゼオライトを触媒とする方法(例えば特許文献5参照)は、触媒調製法が複雑であるうえ、シクロヘキサノンオキシム転化率が34%と低い。
固体酸触媒存在下、誘電率が6〜60の範囲にある化合物を共存させて反応を行う方法(例えば特許文献6参照)は、誘電率が6〜60の範囲にある化合物の共存効果は認められるものの、使用している固体酸触媒の触媒能が不十分であるため、カプロラクタム収率が低くとどまっている。例えば、誘電率が6〜60の範囲にある化合物として脱水ベンゾニトリルを使用した場合、固体酸触媒がベータゼオライトのときカプロラクタム収率53%、Zn含有ベータゼオライトのとき同33%、Y型ゼオライトのとき同61%、SiO担持ヘテロポリ酸のとき同36%、Al含有メソポーラス触媒のとき同26%である。
【0004】
【特許文献1】
特開平08−151362号公報
【特許文献2】
特開平09−301952号公報
【特許文献3】
特開2001−19670号公報
【特許文献4】
特開昭62−169769号公報
【特許文献5】
特開平09−40641号公報
【特許文献6】
特開2001−72657号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、珪素およびアルミニウムを含む複合酸化物の存在下、シクロアルカノンオキシム化合物からベックマン転位反応により対応するラクタム化合物を製造するに際し、
該複合酸化物の活性を向上させ、温和な反応条件下で高収率でラクタム化合物を製造する方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の課題に鑑み鋭意検討した結果、珪素およびアルミニウムを含む複合酸化物の珪素とアルミニウムの原子比(Si/Al)をコントロールすると共に、硫黄含有化合物にて前処理を施せば、強酸不在下でも、シクロアルカノンオキシム化合物のベックマン転位反応が効率よく進行し、副生オリゴマーも少なく、対応するラクタム化合物が有利に製造できることを見出し本発明に到達した。
即ち、
珪素およびアルミニウムを含む複合酸化物の存在下、シクロアルカノンオキシム化合物からベックマン転位反応により対応するラクタム化合物を製造するに際し、
(1)該複合酸化物に含まれる珪素とアルミニウムのSi/Al(原子比)が20以上で、かつ、硫黄含有化合物にて処理したもの、
を使用することを特徴とするラクタム化合物の製造方法により解決される。
好ましくは、
(2)液相にて、
(3)反応温度30〜350℃で、
おこなうことを特徴とするラクタム化合物の製造方法により解決される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で使用するシクロアルカノンオキシム化合物は、好ましくは炭素数5〜12個を有する環状脂肪族炭化水素オキシム化合物である。具体的には、シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、シクロヘプタノンオキシム、シクロオクタノンオキシム、シクロノナノンオキシム、シクロデカノンオキシム、シクロウンデカノンオキシム、シクロドデカノンオキシムが挙げられる。好ましくは、シクロヘキサノンオキシム、シクロドデカノンオキシムである。
これらシクロアルカノンオキシムは、塩の形で使用することもできる。塩としては、塩酸塩や硫酸塩で使用される。
また、これらのシクロアルカノンオキシム化合物は、単独での使用ならびに2種以上を混合して使用しても何ら問題はない。
【0008】
本発明で得られる対応するラクタム化合物の具体例としては、シクロペンタノンオキシムからはバレロラクタム、シクロヘキサノンオキシムからはカプロラクタム、シクロヘプタノンオキシムからはエナントラクタム、シクロドデカノンオキシムからはラウロラクタムが挙げられる。
【0009】
本発明で使用する珪素およびアルミニウムを含む複合酸化物は、珪素、アルミニウム、有機溶媒、水、必要に応じてテンプレート剤を原料にして製造できる。得られる複合酸化物の比表面積については、特に制限はないが、好ましくは300m/g以上、より好ましくは600〜1200m/g、更に好ましくは700〜900m/gである。
【0010】
複合酸化物の珪素源としては、珪素のアルコキシド(好ましくはテトラエチルオルトシリケート等の炭素数1〜8の脂肪族アルコールから成るテトラアルキルオルトシリケート)が好ましく用いられる。また、アルミニウム源としては、例えばアルミニウムアルコキシド、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。好ましくはアルミニウムアルコキシド(具体的にはアルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムエトキシド)である。
【0011】
有機溶媒としては、アルコール(好ましくは、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール等の炭素数1〜4の脂肪族アルコール)、ケトン(好ましくは、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケトン等の炭素数3〜8の脂肪族ケトン)などが単独又は複数で用いられるが、アルコール(特にエタノールやイソプロパノール)が好ましい。水を使用する場合は、特に制限はなく、脱イオン水(イオン交換水、蒸留水等)であればよい。
