JP2005022460A - 分割式弾性クローラ - Google Patents
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Abstract
【課題】外周側接続部と内周側接続部の重合面に異物が侵入し難くなるようにして、両接続部のクローラ幅方向端部からのゴム欠けや亀裂の発生を防止することができる分割式弾性クローラを提供する。
【解決手段】外周側芯金4が埋設された外周側接続部5をクローラ長手方向端部に有する有端帯状のゴム様弾性体よりなる第一セグメント2と、内周側芯金6が埋設された内周側接続部7をクローラ長手方向端部に有する有端帯状のゴム様弾性体よりなる第二セグメント3とを備え、厚さ方向に重ね合わされた両接続部5,7の芯金4,6同士をボルト締結することにより、両セグメント2,3同士を着脱自在でかつ無端帯状に連結するようにした分割式弾性クローラにおいて、内周側接続部7のクローラ幅方向両端面7Aに当接して同端面7Aをクローラ幅方向外側から被覆するフランジ部12を外周側接続部5のクローラ幅方向両端部に一体に形成する。
【選択図】 図3
【解決手段】外周側芯金4が埋設された外周側接続部5をクローラ長手方向端部に有する有端帯状のゴム様弾性体よりなる第一セグメント2と、内周側芯金6が埋設された内周側接続部7をクローラ長手方向端部に有する有端帯状のゴム様弾性体よりなる第二セグメント3とを備え、厚さ方向に重ね合わされた両接続部5,7の芯金4,6同士をボルト締結することにより、両セグメント2,3同士を着脱自在でかつ無端帯状に連結するようにした分割式弾性クローラにおいて、内周側接続部7のクローラ幅方向両端面7Aに当接して同端面7Aをクローラ幅方向外側から被覆するフランジ部12を外周側接続部5のクローラ幅方向両端部に一体に形成する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、農業機械や建設機械等に搭載されたクローラ走行装置に使用される、内部に芯金を有する分割式弾性クローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、農業機械や建設機械等の作業車両においては、無端状に連設された各連結リンクに鉄製のシュープレートを取り付けてなる鉄クローラや、ゴム製の無端帯状のクローラ本体内に多数の芯金とスチールコードを埋設してなる弾性クローラが使用されている。このうち、鉄クローラは、シュープレートが交換可能で耐久性に優れているという利点がある反面、舗装路面を痛めたり走行時の騒音が大きいといった欠点がある。
【0003】
これに対して、弾性クローラは、ゴムを主体としているので、舗装路面を痛めることがなく走行時の騒音も小さいという利点がある反面、小石等を踏みつけることで発生した亀裂からスチールコードが腐食され易く、しかも、そのような部分的な亀裂や偏摩耗を生じた場合でも全体を交換しなければならないため、不経済であるという欠点がある。
そこで、弾性クローラのクローラ本体が一体物であるが故の上記欠点を解消すべく、外周側芯金が埋設された外周側接続部をクローラ長手方向端部に有する有端帯状のゴム様弾性体よりなる第一セグメントと、内周側芯金が埋設された内周側接続部をクローラ長手方向端部に有する有端帯状のゴム様弾性体よりなる第二セグメントとを備え、厚さ方向に重ね合わされた両接続部の芯金同士をボルト締結することにより、両セグメント同士を着脱自在でかつ無端帯状に連結するようにした分割式弾性クローラが既に開発されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
実開平5−32271号公報(請求項1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上記従来の分割式弾性クローラでは、外周側接続部と内周側接続部がいずれも同じ幅寸法に形成されていて、これらを厚さ方向に重ね合わせたときにその接合線が弾性クローラの接続部分のクローラ幅方向端縁に位置するようになっているので、クローラが縁石等に接触した場合にクローラ端部の接合部付近から剥離(耳切れ)が発生したり、この接合線から両接続部の重合面に土砂や小石等が侵入し易くなっている。
【0006】
このため、従来の分割式弾性クローラでは、上記のようにして外周側接続部と内周側接続部の重合面に侵入した異物が原因となって、これら両接続部のクローラ幅方向端部からゴム欠けや亀裂が発生することが多く、しかも、クローラが縁石等に接触するとその端部が耳切れすることが多くなっており、この点で当該分割式弾性クローラの耐久性が低下するという欠点がある。
本発明は、このような実情に鑑み、外周側接続部と内周側接続部の重合面に異物が侵入し難くなるようにして、両接続部のクローラ幅方向端部からのゴム欠けや亀裂の発生を防止することができる分割式弾性クローラを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明は次の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明は、厚さ方向に重ね合わされた両接続部の芯金同士をボルト締結することにより、有端帯状の両セグメント同士を着脱自在でかつ無端帯状に連結するようにした分割式弾性クローラにおいて、内周側接続部のクローラ幅方向両端面に当接して同端面をクローラ幅方向外側から被覆するフランジ部が外周側接続部のクローラ幅方向両端部に一体に形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
上記の本発明によれば、内周側接続部の幅方向両端面に当接して同端面をクローラ幅方向外側から被覆するフランジ部が外周側接続部のクローラ幅方向両端部に一体に形成されているので、外周側接続部と内周側接続部を厚さ方向に重ね合わせたときの接合線が弾性クローラの接続部分の内周側に位置するようになる。このため、かかる接合線が弾性クローラの接続部分のクローラ幅方向端縁に位置する従来の場合に比べて、両接続部の重合面に土砂や小石等が侵入し難くなり、両接続部のクローラ幅方向端部からのゴム欠けや亀裂の発生が防止されることになる。
