JP2005015359A - 皮膚洗浄剤組成物 - Google Patents

Abstract

【解決手段】（ａ）脂肪酸及び／又はその塩、
（ｂ）２質量％水溶液の粘度が１００〜１０００ｍＰａ・ｓ（２５℃）であり、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩量が５質量％以下であるカチオン化セルロース、
（ｃ）カルボン酸型両性界面活性剤、
（ｄ）ポリオキシエチレン付加アルキルエーテル型ノニオン界面活性剤
を含有することを特徴とする皮膚洗浄剤組成物。
【効果】本発明によれば、使用時における泡性能（起泡性、クリーミー性）が良好で、すすぎ時に嗜好性の高い感触（ぬめりのなさ、肌のなめらかさ、すべすべ感）を付与でき、さらに品質の劣化（色調、香り）を長期間防止できる皮膚洗浄剤組成物を得ることができる。
【選択図】 な し

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、使用時における泡性能（起泡性、クリーミー性）が良好で、すすぎ時に嗜好性の高い感触（ぬめりのなさ、肌のなめらかさ、すべすべ感）を付与でき、さらに品質の劣化（色調、香り）を長期間防止できる皮膚洗浄剤組成物に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、洗浄剤組成物は脂肪酸塩と高分子化合物を併用するものが用いられているが、泡のクリーミー感等に関する泡の質感においては良好であるものの、起泡性や泡量では不充分な点が認められた。また、両性界面活性剤又は半極性界面活性剤を併用する洗浄剤組成物では、泡質は粗くクリーミー性に劣り、使用時に充分な泡を持続させる点で問題があった。さらに、泡質の向上や肌感触の変化を目的として高分子化合物又はカチオン化高分子化合物を併用した場合、すすぎ時にぬるつきが生じたり、タオルドライ後の肌感触がきしんで仕上がり感が悪くなる等といった、高分子化合物の配合により使用時の肌感触が悪化してしまうことに加え、香りや色調等品質を保持することが難しく、経時で劣化が進むことが問題となっていた。
【０００３】
洗浄剤組成物としては、泡立ち、泡のクリーミー感、使用後のコンディショニング効果を目的として、特定の２極性基含有陰イオン界面活性剤に１極性陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤及びカチオン性ポリマーを含有する洗浄剤組成物（特許文献１：特開平１０−２１９２８７号公報、特開平１０−２１９２８６号公報参照）が提案されている。しかしながら、合成系の陰イオン界面活性剤では泡の質感向上が未だ不充分な点があり、コンディショニング効果もすすぎ時に良好な皮膚感触を与えるものとは言い難い。
【０００４】
また、泡性能の向上を目的として、高級脂肪酸塩とカチオン性高分子及びポリエチレングリコールを含有する液体セッケン組成物が提案されているが（特許文献３：特開平２−１４２９００号公報参照）、使用感触としてぬるつきが懸念されものである。また、保存に安定なゲル形成ポリマー、脂質及び結晶性エチレングリコール脂肪酸エステルを含み、洗浄と脂質による湿潤効果を同時に与え、安定な組成物を目的する皮膚洗浄液剤が提案されているが（特許文献４：特表平１１−５０７３２３号公報参照）、目的とする効果が湿潤感であり、脂質の沈着により使用感ヌルつきやベタつきを与える弊害が大きいものである。
【０００５】
さらに、炭素数１２〜２２の脂肪酸塩とアミドプロピル型界面活性剤にヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いることで泡立ちが良く、使用時の皮膚刺激が無く、さっぱりとした使用感を得ることを目的とする洗浄剤組成物が提案されているが（特許文献５：特開２００２−１６７３２４号公報参照）、セルロース系高分子化合物により泡質の改善は図られているものの、すすぎ時に好ましい使用感を得る効果は充分でない。
【０００６】
一方、特にメイクアップ汚れの除去用として、カルボン酸型アニオン界面活性剤に特定のポリオールとセルロース又はカチオン化セルロースを含有する洗浄剤組成物が提案されているが（特許文献６：特開平９−２５５５３２号公報参照）、汚れ落ちの性能とすすぎ性には優れるものの本発明の目的とは異なるものである。
