JP2005015533A - 液状石油製品の酸化脱硫法、および酸化脱硫装置 - Google Patents

液状石油製品の酸化脱硫法、および酸化脱硫装置 Download PDF

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Abstract

【課題】灯油、軽油、ナフサ、ガソリン等の液状石油製品中の硫黄化合物を酸化剤の作用により効率的に分離することにより、石油製品の硫黄濃度を減少させるとともに、この過程で生成する過酸化物の量を極力少なく抑えることが可能な脱硫方法、およびそのための装置を提供すること。
【解決手段】オゾン含有ガスを、硫黄化合物を含む液状石油製品と接触させることにより、液状石油製品中の硫黄化合物を酸化し、生成した酸化硫黄化合物を分離する液状石油製品の酸化脱硫方法であって、前記液状石油製品と前記オゾン含有ガスとの気液接触を行う反応器に導入する前記オゾンの量が、前記液状石油製品中に含まれる硫黄化合物の量に対して、重量比で150倍を超えないように制御することを特徴とする、液状石油製品の酸化脱硫方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、灯油、軽油、ナフサ、ガソリンなどの石油製品中に含まれる硫黄化合物を酸化して分離、除去する石油製品の酸化脱硫方法、および酸化脱硫装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
石油製品の脱硫は、水素化脱硫が一般的であるが、この方法では、処理圧力が100kg/cmg、処理温度が350℃前後と過酷であり、設備的に重装備を要するものとなっていた。
一方、酸化剤を使用する脱硫技術として、液状油の有機硫黄化合物を過酸化水素水を含む酸化剤によって酸化回収すると共に液状油を精製して回収する方法及びその装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
上記特許文献1は、低温での脱硫を可能とする技術であるが、酸化剤としてギ酸等を使用するため設備の腐食が大きな問題となり、また、酸化剤が液(過酸化水素水+ギ酸)であるため、反応後の酸化剤と石油製品との分離が困難であり、石油製品に3体積%程度の損失が生じるという欠点があった。また、この技術では酸化剤と液状油を反応させる際に、酸化剤を高速撹拌する撹拌装置と、液状油を送り込むための微粒化注入装置が必要であり設備的にも大掛りなものにならざるを得ないという問題もある。
【0004】
また、同様に酸化剤を使用する技術として、燃料油を酸素、オゾンなどの様々な酸化剤で処理することによって、そこに含まれている有機硫黄化合物の沸点および融点を上昇させ分離・除去する化学脱硫法が提案されている(特許文献2)。この方法は、石油製品中に含まれる種々の硫黄化合物に酸化剤を作用させて酸化すると、生成する酸化硫黄化合物の沸点、溶解度、吸着能などの物性が元の硫黄化合物と比べて大きく変化する結果、蒸留、抽出、吸着などの処理によって石油製品から容易に分離できるようになることを利用したものである。
【0005】
しかし、特許文献2に記載された方法を現実の石油製品の脱硫プロセスに適用するには、大きな課題が残されていた。
すなわち、まず第1に、硫黄化合物を酸化させる目的で酸化剤を使用した場合、硫黄化合物だけでなく、石油製品中の主要成分である炭化水素類まで酸化され、過酸化物が形成されてしまうという問題があった。脱硫後の石油製品の過酸化物価が高い場合、洗浄、溶媒抽出等の精製処理を繰返して行うことが必要になるため、操作が煩雑になり、脱硫プロセス全体の効率低下を招くことになる。つまり、酸化剤を使用した特許文献2のような提案は、酸化脱硫という視点では有利であるものの、生成する過酸化物の除去が新たに必要になるため、石油製品の精製プロセス全体として見ると効率の低下が否めず、実用的には改善の余地が残されていた。
【0006】
また、第2に、硫黄化合物の酸化にオゾンを使用する場合、オゾンは酸素に変化し易い不安定な物質であるため、他の酸化剤と違い液状石油製品中で酸化力を維持できる時間が短いという制約がある。つまり、反応器にオゾン含有ガスを導入するだけでは、酸化能を持つオゾンが短時間で減少してしまう結果、多くのオゾンが無駄に消費され、反応効率が著しく低下する。その結果、大量のオゾンを使用する必要が生じる。
【0007】
また、前記第1の課題との関係では、一度に大量に導入されたオゾンは、反応器内で局部的に高濃度となり、不要な酸化反応を引き起こして炭化水素類を過酸化物に変化させてしまうと考えられる。しかも、オゾンの寿命は短いため、反応系全体の脱硫効率はオゾン使用量に比例して増加することはなく、大部分のオゾンは無駄に消費される結果となる。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−107059号公報
【特許文献2】
特開平4−72387号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、酸化剤を使用しながら、過酸化物の生成が少なく、より効率的な脱硫技術の提供が求められていた。