【0009】
上記の本発明において、クローラ長手方向に沿って延びる多数の補強繊維をクローラ幅方向に並設してなる抗張体が第一セグメントと第二セグメントの内部に埋設されている場合には、この抗張体における前記各セグメントの接続部に対応する部分とこれを包み込む当該接続部のゴム部を、互いにボルト締結される両芯金の間に挟み込むようにすることが好ましい。
この場合、外周側接続部の抗張体とその周囲のゴム部と、内周側接続部の抗張体とその周囲のゴム部とが、芯金同士をボルト締結する際の締め付け力で強固に一体化されることになるので、両セグメント同士を無端帯状に連結してなる当該分割式弾性クローラの接続部分の強度を向上することができる。
【0010】
また、本発明において、クローラ長手方向に沿って延びる多数の補強繊維をクローラ幅方向に並設してなる抗張体を第一及び第二セグメントに埋設する場合には、その第一セグメントに埋設されている抗張体のうちの外周側接続部に対応する部分のそれ以外の部分に対する厚さ方向のずれ量と、前記第二セグメントに埋設されている抗張体のうちの内側側接続部に対応する部分のそれ以外の部分に対する厚さ方向のずれ量とが同じ寸法となるように設定することが好ましい。
この場合、分割式弾性クローラの接続部分(外周側接続部と内周側接続部を重ね合わせた部分)の曲げ中心がそれ以外の部分の曲げ中心とほぼ同じ位置になり、当該弾性クローラの曲げ剛性が周方向でほぼ一定となるので、クローラ走行装置からの脱輪の発生を抑制することができる。
【0011】
更に、本発明において、両接続部を重ね合わせた時に互いに直接当接することになる当接部を両芯金のクローラ幅方向端部に形成するようにすれば、その芯金同士がボルト締結された場合の当該両芯金の端部強度が向上し、この点で、分割式弾性クローラの耐久性をより向上することができる。
なお、本発明は、有端帯状の第一セグメントと第二セグメントを着脱自在でかつ無端帯状に連結してなる分割式弾性クローラ(図1〜図6)だけでなく、無端帯状の無端セグメントの内周側に分割セグメントを着脱自在に固定してなる分割式弾性クローラ(図7〜図9)にも採用することができる。そして、後者のクローラの場合には、分割セグメントのクローラ幅方向両端面に当接して同端面をクローラ幅方向外側から被覆するフランジ部を無端セグメントのクローラ幅方向両端部に一体に形成すればよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図6は本発明の第一実施形態を示している。
本実施形態の弾性クローラ1は、コンバインやハーベスタ等の農用車両やバックホー等の建設車両のクローラ走行装置に用いられるもので、主に湿田や傾斜地の走行に適している。この弾性クローラ1は、亀裂や偏摩耗が生じた場合に一部を交換するだけで済む分割式のものが採用されており、有端帯状のゴム様弾性体よりなるセグメント2,3同士を着脱自在でかつ無端帯状に連結することによって構成されている。
【0013】
すなわち、図3及び図4に示すように、本実施形態の弾性クローラ1は、外周側芯金4が埋設された外周側接続部5をクローラ長手方向(図3及び図4の左右方向)端部に有する有端帯状のゴム様弾性体よりなる第一セグメント2と、内周側芯金6が埋設された内周側接続部7をクローラ長手方向端部に有する有端帯状のゴム様弾性体よりなる第二セグメント3とを備えており、厚さ方向に重ね合わされた両接続部5,7の芯金4,6同士をボルト締結することにより、両セグメント2,3同士を着脱自在でかつ無端帯状に連結するようにしたものである。
【0014】
無端帯状の弾性クローラ1を分割構成する両セグメント2,3のうち、第一セグメント2は、厚さ方向に分割されていない通常断面の中央帯部9と、この中央帯部9のクローラ長手方向両端から同方向に一体に延設された前記外周側接続部5とから構成されている。この外周側接続部5は、中央帯部9の断面から前記内周側接続部7に相当する断面部分を除いた横長扁平のほぼ矩形断面に形成されており、これにより、内周側接続部7がちょうど嵌合する平面視ほぼ矩形状の接続凹部10が外周側接続部5の内周側に形成されている。
他方、第二セグメント3は、厚さ方向に分割されていない通常断面の中央帯部11と、この中央帯部11のクローラ長手方向両端から同方向に一体に延設された前記内周側接続部7とから構成されており、この内周側接続部7は、上記外周側接続部5の接続凹部10と同じ横長扁平のほぼ矩形断面に形成されている。
【0015】
そして、図1及び図3に示すように、外周側接続部5のクローラ幅方向(図1の左右方向、図3及び図4の上下方向)両端部には、内周側接続部7のクローラ幅方向両端面7Aに当接して同端面7Aをクローラ幅方向外側から被覆するフランジ部12が形成されている。このため、内周側接続部7を外周側接続部5の接続凹部10に嵌め込んで両接続部5,7を重ね合わせると、内周側接続部7のクローラ幅方向両端面7Aが接続凹部10のクローラ幅方向両側に位置する各フランジ部12に当接し、このフランジ部12によってクローラ幅方向外側から被覆され、これにより、両接続部5,7の接合線13が弾性クローラ1の接続部分の内周側に位置するようになっている。
【0016】
図2及び図3に示すように、両セグメント2,3の中央帯部9,11には、分割構成されていない一体型の通常芯金14がクローラ長手方向に所定間隔おきに多数埋設されている。他方、第一セグメント2の外周側接続部5には、複数(図例では3つ)の前記外周側芯金4がクローラ長手方向に通常芯金14と同じピッチで埋設され、第二セグメント3の内周側接続部7には、外周側芯金4と同数の前記内周側芯金6がクローラ長手方向に通常芯金14と同じピッチで埋設されている。
