JP2005031149A - 吐出装置、カラーフィルタ基板の製造装置、カラーフィルタ基板、電気光学装置、電気光学装置の製造装置、配線製造装置、電気光学装置の製造方法、および吐出方法、ならびに電子機器。 - Google Patents
吐出装置、カラーフィルタ基板の製造装置、カラーフィルタ基板、電気光学装置、電気光学装置の製造装置、配線製造装置、電気光学装置の製造方法、および吐出方法、ならびに電子機器。 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】吐出後の材料の乾燥時間を短縮できる吐出装置を提供すること。
【解決手段】吐出装置は、互いに同じ層が形成されるべき複数の被吐出部であって、互いに直交するX軸方向およびY軸方向に並ぶとともに前記X軸方向の間隔が所定の長さである複数の被吐出部、に液状の材料を塗布する。前記吐出装置は、前記複数の被吐出部の位置を決めるステージと、前記材料を吐出可能なノズル列を有するヘッドと、前記ノズル列が前記複数の被吐出部に対して前記X軸方向および前記Y軸方向のそれぞれの方向に相対走査するように前記ステージに対する前記ヘッドの相対位置を変える走査部と、を備える。前記ノズル列は前記X軸方向と所定の角度をなす方向に並んでいて、前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する期間内に前記材料を吐出するノズル同士の前記X軸方向の間隔は前記所定の長さの2倍以上の整数倍である。
【選択図】 図8
【解決手段】吐出装置は、互いに同じ層が形成されるべき複数の被吐出部であって、互いに直交するX軸方向およびY軸方向に並ぶとともに前記X軸方向の間隔が所定の長さである複数の被吐出部、に液状の材料を塗布する。前記吐出装置は、前記複数の被吐出部の位置を決めるステージと、前記材料を吐出可能なノズル列を有するヘッドと、前記ノズル列が前記複数の被吐出部に対して前記X軸方向および前記Y軸方向のそれぞれの方向に相対走査するように前記ステージに対する前記ヘッドの相対位置を変える走査部と、を備える。前記ノズル列は前記X軸方向と所定の角度をなす方向に並んでいて、前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する期間内に前記材料を吐出するノズル同士の前記X軸方向の間隔は前記所定の長さの2倍以上の整数倍である。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、マトリクス状またはストライプ状に並んだ複数の被吐出部に液状の材料を塗布する技術に関し、より具体的には、カラーフィルタ基板の製造、電気光学装置の製造、および配線の製造に好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
吐出装置を用いることで、カラーフィルタのフィルタエレメントを形成することと、エレクトロルミネッセンス(EL)装置のピクセルのパターンを形成することとが知られている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】
特開2002−273869号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
吐出装置によって所定のパターン状に吐出された液状の材料は、液状の材料に含まれる溶媒が気化した後に最終的に所望の層を形成する。ところで、カラーフィルタなどのピクセルは密集している。このため、ピクセルの複数の列に対してほぼ同時に液状の材料が吐出される場合には、液状の材料から気化した溶媒雰囲気の分圧が複数の列上で局所的に上昇する。溶媒雰囲気の分圧の上昇は、塗布された液状の材料に含まれる溶媒が気化することを妨げるので、結果として、塗布された材料の乾燥に時間がかかる。
【0004】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、吐出後の材料の乾燥時間を短縮できる吐出装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の吐出装置は、互いに同じ層が形成されるべき複数の被吐出部であって、互いに直交するX軸方向およびY軸方向に並ぶとともに前記X軸方向の間隔が所定の長さである複数の被吐出部、に液状の材料を塗布する吐出装置であって、前記複数の被吐出部の位置を決めるステージと、前記材料を吐出可能なノズル列を有するヘッドと、前記ノズル列が前記複数の被吐出部に対して前記X軸方向および前記Y軸方向のそれぞれの方向に相対走査するように前記ステージに対する前記ヘッドの相対位置を変える走査部と、を備えている。そして、前記ノズル列は前記X軸方向と所定の角度をなす方向に並んでいて、前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する期間内に前記材料を吐出するノズル同士の前記X軸方向の間隔は前記所定の長さの2倍以上の整数倍である。
【0006】
本発明のある態様では、前記ノズル列は、複数の第1のノズルと少なくとも1つの第2のノズルと、からなり、前記複数の第1のノズルは前記期間内に前記材料を吐出する前記ノズルであり、前記少なくとも1つの第2のノズルは、前記期間中吐出を行わない。
【0007】
好ましくは、前記ノズル列における2つのノズルのX軸方向の距離が前記所定の長さに一致するように、前記ノズル列の方向が設定されている。前記ノズル列の前記X軸方向の位置を所定のX座標に一致させながら前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する第1の期間内には、前記ノズル列における前記複数の第1のノズルの配置パターンは第1配置パターンであり、前記第1配置パターンの前記複数の第1のノズルが前記被吐出部に前記材料を吐出する。前記ノズル列の前記X軸方向の位置を前記所定のX座標に一致させながら前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する第2の期間内には、前記ノズル列における前記複数の第1のノズルの配置パターンは第2配置パターンであり、前記第2配置パターンの前記複数の第1のノズルが前記被吐出部に前記材料を吐出する。そして、前記第1配置パターンにおける前記複数の第1のノズルの位置と、前記第2配置パターンにおける前記複数の第1のノズルの位置とは、互いに半ピッチずれている。
【0008】
好ましくは、前記ノズル列に対してX軸方向に並んだ複数の走査範囲が設定されており、前記吐出装置は、前記複数の被吐出部のすべてに前記材料を塗布するように、前記複数の走査範囲のそれぞれに対して、前記第1配置パターンにおける前記複数の第1のノズルからの前記材料の吐出と、前記第2配置パターンにおける前記複数の第1のノズルからの前記材料の吐出とを行う。
【0009】
好ましくは、前記吐出装置は、前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する前に、少なくとも前記複数の第1のノズルから予備吐出を行う。
【0010】
さらに好ましくは、前記ヘッドは、前記材料が充填されるキャビティであって、それぞれが前記複数の第1のノズルおよび前記少なくとも1つの第2のノズルのそれぞれに対応する複数のキャビティと、それぞれが前記複数のキャビティのそれぞれに対応する複数のピエゾ素子と、を備えている。そして、前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する期間内に、前記第2のノズルに対応する前記キャビティ内で前記材料が対流するように、対応する前記ピエゾ素子が振動する。
【0011】
本発明の吐出装置は、互いに同じ層が形成されるべき複数の被吐出部であって、それぞれがY軸方向に延びるストライプ状に配置されるとともに、前記Y軸方向と直交するX軸方向の間隔が所定の長さである複数の被吐出部、に液状の材料を塗布する吐出装置であって、 前記複数の被吐出部の位置を決めるステージと、前記材料を吐出可能なノズル列を有するヘッドと、前記ノズル列が前記複数の被吐出部に対して前記X軸方向および前記Y軸方向のそれぞれの方向に相対走査するように前記ステージに対する前記ヘッドの相対位置を変える走査部とを備えている。そして、前記ノズル列は前記X軸方向と所定の角度をなす方向に並んでいて、前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査をする期間内に前記材料を吐出するノズル同士の前記X軸方向の間隔は前記所定の長さの2倍以上の整数倍である。
【0012】
また、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、カラーフィルタ基板の製造装置、電気光学装置の製造装置、配線製造装置などの態様で実現することができる。本発明の「電気光学装置」とは、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置、電子放出素子を備えた画像表示装置などを意味する。さらに、本発明でいう「電気光学装置」とは、複屈折性の変化、旋光性の変化、光散乱性の変化、などの光学的特性の変化(いわゆる電気光学効果)を利用する装置に限定されず、信号電圧の印加に応じて光を射出、透過、または反射する装置全般を意味する。
【0013】
本発明のカラーフィルタ基板は、上記カラーフィルタ基板の製造方法によって製造されている。本発明の電気光学装置は、上記電気光学装置の製造方法によって製造されている。さらに、本発明の電子機器は上記電気光学装置を含んでいる。
【0014】
本発明の吐出方法は、互いに同じ層が形成されるべき複数の被吐出部であって、互いに直交するX軸方向およびY軸方向に並ぶとともに前記X軸方向の間隔が所定の長さである複数の被吐出部、に吐出装置から液状の材料を吐出する吐出方法であって、前記X軸方向と所定の角度をなす方向に並んだノズル列における複数のノズルのうち、前記X軸方向に沿った互いの間隔が前記所定の長さの2倍以上の整数倍である複数のノズルを複数の吐出ノズルとして設定するステップ(a)と、前記複数の吐出ノズルのX軸方向の位置を対応する前記被吐出部のX軸方向の位置に一致させるステップ(b)と、前記ノズル列を前記Y軸方向に相対走査させるステップ(c)と、前記ステップ(a)の期間内に、前記複数の吐出ノズルからのみ前記対応する被吐出部に材料を吐出するステップ(d)と、を含む。
【0015】
好ましくは、前記ノズル列における2つのノズルのX軸方向の距離が前記所定の長さに一致するように、前記ノズル列の方向が設定されており、前記吐出方法は、前記ノズル列における前記複数の吐出ノズルの配置パターンを第1配置パターンにするステップ(e)と、前記ステップ(e)の後で、前記ノズル列の前記X軸方向の位置を所定のX座標に一致させながら前記ノズル列をY軸方向に相対走査するステップ(f)と、前記ステップ(f)の期間内に、前記吐出ノズルから対応する前記被吐出部に前記材料を吐出するステップ(g)と、前記ノズル列における前記複数の吐出ノズルの配置パターンを第2配置パターンにするステップ(h)と、前記ステップ(h)の後で、前記ノズル列の前記X軸方向の位置を前記所定のX座標に一致させながら前記ノズル列を前記Y軸方向に相対走査するステップ(i)と、前記ステップ(i)の期間内に、前記吐出ノズルから対応する前記被吐出部に前記材料を吐出するステップ(j)と、を含む。そして、前記第1配置パターンにおける前記複数の吐出ノズルの位置と、前記第2配置パターンにおける前記複数の吐出ノズルの位置とは、互いに半ピッチずれている。
【0016】
本発明の他の態様では、前記吐出方法が、前記複数の被吐出部のすべてに前記材料を塗布するように、前記ノズル列に対応する複数の走査範囲のそれぞれに対して、前記ステップ(e)からステップ(j)を行う。
【0017】
また、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、製造方法などの態様で実現することができる。
【0018】
本発明によれば、Y軸方向に相対走査が行われる期間内に、同じ層が形成されるべき複数の被吐出部は、X軸方向に沿って少なくとも1つおきに塗布される。なぜなら、材料を吐出するノズル同士、つまり第1のノズル同士、の前記X軸方向の間隔は前記所定の長さの2倍以上の整数倍だからである。このため、1回の相対走査の期間内で同じ材料が塗布される被吐出部間の間隔が広くなり、この結果、Y軸方向に沿って走査範囲の一端から他端まで1回の相対走査が行われている間でも、被吐出部上の材料から溶媒が気化できる。つまり、塗布走査をしている間でも溶媒の気化を促せるため、材料の乾燥時間を短縮できる。なお、本発明では、第1のノズルを「吐出ノズル」と表記することもある。
【0019】
さらに本発明によれば、複数の第1のノズルからの安定した前記材料の吐出を維持することができる。なぜなら、Y軸方向に沿って走査範囲の前記一端から他端まで相対走査を1回する前に少なくとも第1のノズルから予備吐出を行うからである。
【0020】
さらに本発明によれば、Y軸方向に沿って走査範囲の前記一端から他端まで相対走査を1回する期間内に吐出動作を行わないノズル(第2のノズル)において、液状の材料の粘性が増大することを防止できる。なぜなら、対応するピエゾ素子が振動することで、第2のノズルに対応するキャビティ内で前記材料が対流するため、前記第2のノズルの開口部で大気に触れる前記材料の液面が常に流動するためである。この結果、第2のノズルとして機能したノズルが第1のノズルとして機能し始める場合でも、このノズルからすぐに安定して材料を吐出できる。なお、本発明では、第2のノズルを「非吐出ノズル」と表記することもある。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、カラーフィルタ基板の製造装置、エレクトロルミネッセンス表示装置の製造装置、プラズマ表示装置の製造装置、電子放出素子を備えた画像表示装置の製造装置、および配線製造装置に適用した場合を例に取り、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明の内容を何ら限定するものではない。また、以下の実施形態に示す構成のすべてが、特許請求の範囲に記載された発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0022】
(実施形態1)
本発明をカラーフィルタ基板の製造装置1に適用した例を説明する。
【0023】
図1(a)および(b)に示す基体10Aは、後述する製造装置1(図2)による処理を経て、カラーフィルタ基板10となる基板である。基体10Aは、マトリクス状に配置された複数の被吐出部18R,18G、18Bを有する。
【0024】
具体的には、基体10Aは、光透過性を有する支持基板12と、支持基板12上に形成されたブラックマトリクス14と、ブラックマトリクス14上に形成されたバンク16と、を含む。ブラックマトリクス14は遮光性を有する材料で形成されている。そして、ブラックマトリクス14とブラックマトリクス14上のバンク16とは、支持基板12上にマトリクス状の複数の光透過部分、すなわちマトリクス状の複数の画素領域、が規定されるように位置している。
【0025】
それぞれの画素領域において、支持基板12、ブラックマトリクス14、およびバンク16で規定される凹部は、被吐出部18R、被吐出部18G、被吐出部18Bに対応する。被吐出部18Rは、赤の波長域の光線のみを透過するフィルタ層111FRが形成されるべき領域であり、被吐出部18Gは、緑の波長域の光線のみを透過するフィルタ層111FGが形成されるべき領域であり、被吐出部18Bは、青の波長域の光線のみを透過するフィルタ層111FBが形成されるべき領域である。
【0026】
図1(b)に示す基体10Aは、X軸方向およびY軸方向で規定される仮想平面と平行に位置している。そして、複数の被吐出部18R,18G、18Bが形成するマトリクスの行方向および列方向は、それぞれX軸方向およびY軸方向と平行である。基体10Aにおいて、被吐出部18R、被吐出部18G、および被吐出部18Bは、X軸方向にこの順番で周期的に並んでいる。一方、被吐出部18R同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでおり、また、被吐出部18G同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでおり、そして、被吐出部18B同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでいる。
【0027】
被吐出部18R同士のX軸方向に沿った間隔LRXは、ほぼ237μmである。この間隔LRXは、被吐出部18G同士のX軸方向に沿った間隔LGXと同じであり、被吐出部18B同士のX軸方向に沿った間隔LBXとも同じである。また、被吐出部18R、18G、18GのそれぞれのX軸方向の長さおよびY軸方向の長さは、それぞれ約50μmおよび約120μmである。
【0028】
図2に示す製造装置1は、図1の基体10Aの被吐出部18R,18G、18Bのそれぞれに対して、対応するカラーフィルタ材料を吐出する装置である。具体的には、製造装置1は、被吐出部18Rのすべてにカラーフィルタ材料111Rを塗布する吐出装置100Rと、被吐出部18R上のカラーフィルタ材料111Rを乾燥させる乾燥装置150Rと、被吐出部18Gのすべてにカラーフィルタ材料111Gを塗布する100Gと、被吐出部18G上のカラーフィルタ材料111Gを乾燥させる乾燥装置150Gと、被吐出部18Bのすべてにカラーフィルタ材料111Bを塗布する100Bと、被吐出部18Bのカラーフィルタ材料111Bを乾燥させる乾燥装置150Bと、カラーフィルタ材料111R、111G、111Bを再度加熱(ポストベーク)するオーブン160と、ポストベークされたカラーフィルタ材料111R,111G、111Bの層の上に保護膜16を設ける吐出装置100Cと、保護膜16を乾燥させる乾燥装置150Cと、乾燥された保護膜16を再度加熱して硬化する硬化装置165と、を備えている。さらに製造装置1は、吐出装置100R、乾燥装置150R、吐出装置100G、乾燥装置150G、吐出装置100B、乾燥装置150B、吐出装置100C、乾燥装置150C、硬化装置165の順番に基体10Aを搬送する搬送装置170も備えている。
【0029】
図3に示すように、吐出装置100Rは、液状のカラーフィルタ材料111Rを保持するタンク101Rと、チューブ110Rを介してタンク101Rからカラーフィルタ材料111Rが供給される吐出走査部102と、を備える。吐出走査部102は、それぞれがカラーフィルタ材料を吐出可能な複数のヘッド114(図4)を有するキャリッジ103と、キャリッジ103の位置を制御する第1位置制御装置104と、基体10Aを保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第2位置制御装置108と、制御部112と、を備えている。タンク101Rと、キャリッジ103における複数のヘッド114と、はチューブ110Rで連結されており、タンク101Rから複数のヘッド114のそれぞれに液状のカラーフィルタ材料111Rが圧縮空気によって供給される。
【0030】
第1位置制御装置104は、制御部112からの信号に応じて、キャリッジ103をX軸方向、およびX軸方向と直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な所定な軸の回りでキャリッジ103を回転させる機能も有する。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。第2位置制御装置108は、制御部112からの信号に応じて、X軸方向およびZ軸方向の両方と直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させる。なお、第1位置制御措置104および第2位置制御装置108は、本発明の走査部に対応する。
【0031】
ステージ106は、X軸方向およびY軸方向で規定される仮想的な平面上に位置する。また、ステージ106は、所定の材料を塗布すべき複数の被吐出部を有する基板を固定できるように構成されている。本実施形態では、複数の被吐出部を有する基板は、複数の被吐出部18Rを有する基体10Aである。また、本明細書では、複数の被吐出部を有する基体を受容基板と表記することもある。
【0032】
キャリッジ103およびステージ106は上記以外の平行移動および回転の自由度をさらに有している。ただし、本実施形態では、上記自由度以外の自由度に関する記載は説明を平易にする目的で省略されている。
【0033】
制御部112は、カラーフィルタ材料111Rを吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。制御部112の詳細な機能は、後述する。
【0034】
図4に示すように、キャリッジ103は、互いに同じ構造を有する複数のヘッド114を保持している。ここで、図4は、キャリッジ103をステージ106側から観察した図であり、このため図面に垂直な方向がZ軸方向である。本実施形態では、キャリッジ103には6個のヘッド114からなる列が2列配置されている。後に詳細に述べるように、それぞれのヘッド114の長手方向がX軸方向に対して角度ANをなすように、ヘッド114のそれぞれがキャリッジ103に固定されている。
【0035】
図5に示すように、カラーフィルタ材料111Rを吐出するためのヘッド114は、それぞれがヘッド114の長手方向に延びる2つのノズル列116を有している。1つのノズル列116とは、180個のノズル118が一列に並んだ列のことである。このノズル列方向HXに沿ったノズル118の間隔は、約140μmである。上述したように、ヘッド114の長手方向がX軸方向に対して角度ANをなすため、ノズル列方向HX、すなわち180個のノズル118が一列に並ぶ方向もX軸方向に対して角度ANをなす。なお、複数のノズル118のそれぞれの端部は、上記X軸方向およびY軸方向で定義される仮想的な平面上に位置している。また、ヘッド114がほぼZ軸と平行に材料を吐出できるように、複数のノズル118のそれぞれの形状が調整されている。
【0036】
図6(a)および(b)に示すように、それぞれのヘッド114は、インクジェットヘッドである。より具体的には、それぞれのヘッド114は、振動板126と、ノズルプレート128と、を備えている。振動板126と、ノズルプレート126と、の間には、タンク101Rから孔131を介して供給される液状のカラーフィルタ材料111Rが常に充填される液たまり129が位置している。また、振動板126と、ノズルプレート128と、の間には、複数の隔壁122が位置している。そして、振動板126と、ノズルプレート128と、1対の隔壁122と、によって囲まれた部分がキャビティ120である。キャビティ120はノズル118に対応して設けられているため、キャビティ120の数とノズル118の数とは同じである。キャビティ120には、1対の隔壁122間に位置する供給口130を介して、液たまり129からカラーフィルタ材料111Rが供給される。
【0037】
振動板126上には、それぞれのキャビティ120に対応して、振動子124が位置する。振動子124は、ピエゾ素子124Cと、ピエゾ素子124Cを挟む1対の電極124A、124Bと、を含む。この1対の電極124A、124Bに駆動電圧を与えることで、対応するノズル118から液状のカラーフィルタ材料111Rが吐出される。
【0038】
制御部112(図3)は、複数の振動子124のそれぞれに互いに独立な信号を与えるように構成されている。このため、ノズル118から吐出されるカラーフィルタ材料111Rの体積は、制御部112からの信号に応じてノズル118毎に制御される。さらに、ノズル118のそれぞれから吐出されるカラーフィルタ材料111Rの体積は、0pl〜42pl(ピコリットル)の間で可変である。このため、後述するように、塗布走査の間に吐出動作を行うノズル118と、吐出動作を行わないノズル118と、を設定することでもできる。
【0039】
本明細書では、1つのノズル118と、ノズル118に対応するキャビティ120と、キャビティに対応する振動子と、を含んだ部分を、吐出部と表記することもある。この表記によれば、1つのヘッド114は、ノズル118の数と同じ数の吐出部を有する。吐出部は、ピエゾ素子の代わりに電気熱変換素子を有してもよい。つまり、吐出部は、電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用して材料を吐出する構成を有していてもよい。
【0040】
上述のように、キャリッジ103は第1位置制御装置104(図3)によってX軸方向およびZ軸方向に移動させられる。一方、ステージ106(図3)は第2位置制御手段108(図3)によってY軸方向に移動させられる。この結果、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108によって、ステージ106に対するヘッド114の相対位置が変わる。より具体的には、これらの動作によって、複数のヘッド114、複数のノズル列116、または複数のノズル118は、ステージ106上で位置決めされた被吐出部18Rに対してZ軸方向に所定の距離を保ちながらX軸方向およびY軸方向に相対的に移動、すなわち相対的に走査する。さらに具体的には、ヘッド114は、ステージに対してX軸方向およびY軸方向に相対走査するとともに、複数のノズル118から材料を吐出する。本発明では、被吐出部18Rに対してノズル118を走査して、被吐出部18Rに対してノズル118から材料を吐出してもよい。「相対走査」とは吐出する側とそこからの吐出物が着弾する側(被吐出側18R)の少なくとも一方を他方に対して走査することを含む。また、相対走査と材料の吐出との組合せを指して「塗布走査」と表記することもある。
【0041】
次に、制御部112の構成を説明する。図7に示すように、制御部112は、入力バッファメモリ200と、記憶手段202と、処理部204と、走査ドライバ206と、ヘッドドライバ208と、を備えている。バッファメモリ202と処理部204とは相互に通信可能に接続されている。処理部204と記憶手段202とは、相互に通信可能に接続されている。処理部204と走査ドライバ206とは相互に通信可能に接続されている。処理部204とヘッドドライバ20とは相互に通信可能に接続されている。また、走査ドライバ206は、第1位置制御手段104および第2位置制御手段108と相互に通信可能に接続されている。同様にヘッドドライバ208は、複数のヘッド114のそれぞれと相互に通信可能に接続されている。
【0042】
入力バッファメモリ200は、外部情報処理装置からカラーフィルタ材料111Rの吐出を行うための吐出データを受け取る。吐出データは、基体10A上のすべての被吐出部18Rの相対位置を表すデータと、すべての被吐出部18Rに所望の厚さのカラーフィルタ材料111Rを塗布するまでに必要となる相対走査の回数を示すデータと、第1のノズル118Aとして機能するノズル118を指定するデータと、第2のノズル118Bとして機能するノズル118を指定するデータと、を含む。第1のノズル118Aおよび第2のノズル118Bの説明は後述する。入力バッファメモリ200は、吐出データを処理部204に供給し、処理部204は吐出データを記憶手段202に格納する。図7では、記憶手段202はRAMである。
【0043】