本発明の課題は、灯油、軽油、ナフサ、ガソリン等の液状石油製品中の硫黄化合物を酸化剤の作用により効率的に分離することにより、石油製品の硫黄濃度を減少させるとともに、この過程で生成する過酸化物の量を極力少なく抑えることが可能な脱硫方法、およびそのための装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、オゾン含有ガスを、硫黄化合物を含む液状石油製品と接触させることにより、液状石油製品中の硫黄化合物を酸化し、生成した酸化硫黄化合物を分離する液状石油製品の酸化脱硫方法であって、前記液状石油製品と前記オゾン含有ガスとの気液接触を行う反応器に導入する前記オゾンの量が、前記液状石油製品中に含まれる硫黄化合物の量に対して、重量比で150倍を超えないように制御することを特徴とする、液状石油製品の酸化脱硫方法である。
【0011】
この石油製品の酸化脱硫方法では、液状石油製品とオゾン含有ガスとの気液接触を行うにあたり、反応器に導入するオゾンの量を、液状石油製品の硫黄化合物の量に対して重量比で150倍以下となるように制御する。反応器中のオゾン濃度が高くなり過ぎると、硫黄化合物だけでなく石油製品中の炭化水素類まで酸化され、多量の過酸化物が生成するが、オゾンと硫黄化合物の量を上記のように制御することにより、過酸化物の生成を抑制できる。よって、脱硫後の液状石油製品は過酸化物の含有量が低い良質な石油製品となる。
【0012】
本発明の第2の態様は、オゾン含有ガスを、硫黄化合物を含む液状石油製品と接触させることにより、液状石油製品中の硫黄化合物を酸化し、生成した酸化硫黄化合物を分離する液状石油製品の酸化脱硫方法であって、前記液状石油製品と前記オゾン含有ガスとの気液接触を行う反応器に、前記オゾン含有ガスを複数の箇所から導入するようにしたことを特徴とする、液状石油製品の酸化脱硫方法である。
【0013】
この液状石油製品の酸化脱硫方法では、液状石油製品とオゾン含有ガスとの気液接触を行う反応器に、オゾン含有ガスを複数の箇所から分散して導入するようにした。これにより、短時間で酸化能を失ってしまうオゾンを無駄に消費することなく、効率良く石油製品中の硫黄化合物に作用させることが可能になる。しかも、オゾン含有ガスを複数箇所から分散して導入することにより、反応器内でオゾンが局部的に高濃度となる事態も回避できる。従って、オゾンの消費と過酸化物の生成を抑制しつつ、効率的な脱硫プロセスが実現できる。
【0014】
本発明の第3の態様は、オゾン含有ガスを、硫黄化合物を含む液状石油製品と接触させることにより、液状石油製品中の硫黄化合物を酸化し、生成した酸化硫黄化合物を分離する液状石油製品の酸化脱硫方法であって、前記液状石油製品と前記オゾン含有ガスとの接触を、非金属製の気液接触手段の表面で行うことを特徴とする、液状石油製品の酸化脱硫方法である。
【0015】
液状石油製品とオゾン含有ガスとを接触させる際に、オゾンの作用により硫黄化合物以外の炭化水素類までもが酸化され、過酸化物が形成されることは前記したとおりである。本発明者らが得た知見では、過酸化物の形成は、金属製の気液接触手段を使用して気液接触を行う場合に増加する。その理由として、気液接触の際に、金属製の気液接触手段が触媒類似の作用を持ち、オゾンによる炭化水素類の酸化反応に関与していること、および気液接触手段は大きな表面積を有するため、全体として過酸化物の生成は無視できない量となることが推察される。後記実施例に示すように、気液接触手段として、非金属製の材質のものを使用することにより、石油製品の過酸化物生成が抑制されることが確認されている。
【0016】
本発明の第4の態様は、オゾン含有ガスと硫黄化合物を含む液状石油製品とを接触させる気液接触手段を内部に備えた液状石油製品の酸化脱硫反応器であって、前記オゾン含有ガスを導入する気体導入部が複数箇所に設けられていることを特徴とする、液状石油製品の酸化脱硫反応器である。この液状石油製品の酸化脱硫反応器を用いることにより、前記第2の態様と同様の作用効果が得られる。
【0017】
本発明の第5の態様は、オゾン含有ガスと硫黄化合物を含む液状石油製品とを接触させる気液接触手段を内部に備えた液状石油製品の酸化脱硫反応器であって、前記気液接触手段が、非金属製の材質で形成されていることを特徴とする、液状石油製品の酸化脱硫反応器である。この液状石油製品の酸化脱硫反応器を用いることにより、前記第3の態様と同様の作用効果が得られる。
【0018】
また、第6の態様は、前記第4の態様または第5の態様の酸化脱硫反応器と、前記酸化脱硫反応器で処理された酸化硫黄化合物を含有する液状石油製品に、抽出溶媒を混合する混合手段と、前記混合手段により混合された液状石油製品と抽出溶媒との混合物を、精製した石油製品と酸化硫黄化合物を含有する抽出溶媒とに分離する分離手段と、を備えたことを特徴とする、液状石油製品の酸化脱硫装置である。この酸化脱硫反応器と混合手段と分離手段を備えた装置は、上記第1〜第3の態様の石油製品の酸化脱硫方法の実施に最適なものである。
【0019】
