JP2011221243A - 光学系レンズ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】組付部品を反転することなく、上下方向の向きを揃えたまま、鏡筒に複数のプラスチックレンズを収納して接着固定できるようにする。
【解決手段】各プラスチックレンズ4〜7を順次、重ね合わせ、各プラスチックレンズ4〜7の円錐対向面21〜27を係合させて各プラスチックレンズ4〜7の光軸Sを合わせる。第4のプラスチックレンズ7のコバ部7bの上面側に可視光硬化型の接着剤40を付着させ、各プラスチックレンズ4〜7上から鏡筒2を被せた後、第7のプラスチックレンズ7のコバ部7bの上面周縁部を鏡筒2の下端縁に突き当てる。この状態で鏡筒2の上方側から可視光を照射し、鏡筒2の開口窓10から入射して第1〜第4のプラスチックレンズ4〜7を透過した可視光によって、接着剤40を硬化させて鏡筒2に第4のプラスチックレンズ7を接着固定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistance)等の小型で薄型の電子機器に用いられる小型撮像装置に使用される光学系レンズ、特に複数のレンズを光軸方向に互いに当接させて重ね合わせることにより、光学的または物理的に向き合う互いのレンズ間の位置関係を決定する光学系レンズ及びその製造方法に関する。
近年、撮像装置を備えた携帯端末の市場の拡大に伴い、この撮像装置には高画素数で小型の固体撮像素子が搭載されるようになった。このような撮像素子の小型化・高画素化に対応し、例えば、特許文献1,2で示すように、複数枚のレンズで構成した撮像レンズが一般化している。
特許文献1で示す撮像レンズは、1枚のプラスチックレンズと1枚のガラスレンズと、これらのレンズを組み込む鏡筒とを備え、プラスチックレンズとガラスレンズとが接触するレンズの周辺領域を同一曲率又は同一テーパ面とし、各レンズを鏡枠に組み込む際、最初のプラスチックレンズの接触部と鏡筒の受け面とを当接させて鏡筒と上段のプラスチックレンズとを位置決めした状態で、ガラスレンズを鏡筒の内周面に嵌合させながらガラスレンズをプラスチックレンズに押し当てて光軸方向に加圧することによって、鏡筒の受け面とガラスレンズとでプラスチックレンズを挟み付け、各レンズの周辺領域に形成する同一曲率又は同傾斜のテーパ面の嵌合によって各レンズの光軸を一致させるように構成している。
特許文献1で開示される撮像レンズは、ガラスレンズとプラスチックレンズの異質材料レンズを組み合わせており、それぞれのレンズの線膨張係数が異なるため環境温度変化などによってレンズの接触部において擦れてレンズの損傷や割れなどが生じる恐れがある。このため、近年、携帯電話などに用いられる光学系レンズとして鏡筒に組み込まれるレンズは、プラスチックレンズで、成形するのが一般的である。このような、鏡筒に組み込まれる4枚のレンズを全てプラスチックレンズで構成する場合、例えば、特許文献2で示すように、プラスチックレンズの外径を鏡筒の内径より僅かに小さく形成して、鏡筒との間の径方向のクリアランスを保って鏡筒に挿入し、鏡筒に挿入したプラスチックレンズを光軸方向に押圧した状態で最下段レンズを接着剤で固定する方法が知られている。
特開平9−113783号公報 特開2006−178388号公報
特許文献2で示すような複数、例えば4枚のプラスチックレンズF1〜F4を鏡筒に組み込んで光学系レンズを製造する手順について図4(a)〜(f)を参照して説明する。各プラスチックレンズF1〜F4は、鏡筒Kに組み込む前に各プラスチックレンズF1〜F4の光軸を合わせ状態で相互に位置決めする。すなわち、図4(a)で示すように、各プラスチックレンズF1〜F4の重ね合わせ面にはそれぞれ円錐面Gが形成され、鏡筒Kに組み込まれる最下段のプラスチックレンズF1上に順次、2段目、3段目、4段目のレンズF2,F3,F4を重ね合わせ、各プラスチックレンズF1〜F4に形成する円錐面Gを係合させて各プラスチックレンズF1〜F4の光軸を合わせてユニット化する。