処理部204は、記憶手段202内の吐出データに基づいて、被吐出部18Rに対するノズル列116の相対位置を示すデータを走査ドライバ206に与える。走査ドライバ206はこのデータに応じた駆動信号を第1位置制御手段104および第2位置制御手段108に与える。この結果、被吐出部18Rに対してノズル列116が走査される。一方、処理部204は、記憶手段202に記憶された吐出データに基づいて、対応するノズル118からの吐出タイミングを示すデータをヘッドドライバ208に与える。ヘッドドライバ208はこのデータに基づいて、カラーフィルタ材料111Rの吐出に必要な駆動信号をヘッド114に与える。この結果、ノズル列116における対応するノズル118から液状のカラーフィルタ材料111Rが吐出される。
【0044】
制御部112は、CPU、ROM、RAMを含んだコンピュータであってもよい。この場合には、制御部112の上記機能は、コンピュータによって実行されるソフトウェアプログラムによって実現される。もちろん、制御部112は、専用の回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。
【0045】
以上の構成によって、吐出装置100Rは、制御部112に与えられた吐出データに応じて、カラーフィルタ材料111Rの塗布走査を行う。
【0046】
以上は、吐出装置100Rの構成の説明である。吐出装置100Gの構成と、吐出装置100Bの構成と、吐出装置100Cの構成と、は、いずれも基本的に吐出装置100Rの構造と同じある。ただし、吐出装置100Rにおけるタンク101Rの代わりに、吐出装置100Gがカラーフィルタ材料111G用のタンクを備える点で吐出装置100Gの構成は吐出装置100Rの構成と異なる。同様に、タンク101Rの代わりに、吐出装置100Bがカラーフィルタ材料111B用のタンクを備える点で吐出装置100Bの構成は吐出装置100Rの構成と異なる。さらに、タンク101Rの代わりに、吐出装置100Cが保護膜材料用のタンクを備える点で吐出装置100Cの構成は吐出装置100Rの構成と異なる。
【0047】
次に、吐出装置100Rの動作を説明する。吐出装置100Rは、基体10A上でマトリクス状に配置された複数の被吐出部18Rに同一の材料を吐出する。なお、後述するように、基体10Aは、エレクトロルミネッセンス表示装置用の基体に置き換わってもよいし、プラズマ表示装置用背面基板の基体に置き換わってもよよし、電子放出素子の基板に置き換わってもよい。
【0048】
図8に示す基体10Aは、吐出装置100Rのステージ106に固定されている。このため、基体10Aは、X軸方向およびY軸方向で規定される仮想的な平面上に位置する。そして、複数の被吐出部18R,18G、18Bが形成するマトリクスの行方向および列方向は、それぞれX軸方向およびY軸方向と平行である。図8に示すように、複数の被吐出部18R,18G、18Bがマトリクス状に配置されているので、複数の被吐出部18R同士も、マトリクス状に配置されている。
【0049】
図8は、1つのノズル列116が、Y軸方向に沿って走査範囲134Aの一端E1から他端E2まで相対走査する様子を示している。図8では、説明を平易にする目的で1つのヘッド114おける1つのノズル列116しか図示されていないが、以下の説明は、他のヘッド114のノズル列116についても同様である。また、図8では、1つのノズル列116中に、7つのノズル118しか図示されていなが、実際には上述したように180個のノズル118が位置している。
【0050】
図8に示すように、ノズル列方向HXは、X軸方向に対して所定の角度ANをなす方向である。つまり、複数のノズル118が、X軸方向に対して所定の角度ANをなす方向に一列に並んでいる。所定の角度ANについては後述する。
【0051】
図8の走査範囲134Aとは、ノズル列116のX軸方向の位置(またはX座標)を基体10Aに対して固定した場合に、ノズル列116がY軸方向に並んだ被吐出部18Rをすべて塗布するまでにノズル列116がY軸方向に相対移動する範囲を意味する。ここで、基体10Aにおける被吐出部18Rのすべてを塗布するまでにノズル列116のX軸方向の位置を何度か移動させる場合には、1つのノズル列116に対して、X軸方向に並んだ複数の走査範囲134Aが存在する。また、走査範囲134Aは、図4、図5に示したノズル列116毎に定義されてよい。ただし、用語「走査範囲」は、上述のように狭義には1つのノズル列116が相対移動する範囲を意味するが、広義には、1つのノズル118が相対移動する範囲を意味することもあるし、1つのヘッド114が相対移動する範囲を意味することもあるし、キャリッジ103が相対移動する範囲を意味することもある。また、本発明では、X軸方向の位置およびY軸方向の位置をそれぞれ「X座標」および「Y座標」と表記することもある。
【0052】
本発明では、1つのノズル列116がY軸方向に沿って走査範囲134Aの一端E1(または他端E2)から他端E2(または一端E1)に至るまでに、その1つのノズル列116が行う吐出動作を、「1回の塗布走査」と表記することもあるし、「1回のパス」と表記することもある。
【0053】
以下では、図8に示す12個の被吐出部18Rのすべてに対して吐出装置100Rがカラーフィルタ材料111Rを塗布する工程を、工程(A1)、工程(A2)、および工程(A3)に分けて説明する。工程(A2)および工程(A3)は、工程(A1)の後に、どちらかが選択される工程である。
【0054】
(A1)塗布走査の第1の工程:
図8のノズル列116は、カラーフィルタ材料111Rを吐出する第1のノズル118Aと、吐出動作を行わない第2のノズル118Bと、を含む。図8に示す例では、ノズル列116がY軸方向に沿って走査範囲134Aの一端E1から他端E2まで相対走査を1回する場合、最も左側のノズル118と左から5番目のノズル118とが複数の第1のノズル118Aとして機能する。図8では、第1のノズル118Aは黒丸で示されている。一方、一端E1から他端E2への1回の相対走査の期間に亘って、第1のノズル118Aの間に位置する3つのノズル118が第2のノズル118Bとして機能する。図8では、第2のノズル118Bは白丸で示されている。カラーフィルタ材料111Rを吐出するノズル118同士、すなわち第1のノズル118A同士、のX軸方向の間隔LNXは、被吐出部18R同士のX軸方向の間隔LRXの2倍の474μm(237μm×2)である。ここで、図5で説明したように、ノズル列方向HXに沿ったノズル118の間隔は140μmであるので、ノズル列方向HXに沿った第1のノズル118A同士の間隔は、560μmである。したがって、ノズル列方向HXとX軸方向との間の角度ANが32.2°に設定されれば、第1のノズル118A同士のX軸方向の間隔LNXは474μmになる。このため、ノズル列方向HXは、X軸方向に対してAN=32.2°をなすように配置されている。
【0055】
本発明では、第1のノズル118Aを「吐出ノズル」と表記することもある。また、本発明では、第2のノズル118Bを「非吐出ノズル」と表記することもある。
【0056】
ノズル列116がY軸方向に沿って走査範囲134Aの一端E1から他端E2まで1回の相対走査を開始する前に、図8に示すノズル118のうちの最も左のノズル118(第1のノズル118A)のX軸方向の位置が、図8の被吐出部18Rの列のうちの最も左の列を構成する被吐出部18RのX軸方向の位置に一致するように、制御部112が第1位置制御手段104および第2位置制御手段108に信号を与える。この結果、左下から5番目のノズル118(第1のノズル118A)のX軸方向の位置は、左から7番目の列を構成する被吐出部18RのX軸方向の位置に一致する。
【0057】
そして、走査範囲134Aの一端E1からY軸方向の負の方向(図面下方向)に、ノズル列116の相対走査を開始する。この場合、ノズル列116が他端E2に到着するまでに、第1のノズル118Aが被吐出部18Rに対応する領域に侵入した場合には、第1のノズル118Aから対応する被吐出部18Rにカラーフィルタ材料111Rが吐出される。
【0058】
しかしながら、ノズル列116が一端E1から他端E2まで相対走査する期間内に、第2のノズル118Bが被吐出部18Rに対応する領域に進入しても、第2のノズル118Bのいずれからもなんら材料は吐出されない。
【0059】
したがって、ノズル列116がY軸方向に沿って走査範囲134Aの一端E1から他端E2まで相対走査を1回する期間内に、最も左の列に含まれる被吐出部18Rと、左から7番目の列に含まれる被吐出部18Rとに、同じ材料(つまりカラーフィルタ材料111R)が塗布される。一方、この1回の相対走査の期間内では、左から4番目の列に含まれる被吐出部18Rと、左から10番目の列に含まれる被吐出部18Rに対しては第2のノズル118Bがその領域に侵入してもなんら材料は吐出されない。
【0060】
一端E1と他端E2との間の工程(A1)は、最も左の列を構成する被吐出部18Rと、左から7番目の列を構成する被吐出部18Rと、に所望の厚さのカラーフィルタ材料111Rの層が形成されるまで繰り返される。ここで、所望の厚さのカラーフィルタ111Rの層が形成されるまで工程(A1)を連続的に行ってもよいし、後述する工程(A2)または(A3)を途中に挿入することで、他の列を構成する被吐出部18Rのための塗布走査を交えてもよい。
【0061】
Y軸方向に沿った少なくとも1回の塗布走査によって、最も左の列を構成する被吐出部18Rと、左から7番目の列を構成する被吐出部18Rと、に所望の厚さのカラーフィルタ材料111Rの層が形成された場合には、次に左から4番目の列を構成する被吐出部18Rと、左から10番目の列を構成する被吐出部18Rと、に対して、塗布走査を行う。つまり、カラーフィルタ材料111Rの層が形成された列の間に位置する列に対して塗布走査を行う。この場合、以下の(A2)および(A3)に示す2つの塗布走査の工程がある。
【0062】
(A2)塗布走査の第2の工程:
塗布走査の第2の工程は、複数のノズル118に対する第1のノズル118Aの機能の割当てと第2のノズル118Bの機能の割当てとを変えない工程である。
【0063】
図9に示すように、まず、制御部112は、被吐出部18R同士のX軸方向の間隔LRXと同じ距離だけ、ノズル列116をX軸方向の正の方向(図面の右方向)に相対的に移動させることで、ノズル列116を走査範囲134Bに位置させる。この際、図9に示すノズル118のうちの最も左のノズル118(第1のノズル118A)のX軸方向の位置が、図9の被吐出部18Rの列のうちの左から4番目の列を構成する被吐出部18RのX軸方向の位置に一致するように、制御部112が第1位置制御手段104および第2位置制御手段108に信号を与える。この結果、左から5番目のノズル118(第1のノズル118A)のX軸方向の位置は、左から10番目の列を構成する被吐出部18RのX軸方向の位置に一致する。
【0064】
次に、走査範囲134Bの他端E2からY軸方向の正の方向(図面上方向)に、ノズル列116の相対走査を開始する。この場合、ノズル列116が一端E1に到着するまでに、第1のノズル118Aが被吐出部18Rに対応する領域に侵入した場合には、第1のノズル118Aから対応する被吐出部18Rにカラーフィルタ材料111Rが吐出される。
【0065】
しかしながら、ノズル列116が他端E2から一端E1に相対走査する期間内に、第2のノズル118Bが被吐出部18Rに対応する領域に進入しても、第2のノズル118Bのいずれからもなんら材料は吐出されない。
【0066】
したがって、ノズル列116がY軸方向に沿って走査範囲134Bの他端E2から一端E1まで相対走査を1回する期間内に、左から4番目の列に含まれる被吐出部18Rと、左から10番目の列に含まれる被吐出部18Rと、に同じ材料(つまりカラーフィルタ材料111R)が塗布される。一方、この1回の塗布走査の期間内では、左から7番目の列に含まれる被吐出部18Rに対して第2のノズル118Bがその領域に侵入したとしてもなんら材料は吐出されない。
【0067】
他端E2と一端E1との間のこの工程(A2)は、左から4番目の列を構成する被吐出部18Rと、左から10番目の列を構成する被吐出部18Rと、に所望の厚さのカラーフィルタ材料111Rの層が形成されるまで続けられる。ここで、これらの列を構成する被吐出部18Rに所望の厚さのカラーフィルタ111Rの層が形成されるまで工程(A2)を連続して行ってもよいし、途中でノズル列116のX軸方向の位置を変えて、他の列を構成する被吐出部18Rのための塗布走査を交えてもよい。
【0068】
(A3)塗布走査の第3の工程:
塗布走査の第3の工程は、複数のノズル118に対する第1のノズル118Aの機能の割当てと第2のノズル118Bの機能の割当てとを変える工程である。
【0069】
図10に示すように、この場合には、複数のノズル118のうち、左から3番目のノズル118と、左から7番目のノズル118とが、複数の第1のノズル118Aとして機能する。一方、その他のノズル118は第2のノズル118Bとして機能する。第1のノズル118A同士のX軸方向の間隔LNXは、被吐出部18RのX軸方向の間隔LRXの2倍である。なお、この工程(A3)の場合のノズル列116のX軸方向の位置は、1回目の工程(A1)の場合のノズル列116のX軸方向の位置と同じである。
【0070】
ノズル列116がY軸方向に沿って走査範囲134Aの他端E2から一端E1までの相対走査を開始する前に、図10に示すノズル118のうちの左から3番目のノズル118(第1のノズル118A)のX軸方向の位置が、図10の被吐出部18Rの列のうちの左から4番目の列を構成する被吐出部18RのX軸方向の位置に一致するように、制御部112が第1位置制御手段104および第2位置制御手段108に信号を与える。この結果、左から7番目のノズル118(第1のノズル118A)のX軸方向の位置は、左から10番目の列を構成する被吐出部18RのX軸方向の位置に一致する。
【0071】
次に、走査範囲134Aの他端E2からY軸方向の正の方向(図面上方向)に、ノズル列116の相対走査を開始する。この場合、ノズル列116が一端E1に到着するまでに第1のノズル118Aが被吐出部18Rに対応する領域に侵入した場合には、第1のノズル118Aから対応する被吐出部18Rに対してカラーフィルタ材料111Rが吐出される。
【0072】
しかしながら、ノズル列116が他端E2から一端E1に相対走査する期間内に、第2のノズル118Bが被吐出部18Rに対応する領域に進入しても、第2のノズル118Bのいずれからもなんら材料は吐出されない。
【0073】
したがって、ノズル列116がY軸方向に沿って走査範囲134Aの他端E2から一端E1まで相対走査を1回する期間内に、左から4番目の列に含まれる被吐出部18Rと、左から10番目の列に含まれる被吐出部18Rと、に同じ材料(つまりカラーフィルタ材料111R)が塗布される。一方、この1回の塗布走査の期間内では、最も左側の列に含まれる被吐出部18Rと、左から7番目の列に含まれる被吐出部18Rとに対して、第2のノズル118Bがその領域に侵入したとしても、なんら材料は吐出されない。
【0074】
他端E2と一端E1との間のこの工程(A3)は、左から4番目の列を構成する被吐出部18Rと、左から10番目の列を構成する被吐出部18Rと、に所望の厚さのカラーフィルタ材料111Rの層が形成されるまで続けられる。ここで、これらの列を構成する被吐出部18Rに所望の厚さのカラーフィルタ111Rの層が形成されるまで工程(A3)を連続して行ってもよいし、上記工程(A2)を途中に挿入することで、他の列を構成する被吐出部18Rのための塗布走査を交えてもよい。
【0075】
上記工程(A1)と、工程(A1)に引き続く工程(A2)または工程(A3)とによって、図8、図9、図10に示された12個の被吐出部18Rのすべてに所望の厚さのカラーフィルタ材料111Rの層が形成される。12個の被吐出部18Rのすべてに所望の厚さのカラーフィルタ材料111Rの層が形成されると、その後、制御部112はノズル列116をX軸方向に相対移動させることで、まだ塗布されていない被吐出部18Rを含む走査範囲にノズル列116を位置させる。そして、上記の工程は、基体10Aの被吐出部18Rのすべてに所望の厚さのカラーフィルタ材料111Rの層が形成されるまで繰り返される。
【0076】
以下では、工程(A1)と工程(A3)とを繰り返すことで、基体10Aのすべての被吐出部18Rに対してカラーフィルタ材料111Rを吐出する方法を、より詳細に説明する。
【0077】
吐出装置100Rは、工程(A1)と、工程(A3)と、ノズル列116のX軸方向への相対走査と、を繰り返すことで、基体10A上が有するすべての被吐出部18Rにカラーフィルタ材料111Rを塗布する。図11(a)および(c)に示すように、工程(A1)の期間の間には、第1のノズル118Aの配置パターンは第1配置パターンとなる。具体的には、図11(a)および(c)に示すノズル118のうち、最も左のノズル118と、左から5番目のノズル118とが、第1のノズル118Aとなる。一方、図11(b)および(d)に示すように、工程(A3)の期間の間には、第1のノズル118Aの配置パターンが第2配置パターンとなる。具体的には、工程(A3)の場合には、図11(b)および(d)に示すノズル118のうち、左から3番目のノズル118と、最も右のノズル118とが、第1のノズル118Aとなる。なお、図11(a)から(d)は、同じノズル列116の同じ箇所を図示している。また、図11(a)から(d)は、第1のノズル118Aを黒丸で描いている。
【0078】
第1配置パターンにおける第1のノズル118A同士のX軸方向の間隔LNXは、被吐出部18R同士のX軸方向の間隔LRXの2倍である。同様に、第2配置パターンにおける第1のノズル118A同士のX軸方向の間隔LNXも、被吐出部18R同士のX軸方向の間隔LRXの2倍である。ただし、第1配置パターンにおける第1のノズル118Aの位置と、第2配置パターンにおける第1のノズル118Aの位置とは、ヘッド114上で互いに半ピッチずれている。
【0079】
図11に示すように、吐出装置100Rが、順番に、工程(A1)、工程(A3)、工程(A1)、工程(A3)を行う場合には、一つのノズル列116において、第1配置パターンと、第2配置パターンと、が交互に現れる。なお、図11には省略されているが、工程(A3)から工程(A1)に移行する間で、吐出装置100Rはノズル列116をX軸方向に相対走査するステップを行う。
【0080】
図12のフローチャートを参照しながら、吐出装置100Rが、工程(A1)と、工程(A3)と、ノズル列116のX軸方向への相対走査と、を繰り返す場合を説明する。なお、図12に示すステップS0からS20のうち、ステップS2からステップS8までが工程(A1)に対応し、ステップS10からステップS14までが工程(A3)に対応する。
【0081】
まず、ノズル列116における任意の2つのノズル118のX軸方向の距離と、被吐出部18R同士のX軸方向の間隔LRXと、が一致するように、ノズル列方向HXが設定される。これら任意の2つのノズル118が互いに隣接している必要はない。これによって、図8におけるすべての被吐出部18Rのそれぞれに、ノズル列116に含まれるノズル118のうち少なくともいずれかが対応する。
【0082】
吐出装置100Rは、ステップS0において処理を開始する。
【0083】
ステップS0に引き続くステップS2において、ノズル列116(ヘッド114)における第1のノズル118Aの配置パターンが、図11(a)に示す第1配置パターンとなるように、複数のノズル118のうちいくつかを第1のノズル118Aとして選択する。第1のノズル118Aとして設定されないノズル118は、第2のノズル118Bとなる。なお、本発明では、「配置パターン」を「コンフィギュレーション」と表記することもある。
【0084】
ステップS2に引き続くステップS4において、ノズル列116のX軸方向の位置を所定のX座標に固定する。具体的には、ある1つの第1のノズル118AのX軸方向の位置を、被吐出部18Rが構成する複数の列のうち、いずれかの列のX軸方向の位置に一致させる。そのことによって、他の第1のノズル118AのX軸方向の位置も、対応する他の列のX軸方向の位置に一致する。
【0085】
ステップS4に引き続くステップS6において、ノズル列116のX軸方向の位置をステップS4で固定したX座標に維持しながら、ノズル列116をY軸方向に沿って走査範囲の一端(または他端)から他端(または一端)へ1回相対走査する。本発明では、ステップS6においてノズル列116がY軸方向に相対走査する期間を第1の期間と表記することもある。ステップS6の期間内または第1の期間内に、第1のノズル118Aが被吐出部18Rに対応する領域に侵入した場合には、第1のノズル118Aからカラーフィルタ材料111Rが吐出される。ステップS6による塗布走査によって、被吐出部18Rが構成する複数の列のうち、1列おきの列が塗布される。
【0086】
ステップS6に引き続くステップS8において、ターゲットとされた被吐出部18Rに所望の体積のカラーフィルタ材料111Rが吐出されたかどうかが、判断される。所望の体積の材料が吐出されていない場合(ステップS8のNO)には、処理はステップS6に戻り、再度、Y軸方向の相対走査と、材料の吐出と、を行う。
【0087】
ステップS8において、所望の体積のカラーフィルタ材料111Rが吐出されたと判断された場合(ステップS8のYES)には、ステップS10において、ノズル列116に含まれる複数のノズル118のうちで第1のノズル118Aとして機能するノズル118を変える。つまり、ステップS10において、第1のノズル118Aの配置パターンを、第1配置パターンから第2配置パターンに切り換える。具体的には、第1配置パターンにおける第1のノズル118Aの中間に位置するノズル118が、第2配置パターンにおける第1のノズル118Aとなる。第2配置パターンにおける第1のノズル118Aは、工程(A1)の期間の間(少なくともステップS6の期間の間)、第2のノズル118Bである。一方、第1配置パターンにおける第1のノズル118Aは、工程(A3)の間、第2のノズル118Bとなる。
【0088】
ステップS10に引き続くステップS12において、ノズル列116のX軸方向の位置をステップS4で固定したX座標に維持したまま、ノズル列116をY軸方向に沿って走査範囲の一端(他端)から他端(一端)へ1回相対走査する。本発明では、ステップS12においてノズル列116がY軸方向に相対走査する期間を第2の期間と表記することもある。ステップS12の期間内または第2の期間内に、第1のノズル118Aが被吐出部18Rに対応する領域に侵入した場合には、対応する第1のノズル118Aからカラーフィルタ材料111Rが吐出される。
【0089】
ステップS12に引き続くステップS14において、ターゲットとされた被吐出部18Rに所望の体積のカラーフィルタ材料111Rが吐出されたかどうかが、判断される。所望の体積のカラーフィルタ材料111Rが吐出されていない場合(ステップS14のNO)には、処理はステップS12に戻り、再度、Y軸方向の相対走査と、材料の吐出と、を行う。
【0090】
ステップS14において、所望の体積のカラーフィルタ材料111Rが吐出されたと判断される場合(ステップS14のYES)には、ステップS16において、基体10Aにおけるすべての被吐出部18Rに材料が吐出されたかどうかが、判断される。
【0091】
ステップS16において、基体10におけるすべての被吐出部18Rに材料が吐出されと判断された場合(ステップS16のYES)には、ステップS20において処理を終了する。
【0092】
ステップS16において、基体10A上のすべての被吐出部18Rに材料が吐出されていないと判断された場合(ステップS16のNO)には、ステップS18において、ノズル列116をX軸方向に相対走査することで、材料が塗布されていない被吐出部18Rを含む走査範囲にノズル列116を位置させる。そして、材料が塗布されていない被吐出部18Rに対して、ステップS2からステップS16までのステップを行う。
【0093】
以上では、被吐出部18Rにカラーフィルタ材料111Rを塗布する工程のみを説明した。以下では、製造装置1によってカラーフィルタ基板10が得られるまでの一連の工程を説明する。
【0094】
まず、以下の手順にしたがって図1の基体10Aを作成する。まず、スパッタ法または蒸着法によって、支持基板12上に金属薄膜を形成する。その後、フォトリソグラフィー工程によってこの金属薄膜から格子状のブラックマトリクス14を形成する。ブラックマトリクス14の材料の例は、金属クロムや酸化クロムである。なお、支持基板12は、可視光に対して光透過性を有する基板、例えばガラス基板である。続いて、支持基板12およびブラックマトリクス14を覆うように、ネガ型の感光性樹脂組成物からなるレジスト層を塗布する。そして、そのレジスト層の上にマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム密着させながら、このレジスト層を露光する。その後、レジスト層の未露光部分をエッチング処理で取り除くことで、バンク16が得られる。以上の工程によって、基体10Aが得られる。なお、バンク16として、樹脂ブラックからなるバンクを用いてもよい。樹脂ブラックは遮光性を有しているため、ブラックマトリクス14となる金属薄膜の形成を省略してもよい。つまり、樹脂ブラックを用いる場合には、バンク16がブラックマトリクス14の機能を併せ持つため、ブラックマトリクス14を省略できる。
【0095】
次に、大気圧下の酸素プラズマ処理によって、基体10Aを親液化する。この処理によって、支持基板12と、ブラックマトリクス14と、バンク16と、で規定されたそれぞれの凹部(画素領域の一部)における支持基板12の表面と、ブラックマトリクス14の表面と、バンク16の表面と、が親液性を呈するようになる。さらに、その後、基体10Aに対して、4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理を行う。4フッ化メタンを用いたプラズマ処理によって、それぞれの凹部におけるバンク16の表面がフッ化処理(撥液性に処理)され、このことで、バンク16の表面が撥液性を呈するようになる。なお、4フッ化メタンを用いたプラズマ処理によって、先に親液性を与えられた支持基板12の表面およびブラックマトリクス14の表面は若干親液性を失うが、それでもこれら表面は親液性を維持する。このように、支持基板12と、ブラックマトリクス14と、バンク16と、によって規定された凹部の表面に所定の表面処理が施されることで、凹部の表面が被吐出部18R,18G、18Bとなる。なお、支持基板12の材質、ブラックマトリクス14の材質、およびバンク16の材質によっては、上記のような表面処理を行わなくても、所望の親液性および撥液性を呈する表面が得られることもある。そのような場合には、上記表面処理を施さなくても、支持基板12と、ブラックマトリクス14と、バンク16と、によって規定された凹部の表面が被吐出部18R,18G、18Bである。
【0096】
被吐出部18R,18G、18Bが形成された基体10Aは、搬送装置170によって、吐出装置100Rのステージ106に運ばれる。そして、図13(a)に示すように、吐出装置100Rは、被吐出部18Rのすべてにカラーフィルタ材料111Rの層が形成されるように、ヘッド114からカラーフィルタ材料111Rを吐出する。吐出装置100Rのカラーフィルタ材料111Rの吐出方法は、図8、図9、図10、図11、および図12を参照しながら説明した方法である。基体10Aの被吐出部18Rのすべてにカラーフィルタ材料111Rの層が形成された場合には、搬送装置170が基体10Aを乾燥装置150R内に位置させる。そして、被吐出部18R上のカラーフィルタ材料111Rを完全に乾燥させることで、被吐出部18R上にフィルタ層111FRを得る。