本発明の第7の態様は、第6の態様において、さらに、酸化硫黄化合物を含有する抽出溶媒を、酸化硫黄化合物と抽出溶媒とに分離するための第2の分離手段を備えたことを特徴とする、液状石油製品の酸化脱硫装置である。この液状石油製品の酸化脱硫装置によれば、酸化硫黄化合物と抽出溶媒とを分離する第2の分離手段を配備することによって、抽出溶媒の再利用と酸化硫黄化合物の回収が可能になる。従って、資源の有効利用と処理コストの低減化が図られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明において酸化脱硫の対象となる液状石油製品には、例えば、灯油、軽油、ナフサ、ガソリン等の石油製品またはそれらの原料が含まれる。これらの液状石油製品は、硫黄化合物として、例えばR−S−R’やR−SH(ここで、R、R’はアルキル基などを示す)で表されるスルフィドやチオールなどの有機硫黄化合物をはじめ、各種の硫黄化合物を含有している。そして、液状石油製品にオゾンを作用させることにより、上記スルフィド(R−S−R’)の例ではスルフォキシドやスルフォンなどの酸化硫黄化合物に変化させることができる。
【0021】
本発明に用いる「オゾン含有ガス」としては、例えば、オゾンガスそのものや、オゾンを含む空気、オゾンを含む酸素ガスなどを挙げることができる。
【0022】
オゾン含有ガスと液状石油製品との接触は、通常の酸化脱硫反応器を利用して行うことができる。すなわち、一般的な酸化脱硫反応器として、例えば、格子状などをした充填物により気液接触効率を高める充填塔方式、液状石油製品を液滴化もしくは微粒子化して散布または噴霧するスプレー塔方式、液膜を形成する濡れ壁塔方式等の装置を使用できる。これらの方式の場合、充填物層、スプレー装置、液膜を形成する壁が気液接触手段を構成することになる。
【0023】
反応器へのオゾン含有ガスの導入方向は、液状石油製品に対し、向流としても、あるいは並流としてもよいが、気液接触効率に優れた向流が好ましい。なお、これら以外にも、例えば、容器内に充填された液状石油製品中、あるいはパイプ内を流送する液状石油製品中にオゾン含有ガスを気泡として導入する方式なども可能である。上記方法の中でも、オゾンとの接触面積を大きくとれる方法として、例えば、充填塔方式や、スプレー塔方式などが好ましい。
【0024】
本発明の第1の態様においては、液状石油製品とオゾン含有ガスとの気液接触を行う反応器に導入するオゾンの量が、液状石油製品中に含まれる硫黄化合物の量に対して、重量比で150倍を超えないように制御する[すなわち、導入オゾン(g):石油製品中の硫黄化合物(g)=150以下:1とする]。オゾン量が硫黄化合物量の150倍を越えると、過剰なオゾンによって炭化水素類まで酸化され、過酸化物の生成量が多くなる。逆にオゾン量が少なすぎる場合は、硫黄化合物の酸化が十分に進行しない。従って、反応器に導入するオゾンの量は、液状石油製品中に含まれる硫黄化合物の量に対して、重量比で1〜150の範囲に制御することが好ましく、20〜90の範囲がより好ましい。
【0025】
本発明の第2の態様においては、前記液状石油製品と前記オゾン含有ガスとの気液接触を行う反応器に、前記オゾン含有ガスを複数の箇所から導入する。導入は、液状石油製品の流れ方向に対して所定の間隔をあけて複数の箇所から行うことが好ましく、反応器の長さに合わせて、導入されたオゾンの大部分が酸素に変化する前に気液接触が行われるように、導入間隔を調整することが好ましい。
【0026】
また、反応器の気液接触手段が複数に分離して設けられている場合は、複数に分離したそれぞれの気液接触手段に対応して、オゾン含有ガスを導入する気体導入部を設けることが好ましい。
【0027】
本発明の第3の態様では、気液接触手段として非金属製の材質のものを使用する。これにより、後記実施例に示すように石油製品の過酸化物生成が抑制される。ここで、非金属製の材質としては、例えばセラミックス、ガラスなどを挙げることができる。なお、気液接触手段の形状は、気液接触を図るための広い表面積を有する形状であれば、一般に石油製品に使用されるものを制限なく使用できる。好ましい気液接触手段の例として、非金属製の材質の充填物を挙げることができる。この場合、酸化脱硫反応器として充填塔方式の反応器が使用される。
【0028】
上記第1〜第3の態様は、二つ以上を組み合わせて実施することが可能であり、これにより、いっそう効率的な酸化脱硫プロセスが実現する。
【0029】
液状石油製品とオゾン含有ガスの接触において、必要なガス量とオゾン濃度は脱硫される石油製品中の硫黄濃度によって適宜設定できるが、例えば、供給するガス中のオゾン濃度は0.01〜10.0体積%、好ましくは0.1〜4.0体積%とすることができる。
【0030】
また、反応装置内のガス空塔速度は、SV値で0.1〜6.0/時間、好ましくは1.0〜2.5/時間とすることが可能であり、操作温度は常温、操作圧力は常圧が一般的であり、温度は10℃〜60℃程度、好ましくは15〜40℃とすることができる。圧力は大気圧〜3kg/cmg程度の範囲内で適宜設定することが好ましい。
【0031】
