本発明をカラーフィルタ基板の製造装置に適用した例を説明する。
図1(a)および(b)に示す基板10Aは、後述する製造装置1(図2)による処理を経て、カラーフィルタ基板10となる基板である。基板10Aは、マトリクス状に配置された複数の被吐出部18R,18G、18Bを有する。
具体的には、基板10Aは、光透過性を有する支持基板12と、支持基板12上に形成されたブラックマトリクス14と、ブラックマトリクス14上に形成されたバンク16と、を含む。ブラックマトリクス14は遮光性を有する材料で形成されている。そして、ブラックマトリクス14とブラックマトリクス14上のバンク16とは、支持基板12上にマトリクス状の複数の光透過部分、すなわちマトリクス状の複数の画素領域、が規定されるように位置している。
それぞれの画素領域において、支持基板12、ブラックマトリクス14、およびバンク16で規定される凹部は、被吐出部18R、被吐出部18G、被吐出部18Bに対応する。被吐出部18Rは、赤の波長域の光線のみを透過するフィルタ層111FRが形成されるべき領域であり、被吐出部18Gは、緑の波長域の光線のみを透過するフィルタ層111FGが形成されるべき領域であり、被吐出部18Bは、青の波長域の光線のみを透過するフィルタ層111FBが形成されるべき領域である。
図1(b)に示す基板10Aは、X軸方向およびY軸方向で規定される仮想平面と平行に位置している。そして、複数の被吐出部18R,18G、18Bが形成するマトリクスの行方向および列方向は、それぞれX軸方向およびY軸方向と平行である。基板10Aにおいて、被吐出部18R、被吐出部18G、および被吐出部18Bは、X軸方向にこの順番で周期的に並んでいる。一方、被吐出部18R同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでおり、また、被吐出部18G同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでおり、そして、被吐出部18B同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでいる。
被吐出部18R同士のX軸方向に沿った間隔LRXは、ほぼ560μmである。この間隔は、被吐出部18G同士のX軸方向に沿った間隔LGXと同じであり、被吐出部18B同士のX軸方向に沿った間隔LBXとも同じである。また、被吐出部18RのX軸方向の長さはほぼ100μmであり、Y軸方向の長さはほぼ300μmである。被吐出部18Gおよび被吐出部18Bも被吐出部18Rと同じ大きさを有している。被吐出部同士の上記間隔および被吐出部の上記大きさは、40インチ程度の大きさのハイビジョンテレビにおいて、同一色に対応する画素領域同士の間隔に対応する。
図2に示す製造装置1は、図1の基板10Aの被吐出部18R、18G、18Bのそれぞれに対して、対応するカラーフィルタ材料を吐出する装置である。具体的には、製造装置1は、被吐出部18Rのすべてにカラーフィルタ材料111Rを塗布する吐出装置100Rと、被吐出部18R上のカラーフィルタ材料111Rを乾燥させる乾燥装置150Rと、被吐出部18Gのすべてにカラーフィルタ材料111Gを塗布する100Gと、被吐出部18G上のカラーフィルタ材料111Gを乾燥させる乾燥装置150Gと、被吐出部18Bのすべてにカラーフィルタ材料111Bを塗布する100Bと、被吐出部18Bのカラーフィルタ材料111Bを乾燥させる乾燥装置150Bと、カラーフィルタ材料111R、111G、111Bを再度加熱(ポストベーク)するオーブン160と、ポストベークされたカラーフィルタ材料111R,111G、111Bの層の上に保護膜16を設ける吐出装置100Cと、保護膜16を乾燥させる乾燥装置150Cと、乾燥された保護膜16を再度加熱して硬化する硬化装置165と、を備えている。さらに製造装置1は、吐出装置100R、乾燥装置150R、吐出装置100G、乾燥装置150G、吐出装置100B、乾燥装置150B、吐出装置100C、乾燥装置150C、硬化装置165の順番に基板10Aを搬送する搬送装置170も備えている。
図3に示すように、吐出装置100Rは、液状のカラーフィルタ材料111Rを保持するタンク101Rと、チューブ110Rを介してタンク101Rからカラーフィルタ材料111Rが供給される吐出走査部102と、を備える。吐出走査部102は、それぞれがカラーフィルタ材料を吐出可能な複数のヘッド114(図4)を有するキャリッジ103と、キャリッジ103の位置を制御する第1位置制御装置104と、基板10Aを保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第2位置制御装置108と、制御部112と、を備えている。タンク101Rと、キャリッジ103における複数のヘッド114と、はチューブ110Rで連結されており、タンク101Rから複数のヘッド114のそれぞれに液状のカラーフィルタ材料111Rが圧縮空気によって供給される。
本実施例における液状のカラーフィルタ材料は、本発明の液状の材料の一例である。液状の材料とは、ノズルから吐出可能な粘度を有する材料をいう。この場合、材料が水性であると油性であるとを問わない。ノズルから吐出可能な流動性(粘度)を備えていれば十分で、固体物質が混入していても全体として流動体であればよい。
第1位置制御装置104はリニアモータを備えており、制御部112からの信号に応じて、キャリッジ103をX軸方向、およびX軸方向と直交するZ軸方向に沿って移動させる。第2位置制御装置108はリニアモータを備えており、制御部112からの信号に応じて、X軸方向およびZ軸方向の両方と直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させる。ステージ106はX軸方向およびY軸方向の双方と平行な平面を有していて、この平面上に基板10Aを固定できるように構成されている。ステージ106が基板10Aを固定するので、ステージ106は被吐出部18R、18G、18Bの位置を決定できる。なお、本実施例の基板10Aは、受容基板の一例である。
第1位置制御装置104は、さらに、Z軸方向に平行な所定の軸の回りでキャリッジ103を回転させる機能も有する。Z軸方向とは、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。第1位置制御装置104によるキャリッジ103のZ軸方向に平行な所定の軸の回りでの回転によって、受容基板上に固定された座標系におけるX軸およびY軸を、X軸方向およびY軸方向とそれぞれ平行にできる。本実施例では、X軸方向およびY軸方向は、ともにステージ106に対してキャリッジが相対移動する方向である。本明細書では、第1位置制御措置104および第2位置制御装置108を「走査部」と表記することもある。
キャリッジ103およびステージ106は上記以外の平行移動および回転の自由度をさらに有している。ただし、本実施例では、上記自由度以外の自由度に関する記載は説明を平易にする目的で省略されている。
制御部112は、カラーフィルタ材料111Rを吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。制御部112の詳細な機能は、後述する。
図4に示すように、キャリッジ103は、互いに同じ構造を有する複数のヘッド114を保持している。ここで、図4は、キャリッジ103をステージ106側から観察した図であり、このため図面に垂直な方向がZ軸方向である。本実施例では、キャリッジ103には4個のヘッド114からなる列が2列配置されている。それぞれのヘッド114の長手方向とX軸方向との間の角度ANは0°になるように、ヘッド114のそれぞれがキャリッジ103に固定されている。ただし、変形例で説明するように、この角度ANは可変である。
図5に示すように、カラーフィルタ材料111Rを吐出するためのヘッド114は、それぞれがヘッド114の長手方向に延びる2つのノズル列116を有している。ノズル列116とは、180個のノズル118が一列に並んだ列のことである。ノズル列116の方向をノズル列方向HXと表記する。ノズル列方向HXに沿ったノズル118の間隔は、約140μmである。また、図5において、1つのヘッド114における2つのノズル列116は、互いに半ピッチ(約70μm)だけ互いにずれて位置している。さらに、ノズル118の直径は、およそ27μmである。上述したように、ヘッド114の長手方向とX軸方向との間の角度が角度ANだから、ノズル列方向HX、すなわち180個のノズル118が一列に並ぶ方向とX軸方向との間の角度も角度ANである。なお、複数のノズル118のそれぞれの端部は、上記X軸方向およびY軸方向で定義される仮想的な平面上に位置している。また、ヘッド114がほぼZ軸と平行に材料を吐出できるように、複数のノズル118のそれぞれの形状が調整されている。
図6(a)および(b)に示すように、それぞれのヘッド114は、インクジェットヘッドである。より具体的には、それぞれのヘッド114は、振動板126と、ノズルプレート128と、を備えている。振動板126と、ノズルプレート126と、の間には、タンク101Rから孔131を介して供給される液状のカラーフィルタ材料111Rが常に充填される液たまり129が位置している。また、振動板126と、ノズルプレート128と、の間には、複数の隔壁122が位置している。そして、振動板126と、ノズルプレート128と、1対の隔壁122と、によって囲まれた部分がキャビティ120である。キャビティ120はノズル118に対応して設けられているため、キャビティ120の数とノズル118の数とは同じである。キャビティ120には、1対の隔壁122間に位置する供給口130を介して、液たまり129からカラーフィルタ材料111Rが供給される。
振動板126上には、それぞれのキャビティ120に対応して、振動子124が位置する。振動子124は、ピエゾ素子124Cと、ピエゾ素子124Cを挟む1対の電極124A、124Bと、を含む。この1対の電極124A、124Bに駆動電圧を与えることで、対応するノズル118から液状のカラーフィルタ材料111Rが吐出される。
制御部112(図3)は、複数の振動子124のそれぞれに互いに独立な信号を与えるように構成されている。このため、ノズル118から吐出されるカラーフィルタ材料111Rの体積は、制御部112からの信号に応じてノズル118毎に制御される。さらに、ノズル118のそれぞれから吐出されるカラーフィルタ材料111Rの体積は、0pl〜42pl(ピコリットル)の間で可変である。このため、後述するように、塗布走査の間に吐出動作を行うノズル118と、吐出動作を行わないノズル118と、を設定することでもできる。
本明細書では、1つのノズル118と、ノズル118に対応するキャビティ120と、キャビティに対応する振動子124と、を含んだ部分を、吐出部127と表記することもある。この表記によれば、1つのヘッド114は、ノズル118の数と同じ数の吐出部127を有する。上述のように本実施例では、キャリッジ103はヘッド114を保持する。一方、ヘッド114のそれぞれは複数の吐出部127を有している。このため、本明細書では、キャリッジ103が複数の吐出部127を保持すると表記することもある。
吐出部は、ピエゾ素子の代わりに電気熱変換素子を有してもよい。つまり、吐出部は、電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用して材料を吐出する構成を有していてもよい。