【0097】
次に搬送装置170は、基体10Aを吐出装置100Gのステージ106に位置させる。そして、図13(b)に示すように、吐出装置100Gは、被吐出部18Gのすべてにカラーフィルタ材料111Gの層が形成されるように、ヘッド114からカラーフィルタ材料111Gを吐出する。吐出装置100Gのカラーフィルタ材料111Gの吐出方法は、図8、図9、図10、図11、および図12を参照しながら説明した方法と同じである。基体10Aの被吐出部18Gのすべてにカラーフィルタ材料111Gの層が形成された場合には、搬送装置170が基体10Aを乾燥装置150G内に位置させる。そして、被吐出部18G上のカラーフィルタ材料111Gを完全に乾燥させることで、被吐出部18G上にフィルタ層111FGを得る。
【0098】
次に搬送装置170は、基体10Aを吐出装置100Bのステージ106に位置させる。そして、図13(c)に示すように、吐出装置100Bは、被吐出部18Bのすべてにカラーフィルタ材料111Bの層が形成されるように、ヘッド114からカラーフィルタ材料111Bを吐出する。吐出装置100Bのカラーフィルタ材料111Bの吐出方法は、図8、図9、図10、図11、および図12を参照しながら説明した方法と同じである。基体10Aの被吐出部18Bのすべてにカラーフィルタ材料111Bの層が形成された場合には、搬送装置170が基体10Aを乾燥装置150B内に位置させる。そして、被吐出部18B上のカラーフィルタ材料111Bを完全に乾燥させることで、被吐出部18B上にフィルタ層111FBを得る。
【0099】
次に搬送装置170は、基体10Aを、オーブン160内に位置させる。その後、オーブン160はフィルタ層111FR、111FG、111FBを再加熱(ポストベーク)する。
【0100】
次に搬送装置170は、基体10Aを吐出装置100Cのステージ106に位置させる。そして、吐出装置100Cは、フィルタ層111FR、111FG、111FB、およびバンク16を覆って保護膜16が形成されるように、液状の保護膜材料を吐出する。フィルタ層111FR,111FG、111FB、およびバンク16を覆う保護膜16が形成された後に、搬送装置170は基体10Aをオーブン150C内に位置させる。そして、オーブン150Cが保護膜16を完全に乾燥させた後に、硬化装置165が保護膜16を加熱して完全に硬化することで、基体10Aはカラーフィルタ基板10となる。
【0101】
本実施形態によれば、吐出装置100R、100G、100Bのそれぞれにおいて、Y軸方向に沿った1回の相対走査の期間内に液状の材料を吐出するノズル118のX軸方向の間隔は、その材料が塗布されるべき被吐出部同士のX軸方向の間隔の2倍である。このため、Y軸方向に沿った1回の相対走査の期間内で塗布される被吐出部同士のX軸方向の間隔は、最終的に同じフィルタ層が形成されるべき被吐出部同士のX軸方向の間隔の2倍である。この結果、塗布走査と同時に材料の乾燥が促され、この結果、被吐出部に塗布された材料の乾燥時間が短くなる。つまり、製造時間を短縮できる。
【0102】
(実施形態2)
次に、本発明をエレクトロルミネッセンス表示装置を製造する製造装置2に適用した例を説明する。
【0103】
図14(a)および(b)に示す基体30Aは、後述する製造装置2(図15)による処理によって、エレクトロルミネッセンス表示装置30となる基板である。基体30Aは、マトリクス状に配置された複数の被吐出部38R、38G、38Bを有する。
【0104】
具体的には、基体30Aは、支持基板32と、支持基板32上に形成された回路素子層34と、回路素子層34上に形成された複数の画素電極36と、複数の画素電極36の間に形成されたバンク40と、を有している。支持基板は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えばガラス基板である。複数の画素電極36のそれぞれは、可視光に対して光透過性を有する電極であり、例えば、ITO(Indium−Tin Oxide)電極である。また、複数の画素電極36は、回路素子層34上にマトリクス状に配置されており、それぞれが画素領域を規定する。そして、バンク40は、格子状の形状を有しており、複数の画素電極36のそれぞれを囲む。また、バンク40は、回路素子層34上に形成された無機物バンク40Aと、無機物バンク40A上に位置する有機物バンク40Bとからなる。
【0105】
回路素子層34は、支持基板32上で所定の方向に延びる複数の走査電極と、複数の走査電極を覆うように形成された絶縁膜42と、絶縁膜42上に位置するともに複数の走査電極が延びる方向に対して直交する方向に延びる複数の信号電極と、走査電極および信号電極の交点付近に位置する複数のスイッチング素子44と、複数のスイッチング素子44を覆うように形成された層間絶縁膜45と、を有する層である。それぞれのスイッチング素子44のゲート電極44Gおよびソース電極44Sは、それぞれ対応する走査電極および対応する信号電極と電気的に接続されている。層間絶縁膜45上には複数の画素電極36が位置する。層間絶縁膜45には、各スイッチング素子44のドレイン電極44Dに対応する部位にスルーホール44Vが設けられており、このスルーホール44Vを介して、スイッチング素子44と、対応する画素電極36と、の電気的接続が形成されている。また、バンク40に対応する位置にそれぞれのスイッチング素子44が位置している。つまり、図14(b)の紙面に垂直な方向から観察すると、複数のスイッチング素子44のそれぞれは、バンク40に覆われるように位置している。
【0106】
基体30Aの画素電極36とバンク40とで規定される凹部(画素領域の一部)は、被吐出部38R、被吐出部38G、被吐出部38Bに対応する。被吐出部38Rは、赤の波長域の光線を発光する発光層211FRが形成されるべき領域であり、被吐出部38Gは、緑の波長域の光線を発光する発光層211FGが形成されるべき領域であり、被吐出部38Bは、青の波長域の光線を発光する発光層211GBが形成されるべき領域である。
【0107】
図14(b)に示す基体30Aは、X軸方向およびY軸方向で規定される仮想平面と平行に位置している。そして、複数の被吐出部38R,38G、38Bが形成するマトリクスの行方向および列方向は、それぞれX軸方向およびY軸方向と平行である。基体30Aにおいて、被吐出部38R、被吐出部38G、および被吐出部38Bは、X軸方向にこの順番で周期的に並んでいる。一方、被吐出部38R同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでおり、また、被吐出部38G同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでおり、同様に、被吐出部38B同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでいる。
【0108】
被吐出部38R同士のX軸方向に沿った間隔LRXは、ほぼ237μmである。この間隔は、被吐出部38G同士のX軸方向に沿った間隔LGXと同じであり、被吐出部38B同士のX軸方向に沿った間隔LBXとも同じである。また、被吐出部38R、38G、38GのそれぞれのX軸方向の長さおよびY軸方向の長さは、それぞれ約50μmおよび約120μmである。
【0109】
図15に示す製造装置2は、図14の基体30Aの被吐出部38R,38G、38Bのそれぞれに対して、対応する発光材料を吐出する装置である。製造装置2は、被吐出部38Rのすべてに発光材料Rを塗布する吐出装置200Rと、被吐出部38R上の発光材料211Rを乾燥させる乾燥装置250Rと、被吐出部38Gのすべてに発光材料211Gを塗布する吐出装置200Gと、被吐出部38G上の発光材料211Gを乾燥させる乾燥装置250Gと、被吐出部38Bのすべてに発光材料211Bを塗布する吐出装置200Bと、被吐出部38B上の発光材料Bを乾燥させる乾燥装置250Bと、を備えている。さらに製造装置2は、吐出装置200R、乾燥装置250R、吐出装置200G、乾燥装置250G、吐出装置200B、乾燥装置250Bの順番に基体30Aを搬送する搬送装置270も備えている。
【0110】
図16に示す吐出装置200Rは、液状の発光材料211Rを保持するタンク201Rと、チューブ210Rを介してタンク201Rから発光材料211Rが供給される吐出走査部102と、を備える。吐出走査部102の構成は、実施形態1の吐出走査部102(図3)の構成と同じであるため、同様な構成要素には同一の参照符号を付けるとともに、重複する説明を省略する。また、吐出装置200Gの構成と吐出装置200Bの構成とは、どちらも基本的に吐出装置200Rの構造と同じある。ただし、吐出装置200Rにおけるタンク201Rの代わりに、吐出装置200Gが発光材料211G用のタンクを備える点で吐出装置200Gの構成は吐出装置200Rの構成と異なる。同様に、タンク201Rの代わりに、吐出装置200Bが発光材料201B用のタンクを備える点で吐出装置200Bの構成は吐出装置200Rの構成と異なる。
【0111】
製造装置2を用いたエレクトロルミネッセンス表示装置30の製造方法を説明する。まず、公知の製膜技術とパターニング技術とを用いて、図14に示す基体30Aを製造する。
【0112】
次に、大気圧下の酸素プラズマ処理によって、基体30Aを親液化する。この処理によって、画素電極36とバンク40とで規定されたそれぞれの凹部(画素領域の一部)における画素電極36の表面、無機物バンク40Aの表面、および有機物バンク40Bの表面が、親液性を呈するようになる。さらに、その後、基体30Aに対して、4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理を行う。4フッ化メタンを用いたプラズマ処理によって、それぞれの凹部における有機物バンク40Bの表面がフッ化処理(撥液性に処理)されて、このことで有機物バンク40Bの表面が撥液性を呈するようになる。なお、4フッ化メタンを用いたプラズマ処理によって、先に親液性を与えられた画素電極36の表面および無機物バンク40Aの表面は、若干親液性を失うが、それでも親液性を維持する。このように、画素電極36と、バンク40と、によって規定された凹部の表面に所定の表面処理が施されることで、凹部の表面が被吐出部38R、38G、38Bとなる。なお、画素電極36の材質、無機バンク40の材質、および有機バンク40の材質によっては、上記のような表面処理を行わなくても、所望の親液性および撥液性を呈する表面が得られることもある。そのような場合には、上記表面処理を施さなくても、画素電極36と、バンク40と、によって規定された凹部の表面は被吐出部38R、38G、38Bである。
【0113】
ここで、表面処理が施された複数の画素電極36のそれぞれの上に、対応する正孔輸送層37R、37G、37Bを形成してもよい。正孔輸送層37R、37G、37Bが、画素電極上36と、後述の発光層211RF、211GF、211BFと、の間に位置すれば、エレクトロルミネッセンス表示装置の発光効率が高くなる。複数の画素電極36のそれぞれの上に正孔輸送層を設ける場合には、正孔輸送層と、バンク40と、によって規定された凹部が、被吐出部38R、38G、38Bに対応する。なお、正孔輸送層37R、37G、37Bをインクジェット法により形成することも可能である。この場合、各画素領域ごとに正孔輸送層を形成するための材料を含む溶液を所定量塗布し、その後、乾燥させることにより正孔輸送層37R、37G、38Bを形成することができる。
【0114】
被吐出部38R,38G、38Bが形成された基体30Aは、搬送装置270によって、吐出装置200Rのステージ106に運ばれる。そして、図17(a)に示すように、吐出装置200Rは、被吐出部38Rのすべてに発光材料211Rの層が形成されるように、ヘッド114から発光材料211Rを吐出する。吐出装置200Rの発光材料211Rの吐出方法は、図8、図9、図10、図11、および図12(実施形態1)を参照しながら説明した方法と同じである。基体30Aの被吐出部38Rのすべてに発光材料211Rの層が形成された場合には、搬送装置270が基体30Aを乾燥装置250R内に位置させる。そして、被吐出部R上の発光材料211Rを完全に乾燥させることで、被吐出部38R上に発光層211FRを得る。
【0115】
次に搬送装置270は、基体30Aを吐出装置200Gのステージ106に位置させる。そして、図17(b)に示すように、吐出装置200Gは、被吐出部38Gのすべてに発光材料211Gの層が形成されるように、ヘッド114から発光材料Gを吐出する。吐出装置200Gの発光材料211Gの吐出方法は、図8、図9、図10、図11、および図12(実施形態1)を参照しながら説明した方法と同じである。基体30Aの被吐出部38Gのすべてに発光材料211Gの層が形成された場合には、搬送装置270が基体30Aを乾燥装置250G内に位置させる。そして、被吐出部38G上の発光材料Gを完全に乾燥させることで、被吐出部38G上に発光層211FGを得る。
【0116】
次に搬送装置270は、基体30Aを吐出装置200Bのステージ106に位置させる。そして、図17(c)に示すように、吐出装置200Bは、被吐出部38Bのすべてに発光材料211Bの層が形成されるように、ヘッド114から発光材料Bを吐出する。吐出装置200Bの発光材料211Bの吐出方法は、図8、図9、図10、図11、および図12(実施形態1)を参照しながら説明した方法と同じである。基体30Aの被吐出部38Bのすべてに発光材料Bの層が形成された場合には、搬送装置270が基体30Aを乾燥装置250B内に位置させる。そして、被吐出部38B上の発光材料211Bを完全に乾燥させることで、被吐出部38B上に発光層211FBを得る。
【0117】
図17(d)に示すように、次に、発光層211FR,211FG、211FB、およびバンク40を覆うように対向電極46を設ける。対向電極46は陰極として機能する。その後、封止基板48と基体30Aとを、互いの周辺部で接着することで、図17(d)に示すエレクトロルミネッセンス表示装置30が得られる。なお、封止基板48と基体30Aとの間には不活性ガス49が封入されている。
【0118】
エレクトロルミネッセンス表示装置50において、発光層211FR、211FG、211FBから発光した光は、画素電極36と、回路素子層34と、支持基板32と、を介して射出する。このように回路素子層34を介して光を射出するエレクトロルミネッセンス表示装置は、ボトムエミッション型の表示装置と呼ばれる。
【0119】
本実施形態によれば、吐出装置200R、200G、200Bのそれぞれにおいて、Y軸方向に沿った1回の相対走査の期間内に液状の材料を吐出するノズル118のX軸方向の間隔は、その材料が塗布されるべき被吐出部同士のX軸方向の間隔の2倍である。このため、Y軸方向に沿った1回の相対走査の期間内で塗布される被吐出部同士のX軸方向の間隔は、最終的に同じ発光層が形成されるべき被吐出部同士のX軸方向の間隔の2倍である。この結果、塗布走査と同時に材料の乾燥が促され、この結果、被吐出部に塗布された材料の乾燥時間が短くなる。つまり、製造時間を短縮できる。
【0120】
(実施形態3)
本発明をプラズマ表示装置の背面基板を製造する製造装置3に適用した例を説明する。
【0121】
図18(a)および(b)に示す基体50Aは、後述する製造装置3(図19)による処理によって、プラズマ表示装置の背面基板50Bとなる基板である。基体50Aは、マトリクス状に配置された複数の被吐出部58R、58G、58Bを有する。
【0122】
具体的には、基体50Aは、支持基板52と、支持基板52上にストライプ状に形成された複数のアドレス電極54と、アドレス電極54を覆うように形成された誘電体ガラス層56と、格子状の形状を有するとともに複数の画素領域を規定する隔壁60と、を含む。複数の画素領域はマトリクス状に位置しており、複数の画素領域が形成するマトリクスの列のそれぞれは、複数のアドレス電極54のそれぞれに対応する。このような基体50Aは、公知のスクリーン印刷技術で形成される。
【0123】
基体50Aのそれぞれの画素領域において、誘電体ガラス層56およびバンクによって規定される凹部が、被吐出部58R、被吐出部58G、被吐出部58Bに対応する。被吐出部58Rは、赤の波長域の光線を蛍光する蛍光層311FRが形成されるべき領域であり、被吐出部58Gは、緑の波長域の光線を蛍光する蛍光層311FGが形成されるべき領域であり、被吐出部58Bは、青の波長域の光線を蛍光する蛍光層311FBが形成されるべき領域である。
【0124】
図18(b)に示す基体50Aは、X軸方向およびY軸方向で規定される仮想平面と平行に位置している。そして、複数の被吐出部58R,58G、58Bが形成するマトリクスの行方向および列方向は、それぞれX軸方向およびY軸方向と平行である。基体50Aにおいて、被吐出部58R、被吐出部58G、および被吐出部58Bは、X軸方向にこの順番で周期的に並んでいる。一方、被吐出部58R同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでおり、また、被吐出部58G同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでおり、同様に、被吐出部58B同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでいる。
【0125】
被吐出部58R同士のX軸方向に沿った間隔LRXは、ほぼ560μmである。この間隔は、被吐出部58G同士のX軸方向に沿った間隔LGXと同じであり、被吐出部58B同士のX軸方向に沿った間隔LBXとも同じである。この間隔は、40インチ程度の大きさのハイビジョンテレビにおいて、同一色に対応する画素領域同士の間隔に対応する。
【0126】
図19に示す製造装置3は、図18の基体50Aの被吐出部58R,58G、58Bのそれぞれに対して、対応する蛍光材料を吐出する装置である。製造装置3は、被吐出部58Rのすべてに蛍光材料311Rを塗布する吐出装置300Rと、被吐出部58R上の蛍光材料311Rを乾燥させる乾燥装置350Rと、被吐出部58Gのすべてに蛍光材料Gを塗布する吐出装置300Gと、被吐出部58G上の蛍光材料Gを乾燥させる乾燥装置350Gと、被吐出部58Bのすべてに蛍光材料Bを塗布する吐出装置300Bと、被吐出部58B上の蛍光材料Bを乾燥させる乾燥装置350Bと、を備えている。さらに製造装置3は、吐出装置300R、乾燥装置350R、吐出装置300G、乾燥装置350G、吐出装置300B、乾燥装置350Bの順番に基体50Aを搬送する搬送装置370も備えている。
【0127】
図20に示す吐出装置300Rは、液状の蛍光材料311Rを保持するタンク301Rと、チューブ310Rを介してタンク301Rから蛍光材料が供給される吐出走査部302と、を備える。
【0128】
図25に示すように、本実施形態の吐出走査部302においては、ノズル列方向HXと、X軸方向と、がなす角ANは、0°である。また、本実施形態では、第1のノズル118A同士の間隔LNXは1120μm(1.112mm)に設定されている。この間隔LNXは、被吐出部58R同士のX軸方向に沿った間隔LRXのほぼ2倍である。一方、2つの第1のノズル118Aの間には、7つの第2のノズル118Bが位置している。ノズル列方向HXとX軸方向との間の角度ANが0°である点と、第1のノズル118A同士のX軸方向の間隔LNXが1120μmに設定されている点と、を除いて、本実施形態の吐出走査部302は、実施形態1の吐出走査部102(図3)と基本的に同じである。
【0129】
吐出装置300Gの構成と吐出装置300Bの構成とは、どちらも基本的に吐出装置300Rの構造と同じある。ただし、吐出装置300Rにおけるタンク301Rに代わりに、吐出装置300Gが蛍光材料311G用のタンクを備える点で吐出装置300Gの構成は吐出装置300Rの構成と異なる。同様に、タンク301Rに代えて、吐出装置300Bが蛍光材料311B用のタンクを備える点で吐出装置300Bの構成は吐出装置300Rの構成と異なる。
【0130】
製造装置3を用いたプラズマ表示装置の製造方法を説明する。まず、公知のスクリーン印刷技術によって、支持基板52上に、複数のアドレス電極54と、誘電体ガラス層56と、隔壁60と、を形成して、図18に示す基体50Aを得る。
【0131】
次に、大気圧下の酸素プラズマ処理によって、基体50Aを親液化する。この処理によって、隔壁60および誘電体ガラス層56によって規定されたそれぞれの凹部(画素領域の一部)の隔壁60の表面、誘電体ガラス層56の表面が、親液性を呈し、これらの表面が被吐出部58R,58G、58Bとなる。なお、材質によっては、上記のような表面処理を行わなくても、所望の親液性を呈する表面が得られることもある。そのような場合には、上記表面処理を施さなくても、隔壁60と、誘電体ガラス層56と、によって規定された凹部の表面は、被吐出部58R,58G、58Bである。
【0132】
被吐出部58R,58G、58Bが形成された基体50Aは、搬送装置370によって、吐出装置300Rのステージ106に運ばれる。そして、図21(a)に示すように、吐出装置300Rは、被吐出部58Rのすべてに蛍光材料の層が形成されるように、ヘッド114から蛍光材料Rを吐出する。吐出装置300Rの蛍光材料311Rの吐出方法は、図8、図9、図10、図11、および図12(実施形態1)を参照しながら説明した方法と同じである。基体50Aの被吐出部58Rのすべてに蛍光材料311Rの層が形成された場合には、搬送装置370が基体50Aを乾燥装置350R内に位置させる。そして、被吐出部58R上の蛍光材料311Rを完全に乾燥させることで、被吐出部58R上に蛍光層311FRを得る。
【0133】
次に搬送装置370は、基体50Aを吐出装置300Gのステージ106に位置させる。そして、図21(b)に示すように、吐出装置300Gは、被吐出部58Gのすべてに蛍光材料311Gの層が形成されるように、ヘッド114から蛍光材料311Gを吐出する。吐出装置300Gの蛍光材料311Gの吐出方法は、図8、図9、図10、図11、および図12(実施形態1)を参照しながら説明した方法と同じである。基体50Aの被吐出部58Gのすべてに蛍光材料311Gの層が形成された場合には、搬送装置370が基体50Aを乾燥装置350G内に位置させる。そして、被吐出部58G上の蛍光材料311Gを完全に乾燥させることで、被吐出部58G上に蛍光層311FGを得る。
【0134】
次に搬送装置370は、基体50Aを吐出装置300Bのステージ106に位置させる。そして、図21(c)に示すように、吐出装置300Bは、被吐出部58Bのすべてに蛍光材料311Bの層が形成されるように、ヘッド114から蛍光材料Bを吐出する。吐出装置300Bの蛍光材料311Bの吐出方法は、図8、図9、図10、図11、および図12(実施形態1)を参照しながら説明した方法と同じである。基体50Aの被吐出部58Bのすべてに蛍光材料Bの層が形成された場合には、搬送装置370が基体50Aを乾燥装置350B内に位置させる。そして、被吐出部58B上の蛍光材料311Bを完全に乾燥させることで、被吐出部58B上に蛍光層311FBを得る。
【0135】
以上の工程によって、基体50Aはプラズマ表示装置の背面基板50Bとなる。
【0136】
次に図22に示すように、背面基板50Bと、前面基板50Cと、を公知の方法によって貼り合わせてプラズマ表示装置50が得られる。前面基板50Cは、ガラス基板68と、ガラス基板68上で互いに平行にパターニングされた表示電極66Aおよび表示スキャン電極66Bと、表示電極66Aおよび表示スキャン電極66Bとを覆うように形成された誘電体ガラス層64と、誘電体ガラス層64上に形成されたMgO保護層62と、を有する。背面基板50Bと前面基板50Cとは、背面基板50Bのアドレス電極54と、前面基板50Cの表示電極66A・表示スキャン電極66Bとが、互いに直交するように位置合わせされている。各隔壁60で囲まれるセル(画素領域)には、所定の圧力で放電ガス69が封入されている。
【0137】
本実施形態によれば、吐出装置300R、300G、300Bのそれぞれにおいて、Y軸方向に沿った1回の相対走査の期間内に液状の材料を吐出するノズル118のX軸方向の間隔は、その材料が塗布されるべき被吐出部同士のX軸方向の間隔の2倍である。このため、Y軸方向に沿った1回の相対走査の期間内で塗布される被吐出部同士のX軸方向の間隔は、最終的に同じ蛍光層が形成されるべき被吐出部同士のX軸方向の間隔の2倍である。この結果、塗布走査と同時に材料の乾燥が促され、この結果、被吐出部に塗布された材料の乾燥時間が短くなる。つまり、製造時間を短縮できる。
【0138】
(実施形態4)
次に本発明を、電子放出素子を備えた画像表示装置の製造装置4に適用した例を説明する。
【0139】
図27(a)および(b)に示す基体70Aは、後述する製造装置4(図28)による処理によって、画像表示装置の電子源基板70Bとなる基板である。基体70Aは、マトリクス状に配置された複数の被吐出部78を有する。
【0140】
具体的には、基体70Aは、基板72と、基板72上に位置するナトリウム拡散防止層74と、ナトリウム拡散防止層74上に位置する複数の素子電極76A、76Bと、複数の素子電極76A上に位置する複数の金属配線79Aと、複数の素子電極76B上に位置する複数の金属配線79Bと、を備えている。複数の金属配線79AのそれぞれはY軸方向に延びる形状を有する。複数の金属配線79AのそれぞれはX軸方向に延びる形状を有する。金属配線79Aと金属配線79Bとの間には絶縁膜75が形成されているので、金属配線79Aと金属配線79Bとは電気的に絶縁されている。
【0141】
1対の素子電極76Aおよび素子電極76Bを含む部分は1つの画素領域に対応する。1対の素子電極76Aおよび素子電極76Bは、互いに所定の間隔だけ離れてナトリウム拡散防止層74上で対向している。ある画素領域に対応する素子電極76Aは、対応する金属配線79Aと電気的に接続されている。また、その画素領域に対応する素子電極76Bは、対応する金属配線79Bと電気的に接続されている。なお、本明細書では、基板72とナトリウム拡散防止層74とを合わせた部分を支持基板と表記することもある。
【0142】
基体70Aのそれぞれの画素領域において、素子電極76Aの一部と、素子電極76Bの一部と、素子電極76Aと素子電極76Bとの間で露出したナトリウム拡散防止層74とが、被吐出部78に対応する。より具体的には、被吐出部78は、導電性薄膜411F(図31)が形成されるべき領域であり、導電性薄膜411Fは、素子電極76Aの一部と、素子電極76Bの一部と、素子電極76A,76Bの間のギャップと、を覆うように形成される。図27(b)において点線で示すように、本実施形態における被吐出部78の形状は円形である。このように、本発明の被吐出部の形状は実施形態1〜3で説明したような矩形に限定されず、本実施形態において説明するような円形でも構わない。
【0143】
図27(b)に示す基体70Aは、X軸方向およびY軸方向で規定される仮想平面と平行に位置している。そして、複数の被吐出部78が形成するマトリクスの行方向および列方向は、それぞれX軸方向およびY軸方向と平行である。基体70Aにおいて、被吐出部78は、X軸方向にこの順番で周期的に並んでいる。さらに、被吐出部78はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでいる。
【0144】
被吐出部78同士のX軸方向に沿った間隔LRXは、ほぼ190μmである。被吐出部78同士の上記間隔および被吐出部の上記大きさは、40インチ程度の大きさのハイビジョンテレビにおいて、画素領域同士の間隔に対応する。