本発明方法においては、オゾン含有ガスと硫黄化合物を含む液状石油製品との接触を、析出防止剤の存在下で行うことが好ましい。本発明で採用する気液接触方式による酸化脱硫反応は、上述のとおりオゾン含有ガスを使用するため、脱硫効率が良く、酸化反応後のオゾンの分離も容易であるという長所を持つが、酸化反応により生成した酸化硫黄化合物の析出が液−液反応の場合よりも起こりやすいことが懸念される。反応装置内で酸化硫黄化合物が析出すると、液状石油製品やオゾン含有ガスの流通を妨げ、処理効率の低下や、目詰まりによる故障などを引き起こすことが考えられる。析出防止剤の存在下で酸化脱硫反応を行うことにより、反応装置内での酸化硫黄化合物の析出を有効に防止でき、長期間の操業や工業的規模での実施が可能な、実用性の高い石油製品の脱硫プロセスを実現できる。
【0032】
析出防止剤としては、生成する酸化硫黄化合物を溶解可能で、オゾンによる酸化反応を実質的に損なうような影響を与えることがない物質であれば特に制限はないが、後述する抽出溶媒と同じ物質、例えばメタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコールを用いることが好ましい。
【0033】
析出防止剤は、予め原料となる液状石油製品に添加してもよく、あるいは、酸化分解反応の過程で、連続的もしくは断続的に添加してもよい。いずれの場合も、予測される酸化硫黄化合物の生成量、あるいは液状石油製品に含まれる硫黄化合物量に応じて所要量を添加すればよい。添加量の目安としては、例えば液状石油製品に対して1体積%〜30体積%程度、好ましくは1体積%〜5体積%程度である。
【0034】
以上述べたオゾン含有ガスと硫黄化合物を含む液状石油製品との接触工程は、繰り返し行うようにしてもよい。気液接触工程を複数回(例えば2〜5回程度)繰り返すと、液状石油製品に含まれる硫黄化合物をより確実に酸化できるので、最終的な精製度を高めることができる。
【0035】
液状石油製品中からの酸化硫黄化合物の分離は、例えば、溶媒抽出、蒸留、吸着などの通常の分離手段によって実施できる。これらの中でも、エネルギー消費が少なく、装置構成も簡易なもので足りる溶媒抽出による処理が好ましい。以下、溶媒抽出による分離を例に挙げて詳述する。
【0036】
抽出溶媒としては、生成する酸化硫黄化合物を溶解可能で、液状石油製品との分離が可能な物質あれば制限なく使用できるが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールなどの低級アルコールを含む溶媒を用いると、生成した酸化硫黄化合物を効率良く溶媒側に移行させ、液状石油製品から分離できるので好ましい。また、溶媒抽出により、過剰のオゾンによって生成した炭化水素類の過酸化物についても石油製品から分離、除去することができる。
【0037】
低級アルコールを含む溶媒として、所定比率で水を含有する溶媒(例えばメタノール+水)を用いると、油層(石油製品)と溶媒層との分離性が向上し、両層の境界が明りょうになるため、石油製品にほとんど損失を生じさせることなく分離できる。この場合、例えばメタノール等に対し水を1〜20体積%程度配合することが好ましく、石油製品の種類に応じて1〜15体積%程度配合することにより最適な分離性が得られる。
【0038】
溶媒による抽出分離に際しては、抽出を効果的に実施するために、撹拌等の混合操作を行うことが好ましい。これは撹拌等の混合方法のほか、例えばスタティックミキサー、スプレーノズル、絞り弁等による混合でもよい。充分に混合された液状石油製品、抽出溶媒および酸化硫黄化合物は、抽出操作によって液状石油製品と、酸化硫黄化合物を含む抽出溶媒に分離される。このように、抽出によって酸化硫黄化合物は、石油製品から溶媒側に移動し、酸化硫黄化合物が除去された液状石油製品は脱硫石油製品として、必要に応じて後処理を施した後回収される。この溶媒抽出工程および分離工程も、必要に応じて繰り返し行うことにより、液状石油製品をより高度に精製することが可能である。
【0039】
また、以上の気液接触工程から溶媒抽出等による酸化硫黄化合物の分離工程までの処理は、これらを一連の工程として複数回(例えば、2〜5回程度)繰り返し行うことも可能であり、前記したように各工程をそれぞれ別個に繰り返す場合と同様に、液状石油製品の精製度を高めることができる。
【0040】
一方、酸化硫黄化合物を含む抽出溶媒は、酸化硫黄化合物を分離することにより、抽出溶媒としての再利用を図ることが好ましい。例えば、酸化硫黄化合物を含むメタノール(またはメタノール水)に蒸留等の分離操作を施すことによって、精製溶媒として回収できる。蒸留の場合は、操作圧力は常圧で実施するのが一般的であり、前記例では、塔頂からメタノール、塔底からは酸化硫黄化合物または酸化硫黄化合物+水が取り出され、系外へ排出される。この酸化硫黄化合物についても必要に応じて回収して有効利用できる。
【0041】
以上、溶媒抽出の場合を例に挙げて説明したが、蒸留や吸着分離についても、常法に従って処理することにより、同様に精製した脱硫石油製品を回収することができる。
【0042】
図1は、本発明の一実施形態に係る酸化脱硫装置100の概要を示す図面である。図1において、酸化脱硫装置100は、酸化脱硫反応器としての反応器11、混合手段としての混合器31、第1の分離手段としての分離槽41を備えている。また、この酸化脱硫装置100は、回収された抽出溶媒53を精製して再利用するために第2の分離手段としての蒸留塔42を備えている。