上述のように、キャリッジ103は第1位置制御装置104(図3)によってX軸方向およびZ軸方向に移動させられる。一方、ステージ106(図3)は第2位置制御手段108(図3)によってY軸方向に移動させられる。この結果、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108によって、ステージ106に対してキャリッジ103が相対移動する。より具体的には、これらの動作によって、複数のヘッド114、複数のノズル列116、または複数のノズル118は、ステージ106上で位置決めされた被吐出部18Rに対してZ軸方向に所定の距離を保ちながらX軸方向およびY軸方向に相対的に移動、すなわち相対的に走査する。さらに具体的には、ヘッド114は、ステージに対してX軸方向およびY軸方向に相対走査するとともに、複数のノズル118から材料を吐出する。本発明では、被吐出部18Rに対してノズル118を走査して、被吐出部18Rに対してノズル118から材料を吐出してもよい。「相対走査」とは吐出する側とそこからの吐出物が着弾する側(被吐出部18R側)の少なくとも一方を他方に対して走査することを含む。また、相対走査と材料の吐出との組合せを指して「塗布走査」と表記することもある。
次に、制御部112の構成を説明する。図7に示すように、制御部112は、入力バッファメモリ200と、記憶手段202と、処理部204と、走査ドライバ206と、ヘッドドライバ208と、を備えている。バッファメモリ202と処理部204とは相互に通信可能に接続されている。処理部204と記憶手段202とは、相互に通信可能に接続されている。処理部204と走査ドライバ206とは相互に通信可能に接続されている。処理部204とヘッドドライバ20とは相互に通信可能に接続されている。また、走査ドライバ206は、第1位置制御手段104および第2位置制御手段108と相互に通信可能に接続されている。同様にヘッドドライバ208は、複数のヘッド114のそれぞれと相互に通信可能に接続されている。
入力バッファメモリ200は、外部情報処理装置からカラーフィルタ材料111Rの吐出を行うための吐出データを受け取る。吐出データは、基板10A上のすべての被吐出部18Rの相対位置を表すデータと、すべての被吐出部18Rに所望の厚さのカラーフィルタ材料111Rを塗布するまでに必要となる相対走査の回数を示すデータと、被吐出部上の着弾位置を示すデータと、吐出動作を行うノズル118を指定するデータと、吐出動作を行わないノズル118を指定するデータと、を含む。入力バッファメモリ200は、吐出データを処理部204に供給し、処理部204は吐出データを記憶手段202に格納する。図7では、記憶手段202はRAMである。
処理部204は、記憶手段202内の吐出データに基づいて、被吐出部18Rに対するノズル列116の相対位置を示すデータを走査ドライバ206に与える。走査ドライバ206はこのデータに応じた駆動信号を第1位置制御手段104および第2位置制御手段108に与える。この結果、被吐出部18Rに対してノズル列116が走査される。一方、処理部204は、記憶手段202に記憶された吐出データに基づいて、対応するノズル118からの吐出タイミングを示すデータをヘッドドライバ208に与える。ヘッドドライバ208はこのデータに基づいて、カラーフィルタ材料111Rの吐出に必要な駆動信号をヘッド114に与える。この結果、ノズル列116における対応するノズル118から液状のカラーフィルタ材料111Rが吐出される。
制御部112は、少なくともCPU、ROM、RAMを含んだコンピュータであってもよい。この場合には、制御部112の上記機能は、コンピュータによって実行されるソフトウェアプログラムによって実現される。もちろん、制御部112は、専用の回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。
以上の構成によって、吐出装置100Rは、制御部112に与えられた吐出データに応じて、カラーフィルタ材料111Rの塗布走査を行う。
以上は、吐出装置100Rの構成の説明である。吐出装置100Gの構成と、吐出装置100Bの構成と、吐出装置100Cの構成とは、いずれも基本的に吐出装置100Rの構造と同じある。ただし、吐出装置100Rにおけるタンク101Rの代わりに、吐出装置100Gがカラーフィルタ材料111G用のタンクを備える点で吐出装置100Gの構成は吐出装置100Rの構成と異なる。同様に、タンク101Rの代わりに、吐出装置100Bがカラーフィルタ材料111B用のタンクを備える点で吐出装置100Bの構成は吐出装置100Rの構成と異なる。さらに、タンク101Rの代わりに、吐出装置100Cが保護膜材料用のタンクを備える点で吐出装置100Cの構成は吐出装置100Rの構成と異なる。
次に、吐出装置100Rの動作を説明する。吐出装置100Rは、基板10A上でマトリクス状に配置された複数の被吐出部18Rに同一の材料を吐出する。なお、実施例2および3で説明するように、基板10Aは、エレクトロルミネッセンス表示装置用の基板に置き換わってもよいし、プラズマ表示装置用背面基板の基板に置き換わってもよいし、電子放出素子を備えた画像表示装置の基板に置き換わってもよい。
本実施例では、吐出装置100は、以下に説明する塗布走査(A)、(B)、および(C)のいずれかを行う。
塗布走査(A)
(A1:第1の走査期間)
図8は、基板10Aにおける一つの被吐出部18Aを示す。また、図8は、基板10Aに対峙している1つのヘッド114の一部も、基板10Aに重ねて図示している。図8において、Z軸方向は図8の紙面に垂直な方向である。図8に示す基板10Aは、吐出装置100Rのステージ106に固定されている。このため、X軸方向およびY軸方向で規定される仮想的な平面上(例えば図8の紙面に平行な平面上)に被吐出部18Rが位置する。図8において、被吐出部18Rの短辺方向および長辺方向は、それぞれX軸方向およびY軸方向と平行である。また、被吐出部18Rの範囲は、対応するX座標範囲と、対応するY座標範囲と、で決まる。より具体的には、被吐出部18Rは、X座標XAとXBとの間に位置している。また、被吐出部18Rは、Y座標YAとYBとの間に位置している。X座標XAからXBまでが被吐出部18RのX座標範囲であり、同様にY座標YAからYBまでが被吐出部18RのY座標範囲である。ここで、X座標XA、XBは、基板10Aに固定された座標系におけるX軸上の値であり、同様に、Y座標YA、YBは、この座標系におけるY軸上の値である。また、以下の説明に現れる「X座標」、および「Y座標」も、基板10A上に固定された座標系における座標である。なお、上述したように、基板10Aに固定された座標系におけるX軸およびY軸は、X軸方向およびY軸方向とそれぞれ平行である。また、X座標XAとXBとの差はほぼ100μmであり、Y座標YAとYBとの差はほぼ300μmである。
図8および図9に示す例では、第1の走査期間内に、互いの間の距離が最も短い2つのノズル118から、被吐出部18Rに対してカラーフィルタ材料111Rが吐出される。例えば図8の場合では、図8に示されたノズル118のうち、上段の左側から2番目のノズル118と、下段の左側から3番目のノズル118とから、カラーフィルタ材料111Rが吐出される。なお、1回の吐出動作によって吐出される液状のカラーフィルタ材料111Rの体積は、ほぼ10pl(ピコリットルである)。
まず、ステージ106上に基板10Aを固定することで、ステージ106上に被吐出部18を位置決めする。そして、第1の走査期間の前に、図8に図示されたノズル118のうち、上段の左側から2番目のノズル118のX座標をX座標範囲内のX座標X1に一致させる。そのことによって、図8に図示されたノズル118のうち、下段の左から3番目のノズル118のX座標がX座標範囲内のX座標X2に一致する。ノズル118のこのような相対移動は、制御部112からの信号に応じて、第1位置制御装置102および第2位置制御装置のうち少なくとも一方が行う。以下では、X座標X1に位置したノズル118をノズル118Aと表記する。また、X座標X2に位置したノズル118をノズル118Bと表記する。図8では、ノズル118Aおよびノズル118Bは、黒丸で示されている。なお、X座標X1とX座標X2との差は、ほぼ70μmである。この距離は、互いの間の距離が最も短い2つのノズル118同士のX軸方向の間隔と同じである。
ところで、本実施例において「走査期間」とは、図10に示すように、Y軸方向に並んだ複数の被吐出部18Rのすべてに材料を塗布ために、キャリッジ103の一辺がY軸方向に沿って走査範囲134の一端E1(または他端E2)から他端E2(または一端E1)まで相対移動を1回行う期間を意味する。さらに、本実施例において走査範囲134とは、マトリクス18Mに含まれる被吐出部18Rのすべてにカラーフィルタ材料111Rを塗布するまでに、キャリッジ103の一辺が相対移動する範囲を意味する。しかしながら、場合によっては用語「走査範囲」は、1つのノズル118が相対移動する範囲を意味することもあるし、1つのノズル列116が相対移動する範囲を意味することもあるし、1つのヘッド114が相対移動する範囲を意味することもある。なお、マトリクス18Mとは、被吐出部18R、18G、18Bが構成するマトリクスである。また、キャリッジ103、ヘッド114、またはノズル118が相対移動するとは、被吐出部18Rに対するこれらの相対位置が変わることである。このため、キャリッジ103、ヘッド114、またはノズル118が絶対静止して、被吐出部18Rのみがステージ106によって移動する場合であっても、キャリッジ103、ヘッド114、またはノズル118が相対移動すると表現する。
第1の走査期間が始ると、走査範囲134の一端E1からY軸方向の正の方向(図面上方向)に、キャリッジ103が相対移動し始める。この場合、ノズル118AのX座標がX座標範囲内のX座標X1に一致し続けるようにノズル118AはY軸方向に相対移動する。同様に、ノズル118BのX座標がX座標範囲内の第2のX座標X2に一致し続けるようにノズル118BはY軸方向に相対移動する。そして、第1の走査期間内に、ノズル118Aと、ノズル118Bと、が、被吐出部18Rに対応する領域に侵入する場合に、対応するそれぞれの吐出部127は、ノズル118Aおよびノズル118Bからカラーフィルタ材料111Rを吐出する。本実施例では、被吐出部18RにおいてY軸方向にほぼ均等に並んだ複数の着弾位置にカラーフィルタ材料111Rの液滴が着弾するように、カラーフィルタ材料111Rが吐出される。具体的には、図8に示すように、ノズル118Aおよびノズル118Bのそれぞれに対して、Y座標範囲内に間隔DYで並んだ8つの着弾位置が事前に設定されている。したがって、第1の走査期間内に1つの被吐出部18Rに対してノズル118Aからカラーフィルタ材料111Rが8回吐出される。同様に、第1の走査期間内に、この1つの被吐出部18Rに対してノズル118Bからもカラーフィルタ材料111Rが8回吐出される。
なお、図面において、着弾位置は、丸で示されている。着弾位置を示す丸の大きさは、1回の吐出によって吐出されるカラーフィルタ材料111Rの体積(すなわち吐出量)を表している。本実施例では、いずれの吐出でも、同じ体積のカラーフィルタ材料111Rが吐出される。このため、着弾位置を示す丸の大きさは、すべて等しい。しかしならが、もちろん、着弾位置に応じて、適宜を吐出量を変えてもよい。
第1の走査期間内に、図8に示す1つの被吐出部18だけでなく、図8の被吐出部18RのX座標範囲と同じX座標範囲に位置する他の被吐出部18Rに対しても、ノズル118Aおよびノズル118Bから同様にカラーフィルタ材料111Rが吐出される。
