JP2005019011A - Ac型プラズマディスプレイパネル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】放電セルのチラツキや不灯などの品質的な問題や表示画質の低下を招くことなくデータ電力の削減を実現できるAC型PDPを提供する。
【解決手段】走査電極及び維持電極で対をなすストライプ状の複数の表示電極が誘電体層及び保護層で覆われる前面側基板と、表示電極と直交する方向に誘電体層で覆われた複数のストライプ状のデータ電極27が形成された背面側基板29とが、微小な放電空間を挟んで対向配置される構造のAC型PDPにおいて、背面側基板29に形成されるデータ電極27を覆う誘電体層が、ストライプ状に隣り合うデータ電極27の間を埋めるように並行に形成される低誘電率誘電体層33aと、データ電極27及び低誘電率誘電体層33aの上に形成される高誘電率誘電体層33bとを備える構成である。
【選択図】 図1
【解決手段】走査電極及び維持電極で対をなすストライプ状の複数の表示電極が誘電体層及び保護層で覆われる前面側基板と、表示電極と直交する方向に誘電体層で覆われた複数のストライプ状のデータ電極27が形成された背面側基板29とが、微小な放電空間を挟んで対向配置される構造のAC型PDPにおいて、背面側基板29に形成されるデータ電極27を覆う誘電体層が、ストライプ状に隣り合うデータ電極27の間を埋めるように並行に形成される低誘電率誘電体層33aと、データ電極27及び低誘電率誘電体層33aの上に形成される高誘電率誘電体層33bとを備える構成である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス放電によって発生した紫外線によって蛍光体を励起、発光させ、画像表示するプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと呼ぶ)に関し、特にAC(交流)型PDPのパネル構造及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
PDPは、ガス放電によって発生した紫外線によって蛍光体を励起、発光させ、画像表示するディスプレイである。その放電の形成手法からAC(交流)型とDC(直流)型に分類することができる。
【0003】
AC型PDPは、輝度、発光効率、寿命の点でDC型より優れているといわれている。さらに、AC型PDPの中でも反射型面放電タイプは輝度、発光効率の点で特に際だって優れた特性を示すとされ、最近ではこのタイプのAC型PDPが最も一般的である。
【0004】
次に、従来のAC型PDPについて、図3及び図4を用いて説明する。図3(a)は従来のAC型PDPのパネル構造を説明する部分破断斜視図であり、図3(b)は従来のAC型PDPの電極配列図、図4は従来のAC型PDPを駆動するためのタイミングチャートを一例で示している。
【0005】
図3(a)において、ガラス基板などの透明な前面側基板21上には、放電ギャップをあけて平行に対向する走査電極22と維持電極23とで対をなすストライプ状の表示電極24が複数対形成されている。この走査電極22及び維持電極23は、それぞれITOや酸化スズ(SnO2)などからなる透明電極22a、23aと、この透明電極22a、23aに電気的に接続された銀(Ag)の厚膜やアルミニウム(Al)薄膜、クロム/銅/クロム(Cr/Cu/Cr)の積層薄膜によるバス電極22b、23bとから構成されている。また、前面側基板21には、複数対の電極群を覆うように低融点ガラスからなる誘電体層26が形成され、その誘電体層26上には酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層25が形成され、これによりフロントパネルFPが構成されている。
【0006】
また、前面側基板21に対向配置される背面側基板29上には、前面側基板21上の走査電極22及び維持電極23からなる表示電極24と直交する方向に、誘電体層33で覆われた複数のストライプ状のデータ電極27が形成されている。このデータ電極27間の誘電体層33上には、データ電極27と平行にストライプ状の複数の隔壁28が配置され、この隔壁28間の側面及び誘電体層33の表面に蛍光体層30、31、32が設けられ、これによりバックパネルBPが構成されている。
【0007】
これらのフロントパネルFPとバックパネルBPとは、走査電極22及び維持電極23からなる表示電極24とデータ電極27とが直交するように、微小な放電空間35を挟んで対向配置されるとともに、周囲が封止され、そして前記放電空間35には、放電ガスとして、ネオン(Ne)とキセノン(Xe)の混合ガスがおよそ66.5kPa(500Torr)の圧力で充填されている。また、放電空間35は、隔壁28によって複数の区画に仕切ることにより、表示電極24とデータ電極27との交点が位置する複数の放電セルが設けられ、その各放電セルには、放電による紫外線で赤色、緑色及び青色にそれぞれ励起、発光する蛍光体層30、31、32が一色ずつ順次配置されて、PDPを構成している。
【0008】
また、図3(b)にこのPDPの電極配列図を示すように、電極はm列×n行のマトリックス構成であり、列方向にはm列のデータ電極D1〜Dmが配列されており、行方向にはn行の走査電極SCN1〜SCNn及び維持電極SUS1〜SUSnが配列されており、電極間に数十kHz〜数百kHzのAC電圧を印加して放電空間に放電を発生させ、励起された放電ガス中のキセノン(Xe)原子からの紫外線によって蛍光体層30、31、32を励起することにより可視光を発生させて表示動作を行っている。
【0009】
そして、このPDPにおいては、1フィールド期間を、初期化期間、書き込み期間、維持期間、消去期間を有する複数のサブフィールドで構成し、各サブフィールドでの維持放電を決定する維持パルス数を制御するとともに、このサブフィールドの組み合わせで階調の表示を行うものである。
【0010】
この駆動動作の一例をAC型PDPの駆動波形の例を示すタイミングチャートである図4により説明すると、まず初期化期間に、走査電極SCN1〜SCNnに初期化パルスを印加し、パネルの放電セル内の壁電荷を初期化する。次に、書き込み期間において、1行目の表示を行うため、1行目の走査電極SCN1に走査パルス電圧を印加し、放電セルに対応するデータ電極群D1〜Dmに書き込みパルス電圧を印加し、データ電極群D1〜Dmと1行目の走査電極SCN1との間に書き込み放電(アドレス放電)を起こし、誘電体層表面に壁電荷を蓄積し、1行目の書き込み動作(アドレス動作)を行う。このような書き込み動作を順次行い、N行目の書き込み動作が終了した時点で、1画面分の潜像が書き込まれる。
【0011】