【０００７】
また、アニオン性界面活性剤に両性界面活性剤及びカチオン性沈着ポリマーが吸着されている懸濁粒状物質を含むことで、吸着性を向上させる技術が提案されているが（特許文献７：特表２００２−５３１６３８号公報参照）、カチオン性ポリマーが吸着した粒状物質のみでは使用感触に嗜好性を向上させる効果は不充分であるとともに、経時保存による品質保持安定化が困難である。
【０００８】
なお、上記技術はいずれも洗浄剤組成物に関するものではあるが、品質の劣化（色調、香り）を長期間防止することには言及されておらず、使用時における泡性能（起泡性、クリーミー性）が良好で、すすぎ時に嗜好性の高い感触（ぬめりのなさ、肌のなめらかさ、すべすべ感）を付与でき、さらに品質の劣化（色調、香り）を長期間防止できる皮膚洗浄剤組成物が望まれていた。
【０００９】
【特許文献１】
特開平１０−２１９２８７号公報
【特許文献２】
特開平１０−２１９２８６号公報
【特許文献３】
特開平２−１４２９００号公報
【特許文献４】
特表平１１−５０７３２３号公報
【特許文献５】
特開２００２−１６７３２４号公報
【特許文献６】
特開平９−２５５５３２号公報
【特許文献７】
特表２００２−５３１６３８号公報
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、使用時における泡性能（起泡性、クリーミー性）が良好で、すすぎ時に嗜好性の高い感触（ぬめりのなさ、肌のなめらかさ、すべすべ感）を付与でき、さらに品質の劣化（色調、香り）を長期間防止できる皮膚洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【００１１】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、脂肪酸及び／又はその塩、カチオン化高分子として特定のカチオン化セルロース、カルボン酸型両性界面活性剤及びポリオキシエチレン（ＰＯＥ）付加アルキルエーテル型ノニオン界面活性剤を併用することで、上記目的を達成できることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【００１２】
従って、本発明は（ａ）脂肪酸及び／又はその塩、
（ｂ）２質量％水溶液の粘度が１００〜１０００ｍＰａ・ｓ（２５℃）であり、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩量が５質量％以下であるカチオン化セルロース、
（ｃ）カルボン酸型両性界面活性剤、
（ｄ）ポリオキシエチレン付加アルキルエーテル型ノニオン界面活性剤
を含有することを特徴とする皮膚洗浄剤組成物を提供する。
【００１３】
以下、本発明につきさらに詳しく説明する。
本発明の（ａ）成分は脂肪酸及び／又はその塩である。（ａ）成分としては特に限定されるものではないが、脂肪酸及び／又はその塩としては、炭素数１２〜１８の飽和又は不飽和脂肪酸、これらの混合物であるヤシ油脂肪酸、硬化ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等のカリウム塩、ナトリウム塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩等の脂肪酸石けん、アルキルエーテルカルボン酸塩、Ｎ−アシルサルコシン塩、Ｎ−アシルグルタミン酸塩等が挙げられる。より具体的には、例えばラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、ラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム、Ｎ−ラウロイルサルコシンナトリウム、Ｎ−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、Ｎ−ラウロイルメチル−β−アラニントリエタノールアミン等が挙げられる。上記脂肪酸塩は、そのものを配合してもよいし、皮膚洗浄剤組成物中に脂肪酸とアルカリをそれぞれ別々に配合して、中和して用いてもよい。