【0017】
各セグメント2,3のクローラ幅方向中央部には、駆動スプロケットの係合爪(図示せず。)を挿通可能とすべく、表裏方向に貫通する係合孔15が周方向に一定間隔をおいて形成されており、各セグメント2,3における係合孔15間に位置する部分に、クローラ幅方向に長い前記各芯金4,6,14が埋設されている。
この各芯金4,6,14のうち、前記通常芯金14は、図2に示すように、そのクローラ幅方向の中央部に位置する厚肉部16と、この厚肉部16からクローラ幅方向外側に延びる両翼部17と、転動輪(図示せず。)の転動経路を一定範囲に規制するために厚肉部16の内周側から突設された左右一対の係合突起18とを一体に備えている。
【0018】
図1に示すように、第二セグメント3の内周側接続部7に埋設されている内周側芯金6も、上記厚肉部16、両翼部17及び両係合突起18を有しており、厚さ方向に貫通するボルト挿通孔19が左右両側部に形成されていること以外は、通常芯金14とほぼ同じ形状に形成されている。他方、第一セグメント2の外周側接続部5に埋設されている外周側芯金4は、上記ボルト挿通孔19に対応する位置に雌ねじ孔20を有する短冊状の鋼製板材より構成されている。
【0019】
このため、図1(b)に示すように、内周側接続部7を外周側接続部5の接続凹部10に嵌め込んで両接続部5,7を重ね合わせたあと、内周側芯金6のボルト挿通孔19に固定ボルト21を挿通し、このボルト21の雄ねじ部を外周側芯金4の雌ねじ孔20にねじ込んで締め付ければ、図1(a)に示すように、厚さ方向に重合する両接続部5,7の芯金4,6同士がボルト締結され、これによって第一及び第二グメント2,3を着脱自在に連結できるようになっている。
【0020】
なお、内周側芯金6の厚肉部16とボルト挿通孔19を構成するボス部22はゴム様弾性体の外部に露出しており、また、外周側芯金4の幅方向中央部と雌ねじ孔20を構成するボス部23はゴム様弾性体の外部に露出している。従って、本実施形態の弾性クローラ1では、両接続部5,7を重ね合わせた時に互いに直接当接する当接部が両芯金4,6のクローラ幅方向中央部とボルト挿通部分に形成されていることになる。
【0021】
各セグメント2,3の外周側における通常芯金14の両翼部17に対応する部分には、左右一対のラグ24が突出状に形成されている。この各ラグ24は、断面ほぼ台形状でかつクローラ幅方向に延びるほぼ直線状に形成され、芯金4,6,14と対応する周方向位置でかつ同芯金4,6,14と同じピッチで、各セグメント2,3の外周面(ただし、第二セグメント3の内周側接続部7は除く。)に配置されている。
【0022】
また、各セグメント2,3の断面内における通常芯金14の両翼部17に対応する部分には、クローラ長手方向に沿って延びる多数の補強繊維(スチールコードやケブラー繊維等)をクローラ幅方向に並設してなる抗張体25が埋設されている。そして、図5に示すように、第一セグメント2の内部でクローラ長手方向に延びる抗張体25は、外周側接続部5に対応する部分が中央帯部9に対応する部分に比べて一定寸法tだけ外周側(図5の下側)に偏在するように配置されている。
【0023】
他方、第二セグメント3の内部でクローラ長手方向に延びる抗張体25は、内周側接続部7に対応する部分が中央帯部11に対応する部分に比べて前記と同じ一定寸法tだけ内周側(図5の上側)に偏在するように配置されている。
しかして、本実施形態では、第一セグメント2に埋設されている抗張体25のうちの外周側接続部5に対応する部分の中央帯部9に対する厚さ方向のずれ量と、第二セグメント3に埋設されている抗張体25のうちの内側側接続部7に対応する部分の中央帯部11に対する厚さ方向のずれ量とがいずれも同じ寸法となるように設定されていて、これにより、分割式弾性クローラ1の接続部分(外周側接続部5と内周側接続部7を重ね合わせた部分)の曲げ中心がそれ以外の部分の曲げ中心とほぼ同じ位置になっている。
【0024】
また、図1(a)に示すように、当該抗張体25における各セグメント2,3の接続部5,7に対応する部分とこれを包み込む当該接続部5,7のゴム部が、互いにボルト締結される両芯金4,6の間に挟み込まれるようになっている。
なお、図示していないが、クローラ長手方向に対して傾斜した方向に延びるバイアスコードを並設してなる幅方向補強層を各セグメント2,3の内部に埋設することにしてもよい。
【0025】
上記構成を有する本実施形態の分割式弾性クローラ1によれば、内周側接続部7のクローラ幅方向両端面7Aに当接して同端面7Aをクローラ幅方向外側から被覆するフランジ部12が外周側接続部5のクローラ幅方向両端部に一体に形成されているので、外周側接続部5と内周側接続部7を厚さ方向に重ね合わせたときの接合線13(図1(a)参照)が弾性クローラ1の接続部分の内周側(図1の上側)に位置するようになる。このため、かかる接合線13が弾性クローラ1の接続部分のクローラ幅方向端縁に位置する場合に比べて、クローラ端部が縁石等に接触した場合の耳切れが発生し難くなるとともに、両接続部5,7の重合面に土砂や小石等が侵入し難くなり、両接続部5,7のクローラ幅方向端部からのゴム欠けや亀裂の発生が防止される。
【0026】
また、本実施形態の分割式弾性クローラ1によれば、外周側接続部5の抗張体25とその周囲のゴム部と、内周側接続部7の抗張体25とその周囲のゴム部とが、内外の芯金4,6同士をボルト締結する際の締め付け力で強固に一体化されるようになっているので、当該弾性クローラ1の接続部分の強度を向上することができる。
【0027】
図6は、外周側芯金4と内周側芯金6の変形例を示している。