【0043】
まず、反応器11は、内部に気液接触手段としての充填物12(12a、12b、12c)を充填した充填塔式であり、充填物12は、3つに分離して充填されている。つまり、この例では、反応器11の気液接触手段は三つに分割されている。充填物12としては、石油製品の精製に適した充填物12であって、例えばセラミックス、ガラス等の非金属製の材質の充填物12を使用することができる。
【0044】
反応器11の上部には、液状石油製品51の導入部15が備えられており、底部には排出部17が設けられている。また、3箇所の充填物12a、12b、12cに対応するように、それらの下側近傍の容器側部に、オゾンガス52を導入するための導入部14a、14b、14cがそれぞれ備えられている。これらの導入部14a〜14cは、導入したオゾンが酸素に還元される前に充填物12a〜12cにおいて液状石油製品と接触することができるように配置されている。この目的を達するため、導入部14a〜14cは、それぞれ対応する充填物12a〜12cに近接して、これらの各充填物12a〜12cよりオゾンガスの流れ方向の上流位置に設けられている。本実施形態では、オゾンガス52は、反応器11内を上昇し、頂部の排出部16から排出される。つまり、気液の流れ方向が互いに向き合う向流方式が採用されている。
【0045】
反応器11の詳細を図2に示す。反応器11としては、図2(A)に示すような向流方式のほか、並流方式も使用可能であり、その例としては、図2(B)に示すように、上部に液状石油製品51の導入部15、頂部にオゾンガス52の導入部14a、分割された充填物12b、12cのそれぞれ上側近傍の容器側部に導入部14b、14c、底部に排出部18を備え、反応器11の下流に気液分離器19を設けたものが挙げられる。図2(B)の態様でも、導入部14a〜14cは、それぞれ対応する充填物12a〜12cに近接して、オゾンガスの流れ方向の上流位置に設けられている。
【0046】
また、反応器11は、充填塔方式に限らず、図3(A)、(B)に例示するスプレー塔方式も使用できる。スプレー塔方式の反応器11においては、液状石油製品51を上部の噴霧装置13から微細粒子として拡散させることにより、オゾンガス52との気液接触を効率的に行うことができる。スプレー塔方式においても、オゾンガス52を反応器11の側部の複数箇所(導入部14a〜14c)から導入する向流方式[図3(A)]のほか、オゾンガスを反応器11の頂部(導入部14a)と側部の複数箇所(導入部14b、14c)から導入し、気液分離器19を併設した並流方式[図3(B)]が利用できる。スプレー塔方式の反応器11において、導入部14a〜14cは、噴霧状態にある液状石油製品の途中にオゾンガスを導入できるように設けられている。
【0047】
さらに、反応器11として、図4に例示するようなエジェクター式スプレーノズル61と充填物12a、12bを配備した装置を用いることも可能である。この反応器11では、液状石油製品51とオゾンガス52とを混合するエジェクター式スプレーノズル61によって、液状石油製品51を微粒子として拡散させオゾンガス52と反応させるとともに、気液接触手段(充填物12a、12b)の下側からディストリビューター62a、62bを通して別途導入され、分散供給されるオゾンガス52により、流下してくる液状石油製品51と再び気液接触させることができるので、酸化反応を効率良く進行させることが可能になる。
なお、反応器11としては、上記以外に、例えば濡れ壁方式(図示せず)なども使用できる。
【0048】
図1では、反応器11は1塔のみの構成であるが、硫黄化合物の酸化反応をより確実に進行させる目的で、必要に応じて複数の反応器11を連設することも可能である。また、同様の目的で、一旦反応器11から排出された液状石油製品(酸化反応後)51’の一部または全部を再度反応器11内に導入する経路を設けることも可能である。
【0049】
図1において、混合手段としての混合器31は、スタティックミキサー32が使用されている[図5(A)参照]。スタティックミキサー32には、一般的な構成ものを使用することができる。混合器31としては、スタティックミキサー32に限らず、例えば図5(B)に示す絞り弁33や、同図(C)に示す攪拌槽34なども利用できる。この中でも、スタティックミキサー32や絞り弁33は、動力を必要とせず、省スペースで連続処理が可能である点で有利であり、特に攪拌性能が高く均一な混合が可能なスタティックミキサー32が好ましい。
【0050】
第1の分離手段としての分離槽41は、液状石油製品51と抽出溶媒53を静置して層分離させて分別回収するためのものであり、上部と下部にそれぞれ排出部を有する。なお、図1では第1の分離手段として独立した分離槽41を備えているが、例えば混合手段として図5(C)に示す攪拌槽34などを使用する場合には、混合器31と一体の構成としてもよい。
【0051】
