JP2005017615A - レンズ取付方法、レンズアッセンブリ、レンズ取付部材およびレンズ間隔保持部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のレンズアッセンブリと比較して小型化を図ることが可能なレンズアッセンブリを提供する。
【解決手段】薄手の熱収縮硬化型のスリーブ3を利用してレンズ1Aがレンズ1Bおよびスペーサ2に連結固定されることにより、レンズアッセンブリ10が構成されている。鏡胴によりレンズが固定されていた従来のレンズアッセンブリと比較して外径が小さくなり、スリーブ3の占有体積と鏡胴の占有体積との差異分だけ全体の占有体積が減少する。しかも、スリーブ3は鏡胴と同様の役割を果たすものであるため、このスリーブ3を利用してレンズ1Aの光軸X1Aとレンズ1Bの光軸X1Bおよびスペーサ2の中心軸X2との間の位置関係が一定に維持される。したがって、鏡胴を搭載した従来のレンズアッセンブリと比較して小型化を図ることが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】薄手の熱収縮硬化型のスリーブ3を利用してレンズ1Aがレンズ1Bおよびスペーサ2に連結固定されることにより、レンズアッセンブリ10が構成されている。鏡胴によりレンズが固定されていた従来のレンズアッセンブリと比較して外径が小さくなり、スリーブ3の占有体積と鏡胴の占有体積との差異分だけ全体の占有体積が減少する。しかも、スリーブ3は鏡胴と同様の役割を果たすものであるため、このスリーブ3を利用してレンズ1Aの光軸X1Aとレンズ1Bの光軸X1Bおよびスペーサ2の中心軸X2との間の位置関係が一定に維持される。したがって、鏡胴を搭載した従来のレンズアッセンブリと比較して小型化を図ることが可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばレンズや間隔環などにレンズを取り付けるレンズ取付方法、レンズを含むレンズアッセンブリ、例えばレンズや間隔環などにレンズを取り付けるために使用されるレンズ取付部材、ならびにレンズ間の間隔を確保するために使用されるレンズ間隔保持部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カメラ、ビデオカメラまたは液晶プロジェクタなどの光学機器が広く普及している。これらの光学機器には、結像用のレンズ群を含むレンズアッセンブリが搭載されており、このレンズアッセンブリは、主に、鏡胴によりレンズ群が保持された構成を有している(例えば、特許文献1参照。)。この鏡胴は、レンズ群を固定して、各レンズ間の光軸を一定に維持するためのものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−015005号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近では、例えば、カメラ機能を備えた携帯電話機が登場し、その携帯電話機用の小型カメラが普及し始めている。この携帯電話機用の小型カメラに関しては、既存のカメラ等とは異なり、携帯電話機の小型化を図るためにレンズアッセンブリを可能な限り小型化する必要がある。
【0005】
しかしながら、鏡胴を搭載した従来のレンズアッセンブリでは、その鏡胴の小型化に関して物理的に限界があるため、自ずと小型化に限界があった。今後益々小型化が進むものと見込まれる携帯電話機の市場動向を考慮すれば、鏡胴の小型化に限界がある現状を認知した上で、その鏡胴に代わってレンズ群を固定する新たなレンズ固定技術を確立し、さらなるレンズアッセンブリの小型化を図ることが急務であると言える。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、レンズアッセンブリの小型化を容易に実現することが可能なレンズ取付方法を提供することにある。
【0007】
また、本発明の第2の目的は、従来のレンズアッセンブリと比較して小型化を図ることが可能なレンズアッセンブリを提供することにある。
【0008】
また、本発明の第3の目的は、レンズアッセンブリを小型化するために使用されるレンズ取付部材およびレンズ間隔保持部材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るレンズ取付方法は、レンズの外周形状に対応する外周形状を有する取付対象部材にレンズを取り付ける方法であり、レンズを取付対象部材に対向させて配置する第1のステップと、レンズ取付部材を用いてレンズの外周面から取付対象部材の外周面にかけての領域を覆う第2のステップと、レンズ取付部材を収縮硬化させる第3のステップとを含むようにしたものである。
【0010】
本発明に係るレンズ取付方法では、レンズおよび取付対象部材の半径方向および軸(光軸および中心軸)方向に向かうレンズ取付部材の収縮応力を利用して、レンズが取付対象部材に連結固定される。
【0011】
本発明に係るレンズアッセンブリは、レンズの外周形状に対応する外周形状を有する取付対象部材と、取付対象部材に対向して配置されたレンズと、レンズの外周面から取付対象部材の外周面にかけての領域を覆うように設けられ、レンズを取付対象部材に連結固定するレンズ取付部材とを備えるようにしたものである。
【0012】
本発明に係るレンズアッセンブリでは、レンズ取付部材を利用してレンズが取付対象部材に取り付けられているため、鏡胴を利用してレンズが固定されている場合と比較して外径が小さくなり、占有体積が減少する。
【0013】
本発明に係るレンズ取付部材は、レンズの外周形状に対応する外周形状を有する取付対象部材に、その取付対象部材に対向して配置されたレンズを取り付けるものであり、レンズの外周面から取付対象部材の外周面にかけての領域を覆った状態で収縮硬化することにより、レンズを取付対象部材に連結固定するように構成されたものである。
【0014】
本発明に係るレンズ取付部材では、レンズおよび取付対象部材の半径方向および軸方向に向かう収縮応力を利用して、レンズと取付対象部材との連結固定機能が発揮される。
【0015】
本発明に係るレンズ間隔保持部材は、レンズとレンズとの間に配置されて、これらのレンズ間に間隔を確保するものであり、剛性を有する間隔環と、間隔環の環軸方向における少なくとも片側に、この間隔環に連結されて設けられたチューブ状のレンズ取付部材とを備え、レンズ取付部材が、間隔環の外周面からレンズの外周面にかけての領域を覆った状態で収縮硬化することにより、レンズを間隔環に連結固定するように構成されたものである。
【0016】
本発明に係るレンズ間隔保持部材では、間隔環に連結されたレンズ取付部材の収縮応力を利用して、レンズと取付対象部材との連結固定機能およびレンズ間の間隔の確保機能が発揮される。
【0017】
本発明に係るレンズ取付方法では、取付対象部材が、レンズとは異なる他のレンズ、レンズ間の間隔を画定するための間隔環、あるいはレンズの光透過面を支持面として支持するための支持部材のうちの少なくとも1つを含むようにしてもよい。
【0018】
また、本発明に係るレンズ取付方法では、第2のステップにおいて、あらかじめチューブ状構造を有するレンズ取付部材を用いるようにしてもよいし、あらかじめチューブ状構造がその延在方向に沿って分割された断片状構造を有する複数の部材で覆うことによりレンズ取付部材を構成するようにしてもよいし、あらかじめテープ状またはシート状構造を有する部材を巻き付けることによりレンズ取付部材を構成するようにしてもよいし、あらかじめ流動性を有する部材で覆ったのち、その部材を膜化することによりレンズ取付部材を構成するようにしてもよい。
【0019】
また、本発明に係るレンズ取付方法では、レンズの外周面および取付対象部材の外周面の少なくとも一方に、凸部または凹部、あるいは段差を設けるようにするのが好ましい。
【0020】
また、本発明に係るレンズ取付方法では、第3のステップにおいて、熱エネルギーまたは光エネルギーを加えることにより、レンズ取付部材を収縮硬化させるようにしてもよい。
【0021】
また、本発明に係るレンズ取付方法では、レンズ取付部材に接着層を設け、この接着層をレンズの外周面および取付対象部材の外周面側に向けてレンズ取付部材で覆うようにしてもよい。
【0022】
また、本発明に係るレンズ取付方法では、レンズ取付部材の材料として粘着性材料を用いるようにしてもよい。この場合には、さらに、レンズ取付部材の材料として遮光性材料を用いるようにするのが好ましい。
【0023】
また、本発明に係るレンズ取付方法では、第1のステップまたは第2のステップにおいて、レンズの光軸と取付対象部材の中心軸とを合致させる軸合わせを行うようにするのが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
[第1の実施の形態]
まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るレンズアッセンブリの構成について説明する。図1はレンズアッセンブリ10の断面構成を表しており、図2は図1に示したレンズアッセンブリ10の外観構成を表している。また、図3は図1および図2に示したレンズアッセンブリ10の適用例を説明するためのものであり、図1に示した断面構成に対応している。
【0026】
このレンズアッセンブリ10は、例えば、図1および図2に示したように、取付目的部材(取り付ける側の部材)としてのレンズ1Aが、取付対象部材(取り付けられる側の部材)としてのレンズ1Bおよびスペーサ2(間隔環)に取り付けられたものであり、これらのレンズ1Aとレンズ1Bおよびスペーサ2とがスリーブ3(レンズ取付部材)により周囲を覆われて連結固定された構成を有している。
【0027】
レンズ1Aは、スペーサ2に対向して配置されており、例えば、ガラス製の凸レンズである。このレンズ1Aの光軸X1Aは、レンズ1Bの光軸X1Bおよびスペーサ2の中心軸(環軸)X2と共に一直線上に位置しており、すなわち光軸X1Bおよび中心軸X2と軸合わせされている。
【0028】
レンズ1Bは、レンズ1Aの外周形状に対応する外周形状を有しており、例えば、レンズ1Aの外径と等しい外径を有するガラス製の凸レンズである。なお、レンズ1Bの外径は必ずしもレンズ1Aの外径と等しくなければならないわけではなく、レンズ1Aの外径と異なっていてもよい。
【0029】
スペーサ2は、開口部2Kを有する環状構造体であり、その開口部2Kにおいて光透過面に当接することにより2つのレンズ1A,1Bを保持し、これらのレンズ1A,1B間の間隔を画定するためのものである。このスペーサ2は、レンズ1A,1B間の間隔を一定に維持可能な程度の剛性を有する材料により構成されており、例えば、アルミニウム(Al)などの金属やポリカーボネートなどの耐熱性樹脂材料により構成されている。特に、スペーサ2は、レンズ1Aの外周形状に対応する外周形状を有しており、例えば、レンズ1Aの外径よりも小さい外径を有している。なお、スペーサ2は、例えば、上記したレンズ1A,1B間の間隔を画定する機能に加えて、絞りとしての機能を有する場合もある。
【0030】
