JP2005016378A - 燃料噴射装置付き船外機 - Google Patents

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智典 井熊
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Abstract

【課題】燃料噴射弁を設けたエンジンにカム軸駆動型燃料ポンプを設けたものにおけるエンジン全体をコンパクト化する。
【解決手段】吸気マニホルド体23の吸気ポート15近傍に気筒毎に燃料噴射弁24が設けられ、各燃料噴射弁に燃料レール26が結合され、燃料タンクから燃料レールに向けて燃料を供給するための低圧ポンプ28を有するエンジンにおいて、低圧ポンプをヘッドカバー25の側面に燃料噴射弁の突出方向に合わせて斜めに向けて取り付ける。低圧ポンプは、ヘッドカバー内の吸気弁用カムシャフト31のカム31aにより駆動される。燃料噴射弁と干渉せずにかつ吸気装置とヘッドカバーの頂部との間の空いたスペースに燃料ポンプを配置することができるため、燃料ポンプを設けることによるエンジン全体のシルエットからの余分なはみ出しを抑えることができ、エンジン全体をコンパクト化し得る。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料噴射装置付き船外機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、船外機などにおいて、燃料タンクの燃料をエンジン本体に供給するための燃料ポンプにプランジャー型ポンプを用い、そのプランジャーを動弁用カム軸で駆動するようにしたものがある。この場合には、燃料ポンプを動弁用カム軸の近傍に配設する必要があり、例えばヘッドカバーの頂部に設けることができる。また、ダイヤフラム型燃料ポンプにおいても同様である。しかしながら、燃料ポンプがヘッドカバーの頂部から突出し、船外機の前後方向(エンジンの気筒軸線方向)長さが長くなってしまい、チルトアップ時のオーバーハングが大きくなるなどエンジン全体が大型化してしまうという問題があった。
【0003】
それに対して、シリンダヘッドの側部であって吸気管とヘッドカバー頂部との間の空間に燃料ポンプを配設して、ヘッドカバー頂部からのさらなる突出を無くし、吸気管の延出範囲内に燃料ポンプを納めることにより、燃料ポンプによるエンジン全体における外方への出っ張りが生じないようにしたものがある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平09−250415号公報(第3頁、図5)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一方、高性能化のために多気筒化しかつ各気筒に燃料を噴射する燃料噴射装置を設けたエンジンがある。その燃料噴射装置にあっては、燃料ポンプにより供給される燃料を、レギュレータにて一定の圧力にし、その一定圧力の燃料をデリバリパイプなどと呼称される燃料レールを介して、各気筒毎に設けられた各燃料噴射弁に分配し、各吸気ポートに向けて噴射するようにしている。
【0006】
このような燃料噴射装置付き船外機にあっては、その燃料噴射弁が吸気管近傍に取り付けられており、さらに各燃料噴射弁間に渡って(使用状態における上下方向に)燃料レールが設けられているため、シリンダヘッドの側方にはそれら燃料噴射弁や燃料レールが存在する。したがって、上記したように燃料ポンプをシリンダヘッドの側部に取り付けることが困難であるという問題がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決して、燃料噴射弁を設けたエンジンにカム軸駆動型燃料ポンプを設けたものにおけるエンジン全体のコンパクト化を実現するために本発明に於いては、エンジン(4)の片側に配置された吸気装置(20)と、前記吸気装置に取り付けられた燃料噴射弁(24)と、前記燃料噴射弁(24)への燃料を供給するために用いられる燃料ポンプ(28)とを有し、前記燃料ポンプ(28)が、動弁用カム軸(31)により駆動されるカム軸駆動型ポンプであり、前記燃料噴射弁(24)と干渉しないようにヘッドカバー(25)の側部に斜めに取り付けられているものとした。
【0008】