次に維持期間において、データ電極群D1〜Dmを接地し、まず全ての維持電極群SUS1〜SUSnに維持パルス電圧を印加し、続いて全ての走査電極群SCN1〜SCNnに維持パルス電圧を印加し、続いて交互にこの動作を継続して維持パルス電圧を印加することにより、書き込み期間において書き込み動作が行われた放電セルにおいて維持放電の発光が継続して行われ、画面の表示が行われる。その後、消去期間において、幅の狭い消去パルスを印加することによって放電が発生し、壁電荷が消滅するため、消去動作が行われる。
【0012】
このように、初期化期間、書き込み期間、維持期間、消去期間という一連の駆動方法により画像表示を行っている。
【0013】
そして、このような従来のAC型PDPにおいては、データ電極間の静電容量により、動作時にデータ電極間での充放電電力が消費電力の大きな割合を占めている。そこで、データ電極間の静電容量を制御してデータ電極間での充放電電力を削減するため、データ電極間距離を長くしたり、データ電極厚さを薄くする方法が提案されている。
【0014】
さらに、従来のAC型PDPにおいては、表示用の維持放電を行う維持電極と走査電極とが誘電体層を介して隣接配置されている構造を有しているため、維持電極と走査電極の両電極間にストレイキャパシティが存在し、このために電力損失が大きくなってしまう。このようなストレイキャパシティによる電力損失を抑えるために、図5に示すような構造のAC型PDPも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0015】
図5は従来のAC型PDPの別のパネル構造を説明する部分破断斜視図である。図5において、維持電極122、走査電極123を形成する一方の基板126側には、まず走査電極123のみを形成し、その上に誘電体層136を形成し、続いて、誘電体層136上に走査電極123と平行に維持電極122の幅よりも大きいストライプ状の絶縁体層137を形成し、絶縁体層137の上に維持電極122を形成して最後に維持電極122上にのみ再度誘電体層138を形成する構造である。この構造のAC型PDPでは、もう一方の基板121のデータ電極127と維持電極122の距離が近接することになり、書込み放電を近接したデータ電極127と維持電極122間で行なうことで、ストレイキャパシティによる電力損失を抑えることができるというものである。
【0016】
【特許文献1】
特開平3−233830号公報(第3頁、第3図)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述の従来のPDPにおいては、データ電極の充放電電力が大きいためデータドライバーの発熱が大きくなるといった課題があった。これを解決するため、データ電圧を下げたり、アドレス回数を信号処理で下げたりすることが試みられているが、電力削減には有効であるが、チラツキや不灯などの品質的な問題や表示画質の低下といった別の新たな課題が生じていた。
【0018】
そして、データ電極間距離を長くしたり、データ電極厚さを薄くすることによりデータ電極間の静電容量を制御してデータ電極間での充放電電力を削減する方法の場合、データ電極間距離を長くすることがデータ電極幅を狭くすることになり、書込電圧が高くなったり、誤放電が起きないマージンが狭くなったりするという課題が生じ、また、同様にデータ電極厚さを薄くする方法では、電極抵抗が大きくなり書込電圧が上がるという課題が生じていた。
【0019】
また、維持電極と走査電極の両電極間のストレイキャパシティによる電力損失を抑えるために基板上の誘電体層と維持電極間に絶縁体層を設ける構造のAC型PDPでは、確かに書込み放電を近接したデータ電極127と維持電極122間で行なうことで、ストレイキャパシティによる電力損失を抑えることは可能であるが、維持電極122と走査電極123間の距離は遠くなるので、維持電極122と走査電極123間の放電電圧が上昇するという課題が新たに生ずるほか、絶縁体層137の形成や誘電体層136の再形成に製造工程で余分の工数が必要になるという課題が生じていた。
【0020】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、データ電極間では充放電電力を削減し、データ電極と走査電極間には書込放電を低電圧で起こさせて安定な駆動を可能にし、品質的な問題や画質の低下を招くことなくデータ電力の削減が可能なAC型PDPを実現することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のAC型PDPは、走査電極及び維持電極で対をなすストライプ状の複数の表示電極を形成するとともにその表示電極を前面側誘電体層及び保護層で覆った前面側基板と、表示電極と直交する方向に形成され、背面側誘電体層で覆われた複数のストライプ状のデータ電極を有する背面側基板とを備え、前面側基板と背面側基板とを微小な放電空間を挟んで対向配置し、かつ放電空間に放電ガスが充填されたAC型PDPにおいて、背面側基板に形成されるデータ電極を覆う背面側誘電体層は、隣り合うデータ電極の間を埋めるように並行に形成される第1の誘電体層と、データ電極及び第1の誘電体層の上に形成される第2の誘電体層とを備えた構成を有している。
【0022】
また、背面側基板上に第3の誘電体層を形成し、かつ第1の誘電体層と第3の誘電体層が同じ材料である構成、この構成に加えて、第1の誘電体層が誘電率の低い形成され、第2の誘電体層が誘電率の高い材料で形成される構成を有している。
【0023】
これらの構成により、データ電極間には充放電電力削減のためにデータ電極間の静電容量を小さくし、データ電極と走査電極間には低電圧で書込放電が起こるようにデータ電極と走査電極間の静電容量を大きくするようにしているので無駄な電力を削減し、安定な駆動を実現することが可能になるとともに、品質的な問題や画質の低下を招くことなくデータ電力の削減を実現することができる。
【0024】
また、上記目的を達成するために、本発明のAC型PDPの製造方法は、走査電極及び維持電極で対をなすストライプ状の複数の表示電極を形成するとともにその表示電極を前面側誘電体層及び保護層で覆った前面側基板と、表示電極と直交する方向に形成され背面側誘電体層で覆われた複数のストライプ状のデータ電極を有する背面側基板とを備え、前面側基板と背面側基板とを微小な放電空間を挟んで対向配置し、かつ放電空間に放電ガスが充填されたAC型PDPの製造方法において、背面側基板上に複数のストライプ状の第1の誘電体層を形成する工程と、複数のストライプ状の第1の誘電体層の間を埋めるように並行にデータ電極を形成する工程と、データ電極及び第1の誘電体層とが隣り合う両層の上に第2の誘電体層を形成する工程とを有する構成を有している。さらに、本発明のAC型PDPの製造方法は、背面側基板上に第3の誘電体層を形成し、かつ第1の誘電体層と第3の誘電体層が同じ材料で形成される構成及び第1の誘電体層が誘電率の低い材料で形成され、第2の誘電体層が誘電率の高い材料で形成される構成も有している。