スリーブ3は、レンズ1Aをレンズ1Bおよびスペーサ2に連結固定し、これらのレンズ1Aとレンズ1Bおよびスペーサ2との間の位置関係(光軸X1Aと光軸X1Bおよび中心軸X2と間の位置関係)を一定に維持するものである。このスリーブ3は、薄手(約0.5mm厚)のチューブ状構造体であり、レンズ1Aの外周面1ASからスペーサ2の外周面2Sを経由してレンズ1Bの外周面1BSにかけての領域を覆うように巻き付けられている。なお、スリーブ3の厚さは必ずしも上記した値に限られず、より厚手または薄手となるように自由に変更可能である。このレンズ1A,1Bの外周面1AS,1BSとは、いわゆる「コバ面」である。特に、スリーブ3は、例えば、ビニル樹脂やアクリル樹脂などの遮光性熱収縮硬化型樹脂材料により構成されており、収縮硬化前にほぼ一様な内径を有するチューブ状構造体が収縮硬化後にレンズ1A,1Bおよびスペーサ2の外周面1AS,1BS,2Sに沿うように変形したものである。
【0031】
このレンズアッセンブリ10は、例えば、携帯電話機用の小型カメラに適用される。
【0032】
すなわち、レンズアッセンブリ10は、例えば、図3に示したように、携帯電話機に搭載された回路基板50のうち、その回路基板50に設けられた筒状の突起部51に接着剤60を介して接続され、すなわち突起部51によりレンズ1Aの光透過面を支持面として支持されることにより、携帯電話機用の小型カメラの一部を構成している。このレンズアッセンブリ10では、スリーブ3がレンズ1A,1Bを保持するための鏡胴の役割を果たしており、レンズ1A,1Bの光軸X1A,X1Bは、回路基板50上の突起部51内に取り付けられた撮像素子52の結像面に位置合わせさせている。この撮像素子52は、例えば、CCD(Charge−Coupled Device )やCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor )などである。
【0033】
次に、図1〜図6を参照して、レンズアッセンブリ10の組み立てを目的として、レンズ1Aをレンズ1Bおよびスペーサ2に取り付ける方法(レンズ取付方法)について説明する。図4〜図6はレンズ取付工程のうちの一工程を説明するためのものであり、いずれも図2に示した外観構成に対応している。
【0034】
レンズアッセンブリ10を組み立てる際には、前準備として、図4に示したように、レンズ1A,1Bおよびスペーサ2と共に、あらかじめチューブ状構造を有するスリーブ3を用意する。このスリーブ3は、図1および図2に示したスリーブ3の収縮硬化前の状態に相当するものであり、例えば熱エネルギーを利用して収縮硬化することにより、レンズ1Aをレンズ1Bおよびスペーサ2に連結固定するように構成されている。このスリーブ3としては、例えば、レンズ1Aの外径よりも大きな内径をほぼ一様に有するものを使用するのが好ましい。
【0035】
上記した前準備が完了したのち、まず、図5に示したように、レンズ1Aをスペーサ2の一方側に対向配置して当接させると共に、同様にレンズ1Bをスペーサ2の他方側に対向配置して当接させることにより、レンズ1Aの光軸X1Aをレンズ1Bの光軸X1Bおよびスペーサ2の中心軸X2と合致させる。具体的には、例えば、図示しないチャック等を使用して軸合わせを行い、真円度を確認しながらスペーサ2の開口部2Kにレンズ1A,1Bの光透過面をそれぞれ当接させることにより、そのスペーサ2を利用してレンズ1A,1Bを保持する。
【0036】
続いて、図6に示したように、スリーブ3の内部に、光軸X1A,X1Bと中心軸X2との間の位置関係を維持したままレンズ1A,1Bと共にスペーサ2を挿入することにより、レンズ1Aの外周面1ASからスペーサ2の外周面2Sを経由してレンズ1Bの外周面1BSにかけての領域をスリーブ3で覆う。この際、例えば、必要に応じて再び軸合わせを行うようにする。
【0037】
最後に、例えばドライヤなどの加熱器具を使用してスリーブ3を加熱し、すなわちスリーブ3に熱エネルギーを加えることにより、図1および図2に示したように、スリーブ3を収縮硬化させる。この場合には、例えば、スリーブ3の収縮変形に起因して、光軸X1A,X1Bと中心軸X2との間の位置関係がずれないように注意する。なお、ドライヤなどの加熱器具を使用する代わりに、例えば、熱湯などの他の熱エネルギー供給源を使用することも可能である。このスリーブ3の収縮硬化反応により、レンズ1A,1Bおよびスペーサ2のそれぞれの外周面1AS,1BS,2Sに沿ってスリーブ3が変形して密着し、レンズ1A,1Bおよびスペーサ2の半径方向(図1に示した矢印F1の方向)および軸方向(図1に示した矢印F2の方向)におけるスリーブ3の収縮応力を利用してレンズ1Aがレンズ1Bおよびスペーサ2に連結固定される。これにより、スリーブ3を利用してレンズ1Aがレンズ1Bおよびスペーサ2に取り付けられ、レンズアッセンブリ10が完成する。
【0038】
本実施の形態に係るレンズアッセンブリ10では、薄手のスリーブ3を利用してレンズ1Aがレンズ1Bおよびスペーサ2に連結固定されているため、鏡胴によりレンズが固定されていた従来のレンズアッセンブリと比較して外径が小さくなり、スリーブ3の占有体積と鏡胴の占有体積との差異分だけ全体の占有体積が減少する。しかも、スリーブ3は鏡胴と同様の役割を果たすものであるため、このスリーブ3を利用して、レンズ1Aの光軸X1Aとレンズ1Bの光軸X1Bおよびスペーサ2の中心軸X2との間の位置関係が一定に維持される。したがって、本実施の形態では、鏡胴を搭載した従来のレンズアッセンブリと比較して小型化を図ることができる。この場合には、特に、レンズアッセンブリ10の小型化に基づき、そのレンズアッセンブリ10を搭載してカメラ機能を有する携帯電話機の小型化を図ることもできる。
【0039】
特に、本実施の形態では、市販の熱収縮スリーブに代表される安価なスリーブ3を利用してレンズアッセンブリ10の小型化を図ることが可能であり、精密な成形加工品である高価な鏡胴が不要となるため、レンズアッセンブリ10の低コスト化を図ることもできる。
【0040】
また、本実施の形態では、スリーブ3が遮光性であるため、レンズアッセンブリ10の使用時において不要な迷光を遮断することができる。
【0041】
また、本実施の形態に係るレンズ取付方法では、スペーサ2に対向配置されたレンズ1A,1Bをスリーブ3で覆ったのち、このスリーブ3を熱収縮硬化させることによりレンズ1Aをレンズ1Bおよびスペーサ2に取り付けるようにしたので、スリーブ3の収縮応力を利用してレンズ1Aがレンズ1Bおよびスペーサ2に連結固定され、上記したようにレンズアッセンブリ10の小型化を図ることが可能となる。しかも、このレンズアッセンブリ10の小型化は、鏡胴をスリーブ3に置き換えるだけで容易に実現可能である。したがって、本実施の形態では、レンズアッセンブリ10の小型化を容易に実現することができる。
【0042】
この場合には、特に、熱収縮硬化型樹脂により構成されたスリーブ3を使用するようにしたので、熱収縮硬化後にスリーブ3の形状が変形せず、レンズ1Aとレンズ1Bおよびスペーサ2との間の連結関係が維持される。したがって、レンズアッセンブリ10の使用時にレンズ1Aとレンズ1Bおよびスペーサ2との間で位置ずれが生じることを抑制することができる。
【0043】
また、本実施の形態に係るスリーブ3では、レンズ1A,1Bおよびスペーサ2を覆った状態で熱収縮硬化することにより、レンズ1Aをレンズ1Bおよびスペーサ2に連結固定するように構成されているため、上記したように、レンズ1A,1Bおよびスペーサ2の半径方向および軸方向に向かう収縮応力を利用して、レンズ1Aとレンズ1Bおよびスペーサ2との連結固定機能が発揮される。したがって、このスリーブ3を使用してレンズアッセンブリ10の小型化を実現することができる。
【0044】
なお、本実施の形態では、熱収縮硬化型樹脂により構成されたスリーブ3を使用するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、熱収縮硬化型樹脂に代えて、光収縮硬化型樹脂(例えば紫外線収縮硬化型樹脂)により構成されたスリーブ3を使用するようにしてもよい。この場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。特に、光収縮硬化型樹脂により構成されたスリーブ3を使用すれば、例えば、レンズ1A,1Bが熱変形しやすいプラスチック製である場合に、スリーブ3の収縮硬化時にレンズ1A,1Bが熱変形することを防止することができる。
【0045】
また、本実施の形態では、あらかじめチューブ状構造を有するスリーブ3を使用するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではない。図7〜図11は、スリーブ3の構成に関する変形例を表しており、いずれも図6に示した工程に対応している。スリーブ3としては、あらかじめチューブ状構造を有するものに代えて、例えば、(1)図7および図8に示したように、あらかじめチューブ状構造がその延在方向(光軸X1A,X1Bおよび中心軸X2の方向)に沿って分割された断片状構造を有する複数(例えば2つ)の部材を使用し、その部材でレンズ1A等を覆うことによりスリーブ3を構成するようにしてもよいし、(2)図9に示したように、あらかじめ幅狭のテープ状を有する部材を使用し、その部材をレンズ1A等に巻き付けることによりスリーブ3を構成するようにしてもよいし、(3)図10に示したように、あらかじめ幅広のシート状を有する部材を使用し、その部材を丸めてレンズ1A等に巻き付けることによりスリーブ3を構成するようにしてもよいし、(4)図11に示したように、あらかじめ流動性を有する部材でレンズ1A等を覆ったのち、その部材を膜化することによりスリーブ3を構成するようにしてもよい。図11に示した場合に使用する流動性を有する部材としては、例えば、加熱時に流動化し、かつ冷却後に被膜化することが可能な液体や粘性流体などが挙げられ、具体的には、ゴム系の樹脂が挙げられる。この樹脂は、例えば、レンズ1A,1Bの構造安定性を確保するために、これらのレンズ1A,1Bの材質の融点よりも低い融点を有するものであることが好ましい。いずれの場合においても、上記実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0046】
また、本実施の形態では、例えば、レンズ1A,1Bの外周面1AS,1BSおよびスペーサ2の外周面2Sの少なくとも一方に、フランジV(凸部)または窪みU(凹部)を設けるようにしてもよい。具体的には、例えば、図12に示したように、レンズ1A,1Bの外周面1AS,1BSにそれぞれフランジVを設けると共に、スペーサ2の外周面2Sに窪みUを設けるようにすれば、熱収縮硬化時にスリーブ3がフランジVや窪みUに噛み込むことにより、そのスリーブ3の収縮応力がレンズ1A,1Bやスペーサ2に効果的に伝わる。したがって、これらのフランジVや窪みUを利用して、レンズ1Aをレンズ1Bおよびスペーサ2により強固に連結固定させることができる。参考までに、例えば、レンズ1A,1Bは必ずしも球面の凸レンズに限られずに非球面の凸レンズでもよいため、図12では、レンズ1Aを球面の凸レンズとしたままで、レンズ1Bを非球面の凸レンズに置き換えた場合を示している。なお、図12に示したレンズアッセンブリ10に関する上記以外の特徴は、例えば、図1に示した場合と同様である。