上記方法によれば、被吐出部18RのX座標範囲内のそれぞれ異なるX座標に位置する少なくとも2つのノズル118から、被吐出部18Rに液状のカラーフィルタ材料111Rが吐出される。このため、それぞれの着弾位置からX軸方向に一つ一つの液滴が塗れ広がる範囲が小さくて済む。この結果、吐出されたカラーフィルタ材料111Rが被吐出部18R上で塗れ広がる速度が遅くても、吐出されたカラーフィルタ材料111Rによって被吐出部18RのX座標範囲内が覆われる。被吐出部18RのY座標範囲内では、複数回吐出動作を行っているので被吐出部18RのY座標範囲内も、吐出されたカラーフィルタ材料111Rによって充分に覆われる。
(A2:第2の走査期間)
第1の走査期間に引き続く第2の走査期間の前に、図9に図示されたノズル118のうち、上段の最も左側のノズル118のX座標をX座標範囲内のX座標X1に一致させる。そのことによって、図9に図示されたノズル118のうち、下段の左から2番目のノズル118のX座標がX座標範囲内のX座標X2に一致する。以下では、X座標X1に位置したノズル118をノズル118Cと表記する。また、X座標X2に位置したノズル118をノズル118Dと表記する。さらに、図9では、ノズル118Cおよびノズル118Dは、黒丸で示されている。
第2の走査期間が始ると、走査範囲134の他端E2からY軸方向の負の方向(図面下方向)に、キャリッジ103が相対移動し始める。この場合、ノズル118CのX座標がX座標範囲内のX座標X1に一致し続けるようにノズル118CはY軸方向に相対移動する。同様に、ノズル118DのX座標がX座標範囲内の第2のX座標X2に一致し続けるようにノズル118DはY軸方向に相対移動する。そして、第2の走査期間内に、ノズル118Cと、ノズル118Dと、が、被吐出部18Rに対応する領域に侵入する場合に、対応するそれぞれの吐出部127は、ノズル118Cおよびノズル118Dからカラーフィルタ材料111Rを吐出する。本実施例では、被吐出部18RにおいてY軸方向にほぼ均等に並んだ複数の着弾位置にカラーフィルタ材料111Rの液滴が着弾するように、カラーフィルタ材料111Rが吐出される。具体的には、図9に示すように、ノズル118Cおよびノズル118Dのそれぞれに対して、Y座標範囲内に間隔DYで並んだ8つの着弾位置が事前に設定されている。ただし、ノズル118Cのために設定された着弾位置のそれぞれは、ノズル118Aのために設定された着弾位置のほぼ間に位置する。同様に、ノズル118Dのために設定された着弾位置のそれぞれは、ノズル118Bのために設定された着弾位置の間に位置する。なお、第2の走査期間の着弾位置を第1の走査期間の着弾位置同士の間に位置させるだけでなく、第2の走査期間内に吐出される材料が、第1の走査期間によって塗布された材料に重なるように着弾させてもよい。そうすれば、より均一な層が形成できる。
上記方法によれば、第2の走査期間内に吐出されるカラーフィルタ材料111Rの着弾位置は、第1の走査期間内の着弾位置同士の間である。このため、第1の走査期間と第2の走査期間との組合せによって、それぞれの着弾位置から一つ一つの液滴がY軸方向に塗れ広がる範囲がさらに小さくて済む。この結果、吐出されたカラーフィルタ材料111Rが被吐出部18R上で塗れ広がる速度が遅くても、カラーフィルタ材料111Rによって被吐出部18RのY座標範囲内が充分に覆われる。
このように、第2の走査期間内に1つの被吐出部18Rに対してノズル118Cからカラーフィルタ材料111Rが8回吐出される。同様に、第2の走査期間内に、この1つの被吐出部18Rに対してノズル118Dからもカラーフィルタ材料111Rが8回吐出される。
塗布走査(A)によると、第1の走査期間と、第2の走査期間とによって、1つの被吐出部18に、液状のカラーフィルタ材料111Rが32回吐出される。
さらに塗布走査(A)によると、吐出装置100Rが行う製造方法は、ステージ106上に被吐出部18を位置決めする第1のステップと、被吐出部18に対してノズル118Aおよびノズル118Bを相対移動させる第2のステップと、を含む。第2のステップは、第1の走査期間内には、前記ノズル118AのX座標がX座標範囲内のX座標X1に一致し続けるようにノズル118Aを前記Y軸方向に相対移動させるとともに、被吐出部18Rにノズル118Aからカラーフィルタ材料111Rを吐出するステップを含む。さらに第2のステップは、第1の走査期間内に、ノズル118BのX座標がX座標範囲内の第2のX座標X2に一致し続けるようにノズル118BをY軸方向に相対移動させるとともに、ノズル118Bから被吐出部18Rに対してカラーフィルタ材料111Rを吐出するステップを含む。
以上のようにして、1つの被吐出部18Rに対する塗布走査が完了する。そして、他の被吐出部18Rについても、図8および図9同様に塗布走査することで、基板10A上のすべての被吐出部18Rにカラーフィルタ材料111Rが塗布される。
塗布走査(B)
(B1:第1の走査期間)
図11〜図14に示す例では、1つの被吐出部18Rに所望量のカラーフィルタ材料111Rを吐出するまでに、4つの走査期間を経る。ただし、1つの走査期間毎に1つのノズル118から1つの被吐出部18Rに対してカラーフィルタ材料111Rが吐出される。さらに、走査期間毎に、異なるノズル118から1つのノズル18Rに対してカラーフィルタ材料111Rが吐出される。
まず、第1の走査期間の前に、図11に示されたノズル118のうち、上段の左側から2番目のノズル118のX座標をX座標範囲内のX座標X1に一致させる。塗布走査(B)の説明において、X座標X1に位置したノズル118をノズル118Aと表記する。図11では、ノズル118Aは黒丸で示されている。
第1の走査期間が始ると、走査範囲134の一端E1からY軸方向の正の方向(図面上方向)に、キャリッジ103が相対移動し始める。この場合、ノズル118AのX座標がX座標範囲内のX座標X1に一致し続けるようにノズル118AはY軸方向に相対移動する。そして、第1の走査期間内に、ノズル118Aが被吐出部18Rに対応する領域に侵入する場合に、対応する吐出部127はノズル118Aからカラーフィルタ材料111Rを吐出する。本実施例では、被吐出部18RにおいてY軸方向にほぼ均等に並んだ複数の着弾位置にカラーフィルタ材料111Rの液滴が着弾するように、カラーフィルタ材料111Rが吐出される。具体的には、図11に示すように、ノズル118Aに対して、Y座標範囲内に間隔DYで並んだ8つの着弾位置が事前に設定されている。したがって、第1の走査期間内に1つの被吐出部18Rに対してノズル118からカラーフィルタ材料111Rが8回吐出される。
本実施例では、第1の走査期間内に、図11に示す1つの被吐出部18だけでなく、図11の被吐出部18RのX座標範囲と同じX座標範囲に位置する他の被吐出部18Rに対しても、第一のノズル118から同様にカラーフィルタ材料111Rが吐出される。
(B2:第2の走査期間)
次に、第2の走査期間の前に、図12に示されるノズル118のうち、下段の左側から2番目のノズル118のX座標をX座標範囲内のX座標X2に一致させる。以下では、X座標X2に位置したノズル118をノズル118Bと表記する。図12では、ノズル118Bは黒丸で示されている。
第2の走査期間が始ると、走査範囲134の他端E2からY軸方向の負の方向(図面下方向)に、キャリッジ103が相対移動し始める。この場合、ノズル118BのX座標がX座標範囲内のX座標X2に一致し続けるようにノズル118BはY軸方向に相対移動する。そして、第2の走査期間内に、ノズル118Bが被吐出部18Rに対応する領域に侵入する場合に、対応する吐出部127はノズル118Bからカラーフィルタ材料111Rを吐出する。本実施例では、被吐出部18RにおいてY軸方向にほぼ均等に並んだ複数の着弾位置にカラーフィルタ材料111Rの液滴が着弾するように、カラーフィルタ材料111Rが吐出される。具体的には、図12に示すように、ノズル118Bに対して、Y座標範囲内に間隔DYで並んだ8つの着弾位置が事前に設定されている。ただし、ノズル118Bのために設定された着弾位置のY座標のそれぞれは、ノズル118Aのために設定された着弾位置のY座標の間に位置する。このように、第2の走査期間内に1つの被吐出部18Rに対してノズル118Bからカラーフィルタ材料111Rが8回吐出される。
(B3:第3の走査期間)
次に、第3の走査期間の前に、図13に示されるノズル118のうち、上段の最も左側のノズル118のX座標をX座標範囲内のX座標X3に一致させる。以下では、X座標X3に位置したノズル118をノズル118Cと表記する。図13では、ノズル118Cは黒丸で示されている。
第3の走査期間が始ると、走査範囲134の一端E1からY軸方向の正の方向(図面上方向)に、キャリッジ103が相対移動し始める。この場合、ノズル118CのX座標がX座標範囲内のX座標X3に一致し続けるようにノズル118CはY軸方向に相対移動する。そして、第3の走査期間内に、ノズル118Cが被吐出部18Rに対応する領域に侵入する場合に、対応する吐出部127はノズル118Bからカラーフィルタ材料111Rを吐出する。本実施例では、被吐出部18RにおいてY軸方向にほぼ均等に並んだ複数の着弾位置にカラーフィルタ材料111Rの液滴が着弾するように、カラーフィルタ材料111Rが吐出される。具体的には、図13に示すように、ノズル118Cに対して、Y座標範囲内に間隔DYで並んだ8つの着弾位置が事前に設定されている。ただし、ノズル118Cのために設定された着弾位置のY座標のそれぞれは、ノズル118Bのために設定された着弾位置のY座標の間に位置する。また、ノズル118Cのための複数の着弾位置のY座標のそれぞれは、ノズル118Aの為に設定された複数の着弾位置のY座標のそれぞれと同じである。このように、第3の走査期間内に1つの被吐出部18Rに対してノズル118Cからカラーフィルタ材料111Rが8回吐出される。
(B4:第4の走査期間)
次に、第4の走査期間の前に、図14に示されるノズル118のうち、下段の最も左側のノズル118のX座標をX座標範囲内のX座標X4に一致させる。以下では、X座標X4に位置したノズル118をノズル118Dと表記する。図14では、ノズル118Dは黒丸で示されている。
第4の走査期間が始ると、走査範囲134の他端E2からY軸方向の負の方向(図面下方向)に、キャリッジ103が相対移動し始める。この場合、ノズル118DのX座標がX座標範囲内のX座標X4に一致し続けるようにノズル118DはY軸方向に相対移動する。そして、第4の走査期間内に、ノズル118Dが被吐出部18Rに対応する領域に侵入する場合に、対応する吐出部127はノズル118Bからカラーフィルタ材料111Rを吐出する。本実施例では、被吐出部18RにおいてY軸方向にほぼ均等に並んだ複数の着弾位置にカラーフィルタ材料111Rの液滴が着弾するように、カラーフィルタ材料111Rが吐出される。具体的には、図14に示すように、ノズル118Dに対して、Y座標範囲内に間隔DYで並んだ8つの着弾位置が事前に設定されている。ただし、ノズル118Dのために設定された着弾位置のY座標のそれぞれは、ノズル118Cのために設定された着弾位置のY座標のそれぞれの間に位置する。また、ノズル118Dのための複数の着弾位置のY座標のそれぞれは、ノズル118Bの為に設定された複数の着弾位置のY座標のそれぞれと同じである。このように、第4の走査期間内に1つの被吐出部18Rに対してノズル118Dからカラーフィルタ材料111Rが8回吐出される。
塗布走査(B)によると、第1の走査期間と第2の走査期間と第3の走査期間と第4の走査期間とによって、1つの被吐出部18に、液状のカラーフィルタ材料111Rが32回吐出される。