【0025】
これらの構成により、AC型PDPのバックパネルの誘電体層を低誘電率誘電体層と高誘電率誘電体層の2層構造に形成できるので、データ電極間の誘電率を下げることになって無効電力を削減でき、データ電極間では充放電電力の削減が可能になる。また、データ電極−走査電極間は誘電率を上げることになって放電空間にかかる電圧が上昇し、低電圧で書込放電が起こり安定な駆動可能なAC型PDPを製造することを可能にする。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0027】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1におけるAC型PDPは図3(a)に示した従来の一般的なAC型PDPと基本的に同様な構成、構造に基づいている。
【0028】
本発明の実施の形態1におけるAC型PDPのフロントパネルFPは、次のように構成されている。すなわち、ガラス基板等の透明な前面側基板21上には、放電ギャップをあけて平行に配置された走査電極22と維持電極23とで対をなすストライプ状の表示電極24が複数対形成されている。この走査電極22及び維持電極23は、それぞれ例えば、ITOや酸化スズ(SnO2)等からなる透明電極22a、23aと、この透明電極22a、23aに電気的に接続された、例えば、銀(Ag)等の厚膜や、また例えば、アルミニウム(Al)薄膜あるいはクロム/銅/クロム(Cr/Cu/Cr)等の積層薄膜によるバス電極22b、23bとから構成されている。また、前面側基板21には、複数対の表示電極24群を覆うように、例えば、低融点ガラス等からなる誘電体層26が形成され、その誘電体層26上には、例えば、酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層25が形成され、これらによりフロントパネルFPが構成されている。上述のフロントパネルFPの構成は図3(a)に示した従来のAC型PDPと全く同じ構成である。
【0029】
また、前面側基板21に対向配置される背面側基板29上には、前面側基板21上の走査電極22及び維持電極23の表示電極24と直交する方向に、誘電体層33で覆われた複数のストライプ状のデータ電極27が形成されている。このデータ電極27間の誘電体層33上には、データ電極27と平行にストライプ状の複数の隔壁28が配置され、この隔壁28間の側面及び誘電体層33の表面に蛍光体層30、31、32が設けられ、これによりバックパネルBPが構成されている。上述のバックパネルBPの構成は、基本的に図3(a)に示した従来のAC型PDPと同じ構成である。
【0030】
これらのフロントパネルFPとバックパネルBPとは、走査電極22及び維持電極23からなる表示電極24とデータ電極27とが直交するように、微小な放電空間35を挟んで対向配置されるとともに、周囲が封止され、そして放電空間35には、放電ガスとして、例えば、ネオン(Ne)とキセノン(Xe)の混合ガスがが充填されている。本発明の実施の形態では、放電ガスはおよそ66.5kPa(500Torr)の圧力で充填した。なお、放電ガスの種類、充填圧は、ここに示した例に限定されるものではない。また、放電空間35は、隔壁28によって複数の区画に仕切ることにより、表示電極24とデータ電極27との交点が位置する複数の放電セルが設けられ、その各放電セルには、放電による紫外線で赤色、緑色及び青色にそれぞれ励起、発光する蛍光体層30、31、32が一色ずつ順次配置されて、PDPパネルを構成している。そして、電極間に数十kHz〜数百kHzのAC電圧を印加して放電空間に放電を発生させ、励起された放電ガス中のキセノン(Xe)原子からの紫外線によって蛍光体層30、31、32を励起することにより可視光を発生させて表示動作を行う。駆動回路の制御のに基づき、所定の表示画像を得ることができる。
【0031】
しかしながら、本発明におけるAC型PDPの構成は、図3(a)に示した従来のAC型PDPの構成と大きく異なるところがある。すなわち、データ電極27及びその周囲に形成する誘電体層の配置ならびに構造において大きく異なっている。
【0032】
以下、本発明のAC型PDPの特徴について、図1に示す本発明の実施の形態1におけるAC型PDPの背面側基板の構造を示す拡大断面図を用いて説明する。なお図1中で図3(a)に示した一般的な従来のAC型PDPと同じ構成要素には同じ符号を付している。
【0033】
図1において、前面側基板に対向配置される背面側基板29上には、前面側基板上の走査電極及び維持電極の表示電極と直交する方向に(前面側基板ならびにその上に形成される電極等は、いずれも図1には表示せず)、第1の誘電体層となる複数のストライプ状の低誘電率誘電体層33aが形成されている。低誘電率誘電体層33aに並行にデータ電極27がストライプ状に隣り合う低誘電率誘電体層33aの間を埋めるように形成されている。これらの互いに並行にストライプ状に形成されたデータ電極27と低誘電率誘電体層33aとで形成された層の上には、第2の誘電体層となる高誘電率誘電体層33bが形成されている。そして、下層に低誘電率誘電体層33aがある部分にあり、かつ、高誘電率誘電体層33b上には、データ電極27及び低誘電率誘電体層33aと並行にストライプ状に複数の隔壁28が配置され、この隔壁28間の側面及び高誘電率誘電体層33bの表面に蛍光体層30、31、32が設けられ、これらによりバックパネルBPが構成されている。
【0034】
次に、低誘電率誘電体層33a及びデータ電極27と高誘電率誘電体層33bの形成方法について説明する。まず、背面側基板29上にストライプ状に複数並行する低誘電率誘電体層33aを周知のスクリーン印刷法(厚膜印刷法ともいう)により印刷形成する。この低誘電率誘電体層33aに並行にデータ電極27を隣り合う低誘電率誘電体層33aの間を埋めるようにストライプ状に周知のスクリーン印刷法により同様に印刷形成する。なお、データ電極27の高さ(あるいは厚さ)は低誘電率誘電体層33aの高さ(あるいは厚さ)とほぼ同じであることが望ましい。その後、これらの互いに並行にストライプ状に形成されたデータ電極27と低誘電率誘電体層33aとで形成された層の上に、高誘電率誘電体層33bを上記の周知のスクリーン印刷法により再び同様に印刷形成する。このようにして低誘電率誘電体層33a及びデータ電極27と高誘電率誘電体層33bとを印刷形成した背面側基板29を焼成用の炉で周知の手順により、焼成を行う。