【0047】
なお、図示はしないが、上記したフランジVや窪みUの設け方は、レンズ1Bおよびスペーサ2に対するレンズ1Aの連結固定強度等の条件に応じて自由に変更可能である。すなわち、図12ではレンズ1A,1BにフランジVを設け、スペーサ2に窪みUを設けるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、レンズ1A,1Bおよびスペーサ2の双方にフランジVまたは窪みUを設ける場合には、レンズ1A,1Bに窪みUを設け、スペーサ2にフランジVを設けるようにしてもよいし、レンズ1A,1Bおよびスペーサ2の双方にフランジVを設けるようにしてもよいし、レンズ1A,1Bおよびスペーサ2の双方に窪みUを設けるようにしてもよいし、あるいはレンズ1A,1Bまたはスペーサ2のいずれか一方にフランジVまたは窪みUを設ける場合には、レンズ1A,1BにのみフランジVまたは窪みUを設けるようにしてもよいし、スペーサ2にのみフランジVまたは窪みUを設けるようにしてもよい。さらに加えて、例えば、フランジVや窪みUの設け方がレンズ1A,1Bにおいて互いに異なるようにしてもよい。これらのいずれの場合においても、図12を参照して説明した場合と同様の効果を得ることができる。
【0048】
さらに、図12に示したフランジVや窪みUに代えて、段差Dを設けるようにしてもよい。具体的には、例えば、図13に示したように、レンズ1A,1Bの外周面1AS,1BSおよびスペーサ2の外周面2Sにそれぞれ段差Dを設けるようにすれば、熱収縮硬化時にスリーブ3が段差Dに噛み込むため、フランジVや窪みUを設けた場合と同様に、レンズ1Bおよびスペーサ2に対するレンズ1Aの連結固定強度を向上させることができる。なお、図13に示したレンズアッセンブリ10に関する上記以外の特徴は、例えば、図1に示した場合と同様である。
【0049】
なお、図示はしないが、上記した段差Dの設け方は、レンズ1Bおよびスペーサ2に対するレンズ1Aの連結固定強度等の条件に応じて自由に変更可能である。すなわち、図13ではレンズ1A,1Bおよびスペーサ2の全てに段差Dを設けるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、レンズ1A,1Bおよびスペーサ2のうちのいずれか1つ、あるいはいずれか2つの組み合わせにのみ段差Dを設けるようにしてもよい。この場合には、レンズ1A,1Bおよびスペーサ2のうちの段差Dが設けられないものに関する扱い(フランジVや窪みUを設けるか否か)は自由に設定可能である。これらのいずれの場合においても、図13を参照して説明した場合と同様の効果を得ることができる。
【0050】
また、本実施の形態では、特に、粘着性のスリーブ3を使用するのが好ましい。この場合には、スリーブ3の粘着力を利用して、軸合わせ後にレンズ1A,1Bおよびスペーサ2を仮留めし、それらのレンズ1Aとレンズ1Bおよびスペーサ2との間の位置関係を維持することができると共に、レンズ1Aとレンズ1Bおよびスペーサ2との連結固定強度を補い、そのレンズ1Aをレンズ1Bおよびスペーサ2に極めて強固に取り付けることができる。
【0051】
また、本実施の形態では、例えば、図14に示したように、スリーブ3の内面に接着層4を設け、この接着層4をレンズ1A,1Bの外周面1AS,1BSおよびスペーサ2の外周面2Sに向けてスリーブ3で覆うようにしてもよい。この場合においても、スリーブ3に設けられた接着層4の接着力を利用して、粘着性のスリーブ3を使用した場合と同様の効果を得ることができる。特に、スリーブ3に接着層4を設ける場合には、スリーブ3が粘着性を有していてもよいし、あるいはスリーブ3が粘着性を有していなくてもよい。ただし、この場合には、スリーブ3の取り扱いやすさを考慮すれば、スリーブ3は粘着性を有していないのが好ましい。なお、図14に示したレンズアッセンブリ10に関する上記以外の特徴は、例えば、図1に示した場合と同様である。
【0052】
また、本実施の形態では、スペーサ2とスリーブ3とが別体をなすようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、スペーサ2とスリーブ3とを連結して一体化するようにしてもよい。具体的には、例えば、図15に示したように、スペーサ2の中心軸X2の方向における両側に収縮硬化前の2つのスリーブ3が連結されて設けられており、これらの2つのスリーブ3がそれぞれ収容領域13KA,13KBを構成しているスリーブ部材13(レンズ間隔保持部材)を準備し、このスリーブ部材13を使用してレンズ1Aをレンズ1Bおよびスペーサ2に取り付けるようにしてもよい。このスリーブ部材13を使用する場合には、スリーブ部材13の収容領域13KAにレンズ1Aをスペーサ2に当接するように収容すると共に、同様に収容領域13KBにレンズ1Bをスペーサ2に当接するように収容したのち、上記実施の形態において説明した工程と同様の工程を経てスリーブ3を収縮硬化させることにより、図16に示したように、レンズ1Aをレンズ1Bおよびスペーサ2に連結固定し、レンズアッセンブリ10を構成することが可能である。このスリーブ部材13では、スペーサ2に連結されたスリーブ3の収縮応力を利用して、レンズ1Aとレンズ1Bおよびスペーサ2との連結固定機能が発揮される。この場合には、上記実施の形態と同様にレンズアッセンブリ10の小型化を図ることができると共に、特に、スリーブ部材13を使用することによりスペーサ2およびスリーブ3を取り扱いやすくなるため、レンズ取付作業時の作業性を向上させることができる。なお、図15および図16に示したスリーブ部材13(スペーサ2,スリーブ3)に関する上記以外の特徴は、例えば、図1および図2に示した場合と同様である。
【0053】
この場合には、例えば、必ずしもスペーサ2の中心軸X2の方向における両側にスリーブ3が連結されて設けられている必要はなく、スペーサ2のいずれか一方側にのみスリーブ3が連結されて設けられていてもよい。
【0054】
また、本実施の形態では、スリーブ3を利用して、取付対象部材として1つのレンズ1Bおよび1つのスペーサ2にレンズ1Aを取り付けるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、取付対象部材としてのレンズ1Bやスペーサ2の連結個数は自由に変更可能である。具体的には、例えば、複数のスペーサ2を介して順次連結された複数のレンズ1Bにレンズ1Aを取り付けるようにしてもよい。
【0055】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0056】
図17は、本実施の形態に係るレンズアッセンブリ20の断面構成を表している。なお、図17では、上記第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の要素に同一の符号を付している。
【0057】
このレンズアッセンブリ20は、取付目的部材をレンズ1Aとし、かつ取付対象部材をレンズ1Bおよびスペーサ2としていた上記第1の実施の形態とは異なり、取付目的部材をレンズ1Aとした上で、取付対象部材をレンズ1Aとは異なる他のレンズ1Cのみとした点を除き、上記第1の実施の形態において説明したレンズアッセンブリ10と同様の構成を有している。このレンズアッセンブリ20では、レンズ1Aの外周面1ASからレンズ1Cの外周面1CSにかけての領域を覆うようにスリーブ3が巻き付けられている。
【0058】
レンズ1Cは、例えば、レンズ1Aの外径と等しい外径を有するメニスカスレンズであり、その凹面側部分がレンズ1Aに当接している。なお、レンズ1Cの外径は必ずしもレンズ1Aの外径と等しくなければならないわけではなく、レンズ1Aの外径と異なっていてもよい。このレンズ1Cの光軸X1Cは、レンズ1Aの光軸X1Aと一直線上に位置している。
【0059】
このレンズアッセンブリ20を組み立てる際には、軸出しを行いながらレンズ1Cの凹面側部分に当接するようにレンズ1Aを対向配置し、これらのレンズ1A,1Cをスリーブ3で覆ったのち、上記第1の実施の形態と同様の工程を経てスリーブ3を収縮硬化させることにより、レンズ1Aをレンズ1Cに連結固定させる。これにより、レンズ1Aがレンズ1Cに取り付けられ、レンズアッセンブリ20が完成する。
【0060】
本実施の形態に係るレンズアッセンブリ20では、薄手のスリーブ3を利用してレンズ1Aがレンズ1Cに連結固定されているため、上記第1の実施の形態と同様の作用により、外径が小さくなって全体の占有体積が減少すると共に、光軸X1A、X1C間の位置関係が一定に維持される。したがって、この場合においても、従来のレンズアッセンブリと比較して小型化を図ることができる。
【0061】
特に、本実施の形態では、例えば、図18に示したように、レンズアッセンブリ20を携帯電話機用の小型カメラに適用すれば、そのレンズアッセンブリ20を搭載したカメラ機能を有する携帯電話機を小型化することもできる。なお、図18に示したレンズアッセンブリ20の適用例に関する上記以外の特徴は、例えば、図3に示した場合と同様である。
【0062】
なお、本実施の形態に係るレンズアッセンブリ20に関する上記以外の作用、効果および変形等は、上記第1の実施の形態と同様である。
【0063】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0064】
図19は、本実施の形態に係るレンズアッセンブリ30の断面構成を表している。なお、図19では、上記第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の要素に同一の符号を付している。
【0065】
このレンズアッセンブリ30は、取付目的部材をレンズ1Aとした上で、取付対象部材を携帯電話機の回路基板50のうちの突起部51(支持部材)とした点を除き、上記第1の実施の形態において説明したレンズアッセンブリ10と同様の構成を有している。このレンズアッセンブリ30では、レンズ1Aの外周面1ASから突起部51の外周面51Sにかけての領域を覆うようにスリーブ3が巻き付けられている。
【0066】
回路基板50の突起部51は、光透過面を支持面としてレンズ1Aを支持しており、その突起端部分がレンズ1Aに当接している。この突起部51は、レンズ1Aの外周形状に対応する外周形状を有しており、例えば、レンズ1Aの外径よりも小さい外径を有している。
【0067】
このレンズアッセンブリ30を組み立てる際には、突起部51の突起端部分に当接するようにレンズ1Aを対向配置し、これらのレンズ1Aおよび突起部51をスリーブ3で覆ったのち、上記第1の実施の形態と同様の工程を経てスリーブ3を収縮硬化させることにより、レンズ1Aを突起部51に連結固定させる。この場合には、例えば、図19に示したように、レンズ1Aと突起部51との間に接着剤を介さないようにしてもよいし、あるいは上記第1の実施の形態(図3参照)や第2の実施の形態(図18参照)において説明したように接着剤を介するようにしてもよい。これにより、レンズ1Aが突起部51に取り付けられ、レンズアッセンブリ30が完成する。
【0068】