さらに塗布走査(B)によると、吐出装置100Rが行う製造方法は、ステージ106上に被吐出部18を位置決めする第1のステップと、被吐出部18に対してノズル118Aおよびノズル118Bを相対移動させる第2のステップと、を含む。第2のステップは、第1の走査期間内には、前記ノズル118AのX座標がX座標範囲内のX座標X1に一致し続けるようにノズル118Aを前記Y軸方向に相対移動させるとともに、被吐出部18Rにノズル118Aからカラーフィルタ材料111Rを吐出するステップを含む。さらに第2のステップは、第2の走査期間内に、ノズル118BのX座標がX座標範囲内の第2のX座標X2に一致し続けるようにノズル118BをY軸方向に相対移動させるとともに、ノズル118Bから被吐出部18Rに対してカラーフィルタ材料111Rを吐出するステップを含む。
上記方法によれば、被吐出部18RのX座標範囲内のそれぞれ異なるX座標に位置する少なくとも2つのノズル118から、被吐出部18Rに液状のカラーフィルタ材料111Rが吐出される。このため、それぞれの着弾位置からX軸方向に一つ一つの液滴が塗れ広がる範囲が小さくて済む。この結果、吐出されたカラーフィルタ材料111Rが被吐出部18R上で塗れ広がる速度が遅くても、吐出されたカラーフィルタ材料111Rによって被吐出部18RのX座標範囲内が覆われる。被吐出部18RのY座標範囲内では、複数回吐出動作を行っているので被吐出部18RのY座標範囲内も、吐出されたカラーフィルタ材料111Rによって充分に覆われる。
以上のようにして、1つの被吐出部18Rに対する塗布走査が完了する。そして、他の被吐出部18Rについても、図11〜図14を参照しながら説明した方法と同じ方法で塗布走査することで、基板10A上のすべての被吐出部18Rにカラーフィルタ材料111Rが塗布される。
塗布走査(C)
(C1:第1の走査期間)
図15〜図18に示す例では、1つの被吐出部18Rに所望量のカラーフィルタ材料111Rを吐出するまでに、8つの走査期間を経る。ただし、1つの走査期間毎に1つのノズル118から1つの被吐出部18Rに対してカラーフィルタ材料111Rが4回吐出される。さらに、走査期間毎に、異なるノズル118から1つの被吐出部18Rに対してカラーフィルタ材料111Rが吐出される。
まず、第1の走査期間の前に、図15に示されたノズル118のうち、上段の左側から2番目のノズル118のX座標をX座標範囲内のX座標X1に一致させる。そのことによって、以下では、X座標X1に位置したノズル118をノズル118Aと表記する。図15では、ノズル118Aは黒丸で示されている。
第1の走査期間が始ると、走査範囲134の一端E1からY軸方向の正の方向(図面上方向)に、キャリッジ103が相対移動し始める。この場合、ノズル118AのX座標がX座標範囲内のX座標X1に一致し続けるようにノズル118AはY軸方向に相対移動する。そして、第1の走査期間内に、ノズル118Aが被吐出部18Rに対応する領域に侵入する場合に、対応する吐出部127はノズル118Aからカラーフィルタ材料111Rを吐出する。本実施例では、被吐出部18RにおいてY軸方向にほぼ均等に並んだ複数の着弾位置にカラーフィルタ材料111Rの液滴が着弾するように、カラーフィルタ材料111Rが吐出される。具体的には、図15に示すように、ノズル118Aに対して、Y座標範囲内に間隔2DYで並んだ4つの着弾位置が事前に設定されている。間隔2DYの長さは、塗布走査(A)および(B)で採用する間隔DYの2倍の長さである。したがって、第1の走査期間内に1つの被吐出部18Rに対してノズル118Aからカラーフィルタ材料111Rが4回吐出される。
第1の走査期間内に、図15に示す1つの被吐出部18だけでなく、図15の被吐出部18RのX座標範囲と同じX座標範囲に位置する他の被吐出部18Rに対しても、ノズル118Aから同様にカラーフィルタ材料111Rが吐出される。
(C2:第2の走査期間)
次に、第2の走査期間の前に、図16に示されたノズル118のうち、下段の左側から2番目のノズル118のX座標をX座標範囲内のX座標X1に一致させる。以下では、X座標X1に位置したノズル118をノズル118Bと表記する。図16では、ノズル118Bは黒丸で示されている。
第2の走査期間が始ると、走査範囲134の他端E2からY軸方向の負の方向(図面下方向)に、キャリッジ103が相対移動し始める。この場合、ノズル118BのX座標がX座標範囲内のX座標X1に一致し続けるようにノズル118BはY軸方向に相対移動する。そして、第2の走査期間内に、ノズル118Bが被吐出部18Rに対応する領域に侵入する場合に、対応する吐出部127はノズル118Bからカラーフィルタ材料111Rを吐出する。本実施例では、被吐出部18RにおいてY軸方向にほぼ均等に並んだ複数の着弾位置にカラーフィルタ材料111Rの液滴が着弾するように、カラーフィルタ材料111Rが吐出される。具体的には、図16に示すように、ノズル118Bに対して、Y座標範囲内に間隔2DYで並んだ4つの着弾位置が事前に設定されている。ただし、ノズル118Bのために設定された着弾位置のそれぞれは、ノズル118Aのために設定された着弾位置のそれぞれの間に位置する。このように、第2の走査期間内に1つの被吐出部18Rに対してノズル118Bからカラーフィルタ材料111Rが4回吐出される。
(C3:第3の走査期間)
次に、第3の走査期間の前に、図17に示されたノズル118のうち、上段の最も左側のノズル118のX座標をX座標範囲内のX座標X2に一致させる。以下では、X座標X2に位置したノズル118をノズル118Cと表記する。図17では、ノズル118Cは黒丸で示されている。
第3の走査期間が始ると、走査範囲134の他端E2からY軸方向の正の方向(図面上方向)に、キャリッジ103が相対移動し始める。この場合、ノズル118CのX座標がX座標範囲内のX座標X2に一致し続けるようにノズル118CはY軸方向に相対移動する。そして、第3の走査期間内に、ノズル118Cが被吐出部18Rに対応する領域に侵入する場合に、対応する吐出部127はノズル118Bからカラーフィルタ材料111Rを吐出する。本実施例では、被吐出部18RにおいてY軸方向にほぼ均等に並んだ複数の着弾位置にカラーフィルタ材料111Rの液滴が着弾するように、カラーフィルタ材料111Rが吐出される。具体的には、図17に示すように、ノズル118Cに対して、Y座標範囲内に間隔2DYで並んだ4つの着弾位置が事前に設定されている。ただし、ノズル118Cのために設定された着弾位置のY座標のそれぞれは、ノズル118Aおよびノズル118Bのために設定された着弾位置のY座標と重ならない。このように、第3の走査期間内に1つの被吐出部18Rに対してノズル118Cからカラーフィルタ材料111Rが4回吐出される。
(C4:第4の走査期間)
次に、第4の走査期間の前に、図18に示されたノズル118のうち、下段の最も左側のノズル118のX座標をX座標範囲内のX座標X2に一致させる。以下では、X座標X2に位置したノズル118をノズル118Dと表記する。図18では、ノズル118Dは黒丸で示されている。
第4の走査期間が始ると、走査範囲134の他端E2からY軸方向の負の方向(図面下方向)に、キャリッジ103が相対移動し始める。この場合、ノズル118DのX座標がX座標範囲内のX座標X2に一致し続けるようにノズル118DはY軸方向に相対移動する。そして、第4の走査期間内に、ノズル118Dが被吐出部18Rに対応する領域に侵入する場合に、対応する吐出部127はノズル118Bからカラーフィルタ材料111Rを吐出する。本実施例では、被吐出部18RにおいてY軸方向にほぼ均等に並んだ複数の着弾位置にカラーフィルタ材料111Rの液滴が着弾するように、カラーフィルタ材料111Rが吐出される。具体的には、図18に示すように、ノズル118Dに対して、Y座標範囲内に間隔2DYで並んだ4つの着弾位置が事前に設定されている。ただし、ノズル118Dのために設定された着弾位置のそれぞれは、ノズル118Cのために設定された着弾位置のそれぞれの間に位置する。このように、第4の走査期間内に1つの被吐出部18Rに対してノズル118Cからカラーフィルタ材料111Rが4回吐出される。
引き続く第5の走査期間、第6の走査期間、第7の走査期間、第8の走査期間では、図19に示すように、さらに異なる4つのノズル118を用いて、被吐出部18RのX座標範囲内のX座標X3およびX4で表される部分に対して、上記(C1)〜(C4)と同様に塗布走査する。
塗布走査(C)によると、第1の走査期間から第8の走査期間によって、1つの被吐出部18に、液状のカラーフィルタ材料111Rが32回吐出される。
さらに塗布走査(C)によると、吐出装置100Rが行う製造方法は、ステージ106上に被吐出部18を位置決めする第1のステップと、被吐出部18に対してノズル118Aおよびノズル118Cを相対移動させる第2のステップと、を含む。第2のステップは、第1の走査期間内には、前記ノズル118AのX座標がX座標範囲内のX座標X1に一致し続けるようにノズル118Aを前記Y軸方向に相対移動させるとともに、被吐出部18Rにノズル118Aからカラーフィルタ材料111Rを吐出するステップを含む。さらに第2のステップは、第2の走査期間内に、ノズル118CのX座標がX座標範囲内の第2のX座標X2に一致し続けるようにノズル118CをY軸方向に相対移動させるとともに、ノズル118Cから被吐出部18Rに対してカラーフィルタ材料111Rを吐出するステップを含む。
上記方法によれば、被吐出部18RのX座標範囲内のそれぞれ異なるX座標に位置する少なくとも2つのノズル118から、被吐出部18Rに液状のカラーフィルタ材料111Rが吐出される。このため、それぞれの着弾位置からX軸方向に一つ一つの液滴が塗れ広がる範囲が小さくて済む。この結果、吐出されたカラーフィルタ材料111Rが被吐出部18R上で塗れ広がる速度が遅くても、吐出されたカラーフィルタ材料111Rによって被吐出部18RのX座標範囲内が覆われる。被吐出部18RのY座標範囲内では、複数回吐出動作を行っているので被吐出部18RのY座標範囲内も、吐出されたカラーフィルタ材料111Rによって充分に覆われる。
さらに、1つの被吐出部18に対して、8つのノズル118(すなわち8つの吐出部127)からカラーフィルタ材料111Rを吐出している。このため、ノズル間の吐出量のバラツキが、カラーフィルタ層111FRの体積のバラツキとして現れにくい。1つの被吐出部18Rの塗布走査により多くのノズルが寄与すればするほど、ノズルからの吐出量における誤差が相殺される可能性が高くなるからである。
このようにして、1つの被吐出部18Rに対する塗布走査が完了する。そして、他の被吐出部18Rについても、図15から図19を参照しながら説明した方法と同じ方法で塗布走査することで、基板10A上のすべての被吐出部18Rにカラーフィルタ材料111Rが塗布される。
以上では、被吐出部18Rにカラーフィルタ材料111Rを塗布する工程のみを説明した。以下では、製造装置1によってカラーフィルタ基板10が得られるまでの一連の工程を説明する。
まず、以下の手順にしたがって図1の基板10Aを作成する。まず、スパッタ法または蒸着法によって、支持基板12上に金属薄膜を形成する。その後、フォトリソグラフィー工程によってこの金属薄膜から格子状のブラックマトリクス14を形成する。ブラックマトリクス14の材料の例は、金属クロムや酸化クロムである。なお、支持基板12は、可視光に対して光透過性を有する基板、例えばガラス基板である。続いて、支持基板12およびブラックマトリクス14を覆うように、ネガ型の感光性樹脂組成物からなるレジスト層を塗布する。そして、そのレジスト層の上にマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム密着させながら、このレジスト層を露光する。その後、レジスト層の未露光部分をエッチング処理で取り除くことで、バンク16が得られる。以上工程によって、基板10Aが得られる。