【００１４】
（ａ）成分としては、炭素数１２〜１８の飽和又は不飽和脂肪酸、これらの混合物であるヤシ油脂肪酸、硬化ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、硬化パーム油脂肪酸、牛脂脂肪酸、硬化牛脂脂肪酸等のカリウム塩、ナトリウム塩、トリエタノールアミン塩、アンモニウム塩等の脂肪酸石けんが好ましく、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム、パルミチン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸カリウムが特に好ましい。上記脂肪酸又はその塩は１種を単独で又は２種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【００１５】
（ａ）成分の脂肪酸及び／又はその塩の配合量は、皮膚洗浄剤組成物中３〜４０質量％が好ましく、さらに５〜３０質量％が好ましい。配合量が３質量％未満だと、充分な泡立ちや泡量が得られない場合があり、４０質量％を超えると泡立ちが遅くなるとともに洗浄時の使用性や製造時の製造性においてハンドリングが悪くなる場合がある。
【００１６】
（ｂ）成分は、２質量％水溶液の粘度が１００〜１０００ｍＰａ・ｓ（２５℃）であり、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩量が５質量％以下であるカチオン化セルロースである。２質量％水溶液の粘度が１００〜１０００ｍＰａ・ｓ、好ましくは１００〜８００ｍＰａ・ｓ（２５℃）であるカチオン化セルロースとすることで、泡のクリーミー性を向上させるとともに、すすぎ時の不快なきしみ感が生じることを防ぐことができ、すすぎ時に嗜好性の高い感触（肌のなめらかさ、すべすべ感）を付与できる。２質量％水溶液粘度が１００ｍＰａ・ｓ未満であるとすすぎ時にきしみ感を強く感じ、１０００ｍＰａ・ｓを超えるものは泡性能を向上させる効果に乏しい。なお、この場合の粘度は、２５℃における、２質量％水溶液をＢ型粘度系、Ｎｏ．２ローター、３０ｒｐｍで測定したものである。
【００１７】
本発明の（ｂ）カチオン化セルロースは、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩量が５質量％以下、特に４質量％以下である。このような範囲にすることにより、長期保存を経ても、不快な臭気の発生や褐色化といった品質劣化を生じないものである。アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩量が５質量％を超えると、香りや色調を保持する効果に乏しく、容易に品質の劣化を生じてしまう。なお、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩量は強熱残分試験法（旧 粧原基 一般試験法）によって測定する。
【００１８】
さらに、（ｂ）カチオン化セルロースは、その窒素含有量が２質量％を超えないことが好ましい。窒素含有量が２質量％を超えると、皮膚残存量が適量を超え、ヌルヌルとした不快な感触を与える場合がある。
【００１９】
このような特定のカチオン化セルロースとしては、ポリクオタニウム−４、ポリクオタニウム−１０、ポリクオタニウム−２４等（いずれも日本エヌエスシー（株）製）、ＪＲ−４００（ユニオンカーバイド社製）、レオガードＬＰ、レオガードＧＰＳ等（いずれもライオン化学（株）製）が挙げられる。これらの中でもポリクオタニウム−４やポリクオタニウム−１０、ＪＲ−４００、レオガードＧＰＳが好ましい。上記（ｂ）成分のカチオン化セルロースは１種を単独で又は２種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【００２０】
（ｂ）成分のカチオン化セルロースの配合量は、皮膚洗浄剤組成物中０．０１〜３質量％が好ましい。配合量が０．０１質量％未満だと泡質の改善効果ならびにすすぎ時の感触付与効果が得られない場合があり、３質量％を超える場合では、ヌルヌルとした感触を生じる場合がある。
【００２１】