本実施の形態に係るレンズアッセンブリ30では、薄手のスリーブ3を利用してレンズ1Aが回路基板50の突起部51に連結固定されているため、上記第1の実施の形態と同様の作用により、外径が小さくなって全体の占有体積が減少する。したがって、従来のレンズアッセンブリと比較して小型化を図り、このレンズアッセンブリ30を搭載したカメラ機能を有する携帯電話機の小型化を図ることができる。
【0069】
特に、本実施の形態では、撮像素子52が設けられている回路基板50の突起部51にレンズ1Aが直接取り付けられているため、レンズ1Aと突起部51との連結関係に基づいてレンズ1Aの光軸X1Aと撮像素子52の結像面との位置関係が単純に決定される。したがって、高精度の鏡胴を要せずに、光軸X1Aと結像面との位置関係を容易かつ高精度に設定することができる。
【0070】
なお、本実施の形態では、上記第1の実施の形態において図12および図13を参照して説明した変形例(フランジV,窪みU,段差D)を回路基板50の突起部51に適用することが可能である。具体的には、フランジV、窪みUまたは段差Dを代表して、例えば、図20に示したように、突起部51の外周面51Sに段差Dを設けるようにしてもよい。この場合には、突起部51に対するレンズ1Aの連結固定強度を向上させることができる。なお、レンズ1AにフランジV、窪みUまたは段差Dを設ける点については上記第1の実施の形態において図12および図13を参照して既に説明したので、その説明を省略する。
【0071】
なお、本実施の形態に係るレンズアッセンブリ30に関する上記以外の作用、効果および変形等は、上記第1の実施の形態と同様である。
【0072】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記各実施の形態(変形例を含む)に限定されず、種々の変形が可能である。
【0073】
例えば、上記各実施の形態(変形例を含む)において説明したレンズアッセンブリに関する一連の構造的特徴は、適宜組み合わせることが可能である。具体的には、取付目的部材をレンズ1Aをした上で、上記各実施の形態において説明した取付対象部材を適宜変更することが可能であり、例えば、(1)図21に示したように、取付対象部材を2つのスペーサ2のみとしたレンズアッセンブリ40を構成してもよいし、(2)図22に示したように、取付対象部材をスペーサ2および回路基板50(突起部51)としたレンズアッセンブリ70を構成してもよいし、(3)図23に示したように、取付対象部材をレンズ1Cおよび回路基板(突起部51)としたレンズアッセンブリ80を構成してもよいし、図24に示したように、取付対象部材をレンズ1B、スペーサ2および回路基板50(突起部51)としたレンズアッセンブリ90を構成してもよい。いずれの場合においても、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
また、上記各実施の形態では、本発明を携帯電話機用の小型カメラに適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、本発明を他の光学機器全般に適用することも可能である。この「他の光学機器」としては、例えば、光ファイバを使用した内視鏡や、画像読取レンズを搭載したスキャナなどの小型の光学機器などが挙げられる。もちろん、本発明は、上記した小型光学機器に限らず、例えば、デジタルカメラや監視カメラなどの大型の光学機器にも適用することが可能である。これらの場合においても、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るレンズ取付方法によれば、取付対象部材に対向配置されたレンズをレンズ取付部材で覆ったのち、このレンズ取付部材を収縮硬化させるようにしたので、レンズ取付部材の収縮応力を利用してレンズが取付対象部材に連結固定され、レンズアッセンブリの小型化を図ることが可能となる。したがって、レンズアッセンブリの小型化を容易に実現することができる。
【0076】
また、本発明に係るレンズアッセンブリによれば、レンズ取付部材を利用してレンズが取付対象部材に連結固定されているため、鏡胴を搭載した従来のレンズアッセンブリと比較して外径が小さくなり、全体の占有体積が減少すると共に、レンズの光軸と取付対象部材の中心軸との位置関係が一定に維持される。したがって、従来のレンズアッセンブリと比較して小型化を図ることができる。この場合には、特に、レンズアッセンブリの小型化に基づき、そのレンズアッセンブリを搭載した光学機器(例えばカメラ機能を有する携帯電話機等)の小型化を図ることもできる。
【0077】
また、本発明に係るレンズ取付部材によれば、レンズおよび取付対象部材を覆った状態で収縮硬化することにより、そのレンズを取付対象部材に連結固定するように構成されているため、このレンズ取付部材を使用してレンズアッセンブリの小型化を実現することができる。
【0078】
また、本発明に係るレンズ間隔保持部材によれば、間隔環の環軸方向における少なくとも片側にレンズ取付部材が連結された構成を有し、そのレンズ取付部材が収縮硬化することによりレンズを取付対象部材に連結固定するように構成されているため、このレンズ間隔保持部材を使用してレンズアッセンブリの小型化を実現することができると共に、特に、レンズおよび間隔環を取り扱いやすくなり、レンズ取付作業時の作業性を向上させることができる。
【0079】
また、上記の他、本発明に係るレンズ取付方法では、レンズの外周面および取付対象部材の外周面の少なくとも一方に凸部または凹部あるいは段差を設けるようにすれば、レンズ取付部材の収縮応力がレンズおよび取付対象部材に効果的に伝わるため、レンズを取付対象部材により強固に連結固定させることができる。
【0080】
また、本発明に係るレンズ取付方法では、レンズ取付部材に接着層を設け、この接着層をレンズの外周面および取付対象部材の外周面側に向けてレンズ取付部材で覆うようにすれば、レンズと取付対象部材との連結強度が補われるため、レンズ取付部材の取り扱いやすさを確保しつつ、軸合わせ後にレンズおよび取付対象部材を仮留めすることができると共に、レンズを取付対象部材に極めて強固に取り付けることができる。
【0081】
また、本発明に係るレンズ取付方法では、粘着性のレンズ取付部材を使用すれば、軸合わせ後にレンズおよび取付対象部材を仮留めすることができると共に、レンズを取付対象部材に極めて強固に連結固定させることができる。
【0082】
また、本発明に係るレンズ取付方法では、遮光性のレンズ取付部材を使用するようにすれば、レンズアッセンブリの使用時に不要な迷光を遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るレンズアッセンブリの断面構成を表す断面図である。
【図2】図1に示したレンズアッセンブリの外観構成を表す外観図である。
【図3】図1および図2に示したレンズアッセンブリの適用例を説明するための断面図である。
【図4】図1および図2に示したレンズアッセンブリの取付工程のうちの一工程を説明するための外観図である。
【図5】図4に続く工程を説明するための外観図である。
【図6】図5に続く工程を説明するための外観図である。
【図7】スリーブの構成に関する第1の変形例を説明するための概観図である。
【図8】図7に示したスリーブを説明するための外観図である。
【図9】スリーブの構成に関する第2の変形例を説明するための外観図である。
【図10】スリーブの構成に関する第3の変形例を説明するための外観図である。
【図11】スリーブの構成に関する第4の変形例を説明するための外観図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係るレンズアッセンブリの構成に関する変形例を説明するための断面図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係るレンズアッセンブリの構成に関する他の変形例を説明するための断面図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係るレンズアッセンブリの構成に関するさらに他の変形例を説明するための断面図である。
【図15】スリーブ部材の断面構成を表す断面図である。
【図16】図15に示したスリーブ部材を利用して構成されたレンズアッセンブリの外観構成を表す外観図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係るレンズアッセンブリの断面構成を表す断面図である。
【図18】図17示したレンズアッセンブリの適用例を説明するための断面図である。
【図19】本発明の第3の実施の形態に係るレンズアッセンブリの断面構成を表す断面図である。
【図20】本発明の第3の実施の形態に係るレンズアッセンブリの構成に関する変形例を説明するための断面図である。
【図21】本発明に係るレンズアッセンブリの構成に関する第1の変形例を説明するための断面図である。
【図22】本発明に係るレンズアッセンブリの構成に関する第2の変形例を説明するための断面図である。
【図23】本発明に係るレンズアッセンブリの構成に関する第3の変形例を説明するための断面図である。
【図24】本発明に係るレンズアッセンブリの構成に関する第4の変形例を表す断面図である。
【符号の説明】
1A〜1C…レンズ、1AS〜1CS,2S,51S…外周面、2…スペーサ、2K…開口部、3…スリーブ、4…接着層、10〜40,70〜90…レンズアッセンブリ、13…スリーブ部材、13KA,13KB…収容領域、50…回路基板、51…突起部、52…撮像素子、60…接着剤、D…段差、F1…半径方向、F2…軸方向、U…窪み、V…フランジ、X1A〜X1C…光軸、X2…中心軸。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばレンズや間隔環などにレンズを取り付けるレンズ取付方法、レンズを含むレンズアッセンブリ、例えばレンズや間隔環などにレンズを取り付けるために使用されるレンズ取付部材、ならびにレンズ間の間隔を確保するために使用されるレンズ間隔保持部材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、カメラ、ビデオカメラまたは液晶プロジェクタなどの光学機器が広く普及している。これらの光学機器には、結像用のレンズ群を含むレンズアッセンブリが搭載されており、このレンズアッセンブリは、主に、鏡胴によりレンズ群が保持された構成を有している(例えば、特許文献1参照。)。この鏡胴は、レンズ群を固定して、各レンズ間の光軸を一定に維持するためのものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−015005号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近では、例えば、カメラ機能を備えた携帯電話機が登場し、その携帯電話機用の小型カメラが普及し始めている。この携帯電話機用の小型カメラに関しては、既存のカメラ等とは異なり、携帯電話機の小型化を図るためにレンズアッセンブリを可能な限り小型化する必要がある。
【0005】