次に、図4(b)に示すように、光軸を合わせたプラスチックレンズF1〜F4を鏡筒Kに組み込むが、この際、鏡筒Kを反転させた状態、すなわち、鏡筒Kの図示下面に形成する開口部aを図示上側に向けるように反転させ、円錐面Gによって光軸方向に位置を合わせた各プラスチックレンズF1〜F4を鏡筒Kの開口部aから挿入する。これにより、図4(c)に示すように、鏡筒K内に各プラスチックレンズF1〜F4が互いに光軸を合わせた状態で収納保持される。次に反転した鏡筒K内の最上段に収納保持されるプラスチックレンズF1を光軸方向に押圧しながら、図4(d)に示すように、鏡筒Kの開口部aに臨む最上段プラスチックレンズF1の周縁部分から鏡筒Kの内周面にかけて可視光硬化型の接着剤Cを付着させる。この後、図4(e)に示すように、鏡筒Kの上方側から可視光Sを照射することによって、鏡筒Kの開口部aから入射した可視光Sにより最上段プラスチックレンズF1の周縁部分の接着剤Cを硬化させ、そのプラスチックレンズF1を接着固定することによって、プラスチックレンズF1と鏡筒Kの上面に形成する受け面とで各プラスチックレンズF1〜F3を挟み付け、鏡筒K内にプラスチックレンズF1〜F4を収納固定している。なお、鏡筒Kの開口部aに臨むプラスチックレンズF1の外周に形成するフランジF1aと鏡筒Kの内周面には、それぞれ係合可能な段差部d1,d2が形成されており、各プラスチックレンズF1を光軸方向に押圧する際、各段差部d1,d2を突き当てて必要以上の押圧力が各プラスチックレンズF1〜F4に加わらない構成としている。このようにして鏡筒Kに各プラスチックレンズF1〜F4を収納固定した状態で最終的に撮像装置のホルダー(図示せず)に組み込むために本来の向き、すなわち、鏡筒Kの上面に形成する採光用の開口窓K1が図示上側となるように、再び反転させてトレーTにセットする。
従って、4枚のプラスチックレンズF1〜F4を鏡筒Kに組み込んで接着固定する光学系レンズの製造工程において、図4(b)の鏡筒Kに各プラスチックレンズF1〜F4を組み込む際と、図4(f)の組み付けが完了した完成品をトレーTにセットする際、各プラスチックレンズF1〜F4を収納固定した鏡筒Kを反転させるといった煩雑な作業が必要であり、組み付け作業効率の悪化を招くといった問題がある。すなわち、一連の作業において、組み立て途中で組付部品を反転することなく、各プラスチックレンズF1〜F4及び鏡筒Kの向きを揃えた状態で作業したほうが作業効率も良好であり、特に、組立てロボットなどによって組立工程の自動化を図る上で、組立部品を反転させないで組付部品の向きを揃えた状態で行うほうが組立機構を簡素化でき、自動化には有利となる。
また、各プラスチックレンズF1〜F4を鏡筒K内に押し込んで接着固定する場合、最下段レンズの外周に押圧代となるフランジF1aを形成する必要があり、そのフランジF1aの周縁を鏡筒Kの内周面に接着する構造では、構造的に鏡筒Kの内径を最下段レンズの外周のフランジF1aの外径より小さく設定することができず、レンズモジュールの小型化(小径化)を阻害する要因となっている。
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、光学系レンズの製造工程において、組付部品を反転することなく、一貫して組付部品の上下方向の向きを揃えた状態で組付作業を行うことが可能な光学系レンズ及びその製造方法を提供することを第1の目的とする。
また、鏡筒を小径化して光学系レンズ全体の小型化を可能とする光学系レンズ及びその製造方法を提供することを第2の目的とする。
請求項1の光学系レンズは、物体側に採光用の開口窓を有して像側を開口した鏡筒と、この鏡筒内に互いに重ね合わせるように収納配置する複数のレンズとを備え、前記鏡筒内に組み付けられる最下段レンズを鏡筒に接着固定する光学系レンズにおいて、前記鏡筒内に組み付けられる最下段レンズは、外周にフランジ部を有し、このフランジ部の上面側から前記鏡筒の下端周縁部にかけて可視光硬化型接着剤の溜り部を形成し、この接着剤溜り部が前記開口窓から入射して各レンズを透過した可視光が照射可能な位置に形成されていることを特徴とする。