これによれば、燃料噴射弁が吸気装置からヘッドカバー側に斜めに取り付けられることによりシリンダヘッドの側方にスペースが無いような場合でも、ヘッドカバーの側面に燃料ポンプを燃料噴射弁との干渉を回避する方向に斜めに取り付けることから、燃料噴射弁と干渉せずにかつ吸気装置とヘッドカバーの頂部との間の空いたスペースに燃料ポンプを配置することができる。
【0009】
特に、前記カム軸(31)を支持するカムホルダ(51)がシリンダヘッド(14)に固定されていると共に、前記ヘッドカバー(25)の前記シリンダヘッド(14)との接合面が、前記カム軸(31)の側方位置よりもシリンダブロック(13)側に位置していることによれば、ヘッドカバーに取り付ける燃料ポンプを何ら問題なくカム軸に近接した位置に配置することができる。
【0010】
また、前記エンジン(4)がDOHCエンジンであることによれば、吸気弁用カム軸がヘッドカバーの側面近傍に位置し、そのカムにより駆動される燃料ポンプのレイアウト性が良くなる。
【0011】
前記燃料ポンプ(28)が、前記燃料噴射弁(24)に高圧燃料を供給する高圧ポンプ(27)の上流に設けられた低圧ポンプであることによれば、その低圧ポンプとして機械式燃料ポンプを用いることができ、上記配置構造に好適である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に添付の図面に示された具体例に基づいて本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1並びに図2は、本発明に基づいて構成された船外機のエンジン回りを示している。この船外機1は、スターンブラケット2を介して船尾板3に取り付けられる公知形式のものであり、そのエンジン4は、水平方向のチルト軸5回りで回動自在なようにスターンブラケット2に連結されたスイベルケース6と実質的に一体をなすマウントケース7上に搭載されている。そしてマウントケース7上に搭載されたエンジン4の略全体は、着脱自在なエンジンカバー8で覆われている。
【0014】
マウントケース7は、エクステンションケース9の上端に結合されている。そのマウントケース7内で、スクリューに至る駆動軸10とクランク軸11とが連結されている。
【0015】
エンジン4は、例えば直列4気筒のバーチカルクランク軸エンジンであり、クランクケース12、シリンダブロック13、及びシリンダヘッド14を有しており、クランクケース12側が船体の前方を向くように配置されている。またシリンダヘッド14には、吸気ポート15及び排気ポート16が設けられており、それらとの連通が吸気弁17及び排気弁18で断続される燃焼室19が画成されている(図2)。
【0016】
クランクケース12、シリンダブロック13、及びシリンダヘッド14の一側面には、吸気装置20が対向して配設されている。この吸気装置20は、クランクケース12の進行方向についての前面に対向配置された吸気消音チャンバ21及びスロットルボディ22と、スロットルボディ22の出口に接続されかつ分岐されて各気筒の吸気ポート15に個々に連結された吸気マニホルド体23とからなっている。この吸気装置20は、吸気マニホルド体23のスロットルボディ22側がクランクケース12の側面にボルト止めされると共に、吸気マニホルド体23の下流側端部がシリンダヘッド14の側面にボルト止めされることでエンジン4に結合されている。
【0017】
吸気マニホルド体23の分岐されて各吸気ポート15に結合された各独立吸気管部にはそれぞれ燃料噴射弁24が取り付けられている。燃料噴射弁24のノズルが燃焼室19に向けて指向し、その反対側となるボディ部分がシリンダヘッド14に被せられたヘッドカバー25の側方に向けて斜めに延出するように設けられている。各燃料噴射弁24の延出端部は、シリンダヘッド14の側面に沿って配置された燃料レール26と連結されている。
【0018】
この燃料レール26に対する燃料供給系を、図3を参照して示す。船体に設けられた燃料タンク41側から、水分離フィルタ42、燃料フィルタ43、燃料ポンプとしての低圧ポンプ28、サブタンク30、高圧ポンプ27がこの順に接続されている。サブタンク30には、低圧ポンプ28から送られてくる燃料に対して一定量貯留された場合にはその取り入れ口を塞ぐフロート弁30aと、燃料レール26に設けられた圧力逃がし弁44からのリターン燃料取り入れ口30bと、エンジンカバー8内に開口するベーパー口30cと、高圧ポンプ27への燃料取り出し口30dとが設けられている。このようにしてベーパーセパレータ機能を有するサブタング30が構成されている。