本発明の（ｃ）成分は、カルボン酸型両性界面活性剤である。カルボン酸型両性界面活性剤を配合することにより、ぬめり感を改善することができる。カルボン酸型両性界面活性剤としては、イミダゾリン型、アミドアミノ酸塩、カルボベタイン型（アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン）等が挙げられる。より具体的には、Ｎ，Ｎ，Ｎ，−トリメチルアミノプロピオン酸、Ｎ−ヒドロキシエチルＮ，Ｎ−ジメチルアミノプロピオン酸、Ｎ−メチルＮ，Ｎ−ジエチルアミノプロピオン酸、Ｎ，Ｎ，Ｎ−トリヒドロキシエチルアミノプロピオン酸、Ｎ−ラウリルＮ，Ｎ−ジメチルアミノプロピオン酸、Ｎ−パルミチルＮ，Ｎ−ジメチルアミノプロピオン酸、Ｎ−ミリスチルＮ，Ｎ−ジメチルアミノプロピオン酸、Ｎ−ステアリルＮ，Ｎ−ジメチルアミノプロピオン酸、Ｎ−ラウリルＮ，Ｎ−ジヒドロキシジエチルアミノ酢酸、Ｎ−ステアリルＮ，Ｎ−ジヒドロキシジエチルアミノ酢酸、Ｎ−ヘキシルＮ，Ｎ−ジメチルアミノ酢酸、Ｎ−オクチルＮ，Ｎ−ジメチルアミノ酢酸、Ｎ−デシルＮ，Ｎ−ジメチルアミノ酢酸、Ｎ−ラウリルＮ，Ｎ−ジメチルアミノ酢酸、Ｎ−ミリスチルＮ，Ｎ−ジメチルアミノ酢酸、Ｎ−パルミチルＮ，Ｎ−ジメチルアミノ酢酸、Ｎ−ステアリルＮ，Ｎ−ジメチルアミノ酢酸、ヤシ油アルキルＮ−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム等が挙げられる。
【００２２】
これらの中でも、Ｎ−メチルＮ，Ｎ−ジエチルアミノプロピオン酸、Ｎ−ラウリルＮ，Ｎ−ジヒドロキシジエチルアミノ酢酸、Ｎ−ラウリルＮ，Ｎ−ジメチルアミノプロピオン酸、Ｎ−パルミチルＮ，Ｎ−ジメチルアミノプロピオン酸、Ｎ−ミリスチルＮ，Ｎ−ジメチルアミノプロピオン酸、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、Ｎ−ミリスチルＮ，Ｎ−ジメチルアミノ酢酸、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウムが好ましい。上記カルボン酸型両性界面活性剤は１種を単独で又は２種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【００２３】
（ｃ）成分のカルボン酸型両性界面活性剤の配合量は、皮膚洗浄剤組成物中１〜２０質量％が好ましく、特に２〜１０質量％が好ましい。配合量が１質量％未満だと起泡性が充分ではない場合があり、２０質量％を超えると洗浄剤組成物の製造時の操作性が低下する場合がある。
【００２４】
本発明の（ｄ）成分は、ポリオキシエチレン付加アルキルエーテル型ノニオン界面活性剤である。ポリオキシエチレン付加アルキルエーテル型ノニオン界面活性剤を配合することにより、起泡性及びすすぎ時のなめらかさを向上させることができる。具体的にはポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンイソセチルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル等が挙げられる。
【００２５】
これらの中でもポリオキシエチレン（付加数＝６〜４０）直鎖アルキル（炭素数１０〜２２）エーテルが好ましく、特にポリオキシエチレン（付加数＝８〜２０）直鎖アルキル（炭素数１６〜２２）エーテルが好ましい。上記ポリオキシエチレン付加アルキルエーテル型ノニオン界面活性剤は１種を単独で又は２種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【００２６】
（ｄ）成分のポリオキシエチレン付加アルキルエーテル型ノニオン界面活性剤の配合量は、皮膚洗浄剤組成物中０．１〜５質量％が好ましく、特に０．５〜３質量％が好ましい。配合量が０．１質量％未満であるとすすぎ時の良好な肌感触を与える効果が弱まる場合があり、５質量％を超える場合は泡性能を悪くする場合がある。
【００２７】
本発明において、上記（ａ）〜（ｄ）を組み合わせることにより、泡性能を向上させ、すすぎ時に嗜好性の高い感触（ぬめりのなさ、なめらかさ、すべすべ感）を付与することに加え、品質の劣化（色調・香り）を長期間防止できるという効果が得られるものである。