【0012】
テンプレート剤は、使用してもしなくても良いが、比表面積の増大、金属の分散性向上、適切な反応場の形成といった観点から、使用することが好ましい。使用する場合、細孔径がテンプレートの分子サイズによって変化するため、必要とする細孔径に応じて適宜選択することができる。テンプレート剤としては、アルキルアミン、アルキルアンモニウム塩などが好ましく用いられる。
テンプレート剤の中でも、製造コストの観点から一級アルキルアミンが好ましく、その中でも炭素数6〜20の一級アルキルアミンが好ましく、炭素数8〜20の一級アルキルアミンが多孔体にメソ細孔を与えることができるので、さらに好ましい。
なお、前記のアルキルアミンの具体例としては、一級アルキルアミン(好ましくは、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン等の炭素数8〜20のもの)、二級アルキルアミン(好ましくは、N−メチルヘキシルアミン等の主鎖の炭素数6〜20、N−アルキル基の炭素数1〜6のもの)、三級アルキルアミン(好ましくは、N,N−ジメチルドデシルアミン等の主鎖の炭素数8〜20、N−アルキル基の炭素数1〜6のもの)が挙げられ、アルキルアンモニウム塩には、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニムブロミド等の炭素数8〜20のハロゲン化アルキルアンモニウムなどが挙げられる。
【0013】
本発明の珪素とアルミニウムを含む複合酸化物は、例えば、次の手順で製造できるが、これに限るものではない。
なお、Si/Al(原子比)は、20以上であり、好ましくは25≦Si/Al(原子比)≦500、さらに好ましくは、30≦Si/Al(原子比)≦100である。
Si/Al(原子比)が20より小さい場合には、硫黄含有化合物にて処理してもベックマン転位活性の向上が望めず、好ましくない。
(1)混合液1の調製:珪素源1モルと珪素源に対して1〜20倍モルの有機溶媒を混合し、これにアルミニウム源を所定のSi/Al(原子比)になるように加えて、50〜100℃で10分〜5時間攪拌する。
得られる溶液を「混合液1」とする。
(2)混合液2の調製:珪素源に対して、0.1〜10倍モルのテンプレート剤と10〜50倍モルの水を混合する。得られる混合液を「混合液2」とする。
(3)ゲル形成及び熟成:混合液1を混合液2に加えて0〜50℃(但し、水熱合成の場合は0〜150℃)で10分〜5時間激しく攪拌してゲルを形成させ、その後、同温度範囲で12〜400時間熟成させる。次いで、濾過により得られる白色固体を水及びエタノールで洗浄して、80〜120℃で乾燥する。
(4)脱テンプレート処理(焼成):乾燥後の固体を、空気中又は不活性ガス雰囲気下(好ましくは空気又は不活性ガスを流通させながら)、0.1〜20℃/分(好ましくは0.5〜5℃/分)で所定温度まで昇温して、400〜900℃、10分〜4時間の範囲で温度及び時間を選んで、テンプレート剤が除去されるまで焼成する。これにより複合酸化物が得られる。
【0014】
本発明は、珪素とアルミニウムの原子比を20以上にして得られたゲル形成後あるいはその熟成後、さらには焼成した複合酸化物に対して、硫黄含有化合物を接触させて処理する必要がある。好ましくは、複合酸化物に対して、硫黄含有化合物で接触処理する。
硫黄含有化合物としては例えば、HSO、(NHSO、SO、SO、S(n=5〜8)、HSO、H(n=3〜7)、FSOH、CFSOH,ClSOH、SOClが挙げられ、好ましくは、HSO、(NHSO、SOである。
処理方法としては、特に制限はないが、含浸法、気相法、気相蒸着法(CVD法)等を適用できる。
例えば含浸法の場合、所定量の処理剤(特に制限されないが、ジルコニウムに対し0.1〜50倍モル量が好ましい)に複合酸化物を導入し、濾過した後80〜120℃で乾燥する。得られた乾燥物を空気中又は不活性ガス雰囲気下(好ましくは空気又は不活性ガスを流通させながら)、0.1〜20℃/分(好ましくは0.5〜5℃/分)で所定温度まで昇温して、120〜700℃(好ましくは200〜700℃)、10分〜10時間の範囲で温度及び時間を選んで、焼成する。焼成温度があまりに高いと転位活性および収率が低下するため好ましくない。
【0015】
硫黄含有化合物で処理した複合酸化物の使用量は、特に限定されるものではないが、シクロアルカノンオキシム化合物に対し0.000001〜10重量倍用いることができる。
【0016】
本発明のベックマン転位反応は、特に制限されず、気相反応、トリクル反応および液相反応にて実施されるが、好ましくは液相反応である。