【0019】
低圧ポンプ28は、ヘッドカバー25に取り付けられている。その低圧ポンプ28の吸い込み側に接続されたパイプ29aが上記燃料フィルタ43と接続され、吐出側に接続されたパイプ29bが上記高圧ポンプ27と接続されている。高圧ポンプ27は、例えば電磁ポンプであって良く、サブタンク30内に貯留されている燃料を吸い出して所定の高圧にして燃料レール26へ送られ、燃料レール26を介して各燃料噴射弁24に供給される。このように、本図示例では、高圧ポンプ27の上流側に低圧ポンプ28が設けられている。
【0020】
本図示例におけるエンジンは、図4に示されるようにDOHCエンジンである。図に示されるように、ヘッドカバー25内には、動弁用カム軸としての吸気弁用カムシャフト31及びそのカム31aに追従して揺動するロッカーアーム32と、排気弁用カムシャフト33及びそのカム33aに追従して揺動するロッカーアーム34とが受容されている。各カムシャフト31・33及び各ロッカーアーム32・34を支持する各ロッカーシャフト32a・34aは、シリンダヘッド14の燃焼室19とは相反する側になるヘッドカバー25内に臨むパッキン面51にボルト52にて固設されたカムホルダ53により支持されている。これにより、カム軸(31・33)の支持構造を小組し易くできる。
【0021】
上記低圧ポンプ28は、ダイヤフラム型ポンプであって良く、そのプッシュロッド28aを図3における斜め上方から吸気弁用カムシャフト31に臨ませるように、ヘッドカバー25の側部に斜めに取り付けられている。そのプッシュロッド28aの先端がカム31aに摺接しており、カム面の軌跡の変化に応じてプッシュロッド28a出没運動し、低圧ポンプ28が駆動されるようになっている。
【0022】
ヘッドカバー25には、その上面図を示す図5に併せて示されるように、側面からシリンダヘッド14から遠ざかる斜め外向きに開口する中空ボス部25aが設けられている。ボス部25aの回りの適所には、ボス部25aを挟んで一対のねじ止め部25bが設けられている。ボス部25aの開口端面に低圧ポンプ28のケーシングの端面が当接し、ねじ止め部25bに止めねじをねじ込んで低圧ポンプ28が固設されるようになっている。なお、ねじ止め部25bはねじ孔を形成するためにある程度の肉厚を必要とするが、ヘッドカバー25を鋳物製とすることにより容易に対応できる。
【0023】
また、排気ポート16に連通するようにシリンダヘッド14に取り付けられた排気管35には、排気通路35aを囲繞するウォータジャケット36が設けられていると共に、その水温を検出してエンジン制御に用いるための水温センサ37が取り付けられている。ウォータジャケット36内には犠牲陽極37が配設されている。犠牲陽極37は、排気管35の外壁の一部をウォータジャケット36内に突出させた柱状部35bにねじ止めされている。さらに、排気管35の外壁には、犠牲陽極37に対応する位置に犠牲陽極37にアクセス可能な開口が設けられていると共に、その開口を閉塞するべくねじ54により固定された蓋38が設けられている。
【0024】
燃料噴射弁24は、吸気弁17に向けてシリンダヘッド14の外側から燃料噴射するため、図4に示されるように吸気マニホルド体23の独立吸気管部に斜めに取り付けられている。したがって、燃料噴射弁24の本体及び燃料レール26がシリンダヘッド14の側方であってヘッドカバー25側に位置することになる。このようなレイアウトの場合、それら燃料噴射弁24及び燃料レール26と干渉することなく、シリンダヘッド14に燃料噴射弁24を取り付けることは困難である。
【0025】
それに対して、上記したようにヘッドカバー25の一部に燃料噴射弁24の突出方向に概略合わせて斜めに開口するボス部25aを設けることにより、低圧ポンプ28を燃料噴射弁24に概略沿わせるように配設することができ、燃料噴射弁24及び燃料レール26と干渉することなく低圧ポンプ28を設けることができる。さらに、図示例のように他のポンプよりも突出高さを低くし得るダイヤフラムポンプを用いることにより、低圧ポンプ28のヘッドカバー25の側方への突出量は燃料レール26の位置よりも内側にすると共に、ヘッドカバー25の頂部(図4における上部)方向への突出量もヘッドカバー25の頂部の延長線HLを極力超えないようにすることができる。このように、低圧ポンプ28を設けたことによるエンジン全体の外形における出っ張り部分が生じないため、燃料噴射弁を設けたエンジンであってもその全体をコンパクト化し得る。