この変形例では、互いに直接接触すべくゴム様弾性体の外部に露出する当接フランジ26が外周側芯金4及び内周側芯金6のクローラ幅方向両端部に形成されており、これにより、両接続部5,7を重ね合わせた時に互いに直接当接することになる当接部を両芯金4,6のクローラ幅方向端部にも形成するようにしている。従って、この変形例に係る分割式弾性クローラ1によれば、芯金4,6同士がボルト締結された場合の当該両芯金4,6の端部強度が向上し、弾性クローラ1の耐久性がより向上するという利点がある。
【0028】
図7〜図9は本発明の第二実施形態を示している。
本実施形態の分割式弾性クローラ1が第一実施形態のそれと異なるところは、当該クローラ1の内周側に位置する芯金部分だけを交換可能とすべく、無端帯状の無端セグメント28の内周側に分割セグメント29を着脱自在に固定することによって構成されている点にある。
すなわち、本実施形態の分割式弾性クローラ1は、外周側芯金4が周方向で一定間隔おきに埋設された無端帯状のゴム様弾性体よりなる無端セグメント28と、内周側芯金6が埋設されたゴム様弾性体よりなる分割セグメント29とを備えており、厚さ方向に重ね合わされた両セグメント28,29の芯金4,6同士をボルト締結することにより、分割セグメント29を無端セグメント28の内周側に着脱自在に固定するようにしている。
【0029】
そして、図7及び図8(b)に示すように、分割セグメント29のクローラ幅方向両端面29Aに当接して同端面29Aをクローラ幅方向外側から被覆するフランジ部12が無端セグメント28のクローラ幅方向両端部に一体に形成されている。このため、本実施形態の分割式弾性クローラ1においても、無端セグメント28と分割セグメント29を厚さ方向に重ね合わせたときの接合線13(図7(a)参照)が弾性クローラ1の接続部分の内周側(図7の上側)に位置するようになるので、両セグメント28,29の重合面に土砂や小石等が侵入し難くなり、クローラ幅方向端部からのゴム欠けや亀裂の発生が防止される。
【0030】
図9は、外周側芯金4の変形例を示している。
この変形例では、内周側芯金6に直接接触すべくゴム様弾性体の外部に露出する当接フランジ30が外周側芯金4のクローラ幅方向両端部に形成されており、これにより、両セグメント28,29を重ね合わせた時に互いに直接当接することになる当接部を両芯金4,6のクローラ幅方向端部にも形成するようにしている。従って、この変形例に係る分割式弾性クローラ1の場合にも、芯金4,6同士がボルト締結された場合の当該両芯金4,6の端部強度が向上し、弾性クローラ1の耐久性がより向上するという利点がある。
【0031】
なお、前記した各実施形態はすべて例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって規定され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更も本発明に含まれる。
例えば、前記第一実施形態では、第一セグメント2のクローラ長手方向両端部に外周側接続部5を設け、第二セグメント3のクローラ長手方向両端部に内周側接続部7を設けているが、外周側接続部5と内周側接続部7をそれぞれ一端及び他端に有するセグメントを採用することにしてもよい(この場合には、第一及び第二セグメント2,3は同一構造となる。)。
【0032】
また、前記第一実施形態では、芯金間隔の3ピッチ分の長さを有する接続部5,7を採用しているが、当該接続部5,7の長さは芯金間隔の2〜5ピッチ分程度であればよい。なお、第一及び第二セグメント2,3の長さはその両端の接続部5,7を含めて、芯金間隔の10〜25ピッチ分程度の範囲であることが好ましい。
更に、前記第二実施形態では、一つの内周側芯金6のみを有する分割セグメント29が採用されているが、分割セグメント29をクローラ長手方向に長い有端帯状のものとし、かかる分割セグメント29に対して複数個の内周側芯金6を埋設するようにしてもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、縁石等に接触した場合に耳切れが発生し難くなるとともに、外周側接続部と内周側接続部の重合面に異物が侵入し難くなるので、両接続部の幅方向端部からのゴム欠けや亀裂の発生が防止され、分割式弾性クローラの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は第一実施形態に係る分割式弾性クローラの接続部分の横断面図であり、(b)はその接続部分の分解図である。
【図2】第一及び第二セグメントの中央帯部の横断面図(図4のA−A線及びB−B線断面図)である。
【図3】第一及び第二セグメントの接続状態を内周側から見た平面図である。
【図4】第一及び第二セグメントの接続状態を外周側から見た平面図である。
【図5】第一及び第二セグメントの接続状態を示す縦断面図である。
【図6】芯金の変形例を示すための分割式弾性クローラの接続部分の横断面図である。
【図7】(a)は第二実施形態に係る分割式弾性クローラの接続部分の横断面図であり、(b)はその接続部分の分解図である。
【図8】(a)は第二実施形態に係る分割式弾性クローラを外周側から見た平面図であり、(b)は同クローラを外周側から見た平面図である。
【図9】芯金の変形例を示すための分割式弾性クローラの横断面図である。
【符号の説明】
1 分割式弾性クローラ
2 第一セグメント
3 第二セグメント
4 外周側芯金
5 外周側接続部
6 内周側芯金
7 内周側接続部
7A 端面
12 フランジ部
25 抗張体
28 無端セグメント
29 分割セグメント
29A 端面
【発明の属する技術分野】
本発明は、農業機械や建設機械等に搭載されたクローラ走行装置に使用される、内部に芯金を有する分割式弾性クローラに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、農業機械や建設機械等の作業車両においては、無端状に連設された各連結リンクに鉄製のシュープレートを取り付けてなる鉄クローラや、ゴム製の無端帯状のクローラ本体内に多数の芯金とスチールコードを埋設してなる弾性クローラが使用されている。このうち、鉄クローラは、シュープレートが交換可能で耐久性に優れているという利点がある反面、舗装路面を痛めたり走行時の騒音が大きいといった欠点がある。