液相反応では、必ずしも溶媒を使用する必要はない。溶媒を使用する場合の具体例としては、例えばベンゾニトリル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、カプロニトリル、アジポニトリル、トルニトリル等のニトリル化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、メトキシベンゼン等の芳香族炭化水素化合物、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ドデカン等の脂肪族炭化水素化合物、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、マロン酸ジメチル等のエステル化合物、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール等のアルコール化合物、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド化合物、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン化合物、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル化合物、クロロベンゼン等の含ハロゲン炭化水素化合物等を挙げることができ、これらを単独でも混合しても使用できる。これら溶媒の使用量は、特に限定されるものではないが、シクロアルカノンオキシム化合物に対し、0.1〜10000重量倍使用することができる。
【0017】
本発明の好ましい形態である液相中でのベックマン転位反応は、通常、シクロアルカノンオキシム化合物、珪素およびジルコニウムを含む複合酸化物を、適当な溶媒に導入後、加熱することによって行われる。反応は、通常空気または転位反応に不活性なガスの存在下、好ましくは転位反応に不活性なガスの存在下で行う。転位反応に不活性なガスとしては、窒素、ヘリウム、アルゴン等が挙げられる。反応温度は、通常30〜350℃、好ましくは50℃〜250℃、さらに好ましくは60〜200℃で実施される。反応圧力は、特に限定されるものではなく、常圧下、加圧下いずれでも実施される。
転位反応温度が低すぎると、反応がほとんど進行しない。また、反応温度が高すぎると副反応が進行し、目的物のラクタムの収率が減少し、好ましくない。
反応形式はバッチ反応、連続流通反応いずれでも良く、また縣濁床、固定床、流動床のいずれでも実施される。反応時間或いは滞留時間は反応条件により異なるが、1分〜24時間で実施される。
【0018】
得られるラクタム化合物は、晶析、蒸留操作等により分離・精製される。
【0019】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、Si/Al(原子比)および硫黄の含有量はICP−AES測定装置(ICAP−575II型;日本ジャーレル・アッシュ社製)を用いるICP分析により、比表面積は高速比表面積・細孔径分布測定装置(NOVA−1200;ユアサアイオニクス社製)を用いる窒素吸着によるBET比表面積測定(120℃真空下で30分間前処理)により、X線回折パターン(Cu−Kα線)は粉末X線回折装置(RAD−RX:理学電機社製)を用いてそれぞれ測定した。シクロアルカノンオキシム化合物の転化率およびラクタム化合物の収率は、反応液を液体クロマトグラフィーを用いて分析し、算出した。
【0020】
実施例1
(触媒の調製)
テトラエチルオルトシリケート200mmolとエタノール1.3molとイソプロパノール200mmolを混合し、これにアルミニウムイソプロポキシド6.7mmolを加えて70℃で20分攪拌した。得られた混合液(1)を、ドデシルアミン60mmolと水7.2molの混合液(2)に加えて室温で1時間激しく攪拌した。生成した白色ゲルを室温で113時間熟成させた後、白色固体を濾取して水及びエタノールで洗浄し、105℃で24時間乾燥した。次いで、空気中、室温から600℃まで5℃/分で昇温して、600℃で1時間焼成した。X線回折測定(Cu−Kα線)および窒素吸着測定による窒素吸着等温線から、得られた複合酸化物がメソ多孔体であることを確認した。比表面積は836m/gであった。この複合酸化物についてICP分析を行ったところ、Si/Al(原子比)=30であった。以下、これをAl−MS−30と略記する。
該Al−MS−30の2gを10mlの1規定HSO水溶液に浸し、濾過した後、105℃で24時間乾燥した。この乾燥物を空気中、室温から400℃まで5℃/分で昇温して、400℃で3時間焼成した。以下、これをSO 2−/Al−MS−30と略記する。この複合酸化物について硫黄の含有量をICP分析したところ、1.3重量%であった。
(ベックマン転位反応によるラクタムの合成)
50mlガラス製フラスコに、予め100℃で減圧乾燥処理をしたSO 2−/Al−MS−30を0.05g、50℃で12時間減圧乾燥処理をしたシクロドデカノンオキシムを2.5mmol、ベンゾニトリルを5.0g充填し、90℃で4時間反応を行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は96.4モル%、ラウロラクタムの収率は93.1モル%であった。
【0021】
比較例1
(ベックマン転位反応によるラクタムの合成)
触媒をAl−MS−30に変えたほかは、実施例1と同様に行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は56.9モル%、ラウロラクタムの収率は54.6モル%であった。
【0022】
実施例2
(触媒の調整)