【0145】
図28に示す製造装置4は、図27の基体70Aの被吐出部78のそれぞれに対して、導電性薄膜材料411を吐出する装置である。製造装置4は、被吐出部78のすべてに導電性薄膜材料411を塗布する吐出装置400と、被吐出部78上の導電性薄膜材料411を乾燥させる乾燥装置450と、を備えている。さらに製造装置4は、吐出装置400、乾燥装置450の順番に基体70Aを搬送する搬送装置470も備えている。
【0146】
図29に示す吐出装置400は、液状の導電性薄膜材料411を保持するタンク401と、チューブ410と、チューブ410を介してタンク401から導電性薄膜材料411が供給される吐出走査部302と、を備える。吐出走査部302の説明は、実施形態3で説明したため省略する。なお、本実施形態では、液状の導電性薄膜材料411は有機パラジウム溶液である。
【0147】
製造装置4を用いた画像表示装置の製造方法を説明する。まず、ソーダガラスなどから形成された基板72上に、ニ酸化ケイ素(SiO2)を主成分とするナトリウム拡散防止層74を形成する。具体的には、スパッタ法を用いて基板72上に厚さ1μmのSiO2膜を形成することによってナトリウム拡散防止層74を得る。次に、ナトリウム拡散防止層74上に、スパッタ法または真空蒸着法によって厚さ5nmのチタニウム層を形成する。そして、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて、そのチタニウム層から、互いに所定の距離だけ離れて位置する1対の素子電極76Aおよび素子電極76Bを複数対形成する。その後、スクリーン印刷技術を用いて、ナトリウム拡散防止層74上および複数の素子電極76A上に銀(Ag)ペーストを塗布して焼成することで、Y軸方向に延びる複数の金属配線79Aを形成する。次に、スクリーン印刷技術を用いて、各金属配線79Aの一部分にガラスペーストを塗布して焼成することで、絶縁膜75を形成する。そして、スクリーン印刷技術を用いて、ナトリウム拡散防止層74および複数の素子電極76B上にAgペーストを塗布して焼成することで、X軸方向に延びる複数の金属配線79Bを形成する。なお、金属配線79Bを作製する場合には、金属配線79Bが絶縁膜75を介して金属配線79Aと交差するようにAgペーストを塗布する。以上のような工程によって、図27に示す基体70Aを得る。
【0148】
次に、大気圧下の酸素プラズマ処理によって、基体70Aを親液化する。この処理によって、素子電極76Aの表面の一部と、素子電極76Bの表面の一部と、素子電極76Aと素子電極76Bとの間で露出した支持基板の表面とは、親液化される。そして、これらの表面が被吐出部78となる。なお、材質によっては、上記のような表面処理を行わなくても、所望の親液性を呈する表面が得られることもある。そのような場合には、上記表面処理を施さなくても、素子電極76Aの表面の一部と、素子電極76Bの表面の一部と、素子電極76Aと素子電極76Bとの間で露出したナトリウム拡散防止層74の表面とは、被吐出部78となる。
【0149】
被吐出部78が形成された基体70Aは、搬送装置470によって、吐出装置400のステージ106に運ばれる。そして、図30に示すように、吐出装置400は、被吐出部78のすべてに導電性薄膜411Fが形成されるように、ヘッド114から導電性薄膜材料411を吐出する。吐出装置400の導電性薄膜材料411の吐出方法は、図8、図9、図10、図11、および図12(実施形態1)を参照しながら説明した方法と同じである。本実施形態では、被吐出部78上に着弾した導電性薄膜材料411の液滴の直径が60μmから80μmの範囲となるように、制御部112はヘッド114に信号を与える。基体70Aの被吐出部78のすべてに導電性薄膜材料411の層が形成された場合には、搬送装置470が基体70Aを乾燥装置450内に位置させる。そして、被吐出部78上の導電性薄膜材料411を完全に乾燥させることで、被吐出部78上に酸化パラジウムを主成分とする導電性薄膜411Fを得る。このように、それぞれの画素領域において、素子電極76Aの一部と、素子電極76Bの一部と、素子電極76Aと素子電極76Bとの間に露出したナトリウム拡散防止層74と、を覆う導電性薄膜411Fが形成される。
【0150】
次に素子電極76Aおよび素子電極76Bとの間に、パルス状の所定の電圧を印加することで、導電性薄膜411Fの一部分に電子放出部411Dを形成する。なお、素子電極76Aおよび素子電極76Bとの間の電圧の印加を、有機物雰囲気下および真空条件下でもそれぞれ行うことが好ましい。そうすれば、電子放出部411Dからの電子放出効率がより高くなるからである。素子電極76Aと、対応する素子電極76Bと、電子放出部411Dが設けられた導電性薄膜411Fと、は電子放出素子である。また、それぞれの電子放出素子は、それぞれの画素領域に対応する。
【0151】
以上の工程によって、図31に示すように、基体70Aは電子源基板70Bとなる。
【0152】
次に図32に示すように、電子源基板70Bと、前面基板70Cと、を公知の方法によって貼り合わせることで、電子放出素子を備えた画像表装置70が得られる。前面基板70Cは、ガラス基板82と、ガラス基板82上にマトリクス状に位置する複数の蛍光部84と、複数の蛍光部84を覆うメタルプレート86と、を有する。メタルプレート86は、電子放出部411Dからの電子ビームを加速するための電極として機能する。電子源基板70Bと前面基板70Cとは、複数の電子放出素子のそれぞれが、複数の蛍光部84のそれぞれに対向するように、位置合わせされている。また、電子源基板70Bと、前面基板70Cとの間は、真空状態に保たれている。
【0153】
本実施形態によれば、吐出装置400において、Y軸方向に沿った1回の相対走査の期間内に液状の材料を吐出するノズル118のX軸方向の間隔は、その材料が塗布されるべき被吐出部同士のX軸方向の間隔の2倍である。このため、Y軸方向に沿った1回の相対走査の期間内で塗布される被吐出部同士のX軸方向の間隔は、最終的に同じ導電性薄膜が形成されるべき被吐出部同士のX軸方向の間隔の2倍である。この結果、塗布走査と同時に材料の乾燥が促され、この結果、被吐出部に塗布された材料の乾燥時間が短くなる。つまり、製造時間を短縮できる。
【0154】
上記実施形態1〜4で説明した製造装置は、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置、電子放出素子を備えた画像表示装置の製造に適用できる。本発明では、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置、電子放出素子を利用した表示装置などを「電気光学装置」と表記することもある。なお、本明細書でいう「電気光学装置」とは、複屈折性の変化、旋光性の変化、光散乱性の変化、などの光学的特性の変化(いわゆる電気光学効果)を利用する装置に限定されず、信号電圧の印加に応じて光を射出、透過、または反射する装置全般を意味する。
【0155】
上記実施形態1〜4で説明した製造装置によって製造された電気光学装置は、電子機器において利用可能である。さらに、上記実施形態1〜4で説明した製造装置は、電気光学装置を含んだ電子機器の製造装置にも適用できる。
【0156】
(実施形態1〜4の変形例)
(1)実施形態1〜4において、R、G、Bに対応する被吐出部はマトリクス状に配置されている。しかしながら、図23に示すように、R,G、Bに対応する被吐出部がデルタ状(千鳥状)に配置されていても、本発明を適用できる。なお、デルタ配置とは、奇数ラインの被吐出部の並びと、偶数ラインの被吐出部の並びとが、互いに半ピッチずれた配置をいう。ここでいうピッチとは、互いに隣接する2つの被吐出部間の間隔である。例えば、ピッチとは、隣接する被吐出部の中心位置間の距離に等しい。
【0157】
具体的には、図23(a)の第1ラインに属する被吐出部R1、G1、G1と、第3ラインに属する被吐出部R3、G3、B3は、図23(b)に示すように、1つのマトリクスを構成する。同様に、第2ラインに属する被吐出部R2、G2、B2と、第4ラインに属する被吐出部R4、G4、B4は、1つの他のマトリクスを構成する。したがって、実施形態1〜3の塗布走査の方法を、奇数ラインに属する被吐出部と、偶数ラインに属する被吐出部とに分けて行えばよい。
【0158】
(2)実施形態1〜4において、マトリクス状に配置された被吐出部に対して材料を吐出する製造装置を説明した。しかしながら、図24に示すように、ストライプ状に配置された被吐出部に対して液状の材料を吐出する製造装置にも本発明を適用できる。より具体的には、図24は、配線製造装置がプラズマ表示装置50の支持基板52にアドレス電極54を形成する例を示している。
【0159】
支持基板52上の複数の被吐出部80は、互いに平行であり、それぞれがY軸方向に延びたストライプ状の形状を有している。また、複数の被吐出部80は、X軸方向に沿って所定の間隔XPで配置されている。複数の被吐出部80は、互いに同じな複数のアドレス電極54が形成されるべき領域である。複数のアドレス電極54は、配線製造装置における第1のノズル118Aから液状の配線材料が塗布されることで形成される。このような配線製造装置においても、第1のノズル118A同士のX軸方向に沿った間隔を、被吐出部80のX軸方向の間隔XPの2倍である2XPにすればよい。そうすれば、Y軸方向に沿った塗布走査と同時に配線材料の乾燥を促すことができるため、実施形態1〜4の効果と同じ効果が得られる。
【0160】
(3)実施形態1および2では、ノズル列方向HXとX軸方向とがなす角度ANを32.2°にすることで、第1のノズル同士の間隔を、同一の材料を塗布すべき被吐出部のX軸方向の間隔の2倍に設定した。また、実施形態3および4では、ノズル列方向HXとX軸方向とがなす角度ANを0°にすることで、第1のノズル同士の間隔を、同一の材料を塗布すべき被吐出部のX軸方向の間隔の2倍に設定した。しかしながら、第1のノズル同士の間隔が同一の材料を塗布すべき被吐出部のX軸方向の間隔の2倍に設定されるのであれば、ノズル列HXの方向とX軸方向との間の角度ANは、上記の値に限られない。第1のノズル同士の間隔が同一の材料を塗布すべき被吐出部のX軸方向の間隔の2倍に設定されれば、Y軸方向に沿った塗布走査と同時に材料の乾燥を促すことができるため、実施形態1〜3の効果と同じ効果が得られる。
【0161】
(4)実施形態1〜4において説明したように、ノズル列がY軸方向に沿って走査範囲の一端から他端まで相対走査を1回する期間内に、第1のノズルからは材料が吐出され、第2のノズルからはなんら材料は吐出されない。この場合には、一端から他端までの1回の相対走査の期間に亘って、第2のノズルに対応するキャビティ内に充填されている材料に振動を与えることが好ましい。キャビティ内に充填されている材料に振動を与える構成の具体例は以下の通りである。
【0162】
まず、ピエゾ素子に印加する電圧(すなわち印加電圧)の最大値と最小値との差が所定値SABを超える場合に、対応したノズルから液状の材料が吐出されるとする。例えば、図26(a)に示すように、第1のノズルが被吐出部に対応した領域に侵入する場合には、互いに極性が逆のTAおよびTBの間で印加電圧を変化させる。具体的には、1つの液滴を吐出する場合に、印加電圧を、期間P11の間に0からTAに変化させ、期間P11に引き続く期間P12の間でTAからTBに変化させ、期間P12に引き続く期間P13の間に0に戻し、期間P13に続く期間P14の間0に維持する。TAおよびTBは、それぞれ印加電圧の最大値および最小値である。そして、TAとTBとの差TABは所定値SABよりも大きい。時間軸に沿ってこのような波形パターンを有する印加電圧を第1のノズルに対応するピエゾ素子に与えることで、液状の材料が吐出される。図26(a)に示す例では、期間11、P12、P13、P14からなる波形パターンが1つの液滴の吐出に対応する。また、図26(a)では、この波形パターンが3つ隣接している。なお、本発明では、所定値SABを非吐出電圧差と表記することもある。
【0163】
一方、第2のノズルに対応するピエゾ素子に印加する電圧(すなわち印加電圧)の最大値と最小値との差は、図26(b)に示すように、所定値SAB以下である。図26(b)に示す例では、互いに極性が逆であるRAとRBとの間で印加電圧を変化させる。より具体的には、印加電圧を、期間P21の間に0からRAに変化させ、期間P21に引き続く期間P22の間でRAからRBに変化させ、期間P22に引き続く期間P23の間に0に戻す。そして、期間P21、P22、P23を含む波形パターン(印加電圧)を所定の周期でピエゾ素子に与える。RAおよびRBは、それぞれ印加電圧の最大値および最小値である。そして、RAとRBとの差は所定値SAB以下である。
【0164】
最大値と最小値との差が所定値SAB以下となるように変化する印加電圧によってピエゾ素子は振動するが、しかしながら、その振動によって材料は吐出されない。本発明では、ノズルから材料を吐出させない程度の振動を「非吐出振動」と表記することもある。第2のノズルに対応するピエゾ素子が非吐出振動をすることで、第2のノズルに対応するキャビティ内に充填された液状の材料が、その振動を受けてキャビティ内で対流する。液状の材料が対流すると、大気に触れている面の材料が常に流動するので、液状の材料から溶媒が気化することを防止できる。そして、溶媒の気化を防げるため、液状の材料の粘性が増加することを防止でき、このためノズルからの吐出不良を防止できる。なお、印加電圧の最大値および最小値の差を所定値以下にする以外にも、波形パターンの周波数を変えることでも非吐出振動を実現できるし、最大値・最小値の差および周波数の双方を調整することでも非吐出振動を実現できる。
【0165】
ノズル列がY軸方向に沿って走査範囲の一端から他端まで相対走査を1回する期間内に、第1のノズルが材料を複数回吐出する場合には、吐出のタイミング間に第1のノズルに対応するピエゾ素子に非吐出振動をさせてもよい。そうすれば、第1のノズルからの材料の吐出がより安定するので、この点で好ましい。
【0166】
(5)実施形態1〜4の吐出装置において、ノズル列がY軸方向に沿って走査範囲の一端から他端まで相対走査する前に毎回、ノズル列を走査範囲の外側の所定位置に移動させて、ノズルから材料を吐出してもよい。そうすれば、たとえノズルからの材料の吐出量が規定の吐出量よりも少なくなった場合でも、その位置で吐出動作を続ければ規定の吐出量が回復する可能性が高いからである。本発明では、このような走査範囲外での吐出動作を「予備吐出」と表記することもある。予備吐出を行うことで、ノズル列がY軸方向に沿って走査範囲の一端から他端まで新たに相対走査する前に、ノズルから材料が安定して吐出されるようになる。予備吐出は、予備吐出の工程に引き続いて行われる塗布走査の工程において第1のノズルとなるノズルに対してのみ行ってもよいし、ノズル列のすべてのノズルに対して行ってもよい。また、予備吐出は、ノズル列がY軸方向に沿って走査範囲の一端から他端まで相対走査を1回する毎に行ってもよいし、ノズル列がY軸方向に沿って走査範囲の一端から他端まで相対走査を複数回する毎に行ってもよい。
【0167】
(6)実施の形態1〜4では、X軸方向に沿った第1のノズル同士の間隔は、同一の材料を塗布すべき被吐出部同士のX軸方向の間隔の2倍である。ただし、第1のノズル同士のX軸方向の間隔は上記間隔の2倍以上の整数倍であってもよい。より具体的には、ノズル列がY軸方向に沿って走査範囲の一端から他端まで相対走査を1回する期間内に、同じ材料が塗布されるべき2つの隣接する被吐出部の列のどちらかに対して吐出動作が行われないのであれば、実施形態1〜3の効果と同様の効果が得られる。
【0168】
(7)実施の形態1および2では、2つの第1のノズルの間に3つの第2のノズルが位置していた。しかしながら、第1のノズル同士のX軸方向の間隔が、同一の材料の層が形成されるべき複数の被吐出部同士のX軸方向の間隔の2倍以上の整数倍であれば、第2のノズルの数は3つに限定されない。具体的には、ノズル列の中に第2のノズルが存在しなくてもよい。しかしながら、ノズル列において少なくとも1つの第2のノズルを設定するようにすれば、同一の材料の層が形成されるべき複数の被吐出部同士のX軸方向の間隔よりもノズル同士の間隔が小さい吐出装置を用いて塗布走査ができるため、この点で好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は実施形態1の基体の断面図を示す模式図であり、(b)は実施形態1の基体の平面図を示す模式図。
【図2】実施形態1の製造装置を示す模式図。
【図3】実施形態1の吐出装置を示す模式図。
【図4】実施形態1のキャリッジを示す模式図。
【図5】実施形態1のヘッドを示す模式図。
【図6】実施形態1のヘッドを示す模式図。
【図7】吐出装置における制御部の機能ブロック図。
【図8】実施形態1の吐出方法を示す模式図。
【図9】実施形態1の吐出方法を示す模式図。
【図10】実施形態1の吐出方法を示す模式図。
【図11】(a)〜(d)はノズル列における第1の吐出ノズルの配置パターンを示す模式図。
【図12】吐出装置の吐出方法を示すフローチャート。
【図13】(a)〜(d)は実施形態1の製造方法を示す模式図。
【図14】(a)は実施形態2の基体の断面図を示す模式図であり、(b)は実施形態2の基体の平面図を示す模式図。
【図15】(a)〜(d)は実施形態2の製造装置を示す模式図。
【図16】実施形態2の吐出装置を示す模式図。
【図17】実施形態2の製造方法を示す模式図。
【図18】(a)は実施形態3の基体の断面図を示す模式図であり、(b)は実施形態3の基体の平面図を示す模式図。
【図19】実施形態3の製造装置を示す模式図。
【図20】実施形態3の吐出装置を示す模式図。
【図21】(a)〜(c)は実施形態3の製造方法を示す模式図。
【図22】実施形態3のプラズマ表示装置を示す模式図。
【図23】被吐出部の配置の変形例を示す模式図。
【図24】被吐出部の配置の変形例を示す模式図。
【図25】被吐出部とヘッドとの位置関係を示す模式図。
【図26】第2のノズルに対応するピエゾ素子に与える駆動波形を示す模式図。
【図27】(a)は実施形態4の基体の断面図を示す模式図であり、(b)は実施形態4の基体の平面図を示す模式図。
【図28】実施形態4の製造装置を示す模式図。
【図29】実施形態4の吐出装置を示す模式図。
【図30】実施形態4の製造方法を示す模式図。
【図31】実施形態4の電子源基板を示す模式図。
【図32】実施形態4の製造装置によって製造される表示装置を示す模式図。
【符号の説明】
1、2、3、4…製造装置
10A…基体
10…カラーフィルタ基板
18R、18G、18B…被吐出部
30A…基体
30…エレクトロルミネッセンス表示装置
38R、38G,38B…被吐出部
50A…基体
50…プラズマ表示装置
58R、58G、58B…被吐出部
70A…基体
70…電子放出素子を備えた画像表示装置
78…被吐出部
100R、100G、100B、200R、200G、200B、300R、300G、300B、400…吐出装置
103…キャリッジ
114…ヘッド
116…ノズル列
118…ノズル
118A…第1のノズル
118B…第2のノズル
200…入力バッファメモリ
202…記憶手段
204…処理部
206…走査ドライバ
208…ヘッドドライバ
104…第1位置制御手段
108…第2位置制御手段
106…ステージ
【発明の属する技術分野】
本発明は、マトリクス状またはストライプ状に並んだ複数の被吐出部に液状の材料を塗布する技術に関し、より具体的には、カラーフィルタ基板の製造、電気光学装置の製造、および配線の製造に好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
吐出装置を用いることで、カラーフィルタのフィルタエレメントを形成することと、エレクトロルミネッセンス(EL)装置のピクセルのパターンを形成することとが知られている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】
特開2002−273869号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
吐出装置によって所定のパターン状に吐出された液状の材料は、液状の材料に含まれる溶媒が気化した後に最終的に所望の層を形成する。ところで、カラーフィルタなどのピクセルは密集している。このため、ピクセルの複数の列に対してほぼ同時に液状の材料が吐出される場合には、液状の材料から気化した溶媒雰囲気の分圧が複数の列上で局所的に上昇する。溶媒雰囲気の分圧の上昇は、塗布された液状の材料に含まれる溶媒が気化することを妨げるので、結果として、塗布された材料の乾燥に時間がかかる。
【0004】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、吐出後の材料の乾燥時間を短縮できる吐出装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の吐出装置は、互いに同じ層が形成されるべき複数の被吐出部であって、互いに直交するX軸方向およびY軸方向に並ぶとともに前記X軸方向の間隔が所定の長さである複数の被吐出部、に液状の材料を塗布する吐出装置であって、前記複数の被吐出部の位置を決めるステージと、前記材料を吐出可能なノズル列を有するヘッドと、前記ノズル列が前記複数の被吐出部に対して前記X軸方向および前記Y軸方向のそれぞれの方向に相対走査するように前記ステージに対する前記ヘッドの相対位置を変える走査部と、を備えている。そして、前記ノズル列は前記X軸方向と所定の角度をなす方向に並んでいて、前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する期間内に前記材料を吐出するノズル同士の前記X軸方向の間隔は前記所定の長さの2倍以上の整数倍である。
【0006】
本発明のある態様では、前記ノズル列は、複数の第1のノズルと少なくとも1つの第2のノズルと、からなり、前記複数の第1のノズルは前記期間内に前記材料を吐出する前記ノズルであり、前記少なくとも1つの第2のノズルは、前記期間中吐出を行わない。
【0007】
好ましくは、前記ノズル列における2つのノズルのX軸方向の距離が前記所定の長さに一致するように、前記ノズル列の方向が設定されている。前記ノズル列の前記X軸方向の位置を所定のX座標に一致させながら前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する第1の期間内には、前記ノズル列における前記複数の第1のノズルの配置パターンは第1配置パターンであり、前記第1配置パターンの前記複数の第1のノズルが前記被吐出部に前記材料を吐出する。前記ノズル列の前記X軸方向の位置を前記所定のX座標に一致させながら前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する第2の期間内には、前記ノズル列における前記複数の第1のノズルの配置パターンは第2配置パターンであり、前記第2配置パターンの前記複数の第1のノズルが前記被吐出部に前記材料を吐出する。そして、前記第1配置パターンにおける前記複数の第1のノズルの位置と、前記第2配置パターンにおける前記複数の第1のノズルの位置とは、互いに半ピッチずれている。
【0008】
好ましくは、前記ノズル列に対してX軸方向に並んだ複数の走査範囲が設定されており、前記吐出装置は、前記複数の被吐出部のすべてに前記材料を塗布するように、前記複数の走査範囲のそれぞれに対して、前記第1配置パターンにおける前記複数の第1のノズルからの前記材料の吐出と、前記第2配置パターンにおける前記複数の第1のノズルからの前記材料の吐出とを行う。
【0009】
好ましくは、前記吐出装置は、前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する前に、少なくとも前記複数の第1のノズルから予備吐出を行う。
【0010】
さらに好ましくは、前記ヘッドは、前記材料が充填されるキャビティであって、それぞれが前記複数の第1のノズルおよび前記少なくとも1つの第2のノズルのそれぞれに対応する複数のキャビティと、それぞれが前記複数のキャビティのそれぞれに対応する複数のピエゾ素子と、を備えている。そして、前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する期間内に、前記第2のノズルに対応する前記キャビティ内で前記材料が対流するように、対応する前記ピエゾ素子が振動する。
【0011】
本発明の吐出装置は、互いに同じ層が形成されるべき複数の被吐出部であって、それぞれがY軸方向に延びるストライプ状に配置されるとともに、前記Y軸方向と直交するX軸方向の間隔が所定の長さである複数の被吐出部、に液状の材料を塗布する吐出装置であって、 前記複数の被吐出部の位置を決めるステージと、前記材料を吐出可能なノズル列を有するヘッドと、前記ノズル列が前記複数の被吐出部に対して前記X軸方向および前記Y軸方向のそれぞれの方向に相対走査するように前記ステージに対する前記ヘッドの相対位置を変える走査部とを備えている。そして、前記ノズル列は前記X軸方向と所定の角度をなす方向に並んでいて、前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査をする期間内に前記材料を吐出するノズル同士の前記X軸方向の間隔は前記所定の長さの2倍以上の整数倍である。
【0012】
また、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、例えば、カラーフィルタ基板の製造装置、電気光学装置の製造装置、配線製造装置などの態様で実現することができる。本発明の「電気光学装置」とは、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置、電子放出素子を備えた画像表示装置などを意味する。さらに、本発明でいう「電気光学装置」とは、複屈折性の変化、旋光性の変化、光散乱性の変化、などの光学的特性の変化(いわゆる電気光学効果)を利用する装置に限定されず、信号電圧の印加に応じて光を射出、透過、または反射する装置全般を意味する。
【0013】
本発明のカラーフィルタ基板は、上記カラーフィルタ基板の製造方法によって製造されている。本発明の電気光学装置は、上記電気光学装置の製造方法によって製造されている。さらに、本発明の電子機器は上記電気光学装置を含んでいる。
【0014】
本発明の吐出方法は、互いに同じ層が形成されるべき複数の被吐出部であって、互いに直交するX軸方向およびY軸方向に並ぶとともに前記X軸方向の間隔が所定の長さである複数の被吐出部、に吐出装置から液状の材料を吐出する吐出方法であって、前記X軸方向と所定の角度をなす方向に並んだノズル列における複数のノズルのうち、前記X軸方向に沿った互いの間隔が前記所定の長さの2倍以上の整数倍である複数のノズルを複数の吐出ノズルとして設定するステップ(a)と、前記複数の吐出ノズルのX軸方向の位置を対応する前記被吐出部のX軸方向の位置に一致させるステップ(b)と、前記ノズル列を前記Y軸方向に相対走査させるステップ(c)と、前記ステップ(a)の期間内に、前記複数の吐出ノズルからのみ前記対応する被吐出部に材料を吐出するステップ(d)と、を含む。
【0015】