【００２８】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、上記成分に加えて、通常洗浄剤組成物に使用される任意の成分を本発明の効果を妨げない範囲で適宜配合することができる。このような任意成分としては、例えば、油分、シリコーン類、低級及び高級アルコール等のアルコール類、蛋白誘導体、水溶性高分子化合物、アクリル樹脂分散液、上記必須成分以外のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤及びノニオン界面活性剤が挙げられる。
【００２９】
ノニオン界面活性剤としては、モノあるいはジエタノールアミド型ノニオン界面活性剤、糖系ノニオン界面活性剤、グリセリン系ノニオン界面活性剤等が挙げられる。
【００３０】
半極性界面活性剤としては、例えばアシル第３級アミンオキサイド、アシル第３級ホスフォンオキシド等が挙げられる。これらの界面活性剤は、１種単独又は２種以上を組合せて用いることができる。
【００３１】
さらに、ビタミン等の薬剤、殺菌剤、防腐剤、ｐＨ調整剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、動植物抽出物又はその誘導体、色素、香料、顔料、無機粉体、ナイロン、ポリエチレン等のポリマー、水不溶性粉体等が挙げられる。なお、これら任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量配合することができる。
【００３２】
本発明の皮膚洗浄剤組成物の性状は、特に限定されるものではなく、例えば、ペースト状、ゲル状、液体状、固体状等の剤系とすることができる。また、可溶化系、乳化系、粉体分散系等特に限定されない。
【００３３】
また、本発明の皮膚洗浄剤組成物は、皮膚洗浄剤組成物の常法に準じて調製することができ、調製する装置としては、剪断力と全体混合できる複数の撹拌羽根、例えば、プロペラ、タービン、ディスパー等を備えた撹拌装置が好ましく、特に好ましくは、アジホモミキサー、逆流ミキサー、ハイブロッドミキサー等が好ましい。
【００３４】
本発明の皮膚洗浄剤組成物の使用方法は特に限定されず、全身、顔及び手に通常の使用方法で使用することができる。
【００３５】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は通常の容器に充填することができ、容器としてはポンプ容器、チューブ、フォーマー容器、袋状容器等が挙げられる。フォーマー容器を使用する場合に泡形成性の点から、皮膚洗浄剤組成物の粘度は５℃において、１００ｍＰａ・ｓ以下、さらに５０ｍＰａ・ｓ以下に調整することが好ましい。また、フォーマー容器は、ポンプ式でも、スクイーズ式でも特に限定されないが、内容物を通過させて泡を形成させる多孔質体は１００メッシュ以上、好ましくは１００〜４００メッシュ、より好ましくは２００〜３５０メッシュがよく、その枚数も２枚以上が泡形成性の点から好ましい。より具体的には、特開平７−３１５４６３号公報及び特開平８−２３０９６１号公報に記載されたフォーマー容器を好適に使用することができる。
【００３６】
【発明の効果】
本発明によれば、使用時における泡性能（起泡性、クリーミー性）が良好で、すすぎ時に嗜好性の高い感触（ぬめりのなさ、肌のなめらかさ、すべすべ感）を付与でき、さらに品質の劣化（色調、香り）を長期間防止できる皮膚洗浄剤組成物を得ることができる。
【００３７】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、「％」は質量％を示し、表中の各成分の量は純分換算した量である。
【００３８】
［実施例１〜９、比較例１〜７］
下記表１〜３に示す配合組成で常法に準じて皮膚洗浄剤組成物を調製し、実施例１〜９及び比較例１〜７の皮膚洗浄剤組成物を得た。各洗浄剤組成物の泡性能（起泡性、泡量、泡質（クリーミー性））、肌感触効果（すすぎ時のぬめりのなさ、すすぎ時の肌のなめらかさ・すべすべ感）、長期保存後の品質（色調、香り）保持効果を下記評価方法により評価した。これらの結果を下記表１〜３に併記する。