なお、バンク16に代えて、樹脂ブラックからなるバンクを用いても良い。その場合は、金属薄膜(ブラックマトリクス14)は不要となり、バンク層は、1層のみとなる。
次に、大気圧下の酸素プラズマ処理によって、基板10Aを親液化する。この処理によって、支持基板12と、ブラックマトリクス14と、バンク16と、で規定されたそれぞれの凹部(画素領域の一部)における支持基板12の表面と、ブラックマトリクス14の表面と、バンク16の表面と、が親液性を呈するようになる。さらに、その後、基板10Aに対して、4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理を行う。4フッ化メタンを用いたプラズマ処理によって、それぞれの凹部におけるバンク16の表面がフッ化処理(撥液性に処理)され、このことで、バンク16の表面が撥液性を呈するようになる。なお、4フッ化メタンを用いたプラズマ処理によって、先に親液性を与えられた支持基板12の表面およびブラックマトリクス14の表面は若干親液性を失うが、それでもこれら表面は親液性を維持する。このように、支持基板12と、ブラックマトリクス14と、バンク16と、によって規定された凹部の表面に所定の表面処理が施されることで、凹部の表面が被吐出部18R,18G、18Bとなる。なお、支持基板12の材質、ブラックマトリクス14の材質、およびバンク16の材質によっては、上記のような表面処理を行わなくても、所望の親液性および撥液性を呈する表面が得られることもある。そのような場合には、上記表面処理を施さなくても、支持基板12と、ブラックマトリクス14と、バンク16と、によって規定された凹部の表面が被吐出部18R,18G、18Bである。
被吐出部18R,18G、18Bが形成された基板10Aは、搬送装置170によって、吐出装置100Rのステージ106に運ばれる。そして、図20(a)に示すように、吐出装置100Rは、被吐出部18Rのすべてにカラーフィルタ材料111Rの層が形成されるように、ヘッド114からカラーフィルタ材料111Rを吐出する。吐出装置100Rのカラーフィルタ材料111Rの塗布走査の方法は、上記塗布走査(A)、(B)および(C)のいずれかの方法である。基板10Aの被吐出部18Rのすべてにカラーフィルタ材料111Rの層が形成された場合には、搬送装置170が基板10Aを乾燥装置150R内に位置させる。そして、被吐出部18R上のカラーフィルタ材料111Rを完全に乾燥させることで、被吐出部18R上にフィルタ層111FRを得る。
次に搬送装置170は、基板10Aを吐出装置100Gのステージ106に位置させる。そして、図20(b)に示すように、吐出装置100Gは、被吐出部18Gのすべてにカラーフィルタ材料111Gの層が形成されるように、ヘッド114からカラーフィルタ材料111Gを吐出する。吐出装置100Gのカラーフィルタ材料111Gの塗布走査の方法は、上記塗布走査(A)、(B)および(C)のいずれかの方法である。基板10Aの被吐出部18Gのすべてにカラーフィルタ材料111Gの層が形成された場合には、搬送装置170が基板10Aを乾燥装置150G内に位置させる。そして、被吐出部18G上のカラーフィルタ材料111Gを完全に乾燥させることで、被吐出部18G上にフィルタ層111FGを得る。
次に搬送装置170は、基板10Aを吐出装置100Bのステージ106に位置させる。そして、図20(c)に示すように、吐出装置100Bは、被吐出部18Bのすべてにカラーフィルタ材料111Bの層が形成されるように、ヘッド114からカラーフィルタ材料111Bを吐出する。吐出装置100Bのカラーフィルタ材料111Bの塗布走査の方法は、上記塗布走査(A)、(B)および(C)のいずれかの方法である。基板10Aの被吐出部18Bのすべてにカラーフィルタ材料111Bの層が形成された場合には、搬送装置170が基板10Aを乾燥装置150B内に位置させる。そして、被吐出部18B上のカラーフィルタ材料111Bを完全に乾燥させることで、被吐出部18B上にフィルタ層111FBを得る。
次に搬送装置170は、基板10Aを、オーブン160内に位置させる。その後、オーブン160はフィルタ層111FR、111FG、111FBを再加熱(ポストベーク)する。
次に搬送装置170は、基板10Aを吐出装置100Cのステージ106に位置させる。そして、吐出装置100Cは、フィルタ層111FR、111FG、111FB、およびバンク16を覆って保護膜16が形成されるように、液状の保護膜材料を吐出する。フィルタ層111FR,111FG、111FB、およびバンク16を覆う保護膜16が形成された後に、搬送装置170は基板10Aをオーブン150C内に位置させる。そして、オーブン150Cが保護膜16を完全に乾燥させた後に、硬化装置165が保護膜16を加熱して完全に硬化することで、基板10Aはカラーフィルタ基板10となる。
以上まとめると本実施例によると、製造装置1が備える吐出装置100R、100G、100Bのそれぞれは、X座標範囲とY座標範囲とで決まる被吐出部に液状の材料を塗布する吐出装置である。吐出装置100R、100G、100Bのそれぞれは、被吐出部18Rの位置を決めるステージ106と、材料を吐出可能なノズル118Aを有する第1の吐出部127と、材料を吐出可能なノズル118Bを有する第2の吐出部127と、第1の吐出部127と第2の吐出部127とを保持するキャリッジ103と、被吐出部18に対してノズル118Aおよびノズル118Bが相対移動するように、ステージ106に対してキャリッジ103を相対移動させる走査部と、を備えている。ここで、本実施の形態では、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108が走査部の一例である。このような吐出装置100R,100G、100Bのそれぞれにおいて、ノズル118AのX座標がX座標範囲内の第1のX座標X1に一致し続けるようにノズル118AがY軸方向に相対移動する期間内に、第1の吐出部127は被吐出部18Rにノズル118Aから材料を吐出する。一方、ノズル118BのX座標がX座標範囲内のX座標X2に一致し続けるようにノズル118Bが前記Y軸方向に相対移動する期間内に、第2の吐出部127は前記ノズル118Bから被吐出部18Rに対して材料を吐出する。
本実施例によれば、1つの被吐出部のX座標範囲内のそれぞれ異なるX座標に位置する2つのノズルから、1つの被吐出部に対して液状のカラーフィルタ材料が吐出される。このため、吐出されたカラーフィルタ材料によって1つの被吐出部の全領域が覆われるまでに、それぞれの着弾位置から一つ一つの液滴が塗れ広がる範囲が小さくて済む。この結果、吐出されたカラーフィルタ材料が広がる速度が遅くても、吐出されたカラーフィルタ材料によって被吐出部が完全に覆われる。したがって、被吐出部に均一な層を形成できる製造装置が得られる。
さらに、1つの被吐出部に対して複数のノズルが液状のカラーフィルタ材料を吐出する。このため、ノズル間の吐出量の不均一さが、それぞれの被吐出部に吐出された最終的なカラーフィルタ材料の体積間の不均一さとして現れる可能性を低下できる。
次に、本発明をエレクトロルミネッセンス表示装置の製造装置に適用した例を説明する。
図21(a)および(b)に示す基板30Aは、後述する製造装置2(図22)による処理によって、エレクトロルミネッセンス表示装置30となる基板である。基板30Aは、マトリクス状に配置された複数の被吐出部38R、38G、38Bを有する。
具体的には、基板30Aは、支持基板32と、支持基板32上に形成された回路素子層34と、回路素子層34上に形成された複数の画素電極36と、複数の画素電極36の間に形成されたバンク40と、を有している。支持基板は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えばガラス基板である。複数の画素電極36のそれぞれは、可視光に対して光透過性を有する電極であり、例えば、ITO(Indium-Tin Oxide)電極である。また、複数の画素電極36は、回路素子層34上にマトリクス状に配置されており、それぞれが画素領域を規定する。そして、バンク40は、格子状の形状を有しており、複数の画素電極36のそれぞれを囲む。また、バンク40は、回路素子層34上に形成された無機物バンク40Aと、無機物バンク40A上に位置する有機物バンク40Bとからなる。
回路素子層34は、支持基板32上で所定の方向に延びる複数の走査電極と、複数の走査電極を覆うように形成された絶縁膜42と、絶縁膜42上に位置するともに複数の走査電極が延びる方向に対して直交する方向に延びる複数の信号電極と、走査電極および信号電極の交点付近に位置する複数のスイッチング素子44と、複数のスイッチング素子44を覆うように形成されたポリイミドなどの層間絶縁膜45と、を有する層である。それぞれのスイッチング素子44のゲート電極44Gおよびソース電極44Sは、それぞれ対応する走査電極および対応する信号電極と電気的に接続されている。層間絶縁膜45上には複数の画素電極36が位置する。層間絶縁膜45には、各スイッチング素子44のドレイン電極44Dに対応する部位にスルーホール44Vが設けられており、このスルーホール44Vを介して、スイッチング素子44と、対応する画素電極36と、の電気的接続が形成されている。また、バンク40に対応する位置にそれぞれのスイッチング素子44が位置している。つまり、図20(b)の紙面に垂直な方向から観察すると、複数のスイッチング素子44のそれぞれは、バンク40に覆われるように位置している。
基板30Aの画素電極36とバンク40とで規定される凹部(画素領域の一部)は、被吐出部38R、被吐出部38G、被吐出部38Bに対応する。被吐出部38Rは、赤の波長域の光線を発光する発光層211FRが形成されるべき領域であり、被吐出部38Gは、緑の波長域の光線を発光する発光層211FGが形成されるべき領域であり、被吐出部38Bは、青の波長域の光線を発光する発光層211GBが形成されるべき領域である。
図21(b)に示す基板30Aは、X軸方向およびY軸方向で規定される仮想平面と平行に位置している。そして、複数の被吐出部38R,38G、38Bが形成するマトリクスの行方向および列方向は、それぞれX軸方向およびY軸方向と平行である。基板30Aにおいて、被吐出部38R、被吐出部38G、および被吐出部38Bは、X軸方向にこの順番で周期的に並んでいる。一方、被吐出部38R同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでおり、また、被吐出部38G同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでおり、同様に、被吐出部38B同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでいる。
被吐出部38R同士のX軸方向に沿った間隔LRXは、ほぼ560μmである。この間隔は、被吐出部38G同士のX軸方向に沿った間隔LGXと同じであり、被吐出部18B同士のX軸方向に沿った間隔LBXとも同じである。また、被吐出部38RのX軸方向の長さはほぼ100μmであり、Y軸方向の長さはほぼ300μmである。被吐出部38Gおよび被吐出部38Bも被吐出部38Rと同じ大きさを有している。被吐出部同士の上記間隔および被吐出部の上記大きさは、40インチ程度の大きさのハイビジョンテレビにおいて、同一色に対応する画素領域同士の間隔に対応する。