好ましくは、前記ノズル列における2つのノズルのX軸方向の距離が前記所定の長さに一致するように、前記ノズル列の方向が設定されており、前記吐出方法は、前記ノズル列における前記複数の吐出ノズルの配置パターンを第1配置パターンにするステップ(e)と、前記ステップ(e)の後で、前記ノズル列の前記X軸方向の位置を所定のX座標に一致させながら前記ノズル列をY軸方向に相対走査するステップ(f)と、前記ステップ(f)の期間内に、前記吐出ノズルから対応する前記被吐出部に前記材料を吐出するステップ(g)と、前記ノズル列における前記複数の吐出ノズルの配置パターンを第2配置パターンにするステップ(h)と、前記ステップ(h)の後で、前記ノズル列の前記X軸方向の位置を前記所定のX座標に一致させながら前記ノズル列を前記Y軸方向に相対走査するステップ(i)と、前記ステップ(i)の期間内に、前記吐出ノズルから対応する前記被吐出部に前記材料を吐出するステップ(j)と、を含む。そして、前記第1配置パターンにおける前記複数の吐出ノズルの位置と、前記第2配置パターンにおける前記複数の吐出ノズルの位置とは、互いに半ピッチずれている。
【0016】
本発明の他の態様では、前記吐出方法が、前記複数の被吐出部のすべてに前記材料を塗布するように、前記ノズル列に対応する複数の走査範囲のそれぞれに対して、前記ステップ(e)からステップ(j)を行う。
【0017】
また、本発明は、種々の態様で実現することが可能であり、製造方法などの態様で実現することができる。
【0018】
本発明によれば、Y軸方向に相対走査が行われる期間内に、同じ層が形成されるべき複数の被吐出部は、X軸方向に沿って少なくとも1つおきに塗布される。なぜなら、材料を吐出するノズル同士、つまり第1のノズル同士、の前記X軸方向の間隔は前記所定の長さの2倍以上の整数倍だからである。このため、1回の相対走査の期間内で同じ材料が塗布される被吐出部間の間隔が広くなり、この結果、Y軸方向に沿って走査範囲の一端から他端まで1回の相対走査が行われている間でも、被吐出部上の材料から溶媒が気化できる。つまり、塗布走査をしている間でも溶媒の気化を促せるため、材料の乾燥時間を短縮できる。なお、本発明では、第1のノズルを「吐出ノズル」と表記することもある。
【0019】
さらに本発明によれば、複数の第1のノズルからの安定した前記材料の吐出を維持することができる。なぜなら、Y軸方向に沿って走査範囲の前記一端から他端まで相対走査を1回する前に少なくとも第1のノズルから予備吐出を行うからである。
【0020】
さらに本発明によれば、Y軸方向に沿って走査範囲の前記一端から他端まで相対走査を1回する期間内に吐出動作を行わないノズル(第2のノズル)において、液状の材料の粘性が増大することを防止できる。なぜなら、対応するピエゾ素子が振動することで、第2のノズルに対応するキャビティ内で前記材料が対流するため、前記第2のノズルの開口部で大気に触れる前記材料の液面が常に流動するためである。この結果、第2のノズルとして機能したノズルが第1のノズルとして機能し始める場合でも、このノズルからすぐに安定して材料を吐出できる。なお、本発明では、第2のノズルを「非吐出ノズル」と表記することもある。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、カラーフィルタ基板の製造装置、エレクトロルミネッセンス表示装置の製造装置、プラズマ表示装置の製造装置、電子放出素子を備えた画像表示装置の製造装置、および配線製造装置に適用した場合を例に取り、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に示す実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明の内容を何ら限定するものではない。また、以下の実施形態に示す構成のすべてが、特許請求の範囲に記載された発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0022】
(実施形態1)
本発明をカラーフィルタ基板の製造装置1に適用した例を説明する。
【0023】
図1(a)および(b)に示す基体10Aは、後述する製造装置1(図2)による処理を経て、カラーフィルタ基板10となる基板である。基体10Aは、マトリクス状に配置された複数の被吐出部18R,18G、18Bを有する。
【0024】
具体的には、基体10Aは、光透過性を有する支持基板12と、支持基板12上に形成されたブラックマトリクス14と、ブラックマトリクス14上に形成されたバンク16と、を含む。ブラックマトリクス14は遮光性を有する材料で形成されている。そして、ブラックマトリクス14とブラックマトリクス14上のバンク16とは、支持基板12上にマトリクス状の複数の光透過部分、すなわちマトリクス状の複数の画素領域、が規定されるように位置している。
【0025】
それぞれの画素領域において、支持基板12、ブラックマトリクス14、およびバンク16で規定される凹部は、被吐出部18R、被吐出部18G、被吐出部18Bに対応する。被吐出部18Rは、赤の波長域の光線のみを透過するフィルタ層111FRが形成されるべき領域であり、被吐出部18Gは、緑の波長域の光線のみを透過するフィルタ層111FGが形成されるべき領域であり、被吐出部18Bは、青の波長域の光線のみを透過するフィルタ層111FBが形成されるべき領域である。
【0026】
図1(b)に示す基体10Aは、X軸方向およびY軸方向で規定される仮想平面と平行に位置している。そして、複数の被吐出部18R,18G、18Bが形成するマトリクスの行方向および列方向は、それぞれX軸方向およびY軸方向と平行である。基体10Aにおいて、被吐出部18R、被吐出部18G、および被吐出部18Bは、X軸方向にこの順番で周期的に並んでいる。一方、被吐出部18R同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでおり、また、被吐出部18G同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでおり、そして、被吐出部18B同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでいる。
【0027】
被吐出部18R同士のX軸方向に沿った間隔LRXは、ほぼ237μmである。この間隔LRXは、被吐出部18G同士のX軸方向に沿った間隔LGXと同じであり、被吐出部18B同士のX軸方向に沿った間隔LBXとも同じである。また、被吐出部18R、18G、18GのそれぞれのX軸方向の長さおよびY軸方向の長さは、それぞれ約50μmおよび約120μmである。
【0028】
図2に示す製造装置1は、図1の基体10Aの被吐出部18R,18G、18Bのそれぞれに対して、対応するカラーフィルタ材料を吐出する装置である。具体的には、製造装置1は、被吐出部18Rのすべてにカラーフィルタ材料111Rを塗布する吐出装置100Rと、被吐出部18R上のカラーフィルタ材料111Rを乾燥させる乾燥装置150Rと、被吐出部18Gのすべてにカラーフィルタ材料111Gを塗布する100Gと、被吐出部18G上のカラーフィルタ材料111Gを乾燥させる乾燥装置150Gと、被吐出部18Bのすべてにカラーフィルタ材料111Bを塗布する100Bと、被吐出部18Bのカラーフィルタ材料111Bを乾燥させる乾燥装置150Bと、カラーフィルタ材料111R、111G、111Bを再度加熱(ポストベーク)するオーブン160と、ポストベークされたカラーフィルタ材料111R,111G、111Bの層の上に保護膜16を設ける吐出装置100Cと、保護膜16を乾燥させる乾燥装置150Cと、乾燥された保護膜16を再度加熱して硬化する硬化装置165と、を備えている。さらに製造装置1は、吐出装置100R、乾燥装置150R、吐出装置100G、乾燥装置150G、吐出装置100B、乾燥装置150B、吐出装置100C、乾燥装置150C、硬化装置165の順番に基体10Aを搬送する搬送装置170も備えている。
【0029】
図3に示すように、吐出装置100Rは、液状のカラーフィルタ材料111Rを保持するタンク101Rと、チューブ110Rを介してタンク101Rからカラーフィルタ材料111Rが供給される吐出走査部102と、を備える。吐出走査部102は、それぞれがカラーフィルタ材料を吐出可能な複数のヘッド114(図4)を有するキャリッジ103と、キャリッジ103の位置を制御する第1位置制御装置104と、基体10Aを保持するステージ106と、ステージ106の位置を制御する第2位置制御装置108と、制御部112と、を備えている。タンク101Rと、キャリッジ103における複数のヘッド114と、はチューブ110Rで連結されており、タンク101Rから複数のヘッド114のそれぞれに液状のカラーフィルタ材料111Rが圧縮空気によって供給される。
【0030】
第1位置制御装置104は、制御部112からの信号に応じて、キャリッジ103をX軸方向、およびX軸方向と直交するZ軸方向に沿って移動させる。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な所定な軸の回りでキャリッジ103を回転させる機能も有する。本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。第2位置制御装置108は、制御部112からの信号に応じて、X軸方向およびZ軸方向の両方と直交するY軸方向に沿ってステージ106を移動させる。なお、第1位置制御措置104および第2位置制御装置108は、本発明の走査部に対応する。
【0031】
ステージ106は、X軸方向およびY軸方向で規定される仮想的な平面上に位置する。また、ステージ106は、所定の材料を塗布すべき複数の被吐出部を有する基板を固定できるように構成されている。本実施形態では、複数の被吐出部を有する基板は、複数の被吐出部18Rを有する基体10Aである。また、本明細書では、複数の被吐出部を有する基体を受容基板と表記することもある。
【0032】
キャリッジ103およびステージ106は上記以外の平行移動および回転の自由度をさらに有している。ただし、本実施形態では、上記自由度以外の自由度に関する記載は説明を平易にする目的で省略されている。
【0033】
制御部112は、カラーフィルタ材料111Rを吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。制御部112の詳細な機能は、後述する。
【0034】
図4に示すように、キャリッジ103は、互いに同じ構造を有する複数のヘッド114を保持している。ここで、図4は、キャリッジ103をステージ106側から観察した図であり、このため図面に垂直な方向がZ軸方向である。本実施形態では、キャリッジ103には6個のヘッド114からなる列が2列配置されている。後に詳細に述べるように、それぞれのヘッド114の長手方向がX軸方向に対して角度ANをなすように、ヘッド114のそれぞれがキャリッジ103に固定されている。
【0035】
図5に示すように、カラーフィルタ材料111Rを吐出するためのヘッド114は、それぞれがヘッド114の長手方向に延びる2つのノズル列116を有している。1つのノズル列116とは、180個のノズル118が一列に並んだ列のことである。このノズル列方向HXに沿ったノズル118の間隔は、約140μmである。上述したように、ヘッド114の長手方向がX軸方向に対して角度ANをなすため、ノズル列方向HX、すなわち180個のノズル118が一列に並ぶ方向もX軸方向に対して角度ANをなす。なお、複数のノズル118のそれぞれの端部は、上記X軸方向およびY軸方向で定義される仮想的な平面上に位置している。また、ヘッド114がほぼZ軸と平行に材料を吐出できるように、複数のノズル118のそれぞれの形状が調整されている。
【0036】
図6(a)および(b)に示すように、それぞれのヘッド114は、インクジェットヘッドである。より具体的には、それぞれのヘッド114は、振動板126と、ノズルプレート128と、を備えている。振動板126と、ノズルプレート126と、の間には、タンク101Rから孔131を介して供給される液状のカラーフィルタ材料111Rが常に充填される液たまり129が位置している。また、振動板126と、ノズルプレート128と、の間には、複数の隔壁122が位置している。そして、振動板126と、ノズルプレート128と、1対の隔壁122と、によって囲まれた部分がキャビティ120である。キャビティ120はノズル118に対応して設けられているため、キャビティ120の数とノズル118の数とは同じである。キャビティ120には、1対の隔壁122間に位置する供給口130を介して、液たまり129からカラーフィルタ材料111Rが供給される。
【0037】
振動板126上には、それぞれのキャビティ120に対応して、振動子124が位置する。振動子124は、ピエゾ素子124Cと、ピエゾ素子124Cを挟む1対の電極124A、124Bと、を含む。この1対の電極124A、124Bに駆動電圧を与えることで、対応するノズル118から液状のカラーフィルタ材料111Rが吐出される。
【0038】
制御部112(図3)は、複数の振動子124のそれぞれに互いに独立な信号を与えるように構成されている。このため、ノズル118から吐出されるカラーフィルタ材料111Rの体積は、制御部112からの信号に応じてノズル118毎に制御される。さらに、ノズル118のそれぞれから吐出されるカラーフィルタ材料111Rの体積は、0pl〜42pl(ピコリットル)の間で可変である。このため、後述するように、塗布走査の間に吐出動作を行うノズル118と、吐出動作を行わないノズル118と、を設定することでもできる。
【0039】
本明細書では、1つのノズル118と、ノズル118に対応するキャビティ120と、キャビティに対応する振動子と、を含んだ部分を、吐出部と表記することもある。この表記によれば、1つのヘッド114は、ノズル118の数と同じ数の吐出部を有する。吐出部は、ピエゾ素子の代わりに電気熱変換素子を有してもよい。つまり、吐出部は、電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用して材料を吐出する構成を有していてもよい。
【0040】
上述のように、キャリッジ103は第1位置制御装置104(図3)によってX軸方向およびZ軸方向に移動させられる。一方、ステージ106(図3)は第2位置制御手段108(図3)によってY軸方向に移動させられる。この結果、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108によって、ステージ106に対するヘッド114の相対位置が変わる。より具体的には、これらの動作によって、複数のヘッド114、複数のノズル列116、または複数のノズル118は、ステージ106上で位置決めされた被吐出部18Rに対してZ軸方向に所定の距離を保ちながらX軸方向およびY軸方向に相対的に移動、すなわち相対的に走査する。さらに具体的には、ヘッド114は、ステージに対してX軸方向およびY軸方向に相対走査するとともに、複数のノズル118から材料を吐出する。本発明では、被吐出部18Rに対してノズル118を走査して、被吐出部18Rに対してノズル118から材料を吐出してもよい。「相対走査」とは吐出する側とそこからの吐出物が着弾する側(被吐出側18R)の少なくとも一方を他方に対して走査することを含む。また、相対走査と材料の吐出との組合せを指して「塗布走査」と表記することもある。
【0041】
次に、制御部112の構成を説明する。図7に示すように、制御部112は、入力バッファメモリ200と、記憶手段202と、処理部204と、走査ドライバ206と、ヘッドドライバ208と、を備えている。バッファメモリ202と処理部204とは相互に通信可能に接続されている。処理部204と記憶手段202とは、相互に通信可能に接続されている。処理部204と走査ドライバ206とは相互に通信可能に接続されている。処理部204とヘッドドライバ20とは相互に通信可能に接続されている。また、走査ドライバ206は、第1位置制御手段104および第2位置制御手段108と相互に通信可能に接続されている。同様にヘッドドライバ208は、複数のヘッド114のそれぞれと相互に通信可能に接続されている。
【0042】
入力バッファメモリ200は、外部情報処理装置からカラーフィルタ材料111Rの吐出を行うための吐出データを受け取る。吐出データは、基体10A上のすべての被吐出部18Rの相対位置を表すデータと、すべての被吐出部18Rに所望の厚さのカラーフィルタ材料111Rを塗布するまでに必要となる相対走査の回数を示すデータと、第1のノズル118Aとして機能するノズル118を指定するデータと、第2のノズル118Bとして機能するノズル118を指定するデータと、を含む。第1のノズル118Aおよび第2のノズル118Bの説明は後述する。入力バッファメモリ200は、吐出データを処理部204に供給し、処理部204は吐出データを記憶手段202に格納する。図7では、記憶手段202はRAMである。
【0043】
処理部204は、記憶手段202内の吐出データに基づいて、被吐出部18Rに対するノズル列116の相対位置を示すデータを走査ドライバ206に与える。走査ドライバ206はこのデータに応じた駆動信号を第1位置制御手段104および第2位置制御手段108に与える。この結果、被吐出部18Rに対してノズル列116が走査される。一方、処理部204は、記憶手段202に記憶された吐出データに基づいて、対応するノズル118からの吐出タイミングを示すデータをヘッドドライバ208に与える。ヘッドドライバ208はこのデータに基づいて、カラーフィルタ材料111Rの吐出に必要な駆動信号をヘッド114に与える。この結果、ノズル列116における対応するノズル118から液状のカラーフィルタ材料111Rが吐出される。
【0044】
制御部112は、CPU、ROM、RAMを含んだコンピュータであってもよい。この場合には、制御部112の上記機能は、コンピュータによって実行されるソフトウェアプログラムによって実現される。もちろん、制御部112は、専用の回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。
【0045】
以上の構成によって、吐出装置100Rは、制御部112に与えられた吐出データに応じて、カラーフィルタ材料111Rの塗布走査を行う。
【0046】
以上は、吐出装置100Rの構成の説明である。吐出装置100Gの構成と、吐出装置100Bの構成と、吐出装置100Cの構成と、は、いずれも基本的に吐出装置100Rの構造と同じある。ただし、吐出装置100Rにおけるタンク101Rの代わりに、吐出装置100Gがカラーフィルタ材料111G用のタンクを備える点で吐出装置100Gの構成は吐出装置100Rの構成と異なる。同様に、タンク101Rの代わりに、吐出装置100Bがカラーフィルタ材料111B用のタンクを備える点で吐出装置100Bの構成は吐出装置100Rの構成と異なる。さらに、タンク101Rの代わりに、吐出装置100Cが保護膜材料用のタンクを備える点で吐出装置100Cの構成は吐出装置100Rの構成と異なる。
【0047】
次に、吐出装置100Rの動作を説明する。吐出装置100Rは、基体10A上でマトリクス状に配置された複数の被吐出部18Rに同一の材料を吐出する。なお、後述するように、基体10Aは、エレクトロルミネッセンス表示装置用の基体に置き換わってもよいし、プラズマ表示装置用背面基板の基体に置き換わってもよよし、電子放出素子の基板に置き換わってもよい。
【0048】
図8に示す基体10Aは、吐出装置100Rのステージ106に固定されている。このため、基体10Aは、X軸方向およびY軸方向で規定される仮想的な平面上に位置する。そして、複数の被吐出部18R,18G、18Bが形成するマトリクスの行方向および列方向は、それぞれX軸方向およびY軸方向と平行である。図8に示すように、複数の被吐出部18R,18G、18Bがマトリクス状に配置されているので、複数の被吐出部18R同士も、マトリクス状に配置されている。
【0049】
図8は、1つのノズル列116が、Y軸方向に沿って走査範囲134Aの一端E1から他端E2まで相対走査する様子を示している。図8では、説明を平易にする目的で1つのヘッド114おける1つのノズル列116しか図示されていないが、以下の説明は、他のヘッド114のノズル列116についても同様である。また、図8では、1つのノズル列116中に、7つのノズル118しか図示されていなが、実際には上述したように180個のノズル118が位置している。
【0050】
図8に示すように、ノズル列方向HXは、X軸方向に対して所定の角度ANをなす方向である。つまり、複数のノズル118が、X軸方向に対して所定の角度ANをなす方向に一列に並んでいる。所定の角度ANについては後述する。
【0051】
図8の走査範囲134Aとは、ノズル列116のX軸方向の位置(またはX座標)を基体10Aに対して固定した場合に、ノズル列116がY軸方向に並んだ被吐出部18Rをすべて塗布するまでにノズル列116がY軸方向に相対移動する範囲を意味する。ここで、基体10Aにおける被吐出部18Rのすべてを塗布するまでにノズル列116のX軸方向の位置を何度か移動させる場合には、1つのノズル列116に対して、X軸方向に並んだ複数の走査範囲134Aが存在する。また、走査範囲134Aは、図4、図5に示したノズル列116毎に定義されてよい。ただし、用語「走査範囲」は、上述のように狭義には1つのノズル列116が相対移動する範囲を意味するが、広義には、1つのノズル118が相対移動する範囲を意味することもあるし、1つのヘッド114が相対移動する範囲を意味することもあるし、キャリッジ103が相対移動する範囲を意味することもある。また、本発明では、X軸方向の位置およびY軸方向の位置をそれぞれ「X座標」および「Y座標」と表記することもある。
【0052】
本発明では、1つのノズル列116がY軸方向に沿って走査範囲134Aの一端E1(または他端E2)から他端E2(または一端E1)に至るまでに、その1つのノズル列116が行う吐出動作を、「1回の塗布走査」と表記することもあるし、「1回のパス」と表記することもある。
【0053】
以下では、図8に示す12個の被吐出部18Rのすべてに対して吐出装置100Rがカラーフィルタ材料111Rを塗布する工程を、工程(A1)、工程(A2)、および工程(A3)に分けて説明する。工程(A2)および工程(A3)は、工程(A1)の後に、どちらかが選択される工程である。
【0054】
(A1)塗布走査の第1の工程:
図8のノズル列116は、カラーフィルタ材料111Rを吐出する第1のノズル118Aと、吐出動作を行わない第2のノズル118Bと、を含む。図8に示す例では、ノズル列116がY軸方向に沿って走査範囲134Aの一端E1から他端E2まで相対走査を1回する場合、最も左側のノズル118と左から5番目のノズル118とが複数の第1のノズル118Aとして機能する。図8では、第1のノズル118Aは黒丸で示されている。一方、一端E1から他端E2への1回の相対走査の期間に亘って、第1のノズル118Aの間に位置する3つのノズル118が第2のノズル118Bとして機能する。図8では、第2のノズル118Bは白丸で示されている。カラーフィルタ材料111Rを吐出するノズル118同士、すなわち第1のノズル118A同士、のX軸方向の間隔LNXは、被吐出部18R同士のX軸方向の間隔LRXの2倍の474μm(237μm×2)である。ここで、図5で説明したように、ノズル列方向HXに沿ったノズル118の間隔は140μmであるので、ノズル列方向HXに沿った第1のノズル118A同士の間隔は、560μmである。したがって、ノズル列方向HXとX軸方向との間の角度ANが32.2°に設定されれば、第1のノズル118A同士のX軸方向の間隔LNXは474μmになる。このため、ノズル列方向HXは、X軸方向に対してAN=32.2°をなすように配置されている。
【0055】
本発明では、第1のノズル118Aを「吐出ノズル」と表記することもある。また、本発明では、第2のノズル118Bを「非吐出ノズル」と表記することもある。
【0056】
ノズル列116がY軸方向に沿って走査範囲134Aの一端E1から他端E2まで1回の相対走査を開始する前に、図8に示すノズル118のうちの最も左のノズル118(第1のノズル118A)のX軸方向の位置が、図8の被吐出部18Rの列のうちの最も左の列を構成する被吐出部18RのX軸方向の位置に一致するように、制御部112が第1位置制御手段104および第2位置制御手段108に信号を与える。この結果、左下から5番目のノズル118(第1のノズル118A)のX軸方向の位置は、左から7番目の列を構成する被吐出部18RのX軸方向の位置に一致する。
【0057】
そして、走査範囲134Aの一端E1からY軸方向の負の方向(図面下方向)に、ノズル列116の相対走査を開始する。この場合、ノズル列116が他端E2に到着するまでに、第1のノズル118Aが被吐出部18Rに対応する領域に侵入した場合には、第1のノズル118Aから対応する被吐出部18Rにカラーフィルタ材料111Rが吐出される。
【0058】
しかしながら、ノズル列116が一端E1から他端E2まで相対走査する期間内に、第2のノズル118Bが被吐出部18Rに対応する領域に進入しても、第2のノズル118Bのいずれからもなんら材料は吐出されない。
【0059】
したがって、ノズル列116がY軸方向に沿って走査範囲134Aの一端E1から他端E2まで相対走査を1回する期間内に、最も左の列に含まれる被吐出部18Rと、左から7番目の列に含まれる被吐出部18Rとに、同じ材料(つまりカラーフィルタ材料111R)が塗布される。一方、この1回の相対走査の期間内では、左から4番目の列に含まれる被吐出部18Rと、左から10番目の列に含まれる被吐出部18Rに対しては第2のノズル118Bがその領域に侵入してもなんら材料は吐出されない。
【0060】
一端E1と他端E2との間の工程(A1)は、最も左の列を構成する被吐出部18Rと、左から7番目の列を構成する被吐出部18Rと、に所望の厚さのカラーフィルタ材料111Rの層が形成されるまで繰り返される。ここで、所望の厚さのカラーフィルタ111Rの層が形成されるまで工程(A1)を連続的に行ってもよいし、後述する工程(A2)または(A3)を途中に挿入することで、他の列を構成する被吐出部18Rのための塗布走査を交えてもよい。
【0061】
Y軸方向に沿った少なくとも1回の塗布走査によって、最も左の列を構成する被吐出部18Rと、左から7番目の列を構成する被吐出部18Rと、に所望の厚さのカラーフィルタ材料111Rの層が形成された場合には、次に左から4番目の列を構成する被吐出部18Rと、左から10番目の列を構成する被吐出部18Rと、に対して、塗布走査を行う。つまり、カラーフィルタ材料111Rの層が形成された列の間に位置する列に対して塗布走査を行う。この場合、以下の(A2)および(A3)に示す2つの塗布走査の工程がある。
【0062】
(A2)塗布走査の第2の工程:
塗布走査の第2の工程は、複数のノズル118に対する第1のノズル118Aの機能の割当てと第2のノズル118Bの機能の割当てとを変えない工程である。
【0063】
図9に示すように、まず、制御部112は、被吐出部18R同士のX軸方向の間隔LRXと同じ距離だけ、ノズル列116をX軸方向の正の方向(図面の右方向)に相対的に移動させることで、ノズル列116を走査範囲134Bに位置させる。この際、図9に示すノズル118のうちの最も左のノズル118(第1のノズル118A)のX軸方向の位置が、図9の被吐出部18Rの列のうちの左から4番目の列を構成する被吐出部18RのX軸方向の位置に一致するように、制御部112が第1位置制御手段104および第2位置制御手段108に信号を与える。この結果、左から5番目のノズル118(第1のノズル118A)のX軸方向の位置は、左から10番目の列を構成する被吐出部18RのX軸方向の位置に一致する。
【0064】