【0026】
また、本図示例におけるシリンダヘッド14とヘッドカバー25との接合面は、カムシャフト31の側方(吸気マニホルド体23側)位置よりもシリンダブロック13側に位置している。これにより、ヘッドカバー25の側面によりカムシャフト31を覆うようになり、プッシュロッド28aを容易にカム31aに当接させるレイアウトを取り易くなると共に、種々の部品を取り付けるシリンダヘッド14に低圧ポンプ28を取り付ける場合に対して、より自由な取り付けが可能になる。
【0027】
また、図示例のようにDOHCエンジンに適用することにより、吸気弁用カムシャフト31がヘッドカバー25の側面近傍に位置することになり、低圧ポンプ28をヘッドカバー25の側面に好適に配置することができる。
【0028】
【発明の効果】
このように本発明によれば、燃料噴射弁と干渉せずにかつ吸気装置とヘッドカバーの頂部との間の空いたスペースに燃料ポンプを配置することができるため、燃料ポンプを設けることによるエンジン全体のシルエットからの余分なはみ出しを抑えることができ、エンジン全体をコンパクト化し得る。
【0029】
特に、ヘッドカバーとシリンダヘッドとの接合面がカム軸の側方位置よりもシリンダブロック側に位置していることにより、ヘッドカバーに取り付ける燃料ポンプを何ら問題なくカム軸に近接した位置に配置することができるため、ヘッドカバーにおける取付部の形状が複雑化することがない。また、DOHCエンジンのヘッドカバーに取り付けることにより、吸気弁用カム軸がヘッドカバーの側面近傍に位置するため、そのカムにより駆動される燃料ポンプのレイアウト性が良く、燃料ポンプをヘッドカバーに取り付ける構造を取り易い。また、燃料ポンプが、燃料噴射弁に高圧燃料を供給する高圧ポンプの上流に設けられた低圧ポンプであることによれば、その低圧ポンプとして機械式燃料ポンプを用いることができ、上記配置構造に好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された船外機の要部側面図である。
【図2】本発明が適用された船外機の上面図を示す図1の矢印II線から見た図である。
【図3】燃料供給系を示す配管図である。
【図4】図1の矢印IV−IV線に沿って見た要部拡大断面図である。
【図5】ヘッドカバーの上面図である。
【符号の説明】
4 エンジン
13 シリンダブロック
14 シリンダヘッド
20 吸気装置
24 燃料噴射弁
25 ヘッドカバー
28 低圧ポンプ(燃料ポンプ)
31 カムシャフト(カム軸)

Claims (4)

  1. エンジンの片側に配置された吸気装置と、前記吸気装置に取り付けられた燃料噴射弁と、前記燃料噴射弁への燃料を供給するために用いられる燃料ポンプとを有し、
    前記燃料ポンプが、動弁用カム軸により駆動されるカム軸駆動型ポンプであり、前記燃料噴射弁と干渉しないようにヘッドカバーの側部に斜めに取り付けられていることを特徴とする燃料噴射装置付き船外機。
  2. 前記カム軸を支持するカムホルダがシリンダヘッドに固定されていると共に、前記ヘッドカバーの前記シリンダヘッドとの接合面が、前記カム軸の側方位置よりもシリンダブロック側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射装置付き船外機。
  3. 前記エンジンがDOHCエンジンであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料噴射装置付き船外機。
  4. 前記燃料ポンプが、前記燃料噴射弁に高圧燃料を供給する高圧ポンプの上流に設けられた低圧ポンプであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の燃料噴射装置付き船外機。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007040167A (ja) * 2005-08-02 2007-02-15 Toyota Motor Corp 軽油等燃料潤滑ディーゼルエンジン
JP2013113147A (ja) * 2011-11-25 2013-06-10 Honda Motor Co Ltd 内燃機関のカムシャフト支持構造

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