請求項1の光学系レンズによれば、複数のレンズを重ね合わせた後、最下段レンズのフランジ部の上面側に可視光硬化型の接着剤を付着させた状態で、最上段レンズに鏡筒を被せて鏡筒内に各レンズを挿入し、最下段レンズのフランジ部上の接着剤を鏡筒に突き当てることによって接着剤が接着剤溜り部に誘い込まれる。そして、鏡筒の上方側から可視光を照射することによって、可視光は、鏡筒の開口窓から各レンズを透過して前記接着剤溜り部に照射され、その接着剤溜り部の接着剤が硬化することによって、レンズが鏡筒に接着固定される。
請求項2の光学系レンズは、前記鏡筒内に各レンズを挿入して予めフランジ部上に塗布した接着剤を前記鏡筒の受部に押し当てて該接着剤を前記接着剤溜り部に充填し、前記開口窓から各レンズを透過した可視光を前記接着剤溜り部の接着剤に照射させて前記最下段レンズを前記鏡筒に接着固定したことを特徴とする。
請求項2の光学系レンズによれば、鏡筒の上方側から可視光を照射することにより、鏡筒の開口窓から各レンズを透過した可視光によって、接着剤溜り部の接着剤が硬化して最下段のレンズが鏡筒に接着固定される。
請求項3の光学系レンズは、前記各レンズの重ね合わせ面に相互に係合する円錐対向面を形成し、この各円錐対向面を係合させて各レンズの光軸を合わせて調芯した状態で前記最下段レンズを前記鏡筒に接着固定したことを特徴とする。
請求項3の光学系レンズによれば、最下段のレンズ上に次段のレンズを重ね合わせ、各レンズの円錐対向面の係合によって各レンズの光軸を合わせた状態で調芯される。これにより、最下段レンズを可視光硬化型の接着剤によって鏡筒に接着固定すると、各レンズが互いに調芯された状態で鏡筒内に収納固定される。
請求項4の光学系レンズは、前記受部が前記鏡筒の下端縁であることを特徴とする。
請求項4の光学系レンズによれば、鏡筒の内径より最下段レンズのフランジ部の外径を大きく設定することが可能となる。
請求項5の光学系レンズの製造方法は、前記最下段レンズ上に次段のレンズを順次、載置してユニット化するとともに、最下段レンズに形成する前記フランジ部に可視光硬化型の接着剤を塗布した状態で、前記ユニット化したレンズ群に前記鏡筒を被せ、前記フランジ部に塗布した接着剤を前記鏡筒に押し当て該接着剤を前記接着剤溜りに充填するとともに、前記鏡筒の上方側から可視光を照射し、前記鏡筒の開口窓から各レンズを透過した可視光によって前記接着剤を硬化させて前記鏡筒に前記最下段レンズを接着固定したことを特徴とする。
請求項5の光学系レンズの製造方法によれば、複数のレンズを重ね合わせた状態で鏡筒を被せ、その鏡筒の上方側から可視光を照射することによって、可視光は、鏡筒の開口窓から各レンズを透過して前記接着剤溜りの接着剤に照射される。これにより、接着剤が硬化して各レンズが鏡筒に収納固定される。
請求項6の光学系レンズの製造方法によれば、物体側に採光用の開口窓を有して像側を開口した鏡筒と、この鏡筒内に収納する複数のレンズとを備え、最下段レンズ上に次段のレンズを順次、載置してユニット化する工程と、最下段レンズに形成する前記フランジ部に可視光硬化型の接着剤を塗布する工程と、ユニット化したレンズ群に前記鏡筒を被せて前記フランジ部に塗布した接着剤を前記鏡筒に押し当てる工程と、前記鏡筒の上方側から可視光を照射して前記鏡筒の開口窓から各レンズを透過した可視光によって前記接着剤を硬化させる工程とを、備えたことを特徴とする。
請求項6の光学系レンズの製造方法によれば、各レンズを重ね合わせてユニット化する工程と、最下段レンズに接着剤を塗布する工程と、ユニット化したレンズ群に鏡筒を被せる工程と、鏡筒の上方側から可視光を照射して接着剤を硬化させる工程と経て、レンズが互いに調芯された状態で鏡筒に接着固定される。
本発明によれば、組付部品である鏡筒と複数のレンズを最終工程まで反転することなく、上下方向の向きを揃えた状態のまま組み付け作業を行うことができ、組付部品を反転させるといった煩わしい手間も掛からず、極めて効率的に組み付け作業を行うことができるとともに、自動組立にも有利である。