【００３９】
泡性能（起泡性、泡量）評価
２０名のパネラーが、皮膚洗浄剤組成物を用いて全身を洗浄したときの、起泡性、泡量を下記評価基準に基づいて官能評価し、２０名の平均値を求めた。平均値が３点以上であれば、起泡性、泡量は良好であるとされる。
〈評価基準〉
４点：良い
３点：やや良い
２点：悪い
１点：非常に悪い
【００４０】
泡質（クリーミー性）の評価
２０名のパネラーが、皮膚洗浄剤組成物を用いて全身を洗浄したときの泡のクリーミー性について下記評価基準に基づいて官能評価し、２０名の平均値を求めた。平均値が３点以上であれば、泡質は良好であるとされる。
〈評価基準〉
４点：良い
３点：やや良い
２点：悪い
１点：非常に悪い
【００４１】
肌感触効果
下記の方法にて皮膚洗浄剤組成物を１ヶ月間１日１回使用し、肌感触効果（すすぎ時のぬめり感のなさ、すすぎ時の肌のなめらかさ・すべすべ感）を専門評価者により下記評価基準で官能評価した。
【００４２】
すすぎ時のぬめり感のなさを、下記評価基準で評価し２０名の平均値を求めた。平均値が３点以上であれば、ぬめり感のないボディソープとする。
〈評価基準〉
４点：ぬめり感が全くないと感じた場合
３点：ぬめり感がほとんどないと感じた場合
２点：ぬめり感がややあると感じた場合
１点：ぬめり感がしつこいと感じた場合
【００４３】
すすぎ時の肌のなめらかさ、すべすべ感を、洗浄しすすいだ時に下記評価基準で評価し、２０名の平均値を求めた。平均値が３点以上であれば、なめらかさ、すべすべ感のあるボディソープとする。
〈評価基準〉
４点：なめらかさ、すべすべ感があると感じた場合
３点：なめらかさ、すべすべ感がややあると感じた場合
２点：なめらかさ、すべすべ感がほとんどないと感じた場合
１点：なめらかさ、すべすべ感が全くないと感じた場合
【００４４】
長期保存後の品質（色調、香り）保持効果
ＨＤＰＥ（高密度ポリエチレン）製容器３５０ｍＬに皮膚洗浄剤組成物を３００ｇ充填し、４０℃、７５％ＲＨにて６ヵ月及び２５℃にて３年保存した後の組成物の品質（色調、香り）を専門評価者による官能評価により調べた。
〈評価基準〉
◎：保存開始時と同等であり、変化なし
○：保存開始時とほぼ同等であり、変化は極めて少ない
△：保存開始時と比較し、劣化が確認されるが、使用する際不都合は生じない
×：明らかに保存開始時の品質から劣化し、使用には不適である
【００４５】
【表１】

【００４６】
【表２】

【００４７】
【表３】

【００４８】
実施例及び比較例のカチオン化セルロースの粘度等について下記表に示す。
【００４９】
【表４】

【００５０】
以上の結果から、実施例１〜９の洗浄剤組成物は、良好な泡性能、仕上り性能及び品質の劣化（色調、香り）を長期間防止できることが判った。これに対して比較例１は泡質が粗く、ぬめり感を生じ、品質劣化防止能にも劣る。また、比較例２は泡性能は優れているものの、ぬめり感が強く良好な使用感である滑らかさやすべすべ感が得られず、品質劣化防止能に劣る。比較例３は、その効果が充分に発揮できず、本発明の効果を達成できないことが判った。
【００５１】
なお、表中の各種成分は以下の通りである。
（１）ラウリン酸アミドプロピルベタイン：エナジコールＬ−３０Ｂ、ライオン化学（株）製
（２）ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム：レボンＡＰＬ、三洋化成工業（株）製
（３）ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン：ＮＩＫＫＯＬ ＡＭ−３０１、日光ケミカルズ（株）製
（４）ラウリルジメチルアミンオキシド：アロモックスＤＭ−１２０ＤＷ、ライオン化学（株）製
（５）ＰＯＥ（１１）ステアリルエーテル：エマレックス６１１、日本エマルジョン（株）製
（６）ＰＯＥ（２０）ベヘニルエーテル：エマレックスＢＨＡ−２０、日本エマルジョン（株）製
（７）セスキオレイン酸ソルビタン：エマレックスＳＰＯ−１５０、日本エマルジョン（株）製
（８）アクリル酸エチル・メタクリル酸共重合体：ルビフレックスｓｏｆｔ、ＢＡＳＦ社製
（９）アクリル酸アルキル共重合体：レオアールＭＳ２００、ライオン化学（株）製