【0003】
これに対して、弾性クローラは、ゴムを主体としているので、舗装路面を痛めることがなく走行時の騒音も小さいという利点がある反面、小石等を踏みつけることで発生した亀裂からスチールコードが腐食され易く、しかも、そのような部分的な亀裂や偏摩耗を生じた場合でも全体を交換しなければならないため、不経済であるという欠点がある。
そこで、弾性クローラのクローラ本体が一体物であるが故の上記欠点を解消すべく、外周側芯金が埋設された外周側接続部をクローラ長手方向端部に有する有端帯状のゴム様弾性体よりなる第一セグメントと、内周側芯金が埋設された内周側接続部をクローラ長手方向端部に有する有端帯状のゴム様弾性体よりなる第二セグメントとを備え、厚さ方向に重ね合わされた両接続部の芯金同士をボルト締結することにより、両セグメント同士を着脱自在でかつ無端帯状に連結するようにした分割式弾性クローラが既に開発されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
実開平5−32271号公報(請求項1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上記従来の分割式弾性クローラでは、外周側接続部と内周側接続部がいずれも同じ幅寸法に形成されていて、これらを厚さ方向に重ね合わせたときにその接合線が弾性クローラの接続部分のクローラ幅方向端縁に位置するようになっているので、クローラが縁石等に接触した場合にクローラ端部の接合部付近から剥離(耳切れ)が発生したり、この接合線から両接続部の重合面に土砂や小石等が侵入し易くなっている。
【0006】
このため、従来の分割式弾性クローラでは、上記のようにして外周側接続部と内周側接続部の重合面に侵入した異物が原因となって、これら両接続部のクローラ幅方向端部からゴム欠けや亀裂が発生することが多く、しかも、クローラが縁石等に接触するとその端部が耳切れすることが多くなっており、この点で当該分割式弾性クローラの耐久性が低下するという欠点がある。
本発明は、このような実情に鑑み、外周側接続部と内周側接続部の重合面に異物が侵入し難くなるようにして、両接続部のクローラ幅方向端部からのゴム欠けや亀裂の発生を防止することができる分割式弾性クローラを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成すべく、本発明は次の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明は、厚さ方向に重ね合わされた両接続部の芯金同士をボルト締結することにより、有端帯状の両セグメント同士を着脱自在でかつ無端帯状に連結するようにした分割式弾性クローラにおいて、内周側接続部のクローラ幅方向両端面に当接して同端面をクローラ幅方向外側から被覆するフランジ部が外周側接続部のクローラ幅方向両端部に一体に形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
上記の本発明によれば、内周側接続部の幅方向両端面に当接して同端面をクローラ幅方向外側から被覆するフランジ部が外周側接続部のクローラ幅方向両端部に一体に形成されているので、外周側接続部と内周側接続部を厚さ方向に重ね合わせたときの接合線が弾性クローラの接続部分の内周側に位置するようになる。このため、かかる接合線が弾性クローラの接続部分のクローラ幅方向端縁に位置する従来の場合に比べて、両接続部の重合面に土砂や小石等が侵入し難くなり、両接続部のクローラ幅方向端部からのゴム欠けや亀裂の発生が防止されることになる。
【0009】
上記の本発明において、クローラ長手方向に沿って延びる多数の補強繊維をクローラ幅方向に並設してなる抗張体が第一セグメントと第二セグメントの内部に埋設されている場合には、この抗張体における前記各セグメントの接続部に対応する部分とこれを包み込む当該接続部のゴム部を、互いにボルト締結される両芯金の間に挟み込むようにすることが好ましい。
この場合、外周側接続部の抗張体とその周囲のゴム部と、内周側接続部の抗張体とその周囲のゴム部とが、芯金同士をボルト締結する際の締め付け力で強固に一体化されることになるので、両セグメント同士を無端帯状に連結してなる当該分割式弾性クローラの接続部分の強度を向上することができる。
【0010】
また、本発明において、クローラ長手方向に沿って延びる多数の補強繊維をクローラ幅方向に並設してなる抗張体を第一及び第二セグメントに埋設する場合には、その第一セグメントに埋設されている抗張体のうちの外周側接続部に対応する部分のそれ以外の部分に対する厚さ方向のずれ量と、前記第二セグメントに埋設されている抗張体のうちの内側側接続部に対応する部分のそれ以外の部分に対する厚さ方向のずれ量とが同じ寸法となるように設定することが好ましい。
この場合、分割式弾性クローラの接続部分(外周側接続部と内周側接続部を重ね合わせた部分)の曲げ中心がそれ以外の部分の曲げ中心とほぼ同じ位置になり、当該弾性クローラの曲げ剛性が周方向でほぼ一定となるので、クローラ走行装置からの脱輪の発生を抑制することができる。
【0011】
更に、本発明において、両接続部を重ね合わせた時に互いに直接当接することになる当接部を両芯金のクローラ幅方向端部に形成するようにすれば、その芯金同士がボルト締結された場合の当該両芯金の端部強度が向上し、この点で、分割式弾性クローラの耐久性をより向上することができる。