図22に示す製造装置2は、図21の基板30Aの被吐出部38R,38G、38Bのそれぞれに対して、対応する発光材料を吐出する装置である。製造装置2は、被吐出部38Rのすべてに発光材料211Rを塗布する吐出装置200Rと、被吐出部38R上の発光材料211Rを乾燥させる乾燥装置250Rと、被吐出部38Gのすべてに発光材料211Gを塗布する吐出装置200Gと、被吐出部38G上の発光材料211Gを乾燥させる乾燥装置250Gと、被吐出部38Bのすべてに発光材料211Bを塗布する吐出装置200Bと、被吐出部38B上の発光材料Bを乾燥させる乾燥装置250Bと、を備えている。さらに製造装置2は、吐出装置200R、乾燥装置250R、吐出装置200G、乾燥装置250G、吐出装置200B、乾燥装置250Bの順番に基板30Aを搬送する搬送装置270も備えている。
図23に示す吐出装置200Rは、液状の発光材料211Rを保持するタンク201Rと、チューブ210Rを介してタンク201Rから発光材料211Rが供給される吐出走査部102と、を備える。吐出走査部102の構成は、実施例1の吐出走査部102(図3)の構成と同じであるため、同様な構成要素には同一の参照符号を付けるとともに、重複する説明を省略する。また、吐出装置200Gの構成と吐出装置200Bの構成とは、どちらも基本的に吐出装置200Rの構造と同じある。ただし、吐出装置200Rにおけるタンク201Rの代わりに、吐出装置200Gが発光材料211G用のタンクを備える点で吐出装置200Gの構成は吐出装置200Rの構成と異なる。同様に、タンク201Rの代わりに、吐出装置200Bが発光材料201B用のタンクを備える点で吐出装置200Bの構成は吐出装置200Rの構成と異なる。
製造装置2を用いたエレクトロルミネッセンス表示装置30の製造方法を説明する。まず、公知の製膜技術とパターニング技術とを用いて、図21に示す基板30Aを製造する。
次に、大気圧下の酸素プラズマ処理によって、基板30Aを親液化する。この処理によって、画素電極36とバンク40とで規定されたそれぞれの凹部(画素領域の一部)における画素電極36の表面、無機物バンク40Aの表面、および有機物バンク40Bの表面が、親液性を呈するようになる。さらに、その後、基板30Aに対して、4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理を行う。4フッ化メタンを用いたプラズマ処理によって、それぞれの凹部における有機物バンク40Bの表面がフッ化処理(撥液性に処理)されて、このことで有機物バンク40Bの表面が撥液性を呈するようになる。なお、4フッ化メタンを用いたプラズマ処理によって、先に親液性を与えられた画素電極36の表面および無機物バンク40Aの表面は、若干親液性を失うが、それでも親液性を維持する。このように、画素電極36と、バンク40と、によって規定された凹部の表面に所定の表面処理が施されることで、凹部の表面が被吐出部38R、38G、38Bとなる。なお、画素電極36の材質、無機バンク40の材質、および有機バンク40の材質によっては、上記のような表面処理を行わなくても、所望の親液性および撥液性を呈する表面が得られることもある。そのような場合には、上記表面処理を施さなくても、画素電極36と、バンク40と、によって規定された凹部の表面は被吐出部38R、38G、38Bである。
ここで、表面処理が施された複数の画素電極36のそれぞれの上に、対応する正孔輸送層37R、37G、37Bを形成してもよい。正孔輸送層37R、37G、37Bが、画素電極上36と、後述の発光層211RF、211GF、211BFと、の間に位置すれば、エレクトロルミネッセンス表示装置の発光効率が高くなる。複数の画素電極36のそれぞれの上に正孔輸送層を設ける場合には、正孔輸送層と、バンク40と、によって規定された凹部が、被吐出部38R、38G、38Bに対応する。
なお、正孔輸送層37R、37G、37Bをインクジェット法により形成することも可能である。この場合、正孔輸送層37R、37G、37Bを形成するための材料を含む溶液を各画素領域ごとに所定量塗布し、その後、乾燥させることにより正孔輸送層を形成することができる。
被吐出部38R,38G、38Bが形成された基板30Aは、搬送装置270によって、吐出装置200Rのステージ106に運ばれる。そして、図24(a)に示すように、吐出装置200Rは、被吐出部38Rのすべてに発光材料211Rの層が形成されるように、ヘッド114から発光材料211Rを吐出する。吐出装置200Rが行う発光材料211Rの塗布走査は、実施例1における塗布走査(A)、(B)および(C)のいずれかと同じである。基板30Aの被吐出部38Rのすべてに発光材料211Rの層が形成された場合には、搬送装置270が基板30Aを乾燥装置250R内に位置させる。そして、被吐出部R上の発光材料211Rを完全に乾燥させることで、被吐出部38R上に発光層211FRを得る。
次に搬送装置270は、基板30Aを吐出装置200Gのステージ106に位置させる。そして、図24(b)に示すように、吐出装置200Gは、被吐出部38Gのすべてに発光材料211Gの層が形成されるように、ヘッド114から発光材料Gを吐出する。吐出装置200Gが行う発光材料211Gの塗布走査は、実施例1における塗布走査(A)、(B)および(C)のいずれかと同じである。基板30Aの被吐出部38Gのすべてに発光材料211Gの層が形成された場合には、搬送装置270が基板30Aを乾燥装置250G内に位置させる。そして、被吐出部38G上の発光材料Gを完全に乾燥させることで、被吐出部38G上に発光層211FGを得る。
次に搬送装置270は、基板30Aを吐出装置200Bのステージ106に位置させる。そして、図24(c)に示すように、吐出装置200Bは、被吐出部38Bのすべてに発光材料211Bの層が形成されるように、ヘッド114から発光材料Bを吐出する。吐出装置200Bが行う発光材料211Bの塗布走査は、実施例1における塗布走査(A)、(B)および(C)のいずれかと同じである。基板30Aの被吐出部38Bのすべてに発光材料Bの層が形成された場合には、搬送装置270が基板30Aを乾燥装置250B内に位置させる。そして、被吐出部38B上の発光材料211Bを完全に乾燥させることで、被吐出部38B上に発光層211FBを得る。
図24(d)に示すように、次に、発光層211FR,211FG、211FB、およびバンク40を覆うように対向電極46を設ける。対向電極46は陰極として機能する。その後、封止基板48と基板30Aとを、互いの周辺部で接着することで、図24(d)に示すエレクトロルミネッセンス表示装置30が得られる。なお、封止基板48と基板30Aとの間には不活性ガス49が封入されている。
エレクトロルミネッセンス表示装置50において、発光層211FR、211FG、211FBから発光した光は、画素電極36と、回路素子層34と、支持基板32と、を介して射出する。このように回路素子層34を介して光を射出するエレクトロルミネッセンス表示装置は、ボトムエミッション型の表示装置と呼ばれる。
本実施例によれば、1つの被吐出部のX座標範囲内のそれぞれ異なるX座標に位置する2つのノズルから、1つの被吐出部に対して液状の発光材料が吐出される。このため、吐出された発光材料によって1つの被吐出部の全領域が覆われるまでに、それぞれの着弾位置から一つ一つの液滴が塗れ広がる範囲が小さくて済む。この結果、吐出された発光材料が広がる速度が遅くても、吐出された発光材料によって被吐出部が完全に覆われる。したがって、被吐出部に均一な層を形成できる製造装置が得られる。
さらに、1つの被吐出部に対して複数のノズルが液状の発光材料を吐出する。このため、ノズル間の吐出量の不均一さが、それぞれの被吐出部に吐出された最終的な発光材料の体積間の不均一さとして現れる可能性を低下できる。
本発明をプラズマ表示装置の背面基板の製造装置に適用した例を説明する。
図25(a)および(b)に示す基板50Aは、後述する製造装置3(図26)による処理によって、プラズマ表示装置の背面基板50Bとなる基板である。基板50Aは、マトリクス状に配置された複数の被吐出部58R、58G、58Bを有する。
具体的には、基板50Aは、支持基板52と、支持基板52上にストライプ状に形成された複数のアドレス電極54と、アドレス電極54を覆うように形成された誘電体ガラス層56と、格子状の形状を有するとともに複数の画素領域を規定する隔壁60と、を含む。複数の画素領域はマトリクス状に位置しており、複数の画素領域が形成するマトリクスの列のそれぞれは、複数のアドレス電極54のそれぞれに対応する。このような基板50Aは、公知のスクリーン印刷技術で形成される。
基板50Aのそれぞれの画素領域において、誘電体ガラス層56およびバンクによって規定される凹部が、被吐出部58R、被吐出部58G、被吐出部58Bに対応する。被吐出部58Rは、赤の波長域の光線を蛍光する蛍光層311FRが形成されるべき領域であり、被吐出部58Gは、緑の波長域の光線を蛍光する蛍光層311FGが形成されるべき領域であり、被吐出部58Bは、青の波長域の光線を蛍光する蛍光層311FBが形成されるべき領域である。
図25(b)に示す基板50Aは、X軸方向およびY軸方向で規定される仮想平面と平行に位置している。そして、複数の被吐出部58R,58G、58Bが形成するマトリクスの行方向および列方向は、それぞれX軸方向およびY軸方向と平行である。基板50Aにおいて、被吐出部58R、被吐出部58G、および被吐出部58Bは、X軸方向にこの順番で周期的に並んでいる。一方、被吐出部58R同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでおり、また、被吐出部58G同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでおり、同様に、被吐出部58B同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでいる。
被吐出部58R同士のX軸方向に沿った間隔LRXは、ほぼ560μmである。この間隔は、被吐出部58G同士のX軸方向に沿った間隔LGXと同じであり、被吐出部58B同士のX軸方向に沿った間隔LBXとも同じである。また、被吐出部58RのX軸方向の長さはほぼ100μmであり、Y軸方向の長さはほぼ300μmである。被吐出部58Gおよび被吐出部58Bも被吐出部58Rと同じ大きさを有している。被吐出部同士の上記間隔および被吐出部の上記大きさは、40インチ程度の大きさのハイビジョンテレビにおいて、同一色に対応する画素領域同士の間隔に対応する。
図26に示す製造装置3は、図25の基板50Aの被吐出部58R,58G、58Bのそれぞれに対して、対応する蛍光材料を吐出する装置である。製造装置3は、被吐出部58Rのすべてに蛍光材料311Rを塗布する吐出装置300Rと、被吐出部58R上の蛍光材料311Rを乾燥させる乾燥装置350Rと、被吐出部58Gのすべてに蛍光材料Gを塗布する吐出装置300Gと、被吐出部58G上の蛍光材料Gを乾燥させる乾燥装置350Gと、被吐出部58Bのすべてに蛍光材料Bを塗布する吐出装置300Bと、被吐出部58B上の蛍光材料Bを乾燥させる乾燥装置350Bと、を備えている。さらに製造装置3は、吐出装置300R、乾燥装置350R、吐出装置300G、乾燥装置350G、吐出装置300B、乾燥装置350Bの順番に基板50Aを搬送する搬送装置370も備えている。
図27に示す吐出装置300Rは、液状の蛍光材料311Rを保持するタンク301Rと、チューブ310Rを介してタンク301Rからカラーフィルタ材料が供給される吐出走査部302と、を備える。この点を除いて、本実施例の吐出走査部302は、実施例1の吐出走査部102(図3)と基本的に同じである。