【0035】
スクリーン印刷法で形成する誘電体層の材料として用いるインクあるいはペーストには、焼成することによってガラス焼結体(誘電体層)となるもので、含有されるガラス粉末としては、例えばZnO−B2O3−SiO2系の混合物、PbO−B2O3−SiO2系の混合物、PbO−B2O3−SiO2−Al2O3系の混合物、PbO−ZnO−B2O3−SiO2系、Bi2O3−B2O3−SiO2系の混合物などを用いることができる。ここで挙げた材料の誘電率としては、ZnO−B2O3−SiO2系ガラスが最も低く、次いでPbO−B2O3−SiO2系、Bi2O3−B2O3−SiO2系が続く。本発明の実施の形態におけるAC型PDPのバックパネルBPには、ZnO−B2O3−SiO2系混合物のガラス粉末を含む材料で低誘電率誘電体層33aを形成し、Bi2O3−B2O3−SiO2系混合物のガラス粉末を含む材料で高誘電率誘電体層33bを形成しているが、この例に限定されるものではなく、低誘電率誘電体層33aと高誘電率誘電体層33bとのそれぞれの材料の誘電率の差が大きくなるように誘電体材料を選定することが望ましい。また、データ電極27は、銀(Ag)またはニッケル(Ni)を含む厚膜電極用インクあるいはペースト材料を用いて、周知のスクリーン印刷法により印刷形成している。
【0036】
なお、上述の低誘電率誘電体層33a及びデータ電極27と高誘電率誘電体層33bはスクリーン印刷法により印刷形成する例を説明したが、本発明のAC型PDPにおいては、これに限定されるものではなく、例えば、紫外線感光性樹脂を含んだ誘電体シートまたは電極シートを周知のフォトリソ技術を利用して、露光現像によりパターニング形成を行うことも可能である。
【0037】
また、上述の説明では、背面側基板29上に直接データ電極27を形成しているが、図2の本発明の実施の形態1におけるAC型PDPの背面側基板の別の構造を示す拡大断面図のように、背面側基板29とデータ電極27の間に低誘電率誘電体層33cを形成し、その上にさらに低誘電率誘電体層33a及びデータ電極27を形成する構成であっても良い。この構成においても、低誘電率誘電体層33a及びデータ電極27と高誘電率誘電体層33bの形成方法は上述のようなスクリーン印刷法による印刷形成、またはフォトリソ技術を利用した露光現像によるパターニング形成を利用できる。
【0038】
このように、バックパネルBPの誘電体層を低誘電率誘電体層33aと高誘電率誘電体層33bの2層構造にすることは、データ電極間の誘電率を下げることにより、電極間容量が減少すると考えられ、これによりデータ電極の無効電力を下げることが可能になる。すなわち、誘電率ε、厚さd、面積Sの誘電体に周波数fの交流電圧Vを印加するとき、無効電力Pは、次式で表され、
P=CV2f
但し、Cは誘電体の容量で、
C=εS/d
であるので、電力Pは誘電率εに比例することになる。したがって、このことはデータ電極間の誘電率εを下げることで無効電力P下がり、データ電極間の電力を削減できることを示している。また、逆に、データ電極−走査電極間は誘電率εを上げることで、放電空間にかかる電圧が上昇し、低電圧での放電が可能になることになる。
【0039】
実際に、誘電率が5の材料を低誘電率誘電体層33aに、誘電率が10の材料を高誘電率誘電体層33bに用いて形成したバックパネルBPを有するAC型PDPにより駆動実験を行った例では、図1に示す構成のバックパネルBPを用いた場合、駆動して画像を表示させるときに、表示面のほぼ50%の面積が表示されるいわゆる市松パターン(チェッカーボードパターンともいう)において、バックパネルBPに単一の誘電体層33が形成されている従来のAC型PDPに比べ電力で約40%削減するという結果が得られている。
【0040】
以上説明したように、本発明の実施の形態におけるAC型PDPでは、バックパネルBPの誘電体層を低誘電率誘電体層と高誘電率誘電体層の2層構造にすることにより、データ電極間の誘電率εを下げることになって無効電力が下がり、データ電極間では充放電電力の削減が可能になる。また、データ電極−走査電極間は誘電率εを上げることになって放電空間にかかる電圧が上昇し、低電圧で書込放電が起こり安定な駆動を実現することが可能になる。
【0041】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、AC型PDPのバックパネルBPの誘電体層を低誘電率誘電体層と高誘電率誘電体層の2層構造にしており、AC型PDPのバックパネルのデータ電極間の誘電率が下がって無効電力が減少し、データ電極間では充放電電力の削減が可能になり、また、データ電極−走査電極間は誘電率が上がって放電空間にかかる電圧が上昇し、低電圧で書込放電が起こり安定な駆動を実現することが可能になるので、品質的な問題や画質の低下を招くことなくデータ電力の削減が可能なAC型PDPを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるAC型PDPの背面側基板の構造を示す拡大断面図
【図2】本発明の実施の形態におけるAC型PDPの背面側基板の別の構造を示す拡大断面図
【図3】(a)は従来のAC型PDPのパネル構造を説明する部分破断斜視図
(b)は従来のAC型PDPの電極配列図
【図4】従来のAC型PDPを駆動するためのタイミングチャート
【図5】従来のAC型PDPの別のパネル構造を説明する部分破断斜視図
【符号の説明】
BP バックパネル
FP フロントパネル
21 前面側基板
22 走査電極
23 維持電極
22a,22b 透明電極
23a,23b バス電極
24 表示電極
25 保護層
26,33 誘電体層
27 データ電極
28 隔壁
29 背面側基板
30,31,32 蛍光体
35 放電空間
33a 低誘電率誘電体層
33b 高誘電率誘電体層
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガス放電によって発生した紫外線によって蛍光体を励起、発光させ、画像表示するプラズマディスプレイパネル(以下、PDPと呼ぶ)に関し、特にAC(交流)型PDPのパネル構造及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
PDPは、ガス放電によって発生した紫外線によって蛍光体を励起、発光させ、画像表示するディスプレイである。その放電の形成手法からAC(交流)型とDC(直流)型に分類することができる。
【0003】
AC型PDPは、輝度、発光効率、寿命の点でDC型より優れているといわれている。さらに、AC型PDPの中でも反射型面放電タイプは輝度、発光効率の点で特に際だって優れた特性を示すとされ、最近ではこのタイプのAC型PDPが最も一般的である。