最下段に位置するレンズのフランジ部を鏡筒の下端縁に突き当てることによって、鏡筒の内径寸法を可及的に小さく設定できるため、光学系レンズの小型化(小径化)も可能となる。
実施例1を示す光学系レンズの断面図である。 同上、図1のL部分の拡大断面図である。 同上、光学系レンズの組立工程を示す概略説明図である。 従来の光学系レンズの組立工程を示す概略説明図である。
以後、本発明の実施例を図1〜図3を参照して説明する。なお、図1〜図3において物体側は図示上方側、像側は図示下方とする。図1は、本発明の一実施例を示す光学系レンズの断面図を示しており、同図において、1は光学系レンズであり、鏡筒2と、この鏡筒2内に収納される4枚の第1〜第4のプラスチックレンズ4,5,6,7とで構成されている。
前記鏡筒2は像側を開口した円筒状の周壁部3と、周壁部3の上端縁周縁から内方に向かって一体形成する光軸Sに対して垂直な受け面3aとで構成され、前記周壁部3の外周面に図示しないホルダを螺着するためのネジ部30を形成している。また、前記受け面3aには採光用の開口窓10が形成され、周壁部3の開口部11から前記第1〜第4のプラスチックレンズ4,5,6,7を挿入し、最上段の第1のプラスチックレンズ4を鏡筒2の受け面3aに当接させている。
最上段に位置する第1のプラスチックレンズ4は、物体側(図示上側)と像側(図示下側)を凸面とするレンズ部4aと、そのレンズ部4aの最大有効径の外側に位置するフランジ部たるコバ部4bとから構成され、コバ部4bの外径を鏡筒2の内径より僅かに小さく形成して鏡筒2との間にクリアランスを保って遊嵌自在に組み込まれている。また、コバ部4bの物体側に前記受け面3aと当接する当接面14を形成するとともに、コバ部4bの像側に環状突部15を形成し、その環状突部15の外周面にテーパ状の円錐対向面21を形成している。
2段目に位置する第2のプラスチックレンズ5は、物体側を凸面、像側を凹面とするレンズ部5aと、そのレンズ部5aの周縁に位置するコバ部5bとから構成され、コバ部5bの外径は鏡筒2の内径より僅かに小さく形成して鏡筒2との間にクリアランスを保って遊嵌自在に組み込まれている。また、第2のプラスチックレンズ5は、コバ部5bの物体側と像側にそれぞれ環状突部16,17を形成し、物体側の環状突部16の内周面は、前記第1のプラスチックレンズ4の円錐対向面21と係合する円錐対向面22を形成し、像側の環状突部17の外周面にもテーパ状に傾斜した円錐対向面23を形成している。
3段目に位置する第3のプラスチックレンズ6は、前記第2のプラスチックレンズ5と同様、レンズ部6aとコバ部6bとから構成され、レンズ部6aは、前記第2のプラスチックレンズ5とは逆に物体側を凹面、像側を凸面としている。また、コバ部6bの外径は、鏡筒2の内径より小さく形成して鏡筒2との間にクリアランスを保って遊嵌自在に組み込まれているとともに、コバ部6bの物体側と像側にそれぞれ環状突部18,19を形成し、物体側に形成した環状突部18の内周面と像側の環状突部19の外周面にそれぞれテーパ状に傾斜した円錐対向面24,25を形成している。
最下段の第4のプラスチックレンズ7は、レンズ部7aとコバ部7bとから構成され、レンズ部7aはそれぞれ変曲点を有して凹面と凸面を連続させた形状である。また、コバ部7bの物体側に環状突部20を形成し、環状突部20の内周面にテーパ状に傾斜した円錐対向面26を形成している。また、環状突部20外周面には、前記鏡筒2の開口部11に形成するテーパ面28と間隔をおいて対向する円錐対向面27を形成している。また、鏡筒2の内径は第4のプラスチックレンズ7のコバ部7bの外径より小径に形成されており、前記コバ部7bの上面を前記鏡筒2の下端縁に突き当てる。すなわち、鏡筒2の下端縁が第4のプラスチックレンズ7の受部となり、前記コバ部7bの上面を前記鏡筒2の下端縁に突き当てた際、前記第4のプラスチックレンズ7の円錐対向面27と鏡筒2のテーパ面28との隙間が接着剤溜り部41となる。また、第1〜第4のプラスチックレンズ4〜7に形成する円錐対向面21〜27はそれぞれ光軸を中心とした円錐状テーパ面であり、第1〜第4のプラスチックレンズ4〜7を重ねた合わせた際、それぞれの円錐対向面21〜27が係合し、第1〜第4のプラスチックレンズ4〜7の光軸Sを合わせた状態で相互に位置決めされる。