なお、本発明は、有端帯状の第一セグメントと第二セグメントを着脱自在でかつ無端帯状に連結してなる分割式弾性クローラ(図1〜図6)だけでなく、無端帯状の無端セグメントの内周側に分割セグメントを着脱自在に固定してなる分割式弾性クローラ(図7〜図9)にも採用することができる。そして、後者のクローラの場合には、分割セグメントのクローラ幅方向両端面に当接して同端面をクローラ幅方向外側から被覆するフランジ部を無端セグメントのクローラ幅方向両端部に一体に形成すればよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図6は本発明の第一実施形態を示している。
本実施形態の弾性クローラ1は、コンバインやハーベスタ等の農用車両やバックホー等の建設車両のクローラ走行装置に用いられるもので、主に湿田や傾斜地の走行に適している。この弾性クローラ1は、亀裂や偏摩耗が生じた場合に一部を交換するだけで済む分割式のものが採用されており、有端帯状のゴム様弾性体よりなるセグメント2,3同士を着脱自在でかつ無端帯状に連結することによって構成されている。
【0013】
すなわち、図3及び図4に示すように、本実施形態の弾性クローラ1は、外周側芯金4が埋設された外周側接続部5をクローラ長手方向(図3及び図4の左右方向)端部に有する有端帯状のゴム様弾性体よりなる第一セグメント2と、内周側芯金6が埋設された内周側接続部7をクローラ長手方向端部に有する有端帯状のゴム様弾性体よりなる第二セグメント3とを備えており、厚さ方向に重ね合わされた両接続部5,7の芯金4,6同士をボルト締結することにより、両セグメント2,3同士を着脱自在でかつ無端帯状に連結するようにしたものである。
【0014】
無端帯状の弾性クローラ1を分割構成する両セグメント2,3のうち、第一セグメント2は、厚さ方向に分割されていない通常断面の中央帯部9と、この中央帯部9のクローラ長手方向両端から同方向に一体に延設された前記外周側接続部5とから構成されている。この外周側接続部5は、中央帯部9の断面から前記内周側接続部7に相当する断面部分を除いた横長扁平のほぼ矩形断面に形成されており、これにより、内周側接続部7がちょうど嵌合する平面視ほぼ矩形状の接続凹部10が外周側接続部5の内周側に形成されている。
他方、第二セグメント3は、厚さ方向に分割されていない通常断面の中央帯部11と、この中央帯部11のクローラ長手方向両端から同方向に一体に延設された前記内周側接続部7とから構成されており、この内周側接続部7は、上記外周側接続部5の接続凹部10と同じ横長扁平のほぼ矩形断面に形成されている。
【0015】
そして、図1及び図3に示すように、外周側接続部5のクローラ幅方向(図1の左右方向、図3及び図4の上下方向)両端部には、内周側接続部7のクローラ幅方向両端面7Aに当接して同端面7Aをクローラ幅方向外側から被覆するフランジ部12が形成されている。このため、内周側接続部7を外周側接続部5の接続凹部10に嵌め込んで両接続部5,7を重ね合わせると、内周側接続部7のクローラ幅方向両端面7Aが接続凹部10のクローラ幅方向両側に位置する各フランジ部12に当接し、このフランジ部12によってクローラ幅方向外側から被覆され、これにより、両接続部5,7の接合線13が弾性クローラ1の接続部分の内周側に位置するようになっている。
【0016】
図2及び図3に示すように、両セグメント2,3の中央帯部9,11には、分割構成されていない一体型の通常芯金14がクローラ長手方向に所定間隔おきに多数埋設されている。他方、第一セグメント2の外周側接続部5には、複数(図例では3つ)の前記外周側芯金4がクローラ長手方向に通常芯金14と同じピッチで埋設され、第二セグメント3の内周側接続部7には、外周側芯金4と同数の前記内周側芯金6がクローラ長手方向に通常芯金14と同じピッチで埋設されている。
【0017】
各セグメント2,3のクローラ幅方向中央部には、駆動スプロケットの係合爪(図示せず。)を挿通可能とすべく、表裏方向に貫通する係合孔15が周方向に一定間隔をおいて形成されており、各セグメント2,3における係合孔15間に位置する部分に、クローラ幅方向に長い前記各芯金4,6,14が埋設されている。
この各芯金4,6,14のうち、前記通常芯金14は、図2に示すように、そのクローラ幅方向の中央部に位置する厚肉部16と、この厚肉部16からクローラ幅方向外側に延びる両翼部17と、転動輪(図示せず。)の転動経路を一定範囲に規制するために厚肉部16の内周側から突設された左右一対の係合突起18とを一体に備えている。
【0018】
図1に示すように、第二セグメント3の内周側接続部7に埋設されている内周側芯金6も、上記厚肉部16、両翼部17及び両係合突起18を有しており、厚さ方向に貫通するボルト挿通孔19が左右両側部に形成されていること以外は、通常芯金14とほぼ同じ形状に形成されている。他方、第一セグメント2の外周側接続部5に埋設されている外周側芯金4は、上記ボルト挿通孔19に対応する位置に雌ねじ孔20を有する短冊状の鋼製板材より構成されている。
【0019】
このため、図1(b)に示すように、内周側接続部7を外周側接続部5の接続凹部10に嵌め込んで両接続部5,7を重ね合わせたあと、内周側芯金6のボルト挿通孔19に固定ボルト21を挿通し、このボルト21の雄ねじ部を外周側芯金4の雌ねじ孔20にねじ込んで締め付ければ、図1(a)に示すように、厚さ方向に重合する両接続部5,7の芯金4,6同士がボルト締結され、これによって第一及び第二グメント2,3を着脱自在に連結できるようになっている。
【0020】
なお、内周側芯金6の厚肉部16とボルト挿通孔19を構成するボス部22はゴム様弾性体の外部に露出しており、また、外周側芯金4の幅方向中央部と雌ねじ孔20を構成するボス部23はゴム様弾性体の外部に露出している。従って、本実施形態の弾性クローラ1では、両接続部5,7を重ね合わせた時に互いに直接当接する当接部が両芯金4,6のクローラ幅方向中央部とボルト挿通部分に形成されていることになる。
【0021】