吐出装置300Gの構成と吐出装置300Bの構成とは、どちらも基本的に吐出装置300Rの構造と同じある。ただし、吐出装置300Rにおけるタンク301Rに代わりに、吐出装置300Gが蛍光材料311G用のタンクを備える点で吐出装置300Gの構成は吐出装置300Rの構成と異なる。同様に、タンク301Rに代えて、吐出装置300Bが蛍光材料311B用のタンクを備える点で吐出装置300Bの構成は吐出装置300Rの構成と異なる。
製造装置3を用いたプラズマ表示装置の製造方法を説明する。まず、公知のスクリーン印刷技術によって、支持基板52上に、複数のアドレス電極54と、誘電体ガラス層56と、隔壁60と、を形成して、図25に示す基板50Aを得る。
次に、大気圧下の酸素プラズマ処理によって、基板50Aを親液化する。この処理によって、隔壁60および誘電体ガラス層56によって規定されたそれぞれの凹部(画素領域の一部)の隔壁60の表面、誘電体ガラス層56の表面が、親液性を呈し、これらの表面が被吐出部58R,58G、58Bとなる。なお、材質によっては、上記のような表面処理を行わなくても、所望の親液性を呈する表面が得られることもある。そのような場合には、上記表面処理を施さなくても、隔壁60と、誘電体ガラス層56と、によって規定された凹部の表面は、被吐出部58R,58G、58Bである。
被吐出部58R,58G、58Bが形成された基板50Aは、搬送装置370によって、吐出装置300Rのステージ106に運ばれる。そして、図28(a)に示すように、吐出装置300Rは、被吐出部58Rのすべてに蛍光材料の層が形成されるように、ヘッド114から蛍光材料311Rを吐出する。吐出装置300Rの行う蛍光材料311Rの塗布走査は、実施例1における塗布走査(A)、(B)および(C)のいずれかと同じである。基板50Aの被吐出部58Rのすべてに蛍光材料311Rの層が形成された場合には、搬送装置370が基板50Aを乾燥装置350R内に位置させる。そして、被吐出部58R上の蛍光材料311Rを完全に乾燥させることで、被吐出部58R上に蛍光層311FRを得る。
次に搬送装置370は、基板50Aを吐出装置300Gのステージ106に位置させる。そして、図28(b)に示すように、吐出装置300Gは、被吐出部58Gのすべてに蛍光材料311Gの層が形成されるように、ヘッド114から蛍光材料311Gを吐出する。吐出装置300Gが行う蛍光材料311Gの塗布走査は、実施例1における塗布走査(A)、(B)および(C)のいずれかと同じである。基板50Aの被吐出部58Gのすべてに蛍光材料311Gの層が形成された場合には、搬送装置370が基板50Aを乾燥装置350G内に位置させる。そして、被吐出部58G上の蛍光材料311Gを完全に乾燥させることで、被吐出部58G上に蛍光層311FGを得る。
次に搬送装置370は、基板50Aを吐出装置300Bのステージ106に位置させる。そして、図28(c)に示すように、吐出装置300Bは、被吐出部58Bのすべてに蛍光材料311Bの層が形成されるように、ヘッド114から蛍光材料Bを吐出する。吐出装置300Bが行う蛍光材料311Bの塗布走査は、実施例1における塗布走査(A)、(B)および(C)のいずれかと同じである。基板50Aの被吐出部58Bのすべてに蛍光材料Bの層が形成された場合には、搬送装置370が基板50Aを乾燥装置350B内に位置させる。そして、被吐出部58B上の蛍光材料311Bを完全に乾燥させることで、被吐出部58B上に蛍光層311FBを得る。
以上の工程によって、基板50Aはプラズマ表示装置の背面基板50Bとなる。
次に図29に示すように、背面基板50Bと、前面基板50Cと、を公知の方法によって貼り合わせてプラズマ表示装置50が得られる。前面基板50Cは、ガラス基板68と、ガラス基板68上で互いに平行にパターニングされた表示電極66Aおよび表示スキャン電極66Bと、表示電極66Aおよび表示スキャン電極66Bとを覆うように形成された誘電体ガラス層64と、誘電体ガラス層64上に形成されたMgO保護層62と、を有する。背面基板50Bと前面基板50Cとは、背面基板50Bのアドレス電極54と、前面基板50Cの表示電極66A・表示スキャン電極66Bとが、互いに直交するように位置合わせされている。各隔壁60で囲まれるセル(画素領域)には、所定の圧力で放電ガス69が封入されている。
本実施例によれば、1つの被吐出部のX座標範囲内のそれぞれ異なるX座標に位置する2つのノズルから、1つの被吐出部に対して液状の蛍光材料が吐出される。このため、吐出された蛍光材料によって1つの被吐出部の全領域が覆われるまでに、それぞれの着弾位置から一つ一つの液滴が塗れ広がる範囲が小さくて済む。この結果、吐出された蛍光材料が広がる速度が遅くても、吐出された蛍光材料によって被吐出部が完全に覆われる。したがって、被吐出部に均一な層を形成できる製造装置が得られる。
さらに、1つの被吐出部に対して複数のノズルが液状の蛍光材料を吐出する。このため、ノズル間の吐出量の不均一さが、それぞれの被吐出部に吐出された最終的な蛍光材料の体積間の不均一さとして現れる可能性を低下できる。
次に本発明を、電子放出素子を備えた画像表示装置の製造装置に適用した例を説明する。
図33(a)および(b)に示す基板70Aは、後述する製造装置3(図34)による処理によって、画像表示装置の電子源基板70Bとなる基板である。基板70Aは、マトリクス状に配置された複数の被吐出部78を有する。
具体的には、基板70Aは、基体72と、基体72上に位置するナトリウム拡散防止層74と、ナトリウム拡散防止層74上に位置する複数の素子電極76A、76Bと、複数の素子電極76A上に位置する複数の金属配線79Aと、複数の素子電極76B上に位置する複数の金属配線79Bと、を備えている。複数の金属配線79AのそれぞれはY軸方向に延びる形状を有する。複数の金属配線79AのそれぞれはX軸方向に延びる形状を有する。金属配線79Aと金属配線79Bとの間には絶縁膜75が形成されているので、金属配線79Aと金属配線79Bとは電気的に絶縁されている。
1対の素子電極76Aおよび素子電極76Bを含む部分は1つの画素領域に対応する。1対の素子電極76Aおよび素子電極76Bは、互いに所定の間隔だけ離れてナトリウム拡散防止層74上で対向している。ある画素領域に対応する素子電極76Aは、対応する金属配線79Aと電気的に接続されている。また、その画素領域に対応する素子電極76Bは、対応する金属配線79Bと電気的に接続されている。なお、本明細書では、基体72とナトリウム拡散防止層74とを合わせた部分を支持基板と表記することもある。
基板70Aのそれぞれの画素領域において、素子電極76Aの一部と、素子電極76Bの一部と、素子電極76Aと素子電極76Bとの間で露出したナトリウム拡散防止層74とが、被吐出部78に対応する。より具体的には、被吐出部78は、導電性薄膜411F(図37)が形成されるべき領域であり、導電性薄膜411Fは、素子電極76Aの一部と、素子電極76Bの一部と、素子電極76A,76Bの間のギャップとを覆うように形成される。図33(b)において点線で示すように、本実施例における被吐出部78の形状は円形である。このように、本発明のX座標範囲とY座標範囲で決まる被吐出部の形状は矩形に限定されず、本実施例において説明するような円形でも構わない。
図33(b)に示す基板70Aは、X軸方向およびY軸方向で規定される仮想平面と平行に位置している。そして、複数の被吐出部78が形成するマトリクスの行方向および列方向は、それぞれX軸方向およびY軸方向と平行である。基板70Aにおいて、被吐出部78は、X軸方向にこの順番で周期的に並んでいる。さらに、被吐出部78はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでいる。
被吐出部78同士のX軸方向に沿った間隔LRXは、ほぼ190μmである。また、被吐出部78RのX軸方向の長さ(X座標範囲の長さ)はほぼ100μmであり、Y軸方向の長さ(Y座標範囲の長さ)もほぼ100μmである。被吐出部78同士の上記間隔および被吐出部の上記大きさは、40インチ程度の大きさのハイビジョンテレビにおいて、画素領域同士の間隔に対応する。
図34に示す製造装置4は、図33の基板70Aの被吐出部78のそれぞれに対して、導電性薄膜材料411を吐出する装置である。製造装置4は、被吐出部78のすべてに導電性薄膜材料411を塗布する吐出装置400と、被吐出部78上の導電性薄膜材料411を乾燥させる乾燥装置450と、を備えている。さらに製造装置4は、吐出装置400、乾燥装置450の順番に基板70Aを搬送する搬送装置470も備えている。
図35に示す吐出装置400は、液状の導電性薄膜材料411を保持するタンク401と、チューブ410と、チューブ410を介してタンク401Rからカラーフィルタ材料が供給される吐出走査部102と、を備える。吐出走査部102の説明は、実施例1で説明したため省略する。なお、本実施例では、液状の導電性薄膜材料411は有機パラジウム溶液である。
製造装置4を用いた画像表示装置の製造方法を説明する。まず、ソーダガラスなどから形成された基体72上に、SiO2を主成分とするナトリウム拡散防止層74を形成する。具体的には、スパッタ法を用いて基体72上に厚さ1μmのSiO2膜を形成することによってナトリウム拡散防止層74を得る。次に、ナトリウム拡散防止層74上に、スパッタ法または真空蒸着法によって厚さ5nmのチタニウム層を形成する。そして、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて、そのチタニウム層から、互いに所定の距離だけ離れて位置する1対の素子電極76Aおよび素子電極76Bを複数対形成する。その後、スクリーン印刷技術を用いて、ナトリウム拡散防止層74および複数の素子電極76A上にAgペーストを塗布して焼成することで、Y軸方向に延びる複数の金属配線79Aを形成する。次に、スクリーン印刷技術を用いて、各金属配線79Aの一部分にガラスペーストを塗布して焼成することで、絶縁膜75を形成する。そして、スクリーン印刷技術を用いて、ナトリウム拡散防止層74および複数の素子電極76B上にAgペーストを塗布して焼成することで、X軸方向に延びる複数の金属配線79Bを形成する。なお、金属配線79Bを作製する場合には、金属配線79Bが絶縁膜75を介して金属配線79Aと交差するようにAgペーストを塗布する。以上のような工程によって、図33に示す基板70Aを得る。
次に、大気圧下の酸素プラズマ処理によって、基板70Aを親液化する。この処理によって、素子電極76Aの表面の一部と、素子電極76Bの表面の一部と、素子電極76Aと素子電極76Bとの間で露出した支持基板の表面とは、親液化される。そして、これらの表面が被吐出部78となる。なお、材質によっては、上記のような表面処理を行わなくても、所望の親液性を呈する表面が得られることもある。そのような場合には、上記表面処理を施さなくても、素子電極76Aの表面の一部と、素子電極76Bの表面の一部と、素子電極76Aと素子電極76Bとの間で露出したナトリウム拡散防止層74の表面とは、被吐出部78となる。