次に、走査範囲134Bの他端E2からY軸方向の正の方向(図面上方向)に、ノズル列116の相対走査を開始する。この場合、ノズル列116が一端E1に到着するまでに、第1のノズル118Aが被吐出部18Rに対応する領域に侵入した場合には、第1のノズル118Aから対応する被吐出部18Rにカラーフィルタ材料111Rが吐出される。
【0065】
しかしながら、ノズル列116が他端E2から一端E1に相対走査する期間内に、第2のノズル118Bが被吐出部18Rに対応する領域に進入しても、第2のノズル118Bのいずれからもなんら材料は吐出されない。
【0066】
したがって、ノズル列116がY軸方向に沿って走査範囲134Bの他端E2から一端E1まで相対走査を1回する期間内に、左から4番目の列に含まれる被吐出部18Rと、左から10番目の列に含まれる被吐出部18Rと、に同じ材料(つまりカラーフィルタ材料111R)が塗布される。一方、この1回の塗布走査の期間内では、左から7番目の列に含まれる被吐出部18Rに対して第2のノズル118Bがその領域に侵入したとしてもなんら材料は吐出されない。
【0067】
他端E2と一端E1との間のこの工程(A2)は、左から4番目の列を構成する被吐出部18Rと、左から10番目の列を構成する被吐出部18Rと、に所望の厚さのカラーフィルタ材料111Rの層が形成されるまで続けられる。ここで、これらの列を構成する被吐出部18Rに所望の厚さのカラーフィルタ111Rの層が形成されるまで工程(A2)を連続して行ってもよいし、途中でノズル列116のX軸方向の位置を変えて、他の列を構成する被吐出部18Rのための塗布走査を交えてもよい。
【0068】
(A3)塗布走査の第3の工程:
塗布走査の第3の工程は、複数のノズル118に対する第1のノズル118Aの機能の割当てと第2のノズル118Bの機能の割当てとを変える工程である。
【0069】
図10に示すように、この場合には、複数のノズル118のうち、左から3番目のノズル118と、左から7番目のノズル118とが、複数の第1のノズル118Aとして機能する。一方、その他のノズル118は第2のノズル118Bとして機能する。第1のノズル118A同士のX軸方向の間隔LNXは、被吐出部18RのX軸方向の間隔LRXの2倍である。なお、この工程(A3)の場合のノズル列116のX軸方向の位置は、1回目の工程(A1)の場合のノズル列116のX軸方向の位置と同じである。
【0070】
ノズル列116がY軸方向に沿って走査範囲134Aの他端E2から一端E1までの相対走査を開始する前に、図10に示すノズル118のうちの左から3番目のノズル118(第1のノズル118A)のX軸方向の位置が、図10の被吐出部18Rの列のうちの左から4番目の列を構成する被吐出部18RのX軸方向の位置に一致するように、制御部112が第1位置制御手段104および第2位置制御手段108に信号を与える。この結果、左から7番目のノズル118(第1のノズル118A)のX軸方向の位置は、左から10番目の列を構成する被吐出部18RのX軸方向の位置に一致する。
【0071】
次に、走査範囲134Aの他端E2からY軸方向の正の方向(図面上方向)に、ノズル列116の相対走査を開始する。この場合、ノズル列116が一端E1に到着するまでに第1のノズル118Aが被吐出部18Rに対応する領域に侵入した場合には、第1のノズル118Aから対応する被吐出部18Rに対してカラーフィルタ材料111Rが吐出される。
【0072】
しかしながら、ノズル列116が他端E2から一端E1に相対走査する期間内に、第2のノズル118Bが被吐出部18Rに対応する領域に進入しても、第2のノズル118Bのいずれからもなんら材料は吐出されない。
【0073】
したがって、ノズル列116がY軸方向に沿って走査範囲134Aの他端E2から一端E1まで相対走査を1回する期間内に、左から4番目の列に含まれる被吐出部18Rと、左から10番目の列に含まれる被吐出部18Rと、に同じ材料(つまりカラーフィルタ材料111R)が塗布される。一方、この1回の塗布走査の期間内では、最も左側の列に含まれる被吐出部18Rと、左から7番目の列に含まれる被吐出部18Rとに対して、第2のノズル118Bがその領域に侵入したとしても、なんら材料は吐出されない。
【0074】
他端E2と一端E1との間のこの工程(A3)は、左から4番目の列を構成する被吐出部18Rと、左から10番目の列を構成する被吐出部18Rと、に所望の厚さのカラーフィルタ材料111Rの層が形成されるまで続けられる。ここで、これらの列を構成する被吐出部18Rに所望の厚さのカラーフィルタ111Rの層が形成されるまで工程(A3)を連続して行ってもよいし、上記工程(A2)を途中に挿入することで、他の列を構成する被吐出部18Rのための塗布走査を交えてもよい。
【0075】
上記工程(A1)と、工程(A1)に引き続く工程(A2)または工程(A3)とによって、図8、図9、図10に示された12個の被吐出部18Rのすべてに所望の厚さのカラーフィルタ材料111Rの層が形成される。12個の被吐出部18Rのすべてに所望の厚さのカラーフィルタ材料111Rの層が形成されると、その後、制御部112はノズル列116をX軸方向に相対移動させることで、まだ塗布されていない被吐出部18Rを含む走査範囲にノズル列116を位置させる。そして、上記の工程は、基体10Aの被吐出部18Rのすべてに所望の厚さのカラーフィルタ材料111Rの層が形成されるまで繰り返される。
【0076】
以下では、工程(A1)と工程(A3)とを繰り返すことで、基体10Aのすべての被吐出部18Rに対してカラーフィルタ材料111Rを吐出する方法を、より詳細に説明する。
【0077】
吐出装置100Rは、工程(A1)と、工程(A3)と、ノズル列116のX軸方向への相対走査と、を繰り返すことで、基体10A上が有するすべての被吐出部18Rにカラーフィルタ材料111Rを塗布する。図11(a)および(c)に示すように、工程(A1)の期間の間には、第1のノズル118Aの配置パターンは第1配置パターンとなる。具体的には、図11(a)および(c)に示すノズル118のうち、最も左のノズル118と、左から5番目のノズル118とが、第1のノズル118Aとなる。一方、図11(b)および(d)に示すように、工程(A3)の期間の間には、第1のノズル118Aの配置パターンが第2配置パターンとなる。具体的には、工程(A3)の場合には、図11(b)および(d)に示すノズル118のうち、左から3番目のノズル118と、最も右のノズル118とが、第1のノズル118Aとなる。なお、図11(a)から(d)は、同じノズル列116の同じ箇所を図示している。また、図11(a)から(d)は、第1のノズル118Aを黒丸で描いている。
【0078】
第1配置パターンにおける第1のノズル118A同士のX軸方向の間隔LNXは、被吐出部18R同士のX軸方向の間隔LRXの2倍である。同様に、第2配置パターンにおける第1のノズル118A同士のX軸方向の間隔LNXも、被吐出部18R同士のX軸方向の間隔LRXの2倍である。ただし、第1配置パターンにおける第1のノズル118Aの位置と、第2配置パターンにおける第1のノズル118Aの位置とは、ヘッド114上で互いに半ピッチずれている。
【0079】
図11に示すように、吐出装置100Rが、順番に、工程(A1)、工程(A3)、工程(A1)、工程(A3)を行う場合には、一つのノズル列116において、第1配置パターンと、第2配置パターンと、が交互に現れる。なお、図11には省略されているが、工程(A3)から工程(A1)に移行する間で、吐出装置100Rはノズル列116をX軸方向に相対走査するステップを行う。
【0080】
図12のフローチャートを参照しながら、吐出装置100Rが、工程(A1)と、工程(A3)と、ノズル列116のX軸方向への相対走査と、を繰り返す場合を説明する。なお、図12に示すステップS0からS20のうち、ステップS2からステップS8までが工程(A1)に対応し、ステップS10からステップS14までが工程(A3)に対応する。
【0081】
まず、ノズル列116における任意の2つのノズル118のX軸方向の距離と、被吐出部18R同士のX軸方向の間隔LRXと、が一致するように、ノズル列方向HXが設定される。これら任意の2つのノズル118が互いに隣接している必要はない。これによって、図8におけるすべての被吐出部18Rのそれぞれに、ノズル列116に含まれるノズル118のうち少なくともいずれかが対応する。
【0082】
吐出装置100Rは、ステップS0において処理を開始する。
【0083】
ステップS0に引き続くステップS2において、ノズル列116(ヘッド114)における第1のノズル118Aの配置パターンが、図11(a)に示す第1配置パターンとなるように、複数のノズル118のうちいくつかを第1のノズル118Aとして選択する。第1のノズル118Aとして設定されないノズル118は、第2のノズル118Bとなる。なお、本発明では、「配置パターン」を「コンフィギュレーション」と表記することもある。
【0084】
ステップS2に引き続くステップS4において、ノズル列116のX軸方向の位置を所定のX座標に固定する。具体的には、ある1つの第1のノズル118AのX軸方向の位置を、被吐出部18Rが構成する複数の列のうち、いずれかの列のX軸方向の位置に一致させる。そのことによって、他の第1のノズル118AのX軸方向の位置も、対応する他の列のX軸方向の位置に一致する。
【0085】
ステップS4に引き続くステップS6において、ノズル列116のX軸方向の位置をステップS4で固定したX座標に維持しながら、ノズル列116をY軸方向に沿って走査範囲の一端(または他端)から他端(または一端)へ1回相対走査する。本発明では、ステップS6においてノズル列116がY軸方向に相対走査する期間を第1の期間と表記することもある。ステップS6の期間内または第1の期間内に、第1のノズル118Aが被吐出部18Rに対応する領域に侵入した場合には、第1のノズル118Aからカラーフィルタ材料111Rが吐出される。ステップS6による塗布走査によって、被吐出部18Rが構成する複数の列のうち、1列おきの列が塗布される。
【0086】
ステップS6に引き続くステップS8において、ターゲットとされた被吐出部18Rに所望の体積のカラーフィルタ材料111Rが吐出されたかどうかが、判断される。所望の体積の材料が吐出されていない場合(ステップS8のNO)には、処理はステップS6に戻り、再度、Y軸方向の相対走査と、材料の吐出と、を行う。
【0087】
ステップS8において、所望の体積のカラーフィルタ材料111Rが吐出されたと判断された場合(ステップS8のYES)には、ステップS10において、ノズル列116に含まれる複数のノズル118のうちで第1のノズル118Aとして機能するノズル118を変える。つまり、ステップS10において、第1のノズル118Aの配置パターンを、第1配置パターンから第2配置パターンに切り換える。具体的には、第1配置パターンにおける第1のノズル118Aの中間に位置するノズル118が、第2配置パターンにおける第1のノズル118Aとなる。第2配置パターンにおける第1のノズル118Aは、工程(A1)の期間の間(少なくともステップS6の期間の間)、第2のノズル118Bである。一方、第1配置パターンにおける第1のノズル118Aは、工程(A3)の間、第2のノズル118Bとなる。
【0088】
ステップS10に引き続くステップS12において、ノズル列116のX軸方向の位置をステップS4で固定したX座標に維持したまま、ノズル列116をY軸方向に沿って走査範囲の一端(他端)から他端(一端)へ1回相対走査する。本発明では、ステップS12においてノズル列116がY軸方向に相対走査する期間を第2の期間と表記することもある。ステップS12の期間内または第2の期間内に、第1のノズル118Aが被吐出部18Rに対応する領域に侵入した場合には、対応する第1のノズル118Aからカラーフィルタ材料111Rが吐出される。
【0089】
ステップS12に引き続くステップS14において、ターゲットとされた被吐出部18Rに所望の体積のカラーフィルタ材料111Rが吐出されたかどうかが、判断される。所望の体積のカラーフィルタ材料111Rが吐出されていない場合(ステップS14のNO)には、処理はステップS12に戻り、再度、Y軸方向の相対走査と、材料の吐出と、を行う。
【0090】
ステップS14において、所望の体積のカラーフィルタ材料111Rが吐出されたと判断される場合(ステップS14のYES)には、ステップS16において、基体10Aにおけるすべての被吐出部18Rに材料が吐出されたかどうかが、判断される。
【0091】
ステップS16において、基体10におけるすべての被吐出部18Rに材料が吐出されと判断された場合(ステップS16のYES)には、ステップS20において処理を終了する。
【0092】
ステップS16において、基体10A上のすべての被吐出部18Rに材料が吐出されていないと判断された場合(ステップS16のNO)には、ステップS18において、ノズル列116をX軸方向に相対走査することで、材料が塗布されていない被吐出部18Rを含む走査範囲にノズル列116を位置させる。そして、材料が塗布されていない被吐出部18Rに対して、ステップS2からステップS16までのステップを行う。
【0093】
以上では、被吐出部18Rにカラーフィルタ材料111Rを塗布する工程のみを説明した。以下では、製造装置1によってカラーフィルタ基板10が得られるまでの一連の工程を説明する。
【0094】
まず、以下の手順にしたがって図1の基体10Aを作成する。まず、スパッタ法または蒸着法によって、支持基板12上に金属薄膜を形成する。その後、フォトリソグラフィー工程によってこの金属薄膜から格子状のブラックマトリクス14を形成する。ブラックマトリクス14の材料の例は、金属クロムや酸化クロムである。なお、支持基板12は、可視光に対して光透過性を有する基板、例えばガラス基板である。続いて、支持基板12およびブラックマトリクス14を覆うように、ネガ型の感光性樹脂組成物からなるレジスト層を塗布する。そして、そのレジスト層の上にマトリクスパターン形状に形成されたマスクフィルム密着させながら、このレジスト層を露光する。その後、レジスト層の未露光部分をエッチング処理で取り除くことで、バンク16が得られる。以上の工程によって、基体10Aが得られる。なお、バンク16として、樹脂ブラックからなるバンクを用いてもよい。樹脂ブラックは遮光性を有しているため、ブラックマトリクス14となる金属薄膜の形成を省略してもよい。つまり、樹脂ブラックを用いる場合には、バンク16がブラックマトリクス14の機能を併せ持つため、ブラックマトリクス14を省略できる。
【0095】
次に、大気圧下の酸素プラズマ処理によって、基体10Aを親液化する。この処理によって、支持基板12と、ブラックマトリクス14と、バンク16と、で規定されたそれぞれの凹部(画素領域の一部)における支持基板12の表面と、ブラックマトリクス14の表面と、バンク16の表面と、が親液性を呈するようになる。さらに、その後、基体10Aに対して、4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理を行う。4フッ化メタンを用いたプラズマ処理によって、それぞれの凹部におけるバンク16の表面がフッ化処理(撥液性に処理)され、このことで、バンク16の表面が撥液性を呈するようになる。なお、4フッ化メタンを用いたプラズマ処理によって、先に親液性を与えられた支持基板12の表面およびブラックマトリクス14の表面は若干親液性を失うが、それでもこれら表面は親液性を維持する。このように、支持基板12と、ブラックマトリクス14と、バンク16と、によって規定された凹部の表面に所定の表面処理が施されることで、凹部の表面が被吐出部18R,18G、18Bとなる。なお、支持基板12の材質、ブラックマトリクス14の材質、およびバンク16の材質によっては、上記のような表面処理を行わなくても、所望の親液性および撥液性を呈する表面が得られることもある。そのような場合には、上記表面処理を施さなくても、支持基板12と、ブラックマトリクス14と、バンク16と、によって規定された凹部の表面が被吐出部18R,18G、18Bである。
【0096】
被吐出部18R,18G、18Bが形成された基体10Aは、搬送装置170によって、吐出装置100Rのステージ106に運ばれる。そして、図13(a)に示すように、吐出装置100Rは、被吐出部18Rのすべてにカラーフィルタ材料111Rの層が形成されるように、ヘッド114からカラーフィルタ材料111Rを吐出する。吐出装置100Rのカラーフィルタ材料111Rの吐出方法は、図8、図9、図10、図11、および図12を参照しながら説明した方法である。基体10Aの被吐出部18Rのすべてにカラーフィルタ材料111Rの層が形成された場合には、搬送装置170が基体10Aを乾燥装置150R内に位置させる。そして、被吐出部18R上のカラーフィルタ材料111Rを完全に乾燥させることで、被吐出部18R上にフィルタ層111FRを得る。
【0097】
次に搬送装置170は、基体10Aを吐出装置100Gのステージ106に位置させる。そして、図13(b)に示すように、吐出装置100Gは、被吐出部18Gのすべてにカラーフィルタ材料111Gの層が形成されるように、ヘッド114からカラーフィルタ材料111Gを吐出する。吐出装置100Gのカラーフィルタ材料111Gの吐出方法は、図8、図9、図10、図11、および図12を参照しながら説明した方法と同じである。基体10Aの被吐出部18Gのすべてにカラーフィルタ材料111Gの層が形成された場合には、搬送装置170が基体10Aを乾燥装置150G内に位置させる。そして、被吐出部18G上のカラーフィルタ材料111Gを完全に乾燥させることで、被吐出部18G上にフィルタ層111FGを得る。
【0098】
次に搬送装置170は、基体10Aを吐出装置100Bのステージ106に位置させる。そして、図13(c)に示すように、吐出装置100Bは、被吐出部18Bのすべてにカラーフィルタ材料111Bの層が形成されるように、ヘッド114からカラーフィルタ材料111Bを吐出する。吐出装置100Bのカラーフィルタ材料111Bの吐出方法は、図8、図9、図10、図11、および図12を参照しながら説明した方法と同じである。基体10Aの被吐出部18Bのすべてにカラーフィルタ材料111Bの層が形成された場合には、搬送装置170が基体10Aを乾燥装置150B内に位置させる。そして、被吐出部18B上のカラーフィルタ材料111Bを完全に乾燥させることで、被吐出部18B上にフィルタ層111FBを得る。
【0099】
次に搬送装置170は、基体10Aを、オーブン160内に位置させる。その後、オーブン160はフィルタ層111FR、111FG、111FBを再加熱(ポストベーク)する。
【0100】
次に搬送装置170は、基体10Aを吐出装置100Cのステージ106に位置させる。そして、吐出装置100Cは、フィルタ層111FR、111FG、111FB、およびバンク16を覆って保護膜16が形成されるように、液状の保護膜材料を吐出する。フィルタ層111FR,111FG、111FB、およびバンク16を覆う保護膜16が形成された後に、搬送装置170は基体10Aをオーブン150C内に位置させる。そして、オーブン150Cが保護膜16を完全に乾燥させた後に、硬化装置165が保護膜16を加熱して完全に硬化することで、基体10Aはカラーフィルタ基板10となる。
【0101】
本実施形態によれば、吐出装置100R、100G、100Bのそれぞれにおいて、Y軸方向に沿った1回の相対走査の期間内に液状の材料を吐出するノズル118のX軸方向の間隔は、その材料が塗布されるべき被吐出部同士のX軸方向の間隔の2倍である。このため、Y軸方向に沿った1回の相対走査の期間内で塗布される被吐出部同士のX軸方向の間隔は、最終的に同じフィルタ層が形成されるべき被吐出部同士のX軸方向の間隔の2倍である。この結果、塗布走査と同時に材料の乾燥が促され、この結果、被吐出部に塗布された材料の乾燥時間が短くなる。つまり、製造時間を短縮できる。
【0102】
(実施形態2)
次に、本発明をエレクトロルミネッセンス表示装置を製造する製造装置2に適用した例を説明する。
【0103】
図14(a)および(b)に示す基体30Aは、後述する製造装置2(図15)による処理によって、エレクトロルミネッセンス表示装置30となる基板である。基体30Aは、マトリクス状に配置された複数の被吐出部38R、38G、38Bを有する。
【0104】
具体的には、基体30Aは、支持基板32と、支持基板32上に形成された回路素子層34と、回路素子層34上に形成された複数の画素電極36と、複数の画素電極36の間に形成されたバンク40と、を有している。支持基板は、可視光に対して光透過性を有する基板であり、例えばガラス基板である。複数の画素電極36のそれぞれは、可視光に対して光透過性を有する電極であり、例えば、ITO(Indium−Tin Oxide)電極である。また、複数の画素電極36は、回路素子層34上にマトリクス状に配置されており、それぞれが画素領域を規定する。そして、バンク40は、格子状の形状を有しており、複数の画素電極36のそれぞれを囲む。また、バンク40は、回路素子層34上に形成された無機物バンク40Aと、無機物バンク40A上に位置する有機物バンク40Bとからなる。
【0105】
回路素子層34は、支持基板32上で所定の方向に延びる複数の走査電極と、複数の走査電極を覆うように形成された絶縁膜42と、絶縁膜42上に位置するともに複数の走査電極が延びる方向に対して直交する方向に延びる複数の信号電極と、走査電極および信号電極の交点付近に位置する複数のスイッチング素子44と、複数のスイッチング素子44を覆うように形成された層間絶縁膜45と、を有する層である。それぞれのスイッチング素子44のゲート電極44Gおよびソース電極44Sは、それぞれ対応する走査電極および対応する信号電極と電気的に接続されている。層間絶縁膜45上には複数の画素電極36が位置する。層間絶縁膜45には、各スイッチング素子44のドレイン電極44Dに対応する部位にスルーホール44Vが設けられており、このスルーホール44Vを介して、スイッチング素子44と、対応する画素電極36と、の電気的接続が形成されている。また、バンク40に対応する位置にそれぞれのスイッチング素子44が位置している。つまり、図14(b)の紙面に垂直な方向から観察すると、複数のスイッチング素子44のそれぞれは、バンク40に覆われるように位置している。
【0106】
基体30Aの画素電極36とバンク40とで規定される凹部(画素領域の一部)は、被吐出部38R、被吐出部38G、被吐出部38Bに対応する。被吐出部38Rは、赤の波長域の光線を発光する発光層211FRが形成されるべき領域であり、被吐出部38Gは、緑の波長域の光線を発光する発光層211FGが形成されるべき領域であり、被吐出部38Bは、青の波長域の光線を発光する発光層211GBが形成されるべき領域である。
【0107】
図14(b)に示す基体30Aは、X軸方向およびY軸方向で規定される仮想平面と平行に位置している。そして、複数の被吐出部38R,38G、38Bが形成するマトリクスの行方向および列方向は、それぞれX軸方向およびY軸方向と平行である。基体30Aにおいて、被吐出部38R、被吐出部38G、および被吐出部38Bは、X軸方向にこの順番で周期的に並んでいる。一方、被吐出部38R同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでおり、また、被吐出部38G同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでおり、同様に、被吐出部38B同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでいる。
【0108】
被吐出部38R同士のX軸方向に沿った間隔LRXは、ほぼ237μmである。この間隔は、被吐出部38G同士のX軸方向に沿った間隔LGXと同じであり、被吐出部38B同士のX軸方向に沿った間隔LBXとも同じである。また、被吐出部38R、38G、38GのそれぞれのX軸方向の長さおよびY軸方向の長さは、それぞれ約50μmおよび約120μmである。
【0109】
図15に示す製造装置2は、図14の基体30Aの被吐出部38R,38G、38Bのそれぞれに対して、対応する発光材料を吐出する装置である。製造装置2は、被吐出部38Rのすべてに発光材料Rを塗布する吐出装置200Rと、被吐出部38R上の発光材料211Rを乾燥させる乾燥装置250Rと、被吐出部38Gのすべてに発光材料211Gを塗布する吐出装置200Gと、被吐出部38G上の発光材料211Gを乾燥させる乾燥装置250Gと、被吐出部38Bのすべてに発光材料211Bを塗布する吐出装置200Bと、被吐出部38B上の発光材料Bを乾燥させる乾燥装置250Bと、を備えている。さらに製造装置2は、吐出装置200R、乾燥装置250R、吐出装置200G、乾燥装置250G、吐出装置200B、乾燥装置250Bの順番に基体30Aを搬送する搬送装置270も備えている。
【0110】
図16に示す吐出装置200Rは、液状の発光材料211Rを保持するタンク201Rと、チューブ210Rを介してタンク201Rから発光材料211Rが供給される吐出走査部102と、を備える。吐出走査部102の構成は、実施形態1の吐出走査部102(図3)の構成と同じであるため、同様な構成要素には同一の参照符号を付けるとともに、重複する説明を省略する。また、吐出装置200Gの構成と吐出装置200Bの構成とは、どちらも基本的に吐出装置200Rの構造と同じある。ただし、吐出装置200Rにおけるタンク201Rの代わりに、吐出装置200Gが発光材料211G用のタンクを備える点で吐出装置200Gの構成は吐出装置200Rの構成と異なる。同様に、タンク201Rの代わりに、吐出装置200Bが発光材料201B用のタンクを備える点で吐出装置200Bの構成は吐出装置200Rの構成と異なる。
【0111】
製造装置2を用いたエレクトロルミネッセンス表示装置30の製造方法を説明する。まず、公知の製膜技術とパターニング技術とを用いて、図14に示す基体30Aを製造する。
【0112】
次に、大気圧下の酸素プラズマ処理によって、基体30Aを親液化する。この処理によって、画素電極36とバンク40とで規定されたそれぞれの凹部(画素領域の一部)における画素電極36の表面、無機物バンク40Aの表面、および有機物バンク40Bの表面が、親液性を呈するようになる。さらに、その後、基体30Aに対して、4フッ化メタンを処理ガスとするプラズマ処理を行う。4フッ化メタンを用いたプラズマ処理によって、それぞれの凹部における有機物バンク40Bの表面がフッ化処理(撥液性に処理)されて、このことで有機物バンク40Bの表面が撥液性を呈するようになる。なお、4フッ化メタンを用いたプラズマ処理によって、先に親液性を与えられた画素電極36の表面および無機物バンク40Aの表面は、若干親液性を失うが、それでも親液性を維持する。このように、画素電極36と、バンク40と、によって規定された凹部の表面に所定の表面処理が施されることで、凹部の表面が被吐出部38R、38G、38Bとなる。なお、画素電極36の材質、無機バンク40の材質、および有機バンク40の材質によっては、上記のような表面処理を行わなくても、所望の親液性および撥液性を呈する表面が得られることもある。そのような場合には、上記表面処理を施さなくても、画素電極36と、バンク40と、によって規定された凹部の表面は被吐出部38R、38G、38Bである。
【0113】