しかしながら、鏡胴を搭載した従来のレンズアッセンブリでは、その鏡胴の小型化に関して物理的に限界があるため、自ずと小型化に限界があった。今後益々小型化が進むものと見込まれる携帯電話機の市場動向を考慮すれば、鏡胴の小型化に限界がある現状を認知した上で、その鏡胴に代わってレンズ群を固定する新たなレンズ固定技術を確立し、さらなるレンズアッセンブリの小型化を図ることが急務であると言える。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、レンズアッセンブリの小型化を容易に実現することが可能なレンズ取付方法を提供することにある。
【0007】
また、本発明の第2の目的は、従来のレンズアッセンブリと比較して小型化を図ることが可能なレンズアッセンブリを提供することにある。
【0008】
また、本発明の第3の目的は、レンズアッセンブリを小型化するために使用されるレンズ取付部材およびレンズ間隔保持部材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るレンズ取付方法は、レンズの外周形状に対応する外周形状を有する取付対象部材にレンズを取り付ける方法であり、レンズを取付対象部材に対向させて配置する第1のステップと、レンズ取付部材を用いてレンズの外周面から取付対象部材の外周面にかけての領域を覆う第2のステップと、レンズ取付部材を収縮硬化させる第3のステップとを含むようにしたものである。
【0010】
本発明に係るレンズ取付方法では、レンズおよび取付対象部材の半径方向および軸(光軸および中心軸)方向に向かうレンズ取付部材の収縮応力を利用して、レンズが取付対象部材に連結固定される。
【0011】
本発明に係るレンズアッセンブリは、レンズの外周形状に対応する外周形状を有する取付対象部材と、取付対象部材に対向して配置されたレンズと、レンズの外周面から取付対象部材の外周面にかけての領域を覆うように設けられ、レンズを取付対象部材に連結固定するレンズ取付部材とを備えるようにしたものである。
【0012】
本発明に係るレンズアッセンブリでは、レンズ取付部材を利用してレンズが取付対象部材に取り付けられているため、鏡胴を利用してレンズが固定されている場合と比較して外径が小さくなり、占有体積が減少する。
【0013】
本発明に係るレンズ取付部材は、レンズの外周形状に対応する外周形状を有する取付対象部材に、その取付対象部材に対向して配置されたレンズを取り付けるものであり、レンズの外周面から取付対象部材の外周面にかけての領域を覆った状態で収縮硬化することにより、レンズを取付対象部材に連結固定するように構成されたものである。
【0014】
本発明に係るレンズ取付部材では、レンズおよび取付対象部材の半径方向および軸方向に向かう収縮応力を利用して、レンズと取付対象部材との連結固定機能が発揮される。
【0015】
本発明に係るレンズ間隔保持部材は、レンズとレンズとの間に配置されて、これらのレンズ間に間隔を確保するものであり、剛性を有する間隔環と、間隔環の環軸方向における少なくとも片側に、この間隔環に連結されて設けられたチューブ状のレンズ取付部材とを備え、レンズ取付部材が、間隔環の外周面からレンズの外周面にかけての領域を覆った状態で収縮硬化することにより、レンズを間隔環に連結固定するように構成されたものである。
【0016】
本発明に係るレンズ間隔保持部材では、間隔環に連結されたレンズ取付部材の収縮応力を利用して、レンズと取付対象部材との連結固定機能およびレンズ間の間隔の確保機能が発揮される。
【0017】
本発明に係るレンズ取付方法では、取付対象部材が、レンズとは異なる他のレンズ、レンズ間の間隔を画定するための間隔環、あるいはレンズの光透過面を支持面として支持するための支持部材のうちの少なくとも1つを含むようにしてもよい。
【0018】
また、本発明に係るレンズ取付方法では、第2のステップにおいて、あらかじめチューブ状構造を有するレンズ取付部材を用いるようにしてもよいし、あらかじめチューブ状構造がその延在方向に沿って分割された断片状構造を有する複数の部材で覆うことによりレンズ取付部材を構成するようにしてもよいし、あらかじめテープ状またはシート状構造を有する部材を巻き付けることによりレンズ取付部材を構成するようにしてもよいし、あらかじめ流動性を有する部材で覆ったのち、その部材を膜化することによりレンズ取付部材を構成するようにしてもよい。
【0019】
また、本発明に係るレンズ取付方法では、レンズの外周面および取付対象部材の外周面の少なくとも一方に、凸部または凹部、あるいは段差を設けるようにするのが好ましい。
【0020】
また、本発明に係るレンズ取付方法では、第3のステップにおいて、熱エネルギーまたは光エネルギーを加えることにより、レンズ取付部材を収縮硬化させるようにしてもよい。
【0021】
また、本発明に係るレンズ取付方法では、レンズ取付部材に接着層を設け、この接着層をレンズの外周面および取付対象部材の外周面側に向けてレンズ取付部材で覆うようにしてもよい。
【0022】
また、本発明に係るレンズ取付方法では、レンズ取付部材の材料として粘着性材料を用いるようにしてもよい。この場合には、さらに、レンズ取付部材の材料として遮光性材料を用いるようにするのが好ましい。
【0023】
また、本発明に係るレンズ取付方法では、第1のステップまたは第2のステップにおいて、レンズの光軸と取付対象部材の中心軸とを合致させる軸合わせを行うようにするのが好ましい。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
[第1の実施の形態]
まず、図1〜図3を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るレンズアッセンブリの構成について説明する。図1はレンズアッセンブリ10の断面構成を表しており、図2は図1に示したレンズアッセンブリ10の外観構成を表している。また、図3は図1および図2に示したレンズアッセンブリ10の適用例を説明するためのものであり、図1に示した断面構成に対応している。
【0026】
このレンズアッセンブリ10は、例えば、図1および図2に示したように、取付目的部材(取り付ける側の部材)としてのレンズ1Aが、取付対象部材(取り付けられる側の部材)としてのレンズ1Bおよびスペーサ2(間隔環)に取り付けられたものであり、これらのレンズ1Aとレンズ1Bおよびスペーサ2とがスリーブ3(レンズ取付部材)により周囲を覆われて連結固定された構成を有している。
【0027】
レンズ1Aは、スペーサ2に対向して配置されており、例えば、ガラス製の凸レンズである。このレンズ1Aの光軸X1Aは、レンズ1Bの光軸X1Bおよびスペーサ2の中心軸(環軸)X2と共に一直線上に位置しており、すなわち光軸X1Bおよび中心軸X2と軸合わせされている。
【0028】
レンズ1Bは、レンズ1Aの外周形状に対応する外周形状を有しており、例えば、レンズ1Aの外径と等しい外径を有するガラス製の凸レンズである。なお、レンズ1Bの外径は必ずしもレンズ1Aの外径と等しくなければならないわけではなく、レンズ1Aの外径と異なっていてもよい。
【0029】
スペーサ2は、開口部2Kを有する環状構造体であり、その開口部2Kにおいて光透過面に当接することにより2つのレンズ1A,1Bを保持し、これらのレンズ1A,1B間の間隔を画定するためのものである。このスペーサ2は、レンズ1A,1B間の間隔を一定に維持可能な程度の剛性を有する材料により構成されており、例えば、アルミニウム(Al)などの金属やポリカーボネートなどの耐熱性樹脂材料により構成されている。特に、スペーサ2は、レンズ1Aの外周形状に対応する外周形状を有しており、例えば、レンズ1Aの外径よりも小さい外径を有している。なお、スペーサ2は、例えば、上記したレンズ1A,1B間の間隔を画定する機能に加えて、絞りとしての機能を有する場合もある。
【0030】
スリーブ3は、レンズ1Aをレンズ1Bおよびスペーサ2に連結固定し、これらのレンズ1Aとレンズ1Bおよびスペーサ2との間の位置関係(光軸X1Aと光軸X1Bおよび中心軸X2と間の位置関係)を一定に維持するものである。このスリーブ3は、薄手(約0.5mm厚)のチューブ状構造体であり、レンズ1Aの外周面1ASからスペーサ2の外周面2Sを経由してレンズ1Bの外周面1BSにかけての領域を覆うように巻き付けられている。なお、スリーブ3の厚さは必ずしも上記した値に限られず、より厚手または薄手となるように自由に変更可能である。このレンズ1A,1Bの外周面1AS,1BSとは、いわゆる「コバ面」である。特に、スリーブ3は、例えば、ビニル樹脂やアクリル樹脂などの遮光性熱収縮硬化型樹脂材料により構成されており、収縮硬化前にほぼ一様な内径を有するチューブ状構造体が収縮硬化後にレンズ1A,1Bおよびスペーサ2の外周面1AS,1BS,2Sに沿うように変形したものである。
【0031】
このレンズアッセンブリ10は、例えば、携帯電話機用の小型カメラに適用される。
【0032】
すなわち、レンズアッセンブリ10は、例えば、図3に示したように、携帯電話機に搭載された回路基板50のうち、その回路基板50に設けられた筒状の突起部51に接着剤60を介して接続され、すなわち突起部51によりレンズ1Aの光透過面を支持面として支持されることにより、携帯電話機用の小型カメラの一部を構成している。このレンズアッセンブリ10では、スリーブ3がレンズ1A,1Bを保持するための鏡胴の役割を果たしており、レンズ1A,1Bの光軸X1A,X1Bは、回路基板50上の突起部51内に取り付けられた撮像素子52の結像面に位置合わせさせている。この撮像素子52は、例えば、CCD(Charge−Coupled Device )やCMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor )などである。
【0033】
次に、図1〜図6を参照して、レンズアッセンブリ10の組み立てを目的として、レンズ1Aをレンズ1Bおよびスペーサ2に取り付ける方法(レンズ取付方法)について説明する。図4〜図6はレンズ取付工程のうちの一工程を説明するためのものであり、いずれも図2に示した外観構成に対応している。
【0034】
レンズアッセンブリ10を組み立てる際には、前準備として、図4に示したように、レンズ1A,1Bおよびスペーサ2と共に、あらかじめチューブ状構造を有するスリーブ3を用意する。このスリーブ3は、図1および図2に示したスリーブ3の収縮硬化前の状態に相当するものであり、例えば熱エネルギーを利用して収縮硬化することにより、レンズ1Aをレンズ1Bおよびスペーサ2に連結固定するように構成されている。このスリーブ3としては、例えば、レンズ1Aの外径よりも大きな内径をほぼ一様に有するものを使用するのが好ましい。
【0035】
上記した前準備が完了したのち、まず、図5に示したように、レンズ1Aをスペーサ2の一方側に対向配置して当接させると共に、同様にレンズ1Bをスペーサ2の他方側に対向配置して当接させることにより、レンズ1Aの光軸X1Aをレンズ1Bの光軸X1Bおよびスペーサ2の中心軸X2と合致させる。具体的には、例えば、図示しないチャック等を使用して軸合わせを行い、真円度を確認しながらスペーサ2の開口部2Kにレンズ1A,1Bの光透過面をそれぞれ当接させることにより、そのスペーサ2を利用してレンズ1A,1Bを保持する。