図2を参照して前記第1〜第4のプラスチックレンズ4〜7の円錐対向面21〜27による調芯作業について詳述する。なお、第1〜第4のプラスチックレンズ4〜7における円錐対向面21〜27の係合手順は、実質同一であり、図2ではその代表例として第1のプラスチックレンズ4と第2のプラスチックレンズ5の円錐対向面21,22についてのみ説明し、他の第2〜第4のプラスチックレンズ4〜6の円錐対向面23〜27については省略する。図2で示すように、内側(中心側)に位置する第1のプラスチックレンズ4の円錐対向面21の傾斜角αは、第2のプラスチックレンズ5の円錐対向面22の傾斜角度βより鈍角である。また、第1のプラスチックレンズ4に形成する環状突部15の下端角部及び第2のプラスチックレンズ5の環状突部16の上端角部がそれぞれ円弧状に面取りされ、第2のプラスチックレンズ5に第1のプラスチックレンズ4を重ねた合わせた際、環状突部16の上端角部に形成する円弧部が環状突部15に形成する円錐対向面21に誘い込まれ、その環状突部16の上端角部の円弧部が円錐対向面21に線接触状態で係合することによって、第1及び第2のプラスチックレンズ4,5の光軸Sを合わせた状態で相互に位置決めされる。そして、他の第2〜第4のプラスチックレンズ5〜7の各円錐対向面23〜27についても同様に、各円錐対向面23〜27が互い線接触状態で係合し、これにより、第1〜第4のプラスチックレンズ4〜7の全てが光軸Sを合わせた状態で相互に位置決めされる。
以上のように構成される本実施例において光学系レンズ1を製造する手順について図3を参照して説明する。第1〜第4のプラスチックレンズ4〜7は、鏡筒2に組み込む上で各プラスチックレンズ4〜7の光軸を合わせ状態で相互に位置決めする。すなわち、図3(a)で示すように、最下段のプラスチックレンズ7上に順次、2段目、3段目、4段目のレンズ6,5,4を重ね合わせ、各プラスチックレンズ4〜7の円錐対向面21〜27を相互に係合させて各プラスチックレンズ4〜7の光軸Sを合わせてユニット化する。次に、図3(b)に示すように、最下段の第4のプラスチックレンズ7のコバ部7bの上面から円錐対向面27にかけて可視光硬化型の接着剤40を付着させる。
次に図3(c)に示すように、各プラスチックレンズ4〜7の上方側から鏡筒2を被せ、鏡筒2の開口部11から各プラスチックレンズ4〜7を挿入する。この時、第1〜第3のプラスチックレンズ4〜6は、鏡筒2とクリアランスを保って挿入され、被せた鏡筒2あるいは第4のプラスチックレンズ7のコバ部7bの周縁部裏面側を光軸方向に押圧することによって、第1のプラスチックレンズ4の受け面3aは鏡筒2の当接面14に当接する。この時、最下段に位置する第4のプラスチックレンズ7のコバ部7bの周縁部と鏡筒2の下端縁とが僅かに隙間を有して対向し、かつ、第4のプラスチックレンズ7の円錐対向面27と鏡筒2のテーパ面28との間に隙間が生じ第4のプラスチックレンズ7のコバ部7bと下端縁との隙間と第4のプラスチックレンズ7の円錐対向面27と鏡筒2のテーパ面28との隙間が連続した接着剤溜り部41となる。これにより、第4のプラスチックレンズ7のコバ部7bの周縁部に予め塗布した接着剤40を鏡筒2の下端縁に突き当てることによって、接着剤溜り部41に接着剤40が充填される。この状態で、図3(d)に示すように、鏡筒2の上方側から可視光を照射する。可視光は、鏡筒2の開口窓10から第1〜第4のプラスチックレンズ4〜7を透過して接着剤溜り部41、すなわち、第4のプラスチックレンズ7のコバ部7bの上面から円錐対向面27にかけて充填された接着剤40に照射され、その接着剤40が硬化することによって、第1〜第4のプラスチックレンズ4〜7は、それぞれの円錐対向面21〜26によってそれぞれ光軸Sを調芯した状態で鏡筒2に収納固定される。このようにして鏡筒2に第1〜第4のプラスチックレンズ4〜7を接着固定した状態で最終的に撮像装置のホルダー(図示せず)に組み込むためにトレー50にセットして光学系レンズ1の製造工程が完了する。