（１０）ＰＯＥ（７）ヤシ油脂肪酸グリセリン：セチオールＨＥ、コグニス社製
（１１）高重合メチルシロキサン：ＳＨ２００−１００００ｃｓ、東レ・ダウコーニング・シリコーン（株）製
（１２）高重合ポリエチレングリコール：ポリオックスＷＳＲ−７５０、ユニオンカーバイド社製
（１３）ジステアリン酸エチレングリコール：ＧＥＮＡＰＯＬ ＰＭＳ、クラリアントジャパン（株）製
（１４）ジメチルポリシロキサン（３０ｃｓ）：ＳＨ２００Ｃ−３０ｃｓ、東レ・ダウコーニング・シリコーン（株）製）
（１５）ラフィノース：（オリゴＧＧＦ、旭化成（株）製）
（１６）香料：使用される香料組成物の香料原料は、特開２００２−１２８６５８号公報の［００２７］〜［００４５］記載のリストを引用することにより本明細書の開示の一部とする。
【００５２】
下記組成に従って、実施例１０〜１４の洗浄剤組成物を各製剤の常法に準じて調製した。これらについて、上記実施例と同様に評価したところ、いずれも効果が優れるものであった。
【００５３】
［実施例１０］ 液体洗浄剤組成物
ラウリン酸カリウム １０．０
ミリスチン酸カリウム １０．０
パルミチン酸カリウム ２．０
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン ５．０
（オバゾリンＬＢ−ＳＦ、東邦化学工業（株）製）
ソルビトール ３．０
ポリクオタニウム−４ ０．５
（セルコートＬ−２００、日本エヌエスシー（株）製）
クニピアＦ ２．０
（クニミネ工業（株）製）
ポリクオタニウム−３９ ０．３
（マーコート５５０、オンデコ製）
ＰＯＥ（１１）ステアリルエーテル ２．０
（ＥＭＡＬＥＸ ６１１、日本エマルジョン（株）製）
プロピレングリコール １０．０
アクリル酸アルキル共重合体エマルション １．５
（レオアールＭＳ−２００、ライオン化学（株）製）
スチレン重合体エマルジョン ２．０
（サイビノールＰＥ−３、サイデン化学（株）製）
ジブチルヒドロキシトルエン ０．１
エデト酸 ０．１
香料Ａ １．０
青色４０３号 適量
精製水 バランス
合計（％） １００．０
【００５４】
［実施例１１］ クリーム状洗浄剤組成物
ステアリン酸 ８．０
パルミチン酸 ８．０
ミリスチン酸 １８．０
水酸化カリウム ５．５
ＰＯＥ（１６）セチルエーテル ２．０
（ＥＭＡＬＥＸ １１６、日本エマルジョン（株）製）
ＰＯＥ（３）ヤシ油脂肪酸アミドエーテル硫酸Ｎａ ８．０
（ネオスコープＣＭＥ−３０Ｓ，東邦化学（株）製）
ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン ３．０
（オバゾリンＣＡＢ−３０，東邦化学（株）製）
グリセリン １５．０
ＰＥＧ４０００ ５．０
ソルビトール ６．０
ポリクオタニウム−１０ ０．５
（レオガードＧＰＳ、ライオン化学（株）製）
オレンジ油（オレンジ・スウィート・オイル、池田物産（株）製） １．０
高重合メチルシロキサン ２．０
（ＳＨ２００−１０，０００ｃｓ、
東レ・ダウコーニング・シリコーン（株）製）
アクリル酸・メタクリル酸共重合体 ０．８
高重合ポリエチレングリコール ０．５
（ポリオックスＷＳＲ−Ｎ７５０、ユニオン・カーバイト社製）
ダービリアエキス（海藻エキス末、アルプス薬品工業（株）） １．０
ラフィノース（オリゴＧＧＦ、旭化成（株）製） ０．５
シラカバエキス（シラカバ抽出液、丸善製薬（株）製） １．０
ピロクトンオラミン １．０
（オクトピロックス、クラリアント・ジャパン（株）製）
ポーラゲルＮＦ（アメリカンコロイド社製） ０．３
酸化チタン（平均粒子径０．２５μｍ、ルチル型） １．０
グンジョウ（平均粒子径０．３〜２μｍ） ０．０５
ベンガラ（平均粒子径０．０３μｍ） ０．０５
ナイロン末（平均粒子径１００μｍ） ０．０５
エデト酸四ナトリウム四水塩 ０．３
香料Ｃ １．０
精製水 バランス
合計（％） １００．０
【００５５】
［実施例１２］ クレンジングジェル組成物
ミリスチン酸トリエタノールアミン ６．０
Ｎ−ラウロイル−Ｎ−メチル−β−アラニンカリウム ２．０
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド ３．０