また、以上の装置構成において、反応器11および混合器31を統合し、図6に示すように一体型の反応・混合器71とすることも可能である。この反応・混合装置71では、気液接触を行う反応部72と、抽出溶媒の混合を行う混合/抽出部73に区分されており、さらに、反応部72には例えば充填物(ここでは3つに分離。破線で図示)が複数に分割して配備されている。この方式では、液状石油製品51は反応部72の上部の液導入部74から導入され、各充填物の近傍下側の反応器側部に設けられたガス導入部75a、75b、75cからそれぞれ導入されたオゾンガス52と接触しながら流下していく。混合/抽出部73には、メタノール等の抽出溶媒53の溶媒導入部76が設けられ、ここから導入された抽出溶媒53と酸化反応後の液状石油製品51’とは、例えば攪拌などの手段により十分に混合される。混合物は反応・混合器71の底部の排出部77から排出され、次工程(分離槽41)へ送られることになる。かかる一体型の反応・混合器を用いることによって、装置構成を簡素化することができる。
さらに、図6の反応・混合器71において、混合/抽出部73に分離機能を持たせ、ここで抽出溶媒53と液状石油製品51との分離まで行えるようにしてもよい。この場合は、二点鎖線で示す分離槽41も省略できるので、装置構成をさらに簡素なものとすることができる。
【0052】
以上述べた図1の装置においては、硫黄化合物の酸化反応と分離をより確実にする目的で、酸化脱硫反応器としての反応器11、混合手段としての混合器31および第1の分離手段としての分離槽41を一つの単位として、必要に応じて複数単位連設することも可能である。また、同様の目的で、一旦分離槽41から排出された脱硫石油製品(分離後)54の一部または全部を再度反応器11内に導入する経路を設けることも可能である。
【0053】
第2の分離手段としての蒸留塔42は、蒸気圧の差異を利用して抽出溶媒53とそこに溶解している酸化硫黄化合物とを分離するためのものであり、一般的な構成の蒸留装置を利用できる。
【0054】
以上を踏まえ、図1の酸化脱硫装置100を用いた処理手順を説明する。
まず、充填塔式の反応器11の上部から導入された石油製品51に、反応器11の側部の導入部14a、14b、14cから導入されたオゾンガス52を対向流として接触させることにより、効率良く気液接触が行われ、硫黄化合物の酸化反応が進行する。反応の条件は前記したとおりである。酸化反応により生成した酸化硫黄化合物を含む液状石油製品51’は、反応器底部の排出部17より排出され、次工程に移送される。
【0055】
図1では、混合器31(スタティックミキサー32)の上流側の流送経路上の導入部21において、反応器11で処理された液状石油製品51’に抽出溶媒53(例えば、メタノールまたはメタノール水)が所定比率で導入される。液状石油製品51と抽出溶媒53とは、混合器31(スタティックミキサー32)により十分に混合され、液状石油製品51中の酸化硫黄化合物が抽出溶媒53側に移行する。
【0056】
抽出溶媒53と液状石油製品51’は、分離槽41で静置され、抽出溶媒53は下部から、脱硫石油製品54は上部から回収される。
【0057】
以上述べた抽出溶媒の導入から混合、分離までの工程を繰り返し行うために、導入部21、混合器31および分離槽41を繰り返して連設したり、循環経路を設けたりすることも可能である。
【0058】
次に、酸化硫黄化合物55を含有する抽出溶媒53は、蒸留塔42に流送され、ここでの蒸留によって酸化硫黄化合物55が分離される。蒸留塔42の頂部より回収されたガス状の抽出溶媒53は、熱交換器43で冷却され、回収溶媒槽44に貯留して再利用が図られる。蒸留塔42の底部より回収される酸化硫黄化合物55は、必要に応じて精製することにより、各種の化学工業で利用することができる。
【0059】
【作用】
オゾンを液状石油製品に作用させて、そこに含まれる硫黄化合物を酸化させ分離除去する場合には、オゾンの酸化力によって液状石油製品の成分自体も酸化されてしまうという点が最大の問題となる。
すなわち、石油製品中の硫黄化合物を十分に酸化させるために過剰のオゾンを導入した場合、オゾンの酸化作用は石油製品中の成分、特にオレフィン類などの二重結合部位に作用して過酸化物を生成する。この過酸化物は、石油製品から除去する必要があるが、その生成量が大きくなると精製を繰返し行わなくてはならず、プロセス効率を低下させてしまうため、実用性が大きく損なわれる。
【0060】
本発明では、オゾンによる硫黄化合物の酸化作用を十分に得ながら、過酸化物の生成が起こらないように酸化脱硫条件を制御することによって石油製品の効率的な酸化脱硫が実現される。
【0061】
ここで、酸化脱硫条件の制御は、第1に、オゾンの導入量が硫黄化合物に対して重量比で150倍を超えないように制御することにより実施される。液状石油製品に導入するオゾンの量が過剰になると酸化力が強くなりすぎ、過酸化物生成の問題が生じやすくなるが、オゾン量を制御することによって、硫黄化合物を酸化させるために必要な酸化力を確保しつつ、過酸化物の生成を抑制できる。
【0062】