被吐出部78が形成された基板70Aは、搬送装置470によって、吐出装置400のステージ106に運ばれる。そして、図36に示すように、吐出装置400は、被吐出部78のすべてに導電性薄膜411Fが形成されるように、ヘッド114から導電性薄膜材料411を吐出する。吐出装置400の行う導電性薄膜材料411の塗布走査は、実施例1における塗布走査(A)、(B)および(C)のいずれかと同じである。本実施例では、被吐出部78上に着弾した導電性薄膜材料411の液滴の直径が60μmから80μmの範囲となるように、制御部112はヘッド114に信号を与える。基板70Aの被吐出部78のすべてに導電性薄膜材料411の層が形成された場合には、搬送装置470が基板70Aを乾燥装置450内に位置させる。そして、被吐出部78上の導電性薄膜材料411を完全に乾燥させることで、被吐出部78上に酸化パラジウムを主成分とする導電性薄膜411Fを得る。このように、それぞれの画素領域において、素子電極76Aの一部と、素子電極76Bの一部と、素子電極76Aと素子電極76Bとの間に露出したナトリウム拡散防止層74と、を覆う導電性薄膜411Fが形成される。
次に素子電極76Aおよび素子電極76Bとの間に、パルス状の所定の電圧を印加することで、導電性薄膜411Fの一部分に電子放出部411Dを形成する。なお、素子電極76Aおよび素子電極76Bとの間の電圧の印加を、有機物雰囲気下および真空条件下でもそれぞれ行うことが好ましい。そうすれば、電子放出部411Dからの電子放出効率がより高くなるからである。素子電極76Aと、対応する素子電極76Bと、電子放出部411Dが設けられた導電性薄膜411Fと、は電子放出素子である。また、それぞれの電子放出素子は、それぞれの画素領域に対応する。
以上の工程によって、図37に示すように、基板70Aは電子源基板70Bとなる。
次に図38に示すように、電子源基板70Bと、前面基板70Cと、を公知の方法によって貼り合わせて画像表装置70が得られる。前面基板70Cは、ガラス基板82と、ガラス基板82上にマトリクス状に位置する複数の蛍光部84と、複数の蛍光部84を覆うメタルプレート86と、を有する。メタルプレート86は、電子放出部411Dからの電子ビームを加速するための電極として機能する。電子源基板70Bと前面基板70Cとは、複数の電子放出素子のそれぞれが、複数の蛍光部84のそれぞれに対向するように、位置合わせされている。また、電子源基板70Bと、前面基板70Cとの間は、真空状態に保たれている。
本実施例によれば、1つの被吐出部のX座標範囲内のそれぞれ異なるX座標に位置する2つのノズルから、1つの被吐出部に対して液状の導電性薄膜材料が吐出される。このため、吐出された蛍光材料によって1つの被吐出部の全領域が覆われるまでに、それぞれの着弾位置から一つ一つの液滴が塗れ広がる範囲が小さくて済む。この結果、吐出された導電性薄膜材料が広がる速度が遅くても、吐出された導電性薄膜材料によって被吐出部が完全に覆われる。したがって、被吐出部に均一な層を形成できる製造装置が得られる。
さらに、本実施例によれば、1つの被吐出部に対して複数のノズルが液状の導電性薄膜材料を吐出する。このため、ノズル間の吐出量の不均一さが、それぞれの被吐出部に吐出された最終的な導電性薄膜材料の体積間の不均一さとして現れる可能性を低下できる。
(実施例1〜4の変形例)
(1)実施例1〜4において、R、G、Bに対応する被吐出部はマトリクス状に配置されている。しかしながら、図30に示すように、R,G、Bに対応する被吐出部がデルタ状(千鳥状)に配置されていても、本発明を適用できる。なお、デルタ配置とは、奇数ラインの被吐出部の並びと、偶数ラインの被吐出部の並びとが、互いに半ピッチずれた配置をいう。ここでいうピッチとは、互いに隣接する2つの被吐出部間の間隔である。例えば、ピッチとは、隣接する被吐出部の中心位置間の距離に等しい。
具体的には、図30(a)の第1ラインに属する被吐出部R1、G1、G1と、第3ラインに属する被吐出部R3、G3、B3は、図30(b)に示すように、1つのマトリクスを構成する。同様に、第2ラインに属する被吐出部R2、G2、B2と、第4ラインに属する被吐出部R4、G4、B4は、1つの他のマトリクスを構成する。したがって、実施例1〜4の塗布走査の方法を、奇数ラインに属する被吐出部と、偶数ラインに属する被吐出部とに分けて行えばよい。
(2)実施例1〜4において、マトリクス状に配置された被吐出部に対して材料を吐出する製造装置を説明した。しかしながら、ストライプ状に配置された被吐出部に対して液状の材料を吐出する製造装置にも本発明を適用できる。そのような製造装置の一例は配線製造装置であり、図31は、配線製造装置が、プラズマ表示装置における支持基板52上にアドレス電極54を形成する場合を示している。配線製造装置は、実施例1〜4において説明された塗布方法(A)、(B)および(C)のいずれかにしたがって、被吐出部80のそれぞれにヘッド114から配線材料を塗布する。複数の被吐出部80のそれぞれは、Y軸方向に延びるストライプ形状を有する。なお、この配線製造装置における吐出装置は、実施例1において説明した吐出装置100Rの構造と基本的に同じ構造を有している。
(3)実施例1〜4では、ノズル列方向HXとX軸方向とがなす角度ANは0°であった。しかしながら、角度ANは0°に限らず、任意の角度であってよい。具体的には、ノズル118同士のX軸方向の間隔が、適切な間隔となるように、角度ANの値を適宜設定すればよい。例えば、角度ANを0°より大きい角度にすれば、X座標範囲の長さが70μmよりも短い被吐出部に対しても、1回の走査期間内に2つのノズルから材料を吐出することができる。角度ANを0°以外の角度にすることによって、ノズル列の方向がX軸方向と平行でなくなり、この結果、互いの間の距離が最も短い2つのノズル118のX軸方向の間隔が70μmより短くなるからである。なお、角度ANの値を適切な値にするためには、キャリッジ103に対するヘッドの相対角度を変更すればよい。
(4)実施例1〜4では、キャリッジがY軸方向に沿って走査範囲の一端E1から他端E2まで相対走査を1回する期間内(すなわち1回の走査期間内)に、全てのノズルから材料が吐出されなくてもよい。つまり、1回の走査期間内に、吐出動作を行わないノズルが存在してもよい。このようなノズルを非吐出ノズルと表記する。しかしながら、この場合には、1回の走査期間に亘って、非吐出ノズルに対応するキャビティ内の材料に振動を与えることが好ましい。キャビティ内の材料に振動を与える構成の具体例は以下の通りである。
まず、ピエゾ素子に印加する電圧(すなわち印加電圧)の最大値と最小値との差が所定値SABを超える場合に、対応したノズルから液状の材料が吐出されるとする。例えば、図32(a)に示すように、ノズルが被吐出部に対応した領域に侵入する場合には、互いに極性が逆のTAおよびTBの間で印加電圧を変化させる。具体的には、1つの液滴を吐出する場合に、印加電圧を、期間P11の間に0からTAに変化させ、期間P11に引き続く期間P12の間でTAからTBに変化させ、期間P12に引き続く期間P13の間に0に戻し、期間P13に続く期間P14の間0に維持する。TAおよびTBは、それぞれ印加電圧の最大値および最小値である。そして、TAとTBとの差TABは所定値SABよりも大きい。時間軸に沿ってこのような波形パターンを有する印加電圧を、あるノズルに対応するピエゾ素子に与えることで、そのノズルから液状の材料が吐出される。図32(a)に示す例では、期間11、P12、P13、P14からなる波形パターンが1つの液滴の吐出に対応する。また、図32(a)では、この波形パターンが3つ隣接している。
一方、非吐出ノズルに対応するピエゾ素子に印加する電圧(すなわち印加電圧)の最大値と最小値との差は、図32(b)に示すように、所定値SAB以下である。図32(b)に示す例では、互いに極性が逆であるRAとRBとの間で印加電圧を変化させる。より具体的には、印加電圧を、期間P21の間に0からRAに変化させ、期間P21に引き続く期間P22の間でRAからRBに変化させ、期間P22に引き続く期間P23の間に0に戻す。そして、期間P21、P22、P23を含む波形パターン(印加電圧)を所定の周期でピエゾ素子に与える。RAおよびRBは、それぞれ印加電圧の最大値および最小値である。そして、RAとRBとの差は所定値SAB以下である。なお、本明細書では、所定値SABを「非吐出電圧差」と表記することもある。
最大値と最小値との差が所定値SAB以下となるように変化する印加電圧によってピエゾ素子は振動するが、しかしながら、その振動によって材料は吐出されない。本明細書では、ノズルから材料を吐出させない程度の振動を「非吐出振動」と表記することもある。非吐出ノズルに対応するピエゾ素子が非吐出振動をすることで、非吐出ノズルに対応するキャビティ内に充填された液状の材料が、その振動を受けてキャビティ内で対流する。液状の材料が対流すると、大気に触れている面の材料が常に流動するので、液状の材料から溶媒が気化することを防止できる。そして、溶媒の気化を防げるため、液状の材料の粘性が増加することを防止でき、このため非吐出ノズルが、次の走査期間に材料を吐出すべきノズルになる場合に、このノズルからの吐出不良を防止できる。なお、印加電圧の最大値および最小値の差を所定値以下にする以外にも、波形パターンの周波数を変えることでも非吐出振動を実現できるし、最大値・最小値の差および周波数の双方を調整することでも非吐出振動を実現できる。
キャリッジがY軸方向に沿って走査範囲の一端から他端まで相対走査を1回する期間内(つまり1回の走査期間内)にノズルが材料を複数回吐出する場合には、吐出のタイミング間にそのノズルに対応するピエゾ素子に非吐出振動をさせてもよい。そうすれば、そのノズルからの材料の吐出がより安定する。
(5)実施例1〜4の吐出装置において、キャリッジがY軸方向に沿って走査範囲の一端から他端まで相対走査する前に毎回、キャリッジを走査範囲の外側の所定位置に移動させて、ノズルから材料を吐出してもよい。そうすれば、たとえ何らかの理由でノズルからの材料の吐出量が規定の吐出量よりも少なくなった場合でも、その位置で吐出動作を続ければ規定の吐出量が回復する可能性が高いからである。本明細書では、このような走査範囲外での吐出動作を「予備吐出」と表記することもある。予備吐出を行うことで、キャリッジがY軸方向に沿って走査範囲の一端から他端まで新たに相対走査する前に、ノズルから材料が安定して吐出されるようになる。予備吐出は、予備吐出の工程に引き続いて行われる塗布走査の工程において材料を吐出すべきノズルとなるノズルに対してのみ行ってもよいし、キャリッジにおけるすべてのノズルに対して行ってもよい。また、予備吐出は、キャリッジがY軸方向に沿って走査範囲の一端から他端まで相対走査を1回する毎に行ってもよいし、複数回毎に行ってもよい。
(6)実施例1〜3において説明した被吐出部の形状は矩形である。被吐出部が矩形である場合には、矩形の四隅に材料が広がらないこともある。このような場合には、実施例1〜3に示した着弾位置に加えて、矩形の四隅にそれぞれ着弾位置を設定してもよい。
1、2、3、4…製造装置、10A、30A、50A、70A…基板、18R,18G、18B、38R、38G、38B、58R,58G、58B、78R、78G、78B…被吐出部、100R、100G、100B…吐出装置、102…吐出走査部、103…キャリッジ、104…第1位置制御装置、108…第2位置制御装置、106…ステージ106、111R、111G、111G…カラーフィルタ材料、112…制御部、114…ヘッド、116…ノズル列、118…ノズル、120…キャビティ120、124…振動子、127…吐出部、150R、150G、150B…乾燥装置、200R、200G、200B…吐出装置、200…入力バッファメモリ、202…記憶手段、204…処理部、206…走査ドライバ、208…ヘッドドライバ、211R、211G、211B…発光材料、250R、250G、250B…乾燥装置、270…搬送装置、311R、311G、311B…蛍光材料、300R、300G、300B…吐出装置、350R、350G,350B…乾燥装置、370…搬送装置、411…導電性薄膜材料、400…吐出装置、450…乾燥装置、470…搬送装置