【0004】
次に、従来のAC型PDPについて、図3及び図4を用いて説明する。図3(a)は従来のAC型PDPのパネル構造を説明する部分破断斜視図であり、図3(b)は従来のAC型PDPの電極配列図、図4は従来のAC型PDPを駆動するためのタイミングチャートを一例で示している。
【0005】
図3(a)において、ガラス基板などの透明な前面側基板21上には、放電ギャップをあけて平行に対向する走査電極22と維持電極23とで対をなすストライプ状の表示電極24が複数対形成されている。この走査電極22及び維持電極23は、それぞれITOや酸化スズ(SnO2)などからなる透明電極22a、23aと、この透明電極22a、23aに電気的に接続された銀(Ag)の厚膜やアルミニウム(Al)薄膜、クロム/銅/クロム(Cr/Cu/Cr)の積層薄膜によるバス電極22b、23bとから構成されている。また、前面側基板21には、複数対の電極群を覆うように低融点ガラスからなる誘電体層26が形成され、その誘電体層26上には酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層25が形成され、これによりフロントパネルFPが構成されている。
【0006】
また、前面側基板21に対向配置される背面側基板29上には、前面側基板21上の走査電極22及び維持電極23からなる表示電極24と直交する方向に、誘電体層33で覆われた複数のストライプ状のデータ電極27が形成されている。このデータ電極27間の誘電体層33上には、データ電極27と平行にストライプ状の複数の隔壁28が配置され、この隔壁28間の側面及び誘電体層33の表面に蛍光体層30、31、32が設けられ、これによりバックパネルBPが構成されている。
【0007】
これらのフロントパネルFPとバックパネルBPとは、走査電極22及び維持電極23からなる表示電極24とデータ電極27とが直交するように、微小な放電空間35を挟んで対向配置されるとともに、周囲が封止され、そして前記放電空間35には、放電ガスとして、ネオン(Ne)とキセノン(Xe)の混合ガスがおよそ66.5kPa(500Torr)の圧力で充填されている。また、放電空間35は、隔壁28によって複数の区画に仕切ることにより、表示電極24とデータ電極27との交点が位置する複数の放電セルが設けられ、その各放電セルには、放電による紫外線で赤色、緑色及び青色にそれぞれ励起、発光する蛍光体層30、31、32が一色ずつ順次配置されて、PDPを構成している。
【0008】
また、図3(b)にこのPDPの電極配列図を示すように、電極はm列×n行のマトリックス構成であり、列方向にはm列のデータ電極D1〜Dmが配列されており、行方向にはn行の走査電極SCN1〜SCNn及び維持電極SUS1〜SUSnが配列されており、電極間に数十kHz〜数百kHzのAC電圧を印加して放電空間に放電を発生させ、励起された放電ガス中のキセノン(Xe)原子からの紫外線によって蛍光体層30、31、32を励起することにより可視光を発生させて表示動作を行っている。
【0009】
そして、このPDPにおいては、1フィールド期間を、初期化期間、書き込み期間、維持期間、消去期間を有する複数のサブフィールドで構成し、各サブフィールドでの維持放電を決定する維持パルス数を制御するとともに、このサブフィールドの組み合わせで階調の表示を行うものである。
【0010】
この駆動動作の一例をAC型PDPの駆動波形の例を示すタイミングチャートである図4により説明すると、まず初期化期間に、走査電極SCN1〜SCNnに初期化パルスを印加し、パネルの放電セル内の壁電荷を初期化する。次に、書き込み期間において、1行目の表示を行うため、1行目の走査電極SCN1に走査パルス電圧を印加し、放電セルに対応するデータ電極群D1〜Dmに書き込みパルス電圧を印加し、データ電極群D1〜Dmと1行目の走査電極SCN1との間に書き込み放電(アドレス放電)を起こし、誘電体層表面に壁電荷を蓄積し、1行目の書き込み動作(アドレス動作)を行う。このような書き込み動作を順次行い、N行目の書き込み動作が終了した時点で、1画面分の潜像が書き込まれる。
【0011】
次に維持期間において、データ電極群D1〜Dmを接地し、まず全ての維持電極群SUS1〜SUSnに維持パルス電圧を印加し、続いて全ての走査電極群SCN1〜SCNnに維持パルス電圧を印加し、続いて交互にこの動作を継続して維持パルス電圧を印加することにより、書き込み期間において書き込み動作が行われた放電セルにおいて維持放電の発光が継続して行われ、画面の表示が行われる。その後、消去期間において、幅の狭い消去パルスを印加することによって放電が発生し、壁電荷が消滅するため、消去動作が行われる。
【0012】
このように、初期化期間、書き込み期間、維持期間、消去期間という一連の駆動方法により画像表示を行っている。
【0013】
そして、このような従来のAC型PDPにおいては、データ電極間の静電容量により、動作時にデータ電極間での充放電電力が消費電力の大きな割合を占めている。そこで、データ電極間の静電容量を制御してデータ電極間での充放電電力を削減するため、データ電極間距離を長くしたり、データ電極厚さを薄くする方法が提案されている。
【0014】
さらに、従来のAC型PDPにおいては、表示用の維持放電を行う維持電極と走査電極とが誘電体層を介して隣接配置されている構造を有しているため、維持電極と走査電極の両電極間にストレイキャパシティが存在し、このために電力損失が大きくなってしまう。このようなストレイキャパシティによる電力損失を抑えるために、図5に示すような構造のAC型PDPも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0015】
図5は従来のAC型PDPの別のパネル構造を説明する部分破断斜視図である。図5において、維持電極122、走査電極123を形成する一方の基板126側には、まず走査電極123のみを形成し、その上に誘電体層136を形成し、続いて、誘電体層136上に走査電極123と平行に維持電極122の幅よりも大きいストライプ状の絶縁体層137を形成し、絶縁体層137の上に維持電極122を形成して最後に維持電極122上にのみ再度誘電体層138を形成する構造である。この構造のAC型PDPでは、もう一方の基板121のデータ電極127と維持電極122の距離が近接することになり、書込み放電を近接したデータ電極127と維持電極122間で行なうことで、ストレイキャパシティによる電力損失を抑えることができるというものである。
【0016】
【特許文献1】
特開平3−233830号公報(第3頁、第3図)