以上のように本実施例においては、光学系レンズ1の製造ラインにおいて、組付部品である鏡筒2と第1〜第4のプラスチックレンズ4〜7を最終工程まで反転することなく、上下方向の向きを揃えた状態のまま組付作業を行うことができ、組付部品を反転させるといった煩わしい手間も掛からず、極めて効率的に組み付け作業を行うことができるとともに、自動組立にも有利である。さらに、最下段に位置する第4のプラスチックレンズ7のコバ部7bを鏡筒2の下端縁に突き当てることによって、鏡筒2の内径寸法を可及的に小さく設定できるため、光学系レンズ1の小型化(小径化)も可能となる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、各レンズの形状や各レンズの光軸を合わせるために係合構造やレンズの枚数といった基本的構成は適宜選定すればよい。
1 光学系レンズ
2 鏡筒
4〜7 プラスチックレンズ
4b〜7b コバ部(フランジ部)
10 開口窓
11 開口部
21〜26 円錐対向面
40 接着剤
41 接着剤溜り部

Claims (6)

  1. 物体側に採光用の開口窓を有して像側を開口した鏡筒と、この鏡筒内に互いに重ね合わせるように収納配置する複数のレンズとを備え、前記鏡筒内に組み付けられる最下段レンズを鏡筒に接着固定する光学系レンズにおいて、前記鏡筒内に組み付けられる最下段レンズは、外周にフランジ部を有し、このフランジ部の上面側から前記鏡筒の下端周縁部にかけて可視光硬化型接着剤の溜り部を形成し、この接着剤溜り部が前記開口窓から入射して各レンズを透過した可視光が照射可能な位置に形成されていることを特徴とする光学系レンズ。
  2. 前記鏡筒内に各レンズを挿入して予めフランジ部上に塗布した接着剤を前記鏡筒の受部に押し当てて該接着剤を前記接着剤溜りに充填し、前記開口窓から各レンズを透過した可視光を前記接着剤溜り部の接着剤に照射させて前記最下段レンズを前記鏡筒に接着固定したことを特徴とする請求項1記載の光学系レンズ。
  3. 前記各レンズの重ね合わせ面に相互に係合する円錐対向面を形成し、この各円錐対向面を係合させて各レンズの光軸を合わせて調芯した状態で前記最下段レンズを前記鏡筒に接着固定したことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学系レンズ。
  4. 前記受部が前記鏡筒の下端縁であることを特徴とする請求項2記載の光学系レンズ。
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載の光学系レンズの製造方法であって、前記最下段レンズ上に次段のレンズを順次、載置してユニット化するとともに、最下段レンズに形成する前記フランジ部に可視光硬化型の接着剤を塗布した状態で、前記ユニット化したレンズ群に前記鏡筒を被せ、前記フランジ部に塗布した接着剤を前記鏡筒に押し当てて該接着剤を前記接着剤溜りに充填するとともに、前記鏡筒の上方側から可視光を照射し、前記鏡筒の開口窓から各レンズを透過した可視光によって前記接着剤を硬化させて前記鏡筒に前記最下段レンズを接着固定したことを特徴とする光学系レンズの製造方法。
  6. 物体側に採光用の開口窓を有して像側を開口した鏡筒と、この鏡筒内に収納する複数のレンズとを備え、最下段レンズ上に次段のレンズを順次、載置してユニット化する工程と、最下段レンズに形成する前記フランジ部に可視光硬化型の接着剤を塗布する工程と、ユニット化したレンズ群に前記鏡筒を被せて前記フランジ部に塗布した接着剤を前記鏡筒に押し当てる工程と、前記鏡筒の上方側から可視光を照射して前記鏡筒の開口窓から各レンズを透過した可視光によって前記接着剤を硬化させる工程とを、備えたことを特徴とする請求項5記載の光学系レンズの製造方法。
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