各セグメント2,3の外周側における通常芯金14の両翼部17に対応する部分には、左右一対のラグ24が突出状に形成されている。この各ラグ24は、断面ほぼ台形状でかつクローラ幅方向に延びるほぼ直線状に形成され、芯金4,6,14と対応する周方向位置でかつ同芯金4,6,14と同じピッチで、各セグメント2,3の外周面(ただし、第二セグメント3の内周側接続部7は除く。)に配置されている。
【0022】
また、各セグメント2,3の断面内における通常芯金14の両翼部17に対応する部分には、クローラ長手方向に沿って延びる多数の補強繊維(スチールコードやケブラー繊維等)をクローラ幅方向に並設してなる抗張体25が埋設されている。そして、図5に示すように、第一セグメント2の内部でクローラ長手方向に延びる抗張体25は、外周側接続部5に対応する部分が中央帯部9に対応する部分に比べて一定寸法tだけ外周側(図5の下側)に偏在するように配置されている。
【0023】
他方、第二セグメント3の内部でクローラ長手方向に延びる抗張体25は、内周側接続部7に対応する部分が中央帯部11に対応する部分に比べて前記と同じ一定寸法tだけ内周側(図5の上側)に偏在するように配置されている。
しかして、本実施形態では、第一セグメント2に埋設されている抗張体25のうちの外周側接続部5に対応する部分の中央帯部9に対する厚さ方向のずれ量と、第二セグメント3に埋設されている抗張体25のうちの内側側接続部7に対応する部分の中央帯部11に対する厚さ方向のずれ量とがいずれも同じ寸法となるように設定されていて、これにより、分割式弾性クローラ1の接続部分(外周側接続部5と内周側接続部7を重ね合わせた部分)の曲げ中心がそれ以外の部分の曲げ中心とほぼ同じ位置になっている。
【0024】
また、図1(a)に示すように、当該抗張体25における各セグメント2,3の接続部5,7に対応する部分とこれを包み込む当該接続部5,7のゴム部が、互いにボルト締結される両芯金4,6の間に挟み込まれるようになっている。
なお、図示していないが、クローラ長手方向に対して傾斜した方向に延びるバイアスコードを並設してなる幅方向補強層を各セグメント2,3の内部に埋設することにしてもよい。
【0025】
上記構成を有する本実施形態の分割式弾性クローラ1によれば、内周側接続部7のクローラ幅方向両端面7Aに当接して同端面7Aをクローラ幅方向外側から被覆するフランジ部12が外周側接続部5のクローラ幅方向両端部に一体に形成されているので、外周側接続部5と内周側接続部7を厚さ方向に重ね合わせたときの接合線13(図1(a)参照)が弾性クローラ1の接続部分の内周側(図1の上側)に位置するようになる。このため、かかる接合線13が弾性クローラ1の接続部分のクローラ幅方向端縁に位置する場合に比べて、クローラ端部が縁石等に接触した場合の耳切れが発生し難くなるとともに、両接続部5,7の重合面に土砂や小石等が侵入し難くなり、両接続部5,7のクローラ幅方向端部からのゴム欠けや亀裂の発生が防止される。
【0026】
また、本実施形態の分割式弾性クローラ1によれば、外周側接続部5の抗張体25とその周囲のゴム部と、内周側接続部7の抗張体25とその周囲のゴム部とが、内外の芯金4,6同士をボルト締結する際の締め付け力で強固に一体化されるようになっているので、当該弾性クローラ1の接続部分の強度を向上することができる。
【0027】
図6は、外周側芯金4と内周側芯金6の変形例を示している。
この変形例では、互いに直接接触すべくゴム様弾性体の外部に露出する当接フランジ26が外周側芯金4及び内周側芯金6のクローラ幅方向両端部に形成されており、これにより、両接続部5,7を重ね合わせた時に互いに直接当接することになる当接部を両芯金4,6のクローラ幅方向端部にも形成するようにしている。従って、この変形例に係る分割式弾性クローラ1によれば、芯金4,6同士がボルト締結された場合の当該両芯金4,6の端部強度が向上し、弾性クローラ1の耐久性がより向上するという利点がある。
【0028】
図7〜図9は本発明の第二実施形態を示している。
本実施形態の分割式弾性クローラ1が第一実施形態のそれと異なるところは、当該クローラ1の内周側に位置する芯金部分だけを交換可能とすべく、無端帯状の無端セグメント28の内周側に分割セグメント29を着脱自在に固定することによって構成されている点にある。
すなわち、本実施形態の分割式弾性クローラ1は、外周側芯金4が周方向で一定間隔おきに埋設された無端帯状のゴム様弾性体よりなる無端セグメント28と、内周側芯金6が埋設されたゴム様弾性体よりなる分割セグメント29とを備えており、厚さ方向に重ね合わされた両セグメント28,29の芯金4,6同士をボルト締結することにより、分割セグメント29を無端セグメント28の内周側に着脱自在に固定するようにしている。
【0029】
そして、図7及び図8(b)に示すように、分割セグメント29のクローラ幅方向両端面29Aに当接して同端面29Aをクローラ幅方向外側から被覆するフランジ部12が無端セグメント28のクローラ幅方向両端部に一体に形成されている。このため、本実施形態の分割式弾性クローラ1においても、無端セグメント28と分割セグメント29を厚さ方向に重ね合わせたときの接合線13(図7(a)参照)が弾性クローラ1の接続部分の内周側(図7の上側)に位置するようになるので、両セグメント28,29の重合面に土砂や小石等が侵入し難くなり、クローラ幅方向端部からのゴム欠けや亀裂の発生が防止される。
【0030】
図9は、外周側芯金4の変形例を示している。
この変形例では、内周側芯金6に直接接触すべくゴム様弾性体の外部に露出する当接フランジ30が外周側芯金4のクローラ幅方向両端部に形成されており、これにより、両セグメント28,29を重ね合わせた時に互いに直接当接することになる当接部を両芯金4,6のクローラ幅方向端部にも形成するようにしている。従って、この変形例に係る分割式弾性クローラ1の場合にも、芯金4,6同士がボルト締結された場合の当該両芯金4,6の端部強度が向上し、弾性クローラ1の耐久性がより向上するという利点がある。
【0031】