ここで、表面処理が施された複数の画素電極36のそれぞれの上に、対応する正孔輸送層37R、37G、37Bを形成してもよい。正孔輸送層37R、37G、37Bが、画素電極上36と、後述の発光層211RF、211GF、211BFと、の間に位置すれば、エレクトロルミネッセンス表示装置の発光効率が高くなる。複数の画素電極36のそれぞれの上に正孔輸送層を設ける場合には、正孔輸送層と、バンク40と、によって規定された凹部が、被吐出部38R、38G、38Bに対応する。なお、正孔輸送層37R、37G、37Bをインクジェット法により形成することも可能である。この場合、各画素領域ごとに正孔輸送層を形成するための材料を含む溶液を所定量塗布し、その後、乾燥させることにより正孔輸送層37R、37G、38Bを形成することができる。
【0114】
被吐出部38R,38G、38Bが形成された基体30Aは、搬送装置270によって、吐出装置200Rのステージ106に運ばれる。そして、図17(a)に示すように、吐出装置200Rは、被吐出部38Rのすべてに発光材料211Rの層が形成されるように、ヘッド114から発光材料211Rを吐出する。吐出装置200Rの発光材料211Rの吐出方法は、図8、図9、図10、図11、および図12(実施形態1)を参照しながら説明した方法と同じである。基体30Aの被吐出部38Rのすべてに発光材料211Rの層が形成された場合には、搬送装置270が基体30Aを乾燥装置250R内に位置させる。そして、被吐出部R上の発光材料211Rを完全に乾燥させることで、被吐出部38R上に発光層211FRを得る。
【0115】
次に搬送装置270は、基体30Aを吐出装置200Gのステージ106に位置させる。そして、図17(b)に示すように、吐出装置200Gは、被吐出部38Gのすべてに発光材料211Gの層が形成されるように、ヘッド114から発光材料Gを吐出する。吐出装置200Gの発光材料211Gの吐出方法は、図8、図9、図10、図11、および図12(実施形態1)を参照しながら説明した方法と同じである。基体30Aの被吐出部38Gのすべてに発光材料211Gの層が形成された場合には、搬送装置270が基体30Aを乾燥装置250G内に位置させる。そして、被吐出部38G上の発光材料Gを完全に乾燥させることで、被吐出部38G上に発光層211FGを得る。
【0116】
次に搬送装置270は、基体30Aを吐出装置200Bのステージ106に位置させる。そして、図17(c)に示すように、吐出装置200Bは、被吐出部38Bのすべてに発光材料211Bの層が形成されるように、ヘッド114から発光材料Bを吐出する。吐出装置200Bの発光材料211Bの吐出方法は、図8、図9、図10、図11、および図12(実施形態1)を参照しながら説明した方法と同じである。基体30Aの被吐出部38Bのすべてに発光材料Bの層が形成された場合には、搬送装置270が基体30Aを乾燥装置250B内に位置させる。そして、被吐出部38B上の発光材料211Bを完全に乾燥させることで、被吐出部38B上に発光層211FBを得る。
【0117】
図17(d)に示すように、次に、発光層211FR,211FG、211FB、およびバンク40を覆うように対向電極46を設ける。対向電極46は陰極として機能する。その後、封止基板48と基体30Aとを、互いの周辺部で接着することで、図17(d)に示すエレクトロルミネッセンス表示装置30が得られる。なお、封止基板48と基体30Aとの間には不活性ガス49が封入されている。
【0118】
エレクトロルミネッセンス表示装置50において、発光層211FR、211FG、211FBから発光した光は、画素電極36と、回路素子層34と、支持基板32と、を介して射出する。このように回路素子層34を介して光を射出するエレクトロルミネッセンス表示装置は、ボトムエミッション型の表示装置と呼ばれる。
【0119】
本実施形態によれば、吐出装置200R、200G、200Bのそれぞれにおいて、Y軸方向に沿った1回の相対走査の期間内に液状の材料を吐出するノズル118のX軸方向の間隔は、その材料が塗布されるべき被吐出部同士のX軸方向の間隔の2倍である。このため、Y軸方向に沿った1回の相対走査の期間内で塗布される被吐出部同士のX軸方向の間隔は、最終的に同じ発光層が形成されるべき被吐出部同士のX軸方向の間隔の2倍である。この結果、塗布走査と同時に材料の乾燥が促され、この結果、被吐出部に塗布された材料の乾燥時間が短くなる。つまり、製造時間を短縮できる。
【0120】
(実施形態3)
本発明をプラズマ表示装置の背面基板を製造する製造装置3に適用した例を説明する。
【0121】
図18(a)および(b)に示す基体50Aは、後述する製造装置3(図19)による処理によって、プラズマ表示装置の背面基板50Bとなる基板である。基体50Aは、マトリクス状に配置された複数の被吐出部58R、58G、58Bを有する。
【0122】
具体的には、基体50Aは、支持基板52と、支持基板52上にストライプ状に形成された複数のアドレス電極54と、アドレス電極54を覆うように形成された誘電体ガラス層56と、格子状の形状を有するとともに複数の画素領域を規定する隔壁60と、を含む。複数の画素領域はマトリクス状に位置しており、複数の画素領域が形成するマトリクスの列のそれぞれは、複数のアドレス電極54のそれぞれに対応する。このような基体50Aは、公知のスクリーン印刷技術で形成される。
【0123】
基体50Aのそれぞれの画素領域において、誘電体ガラス層56およびバンクによって規定される凹部が、被吐出部58R、被吐出部58G、被吐出部58Bに対応する。被吐出部58Rは、赤の波長域の光線を蛍光する蛍光層311FRが形成されるべき領域であり、被吐出部58Gは、緑の波長域の光線を蛍光する蛍光層311FGが形成されるべき領域であり、被吐出部58Bは、青の波長域の光線を蛍光する蛍光層311FBが形成されるべき領域である。
【0124】
図18(b)に示す基体50Aは、X軸方向およびY軸方向で規定される仮想平面と平行に位置している。そして、複数の被吐出部58R,58G、58Bが形成するマトリクスの行方向および列方向は、それぞれX軸方向およびY軸方向と平行である。基体50Aにおいて、被吐出部58R、被吐出部58G、および被吐出部58Bは、X軸方向にこの順番で周期的に並んでいる。一方、被吐出部58R同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでおり、また、被吐出部58G同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでおり、同様に、被吐出部58B同士はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでいる。
【0125】
被吐出部58R同士のX軸方向に沿った間隔LRXは、ほぼ560μmである。この間隔は、被吐出部58G同士のX軸方向に沿った間隔LGXと同じであり、被吐出部58B同士のX軸方向に沿った間隔LBXとも同じである。この間隔は、40インチ程度の大きさのハイビジョンテレビにおいて、同一色に対応する画素領域同士の間隔に対応する。
【0126】
図19に示す製造装置3は、図18の基体50Aの被吐出部58R,58G、58Bのそれぞれに対して、対応する蛍光材料を吐出する装置である。製造装置3は、被吐出部58Rのすべてに蛍光材料311Rを塗布する吐出装置300Rと、被吐出部58R上の蛍光材料311Rを乾燥させる乾燥装置350Rと、被吐出部58Gのすべてに蛍光材料Gを塗布する吐出装置300Gと、被吐出部58G上の蛍光材料Gを乾燥させる乾燥装置350Gと、被吐出部58Bのすべてに蛍光材料Bを塗布する吐出装置300Bと、被吐出部58B上の蛍光材料Bを乾燥させる乾燥装置350Bと、を備えている。さらに製造装置3は、吐出装置300R、乾燥装置350R、吐出装置300G、乾燥装置350G、吐出装置300B、乾燥装置350Bの順番に基体50Aを搬送する搬送装置370も備えている。
【0127】
図20に示す吐出装置300Rは、液状の蛍光材料311Rを保持するタンク301Rと、チューブ310Rを介してタンク301Rから蛍光材料が供給される吐出走査部302と、を備える。
【0128】
図25に示すように、本実施形態の吐出走査部302においては、ノズル列方向HXと、X軸方向と、がなす角ANは、0°である。また、本実施形態では、第1のノズル118A同士の間隔LNXは1120μm(1.112mm)に設定されている。この間隔LNXは、被吐出部58R同士のX軸方向に沿った間隔LRXのほぼ2倍である。一方、2つの第1のノズル118Aの間には、7つの第2のノズル118Bが位置している。ノズル列方向HXとX軸方向との間の角度ANが0°である点と、第1のノズル118A同士のX軸方向の間隔LNXが1120μmに設定されている点と、を除いて、本実施形態の吐出走査部302は、実施形態1の吐出走査部102(図3)と基本的に同じである。
【0129】
吐出装置300Gの構成と吐出装置300Bの構成とは、どちらも基本的に吐出装置300Rの構造と同じある。ただし、吐出装置300Rにおけるタンク301Rに代わりに、吐出装置300Gが蛍光材料311G用のタンクを備える点で吐出装置300Gの構成は吐出装置300Rの構成と異なる。同様に、タンク301Rに代えて、吐出装置300Bが蛍光材料311B用のタンクを備える点で吐出装置300Bの構成は吐出装置300Rの構成と異なる。
【0130】
製造装置3を用いたプラズマ表示装置の製造方法を説明する。まず、公知のスクリーン印刷技術によって、支持基板52上に、複数のアドレス電極54と、誘電体ガラス層56と、隔壁60と、を形成して、図18に示す基体50Aを得る。
【0131】
次に、大気圧下の酸素プラズマ処理によって、基体50Aを親液化する。この処理によって、隔壁60および誘電体ガラス層56によって規定されたそれぞれの凹部(画素領域の一部)の隔壁60の表面、誘電体ガラス層56の表面が、親液性を呈し、これらの表面が被吐出部58R,58G、58Bとなる。なお、材質によっては、上記のような表面処理を行わなくても、所望の親液性を呈する表面が得られることもある。そのような場合には、上記表面処理を施さなくても、隔壁60と、誘電体ガラス層56と、によって規定された凹部の表面は、被吐出部58R,58G、58Bである。
【0132】
被吐出部58R,58G、58Bが形成された基体50Aは、搬送装置370によって、吐出装置300Rのステージ106に運ばれる。そして、図21(a)に示すように、吐出装置300Rは、被吐出部58Rのすべてに蛍光材料の層が形成されるように、ヘッド114から蛍光材料Rを吐出する。吐出装置300Rの蛍光材料311Rの吐出方法は、図8、図9、図10、図11、および図12(実施形態1)を参照しながら説明した方法と同じである。基体50Aの被吐出部58Rのすべてに蛍光材料311Rの層が形成された場合には、搬送装置370が基体50Aを乾燥装置350R内に位置させる。そして、被吐出部58R上の蛍光材料311Rを完全に乾燥させることで、被吐出部58R上に蛍光層311FRを得る。
【0133】
次に搬送装置370は、基体50Aを吐出装置300Gのステージ106に位置させる。そして、図21(b)に示すように、吐出装置300Gは、被吐出部58Gのすべてに蛍光材料311Gの層が形成されるように、ヘッド114から蛍光材料311Gを吐出する。吐出装置300Gの蛍光材料311Gの吐出方法は、図8、図9、図10、図11、および図12(実施形態1)を参照しながら説明した方法と同じである。基体50Aの被吐出部58Gのすべてに蛍光材料311Gの層が形成された場合には、搬送装置370が基体50Aを乾燥装置350G内に位置させる。そして、被吐出部58G上の蛍光材料311Gを完全に乾燥させることで、被吐出部58G上に蛍光層311FGを得る。
【0134】
次に搬送装置370は、基体50Aを吐出装置300Bのステージ106に位置させる。そして、図21(c)に示すように、吐出装置300Bは、被吐出部58Bのすべてに蛍光材料311Bの層が形成されるように、ヘッド114から蛍光材料Bを吐出する。吐出装置300Bの蛍光材料311Bの吐出方法は、図8、図9、図10、図11、および図12(実施形態1)を参照しながら説明した方法と同じである。基体50Aの被吐出部58Bのすべてに蛍光材料Bの層が形成された場合には、搬送装置370が基体50Aを乾燥装置350B内に位置させる。そして、被吐出部58B上の蛍光材料311Bを完全に乾燥させることで、被吐出部58B上に蛍光層311FBを得る。
【0135】
以上の工程によって、基体50Aはプラズマ表示装置の背面基板50Bとなる。
【0136】
次に図22に示すように、背面基板50Bと、前面基板50Cと、を公知の方法によって貼り合わせてプラズマ表示装置50が得られる。前面基板50Cは、ガラス基板68と、ガラス基板68上で互いに平行にパターニングされた表示電極66Aおよび表示スキャン電極66Bと、表示電極66Aおよび表示スキャン電極66Bとを覆うように形成された誘電体ガラス層64と、誘電体ガラス層64上に形成されたMgO保護層62と、を有する。背面基板50Bと前面基板50Cとは、背面基板50Bのアドレス電極54と、前面基板50Cの表示電極66A・表示スキャン電極66Bとが、互いに直交するように位置合わせされている。各隔壁60で囲まれるセル(画素領域)には、所定の圧力で放電ガス69が封入されている。
【0137】
本実施形態によれば、吐出装置300R、300G、300Bのそれぞれにおいて、Y軸方向に沿った1回の相対走査の期間内に液状の材料を吐出するノズル118のX軸方向の間隔は、その材料が塗布されるべき被吐出部同士のX軸方向の間隔の2倍である。このため、Y軸方向に沿った1回の相対走査の期間内で塗布される被吐出部同士のX軸方向の間隔は、最終的に同じ蛍光層が形成されるべき被吐出部同士のX軸方向の間隔の2倍である。この結果、塗布走査と同時に材料の乾燥が促され、この結果、被吐出部に塗布された材料の乾燥時間が短くなる。つまり、製造時間を短縮できる。
【0138】
(実施形態4)
次に本発明を、電子放出素子を備えた画像表示装置の製造装置4に適用した例を説明する。
【0139】
図27(a)および(b)に示す基体70Aは、後述する製造装置4(図28)による処理によって、画像表示装置の電子源基板70Bとなる基板である。基体70Aは、マトリクス状に配置された複数の被吐出部78を有する。
【0140】
具体的には、基体70Aは、基板72と、基板72上に位置するナトリウム拡散防止層74と、ナトリウム拡散防止層74上に位置する複数の素子電極76A、76Bと、複数の素子電極76A上に位置する複数の金属配線79Aと、複数の素子電極76B上に位置する複数の金属配線79Bと、を備えている。複数の金属配線79AのそれぞれはY軸方向に延びる形状を有する。複数の金属配線79AのそれぞれはX軸方向に延びる形状を有する。金属配線79Aと金属配線79Bとの間には絶縁膜75が形成されているので、金属配線79Aと金属配線79Bとは電気的に絶縁されている。
【0141】
1対の素子電極76Aおよび素子電極76Bを含む部分は1つの画素領域に対応する。1対の素子電極76Aおよび素子電極76Bは、互いに所定の間隔だけ離れてナトリウム拡散防止層74上で対向している。ある画素領域に対応する素子電極76Aは、対応する金属配線79Aと電気的に接続されている。また、その画素領域に対応する素子電極76Bは、対応する金属配線79Bと電気的に接続されている。なお、本明細書では、基板72とナトリウム拡散防止層74とを合わせた部分を支持基板と表記することもある。
【0142】
基体70Aのそれぞれの画素領域において、素子電極76Aの一部と、素子電極76Bの一部と、素子電極76Aと素子電極76Bとの間で露出したナトリウム拡散防止層74とが、被吐出部78に対応する。より具体的には、被吐出部78は、導電性薄膜411F(図31)が形成されるべき領域であり、導電性薄膜411Fは、素子電極76Aの一部と、素子電極76Bの一部と、素子電極76A,76Bの間のギャップと、を覆うように形成される。図27(b)において点線で示すように、本実施形態における被吐出部78の形状は円形である。このように、本発明の被吐出部の形状は実施形態1〜3で説明したような矩形に限定されず、本実施形態において説明するような円形でも構わない。
【0143】
図27(b)に示す基体70Aは、X軸方向およびY軸方向で規定される仮想平面と平行に位置している。そして、複数の被吐出部78が形成するマトリクスの行方向および列方向は、それぞれX軸方向およびY軸方向と平行である。基体70Aにおいて、被吐出部78は、X軸方向にこの順番で周期的に並んでいる。さらに、被吐出部78はY軸方向に所定の間隔をおいて1列に並んでいる。
【0144】
被吐出部78同士のX軸方向に沿った間隔LRXは、ほぼ190μmである。被吐出部78同士の上記間隔および被吐出部の上記大きさは、40インチ程度の大きさのハイビジョンテレビにおいて、画素領域同士の間隔に対応する。
【0145】
図28に示す製造装置4は、図27の基体70Aの被吐出部78のそれぞれに対して、導電性薄膜材料411を吐出する装置である。製造装置4は、被吐出部78のすべてに導電性薄膜材料411を塗布する吐出装置400と、被吐出部78上の導電性薄膜材料411を乾燥させる乾燥装置450と、を備えている。さらに製造装置4は、吐出装置400、乾燥装置450の順番に基体70Aを搬送する搬送装置470も備えている。
【0146】
図29に示す吐出装置400は、液状の導電性薄膜材料411を保持するタンク401と、チューブ410と、チューブ410を介してタンク401から導電性薄膜材料411が供給される吐出走査部302と、を備える。吐出走査部302の説明は、実施形態3で説明したため省略する。なお、本実施形態では、液状の導電性薄膜材料411は有機パラジウム溶液である。
【0147】
製造装置4を用いた画像表示装置の製造方法を説明する。まず、ソーダガラスなどから形成された基板72上に、ニ酸化ケイ素(SiO2)を主成分とするナトリウム拡散防止層74を形成する。具体的には、スパッタ法を用いて基板72上に厚さ1μmのSiO2膜を形成することによってナトリウム拡散防止層74を得る。次に、ナトリウム拡散防止層74上に、スパッタ法または真空蒸着法によって厚さ5nmのチタニウム層を形成する。そして、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて、そのチタニウム層から、互いに所定の距離だけ離れて位置する1対の素子電極76Aおよび素子電極76Bを複数対形成する。その後、スクリーン印刷技術を用いて、ナトリウム拡散防止層74上および複数の素子電極76A上に銀(Ag)ペーストを塗布して焼成することで、Y軸方向に延びる複数の金属配線79Aを形成する。次に、スクリーン印刷技術を用いて、各金属配線79Aの一部分にガラスペーストを塗布して焼成することで、絶縁膜75を形成する。そして、スクリーン印刷技術を用いて、ナトリウム拡散防止層74および複数の素子電極76B上にAgペーストを塗布して焼成することで、X軸方向に延びる複数の金属配線79Bを形成する。なお、金属配線79Bを作製する場合には、金属配線79Bが絶縁膜75を介して金属配線79Aと交差するようにAgペーストを塗布する。以上のような工程によって、図27に示す基体70Aを得る。
【0148】
次に、大気圧下の酸素プラズマ処理によって、基体70Aを親液化する。この処理によって、素子電極76Aの表面の一部と、素子電極76Bの表面の一部と、素子電極76Aと素子電極76Bとの間で露出した支持基板の表面とは、親液化される。そして、これらの表面が被吐出部78となる。なお、材質によっては、上記のような表面処理を行わなくても、所望の親液性を呈する表面が得られることもある。そのような場合には、上記表面処理を施さなくても、素子電極76Aの表面の一部と、素子電極76Bの表面の一部と、素子電極76Aと素子電極76Bとの間で露出したナトリウム拡散防止層74の表面とは、被吐出部78となる。
【0149】
被吐出部78が形成された基体70Aは、搬送装置470によって、吐出装置400のステージ106に運ばれる。そして、図30に示すように、吐出装置400は、被吐出部78のすべてに導電性薄膜411Fが形成されるように、ヘッド114から導電性薄膜材料411を吐出する。吐出装置400の導電性薄膜材料411の吐出方法は、図8、図9、図10、図11、および図12(実施形態1)を参照しながら説明した方法と同じである。本実施形態では、被吐出部78上に着弾した導電性薄膜材料411の液滴の直径が60μmから80μmの範囲となるように、制御部112はヘッド114に信号を与える。基体70Aの被吐出部78のすべてに導電性薄膜材料411の層が形成された場合には、搬送装置470が基体70Aを乾燥装置450内に位置させる。そして、被吐出部78上の導電性薄膜材料411を完全に乾燥させることで、被吐出部78上に酸化パラジウムを主成分とする導電性薄膜411Fを得る。このように、それぞれの画素領域において、素子電極76Aの一部と、素子電極76Bの一部と、素子電極76Aと素子電極76Bとの間に露出したナトリウム拡散防止層74と、を覆う導電性薄膜411Fが形成される。
【0150】
次に素子電極76Aおよび素子電極76Bとの間に、パルス状の所定の電圧を印加することで、導電性薄膜411Fの一部分に電子放出部411Dを形成する。なお、素子電極76Aおよび素子電極76Bとの間の電圧の印加を、有機物雰囲気下および真空条件下でもそれぞれ行うことが好ましい。そうすれば、電子放出部411Dからの電子放出効率がより高くなるからである。素子電極76Aと、対応する素子電極76Bと、電子放出部411Dが設けられた導電性薄膜411Fと、は電子放出素子である。また、それぞれの電子放出素子は、それぞれの画素領域に対応する。
【0151】
以上の工程によって、図31に示すように、基体70Aは電子源基板70Bとなる。
【0152】
次に図32に示すように、電子源基板70Bと、前面基板70Cと、を公知の方法によって貼り合わせることで、電子放出素子を備えた画像表装置70が得られる。前面基板70Cは、ガラス基板82と、ガラス基板82上にマトリクス状に位置する複数の蛍光部84と、複数の蛍光部84を覆うメタルプレート86と、を有する。メタルプレート86は、電子放出部411Dからの電子ビームを加速するための電極として機能する。電子源基板70Bと前面基板70Cとは、複数の電子放出素子のそれぞれが、複数の蛍光部84のそれぞれに対向するように、位置合わせされている。また、電子源基板70Bと、前面基板70Cとの間は、真空状態に保たれている。
【0153】
本実施形態によれば、吐出装置400において、Y軸方向に沿った1回の相対走査の期間内に液状の材料を吐出するノズル118のX軸方向の間隔は、その材料が塗布されるべき被吐出部同士のX軸方向の間隔の2倍である。このため、Y軸方向に沿った1回の相対走査の期間内で塗布される被吐出部同士のX軸方向の間隔は、最終的に同じ導電性薄膜が形成されるべき被吐出部同士のX軸方向の間隔の2倍である。この結果、塗布走査と同時に材料の乾燥が促され、この結果、被吐出部に塗布された材料の乾燥時間が短くなる。つまり、製造時間を短縮できる。
【0154】
上記実施形態1〜4で説明した製造装置は、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置、電子放出素子を備えた画像表示装置の製造に適用できる。本発明では、液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置、電子放出素子を利用した表示装置などを「電気光学装置」と表記することもある。なお、本明細書でいう「電気光学装置」とは、複屈折性の変化、旋光性の変化、光散乱性の変化、などの光学的特性の変化(いわゆる電気光学効果)を利用する装置に限定されず、信号電圧の印加に応じて光を射出、透過、または反射する装置全般を意味する。
【0155】
上記実施形態1〜4で説明した製造装置によって製造された電気光学装置は、電子機器において利用可能である。さらに、上記実施形態1〜4で説明した製造装置は、電気光学装置を含んだ電子機器の製造装置にも適用できる。
【0156】
(実施形態1〜4の変形例)
(1)実施形態1〜4において、R、G、Bに対応する被吐出部はマトリクス状に配置されている。しかしながら、図23に示すように、R,G、Bに対応する被吐出部がデルタ状(千鳥状)に配置されていても、本発明を適用できる。なお、デルタ配置とは、奇数ラインの被吐出部の並びと、偶数ラインの被吐出部の並びとが、互いに半ピッチずれた配置をいう。ここでいうピッチとは、互いに隣接する2つの被吐出部間の間隔である。例えば、ピッチとは、隣接する被吐出部の中心位置間の距離に等しい。
【0157】
具体的には、図23(a)の第1ラインに属する被吐出部R1、G1、G1と、第3ラインに属する被吐出部R3、G3、B3は、図23(b)に示すように、1つのマトリクスを構成する。同様に、第2ラインに属する被吐出部R2、G2、B2と、第4ラインに属する被吐出部R4、G4、B4は、1つの他のマトリクスを構成する。したがって、実施形態1〜3の塗布走査の方法を、奇数ラインに属する被吐出部と、偶数ラインに属する被吐出部とに分けて行えばよい。
【0158】
(2)実施形態1〜4において、マトリクス状に配置された被吐出部に対して材料を吐出する製造装置を説明した。しかしながら、図24に示すように、ストライプ状に配置された被吐出部に対して液状の材料を吐出する製造装置にも本発明を適用できる。より具体的には、図24は、配線製造装置がプラズマ表示装置50の支持基板52にアドレス電極54を形成する例を示している。
【0159】
支持基板52上の複数の被吐出部80は、互いに平行であり、それぞれがY軸方向に延びたストライプ状の形状を有している。また、複数の被吐出部80は、X軸方向に沿って所定の間隔XPで配置されている。複数の被吐出部80は、互いに同じな複数のアドレス電極54が形成されるべき領域である。複数のアドレス電極54は、配線製造装置における第1のノズル118Aから液状の配線材料が塗布されることで形成される。このような配線製造装置においても、第1のノズル118A同士のX軸方向に沿った間隔を、被吐出部80のX軸方向の間隔XPの2倍である2XPにすればよい。そうすれば、Y軸方向に沿った塗布走査と同時に配線材料の乾燥を促すことができるため、実施形態1〜4の効果と同じ効果が得られる。
【0160】
(3)実施形態1および2では、ノズル列方向HXとX軸方向とがなす角度ANを32.2°にすることで、第1のノズル同士の間隔を、同一の材料を塗布すべき被吐出部のX軸方向の間隔の2倍に設定した。また、実施形態3および4では、ノズル列方向HXとX軸方向とがなす角度ANを0°にすることで、第1のノズル同士の間隔を、同一の材料を塗布すべき被吐出部のX軸方向の間隔の2倍に設定した。しかしながら、第1のノズル同士の間隔が同一の材料を塗布すべき被吐出部のX軸方向の間隔の2倍に設定されるのであれば、ノズル列HXの方向とX軸方向との間の角度ANは、上記の値に限られない。第1のノズル同士の間隔が同一の材料を塗布すべき被吐出部のX軸方向の間隔の2倍に設定されれば、Y軸方向に沿った塗布走査と同時に材料の乾燥を促すことができるため、実施形態1〜3の効果と同じ効果が得られる。
【0161】
(4)実施形態1〜4において説明したように、ノズル列がY軸方向に沿って走査範囲の一端から他端まで相対走査を1回する期間内に、第1のノズルからは材料が吐出され、第2のノズルからはなんら材料は吐出されない。この場合には、一端から他端までの1回の相対走査の期間に亘って、第2のノズルに対応するキャビティ内に充填されている材料に振動を与えることが好ましい。キャビティ内に充填されている材料に振動を与える構成の具体例は以下の通りである。
【0162】