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上述の従来のPDPにおいては、データ電極の充放電電力が大きいためデータドライバーの発熱が大きくなるといった課題があった。これを解決するため、データ電圧を下げたり、アドレス回数を信号処理で下げたりすることが試みられているが、電力削減には有効であるが、チラツキや不灯などの品質的な問題や表示画質の低下といった別の新たな課題が生じていた。
【0018】
そして、データ電極間距離を長くしたり、データ電極厚さを薄くすることによりデータ電極間の静電容量を制御してデータ電極間での充放電電力を削減する方法の場合、データ電極間距離を長くすることがデータ電極幅を狭くすることになり、書込電圧が高くなったり、誤放電が起きないマージンが狭くなったりするという課題が生じ、また、同様にデータ電極厚さを薄くする方法では、電極抵抗が大きくなり書込電圧が上がるという課題が生じていた。
【0019】
また、維持電極と走査電極の両電極間のストレイキャパシティによる電力損失を抑えるために基板上の誘電体層と維持電極間に絶縁体層を設ける構造のAC型PDPでは、確かに書込み放電を近接したデータ電極127と維持電極122間で行なうことで、ストレイキャパシティによる電力損失を抑えることは可能であるが、維持電極122と走査電極123間の距離は遠くなるので、維持電極122と走査電極123間の放電電圧が上昇するという課題が新たに生ずるほか、絶縁体層137の形成や誘電体層136の再形成に製造工程で余分の工数が必要になるという課題が生じていた。
【0020】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、データ電極間では充放電電力を削減し、データ電極と走査電極間には書込放電を低電圧で起こさせて安定な駆動を可能にし、品質的な問題や画質の低下を招くことなくデータ電力の削減が可能なAC型PDPを実現することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のAC型PDPは、走査電極及び維持電極で対をなすストライプ状の複数の表示電極を形成するとともにその表示電極を前面側誘電体層及び保護層で覆った前面側基板と、表示電極と直交する方向に形成され、背面側誘電体層で覆われた複数のストライプ状のデータ電極を有する背面側基板とを備え、前面側基板と背面側基板とを微小な放電空間を挟んで対向配置し、かつ放電空間に放電ガスが充填されたAC型PDPにおいて、背面側基板に形成されるデータ電極を覆う背面側誘電体層は、隣り合うデータ電極の間を埋めるように並行に形成される第1の誘電体層と、データ電極及び第1の誘電体層の上に形成される第2の誘電体層とを備えた構成を有している。
【0022】
また、背面側基板上に第3の誘電体層を形成し、かつ第1の誘電体層と第3の誘電体層が同じ材料である構成、この構成に加えて、第1の誘電体層が誘電率の低い形成され、第2の誘電体層が誘電率の高い材料で形成される構成を有している。
【0023】
これらの構成により、データ電極間には充放電電力削減のためにデータ電極間の静電容量を小さくし、データ電極と走査電極間には低電圧で書込放電が起こるようにデータ電極と走査電極間の静電容量を大きくするようにしているので無駄な電力を削減し、安定な駆動を実現することが可能になるとともに、品質的な問題や画質の低下を招くことなくデータ電力の削減を実現することができる。
【0024】
また、上記目的を達成するために、本発明のAC型PDPの製造方法は、走査電極及び維持電極で対をなすストライプ状の複数の表示電極を形成するとともにその表示電極を前面側誘電体層及び保護層で覆った前面側基板と、表示電極と直交する方向に形成され背面側誘電体層で覆われた複数のストライプ状のデータ電極を有する背面側基板とを備え、前面側基板と背面側基板とを微小な放電空間を挟んで対向配置し、かつ放電空間に放電ガスが充填されたAC型PDPの製造方法において、背面側基板上に複数のストライプ状の第1の誘電体層を形成する工程と、複数のストライプ状の第1の誘電体層の間を埋めるように並行にデータ電極を形成する工程と、データ電極及び第1の誘電体層とが隣り合う両層の上に第2の誘電体層を形成する工程とを有する構成を有している。さらに、本発明のAC型PDPの製造方法は、背面側基板上に第3の誘電体層を形成し、かつ第1の誘電体層と第3の誘電体層が同じ材料で形成される構成及び第1の誘電体層が誘電率の低い材料で形成され、第2の誘電体層が誘電率の高い材料で形成される構成も有している。
【0025】
これらの構成により、AC型PDPのバックパネルの誘電体層を低誘電率誘電体層と高誘電率誘電体層の2層構造に形成できるので、データ電極間の誘電率を下げることになって無効電力を削減でき、データ電極間では充放電電力の削減が可能になる。また、データ電極−走査電極間は誘電率を上げることになって放電空間にかかる電圧が上昇し、低電圧で書込放電が起こり安定な駆動可能なAC型PDPを製造することを可能にする。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳しく説明する。
【0027】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1におけるAC型PDPは図3(a)に示した従来の一般的なAC型PDPと基本的に同様な構成、構造に基づいている。
【0028】
本発明の実施の形態1におけるAC型PDPのフロントパネルFPは、次のように構成されている。すなわち、ガラス基板等の透明な前面側基板21上には、放電ギャップをあけて平行に配置された走査電極22と維持電極23とで対をなすストライプ状の表示電極24が複数対形成されている。この走査電極22及び維持電極23は、それぞれ例えば、ITOや酸化スズ(SnO2)等からなる透明電極22a、23aと、この透明電極22a、23aに電気的に接続された、例えば、銀(Ag)等の厚膜や、また例えば、アルミニウム(Al)薄膜あるいはクロム/銅/クロム(Cr/Cu/Cr)等の積層薄膜によるバス電極22b、23bとから構成されている。また、前面側基板21には、複数対の表示電極24群を覆うように、例えば、低融点ガラス等からなる誘電体層26が形成され、その誘電体層26上には、例えば、酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層25が形成され、これらによりフロントパネルFPが構成されている。上述のフロントパネルFPの構成は図3(a)に示した従来のAC型PDPと全く同じ構成である。
【0029】