アルミニウムイソプロポキシドを2.0mmolに変えたほかは、実施例1と同様に複合酸化物を調製した。得られた複合酸化物はSi/Al(原子比)=103であり、X線回折測定(Cu−Kα線)からメソ多孔体であることを確認した。比表面積は988m/gであった。以下、これをAl−MS−103と略記する。Al−MS−103を実施例1と同様に1規定HSO水溶液で処理を行った。以下、これをSO 2−/Al−MS−103と略記する。
(ベックマン転位反応によるラクタムの合成)
触媒をSO 2−/Al−MS−103に変えたほかは、実施例1と同様に行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は58.1モル%、ラウロラクタムの収率は56.5モル%であった。
【0023】
比較例2
(ベックマン転位反応によるラクタムの合成)
触媒をAl−MS−103に変えたほかは、実施例1と同様に行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は27.5モル%、ラウロラクタムの収率は21.4モル%であった。
【0024】
比較例3
(触媒の調整)
テトラエチルオルトシリケート200mmolとエタノール1.3molとイソプロパノール200mmolを混合し、これにアルミニウムイソプロポキシド20.0mmolを加えて70℃で20分攪拌した。得られた混合液(1)を、ドデシルアミン60mmolと水7.2molの混合液(2)に加えて室温で1時間激しく攪拌した。生成した白色ゲルを室温で113時間熟成させた後、白色固体を濾取して水及びエタノールで洗浄し、105℃で24時間乾燥した。次いで、100ml/分の窒素気流下、室温から400℃まで5℃/分で昇温して、400℃で4時間焼成した。得られた複合酸化物はSi/Al(原子比)=10であり、X線回折測定(Cu−Kα線)からメソ多孔体であることを確認した。比表面積は1233m/gであった。以下、これをAl−MS−10と略記する。Al−MS−10を実施例1と同様に1規定HSO水溶液で処理を行った。以下、これをSO 2−/Al−MS−10と略記する。
(ベックマン転位反応によるラクタムの合成)
触媒をSO 2−/Al−MS−10に変えたほかは、実施例1と同様に行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は30.6モル%、ラウロラクタムの収率は24.3モル%であった。
【0025】
比較例4
(ベックマン転位反応によるラクタムの合成)
触媒をAl−MS−10に変えたほかは、実施例1と同様に行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は51.2モル%、ラウロラクタムの収率は49.7モル%であった。
【0026】
比較例5
アルミニウムイソプロポキシドを13.3mmolに変えたほかは、実施例1と同様に複合酸化物を調製した。得られた複合酸化物はSi/Al(原子比)=15であり、X線回折測定(Cu−Kα線)からメソ多孔体であることを確認した。比表面積は920m/gであった。以下、これをAl−MS−15と略記する。Al−MS−15を実施例1と同様に1規定HSO水溶液で処理を行った。以下、これをSO 2−/Al−MS−15と略記する。
(ベックマン転位反応によるラクタムの合成)
触媒をSO 2−/Al−MS−15に変えたほかは、実施例1と同様に行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は47.8モル%、ラウロラクタムの収率は46.0モル%であった。
【0027】
比較例6
(ベックマン転位反応によるラクタムの合成)
触媒をAl−MS−15に変えたほかは、実施例1と同様に行った。その結果、シクロドデカノンオキシムの転化率は55.3モル%、ラウロラクタムの収率は53.4モル%であった。
【0028】
以上、実施例1〜2および比較例1〜4をまとめて表1に示した。
【表1】
Figure 2005023014
比較例3および4より珪素とアルミニウムのSi/Al(原子比)が20より小さい場合には、硫黄含有化合物による処理効果が不十分で、ベックマン転位活性の向上が認められない。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、安価な複合酸化物触媒を高活性にすることができ、シクロアルカノンオキシム化合物からラクタム化合物を高収率で製造することができ、経済性にも工業的にも有利な製造方法を提供できる。

Claims (3)

  1. 珪素およびアルミニウムを含む複合酸化物の存在下、シクロアルカノンオキシム化合物からベックマン転位反応により対応するラクタム化合物を製造するに際し、
    (1)該複合酸化物に含まれる珪素とアルミニウムのSi/Al(原子比)が20以上で、かつ、硫黄含有化合物にて処理したもの、
    を使用することを特徴とするラクタム化合物の製造方法。
  2. 反応を
    (2)液相にて、
    (3)反応温度30〜350℃で、
    おこなうことを特徴とする請求項1記載のラクタム化合物の製造方法。
  3. シクロアルカノンオキシム化合物が、シクロドデカノンオキシム及び/又はシクロヘキサノンオキシムである請求項1〜2いずれか1項記載のラクタム化合物の製造方法。
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