【0036】
続いて、図6に示したように、スリーブ3の内部に、光軸X1A,X1Bと中心軸X2との間の位置関係を維持したままレンズ1A,1Bと共にスペーサ2を挿入することにより、レンズ1Aの外周面1ASからスペーサ2の外周面2Sを経由してレンズ1Bの外周面1BSにかけての領域をスリーブ3で覆う。この際、例えば、必要に応じて再び軸合わせを行うようにする。
【0037】
最後に、例えばドライヤなどの加熱器具を使用してスリーブ3を加熱し、すなわちスリーブ3に熱エネルギーを加えることにより、図1および図2に示したように、スリーブ3を収縮硬化させる。この場合には、例えば、スリーブ3の収縮変形に起因して、光軸X1A,X1Bと中心軸X2との間の位置関係がずれないように注意する。なお、ドライヤなどの加熱器具を使用する代わりに、例えば、熱湯などの他の熱エネルギー供給源を使用することも可能である。このスリーブ3の収縮硬化反応により、レンズ1A,1Bおよびスペーサ2のそれぞれの外周面1AS,1BS,2Sに沿ってスリーブ3が変形して密着し、レンズ1A,1Bおよびスペーサ2の半径方向(図1に示した矢印F1の方向)および軸方向(図1に示した矢印F2の方向)におけるスリーブ3の収縮応力を利用してレンズ1Aがレンズ1Bおよびスペーサ2に連結固定される。これにより、スリーブ3を利用してレンズ1Aがレンズ1Bおよびスペーサ2に取り付けられ、レンズアッセンブリ10が完成する。
【0038】
本実施の形態に係るレンズアッセンブリ10では、薄手のスリーブ3を利用してレンズ1Aがレンズ1Bおよびスペーサ2に連結固定されているため、鏡胴によりレンズが固定されていた従来のレンズアッセンブリと比較して外径が小さくなり、スリーブ3の占有体積と鏡胴の占有体積との差異分だけ全体の占有体積が減少する。しかも、スリーブ3は鏡胴と同様の役割を果たすものであるため、このスリーブ3を利用して、レンズ1Aの光軸X1Aとレンズ1Bの光軸X1Bおよびスペーサ2の中心軸X2との間の位置関係が一定に維持される。したがって、本実施の形態では、鏡胴を搭載した従来のレンズアッセンブリと比較して小型化を図ることができる。この場合には、特に、レンズアッセンブリ10の小型化に基づき、そのレンズアッセンブリ10を搭載してカメラ機能を有する携帯電話機の小型化を図ることもできる。
【0039】
特に、本実施の形態では、市販の熱収縮スリーブに代表される安価なスリーブ3を利用してレンズアッセンブリ10の小型化を図ることが可能であり、精密な成形加工品である高価な鏡胴が不要となるため、レンズアッセンブリ10の低コスト化を図ることもできる。
【0040】
また、本実施の形態では、スリーブ3が遮光性であるため、レンズアッセンブリ10の使用時において不要な迷光を遮断することができる。
【0041】
また、本実施の形態に係るレンズ取付方法では、スペーサ2に対向配置されたレンズ1A,1Bをスリーブ3で覆ったのち、このスリーブ3を熱収縮硬化させることによりレンズ1Aをレンズ1Bおよびスペーサ2に取り付けるようにしたので、スリーブ3の収縮応力を利用してレンズ1Aがレンズ1Bおよびスペーサ2に連結固定され、上記したようにレンズアッセンブリ10の小型化を図ることが可能となる。しかも、このレンズアッセンブリ10の小型化は、鏡胴をスリーブ3に置き換えるだけで容易に実現可能である。したがって、本実施の形態では、レンズアッセンブリ10の小型化を容易に実現することができる。
【0042】
この場合には、特に、熱収縮硬化型樹脂により構成されたスリーブ3を使用するようにしたので、熱収縮硬化後にスリーブ3の形状が変形せず、レンズ1Aとレンズ1Bおよびスペーサ2との間の連結関係が維持される。したがって、レンズアッセンブリ10の使用時にレンズ1Aとレンズ1Bおよびスペーサ2との間で位置ずれが生じることを抑制することができる。
【0043】
また、本実施の形態に係るスリーブ3では、レンズ1A,1Bおよびスペーサ2を覆った状態で熱収縮硬化することにより、レンズ1Aをレンズ1Bおよびスペーサ2に連結固定するように構成されているため、上記したように、レンズ1A,1Bおよびスペーサ2の半径方向および軸方向に向かう収縮応力を利用して、レンズ1Aとレンズ1Bおよびスペーサ2との連結固定機能が発揮される。したがって、このスリーブ3を使用してレンズアッセンブリ10の小型化を実現することができる。
【0044】
なお、本実施の形態では、熱収縮硬化型樹脂により構成されたスリーブ3を使用するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、熱収縮硬化型樹脂に代えて、光収縮硬化型樹脂(例えば紫外線収縮硬化型樹脂)により構成されたスリーブ3を使用するようにしてもよい。この場合においても、上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。特に、光収縮硬化型樹脂により構成されたスリーブ3を使用すれば、例えば、レンズ1A,1Bが熱変形しやすいプラスチック製である場合に、スリーブ3の収縮硬化時にレンズ1A,1Bが熱変形することを防止することができる。
【0045】
また、本実施の形態では、あらかじめチューブ状構造を有するスリーブ3を使用するようにしたが、必ずしもこれに限られるものではない。図7〜図11は、スリーブ3の構成に関する変形例を表しており、いずれも図6に示した工程に対応している。スリーブ3としては、あらかじめチューブ状構造を有するものに代えて、例えば、(1)図7および図8に示したように、あらかじめチューブ状構造がその延在方向(光軸X1A,X1Bおよび中心軸X2の方向)に沿って分割された断片状構造を有する複数(例えば2つ)の部材を使用し、その部材でレンズ1A等を覆うことによりスリーブ3を構成するようにしてもよいし、(2)図9に示したように、あらかじめ幅狭のテープ状を有する部材を使用し、その部材をレンズ1A等に巻き付けることによりスリーブ3を構成するようにしてもよいし、(3)図10に示したように、あらかじめ幅広のシート状を有する部材を使用し、その部材を丸めてレンズ1A等に巻き付けることによりスリーブ3を構成するようにしてもよいし、(4)図11に示したように、あらかじめ流動性を有する部材でレンズ1A等を覆ったのち、その部材を膜化することによりスリーブ3を構成するようにしてもよい。図11に示した場合に使用する流動性を有する部材としては、例えば、加熱時に流動化し、かつ冷却後に被膜化することが可能な液体や粘性流体などが挙げられ、具体的には、ゴム系の樹脂が挙げられる。この樹脂は、例えば、レンズ1A,1Bの構造安定性を確保するために、これらのレンズ1A,1Bの材質の融点よりも低い融点を有するものであることが好ましい。いずれの場合においても、上記実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0046】
また、本実施の形態では、例えば、レンズ1A,1Bの外周面1AS,1BSおよびスペーサ2の外周面2Sの少なくとも一方に、フランジV(凸部)または窪みU(凹部)を設けるようにしてもよい。具体的には、例えば、図12に示したように、レンズ1A,1Bの外周面1AS,1BSにそれぞれフランジVを設けると共に、スペーサ2の外周面2Sに窪みUを設けるようにすれば、熱収縮硬化時にスリーブ3がフランジVや窪みUに噛み込むことにより、そのスリーブ3の収縮応力がレンズ1A,1Bやスペーサ2に効果的に伝わる。したがって、これらのフランジVや窪みUを利用して、レンズ1Aをレンズ1Bおよびスペーサ2により強固に連結固定させることができる。参考までに、例えば、レンズ1A,1Bは必ずしも球面の凸レンズに限られずに非球面の凸レンズでもよいため、図12では、レンズ1Aを球面の凸レンズとしたままで、レンズ1Bを非球面の凸レンズに置き換えた場合を示している。なお、図12に示したレンズアッセンブリ10に関する上記以外の特徴は、例えば、図1に示した場合と同様である。
【0047】
なお、図示はしないが、上記したフランジVや窪みUの設け方は、レンズ1Bおよびスペーサ2に対するレンズ1Aの連結固定強度等の条件に応じて自由に変更可能である。すなわち、図12ではレンズ1A,1BにフランジVを設け、スペーサ2に窪みUを設けるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、レンズ1A,1Bおよびスペーサ2の双方にフランジVまたは窪みUを設ける場合には、レンズ1A,1Bに窪みUを設け、スペーサ2にフランジVを設けるようにしてもよいし、レンズ1A,1Bおよびスペーサ2の双方にフランジVを設けるようにしてもよいし、レンズ1A,1Bおよびスペーサ2の双方に窪みUを設けるようにしてもよいし、あるいはレンズ1A,1Bまたはスペーサ2のいずれか一方にフランジVまたは窪みUを設ける場合には、レンズ1A,1BにのみフランジVまたは窪みUを設けるようにしてもよいし、スペーサ2にのみフランジVまたは窪みUを設けるようにしてもよい。さらに加えて、例えば、フランジVや窪みUの設け方がレンズ1A,1Bにおいて互いに異なるようにしてもよい。これらのいずれの場合においても、図12を参照して説明した場合と同様の効果を得ることができる。
【0048】
さらに、図12に示したフランジVや窪みUに代えて、段差Dを設けるようにしてもよい。具体的には、例えば、図13に示したように、レンズ1A,1Bの外周面1AS,1BSおよびスペーサ2の外周面2Sにそれぞれ段差Dを設けるようにすれば、熱収縮硬化時にスリーブ3が段差Dに噛み込むため、フランジVや窪みUを設けた場合と同様に、レンズ1Bおよびスペーサ2に対するレンズ1Aの連結固定強度を向上させることができる。なお、図13に示したレンズアッセンブリ10に関する上記以外の特徴は、例えば、図1に示した場合と同様である。
【0049】
なお、図示はしないが、上記した段差Dの設け方は、レンズ1Bおよびスペーサ2に対するレンズ1Aの連結固定強度等の条件に応じて自由に変更可能である。すなわち、図13ではレンズ1A,1Bおよびスペーサ2の全てに段差Dを設けるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、レンズ1A,1Bおよびスペーサ2のうちのいずれか1つ、あるいはいずれか2つの組み合わせにのみ段差Dを設けるようにしてもよい。この場合には、レンズ1A,1Bおよびスペーサ2のうちの段差Dが設けられないものに関する扱い(フランジVや窪みUを設けるか否か)は自由に設定可能である。これらのいずれの場合においても、図13を参照して説明した場合と同様の効果を得ることができる。
【0050】
また、本実施の形態では、特に、粘着性のスリーブ3を使用するのが好ましい。この場合には、スリーブ3の粘着力を利用して、軸合わせ後にレンズ1A,1Bおよびスペーサ2を仮留めし、それらのレンズ1Aとレンズ1Bおよびスペーサ2との間の位置関係を維持することができると共に、レンズ1Aとレンズ1Bおよびスペーサ2との連結固定強度を補い、そのレンズ1Aをレンズ1Bおよびスペーサ2に極めて強固に取り付けることができる。
【0051】