また、前面側基板21に対向配置される背面側基板29上には、前面側基板21上の走査電極22及び維持電極23の表示電極24と直交する方向に、誘電体層33で覆われた複数のストライプ状のデータ電極27が形成されている。このデータ電極27間の誘電体層33上には、データ電極27と平行にストライプ状の複数の隔壁28が配置され、この隔壁28間の側面及び誘電体層33の表面に蛍光体層30、31、32が設けられ、これによりバックパネルBPが構成されている。上述のバックパネルBPの構成は、基本的に図3(a)に示した従来のAC型PDPと同じ構成である。
【0030】
これらのフロントパネルFPとバックパネルBPとは、走査電極22及び維持電極23からなる表示電極24とデータ電極27とが直交するように、微小な放電空間35を挟んで対向配置されるとともに、周囲が封止され、そして放電空間35には、放電ガスとして、例えば、ネオン(Ne)とキセノン(Xe)の混合ガスがが充填されている。本発明の実施の形態では、放電ガスはおよそ66.5kPa(500Torr)の圧力で充填した。なお、放電ガスの種類、充填圧は、ここに示した例に限定されるものではない。また、放電空間35は、隔壁28によって複数の区画に仕切ることにより、表示電極24とデータ電極27との交点が位置する複数の放電セルが設けられ、その各放電セルには、放電による紫外線で赤色、緑色及び青色にそれぞれ励起、発光する蛍光体層30、31、32が一色ずつ順次配置されて、PDPパネルを構成している。そして、電極間に数十kHz〜数百kHzのAC電圧を印加して放電空間に放電を発生させ、励起された放電ガス中のキセノン(Xe)原子からの紫外線によって蛍光体層30、31、32を励起することにより可視光を発生させて表示動作を行う。駆動回路の制御のに基づき、所定の表示画像を得ることができる。
【0031】
しかしながら、本発明におけるAC型PDPの構成は、図3(a)に示した従来のAC型PDPの構成と大きく異なるところがある。すなわち、データ電極27及びその周囲に形成する誘電体層の配置ならびに構造において大きく異なっている。
【0032】
以下、本発明のAC型PDPの特徴について、図1に示す本発明の実施の形態1におけるAC型PDPの背面側基板の構造を示す拡大断面図を用いて説明する。なお図1中で図3(a)に示した一般的な従来のAC型PDPと同じ構成要素には同じ符号を付している。
【0033】
図1において、前面側基板に対向配置される背面側基板29上には、前面側基板上の走査電極及び維持電極の表示電極と直交する方向に(前面側基板ならびにその上に形成される電極等は、いずれも図1には表示せず)、第1の誘電体層となる複数のストライプ状の低誘電率誘電体層33aが形成されている。低誘電率誘電体層33aに並行にデータ電極27がストライプ状に隣り合う低誘電率誘電体層33aの間を埋めるように形成されている。これらの互いに並行にストライプ状に形成されたデータ電極27と低誘電率誘電体層33aとで形成された層の上には、第2の誘電体層となる高誘電率誘電体層33bが形成されている。そして、下層に低誘電率誘電体層33aがある部分にあり、かつ、高誘電率誘電体層33b上には、データ電極27及び低誘電率誘電体層33aと並行にストライプ状に複数の隔壁28が配置され、この隔壁28間の側面及び高誘電率誘電体層33bの表面に蛍光体層30、31、32が設けられ、これらによりバックパネルBPが構成されている。
【0034】
次に、低誘電率誘電体層33a及びデータ電極27と高誘電率誘電体層33bの形成方法について説明する。まず、背面側基板29上にストライプ状に複数並行する低誘電率誘電体層33aを周知のスクリーン印刷法(厚膜印刷法ともいう)により印刷形成する。この低誘電率誘電体層33aに並行にデータ電極27を隣り合う低誘電率誘電体層33aの間を埋めるようにストライプ状に周知のスクリーン印刷法により同様に印刷形成する。なお、データ電極27の高さ(あるいは厚さ)は低誘電率誘電体層33aの高さ(あるいは厚さ)とほぼ同じであることが望ましい。その後、これらの互いに並行にストライプ状に形成されたデータ電極27と低誘電率誘電体層33aとで形成された層の上に、高誘電率誘電体層33bを上記の周知のスクリーン印刷法により再び同様に印刷形成する。このようにして低誘電率誘電体層33a及びデータ電極27と高誘電率誘電体層33bとを印刷形成した背面側基板29を焼成用の炉で周知の手順により、焼成を行う。
【0035】
スクリーン印刷法で形成する誘電体層の材料として用いるインクあるいはペーストには、焼成することによってガラス焼結体(誘電体層)となるもので、含有されるガラス粉末としては、例えばZnO−B2O3−SiO2系の混合物、PbO−B2O3−SiO2系の混合物、PbO−B2O3−SiO2−Al2O3系の混合物、PbO−ZnO−B2O3−SiO2系、Bi2O3−B2O3−SiO2系の混合物などを用いることができる。ここで挙げた材料の誘電率としては、ZnO−B2O3−SiO2系ガラスが最も低く、次いでPbO−B2O3−SiO2系、Bi2O3−B2O3−SiO2系が続く。本発明の実施の形態におけるAC型PDPのバックパネルBPには、ZnO−B2O3−SiO2系混合物のガラス粉末を含む材料で低誘電率誘電体層33aを形成し、Bi2O3−B2O3−SiO2系混合物のガラス粉末を含む材料で高誘電率誘電体層33bを形成しているが、この例に限定されるものではなく、低誘電率誘電体層33aと高誘電率誘電体層33bとのそれぞれの材料の誘電率の差が大きくなるように誘電体材料を選定することが望ましい。また、データ電極27は、銀(Ag)またはニッケル(Ni)を含む厚膜電極用インクあるいはペースト材料を用いて、周知のスクリーン印刷法により印刷形成している。
【0036】
なお、上述の低誘電率誘電体層33a及びデータ電極27と高誘電率誘電体層33bはスクリーン印刷法により印刷形成する例を説明したが、本発明のAC型PDPにおいては、これに限定されるものではなく、例えば、紫外線感光性樹脂を含んだ誘電体シートまたは電極シートを周知のフォトリソ技術を利用して、露光現像によりパターニング形成を行うことも可能である。
【0037】
また、上述の説明では、背面側基板29上に直接データ電極27を形成しているが、図2の本発明の実施の形態1におけるAC型PDPの背面側基板の別の構造を示す拡大断面図のように、背面側基板29とデータ電極27の間に低誘電率誘電体層33cを形成し、その上にさらに低誘電率誘電体層33a及びデータ電極27を形成する構成であっても良い。この構成においても、低誘電率誘電体層33a及びデータ電極27と高誘電率誘電体層33bの形成方法は上述のようなスクリーン印刷法による印刷形成、またはフォトリソ技術を利用した露光現像によるパターニング形成を利用できる。
【0038】