まず、ピエゾ素子に印加する電圧(すなわち印加電圧)の最大値と最小値との差が所定値SABを超える場合に、対応したノズルから液状の材料が吐出されるとする。例えば、図26(a)に示すように、第1のノズルが被吐出部に対応した領域に侵入する場合には、互いに極性が逆のTAおよびTBの間で印加電圧を変化させる。具体的には、1つの液滴を吐出する場合に、印加電圧を、期間P11の間に0からTAに変化させ、期間P11に引き続く期間P12の間でTAからTBに変化させ、期間P12に引き続く期間P13の間に0に戻し、期間P13に続く期間P14の間0に維持する。TAおよびTBは、それぞれ印加電圧の最大値および最小値である。そして、TAとTBとの差TABは所定値SABよりも大きい。時間軸に沿ってこのような波形パターンを有する印加電圧を第1のノズルに対応するピエゾ素子に与えることで、液状の材料が吐出される。図26(a)に示す例では、期間11、P12、P13、P14からなる波形パターンが1つの液滴の吐出に対応する。また、図26(a)では、この波形パターンが3つ隣接している。なお、本発明では、所定値SABを非吐出電圧差と表記することもある。
【0163】
一方、第2のノズルに対応するピエゾ素子に印加する電圧(すなわち印加電圧)の最大値と最小値との差は、図26(b)に示すように、所定値SAB以下である。図26(b)に示す例では、互いに極性が逆であるRAとRBとの間で印加電圧を変化させる。より具体的には、印加電圧を、期間P21の間に0からRAに変化させ、期間P21に引き続く期間P22の間でRAからRBに変化させ、期間P22に引き続く期間P23の間に0に戻す。そして、期間P21、P22、P23を含む波形パターン(印加電圧)を所定の周期でピエゾ素子に与える。RAおよびRBは、それぞれ印加電圧の最大値および最小値である。そして、RAとRBとの差は所定値SAB以下である。
【0164】
最大値と最小値との差が所定値SAB以下となるように変化する印加電圧によってピエゾ素子は振動するが、しかしながら、その振動によって材料は吐出されない。本発明では、ノズルから材料を吐出させない程度の振動を「非吐出振動」と表記することもある。第2のノズルに対応するピエゾ素子が非吐出振動をすることで、第2のノズルに対応するキャビティ内に充填された液状の材料が、その振動を受けてキャビティ内で対流する。液状の材料が対流すると、大気に触れている面の材料が常に流動するので、液状の材料から溶媒が気化することを防止できる。そして、溶媒の気化を防げるため、液状の材料の粘性が増加することを防止でき、このためノズルからの吐出不良を防止できる。なお、印加電圧の最大値および最小値の差を所定値以下にする以外にも、波形パターンの周波数を変えることでも非吐出振動を実現できるし、最大値・最小値の差および周波数の双方を調整することでも非吐出振動を実現できる。
【0165】
ノズル列がY軸方向に沿って走査範囲の一端から他端まで相対走査を1回する期間内に、第1のノズルが材料を複数回吐出する場合には、吐出のタイミング間に第1のノズルに対応するピエゾ素子に非吐出振動をさせてもよい。そうすれば、第1のノズルからの材料の吐出がより安定するので、この点で好ましい。
【0166】
(5)実施形態1〜4の吐出装置において、ノズル列がY軸方向に沿って走査範囲の一端から他端まで相対走査する前に毎回、ノズル列を走査範囲の外側の所定位置に移動させて、ノズルから材料を吐出してもよい。そうすれば、たとえノズルからの材料の吐出量が規定の吐出量よりも少なくなった場合でも、その位置で吐出動作を続ければ規定の吐出量が回復する可能性が高いからである。本発明では、このような走査範囲外での吐出動作を「予備吐出」と表記することもある。予備吐出を行うことで、ノズル列がY軸方向に沿って走査範囲の一端から他端まで新たに相対走査する前に、ノズルから材料が安定して吐出されるようになる。予備吐出は、予備吐出の工程に引き続いて行われる塗布走査の工程において第1のノズルとなるノズルに対してのみ行ってもよいし、ノズル列のすべてのノズルに対して行ってもよい。また、予備吐出は、ノズル列がY軸方向に沿って走査範囲の一端から他端まで相対走査を1回する毎に行ってもよいし、ノズル列がY軸方向に沿って走査範囲の一端から他端まで相対走査を複数回する毎に行ってもよい。
【0167】
(6)実施の形態1〜4では、X軸方向に沿った第1のノズル同士の間隔は、同一の材料を塗布すべき被吐出部同士のX軸方向の間隔の2倍である。ただし、第1のノズル同士のX軸方向の間隔は上記間隔の2倍以上の整数倍であってもよい。より具体的には、ノズル列がY軸方向に沿って走査範囲の一端から他端まで相対走査を1回する期間内に、同じ材料が塗布されるべき2つの隣接する被吐出部の列のどちらかに対して吐出動作が行われないのであれば、実施形態1〜3の効果と同様の効果が得られる。
【0168】
(7)実施の形態1および2では、2つの第1のノズルの間に3つの第2のノズルが位置していた。しかしながら、第1のノズル同士のX軸方向の間隔が、同一の材料の層が形成されるべき複数の被吐出部同士のX軸方向の間隔の2倍以上の整数倍であれば、第2のノズルの数は3つに限定されない。具体的には、ノズル列の中に第2のノズルが存在しなくてもよい。しかしながら、ノズル列において少なくとも1つの第2のノズルを設定するようにすれば、同一の材料の層が形成されるべき複数の被吐出部同士のX軸方向の間隔よりもノズル同士の間隔が小さい吐出装置を用いて塗布走査ができるため、この点で好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は実施形態1の基体の断面図を示す模式図であり、(b)は実施形態1の基体の平面図を示す模式図。
【図2】実施形態1の製造装置を示す模式図。
【図3】実施形態1の吐出装置を示す模式図。
【図4】実施形態1のキャリッジを示す模式図。
【図5】実施形態1のヘッドを示す模式図。
【図6】実施形態1のヘッドを示す模式図。
【図7】吐出装置における制御部の機能ブロック図。
【図8】実施形態1の吐出方法を示す模式図。
【図9】実施形態1の吐出方法を示す模式図。
【図10】実施形態1の吐出方法を示す模式図。
【図11】(a)〜(d)はノズル列における第1の吐出ノズルの配置パターンを示す模式図。
【図12】吐出装置の吐出方法を示すフローチャート。
【図13】(a)〜(d)は実施形態1の製造方法を示す模式図。
【図14】(a)は実施形態2の基体の断面図を示す模式図であり、(b)は実施形態2の基体の平面図を示す模式図。
【図15】(a)〜(d)は実施形態2の製造装置を示す模式図。
【図16】実施形態2の吐出装置を示す模式図。
【図17】実施形態2の製造方法を示す模式図。
【図18】(a)は実施形態3の基体の断面図を示す模式図であり、(b)は実施形態3の基体の平面図を示す模式図。
【図19】実施形態3の製造装置を示す模式図。
【図20】実施形態3の吐出装置を示す模式図。
【図21】(a)〜(c)は実施形態3の製造方法を示す模式図。
【図22】実施形態3のプラズマ表示装置を示す模式図。
【図23】被吐出部の配置の変形例を示す模式図。
【図24】被吐出部の配置の変形例を示す模式図。
【図25】被吐出部とヘッドとの位置関係を示す模式図。
【図26】第2のノズルに対応するピエゾ素子に与える駆動波形を示す模式図。
【図27】(a)は実施形態4の基体の断面図を示す模式図であり、(b)は実施形態4の基体の平面図を示す模式図。
【図28】実施形態4の製造装置を示す模式図。
【図29】実施形態4の吐出装置を示す模式図。
【図30】実施形態4の製造方法を示す模式図。
【図31】実施形態4の電子源基板を示す模式図。
【図32】実施形態4の製造装置によって製造される表示装置を示す模式図。
【符号の説明】
1、2、3、4…製造装置
10A…基体
10…カラーフィルタ基板
18R、18G、18B…被吐出部
30A…基体
30…エレクトロルミネッセンス表示装置
38R、38G,38B…被吐出部
50A…基体
50…プラズマ表示装置
58R、58G、58B…被吐出部
70A…基体
70…電子放出素子を備えた画像表示装置
78…被吐出部
100R、100G、100B、200R、200G、200B、300R、300G、300B、400…吐出装置
103…キャリッジ
114…ヘッド
116…ノズル列
118…ノズル
118A…第1のノズル
118B…第2のノズル
200…入力バッファメモリ
202…記憶手段
204…処理部
206…走査ドライバ
208…ヘッドドライバ
104…第1位置制御手段
108…第2位置制御手段
106…ステージ
Claims (27)
- 互いに同じ層が形成されるべき複数の被吐出部であって、互いに直交するX軸方向およびY軸方向に並ぶとともに前記X軸方向の間隔が所定の長さである複数の被吐出部、に液状の材料を塗布する吐出装置であって、
前記複数の被吐出部の位置を決めるステージと、
前記材料を吐出可能なノズル列を有するヘッドと、
前記ノズル列が前記複数の被吐出部に対して前記X軸方向および前記Y軸方向のそれぞれの方向に相対走査するように前記ステージに対する前記ヘッドの相対位置を変える走査部と、を備え、
前記ノズル列は前記X軸方向と所定の角度をなす方向に並んでいて、
前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する期間内に前記材料を吐出するノズル同士の前記X軸方向の間隔は前記所定の長さの2倍以上の整数倍である、
吐出装置。 - 請求項1記載の吐出装置であって、
前記ノズル列は、複数の第1のノズルと、少なくとも1つの第2のノズルと、からなり、
前記複数の第1のノズルは前記期間内に前記材料を吐出する前記ノズルであり、
前記少なくとも1つの第2のノズルは、前記期間中吐出を行わない、
吐出装置。 - 請求項2記載の吐出装置であって、
前記ノズル列における2つのノズルのX軸方向の距離が前記所定の長さに一致するように、前記所定の角度が設定されており、
前記ノズル列の前記X軸方向の位置を所定のX座標に一致させながら前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する第1の期間内には、前記ノズル列における前記複数の第1のノズルの配置パターンは第1配置パターンであり、前記第1配置パターンの前記複数の第1のノズルが前記被吐出部に前記材料を吐出し、
前記ノズル列の前記X軸方向の位置を前記所定のX座標に一致させながら前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する第2の期間内には、前記ノズル列における前記複数の第1のノズルの配置パターンは第2配置パターンであり、前記第2配置パターンの前記複数の第1のノズルが前記被吐出部に前記材料を吐出し、
前記第1配置パターンにおける前記複数の第1のノズルの位置と、前記第2配置パターンにおける前記複数の第1のノズルの位置とは、互いに半ピッチずれている、
吐出装置。 - 請求項3記載の吐出装置であって、
前記ノズル列に対して前記X軸方向に並んだ複数の走査範囲が設定されており、
前記複数の被吐出部のすべてに前記材料を塗布するように、前記複数の走査範囲のそれぞれに対して、前記第1配置パターンにおける前記複数の第1のノズルからの前記材料の吐出と、前記第2配置パターンにおける前記複数の第1のノズルからの前記材料の吐出とを行う、
吐出装置。 - 請求項2記載の吐出装置であって、
前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する前に、少なくとも前記複数の第1のノズルから予備吐出を行う、
吐出装置。 - 請求項2記載の吐出装置であって、
前記ヘッドは、前記材料が充填されるキャビティであって、それぞれが前記複数の第1のノズルおよび前記少なくとも1つの第2のノズルのそれぞれに対応する複数のキャビティと、それぞれが前記複数のキャビティのそれぞれに対応する複数のピエゾ素子と、を備えており、
前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する期間内に、前記第2のノズルに対応する前記キャビティ内で前記材料が対流するように、対応する前記ピエゾ素子が振動する、
吐出装置。 - 互いに同じフィルタ層が形成されるべき複数の被吐出部であって、互いに直交するX軸方向およびY軸方向に並ぶとともに前記X軸方向の間隔が所定の長さである複数の被吐出部、に液状のカラーフィルタ材料を塗布する吐出装置を備えたカラーフィルタ基板の製造装置であって、
前記吐出装置は、
前記複数の被吐出部の位置を決めるステージと、
前記カラーフィルタ材料を吐出可能なノズル列を有するヘッドと、
前記ノズル列が前記複数の被吐出部に対して前記X軸方向および前記Y軸方向のそれぞれの方向に相対走査するように前記ステージに対する前記ヘッドの相対位置を変える走査部と、を備え、
前記ノズル列は前記X軸方向と所定の角度をなす方向に並んでいて、
前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する期間内に前記カラーフィルタ材料を吐出するノズル同士の前記X軸方向の間隔は前記所定の長さの2倍以上の整数倍である、
カラーフィルタ基板の製造装置。 - 請求項7記載のカラーフィルタ基板の製造装置であって、
前記ノズル列は、複数の第1のノズルと、少なくとも1つの第2のノズルと、からなり、
前記複数の第1のノズルは前記期間内に前記カラーフィルタ材料を吐出する前記ノズルであり、
前記少なくとも1つの第2のノズルは、前記期間中吐出を行わない、
カラーフィルタ基板の製造装置。 - 請求項8記載のカラーフィルタ基板の製造装置であって、
前記ノズル列における2つのノズルのX軸方向の距離が前記所定の長さに一致するように、前記所定の角度が設定されており、
前記ノズル列の前記X軸方向の位置を所定のX座標に一致させながら前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する第1の期間内には、前記ノズル列における前記複数の第1のノズルの配置パターンは第1配置パターンであり、前記第1配置パターンの前記複数の第1のノズルが前記被吐出部に前記カラーフィルタ材料を吐出し、
前記ノズル列の前記X軸方向の位置を前記所定のX座標に一致させながら前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する第2の期間内には、前記ノズル列における前記複数の第1のノズルの配置パターンは第2配置パターンであり、前記第2配置パターンの前記複数の第1のノズルが前記被吐出部に前記カラーフィルタ材料を吐出し、
前記第1配置パターンにおける前記複数の第1のノズルの位置と、前記第2配置パターンにおける前記複数の第1のノズルの位置とは、互いに半ピッチずれている、
カラーフィルタ基板の製造装置。 - 請求項9記載のカラーフィルタ基板の製造装置であって、
前記ノズル列に対して前記X軸方向に並んだ複数の走査範囲が設定されており、
前記複数の被吐出部のすべてに前記カラーフィルタ材料を塗布するように、前記複数の走査範囲のそれぞれに対して、前記第1配置パターンにおける前記複数の第1のノズルからの前記カラーフィルタ材料の吐出と、前記第2配置パターンにおける前記複数の第1のノズルからの前記カラーフィルタ材料の吐出とを行う、
カラーフィルタ基板の製造装置。 - 請求項8記載のカラーフィルタ基板の製造装置であって、
前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する前に、少なくとも前記複数の第1のノズルから予備吐出を行う、
カラーフィルタ基板の製造装置。 - 請求項8記載のカラーフィルタ基板の製造装置であって、
前記ヘッドは、前記カラーフィルタ材料が充填されるキャビティであって、それぞれが前記複数の第1のノズルおよび前記少なくとも1つの第2のノズルのそれぞれに対応する複数のキャビティと、それぞれが前記複数のキャビティのそれぞれに対応する複数のピエゾ素子と、を備えており、
前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する期間内に、前記第2のノズルに対応する前記キャビティ内で前記カラーフィルタ材料が対流するように、対応する前記ピエゾ素子が振動する、
カラーフィルタ基板の製造装置。 - 請求項7記載のカラーフィルタの製造方法によって製造されることを特徴とするカラーフィルタ基板。
- 互いに同じ層が形成されるべき複数の被吐出部であって、互いに直交するX軸方向およびY軸方向に並ぶとともに前記X軸方向の間隔が所定の長さである複数の被吐出部、に液状の材料を塗布する吐出装置を備えた電気光学装置の製造装置であって、
前記吐出装置は、
前記複数の被吐出部の位置を決めるステージと、
前記材料を吐出可能なノズル列を有するヘッドと、
前記ノズル列が前記複数の被吐出部に対して前記X軸方向および前記Y軸方向のそれぞれの方向に相対走査するように前記ステージに対する前記ヘッドの相対位置を変える走査部と、を備え、
前記ノズル列は前記X軸方向と所定の角度をなす方向に並んでいて、
前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する期間内に前記材料を吐出するノズル同士の前記X軸方向の間隔は前記所定の長さの2倍以上の整数倍である、
電気光学装置の製造装置。 - 請求項14記載の電気光学装置の製造装置であって、
前記ノズル列は、複数の第1のノズルと、少なくとも1つの第2のノズルと、からなり、
前記複数の第1のノズルは前記期間内に前記材料を吐出する前記ノズルであり、
前記少なくとも1つの第2のノズルは、前記期間中吐出を行わない、
電気光学装置の製造装置。 - 請求項15記載の電気光学装置の製造装置であって、
前記ノズル列における2つのノズルのX軸方向の距離が前記所定の長さに一致するように、前記所定の角度が設定されており、
前記ノズル列の前記X軸方向の位置を所定のX座標に一致させながら前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する第1の期間内には、前記ノズル列における前記複数の第1のノズルの配置パターンは第1配置パターンであり、前記第1配置パターンの前記複数の第1のノズルが前記被吐出部に前記材料を吐出し、
前記ノズル列の前記X軸方向の位置を前記所定のX座標に一致させながら前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する第2の期間内には、前記ノズル列における前記複数の第1のノズルの配置パターンは第2配置パターンであり、前記第2配置パターンの前記複数の第1のノズルが前記被吐出部に前記材料を吐出し、
前記第1配置パターンにおける前記複数の第1のノズルの位置と、前記第2配置パターンにおける前記複数の第1のノズルの位置とは、互いに半ピッチずれている、
電気光学装置の製造装置。 - 請求項16記載の電気光学装置の製造装置であって、
前記ノズル列に対して前記X軸方向に並んだ複数の走査範囲が設定されており、
前記複数の被吐出部のすべてに前記材料を塗布するように、前記複数の走査範囲のそれぞれに対して、前記第1配置パターンにおける前記複数の第1のノズルからの前記材料の吐出と、前記第2配置パターンにおける前記複数の第1のノズルからの前記材料の吐出とを行う、電気光学装置の製造装置。 - 請求項15記載の電気光学装置の製造装置であって、
前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する前に、少なくとも前記複数の第1のノズルから予備吐出を行う、
電気光学装置の製造装置。 - 請求項15記載の電気光学装置の製造装置であって、
前記ヘッドは、前記材料が充填されるキャビティであって、それぞれが前記複数の第1のノズルおよび前記少なくとも1つの第2のノズルのそれぞれに対応する複数のキャビティと、それぞれが前記複数のキャビティのそれぞれに対応する複数のピエゾ素子と、を備えており、
前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する期間内に、前記第2のノズルに対応する前記キャビティ内で前記材料が対流するように、対応する前記ピエゾ素子が振動する、
電気光学装置の製造装置。 - 請求項14記載の電気光学装置の製造方法によって製造されることを特徴とする電気光学装置。
- 互いに同じ層が形成されるべき複数の被吐出部であって、それぞれがY軸方向に延びるストライプ状に配置されるとともに、前記Y軸方向と直交するX軸方向の間隔が所定の長さである複数の被吐出部、に液状の材料を塗布する吐出装置であって、
前記複数の被吐出部の位置を決めるステージと、
前記材料を吐出可能なノズル列を有するヘッドと、
前記ノズル列が前記複数の被吐出部に対して前記X軸方向および前記Y軸方向のそれぞれの方向に相対走査するように前記ステージに対する前記ヘッドの相対位置を変える走査部と、を備え、
前記ノズル列は前記X軸方向と所定の角度をなす方向に並んでいて、
前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する期間内に前記材料を吐出するノズル同士の前記X軸方向の間隔は前記所定の長さの2倍以上の整数倍である、
吐出装置。 - 互いに同じ配線が形成されるべき複数の被吐出部であって、それぞれがY軸方向に延びるストライプ状に配置されるとともに、前記Y軸方向と直交するX軸方向の間隔が所定の長さである複数の被吐出部、に液状の配線材料を塗布する吐出装置を備えた配線製造装置であって、
前記吐出装置は、
前記複数の被吐出部の位置を決めるステージと、
前記配線材料を吐出可能なノズル列を有するヘッドと、
前記ノズル列が前記複数の被吐出部に対して前記X軸方向および前記Y軸方向のそれぞれの方向に相対走査するように前記ステージに対する前記ヘッドの相対位置を変える走査部と、を備え、
前記ノズル列は前記X軸方向と所定の角度をなす方向に並んでいて、
前記ノズル列が前記Y軸方向に相対走査する期間内に前記配線材料を吐出するノズル同士の前記X軸方向の間隔は前記所定の長さの2倍以上の整数倍である、
配線製造装置。 - 互いに同じ層が形成されるべき複数の被吐出部であって、互いに直交するX軸方向およびY軸方向に並ぶとともに前記X軸方向の間隔が所定の長さである複数の被吐出部、に吐出装置から液状の材料を吐出する吐出工程を含んだ電気光学装置の製造方法であって、
前記吐出工程は、
前記X軸方向と所定の角度をなす方向に並んだノズル列における複数のノズルのうち、前記X軸方向に沿った互いの間隔が前記所定の長さの2倍以上の整数倍である複数のノズルを複数の吐出ノズルとして設定するステップ(a)と、
前記複数の吐出ノズルのX軸方向の位置を対応する前記被吐出部のX軸方向の位置に一致させるステップ(b)と、
前記ノズル列を前記Y軸方向に相対走査させるステップ(c)と、
前記ステップ(c)の期間内に、前記複数の吐出ノズルからのみ前記対応する被吐出部に材料を吐出するステップ(d)と、を含んでいる、
電気光学装置の製造方法。 - 互いに同じ層が形成されるべき複数の被吐出部であって、互いに直交するX軸方向およびY軸方向に並ぶとともに前記X軸方向の間隔が所定の長さである複数の被吐出部、に吐出装置から液状の材料を吐出する吐出方法であって、
前記X軸方向と所定の角度をなす方向に並んだノズル列における複数のノズルのうち、前記X軸方向に沿った互いの間隔が前記所定の長さの2倍以上の整数倍である複数のノズルを複数の吐出ノズルとして設定するステップ(a)と、
前記複数の吐出ノズルのX軸方向の位置を対応する前記被吐出部のX軸方向の位置に一致させるステップ(b)と、
前記ノズル列を前記Y軸方向に相対走査させるステップ(c)と、
前記ステップ(c)の期間内に、前記複数の吐出ノズルからのみ前記対応する被吐出部に材料を吐出するステップ(d)と、
を含んだ吐出方法。 - 請求項24記載の吐出方法であって、
前記ノズル列における2つのノズルのX軸方向の距離が前記所定の長さに一致するように、前記所定の角度が設定されており、
前記吐出方法は、
前記ノズル列における前記複数の吐出ノズルの配置パターンを第1配置パターンにするステップ(e)と、
前記ステップ(e)の後で、前記ノズル列の前記X軸方向の位置を所定のX座標に一致させながら前記ノズル列をY軸方向に相対走査するステップ(f)と、
前記ステップ(f)の期間内に、前記複数の吐出ノズルから対応する前記被吐出部に前記材料を吐出するステップ(g)と、
前記ノズル列における前記複数の吐出ノズルの配置パターンを第2配置パターンにするステップ(h)と、
前記ステップ(h)の後で、前記ノズル列の前記X軸方向の位置を前記所定のX座標に一致させながら前記ノズル列を前記Y軸方向に相対走査するステップ(i)と、
前記ステップ(i)の期間内に、前記複数の吐出ノズルから対応する前記被吐出部に前記材料を吐出するステップ(j)と、を含み、
前記第1配置パターンにおける前記複数の吐出ノズルの位置と、前記第2配置パターンにおける前記複数の吐出ノズルの位置とは、互いに半ピッチずれている、
吐出方法。 - 請求項25記載の吐出方法であって、
前記複数の被吐出部のすべてに前記材料を塗布するように、前記ノズル列に対応する複数の走査範囲のそれぞれに対して、前記ステップ(e)からステップ(j)を行う、吐出方法。 - 請求項20記載の電気光学装置を含むことを特徴とする電子機器。
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JP2003193104A JP2005031149A (ja) | 2003-07-07 | 2003-07-07 | 吐出装置、カラーフィルタ基板の製造装置、カラーフィルタ基板、電気光学装置、電気光学装置の製造装置、配線製造装置、電気光学装置の製造方法、および吐出方法、ならびに電子機器。 |
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JP2003193104A JP2005031149A (ja) | 2003-07-07 | 2003-07-07 | 吐出装置、カラーフィルタ基板の製造装置、カラーフィルタ基板、電気光学装置、電気光学装置の製造装置、配線製造装置、電気光学装置の製造方法、および吐出方法、ならびに電子機器。 |
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JP2003193104A Withdrawn JP2005031149A (ja) | 2003-07-07 | 2003-07-07 | 吐出装置、カラーフィルタ基板の製造装置、カラーフィルタ基板、電気光学装置、電気光学装置の製造装置、配線製造装置、電気光学装置の製造方法、および吐出方法、ならびに電子機器。 |
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JP (1) | JP2005031149A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2015095992A1 (zh) * | 2013-12-23 | 2015-07-02 | 北京美科艺数码科技发展有限公司 | 喷墨打印装置及打印方法 |
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2003
- 2003-07-07 JP JP2003193104A patent/JP2005031149A/ja not_active Withdrawn
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WO2015095992A1 (zh) * | 2013-12-23 | 2015-07-02 | 北京美科艺数码科技发展有限公司 | 喷墨打印装置及打印方法 |
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