第2に、反応槽におけるオゾン含有ガスの導入部を複数設ける構成とした。これにより、反応容器内で局部的にオゾン濃度が高い状態が生じないようにすることが可能となり、過酸化物の生成が抑制される。また、導入部の配置をオゾンの酸化作用が持続する時間を考慮して設定することにより、気液接触による硫黄化合物の酸化を効率良く行うことが可能になるとともに、オゾンの損失を最小限に抑え、オゾンを有効利用することができる。
【0063】
第3には、充填塔方式の反応容器内に充填される充填物等の気液接触手段をセラミックス、ガラス等の非金属製の材質とする構成とした。非金属製の気液接触手段を使用することによって、過酸化物の生成が抑制される理由は解明されていないが、金属製の材質の充填物を用いる場合には、気液接触を図るべく大きな表面積を有する充填物表面において、金属が触媒的役割を果たし、石油製品中のオレフィン類のオゾンによる酸化を促進している可能性があるのに対し、非金属製の材質ではかかる触媒的作用は生じないことが考えられる。
【0064】
【実施例】
次に、実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれによって制約されるものではない。
【0065】
実施例1
灯油脱硫試験:
原料灯油として46ppmの硫黄分を含むものを使用し、本発明方法による酸化脱硫処理を、常圧、30℃、オゾン量1.26g/hr、SV=2.0hr−1で実施した。その結果を表1に示した。
【0066】
実施例2
灯油脱硫試験:
充填物をセラミックス製に代えた以外は、実施例1と同様の条件で脱硫試験を実施した。その結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
Figure 2005015533
【0068】
実施例3および比較例1
図1に示したものと同様の酸化脱硫装置を使用し、常圧、30℃、オゾン量40g/hr、SV=2.2hr−1で灯油の脱硫試験を実施した。反応器は、径300mm、高さ2800mmのものを用いた。
【0069】
比較例1では、気液接触手段としての充填物(ステンレス製)を一段(高さ954mm)とし、オゾン含有ガスを1箇所から導入するようにした。実施例3では、反応器の気液接触手段を2段(高さ477mm×2)とし、オゾン含有ガスを2箇所から導入するようにした以外は、比較例1と同様の条件で脱硫試験を実施した。その結果を表2に示す。
【0070】
【表2】
Figure 2005015533
【0071】
以上の結果から、複数(ここでは2つ)に分離した充填物層に対応した複数の部位からオゾンガスを導入することにより、十分な脱硫率が得られるとともに、過酸化物の生成も抑えられることが示された。また、充填物の材質を非金属製(セラミックス)とすることにより、金属製(ステンレス)を使用した場合に比べ、さらに脱硫効率が向上し、過酸化物価を低下させ得ることが判明した。
【0072】
実施例4
灯油脱硫試験:
実施例1と同様の脱硫装置を用い、反応器に導入するオゾン量を変えながら、灯油について下記の条件で脱硫試験を実施した。その結果を図7に示した。
【0073】
<操作条件>
(1)灯油の性状;
密度 0.7743g/cm
原料硫黄分 55ppm
供給量 30リットル/時
(2)オゾンガス操作条件
圧力 1.5kg/cm
温度 30℃
オゾン濃度 3.0重量%
オゾンガス密度 0.00322g/cm
(3)酸化硫黄化合物の抽出分離
メタノール/灯油比=2/5を用い、▲1▼5分間混合、▲2▼10分間静置、▲3▼灯油分離を行った。▲1▼〜▲3▼の抽出操作を3回繰り返した後、水洗を実施した。
【0074】
実施例5
軽油脱硫試験:
実施例3と同様の条件で、軽油(密度 0.8079g/cm、原料硫黄分260ppm)について脱硫試験を実施した。その結果を図8に示した。
【0075】
実施例6
ナフサ脱硫試験:
実施例3と同様の条件で、ナフサ(密度 0.7417g/cm、原料硫黄分18ppm)について脱硫試験を実施した。その結果を図9に示した。
【0076】
以上、図7〜9より、石油製品中の硫黄化合物に対するオゾンの導入量を増加させても、あるオゾン量を超えると、脱硫率の上昇が頭打ちになる傾向が示された。すなわち、原料石油製品中の硫黄化合物に対するオゾン導入量(重量比)が150倍を超える範囲では、石油製品の種類に係らず、オゾンを増加させても脱硫率が殆ど上昇してないことが判る。このことから、石油製品中の硫黄化合物に対し、重量比で150倍を超える過剰のオゾンを投入しても有効利用されず、逆に過酸化物生成の原因となることが判る。
【0077】
実施例7
過酸化物価測定試験:
充填物の種類(ステンレス、セラミックス、ガラス)を変更する以外は、実施例4と同様の条件で灯油を処理し、抽出精製を行う前の過酸化物価を測定した。その結果を図10に示した。
【0078】
図10から、金属製(ステンレス)の充填物を使用した場合は、過酸化物の生成速度が速いとともに、オゾン量が増加するに伴い過酸化物の量も増加し続けることが示された。これに対し、非金属製の充填物(ガラス、セラミックス)を使用した場合は、金属製の充填物と比較して、過酸化物の生成が抑制されることが明らかとなった。
【0079】