なお、前記した各実施形態はすべて例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって規定され、そこに記載された構成と均等の範囲内のすべての変更も本発明に含まれる。
例えば、前記第一実施形態では、第一セグメント2のクローラ長手方向両端部に外周側接続部5を設け、第二セグメント3のクローラ長手方向両端部に内周側接続部7を設けているが、外周側接続部5と内周側接続部7をそれぞれ一端及び他端に有するセグメントを採用することにしてもよい(この場合には、第一及び第二セグメント2,3は同一構造となる。)。
【0032】
また、前記第一実施形態では、芯金間隔の3ピッチ分の長さを有する接続部5,7を採用しているが、当該接続部5,7の長さは芯金間隔の2〜5ピッチ分程度であればよい。なお、第一及び第二セグメント2,3の長さはその両端の接続部5,7を含めて、芯金間隔の10〜25ピッチ分程度の範囲であることが好ましい。
更に、前記第二実施形態では、一つの内周側芯金6のみを有する分割セグメント29が採用されているが、分割セグメント29をクローラ長手方向に長い有端帯状のものとし、かかる分割セグメント29に対して複数個の内周側芯金6を埋設するようにしてもよい。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、縁石等に接触した場合に耳切れが発生し難くなるとともに、外周側接続部と内周側接続部の重合面に異物が侵入し難くなるので、両接続部の幅方向端部からのゴム欠けや亀裂の発生が防止され、分割式弾性クローラの耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は第一実施形態に係る分割式弾性クローラの接続部分の横断面図であり、(b)はその接続部分の分解図である。
【図2】第一及び第二セグメントの中央帯部の横断面図(図4のA−A線及びB−B線断面図)である。
【図3】第一及び第二セグメントの接続状態を内周側から見た平面図である。
【図4】第一及び第二セグメントの接続状態を外周側から見た平面図である。
【図5】第一及び第二セグメントの接続状態を示す縦断面図である。
【図6】芯金の変形例を示すための分割式弾性クローラの接続部分の横断面図である。
【図7】(a)は第二実施形態に係る分割式弾性クローラの接続部分の横断面図であり、(b)はその接続部分の分解図である。
【図8】(a)は第二実施形態に係る分割式弾性クローラを外周側から見た平面図であり、(b)は同クローラを外周側から見た平面図である。
【図9】芯金の変形例を示すための分割式弾性クローラの横断面図である。
【符号の説明】
1 分割式弾性クローラ
2 第一セグメント
3 第二セグメント
4 外周側芯金
5 外周側接続部
6 内周側芯金
7 内周側接続部
7A 端面
12 フランジ部
25 抗張体
28 無端セグメント
29 分割セグメント
29A 端面
Claims (5)
- 外周側芯金(4)が埋設された外周側接続部(5)をクローラ長手方向端部に有する有端帯状のゴム様弾性体よりなる第一セグメント(2)と、内周側芯金(6)が埋設された内周側接続部(7)をクローラ長手方向端部に有する有端帯状のゴム様弾性体よりなる第二セグメント(3)とを備え、厚さ方向に重ね合わされた前記両接続部(5,7)の芯金(4,6)同士をボルト締結することにより、前記両セグメント(2,3)同士を着脱自在でかつ無端帯状に連結するようにした分割式弾性クローラにおいて、
前記内周側接続部(7)のクローラ幅方向両端面(7A)に当接して同端面(7A)をクローラ幅方向外側から被覆するフランジ部(12)が前記外周側接続部(5)のクローラ幅方向両端部に一体に形成されていることを特徴とする分割式弾性クローラ。 - クローラ長手方向に沿って延びる多数の補強繊維をクローラ幅方向に並設してなる抗張体(25)が第一セグメント(2)と第二セグメント(3)の内部に埋設され、この抗張体(25)における前記各セグメント(2,3)の接続部(5,7)に対応する部分とこれを包み込む当該接続部(5,7)のゴム部が、互いにボルト締結される両芯金(4,6)の間に挟み込まれている請求項1に記載の分割式弾性クローラ。
- クローラ長手方向に沿って延びる多数の補強繊維をクローラ幅方向に並設してなる抗張体(25)が第一及び第二セグメント(2,3)に埋設され、その第一セグメント(2)に埋設されている抗張体(25)のうちの外周側接続部(5)に対応する部分のそれ以外の部分に対する厚さ方向のずれ量と、前記第二セグメント(3)に埋設されている抗張体(25)のうちの内側側接続部(7)に対応する部分のそれ以外の部分に対する厚さ方向のずれ量とが同じ寸法となるように設定されている請求項1又は2に記載の分割式弾性クローラ。
- 両接続部(5,7)を重ね合わせた時に互いに直接当接することになる当接部が両芯金(4,6)のクローラ幅方向端部に形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の分割式弾性クローラ。
- 外周側芯金(4)が周方向で一定間隔おきに埋設された無端帯状のゴム様弾性体よりなる無端セグメント(28)と、内周側芯金(6)が埋設されたゴム様弾性体よりなる分割セグメント(29)とを備え、厚さ方向に重ね合わされた前記両セグメント(28,29)の芯金(4,6)同士をボルト締結することにより、前記分割セグメント(29)を前記無端セグメント(28)の内周側に着脱自在に固定するようにした分割式弾性クローラであって、
前記分割セグメント(29)のクローラ幅方向両端面(29A)に当接して同端面(29A)をクローラ幅方向外側から被覆するフランジ部(12)が前記無端セグメント(28)のクローラ幅方向両端部に一体に形成されていることを特徴とする分割式弾性クローラ。
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