また、本実施の形態では、例えば、図14に示したように、スリーブ3の内面に接着層4を設け、この接着層4をレンズ1A,1Bの外周面1AS,1BSおよびスペーサ2の外周面2Sに向けてスリーブ3で覆うようにしてもよい。この場合においても、スリーブ3に設けられた接着層4の接着力を利用して、粘着性のスリーブ3を使用した場合と同様の効果を得ることができる。特に、スリーブ3に接着層4を設ける場合には、スリーブ3が粘着性を有していてもよいし、あるいはスリーブ3が粘着性を有していなくてもよい。ただし、この場合には、スリーブ3の取り扱いやすさを考慮すれば、スリーブ3は粘着性を有していないのが好ましい。なお、図14に示したレンズアッセンブリ10に関する上記以外の特徴は、例えば、図1に示した場合と同様である。
【0052】
また、本実施の形態では、スペーサ2とスリーブ3とが別体をなすようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、スペーサ2とスリーブ3とを連結して一体化するようにしてもよい。具体的には、例えば、図15に示したように、スペーサ2の中心軸X2の方向における両側に収縮硬化前の2つのスリーブ3が連結されて設けられており、これらの2つのスリーブ3がそれぞれ収容領域13KA,13KBを構成しているスリーブ部材13(レンズ間隔保持部材)を準備し、このスリーブ部材13を使用してレンズ1Aをレンズ1Bおよびスペーサ2に取り付けるようにしてもよい。このスリーブ部材13を使用する場合には、スリーブ部材13の収容領域13KAにレンズ1Aをスペーサ2に当接するように収容すると共に、同様に収容領域13KBにレンズ1Bをスペーサ2に当接するように収容したのち、上記実施の形態において説明した工程と同様の工程を経てスリーブ3を収縮硬化させることにより、図16に示したように、レンズ1Aをレンズ1Bおよびスペーサ2に連結固定し、レンズアッセンブリ10を構成することが可能である。このスリーブ部材13では、スペーサ2に連結されたスリーブ3の収縮応力を利用して、レンズ1Aとレンズ1Bおよびスペーサ2との連結固定機能が発揮される。この場合には、上記実施の形態と同様にレンズアッセンブリ10の小型化を図ることができると共に、特に、スリーブ部材13を使用することによりスペーサ2およびスリーブ3を取り扱いやすくなるため、レンズ取付作業時の作業性を向上させることができる。なお、図15および図16に示したスリーブ部材13(スペーサ2,スリーブ3)に関する上記以外の特徴は、例えば、図1および図2に示した場合と同様である。
【0053】
この場合には、例えば、必ずしもスペーサ2の中心軸X2の方向における両側にスリーブ3が連結されて設けられている必要はなく、スペーサ2のいずれか一方側にのみスリーブ3が連結されて設けられていてもよい。
【0054】
また、本実施の形態では、スリーブ3を利用して、取付対象部材として1つのレンズ1Bおよび1つのスペーサ2にレンズ1Aを取り付けるようにしたが、必ずしもこれに限られるものではなく、取付対象部材としてのレンズ1Bやスペーサ2の連結個数は自由に変更可能である。具体的には、例えば、複数のスペーサ2を介して順次連結された複数のレンズ1Bにレンズ1Aを取り付けるようにしてもよい。
【0055】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0056】
図17は、本実施の形態に係るレンズアッセンブリ20の断面構成を表している。なお、図17では、上記第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の要素に同一の符号を付している。
【0057】
このレンズアッセンブリ20は、取付目的部材をレンズ1Aとし、かつ取付対象部材をレンズ1Bおよびスペーサ2としていた上記第1の実施の形態とは異なり、取付目的部材をレンズ1Aとした上で、取付対象部材をレンズ1Aとは異なる他のレンズ1Cのみとした点を除き、上記第1の実施の形態において説明したレンズアッセンブリ10と同様の構成を有している。このレンズアッセンブリ20では、レンズ1Aの外周面1ASからレンズ1Cの外周面1CSにかけての領域を覆うようにスリーブ3が巻き付けられている。
【0058】
レンズ1Cは、例えば、レンズ1Aの外径と等しい外径を有するメニスカスレンズであり、その凹面側部分がレンズ1Aに当接している。なお、レンズ1Cの外径は必ずしもレンズ1Aの外径と等しくなければならないわけではなく、レンズ1Aの外径と異なっていてもよい。このレンズ1Cの光軸X1Cは、レンズ1Aの光軸X1Aと一直線上に位置している。
【0059】
このレンズアッセンブリ20を組み立てる際には、軸出しを行いながらレンズ1Cの凹面側部分に当接するようにレンズ1Aを対向配置し、これらのレンズ1A,1Cをスリーブ3で覆ったのち、上記第1の実施の形態と同様の工程を経てスリーブ3を収縮硬化させることにより、レンズ1Aをレンズ1Cに連結固定させる。これにより、レンズ1Aがレンズ1Cに取り付けられ、レンズアッセンブリ20が完成する。
【0060】
本実施の形態に係るレンズアッセンブリ20では、薄手のスリーブ3を利用してレンズ1Aがレンズ1Cに連結固定されているため、上記第1の実施の形態と同様の作用により、外径が小さくなって全体の占有体積が減少すると共に、光軸X1A、X1C間の位置関係が一定に維持される。したがって、この場合においても、従来のレンズアッセンブリと比較して小型化を図ることができる。
【0061】
特に、本実施の形態では、例えば、図18に示したように、レンズアッセンブリ20を携帯電話機用の小型カメラに適用すれば、そのレンズアッセンブリ20を搭載したカメラ機能を有する携帯電話機を小型化することもできる。なお、図18に示したレンズアッセンブリ20の適用例に関する上記以外の特徴は、例えば、図3に示した場合と同様である。
【0062】
なお、本実施の形態に係るレンズアッセンブリ20に関する上記以外の作用、効果および変形等は、上記第1の実施の形態と同様である。
【0063】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0064】
図19は、本実施の形態に係るレンズアッセンブリ30の断面構成を表している。なお、図19では、上記第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の要素に同一の符号を付している。
【0065】
このレンズアッセンブリ30は、取付目的部材をレンズ1Aとした上で、取付対象部材を携帯電話機の回路基板50のうちの突起部51(支持部材)とした点を除き、上記第1の実施の形態において説明したレンズアッセンブリ10と同様の構成を有している。このレンズアッセンブリ30では、レンズ1Aの外周面1ASから突起部51の外周面51Sにかけての領域を覆うようにスリーブ3が巻き付けられている。
【0066】
回路基板50の突起部51は、光透過面を支持面としてレンズ1Aを支持しており、その突起端部分がレンズ1Aに当接している。この突起部51は、レンズ1Aの外周形状に対応する外周形状を有しており、例えば、レンズ1Aの外径よりも小さい外径を有している。
【0067】
このレンズアッセンブリ30を組み立てる際には、突起部51の突起端部分に当接するようにレンズ1Aを対向配置し、これらのレンズ1Aおよび突起部51をスリーブ3で覆ったのち、上記第1の実施の形態と同様の工程を経てスリーブ3を収縮硬化させることにより、レンズ1Aを突起部51に連結固定させる。この場合には、例えば、図19に示したように、レンズ1Aと突起部51との間に接着剤を介さないようにしてもよいし、あるいは上記第1の実施の形態(図3参照)や第2の実施の形態(図18参照)において説明したように接着剤を介するようにしてもよい。これにより、レンズ1Aが突起部51に取り付けられ、レンズアッセンブリ30が完成する。
【0068】
本実施の形態に係るレンズアッセンブリ30では、薄手のスリーブ3を利用してレンズ1Aが回路基板50の突起部51に連結固定されているため、上記第1の実施の形態と同様の作用により、外径が小さくなって全体の占有体積が減少する。したがって、従来のレンズアッセンブリと比較して小型化を図り、このレンズアッセンブリ30を搭載したカメラ機能を有する携帯電話機の小型化を図ることができる。
【0069】
特に、本実施の形態では、撮像素子52が設けられている回路基板50の突起部51にレンズ1Aが直接取り付けられているため、レンズ1Aと突起部51との連結関係に基づいてレンズ1Aの光軸X1Aと撮像素子52の結像面との位置関係が単純に決定される。したがって、高精度の鏡胴を要せずに、光軸X1Aと結像面との位置関係を容易かつ高精度に設定することができる。
【0070】
なお、本実施の形態では、上記第1の実施の形態において図12および図13を参照して説明した変形例(フランジV,窪みU,段差D)を回路基板50の突起部51に適用することが可能である。具体的には、フランジV、窪みUまたは段差Dを代表して、例えば、図20に示したように、突起部51の外周面51Sに段差Dを設けるようにしてもよい。この場合には、突起部51に対するレンズ1Aの連結固定強度を向上させることができる。なお、レンズ1AにフランジV、窪みUまたは段差Dを設ける点については上記第1の実施の形態において図12および図13を参照して既に説明したので、その説明を省略する。
【0071】
なお、本実施の形態に係るレンズアッセンブリ30に関する上記以外の作用、効果および変形等は、上記第1の実施の形態と同様である。
【0072】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記各実施の形態(変形例を含む)に限定されず、種々の変形が可能である。
【0073】
例えば、上記各実施の形態(変形例を含む)において説明したレンズアッセンブリに関する一連の構造的特徴は、適宜組み合わせることが可能である。具体的には、取付目的部材をレンズ1Aをした上で、上記各実施の形態において説明した取付対象部材を適宜変更することが可能であり、例えば、(1)図21に示したように、取付対象部材を2つのスペーサ2のみとしたレンズアッセンブリ40を構成してもよいし、(2)図22に示したように、取付対象部材をスペーサ2および回路基板50(突起部51)としたレンズアッセンブリ70を構成してもよいし、(3)図23に示したように、取付対象部材をレンズ1Cおよび回路基板(突起部51)としたレンズアッセンブリ80を構成してもよいし、図24に示したように、取付対象部材をレンズ1B、スペーサ2および回路基板50(突起部51)としたレンズアッセンブリ90を構成してもよい。いずれの場合においても、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0074】