以上、本発明を種々の実施形態に関して述べたが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、他の実施形態についても適用されるものであることは勿論である。
【0080】
【発明の効果】
本発明方法によれば、液状石油製品とオゾン含有ガスとの気液接触により、液状石油製品中の硫黄化合物を効率よく除去できるとともに、過酸化物の含有量が低い良質な石油製品を得ることが可能となる。
【0081】
また、特にオゾンを用いることの有利な点として、硫黄化合物の酸化反応は、気体のオゾンと液体の石油製品との気液間で行われるため、反応がすみやかに進行し、処理効率が高い。また、気体であるオゾンは反応後に液状石油製品と容易に分離するので、酸化工程後の分離に格別の操作や処理を必要としない。つまり、液−液反応や気−気反応では接触、混合後の分離に煩雑な操作が必要であったり、分離が困難になって原料の石油製品に損失を生じたりするが、気体であるオゾンは反応系から容易に分離・除去できるため、すみやかに次工程に移行でき、原料の損失も殆どない。
【0082】
また、本発明の酸化脱硫装置は、上記本発明酸化脱硫方法の実施に最適なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る酸化脱硫装置の概略構成図面。
【図2】反応器の態様を説明する図面。
【図3】反応器の別の態様を説明する図面。
【図4】反応器のさらに別の態様を説明する図面。
【図5】混合器の態様を説明する図面。
【図6】一体型の反応/混合器の例を説明する図面。
【図7】灯油の脱硫率とオゾン量の関係を示すグラフ図面。
【図8】軽油の脱硫率とオゾン量の関係を示すグラフ図面。
【図9】ナフサの脱硫率とオゾン量の関係を示すグラフ図面。
【図10】脱硫灯油の過酸化物価とオゾン量の関係を示すグラフ図面。
【符号の説明】
11 反応器
12a、12b、12c 充填物
13 噴霧装置
14a、14b、14c 導入部
15 導入部
16 排出部
17 排出部
18 排出部
19 気液分離器
31 混合器
32 スタティックミキサー
33 絞り弁
34 攪拌槽
35 攪拌翼
41 分離槽
42 蒸留塔
43 熱交換器
44 回収溶媒槽
51、51’ 液状石油製品
52 オゾンガス
53 抽出溶媒
54 脱硫石油製品
55 酸化硫黄化合物
61 エジェクター式スプレーノズル
62 ディストリビューター
71 一体型反応/混合器
72 反応部
73 混合/抽出部
74 液導入部
75a、75b、75c ガス導入部
76 溶媒導入部
77 排出部

Claims (7)

  1. オゾン含有ガスを、硫黄化合物を含む液状石油製品と接触させることにより、液状石油製品中の硫黄化合物を酸化し、生成した酸化硫黄化合物を分離する液状石油製品の酸化脱硫方法であって、
    前記液状石油製品と前記オゾン含有ガスとの気液接触を行う反応器に導入する前記オゾンの量が、前記液状石油製品中に含まれる硫黄化合物の量に対して、重量比で150倍を超えないように制御することを特徴とする、液状石油製品の酸化脱硫方法。
  2. オゾン含有ガスを、硫黄化合物を含む液状石油製品と接触させることにより、液状石油製品中の硫黄化合物を酸化し、生成した酸化硫黄化合物を分離する液状石油製品の酸化脱硫方法であって、
    前記液状石油製品と前記オゾン含有ガスとの気液接触を行う反応器に、前記オゾン含有ガスを複数の箇所から導入するようにしたことを特徴とする、液状石油製品の酸化脱硫方法。
  3. オゾン含有ガスを、硫黄化合物を含む液状石油製品と接触させることにより、液状石油製品中の硫黄化合物を酸化し、生成した酸化硫黄化合物を分離する液状石油製品の酸化脱硫方法であって、
    前記液状石油製品と前記オゾン含有ガスとの接触を、非金属製の気液接触手段の表面で行うことを特徴とする、液状石油製品の酸化脱硫方法。
  4. オゾン含有ガスと硫黄化合物を含む液状石油製品とを接触させる気液接触手段を内部に備えた液状石油製品の酸化脱硫反応器であって、
    前記オゾン含有ガスを導入する気体導入部が複数箇所に設けられていることを特徴とする、液状石油製品の酸化脱硫反応器。
  5. オゾン含有ガスと硫黄化合物を含む液状石油製品とを接触させる気液接触手段を内部に備えた液状石油製品の酸化脱硫反応器であって、
    前記気液接触手段が、非金属製の材質で形成されていることを特徴とする、液状石油製品の酸化脱硫反応器。
  6. 請求項4または請求項5に記載の酸化脱硫反応器と、
    前記酸化脱硫反応器で処理された酸化硫黄化合物を含有する液状石油製品に、抽出溶媒を混合する混合手段と、
    前記混合手段により混合された液状石油製品と抽出溶媒との混合物を、精製した石油製品と酸化硫黄化合物を含有する抽出溶媒とに分離する分離手段と、
    を備えたことを特徴とする、液状石油製品の酸化脱硫装置。
  7. 請求項6において、さらに、酸化硫黄化合物を含有する抽出溶媒を、酸化硫黄化合物と抽出溶媒とに分離するための第2の分離手段を備えたことを特徴とする、液状石油製品の酸化脱硫装置。
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