（ホームリードＣＤ、ライオン化学（株）製）
ＰＯＥ（３）ラウリルエーテル硫酸Ｎａ ４．０
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン １．０
（オバゾリンＬＢ−ＳＦ、東邦化学工業（株）製）
ＰＯＥ（１０）ベヘニルエーテル ３．０
（エマレックス ＢＨＡ−１０、日本エマルジョン（株）製）
ジメチルポリシロキサン １．０
（ＳＨ２００−３０ｃｓ、東レ・ダウコーニング・シリコーン（株）製）
イソノナン酸イソノニル ２．０
ヒドロキシプロピルメチルセルロース ０．５
（メトローズＨＰＭＣ ６０ＳＨ４０００、信越化学工業（株）製）
アクリル酸アルキル共重合体エマルション ０．２
（レオアールＭＳ−２００、ライオン化学（株）製）
ポリクオタニウム−１０ １．０
（ＪＲ−４００、ユニオンカーバイド社製）
プロピレングリコール ５．０
イソプロピルメチルフェノール ０．１
ラポナイトＸＬＧ（日本シリカ工業（株）製） ０．３
ポリエチレン末（平均粒径１００μｍ） ０．３
香料Ｄ １．０
トリエタノールアミン ｐＨ８に調整量
精製水 バランス
合計（％） １００．０
【００５６】
［実施例１３］ フォーマー容器充填用液体洗浄剤組成物＊
ヤシ油脂肪酸カリウム ８．０
ラウリン酸アミドプロピルベタイン ２．０
（エナジコールＬ−３０Ｂ，ライオン化学（株）製）
ラウリル硫酸Ｎａ ２．０
ポリクオタニウム−４ ０．２
（セルコートＬ−２００、日本エヌエスシー（株）製）
プロピレングリコール ２０．０
ローズマリーエキス（ローズマリー水、丸善製薬（株）製） １．０
ＰＯＥ（２０）ベヘニルエーテル １．０
（エマレックスＢＨＡ−２０、日本エマルジョン（株）製）
スチレン重合体エマルジョン ２．０
（サイビノールＰＥ−３、サイデン化学（株）製）
ホホバ油（精製ホホバ油、香栄興業（株）製） ０．５
メチルパラベン ０．３
エデト酸四ナトリウム四水塩 ０．１
ヒドロキシエタンジホスホン酸 ０．１
香料Ａ １．０
精製水 バランス
合計（％） １００．０
なお、フォーマー容器（（株）吉野工業製）として特開平７−３１５４６３号公報の第２実施例として記載されたフォーマー容器を使用した。
【００５７】
［実施例１４］ マイルド液体洗浄剤組成物
Ｎ−ラウロイル−Ｌ−グルタミン酸トリエタノールアミン １０．０
（アミソフトＬＴ−１２、味の素製）
２−アルキル−Ｎ−カルボキシメチル−Ｎ−
ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン
（ソフタゾリンＣＬ、川研ファインケミカル製） ２．０
ラウリン酸トリエタノールアミン ３．０
アクリル酸・メタクリル酸共重合体 ２．０
ラウリル硫酸ナトリウム １．０
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン ２．０
（オバゾリンＬＢ−ＳＦ、東邦化学工業（株）製）
ポリクオタニウム−１０ １．０
（レオガードＧＰＳ、ライオン化学（株）製）
クニピアＦ（クニミネ工業（株）製） ０．１
ＰＯＥ（１６）セチルエーテル ２．０
（エマレックス１１６、日本エマルジョン（株）製）
シリコーンエマルジョン ２．０
ポリアクリル酸 ０．１
（ＢＹ２２−０６０、東レ・ダウコーニング・シリコーン（株）製）
カチオン化グアーガム（ジャガーＣ１４Ｓ、三晶製） ０．５
エチレングリコールジステアレート ２．０
ヘキシレングリコール １．０
安息香酸ナトリウム １．０
ヒドロキシエタンジホスホン酸 ０．１
クエン酸 ｐＨ５．４に調整量
香料Ｂ １．０
精製水 バランス
合計（％） １００．０

Claims (1)

1. （ａ）脂肪酸及び／又はその塩、
   （ｂ）２質量％水溶液の粘度が１００〜１０００ｍＰａ・ｓ（２５℃）であり、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩量が５質量％以下であるカチオン化セルロース、
   （ｃ）カルボン酸型両性界面活性剤、
   （ｄ）ポリオキシエチレン付加アルキルエーテル型ノニオン界面活性剤
   を含有することを特徴とする皮膚洗浄剤組成物。