このように、バックパネルBPの誘電体層を低誘電率誘電体層33aと高誘電率誘電体層33bの2層構造にすることは、データ電極間の誘電率を下げることにより、電極間容量が減少すると考えられ、これによりデータ電極の無効電力を下げることが可能になる。すなわち、誘電率ε、厚さd、面積Sの誘電体に周波数fの交流電圧Vを印加するとき、無効電力Pは、次式で表され、
P=CV2f
但し、Cは誘電体の容量で、
C=εS/d
であるので、電力Pは誘電率εに比例することになる。したがって、このことはデータ電極間の誘電率εを下げることで無効電力P下がり、データ電極間の電力を削減できることを示している。また、逆に、データ電極−走査電極間は誘電率εを上げることで、放電空間にかかる電圧が上昇し、低電圧での放電が可能になることになる。
【0039】
実際に、誘電率が5の材料を低誘電率誘電体層33aに、誘電率が10の材料を高誘電率誘電体層33bに用いて形成したバックパネルBPを有するAC型PDPにより駆動実験を行った例では、図1に示す構成のバックパネルBPを用いた場合、駆動して画像を表示させるときに、表示面のほぼ50%の面積が表示されるいわゆる市松パターン(チェッカーボードパターンともいう)において、バックパネルBPに単一の誘電体層33が形成されている従来のAC型PDPに比べ電力で約40%削減するという結果が得られている。
【0040】
以上説明したように、本発明の実施の形態におけるAC型PDPでは、バックパネルBPの誘電体層を低誘電率誘電体層と高誘電率誘電体層の2層構造にすることにより、データ電極間の誘電率εを下げることになって無効電力が下がり、データ電極間では充放電電力の削減が可能になる。また、データ電極−走査電極間は誘電率εを上げることになって放電空間にかかる電圧が上昇し、低電圧で書込放電が起こり安定な駆動を実現することが可能になる。
【0041】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、AC型PDPのバックパネルBPの誘電体層を低誘電率誘電体層と高誘電率誘電体層の2層構造にしており、AC型PDPのバックパネルのデータ電極間の誘電率が下がって無効電力が減少し、データ電極間では充放電電力の削減が可能になり、また、データ電極−走査電極間は誘電率が上がって放電空間にかかる電圧が上昇し、低電圧で書込放電が起こり安定な駆動を実現することが可能になるので、品質的な問題や画質の低下を招くことなくデータ電力の削減が可能なAC型PDPを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるAC型PDPの背面側基板の構造を示す拡大断面図
【図2】本発明の実施の形態におけるAC型PDPの背面側基板の別の構造を示す拡大断面図
【図3】(a)は従来のAC型PDPのパネル構造を説明する部分破断斜視図
(b)は従来のAC型PDPの電極配列図
【図4】従来のAC型PDPを駆動するためのタイミングチャート
【図5】従来のAC型PDPの別のパネル構造を説明する部分破断斜視図
【符号の説明】
BP バックパネル
FP フロントパネル
21 前面側基板
22 走査電極
23 維持電極
22a,22b 透明電極
23a,23b バス電極
24 表示電極
25 保護層
26,33 誘電体層
27 データ電極
28 隔壁
29 背面側基板
30,31,32 蛍光体
35 放電空間
33a 低誘電率誘電体層
33b 高誘電率誘電体層
Claims (6)
- 走査電極及び維持電極で対をなすストライプ状の複数の表示電極を形成するとともにその表示電極を前面側誘電体層及び保護層で覆った前面側基板と、前記表示電極と直交する方向に形成され、背面側誘電体層で覆われた複数のストライプ状のデータ電極を有する背面側基板とを備え、前記前面側基板と前記背面側基板とを微小な放電空間を挟んで対向配置し、かつ前記放電空間に放電ガスが充填されたAC型プラズマディスプレイパネルにおいて、
前記背面側基板に形成される前記データ電極を覆う前記背面側誘電体層は、隣り合うデータ電極の間を埋めるように並行に形成される第1の誘電体層と、前記データ電極及び前記第1の誘電体層の上に形成される第2の誘電体層とを備えたことを特徴とするAC型プラズマディスプレイパネル。 - 前記背面側基板上に第3の誘電体層を形成し、かつ前記第1の誘電体層と前記第3の誘電体層が同じ材料であることを特徴とする請求項1に記載のAC型プラズマディスプレイパネル。
- 前記第1の誘電体層が誘電率の低い材料で形成され、前記第2の誘電体層が誘電率の高い材料で形成されることを特徴とする請求項1に記載のAC型プラズマディスプレイパネル。
- 走査電極及び維持電極で対をなすストライプ状の複数の表示電極を形成するとともにその表示電極を前面側誘電体層及び保護層で覆った前面側基板と、前記表示電極と直交する方向に形成され、背面側誘電体層で覆われた複数のストライプ状のデータ電極を有する背面側基板とを備え、前記前面側基板と前記背面側基板とを微小な放電空間を挟んで対向配置し、かつ前記放電空間に放電ガスが充填されたAC型プラズマディスプレイパネルの製造方法において、
前記背面側基板上に複数のストライプ状の第1の誘電体層を形成する工程と、
複数のストライプ状の前記第1の誘電体層の間を埋めるように並行に前記データ電極を形成する工程と、
前記データ電極及び前記第1の誘電体層とが隣り合う両層の上に第2の誘電体層を形成する工程とを有することを特徴とするAC型プラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 前記背面側基板上に第3の誘電体層を形成し、かつ前記第1の誘電体層と前記第3の誘電体層が同じ材料であることを特徴とする請求項4に記載のAC型プラズマディスプレイパネルの製造方法。
- 前記第1の誘電体層が誘電率の低い材料で形成され、前記第2の誘電体層が誘電率の高い材料で形成されることを特徴とする請求項4に記載のAC型プラズマディスプレイパネルの製造方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008251299A (ja) * | 2007-03-30 | 2008-10-16 | Shinoda Plasma Kk | 放電管アレイ |
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2003
- 2003-06-23 JP JP2003177999A patent/JP2005019011A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008251299A (ja) * | 2007-03-30 | 2008-10-16 | Shinoda Plasma Kk | 放電管アレイ |
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