また、上記各実施の形態では、本発明を携帯電話機用の小型カメラに適用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、本発明を他の光学機器全般に適用することも可能である。この「他の光学機器」としては、例えば、光ファイバを使用した内視鏡や、画像読取レンズを搭載したスキャナなどの小型の光学機器などが挙げられる。もちろん、本発明は、上記した小型光学機器に限らず、例えば、デジタルカメラや監視カメラなどの大型の光学機器にも適用することが可能である。これらの場合においても、上記各実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係るレンズ取付方法によれば、取付対象部材に対向配置されたレンズをレンズ取付部材で覆ったのち、このレンズ取付部材を収縮硬化させるようにしたので、レンズ取付部材の収縮応力を利用してレンズが取付対象部材に連結固定され、レンズアッセンブリの小型化を図ることが可能となる。したがって、レンズアッセンブリの小型化を容易に実現することができる。
【0076】
また、本発明に係るレンズアッセンブリによれば、レンズ取付部材を利用してレンズが取付対象部材に連結固定されているため、鏡胴を搭載した従来のレンズアッセンブリと比較して外径が小さくなり、全体の占有体積が減少すると共に、レンズの光軸と取付対象部材の中心軸との位置関係が一定に維持される。したがって、従来のレンズアッセンブリと比較して小型化を図ることができる。この場合には、特に、レンズアッセンブリの小型化に基づき、そのレンズアッセンブリを搭載した光学機器(例えばカメラ機能を有する携帯電話機等)の小型化を図ることもできる。
【0077】
また、本発明に係るレンズ取付部材によれば、レンズおよび取付対象部材を覆った状態で収縮硬化することにより、そのレンズを取付対象部材に連結固定するように構成されているため、このレンズ取付部材を使用してレンズアッセンブリの小型化を実現することができる。
【0078】
また、本発明に係るレンズ間隔保持部材によれば、間隔環の環軸方向における少なくとも片側にレンズ取付部材が連結された構成を有し、そのレンズ取付部材が収縮硬化することによりレンズを取付対象部材に連結固定するように構成されているため、このレンズ間隔保持部材を使用してレンズアッセンブリの小型化を実現することができると共に、特に、レンズおよび間隔環を取り扱いやすくなり、レンズ取付作業時の作業性を向上させることができる。
【0079】
また、上記の他、本発明に係るレンズ取付方法では、レンズの外周面および取付対象部材の外周面の少なくとも一方に凸部または凹部あるいは段差を設けるようにすれば、レンズ取付部材の収縮応力がレンズおよび取付対象部材に効果的に伝わるため、レンズを取付対象部材により強固に連結固定させることができる。
【0080】
また、本発明に係るレンズ取付方法では、レンズ取付部材に接着層を設け、この接着層をレンズの外周面および取付対象部材の外周面側に向けてレンズ取付部材で覆うようにすれば、レンズと取付対象部材との連結強度が補われるため、レンズ取付部材の取り扱いやすさを確保しつつ、軸合わせ後にレンズおよび取付対象部材を仮留めすることができると共に、レンズを取付対象部材に極めて強固に取り付けることができる。
【0081】
また、本発明に係るレンズ取付方法では、粘着性のレンズ取付部材を使用すれば、軸合わせ後にレンズおよび取付対象部材を仮留めすることができると共に、レンズを取付対象部材に極めて強固に連結固定させることができる。
【0082】
また、本発明に係るレンズ取付方法では、遮光性のレンズ取付部材を使用するようにすれば、レンズアッセンブリの使用時に不要な迷光を遮断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るレンズアッセンブリの断面構成を表す断面図である。
【図2】図1に示したレンズアッセンブリの外観構成を表す外観図である。
【図3】図1および図2に示したレンズアッセンブリの適用例を説明するための断面図である。
【図4】図1および図2に示したレンズアッセンブリの取付工程のうちの一工程を説明するための外観図である。
【図5】図4に続く工程を説明するための外観図である。
【図6】図5に続く工程を説明するための外観図である。
【図7】スリーブの構成に関する第1の変形例を説明するための概観図である。
【図8】図7に示したスリーブを説明するための外観図である。
【図9】スリーブの構成に関する第2の変形例を説明するための外観図である。
【図10】スリーブの構成に関する第3の変形例を説明するための外観図である。
【図11】スリーブの構成に関する第4の変形例を説明するための外観図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係るレンズアッセンブリの構成に関する変形例を説明するための断面図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態に係るレンズアッセンブリの構成に関する他の変形例を説明するための断面図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態に係るレンズアッセンブリの構成に関するさらに他の変形例を説明するための断面図である。
【図15】スリーブ部材の断面構成を表す断面図である。
【図16】図15に示したスリーブ部材を利用して構成されたレンズアッセンブリの外観構成を表す外観図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係るレンズアッセンブリの断面構成を表す断面図である。
【図18】図17示したレンズアッセンブリの適用例を説明するための断面図である。
【図19】本発明の第3の実施の形態に係るレンズアッセンブリの断面構成を表す断面図である。
【図20】本発明の第3の実施の形態に係るレンズアッセンブリの構成に関する変形例を説明するための断面図である。
【図21】本発明に係るレンズアッセンブリの構成に関する第1の変形例を説明するための断面図である。
【図22】本発明に係るレンズアッセンブリの構成に関する第2の変形例を説明するための断面図である。
【図23】本発明に係るレンズアッセンブリの構成に関する第3の変形例を説明するための断面図である。
【図24】本発明に係るレンズアッセンブリの構成に関する第4の変形例を表す断面図である。
【符号の説明】
1A〜1C…レンズ、1AS〜1CS,2S,51S…外周面、2…スペーサ、2K…開口部、3…スリーブ、4…接着層、10〜40,70〜90…レンズアッセンブリ、13…スリーブ部材、13KA,13KB…収容領域、50…回路基板、51…突起部、52…撮像素子、60…接着剤、D…段差、F1…半径方向、F2…軸方向、U…窪み、V…フランジ、X1A〜X1C…光軸、X2…中心軸。
Claims (15)
- レンズの外周形状に対応する外周形状を有する取付対象部材に、前記レンズを取り付ける方法であって、
前記レンズを前記取付対象部材に対向させて配置する第1のステップと、
レンズ取付部材を用いて前記レンズの外周面から前記取付対象部材の外周面にかけての領域を覆う第2のステップと、
前記レンズ取付部材を収縮硬化させる第3のステップと
を含むことを特徴とするレンズ取付方法。 - 前記取付対象部材は、前記レンズとは異なる他のレンズ、レンズ間隔を画定するための間隔環、あるいは前記レンズの光透過面を支持面として支持するための支持部材のうちの少なくとも1つを含む
ことを特徴とする請求項1記載のレンズ取付方法。 - 前記第2のステップにおいて、あらかじめチューブ状構造を有する前記レンズ取付部材を用いる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレンズ取付方法。 - 前記第2のステップにおいて、あらかじめチューブ状構造がその延在方向に沿って分割された断片状構造を有する複数の部材で覆うことにより、前記レンズ取付部材を構成する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレンズ取付方法。 - 前記第2のステップにおいて、あらかじめテープ状またはシート状構造を有する部材を巻き付けることにより、前記レンズ取付部材を構成する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレンズ取付方法。 - 前記第2のステップにおいて、あらかじめ流動性を有する部材で覆ったのち、その部材を膜化することにより、前記レンズ取付部材を構成する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレンズ取付方法。 - 前記レンズの外周面および前記取付対象部材の外周面の少なくとも一方に、凸部または凹部、あるいは段差を設ける
ことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のレンズ取付方法。 - 前記第3のステップにおいて、熱エネルギーまたは光エネルギーを加えることにより、前記レンズ取付部材を収縮硬化させる
ことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のレンズ取付方法。 - 前記レンズ取付部材に接着層を設け、
この接着層を前記レンズの外周面および前記取付対象部材の外周面側に向けて前記レンズ取付部材で覆う
ことを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載のレンズ取付方法。 - 前記レンズ取付部材の材料として粘着性材料を用いる
ことを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載のレンズ取付方法。 - 前記レンズ取付部材の材料として遮光性材料を用いる
ことを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のレンズ取付方法。 - 前記第1のステップまたは前記第2のステップにおいて、前記レンズの光軸と前記取付対象部材の中心軸とを合致させる軸合わせを行う
ことを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載のレンズ取付方法。 - レンズの外周形状に対応する外周形状を有する取付対象部材と、
前記取付対象部材に対向して配置された前記レンズと、
前記レンズの外周面から前記取付対象部材の外周面にかけての領域を覆うように設けられ、前記レンズを前記取付対象部材に連結固定するレンズ取付部材と
を備えたことを特徴とするレンズアッセンブリ。 - レンズの外周形状に対応する外周形状を有する取付対象部材に、その取付対象部材に対向して配置された前記レンズを取り付ける部材であって、
前記レンズの外周面から前記取付対象部材の外周面にかけての領域を覆った状態で収縮硬化することにより、前記レンズを前記取付対象部材に連結固定するように構成されている
ことを特徴とするレンズ取付部材。 - レンズとレンズとの間に配置されて、これらのレンズ間に間隔を確保する部材であって、
剛性を有する間隔環と、
前記間隔環の環軸方向における少なくとも片側に、この間隔環に連結されて設けられたチューブ状のレンズ取付部材と
を備え、
前記レンズ取付部材は、前記間隔環の外周面から前記レンズの外周面にかけての領域を覆った状態で収縮硬化することにより、前記レンズを前記間隔環に連結固定するように構成されている
ことを特徴とするレンズ間隔保持部材。
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